(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】回路制御方法、電池およびそのコントローラと管理システム、受電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/14 20060101AFI20240306BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240306BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240306BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240306BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02J7/14 A
H02H7/18
H02H7/00 L
H02J7/00 S
B60R16/04 S
(21)【出願番号】P 2023546251
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2021122068
(87)【国際公開番号】W WO2023050264
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100212392
【氏名又は名称】今村 悠
(72)【発明者】
【氏名】盧 方友
(72)【発明者】
【氏名】馬 行
(72)【発明者】
【氏名】田 偉
(72)【発明者】
【氏名】王 興昌
(72)【発明者】
【氏名】黄 振慧
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-68076(JP,A)
【文献】特開2012-152087(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074661(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0054072(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112290654(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
7/10-7/20
H02J 7/00-7/36
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ウェイクアップ信号を取得するステップと、
装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、前記充電回路が前記装置上の電池と発電機とを接続する回路であり、前記電源端子電圧が前記発電機の出力電圧であるステップと、
前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、前記充電回路における第1のスイッチングユニットを閉路して前記充電回路をオンにするように制御するための第1の指令を出すステップと、を含む
ことを特徴とする回路制御方法。
【請求項2】
前記電池の充電状態SOCが第3の閾値よりも大きいか否か、前記電池に故障警報があるか否か、および前記電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断するステップをさらに含み、
前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、第1の指令を出すステップは、
前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値より大きく、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であり、前記電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、前記電池に故障警報がなく、かつ、前記電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合、第1の指令を出すステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電池の充電回路がオンになった後で、前記電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きいか否か、または前記電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上であるか否か、または前記電池に故障警報があるか否か、または前記電池セルの温度が第1の範囲にないか否かを判断するステップと、
前記電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きい場合、または前記電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上である場合、または前記電池に故障警報がある場合、または前記電池セルの温度が第1の範囲にない場合、前記充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、前記充電回路をオフにするように制御するための第2の指令を出すステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
装置ウェイクアップ信号があるか否か、および前記電源端子電圧が第6の閾値未満であるか否かを判断するステップと、
装置ウェイクアップ信号があり、かつ、前記電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、前記充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路にして、前記充電回路をオンにし、前記充電回路を第1のオン状態にするように制御するための第3の指令を出すステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否か、および前記電池に故障警報があるか否かを判断するステップをさらに含み、
前記装置ウェイクアップ信号があり、かつ、前記電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、第3の指令を出すステップは、
装置ウェイクアップ信号があり、前記電源端子電圧が第6の閾値未満であり、前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きく、かつ、前記電池に故障警報がない場合、第3の指令を出すステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のオン状態において、前記充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、
前記充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きい場合、前記充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、前記充電回路をオフにするように制御するための第4の指令を出すステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、
前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きい場合、前記電池の放電回路内の第2のスイッチングユニットを閉路して、前記放電回路をオンにするように制御するための第5の指令を出し、前記放電回路が前記装置上の電池と受電機器とを接続する回路であるステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電池の放電回路がオンになった後で、前記装置ウェイクアップ信号があるか否か、または前記電池に故障警報があるか否か、または前記電池のSOCが第7の閾値未満であるか否かを判断するステップと、
前記装置ウェイクアップ信号がある場合、または前記電池に故障警報がある場合、または前記電池のSOCが第7の閾値未満である場合、前記放電回路の第2のスイッチングユニットをオフにして、前記放電回路をオフにするように制御するための第6の指令を出すステップと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の回路制御方法のステップを実行するための、単独または共同で動作する1つまたは複数のプロセッサを含む
ことを特徴とする電池コントローラ。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な指令が記憶されており、請求項1~8のいずれか1項に記載の回路制御方法のステップを前記少なくとも1つのプロセッサに実現させるように前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される
ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項11】
請求項9に記載の電池コントローラ、または請求項10に記載の電池管理システムを含む
ことを特徴とする電池。
【請求項12】
電力量を供給するための、請求項11に記載の電池を含む
ことを特徴とする受電装置。
【請求項13】
リチウム電池と、発電機と、車両ウェイクアップスイッチと、を含み、前記リチウム電池と前記発電機とが接続され、充電回路が形成され、前記リチウム電池は、
車両ウェイクアップを取得するステップと、
車両上のリチウム電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、前記充電回路が前記車両上のリチウム電池と発電機とを接続する回路であり、前記電源端子電圧が前記発電機の出力電圧であるステップと、
前記車両上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、前記充電回路における第1のスイッチングユニットを閉路して前記充電回路をオンにするように制御するための第1の指令を出すステップと、のために用いられる電池管理システムを含む
