(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】適応型照明用のメタレンズ付きLEDアレイ
(51)【国際特許分類】
F21V 5/00 20180101AFI20240306BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240306BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240306BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240306BHJP
【FI】
F21V5/00 320
H01L33/00 L
H01L33/58
F21V5/00 510
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023528228
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 US2021057260
(87)【国際公開番号】W WO2022103599
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-11
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】タンマ,ヴェンカタ アナンス
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,トニー
(72)【発明者】
【氏名】プフェッファー,ニコラ,ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボーマー,マルセル レネ
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0081100(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0137762(US,A1)
【文献】再公表特許第2015/156123(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/00
H01L 33/00
H01L 33/58
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型照明システムであって、
独立して制御可能なLEDのアレイと、
前記LEDから放出された光を部分的にコリメートするよう構成されるプリコリメータと、
前記LEDから前記プリコリメータの反対側に位置するメタレンズであって、前記プリコリメータにより部分的にコリメートされた前記光を更にコリメートするように、前記光の位相と振幅に影響を与えるように配置された少なくとも五酸化ニオブナノアンテナの第1アレイを含む、メタレンズと、
を含み、
前記メタレンズは、前記アレイの異なる
セグメントから放出された光が対応する異なる事前定義された遠くの視野領域に向けられるように、位置付けられ構造的に配置される、適応型照明システム。
【請求項2】
前記アレイがモノリシック構造
として配置され、各LEDは、前記アレイの前記セグメントのうちの対応する1つのセグメントである、請求項1に記載の適応型照明システム。
【請求項3】
各LEDは、前記アレイの平面内で寸法が500ミクロン以下である、請求項2に記載の適応型照明システム。
【請求項4】
各LEDは、前記アレイの平面内で寸法が100ミクロン以下である、請求項3に記載の適応型照明システム。
【請求項5】
前記プリコリメータは、前記LEDによって放射される前記光を部分的にコリメートするように、前記光の位相と振幅に影響を与えるように配置されたナノアンテナのアレイを含む、請求項1に記載の適応型照明システム。
【請求項6】
前記プリコリメータ内の前記ナノアンテナは、五酸化ニオブ、窒化ガリウム、窒化ケイ素、二酸化チタン、又は酸化ハフニウムから形成される、請求項5に記載の適応型照明システム。
【請求項7】
前記プリコリメータ内の前記ナノアンテナは、五酸化ニオブから形成される、請求項6に記載の適応型照明システム。
【請求項8】
前記メタレンズが基板を含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第1アレイが前記基板の第1面に配置されている、請求項1に記載の適応型照明システム。
【請求項9】
前記プリコリメータにより部分的にコリメートされた前記光を
更にコリメートするように前記光の位相と振幅に影響を与えるように配置された五酸化ニオブナノアンテナの第2アレイを含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第2アレイが前記基板の前記第1面と反対側の前記基板の第2面に配置されている、請求項8に記載の適応型照明システム。
【請求項10】
前記五酸化ニオブナノアンテナは、円筒形を有し、前記メタレンズの平面に対して垂直に配置されている長軸を有する、請求項1に記載の適応型照明システム。
【請求項11】
前記アレイはモノリシック構造
として配置され、各LEDは前記アレイの前記セグメントのうちの対応する1つであり、前記メタレンズは基板を含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第1アレイは前記基板の第1面に配置され、前記プリコリメータにより部分的にコリメートされた前記光を
更にコリメートするように前記光の位相と振幅に影響を与えるように配置された五酸化ニオブナノアンテナの第2アレイを含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第2アレイが前記基板の前記第1面と反対側の前記基板の第2面に配置されている、請求項1に記載の適応型照明システム。
【請求項12】
適応型照明システムであって、
独立して制御可能なLEDのアレイと、
LEDの前記アレイから間隔を空けて配置されたメタレンズと、
を含み、
前記メタレンズは、
基板と、
前記基板の第1面に配置された五酸化ニオブナノアンテナの第1アレイであって、前記LEDから放出された光を部分的にコリメートするよう前記光の位相と振幅に影響を与える、第1アレイと、
