(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】リソース管理方法、リソース管理システム、リソース管理プログラム、リソース管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240307BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2022212556
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2023-12-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519055788
【氏名又は名称】株式会社ビットキー
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】江尻 祐樹
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219958(JP,A)
【文献】特開2011-198109(JP,A)
【文献】特開2003-323224(JP,A)
【文献】特開2011-257907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソース管理方法であって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付工程と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得工程と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証工程と、をコンピュータが実行
し、
前記リソースは、ソフトリソースを含み、
前記登録受付工程は、前記ソフトリソースの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得工程は、前記ソフトリソースの識別情報に応じたリソース提供装置に対して前記実態管理情報を取得要求し、前記ソフトリソースの実態管理情報を取得し、
前記検証工程は、前記ソフトリソースの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証する、
リソース管理方法。
【請求項2】
前記検証工程は、前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証処理を繰り返し実行し、前記検証処理の結果を出力する、請求項1に記載のリソース管理方法。
【請求項3】
前記取得工程は、前記リソース提供装置に対して利用者のアカウントを用いてAPI要求を送信し、前記リソース提供装置より提供されるAPI処理を実行することで、前記実態管理情報を取得する、請求項1に記載のリソース管理方法。
【請求項4】
前記取得工程は、前記リソース提供装置が提供するウェブサービスに対して利用者のアカウントを用いてクローリング処理を実行することで、前記実態管理情報を取得する、請求項1に記載のリソース管理方法。
【請求項5】
前記取得工程は、前記リソース提供装置が提供するウェブサービスにおける利用者のアカウントによる特定のログデータを要求することで、前記実態管理情報を取得する、請求項1に記載のリソース管理方法。
【請求項6】
リソース管理方法であって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付工程と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得工程と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証工程と、をコンピュータが実行し、
前記リソースは、
物理リソースであるデバイスを含み、
前記登録受付工程は、前記デバイスの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得工程は、前記利用者の識別情報に応じたデバイスに対して前記実態管理情報を取得要求し、前記デバイスの実態管理情報を取得し、
前記検証工程は、前記デバイスの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証し、
前記取得工程は、前記デバイスの識別情報により特定されるデバイスに対して前記利用者の識別情報を取得要求し、前記利用者の実態管理情報を取得し、
前記検証工程は、前記利用者の前記実態管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報を、前記利用者の前記理想管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報に基づき検証する、
リソース管理方法。
【請求項7】
前記物理リソースは、空間リソースを
さらに含み、
前記登録受付工程は、前記空間リソースの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応づけて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得工程は、前記空間リソースの識別情報に応じた空間リソースの管理システムに対して前記実態管理情報を取得要求し、前記空間リソースの実態管理情報を取得し、
前記検証工程は、前記空間リソースの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づく検証する、請求項6に記載のリソース管理方法。
【請求項8】
リソース管理方法であって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付工程と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得工程と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証工程と、
ある拠点における不足リソースに関する理想管理情報と、当該拠点の識別情報と、を取得するリソース処理工程と、
をコンピュータが実行し、
前記登録受付工程は、他の拠点における余剰リソースに関する実態管理情報と、当該拠点の識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記リソース処理工程は、前記不足リソースの理想管理情報と、前記余剰リソースの実態管理情報と、に基づいて、前記理想管理情報の条件と一致率が高い余剰リソースを特定する、
リソース管理方法。
【請求項9】
前記リソース処理工程は、リソース権限を有する管理者からの指示によるリソース処理を許可し、
前記リソース権限は、
複数の組織に対するリソース管理に関する第1権限と、
前記所属情報により特定される組織に対するリソース管理に関する第2権限と、に分類され、
前記第2権限を有する管理者は、前記組織における不足リソースについて、前記第1権限を有する管理者に要求可能である、請求項8に記載のリソース管理方法。
【請求項10】
リソース管理システムであって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、を備え、
前記リソースは、ソフトリソースを含み、
前記登録受付部は、前記ソフトリソースの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得部は、前記ソフトリソースの識別情報に応じたリソース提供装置に対して前記実態管理情報を取得要求し、前記ソフトリソースの実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記ソフトリソースの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証する、
リソース管理システム。
【請求項11】
リソース管理システムであって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、を備え、
前記リソースは、物理リソースであるデバイスを含み、
前記登録受付部は、前記デバイスの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得部は、前記利用者の識別情報に応じたデバイスに対して前記実態管理情報を取得要求し、前記デバイスの実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記デバイスの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証し、
前記取得部は、前記デバイスの識別情報により特定されるデバイスに対して前記利用者の識別情報を取得要求し、前記利用者の実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記利用者の前記実態管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報を、前記利用者の前記理想管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報に基づき検証する、
リソース管理システム。
【請求項12】
