(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】物体を分析する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240306BHJP
【FI】
G06T7/00 660Z
(21)【出願番号】P 2023557031
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2022055959
(87)【国際公開番号】W WO2022194623
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-15
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パレロ ジョナサン アランブラ
(72)【発明者】
【氏名】ダモダラン マシヴァナン
(72)【発明者】
【氏名】ブールキン ヤニク パルリアン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】フェルハーフェン リエコ
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-73122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/154024(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/305784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面を含む物体を分析する方法であって、前記方法は、
少なくとも2つの照明源から提供される照明で前記物体を照明するステップであって、各前記照明源は、少なくとも1つの明確に異なる固有の特性で規定され
、前記少なくとも1つの明確に異なる固有の特性は波長を含む、照明するステップと、
変調関数に従って、各前記照明源から提供される照明を時間的に変調するステップであって、各前記照明源の前記変調関数は周期変調関数であり、各前記周期変調関数はローリングシャッター画像センサのフレームレートの整数倍でない周波数を有する、変調するステップと、
前記ローリングシャッター画像センサを使用して、前記物体を表す
第1の複数の画像フレーム
及び第2の複数の画像フレームを捕捉するステップ
であって、前記第1及び第2の複数の画像フレーム各々は少なくともn+1枚の画像フレームを含み、nは前記照明源の数であり、前記ローリングシャッター画像センサは明確に規定された一定のフレームレートを有する、捕捉するステップと、
前記
第1の複数の画像フレーム
及び第2の複数の画像フレームを、対応する前記照明源からの照明下の前記物体を各々表す
第1及び第2の複数の成分画像と、周囲光条件下の前記物体を表す
第1及び第2の周囲画像とに多重分離するステップ
であって、第1及び第2の複数の成分画像と、前記第1及び第2の周囲画像とは、バイナリ画像マスクを介して作成され、前記バイナリ画像マスクは各前記照明源の前記変調関数及び前記ローリングシャッター画像センサの前記フレームレートから推定される空間強度関数を使用して生成され、
各前記成分画像及び各前記周囲画像は対応する複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルの各々は、ピクセル値を有し、前記成分画像内及び前記周囲画像内のそれぞれの前記ピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定される、多重分離するステップと、
各前記ピクセルインデックスにおいて、前記周囲画像各々の前記ピクセル値を前記成分画像各々の前記ピクセル値から差し引くことで、各前記第1の成分画像に対する第1の周囲光補正画像と各前記第2の成分画像に対する第2の周囲光補正画像とを生成するステップと、
各前記ピクセルインデックスにおいて、前記周囲光補正画像のピクセル値に関連付けられた生理学的パラメータを決定することで、前記第1の周囲光補正画像及び前記第2の周囲光補正画像から生理学的成分マップを生成するステップと、
前記第1の周囲光補正画像と前記第2の周囲光補正画像との間の前記生理学的成分マップの変化をモニタリングするステップとを含み、
前記生理学的パラメータが、酸素化ヘモグロビンレベル、脱酸素ヘモグロビンレベル、及びメラニンレベルからなる群から選択される、
方法。
【請求項2】
各前記変調関数は、位相、波形、及びデューティサイクルを有し、前記ローリングシャッター画像センサは、フレーム捕捉レートを有し、各前記変調関数の周波数は、前記フレーム捕捉レートよりも大きく、且つ前記フレーム捕捉レートの非整数倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各前記照明源の前記固有の特性は、前記ローリングシャッター画像センサに対する相対位置及び/又は波長を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各前記照明源の前記固有の特性は、前記ローリングシャッター画像センサに対する相対位置を含み、
各前記成分画像は、対応する複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルの各々は、ピクセル値を有し、前記成分画像内の前記ピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定され、