前記第1面の反対側の前記基板の第2面に配置された五酸化ニオブナノアンテナの第2アレイであって、前記LEDから放出された光を更にコリメートするよう前記光の位相と振幅に影響を与える、第2アレイと、
を含み、
前記メタレンズは、前記アレイの異なる
セグメントから放出された光が対応する異なる事前定義された遠くの視野領域に向けられるように位置付けられ構造的に配置されている、適応型照明システム。
【請求項13】
適応型照明システムであって、
独立して制御可能なLEDのアレイと、
LEDの前記アレイから間隔を空けて配置されたメタレンズと、
を含み、
前記メタレンズは、
基板と、
前記基板の第1面に配置された五酸化ニオブナノアンテナの第1アレイであって、前記LEDから放出された光を部分的にコリメートするよう前記光の位相と振幅に影響を与える、第1アレイと、
前記第1面の反対側の前記基板の第2面に配置された五酸化ニオブナノアンテナの第2アレイであって、前記LEDから放出された光を更にコリメートするよう前記光の位相と振幅に影響を与える、第2アレイと、
を含み、
五酸化ニオブナノアンテナの前記第1アレイと前記第2アレイの両方は、前記メタレンズの外側部分に延びており、
五酸化ニオブナノアンテナの前記第1アレイは、前記メタレンズの光軸の周りの前記メタレンズの中心領域をカバーし、
五酸化ニオブナノアンテナの前記第2アレイは、前記メタレンズの前記中心領域をカバーしていない、
適応型照明システム。
【請求項14】
前記アレイはモノリシック構造
として配置され、各LEDは前記アレイの対応するセグメントである、請求項13に記載の適応型照明システム。
【請求項15】
各LEDは、前記アレイの平面内で寸法が500ミクロン以下である、請求項14に記載の適応型照明システム。
【請求項16】
各LEDは、前記アレイの平面内で寸法が100ミクロン以下である、請求項15に記載の適応型照明システム。
【請求項17】
前記五酸化ニオブナノアンテナは、円筒形を有し、前記メタレンズの平面に対して垂直に配置されている長軸を有する、請求項13に記載の適応型照明システム。
【請求項18】
モバイル装置であって、
カメラと、
フラッシュ照明システムと、
を含み、
前記フラッシュ照明システムは、
独立して制御可能なLEDの
アレイと、
LEDの前記アレイから間隔を空けて配置されたメタレンズであって、少なくとも前記LEDから放出された光を少なくとも部分的にコリメートするよう前記光の位相と振幅に影響を与えるよう構成された五酸化ニオブナノアンテナの第1アレイを含み、前記メタレンズは、前記アレイの異なる
セグメントから放出された光が対応する異なる事前定義された遠くの視野領域に向けられるよう、位置付けられ構造的に構成され
、前記アレイはモノリシック構造として配置され、各LEDは前記アレイの前記セグメントのうちの対応する1つである、メタレンズと、
前記フラッシュ照明システムの視野を前記カメラの視野と一致させるよう前記LEDを動作させるよう構成される制御部と、
を含む、モバイル装置。
【請求項19】
各LEDは、前記アレイの平面内で寸法が500ミクロン以下である、請求項18に記載のモバイル装置。
【請求項20】
前記メタレンズが基板を含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第1アレイが前記基板の第1面に配置されている、請求項18に記載のモバイル装置。
【請求項21】
前記LEDにより放出された前記光を少なくとも部分的にコリメートするように前記光の位相と振幅に影響を与えるように配置された五酸化ニオブナノアンテナの第2アレイを含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第2アレイが前記基板の前記第1面と反対側の前記基板の第2面に配置されている、請求項20に記載のモバイル装置。
【請求項22】
前記LEDのアレイにより放出される光の光路に、前記LEDのアレイと前記メタレンズの間に位置するプリコリメータを含む請求項18に記載のモバイル装置。
【請求項23】
ディスプレイシステムであって、
ディスプレイと、
独立して制御可能なLEDの
アレイと、
LEDの前記アレイから間隔を空けて配置されたメタレンズであって、LEDの前記アレイからの光を前記ディスプレイに結合し、前記メタレンズは、少なくとも、前記LEDにより放出された光を少なくとも部分的にコリメートするよう前記光の位相と振幅に影響を与えるよう構成される五酸化ニオブナノアンテナの第1アレイを含み、前記メタレンズは、前記アレイの異なる
セグメントから放出された光が対応する異なる事前定義された遠くの視野領域に向けられるように、位置付けられ構造的に配置され
、前記アレイはモノリシック構造として配置され、各LEDは前記アレイの前記セグメントのうちの対応する1つである、メタレンズと、
を含むディスプレイシステム。
【請求項24】
各LEDは、前記アレイの平面内で寸法が100ミクロン以下である、請求項23に記載のディスプレイシステム。
【請求項25】
前記メタレンズが基板を含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第1アレイが前記基板の第1面に配置されている、請求項23に記載のディスプレイシステム。
【請求項26】
前記LEDにより放出された前記光を少なくとも部分的にコリメートするように前記光の位相と振幅に影響を与えるように配置された五酸化ニオブナノアンテナの第2アレイを含み、五酸化ニオブナノアンテナの前記第2アレイが前記基板の前記第1面と反対側の前記基板の第2面に配置されている、請求項25に記載のディスプレイシステム。
【請求項27】
前記LEDのアレイにより放出される光の光路に、前記LEDのアレイと前記メタレンズの間に位置するプリコリメータを含む請求項23に記載のディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本願は、米国非仮出願番号17/096,013、名称「LED array with metalens for adaptive lighting」、2020年11月12日出願、Venkata Ananth Tamma、Toni Lopez、Nicola Bettina Pfeffer、Marcel Rene Bohmer、の優先権を主張する。上記の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[関連分野]