リソース管理システムであって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、
ある拠点における不足リソースに関する理想管理情報と、当該拠点の識別情報と、を取得するリソース処理部と、を備え、
前記登録受付部は、他の拠点における余剰リソースに関する実態管理情報と、当該拠点の識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記リソース処理部は、前記不足リソースの理想管理情報と、前記余剰リソースの実態管理情報と、に基づいて、前記理想管理情報の条件と一致率が高い余剰リソースを特定する、
リソース管理システム。
【請求項13】
リソース管理プログラムであって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、としてコンピュータを機能させ、
前記リソースは、ソフトリソースを含み、
前記登録受付部は、前記ソフトリソースの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得部は、前記ソフトリソースの識別情報に応じたリソース提供装置に対して前記実態管理情報を取得要求し、前記ソフトリソースの実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記ソフトリソースの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証する、
リソース管理プログラム。
【請求項14】
リソース管理プログラムであって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、としてコンピュータを機能させ、
前記リソースは、物理リソースであるデバイスを含み、
前記登録受付部は、前記デバイスの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得部は、前記利用者の識別情報に応じたデバイスに対して前記実態管理情報を取得要求し、前記デバイスの実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記デバイスの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証し、
前記取得部は、前記デバイスの識別情報により特定されるデバイスに対して前記利用者の識別情報を取得要求し、前記利用者の実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記利用者の前記実態管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報を、前記利用者の前記理想管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報に基づき検証する、
リソース管理プログラム。
【請求項15】
リソース管理プログラムであって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、
ある拠点における不足リソースに関する理想管理情報と、当該拠点の識別情報と、を取得するリソース処理部と、としてコンピュータを機能させ、
前記登録受付部は、他の拠点における余剰リソースに関する実態管理情報と、当該拠点の識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記リソース処理部は、前記不足リソースの理想管理情報と、前記余剰リソースの実態管理情報と、に基づいて、前記理想管理情報の条件と一致率が高い余剰リソースを特定する、
リソース管理プログラム。
【請求項16】
リソース管理装置であって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、を備え、
前記リソースは、ソフトリソースを含み、
前記登録受付部は、前記ソフトリソースの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得部は、前記ソフトリソースの識別情報に応じたリソース提供装置に対して前記実態管理情報を取得要求し、前記ソフトリソースの実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記ソフトリソースの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証する、
リソース管理装置。
【請求項17】
リソース管理装置であって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、を備え、
前記リソースは、物理リソースであるデバイスを含み、
前記登録受付部は、前記デバイスの識別情報と、前記利用者の識別情報と、を対応付けて前記理想管理情報を記憶し、
前記取得部は、前記利用者の識別情報に応じたデバイスに対して前記実態管理情報を取得要求し、前記デバイスの実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記デバイスの識別情報に対応する前記実態管理情報を、前記利用者の識別情報に対応する前記理想管理情報に基づき検証し、
前記取得部は、前記デバイスの識別情報により特定されるデバイスに対して前記利用者の識別情報を取得要求し、前記利用者の実態管理情報を取得し、
前記検証部は、前記利用者の前記実態管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報を、前記利用者の前記理想管理情報に含まれる前記デバイスの識別情報に基づき検証する、
リソース管理装置。
【請求項18】
リソース管理装置であって、
利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、
前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、
前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、
ある拠点における不足リソースに関する理想管理情報と、当該拠点の識別情報と、を取得するリソース処理部とを備え、
前記登録受付部は、他の拠点における余剰リソースに関する実態管理情報と、当該拠点の識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記リソース処理部は、前記不足リソースの理想管理情報と、前記余剰リソースの実態管理情報と、に基づいて、前記理想管理情報の条件と一致率が高い余剰リソースを特定する、
リソース管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソース管理方法、リソース管理システム、リソース管理プログラムおよび、リソース管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
会社などの組織では、アプリケーション、デバイス、空間、各種物品など多数のリソースを利用して業務を行っている。これらリソースは、従業員の所属や肩書、スキルなどに応じて利用権限を付与され、管理されている。
【0003】
従来、多数のアプリケーションを利用する組織において、それらリソース管理を効率化するための技術が知られている。
【0004】
特許文献1では、企業の1又は複数の従業員が用いるアカウントについて、2以上のアプリケーションに関する所要の処理を一括してそれぞれ予約可能とし、予約された日時又は時間帯に、それらの処理をAPIの呼び出しを用いて実行させることによって、当該企業の従業員に発行された複数のアカウントを効率的に管理することが可能となる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、利用者におけるリソースの実態状態をより良く管理するリソース管理技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解決するために、本発明は、リソース管理方法であって、利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付工程と、前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得工程と、前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証工程と、をコンピュータが実行する。
【0008】
また、本発明は、リソース管理システムであって、利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、を備える。
【0009】
また、本発明は、リソース管理プログラムであって、利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、としてコンピュータを機能させる。
【0010】
また、本発明は、リソース管理装置であって、利用者の所属情報に基づいて、リソースの理想状態を示す理想管理情報の登録指示を受け付ける登録受付部と、前記利用者の前記リソースの実態状態を示す実態管理情報を取得する取得部と、前記実態管理情報を、前記理想管理情報に基づき検証する検証部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組織におけるリソースの理想状態となるように、利用者におけるリソースの実態状態を管理するリソース管理技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】本実施形態の取得工程および検証工程のシーケンス図。