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、電池の技術分野に関し、具体的には、回路制御方法、電池コントローラ、電池管理システム、電池、受電装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、例えば、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車、自動車、飛行機、汽船、おもちゃ自動車、おもちゃ汽船、おもちゃ飛行機および電動工具などの電子機器に広く適用されている。
【0003】
電池技術の発展の中で、安全問題は、無視できない問題であり、特に電池が過充電になった場合、深刻な安全事故を引き起こしやすい。そのため、電池の過充電をどのように回避し、電池の安全性を向上させるかは、この分野で注目されてきた問題の一つである。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題に鑑み、本発明の実施例は、電池の過充電を防止し、電池の安全性を向上させることができる回路制御方法、電池コントローラ、電池管理システム、電池、受電装置および車両を提供する。
【0005】
本願の実施例の第1の態様により、装置ウェイクアップ信号を取得するステップと、前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、前記充電回路が前記装置上の電池と発電機とを接続する回路であり、前記電源端子電圧が前記発電機の出力電圧であるステップと、前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、前記充電回路における第1のスイッチングユニットを閉路して、前記充電回路をオンにするように制御するための第1の指令を出すステップと、を含む回路制御方法を提供する。
【0006】
本願の実施例に係る回路制御方法により、装置ウェイクアップ信号、充電回路の電源端子電圧を取得するとともに、充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、装置が始動された後にのみ装置ウェイクアップ信号があり、充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、および第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるため、この方法は、すべて上記の条件を満たした時に電池の充電回路をオンにするように制御することで、電池の充電回路がオンになった時に装置が既に始動されることを可能にし、これにより、装置が始動されていない時に電池の充電回路がオンにされ、その後、装置が始動されると、電池の充電回路で大電流放電を起こし、充電回路上のスイッチがスティッキングすることを回避し、リチウム電池の過充電による電池の熱暴走を回避し、電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記電池の充電状態SOCが第3の閾値よりも大きいか否か、前記電池に故障警報があるか否か、および前記電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断するステップをさらに含み、前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、第1の指令を出すステップは、前記装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値より大きく、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であり、前記電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、前記電池に故障警報がなく、かつ、前記電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合、第1の指令を出すステップをさらに含む。
【0008】
上記の実施例において、電池のSOCが第3の閾値よりも大きいか否か、電池に故障警報があるか否か、および電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断することによって、電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、電池に故障警報がなく、かつ電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合にのみ電池の充電回路をオンにするように制御し、電池のフローティング充電や安全上の問題を回避することができる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記電池の充電回路がオンになった後で、前記電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きいか否か、または前記電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上であるか否か、または前記電池に故障警報があるか否か、または前記電池セルの温度が第1の範囲にないか否か、または前記電池のSOCが第3の閾値以下であるか否かを判断するステップと、前記電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きい場合、または、前記電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上である場合、または、前記電池に故障警報がある場合、または、前記電池セルの温度が第1の範囲にない場合、または、前記電池のSOCが第3の閾値以下である場合、前記充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、前記充電回路をオフにするように制御するための第2の指令を出すステップと、をさらに含む。
【0010】
上記の実施例において、電池のSOCが第3の閾値よりも大きいか否か、電池に故障警報があるか否か、および電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断することによって、電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、電池に故障警報がなく、かつ電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合にのみ電池の充電回路をオンにするように制御し、電池のフローティング充電や安全上の問題を回避することができる。
【0011】
いくつかの実施例において、前記方法は、装置ウェイクアップ信号があるか否か、および前記電源端子電圧が第6の閾値未満であるか否かを判断するステップと、装置ウェイクアップ信号があり、かつ、前記電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、前記充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、前記充電回路をオンにして、前記充電回路を第1のオン状態にするように制御するための第3の指令を出すステップと、をさらに含む。
【0012】
上記の実施例において、装置ウェイクアップ信号があるか否か、および電源端子電圧が第6の閾値未満であるか否かを判断することによって、装置ウェイクアップ信号があり、かつ電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、充電回路をオンにするように制御し、リチウム電池から鉛蓄電池を充電し、車両が長時間放置されたときに鉛蓄電池が電欠することによる車両が始動できなくなるという問題を回避した。
【0013】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否か、および前記電池に故障警報があるか否かを判断するステップを含み、前記装置ウェイクアップ信号があり、かつ、前記電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、第3の指令を出すステップは、装置ウェイクアップ信号があり、前記電源端子電圧が第6の閾値未満であり、前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きく、かつ、前記電池に故障警報がない場合、第3の指令を出すステップをさらに含む。
【0014】
上記の実施例において、電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否か、および電池に故障警報があるか否かを判断することによって、電池のSOCが第7の閾値よりも大きく、かつ電池に故障警報がない場合、充電回路をオンにするように制御し、リチウム電池の過放電や安全上の問題を回避した。
【0015】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記第1のオン状態において、前記充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、前記充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きい場合、前記充電回路の第1のスイッチングユニットをオフにして、前記充電回路をオフにするように制御するための第4の指令を出すステップと、をさらに含む。
【0016】
上記の実施例において、充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きいか否かを判断することによって、充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きい場合、充電回路をオフにするように制御し、車両が1回に始動するために必要な電力量を満たすまでリチウム電池から鉛蓄電池を充電することを確保するだけでなく、リチウム電池の過放電を回避することもできる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、前記電池のSOCが第7の閾値よりも大きい場合、前記電池の放電回路の第2のスイッチングユニットを閉路して、前記放電回路をオンにするように制御するための第5の指令を出すステップと、を含み、前記放電回路は、前記装置上の電池と受電機器とを接続する回路である。