本開示は、例えば、カメラフラッシュ、仮想現実(VR)又は拡張現実(AR)システムのための適応光源を提供するために、発光ダイオード(LED)をメタレンズと組み合わせて使用する適応型照明に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で使用されるという用語「発光ダイオード」は、(例えば、垂直共振器型面発光レーザ、vertical cavity surface emitting laser (VCSEL))、及びレーザではない発光ダイオードも含むことを意図している。LEDは、従来のフィラメント電球や蛍光灯と比較して効率が高く、製造能力も向上しているため、幅広い照明用途での使用が大幅に増加している。LEDのコンパクトさ、低消費電力、制御性も同様に、カメラやスマートフォンなどの様々な電子機器の光源としての使用につながっている。
【発明の概要】
【0004】
適応型照明システムは、独立して制御可能なLEDのアレイと、LEDのアレイから放出された光をコリメートし、集束させ、又はリダイレクトするように配置されたメタレンズと、を含む。適応型照明システムは、オプションとして、LEDアレイとメタレンズの間の光路に配置されたプレコリメータを含むことができる。
【0005】
本発明のこれら及び他の実施形態、特徴及び利点は、最初に簡単に説明されている添付の図面と併せて、本発明の以下のより詳細な説明を参照すると、当業者にとってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】LEDアレイとメタレンズを含む適応型照明システムの例の断面図を示している。
【0007】
【
図2】
図1の適応型照明システムの例におけるLEDアレイの上面図を示している。
【0008】
【
図3】例えば
図1の適応型照明システムの例におけるメタレンズのような、メタレンズ内のメタサーフェスにおけるナノアンテナのアレイにおける柱(ナノシリンダー)の可能な配置の例を示している。
【0009】
【
図4】LEDアレイ、プリコリメータ、及びメタレンズを含む適応型照明システムの例の断面図を示している。
【0010】
【
図5】LEDアレイ、プリコリメータ、及びメタレンズを含む適応型照明システムの別の例の断面図を示している。
【0011】
【
図6】メタレンズの例について計算された透過と入射角のプロットを示している。
【0012】
【
図7】
図6のメタレンズの例について計算された透過と入射角の別のプロットを示している。
【0013】
【
図8】
図6のメタレンズの例について入射角の関数としての反射率のプロットを示している。
【0014】
【
図9】適応型照明システムを含むカメラフラッシュシステムの例を概略的に示している。
【0015】
【
図10】適応型照明システムを含むAR/VRシステムの例を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読む必要があり、図では、同じ参照番号が異なる図を通じて同じ要素を指している。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、選択的な実施形態を示しており、発明の範囲を制限することを意図しない。詳細な説明は、発明の原理を制限する方法ではなく、例によって示している。
【0017】
独立して動作可能なLEDのアレイを、レンズ、レンズシステム、又は他の光学システムと組み合わせて使用して、適応型照明、つまり、例えば照明される物体又はシーンの特性に応じて、強度、色、方向、及び/又は空間的位置を変えることができる照明を提供することができる。このような適応型照明は、自動車、モバイル装置カメラ、VR、及びARアプリケーションにとってますます重要になっている。これらのアプリケーションでは、寸法、特に光源と関連する光学(例えばレンズ)の高さが重要な設計パラメータとなる場合がある。
【0018】
スマートフォンやタブレットなどのモバイル装置では、カメラが異なる視野を提供することが望ましい場合があり、例えばスマートフォンの場合は40°と120°の間で変化する。このような視野に適合する適応型照明ユニットは、限られたボリュームに適合しながら光のスループットを最適化する必要がある。このような照明に使用されるレンズは、解像度の仕様がイメージング用途に必要なほど高くないため、完全なイメージング特性を持つ必要はない。効率は、変調伝達関数に基づくような従来のイメージング品質特性性能パラメータよりも好まれる。
【0019】
本開示は、メタレンズと組み合わせたLEDアレイを含む適応型照明システムについて説明する。以下に更に説明するように、メタレンズは、レンズのような機能(例えば、収束レンズとして働く)を実行するように設計されたナノ構造の表面(メタサーフェス)又はナノ構造の構造(メタ構造)を含む。メタレンズは、コンパクトなデバイス設計を容易にする薄い平坦な形状を持つことが有利である。LEDアレイは、アレイとして配置された独立して動作可能な個別のLEDを含むことができる。代替として、LEDアレイは、セグメントがLEDとして独立して動作可能な1つ以上のセグメント化されたモノリシックLEDを含むことができる。「セグメント化されたモノリシックLED」により、本開示は、半導体ダイオード構造を部分的に通過するが、完全には通過しないトレンチが電気的に分離されたセグメントを定義するモノリシック半導体ダイオード構造を指す。電気的に分離されたセグメントは、半導体構造の一部によって互いに物理的に接続されたままである。
【0020】
図1は、ハウジング120内に配置されたLEDアレイ11を含む適応型照明システム100の例の断面図を示している。図の例のLEDアレイ110は、独立して動作可能なLEDセグメントS11、S12、S13、S14、及びS15を含むモノリシックLEDデバイスである。ハウジング120に取り付けられたメタレンズ130は、LEDアレイによって放出された光線115をリダイレクトする(例えば、コリメートする又は焦点を合わせる)。適応型照明システム100は、例えば、約40°から約80°、又は約120°の視野にわたって照明を提供することができる。