前記方法は更に、
各ピクセルインデックスにおいて、前記成分画像内の対応する場所におけるピクセル値に基づいて、反射のないピクセル値を計算することで、前記成分画像から鏡面反射のない画像及び/又は鏡面反射のみの画像を生成するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各前記照明源の前記固有の特性は、前記ローリングシャッター画像センサに対する相対位置を含み、
各前記成分画像及び前記周囲画像は、対応する複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルの各々は、ピクセル値を有し、前記成分画像内及び前記周囲画像内の前記ピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定され、
前記方法は更に、
各前記ピクセルインデックスについて、前記ピクセルインデックスにおける前記物体の表面に垂直なベクトルのx成分、y成分、及びz成分を決定するステップと、
各前記ピクセルインデックスにおいて、前記x成分、前記y成分、及び前記z成分に基づいて深度値を計算することで、前記成分画像及び前記周囲画像から深度マップを生成するステップと、
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の照明源のうちの少なくとも1つは、光源の集合体を含み、各前記光源は明確に異なる波長によって規定され、前記方法は更に、前記成分画像を、対応する前記光源からの照明下の前記物体を各々が表す複数の光画像に多重分離するステップを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
物体を分析するシステムであって、前記システムは、
各照明源が少なくとも1つの明確に異なる固有の特性によって規定される、複数の照明源と、
ローリングシャッター画像センサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータ可読命令を含む少なくとも1つのメモリと、
を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記コンピュータ可読命令を読み取り、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法を実行させる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を分析する方法及びシステムに関する。特に、排他的ではないが、本方法及びシステムは、人間の顔や皮膚の表面などの物体の経時的な分析に適している。
【背景技術】
【0002】
物体の分析には通常、カメラによって捕捉された画像の分析が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、画像に歪みがあったり、アーチファクトが生じたりする場合があり、物体の変化を経時的にモニタリングするための画像間の有用な比較が困難になる。
【0004】
これまでに検討されてきた物体の分析方法及びシステムは通常、非常に複雑で、実験室又は臨床環境に限定されている。このようなシステムは複雑なスペクトルカメラを備え、周囲光条件を厳密に制御する必要がある。
【0005】
米国特許第9,479,251号には、変調光の検出方法が開示されている。この方法は、画像収集設定を有するローリングシャッターカメラを使用して収集した画像のセットを受信することと、上記画像の連続フレームにおいて、変調光源の変調周波数fcとラインレートとの比率によって決定されるパターンを特定し、連続フレーム間で、上記変調周波数fcと上記フレームレートとの比率によって決定される上記パターンの空間シフトを特定することと、上記パターンと、その空間シフトとに基づき、上記光源からの変調光振幅の推定値を提供することとを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の特定の態様によれば、物体を分析する方法が提供される。この方法は、少なくとも2つの照明源から提供される照明で物体を照明するステップであって、各照明源は、少なくとも1つの明確に異なる固有の特性で規定されている、照明するステップと、変調関数に従って、各照明源から提供される照明を時間的に変調するステップと、ローリングシャッター画像センサを使用して、物体を表す複数の画像フレームを捕捉するステップと、複数の画像フレームを、対応する照明源からの照明下の物体を各々表す複数の成分画像と、周囲光条件下の物体を表す周囲画像とに多重分離するステップとを含む。
【0007】
複数の画像フレームの各々は、対応する複数のピクセルを含み得る。複数のピクセルの各々は、画像フレーム内のピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定され得る。複数の画像フレームには、照明源の少なくとも3倍の画像フレームに、更に3つの画像フレームを足したものが含まれる(即ち、「n」個の照明源がある場合、少なくとも3n+3枚の画像フレームある)。他の実施例では、周囲光が一定であるか又は時間的に変調されていないと仮定される場合は、複数の画像フレームには、照明源の少なくとも3倍の画像フレームに、更に1つの画像フレームを足したものが含まれる(即ち、「n」個の照明源がある場合、少なくとも3n+1枚の画像フレームがある)。更に別の実施例では、複数の画像フレームには、周囲光が一定であると仮定される場合は、少なくとも照明源と同数の画像フレームに、更に1つの画像フレームを足したものが含まれる(即ち、「n」個の照明源がある場合、少なくともn+1枚の画像フレームがある)か、又は、周囲光が変調されている場合は、少なくとも照明源と同数の画像フレームに、更に3つの画像フレームを足したものが含まれる(即ち、「n」個の照明源がある場合、少なくともn+3枚の画像フレームがある)。