【
図8】本実施形態のセットアップ情報のデータ構成例。
【
図9】本実施形態のリソース処理工程のシーケンス図。
【
図10】本実施形態のリソース処理工程のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明のリソース管理システムおよび、方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0014】
本実施形態ではリソース管理システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを格納したプログラム記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0015】
リソース管理システムは、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置および記憶装置を有する。当該コンピュータ装置は、記憶装置に格納されるリソース管理プログラムを、演算装置により実行することで、当該コンピュータ装置をリソース管理装置として機能させることができる。リソース管理方法は、リソース管理装置を含むコンピュータ装置の処理により実現される。
【0016】
本実施形態において、リソースは、組織で利用するアプリケーションを含むソフトリソースと、組織で利用するデバイスや、空間(オフィスや会議室などのスペース)などを含む物理リソースと、を含む。
【0017】
<システム構成>
図1は、リソース管理システム1のブロック図を示す。リソース管理システム1は、
図1に示すように、リソース管理装置2と、利用者端末4と、記憶DBとを少なくとも備える。リソース管理装置2、利用者端末4および、記憶部DBは、それぞれ通信ネットワークNWに接続され、通信可能に接続されている。
【0018】
リソース管理装置2は、複数の組織(G1、G2、G3、・・・)におけるリソース管理に用いられる。組織Gは、管理者端末3と、利用者端末4と、を備える。利用者端末4は、組織Gにおいて複数存在する。
【0019】
リソース管理装置2は、機能構成要素として、登録受付部21と、取得部22と、検証部23と、リソース処理部24と、を備える。
【0020】
利用者端末4は、組織Gにおけるリソースの利用者により操作される端末装置である。また、本実施形態において、利用者端末4は、組織Gにおいて利用者に対して付与される物理リソース(デバイス)の1つである。利用者端末4は、
図1において1つのみ示したが複数存在する。
【0021】
記憶部DBは、データベースであって、リソース管理装置2とデータ通信可能な構成であれば、
図1に示す構成に限定されない。記憶部DBは、例えば、リソース管理装置2に内蔵されるか、または、リソース管理装置2に有線により通信接続される態様であってよい。
【0022】
本実施形態において、リソース管理システム1は、更に管理者端末3と、リソース提供装置5と、を備えていてもよい。リソース管理装置2、管理者端末3、利用者端末4、リソース提供装置5および、記憶部DBは、それぞれ通信ネットワークNWに接続され、通信可能に接続されている。
【0023】
管理者端末3は、組織Gにおける利用者に対するリソース付与に関する権限を有する管理者により操作される端末装置である。管理者端末3は、ある組織内におけるリソースの付与、変更、削除、貸借などに係る処理を実行できる。
【0024】
リソース提供装置5は、利用者端末4において利用されるソフトリソースを提供するサーバ装置である。本実施形態において、リソース提供装置5は、特に、アプリケーションなどのソフトウェアに関するソフトリソースを利用者に提供する。ソフトリソースは、利用者端末4において、ウェブブラウザなどを介して利用可能なウェブアプリケーションや、ライセンス認証により利用可能なネイティブアプリケーションなどとして提供される。なお、リソースとして物理リソースを提供する場合には、リソース提供装置5は必ずしも必須ではない。
【0025】
本実施形態において、リソースは、ソフトリソースと、物理リソースと、を含む。ソフトリソースは、リソース提供装置5より利用者に提供されるアプリケーションを含む。物理リソースは、利用者に提供されるデバイスや、利用権限を付与された空間や物品などの物理的なリソースを含む。
【0026】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、リソース管理装置2のハードウェア構成図を示す。リソース管理装置2は、ハードウェア構成として、プロセッサ201と、メモリ202と、通信インターフェイス203と、を備える。本実施形態において、リソース管理装置2は、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、リソース管理装置2は、複数のコンピュータ装置により構成されてもよく、全体として上述の機能構成要素(21-24)を実現できれば、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0027】
プロセッサ201は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、リソース管理プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、リソース管理装置2における全体処理を制御する制御部として機能する。メモリ202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、リソース管理プログラムおよび各種データを記憶する記憶部として機能する。通信インターフェイス203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、管理者端末3、利用者端末4および、記憶部DBとのデータ通信を実現する通信部として機能する。プロセッサ201は、リソース管理プログラムを実行することで、コンピュータをリソース管理装置2として機能させる。
【0028】
図2(b)は、管理者端末3、利用者端末4を含む端末装置9のハードウェア構成図を示す。端末装置9は、ハードウェア構成として、プロセッサ901と、メモリ902と、通信インターフェイス903と、入力インターフェイス904と、表示インターフェイス905と、を備える。本実施形態において、端末装置9は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0029】
プロセッサ901は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、端末装置9における全体処理を制御する制御部として機能する。メモリ902は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する記憶部として機能する。通信インターフェイス903は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、リソース管理装置2とのデータ通信を実現する通信部として機能する。入力インターフェイス904は、操作者による操作要求を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される入力部として機能する。表示インターフェイス905は、プロセッサ901による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される表示部として機能する。
【0030】
<登録受付工程>
登録受付部21は、利用者の所属情報に基づいて、管理者端末3を介して理想管理情報の登録指示を受け付け、記憶部DBに格納する。具体的には、リソース管理装置2のプロセッサ201が通信インターフェイス203を制御することにより管理者端末3から理想管理情報の登録指示を受信し、受信した理想管理情報を記憶部DBに記憶する。所属情報は、組織Gの識別情報を含み、組織別の理想管理情報が登録される。なお、登録受付部21は、利用者の所属する組織におけるメールアドレスなどを含むアカウント発行要求を受け付けることで、利用者の識別情報を発行するものとする。
【0031】
理想管理情報は、利用者別に付与されるリソースの理想状態を示す情報である。理想管理情報は、
図3(a)に示すように、所属情報と、利用者の識別情報と、ソフトリソース情報と、物理リソース情報と、を有する。
【0032】
所属情報は、
図3(b)に示すように、組織Gにおける利用者の所属を示す情報であって、利用者の識別情報をキーとして、利用者の所属する会社名、部署名、課名、肩書などを含む。組織図は、組織別に異なる構造であってもよく、例えば、管理者端末3等を介して、組織Gの部署や課、役職等のマスタが登録可能であってもよい。なお、所属情報は、所属識別情報をキーとして、会社名、部署名、課名、肩書などを含む構成であってもよい。これによって、所属識別情報に利用者を割り振ることが容易となる。
【0033】
