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特許7449512液体吐出システム及び液体吐出システム用ホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】液体吐出システム及び液体吐出システム用ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240307BHJP
   B05C 17/01 20060101ALI20240307BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B05C5/00 A
B05C17/01
B65D81/32 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020100998
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021000625
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2019113243
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518427579
【氏名又は名称】株式会社IDEAL
(73)【特許権者】
【識別番号】503366841
【氏名又は名称】株式会社アイカムス・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100142734
【弁理士】
【氏名又は名称】安 裕 希
(72)【発明者】
【氏名】田辺 正章
(72)【発明者】
【氏名】片野 圭二
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-531142(JP,A)
【文献】特開2018-202299(JP,A)
【文献】特開2008-289617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B65D 81/32-81/36
A61M 3/00-9/00
31/00
39/00-39/28
B01L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の液体を混合して吐出する液体吐出システムであって、
前記複数種類の液体を内部にそれぞれ収容可能に構成された複数の吐出装置であって、各々が、手持ち可能な筐体を有し、電気的な制御の下で動作して、内部に収容された液体を吐出可能な複数の吐出装置と、
前記複数の吐出装置を保持する保持部と、
前記複数の吐出装置から吐出された液体をそれぞれ通過させる複数の流路が内部に形成された流路ブロックであって、前記複数の流路の一方の開口端が当該流路ブロックの表面の所定の領域内に配置されている流路ブロックと、
前記所定の領域に取り付けられ、前記複数の流路から流出する液体を混合して吐出する混合ノズルと、
前記複数の吐出装置の各々に内蔵される配線と接続され、前記複数の吐出装置の各々における液体の吐出動作をオンオフするホルダスイッチと、
前記保持部に取り付けられたハンドルと、
を備える液体吐出システム。
【請求項2】
複数種類の液体を混合して吐出する液体吐出システムにおいて用いられる液体吐出システム用ホルダであって、
前記液体吐出システムは、前記複数種類の液体を内部にそれぞれ収容可能に構成された複数の吐出装置であって、各々が、手持ち可能な筐体を有し、電気的な制御の下で動作して、内部に収容された液体を吐出可能な複数の吐出装置を備え、
前記複数の吐出装置を保持する保持部と、
前記複数の吐出装置から吐出された液体をそれぞれ通過させる複数の流路が内部に形成された流路ブロックであって、前記複数の流路の一方の開口端が当該流路ブロックの表面の所定の領域内に配置されている流路ブロックと、
前記複数の流路から流出する液体を混合して吐出する混合ノズルを前記所定の領域に取り付けるノズル固定具と、
前記複数の吐出装置の各々に内蔵される配線と接続され、前記複数の吐出装置の各々における液体の吐出動作をオンオフするホルダスイッチと、
前記保持部に取り付けられたハンドルと、
を備える液体吐出システム用ホルダ。
【請求項3】
前記流路ブロックは、前記保持部に対して着脱可能に取り付けられている、請求項2に記載の液体吐出システム用ホルダ。
【請求項4】
前記保持部に取り付けられた流路ブロック保持部であって、前記流路ブロックを、少なくとも前記複数の流路の一方の開口端及び前記複数の流路への液体の注入口を露出させた状態で収容可能な空間が内部に形成された流路ブロック保持部をさらに備え、
前記流路ブロックは、前記空間に着脱可能に収容される、
請求項2に記載の液体吐出システム用ホルダ。
【請求項5】
前記保持部は、
前記複数の吐出装置を支持するベースプレートと、
前記複数の吐出装置の各々を前記ベースプレートに連結する連結部であって、前記吐出装置の後端部を保持する連結部と、
を有し、
前記連結部は磁力により前記ベースプレートに吸着固定される、請求項2~4のいずれか1項に記載の液体吐出システム用ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の液体を混合して吐出する液体吐出システム及びこれに用いられる液体吐出システム用ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、シール剤、塗料などの液体材料を塗布や滴下に使用される装置に関する技術分野においては、複数種類の液体を別々の容器に保管し、各容器から送出された液体を吐出直前に混合してノズル等から吐出する吐出システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、少なくとも2つの流動体を混合し被塗布物に塗布する混合塗布装置であって、ミキサーと、第1の流動体をミキサーに送る第1の定量ポンプと、第2の流動体をミキサーに送る第2の定量ポンプとを有する混合塗布装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、2剤材料のための塗布システムであって、第1パッケージング・ユニット内に収容された湿分反応性組成物と、第2パッケージング・ユニット内に収容された硬化剤と、アプリケータ内に挿入されてこのアプリケータによって駆動されるように形成されたダイナミックミキサとを含む塗布システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-313859号公報
