(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】生体情報推定装置及び生体情報推定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0245 20060101AFI20240306BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61B5/0245 200
A61B5/0245 F
A61B5/11 100
(21)【出願番号】P 2023042461
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2022087426
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中野 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】赤木 幸知
(72)【発明者】
【氏名】足立 佳久
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-146061(JP,A)
【文献】特開2021-142114(JP,A)
【文献】特開平07-155303(JP,A)
【文献】特開2017-225735(JP,A)
【文献】特開2021-048965(JP,A)
【文献】特開2021-094127(JP,A)
【文献】特開2007-098002(JP,A)
【文献】特開2005-095653(JP,A)
【文献】特開2010-051592(JP,A)
【文献】特開2008-307204(JP,A)
【文献】特開2015-100432(JP,A)
【文献】特開平06-154178(JP,A)
【文献】特開昭64-015029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から脈波を検出する検出部と、
前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する変更部と、
前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する推定部と、
前記生体を撮像して映像を得る撮像部と、を備え
、
前記変更部は、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる各パルスに対して前記撹乱が有るか否かを判定し、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる、前記撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に前記測定期間を終了させ、判定の対象となるパルスが検出された期間中に条件を満たす輝度の時間変化が前記映像中に検出された場合に、前記判定の対象となるパルスに対して前記撹乱が有ると判定する、生体情報推定装置。
【請求項2】
生体から脈波を検出する検出部と、
前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する変更部と、
前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する推定部と、
前記生体を撮像して映像を得る撮像部
と、を備え、
前記変更部は、
前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる各パルスに対して前記撹乱が有るか否かを判定し、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる、前記撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に前記測定期間を終了させ、判定の対象となるパルスが検出された期間中に前記生体の発話による動きが前記映像中に検出された場合に、前記判定の対象となるパルスに対して前記撹乱が有ると判定する
、生体情報推定装置。
【請求項3】
生体から脈波を検出する検出部と、
前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する変更部と、
前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する推定部と、を備え、
前記変更部は、
前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる各パルスに対して前記撹乱が有るか否かを判定し、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる、前記撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に前記測定期間を終了させ、判定の対象となるパルスのパルス幅と前記判定の対象となるパルスに隣接するパルスのパルス幅との差が設定された差以上である場合に、前記判定の対象となるパルス
のみに対して前記撹乱が有ると判定する
、生体情報推定装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記撹乱が有ると判定した場合に前記長さを長くする
、請求項1
~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項5】
前記撹乱は、前記生体の動きによる撹乱を含む
、請求項1
~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項6】
前記撹乱は、前記生体の動きによる撹乱および/或いは前記生体情報推定装置の動きによる撹乱を含む
、請求項1
~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項7】
前記変更部は、
前記判定の対象となるパルスを前記生体情報を推定することに用いることができない場合に、前記判定の対象となるパルスに対して前記撹乱が有ると判定する
、請求項
1~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項8】
前記変更部は、
