(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】高温焼結システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/64 20060101AFI20240307BHJP
H01M 8/1016 20160101ALI20240307BHJP
H10N 30/097 20230101ALI20240307BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20240307BHJP
H10N 30/857 20230101ALI20240307BHJP
【FI】
C04B35/64
H01M8/1016
H10N30/097
H10N30/853
H10N30/857
(21)【出願番号】P 2021568267
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020033505
(87)【国際公開番号】W WO2020236767
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520159592
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ メリーランド, カレッジ パーク
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】フー、 リャンビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 シャンウェイ
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012828(JP,A)
【文献】特表2013-519990(JP,A)
【文献】特開2000-345208(JP,A)
【文献】Chengwei Wang et al.,Energy Storage Materials,ELSEVIER,2018年11月18日,17,p.234-241
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C04B 35/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体材料を、第1および第2の導電性素子の間に提供することと、
第1の温度における放射加熱および/または接触による加熱を介して前記前駆体材料を焼結して焼結材料を形成すること
を含み、ここで前記第1の温度は、前記第1の導電性素子に電流を通して前記第1の導電性素子のジュール加熱を起こすと同時に前記第2の導電性素子に別の電流を通して前記第2の導電性素子のジュール加熱を起こすことにより生成され、前記第1の温度は500℃以上3000℃以下であり、
前記前駆体材料は焼結処理時間の少なくとも一部のあいだ前記第1および第2の導電性素子の間に配置され、
前記焼結材料は、前記前駆体材料よりも密度が高く、
前記焼結することは、1秒~1時間の範囲内の第1の時間にわたる、
製造方法。
【請求項2】
前記前駆体材料は、焼結処理時間のあいだ、前記第1および第2の導電性素子のうちの少なくとも1つから1mm~1cmの距離において提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
焼結処理時間のあいだ、前記前駆体材料は、前記第1および第2の導電性素子のうちの少なくとも1つに直接接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
焼結処理時間のあいだ、前記前駆体材料は前記第1の導電性素子から1mm~1cmの距離に配置され、前記前駆体材料は前記第2の導電性素子から1mm~1cmの距離に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
焼結処理時間のあいだ、各電流は前記前駆体材料を通らない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の時間は1秒~10秒の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電流はそれぞれ同じ方向に前記第1および第2の導電性素子を通って流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の導電性素子および前記第2の導電性素子の加熱を開始することをさらに含み、
前記第1の導電性素子および前記第2の導電性素子は、前記加熱の開始から30秒以内に前記第1の温度を達成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
焼結処理時間のあいだ、前記第1の導電性素子の温度が前記第2の導電性素子の温度と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記焼結することの前に、適用された前記電流が前記第1および第2の導電性素子を100℃/分~20,000℃/分の加熱速度で前記第1の温度に加熱させるか;または
(ii)前記焼結することの後に、適用された前記電流の除去が前記第1および第2の導電性素子を前記第1の温度から100℃/分~10,000℃/分の冷却速度で冷却させるか;または
(iii)(i)および(ii)の両方である、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法はさらに、焼結処理時間のあいだ圧力をかけて前記第1および第2の導電性素子の少なくとも1つを少なくとも部分的に前記前駆体材料に押し付けることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(a)前記第1および第2の導電性素子のうちの少なくとも1つに対して前記前駆体材料を移動させるか;または
(b)前記前駆体材料に対して前記第1および第2の導電性素子のうちの少なくとも1つを移動させるか;または
(c)(a)および(b)の両方である、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記(a)の移動させること、前記(b)の移動させること、またはその両方は焼結処理時間のあいだ起こり前記第1の時間を規定する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記(b)の移動させることは、メカニカルアームを介して行われて前記第1および第2の導電性素子の少なくとも1つからの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記前駆体材料は前駆体ペレットであり、
前記焼結材料は前記前駆体ペレットよりも密度が高い焼結されたペレットであり、
前記前駆体ペレットは前記焼結されたペレットよりも多孔である、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体材料は元素粉末、酸化物粉末、またはそれらの組合せを含み、
前記焼結材料はセラミックス、ガラス、金属、または合金を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記前駆体材料をコンベヤストリップ上に保持することをさらに含み、
前記第1の導電性素子は前記コンベヤストリップの一部の上に配置され、
前記第2の導電性素子は、前記コンベヤストリップの一部の下の位置に、または前記コンベヤストリップの一部として、のいずれかに配置されて、
前記前駆体材料を提供することは、前記コンベヤストリップを前進させて前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子との間で前記前駆体材料を搬送することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の時間の終わりに、前記第1の導電性素子および前記第2の導電性素子の前記温度を維持しながら、前記コンベヤストリップを前進させて、前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子との間から前記焼結材料を取り出すことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体材料は、組成および構造を有する3D印刷された材料であり、
前記焼結材料は、前記組成および前記構造を維持する、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記前駆体材料は、複数の組成を有する粉末であり、
前記焼結材料を製造することは、前記複数の組成を前記第1の時間中に反応させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記焼結材料は、金属、合金、高エントロピー合金、耐火金属、耐火合金、セラミックス、またはイオン伝導体、のうちのいずれかである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記焼結材料は、ガラス緻密構造または透明セラミック緻密構造のいずれかであり、前記焼結することは、前記前駆体材料の粉末を少なくとも部分的に融解させる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記前駆体材料は、少なくとも2つの層を有する多層構造を含み、前記焼結材料において前記少なくとも2つの層の間の交差拡散により形成される中間層は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)で測定されるところにより10μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記前駆体材料は少なくとも2つの組成を含み、
前記焼結材料は、前記少なくとも2つの組成を含む複合構造であり、
前記複合構造において前記少なくとも2つの組成の間の交差拡散により形成される中間層は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)で測定されるところにより10μm未満の厚さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項25】
各導電性素子が前駆体材料から0~1センチメートルの距離に位置付けられるように構成された1つ以上の導電性素子と、
前記1つ以上の導電性素子に電流を適用することにより、前記1つ以上の導電性素子のジュール加熱を起こして、500℃以上3000℃以下の第1の温度を生成するように構成された電源と、
前記1つ以上の導電性素子からの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられるように前記1つ以上の導電性素子の少なくとも1つを前記前駆体材料に対して移動させるように構成されたメカニカルアームと、
前記電源を制御して前記1つ以上の導電性素子に前記電流を適用させ、第1の期間にわたる前記第1の温度における放射加熱および/または接触による加熱を介して前記前駆体材料を焼結するように構成され、かつ、前記メカニカルアームを制御して前記加熱された1つ以上の導電性素子を前記前駆体材料の次なる部分へと動かすように構成されたコントローラと
を備え、
前記第1の期間は1秒~1時間であ
り、前記焼結された材料は前記前駆体材料よりも密度が高い、炉。
【請求項26】
前記炉は圧力機構をさら含み、
前記コントローラは、前記焼結する期間のあいだ、前記圧力機構を制御して前記導電性素子の少なくとも1つを少なくとも部分的に前記前駆体材料に押し付けるように構成される、
請求項25に記載の炉。
【請求項27】
導電性素子を前駆体材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、前記前駆体材料は前記導電性素子のサイズよりも大きいサイズを有することと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の第1の部分を、第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱し、ここで前記第1の温度は、前記導電性素子に電流を適用して導電性素子のジュール加熱を起こすことにより生成され、前記第1の温度は500℃以上3000℃以下であることと、
前記第1の部分を加熱することの後に、前記加熱された導電性素子を前記前駆体材料の第2の部分へと移動させることと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の前記第2の部分を、前記第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱することと
を含
む製造方法であって、
前記移動させることは、前記導電性素子からの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられるようにメカニカルアームを介したものであ
り、
前記第1の部分を加熱することは、前記前駆体材料の前記第1の部分よりも密度が高い焼結された第1の部分を形成し、前記第2の部分を加熱することは、前記前駆体材料の前記第2の部分よりも密度が高い焼結された第2の部分を形成する、
製造方法。
【請求項28】
前記第1の部分を加熱することおよび/または前記第2の部分を加熱することは、1秒~1時間の時間にわたる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の部分を加熱することおよび/または前記第2の部分を加熱することは、前記前駆体材料のアニーリングを引き起こす、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記アニーリングは、前記前駆体材料の表面で新しい表面層を生じる、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
導電性素子を前駆体材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、前記前駆体材料は前記導電性素子のサイズよりも大きいサイズを有することと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の第1の部分を、第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱し、ここで前記第1の温度は、前記導電性素子に電流を適用して導電性素子のジュール加熱を起こすことにより生成され、前記第1の温度は500℃以上3000℃以下であることと、
前記第1の部分を加熱することの後に、前記加熱された導電性素子を前記前駆体材料の第2の部分へと移動させることと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の前記第2の部分を、前記第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱することと
を含む製造方法であって、
前記移動させることは、前記導電性素子からの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられるようにメカニカルアームを介したものであり、
前記前駆体材料は、基材と前記基材上の薄膜とを含み、前記方法はさらに、前記位置付けることの前に、スパッタリング、化学蒸着、原子層堆積、または物理蒸着のいずれかを使用することにより前記薄膜を前記基材上に堆積させることを含む、