【0008】
これらの実施例の各々では、各照明源の変調関数は、複数の画像フレームの各々について、同じピクセルインデックスにおける対応する各ピクセルが捕捉されるときに物体の照明が異なるように構成される。
【0009】
各照明源の変調関数は、周期関数であり得る。各周期変調関数は、ローリングシャッター画像センサのフレームレートの整数倍ではない周波数を有し得る。各変調関数は、位相、波形、及びデューティサイクルを有し得、ローリングシャッター画像センサは、フレーム捕捉レートを有する。各変調関数の周波数は、フレーム捕捉レートよりも大きく、且つフレーム捕捉レートの非整数倍であり得る。
【0010】
各照明源の固有の特性は、ローリングシャッター画像センサに対する相対位置及び/又は波長を含み得る。
【0011】
各照明源の固有の特性は、画像センサに対する相対位置を含み得、各成分画像は、対応する複数のピクセルを含み得、複数のピクセルの各々は、ピクセル値を有し、成分画像内のピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定される。上記の方法は更に、各ピクセルインデックスにおいて、成分画像内の対応する場所におけるピクセル値に基づいて、反射のないピクセル値を計算することで、成分画像から鏡面反射のない画像及び/又は鏡面反射のみの画像を生成するステップを含み得る。
【0012】
各照明源の固有の特性は、画像センサに対する相対位置を含み得、各成分画像及び周囲画像は、対応する複数のピクセルを含み、複数のピクセルの各々は、ピクセル値を有し、成分画像内及び周囲画像内のピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定される。上記の方法は更に、各ピクセルインデックスについて、ピクセルインデックスにおける物体の表面に垂直なベクトルのx成分、y成分、及びz成分を決定するステップと、各ピクセルインデックスにおいて、x成分、y成分、及びz成分に基づいて深度値を計算することで、成分画像及び周囲画像から深度マップを生成するステップとを含み得る。
【0013】
各成分画像及び周囲画像は、対応する複数のピクセルを含み得、複数のピクセルの各々は、ピクセル値を有し、成分画像内及び周囲画像内のピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定される。上記の方法は更に、各ピクセルインデックスにおいて、周囲画像のピクセル値を対応する成分画像のピクセル値から差し引くことで、各成分画像の周囲光補正画像を生成するステップを含み得る。
【0014】
物体は皮膚表面を含み得、各照明源の固有の特性は波長を含み得る。上記の方法は更に、各ピクセルインデックスにおいて、周囲光補正画像のピクセル値に関連付けられた生理学的パラメータを決定することで、周囲光補正画像から生理学的成分マップを生成するステップを含み得る。
【0015】
生理学的パラメータは、酸素化ヘモグロビンレベル、脱酸素ヘモグロビンレベル、及びメラニンレベルからなる群から選択され得る。
【0016】
複数の画像フレームは第1の複数の画像フレームであり得、成分画像は第1の成分画像であり得、周囲画像は第1の周囲画像であり得る。上記の方法は更に、ローラーシャッター画像センサを使用して、物体を表す第2の複数の画像フレームを捕捉するステップを含み得る。上記の方法は更に、第2の複数の画像フレームを第2の成分画像と第2の周囲画像とに多重分離するステップを含み得る。
【0017】
周囲光補正画像は、第1の周囲光補正画像であり得る。上記の方法は更に、各第2の成分画像に、第2の周囲光補正画像を生成するステップを含み得る。上記の方法は更に、第2の周囲光補正画像から生理学的成分マップを生成するステップを含み得る。上記の方法は更に、第1の周囲光補正画像と第2の周囲光補正画像との間の生理学的成分マップの変化をモニタリングするステップを含み得る。
【0018】
複数の照明源のうちの少なくとも1つは、光源の集合体を含み得る。各光源は、明確に異なる波長によって規定され得る。上記方法は更に、成分画像を、対応する光源からの照明下の物体を各々が表す複数の光画像に多重分離するステップを含み得る。
【0019】
第2の態様によれば、コンピュータ可読命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。このコンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されると、第1の態様による方法を実行させる。
【0020】
第3の態様によれば、コンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、コンピュータによって読み取られると、第1の態様による方法を実行させる。
【0021】