前記判定の対象となるパルスに含まれる、設定された範囲外の周波数を有する成分の強度が設定された強度より強い場合に、前記判定の対象となるパルスに対して前記撹乱が有ると判定する
、請求項
1~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項9】
前記生体情報は、血圧を含む
、請求項1
~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項10】
前記生体情報は、脈拍数を含む
、請求項1
~3のいずれか1項に記載の生体情報推定装置。
【請求項11】
生体から脈波を検出する工程と、
前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する工程と、
前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する工程と、
前記生体を撮像して映像を得る工程と、を備え
、
前記測定期間の長さを変更する工程では、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる各パルスに対して前記撹乱が有るか否かを判定し、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる、前記撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に前記測定期間を終了させ、判定の対象となるパルスが検出された期間中に条件を満たす輝度の時間変化が前記映像中に検出された場合に、前記判定の対象となるパルスに対して前記撹乱が有ると判定する、生体情報推定方法。
【請求項12】
生体から脈波を検出する工程と、
前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する工程と、
前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する工程と、
前記生体を撮像して映像を得る工程と、を備え、
前記測定期間の長さを変更する工程では、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる各パルスに対して前記撹乱が有るか否かを判定し、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる、前記撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に前記測定期間を終了させ、判定の対象となるパルスが検出された期間中に前記生体の発話による動きが前記映像中に検出された場合に、前記判定の対象となるパルスに対して前記撹乱が有ると判定する、生体情報推定方法。
【請求項13】
生体から脈波を検出する工程と、
前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する工程と、
前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する工程と、を備え、
前記測定期間の長さを変更する工程では、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる各パルスに対して前記撹乱が有るか否かを判定し、前記測定期間が開始された後に検出された脈波に含まれる、前記撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に前記測定期間を終了させ、判定の対象となるパルスのパルス幅と前記判定の対象となるパルスに隣接するパルスのパルス幅との差が設定された差以上である場合に、前記判定の対象となるパルスのみに対して前記撹乱が有ると判定する、生体情報推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報推定装置及び生体情報推定方法に関する。本願は、2022年5月30日に、日本に出願された特願2022-087426号に基づく優先権を主張するものであり、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
カフ式の電子血圧計においては、カフ内の圧力が変化させられる。また、カフ自体がセンサとなってカフにより脈波が検出される。また、検出された脈波から血圧が推定される。
【0003】
特許文献1は、生体情報処理装置を開示する。当該生体情報処理装置においては、脈波成分及び体動ノイズ成分を含む生体信号が検出される。また、脈波成分及び体動ノイズ成分が分離される。また、分離された脈波成分が脈波信号として決定される(要約)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カフ式の電子血圧計においては、血圧が推定される生体が動いた場合又は当該生体が声を発した場合に、血圧の推定の精度が低下する。
【0006】
特許文献1に開示される生体情報処理装置においては、カフ内の圧力を変化させるための時間が必要なため、生体信号を検出する時間が必要以上に長くなり、無駄な待ち時間が発生する場合がある。
【0007】
本開示は、これらの問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、生体情報の推定の精度を高くすることができ、生体情報を推定するのに要する時間を短くすることができる生体情報推定装置及び生体情報推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の生体情報推定装置は、生体から脈波を検出する検出部と、前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する変更部と、前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する推定部と、を備える。
【0009】
本開示の他の一態様の生体情報推定方法は、a)生体から脈波を検出する工程と、b)前記脈波に対して撹乱が有るか否かを判定し、前記撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する工程と、c)前記測定期間内に検出された脈波から生体情報を推定する工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の生体情報推定装置のブロック図である。