製造方法。
【請求項32】
導電性素子を前駆体材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、前記前駆体材料は前記導電性素子のサイズよりも大きいサイズを有することと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の第1の部分を、第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱し、ここで前記第1の温度は、前記導電性素子に電流を適用して導電性素子のジュール加熱を起こすことにより生成され、前記第1の温度は500℃以上3000℃以下であることと、
前記第1の部分を加熱することの後に、前記加熱された導電性素子を前記前駆体材料の第2の部分へと移動させることと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の前記第2の部分を、前記第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱することと
を含む製造方法であって、
前記移動させることは、前記導電性素子からの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられるようにメカニカルアームを介したものであり、
前記前駆体材料は基材と前記基材上に適用された粉末被覆とを含み、前記第1の部分および前記第2の部分を加熱することは前記粉末の焼結を引き起こして焼結されたコーティングを形成する、
製造方法。
【請求項33】
導電性素子を前駆体材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、前記前駆体材料は前記導電性素子のサイズよりも大きいサイズを有することと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の第1の部分を、第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱し、ここで前記第1の温度は、前記導電性素子に電流を適用して導電性素子のジュール加熱を起こすことにより生成され、前記第1の温度は500℃以上3000℃以下であることと、
前記第1の部分を加熱することの後に、前記加熱された導電性素子を前記前駆体材料の第2の部分へと移動させることと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の前記第2の部分を、前記第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱することと
を含む製造方法であって、
前記移動させることは、前記導電性素子からの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられるようにメカニカルアームを介したものであり、
前記前駆体材料は、固体電解質(SSE)前駆体の薄層またはSSE粉末の薄層のいずれかであり、
前記方法は、SSE前駆体スラリーまたは前記SSE粉末のいずれかから薄層を形成することをさらに含む、
製造方法。
【請求項34】
導電性素子を前駆体材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、前記前駆体材料は前記導電性素子のサイズよりも大きいサイズを有することと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の第1の部分を、第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱し、ここで前記第1の温度は、前記導電性素子に電流を適用して導電性素子のジュール加熱を起こすことにより生成され、前記第1の温度は500℃以上3000℃以下であることと、
前記第1の部分を加熱することの後に、前記加熱された導電性素子を前記前駆体材料の第2の部分へと移動させることと、
前記導電性素子に向いたまたは接触した前記前駆体材料の前記第2の部分を、前記第1の温度における放射加熱または接触による加熱を介して加熱することと
を含む製造方法であって、
前記移動させることは、前記導電性素子からの熱が前記前駆体材料の異なる部分に向けられるようにメカニカルアームを介したものであり、
前記前駆体材料は、
金属基材、および
(i)前記金属基材上に適用された遮熱コーティングであって、前記遮熱コーティングは最上部多孔質層および最下部緻密層を含み、前記最上部多孔質層は1~10,000nmの間の孔径を有している遮熱コーティングを含むか、または
(ii)前記金属基材上に適用された耐環境コーティングを含む、
製造方法。
【請求項35】
請求項1に記載の方法であって、前記方法は熱電デバイスを製造するための方法であり、前記前駆体材料が、
基材と、
前記基材上のpタイプ薄膜と、
前記基材上のnタイプ薄膜と、
を含み、前記方法はさらに、
少なくとも1つの導電性素子を前記pタイプ薄膜および前記nタイプ薄膜から最大で1センチメートルの距離に位置付けることと、
少なくとも1つの電極を、焼結された前記pタイプ薄膜または焼結された前記nタイプ薄膜の少なくとも1つの少なくとも一部上に提供することと
を含む、方法。
【請求項36】
前記pタイプ薄膜および前記nタイプ薄膜は同時にまたは連続して焼結される、請求項
35に記載の方法。
【請求項37】
各導電性素子は導電性カーボン素子である、請求項1~24、27~
36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
各導電性素子は導電性カーボン素子である、請求項25または26に記載の炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月17日に出願された米国仮特許出願第62/849,578号、2020年2月12日に出願された米国仮特許出願第62/975,483号、および2020年5月8日に出願された米国仮特許出願第63/022,083号の利益、およびそれらに対する優先権を主張する。前述の出願の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は焼結システムおよび方法に関し、より詳細には、高速高温焼結システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セラミックスは、それらの高熱、機械的、および化学安定性に起因して、電子機器、エネルギー貯蔵、および極限環境において広く使用されている。セラミックスの焼結は、26,000年以上も前にまで遡ることができる技術である。従来型のセラミック合成は多くの場合、次の2つのステップ、つまり、前駆体からセラミックを形成するための固相反応、および固体素子(solid component)を形成するための焼結を伴う。各ステップは高温および何時間もの処理時間を必要とし、それは、望ましくない、不均一な粒成長となり得、先端セラミック材料のハイスループット発見に対する障害となる。長い焼結時間も、焼結中のLiおよびNaの激しい揮発性に起因して、改善されたエネルギー効率および安全性を備えた新しい電池にとって重要な新しいセラミック系固体電解質(SSE)の開発において考慮すべき問題である。
【0004】
従来型の焼結法の処理温度は典型的には、発熱体の限度に起因して約1200℃に制限される。特別に設計されたグラファイト炉を用いると、温度は2000℃を達成できる。しかし、バルク炉は、温度および温度分布を制御するのが難しく、温度ランピングおよび冷却速度は長くなっている。大きくて密封された装置は、改善の可能性を理解するために監視および調査するのも困難で、長期にわたる繰返しを伴う試行錯誤となり、それは、特に、セラミックス、ガラスおよび金属材料について、材料発見を大幅に制限する。
【0005】
これに関して、マイクロ波アシスト焼結、放電プラズマ焼結(SPS)、およびフラッシュ焼結などの、革新的な焼結技術の開発に相当な努力が費やされてきた。しかし、マイクロ波アシスト焼結は根本的に材料のマイクロ波吸収特性に依存して、その普遍的な適用可能性を制限する。SPS技術は、焼結している間にセラミックを圧縮するための鋳型を必要とし、それは、製品の幾何形状と拡張可能性を制限し、印加される圧力に起因して複雑な3D構造物の焼結に適しておらず、複数の試料を同時に焼結できない。より最近開発されたフラッシュ焼結法は、最大で約10,000℃/分の高加熱速度を示す。しかし、それは典型的には、高価なPt電極を必要とし、複雑な幾何形状をもつ試料(例えば、3D構造物)に適用することは困難である。具体的には、特定のフラッシュ焼結条件は材料の電気特性に強く依存して、材料の特性が分かっていない場合にハイスループット処理に対するその適用可能性を制限する。従って、より高いスループット処理にもっと普遍的に適用できる焼結技術の開発および改善に対する関心がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は高速高温焼結システムおよび方法に関する。本開示の態様は、異なる材料に適用できる、革新的な、材料非特異的超高速エネルギー節約焼結技術を提供して、広範囲にわたる技術用途に対してバルクセラミックスのハイスループット製造を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様によれば、製造方法は、材料を、第1の導電性カーボン素子から0~1センチメートルの距離に、かつ第2の導電性カーボン素子から0~1センチメートルの距離に位置付けること、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱すること、ならびに材料を、加熱された第1の導電性カーボン素子および加熱された第2の導電性カーボン素子で、1秒~1時間の間の期間、加熱することにより焼結材料を製造することを含む。
【0008】
本方法の様々な実施形態では、本方法は、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子の加熱を開始することを含み、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子は、加熱の開始から30秒以内に、500℃以上3000℃以下の温度を達成する。
【0009】
本方法の様々な実施形態では、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つは、少なくとも部分的に材料と接触し、本方法はさらに、材料の加熱中に圧力をかけて、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つを少なくとも部分的に材料に押し付けることを含む。
【0010】
本方法の様々な実施形態では、本方法は、材料をコンベヤストリップ上に保持することを含み、第1の導電性カーボン素子はコンベヤストリップの一部の上に配置され、第2の導電性カーボン素子は:コンベヤストリップの一部の下の位置、またはコンベヤストリップの一部として、のいずれかに配置されて、材料の位置決めは、コンベヤストリップを前進させて第1の導電性カーボン素子と第2の導電性カーボン素子との間で材料を搬送することを含む。
【0011】
本方法の様々な実施形態では、本方法は、上記期間の終わりに、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子の温度を維持しながら、コンベヤストリップを前進させて、第1の導電性カーボン素子と第2の導電性カーボン素子との間から焼結材料を取り出すことを含む。
【0012】
本方法の様々な実施形態では、材料は、ある組成および構造を有する3D印刷された材料であり、焼結材料は、その組成および構造を維持する機能デバイスである。
【0013】
本方法の様々な実施形態では、材料は、複数の組成を有する粉末であり、焼結材料を製造することは、複数の組成を期間中に反応させることを含む。
【0014】
本方法の様々な実施形態では、焼結材料は:金属、合金、高エントロピー合金、耐火金属、耐火合金、セラミックス、またはイオン伝導体、のうちの1つである。
【0015】
本方法の様々な実施形態では、焼結材料は、ガラス緻密構造または透明セラミック緻密構造の1つであり、焼結材料を製造することは、粉末を少なくとも部分的に融解させることを含む。
【0016】
本方法の様々な実施形態では、材料は、少なくとも2つの層を有する多層構造であり、焼結材料は、少なくとも2つの層の間に界面層を含み、界面層は10μm未満の深さを有する。
【0017】
本方法の様々な実施形態では、材料は少なくとも2つの組成を含み、焼結材料は、その少なくとも2つの組成を含む複合構造であり、複合構造は少なくとも2つの組成の間に界面層を有し、界面層は10μm未満の深さを有する。
【0018】
本方法の様々な実施形態では、材料はコンピュータによる検討で特定され、本方法は、焼結材料を分析してコンピュータによる検討の計算を検証することを含む。
【0019】
本方法の様々な実施形態では、本方法は、複数の追加材料を第1の導電性カーボン素子と第2の導電性カーボン素子との間の適切な位置に置くこと、ならびに複数の追加材料を加熱された第1の導電性カーボン素子および加熱された第2の導電性カーボン素子と上記期間加熱することによって複数の追加の焼結材料を製造することを含み、複数の追加材料は上記材料と同時に共焼結される。
【0020】
本方法の様々な実施形態では、複数の追加材料はコンピュータによる検討で特定される。
【0021】
本開示の態様によれば、炉は、材料、その材料から0~1センチメートルの距離に位置付けられた第1の導電性カーボン素子、その材料から0~1センチメートルの距離に位置付けられた第2の導電性カーボン素子、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱するように構成された電源、ならびに電源を制御して加熱された第1の導電性カーボン素子および加熱された第2の導電性カーボン素子で材料を1秒~1時間の間の期間、加熱するように構成されたコントローラを含む。
【0022】
炉の様々な実施形態では、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つは、材料と少なくとも部分的に接触しており、炉は圧力機構を含み、コントローラは、材料の加熱中に圧力機構を制御して、第1の導電性カーボン素子および第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つを少なくとも部分的に材料に押し付けるように構成される。
【0023】
炉の様々な実施形態では、炉は材料を保持しているコンベヤストリップを含み、コンベヤストリップの一部は第1の導電性カーボン素子と第2の導電性カーボン素子との間に位置付けられ、コントローラは、コンベヤストリップを制御して材料を第1の導電性カーボン素子と第2の導電性カーボン素子との間で搬送するように構成される。
【0024】
本開示の態様によれば、製造方法は、導電性カーボン素子を材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、材料は導電性カーボン素子のサイズよりも大きいサイズを有していること、導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱すること、ならびに加熱された導電性カーボン素子を材料上で移動させて、処理された材料を提供することを含む。