第4の態様によれば、物体を分析するシステムが提供される。このシステムは、複数の照明源であって、各照明源は、少なくとも1つの明確に異なる固有の特性によって規定される、複数の照明源と、ローリングシャッター画像センサと、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ可読命令を含む少なくとも1つのメモリと、を含み、少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータ可読命令を読み取り、第1の態様による方法を実行させる。
【0022】
これらの及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
模範的な実施形態を、ほんの一例としてのみ、次の図面を参照して説明する。
【0024】
【
図2a】
図2aは、物体を分析する方法の第1の例のフローチャートである。
【
図2b】
図2bは、
図2aの第1の例の方法に従って捕捉され多重分離された複数の画像フレーム例を示す。
【
図2c】
図2cは、空間照明パターンと共に捕捉された画像フレーム例を示す。
【
図3a】
図3aは、物体を分析する方法の第2の例のフローチャートである。
【
図3b】
図3bは、
図3aの第2の例の方法に従って鏡面反射のない画像を生成するために捕捉され処理された複数の画像フレーム例を示す。
【
図3c】
図3cは、
図3aの第2の例の方法に従って生成された深度マップを生成するために捕捉され処理された複数の画像フレーム例を示す。
【
図4】
図4は、物体を分析する方法の第3の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、物体20を分析するシステム10を示す。システム10は、ローリングシャッター画像センサ12、複数の照明源14、24、プロセッサ16、及び(コンピュータ可読命令を含む)メモリ180を含む。
【0026】
この実施例では、複数の照明源14、24は、第1の照明源14と第2の照明源24とで構成されている。各照明源14、24は、明確な固有の特性によって規定される。この実施例では、この固有の特性には、ローリングシャッター画像センサ12に対する照明源14、24の位置が含まれる。第1の照明源14は、ローリングシャッター画像センサ12の第1の側にあり、第2の照明源24は、ローリングシャッター画像センサ12の反対側の第2の側にある。追加的に又は代替的に、他の実施例では、この固有の特性は、各照明源が生成した照明の波長を含んでもよい。
【0027】
第1の照明源14及び第2の照明源24の各々は、物体20を照明する。各照明源14、24はプロセッサ16に接続されている。プロセッサ16は、第1の照明源14及び第2の照明源24によって提供される照明を時間的に変調する。
【0028】
ローリングシャッター画像センサ12は、プロセッサ16に接続され、物体20(この例では人間の顔)の画像フレームを捕捉する。捕捉された画像フレームは、プロセッサ16によって読み取られ、処理され、メモリ18に保存される。
【0029】
メモリ18はコンピュータ可読命令を含み、プロセッサ16はこのコンピュータ可読命令を読み取って、物体20を分析する方法を実行する。物体20を分析する方法は、本明細書に説明する方法のいずれかに従って行われる。
【0030】
いくつかの実施例では、システム10は、スマートフォンなどの個人的なスマートデバイスやスマートミラーなどの家庭用スマートデバイスの一部を形成したり、組み込まれたりする。
【0031】
図2aは、物体を分析する方法100の第1の例のフローチャートである。この実施例では、この第1の例の方法100はシステム10によって実行される。他の実施例では、この第1の例の方法100は任意の適切なシステムで実行される。
図2bは、捕捉され処理された画像フレームの観点から、第1の例の方法100を示している。
【0032】
第1の例の方法100は、ステップ102から始まり、物体20を少なくとも2つの照明源14、24から提供される照明で照明する。各照明源は、少なくとも1つの明確に異なる固有の特性で規定される。
【0033】
ステップ104では、第1の例の方法100は、各照明源14、24から提供される照明をそれぞれの変調関数に従って時間的に変調することを含む。変調関数は、所定の関数に従って提供された照明の振幅を変調する。この実施例では、各照明源14、24の変調関数は、ローリングシャッター画像センサ12のフレームレートよりも高い周波数を有する正弦関数であり、各照明源14、24は位相がずれて変調される。他の実施例では、変調関数は任意の周期関数である場合もあれば、非周期関数である場合もある。
【0034】
第1の例の方法100はまた、ローリングシャッター画像センサ12を使用して物体20を表す複数の画像フレーム216を捕捉するステップ106を含む。
図2bから、4つの画像フレーム216が捕捉されていることがわかる。また、ローリングシャッター画像センサ12が各画像フレーム216を捕捉する間に照明源14、24が変調されることによって、単一の画像フレーム216内の物体20の異なる部分の照明が異なっている。
【0035】
図2bに示す4つの画像フレーム216の各々は、第1の照明源14及び第2の照明源24の両方からの照明下での物体20を表している。ローリングシャッター画像センサ12によって捕捉された画像フレーム216は、複数の角度の付いた暗いバンドと明るいバンドとを含み、これらは各画像フレーム216の空間光強度パターンの一部である。この空間光強度パターンは、ローリングシャッター画像センサ12の使用に起因して捕捉される。空間光強度パターンは、複数の空間強度関数を含む。各空間強度関数は、それぞれの照明源14、24の変調関数に対応し、したがって、それぞれの照明源14、24から提供される照明に関連している。