【0021】
図2は、LEDアレイ110の上面図を示しており、この例では、正方形の5×5アレイに配置され、行及び列ごとにアレイ内の位置によってS11からS55まで続くS(行、列)として識別される25個の独立して動作可能なLEDセグメントで構成されている。より一般的には、LEDアレイ110は、例えば、矩形アレイであってもよく、非矩形(例えば、円形や楕円形)形状に近似していてもよい。任意の適切なサイズのアレイ、例えば、3×3アレイ、5×5アレイ(図のように)、7×7アレイ、又は15×21アレイを使用することができる。アレイ内のLEDセグメントは、同じサイズでも、異なるサイズでもよい。例えば、中央セグメントを周辺セグメントよりも大きくするように選択できる。アレイは、例えば、約1.5mmx1.5mmから約3mmx3mmのアレイの平面内の寸法を持つことができる。
【0022】
アレイ110内のLEDセグメントは、例えば、アレイの平面内で約5ミクロンから約500ミクロンの寸法を持つことができる。セグメントは、例えば、5ミクロン以上で最も近い隣接セグメントから分離することができる。セグメントは、実質的に均一な視覚的外観を提示し、実質的に均一な光ビームを提供するよう、互いに十分な距離内に配置することができる。この距離は、セグメントが光源から通常の距離にあるユーザに対して計算されたレイリー限界距離(Rayleigh limit distance)を超えないように選択できる。
【0023】
LEDアレイ130の各セグメントは、単一の色であってよく、異なるセグメントが異なる色を発する(例えば、一部のセグメントは白色光を発し、他のセグメントは赤色光を発する)。異なる色のセグメントをインタリーブできる。同じ色のセグメントをグループ化できる。1つの色のセグメントのグループを他の色のグループとインタリーブすることができる。セグメントの独立した操作により、アレイから放出される光の色を調整できる。
【0024】
各セグメントは、半導体発光ダイオードと、オプションで、半導体発光ダイオードから放出される光を吸収し、より長い波長の光を放出する波長変換構造を含む。半導体発光ダイオードは、例えば、II-VI、III-V、又は他の半導体材料システムから形成され、用途に応じて、例えば、紫外線、可視光線、又は赤外線を放出するように構成されている場合がある。
【0025】
波長変換構造には、例えば、通常の蛍光体、セラミック蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II-VI又はIII-V半導体、II-VI又はIII-V半導体量子ドット又はナノ結晶、染料、ポリマー、又は発光する他の材料である1つ以上の波長変換材料が含まれる。蛍光体又は他の波長変換材料は、例えば、シリコンなどのバインダー材料中に発光粒子として分散され、波長変換構造を形成することができる。波長変換構造は、例えばTiO2のような光散乱又は光拡散要素を含むことができる。波長変換構造は、アレイ内の複数又はすべての半導体発光ダイオードをカバーするモノリシック素子であることも、個別のセグメントに構造化され、各々が対応する半導体発光ダイオードに取り付けられることもある。波長変換構造のこれらの個別のセグメント間のギャップは、光学的に反射する材料で満たされ、各セグメントからの発光をこのセグメントのみに限定することができる。
【0026】
適応型照明システム100の動作では、LEDアレイ110の個々のセグメントを操作して、特定の目的に適応した照明を提供することができる。例えば、適応型照明システム100は、照明されたシーン又はオブジェクト全体にわたって色及び/又は強度によって変化する及び/又は望ましい方向に向けられる照明を提供する。制御部は、シーン内のオブジェクト又は人物の位置及び色特性を示すデータを受信し、その情報に基づき、LEDアレイ110を制御して、シーンに適応した照明を提供するように構成することができる。このようなデータは、例えばイメージセンサ、又は光学(例えばレーザスキャン)又は非光学(例えばミリレーダ)センサによって提供することができる。
【0027】
例えば、フラッシュのような用途の場合、LEDの総放出光電力は、例えば、約0.1Wから約10Wである。
【0028】
再び
図1を参照すると、メタレンズ130は、示されているように平面であり、LEDアレイの平面に平行な平面で測定した場合、LEDアレイの寸法よりも大幅に大きい寸法を有することがある。例えば、メタレンズ130は、LEDアレイの2倍から3倍のサイズであることがある。メタレンズは、LEDアレイ内の特定のLEDセグメントから放出されるすべての光が、事前定義された遠くの視野領域に到達するように設計されている。
【0029】
適応型照明システム100によって照明される視野は、照明を提供するために動作するアレイ110内のLEDの数と位置を選択することによって制御することができる。例えば40°のような小さな視野が必要な場合には、中央のLEDセグメントのみが必要なことがあるが、一方で大きな視野(例えば120°)の場合には、すべてのLEDセグメントをオンにすることができる。
【0030】
上で述べたように、メタレンズ130が、例えば、焦点を合わせたり、コリメートしたり、又は他の方法でそれに入射する光の光線をLEDアレイからリダイレクトするように、メタレンズ130は、レンズとして機能するように配置された1つ以上のメタサーフェス又はメタ構造であるか又はそれを含む。例えば、メタレンズ130は収束レンズとして機能する。メタサーフェスは、物理構造及び/又は化学組成が一般的にミクロン未満の長さスケールで変化する表面、すなわちナノ構造である。同様に、メタ構造は、物理構造及び/又は化学組成が一般的にミクロン未満の長さスケールで変化する構造である。メタサーフェス及びメタ構造は、特定の光学的機能及び効果を提供するように設計される場合がある。
【0031】