【0025】
本方法の様々な実施形態では、加熱された導電性カーボン素子を材料上で移動させることは、材料のアニーリングを引き起こす。本方法の様々な実施形態では、材料のアニーリングは、材料の表面で新しい表面層を生じる。
【0026】
本方法の様々な実施形態では、材料は、基材上の薄膜を含み、本方法はさらに、スパッタリング、化学蒸着、原子層蒸着、または物理蒸着の1つを使用することにより、薄膜を基材上に蒸着させることを含む。
【0027】
本方法の様々な実施形態では、加熱された導電性カーボン素子を材料の上で移動させることは、材料を焼結させて焼結材料を提供する。
【0028】
本方法の様々な実施形態では、本方法は、層を焼結材料の上に塗布すること、および加熱された導電性カーボン素子をその層上で移動させて焼結層を提供することを含み、焼結材料および焼結層は一緒に焼結多層構造を形成する。
【0029】
本方法の様々な実施形態では、材料は基材上に被覆された粉末を含み、焼結材料は基材上の焼結されたコーティングを含む。
【0030】
本方法の様々な実施形態では、材料は、固体電解質(SSE)前駆体の印刷された膜またはSSE粉末の膜の1つであり、本方法は、SSE前駆体スラリーまたはSSE粉末の1つを膜に分注(dispensing)することを含み、焼結材料は焼結されたSSE膜である。
【0031】
本方法の様々な実施形態では、材料は、金属基材上に被覆された遮熱コーティングであり、遮熱コーティングは最上部多孔質層および最下部緻密層を含み、最上部多孔質層は1~10,000nmの孔径を有し、焼結材料は金属基材上の焼結された遮熱コーティングであり、最上部多孔質層および最下部緻密層は、単一の焼結プロセスで共焼結されるか、または別個の焼結プロセスで一度に1つの層が焼結される。
【0032】
本方法の様々な実施形態では、材料は、金属基材上に被覆された耐環境コーティングであり、焼結材料は金属基材上の焼結された耐環境コーティングである。
【0033】
本開示の態様によれば、炉は、材料と、その材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けられた導電性カーボン素子であって、材料は導電性カーボン素子のサイズよりも大きいサイズを有しているものと、導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱させるように構成された電源と、加熱された導電性カーボン素子を材料上で移動させて処理された材料を提供するように構成されたメカニカルアームと、電源を制御して導電性カーボン素子を加熱するように構成され、かつメカニカルアームを制御して加熱された導電性カーボン素子を動かすように構成されたコントローラとを含む。
【0034】
本開示の態様によれば、構造は、少なくとも2つの組成およびその少なくとも2つの組成間の界面層を有する焼結複合構造を含み、界面層は10μm未満の深さを有する。
【0035】
構造の様々な実施形態では、焼結複合構造の少なくとも2つの組成は、金属とカーボンナノ材料、金属とセラミックス、または合金と合金の1つを含み、カーボンナノ材料は、ナノチューブまたはグラフェンの1つを含む。
【0036】
構造の様々な実施形態では、焼結複合構造の少なくとも2つの組成の各々は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、またはポリマーから成る群からの材料である。
【0037】
構造の様々な実施形態では、焼結複合構造の少なくとも2つの組成の各々は、緻密な組成または多孔質組成の1つである。
【0038】
本開示の態様によれば、構造は、少なくとも2つの層を有する焼結多層構造であり、少なくとも2つの層の第1の層は、少なくとも2つの層の第2の層とは異なる材料を有する。
【0039】
構造の様々な実施形態では、焼結多層構造の少なくとも2つの層の各々は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、またはポリマーから成る群からの材料を含む。
【0040】
構造の様々な実施形態では、焼結複合構造の少なくとも2つの層の各々は、緻密層または多孔質層の1つである。
【0041】
構造の様々な実施形態では、焼結多層構造の第1の層は多孔質層で、焼結多層構造の第2の層は緻密層であり、緻密層は、単一の緻密層または少なくとも2つの緻密副層の1つである。
【0042】
構造の様々な実施形態では、焼結多層構造の少なくとも2つの層は第3の層を含み、第3の層は多孔質層である。
【0043】
構造の様々な実施形態では、第1の層は固体電解質で、第2の層は異なる固体電解質であり、焼結多層構造は多機能固体電解質を形成する。
【0044】
構造の様々な実施形態では、少なくとも2つの層は第3の層を含み、第1の層は固体電解質であり、第2の層は電極であり、第3の層は電極と固体電解質との間の界面層であり、界面層は10μm未満の深さを有する。
【0045】
構造の様々な実施形態では、構造は固体電池を含み、固体電池は焼結多層構造を含み、焼結多層構造は固体電解質である。
【0046】
構造の様々な実施形態では、構造は燃料電池を含み、燃料電池は焼結多層構造を含み、焼結多層構造は固体電解質である。
【0047】
本開示の態様では、熱電デバイスの製造方法は、pタイプ薄膜を基材上に供給すること、nタイプ薄膜を基材上に供給すること、少なくとも1つの導電性カーボン素子をpタイプ薄膜およびnタイプ薄膜から最大で1センチメートルの距離に位置付けること、少なくとも1つの導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱すること、pタイプ薄膜およびnタイプ薄膜を少なくとも1つの加熱された導電性カーボン素子からの熱によって焼結すること、ならびに少なくとも1つの電極を、焼結されたpタイプ薄膜または焼結されたnタイプ薄膜の少なくとも1つの少なくとも一部上に提供することを含む。
【0048】
本方法の様々な実施形態では、pタイプ薄膜およびnタイプ薄膜は同時に焼結される。
【0049】
本方法の様々な実施形態では、pタイプ薄膜およびnタイプ薄膜は連続して焼結される。
【0050】
本開示の態様では、圧電素子は第1の電極および第2の電極、ならびに第1の電極と第2の電極との間の焼結された圧電薄膜を含む。
【0051】
本開示の模範的な実施形態のさらなる詳細および態様は、添付の図面を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0052】
本開示の前述および他の態様および特徴は、付随する図面と併せて理解される場合、以下の詳細な説明を考慮してより明らかになり、図面中、同様の参照番号は類似または同一の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本開示の態様に従った、 模範的なUHS焼結プロセスの略図である。
【0054】
【
図2】本開示の態様に従った、UHSプロセスのための発熱体の模範的な構成の略図である。
【0055】
【
図3】本開示の態様に従って、発熱体に圧力を加えることを含む模範的なUHSシステムの略図である。
【0056】
【
図4】本開示の態様に従った、コンベヤストリップを含む模範的なUHSシステムの略図である。
【0057】
【
図5】本開示の態様に従い、材料の最上層を焼結するための移動可能な加熱バーを含む模範的なUSHシステムの略図である。
【0058】
【
図6】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを使用して焼結できる模範的な3D印刷された構造の略図である。
【0059】
【
図7】本開示の態様に従って、UHSシステムおよびプロセスを粉末に適用する模範的な操作の略図である。
【0060】
【
図8】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用することによって形成された模範的な多層構造の略図である。
【0061】
【
図9】本開示の態様に従い、組成物を共焼結するためのUHSシステムおよびプロセスを適用して複合構造を形成する模範的な操作の略図である。
【0062】
【
図10】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用して固体材料のための後処理を実施する模範的な操作の略図である。
【0063】
【
図11】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用して固体材料の表面を処理する模範的な操作の略図である。
【0064】
【
図12】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用して基材の表面における薄膜を処理する模範的な操作の略図である。
【0065】
【
図13】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用して電極材料および固体電解質を共焼結する模範的な操作の略図である。
【0066】
【
図14】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用して固体電池を共焼結および製造する模範的な操作の略図である。
【0067】
【
図15】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用して印刷薄膜電池を製造する模範的な操作の略図である。
【0068】
【
図16】本開示の態様に従い、異なる用途(例えば、電池および燃料電池)に対してUHSシステムおよびプロセスを適用することにより形成される模範的な多層構造の略図である。
【0069】
【
図17】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用することにより形成される模範的な熱電デバイスの略図である。
【0070】
【
図18】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用することにより形成される模範的な圧電素子および薄膜の略図である。
【0071】
【
図19】本開示の態様に従い、UHSシステムおよびプロセスを適用することにより形成される模範的な遮熱コーティングまたは耐環境コーティングの略図である。
【0072】
【
図20】本開示の態様に従った、計算スクリーニングおよびUHSを適用することによる材料の製造の模範的なプロセスの略図である。
【0073】
【
図21】本開示の態様に従い、複数の材料を同時に共焼結するための模範的なUHSシステムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本開示は高速高温焼結システムおよび方法に関する。本開示の態様は、異なる材料に適用できる、革新的な、材料非特異的、超高速エネルギー節約焼結技術を提供して、広範囲にわたる技術用途に対してバルクセラミックスのハイスループット製造を可能にする。以下で図に関連して説明されるように、本開示は、多くのタイプの材料を、45秒以内の速さにできるプロセスで焼結するためのシステムおよび方法を提供して、20時間を超える従来型の炉焼結時間に比べて著しい改善をもたらす。
【0075】
本明細書では、別段の指示がない限り、「焼結する」という用語は、熱および/または圧力により、材料を完全に液化することなく材料の固体塊を形成するプロセスを指し、材料を完全に液化することなく部分的に融解するプロセスを含み得る。ある状況では、「焼結する」という用語は、様々な状況に関して以下で説明されるように、材料を融解するプロセスを指し得る。
【0076】
本明細書で開示される焼結プロセスは、超高速高温焼結(ultrafast high-temperature sintering)(「UHS」)または高温パルス(high temperature pulse)(「HTP」)焼結と呼ばれ得る。UHSプロセスは、均一な温度分布、高速な加熱速度(例えば、2,000~100,000℃/分)および高速な冷却速度(例えば、最大約10,000℃/分)、ならびに高焼結温度(例えば、最大約3,000℃)を特徴とする。加熱源の高加熱速度および高温は、10秒未満の超高速焼結時間および略45秒以内の全体の処理時間を可能にする。それに加えて、UHSプロセスはスケール拡張可能であり、内在特性および準備に関して最小限のサンプル要件しか有しておらず、従って、普遍的で高速なセラミック合成および焼結を提供する。UHSは、計算からの新しい材料予測についての高速な実験的検証を可能して材料発見を容易にする。それに応じて、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、電池、3D印刷されたセラミックス、および高エントロピーセラミックスを含め、その他の方法では探求するのが困難である広大な組成空間で広範な分野において適用できる高速材料スクリーニングおよび合成のために著しい進歩をもたらす。
【0077】
本開示の態様によれば、本明細書でさらに詳細に後述するとおり、UHSプロセスは、単一ステップで酸化物前駆体からセラミックスを直接合成し、その単一ステップでは、前駆体ペレットが2つのカーボンストリップ間で放射加熱を通して高速かつ均一に焼結される。短い焼結時間は、界面における揮発蒸発および望ましくない相互拡散(すなわち、相互汚染)を防ぐ。それに加えて、UHSプロセスはセラミック前駆体の3D印刷と互換性があって、焼結後に保持される、新規の構造を生成し、さらに多層セラミック化合物間の明確な界面も生成し、これは薄膜SSE用途に対して適用可能性をもつ。
【0078】
セラミックスまたは他の固体材料を合成するためのUHSプロセスは、次の属性を有する。(1)UHSプロセスは、前駆体を固体、緻密質セラミックスまたはガラス薄膜へと直接合成および焼結して、焼結時間を数十時間から10秒未満に減少でき、それは、高速な材料スクリーニングのために成功的合成への高速収束を可能にする。(2)高温は、制御されない粒成長を回避/軽減しながら、融解および融合された粒界をもたらす。かかる制御は卓越した性能ならびに優れた機械的および電気化学的特性をもたらす。(3)短い焼結時間は、合成の際の固体電解質(SSE)のLi損失問題を回避/軽減して副反応を回避/軽減し、交差拡散なしで多層構造をもたらす。(4)UHSプロセスは、広範囲のセラミックス、ガラス、および他の固体材料のための普遍的なプロセスである。これらの属性は、セラミックス、ガラスおよび他の固体材料を見つけるための物理化学プロセスとしてのUHSプロセスのユニークさを実証している。
【0079】
本開示の一部は、2019年5月17日に出願された、米国仮特許出願第62/849,578号を参照し、それは参照により全体として組み込まれ、本明細書では「追補(Supplement)」と呼ばれ得る。
【0080】
本開示の一部は、2020年4月30日に出願された、米国仮特許出願第63/022,083号を参照し、それは参照により全体として組み込まれ、本明細書では「追補B」と呼ばれ得る。
【0081】
ここで
図1を参照すると、材料前駆体を焼結するための模範的なUHSプロセスが示されている。前駆体110は、最大約3,000℃の高焼結温度において1ステップで略10秒で緻密質セラミックペレット130に直接焼結される。対照的に、従来型のセラミック合成は、前駆体からセラミック相を形成するための800~1,000℃で5~10時間の固相反応ステップに続いて、緻密成分を形成するための、典型的には1,000~1,600℃での何時間もの焼結が関わる、二段階プロセスである。一般に、UHS焼結プロセスは、従来型の焼結方法よりも略2~4桁速い(追補、表S1)。