【0018】
上記の実施例において、電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否かを判断することによって、電池のSOCが第7閾値よりも大きい場合、電池の放電回路のオンにするように制御し、リチウム電池の過放電を回避した。
【0019】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記電池の放電回路がオンになった後で、前記装置ウェイクアップ信号があるか否か、または前記電池に故障警報があるか否か、または前記電池のSOCが第7の閾値以下であるか否かを判断するステップと、前記装置ウェイクアップ信号がある場合、または前記電池に故障警報がある場合、前記電池のSOCが第7の閾値以下である場合、前記放電回路の第2のスイッチングユニットをオフにして、前記放電回路をオフにするように制御するための第6の指令を出すステップと、をさらに含む。
【0020】
上記の実施例において、装置ウェイクアップ信号がないか否か、または電池に故障警報があるか否か、または電池のSOCが第7の閾値以下であるか否かを判断することによって、装置ウェイクアップ信号がない場合、または電池に故障警報がある場合、または電池のSOCが第7の閾値以下である場合、放電回路をオンにするように制御し、リチウム電池の過放電と安全上の問題を回避した。
【0021】
本願の実施例の第2の態様により、上述した回路制御方法のステップを実行するための、単独または共同で動作する1つまたは複数のプロセッサを含む電池コントローラを提供する。
本願の実施例の第3の態様により、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を含み、ここに、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な指令が記憶されており、上述した回路制御方法のステップを前記少なくとも1つのプロセッサに実現させるように前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される電池管理システムを提供する。
【0022】
本願の実施例の第4の態様により、上述した電池コントローラ、または上述した電池管理システムを含む電池を提供する。
【0023】
本願の実施例の第5の態様により、電力量を供給するための上述した電池を含む受電装置を提供する。
【0024】
本願の実施例の第6の態様により、リチウム電池と、発電機と、車両ウェイクアップスイッチと、を含み、前記リチウム電池と前記発電機とが接続され、充電回路が形成され、前記リチウム電池は、車両ウェイクアップを取得するステップと、前記車両上のリチウム電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、前記充電回路が前記車両上のリチウム電池と発電機とを接続する回路であり、前記電源端子電圧が前記発電機の出力電圧であるステップと、前記車両上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、前記充電回路における第1のスイッチングユニットを閉路して、前記充電回路をオンにするように制御するための第1の指令を出すステップと、のために用いられる電池管理システムを含む、車両を提供する。
【0025】
上記の説明は、本願の技術内容の概要に過ぎず、本願の技術的手段をより明確に理解できるようにするために、明細書の内容に従って実施することを可能にし、さらに、本願の上記およびその他の目的、特徴および利点をより明らかに分かりやすくするために、以下、本願を実施するための形態を特に挙げている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本願の例示的な実施例の特徴、利点および技術効果を説明する。
【0027】
【
図1】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図2】
図1の方法を適用した受電装置の電力システム構成ブロック図である。
【
図3】
図1の方法を適用した電池の回路構成図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図5】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図7】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図8】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図9】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図10】本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
【
図11】本願のいくつかの実施例により提供される電池コントローラの概略構成図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例により提供される電池管理システムの概略構成図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例により提供される電池の概略構成図である。
【
図14】本願のいくつかの実施例により提供される電池の概略構成図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例により提供される受電装置の概略構成図である。
【
図16】本願のいくつかの実施例により提供される車両の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明瞭にするために、以下、本願の実施例中の図面と結合して、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、一部の実施例であることは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が進歩的な労力を行わずに取得した他の実施例の全ては、本願の特許請求の範囲に属する。
【0029】
別段の定義がない限り、本願で使用されるすべての技術と科学用語は、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本願では、出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を説明する目的にのみ使用され、本願を限定するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲および上記の図面に関する説明の「含む」、「有する」という用語およびそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図する。本願の明細書と特許請求の範囲または上記図面における「第1の」、「第2の」などの用語は、異なるオブジェクトを区別するためのものであり、特定の順序や主従関係を説明するためのものではない。本願の説明において、別段の説明がない限り、「複数」の意味は2つや2つ以上を指す。
【0030】
本願での「実施例」への言及は、実施例に説明される特定の特徴、構造または特性に合わせて、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な位置で当該フレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と相互排除する独立または代替の実施例でもない。当業者によって明示的および暗黙的に理解されるべきことは、本願に記載される実施例が他の実施例と組み合わせることができるということである。
【0031】
上述したように、本明細書で「含む/包含」という用語を使用する場合、前記特徴、整数、ステップ、またはアセンブリの存在を明確に示すために使用されるが、一つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、アセンブリ、またはグループ化された特徴、整数、ステップ、アセンブリの存在または追加を排除するものではないことを強調すべきである。コンテキストで明示されない限り、本願で使用されるように、単数形「一個」、「一つ」、「該」も複数形が含まれる。
【0032】
本明細書における「一つ」、「一個」は、一つを示すことができるが、「少なくとも一つ」または「一つまたは複数」の意味と一致することもできる。「約」という用語は、一般的に言及されている数値に10%を加算または減算することを示し、より具体的には5%を加算または減算することを示す。特許請求の範囲において使用される「または」という用語は、代替可能な解決手段のみを指すことを明示しない限り、「および/または」の意味を表す。
本願において、「および/または」という用語は、単に関連するオブジェクトの関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例えば、Aおよび/またはBは、Aだけが存在する、AとBが同時に存在する、Bだけが存在するという3つのケースを示すことができる。また、本願の文字「/」は、一般的に、前後に関連するオブジェクトが「または」の関係であることを示す。
【0033】
この分野で言及されている電池は、充電可能か否かによって使い捨て電池と充電可能電池に分けられる。使い捨て電池(Primary Battery)は、通称「使い切ればすぐに捨てる」電池および一次電池で、それらの電力量がなくなった後で、再充電して使用することができないため、廃棄するよりほかないためである。充電可能電池は、また二次電池(Secondary Battery)または二段電池、蓄電電池とも呼ばれる。充電可能電池の製造材料とプロセスは、使い捨て電池と異なり、充電後に何度もリサイクルできるという利点があり、充電可能電池の出力電流負荷力は、ほとんどの使い捨て電池よりも高い。現在よく見られる充電可能電池のタイプは、鉛蓄電池、ニッケル水素電池およびリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は、軽量、大容量(容量が同じ重量のニッケル水素電池の1.5倍~2倍である)、メモリエフェクトがないなどの利点があり、かつ、自己放電率も低いため、比較的高価であっても一般的に使用されている。