メタレンズ130は、例えば、LEDアレイの平面に平行な平面内にメタサーフェスとして配置された、ナノスケールアンテナ(ナノアンテナ)の少なくとも第1アレイを含む。各ナノアンテナは、アレイの平面内で、通常、LEDアレイによって放射される光の自由空間波長以下の寸法を有する。ナノアンテナは、ナノアンテナの空間的位置によって変化する構造的、化学的、及び/又は光学的特性を有し、LEDアレイによって放射される光を集束し、コリメートし、又は他の方法でリダイレクトする空間的に変化する方法で、メタレンズを介してLEDアレイによって放射される光の位相と振幅に影響を与える。
【0032】
例えば、ナノアンテナは、メタレンズの中心光軸の周りの同心円状のリング内にナノ格子を形成するように配置することができる。メタレンズの平面内の各同心円の幅は、中心光軸からの半径方向の距離の関数として減少する。メタレンズの外縁に向かって、各リングの幅は、例えば700nm~1000nmの範囲であり、一方、メタレンズの中心に向かって、幅は、例えば1500nm~5000nmであり得る。ナノアンテナ間の間隔は、半径方向の位置の関数としても変化し、エッジに向かってナノアンテナが例えば220nm~250nmのピッチで配置され、ナノアンテナは、ピッチが中心に向かって250nmに近くなるよう配置される。つまり、中心軸からの半径方向の距離が大きくなると、ピッチが減少する可能性がある。
【0033】
ナノアンテナは、例えば、柱(ナノシリンダー)形状を持つ構造体であるか、又は構造体を含むことができる。例えば、メタレンズ130は、例えば約80nmから約250nmの直径と、例えば約400nmから800nmの間、又は約400nmから1ミクロンの間の高さを持つ柱の1つ以上の周期的アレイを含むことができる。高さは、システム性能、色収差及び効率を最適化するための設計パラメータとして選択される。ロッド間のピッチ(中心から中心への間隔)は、例えば220nmと280nmの間にあり、柱間の最小ギャップは30nmである。このようなナノ柱は、前述のように、メタレンズの中心光軸の周りの同心円状のリングにナノ格子を形成するように配置することができ、柱の長軸はアレイの平面に対して垂直に配置される。
【0034】
代替として、ナノアンテナは、例えば、フィン形状を持つ構造体であるか、又は構造体を含むことができる。このようなフィン形状のナノアンテナ(ナノフィン)は、例えば、形状が上述したような柱に似ていても、その長軸に垂直な平坦な断面を有していてもよい。このようなナノフィンは、上述したナノ柱の配置と同様に配置されてもよい。ナノフィンを含むメタレンズは、偏光するように、すなわち特定の直線偏光の光を優先的に透過するように設計することができる。
【0035】
メタレンズの高さは、ナノアンテナ(ナノ柱やナノフィンなど)の高さまで下げることができる。これは、通常1mm以上の厚さを持つ従来のイメージング光学系よりも実質的に薄い。カメラフラッシュレンズのようなイメージング光学系の場合、周期的アレイはLEDアレイから離れた場所にある基板上に配置されることがある。前述のように、カメラフラッシュレンズでは、メタレンズを適切な選択にする照度よりも、変調伝達関数の方が重要でない場合がある。また、カメラフラッシュレンズでは、真のイメージングアプリケーションよりも色収差の要件は厳しくない。しかし、効率は、可能な限り高い開口数(numerical aperture (NA))を持つ大きな光学機器につながる重要なパラメータになり得る。
【0036】
図3は、メタレンズ内のメタサーフェス155におけるナノアンテナのアレイにおける柱150の可能な配置の例を示している。ナノフィンも同様に配置することができる。メタサーフェス155は、各単位セルが1つ以上の柱を含む単位セル(例えば、155A、155B)の周期的な配置で構成されている。最も単純な場合、単位セルは単一の個々の柱から構成される。しかし、色の均一性を向上させ、色収差を補正するために、単位セルは複数の柱から構成することができる。例えば、単位セルは、三角形の格子の中に置かれた3つのナノシリンダーから構成することができる。単位セル内の柱は、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形の断面を持つことができる。
【0037】
再び
図1を参照すると、図示された例では、メタレンズ130は、LEDアレイから反対側に向いた平面の上面130TとLEDアレイに向いた底面130Bを持つ透明基板130S(例えばサファイア)を含む。ナノアンテナのアレイは、所望のレンズ機能を提供するために、表面130T、表面130B、又は表面130Tと表面130B上にメタサーフェスとして配置することができる。
【0038】
基板の両側にナノアンテナのアレイを配置することは、以下のメタレンズ設計の複数の側面に役立つ:1)入射光をプリコリメートすることによって効率を向上させ、それによってレンズのNAを減らすことによってシステムの効率を高めること、及び2)収差と色の均一性を補正する手段を提供することによってイメージングシステムの性能を向上させること。ビームを大きな角度で曲げることは、低い角度で曲げるよりも効率が悪いことが多い。基板の両側にナノアンテナのアレイを配置すると、特に大きな偏向角が必要なエッジで効率が向上する可能性がある。
【0039】
あるバリエーションでは、メタレンズ130は、大きな偏向角が必要なメタレンズのエッジ付近の基板の両側130Tと130Bにナノアンテナのアレイを含み、ビーム偏向が中程度のメタレンズの中央領域の基板の片側(130T又は130B)にのみナノアンテナのアレイを含む。
【0040】
効率を最大化するために、メタ構造が存在しない基板130の表面に反射防止コーティングを堆積させることができる。例えば、光の結合を改善するために、多孔質の低指数層や多層スタックを使用することができる。他の可能性のある変更には、モジュールの機械的堅牢性を改善するために、柱の間に低指数材料を堆積させることが含まれる。純粋なイメージング光学の場合、光の再循環は避けるべきである。しかし、フラッシュレンズの場合、一部の再循環は効率を高めるのに有利である可能性がある。この目的のために、追加の散乱コーティングを適用することができる。
【0041】
ここで、