記憶部DBは、ソフトリソースのマスタデータであるソフトマスタを格納する。ソフトマスタは、ソフトリソースの識別情報、ソフト名、契約プラン、単価、単位契約期間などを有する。ソフトマスタは、管理者端末3を介して登録される。ソフトリソースの識別情報は、リソース提供装置5の識別情報に対応付けられており、ソフトリソースの識別情報に基づきリソース提供装置5を特定することができる。
【0034】
ソフトリソース情報は、
図4(a)に示すように、利用者に権限を付与されたソフトリソースに関する情報であって、利用者の識別情報をキーとして、それぞれのソフトリソースの権限の有無を有する。ソフトリソースの権限は、ソフトリソースが複数の契約プラン(無償版・有償版・プレミアム版など)を有する場合、何れの契約プランかを示す情報を含んでもよい。ソフトリソース情報は、リソース付与の対象者が選択され、ソフトマスタの中から1または複数のソフトリソースの選択を受け付けることで生成される。また、ソフトリソース情報は、リソース提供装置5より取得されるライセンス番号やアカウントIDなどを含んでもよい。
【0035】
契約情報は、
図4(b)に示すように、組織別、部署別、課別などで契約するソフトリソースの契約数を示す情報である。なお、契約情報は、ソフトリソースの識別情報、ソフト名、プラン名、契約数、契約期間を含む構成であってもよい。契約情報は、ソフトマスタのソフトリソースの中から契約対象が選択され、契約数、契約期間の入力を受け付けることで生成される。契約情報は、契約により発行されるライセンス番号やアカウントIDを更に含んでもよい。
【0036】
物理リソース情報は、利用者に権限を付与された物理リソースに関する情報であって、利用者の識別情報をキーとして、それぞれの物理リソースの権限の有無を有する。本実施形態において、物理リソース情報は、デバイス情報と、空間情報と、に更に分類される。
【0037】
デバイス情報は、
図4(c)に示すように、利用者に貸与されたデバイスリソースに関する情報であって、利用者の識別情報をキーとして、それぞれのデバイスの権限、種別、デバイス識別情報などを有する。
【0038】
在庫情報は、
図4(d)に示すように、デバイス情報を拠点別に集計し、それぞれのデバイスの在庫数を有する。なお、PC種別を含む特定のデバイスは、当該デバイスの識別情報を含めて管理される。在庫情報は、ソフトリソース情報を集計し、利用者に付与されていないソフトリソースの在庫数を有する。なお、ソフトリソースの在庫数は、アカウントやライセンスとして管理されるため、全ての拠点の在庫の集計であってよい。
【0039】
空間情報は、利用者に利用権限が付与された空間リソースに関する情報である。本実施形態において、空間リソースは、ビルや建物内で区画されている会議室やブース、倉庫、セキュリティレベルに応じて解錠権限が管理されたロッカーやキャビネット、社員の権限として管理され福利厚生として利用される社員寮やホテルなどの宿泊施設や娯楽施設等も含まれる。空間情報は、利用者の識別情報をキーとして、それぞれの空間リソースへの入場権限の有無、利用可能時間などを有する。空間情報は、入場管理システムとデータ連携されており、例えば、端末やICカードに記憶される識別情報を入場ゲートに提示することで、入場権限の認証を行うものとする。空間リソースは、組織における拠点別に1または複数登録可能である。
【0040】
従来、空間リソースは、利用者のソフトリソースやデバイスと共通のIDなどがなく、管理が困難であった。本実施形態にかかる発明によれば、これらのリソースが共通の識別情報により権限管理することができる。例えば、それぞれの空間への入場権限は、オフィスのある部分には付与され、ある部分には入場権限がない等、部署や肩書きごとに異なって付与される場合もあり、これら入場権限が他のリソースと同様に権限管理することができる。
【0041】
ソフトリソース情報および物理リソース情報は、上述した例に限定されず、権限管理される各種システムと連携可能であって、それら権限の認証に利用できる。
【0042】
登録受付部21は、所属情報に対応するソフトリソース情報と物理リソース情報の理想状態マスタの登録を予め受け付け、記憶部DBに格納してもよい。登録受付部21は、利用者の登録に際して、所属情報の登録指示を受け付けることで、所属情報に対応する理想状態マスタを参照し、自動で各リソースの理想状態を設定することができる。なお、ソフトリソース情報および物理リソース情報は、管理者端末3を介して削除、編集、追加が可能に構成される。
【0043】
リソース提供装置5は、アカウント発行要求を受け付け、ソフトリソースのアカウントを発行する。アカウント発行要求は、利用者の識別情報としてアカウント発行情報を含み送信される。アカウント発行情報は、アカウントを発行するために用いられる情報であって、メールアドレスなど、利用者の個人情報を用いることができる。アカウント発行情報は、利用者の識別情報に対応付けされる。
【0044】
リソース管理装置2は、複数の組織に所属する利用者の各組織におけるリソース権限を管理することができる。
【0045】
例えば、利用者Aが会社Aから会社Bに派遣される場合について説明する。まず、利用者Aの会社Bへの派遣が決定すると、会社Bの管理者端末3は、会社Aのメールアドレス(以降、メールアドレスaという)を会社Bに連携することについて利用者Aの承諾を得るための通知を、利用者Aの利用者端末4に送信する。
【0046】
なお、当該承諾を得るための通知は、会社Bの管理者端末3が会社Aの管理者端末3のメールアドレスを予め記憶部DBに記憶させておくことにより、リソース管理装置2から会社Aの管理者端末3を介して、利用者Aの利用者端末4に自動で送信されても良い。この通知のタイミングは、例えば会社Bの管理者端末3がソフトリソース情報の理想管理情報の割り当て(登録指示)を実行するタイミングであっても良い。
【0047】
会社Bの管理者端末3は、利用者Aの利用者端末4から当該通知に対する承諾を得られた場合、利用者Aの利用者端末4からメールアドレスaを取得する。会社Bの管理者端末3は、メールアドレスaを識別情報として、リソース管理装置2に対し、リソース管理システム1のアカウント発行要求を送信する。リソース管理装置2は、アカウント発行要求を受信し、利用者Aのアカウントを発行し、記憶部DBに格納する。なお、リソース管理装置2は、発行した利用者Aのアカウントに関する通知を会社Bの管理者端末3に送信してもよい。
【0048】
リソース管理装置2により利用者Aのアカウントが発行されると、会社Bの管理者端末3は、利用者Aの会社Bにおける所属情報に応じて、利用者Aの業務に必要なソフトリソース情報の登録指示を送信する。登録受付部21は、登録指示されたソフトリソースを、理想管理情報として記憶部DBに格納する。
【0049】
割り当てが完了したら、アカウント発行が必要なソフトリソースのリソース提供装置5に対しアカウント発行要求を送信する。リソース管理装置2は、発行されたソフトリソースのアカウントを利用者Aの識別情報または会社Bの識別情報に対応付けて記憶する。
【0050】
会社Bの管理者端末3と利用者Aの利用者端末4、リソース管理装置2との通信は、いずれも通信インターフェイス203または、通信インターフェイス903を介して実行される。
【0051】
会社Bにおいて、セキュリティの都合上、社外のメールアドレスを用いたアカウント発行ができない場合、会社Bの管理者端末3は、会社Bにおけるメールアドレスbを利用者Aに発行し、利用者Aの1つの識別情報で管理していても良い。
【0052】
上記の例では、リソース管理システム1を会社Bのみで導入している場合でも、会社A及び会社Bの両方で導入している場合でも、どちらでも良い場合について説明した。会社A及び会社Bの両方でリソース管理システム1を導入している場合、それぞれの会社で発行している識別情報を両社で連携しても良い。このとき、リソース管理装置2は、アカウント連携に必要な識別情報の提供に関する承諾を得るための通知を、自動で利用者Aの利用者端末4に対して送信しても良い。
【0053】
例えば、
図3(a)において、ある利用者Aは、2つの組織(会社A、会社B)に所属し、利用者の識別情報A002(会社A)、A015(会社B)が付与される。登録受付部21は、識別情報A002と識別情報A015の連携指示を受け付けることで、異なる利用者の識別情報を対応付けて記憶する。連携された識別情報に対応付けされたリソースの権限は、他方の管理者端末3により付与、変更、削除を許可してもよい。
【0054】
このように、あらかじめ理想管理情報を作成しておくことにより、利用者Aの会社Bでの着任日よりも前に、利用者Aが会社Bでの業務に必要な物理リソース及び各種ソフトリソースのアカウント発行や権限付与を完了させることができる。
【0055】
ここで、利用者Aが、会社Aから会社Bに派遣される例を挙げる。リソース管理装置2は、会社Bの管理者端末3より、事前に利用者Aのソフトリソースのアカウントを取得するために、利用者Aの会社Aにおけるアカウント発行情報を取得するための要求を受け付ける。リソース管理装置2は、会社Aの管理者端末3または利用者端末4を介して、アカウント発行情報の送信許可を受信すると、アカウント発行情報を要求元である会社Bの管理者端末3に送信する。送信許可は、利用者Aの意思による許可であればよく、送信元の装置は限定されない。これによって、会社Bは、利用者のアカウント発行情報を用いてリソース提供装置5よりアカウントの発行を受けることができる。また、利用者は、組織別のリソース権限を用いて業務を行うことができる。