【文献】特表2015-509039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された混合塗布装置は、据え置き型の装置であるため、塗布作業を行う場所が限定されてしまう。また、装置自体が大型で高価という問題もある。
【0007】
他方、特許文献2においては、1つのモータを用いて2つのパッケージング・ユニットから液体を押し出すため、パッケージング・ユニットからの液体の押し出しについて個別に制御することができず、2種類の液体の混合比率や混合された液体の吐出量等について、高い精度を確保できなくなる可能性も考えられる。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、複数種類の液体を混合して吐出する液体吐出システムであって、混合される液体の混合比率や混合された液体の吐出量等について高い精度を確保することができる小型でハンディタイプの液体吐出システム及びこれに用いられる液体吐出システム用ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様である液体吐出システムは、複数種類の液体を混合して吐出する液体吐出システムであって、前記複数種類の液体を内部にそれぞれ収容可能に構成された複数の吐出装置であって、各々が、手持ち可能な筐体を有し、電気的な制御の下で動作して、内部に収容された液体を吐出可能な複数の吐出装置と、前記複数の吐出装置を保持する保持部と、前記複数の吐出装置から吐出された液体をそれぞれ通過させる複数の流路が内部に形成された流路ブロックであって、前記複数の流路の一方の開口端が当該流路ブロックの表面の所定の領域内に配置されている流路ブロックと、前記所定の領域に取り付けられ、前記複数の流路から流出する液体を混合して吐出する混合ノズルと、前記複数の吐出装置の各々に内蔵される配線と接続され、前記複数の吐出装置の各々における液体の吐出動作をオンオフするスイッチと、前記保持部に取り付けられたハンドルと、を備えるものである。
【0010】
本発明の別の態様である液体吐出システム用ホルダは、複数種類の液体を混合して吐出する液体吐出システムにおいて用いられる液体吐出システム用ホルダであって、前記液体吐出システムは、前記複数種類の液体を内部にそれぞれ収容可能に構成された複数の吐出装置であって、各々が、手持ち可能な筐体を有し、電気的な制御の下で動作して、内部に収容された液体を吐出可能な複数の吐出装置を備え、前記複数の吐出装置を保持する保持部と、前記複数の吐出装置から吐出された液体をそれぞれ通過させる複数の流路が内部に形成された流路ブロックであって、前記複数の流路の一方の開口端が当該流路ブロックの表面の所定の領域内に配置されている流路ブロックと、前記複数の流路から流出する液体を混合して吐出する混合ノズルを前記所定の領域に取り付けるノズル固定具と、前記複数の吐出装置の各々に内蔵される配線と接続され、前記複数の吐出装置の各々における液体の吐出動作をオンオフするスイッチと、前記保持部に取り付けられたハンドルと、を備えるものである。
【0011】
上記液体吐出システム用ホルダにおいて前記流路ブロックは、前記保持部に対して着脱可能に取り付けられているものであっても良い。
【0012】
上記液体吐出システム用ホルダは、前記流路ブロックを、少なくとも前記複数の流路の一方の開口端及び前記複数の流路への液体の注入口を露出させた状態で収容可能な空間が内部に形成された流路ブロック保持部をさらに備え、前記流路ブロックは、前記空間に着脱可能に収容されても良い。
【0013】
上記液体吐出システム用ホルダにおいて、前記保持部は、前記複数の吐出装置を支持するベースプレートと、前記複数の吐出装置の各々を前記ベースプレートに連結する連結部であって、前記吐出装置の後端部を保持する連結部と、を有し、前記連結部は磁力により前記ベースプレートに吸着固定されても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各々が電気的制御の下で動作する手持ち式の吐出装置を用いるので、設定された量の液体を各吐出装置から精度良く吐出することができる。従って、このような複数の吐出装置を保持部に保持させさせることにより、混合される液体の混合比率や混合された液体の吐出量等について高い精度を確保することができる小型でハンディタイプの液体吐出システムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムの外観を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムのシステム概念図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムに適用可能な吐出装置の外観を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムに適用可能な吐出装置の内部構造を概略的に示す模式図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システム用ホルダを示す斜視図である。
図7図6に示すガイドアセンブリを示す斜視図である。
図8図6に示す流路ブロックを示す斜視図である。
図9図8のA-A断面図である。
図10】流路ブロックに混合ノズルの固定具を取り付けた状態を示す断面図である。
図11】流路ブロックに混合ノズルの固定具を取り付けた状態の別の例を示す断面図である。
図12図9に示す開口部近傍の拡大図である。
図13】混合ノズルを示す模式図である。