図4に示す適応型照明システム400の例を参照すると、更に効率を最大化するために、
図1に示す適応型照明システムにプリコリメータ160を追加することができる。プリコリメータ160は、LEDアレイ光源の角放射を絞り込み、メタレンズ130を最適化して最も効果的に動作させることができるようにする。これにより、電力効率とライトステアリング制御の両方が改善され、レンズの面積が最大25%削減されるはずである。例えば、プリコリメータ160は、LEDアレイから反対側に向いた平面の上面160TとLEDアレイに向いた底面160Bを持つ透明基板160S(例えばサファイア)を含む。ナノアンテナのアレイ(例えば上記のような柱やフィン)を表面160T、表面160B、又は表面160Tと表面130B上にメタサーフェスとして配置して、必要なプリコリメート機能を提供することができる。コリメータを使用しない目標焦点距離がプリコリメータの基板の厚さよりも大きい場合(メタサーフェスの厚さを無視する、すなわち<=1μm)、適応型照明システム400の全体の厚さは、
図1の適応型照明システム100の厚さよりも大きい必要はないことに注意する。
【0042】
高効率、低損失のメタレンズ及びプリコリメータを得るための重要な要素は、ナノアンテナの材料の選択とその準備方法である。高い屈折率と低い吸収損失を持つ材料を使用すると、性能が向上する。屈折率と吸収損失は、材料の準備方法によって異なる。ナノアンテナに適した材料には、五酸化ニオブ、窒化ガリウム、窒化ケイ素、二酸化チタン、又は酸化ハフニウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
ここに記載されているメタレンズは、ナノアンテナ材料の均質な層を形成するために、スパッタリング(物理蒸着)又は化学蒸着を使用して準備することが望ましい。窒化ガリウム(GaN)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、及び窒化ケイ素は、このアプローチに使用するのに適した材料である。これらの材料については、浸漬DUV、又は代わりにナノインプリントパターニング技術を使用して、その後、層をパターン化してナノアンテナアレイを形成し、その後、ハードマスクを使用して明確なエッチストップを持つことができる異方性エッチングを使用して、明確に定義された層の厚さ(例えば、柱やフィンの高さ)に導くことができる。
【0044】
あまり好ましくないアプローチは、電子ビームリソグラフィでパターンを電子ビームレジストに書き込み、その後、原子層蒸着(atomic layer deposition (ALD))を使用して五酸化ニオブでパターンを充填することである。レジストの性質上、ALDは低温でしか行うことができず、これは材料の屈折率に影響を及ぼす。ALDによって調製された五酸化ニオブの屈折率は2.2以下の550nmであるが、バルクの五酸化ニオブの屈折率は2.36であることが知られている。対照的に、物理的又は化学的な蒸着によって形成された五酸化ニオブの屈折率はバルク値に非常に近い2.34である可能性がある。これにより、スパッタリングのアプローチが好ましい。
【0045】
更に、吸収による損失に関しては、低温ALD成長アプローチは最適ではない。80°Cで成長させた酸化チタン(TiO2)は、約0.004の吸収率(k)と2.37の屈折率を持つ。スパッタコーティングされた五酸化ニオブの場合、屈折率は前述のように2.34であり、吸収率(k)は0.0002であり、五酸化チタンよりも10倍以上低いが、屈折率は同程度である。更に、酸化チタンは光触媒となる可能性があり、そのために好ましくないと考えられる。また、ALDアプローチでは過剰な材料をエッチングしなければならず、ストップ層はなく、どの程度エッチングされるかは時間に依存するだけであり、ナノアンテナ(例えば、柱やフィン)の高さの制御が悪化する。
【0046】
図5は、LEDアレイ110、プリコリメータ160、及びメタレンズ130を含む適応型照明システム500の例の断面図を示している。メタレンズ130は、基板130Sの上面に配置されたメタサーフェス505Tと、基板130Sの底面に配置されたメタサーフェス505Bを含む。LEDアレイ110は、サイドリフレクタ520とプリコリメータ160によって定義されるキャビティ515内の基板510上に配置される。サイドリフレクタ520は、例えばシリコン中に分散した酸化チタン粒子のような体積反射材料から形成することができる。光のリサイクルが求められない場合、サイドリフレクタ520は任意で吸収性材料に置き換えることができる。キャビティは、充填材として空気又は他の透明媒体、例えば低指数シリコン又はナノ多孔質材料で充填することができる。メタレンズ130は、吸収性の可能性がある側壁530によってプリコリメータ160から間隔を空けられている。
【0047】
メタレンズのメタサーフェス505T及び505Bは、前述のようにナノアンテナ(例えば、柱やフィンなど)の同心円状のリングを含み、ナノアンテナは前述のように五酸化ニオブから形成される。プリコリメータは、メタレンズと同様の構造を持つことができ、例えば半径58nm、高さ250nm、周期(ピッチ)180nmの五酸化ニオブの柱を含む。代替として、プリコリメータは多層薄膜コーティング/フォトニック結晶として実装することも、例えば五酸化ニオブ及び/又は窒化ガリウムから形成されたナノロッド及びナノコーンからなるフォトニック結晶として実装することもできる。
【0048】
図6及び
図7は、上記のように五酸化ニオブの柱から形成されたメタレンズを持つ
図5のようなシステムにおけるメタレンズについて、波長が450nmの光について、計算された透過率対入射角のプロットを示している。
図8も同様に、波長が450nmの光について、メタレンズの反射率対入射角を示している。
【0049】
図9は、LEDアレイとメタレンズ適応型照明システム902を含むカメラフラッシュシステム900の例を概略的に示しており、これは上述のシステムと類似又は同一である。フラッシュシステム900は、マイクロプロセッサなどの制御部904によって制御されるLEDドライバ906も含む。制御部904は、カメラ907及びセンサ908にも結合され、メモリ910に格納された命令及びプロファイルに従って動作する。カメラ907及び適応型照明システム902は、視野が一致するように制御部904によって制御される場合がある。