【0034】
本願の実施例に記載される電池とは、充電可能電池を意味する。以下、主に鉛蓄電池とリチウムイオン電池を例に本願の構想を説明する。他の任意の適切なタイプの充電可能電池が適用されることを理解すべきである。本願の実施例で言及されている電池とは、より高い電圧と容量を提供するために一つまたは複数の電池セル(セルと呼ばれてもよい)を含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本願で言及されている電池は、電池モジュールや電池パックなどを含むことができる。電池セルは、正極タブ、負極タブ、電解液とセパレータを含み、電池モジュールや電池パックを構成する基本的な構成ユニットである。リチウムイオン電池によく用いられる正極材料は、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウムおよび三元材料(例えば、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム)などであり、よく用いられる負極材料は、炭素材料(例えば、黒鉛)およびシリコン系材料などを含み、よく用いられるセパレータ材料は、ポリエチレン(polyethylene、PE)またはポリプロピレン(polypropylene、PP)が主であるポリオレフィン(Polyolefin)系材料を含む。電池セルは、一般的に、パッケージの方式により、円筒型電池セル、角形電池セルおよびソフトパック電池セルの3種類に分けられる。
【0035】
複数の電池セルは、電極端子を介して直列および/または並列に接続され、様々な適用シーンに使用することができる。電気自動車などの大電力適用の場合、電池の適用には電池セル、電池モジュール、電池パックの3つのレベルがある。電池モジュールは、外部からの衝撃、熱、振動などから電池セルを保護するために、一定数の電池セルを電気的に接続して一つのフレームに入れたものである。電池パックは、自動車に組み込まれた電池システムの最終状態である。現在のほとんどの電池パックは、1つまたは複数の電池モジュールに電池管理システム(Battery Management System、BMS)、熱管理部材などのさまざまな制御や保護システムを組み込んで作製されるものである。技術の発展に伴い、電池モジュールというレベルは、省略可能になり、つまり、電池セルから電池パックを直接形成する。この改善により、電池システムの重量エネルギ密度、体積エネルギ密度が向上すると同時に、部品点数が著しく低減される。本願で言及されている電池には、電池モジュールや電池パックが含まれている。
【0036】
現在、車両上の電源は、主にエンジンの始動に使われ、一般的に鉛蓄電池を電源として用いたり、リチウム電池を電源として用いたりしている。社会経済レベルの向上に伴い、車両に対して環境保護省エネと快適性の要求も次第に高まっているため、それに応じた車載設備も登場してきた。例えば、パーキングエアコンは、車内環境の空気温度、湿度、流速などの快適性に対するユーザの要求を満たす。そのため、車両上の電源は、様々な環境下でのエンジン始動の要求を満たすと同時に、車両の駐車時にパーキングエアコンなどの車載用電気機器に電力を供給する要求を満たす必要もある。
【0037】
鉛蓄電池は、価格が低く、品質が安定しているが、重量が大きく、自己放電率が高く、寿命が短い。リチウム電池は、軽量で小型で、自己放電率が低く、寿命が長いが、大容量で高倍率のリチウム電池は、価格が高く、低温でのエンジン始動要求を満たすことができない。そのため、通常、車両用始動・駐車電源として鉛蓄電池にリチウム電池を並列に接続したものを用い、ここに、鉛蓄電池は、主にエンジン始動に用いられ、リチウム電池は、主にパーキングエアコンに動力を供給する。
【0038】
しかし、車両用始動・駐車電源として鉛蓄電池にリチウム電池を並列に接続したものを用いた場合、リチウム電池充電回路のスイッチが閉路したときに車両を始動すると、リチウム電池充電回路で大電流放電を起こし、充電回路上のスイッチ(例えば、リレー)がスティッキングすることで、リチウム電池が過充電を起こし、電池が熱暴走し、電池が発火するなどの安全事故を引き起こす。
【0039】
上記に鑑み、本願は、回路制御方法、電池コントローラ、電池管理システム、電池、受電装置および車両を提供しつつ、以下にその設計を詳細に説明する。本願の実施例に記載されている回路制御方法、電池コントローラ、電池管理システム、電池は、電池を使用する様々な装置、特に車両に適用されることを理解することができる。以下の実施例は、説明しやすいために、車両への適用を例に説明する。
【0040】
図1は本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。この回路制御方法100は、受電装置内の電池に適用することができ、さらに、電池のBMSに適用することができ、以下、この方法を車両上の電池に適用するBMSを例に本願の構想を説明する。回路制御方法は、
S101であって、装置ウェイクアップ信号を取得するステップと、
S102であって、装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、充電回路が装置上の電池と発電機とを接続する回路であり、電源端子電圧が発電機の出力電圧であるステップと、
S103であって、装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御するための第1の指令を出すステップと、を含む。
【0041】
図2は
図1の方法を適用した受電装置の電力システム構成ブロック図である。
図2に示すものを参照し、受電装置は、駐車電源(本実施例において、リチウム電池を例にする)、鉛蓄電池、発電機、エンジン、車両ウェイクアップスイッチおよび受電機器を含む。リチウム電池の第1のポートP
11は、発電機、鉛蓄電池の第1のポートP
21にそれぞれ接続され、充電回路Aを形成し、リチウム電池の第2のポートP
12は、受電機器に接続され、リチウム電池と受電機器の間の放電回路Bを形成する。鉛蓄電池の第1のポートP
21は、エンジンにも接続されており、エンジン始動のために電力を供給する回路Cを形成する。リチウム電池の第3のポートP
13は、車両ウェイクアップスイッチに接続され、装置ウェイクアップ信号を受信するために用いられる。
【0042】
充電回路は、装置上の電池と発電機とを接続する回路であり、具体的には、
図2におけるリチウム電池と発電機、鉛蓄電池とを接続する充電回路Aとすることができる。
図3は
図1の方法を適用した電池の回路構成図であり、充電回路は、
図3における充電回路A1とすることができる。
【0043】
ウェイクアップ信号は、装置を始動するための電気信号であり、例えば、車両において、車両のキーホールのONレンジは、KL15であり、その一端は、車載電源に接続され、他端は、BMSに接続されている。点火前、KL15スイッチがオフで、信号入力がなく、BMSが作動せず、点火後、KL15スイッチが閉路し、電源管理チップが有効になりつつ、BMSにKL15ハードコードのウェイクアップ信号を送信してBMSをウェイクアップすることによって、車両を始動する。したがって、車両の中で装置ウェイクアップ信号は、KL15ハードコードのウェイクアップ信号であってもよく、車両の点火後にBMSがこの信号を取得する。
【0044】
装置ウェイクアップ信号があることは、充電回路がオンにされ得る第1の条件であり、装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きいことは、充電回路がオンにされ得る第2の条件であり、装置上の電池の充電回路の電源端子電圧の第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であることは、充電回路がオンにされ得る第3の条件である。
【0045】
ウェイクアップ信号がなく、第1の条件を満たさないと、車両が始動されていないことを示し、このとき、充電回路をオンにすると、上述のリチウム電池の充電回路で大電流放電を起こし、リチウム電池が過充電され、電池が熱暴走するという問題を引き起こす可能性がある。ウェイクアップ信号があり、第1の条件を満たすと、車両が始動されていることを示し、充電回路をオンにすることができる。
【0046】
車両が始動されていないときに充電回路がオンにされることをさらに回避するために、さらに、BMSで電池のいくつかのパラメータを収集するとともに、対応した判断を行う。例えば、電池の充電回路の電源端子電圧を収集することができる。電源端子電圧は、発電機の出力電圧であり、例えば、
図3における発電機の第1のポートに接続されているa点電圧である。a点は、充電回路A1上の第1のスイッチングユニットK1の外側に位置し(ここで「外」の意味とは、電池外部に接続されていることを指す)、a点の電圧は、充電回路A1上の第1のスイッチングユニットK1の外側電圧である。a点も鉛蓄電池の第1のポートに接続されているため、該外側電圧は、鉛蓄電池の電圧でもあることを理解することができる。a点をBMSのサンプリングポートに接続することで、a点電圧に対するサンプリングを実現することができる。第1のスイッチングユニットK1は、リレーなどの回路のオンとオフを実現可能な素子であってもよい。第1のスイッチングユニットは、リチウム電池の内部にあることを理解することができる。
【0047】
電池の充電回路の電源端子電圧に第1の閾値を設定することによって、該電圧が第1の閾値以下で、第2の条件を満たさず、車両が始動されていないことを示し、充電回路をオンにすることができない。該電圧が第1の閾値よりも大きく、第2の条件を満すと、車両が始動されていることを示し、充電回路をオンにすることができる。
【0048】