図14】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムの第1の変形例を説明するための模式図である。
図15図14に示すガイドアセンブリを示す斜視図である。
図16】流路ブロックの変形例を示す模式図である。
図17】流路ブロックの別の変形例を説明するための模式図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係る液体吐出システムの外観を示す斜視図である。
図19図18に示す液体吐出システム用ホルダの一部を示す斜視図である。
図20図18に示す液体吐出システム用ホルダの一部を示す斜視図である。
図21図19に示す液体吐出システム用ホルダの一部を示す分解斜視図である。
図22図21に示す流路ブロックの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る液体吐出システム及び液体吐出システム用ホルダについて、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0017】
以下の説明において参照する図面は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示しているに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出システムの外観を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る液体吐出システム1は、複数の吐出装置2と、これらの吐出装置2を保持する液体吐出システム用ホルダ3とを備える。以下においては、一例として、2つの吐出装置2を備える液体吐出システム1について説明するが、吐出装置2は3つ以上であっても良い。
【0019】
図3は、液体吐出システム1のシステム概念図である。図4は、液体吐出システム1に適用可能な吐出装置2の外観を示す斜視図である。図5は、吐出装置2の内部構造を概略的に示す模式図である。吐出装置2は、内部に液体を収容可能に構成されると共に、手持ち可能な筐体20を有し、内部に備えられたバッテリからの電力供給を受けて電気的な制御の下で動作し、内部に収容された液体を吐出可能な手持ち式の電動ディスペンサであり、汎用の製品を適用することができる。
【0020】
図4に示すように、吐出装置2の筐体20の先端に位置する液体吐出部20aには、液体を吐出するノズル21が取り付けられている。ノズル21は、ポリプロピレン等の樹脂材料によって形成され、通常は使い捨て(交換)される消耗品である。筐体20の胴部には、吐出装置2に対する各種入力操作を行うための操作入力部22と、ノズル21からの液体の吐出又は吸引を指示するための吐出スイッチ23と、吐出量の設定値等が表示される表示部24とが設けられている。また、筐体20の胴部の一部は、バッテリ25の収納部の蓋25aとなっており、バッテリ25を交換する際に開閉可能となっている。
【0021】
本実施形態においては、筐体20の後端部に、吐出装置2をホルダ3に取り付ける際に使用される固定軸28が設けられている。例えば、市販の吐出装置に、吊り下げ収納に用いられるフックやリング等が予め設けられている場合には、このフックやリング等に軸状部材を嵌合させることにより固定軸28として利用しても良い。或いは、軸状部材を筐体20に直接接合することにより、固定軸28を設けても良い。
【0022】
図5に示すように、吐出装置2の内部には、液体が収容されるシリンジ201と、シリンジ201に後端側から挿入されたプランジャ202と、プランジャ202の後端側に配置された筒体210に保持された電動アクチュエータ211、減速機212、出力軸213、ピストン基端部214、及びピストン215とが設けられている。本実施形態においては、このうち、プランジャ202、電動アクチュエータ211、減速機212、出力軸213、ピストン基端部214、及びピストン215が、電気的な制御の下で駆動し、容器(シリンジ201)内に収容された液体をノズル21から吐出させる吐出機構を構成する。
【0023】
シリンジ201は、円筒状をなす容器であり、内部に液体を収容する空間203が形成されている。シリンジ201の先端には、液体が通過する流路204が形成されており、この先端部にノズル21が取り付けられる。また、シリンジ201内にはプランジャ202が挿入されている。プランジャ202は、シリンジ201の軸方向に沿って移動可能であり、プランジャ202により空間203の後端が画定され、閉塞される。このプランジャ202を前進させて液体をシリンジ201から押し出すことにより、ノズル21から液体を吐出させることができる。また、プランジャ202を後退させることにより、ノズル21から液体を吸引することができる。シリンジ201としては、予め液体が内部に封入されたカートリッジタイプを用いても良いし、ノズル21から吸引した液体を内部に貯めることにより繰り返し使用することができるタイプを用いても良い。
【0024】
電動アクチュエータ211は、モータ等の吐出装置2の駆動源であり、後述する駆動制御部272の制御の下、バッテリ25から供給される電力により回転駆動力を発生する。減速機212は、電動アクチュエータ211が発生する回転を減速して出力軸213に伝達する。出力軸213の外周面にはネジ溝が形成されている。また、出力軸213の一端は減速機212に連結されており、電動アクチュエータ211が発生する回転駆動力により回転する。
【0025】
ピストン基端部214は、中央に円形状の開口が形成された部材であり、開口の内周面には、出力軸213の外周面に形成されたネジ溝と螺合するネジが形成されている。また、ピストン基端部214は、筒体210の内周面に形成された長溝210aに嵌合されており、筒体210の内部における回転が規制されている。そのため、出力軸213が回転すると、出力軸213に螺合しているピストン基端部214は、筒体210内部を軸方向に沿って移動する。
【0026】
ピストン215は、ピストン基端部214に連結されており、ピストン基端部214と共に筒体210内を軸方向に沿って移動する。このピストン215はシリンジ201内に挿入されており、先端にはプランジャ202が取り付けられている。ピストン215と共にプランジャ202が移動することにより、シリンジ201から液体が吐出され、又は吸引される。