【0050】
センサ908は、例えば、位置センサ(例えば、ジャイロスコープ及び/又は加速度計)及び/又はシステム900の位置、速度、及び向きを決定するために使用できる他のセンサを含む場合がある。センサ908からの信号は、制御部904に供給され、制御部904の適切な動作コース(例えば、どのLEDが現在ターゲットを照らしているか、どのLEDが事前に決められた時間後にターゲットを照らすかなど)を決定するために使用される場合がある。
【0051】
動作中、902のLEDアレイの一部又はすべてのピクセルからの照明は、調整-非活性化、最大強度での動作、又は中間強度での動作が可能である。前述のように、902のLEDアレイから放出された光のビームフォーカス又はステアリングは、ピクセルの1つ以上のサブセットを活性化することによって電子的に実行でき、光学系を移動したり照明装置内のレンズのフォーカスを変更したりすることなく、ビーム形状を動的に調整することができる。
【0052】
ここに記載されているような適応型発光マトリクスピクセルアレイ及びレンズシステムは、光の分布のきめの細かい強度、空間、及び時間的制御の恩恵を受ける、他の様々なビームステアリング又は他のアプリケーションをサポートする可能性がある。これらのアプリケーションは、限定ではないが、ピクセルブロック又は個々のピクセルから放射される光の精細な空間的パターニングを含む。アプリケーションに依存して、放射される光は、スペクトル的に区別され、時間に渡り適応され、及び/又は環境に応答してよい。発光ピクセルアレイは、種々の強度、空間、又は時間的パターンの、予めプログラムされた光分布を提供してよい。関連する光学系は、ピクセル、ピクセルブロック、又は装置レベルで区別されてよい。例示的な発光ピクセルアレイは、関連する共通光学系を有する高強度ピクセルの共通に制御される中央ブロックを有する装置を含む。一方で、端のピクセルは個別光学系を有してよい。フラッシュ光に加えて、発光ピクセルアレイによりサポートされる共通のアプリケーションは、ビデオ照明、自動車ヘッドライト、建造物及び領域照明、及び道路照明を含む。
【0053】
前述の適応型発光ピクセルアレイによってサポートされるアプリケーションには、拡張(AR)又は仮想現実(VR)のヘッドセット、メガネ、又はプロジェクタが含まれる。例えば、
図10は、適応型発光アレイ1010、AR又はVRディスプレイ1020、発光アレイ制御部1030、センサシステム1040、及びシステム制御部1050を含むAR/VRシステム1000の例を図式的に示している。制御入力はセンサシステム1040に提供され、電力及びユーザデータ入力はシステム制御部1050に提供される。理解されるように、幾つかの実施例では、AR/VRシステム1000に含まれるモジュールを単一の構造にコンパクトに配置することも、1つ以上の要素を別々に搭載して無線又は有線通信で接続することもできる。例えば、発光アレイ1010、AR又はVRディスプレイ1020、及びセンサシステム1040をヘッドセット又は眼鏡に搭載し、発光制御部及び/又はシステム制御部1050を別々に搭載することができる。
【0054】
実施形態では、発光アレイ1010は、例えば上述のように、AR/VRシステムをサポートできるグラフィカル又はオブジェクトパターンで光を投影するために使用できる、1つ以上の適応型発光アレイを含む。幾つかの実施形態では、マイクロLED(μLED又はuLED)のアレイを使用することができる。マイクロLEDは、横方向の寸法が100μm×100μm未満の高密度ピクセルをサポートできる。幾つかの実施形態では、直径又は幅が約50μm以下の寸法のマイクロLEDを使用することができる。このようなマイクロLEDは、赤、青、及び緑の波長を含むマイクロLEDを近接して配置することによって、カラーディスプレイの製造に使用することができる。他の実施形態では、マイクロLEDは、モノリシックGaN又は他の半導体基板上に定義することができ、セグメント化された、部分的に、又は完全に分割された半導体基板上に形成することも、マイクロLEDのグループとして個別に形成又は組み立てられたパネルにすることもできる。幾つかの実施形態では、発光アレイ1010は、センチメートルスケール以上の面積の基板上に配置された少数のマイクロLEDを含むことができる。幾つかの実施形態では、発光アレイ1010は、センチメートルスケール以下の面積の基板上に一緒に配置された数百、数千、又は数百万の発光LEDを持つマイクロLEDピクセルアレイをサポートすることができる。幾つかの実施形態では、マイクロLEDは、30ミクロンから500ミクロンのサイズの発光ダイオードを含むことができる。発光アレイ1010は、単色、RGB、又はその他の所望の色度にすることができる。幾つかの実施例では、ピクセルは正方形、長方形、六角形、又は曲線の周囲を持つことができる。ピクセルは、同じサイズ、異なるサイズ、又は同じサイズであり、より大きな有効ピクセルサイズを示すためにグループ化することができる。幾つかの実施形態では、個別の発光アレイを使用して表示画像を提供でき、AR機能は個別の個別のマイクロLEDアレイによって提供される。幾つかの実施形態では、追跡ピクセルを使用してアイトラッキングで使用される追跡光を提供しながら、選択されたピクセルのグループを使用してユーザにコンテンツを表示することができる。コンテンツ表示ピクセルは、可視帯域の少なくとも一部(約400nmから750nm)により、可視光を放射するように設計されている。対照的に、トラッキングピクセルは可視帯域又はIR帯域(約750nmから2200nm)、又はそれらの何らかの組み合わせで光を放射することができる。代替例として、追跡ピクセルは800から1000ナノメートルの範囲で動作する可能性がある。幾つかの実施形態では、追跡ピクセルは、コンテンツピクセルがオフになっていて、ユーザにコンテンツを表示していない時間帯に追跡光を発することができる。
【0055】