【0082】
図1では、UHSプロセスの模範的な実施形態が示されており、図では、前駆体ペレット110が、放射および/または伝導を通してサンプルペレット110を急速に加熱できる2つのブランケットジュール加熱カーボンストリップ120の間に直接「サンドイッチ」されて、高速合成(固相反応)および反応焼結のための均一な高温環境を形成する。不活性雰囲気中、カーボン発熱体120は3,000℃よりも高い温度を供給でき(追補、
図S1)、それは実質的にあらゆるセラミック材料の合成および焼結のために十分であるが、ほとんどのものはこの高い温度を必要としない。UHSプロセスの様々な実施形態では、発熱体120は室温から焼結温度まで略30秒以内に上昇でき、その後に略10秒の焼結時間、および次いで略5秒の急速冷却が続く。短い処理継続時間は、揮発性成分(例えば、Liイオン電池用の固体電解質中のLi)を含有するセラミックスの優れた組成制御を達成する能力、および卓越した材料性能のために、無制御粒成長を防ぐ能力をもたらす。
【0083】
発熱体120の温度は、約100℃/分~約20,000℃/分の加熱速度、および約100℃/分~約10,000℃/分の冷却速度を含め、異なるランプ速度に調節可能である。発熱体120の到達可能な温度は、約500℃から最高約3,500℃に及び得る。最高焼結温度において、UHSプロセスは、セラミック、ガラス、または他の固体材料の、前駆体110から緻密ペレット130への10秒未満での直接焼結を可能にする。高速焼結速度に起因して、揮発性材料の蒸発および潜在的な相互汚染を著しく最小限化することができ、それは複数の材料の1ステップでの共焼結を可能にする。
【0084】
対照的に、従来型のセラミック合成プロセスは複数のステップおよび長い時間を伴う。前駆体がまず、約800~1000℃で5~10時間焼成されてセラミック相を形成する。次いで材料がセラミック粉体に再粉砕されてペレットにプレス加工され、それらは約1000~1200℃でさらに10~30時間焼結されて緻密ペレットを形成する。セラミックが揮発性成分を含有する場合、長時間の焼結中に高温での蒸発を補うために、剰余の揮発性成分を有する追加のセラミック粉体層が必要である。長い焼結時間は、制御不可能な粒成長および不均一なサイズ分布をもたらし得(追補、
図B1A)、一方、比較的低い焼結温度は、結合が弱い粒界をもたらし得、それは機械的強度を低下させてセラミック特性の均一性に影響を及ぼす。
【0085】
発熱体120と材料110との間の空間が小さいか、または材料110が発熱体120に直接接触する場合、サンプル110の温度ランプ速度ははるかに高速となり得、温度分布は従来型の炉よりも均一となる。UHSプロセスの短い焼結時間は粒成長の制御を可能にし、他方、高い焼結温度は粒界の優れた溶着を確実にし、それは、UHS焼結されたセラミックに対して均一に分布してうまく融合された小粒子をもたらす(追補、
図B1B)。UHSシステムの様々な実施形態およびプロセスは、図に関連して以下で説明される。
【0086】
図2は、UHSプロセスのための発熱体の模範的な構成の略図である。1つの発熱体210が材料230の一方の面上に配置され、第2の発熱体220が材料230の他方の面上に配置される。発熱体210、220は材料230と完全に、もしくは部分的に接触し得、あるいは、材料230から1cm以内だけ離して配置され得る。材料230は、UHSプロセスのために使用される炉内のトレイなど、様々な方法で支持できる。様々な実施形態では、発熱体210、220は、実質的に相互に平行になるように配置される。様々な実施形態では、発熱体210、220は、発熱体に最も近い材料230表面に実質的に平行になるように、配置される。発熱体210、220を材料230により近接して配置すると、材料230はより速い加熱速度で加熱される。約1cmの距離でも、発熱体210、220は、例えば10秒など、ほんの数秒で焼結プロセスを完了するために十分な加熱速度で材料230を加熱することが可能であり得る。様々な実施形態では、材料230が下側発熱体220上に配置され得、上側発熱体210が材料230から1cm以内だけ離して配置され得る。上側発熱体210および下側発熱体220が材料230から異なる距離だけ離れている場合、発熱体210、220は、異なる加熱速度で加熱され得、あるいは異なる距離に基づいて異なる温度を達成し得る。例えば、材料230が下側発熱体220上に配置される場合、下側発熱体220は上側発熱体よりも低い温度に加熱され得る。
【0087】
様々な実施形態では、発熱体210、220は導電性炭素材料、例えば、カーボン紙、炭素フェルト、炭素布、グラファイト紙、グラファイトフェルト、グラファイト布、グラファイトフィルム、またはグラファイト板など、で作ることができる。様々な実施形態では、他の導電材料または複合物が発熱体のために使用できる。発熱体210、220は、焼結される材料のサイズに基づき、製造ニーズを満足するようにサイズを調整できる。発熱体210、220が導電材料で作られている場合、発熱体210、220は、発熱体210、220の導電材料を通して電流を流す電源(図示せず)によって加熱することができる。発熱体210、220の導電材料を流れる電流の量は加熱速度に対応し、そのため加熱速度および電源は、発熱体210、220の導電材料を流れる所望の量の電流を供給することによりコントローラ(図示せず)によって制御できる。加熱プロファイルは、特定の材料に関して追補でさらに詳細に説明される。ここでは、発熱体210、220が材料230に同じ方向で熱を加えるためには、電流が同じ方向に発熱体を通って流れるべきであることに留意するだけで十分である。様々な実施形態では、発熱体210、220は、略2cmの幅および10cmの長さを有し得る。発熱体についての他の形状およびサイズは、本開示の範囲内であることが企図される。
【0088】
加熱環境は真空であり得、あるいは不活性ガス、Ar、N2、水素、二酸化炭素、酸素、空気、および/または他のガスの1つ以上を含むことができる。加熱環境は材料のタイプおよび発熱体のタイプに基づいて異なり得る。
【0089】
図3は、発熱体に圧力を加えることを含むUHSシステムの略図である。発熱体310、320および加熱環境は、
図2に関連して説明されたものと同じであり得る。発熱体310、320は材料330と接触して配置されて、油圧プレート、ロボット/メカニカルアーム、または他の機械式圧力アプリケータなどの、様々な機構340、350によって、圧力が発熱体310、320に加えられ得る。様々な実施形態では、発熱体310、320は、圧力アプリケータ340、350に固定できる。圧力の印加で、焼結材料360はより高い密度を有し得る。様々な実施形態では、印加される圧力の量は、所望の密度および/または他のパラメータに基づき、コントローラ(図示せず)によって電子的に制御できる。
【0090】
図4は、コンベヤストリップを含むUHSシステムの略図である。発熱体410、420および加熱環境は、
図2に関連して説明されたものと同じであり得る。材料430はコンベヤストリップ440上に置くことができ、発熱体410、420は、焼結される材料430から1cm未満離して配置され得る。コンベヤストリップ440は、発熱体410、420の高温に耐えることができて急速に加熱および冷却できる、耐熱材料で作ることができる。下側発熱体420がコンベヤストリップ440の下にある実施形態では、下側発熱体420は、上側発熱体410よりも高い温度に加熱されてより均一な焼結をもたらし得る。様々な実施形態では、下側発熱体420は、コンベヤストリップ440に組み込まれてコンベヤストリップ440の一部を形成でき、そのため焼結される材料430は、直接コンベヤストリップ440上にある発熱体420と接触して置くことができる。材料430が下側発熱体420と接触している実施形態では、下側発熱体420は、上側発熱体410よりも低い温度に加熱されて、より均一な焼結をもたらし得る。焼結時間が非常に短い(例えば、10秒)ため、コンベヤストリップ440は高速焼結およびハイスループット製造のために連続的に動作できる。様々な実施形態では、発熱体410は材料430のサイズよりも小さいサイズであり得、そのため材料430の全体は、コンベヤストリップ440で材料430を前に進めることによって焼結される。
【0091】
コンベヤシステムの全ての構成要素が表示または説明されているわけではない。当業者は、かかる構成要素を認識して理解するからである。例えば、コンベヤストリップを移動させるコンベヤシステムは、ローラー、モーター、およびコントローラ等を含み得る。コントローラ(図示せず)は電源を制御して発熱体を加熱でき、コンベヤシステムを制御して材料を前に進めることができる。加えて、コンベヤストリップは、例えば
図10および
図11に関連して説明される固体材料の後処理などの、他の目的のために使用され得る。かかる他の目的のため、発熱体が材料から最大で数インチ離して配置されて、材料が例えば1秒~1時間または別の継続時間などの、適切な継続時間だけ加熱され得るようにコンベヤストリップのロール速度を調整可能にできる。
【0092】
図1~
図4の実施形態は模範的であり、変形は本開示の範囲内であると考えられる。例えば、様々な実施形態では、両方の発熱体が使用されるのではなく、1つだけの発熱体が使用され得る。様々な実施形態では、
図1~
図4のシステムおよびプロセスは、2つの発熱体を有するのではなく、1つだけの発熱体を有し得る。発熱体を目標温度まで加熱する時間は異なり得る。材料を焼結するための時間量は異なり得、1秒~1時間の間であり得る。
【0093】
図5は、材料の最上層を焼結するための移動可能な加熱バーを含むUSHシステムの略図である。加熱バー530は、
図2の発熱体に関連して説明される材料から作られた発熱体を含み得る。発熱体は、材料510の表面にわたって発熱体を動かすことができるメカニカルアームまたは他の機械式機構(図示せず)に固定され得る。前述のとおり、発熱体は、材料510の表面からおよそ1cm以内離して配置され得る。加熱バー530は、材料510の表面にわたって走査されて、基材520の上のコーティング層510のような材料の最上層540、薄膜、または他の多層構造を焼結できる。加熱バーシステムの全ての構成要素が表示または説明されているわけではない。当業者は、かかる構成要素を認識して理解するからである。例えば、加熱バーを動かす加熱バーシステムは、モーター、センサー、およびコントローラ等の構成要素を含み得る。コントローラは電源を制御して加熱バーを加熱でき、メカニカルアームまたは他の機構を制御して材料の表面にわたって加熱バーを動かすことができる。
【0094】
様々な実施形態では、加熱バー530 UHSシステムは、鋼粉が関わるコーティング510プロセスに適用できる。一例として、コーティングプロセスでは、3~5wt%の高分子バインダを含む鋼粉(例えば、元素金属、すなわち、Fe、Mn、Ni、Crの粉末混合物、1~5μmの粉末粒径)がエタノール中に分散されてスラリーを作る。スラリーの粘度は、スプレーコーティングおよびドクターブレードを含む、異なるコーティング技術のために金属粉末および高分子バインダの濃度を調節することにより制御できる。粉末スラリーは次いで、約5mmの湿潤厚さで鋼基材または管壁上に沈着され得る。コーティング層が空気中で乾燥した後、約1500℃の温度のカーボン加熱バーがコーティング層の上を接近して移動してコーティングを緻密鋼層に焼結できる。UHS焼結プロセスの後、カーボン加熱バーに近いコーティング層の領域が緻密で光沢のある鋼に約5秒で焼結された。断面SEM画像は、焼結された鋼は約1mmの厚さで緻密であり、鋼基材と堅固な結合を有することを示す(追補B)。
【0095】
従って、UHSプロセスを実行するための様々なシステムが前述されている。以下の段落は様々な構造および使用のためのUHSプロセスの適用を説明する。
【0096】
図6は、UHSシステムおよびプロセスを使用して焼結できる、3D印刷された構造の略図であり、複雑な3D印刷構造610、秩序的3D印刷構造620、多孔質3D印刷構造630、およびテクスチャ様多孔質3D印刷構造640を含む。3D印刷構造610、620、630、640の組成は、セラミック、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、および他の固体状材料ならびにそれらの複合体を含む、様々な固体材料を含み得る。3D印刷構造610、620、630、640の幾何形状は任意の形状にできる。構造は、押出し、UV支援凝固、インクジェット、または任意の他の印刷技術を含む3D印刷方法によって形成できる。様々な実施形態では、3D印刷構造610、620、630、640は、異なる組成および複雑な構造を有する機能デバイスであり得る。
【0097】
UHSシステムおよびプロセスの均一な温度分布は、構造があらゆる方向に均一に収縮するのを可能にし、それは、UHS焼結後に印刷構造612、622、632、642の形を維持する。従って、UHSプロセスは、焼結612、622、632、642後にデバイスの組成および構造を維持して機能デバイスを達成する。様々な実施形態では、焼結された3D印刷構造612、622、632、642は、UHSプロセスを経た後、優れた機械的、電気的、光学的、熱的、音響的、磁気的、ならびに他の物理的および化学的特性を維持できる。様々な実施形態では、3D印刷構造は、触媒作用などの、他の用途のための担体材料として使用できる。様々な実施形態では、UHSシステムおよびプロセスは、複雑多孔質(complex porous)630またはテキスタイル様多孔質構造640を焼結するために使用できる。多孔質構造630は3Dまたは2D構造にでき、それは様々な形態を有することができ、ランダムまたは秩序的構造であり得る。多孔質構造630の多孔度および孔径は多様である。様々な実施形態では、UHSプロセスを通した2Dテキスタイル様構造642は柔軟性を備え得る。本開示の態様によれば、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、それらが3D印刷によって形成されるか他の方法によって形成されるかに関わらず、全てのかかる3次元および/または多孔質構造を焼結するために使用できる。例示された3次元構造は模範であり、本開示の範囲を制限しない。開示されるUHSシステムおよびプロセスは一般に、全ての3次元構造に適用可能である。
【0098】
図7は、UHSシステムおよびプロセスを粉末に適用する略図である。
図7の上部はUHSプロセスにおける反応焼結の一例を示しており、ここでは前駆体粉末710が反応して緻密なバルク720に焼結する。組成物A、B、CおよびDは元素粉末または酸化物前駆体710であり得る。粉末が前駆体粉末710である場合、前駆体粉末はUHSプロセス中に1ステップで、急速に反応して緻密なバルクサンプル720に焼結する。例えば、
図7で、前駆体粉末A、B、CおよびD710はUHS焼結中に反応して、結果として生じるバルク材料E720を形成する。
図7の下部はUHSプロセスにおける直接焼結の一例を示しており、ここでは粉末730が直接、緻密なバルク720に焼結する。下部では、粉末730は複合粉末730であり得、それはそれらの間で反応することなく複合体を形成する。粉末730が、結果として生じるバルク材料720の合成/複合粉末730である場合、UHS焼結プロセス中、粉末730の間では反応しない。粉末に関して、焼結温度は、粉末が部分的にまたは完全に融解して緻密構造を形成するように調整できる。従って、粉末を焼結する状況では、用語「焼結」は粉末が完全に融解することを容認する。