【0027】
図4に示すように、操作入力部22は、吐出量の設定値等の各種入力操作を行うための操作ボタン等の入力デバイスである。吐出スイッチ23は、液体の吐出動作又は吸引動作をオンオフするための操作ボタンである。なお、本実施形態においては、吐出スイッチ23は直接には操作に用いられず、後述するホルダ3に設けられたホルダスイッチ34により液体の吐出動作が指示される。
【0028】
図3に示すように、各吐出装置2には、当該吐出装置2の動作を制御するためのコントローラ27が設けられている。コントローラ27は、操作入力部22に対する操作に応じて吐出量を設定する設定部271と、電動アクチュエータの動作を制御する駆動制御部272とを有する。駆動制御部272は、設定部271により設定された吐出量の設定値に従って、バッテリ25から電動アクチュエータ211に供給される電力を調整することにより、電動アクチュエータ211の駆動量を制御する。それにより、プランジャ202が所定量だけ移動し、設定された吐出量の液体が吐出される。
【0029】
このような吐出装置2としては、一例として、株式会社アイカムス・ラボ製の高精度電動ディスペンサ(製品名「Tofutty」)を用いることができる。もっとも、本実施形態に係る液体吐出システム1に適用可能な吐出装置2の構成は上記に限定されず、ハンディタイプの吐出装置であれば適用することができる。
【0030】
図6は、本実施形態に係る液体吐出システム用ホルダ3を示す斜視図である。図6に示すように、液体吐出システム用ホルダ(以下、単にホルダともいう)3は、複数(本実施形態においては2つ)の吐出装置2を保持する保持部31と、グリップハンドル33と、保持部31の先端部に設けられた流路ブロック35と、流路ブロック35の先端面35bに着脱可能に取り付けられた混合ノズル37とを備える。以下においては、混合ノズル37の先端側(液体が吐出される側)をホルダ3の先端側といい、その反対側をホルダ3の後端側という。
【0031】
グリップハンドル33にはホルダスイッチ34(図1参照)が設けられている。ホルダスイッチ34は、例えばボタンタイプのオンオフスイッチであり、ボタンを押すことにより当該ホルダスイッチ34に接続された配線26を導通させる。もちろん、ホルダスイッチ34の構成はこれに限定されず、グリップタイプのスイッチや、レバータイプのスイッチなど、公知の種々のスイッチを適用することができる。本実施形態においては、各吐出装置2において吐出スイッチ23とコントローラ27(図3参照)とを接続する配線が、電源用のコネクタ29を介してホルダスイッチ34に接続されている。これにより、ホルダスイッチ34をオンすることにより、各吐出装置2の吐出スイッチ23がオンされる。
【0032】
保持部31は、2つの吐出装置2を平行に並べた状態で支持するベースプレート310と、各吐出装置2をベースプレート310に連結するガイドアセンブリ320と、ガイドアセンブリ320のベースプレート310に対する混合ノズル37の軸方向における位置を調節するための調節ネジ318とを含む。
【0033】
ベースプレート310の主面には、各吐出装置2の一部を収容可能な開口311と、グリップハンドル33をベースプレート310にボルトで固定するための複数の貫通孔312とが形成されている。開口311の形状及び大きさは、吐出装置2に応じて適宜決定すれば良い。本実施形態において使用される吐出装置2(図4参照)は、バッテリ25が配置される領域が下方に張り出している形状を有しているため、この張り出した部分が開口311内に収まるように、開口311の形状及び大きさが決定されている。
【0034】
図6には4つの貫通孔312が示されているが、使用する貫通孔312を適宜選択することにより、ベースプレート310に対するグリップハンドル33の位置を調節することができる。なお、ベースプレート310にグリップハンドル33を固定する方法はこれに限定されない。例えば、ベースプレートの裏面にスライドレールを形成し、このスライドレールにスライドナットを用いてグリップハンドル33を固定することとしても良い。
【0035】
図7は、ガイドアセンブリ320を示す斜視図である。ガイドアセンブリ320は、吐出装置2に着脱可能に連結されると共に、ベースプレート310に対して混合ノズル37の軸方向に移動可能に取り付けられた連結部である。
【0036】
図7に示すように、ガイドアセンブリ320は、コの字状に形成されたホルダープレート321と、ホルダープレート321の内側に配置されたホルダーブロック322と、2つのガイドロッド323とを含む。ホルダーブロック322は、ホルダープレート321のうち互いに向かい合う2つのプレート321a、321bの間に配置されている。このホルダーブロック322に対し、2つのガイドロッド323が、一部が後端から突出した状態でボルト325により固定されている。また、ホルダーブロック322には、貫通孔(ネジ穴326)が形成されている。この貫通孔の内周面には、調節ネジ318(図6参照)が螺合可能なネジ部が形成されている。2つのプレート321a、321bには、吐出装置2に設けられた固定軸28を嵌合させるための切り欠き327が形成されている。
【0037】
再び図6を参照すると、ベースプレート310の後端側には、開口311と連通し、ガイドアセンブリ320のガイドロッド323が挿入可能な貫通孔313と、調節ネジ318が配置される溝部314とが形成されている。
なお、複数の吐出装置を保持する保持部の態様は、図6に示すプレート状には限定されず、例えば、蓋付きの筐体や蓋なしの筐体であっても良い。
【0038】
図8は、流路ブロック35を示す斜視図である。図9は、図8のA-A断面図である。流路ブロック35の本体は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、環状オレフィン系樹脂(COC、COP)等の樹脂材料や、ガラス、金属などにより形成される。流路ブロック35は、保持部31のベースプレート310に対してボルトにより締結されており、交換することが可能である。