【0036】
ステップ108では、第1の例の方法100は続いて、複数の画像フレーム216を、成分画像218、228と周囲画像238とに多重分離する。各成分画像218、228は、それぞれの照明源14、24からの照明下の物体20を表している。したがって、この実施例の第1の成分画像218は、第1の照明源14からの照明下の物体20を表し、第2の成分画像228は、第2の照明源24からの照明下の物体20を表す。周囲画像238は、両方の照明源14、24がオフになっているとき、又は物体20を照明していないときの周囲光条件下の物体20を表す。各ピクセルでの第1の照明源14からの物体20の照明(即ち、ピクセルで受光した第1の照明源からの光の振幅)は、第1の未知の変数であり、各ピクセルでの第2の照明源24からの物体20の照明(即ち、ピクセルで受光した第2の照明源24からの光の振幅)は、第2の未知の変数であり、各ピクセルでの物体20の周囲照明(即ち、ピクセルで受光した周囲光からの光の振幅)は、第3の未知の変数である。したがって、第1の照明源14及び第2の照明源24の変調関数が既知であり、ローリングシャッター画像センサ12が変調関数と同期している(即ち、ローリングシャッター画像センサ12が明確に規定された一定のフレームレートを有し、それにより、各画像フレーム206を捕捉するタイミングが、光源14、24の制御された変調のタイミングに対して正確にマッピングされる)ならば、また、周囲光強度が時間の経過と共に大きく変化しないと仮定すると、少なくとも3つの画像フレーム216がある場合は、3つの未知の変数が決定される。つまり、各照明源は、1つの未知数を導入し、周囲光は1つの未知数を有しているので、全ての未知数を解決するにはn+1枚の画像フレームが必要である。ここで、nは照明源の数である。
【0037】
いくつかの実施例では、ローリングシャッター画像センサのフレームレートが一定でない場合がある。そのため、平均フレームレートは既知であるが、各画像フレームを捕捉する実際の開始時間と終了時間は不明である。したがって、各画像フレームを捕捉するタイミングを、照明源の変調に対して正確にマッピングすることができない。このような実施例では、各照明の変調周波数と位相も未知であるため、各照明源の変調周波数、位相、及び振幅は全て未知であり、周囲光が一定であると仮定すると、周囲光の振幅も未知である。したがって、3n+1個の未知数が存在する(ここで、nは照明源の数である)ため、これらの未知の変数を解決するには3n+1枚の画像フレームを捕捉する必要がある。更なる実施例では、周囲光が一定でない(即ち、周囲光も変調されている)ため、変調周波数と位相が不明であるため、更に2つの未知の変数が発生し、解決するには更に2つの画像フレームが必要になる。
【0038】
図2cは、画像フレーム216の例と、2つの異なる照明源14、24による画像フレーム216の時間50の経過に伴う照明とを示している。この実施例では、照明源14、24は交互にパルスするように変調され、この実施例では、単一フレームに7つのパルスがある。光パルスの周波数は、ローリングシャッター画像センサ12のフレーム捕捉レートの周波数を上回っていてもよい。
【0039】
ローリングシャッター画像センサ12の性質上、画像センサ12のバンドは常に光に敏感であり、このバンドのサイズはローリングシャッター画像センサ12の各ラインの露光時間t
eに依存する。したがって、ローリングシャッター画像センサ12の各ラインは、各照明源14、24に対応する空間強度関数52で光強度を捕捉し、
図2cに示すような空間強度パターンを生成する。照明源14、24のバイナリ変調があることによって、2つ以上の照明源14、24からの照明に一時的にさらされる画像フレーム216の場所でさえも空間強度関数52を予測可能に且つ簡単に計算できる。露光時間を最小化すると、常に敏感であるバンドのサイズが最小化され、したがって、画像フレーム216の任意の部分での異なる照明源からの光の混合が最小限に抑えられ、第1の例の方法100のステップ108における多重分離に必要な処理能力が少なくて済む。
【0040】
物体に対応する画像の全ての部分が、時間の経過と共に1つの照明源14、24からの照明に確実にさらされるようにするためには、照明源の変調が周期的である場合、各照明源14、24が、ローリングシャッター画像センサ12のフレームレートの整数倍ではない周波数を有する必要がある。これにより、各照明源14、24の空間強度関数52が確実に複数の画像フレーム216にわたって画像をドリフトダウンする。
【0041】
一例では、各照明源14、24の変調関数及びローリングシャッター画像センサ12のフレーム捕捉レートが既知である場合、対応する空間強度関数を推定できる。この空間強度関数を使用して、各照明源及び周囲光条件下の物体に対応する捕捉された画像フレーム216の各々のバイナリ画像マスクを生成できる。このバイナリ画像マスクを使用して、対応する照明源14、24に関連しない各画像フレーム216内のピクセルを除去できる。つまり、照明源のバイナリ画像マスクは、対応する照明源が物体20を照明しているときに反応しないピクセルを除去するために使用される。次に、第1の照明源14に対応する捕捉された各画像のバイナリ画像マスクを使用して、第1の照明源14のみの照明下の物体20を表す第1の成分画像218の例を作成する。
