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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240306BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20240306BHJP
   C09J 167/03 20060101ALI20240306BHJP
   C09J 167/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65D65/40 D
C09J175/06
C09J167/03
C09J167/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023133676
(22)【出願日】2023-08-18
【審査請求日】2023-09-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】396009595
【氏名又は名称】東洋モートン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕清
(72)【発明者】
【氏名】大島 良太
(72)【発明者】
【氏名】増子 達也
(72)【発明者】
【氏名】有田 傑
(72)【発明者】
【氏名】工藤 茂樹
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-066031(JP,A)
【文献】特開2016-121351(JP,A)
【文献】特開2006-213801(JP,A)
【文献】特開2018-197310(JP,A)
【文献】特開2022-008540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00- 65/46
B65D 81/24
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱殺菌食品用の包装材であって、
少なくとも、透明蒸着フィルム層、接着剤層、及びプラスチックフィルム層をこの順に備え、
前記接着剤層が、無溶剤型接着剤の硬化物であり、
前記無溶剤型接着剤が、ポリエステルポリオールを含むポリオール主剤(A)と、脂肪族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを配合後、40℃12時間経過した時の40℃における粘度が80Pa・s以下であり、
前記ポリオール主剤(A)が、第一のポリエステルポリオール(a1)を含み、
前記第一のポリエステルポリオール(a1)が、芳香環を有する多塩基酸及び/又は芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位を有し、当該構成単位を合計でカルボキシ基成分全量を基準として20モル%以上含む
包装材。
【請求項2】
前記第一のポリエステルポリオール(a1)が、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として0~30モル%含む
請求項に記載の包装材。
【請求項3】
前記ポリオール主剤(A)が、さらに第二のポリエステルポリオール(a2)を含み、
前記第二のポリエステルポリオール(a2)が、芳香環を有する多塩基酸及び/又は芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位を有し、当該構成単位を合計でカルボキシ基成分全量を基準として10モル%以下含む
請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
前記第二のポリエステルポリオール(a2)が、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として0~20モル%含む
請求項に記載の包装材。
【請求項5】
前記無溶剤型接着剤が、無機フィラーを含む、請求項1に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は包装材に関し、特に加熱殺菌食品用の包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、食品を収容するにあたり、加熱殺菌を行うことができる包装材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-066031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、法規制の強化、環境保全、安全性の配慮、揮発性有機化合物の大気放出規制等から、溶剤を削減した、好ましくは含まない接着剤の要望が高まっている。特許文献1に開示される包装材を構成する接着剤は、有機溶剤を含まない無溶剤型接着剤が使用されている。
【0005】
一方で、ポリオールとポリイソシアネートとを組み合わせた無溶剤型反応性接着剤は、溶剤を含まないことから、塗工時の粘度が高粘度化しやすく、塗布面の平滑性が低下し、積層時に細かい気泡が発生し、外観不良が生じるといった課題がある。また、ポリオールとポリイソシアネートとを組み合わせたウレタン系接着剤は、エージング中にポリイソシアネートと水とが反応して炭酸ガス(気泡)が発生し、外観不良が生じるといった課題がある。また、食品の包装材であるため、加熱殺菌処理に耐えうるだけのレトルト耐性を有する必要がある。
【0006】
本開示は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、高い外観性と高いレトルト性能を兼ね備える包装材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る包装材は、加熱殺菌食品用の包装材であって、少なくとも、透明蒸着フィルム層、接着剤層、及びプラスチックフィルム層をこの順に備え、前記接着剤層が、無溶剤型接着剤の硬化物であり、前記無溶剤型接着剤が、ポリエステルポリオールを含むポリオール主剤(A)と、脂肪族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを配合後、40℃12時間経過した時の40℃における粘度が80Pa・s以下である。
【0008】
また、本開示に係る包装材は、前記ポリオール主剤(A)が、第一のポリエステルポリオール(a1)を含み、前記第一のポリエステルポリオール(a1)が、芳香環を有する多塩基酸及び/又は芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位を有し、当該構成単位を合計でカルボキシ基成分全量を基準として20モル%以上含んでもよい。