【0039】
流路ブロック35は、複数の吐出装置2がそれぞれ有する複数のノズル21から吐出された液体を混合ノズル37に導くためのものである。流路ブロック35の内部には、複数のノズル21からそれぞれ吐出された液体が通過する複数の流路351が形成されている(図9参照)。また、流路ブロック35の1つの端面(後端面35a)には、複数のノズル21がそれぞれ挿入される複数の開口部353が形成されている。これらの開口部353は、流路351に液体を注入するための注入口であり、流路351の一方の開口端352と接続されている。また、流路ブロック35の他の端面(先端面35b)の所定の領域35c(図8参照)内には、複数の流路351の他方の開口端354が配置されている。流路351の直径は、複数の吐出装置2が吐出する液体の種類や特性(粘性等)によって適宜決定すれば良い。一例として、流路351の直径は0.5mm~2mm程度である。
【0040】
流路ブロック35の先端面35bには、混合ノズル37を嵌め込むための円形状の凹部355と、混合ノズル37を固定する固定具381(図1参照)を配置するための凹部356とが形成されている。また、凹部356には、固定具381を固定するボルト382(同上)が螺合されるネジ穴357が形成されている。
【0041】
図10は、流路ブロックに混合ノズルの固定具を取り付けた状態を示す断面図である。固定具381は、例えばステンレス等の金属板により形成されている。図10に示すように、固定具381は、凹部356に配置される第1の部分381aと、第1の部分381aに対して底面側の一部が切り欠かれ、凹部355の周縁部の一部を覆うように配置される第2の部分381bとを有する。本実施形態において、凹部355の底面と凹部356の底面とは同一平面であるが、固定具381に段差を設けているため、第2の部分381bと凹部355の底面との間に隙間358が生じる。
【0042】
図11は、流路ブロックに混合ノズルの固定具を取り付けた状態の別の例を示す断面図である。図11に示す例においては、混合ノズル37を嵌め込むための凹部355Aを、固定具381Aを配置するための凹部356Aよりも若干深くしている。また、図11に示す固定具381Aは、フラットな板状をなしている。図11においては、凹部355Aと凹部356Aとの間に段差を設けているため、固定具381Aのうち凹部355Aの周縁部の一部を覆うように突出する部分と凹部355Aの底面との間に隙間358Aが生じる。
【0043】
再び図9を参照すると、流路ブロック35の後端面35aに形成された開口部353は、吐出装置2のノズル21が挿入される部分である。図12は、開口部近傍の拡大図である。本実施形態において、開口部353は円柱状をなしている。開口部353のサイズは、ノズル21のサイズによって適宜決定しても良い。一例として、開口部353の直径は1.5mm~2.5mm程度、開口部353の深さは5mm~8mm程度である。このように開口部353を円柱状とすることにより、ノズル21の先端部の傾斜によらず、ノズル21を開口部353の内壁にフィットさせることができる。
【0044】
図13は、混合ノズル37を示す模式図である。混合ノズル37は、液体の導入口372及び液体の吐出口373が両端に形成されたノズル本体371と、液体の導入口372の周囲に設けられたリム374とを有する。また、ノズル本体371の内部には、複数種類の液体を混合するスクリュー375が配置されている。リム374は全体として円盤形状を有し、2箇所にDカット376が形成されている。
【0045】
再び図8図10を参照すると、先端面35bに形成された凹部355の径は、混合ノズル37のリム374の外周とほぼ同じ径となっている。凹部356に固定具381を取り付け、リム374のDカット376が固定具381の端部と平行となる向きで、リム374を凹部355の底面に当接させ、円周方向に回転させることにより、リム374が隙間358に入り込み、固定具381により凹部355に押し付けられる。これにより、混合ノズル37を流路ブロック35に、水密に固定することができる。
【0046】
流路351の開口端354が配置される領域35cは、混合ノズル37の液体の導入口372の径よりも狭い領域となるように設定されている。これにより、各流路351を通過した液体が確実に混合ノズル37に導入される。つまり、複数の流路351を通過した液体は、流路ブロック35内では混ざり合うことはなく、流路ブロック35から流出して初めて、混合ノズル37において混合されることになる。
【0047】
このような流路ブロック35の作製方法は特に限定されず、切削加工、射出成形、3Dプリンタを用いる方法等、公知の技術を用いることができる。また、流路ブロック35を複数の部品により構成し、これらの部品を締結、接着、溶接等により接合することによって流路ブロック35を作製しても良い。
【0048】
次に、液体吐出システム1の組み立て方法について説明する。図6に示すように、ベースプレート310には流路ブロック35を予め締結しておく。また、ガイドアセンブリ320のガイドロッド323をベースプレート310の後端部に形成された貫通孔313に挿入し、調節ネジ318をネジ穴326に螺合させることにより、ガイドアセンブリ320をベースプレート310に取り付けておく。この状態で、ガイドアセンブリ320の切り欠き327に、吐出装置2の固定軸28を嵌合させる。なお、吐出装置2には予め液体の入ったシリンジを収容しておくと共に、コネクタ29を介して吐出装置2をホルダスイッチ34と接続しておく。そして、吐出装置2のノズル21を流路ブロック35の開口部353に挿入し、調節ネジ318を回して吐出装置2を前進させることにより、ノズル21を開口部353に押し込む。それにより、樹脂材料により形成されたノズル21が弾性変形し、ノズル21の外周面と開口部353の端部との接触箇所を水密に維持することができる。
【0049】