通常の場合、長時間駐車した後で、鉛蓄電池が静置した後の電圧は、リチウム電池の電圧よりも高くなる可能性がある。車両の始動後、エンジン回転数≧アイドリングになった後で、発電機の出力電圧は、正常な状態にあり、一般的に鉛蓄電池の静置後の最高電圧よりも高くなる。したがって、第1の閾値は、発電機の出力電圧および鉛蓄電池の静置後の最高電圧に基づいて設定することができる。第1の閾値は、発電機の出力電圧未満であり、および鉛蓄電池が満充電になってから一定時間以上静置した後の最高電圧よりも大きく設定することができる。例えば、発電機の出力電圧が28±0.3Vであり、鉛蓄電池が300s静置した後の最高電圧が29Vから26V程度に低下した場合、第1の閾値を26Vよりも大きく27.7Vよりも小さい値、例えば27Vに設定する。充電回路の電源端子電圧が第1の閾値以下であれば、車両は始動されていないことを示す。該電圧が第1の閾値よりも大きければ、車両は始動されていることを示す。上記の一定時間は、鉛蓄電池の静置後、電圧がある安定値まで低下する時間に基づいて設定することができ、例えば、該一定時間を鉛蓄電池の静置後、電圧がある安定値まで低下するのに必要な最短時間に設定する。
【0049】
鉛蓄電池は、満充電になって静置した後で、電圧がリチウム電池の電圧よりも高くなる可能性があるが、鉛蓄電池は、満充電になった後で、車両がストップした場合、すなわち鉛蓄電池の充電回路が切れた場合、一定時間静置すると、鉛蓄電池の電圧は、ある程度に低下する。したがって、電池の充電回路の電源端子電圧の第1の時間長内の変化率に第2の閾値を設定することによって、該変化率が第2の閾値以上であれば、第3の条件を満たさなず、車両が停電して始動されていないことを示し、充電回路をオンにすることができない。該変化率が第2の閾値未満であり、第3の条件を満たす場合、車両が始動されていることを示し、充電回路をオンにすることができる。
【0050】
BMSは、取得した電源端子電圧に基づいて、電源端子電圧の第1時間長内の変化率を計算するとともに、第2の閾値と比較することができる。第1の時間長は、鉛蓄電池が満充電になり、かつ、電源を切って静置した後の電圧変化率が顕著になる時間範囲に基づいて決定することができ、第2の閾値は、鉛蓄電池が満充電になった後の最高電圧と電源を切って静置した後の一定の時間長経過後の最高電圧との変化率の最小値に基づいて設定することができる。第2の閾値は、鉛蓄電池が満充電になった後の最高電圧と、電源を切って静置して一定の時間長経過後の最高電圧との変化率の最小値未満に設定することができる。例えば、鉛蓄電池の満充電後の電圧変化率が顕著な時間範囲が5分(300s)であれば、第1の時間長を300sとすることができる。鉛蓄電池の満充電後の最高電圧が29Vで、電源を切って300s静置した後、電圧が26Vまで低下した場合、第2の閾値を(29-26)/29=10.34%未満の値、例えば10%に設定することができる。
【0051】
以上により、S103は、上記の第1の条件、第2の条件および第3の条件がすべて満たされてはじめて、充電回路内の第1スイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御する。
【0052】
上記第1の条件、第2の条件および第3の条件のいずれかを満たさない場合、いずれも充電回路をオンにすることなく、充電回路のオフ状態を維持したり、充電回路をオフにしたりすることを理解することができる。
【0053】
BMS上の電池マネージメントユニット(Battery Management Unit、BMU)インターフェイスを介して、充電回路内の第1のスイッチングユニットに第1の指令を出すことによって、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御することができる。該第1の指令は、高低レベルの信号であってもよい。
【0054】
本願の実施例に係る回路制御方法は、装置ウェイクアップ信号、充電回路の電源端子電圧を取得するとともに、充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、装置始動され後にのみ装置ウェイクアップ信号があり、充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、および第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるため、この方法は、すべて上記の条件を満たした時に電池の充電回路をオンにするように制御することで、電池の充電回路がオンになった時に装置が既に始動されていることを可能にし、これにより、装置が始動されていない時に電池の充電回路がオンにされ、その後、装置が始動されると、電池の充電回路で大電流放電を起こし、充電回路上のスイッチがスティッキングすることを回避し、リチウム電池の過充電による電池の熱暴走を回避し、電池の安全性を向上させる。
【0055】
いくつかの実施例において、さらに、充電回路をオンにする他の条件を設定してもよい。
図4は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図4に示すように、該回路制御方法は、
S101であって、装置ウェイクアップ信号を取得するステップと、
S102であって、装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、充電回路が装置上の電池と発電機とを接続する回路であり、電源端子電圧が発電機の出力電圧であるステップと、
S403であって、電池のSOCが第3の閾値よりも大きいか否か、電池に故障警報があるか否か、および電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断するステップと、
S404であって、装置上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であり、電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、電池に故障警報がなく、かつ電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御するための第1の指令ステップと、を含む。
【0056】
ここに、S101およびS102の具体的な実現過程は、上記の実施例におけるS101およびS102と基本的に同じであり、実現過程は、上記の説明を参照することができる。
【0057】
電池のSOCが第3の閾値よりも大きいことは、充電回路がオンにされ得る第4の条件であり、電池に故障警報がないことは、充電回路がオンにされ得る第5の条件であり、電池の電池セル温度が第1の範囲にあることは、充電回路がオンにされ得る第6の条件である。
【0058】
SOCとは、充電状態(State of Charge)を指す。BMSは、リチウム電池のSOCを取得するとともに、SOCが第3の閾値よりも大きいか否かを判断する。第3の閾値は、リチウム電池が満充電になり、その充電回路がオフになった後で、電池セルの脱分極によるリチウム電池のセル電圧の低下した値に基づいて決定することができる。例えば、第3の閾値は、95%である。リチウム電池が満充電になり、その充電回路がオフになった後で、電池セルの脱分極により、リチウム電池のセル電圧が低下するため、このとき、充電回路を閉路すると、フローティング充電を引き起こしてしまう。したがって、SOCが第3の閾値よりも大きいことを充電回路がオンにされ得る第4の条件とし、SOCが第3の閾値よりも大きい場合にのみ充電回路をオンにするように制御することができ、上記のフローティングチャージの問題を回避した。
【0059】
電池に故障警報があれば、電池の充電操作ができなくなり、さもなければ、安全上の問題を招きやすい。電池に故障警報がなく、第五条件を満たす場合にのみ、充電回路をオンにするように制御することができ、安全上の問題を回避した。
【0060】
電池を充電するとき、その内部の電池セルは、温度が充電を許容する範囲内にあることを確保する必要があり、さもなければ、安全上の問題を招きやすい。第1の範囲は、この充電を許容する範囲であり、例えば0~55℃である。電池の電池セル温度が第1の範囲にあり、第6の条件を満たす場合にのみ、充電回路をオンにするように制御することができ、安全上の問題を回避した。
【0061】
上記の第4の条件、第5の条件および第6の条件は、前述の第1の条件、第2の条件および第3の条件とともに、充電回路のオンの可否を判断するための必要条件とされる。したがって、S404は、上記の条件がすべて満たされてはじめて、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御する。
【0062】
上記の条件のいずれかを満たさない場合、いずれも充電回路をオンにすることなく、これにより、充電回路のオフ状態を維持したり、充電回路をオフにしたりすることを理解することができる。
【0063】
上記の実施例において、電池のSOCが第3の閾値よりも大きいか否か、電池に故障警報があるか否か、および電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断することによって、電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、電池に故障警報がなく、かつ電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合にのみ電池の充電回路をオンにするように制御し、電池のフローティング充電や安全上の問題を回避することができる。
【0064】
いくつかの実施例において、電池の充電回路がオンになった後で、どのようにそのオフを制御するかという技術的解決手段も提供されている。
図5は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図5に示すように、該回路制御方法は、
S501であって、電池の充電回路がオンになった後で、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きいか否か、または電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上であるか否か、または電池に故障警報があるか否か、または電池セルの温度が第1の範囲にないか否かを判断するステップと、
S502であって、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きい場合、または電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上である場合、または電池に故障警報がある場合、または電池セルの温度が第1の範囲にない場合、充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、充電回路をオフにするように制御するための第2の指令を出すステップと、を含む。