【0009】
また、本開示に係る包装材は、前記第一のポリエステルポリオール(a1)が、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として0~30モル%含んでもよい。
【0010】
また、本開示に係る包装材は、前記ポリオール主剤(A)が、さらに第二のポリエステルポリオール(a2)を含み、前記第二のポリエステルポリオール(a2)が、芳香環を有する多塩基酸及び/又は芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位を有し、当該構成単位を合計でカルボキシ基成分全量を基準として10モル%以下含んでもよい。
【0011】
また、本開示に係る包装材は、前記第二のポリエステルポリオール(a2)が、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として0~20モル%含んでもよい。
【0012】
また、本開示に係る包装材は、前記無溶剤型接着剤が、無機フィラーを含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示により、高い外観性と高いレトルト性能を兼ね備える包装材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示に係る包装材は、加熱殺菌食品用の包装材であって、少なくとも、透明蒸着フィルム層、接着剤層、及びプラスチックフィルム層をこの順に備え、前記接着剤層が、無溶剤型接着剤の硬化物であり、前記無溶剤型接着剤が、ポリエステルポリオールを含むポリオール主剤(A)と、脂肪族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを配合後、40℃12時間経過した時の40℃における粘度が80Pa・s以下である。配合後、40℃12時間経過した時の40℃における粘度が80Pa・s以下であると、エージング中に接着剤から気泡が逃げる時間を確保できるため、硬化完了後に残存する気泡量を抑制することができる。ポリエステルポリオールと脂肪族ポリイソシアネートとを含み、且つ、上記粘度を満たすことで、高い外観性と高いレトルト性能とを両立することができる。粘度は、JIS K7117-2に基づきコーンプレート粘度計で測定することができ、好ましくは75Pa・s以下である。
【0015】
<接着剤層>
本開示に係る接着剤層は、無溶剤型接着剤の硬化物である。無溶剤型接着剤は、ポリエステルポリオールを含むポリオール主剤(A)と、脂肪族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート硬化剤(B)を含む。また、無溶剤型接着剤は、ポリエステルポリオールを含むポリオール主剤(A)と、脂肪族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート硬化剤(B)とを混合したものを塗布してもよく、別々に塗布して硬化させてもよい。
【0016】
(ポリオール主剤(A))
ポリオール主剤(A)に含まれるポリエステルポリオールは、水酸基とエステル結合とを有する化合物であって、エステル結合を繰り返し単位として有するものである。このようなポリエステルポリオールとしては、例えば、カルボキシ基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が挙げられる。
上記カルボキシ基成分としては多塩基酸が挙げられ、単官能カルボン酸を併用してもよい。このようなカルボキシ基成分としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸等の芳香環を有する単官能カルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタル酸、無水ナフタル酸等の芳香環を有する多塩基酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカンカルボン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の脂肪族多塩基酸;それらのアルキルエステル;又はそれらの混合物が挙げられる。
上記水酸基成分としては多価アルコールが挙げられ、単官能アルコールを併用してもよい。このような水酸基成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール等のアルキレンオキサイド鎖を有する多価アルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール等のアルキレンオキサイド鎖を有しない多価アルコール;又はそれらの混合物が挙げられる。
また、上記水酸基成分として、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール又はそれらの混合物を用いてもよい。
【0017】
これらのポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール中の水酸基の一部を酸変性した酸変性物であってもよく、酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したであってもよい。また、ポリエステルポリオールは、ジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。
上記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテートが挙げられる。
上記ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0018】
ポリオール主剤(A)は、1種類のポリエステルポリオール、又は、複数種のポリエステルポリオールを含んでもよい。複数種のポリエステルポリオールとしては、例えば、少なくとも一つのポリエステルポリオールが、芳香環を有する多塩基酸を含むカルボキシ基成分と、水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールであることが、レトルト耐性の観点から好ましい。
また、複数種のポリエステルポリオールとして、例えば、ポリエステルポリオールを構成する全カルボキシ基成分と全水酸基成分との合計量を基準として、芳香環を有する多塩基酸成分及び芳香環を有する単官能カルボン酸の割合が15質量%以上であるポリエステルポリオール、並びに、芳香環を有する多塩基酸成分及び芳香環を有する単官能カルボン酸の割合が10質量%以下であるポリエステルポリオールが挙げられる。このようなポリエステルポリオールを組み合わせて用いることで、レトルト耐性が向上し、さらに、低粘度で塗工性に優れ、外観性が向上する。