2つの吐出装置2に収容された液体を混合して吐出する際には、各吐出装置2の吐出量を、液体の混合比率に応じて設定する。そして、混合ノズル37の先端を混合された液体を吐出する位置に合わせ、ホルダスイッチ34をオンにする。それにより、各吐出装置2から液体が同時に吐出され、流路ブロック35を通って混合ノズル37に導入される。そして、混合ノズル37で混合されつつ、混合ノズル37の先端から吐出される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の吐出装置2をホルダ3に取り付けることにより、複数種類の液体を混合して吐出する小型でハンディタイプの液体吐出システムを実現することができる。各吐出装置2は、電気的な制御の下で動作する、単独でも使用可能な装置であるので、このような吐出装置2を用いて液体吐出システムを構成することにより、混合される液体の混合比率や混合された液体の吐出量等について高い精度を確保することが可能となる。また、吐出装置2で使用可能な液体であれば、液体吐出システム1においては、所望の組み合わせの液体を混合して吐出することができる。さらに、各吐出装置2において液体の吐出量を設定することができるので、各々の吐出量を適宜設定することにより、混合する液体の混合比率を、所望の比率に且つ高精度に調整することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態に係る液体吐出システム1において、主剤及び硬化剤の2液を混合する接着剤や塗料等を使用する場合、各吐出装置2に収容された液体を混合した後、比較的フレッシュな状態で混合ノズル37から吐出して塗布することができるので、品質の安定につながる。また、ポットライフ(可使時間)を確保することができ、各液体の無駄遣いを減らせるというメリットもある。
【0052】
また、本実施形態によれば、吐出装置2は、ホルダ3から取り外すことにより、1種類の液体吐出用(シングルタイプ)として使用することができる。つまり、混合専用の吐出装置を用意する必要がないので、低コストで、複数種類の液体混合用の液体吐出システム1を手軽に導入することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、吐出装置2をホルダ3から簡単に取り外すことができるので、バッテリ交換やノズル交換等を随時行うことが可能となる。
【0054】
また、本実施形態によれば、保持部31にグリップハンドル33を設けるので、作業者は、液体の塗布作業においても液体吐出システム1を安定して保持することができる。さらに、保持部31に対するグリップハンドル33の位置を移動させることができるので、作業者の好みに応じて液体吐出システム1の重心バランスを調整することも可能となる。
【0055】
さらに、本実施形態によれば、吐出装置2として、吐出量の設定値に従って電動アクチュエータ211(図5参照)の駆動量を制御することにより、操作ボタンをワンプッシュするだけで、設定された量の液体が吐出されるタイプのディスペンサを用いる場合、液体吐出システム1においても、ホルダスイッチ34をワンプッシュするだけで、所望の比率で混合された液体が所望の量だけ吐出される。従って、液体を吐出している間中スイッチを押しておく必要がなくなり、作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0056】
上記実施形態においては、2つの吐出装置2が互いに平行に配置されているため、流路ブロック35の2つの開口部353も互いに平行に配置した。しかしながら、2つの吐出装置2の配置は平行に限定されず、例えば、2つの吐出装置2をV字となるように配置しても良い。この場合、ノズルが挿入される流路ブロックの開口部も、吐出装置2の配置に合わせてV字に配置しても良い。また、この場合、流路ブロックにおいて、ノズル21が挿入される開口部と、この開口部と連通する液体の流路とを一直線状に配置することもできる。
【0057】
また、上記実施形態においては、2つの吐出装置2が同一平面上に平行に配置されているため、流路ブロック35の開口部353の開口端は、流路ブロック35の後端面35aに一直線状に並べられている。しかしながら、開口部353の位置は、吐出装置2の配置に応じて適宜決定すれば良い。例えば、3つ以上の吐出装置2を保持可能なホルダにおいては、吐出装置2を積み重ねるようにして配置しても良く、この場合、開口部353の開口端も後端面35aに2次元的に配置されることになる。
【0058】
また、上記実施形態においては、吐出装置2の固定軸28をガイドアセンブリ320の切り欠き327に嵌め込むことにより、吐出装置2の後端部を保持することしたが、吐出装置2の後端部を保持する方法はこれに限定されない。例えば、ガイドアセンブリに、吐出装置2の筐体20の後端部に倣う形状の凹部を形成し、この凹部に筐体20の後端部を当接させることにより、ガイドアセンブリに吐出装置2を保持させても良い。この場合、吐出装置2に固定軸28を設ける必要はない。
【0059】
図14は、本発明の実施形態に係る液体吐出システムの変形例を説明するための模式図である。図14に示す液体吐出システム用ホルダ(以下、単にホルダともいう)4は、図6に示す保持部31の代わりに保持部41を備える。保持部41以外のホルダ4の構成は、上記実施形態におけるものと同様である。
【0060】
保持部41は、複数の吐出装置2を平行に並べた状態で支持するベースプレート410と、各吐出装置2をベースプレート410に連結するガイドアセンブリ420と、ガイドアセンブリ420を先端方向に付勢するばね機構としてコイルスプリング412とを備える。ベースプレート410の主面には、各吐出装置2の一部を収容可能な開口411が形成されており、コイルスプリング412は、この開口411の後端部に取り付けられている。
【0061】
図15は、ガイドアセンブリ420を示す斜視図である。ガイドアセンブリ420は、吐出装置2に着脱可能に連結されると共に、ベースプレート410に対して混合ノズル37の軸方向に移動可能に取り付けられた連結部である。
【0062】
ガイドアセンブリ420は、略ブロック状に形成された上部ブロック421と、上部ブロック421の底面に接続された下部プレート422とを含む。上部ブロック421と下部プレート422とは、ボルト等により締結されている。