【0042】
次に、第2の照明源24に対応する捕捉された各画像フレーム216のバイナリ画像マスクを使用して、第2の照明源24のみの照明下の物体20を表す第2の成分画像228の例を作成する。同様に、周囲光条件下の物体20に対応する捕捉された各画像のバイナリ画像マスクを使用して、周囲光条件下のみの物体20を表す周囲画像238を作成する。
【0043】
この実施例における周期関数を有する各照明源14、24の変調関数は、これから空間強度関数を容易に導出できるため、ステップ108における多重分離を単純化し、必要な処理能力が少なくて済む。いくつかの実施例では、変調関数が周期的ではない場合や、ローリングシャッター画像センサのフレームレート以下の周波数を有する場合があることが理解されるであろう。いくつかの実施例では、変調関数が、照明源がパルスされるなどオン又はオフであるバイナリ関数である場合や、振幅が正弦波で変調されるなどの連続的である場合がある。
【0044】
各照明源に同じ変調関数がある必要はない。複数の照明源の変調関数が異なる場合もあれば、同じである場合は、互いに位相がずれている場合もある。
【0045】
変調関数には、位相、周波数、波形、及びデューティサイクルがある。
【0046】
波形は幾何学的波形であり得る。幾何学的波形は、三角(trigonometric)波形、双曲波形、台形波形、又は矩形波形などであり得る。波形は複数の波形が重ね合わされていてもよい。波形が幾何学的波形の場合、空間強度関数の計算が簡単になるため、ステップ108で行う多重分離操作に必要な処理能力が少なくて済む。
【0047】
図1の実施例を参照して説明したように、物体が人間の顔である場合、人間の観察者が複数の照明源内のちらつきを知覚しないようにすることが望ましい。したがって、各変調関数の周波数は60Hz以上であり得る。いくつかの実施例では、各変調関数の周波数は200Hz以上であり得る。
【0048】
各照明源の固有の特性や周囲の動作条件によっては、複数の照明源内のちらつきを人間の観察者が知覚しないような各変調関数の周波数は、約60Hzであり得る。各照明源の固有の特性や周囲の動作条件に関係なく、各変調関数の周波数が200Hz以上の場合、人間の観察者は複数の照明源内のちらつきを知覚しない。
【0049】
図3aは、物体20を分析する方法300の第2の例のフローチャートである。この方法は、物体20を分析するサブ方法の複数の分岐を含む。
【0050】
第2の例の方法300は、前述したようにステップ102、104、106、及び108で構成されている
図2aに示す第1の例の方法100を実行することから始まる。第1の例の方法100の出力は、各照明源14、24によって照明された物体20に対応する成分画像218、228、及び周囲画像238である。第1の例の方法100から、第2の例の方法300は、第1のサブ方法301、第2のサブ方法303、第3のサブ方法305のいずれか1つに進む。第2の例の方法300には、これらのサブ方法の各サブ方法又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0051】
ステップ108において複数の画像フレーム216から多重分離された各成分画像218、228及び周囲画像238は、対応する複数のピクセルを含む。複数のピクセルの各々がピクセル値を有し、対応する成分画像218、228、又は周囲画像238内のピクセルの場所に対応するピクセルインデックスによって規定される。
【0052】
第1のサブ方法301はステップ302を含む。これは、捕捉され処理された画像フレームに関して第1のサブ方法301のステップを示す
図3bに示されている。第2の例の方法300は、各照明源14、24の固有の特性がローリングシャッター画像センサ12に対する相対位置を含む場合、第1のサブ方法301に進む。
【0053】
ステップ302では、各ピクセルインデックスにおいて、成分画像218、228内の対応する場所におけるピクセル値に基づいて、反射のないピクセル値を計算することにより、成分画像218、228から鏡面反射のない画像312が生成される。例えば、鏡面反射のない画像312は、各ピクセルインデックスにおいて、成分画像218、228内の対応する場所(同じピクセルインデックスなど)において、成分画像218、228から最も低いピクセル値を選択することによって生成される。
【0054】
追加的に又は代替的に、ステップ302では、各ピクセルインデックスにおいて、成分画像218、228内の対応する場所におけるピクセル値に基づいて、反射のみのピクセル値を計算することにより、成分画像218、228から鏡面反射のみの画像が生成される。例えば、鏡面反射のみの画像は、各ピクセルインデックスにおいて、成分画像218、228内の対応する場所(同じピクセルインデックスなど)において、成分画像218、228から最も高いピクセル値を選択することによって生成される。
【0055】
別の実施例では、各ピクセルインデックスにおける反射のないピクセル値は、成分画像内の対応する場所において成分画像から局所光強度勾配を決定することによって計算される。次に、この局所光強度勾配を使用して、各成分画像内の対応する場所での鏡面反射の寄与を決定する。これを除去して、反射のないピクセル値が計算される。これの詳細については、Feris,R.、Raskar,R.、Tan,KH.他による「Specular highlights detection and reduction with multi-flash photography」(J Braz Comp Soc 12、35~42(2006))を参照されたい。これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