【0099】
本開示の態様において、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、金属および合金を粉末から直接、急速に焼結するために適用できる。UHSの超高温に起因して、UHSプロセスは金属および合金を粉末から直接、急速に焼結できる。合金焼結のための粉末は元素粉末の混合物であり得、あるいは結果として生じるバルク材料と同じ組成をもつ予合金化した粉末であり得る。
図1~
図5に示されるUHSシステムを含む、様々なタイプのUHSシステムで金属および合金を焼結できる。以下の表1は、UHSプロセスによって焼結できる組成の非限定的例を提供する。表1に示されていない他の組成もUHSプロセスで焼結できる。
【0100】
【0101】
様々な実施形態では、金属および合金は、
図6に関連して前述された3D印刷構造などの、特殊構造の形で焼結できる。様々な実施形態では、UHSプロセスは、二層または多層構造を形成する、層ごとの印刷および焼結のプロセスにおける金属コーティングに適用でき、それは
図8に関連して以下で説明される。例えば、UHSプロセスは、BMG/結晶二重層または多層構造を焼結できる。様々な実施形態では、UHSプロセスは、Al、Ti、Cu、Fe、耐火金属、耐火合金、およびシリサイド合金を含め、広範な金属および合金を高速に焼結でき、それらは全て元素粉末の混合物から直接焼結できる。これらの金属および合金の焼結温度は、約1000℃~約3000℃まで様々である。単一組成ペレットの他に、UHSプロセスは、Cu/Fe二層ペレットなどの、複材料を共焼結するために適用できる。
【0102】
本開示の態様において、本明細書で開示されるUSHシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、セラミックスを粉末から直接焼結するために適用できる。
図1~
図5に示されるUHSシステムを含む、様々なタイプのUHSシステムでセラミックスを焼結できる。以下の表2は、UHSプロセスによって焼結できるセラミック組成の非限定的リストを提供する。
【0103】
【0104】
様々な実施形態では、セラミックスは、
図6に関連して前述された3D印刷構造などの、特殊構造の形でも焼結できる。様々な実施形態では、UHSプロセスは、薄膜、二層、または多層構造を形成する層ごとの印刷および焼結プロセスにおいてセラミックスを焼結するために適用でき、それは
図8および
図12に関連して以下で説明される。例えば、複数の薄膜イオン伝導体および圧電セラミックスがUHSプロセスによって焼結され得る。
【0105】
本開示の態様において、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、ガラスまたは透明セラミックスを粉末から直接焼結するために適用できる。ガラスまたは透明セラミックス用の粉末は前駆体粉末の混合物であり得、あるいは結果として生じるバルク材料と同じ組成を有する予め合成された粉末であり得る。
図1~
図5に示されるUHSシステムを含む、様々なタイプのUHSシステムでガラスまたは透明セラミックスを焼結できる。以下の表3は、UHSプロセスによって焼結できるガラスまたは透明セラミックス組成の非限定的リストを提供する。
【0106】
【0107】
様々な実施形態では、ガラスまたは透明セラミックスは、
図6に関連して前述された3D印刷構造などの、特殊構造の形でも焼結できる。様々な実施形態では、UHSプロセスは、薄膜、二層、または多層構造を形成する層ごとの印刷および焼結プロセスにおいてガラスまたは透明セラミックスを焼結するために適用でき、それは
図8および
図12に関連して以下で説明される。
【0108】
本開示の態様において、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、ホウ化物、炭化物、および窒化物を粉末から直接焼結するために適用できる。ホウ化物、炭化物、および窒化物用の粉末は前駆体粉末の混合物であり得、あるいは結果として生じるバルク材料と同じ組成を有する予め合成された粉末であり得る。
図1~
図5に示されるUHSシステムを含む、様々なタイプのUHSシステムでホウ化物、炭化物、および窒化物を焼結できる。以下の表4は、UHSプロセスによって焼結できるホウ化物、炭化物、および窒化物組成の非限定的リストを提供する。
【0109】
【0110】
様々な実施形態では、ホウ化物、炭化物、および窒化物は、
図6に関連して前述された3D印刷構造などの、特殊構造の形でも焼結できる。様々な実施形態では、UHSプロセスは、薄膜、二層、または多層構造を形成する層ごとの印刷および焼結プロセスにおいてホウ化物、炭化物、および窒化物を焼結するために適用でき、それは
図8および
図12に関連して以下で説明される。
【0111】
図8は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)を適用することによって形成された模範的な二層または多層構造(二層は多層の1つの例である)の略図である。二層構造は第1の層810および第2の層820を有することができる。例示される多層構造は、層820、822、824、および826などを有する。層810~826の組成は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、および/または他の固体状材料を含む、任意の固体材料であり得る。二層または多層構造810~826の層は緻密または多孔質であり得る。本明細書で説明されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、層810の1つが多孔質構造で他の層812が緻密層で(またはその逆も同様)、それにより多孔質-緻密二重層を形成する、二層構造に適用できる。多孔質層810は、電池および燃料電池用途のために、電極材料を染み込ませることができる。UHSシステムおよびプロセスは、固体電池、フロー電池、および/または燃料電池用途のための多孔質-緻密-多孔質多層構造などの、任意の多層構造にも適用できる。UHSの短い焼結時間に起因して、多層構造の組成は、交差反応または拡散なしで維持される。
【0112】
様々な実施形態では、二層または多層構造は、イオン伝導体/固体電解質(SSE)であり得る。二重層セラミックスを固体電解質として開発することにより、異なる電解質の利点が組み合わされて、固体電池において優れた性能を備えた多機能SSEを形成できる。例えば、ガーネットはLi金属との安定した界面のための負極側として機能でき、カソードとの良好な界面を有する別の層は正極側上にできる。他の二層または多層薄膜(例えば、3層以上)もSSEにでき、他の二層および多層構造材料も本開示の範囲内であることが企図される。
【0113】
様々な実施形態では、UHSプロセスは、金属および合金二重層および多層を焼結するために使用できる。各層810~826の組成は任意の金属、合金、およびバルク金属ガラス(BMG)であり得る。高温焼結された金属、合金、およびBMGの組成は任意の金属、合金、金属ガラス、金属間化合物、ならびに他の金属および合金およびそれらの複合体であり得る。UHSプロセスは、BMGおよび結晶組成物がうまく共焼結されて二層または多層構造を形成するのを可能にし、それはBMGおよび結晶の両方の機械的利点を組み合わせる。短い焼結時間に起因して、層間の拡散は非常に小さく/最小限に抑えられて(10μm未満など)、そのため各層は元の構造を維持できる。一例として、UHSプロセスを使用してFe系BMG/結晶二重層を共焼結できる。XRDパターンは各層の純粋な結晶およびガラス相を示して(追補B)、層間に明らかな副反応がないことを表す。二層設計は他の金属系にも拡張できる。機械的特性をさらに改善するために、何らかの結晶相がBMG層に付加されて延性を向上させ得る(追補B)。この場合、低ガラス形成能をもつBMG組成を使用して、BMG層中に結晶相をin situ生成することができる。高速な焼結速度に起因して、他の結晶相も交差拡散なしでBMG層に付加できる。
【0114】
図9は、複数の組成物を共焼結して複合構造を形成するために本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)を適用することの略図である。
図9の左側では、複合体は混合物912および他の構造体910を有する。
図9の右側では、複合体はコアシェル922および他の構造体920を有する。本明細書で使用されるように、用語「共焼結」は、UHSを適用して複数の組成を焼結すて複合構造を形成することを指し得る。UHSの短い焼結時間に起因して、複合構造の組成は、交差反応または拡散は無しで/最小限(例えば、10μm未満)で、維持される。複合構造の組成910~922は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、および/または他の固体状材料を含む、任意の固体材料の組合せであり得る。
【0115】
一例として、複合SSEは、異なる組成の利点を利用して優れたSSEを獲得することができる。溶融ガラス状態を導入することにより、複合SSEはより低い温度で焼結してより緻密な構造を形成することができる。一例として、Li
3PO
4をLLZTOガーネットに添加することによってガラス-セラミック複合SSEを焼結でき、ここでLi
3PO
4は高温で溶けてLLZTO粒子と融着して緻密な複合ペレットを形成できる。EDSマッピングは明らかなクロスドーピングがないことを示しており(追補、
図B20)、XRDパターンは二次相も副反応もないことを確認する(追補、
図B20A)。対照的に、1200℃での1時間の焼結中には、Li
3PO
4とLLZTOとの間で深刻な副反応が起こる(追補、
図B21 B~D)。それ故、UHSプロセスは、超高速焼結速度に起因して、セラミックスおよびガラス材料のための新しい構造設計を可能にする。
図9のUHSプロセスは、2つ以上の組成を有する他の複合構造の焼結に適用できる。複合体内容物910~922の組成は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、および他の固体状材料であり得る。複合体の構造は多相の混合物(
図9の左側に示されるように)であり得、あるいはコアシェル(
図9の右側に示されるように)であり得、あるいは他の構造であり得る。
【0116】
図10は、UHSシステムおよびプロセスを適用して固体材料のための後処理を実施する略図である。固体材料1010は事前合成されたものであるか、または他の焼結技術によって形成され得る。次いで、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5)を後処理として固体材料1010に適用できる。例えば、発熱体1010は、材料1010から1mm~数インチ離して配置され得る。UHS後処理により、処理された固体1010は、構造、組成、結晶化度、形態、表面、または他の変化を経ることができる。処理された固体材料1030は、優れた機械的、電気的、イオン的、光学的、熱的、音響的、磁気的、ならびに/または他の物理的および/もしくは化学的特性を有することができる。様々な実施形態では、固体材料は、ガラス、または優れたUV-Vis-IR特性もしくは他の光学的特性を備えた他の光学材料であり得る。固体材料1010の組成は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、ならびに他の固体状材料およびそれらの複合体を含む、任意の固体材料であり得る。
【0117】
図11は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5)を適用して固体材料1110の表面を処理する略図である。固体材料1110は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、および/または他の固体状材料であり得る。様々な実施形態において、固体材料1110は、発熱体1120と直接接触し得、あるいは発熱体1120から1mm~数インチ離され得る。様々な実施形態において、UHSプロセスおよび高温は、サンプル表面を急速に加熱して新しい表面層1130を形成でき、それは、新しい構造、形態、組成、または他の特性変化を有する。UHS処理の温度および時間は、表面層1130の所望の厚さまたは特性を達成するように調整できる。従って、UHSプロセスは、新しい表面層1130の下のバルク特性1110に対していかなる変化も引き起こすことなく、固体材料の新しい表面層1130だけにおいて変化を引き起こすことができる。それ故、UHS表面処理は、固体材料の表面1130の構造、組成、結晶化度、形態、および/または他の特性についての変化を引き起こすことができる。処理された表面1130は、優れた機械的、電気的、イオン的、光学的、熱的、音響的、磁気的、ならびに/または他の物理的および/もしくは化学的特性を有することができる。
【0118】
図12は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5)を適用して基材の表面における薄膜を処理する略図である。スパッタリング、化学蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、物理蒸着(PVD)、および/または他の蒸着技術を使用することにより、基材1210上に薄膜1212を蒸着でき、蒸着された薄膜はアモルファス構造を有し得る。例えば、LiPON、LLZO、および/またはLATPイオン伝導体は、ALDまたはPLDによって蒸着されてイオン伝導率を改善できる。薄膜を処理するためにUHSを適用すると、処理された薄膜1230の特性の有益な変化を引き起こすことができる。様々な実施形態では、薄膜1212の厚さは1nm~数ミリメートルであり得る。薄膜1212および基材1210の組成は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、ならびに/または他の固体状材料およびそれらの複合体を含む、任意の固体材料であり得る。発熱体1220は、材料1212から1mm~数インチ離して配置され得、処理温度および時間は調整され得る。例えば、発熱体は、本明細書で前述された導電性発熱体であり得、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱され得る。発熱体は材料1212を、例えば、約10秒で、または、1秒~1時間など、別の継続時間で焼結し得る。発熱体1220は、材料1212全体をカバーするのに十分なサイズを有し得、あるいは材料1212の上を移動して材料1212全体を焼結し得る。
【0119】
図13は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図12、
図15、
図23)を適用して電極材料および固体電解質(SSE)を共焼結する略図である。電極材料1320およびSSE 1310の共焼結において、性能のために固体電池において良好な界面を達成することが目標であるが、通常の焼結技術では共焼結中の交差拡散および副反応が問題となる。UHSプロセスでは、非常に低い/最小限の交差拡散に起因して、電極材料1320がSSE 1310上で焼結されて副反応なしでコンフォーマル界面1332を生じることができる。UHSプロセスは、
図13に示されるように、良好な界面1332でクロスドーピングを最小限/不在にして電極材料1320およびSSE 1310のin situ合成および共焼結を可能にする。一例として、UHSプロセスを使用して、焼結されたLLZTOガーネット上でLiOHおよびCo