【0065】
ここに、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きいことは、充電回路をオフにする必要がある第1の条件であり、電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上であることは、充電回路をオフにする必要がある第2の条件であり、電池に故障警報があることは、充電回路をオフにする必要がある第3の条件であり、電池セルの温度が第1の範囲にないことは、充電回路をオフにする必要がある第4の条件である。
【0066】
通常の場合、車両の始動後、電池の充電回路がオンにされ、発電機は、リチウム電池を充電する。車両のストップ後、鉛蓄電池の電圧が第1の閾値よりも大きければ(例えば、>27V)、このとき、鉛蓄電池は、リチウム電池を充電し、充電回路は、オンに維持される。ストップした後ですぐに始動されると、充電回路がオンであれば、充電回路で大電流放電を起こし、充電回路上のスイッチ(例えばリレー)がスティッキングし、それにより、リチウム電池を過充電してしまい、電池が熱暴走を引き起こし、電池が発火するなどの安全事故を引き起こす。そのため、このような場合に適した電池の充電回路をオフにするように制御する条件を設定する必要があり、例えば、車両がストップした(始動されていない)場合、電池の充電回路をオフにする必要がある。
【0067】
車両の始動後、発電機がリチウム電池を充電し、電池の充電電流が正常値であり、突然ストップすると充電電流が急速に0に落ちるので、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きいことを充電回路をオフにする必要がある第1の条件とし、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値以下で、第1の条件を満たさなければ、車両が始動されておりストップされないことを示し、充電回路をオフにする必要がなく、充電回路をオンに維持することができる。電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値りも大きく、第1の条件を満たす場合、車両がストップしたことを示し、充電回路をオフにする必要があり、上記のリチウム電池の過充電の問題を回避した。
【0068】
BMSは、取得した電池の充電電流に基づいて充電電流の第2の時間長内の変化率を計算し、第4の閾値と比較することができる。発電機の出力電流が正常値から無出力に変化するまである程度の時間長がかかるので、この時間と電流が正常値から無出力に変化する変化率に基づいて第2の時間長と第4の閾値を設定することができる。例えば、発電機の出力電流が正常値110Aから無出力0Aに変化するまで約1sかかるので、第2の時間長を1s、第4の閾値を110Aとすることができる。
【0069】
電池を充電するときに、過充電を防ぐために過充電保護が必要である。したがって、第5の閾値を設定することで電池の過充電保護を行うことができる。第5の閾値は、電池の過充電保護メカニズムに基づいて設定することができ、例えば、第5の閾値を3.65Vに設定する。電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上で、第2の条件を満たす場合、この場合に、充電回路をオフにする必要があり、リチウム電池の過充電を回避した。電池内の電池セルの電圧が第5の閾値未満であり、第2の条件を満たさない場合、充電回路をオフにする必要はなく、充電回路は、オンに維持されることができる。
【0070】
電池に故障警報があれば、電池の充電操作ができなくなり、さもなければ、安全上の問題を招きやすい。この場合、第3の条件を満たし、充電回路をオフにするように制御する必要があり、安全上の問題を回避した。
【0071】
電池を充電するとき、その内部の電池セルは、温度が充電を許容する範囲内にあることを確保する必要があり、さもなければ、安全上の問題を招きやすい。第1の範囲は、この充電を許容する範囲であり、例えば0~55℃である。電池の電池セル温度が第1の範囲になく、第4の条件を満たす場合、充電回路をオフにするように制御する必要があり、安全上の問題を回避した。
【0072】
上記第1の条件、第2の条件、第3の条件および第4の条件は、電池の充電回路がオンになった後で、充電回路をオフにする必要の有無を判断する十分条件とされる。したがって、S502は、上記のいずれかの条件を満たすと、充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、充電回路をオフにするように制御することができる。
【0073】
BMS上のBMUインターフェイスを介して、充電回路内の第1のスイッチングユニットに第2の指令を出すことによって、充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、充電回路をオフにするように制御することができる。該第2の指令は、高低レベルの信号であってもよい。
【0074】
いくつかの実施例において、回路制御方法は、
図1~
図4のいずれかの実施例におけるステップ、またはこれらの実施例のステップの組み合わせをさらに含んでもよいことを理解することができる。
【0075】
いくつかの実施例において、装置ウェイクアップ信号がない場合、車両が始動されていないことを示し、このとき、充電回路をオフにするように制御する必要もある。
【0076】
上記の実施例において、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きいか否か、または電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上であるか否か、または電池に故障警報があるか否か、または電池セルの温度が第1の範囲にないか否かを判断することによって、電池の充電電流の第2の時間長内の変化率が第4の閾値よりも大きい場合、または電池内の電池セルの電圧が第5の閾値以上である場合、または電池に故障警報がある場合、または電池セルの温度が第1の範囲にない場合、充電回路をオフにするように制御し、これにより、車両が始動されていない時に充電回路をオフにすることを確保して、リチウム電池の過充電や安全上の問題を回避した。
【0077】
上記の実施例において、電池のSOCが第3の閾値よりも大きいか否か、電池に故障警報があるか否か、および電池の電池セル温度が第1の範囲にあるか否かを判断することによって、電池のSOCが第3の閾値よりも大きく、電池に故障警報がなく、かつ電池の電池セル温度が第1の範囲にある場合にのみ電池の充電回路をオンにするように制御し、電池のフローティング充電や安全上の問題を回避することができる。
【0078】
鉛蓄電池は、その重量が大きく、自己放電率が高いため、毎月20%から30%に至ることができ、寿命が短い。車両を長時間放置すると、鉛蓄電池が電欠するため、車両を始動できなくなった。したがって、いくつかの実施例において、電池が長時間放置されて使用されないと、どのようにその充電回路をオンにするように制御するかについての技術的手段も提供されている。
図6は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図6に示すように、該回路制御方法は、
S601であって、装置ウェイクアップ信号があるか否か、および電源端子電圧が第6の閾値未満であるか否かを判断するステップと、
S602であって、装置ウェイクアップ信号があり、かつ、電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにして、充電回路を第1のオン状態にするように制御するための第3の指令を出すステップと、を含む。
【0079】
第6の閾値は、鉛蓄電池が電欠したときの電圧の最大値に基づいて設定することができ、第6の閾値を鉛蓄電池が電欠したときの電圧の最大値に設定することができる。例えば、鉛蓄電池の電欠状態での電圧が16V~22V程度であれば、第6の閾値を22Vに設定することができる。電源端子電圧がこの値未満である場合、鉛蓄電池が電欠状態にあることを示し、充電回路をオンにし、鉛蓄電池を充電することができ、後続車両の始動に電力を供給し、鉛蓄電池の使用寿命を延ばし、車両の放置時間を延ばすことができる。
【0080】
ここに、装置ウェイクアップ信号があることは、充電回路がオンにされ得る第1の条件であり、電源端子電圧が第6の閾値未満であることは、充電回路がオンにされ得る第2の条件である。この第1の条件と第2の条件は、共に充電回路のオンの可否を判断するための必要条件とされる。したがって、S602は、上記の条件がすべて満たされてはじめて、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して充電回路をオンにするように制御する。
【0081】
上記の条件のいずれかを満たさない場合、いずれも充電回路をオンにすることなく、これにより、充電回路のオフ状態を維持したり、充電回路をオフにしたりすることを理解することができる。
【0082】
BMS上のBMUインターフェイスを介して、充電回路の第1スイッチングユニットに第3の指令を出すことによって、充電回路の第1スイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御することができる。この第3の指令は、高低レベルの信号であってもよい。
【0083】