【0056】
図5は、登録受付工程の処理シーケンス図を示す。管理者端末3のプロセッサ901は、入力インターフェイス904を介して組織図をもとにソフトリソースの理想状態、物理リソースの理想状態の入力を受け付ける(S101)。具体的には、管理者端末3のプロセッサ901は、組織図をもとに所属情報を入力し、所属情報に応じたリソースの割り当てを行う。管理者端末3のプロセッサ901は、各リソースの理想状態の登録要求を、通信インターフェイス903を介してリソース管理装置2に送信し(S102)、リソース管理装置2のプロセッサ201は、登録要求された所属情報に対応付けて各リソースの理想状態を記憶部DBに格納する(S103)。管理者端末3のプロセッサ901は、利用者のメールアドレスや電話番号などのアカウント発行情報の入力を、入力インターフェイス904を介して受け付け(S104)、利用者のアカウント発行情報を含むアカウント登録要求をリソース管理装置2に、通信インターフェイス903を介して送信する(S105)。S104において、アカウント発行情報は、1または複数の利用者の個人情報、所属情報を含む利用者一覧をCSV等のファイル形式で入力されるものであってよい。リソース管理装置2のプロセッサ201は、アカウント発行情報に基づき利用者の識別情報、パスワードなどを含むアカウントを発行する(S106)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、発行した利用者の識別情報を含むアカウントの登録完了通知を、通信インターフェイス203を介して利用者端末4に送信する(S107)。
【0057】
リソース管理装置2のプロセッサ201は、発行された利用者の識別情報を、登録された各リソースの理想状態に対応付けることで、理想管理情報として記憶部DBに格納する(S108)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、管理者端末3からの要求に応じて通信インターフェイス203を介して理想管理情報を出力する(S109)。これによって、管理者端末3のプロセッサ201は、表示インターフェイス905を介して理想管理情報を表示し、リソースの付与、変更、削除などの権限操作を行うことができる。例えば、利用者の異動等に伴い所属が変更される場合、利用者識別情報を、移動先の所属識別情報に対応付けることで、所属情報に対応するリソースの権限操作を容易に行うことができる。
【0058】
なお、S106において、アカウント発行後、リソース管理装置2のプロセッサ201は、管理者端末3からの要求に応じて通信インターフェイス203を介して所属情報に対応付けられた各リソースの理想状態を出力し、管理者端末3のプロセッサ201は、表示インターフェイス905を介して所属に応じた理想状態を表示し、利用者に対するリソースの付与、変更、削除などの権限操作を個別に行う構成としてもよい。その場合、管理者端末3のプロセッサ901は、入力インターフェイス904を介して利用者の識別情報を含むアカウントの入力を受け付ける。具体的には、管理者端末3のプロセッサ901は、利用者に所属を割り当てることで、利用者に割り当てる各リソースの理想状態(理想管理情報)を決定する。管理者端末3のプロセッサ901は、理想管理情報の登録要求を、通信インターフェイス903を介してリソース管理装置2に送信し、リソース管理装置2のプロセッサ201は、登録要求された理想管理情報を記憶部DBに格納する。
【0059】
<取得工程>
取得部22は、利用者の実態管理情報を取得し、記憶部DBに格納する。実態管理情報は、利用者別に付与されているリソースの実態状態を示す情報である。
【0060】
実態管理情報は、利用者の識別情報と、ソフトリソース情報と、物理リソース情報と、を含む。実態管理情報は、理想管理情報に対応するリソースの実際の権限に関する項目が設けられる。理想管理情報と実態管理情報は、同様のデータ構造を有するものであってよい。
【0061】
取得部22は、リソース提供装置5より利用者のソフトリソースの実態状態を取得する。具体的には、リソース管理装置2のプロセッサ201は、リソース提供装置5に対して実態管理情報の取得要求を送信し、通信インターフェイス203を介して取得要求の結果としてソフトリソースの実態管理情報を受信し、記憶部DBに格納する。
【0062】
取得部22は、管理者端末3を介してリソース提供装置5より取得されたソフトリソースの実態状態を取得してもよい。具体的には、管理者端末3のプロセッサ901は、リソース提供装置5に対して実態管理情報の取得要求を送信し、通信インターフェイス903を介して取得要求の結果としてソフトリソースの実態管理情報を受信する。リソース管理装置2のプロセッサ201は、管理者端末3から実態管理情報の取得指示を受信し、通信インターフェイス203を介して受信したソフトリソースの実態管理情報を記憶部DBに格納する。
【0063】
リソース管理装置2または管理者端末3は、ソフトリソースの識別情報に応じたリソース提供装置5に対して利用者の識別情報を含む取得要求を送信する。リソース提供装置5は、取得要求を受信し、その結果としてソフトリソースの実態状態を要求元に返送する。実態状態は、具体的には、当該ソフトリソースの利用権限やアカウントの有無、契約プランの種別、利用履歴など、を含む。
【0064】
一態様として、取得要求は、API(Application Programming Interface)要求である。API要求は、リソース提供装置5に対して送信され、リソース提供装置5は、API要求に対応する処理結果を応答する。API要求は、組織の識別情報の指定を含み、当該組織におけるソフトリソースの利用者を確認するためのAPIの処理を実行できる。なお、利用者個人のソフトリソースの権限を確認する場合、API要求は、対象の利用者の識別情報に紐づけられるアカウントの指定を含み、当該アカウントに対するAPIの処理を実行できる。取得部22は、APIの処理結果を、当該リソース提供装置5が提供するソフトリソースの実態管理情報として取得することができる。また、取得部22は、API要求が成功した場合、当該アカウントにおける権限の範囲(契約プラン)や、利用履歴を含む実態管理情報を取得することができる。なお、本実施形態において、API要求は、リソース管理装置2からリソース提供装置5に対して送信されるが、送信元の装置はこれに限定されず、他の装置を介してAPI要求が送信されてもよい。
【0065】
一態様として、取得要求は、クローリングである。クローリングは、リソース提供装置5が提供するウェブサービスに対して利用者のアカウントを用いて実行することで、所定の情報を収集するための処理である。取得部22は、クローリングの結果を、当該リソース提供装置5が提供するソフトリソースの実態管理情報として取得することができる。取得部22は、クローリングにより当該アカウントにおける権限範囲を含む情報を取得できる。なお、本実施形態において、クローリングは、リソース管理装置2からリソース提供装置5が提供するウェブサービスに対して実行されるが、実行元の装置はこれに限定されず、他の装置を介してクローリングが実行されてもよい。
【0066】
一態様として、取得要求は、ログ要求である。ログ要求は、リソース提供装置5が提供するウェブサービスに対する利用者のアカウントによるアクセスログを取得するための処理である。取得部22は、ログ要求の結果を、当該リソース提供装置5が提供するソフトリソースの実態管理情報として取得することができる。取得部22は、ログ要求により当該アカウントへの最終ログイン日時を含む情報を取得できる。なお、本実施形態において、ログ要求は、リソース管理装置2からリソース提供装置5が提供するウェブサービスに対して送信されるが、送信元の装置はこれに限定されず、他の装置を介してログ要求が送信されてもよい。
【0067】
このように、本実施形態にかかる発明によれば、リソース提供装置が提供するソフトリソースの形態に対応した好ましい方法で、リソースの実態状況を取得することができる。
【0068】
取得部22は、利用者端末4より利用者の物理リソースの実態状態を取得する。具体的には、リソース管理装置2のプロセッサ201は、利用者端末4に対して実態管理情報の取得要求を送信し、通信インターフェイス203を介して取得要求の結果として物理リソースの実態管理情報を受信し、記憶部DBに格納する。
【0069】
取得部22は、管理者端末3を介して利用者端末4より取得された物理リソースの実態状態を取得してもよい。具体的には、管理者端末3のプロセッサ901は、利用者端末4に対して実態管理情報の取得要求を送信し、通信インターフェイス903を介して取得要求の結果として物理リソースの実態管理情報を受信する。リソース管理装置2のプロセッサ201は、管理者端末3から実態管理情報の取得指示を受信し、通信インターフェイス203を介して受信した物理リソースの実態管理情報を記憶部DBに格納する。
【0070】
リソース管理装置2または管理者端末3は、利用者の識別情報に応じた物理リソース(利用者端末4)に対して物理リソースの識別情報の取得要求を送信する。利用者端末4は、取得要求を受信し、その結果として利用者端末4の識別情報を含む実態状態を要求元に返送する。
【0071】