【
図2】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により有無が判定される撹乱の例を示す図である。
【
図3】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる画像処理部のブロック図である。
【
図4】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】脈波に対して撹乱が無い場合において第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部が測定期間を終了させるタイミングの例を説明するグラフである。
【
図6】脈波に対して撹乱が有る場合において第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部が測定期間を終了させるタイミングの例を説明するグラフである。
【
図7】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極大点の選択の第1の例を示すグラフである。
【
図8】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極小点の選択の第1の例を示すグラフである。
【
図9】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極大点の選択の第2の例を示すグラフである。
【
図10】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極小点の選択の第2の例を示すグラフである。
【
図11】第1実施形態の生体情報推定装置に備えらえる変更部により分離されるパルスの波形の例を示すグラフである。
【
図12】第1実施形態の生体情報推定装置に備えらえる変更部により分離されるパルスの波形の1次微分の例を示すグラフである。
【
図13】第1実施形態の生体情報推定装置に備えらえる変更部により分離されるパルスの波形の2次微分の例を示すグラフである。
【
図14】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、脈波そのものに基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、映像に基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、音に基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、加速度又は角速度に基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
1 第1実施形態
1.1 生体情報推定装置
図1は、第1実施形態の生体情報推定装置のブロック図である。
【0013】
図1に図示される生体情報推定装置1は、生体11の生体情報12を推定する。生体情報12が推定される生体11は、ヒトである。生体11が、ヒト以外の動物であってもよい。推定される生体情報12は、生体11の状態を示す。生体情報12は、血圧21及び脈拍数22を含む。生体情報12が、血圧21及び脈拍数22以外の生体情報を含んでもよい。なお、本開示において、脈拍数は心拍数と同じことを意味する。
【0014】
図1に図示されるように、生体情報推定装置1は、検出部31、撮像部32、マイクロフォン33、モーションセンサ34、変更部35、推定部36及び出力部37を備える。
【0015】
検出部31は、生体11から脈波41を検出する。
【0016】
撮像部32は、生体11を撮像して映像42を得る。撮像部32は、RGBカメラ等により構成される。
【0017】
マイクロフォン33は、音43を検出する。
【0018】
モーションセンサ34は、検出部31の加速度44、角速度45又は方位46を検出する。モーションセンサ34は、加速度44を検出する場合は、加速度44を検出する加速度センサを備える。モーションセンサ34は、角速度45を検出する場合は、角速度45を検出するジャイロセンサを備える。モーションセンサ34は、方位46を検出する場合は、方位46を検出する方位センサを備える。
【0019】
変更部35は、脈波41に対して撹乱が有るか否かを判定し、撹乱が有るか否かの判定の結果に基づいて測定期間の長さを変更する。これにより、測定期間の長さを撹乱の有無に適した長さにすることができる。有無が判定される撹乱は、脈波41の周期性又は規則性を低下させる撹乱である。撹乱は、脈波41を発生する系の外部において発生した事象に起因する外乱及び当該系の内部において発生した事象に起因する内乱のいずれであってもよい。変更部35は、脈波41そのものに基づいて脈波41に対して撹乱が有るか否かを判定してもよいし、脈波41以外のものに基づいて脈波41に対して撹乱が有るか否かを判定してもよい。脈波41以外のものは、映像42、音43、加速度44、角速度45、方位46等である。変更部35は、脈波41に対して撹乱が有ると判定した場合に、測定期間の長さを長くする。これにより、脈波41に対して撹乱があり測定期間の長さを長くしなければ生体情報12の推定の精度を高くすることができない場合に、測定期間の長さを長くして生体情報12の測定精度を高くすることができる。また、脈波41に対して撹乱がなく測定期間の長さを短くしても生体情報12の推定の精度を高くすることができる場合に、測定期間の長さを短くして生体情報12を推定するのに要する時間を短くすることができる。例えば、当該時間を10秒以下にすることができる。
【0020】
推定部36は、測定期間内に検出された脈波41から生体情報12を推定する。推定部36は、測定期間に含まれる、脈波41に対して撹乱が有ると判定された有撹乱期間内に検出された脈波41を生体情報12の推定に使用しない。一方、推定部36は、測定期間に含まれる、脈波41に対して撹乱がないと判定された無撹乱期間内に検出された脈波41を生体情報12の推定に使用する。
【0021】
出力部37は、推定された生体情報12を出力する。出力部37は、生体情報12を示す画面を表示するディスプレイ、生体情報12を示す音声を発するスピーカ、生体情報12を示す信号を送信する送信回路等により構成される。