【0019】
ポリオール主剤(A)は、第一のポリエステルポリオール(a1)を含んでもよい。第一のポリエステルポリオール(a1)は、芳香環を有する多塩基酸及び/又は芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位を有し、当該構成単位を合計でカルボキシ基成分全量を基準として20モル%以上含み、より好ましくは25モル%以上含む。第一のポリエステルポリオール(a1)を含むポリエステルポリオールを使用することにより、接着剤のレトルト耐性を向上することが可能となる。
カルボキシ基成分全量を基準とする芳香環を有する多塩基酸及び芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位の割合は、接着強度発現の観点から、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。
【0020】
さらに、第一のポリエステルポリオール(a1)は、レトルト耐性の観点から、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として0~30モル%含み、より好ましくは0~25モル%含む。
また、第一のポリエステルポリオール(a1)は、被塗布面への濡れ性の観点から、アルキル基側鎖を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として50モル%以上、85モル%以下含む。アルキル基側鎖を有する多価アルコールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオールが挙げられる。
【0021】
ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量は、塗工性の観点から、好ましくは500以上、3,000以下であり、より好ましくは2,000以下、さらに好ましくは1,500以下である。
ポリエステルポリオール(a1)は、接着強度発現の観点から、酸無水物を反応させて水酸基の一部を酸変性した酸変性物であってもよく、好ましくは、酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものである。一方、40℃12時間経過した時の粘度上昇を抑制する観点から、ポリエステルポリオール(a1)の酸価は、好ましくは2mgKOH/g以上であり、好ましくは15mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下、さらに好ましくは5mgKOH/g以下である。
ポリエステルポリオール(a1)の水酸基価は、接着剤の硬化性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以上、より好ましくは50mgKOH/g以上であり、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。
【0022】
ポリオール主剤(A)は、さらに、第二のポリエステルポリオール(a2)を含んでもよい。第ニのポリエステルポリオール(a2)は、芳香環を有する多塩基酸及び/又は芳香環を有する単官能カルボン酸に由来する構成単位を有し、当該構成単位を合計でカルボキシ基成分全量を基準として10モル%以下含み、より好ましくは8モル%以下含む。このような芳香環由来の構成単位が少ない第二のポリエステルポリオール(a2)を含むポリエステルポリオールを使用することにより、ポリエステルポリオール(a2)の粘度を下げることができるだけでなく、配合後の接着剤の粘度の上昇を抑制することができ、外観性が向上する。
【0023】
さらに、第二のポリエステルポリオール(a2)は、レトルト耐性の観点から、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として0~20モル%含み、より好ましくは0~10モル%含む。
また、ポリエステルポリオール(a2)は、被塗布面への濡れ性の観点から、アルキル基側鎖を有する多価アルコールに由来する構成単位を、水酸基成分全量を基準として80モル%以上、100モル%以下含むことが好ましい。
【0024】
ポリエステルポリオール(a2)の数平均分子量は、接着剤の粘度を下げて塗工性を向上させる観点から、好ましくは1,000以上、3,000以下である。
ポリエステルポリオール(a2)は、40℃12時間経過した時の粘度上昇を抑制する観点から、ポリエステルポリオール(a1)の酸価は、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは3mgKOH/g以下である。
ポリエステルポリオール(a2)の水酸基価は、接着剤の硬化性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以上、より好ましくは40mgKOH/g以上であり、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。
【0025】
ポリオール主剤(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステルポリオール以外のポリオールを含有してもよい。このようなその他ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられ、水酸基の一部を酸変性した酸変性物であってもよく、酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したであってもよく、ジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。
【0026】
(ポリイソシアネート硬化剤(B))
ポリイソシアネート硬化剤(B)に含まれる脂肪族ポリイソシアネートは、イソシアナト基を2つ以上有する化合物であって、イソシアナト基が芳香環に直結していないものをいう。
【0027】
このような脂肪族ポリイソシアネートは、以下に限定されるものではないが、周知の脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、又は、それらのジイソシアネートから誘導された化合物を用いることができる。