【0063】
上部ブロック421の対向する2つの側面には、吐出装置2の固定軸28(図4参照)を受けるための切り欠き424が形成されている。或いは、ガイドアセンブリに、吐出装置2の筐体20の後端部に倣う形状の凹部を形成し、この凹部に筐体20の後端部を当接させることにより、ガイドアセンブリに吐出装置2を保持させても良い。
【0064】
上部ブロック421の底面の幅Wは、ベースプレート410の開口411の幅とほぼ等しい。また、上部ブロック421の対向する2つの側面には、底面と平行に形成された凸部425が設けられている。他方、下部プレート422の主面の幅は、上部ブロック421の底面の幅よりも若干大きい。これにより、上部ブロック421と下部プレート422とを締結すると、凸部425と下部プレート422の突出部分との間に溝部426が形成される。また、凸部425の下面から上部ブロック421の底面までの高さH、つまり溝部426の幅は、ベースプレート410の厚みとほぼ等しい。
【0065】
ガイドアセンブリ420をベースプレート410に取り付ける際には、上部ブロック421をベースプレート410の上方から開口411内に挿入し、凸部425を開口411の両側のベースプレート410部分に架け渡す。そして、下部プレート422をベースプレート410の下方から上部ブロック421の底面に当接させ、ボルト等で締結する。これにより、開口411の両側のベースプレート410部分をレールとして、ガイドアセンブリ420が移動可能となる。
【0066】
吐出装置2をホルダ4に取り付ける際には、吐出装置2の固定軸28をガイドアセンブリ420の切り欠き424に保持させ、ガイドアセンブリ420をホルダ4の後端側に引きながら、吐出装置2をベースプレートと平行な姿勢にする。そして、吐出装置2のノズル21を流路ブロック35の開口部353に挿入し、ガイドアセンブリ420を解放する。それにより、ガイドアセンブリ420がコイルスプリング412によって先端方向に付勢され、ノズル21が開口部451に押し込まれる。なお、本変形例においても、上記実施形態と同様に、調整ネジによってガイドアセンブリを先端方向に押し込んでも良い。
【0067】
図16は、流路ブロックの変形例を示す模式図である。図16に示す流路ブロック50は、上記実施形態における流路ブロック35(図8参照)に対し、吐出装置2から吐出された液体が流通する流路501の配置が異なっている。即ち、流路ブロック50においては、液体が流入する側の流路501の開口端502が水平方向に並んでいるのに対し、液体が流出する側の流路501の開口端503が垂直方向に並んでいる。つまり、流路ブロック50において、流路501は3次元的に配置されている。このように、流路501を3次元的に配置することにより、流路ブロックを射出成形により容易に作製できるようになる。
【0068】
図17は、流路ブロックの別の変形例を説明するための模式図であり、吐出装置のノズルが挿入される開口部近傍の断面を示している。図17に示す流路ブロック51においては、後端面に形成される開口部511の形状を、円錐台形状としている。例えば、吐出装置のノズル21Aが円筒形状である場合、開口部511の形状を円錐台形状とすることにより、ノズル21Aの径によらず、ノズル21Aを開口部511の内壁にフィットさせることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
図18は、本発明の第2の実施形態に係る液体吐出システムの外観を示す斜視図である。図18に示すように、本実施形態に係る液体吐出システム5は、複数(本実施形態においては2つ)の吐出装置2と、これらの吐出装置2を保持する液体吐出システム用ホルダ(以下、単にホルダともいう)6とを備える。吐出装置2の構成及び動作は、上記第1の実施形態におけるものと同様であるが、本実施形態においては、吐出装置2からノズル21(図4参照)を取り外し、液体吐出部20aを直接、後述する流路ブロック65に当接させる。
【0070】
ホルダ6は、複数の吐出装置2を保持する保持部61と、グリップハンドル62及びホルダスイッチ63と、保持部61の先端部に設けられた流路ユニット64とを備える。流路ユニット64には、混合ノズル37が取り付けられる。グリップハンドル62及びホルダスイッチ63の構成及び動作は、上記第1の実施形態におけるグリップハンドル33及びホルダスイッチ34と同様である。また、混合ノズル37の構成も第1の実施形態におけるものと同様である。なお、図18においては、吐出装置2の配線26(図2参照)を省略している。
【0071】
図19及び図20は、液体吐出システム用ホルダ6の一部(グリップハンドル62及びホルダスイッチ63を除く部分)を示す斜視図である。図21は、液体吐出システム用ホルダ6の一部(同上)を示す分解斜視図である。図19図21に示すように、保持部61は、2つの吐出装置2を平行に並べた状態で支持するベースプレート610と、吐出装置2の後端部を保持し、吐出装置2をベースプレート610に連結する2つの連結部620とを有する。ベースプレート610には、吐出装置2の一部を収容可能な開口611が形成されている。
【0072】
図21に示すように、各連結部620は、吐出装置2の後端部に係合可能な形状を有しており、底部又は内部に磁石621が配置されている。他方、ベースプレート610には、磁性体612が配置されている。磁性体612としては、例えばスチール製のボルトを用いることができる。これにより、連結部620はベースプレート610に対して磁力により吸着固定される。なお、磁石をベースプレート610側に配置し、磁性体を連結部620側に配置しても良い。
【0073】
流路ユニット64は、流路ブロック65と、流路ブロック65を保持する流路ブロック保持部641とを含む。流路ブロック保持部641は、下保持部642と上保持部643とに分割されており、内部には、流路ブロック65を収容可能な空間644が設けられている。下保持部642はベースプレート610に固定されており、下保持部642と上保持部643とは、ボルト645により取り外し可能に一体化される。
【0074】