【0022】
1.2 撹乱の例
図2は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により有無が判定される撹乱の例を示す図である。
【0023】
図2に示されるように、変更部35により有無が判定される、脈波41に対する撹乱51は、生体11の動き61による撹乱を含む。これにより、脈波41に対して生体11の動き61による撹乱51が無いと判定された期間内に検出された脈波41を生体情報12の推定に使用することができる。これにより、生体11の動き61により生体情報12の推定の精度が低くなることを抑制することができる。
【0024】
図2に示されるように、生体11の動き61は、発話による口の動き71、瞬目による目の動き72、咀嚼による口の動き73等を含む。
【0025】
変更部35は、口の特徴点81を検出し、検出した口の特徴点81に基づいて発話による口の動き71、咀嚼による口の動き73等を検出する。また、変更部35は、目の特徴点82を検出し、検出した目の特徴点82に基づいて瞬目による目の動き72等を検出する。そのほか、変更部35は、生体11の動き61として、感情の変化に基づく目の動き、口角の動き、眉や頬の動きも同様に検出する(不図示)。
【0026】
1.3 検出部
検出部31は、生体11に含まれる部位から脈波41を検出する。脈波41が検出される部位は、指尖、掌、足の裏、頬、額、鼻又は顎である。当該部位が、指尖、掌、足の裏、頬、額、鼻及び顎以外の部位であってもよい。検出部31は、ひとつの部位から脈波41を検出してもよいし、複数の部位から同時に脈波41を検出してもよい。複数の部位は、左手の指尖及び右手の指尖であってもよいし、顔に含まれる頬、額、鼻等から選択されるふたつ以上の部位であってもよいし、指尖及び顔であってもよい。検出部31は、望ましくは、リアルタイムに脈波41を検出する。
【0027】
脈波41の検出の第1の例においては、検出部31は、接触式センサを備える。
【0028】
接触式センサは、生体11の指尖に接触し、接触した指尖から脈波41を検出する。
【0029】
接触式センサは、発光部及び受光部を備える。
【0030】
発光部は、光を発する。発せられる光は、可視光及び不可視光のいずれであってもよい。可視光は、赤色光、緑色光等である。不可視光は、赤外光等である。発光部は、発光ダイオード(LED)等により構成される。
【0031】
受光部は、検出部31が接触する指尖が発光部により発せられた光を拡散反射することにより生成される光を受け、受けた光の光量に応じた信号を出力する。出力される信号の大きさの時間変化は、検出される脈波41である。当該光量は、当該指尖内の血管を流れる血液量を反映する。このため、検出される脈波41は、当該血液量の時間変化を反映する。受光部は、フォトダイオード等により構成される。
【0032】
検出部31が、検出した脈波41に対して信号処理を行って脈波41からノイズ成分を除去する信号処理部を備えてもよい。行われる信号処理は、長い周期を有する低周波のノイズ成分を除去する処理、短い周期を有する高周波のノイズ成分を除去する処理等である。前者の処理は、ハイパスフィルタ処理、トレンド除去処理等である。後者の処理は、ローパスフィルタ処理等である。行われる処理は、電子回路により行われるアナログ信号処理及びプロセッサにより行われるデジタル信号処理のいずれであってもよい。
【0033】
脈波41の検出の第2の例においては、検出部31は、撮像部及び画像処理部を備える。
【0034】
撮像部は、生体11を撮像して画像を得る。撮像部は、RGBカメラ等により構成される。ひとつのRGBカメラが、検出部31に備えられる撮像部及び撮像部32を兼ねてもよい。
【0035】
画像処理部は、得られた画像に生体11が写っているか否かを判定し、当該画像に生体11が写っていると判定した場合は、生体11が写っている画素の画素値を出力する。出力される画素値の時間変化は、検出される脈波41である。画像処理部は、プログラムを実行する中央処理装置(CPU)等により構成される。画像処理部により行われる処理の全部又は一部が専用の電子回路により行われてもよい。
【0036】
検出部31は、左手の指尖及び右手の指尖から同時に脈波41を検出する場合は、左手の指尖用の接触式センサ及び右手の指尖用の接触式センサを備える。左手の指尖用の接触式センサは、左手の指尖に接触し、接触した左手の指尖から脈波41を検出する。右手の指尖用の接触式センサは、右手の指尖に接触し、接触した右手の指尖から脈波41を検出する。
【0037】
検出部31が顔に含まれるふたつ以上の部位から脈波41を同時に検出する場合は、撮像部が、生体11の顔を撮像して顔の画像を得る。また、画像処理部が、当該ふたつ以上の部位の各々が写っている画素の画素値から脈波41を算出する。
【0038】
検出部31が指尖及び顔から脈波41を同時に検出する場合は、接触式センサが、生体11の指尖に接触し、接触した指尖から脈波41を検出する。また、撮像部が、生体11の顔を撮像して顔の画像を得る。また、画像処理部が、当該顔が写っている画素の画素値から脈波41を算出する。
【0039】
1.4 画像処理部の例
図3は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる画像処理部のブロック図である。
【0040】
図3に図示されるように、検出部31に備えられる画像処理部91は、変換部101及びフィルタ部102を備える。
【0041】
変換部101は、検出部31に備えられる撮像部により得られた画像内の関心領域(ROI)内の輝度情報111を処理前脈波112に変換する。ROIは、生体11の頬が写っている領域等である。輝度情報111は、ROI内の赤色、緑色及び青色の輝度値の時間変化である。処理前脈波112は、生体11の状態を示す値の時間変化である。変換部101は、変換式にしたがって、赤色、緑色及び青色の輝度値を当該値に変換する。
【0042】
フィルタ部102は、処理前脈波112にバンドパスフィルタ処理を行って処理後脈波113を出力する。バンドパスフィルタ処理は、処理前脈波112から、フリッカ成分等の高い周波数を有する成分を除去する処理及び呼吸を含む緩やかな体動に起因する体動成分等の低い周波数を有する成分を除去する処理を含む。
【0043】
1.5 変更部