第2の例の方法300は、第1の例の方法100から第2のサブ方法303に進んでもよい。
図3cに、第2のサブ方法303を用いる第2の例の方法300を示す。
図3cは、捕捉され処理された画像フレームに関して方法のステップを示している。第2の例の方法300は、各照明源14、24の固有の特性がローリングシャッター画像センサ12に対する相対位置を含む場合、第2のサブ方法303に進む。
【0057】
第2のサブ方法303は、ステップ304から始まる。ステップ304では、各ピクセルインデックスについて、成分画像218、228、及び周囲画像238に基づいて、ピクセルインデックスにおいて物体20の表面に垂直なベクトルのx成分、y成分、及びz成分が決定される。
図3cは、第1の成分画像218から導出された第1の法線ベクトルマップ(x、y、z成分マップを含む)314、第2の成分画像228から導出された第2の法線ベクトルマップ316、及び周囲画像238から導出された第3の法線ベクトルマップ318を示している。
【0058】
第2のサブ方法303は、次にステップ306に進み、各ピクセルインデックスにおいて、x成分、y成分、及びz成分に基づいて深度値を計算することで、成分画像218、228、及び周囲画像238から深度マップを生成する。
【0059】
第2のサブ方法303は、例えば、Hernandez,C、Vogiatzis,G & Cippolla,Rの2008年の「Multiview photometric stereo」(IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、第30巻、第3号、548~554ページ)に説明されているようなランバート反射モデルを使用して実行される。これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
第2の例の方法300は、第1の例の方法100から、ステップ308から始まる第3のサブ方法305に進んでもよい。ステップ308では、各ピクセルインデックスにおいて、周囲画像238のピクセル値を対応する成分画像218、228のピクセル値から差し引くことで、各成分画像の周囲光が補正された画像が生成される。
【0061】
各成分画像218、228は、対応する照明源14、24からの照明下の物体を表しているため、対応する周囲光補正画像は、周囲光条件の影響が補正された対応する照明源14、24からの照明下の物体20を表す。
【0062】
この実施例では、ステップ308に続いて、第3のサブ方法305がステップ309に進む。他の実施例では、第3のサブ方法305はステップ308で終わり、ステップ309に進まない場合がある。第3のサブ方法305は、各照明源の固有の特性が波長を含む場合に、ステップ309に進む。したがって、第1の例の方法100で生成された成分画像218、228は各々異なる波長の光で照明された物体20を表しており、各周囲光補正画像は、周囲光条件が補正された異なる波長の光によって照明された物体20を表している。
【0063】
ステップ309では、各ピクセルインデックスにおいて、周囲光補正画像のピクセル値に関連付けられた生理学的パラメータを決定することで、周囲光補正画像から生理学的成分マップが生成される。生理学的パラメータは、酸素化ヘモグロビンレベル、脱酸素化ヘモグロビンレベル、又はメラニンレベルなどである。生理学的パラメータは、物体20が皮膚表面を構成している場合など、物体が生物体の一部を形成している場合に、物体の健康状態を示すことができる。
【0064】
いくつかの実施例では、生理学的成分マップを生成することは、Setiadi,Iwan&Nasution,Aulia&Chandra,Theodore.(2019)の「A new LED-based multispectral imaging system for blood and melanin content estimation:The validation」(AIP会議議事録。2193.050017.10.1063/1.5139390)に説明されているようなクベルカ-ムンク(Kubelka-Munk)モデルに基づいている。これは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0065】
ステップ309で使用されるアルゴリズムは、生理学的パラメータが、対応する周囲光補正画像のピクセル値に関連付けられていると仮定する。そして、周囲光補正画像は、対応する照明源からの照明下の物体を表す。
【0066】
他の実施例では、数値モデルを使用して、各ピクセルインデックスにおいて、周囲光補正画像のピクセル値に関連付けられた生理学的パラメータが決定される。この数値モデルは、周囲光補正画像のピクセル値に基づいて生理学的パラメータを予測するための機械学習アルゴリズムに基づいていてもよい。
【0067】
ステップ302、304、306、308、及び309は、任意の適切な順序で行われてもよいことが理解されるであろう。
【0068】
図4は、物体を分析する方法400の第3の例のフローチャートである。
【0069】
第3の例の方法400は、