本発明で用いることができる脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、m-キシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;上記脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネート、から誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネートが挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートとして、上述する脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート又はそれらの誘導体と、水酸基成分と、の反応生成物であるウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いてもよい。反応に用いる水酸基成分としては、単官能アルコール、多価アルコールが挙げられ、上述する(ポリオール主剤(A))の項に記載の化合物を用いてもよい。また、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等を用いることもできる。
誘導体として好ましくは、ヌレートタイプ、アダクトタイプの誘導体であり、特に好ましくはアダクトタイプである。
脂肪族ポリイソシアネートは、包装材の外観性とレトルト性能の観点から、好ましくは脂環式ジイソシアネートであり、より好ましくは、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートの誘導体である。脂環式ジイソシアネートは、ポリオール主剤との反応性が低く、40℃12時間経過した時の粘度上昇を抑制することができる。
【0028】
ポリイソシアネート硬化剤(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ポリイソシアネート以外のポリイソシアネートを含有してもよい。このようなその他ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート又はそれらの変性体が挙げられる。
【0029】
(その他成分)
本開示に係る無溶剤型接着剤は、各種要求性能を満たすために、ポリオール主剤(A)、ポリイソシアネート硬化剤(B)以外の成分を含有してもよく、このような成分は、ポリオール主剤(A)又はポリイソシアネート硬化剤(B)のいずれに配合してもよく、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを混合する際に配合してもよく、各々1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
本開示に係る無溶剤型接着剤は、無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーとして、例えば、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト、硫酸カリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ゼオライト、活性炭、カオリン、タルク、ロウ石クレー、けい石、マイカ、グラファイト、セリサイト、モンモリロナイト、セリサイト、セピオライト、ベントナイト、パーライト、ゼオライト、ワラストナイト、蛍石、ドロマイト等の粉体が挙げられる。このようなフィラーを無溶剤型接着剤に配合することにより、塗布後の無溶剤型接着剤の凝集力が向上し、外観性が向上する。
【0031】
本開示に係る無溶剤型接着剤は、接着強度や耐酸性を向上させる目的で、シランカップリング剤、又はリンの酸素酸若しくはその誘導体を含んでもよく、ポリオール主剤(A)の質量に対して、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.02~3質量%である。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個以上有するものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類;が挙げられる。
リンの酸素酸の誘導体としては、上記のリンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個以上残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたものが挙げられる。該アルコール類としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール;が挙げられる。
本開示の無溶剤型接着剤は、必要に応じて充填剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与性樹脂、繊維類、可使用時間延長剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防黴剤、増粘剤、可塑剤、顔料等の着色剤、充填剤等の添加剤を含んでもよい。
【0032】
このようにして、本開示に係る無溶剤型接着剤は、低粘度で塗工性に優れるため外観性が良く、また、高いレトルト耐性を併せ持つことが可能となる。
【0033】
本開示に係る無溶剤型接着剤は、後述する透明蒸着フィルム、及び、プラスチックフィルムを貼り合わせた後、硬化させることで、硬化物となる。本開示に係る包装材は、上記硬化物である接着剤層が、透明蒸着フィルム、及び、プラスチックフィルムの間に配置された構成を備えていればよく、さらに別の層を有していてもよい。
本開示に係る包装材の製造方法は制限されず、例えば、無溶剤接着剤を透明蒸着フィルムに塗布した後、塗布面にプラスチックフィルムを積層し、次いで、接着剤を硬化させることで得ることができる。
塗布温度は、作業性、及び、加熱下の無溶剤型接着剤の粘度を考慮し、例えば、40~100℃ 、好ましくは60℃~90℃で行ってもよい。上記温度であると、塗工後に弾性を付与でき、巻きずれを防止できるといった観点から好ましい。無溶剤型接着剤の硬化は、常温又は加温下で行ってよく、例えば20~60℃の温度で行うことができる。
無溶剤型接着剤の塗布量は、フィルムの種類や塗工条件に応じて適宜選択することができ、好ましくは1.0~5.0g/m、より好ましくは1.2~3.5g/mである。
【0034】
<透明蒸着フィルム層>