変更部35は、測定期間が開始された後に検出された脈波41に含まれる各パルスに対して撹乱が有るか否かを判定し、測定期間が開始された後に検出された脈波41に含まれる、撹乱が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に測定期間を終了させる。変更部35は、プログラムを実行するCPU等により構成される。変更部35により行われる処理の全部又は一部が専用の電子回路により行われてもよい。
【0044】
検出される脈波41は、生体11から検出された検出量の時間変化を示す。脈波41の時間変化は、生体11の心臓の周期的な拍動に伴う周期的な時間変化を含む。脈波41に含まれるパルスは、脈波41から抽出される、生体11の心臓の1回の拍動に要する時間を有する期間における当該検出量の時間変化を示す。当該パルスの両端は、当該検出量が極小となる極小点及び当該検出量が極大となる極大点のいずれであってもよい。このため、当該パルスの両端は、脈波41の波形の谷及び山のいずれであってもよい。
【0045】
推定部36は、測定期間内に検出された脈波41に含まれる、撹乱51が無いと判定されたパルスの数がひとつであっても、ひとつのパルスから生体情報12を推定することができる。このため、設定される数は、1であってもよい。しかし、当該パルスの数が大きくなるほど、推定部36による生体情報12の推定の精度を高くすることができる。このため、設定される数は、望ましくは、2以上であり、さらに望ましくは、5以上である。
【0046】
1.6 変更部により行われる処理
図4は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
変更部35は、
図4に示されるステップS101からS106までを実行する。
【0048】
ステップS101においては、変更部35が、脈波41に含まれる複数のパルスを分離する。
【0049】
続くステップS102においては、変更部35が、分離された複数のパルスから、これまでに選択されていないひとつのパルスを選択する。
【0050】
続くステップS103においては、変更部35が、選択したパルスに対して撹乱51が有るか否かを判定する。撹乱51が有ると判定された場合は、再びステップS102が実行される。撹乱51が無いと判定された場合は、ステップS104が実行される。
【0051】
ステップS104においては、変更部35が、カウントしているパルスの数をインクリメントする。
【0052】
ステップS101からS104までにより、変更部35は、選択したパルスに対して撹乱51が有ると判定した場合に、カウントしているパルスの数を維持し、選択したパルスに対して撹乱51が無いと判定した場合に、カウントしているパルスの数をインクリメントする。このため、変更部35によりカウントされるパルスの数は、撹乱51が無いと判定されたパルスの数となる。
【0053】
続くステップS105においては、変更部35が、カウントしているパルスの数が設定された数となったか否かを判定する。当該パルスの数が設定された数となったと判定された場合は、ステップS106が実行される。当該パルスの数が設定された数となっていないと判定された場合は、再びステップS102が実行される。
【0054】
ステップS106においては、変更部35は、測定期間を終了させる。
【0055】
ステップS101からS106までにより、変更部35は、脈波41に含まれる各パルスに対して撹乱51が有るか否かを判定し、脈波41に含まれる、撹乱51が無いと判定されたパルスの数が設定された数となった場合に、測定期間を終了させる。
【0056】
1.7 撹乱が有るか否かの判定の結果による測定期間の長さの変化
図5は、脈波に対して撹乱が無い場合において第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部が測定期間を終了させるタイミングの例を説明するグラフである。
図6は、脈波に対して撹乱が有る場合において第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部が測定期間を終了させるタイミングの例を説明するグラフである。
【0057】
図5及び
図6においては、時刻が横軸にとられている。また、生体11から検出された検出量が縦軸にとられている。
【0058】
図5及び
図6に示される例においては、変更部35は、時刻0に測定期間が開始された後に検出された脈波41に含まれる各パルス121に対して撹乱51が有るか否かを判定し、当該脈波41に含まれる、撹乱51が無いと判定されたパルス122の数が5となった場合に測定期間を終了させる。このため、変更部35は、
図5に示されるように、脈波41に対して撹乱51が無い場合は、相対的に早い時刻taに測定期間を終了させる。一方、変更部35は、
図6に示されるように、脈波41に対して撹乱51が有る場合は、相対的に遅い時刻tpに測定期間を終了させる。推定部36は、
図5に示されるように、脈波41に対して撹乱51が無い場合は、撹乱51がないと判定された5個のパルス122を生体情報12の推定に使用する。一方、推定部36は、
図6に示されるように、脈波41に対して撹乱51が有る場合は、撹乱51が有ると判定された1個以上のパルス123を除外してパルス123を生体情報12の推定に使用せず、撹乱51が無いと判定された5個のパルス122を生体情報12の推定に使用する。
【0059】
変更部35は、脈波41に対して信号処理を行うことにより、脈波41に含まれる複数のパルス121を分離する。行われる信号処理は、ピーク検出等である。
【0060】
1.8 ピーク検出による複数のパルスの分離
変更部35は、脈波41に対してピーク検出を行うことにより複数のパルス121を分離する場合は、脈波41から極大点を抽出し、脈波41の、隣接する極大点の間にある部分をひとつのパルス121とする。又は、変更部35は、脈波41から極小点を抽出し、脈波41の、隣接する極小点の間にある部分をひとつのパルス121とする。
【0061】
図7は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極大点の選択の第1の例を示すグラフである。
図8は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極小点の選択の第1の例を示すグラフである。