3O
4前駆体からLCOカソードを直接合成して焼結することができる。高温はLCOカソードを形成するために高速で完全な反応をもたらし、他方、短い焼結時間は、カソードとSSEとの間の潜在的な副反応を著しく最小限化する。
図13に示されるように、EDSマッピングは明らかなクロスドーピングがないことを示す。このプロセスは、他の電極材料1320(NMC、LiFePO
4、Li
2Sなど、および他のLi、Na、K、Mg、Zn電極材料など)および他のセラミックスまたはガラスSSE 1310(LLTO、LATP、NASICON、LISICON、チオ-LISICON、Naイオン伝導体、および他の固体イオン伝導体またはそれらの複合体など)に適用できる。
【0120】
図14は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図12、
図15、
図23)を適用して固体電池を共焼結1420および製造する略図である。共焼結された固体電池の一例として、電極として機能する電気-イオン混合導電材料であるLLMOを、LLZTOガーネットと共焼結できる。
図14に示されるように、LLMO層はガーネットSSEと良好に接触し、EDSマッピング1440は、UHS焼結後に明らかなクロスドーピングがないことを示している。ガーネットSSEの反対側上にLiを被覆1430でき、LLMO上にCNTの層を集電体として被覆1410できる。結果として生じる固体電池は、液体電解質を添加することなく、室温で直接サイクル動作することができる。LLMOの混合伝導性は、全ての固体電池のための低抵抗を可能にする。電圧特性は追補、
図B22に示されており、その図では、約1.6Vおよび1.2Vにおいて2つのプラトーがある。計算結果は、これら2つのプラトーは、それぞれ、Li3-Li5およびLi5-Li7リチオ化プロセスに対応し得ることを示す。追補、
図B22に示されるサイクル性能は、全ての固体電池が600を超えるサイクルにおいて優れたサイクル安定性を有することを示す。従って、あらゆる全ての固体電池が、優れた界面および電池性能を備えて、UHSシステムおよびプロセスで組み立てることができる。この技術は、他の固体電池または燃料電池の製造に拡張できる。電極材料は、NMC、LiFePO
4、Li
2S、および他のLi、Na、K、Mg、Zn電極材料であり得る。電極はカソードおよびアノードの両方を含む。固体電解質は、セラミックス、ガラス、ならびに、LLTO、LATP、NASICON、LISICON、チオ-LISICON、および他のLiイオン伝導体、Naイオン伝導体、Kイオン伝導体、Oイオン伝導体、Hイオン伝導体、および他のイオン伝導体などの、他の固体イオン伝導体またはそれらの複合体であり得る。電極材料は副反応なしで多孔質SSEにも焼結できる。
【0121】
図15は、UHSのシステムおよびプロセスを適用して印刷薄膜電池を製造する略図である。SSEおよび電極の両方を、スラリー法で印刷し(1510、1530)、続く高速UHS焼結1520、1540で緻密層および電極とSSEの間の良好な界面を形成することができる。
【0122】
可燃性液体有機電解質の使用を回避するより安全な充電式電池に対する必要性は、窒化リン酸リチウム(LiPON)およびガーネット系セラミック化合物などの、固体電解質(SSE)の開発の動機となっている。10-4S/cmを上回る高イオン伝導性を特徴とするSSE薄膜(10μm未満)が、高いエネルギーおよび出力密度を達成するために望ましい。薄膜セラミックSSE(例えば、ガーネット)を合成するために様々な方法が開発されてきたが、それらは薄膜電解質の焼結に課題を提示し深刻なLiおよびNa損失ならびに対応する低イオン伝導性を引き起こす。他の方法は50~800μA/cm2の低電流密度の固体薄膜電池を提供するが、大規模用途(例えば、電気自動車)では最大3~10mA/cm2の電流密度を必要とする。
【0123】
本開示は、UHSプロセスを使用して薄膜セラミックSSEを合成するためのシステムおよびプロセスを提供し、本明細書では「印刷および放射加熱(printing and radiative heating)」、またはPRHと呼ばれる。PRHは改善されたスケール拡張性を備えたセラミック薄膜SSE合成の溶液ベース(solution-based)で印刷可能な技術を提供する。PRHは、最高1500℃の焼結温度を短期間(例えば、3秒)で使用して動作する。急速加熱は、緻密な多結晶薄膜構造の形成を可能にするが、短い焼結時間のために、揮発性元素損失は無視できるほどである。PRHプロセスでは、インク濃度および湿潤厚さを制御することによって調整される厚さで前駆体膜が基材上に印刷1502される。風乾された前駆体膜は次いで、
図15の上に示されるように、UHSプロセスを使用することによる高速近接焼結1504のために、放射加熱ストリップ(例えば、約1500℃)に密接して配置される。このジュール加熱されたストリップは前駆体膜にわたって数秒の総加熱持続期間移動して、焼結プロセス1506を完了する。様々な実施形態では、コンベヤストリップシステム(例えば、
図4)が、加熱ストリップまたは加熱バーの代わりに使用され得る。PRHプロセスは、Li
6.5La
3Zr
1.5Ta
0.5O
12(
LLZTO)セラミック薄膜SSEを単結晶MgO基材上で製造するために使用でき、それは半透明で緻密かつ均一な構造を特徴とする。結果として生じるセラミック薄膜は、バルク材料のものに匹敵する優れた結晶化度、無視できるほどのLi損失、および高イオン伝導性を示す。PRHプロセス1502~1506は材料特異的ではなく、広範な高性能固体薄膜を焼結することが可能である。PRH焼結された薄膜1506は、イオン伝導性、普遍性、化学量論、製造速度、結晶化度、およびスケール拡張性に関して著しい優位性をもたらし、その全ては固体電池の開発に大いに役立つ。
【0124】
PRH焼結プロセスは放射加熱に基づいており、それは材料特異的ではなく、広範な組成を焼結するために適用できる。例えば、PRHプロセスの普遍性は、Li
0.3La
0.567TiO
3(LLTO)、Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3(LATP)、β-Al
2O
3、およびPbZr
0.52Ti
0.48O
3(PZT)薄膜を前駆体インク溶液から製造するために使用でき(追補B)、その全ては揮発性成分を含有する。LLTO、LATP、およびβ-Al
2O
3は、高性能LiイオンおよびNaイオン伝導体であり、その薄膜は、合成中のLi/Na損失制御の課題に直面する。PRHプロセスは、LLTO、LATP、およびβ-Al
2O
3前駆体インクをAl
2O
3基材上にスプレーコーティングによって印刷でき、その後に高温(1500℃)焼結が約3~5秒間続き、5~10μmの厚さをもつ均一で緻密な薄膜がもたらされる(追補B)。LATPおよびLLTO薄膜は、Ti
4+の潜在的な減少を防ぐために空気中で焼結できる。LLZTO薄膜と同様、EDSマッピング(追補B)によれば、SSE層と基材との間に明らかなクロスドーピングも副反応も認められなかった。焼結薄膜の粒界は、高い焼結温度での融解効果に起因して、よく融合されていた。さらに、3秒以内の高速焼結プロセスに起因して、LATP、LLTO、およびβ-Al
2O
3 SSEにおけるLi/Na損失が最小限に抑えられ、それは、XRDパターンにおける純粋相から確認される(追補、
図S12~S14)。
【0125】
元素損失を回避/軽減するためのPRHプロセスの能力は、Pbなどの、他の揮発性元素を含有する材料に適用できる。Pbの高温での蒸発は、PZT、高性能圧電セラミック製造の主な課題の1つである。従来型の製造プロセスは、焼結中のPb損失およびクラッキングを回避/軽減するために、ゾル-ゲル蒸着されたPZT薄膜の低温(約500~800℃)処理を伴う。しかし、低温処理されたPZT薄膜は一般に、不十分な結晶化度しか有しておらず、それは、薄膜の圧電挙動に影響を及ぼし得る。対照的に、PRHプロセスは、遥かに高い焼結温度(約1500℃)を提供して優れた結晶化度を備えた緻密PZT薄膜を達成し、同時に、短い焼結時間はPb損失を大幅に最小限化する。一例として、PZT前駆体インクをAl2O3基材上に直接印刷した後に1500℃での高速焼結を約3秒間行い得る。不十分な焼結時間または低い焼結温度は、多孔質またはアモルファスPZT薄膜をもたらし、他方、長時間の焼結または高い焼結温度は深刻なPb損失および対応する相変化をもたらす(追補B)。しかし、最適化されたPRH焼結条件は、良好に融合された粒子をもつ緻密構造を示すPZT薄膜をもたらし、他方、EDSマッピングは、均一に分布したPb元素を示している(追補B)。XRDパターンは、Pb損失によって引き起こされる二次相がない、純粋なPZT相を示しており(追補B)、これは、揮発性組成をもつセラミック薄膜の合成のためのPRHプロセスのユニークな能力をさらに実証している。このように、PRHプロセスは、優れた組成制御のために揮発性元素損失を軽減/回避する能力を有する(追補B)。
【0126】
短い焼結時間は材料間の副反応を効果的に防ぐことができるので、PRHプロセスは、単一成分薄膜の他に、複合体薄膜を高速に焼結するために使用できる。一例として、PRHプロセスは、LiBO2-LLZTO複合体SSE薄膜を焼結するために使用できる。結果として生じる材料は、恐らく3秒の短い焼結時間に起因して、たとえ1200℃の高焼結温度でも、コンフォーマル界面をもち明らかなクロスドーピングのない、LLZTO粒子間に均一に分布したLiBO2を特徴とする。対照的に、同じ材料を従来型の炉で1時間焼結すると、緻密な複合体ではなく反応した大きな粒子をもつ多孔質構造を生じる(追補B)。従って、従来型の炉内での長時間の焼結は、成分間の著しい交差拡散および副反応を引き起こし、他方、PRHプロセスは、かかる副反応を回避/軽減して複合構造を生成する(追補B)。広範な単一および多成分の両方の化合物を製造する能力は、高性能セラミック薄膜製造のためのPRHプロセスの普遍性を示す。
【0127】
PRHプロセスによって焼結された薄膜は、構造、組成、結晶化度、形態、または他の変化を有し得、優れた機械的、電気的、イオン的、光学的、熱的、音響的、磁気的、ならびに他の物理的および化学的特性を有する。薄膜の厚さは1nm~数ミリメートルであり得る。薄膜および基材の組成は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、ポリマー、ならびに他の固体状材料およびそれらの複合体を含む、任意の固体材料であり得る。
【0128】
継続して
図15の下部を参照すると、PRHプロセスは、層ごとの印刷および焼結1510~1540を用いて層状構造をもつ固体電池を製造するために適用できる。一例として、LiCoO
2前駆体溶液を、溶液プロセス(追補B)を使用して薄いLLZTOペレット1510上に印刷でき、その後に約800℃(低反応温度のため)でのPRH焼結1520が約3秒間続いてLiCoO
2カソードをin situ合成する。次いで、Li金属アノードがペレットの反対側上に被覆1530され焼結1540されて、サイクルのためのLiCoO
2/LLZTO/Li固体電池を形成できる(追補B)。断面SEM画像およびEDSマッピング(追補B)は、LiCoO
2カソードが、コンフォーマルで明確な界面でLLZTO表面上に均一に焼結されたことを示す。PRH合成されたLiCoO
2はまた、二次相がほとんどない標準的なLiCoO
2相によくマッチするXRDピークも示して、これは3秒の焼結時間中の成功合成を示す(追補、
図S20)。高温および短い焼結時間に起因して、焼結されたLiCoO
2は、約200nmの粒径(追補、
図S21)および明確なコンフォーマル界面を備え、LLZTOガーネットとの明らかなクロスドーピングのないナノ多孔質構造を示す(追補B)。多孔質LiCoO
2層中でのLi輸送を容易にして、サイクル中のカソードの体積変化に起因する容量減衰を回避/軽減するために、LiCoO
2カソードと混合される固相バインダとしてLiBO
2を使用できる。LiBO
2は約850℃で融解できるので、LiBO
2前駆体は、PRHプロセスを使用して多孔質LiCoO
2層に直接印刷して約3秒間で焼結でき、それは均一な複合構造を生じる(追補B)。
【0129】
コンフォーマル界面に起因して、このPRH焼結された電池の界面抵抗は60℃で約100Ω・cm2まで下がり(追補B)、それは他の共焼結された全固体電池よりも大幅に小さい。印刷電池の電圧特性は、LiCoO2カソードの典型的なプラトーを示し(追補B)、高速PRHプロセスによるLiCoO2の成功合成をさらに示す。その上、電池のレートおよびサイクル性能は、約450サイクルにわたって良好な容量保持および優れたサイクル安定性を示す(追補B)。具体的には、初期比容量は30mA/gの電流密度で約87mA・h/gであった。容量は、電流密度の増加に伴って若干減少するが、各電流密度においては、サイクルにわたりほとんど変化がない(追補B)。約450サイクルの後、界面抵抗は約170Ω・cm2までわずかに増加し(追補B)、それはPRHプロセスによって合成されたin situ焼結されたカソードおよび界面の優れた安定性をさらに示す。
【0130】
このPRHプロセス1510~1540は、他の電極材料(NMC、LiFePO4、Li2Sなど、および他のLi、Na、K、Mg、Zn電極材料など)および他のセラミックスまたはガラスSSE(LLTO、LATP、NASICON、LISICON、チオ-LISICON、Naイオン伝導体、および他の固体イオン伝導体またはそれらの複合体など)に適用できる。
【0131】
図16は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)を適用することによって形成される多層構造の略図である。2層、3層、および多層構造が燃料電池およびバッテリーのために使用され得る(2層および3層は多層の特定の例である)。様々な実施形態では、二層および多層構造は3D印刷または蒸着法によって形成できる。各層1610~1624の厚さは約1~500μmである。多孔質層は、電池もしくは燃料電池用の電極材料または電極材料とSSEとの複合体を有する。緻密層は電池および燃料電池用の固体電解質を有し、それは、限定されないが、Liイオン伝導体、Naイオン伝導体、Kイオン伝導体、プロトン伝導体、Oイオン伝導体、Mgイオン伝導体、および/またはAlイオン伝導体を含み得る。二層構造に関して、1つの層1610は多孔質層であり得、それは電池および燃料電池用途のために電極材料を染み込ませることができ、他の層1612は緻密SSEであり得る。3層構造に関して、層1620、1624は電極材料を充填するために多孔質層にでき、層1622はアノードとカソードの材料を分離するために緻密SSEにできる。各緻密層は単一の緻密層であり得、あるいは異なる組成の2つ以上の緻密副層を含み得る。
【0132】
本開示の態様によれば、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、多層構造を含む固体電池を形成するために使用できる。UHSを適用して二層または多層SSEと電極を共焼結して固体電池を形成できる(二層は多層の特定の例である)。多層セラミックスを固体電解質として開発することにより、異なる電解質の利点が組み合わされて、固体電池において優れた性能を備えた多機能SSEを形成できる。例えば、ガーネットはLi金属との安定した界面のための負極側として機能でき、カソードとの良好な界面を有する別の層が正極側上に位置付けられ得る。短い焼結時間のために、交差反応または拡散は不在または最小限で、多層または複合構造の組成が維持される。様々な実施形態では、多層SSE 1614、1624の緻密層は、単一の緻密層であり得、あるいは2つ以上の緻密副層を有し得る。