一態様として、取得要求は、利用者端末4においてデバイスの識別情報など物理リソースの実態状態を把握できる情報入力を要求する通知である。当該通知は、入力フォームなどの形態で利用者端末4に通知され、物理リソースの識別情報などを含む回答を受け付ける。取得部22は、回答結果を、利用者に付与された物理リソースの実態管理情報として取得することができる。
【0072】
入力フォームは、具体的には、特定のシリアル番号(物理リソースの識別情報)を使用しているか、どのようなデバイス種別を使用しているか、などの質問項目を提示し、その回答を受け付ける。
【0073】
リソース管理装置2または管理者端末3は、物理リソース(利用者端末4)の識別情報に応じた利用者端末4に対して利用者の識別情報の取得要求を送信する。利用者端末4に予め利用者の識別情報等が登録させている場合、リソース管理装置2から利用者の識別情報の取得要求を受信した場合、その応用として利用者の識別情報を含む実態状態をリソース管理装置2に返送することができる。なお、取得要求の結果は、利用者を一意に特定できる情報であれば、利用者の識別情報に限定されない。
【0074】
一態様として、リソース管理装置2または管理者端末3は、利用者端末4が通信ネットワークNWに接続される場合、利用者端末4より利用者の識別情報を取得し、取得部22に受け渡す。
【0075】
利用者は、物理リソースに故障や動作不良等の不具合が生じた場合、リソース管理装置2に対して故障や動作不良に関する不具合情報を送信する。不具合情報は、対象となる物理リソースの識別情報、利用者の識別情報の少なくとも何れかを含み、利用者端末4などの端末装置の通信インターフェイスを介して送信される。リソース管理装置2は、不具合情報を受信し、識別情報に基づく理想管理情報に登録される物理リソースの種別(スペックなど)に関する情報や当該物理リソースの在庫情報を参照し、代替となる物理リソースを利用者に対して貸与する。このとき、貸与元は、ユーザのオフィスや自宅などの拠点の住所も理想管理情報で管理しているため、先にユーザの元に代替機を送り、利用者は、不具合が生じた物理リソースを、ユーザ自身で倉庫や拠点に送り返す。これにより、情シス部署の手間をかけず、かつ、利用者の拠点が自宅である場合にオフィスを介在することなく、利用者の手元にいち早く良好な状態の物理リソースを供給できるため、手間やコストの削減を実現することができる。
【0076】
取得部22は、入場管理システムより利用者の空間情報の実態状態を取得する。具体的には、具体的には、リソース管理装置2のプロセッサ201は、入場管理システムに対して実態管理情報の取得要求を送信し、通信インターフェイス203を介して取得要求の結果として空間リソースの実態管理情報を受信し、記憶部DBに格納する。
【0077】
取得部22は、管理者端末3より取得された空間情報の実態状態を取得してもよい。具体的には、管理者端末3のプロセッサ901は、入場管理システムに対して実態管理情報の取得要求を送信し、通信インターフェイス903を介して取得要求の結果として空間リソースの実態管理情報を受信する。リソース管理装置2のプロセッサ201は、管理者端末3から実態管理情報の取得指示を受信し、通信インターフェイス203を介して受信した空間リソースの実態管理情報を記憶部DBに格納する。なお、取得部22は、管理者端末3以外の装置を介して空間リソースの実態管理情報を取得してもよい。
【0078】
取得部22は、入場管理システムに対して取得要求を送信することで、入場ログデータを実態管理情報として取得することができる。
【0079】
このように、本実施形態にかかる発明によれば、物理リソースの形態に対応した好ましい方法で、リソースの実態状況を取得することができる。
【0080】
<検証工程>
検証部23は、実態管理情報を、理想管理情報に基づき検証する。検証は、リソースの実態状態が、リソースの理想状態と一致するか否かを判定する処理を含む。
【0081】
検証部23は、取得部22により取得されたソフトリソースの識別情報に対応する実態管理情報を、利用者の識別情報に対応するソフトリソースに関する理想管理情報に基づき検証する。
【0082】
検証部23は、取得部22により取得された物理リソースの識別情報に対応する実態管理情報を、利用者の識別情報に対応する物理リソースに関する理想管理情報に基づき検証する。
【0083】
検証部23は、検証結果を出力する。検証結果は、実態状態と理想状態が一致するか否かの結果を含む。検証部23は、検証結果を利用者の実態管理情報に対応付けて、記憶部DBに格納する。
【0084】
検証部23は、検証結果を管理者端末3および/または利用者端末4に対する検証結果通知として出力する。検証結果通知は、実態状態と理想状態が一致しない項目に関する警告を含む。
【0085】
検証部23は、検証結果が一致の場合、リソースの実態状態が理想状態である検証結果を通知するとともに、リソースが理想状態に維持されていることを示す情報を記憶部DBに格納する。
【0086】
検証部23は、検証結果が不一致の場合、検証結果を通知するとともに、実態状態が理想状態となるように、リソースの変更要求を行うことができる。変更要求は、リソースの削除、追加、権限範囲の変更を、リソース提供装置5に対して送信する処理を含む。
【0087】
検証部23は、予め検証項目が設定され、実態管理情報を、当該検証項目に基づき検証してもよい。検証項目は、例えば、ソフトリソースの有効期限や、物理リソースの耐用年数などを含む。検証部23は、取得した実態管理情報について、有効期限や耐用年数が近づいたリソースが含まれる場合、警告を出力することができる。
【0088】
検証部23は、実態管理情報を、理想管理情報に基づき検証する検証処理を繰り返し実行し、その処理結果を出力する。検証部23は、検証処理の結果が一致の場合、リソースが理想状態である検証結果を通知する。検証部23は、検証処理の結果が不一致の場合、リソースが一致しないリソースを含む検証結果を通知し、後述のリソース処理工程を実行する。なお、検証結果の通知は、リソース処理工程の実行後であってもよい。検証部23は、例えば、検証処理を所定期間毎に実行することで、リソースの理想状態を維持することができる。また、検証部23は、管理者端末3および/または利用者端末4より検証指示を受け付けることで、検証処理を実行する構成としてもよい。リソースの理想状態を維持できる構成であれば、検証処理のタイミングは限定されない。これにより、リソースの理想状態に対する実態状態を監視することができる。
【0089】
図6(a)は、ソフトリソースの実態管理情報に関する取得工程から検証工程までの処理シーケンス図を示す。リソース管理装置2のプロセッサ201は、特定のアカウントの権限の実態または特定の組織におけるアカウントの権限の実態に関する取得要求をリソース提供装置5に対して送信する(S21)。取得要求は、上述したAPI要求、クローリング、ログ要求の何れかの態様である。リソース管理装置2のプロセッサ201は、取得要求の結果としてソフトリソースの実態管理情報を取得する(S22)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、取得した実態管理情報を、理想管理情報に基づき検証する処理を実行する(S23)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、検証の結果を含む検証結果通知を通信インターフェイス203を介して管理者端末3に送信する(S24)。リソース管理装置2は、検証の結果、実態状態と理想状態が一致しない場合、後述のリソース処理を実行することで、実態状態を理想状態と一致させる。
【0090】
図6(b)は、物理リソースの実態管理情報に関する取得工程から検証工程までの処理シーケンス図を示す。リソース管理装置2のプロセッサ201は、デバイスの識別情報の実態または利用者の識別情報の実態に関する取得要求を、通信インターフェイス203を介して利用者端末4に対して送信する(S31)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、取得要求の結果としてデバイスの実態管理情報を通信インターフェイス203を介して取得する(S32)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、取得した実態管理情報を、理想管理情報に基づき検証する処理を実行する(S33)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、検証の結果を含む検証結果通知を、通信インターフェイス203を介して管理者端末3に送信する(S34)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、検証の結果、実態状態と理想状態が一致しない場合、後述のリソース処理を実行することで、実態状態を理想状態と一致させる。
【0091】
上述したように、本実施形態にかかる発明によれば、ソフトリソースの管理のみならず、物理的なデバイスの管理が絡む情シス業務についても、効率化やアウトソーシングが可能になることにより、紛失破損盗難のリスクを伴う在庫管理を、必ずしも自社でする必要がなくなる。
【0092】
また、本実施形態にかかる発明によれば、従来、それぞれのリソースは、別々のアプリやシステム等における異なるIDなどにより管理されていたところ、それらを統合することでリソース管理を効率化することができる。
【0093】
<リソース処理工程>