【0062】
図7及び
図8においては、時刻が横軸にとられている。また、生体11から検出された検出量が縦軸にとられている。
【0063】
第1の例においては、
図7に示されるように、変更部35が、隣接する極大点131の時間間隔T1が設定された範囲内となるように、測定期間が開始された後に検出された脈波41から高さが高い順に複数の極大点131を選択し、当該脈波41の、隣接する極大点131の間にある部分をひとつのパルス121とする。範囲は、一般的な脈拍数に基づいて設定される。一般的な脈拍数は、50~90回/分である。これにより、隣接するふたつのパルス121の区切りとして適した大局的な極大点131を選択することができる。また、当該区切りとして適さない局所的な極大点132を選択することを抑制することができる。又は、
図8に示されるように、変更部35が、隣接する極小点141の時間間隔T2が設定された範囲内となるように、測定期間が開始された後に検出された脈波41から深さが深い順に複数の極小点141を選択し、当該脈波41の、隣接する極小点141の間にある部分をひとつのパルス121とする。範囲は、一般的な脈拍数に基づいて設定される。一般的な脈拍数は、50~90回/分である。これにより、隣接するふたつのパルス121の区切りとして適した大局的な極小点141を選択することができる。また、当該区切りとして適さない局所的な極小点142を選択することを抑制することができる。
【0064】
図9は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極大点の選択の第2の例を示すグラフである。
図10は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる極小点の選択の第2の例を示すグラフである。
【0065】
図9及び
図10においては、時刻が横軸にとられている。また、生体11から検出された検出量が縦軸にとられている。
【0066】
第2の例においては、
図9に図示されるように、変更部35が、測定期間が開始された後に検出された脈波41から設定された高さ151以上の高さを有する複数の極大点152を選択し、当該脈波41の、隣接する極大点152の間にある部分をひとつのパルス121とする。高さ151は、脈波41の振幅に基づいて設定される。これにより、隣接するふたつのパルス121の区切りとして適した大局的な極大点152を選択することができる。また、当該区切りとして適さない局所的な極大点153を選択することを抑制することができる。又は、
図10に図示されるように、変更部35が、測定期間が開始された後に検出された脈波41から設定された深さ161以上の深さを有する複数の極小点162を選択し、当該脈波41の、隣接する極小点162の間にある部分をひとつのパルス121とする。深さ161は、脈波41の振幅に基づいて設定される。これにより、隣接するふたつのパルス121の区切りとして適した大局的な極小点162を選択することができる。また、当該区切りとして適さない局所的な極小点163を選択することを抑制することができる。
【0067】
そのほか、波形を強調するためのSSF(Slope Sum Function)フィルタを用いて、極大点又は極小点を選択する方法もある。
【0068】
1.9 推定部
推定部36は、測定期間内の、撹乱51がないと判定された無撹乱期間に検出された脈波41の波形及び/又は周波数依存性から血圧21を推定する。検出部31がふたつ以上の部位から脈波41を同時に検出する場合は、推定部36が、ふたつ以上の部位から同時に検出された脈波41の相関関係から血圧21を推定してもよい。これらにより、生体情報推定装置1は、カフを用いることなく、生体情報12を推定することができる。
【0069】
図11は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えらえる変更部により分離されるパルスの波形の例を示すグラフである。
図12は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えらえる変更部により分離されるパルスの波形の1次微分の例を示すグラフである。
図13は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えらえる変更部により分離されるパルスの波形の2次微分の例を示すグラフである。
【0070】
図11、
図12及び
図13においては、時間が横軸にとられている。また、生体11から検出された検出量が縦軸にとられている。
【0071】
推定部36が、測定期間内の無撹乱期間に検出された脈波41に含まれる、撹乱51が無いと判定されたパルス121から血圧21を測定してもよい。この場合は、推定部36は、
図11に示されるパルス121の波形、
図12に示される1次微分、
図13に示される2次微分等から特徴量を算出し、算出した特徴量から血圧21を推定する。算出される特徴量は、平均値、最大値、最小値、極大値、極小値、パルス121の長さ、パルス121の始点又は終点における検出量の値、これらの値と閾値との関係、極大値の数、極小値の数等である。
【0072】
また、推定部36は、測定期間内の無撹乱期間に検出された脈波41に含まれる、撹乱51が無いと判定されたパルス122の数から脈拍数22を推定する。例えば、推定部36は、当該パルス122の数を無撹乱期間の長さで除することにより脈拍数22を推定する。
【0073】
推定部36は、プログラムを実行するCPU等である。変更部35により行われる処理の全部又は一部が専用の電子回路により行われてもよい。
【0074】
1.10 脈波そのものに基づく撹乱の有無の判定
図14は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、脈波そのものに基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
変更部35は、脈波41そのものに基づいて判定の対象となるパルス121に対して撹乱51があるか否かを判定する場合は、
図14に示されるステップS111からS115までを実行する。
【0076】