【0133】
本開示の態様によれば、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)は、単層もしくは多層構造を含むフロー電池または燃料電池を形成するために使用できる。電極を、単層、二層または多層SSEと共焼結するためにUHSが適用されてフロー電池を形成できる(二層は多層の特定の例である)。アノードおよびカソードは、溶液中の電極材料の流れを可能にする多孔質構造である。短い焼結時間に起因して、交差反応または拡散は不在または最小限で、多層SSEの各層の組成が維持される。
【0134】
UHSは、電極を単層、二層、または多層SSEと共焼結して燃料電池を形成するためにも適用できる(二層は多層の特定の例である)。アノードおよびカソードは、酸素および燃料ガス(水素もしくは一酸化炭素、またはメタン)が拡散するのを可能にする多孔質構造である。短い焼結時間に起因して、交差反応または拡散は不在または最小限で、多層または複合構造の組成が維持される。
【0135】
図17は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)を適用することにより形成される模範的な熱電デバイスの略図である。pタイプ薄膜1720またはnタイプ薄膜1730が、例えば、基材1710上に印刷され得、焼結されて基材上に薄膜を形成できる。印刷薄膜1720、1730は、例えば、本明細書で開示されるものの中でとりわけ、
図5のシステムおよびプロセスを使用して焼結され得る。様々な実施形態では、nタイプ薄膜およびpタイプ薄膜は、同時に焼結され得、あるいは連続して焼結され得る。基材上の焼結されたpタイプ薄膜およびnタイプ薄膜は、
図17に示される例のような、熱電デバイスを形成するために使用できる。本明細書で開示されるシステムおよびプロセスを使用して、電極が薄膜上に焼結され得る。
【0136】
熱電デバイスを形成するプロセスは、pタイプ薄膜1720を基材1710上に提供すること、nタイプ薄膜1730を基材1710上に提供すること、少なくとも1つの導電性カーボン素子をpタイプ薄膜1730およびnタイプ薄膜1730から最大1センチメートル離して配置すること、少なくとも1つの導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱すること、ならびにpタイプ薄膜およびnタイプ薄膜を少なくとも1つの加熱された導電性カーボン素子からの熱によって焼結することを含み得る。様々な実施形態では、少なくとも1つの加熱された導電性カーボン素子を、薄膜の上で移動/走査し得る。様々な実施形態では、少なくとも1つの導電性カーボン素子が、両方の薄膜をカバーできる。薄膜は同時に焼結され得、あるいは連続して焼結され得る。少なくとも1つの電極が、焼結されたpタイプ薄膜および/もしくは焼結されたnタイプ薄膜の少なくとも一部の上に蒸着または焼結され得る。例示されて説明される実施形態は模範であり、変形は本開示の範囲内であると考えられる。例えば、熱電デバイスは、例示されたものとは異なるレイアウトを有し得る。発熱体は、別のタイプの導電材料または組成から作られ得る。
【0137】
図18は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)を適用することによって形成される模範的な圧電素子および薄膜の略図である。UHSを適用して、電極1810、1812を圧電薄膜2014と共焼結して、圧電アクチュエータなどの、圧電素子を形成できる。薄膜1814は、電極1810、1812の1つの上に印刷または蒸着され得る。印刷薄膜1814は、例えば、本明細書で開示されるものの中でとりわけ、
図5のシステムおよびプロセスを使用して、焼結され得る。他の電極が、本明細書で開示されるシステムおよびプロセスを使用して蒸着および焼結され得、あるいは当業者が認識する別の方法で蒸着され得る。
【0138】
図19は、本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセス(例えば、
図1~
図5、
図10~
図15、
図21)を適用することによって形成される模範的な遮熱コーティングまたは耐環境コーティングの略図である。遮熱コーティングに関して、コーティング1920、1922の総厚さは1~500μmであり得る。遮熱コーティングは多孔質層1920および緻密層1922を含むことができる。多孔質層1920孔径は略1~10,000nmまたはそれ以下である。本明細書で開示されるUHSシステムおよびプロセスを使用して、金属基材上に、または被覆/処理された金属基材上に、遮熱コーティングを焼結することができる。上側多孔質層1920および下側緻密層1920は、単一の焼結プロセスで共焼結され得、あるいは一度に1つの層を別個の焼結プロセスで焼結し得る。様々な実施形態では、遮熱コーティングまたは耐環境コーティングの層が蒸着または印刷されて、次いで、本明細書で開示されるものの中でとりわけ
図5のシステムおよびプロセスを使用して、焼結され得る。
【0139】
図20は、UHSを適用することによる計算スクリーニングおよび材料製造のプロセスの略図である。計算スクリーニング2010は高速材料発見技術であり、材料科学の発展を著しく促進する。材料の探索/採掘(exploration/mining)は、設計された原理に基づいて元素および化合物を組み合わせる概念であり、最近の人工知能(Al)は、膨大な量の計算および予測によって材料発見を大いに加速させる。論理的予測に関して、正しい材料発見のためには、実際の材料合成で計算をチェックする必要がある。人工知能と組み合わされたコンピュータによる検討は、新しい材料の多くの予測もたらすことができるが、それらの予測を検証するという目標を実現することについての制限因子は、合成速度である。
【0140】
広範なセラミックスを高速で確実に合成2020するためのUHSプロセスの能力は、計算によって予測された新しい材料の迅速な検証を可能にし、従って、バルクセラミック材料に対するスクリーニング速度を大いに加速させる。
【0141】
一例として、リチウムガーネット化合物(Li
7A
3B
2O
12、A=La群、B=Mo、W、Sn、Zr)を使用して、計算による予測およびUHSプロセスによって可能にされるこの高速スクリーニング能力を実証できる。追補、
図3Bに示されるように、ガーネット構造に基づく他の非Liカチオンの組合せをもつ多数の化合物が予測され、それらのエネルギーが密度汎関数理論(DFT)計算によって評価された。これらのコンピュータ生成された仮想のLi7-ガーネット化合物(追補、
図3C)の相安定性はenergy above hull(E
hull)のより低い値によって説明され、それは相図上の安定した相平衡と比較した化合物のエネルギー差から決定される。小さいE
hullの材料(緑で色分け)は、良好な相安定性を特徴とするはずであり、高いE
hull(赤で色分け)は不安定相を示唆する。組成スクリーニングは、Li
7La
3Zr
2O
12、Li
7Nd
3Zr
2O
12、およびLi
7La
3Sn
2O
12などの、大部分の既知の定比Li7-ガーネットを捕捉し、それはこの計算法の有効性を裏付けている。
【0142】
高速合成および材料スクリーニング能力の一例として、追補、
図3Cにリストされた小さいE
hull値を特徴とする計算的に予測されたZrおよびSn系ガーネット組成を、UHSプロセスを使用する実験的検証のために選択でき、それらはLi
7Pr
3Zr
2O
12(LPrZO)、Li
7Sm
3Zr
2O
12(LSmZO)、Li
7Nd
3Zr
2O
12(LNdZO)、Li
7Nd
3Sn
2O
12(LNdSnO)、およびLi
7Sm
3Sn
2O
12(LSmSnO)、ならびにBサイト内の対応する0.5Taドープ化組成(例えば、Li
6.5Sm
3Zr
1.5Ta
0.5O
12(LSmZTO))を含む。追補、
図S13~17に示されるSEM画像は、新しいガーネット化合物がうまく合成および焼結されていることを示し、均一な粒径および微細構造を明示している。最終相対密度は、91~96%の範囲内で2~10μmの範囲内の典型的な粒径であり、これがわずか10秒のUHS焼結で達成された。さらに、追補、
図S18に示されるXRDパターンは、予測された安定な組成に関してガーネット相(Bサイトドープについては立方相、非ドープについては正方相)が成功合成されたことを確認している。新しく発見されたガーネット化合物は、異なるLa群元素に起因して、異なる光学特性を示し、典型的な白色ではない(追補、
図3D)。これらの新しいガーネットは、約10
-4S/cmのイオン伝導性も有しており(追補、
図S19に代表サンプルとしてLNdZTOが示されている)、LLZOガーネットのそれに匹敵する。UHSプロセスを使用して、Li
7Gd
3Zr
2O
12およびLi
7Yb
3Zr
2O
12などの、計算によって予測された不安定なガーネット化合物も合成した。予想どおり、たとえSEM画像がLi
7Yb
3Zr
2O
12およびLi
7Gd
3Zr
2O
12についてよく焼結された粒子を示していても(追補、
図S20A、B)、これら2つの組成はそれらのXRDパターン(追補、
図S20C)によればガーネット相を形成せず、これは計算予測を確証している。
【0143】
UHSの利点は、高度に制御可能な温度プロファイル(すなわち、加熱/冷却速度および焼結温度)であり、それは従来型の手順を使用して達成するのが難しいセラミックスの合成のために優れた調整可能性を提供する。例えば、DFT計算は、Mo系Li7-ガーネットは低E
hull値を有する(追補、
図3C)ことを予測し、これは以前に合成されたことがない新規のガーネット組成である。これらのMo系ガーネットを合成する場合、MoO
2前駆体は比較的低温(約1100℃)で融解および蒸発する傾向があることが見られ、前駆体が高温で反応および焼結されることが妨げられる(追補、
図S21A)。この挙動は、追補、
図S21BおよびCにおいて、低温焼結されたLi
7La
3Mo
2O
12(LLMO)ガーネットのSEM画像分析およびエネルギー分散型X線分光法(EDS)マッピングで確認され、それらは、融解したMoO
2相で囲まれたLa
2O
3前駆体粒子を示しており、反応がほとんどないことを示している。UHSプロセスの優れた調整可能性によって可能になったことで、加熱速度が調整され、焼結温度を約1500℃まで上昇させて反応をより速く行った一方、焼結時間を約3秒に減少させて、MoO
2の蒸発の最小限化を同時に実現した(追補、
図S21D)。追補、
図S21EおよびFにおけるSEM画像およびEDSマッピングは、前駆体が反応して新しい粒子形態を形成することを示す。さらに、追補、
図S22におけるXRDパターンは、LLMOガーネット相が成功裏に達成されたが、いくらかの未反応La
2O
3および二次相が依然として同定できることを確認する。焼結されたLLMOガーネットペレットは、Moの複数の荷電状態およびUHSの還元雰囲気からのあり得る欠損に起因して、混在したイオン-電子伝導性を示す。イオンおよび電子伝導性は、それぞれ、約1.4×10
-5S/cmおよび約3.3×10
-6S/cmであると測定された(追補、
図S23)。LLMOにおける混合伝導性は、固体電池用の潜在的な電極材料として興味深い。これらの発見は、計算スクリーニングおよび材料発見のために、UHSは高度に適用可能であり、異なる特性を備えた様々な材料の合成のために容易に調整できることを示す。
【0144】
図21は、複数の材料を同時に共焼結するための模範的なUHSシステムの略図である。例示されたシステムは、セラミックス、ガラス、または他の固体状材料の高速合成およびスクリーニングを可能にする。一例として、UHS発熱体2110、2120で、100を超えるセラミックペレット2130が、ほんの約12cm×3cmの面積(5mmのペレットサイズに対して)で、20×5構成を使用して、わずか約10秒で高速に共焼結でき、これは、材料スクリーニングプロセスのために高度に実用的である。このスケール拡張性の一例として、10のガーネット組成物が、対応する材料前駆体から直接共焼結することによって1ステップで合成された(追補、
図3F)。対照的に、SPSは現在のところ、1つの試料を1~2時間の所要時間で作製できるので、バルクセラミック試料を製造するためのハイスループット方法と考えられており、それは1つの試料だけが作製されるとするなら、UHSプロセスより少なくとも10倍遅い。その上、SPSは、複数の高価なSPS機器を必要とするので、並列実験で容易に実行することができず、100のペレットを同時に製造する場合UHSは10
3倍以上効率的になる。
【0145】
様々な実施形態では、材料のサイズは、用途に適合するように数ミリメートルから数メートルまで調整でき、UHSシステム2110、2120のサイズはそれに応じて調整できる。サンプル材料は発熱体2110、2120と直接接触し得、あるいは発熱体2110、2120から間隔を置かれ得る。各UHS焼結操作について、サンプル材料2130の組成は、同じであり得、あるいは異なり得る。材料2130の組成は、限定されないが、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、および/または他の固体材料を含み得る。
【0146】
従って、新しい材料の発見、揮発性成分を含有する熱的に脆弱な化合物の焼結、ならびにSPSまたはフラッシュ焼結によって作製できない3D印刷された複雑構造およびデバイスの製造のために、バルクセラミックスのハイスループット製造を可能にできるシステムおよび方法が上述された。その上、UHSプロセスは、それらの電気的特性に関係なく、異なる材料に普遍的に提供できる。高速焼結は、前駆体膜が発熱体を素早く通過して連続製造を達成できるので、コンベヤストリップ(
図4)によるセラミックスのスケール拡張可能なロールトゥーロール焼結についての可能性を実現する。UHS技術における薄い高温炭素加熱器は高度に可撓でもあり、非従来型の形状およびデバイスの高速焼結のために構造体を共形的に包むことができる(追補、
図S30)。
【0147】
UHSシステムおよびプロセスは、その高温(最高約3000℃)に起因して、金属、炭化物、ホウ化物、窒化物、およびケイ化物を含む広範な非酸化物高温材料に拡張できる。また、UHSシステムおよびプロセスは、(単純な多層を超えて)機能的にグレード化された材料を、望ましくない相互拡散を最小限にして製造するために使用され得る。UHSプロセスの、超高速で平衡から離れた特質は、点欠陥、転位および他の欠陥の非平衡濃度または望ましい特性をもたらす準安定相をもつ材料を生成し得る。具体的には、超高速UHS方法は潜在的に非平衡粒界を生じ得、それにより、不純物、ドーパント、および欠陥(不定比粒界を含む)の有害な平衡分離を最小限にする。さもなければこれらは、従来型の高温製造プロセスにおいて回避するのが困難である。従って、UHSシステムおよびプロセスは、固体電解質における高い粒界抵抗を軽減し、さらに固体電解質を超えて広範な他の材料について様々な粒界特性を調整する新しい可能性を広げる。UHS方法は、高度に制御可能で調整可能な温度プロファイルを可能にして、焼結および微細構造進化の優れた制御を可能にする。
【0148】
本開示は以下の実施形態を含む。
実施形態1