リソース処理部24は、理想状態のソフトリソースを利用可能な物理リソース(デバイス)を利用者に提供することを支援する。具体的には、管理者端末3のプロセッサ901は、入力インターフェイス904によるリソース管理に関する入力を、通信インターフェイス903を制御することでリソース管理装置2に対する指示として送信する。リソース管理装置2のプロセッサ201は、管理者端末3からのリソース管理に関する指示を通信インターフェイス203を介して受信し、当該指示に基づくリソース処理を実行する。リソース管理装置2のプロセッサ201は、通信インターフェイス203を制御することで、リソース処理の結果を管理者端末3に対して送信する。管理者端末3のプロセッサ901は、リソース処理の結果を通信インターフェイス903を介して受信し、当該結果を表示インターフェイス905により表示することができる。
【0094】
図7は、リソース処理工程の概要説明図を示す。リソース処理工程は、例えば、組織への新規参加者や、物理リソースの修理・交換する利用者に対して、理想状態のソフトリソースおよび物理リソースを提供するための工程を示す。リソース処理部24は、リソース権限を有する管理者端末3からの指示によるリソース処理を許可する。リソース処理は、リソースの付与、変更、削除、貸借に係る処理を含む。
【0095】
図7において、組織Gは、拠点B1~B3により編成される。拠点の数は、一例であり、図示例に限定されない。拠点B1は、リソースR1を有し、リソース(不足リソースLR)が不足している例を示す。不足リソースLRは、例えば、将来的に拠点に新しく加入する者がいて、現状当該拠点で不足しているリソースを示す。換言すると、不足リソースLRは、所定期限までに加入者のためにセットアップが必要なリソースを示す。不足リソースLRは、作成されたセットアップ情報(後述)に含まれる必要なリソースの数と、在庫情報に含まれる在庫のリソースの数と、の差分により導出される。リソースR1は、ある物理リソース(デバイス)と、当該物理リソースにセットアップされたソフトリソースと、を含む。
【0096】
他の拠点B2、B3は、余剰リソースR2~R5をそれぞれ有するものとする。余剰リソースは、例えば、拠点において使用しておらず在庫として抱えているリソースまたは、理想状態を超えて付与されているリソースを示す。拠点B2、B3は、例えば、在庫となる物理リソースを管理する倉庫などであってもよい。記憶部DBは、各拠点B1~B3における余剰リソースの実態管理情報を、当該拠点の識別情報と対応付けて格納している。余剰リソースの実態管理情報は、在庫情報に相当する。余剰リソースは、在庫情報のリソースの数と、理想状態を超えて付与されるリソースの数の和により導出される。
【0097】
リソース処理部24は、拠点B1の管理者端末3または利用者端末4を介して不足リソースLRに関する理想管理情報と、拠点B1の識別情報と、を取得する。
【0098】
はじめに、リソース処理部24は、不足リソースLRの理想管理情報に対応する物理リソースを、在庫情報の中から抽出する。リソース処理部24は、抽出された物理リソースを在庫として確保する在庫情報の中から、更に不足リソースLRの理想管理情報に対応するソフトリソースを有するものを抽出してもよい。リソース処理部24は、抽出処理により不足リソースLRの理想管理情報の条件と一致率が高い余剰リソースを1または複数特定する。
【0099】
リソース処理部24は、拠点B1と、余剰リソースを確保する拠点B2、B3と、の間の地理情報に基づき、余剰リソースを取り寄せる拠点B2、B3(仮に、B2とする)を提示する。地理情報は、例えば、拠点間の距離、輸送コスト、輸送日数などを示す。
【0100】
リソース処理部24は、不足リソースLRの数量の条件を更に受け付け、数量の条件を満たす余剰リソースを確保している拠点を、取り寄せ先の拠点として提示してもよい。
【0101】
リソース処理部24は、提示された拠点B2、B3の中から余剰リソースの取り寄せ先とする拠点の決定入力を受け付ける。なお、リソース処理部24は、上述した条件に基づいて取り寄せ先とする拠点を自動決定してもよい。
【0102】
リソース処理部24は、決定した拠点B2に対してリソース提供指示を出力する。リソース提供指示は、不足リソースLRを有する拠点の識別情報と、不足リソースLRの理想管理情報と、を含む。ここで、リソース処理部24は、理想管理情報に含まれるリソースと比較して、余剰リソースの実態管理情報のリソースが不足する場合、不足するリソース条件を更に出力することができる。
【0103】
一態様では、不足するリソース条件の出力に応じて、拠点B2において、リソースのセットアップ処理が実行される。セットアップ処理は、例えば、不足するソフトリソースのインストール作業や、不足する物理リソースの購入作業などを含む。検証部23は、セットアップ処理完了後、余剰リソースの実態管理情報と、不足リソースの理想管理情報が一致することを検証する。検証の結果が一致する場合、セットアップされた余剰リソースは、拠点B1に郵送などにより供給される。
【0104】
一態様では、余剰リソースは、セットアップ完了前に拠点B2から拠点B1に郵送などにより供給される。不足するリソース条件の出力に応じて、拠点B1において、余剰リソースのセットアップ処理が実行される。検証部23は、セットアップ処理完了後、余剰リソースの実態管理情報と、不足リソースの理想管理情報が一致することを検証し、検証結果が一致することで、当該余剰リソースを供給することができる。
【0105】
図8は、セットアップ情報のデータ構成例を示す。セットアップ情報は、組織への加入者に対するリソースをセットアップする際に作成される。セットアップ情報は、利用者の識別情報をキーとして、ソフトリソース情報と、物理リソース情報と、在庫情報と、を有する。在庫情報に含まれる最寄拠点は、在庫のデバイスが存在する拠点であって、地理情報に基づき最寄りと判定される拠点、輸送コストが所定値以下と判定される拠点、輸送日数が所定日数以下と判定される拠点などを示す。セットアップ情報は、セットアップの完了フラグにより管理され、完了フラグがオンにされると、ソフトリソース情報、物理リソース情報に基づき利用者の理想管理情報が生成される。
【0106】
図9(a)は、組織への新規参加者や、交換、修理、利用者の異動に伴う物理リソースのリソース処理工程の一態様のシーケンス図を示す。リソース管理装置2のプロセッサ201は、理想管理情報と在庫情報を参照し、組織における必要な物理リソース(不足リソース)の情報を判定する(S411)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、必要な物理リソースの情報を含む要求通知を、余剰リソースを保管する倉庫、拠点、組織における端末装置などに通信インターフェイス203を介して送信する(S412)。ここで、要求通知は、地理情報に基づき最適と判定される倉庫、拠点、組織に対して送信される。要求通知を受けた倉庫、拠点、組織は、要求通知に含まれる余剰リソースを、利用者に対して郵送などにより運搬する(S413)。要求通知は、利用者の住所など運搬先に関する情報を含んでもよい。
【0107】
これにより、各リソースの理想状態と実態状態にギャップを自動的に判定するとともに、デバイスなどの余剰リソースを保管する供給元の選定から利用者への送付の手配まで自動で実施可能になる。
【0108】
図9(b)は、組織への新規参加者や、交換、修理、利用者の異動に伴う物理リソースのリソース処理工程の異なる態様のシーケンス図を示す。管理者端末3のプロセッサ901は、表示インターフェイス905を介して理想管理情報を表示し(S421)、理想管理情報と在庫情報を参照し、入力インターフェイス904を介して必要な物理リソース(不足リソース)の情報を入力する(S422)。なお、S421において、リソース管理装置2のプロセッサ201が、理想管理情報と在庫情報を参照し、組織における必要な物理リソース(不足リソース)の情報を判定した結果を表示してもよい。管理者端末3のプロセッサ901は、必要な物理リソースを含むリソース要求を、通信インターフェイス903を介してリソース管理装置2に送信する(S423)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、必要な物理リソースの情報を含む要求通知を、余剰リソースを保管する倉庫、拠点、組織における端末装置などに通信インターフェイス203を介して送信する(S424)。ここで、要求通知は、地理情報に基づき最適と判定される倉庫、拠点、組織に対して送信されるが、管理者端末3によりリソース要求において送信先が指示されてもよい。要求通知を受けた倉庫、拠点、組織は、要求通知に含まれる余剰リソースを、利用者に対して郵送などにより運搬する(S425)。要求通知は、利用者の住所など運搬先に関する情報を含んでもよい。
【0109】
これにより、例えば、API連携などによる実態情報の取得などの一部の自動処理が難しい場合であっても、不足リソースの要求を好適に支援することができる。
【0110】