本開示に係る透明蒸着フィルム層は、金属又は金属酸化物の蒸着物と第一の基材とを備える。金属又は金属酸化物として、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。特に、包装材のレトルト性能の観点から、金属又は金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化珪素が好ましい。金属又は金属酸化物は、例えば真空成膜で形成することができる。真空成膜では、物理気相成長法あるいは化学気相成長法を用いることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、ガスバリア性の向上及び無機酸化物層の保護を目的として、金属酸化物層上に、ガスバリア性被覆層を設けてもよい。特に限定されるものではないが、ガスバリア性被覆層は、水酸基含有高分子化合物を含んでよく、具体的には、水酸基含有高分子化合物及びその加水分解物の少なくともいずれかと、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物であってよい。第一の基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン(NY)6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。
透明蒸着フィルム層の厚みは、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
【0035】
<プラスチックフィルム層>
本開示に係るプラスチックフィルム層は、第二の基材を備える。第二の基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン(NY)6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルムが挙げられる。
プラスチックフィルム層の厚みは、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0036】
これら透明蒸着フィルム層及びプラスチックフィルム層は、単層であっても複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0037】
本開示に係る包装材は、さらにインキ層を備えることができる。インキ層の配置場所は制限されず、透明蒸着フィルム層上、又は、プラスチックフィルム層上に設けられていてもよく、接着剤層に接していてもよい。インキ層の厚みは、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは1~5μmである。
【0038】
このようにして、高い外観性と高いレトルト性能を兼ね備える包装材を提供することができる。
【実施例
【0039】
以下に、実施例により、本開示をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本開示の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ表す。なお、実施例中の「粘度」、「数平均分子量(Mn)」、「水酸基価(OHV)」、「酸価(AV)」の測定方法は、次の通りである。
【0040】
[粘度]:東亜工業株式会社製のコーンプレート粘度計CV-1Sを用いて測定した。測定時の温度は40℃とした。
[数平均分子量]:カラムとしてShodex GPC LF-604(Shodex社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(Shodex社製、GPC-104)で展開溶媒にTHFを用いた時のポリスチレン換算分子量を用いた。
[水酸基価]:JIS K1557-1に準拠して測定した。
[酸価]:JIS K0070に準拠して測定した。
【0041】
<ポリエステルポリオールの合成>
(合成例1)ポリエステルポリオール(a1-1)
イソフタル酸175部、アジピン酸320部、安息香酸49部、エチレングリコール76部、ネオペンチルグリコール380部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.1(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、110℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸(TMA)5.0部を加えて110℃にて酸変性することで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として40モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a1-1)を得た。数平均分子量は750、酸価は3.6mgKOH/g、水酸基価は104mgKOH/gであった。
【0042】
(合成例2)ポリエステルポリオール(a1-2)
イソフタル酸274部、アジピン酸447部、エチレングリコール94.9部、ネオペンチルグリコール478部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.2(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、110℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸7.0部を加えて110℃にて酸変性することで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として35モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a1-2)を得た。数平均分子量は750、酸価は3.8mgKOH/g、水酸基価は104mgKOH/gであった。
【0043】
(合成例3)ポリエステルポリオール(a1-3)
イソフタル酸100部、アジピン酸88部、エチレングリコール24部、ジエチレングリコール125部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、110℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸2.0部を加えて110℃にて酸変性することで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として50モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として75モル%であるポリエステルポリオール(a1-3)を得た。数平均分子量は1,600、酸価は3.5mgKOH/g、水酸基価は67mgKOH/gであった。
【0044】
(合成例4)ポリエステルポリオール(a1-4)