図22は、流路ブロック65の上面図である。図22に示すように、流路ブロック65には、2つの吐出装置2から吐出された液体をそれぞれ通過させる2つの流路651が形成されている。また、流路ブロック65の後端面には、各流路651に液体を注入するための注入口652が設けられている。他方、流路ブロック65の先端面の所定の領域には、各流路651からの液体の出口となる開口端653が配置されている。
【0075】
流路ブロック保持部641の後端面には、流路ブロック65の注入口652を露出させる2つの開口646が形成されている。開口646は、吐出装置2の液体吐出部20aを挿入可能な径を有している。液体吐出部20aは、この開口646を介して、流路ブロック65の注入口652に接続される。
【0076】
流路ブロック保持部641の先端面には、流路ブロック65の開口端653が配置された領域を露出させる開口647が形成されている。開口647は、混合ノズル37(図20参照)の基端部を挿入可能なサイズを有している。混合ノズル37は、この開口647介して、流路ブロック65の開口端653が配置された領域に接続される。この際、流路ブロック65と混合ノズル37との間にOリング661を介在させても良い。また、図20に示すように、流路ブロック保持部641の先端面には、混合ノズル37を固定するための固定具662が取り付けられている。
【0077】
流路ブロック保持部641及び流路ブロック65は、樹脂材料によって形成することが好ましい。より好ましくは、流路ブロック保持部641を比較的硬質の樹脂材料により形成し、流路ブロック65を比較的軟質の樹脂材料により形成しても良い。例えば、流路ブロック65の材料として、エラストマー樹脂のように弾性を有する樹脂材料を用いることができる。それにより、流路ブロック保持部641をベースプレート610に対して強固に固定しつつ、流路ブロック65と、該流路ブロック65に押し当てられた液体吐出部20a及び混合ノズル37との間において水密性を確保することができる。また、流路ブロック保持部641及び流路ブロック65を透明な材料によって形成する場合、流路651における液体の流通状態を目視することが可能になる。
【0078】
吐出装置2をホルダ6に取り付ける際には、液体吐出部20aを流路ブロック保持部641の開口646に挿入して流路ブロック65に押し当てながら、吐出装置2の底部をベースプレート610の開口611内に収容すると共に、連結部620を吐出装置2の後端部に係合させ、連結部620を開口611の後端側に配置する。これにより、連結部620が、磁石621と磁性体612との作用によってベースプレート610の定位置に吸着固定される。
【0079】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、流路ブロック保持部641内に流路ブロック65を収容する構成としたので、流路ブロック65のみを容易に交換することができる。また、流路ユニット64全体に対して、交換対象となる流路ブロック65部分が小さいので、流路ブロック65を使い捨てにする場合であっても、部品コストを低減することができる。さらに、流路ブロック保持部641の下保持部642はベースプレート610に固定されているので、流路ブロック65を交換した際の流路ブロック65の位置ずれを抑制することができる。
【0080】
また、本発明の第2の実施形態によれば、連結部620を磁力によりベースプレート610に吸着固定するので、吐出装置2の着脱を容易に行うことが可能となる。
【0081】
以上説明した本発明は、上記第1及び第2の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、上記第1及び第2の実施形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上記第1及び第2の実施形態及び変形例に示した全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、上記実施形態及び変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0082】
1,5…液体吐出システム、2…吐出装置、3,4,6…液体吐出システム用ホルダ(ホルダ)、20…筐体、20a 液体吐出部、21,21A…ノズル、22…操作入力部、23…吐出スイッチ、24…表示部、25…バッテリ、25a…蓋、26…配線、27…コントローラ、28…固定軸、29…コネクタ、31,41,61…保持部、33,62…グリップハンドル、34,63…ホルダスイッチ、35,50,51,65…流路ブロック、35a…後端面、35b…先端面、35c…領域、37…混合ノズル、64…流路ユニット、201…シリンジ、202…プランジャ、203…空間、204,351,501,651…流路、210…筒体、210a…長溝、211…電動アクチュエータ、212…減速機、213…出力軸、214…ピストン基端部、215…ピストン、271…設定部、272…駆動制御部、310,410,610…ベースプレート、311,411,611,646,647…開口、312,313…貫通孔、314,426…溝部、318…調節ネジ、320,420…ガイドアセンブリ、321…ホルダープレート、321a…プレート、322…ホルダーブロック、323…ガイドロッド、325,382,645…ボルト、326,357…ネジ穴、352,354,502,503,653…開口端、353,451,511…開口部、355,355A,356,356A…凹部、358,358A…隙間、371…ノズル本体、372…導入口、373…吐出口、374…リム、375…スクリュー、376…Dカット、381,381A,662…固定具、381a…第1の部分、381b…第2の部分、412…コイルスプリング、421…上部ブロック、422…下部プレート、425…凸部、12…磁性体、620…連結部、621…磁石、641…流路ブロック保持部、642…下保持部、643…上保持部、644…空間、646,647…開口、652…注入口、661…Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22