ステップS111においては、変更部35は、パルス121を生体情報12を推定することに用いることができるか否かを判定する。例えば、推定部36が、各パルス121から特徴量を算出し、算出した特徴量から血圧21を推定する場合は、変更部35は、血圧21を推定するために必要な特徴量をパルス121から算出することができない場合に、パルス121を生体情報12を推定することに用いることができないと判定する。例えば、変更部35は、
図12に示される1次微分から抽出することができる極大値の数が基準より少ない場合、
図12に示される1次微分から抽出することができる極小値の数が基準より少ない場合、
図13に示される2次微分から抽出することができる極大値の数が基準より少ない場合、
図13に示される2次微分から抽出することができる極小値の数が一定の範囲内である場合等に、パルス121を生体情報12を推定することに用いることができないと判定する。パルス121を生体情報12を推定することに用いることができると判定された場合は、ステップS112が実行される。パルス121を生体情報12を推定することに用いることができないと判定された場合は、ステップS115が実行される。
【0077】
ステップS112においては、変更部35は、パルス121に含まれる、設定された範囲外の周波数を有する成分の強度が設定された強度より強いか否かを判定する。変更部35は、当該パルス121に対して周波数解析を行って当該成分の強度が設定された強度より強いか否かを判定する。当該強度が設定された強度より強いと判定された場合は、ステップS115が実行される。当該強度が設定された強度より強くないと判定された場合は、ステップS113が実行される。
【0078】
ステップS113においては、変更部35は、パルス121のパルス幅と当該パルス121に隣接するパルス121のパルス幅との差が設定された差(閾値)以上であるか否かを判定する。例えば、変更部35は、前者のパルス幅が後者のパルス幅の0.9倍以下である場合又は前者のパルス幅が後者のパルス幅の1.1倍以上である場合に、前者のパルス幅と後者のパルス幅との差が設定された差以上であると判定する。当該差が設定された差以上であると判定された場合は、ステップS115が実行される。当該差が設定された差以上でないと判定された場合は、ステップS114が実行される。なお、推定される脈拍数の多少に応じて、パルス121のパルス幅と当該パルス121に隣接するパルス121のパルス幅との差と比較される上記の閾値が調整されてもよい。これは脈拍数の多少によって脈拍間隔が揺らぐ幅も増減することに由来する。
【0079】
ステップS114においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が無いと判定する。
【0080】
ステップS115においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0081】
ステップS111からS115までにより、変更部35は、判定の対象となるパルス121を生体情報12を推定することに用いることができない場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0082】
また、変更部35は、判定の対象となるパルス121に含まれる、設定された範囲外の周波数を有する成分の強度が設定された強度より強い場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0083】
また、変更部35は、判定の対象となるパルス121のパルス幅と判定の対象となるパルス121に隣接するパルス121のパルス幅との差が設定された差以上である場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。これにより、変更部35は、生体11の心臓の不整脈により脈波41の規則性又は周期性が低下した場合すなわち心拍のリズムが乱れた場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。また、変更部35は、パルス121の誤検出等により脈波41の規則性又は周期性が低下した場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0084】
1.11 映像に基づく撹乱の有無の判定
図15は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、映像に基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
変更部35は、映像42に基づいて判定の対象となるパルス121に対して撹乱51があるか否かを判定する場合は、
図15に示されるステップS121からS124までを実行する。
【0086】
ステップS121においては、変更部35は、パルス121が検出された期間中に条件を満たす輝度の時間変化が映像42中に検出されたか否かを判定する。満たされるべき条件は、映像42の全体の輝度の時間当たりの変化が閾値以上であるという条件等である。当該時間変化が映像42中に検出されたと判定された場合は、ステップS123が実行される。当該時間変化が映像42中に検出されていないと判定された場合は、ステップS122が実行される。
【0087】
ステップS122においては、変更部35は、パルス121が検出された期間中に発話による口の動き71、瞬目による目の動き72又は咀嚼による口の動き73が映像42中に検出されたか否かを判定する。発話による口の動き71、瞬目による目の動き72又は咀嚼による口の動き73が映像42中に検出されたと判定された場合は、ステップS123が実行される。発話による口の動き71、瞬目による目の動き72及び咀嚼による口の動き73のいずれも映像42中に検出されていないと判定された場合は、ステップS124が実行される。
【0088】
ステップS123においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0089】
ステップS124においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が無いと判定する。
【0090】
ステップS121からS124までにより、変更部35は、判定の対象となるパルス121が検出された期間中に条件を満たす輝度の時間変化が映像42中に検出された場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