イソフタル酸100部、アジピン酸88部、エチレングリコール72部、ジエチレングリコール42部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、110℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸2.0部を加えて110℃にて酸変性することで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として50モル%、アルキレンオキサイド鎖を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として25モル%であるポリエステルポリオール(a1-4)を得た。数平均分子量は1,600、酸価は3.4mgKOH/g、水酸基価は67mgKOH/gであった。
【0045】
(合成例5)ポリエステルポリオール(a1-5)
イソフタル酸157部、アジピン酸550部、エチレングリコール94.9部、ネオペンチルグリコール478部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.2(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、110℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸7.0部を加えて110℃にて酸変性することで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として20モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a1-5)を得た。数平均分子量は750、酸価は3.8mgKOH/g、水酸基価は104mgKOH/gであった。
【0046】
(合成例6)ポリエステルポリオール(a2-1)
アジピン酸100部、ジエチレングリコール90部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させることで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として0モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として100モル%であるポリエステルポリオール(a2-1)を得た。数平均分子量は2,000、酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は55mgKOH/gであった。
【0047】
(合成例7)ポリエステルポリオール(a2-2)
アジピン酸100部、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPO)77部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させることで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として0モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a2-2)を得た。数平均分子量は2,000、酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は55mgKOH/gであった。
【0048】
(合成例8)ポリエステルポリオール(a2-3)
アジピン酸100部、1,2-プロパンジオール65部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させることで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として0モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a2-3)を得た。数平均分子量は2,000、酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は55mgKOH/gであった。
【0049】
(合成例9)ポリエステルポリオール(a2-4)
アジピン酸92部、イソフタル酸9部、ジエチレングリコール90部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させることで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として8モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として100モル%であるポリエステルポリオール(a2-1)を得た。数平均分子量は2,000、酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は55mgKOH/gであった。
【0050】
(合成例10)ポリエステルポリオール(a2-5)
アジピン酸100部、2-メチル-1,3-プロパンジオール69部、ジエチレングリコール9部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させることで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として0モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として10モル%であるポリエステルポリオール(a2-5)を得た。数平均分子量は2,000、酸価は0.3mgKOH/g、水酸基価は55mgKOH/gであった。
【0051】
(合成例11)ポリエステルポリオール(a3-1)
イソフタル酸100部、アジピン酸498部、エチレングリコール84部、ネオペンチルグリコール423部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、110℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸5.5部を加えて110℃にて酸変性することで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として15モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a3-1)を得た。数平均分子量は750、酸価は3.6mgKOH/g、水酸基価は104mgKOH/gであった。
【0052】
(合成例12)ポリエステルポリオール(a3-2)