材料を、第1の導電性カーボン素子から0~1センチメートルの距離に、かつ第2の導電性カーボン素子から0~1センチメートルの距離に位置付けることと、
前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱することと、
前記材料を、前記加熱された第1の導電性カーボン素子および前記加熱された第2の導電性カーボン素子で、1秒~1時間の間の期間、加熱することにより焼結材料を製造することと
を含む、製造方法。
実施形態2
前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子の加熱を開始することをさらに含み、
前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子は、前記加熱の開始から30秒以内に、500℃以上3000℃以下の温度を達成する、
実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つは、前記材料と少なくとも部分的に接触し、
前記方法はさらに、前記材料の前記加熱中に圧力をかけて、前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つを少なくとも部分的に前記材料に押し付けることを含む、
実施形態1に記載の方法。
実施形態4
前記材料をコンベヤストリップ上に保持することをさらに含み、
前記第1の導電性カーボン素子は前記コンベヤストリップの一部の上に配置され、
前記第2の導電性カーボン素子は、前記コンベヤストリップの一部の下の位置に、または前記コンベヤストリップの一部として、のいずれかに配置されて、
前記材料を位置付けることは、前記コンベヤストリップを前進させて前記第1の導電性カーボン素子と前記第2の導電性カーボン素子との間で前記材料を搬送することを含む、
実施形態1に記載の方法。
実施形態5
前記期間の終わりに、前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子の前記温度を維持しながら、前記コンベヤストリップを前進させて、前記第1の導電性カーボン素子と前記第2の導電性カーボン素子との間から前記焼結材料を取り出すことをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態6
前記材料は、組成および構造を有する3D印刷された材料であり、
前記焼結材料は、前記組成および前記構造を維持する機能デバイスである、
実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
実施形態7
前記材料は、複数の組成を有する粉末であり、
前記焼結材料を製造することは、前記複数の組成を前記期間中に反応させることを含む、
実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
実施形態8
前記焼結材料は、金属、合金、高エントロピー合金、耐火金属、耐火合金、セラミックス、またはイオン伝導体、のうちのいずれかである、実施形態7に記載の方法。
実施形態9
前記焼結材料は、ガラス緻密構造または透明セラミック緻密構造のいずれかであり、前記焼結材料を製造することは、前記粉末を少なくとも部分的に融解させることを含む、実施形態7に記載の方法。
実施形態10
前記材料は、少なくとも2つの層を有する多層構造であり、前記焼結材料は、前記少なくとも2つの層の間に界面層を含み、前記界面層は10μm未満の深さを有する、実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
実施形態11
前記材料は少なくとも2つの組成を含み、
前記焼結材料は、前記少なくとも2つの組成を含む複合構造であり、
前記複合構造は前記少なくとも2つの組成の間に界面層を有し、前記界面層は10μm未満の深さを有する、
実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
実施形態12
前記材料はコンピュータによる検討で特定され、
前記方法は、前記焼結材料を分析して前記コンピュータによる検討の計算を検証することをさらに含む、
実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
実施形態13
複数の追加材料を前記第1の導電性カーボン素子と前記第2の導電性カーボン素子との間に配置することと、
前記複数の追加材料を前記加熱された第1の導電性カーボン素子および前記加熱された第2の導電性カーボン素子で前記期間加熱することによって複数の追加の焼結材料を製造することと
をさら含み、
前記複数の追加材料は前記材料と同時に共焼結される、
実施形態1に記載の方法。
実施形態14
前記複数の追加材料はコンピュータによる検討で特定される、実施形態13に記載の方法。
実施形態15
材料と、
前記材料から0~1センチメートルの距離に位置付けられた第1の導電性カーボン素子と、
前記材料から0~1センチメートルの距離に位置付けられた第2の導電性カーボン素子と、
前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱するように構成された電源と、
前記電源を制御して前記加熱された第1の導電性カーボン素子および前記加熱された第2の導電性カーボン素子で前記材料を1秒~1時間の間の期間、加熱するように構成されたコントローラと
を備える、炉。
実施形態16
前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つは、前記材料と少なくとも部分的に接触しており、
前記炉は圧力機構をさら含み、
前記コントローラは、前記材料の前記加熱中に、前記圧力機構を制御して前記第1の導電性カーボン素子および前記第2の導電性カーボン素子の少なくとも1つを少なくとも部分的に前記材料に押し付けるように構成される、
実施形態15に記載の炉。
実施形態17
前記材料を保持しているコンベヤストリップをさらに含み、前記コンベヤストリップの一部は前記第1の導電性カーボン素子と前記第2の導電性カーボン素子との間に配置され、
前記コントローラは、前記コンベヤストリップを制御して前記材料を前記第1の導電性カーボン素子と前記第2の導電性カーボン素子との間で搬送するように構成される、
実施形態15に記載の炉。
実施形態18
導電性カーボン素子を材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けることであって、前記材料は前記導電性カーボン素子のサイズよりも大きいサイズを有することと、
前記導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱することと、
前記加熱された導電性カーボン素子を前記材料の上で移動させて処理された材料を提供することと
を含む、製造方法。
実施形態19
前記加熱された導電性カーボン素子を前記材料の上で移動させることは、前記材料のアニーリングを引き起こす、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
前記材料の前記アニーリングは、前記材料の表面で新しい表面層を生じる、実施形態19に記載の方法。
実施形態21
前記材料は、基材上の薄膜を含み、前記方法はさらに、スパッタリング、化学蒸着、原子層堆積、または物理蒸着のいずれかを使用することにより前記薄膜を前記基材上に堆積させることをさらに含む、実施形態19に記載の方法。
実施形態22
前記加熱された導電性カーボン素子を前記材料の上で移動させることは、前記材料を焼結させて焼結材料を提供する、実施形態18に記載の方法。
実施形態23
層を前記焼結材料の上に塗布することと、
前記加熱された導電性カーボン素子を前記層の上で移動させて焼結層を提供することと
をさらに含み、
前記焼結材料および前記焼結層は一緒に焼結多層構造を形成する
実施形態22に記載の方法。
実施形態24
前記材料は基材上に被覆された粉末を含み、前記焼結材料は前記基材上の焼結されたコーティングを含む、実施形態22に記載の方法。
実施形態25
前記材料は、固体電解質(SSE)前駆体の印刷された膜またはSSE粉末の膜のいずれかであり、
前記方法は、SSE前駆体スラリーまたは前記SSE粉末のいずれかを膜に分注することをさらに含み、
前記焼結材料は焼結されたSSE膜である、
実施形態22に記載の方法。
実施形態26
前記材料は、金属基材上に被覆された遮熱コーティングであり、前記遮熱コーティングは最上部多孔質層および最下部緻密層を含み、前記最上部多孔質層は1~10,000nmの間の孔径を有しており、
前記焼結材料は前記金属基材上の焼結された遮熱コーティングであり、
前記最上部多孔質層および前記最下部緻密層は、
単一の焼結プロセスで共焼結されるか、または
別個の焼結プロセスで一度に1つの層が焼結される、
のいずれかである、
実施形態22に記載の方法。
実施形態27
前記材料は、金属基材上に被覆された耐環境コーティングであり、
前記焼結材料は前記金属基材上の焼結された耐環境コーティングである、
実施形態22に記載の方法。
実施形態28
材料と、
前記材料から最大で1センチメートルの距離に位置付けられた導電性カーボン素子であって、前記材料が前記導電性カーボン素子のサイズよりも大きいサイズを有しているものと、
前記導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱させるように構成された電源と、
前記加熱された導電性カーボン素子を前記材料の上で移動させて処理された材料を提供するように構成されたメカニカルアームと、
前記電源を制御して前記導電性カーボン素子を加熱するように構成され、かつ前記メカニカルアームを制御して前記加熱された導電性カーボン素子を動かすように構成されたコントローラと
を備える、炉。
実施形態29
少なくとも2つの組成および前記少なくとも2つの組成間の界面層を有する焼結複合構造を含み、
前記界面層は10μm未満の深さを有する、
構造。
実施形態30
前記焼結複合構造の前記少なくとも2つの組成は、金属とカーボンナノ材料、金属とセラミックス、または合金と合金のいずれかを含み、
前記カーボンナノ材料は、ナノチューブまたはグラフェンのいずれかを含む、
実施形態29に記載の構造。
実施形態31
前記焼結複合構造の前記少なくとも2つの組成の各々は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、またはポリマーから成る群からの材料である、実施形態30に記載の構造。
実施形態32
前記焼結複合構造の前記少なくとも2つの組成の各々は、緻密な組成または多孔質組成のいずれかである、実施形態30に記載の構造。
実施形態33
少なくとも2つの層を有する焼結多層構造を含み、
前記少なくとも2つの層の第1の層は、前記少なくとも2つの層の第2の層とは異なる材料を有する、
構造。
実施形態34
前記焼結多層構造の前記少なくとも2つの層の各々は、セラミックス、ガラス、金属、合金、カーボン、またはポリマーから成る群からの材料を含む、実施形態33に記載の構造。
実施形態35
前記焼結複合構造の前記少なくとも2つの層の各々は、緻密層または多孔質層のいずれかである、実施形態33に記載の構造。
実施形態36
前記焼結多層構造の前記第1の層は多孔質層で、前記焼結多層構造の前記第2の層は緻密層であり、
前記緻密層は、単一の緻密層または少なくとも2つの緻密副層のいずれかである、
実施形態35に記載の構造。
実施形態37
前記焼結多層構造の前記少なくとも2つの層は第3の層を含み、前記第3の層は多孔質層である、実施形態36に記載の構造。
実施形態38
前記第1の層は固体電解質で、前記第2の層は異なる固体電解質であり、前記焼結多層構造は多機能固体電解質を形成する、実施形態33に記載の構造。
実施形態39
前記少なくとも2つの層は第3の層を含み、
前記第1の層は固体電解質であり、
前記第2の層は電極であり、
前記第3の層は前記電極と前記固体電解質との間の界面層であり、前記界面層は10μm未満の深さを有する、
実施形態33に記載の構造。
実施形態40
固体電池をさらに含み、
前記固体電池は前記焼結多層構造を含み、
前記焼結多層構造は固体電解質である、
実施形態33に記載の構造。
実施形態41
燃料電池をさらに含み、
前記燃料電池は前記焼結多層構造を含み、
前記焼結多層構造は固体電解質である、
実施形態33に記載の構造。
実施形態42
pタイプ薄膜を基材上に提供することと、
nタイプ薄膜を前記基材上に提供することと、
少なくとも1つの導電性カーボン素子を前記pタイプ薄膜および前記nタイプ薄膜から最大で1センチメートルの距離に位置付けることと、
前記少なくとも1つの導電性カーボン素子を電流により、500℃以上3000℃以下の温度まで加熱することと、
前記pタイプ薄膜および前記nタイプ薄膜を前記加熱された少なくとも1つの導電性カーボン素子からの熱によって焼結することと、
少なくとも1つの電極を、前記焼結されたpタイプ薄膜または前記焼結されたnタイプ薄膜の少なくとも1つの少なくとも一部上に提供することと
を含む、熱電デバイスの製造方法。
実施形態43
前記pタイプ薄膜および前記nタイプ薄膜は同時に焼結される、実施形態42に記載の方法。
実施形態44
前記pタイプ薄膜および前記nタイプ薄膜は連続して焼結される、実施形態42に記載の方法。
実施形態45
第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の焼結圧電薄膜と
を含む、圧電素子。
本明細書で開示される実施形態は開示の例であり、様々な形で具現化され得る。例えば、本明細書のある実施形態は別個の実施形態として説明されているが、本明細書の実施形態の各々は、本明細書の他の実施形態の1つ以上と組み合わされ得る。本明細書で開示される特定の構造および機能詳細は、限定として解釈されるべきではなく、クレームのための基礎として、および実質的にあらゆる適切な詳細を有する構造で様々に本開示を採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として、解釈されるべきである。図の説明を通して、同様の番号は、類似または同一の要素を指し得る。
【0149】
句「一実施形態では」、「実施形態では」、「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「他の実施形態では」は各々、本開示に従った同一または異なる実施形態の1つ以上を指し得る。「AまたはB」の形の句は、「(A)、(B)、または(AおよびB)」を意味する。「A、B、またはCの少なくとも1つ」の形の句は、「(A);(B);(C);(AおよびB);(AおよびC);(BおよびC);または(A、B、およびC)」を意味する。
【0150】
前述の説明は本開示の例示にすぎないことが理解されるべきである。様々な代替手段および修正が当業者により本開示から逸脱することなく考案できる。それに応じて、本開示は全てのかかる代替手段、修正および変形を包含することを意図する。添付の図面を参照して説明される実施形態は、本開示のある例を実証するためにだけ提示される。本明細書で説明されて例示される実施形態は模範であり、変形は本開示の範囲内にあると考えられる。本明細書で開示される様々な実施形態は、本明細書で明示的に説明されていない態様で組み合わせることができ、かかる組み合わせは本開示の範囲内であると考えられる。上記に記述されたもの、および/または添付のクレームにおけるものから実質的には異なっていない、他の要素、ステップ、方法、および技術も本開示の範囲内であると意図される。