また、変更部35は、判定の対象となるパルス121が検出された期間中に発話による口の動き71、瞬目による目の動き72又は咀嚼による口の動き73が映像42中に検出された場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
換言すると、パルス121が検出された期間中に条件を満たす輝度の時間変化が映像42中に検出されたか否かを判定するステップS121では、被写体側である生体側の想定以上の動きに由来する攪乱、および/あるいは、撮影する側である撮像部32の動きに由来する攪乱を検出することができる。
【0091】
1.12 音に基づく撹乱の有無の判定
図16は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、音に基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0092】
変更部35は、音43に基づいて判定の対象となるパルス121に対して撹乱が有るか否かを判定する場合は、
図16に示されるステップS131からS134までを実行する。
【0093】
ステップS131においては、変更部35は、パルス121が検出された期間中に設定された音量以上の音量を有する音43がマイクロフォン33により検出されたか否かを判定する。当該音43が検出されたと判定された場合は、ステップS133が実行される。当該音43が検出されていないと判定された場合は、ステップS132が実行される。
【0094】
ステップS132においては、変更部35は、パルス121が検出された期間中に生体11の発話による音43がマイクロフォン33により検出されたか否かを判定する。変更部35は、音声認識機能により当該音43を検出する。当該音43が検出されたと判定された場合は、ステップS133が実行される。当該音43が検出されていないと判定された場合は、ステップS134が実行される。
【0095】
ステップS133においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0096】
ステップS134においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が無いと判定する。
【0097】
ステップS131からS134までにより、変更部35は、判定の対象となるパルス121が検出された期間中に設定された音量以上の音量を有する音43がマイクロフォン33により検出された場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
また、変更部35は、判定の対象となるパルス121が検出された期間中に生体11の発話による音がマイクロフォン33により検出された場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0098】
1.13 加速度又は角速度に基づく撹乱の有無の判定
図17は、第1実施形態の生体情報推定装置に備えられる変更部により行われる、加速度又は角速度に基づく撹乱の有無の判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0099】
変更部35は、加速度44又は角速度45に基づいて判定の対象となるパルス121に対して撹乱51があるか否かを判定する場合は、
図17に示されるステップS141からS143までを実行する。
【0100】
ステップS141においては、変更部35は、パルス121が検出された期間中に条件を満たす加速度44又は角速度45がモーションセンサ34により検出されたか否かを判定する。満たされるべき条件は、加速度44又は角速度45が設定された大きさ以上の大きさを有するという条件等である。条件を満たす加速度44又は角速度45が検出されたと判定された場合は、ステップS142が実行される。条件を満たす加速度44又は角速度45が検出されていないと判定された場合は、ステップS143が実行される。
【0101】
ステップS142においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0102】
ステップS143においては、変更部35が、パルス121に対して撹乱51が無いと判定する。
【0103】
ステップS141からS143までにより、変更部35は、判定の対象となるパルス121が検出された期間中に条件を満たす加速度44又は角速度45がモーションセンサ34により検出された場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。これにより、変更部35は、検出部31が大きく動いた場合に、判定の対象となるパルス121に対して撹乱51が有ると判定する。
【0104】
なお、モーションセンサ34により方位46が検出された場合においても同様である(不図示)。
モーションセンサ34は、検出部31に付属することにより、検出側の動きによる攪乱の有無を検出することができるが、それに限らず、指輪、ネックレス、帽子、メガネなどの装備品や装飾品に備えられることにより被写体側である生体に装備されてもよい。モーションセンサ34が生体に装備される場合は、所定の閾値以上の動きを検出したときに、有線あるいは無線により検出部に通知することにより、検出部31は「攪乱があった」と判定してもよい(不図示)。
【0105】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 生体情報推定装置、11 生体、12 生体情報、21 血圧、22 脈拍数、31 検出部、32 撮像部、33 マイクロフォン、34 モーションセンサ、35 変更部、36 推定部、37 出力部、41 脈波、42 映像、43 音、44 加速度、45 角速度、46 方位、51 撹乱、61 動き、71 発話による口の動き、72 瞬目による目の動き、73 咀嚼による口の動き、81 口の特徴点、82 目の特徴点、91 画像処理部、101 変換部、102 フィルタ部、111 輝度情報、112 処理前脈波、113 処理後脈波、121 パルス、122 パルス、123 パルス、131 極大点、132 極大点、141 極小点、142 極小点、151 高さ、152 極大点、153 極大点、161 深さ、162 極小点、163 極小点。