イソフタル酸100部、アジピン酸498部、エチレングリコール84部、ネオペンチルグリコール423部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150~240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が2.0(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させることで、芳香環を有する多塩基酸及び単官能カルボン酸に由来する構成単位がカルボキシ基成分全量を基準として15モル%、アルキレンオキサイド基を有する多価アルコールに由来する構成単位が水酸基成分全量を基準として0モル%であるポリエステルポリオール(a3-2)を得た。数平均分子量は750、酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は107mgKOH/gであった。
【0053】
【表1】
【0054】
<ポリオール主剤(A)の調整>
(ポリオール主剤A-1~A-14)
表2に示す配合組成で配合し、ポリオール主剤を調整した。
【0055】
【表2】
【0056】
<ポリイソシアネートの合成>
(合成例13)脂肪族ポリイソシアネート(b-1)
タケネート500(キシレンジイソシアネート)75部、ポリエステルポリオール(a2-2)200部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら110℃で4時間反応を行い、ウレタン結合を有する脂肪族ポリイソシアネート(b-1)を得た。
【0057】
(合成例14)脂肪族ポリイソシアネート(b-2)
HDIビウレット(製品名:バソナートHB-100、BASF社製)219.9部、シクロヘキサノール30.1部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら110℃で4時間反応を行い、ウレタン結合を有する脂肪族ポリイソシアネート(b-2)を得た。
【0058】
<ポリイソシアネート硬化剤(B)の調整>
ポリイソシアネート表3に示す配合組成で配合し、ポリイソシアネート硬化剤を調整した。
【0059】
【表3】
【0060】
表3中の略称を以下に示す。
・HDIビウレット:脂肪族ポリイソシアネート(製品名:バソナートHB-100、BASF社製)
・HDIヌレート:脂肪族ポリイソシアネート(製品名:タケネートD177N、三井化学社製)
・IPDIヌレート:脂肪族ポリイソシアネート(製品名:VESTANAT T1890/100、エボニック社製)
【0061】
<無溶剤型接着剤の調整>
[接着剤1~18]
ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを、表4に示す質量比で混合し、接着剤1~18を調整した。調整した接着剤について、40℃の環境下で12時間経過した時の40℃における粘度を測定し表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
<包装材の作製>
[実施例1~14、比較例1~3]
透明蒸着PET(厚み12μm、GL-ARH(凸版印刷社製))/印刷層/接着剤層/ナイロン(厚み15μm、エンブレムONBC(ユニチカ社製)、以下NYと記載))/接着剤層/未延伸ポリプロピレン(厚み70μm、トレファンZK207(東レ社製)、以下CPPと記載)の包装材を下記の方法で作成した。
まず、透明蒸着PETに、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、上述で得られた無溶剤型接着剤を、上記印刷層上にノンソルラミネーター(SuperSimplex SL、ノードメカニカ社製)を用いて塗工ロール温度70℃、塗工速度200m/分で、塗布量2.0g/mで塗布し、塗布面とNYとを貼り合わせた。
次いで、貼り合わされた透明蒸着PET/NYのNY面に、先程と同じ無溶剤型接着剤をノンソルラミネーターにて塗工ロール温度70℃、塗工速度200m/分で塗布量2.0g/mとなるよう塗布し、塗布面とCPPとを貼り合わせた。
次いで、得られた積層体を40℃の環境下で72時間エージングすることで、包装材を得た。
【0064】
<包装材の評価>
得られた包装材について、外観、レトルト耐性を下記の方法で評価した。評価結果を表5に示す。
【0065】
[外観の評価]
得られた包装材の印刷部及び無地部について、各々顕微鏡(商品名「VHX-6000」:キーエンス社製)を用いて観察倍率50倍にてCPP面から撮像を行った。次いで、得られた画像に二値化処理を行い、観察画像の全体面積に占める気泡部分の面積比率を、定量観察の結果として測定し、以下の基準で分類した。
A:気泡面積率が0.5%未満(極めて良好)
B:気泡面積率が0.5%以上、1.0%未満(良好)
C:気泡面積率が1.0%以上、2.0%未満(やや良好)
D:気泡面積率が2.0%以上、3.0%未満(実用下限)
E:気泡面積率が3.0%以上(使用不可)
【0066】
[レトルト耐性]
得られた包装体について、14cm×18cmの大きさの袋を、CPPが内側になるように190℃、1秒の条件でヒートシールを行い作製した。ヒートシール幅は15mmとした。内容物として、3%酢酸水溶液/ケチャップ/サラダ油を、1/1/1の質量比で混合したものを充填した。この袋を、回転式レトルト試験機を用い、30rpm、135℃、30分の加圧条件下で熱水殺菌を行った後、袋のヒートシール部分を15mm幅に切り取り、25℃、相対湿度50%の環境下で、剥離速度300mm/分の剥離速度で引張り、ヒートシール強度を測定した。
A:ヒートシール強度が50N以上(極めて良好)
B:ヒートシール強度が40N以上、50N未満(良好)
C:ヒートシール強度が30N以上、40N未満(やや良好)
D:ヒートシール強度が20N以上、30N未満(実用下限)
E:ヒートシール強度が20N未満(使用不可)
【0067】
【表5】
【0068】
本実施例に示されるように、本開示に係る包装材は、高い外観性と高いレトルト性能を兼ね備える包装材であることが分かった。
【要約】
【課題】高い外観性と高いレトルト性能を兼ね備える包装材を提供すること。
【解決手段】本開示に係る包装材は、加熱殺菌食品用の包装材であって、少なくとも、透明蒸着フィルム層、接着剤層、及び、プラスチックフィルム層をこの順に備え、接着剤層が、無溶剤型接着剤の硬化物であり、無溶剤型接着剤が、ポリエステルポリオールを含むポリオール主剤(A)と、脂肪族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを配合後、40℃12時間経過した時の40℃における粘度が80Pa・s以下である。
【選択図】なし