いくつかの実施例において、ステップS602において、装置ウェイクアップ信号があり、かつ電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、充電回路をオンにするように時間tだけ遅延して第3の指令を出すなどの遅延条件を加えてもよい。キーが車両上のキーホールに挿入されて回転させられると、まずACCレンジに位置し、この時(まだ発火するONレンジに至らない)、BMSは、装置ウェイクアップ信号(KL15)を検出することができ、この時に、電源端子電圧が第6の閾値未満であることを検出すると、充電回路をオンにするように第3の指令を出す。充電回路がオンになった状態で発火して車両を始動させると、リチウム電池から放電してエンジンを始動させるとともに、前述した電池が熱暴走し、電池が発火するなどの安全事故を引き起こす。そのため、一定の遅延時間tを設定し、さらに充電回路をオンにすることによって、電池の充電回路がオンにされるときに車両が既に始動されることを可能にし、車両が始動されていない時に電池の充電回路がオンにされ、後続の車両の始動時に電池の充電回路で大電流放電を起こし、充電回路上のスイッチがスティッキングすることを回避し、リチウム電池の過充電による電池の熱暴走を回避し、電池の安全性を向上させる。遅延時間tは、ACCレンジからONレンジまでのキーの操作時間長を満たすように設定され、例えば10s、30s、60sに設定されることができる。いくつかの実施例において、回路制御方法は、
図1~
図5のいずれかの実施例におけるステップ、またはこれらの実施例のステップの組み合わせをさらに含んでもよいことを理解することができる。
【0084】
上記の実施例において、装置ウェイクアップ信号があるか否か、および電源端子電圧が第6の閾値未満であるか否かを判断することによって、装置ウェイクアップ信号があり、かつ電源端子電圧が第6の閾値未満である場合、充電回路をオンにするように制御し、リチウム電池から鉛蓄電池を充電し、車両が長時間放置されたときに鉛蓄電池が電欠して車両が始動できなくなるという問題を回避した。
【0085】
いくつかの実施例において、
図6に示す実施形態に加えて、充電回路をオンにする他の条件を設定してもよい。
図7は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図7に示すように、該回路制御方法は、
S701であって、装置ウェイクアップ信号があるか否か、および電源端子電圧が第6の閾値未満であるか否かを判断するステップと、
S702であって、電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否か、および電池に故障警報があるか否かを判断するステップと、
S703であって、装置ウェイクアップ信号があり、電源端子電圧が第6の閾値未満であり、電池のSOCが第7の閾値よりも大きく、かつ、電池に故障警報がない場合、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにして、充電回路を第1のオン状態にするように制御するための第3の指令を出すステップと、を含む。
【0086】
S701の具体的な実現過程は、上記の実施例におけるS601と基本的に同じであり、実現過程は、上記の説明を参照することができる。
【0087】
電池のSOCが第7の閾値よりも大きいことは、充電回路がオンにされ得る第3の条件であり、電池に故障警報がないことは、充電回路がオンにされ得る第4の条件である。
【0088】
車両を長時間放置した場合、リチウム電池から鉛蓄電池を充電し続けると、リチウム電池が過放電する可能性がある。過放電によりリチウム電池の内圧を上昇させ、正負極活物質の可逆性が破壊され、容量も著しく減衰する。したがって、第7の閾値を設定することによって、電池のSOCが第7の閾値以下であれば、電池が再放電に適さなくなったことを示し、このとき、第3の条件を満たさなくなり、充電回路をオンにすることができなくなり、車両が長時間放置されたときにリチウム電池から鉛蓄電池を充電し続けることによるリチウム電池の過放電を回避した。電池のSOCが第7の閾値よりも大きい場合にのみ、充電回路をオンにし、リチウム電池から鉛蓄電池を充電する。第7の閾値は、リチウム電池の放電遮断SOC値に基づいて設定することができる。例えば、第7の閾値を15%に設定する。
【0089】
電池に故障警報があれば、電池の充電操作ができなくなり、さもなければ、安全上の問題を招きやすい。電池に故障警報がなく、第4の条件を満たしてはじめて、充電回路をオンにするように制御して、安全上の問題を回避した。
【0090】
上記の第3の条件と第4の条件は、S601における第1の条件、第2の条件とともに、充電回路のオンの可否を判断するための必要条件とされる。したがって、S703は、上記の条件がすべて満たされてはじめて、充電回路内の第1のスイッチングユニットを閉路して、充電回路をオンにするように制御する。
【0091】
上記の条件のいずれかを満たさない場合、いずれも充電回路をオンにすることなく、これにより、充電回路のオフ状態を維持したり、充電回路をオフにしたりすることを理解することができる。
【0092】
上記の実施例において、電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否か、および電池に故障警報があるか否かを判断することによって、電池のSOCが第7の閾値よりも大きく、かつ電池に故障警報がない場合に充電回路をオンにするように制御し、リチウム電池の過放電や安全上の問題を回避した。
【0093】
いくつかの実施例において、電池を長時間放置してその充電回路をオンにするように制御した後で、どのように充電回路をオフにするように制御するかという技術的手段も提供されている。
図8は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図8に示すように、該回路制御方法は、
S801であって、第1のオン状態において、充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、
S802であって、充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きい場合、充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、充電回路をオフにするように制御するための第4の指令を出すステップと、を含む。
【0094】
充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きいことは、充電回路をオフにする必要がある第1の条件である。第1のオン状態は、
図6または
図7に示す実施例における第1のオン状態、すなわち、
図1~
図5に示す実施例に係る充電回路のオン状態と区別するように、電池を長時間放置した後で、電池の充電回路をオンにするように制御し、この時の充電回路のオン状態である。
【0095】
車両が長時間放置された後で、鉛蓄電池の電欠による車両が始動できなくなるという問題を解決するために、上記の
図6~
図7に示す実施例により、リチウム電池から鉛蓄電池を充電することができる。車両が1回に始動するために必要な電力量を満たすまでリチウム電池から鉛蓄電池を充電すると、充電を停止することができる。したがって、第8の閾値を設定することによって、充電回路のオン時間がこの第8の閾値よりも大きくなったとき、鉛蓄電池の電力量が車両が一回に始動するために必要な電力量を満たしていることを示し、充電回路をオフにして、充電を停止することができる。第8の閾値は、車両が1回に始動するために必要な電力量を満たすまで鉛蓄電池を充電する時間に基づいて設定することができる。
【0096】
BMS上のBMUインターフェイスを介して、充電回路内の第1のスイッチングユニットに第4の指令を出すことによって、充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、充電回路をオフにするように制御することができる。この第4の指令は、高低レベルの信号であってもよい。
【0097】
いくつかの実施例において、充電回路をオフにする他の条件をさらに設定してもよく、例えば、装置ウェイクアップ信号がないことは、充電回路をオフにする必要がある第2の条件であり、電池に故障警報がないことは、充電回路をオフにする必要がある第3の条件である。上記の第1の条件、第2の条件および第3の条件は、電池の充電回路がオンになった後、充電回路をオフにする必要の有無を判断する十分条件とされる。上記のいずれかの条件が満たされると、充電回路内の第1のスイッチングユニットをオフにして、充電回路をオフにするように制御することができる。
【0098】
上記の実施例において、充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きいか否かを判断することによって、充電回路のオン時間が第8の閾値よりも大きい場合、充電回路をオフにするように制御し、車両が1回に始動するために必要な電力量を満たすまでリチウム電池から鉛蓄電池を充電することを確保するだけでなく、リチウム電池の過放電を回避することもできる。
【0099】
いくつかの実施例において、どのように電池の放電回路をオンにするように制御するかという技術的解決手段も提供されている。
図9は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図9に示すように、該回路制御方法は、
S901であって、電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否かを判断するステップと、
S902であって、電池のSOCが第7の閾値よりも大きい場合、電池の放電回路内の第2のスイッチングユニットを閉路して、放電回路をオンにするように制御するための第5の指令を出し、放電回路が装置上の電池と受電機器とを接続する回路であるステップと、を含む。
【0100】
ここに、放電回路は、装置上の電池と受電機器とを接続する回路であり、具体的には、
図2におけるリチウム電池と受電機器とを接続する放電回路B、
図3における放電回路B1とすることができる。第2のスイッチングユニットは、
図2におけるK2であってもよく、リレーなどの回路のオンとオフを実現する素子であってもよい。第2のスイッチングユニットは、リチウム電池の内部にあることを理解することができる。
【0101】
電池のSOCが第7の閾値よりも大きいことは、放電回路がオンにされ得る第1の条件である。
【0102】