図2aを参照して説明したようにステップ102、104、106、及び108で構成されている第1の例の方法100を実行することから始まる。第1の例の方法では、捕捉された複数の画像フレーム216は第1の複数の画像フレーム216であり、成分画像218、228は第1の成分画像218、228であり、周囲画像238は第1の周囲画像238である。第3の例の方法400では、次に、
図3aを参照して説明したように、第1の成分画像218、228の各々に対して、第1の周囲光補正画像が生成され、生理学的パラメータマップが生成されるステップ308及びステップ309を含む第3のサブ方法305を実行する。他の実施例では、第3の例の方法400から第3のサブ方法305を省略したり、第3の例の方法400で第3のサブ方法305からステップ309を省略したりすることができる。
【0070】
第3の例の方法400は更に、ローリングシャッター画像センサ12を使用して物体20を表す第2の複数の画像フレームを捕捉するステップ406を含む。第2の複数の画像フレームは、
図2aを参照して説明したステップ102と同様のやり方で捕捉される。
【0071】
第3の例の方法400は次に、第2の複数の画像フレームを、第2の成分画像(各々、対応する照明源14、24からの照明下の物体20を表す)と、周囲光条件下の物体20を表す第2の周囲画像とに多重分離するステップ408に進む。ステップ408は、
図2aを参照して説明したステップ104~108と同様のやり方で実行される。
【0072】
第3の例の方法400は次に、
図3aを参照して説明した第3のサブ方法305のステップ308と同様のやり方で、第2の周囲光補正画像が生成されるステップ410に進む。
【0073】
第3の例の方法400は更に、
図3aを参照して説明した第3のサブ方法305のステップ309で生成された生理学的パラメータマップと同様のやり方で生理学的パラメータマップが生成されるステップ412に進む。いくつかの実施例では、第3の例の方法400から第3のサブ方法305が省略された場合、ステップ410~412も第3の例の方法から省略される。第3の例の方法400の第3のサブ方法305からステップ309が省略された場合、ステップ412も省略される。
【0074】
第3の例の方法400は、第1の周囲光補正画像と第2の周囲光補正画像との間の生理学的成分マップの変化がモニタリングされるステップ414に進む。
【0075】
第3の例の方法400は、時間の経過に伴う変化を検出するためにモニタリングされる周囲光補正画像及び生理学的成分マップを生成すると説明されているが、
図3a及び
図3cを参照して説明した深度マップにも同様の方法を適用できることが理解されるであろう。この場合、ステップ414は、時間の経過に伴う深度マップ又は鏡面反射のない画像の変化をモニタリングする。
【0076】
実施例では2つの照明源があるものとして説明されているが、任意の適切な数の照明源があってもよいことが理解されるであろう。前述の方法のいずれかにおいて、少なくとも1つの照明源が光源の集合体を含んでいてもよい。この場合、各光源が明確に異なる波長によって規定される。この方法は更に、ステップ108において、成分画像を、対応する光源からの照明下の物体を各々が表す複数の光画像に多重分離する。
【0077】
一例では、成分画像がRGB形式で、ローリングシャッター画像センサの各RGBチャンネルの相対分光感度が既知である場合、各光源から各成分画像に提供される照明の寄与が決定される。そして、各光源から提供される照明の寄与は、各成分画像から抽出されて、各光源からの照明下の物体20を表す光画像が生成される。
【0078】
各光源の波長は、光源の集合体が白色光のような選択された色として人間の観察者によって知覚されるように選択され得る。これにより、ユーザにとってあまり煩わしくないように、ユーザに対して着色光のちらつきが軽減される。
【0079】
開示された実施形態の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、本明細書に説明する原理及び技法を実践する際に当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲において、語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形の要素は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを意味するものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの任意の適切な媒体に格納又は配布することができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど他の形式で配布することもできる。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【要約】
一態様によれば、物体を分析する方法が提供される。この方法は、少なくとも2つの照明源から提供される照明で物体を照明するステップであって、各照明源は、少なくとも1つの明確に異なる固有の特性で規定されている、照明するステップと、変調関数に従って、各照明源から提供される照明を時間的に変調するステップと、ローリングシャッター画像センサを使用して、物体を表す複数の画像フレームを捕捉するステップと、複数の画像フレームを、対応する照明源からの照明下の物体を各々表す複数の成分画像と、周囲光条件下の物体を表す周囲画像とに多重分離するステップとを含む。