理解されるように、幾つかの実施形態では、発光ピクセルと発光アレイ1010をサポートする回路をパッケージ化することができ、必要に応じて、半導体LEDによる光生成の電力供給と制御のために接続されたサブ搭載又はプリント回路基板を含めることができる。特定の実施形態では、発光アレイ1010をサポートするプリント回路基板には、電気ビア、ヒートシンク、グランドプレイン、電気トレース、フリップチップ又はその他の実装システムも含めることができる。サブ搭載又はプリント回路基板は、セラミック、シリコン、アルミニウムなどの適切な材料で形成することができ、サブ搭載材料が導電性である場合は、基板材料の上に絶縁層が形成され、絶縁層の上に金属電極パターンが形成される。サブ搭載は、発光アレイ1010上の電極と電源の間の電気的インタフェースを提供する機械的サポートとして機能することができ、ヒートシンク機能も提供する。
【0056】
AR/VRシステム1000は、例えば、適応型発光アレイ1010によって放出された光をAR/VRディスプレイ1020に結合するために、適応型発光アレイ1010及び/又はAR/VRディスプレイ1020に広範囲の光学系を組み込むことができる。そのような光学素子は、例えば、上述のようなメタレンズ及びプリコリメータを含むことができる。AR/VRアプリケーションの場合、メタレンズ及びプリコリメータは、上述のようなナノフィンを含み、それらが透過する光を偏光するように設計されている。光学素子には、開口、フィルタ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、又は発光アレイ1010からの投影光に影響を与えるその他の任意の適切な光学素子を追加で又は代替として含めることができる。更に、光学素子の1つ以上は、UVブロッキング又は反射防止コーティングを含む、1つ以上のコーティングを有することができる。幾つかの実施形態では、ピンクッション歪み、バレル歪み、縦方向色収差、球面収差、色収差、フィールド曲率、非点収差、又はその他のタイプの光学誤差を含む、二次元又は三次元の光学誤差を補正又は最小化するために光学を使用することができる。幾つかの実施形態では、光学素子を使用して画像を拡大及び/又は補正することができる。有利なことに、幾つかの実施形態では、表示画像の拡大により、発光アレイ1010は、より大きなディスプレイよりも物理的に小さく、より軽量で、より少ない電力を必要とすることができる。更に、拡大によって表示されるコンテンツの視野を拡大し、表示プレゼンテーションがユーザの通常の視野と等しくなるようにすることができる。
【0057】
実施形態では、発光アレイ制御部1030を使用して、発光アレイ1010の電力及びリアルタイム制御を提供することができる。例えば、発光アレイ制御部1030は、振幅及びデューティサイクルのピクセル又はグループピクセルレベル制御を実装することができる。幾つかの実施例では、発光アレイ制御部1030は、発光アレイ1010に供給することができる生成又は処理された画像を保持するためのフレームバッファを更に含む。その他のサポートされるモジュールには、Inter-Integrated Circuit(I2C)シリアルバス、Serial Peripheral Interface(SPI)、USB-C、HDMI(登録商標)、Display Port、又は必要な画像データ、制御データ又は命令を送信するように構成されたその他の適切な画像又は制御モジュールなどのデジタル制御インタフェースを含めることができる。
【0058】
動作中、画像内のピクセルは、対応する発光アレイ1010の応答を定めるために使用され、LEDピクセルの強度及び空間変調は画像に基づく。幾つかの実施形態では、データレートの問題を低減するために、ピクセルのグループ(例えば、5×5ブロック)が、単一のブロックとして制御可能である。幾つかの実施形態では、高速及び高データレート動作がサポートされ、連続化合からのピクセル値は、60Hzが標準的である、30Hz~100Hzの間のレートで画像シーケンスの中の連続フレームとしてロードできる。パルス幅変調を使用して、各ピクセルがパターンで、少なくとも部分的に画像に依存する強度で発光するように制御できる。
【0059】
幾つかの実施形態では、センサシステム1040は、環境を監視するカメラ、深度センサ、又はオーディオセンサなどの外部センサと、AR/VRヘッドセットの位置を監視する加速度計又は二軸又は三軸ジャイロスコープなどの内部センサを含めることができる。その他のセンサには、気圧、圧力センサ、温度センサ、又はローカル又はリモートの環境モニタリングに必要なその他の適切なセンサが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、制御入力には、検出されたタッチ又はタップ、ジェスチャ入力、又はヘッドセット又は表示位置に基づく制御を含めることができる。別の例として、平行移動又は回転移動を測定する1つ以上のジャイロスコープ又は位置センサからの1つ以上の測定信号に基づいて、初期位置に対するAR/VRシステム1000の推定位置を決定することができる。
【0060】
幾つかの実施例では、システム制御部1050は、センサシステム1040からのデータを使用して、加速度計から受信した測定信号を時間に渡り積分(integrate)して速度ベクトルを推定し、速度ベクトルを時間に渡り積分(integrate)してAR/VRシステム1000の基準点の推定位置を決定する。他の実施例では、AR/VRシステム1000の位置を記述するために使用される基準点は、深度センサ、カメラの位置決めビュー、又は光フィールドフローに基づくことができる。
【0061】
AR/VRシステム1000の位置、向き、又は動きの変化に基づいて、システム制御部1050は、発光アレイ制御部1030に画像又は指示を送信できる。画像又は指示の変化又は変更は、必要に応じてユーザデータ入力又は自動データ入力によって行うこともできる。ユーザデータ入力には、音声指示、触覚フィードバック、目又は瞳の位置、又は接続されたキーボード、マウス、若しくはゲーム制御部によって提供されるものが含まれるが、これに限定されない。
【0062】
この開示は例示的なものであり、限定的ではない。さらなる修正は、この開示に照らして当業者には明らかであり、添付の請求の範囲内に含まれることを意図している。