リチウム電池は、受電機器に電力を供給する電源であり、例えば、パーキングエアコンに動力を供給する電池である。受電機器が長時間動作している場合、リチウム電池から受電機器に電力を供給し続けると、リチウム電池が過放電する可能性がある。過放電によりリチウム電池の内圧を上昇させ、正負極活物質の可逆性が破壊され、容量も著しく減衰する。したがって、第7の閾値を設定することによって、電池のSOCが第7の閾値以下であれば、電池が放電に適さなくなったことを示し、このとき、第1の条件を満たさなくなり、放電回路をオンにすることができなくなり、リチウム電池が受電機器に電力を供給し続けることによるリチウム電池の過放電を回避した。電池のSOCが第7の閾値よりも大きい場合にのみ、放電回路をオンにし、リチウム電池は、受電設備に電力を供給する。第7の閾値は、リチウム電池の放電遮断SOC値に基づいて設定することができる。例えば、第7の閾値を15%に設定する。
【0103】
BMS上のBMUインターフェイスを介して、放電回路内の第2のスイッチングユニットに第5の指令を出すことによって、放電回路内の第2のスイッチングユニットを閉路して、放電回路をオンにするように制御することができる。該第5の指令は、高低レベルの信号であってもよい。
【0104】
いくつかの実施例において、放電回路をオンにする他の条件を設定してもよく、例えば、装置ウェイクアップ信号があることは、放電回路がオンにされ得る第2の条件であり、電池に故障警報がないことは、放電回路がオンにされ得る第3の条件である。第1の条件、第2の条件および第3の条件とともに、放電回路のオンの可否を判断するための必要条件とされる。上記の条件がすべて満たされてはじめて、放電回路内の第2のスイッチングユニットを閉路して、放電回路をオンにするように制御する。
【0105】
上記の条件のいずれかを満たさない場合、いずれも放電回路をオンにすることなく、これにより、放電回路のオフ状態を維持したり、放電回路をオフにしたりすることを理解することができる。
【0106】
上記の実施例において、電池のSOCが第7の閾値よりも大きいか否かを判断することによって、電池のSOCが第7の閾値よりも大きい場合、電池の放電回路のオンにするように制御し、リチウム電池の過放電を回避した。
【0107】
いくつかの実施例において、電池の放電回路がオンになった後で、どのようにそのオフを制御するかという技術的解決手段も提供されている。
図10は、本願のいくつかの実施例により提供される回路制御方法のフローチャートである。
図10に示すように、該回路制御方法は、
S1001であって、電池の放電回路がオンになった後で、装置ウェイクアップ信号がないか否か、または電池に故障警報があるか否か、または電池のSOCが第7の閾値以下であるか否かを判断するステップと、
S1002であって、装置ウェイクアップ信号がない場合、または電池に故障警報がある場合、または電池のSOCが第7の閾値以下である場合、放電回路内の第2スイッチング部をオフにして、放電回路をオフにするように制御するための第6の指令を出すステップと、を含む。
【0108】
ここに、装置ウェイクアップ信号がないことは、放電回路をオフにする必要がある第1の条件であり、電池に故障警報があることは、放電回路をオフにする必要がある第2の条件であり、電池のSOCが第7の閾値以下であることは、放電回路をオフにする必要がある第3の条件である。
【0109】
装置ウェイクアップ信号がない場合、車両が始動されていないことを示す。このとき、リチウム電池から電気機器に電力を供給する必要はなく、第1の条件を満たさず、放電回路をオンにするように制御する必要はない。
【0110】
電池に故障警報があれば、電池の放電操作ができなくなり、さもなければ、安全上の問題を招きやすい。このとき、第2の条件を満たし、放電回路をオフにするように制御する必要があり、安全上の問題を回避した。
【0111】
受電機器が長時間動作している場合、リチウム電池から受電機器に電力を供給し続けると、リチウム電池が過放電する可能性がある。過放電によりリチウム電池の内圧を上昇させ、正負極活物質の可逆性が破壊され、容量も著しく減衰する。したがって、第7の閾値を設定することによって、電池のSOCが第7の閾値以下であれば、電池が放電に適さなくなったことを示し、このとき、第3の条件を満たし、放電回路をオフにする必要があり、これにより、リチウム電池が受電機器に電力を供給し続けることによるリチウム電池の過放電を回避した。第7の閾値は、リチウム電池の放電遮断SOC値に基づいて設定することができる。例えば、第7閾値を15%に設定する。
【0112】
上記の第1の条件、第2の条件および第3の条件は、電池の放電回路がオンになった後で、放電回路をオフにする必要の有無を判断する十分条件とされる。したがって、S1002は、上記のいずれかの条件が満たされると、放電回路内の第2のスイッチングユニットをオフにして、放電回路をオフにするように制御することができる。
【0113】
BMS上のBMUインターフェイスを介して、放電回路内の第2のスイッチングユニットに第6の指令を出すことによって、放電回路内の第2のスイッチングユニットをオフにして放電回路をオフにするように制御することができる。該第6の指令は、高低レベルの信号であってもよい。
【0114】
いくつかの実施例において、回路制御方法は、
図9に示す実施例におけるステップをさらに含んでもよいことを理解することができる。
【0115】
上記の実施例において、装置ウェイクアップ信号がないか否か、または電池に故障警報があるか否か、または電池のSOCが第7の閾値以下であるか否かを判断することによって、装置ウェイクアップ信号がない場合、または電池に故障警報がある場合、または電池のSOCが第7の閾値以下である場合、放電回路をオフにするように制御し、リチウム電池の過放電と安全上の問題を回避した。
【0116】
以上、
図1~
図10を参照して本願の実施例に係る回路制御方法について説明したが、以下、
図11を参照して本願の実施例に係る電池コントローラについて説明し、ここに、詳細に説明されない部分について、上記の各実施例を参照することができる。
図11は、本願のいくつかの実施例により提供される電池コントローラの概略構成図であり、
図11に示すように、電池コントローラ1100は、上記の実施例に係る回路制御方法のステップを実行するための、単独または共同で動作する1つまたは複数のプロセッサ1101を含む。
【0117】
以下、
図12を参照して、本願の実施例に係る電池管理システムを説明し、ここに、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
図12は、本願のいくつかの実施例により提供される電池管理システムの概略構成図であり、
図12に示すように、電池管理システム1200は、少なくとも1つのプロセッサ1201と、前記少なくとも1つのプロセッサ1201と通信接続されるメモリ1202と、を含み、ここに、前記メモリ1202には前記少なくとも1つのプロセッサ1201により実行可能な指令が記憶されており、上記の実施例に係る回路制御方法のステップを前記少なくとも1つのプロセッサ1201に実現させるように前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサ1201により実行される。
【0118】
以下、
図13を参照して、本願の実施例に係る電池を説明し、ここに、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
図13は、本願のいくつかの実施例により提供される電池の概略構成図であり、
図13に示すように、電池1300は、
図11に示す電池コントローラ1100を含む。
【0119】
以下、
図14を参照して、本願の実施例に係る電池を説明し、ここに、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
図14は、本願のいくつかの実施例により提供される電池の概略構成図であり、
図14に示すように、電池1400は、
図12に示す電池管理システム1200を含む。
【0120】
以下、
図15を参照して、本願の実施例に係る受電装置を説明し、ここに、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
図15は、本願のいくつかの実施例により提供される受電装置の概略構成図であり、
図15に示すように、受電装置1500は、以上の実施例に係る電池1300または電池1400を含む。
【0121】
以下、
図16を参照して、本願の実施例に係る車両を説明し、ここに、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
図16は、本願のいくつかの実施例により提供される車両の概略構成図であり、
図16に示すように、車両1600は、リチウム電池1601と、発電機1602と、車両ウェイクアップスイッチ1603とを含み、ここに、前記リチウム電池1601と前記発電機1602とが接続され、充電回路が形成され、前記リチウム電池1601は、
車両ウェイクアップを取得するステップと、
前記車両上のリチウム電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満であるか否かを判断し、前記充電回路が前記車両上のリチウム電池と発電機とを接続する回路であり、前記電源端子電圧が前記発電機の出力電圧であるステップと、
前記車両上の電池の充電回路の電源端子電圧が第1の閾値よりも大きく、かつ、第1の時間長内の変化率が第2の閾値未満である場合前記充電回路における第1のスイッチングユニットを閉路して前記充電回路をオンにするように制御するための第1の指令を出すステップと、のために用いられる電池管理システム1604を含む。
【0122】
最後に、以上の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するものではないことを説明しなければならない。上記の各実施例を参照して本願を詳しく説明したが、当業者であれば、依然として上記の各実施例に記載された技術的解決手段を補正したり、その中の構成要件の一部または全部を均等に置換したりすることができることを理解すべきであり、これらの補正または置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるはずではなく、いずれも本願の特許請求の範囲および明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構造的にコンフリクトがない限り、各実施例で言及される各構成要件を、任意の態様で組み合わせてもよい。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に収まられる全ての技術的解決手段を含む。