図10(a)は、新規利用者の加入、利用者の異動などによる契約の追加、更新、解除などに伴うソフトリソースのリソース処理工程の一態様のシーケンス図を示す。リソース管理装置2のプロセッサ201は、理想管理情報と契約情報を参照し、更新が必要なソフトリソースの情報を判定する更新判定を実行する(S711)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、更新判定の結果、更新が必要なソフトリソースの情報を含むアカウント更新処理をリソース提供装置5に対して行う(S712)。なお、アカウント更新処理は、アカウントの契約更新処理や解除申込処理などを含み、管理者端末3を介して行われてもよい。アカウント更新処理は、契約更新、契約解除、利用申込、解約申込、アカウント登録、アカウント削除などにかかる処理の何れであってもよい。リソース提供装置5は、契約更新処理にしたがって、アカウントを更新、登録、削除、契約更新、契約解除として処理する(S713)。利用者端末4は、通信インターフェイス903を介して、リソース提供装置5により処理されたアカウントの処理完了通知を受信する(S714)。
【0111】
これにより、各リソースの理想状態と実態状態にギャップを自動的に判定するとともに、アカウントの発行、削除、更新、を自動で実行することができる。例えば、退職済みの利用者の解約されていないアカウントを検出するとともに、当該アカウントを自動で削除することができる。これによって、実態的に稼働していない不要なアカウントに生じるコストを削減することができる。
【0112】
図10(b)は、新規利用者の加入、利用者の異動などによる契約の追加、更新、解除などに伴うソフトリソースのリソース処理工程の異なる態様のシーケンス図を示す。管理者端末3のプロセッサ901は、表示インターフェイス905を介して理想管理情報、契約情報を表示し(S721)、理想管理情報と契約情報を参照しながら更新が必要なソフトリソースのアカウントへの更新操作を、入力インターフェイス904を介して受け付ける(S722)。なお、S721において、リソース管理装置2のプロセッサ201が、理想管理情報と契約情報を参照し、更新が必要なソフトリソースの情報を判定した更新判定の結果を表示してもよい。管理者端末3のプロセッサ901は、更新が必要なソフトリソースの情報を含む更新要求を、通信インターフェイス903を介してリソース管理装置2に送信する(S723)。リソース管理装置2のプロセッサ201は、更新が必要なソフトリソースの情報を含むアカウント更新処理をリソース提供装置5に対して行う(S724)。なお、アカウント更新処理は、アカウントの契約更新処理や解除申込処理などを含み、管理者端末3を介して行われてもよい。アカウント更新処理は、契約更新、契約解除、利用申込、解約申込、アカウント登録、アカウント削除などにかかる処理の何れであってもよい。リソース提供装置5は、契約更新処理にしたがって、アカウントを更新、登録、削除、契約更新、契約解除として処理する(S725)。利用者端末4は、通信インターフェイス903を介して、リソース提供装置5により処理されたアカウントの処理完了通知を受信する(S726)。
【0113】
これにより、例えば、API連携などによる実態情報の取得などの一部の自動処理が難しい場合であっても、アカウントの更新を好適に実行することができる。更に、個別の利用者におけるアカウントの権限を付与、変更、削除することができる。
【0114】
ソフトリソースのセットアップ処理は、物理リソースの供給元である拠点、倉庫、組織において実行され、セットアップが完了した物理リソースを、供給先に送ることができる。また、物理リソースの供給元である拠点、倉庫、組織は、物理リソースを供給先に送り、当該供給先においてソフトリソースのセットアップ処理を実行してもよい。
【0115】
管理者端末3のプロセッサ901は、通信インターフェイス903を介してアカウント更新処理をリソース提供装置5に対して送信、当該アカウント更新処理の結果を取得してもよい。リソース管理装置2は、アカウント更新処理の結果に基づき契約情報を更新し、記憶部DBに格納する。
【0116】
このように、本実施形態にかかる発明によれば、不足リソースが生じた場合、余剰リソースの在庫を特定し、拠点間におけるリソースの供給を好適に実現することができる。
【0117】
図11は、リソース処理工程の異なる態様の概要説明図を示す。
図11は、リソース管理システム1の全体組織LGを示す。全体組織LGは、リソース管理装置2、システム管理者端末20を備えるシステム管理者Mと、複数のシステム参加者である組織Gと、により編成される。システム管理者Mは、組織G1~G3に対して余剰リソースを提供可能に構成される。
【0118】
本実施形態において、リソース管理システム全体の管理者を第1管理者と定義し、それぞれの組織におけるリソースの管理者を第2管理者と定義する。また、組織におけるリソースを利用する者を利用者と定義する。
【0119】
システム管理者端末20は、リソース管理システム1の全体において、複数の組織Gに対するリソースに関する権限を有する第1管理者により操作される端末装置である。システム管理者端末20は、組織間を超えたリソースの付与、変更、削除、貸借などに係る処理を実行できる。システム管理者端末20は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等を用いることができる。システム管理者端末20は、
図2(b)の端末装置9と同様のハードウェア構成を備える。システム管理者端末20は、通信ネットワークNWに接続され、リソース管理装置2、管理者端末3、利用者端末4、リソース提供装置5と通信可能に接続されている。
【0120】
システム管理者端末20および管理者端末3は、リソースの付与、変更、削除、貸借などの管理に関するリソース権限を有する。リソース権限は、複数の組織(G1~G3)に対するリソース管理に関する第1権限と、所属情報により特定される組織G内に対するリソース管理に関する第2権限と、に分類される。システム管理者端末20は、第1権限を有する。管理者端末3は、第2管理者により操作され、第2権限を有する。
【0121】
リソース処理部24は、所属情報により特定される組織G内におけるリソース処理について、第2権限を有する管理者端末3からの指示を許可する。即ち、リソース処理部24は、
図11に示すように、組織G内における拠点B間の不足リソースおよび余剰リソースに対する指示を制御する。
【0122】
ここで、管理者端末3は、組織G内において不足リソースが生じるものの余剰リソースがない場合、不足リソースの理想管理情報を含むリソース要求をリソース管理装置2に対して送信することができる。
【0123】
リソース処理部24は、リソース要求に応じて不足リソースの理想管理情報と、要求元の組織Gの識別情報と、をシステム管理者端末20に要求通知を送信する。リソース処理部24は、要求元の組織Gに対するリソース処理について、第1権限を有するシステム管理者端末20からの指示を許可する。即ち、リソース処理部24は、組織Gからの不足リソースの要求に対して、システム管理者Mからの余剰リソースの供給指示を制御する。リソース処理部24は、供給指示に応じて要求元の組織Gに供給通知を送信する。システム管理者Mは、要求されたリソースのセットアップを行い、セットアップが完了したリソースを組織Gに供給することができる。
【0124】
なお、リソース処理部24は、システム管理者端末20からの指示により、組織G1の余剰リソースを、他の組織G2に供給可能に構成されてもよい。
【0125】
このように、本実施形態にかかる発明によれば、組織内における不足リソースが生じた場合、組織外にリソースの在庫を要求することができる。また、組織におけるリソース管理のアウトソーシングを実現し、紛失破損盗難のリスクを伴う在庫管理を自社でする必要がなくなる。
【0126】
また、本実施形態にかかる発明によれば、組織で規定される権限や利用状況に対して、実際の利用者のアカウントの権限や利用の現状が正しいものかを確認することができる。本発明によれば、例えば、APIの呼び出しに応じることができないアプリケーションについても、実際の権限および利用状況の適否を確認することができ、アプリケーションを個別に管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、ソフトリソースおよび物理リソースを含むリソース管理など情シス部署が担う業務の効率化を支援することに寄与する。本発明は、情シス部署が担う業務であれば上述したものに限定されず、組織内で使用するソフトやデバイスに関連する相談窓口として、コールセンター、チャットボットを設置してもよい。例えば、リソースは、人材などを含み、組織の情シス環境(実態)に応じて情報システム設備を整備するための人材を派遣し、情シス環境を理想状態にするために用いられてもよい。また、理想的な状況を示す理想情報を設定しておき、実態的な状況を示す実態情報を確認し、実態情報が理想情報となるように情報管理を行う方法、装置、プログラムなどであれば、適用の範囲は制限されない。
【符号の説明】
【0128】
1 リソース管理システム
2 リソース管理装置
21 登録受付部
22 取得部
23 検証部
24 リソース処理部
3 管理者端末
4 利用者端末
5 リソース提供装置
20 システム管理者端末
DB 記憶部
【要約】
【課題】
組織におけるリソースの理想状態となるように、利用者におけるリソースの実態状態を管理するリソース管理技術を提供すること。
【解決手段】
利用者の所属情報に基づいて、リソースの権限管理情報を記憶する登録受付工程と、前記利用者の実態情報を取得する取得工程と、前記実態情報を、前記権限管理情報に基づき検証する検証工程と、を実行する。
【選択図】
図1