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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/40 20060101AFI20240307BHJP
   D06F 37/36 20060101ALI20240307BHJP
   D06F 17/08 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
D06F37/40 A
D06F37/36
D06F37/40 D
D06F17/08 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020049745
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021145964
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】新村 光則
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴美
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109863265(CN,A)
【文献】特開2018-033512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 17/08、37/00-37/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽の底部に回転可能に配置された回転翼と、
前記洗濯脱水槽の底壁と前記回転翼との間に回転可能に配置された揚水翼と、
前記洗濯脱水槽の側壁に設けられ、前記揚水翼の回転により供給された水が流れる揚水路と、
前記揚水路を流れた水が前記洗濯脱水槽内へと吐き出される吐出口と、
前記外槽の下方に設けられ、前記洗濯脱水槽、前記回転翼および前記揚水翼を駆動するための駆動部と、を備え、
前記駆動部は、
駆動モータと、
前記モータのモータ軸に設けられ、当該モータ軸とともに回転する第1モータ回転駆動部および第2モータ回転駆動部と、
前記回転翼の回転軸となる回転翼軸と
前記揚水翼の回転軸となり、前記回転翼軸が回転可能に挿入される揚水翼軸と、
前記洗濯脱水槽の回転軸となり、前記回転翼軸および前記揚水翼軸が回転可能に挿入される脱水槽軸と、
前記回転翼軸における前記揚水翼軸から下方に突出した部分に固定され、前記第1モータ回転駆動部の回転が伝達される第1回転従動部と、
前記揚水翼軸における前記脱水槽軸から下方に突出した部分に固定され、前記第2モータ回転駆動部の回転が伝達される第2回転従動部と、
前記駆動モータの回転が、前記第1回転従動部を介して前記回転翼軸に伝達されるとともに前記第2回転従動部を介して前記揚水翼軸に伝達される第1駆動モードと、前記駆動モータの回転が、前記第1回転従動部を介して前記回転翼軸に伝達されずに前記第2回転従動部を介して前記揚水翼軸に伝達される第2駆動モードとの間で切り替えを行う第1切替部と、
前記回転翼軸と前記揚水翼軸と前記脱水槽軸とが一体的に回転可能な第3駆動モードと、前記回転翼軸と前記揚水翼軸とが前記脱水槽軸に対して回転可能な第4駆動モードとの間で切り替えを行う第2切替部と、を含み、
前記第1切替部は、前記モータ軸に配置され、前記第1駆動モードにおいて、前記モータ軸の回転が前記第1モータ回転駆動部に伝達されるよう前記モータ軸に対して前記第1モータ回転駆動部を固定する動作を行い、前記第2駆動モードにおいて、前記モータ軸の回転が前記第1モータ回転駆動部に伝達されないよう前記モータ軸に対する前記第1モータ回転駆動部の固定を解除する動作を行う切替作動体を含み、
前記第2切替部は、前記第2回転従動部側に突出する係合部を有し、前記脱水槽軸に沿って移動でき且つ前記脱水槽軸と共に回転できるクラッチ体を含み、
前記第2回転従動部には、前記係合部が貫通する貫通孔が設けられ、
前記第1回転従動部には、前記貫通孔を貫通した前記係合部が係合する被係合部が設けられ、
前記第3駆動モードでは、前記クラッチ体が前記第2回転従動部に近づく方向に移動して、前記係合部が前記貫通孔を貫通して前記被係合部に係合し、前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸および前記揚水翼軸の回転が規制され、
前記第4駆動モードでは、前記クラッチ体が前記第2回転従動部に近づく方向に移動せず、前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸および前記揚水翼軸の回転の規制が解除され、
デリケートな洗濯物を洗濯するデリケートコースの洗い工程では、前記第1切替部により前記第2駆動モードに切り替えられ、前記第2切替部により前記第4駆動モードに切り替えられ状態で前記駆動モータが回転することにより、前記回転翼が回転せずに前記揚水翼が回転し、
標準的な洗濯物を洗濯する標準コースの洗い工程では、前記第1切替部により前記第1駆動モードに切り替えられ、前記第2切替部により前記第4駆動モードに切り替えられ状態で前記駆動モータが回転することにより、前記回転翼および前記揚水翼が回転し、
脱水工程では、前記第1切替部により前記第2駆動モードに切り替えられ、前記第2切替部により前記第3駆動モードに切り替えられ状態で前記駆動モータが回転することにより、前記駆動モータの回転が前記第2回転従動部を介して前記揚水翼軸に伝達されて前記揚水翼軸、前記回転翼軸および前記脱水槽軸が回転し、前記回転翼、前記揚水翼および前記洗濯脱水槽が一体的に回転する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
記駆動モータは、前記モータ軸が前記回転翼軸および前記揚水翼軸と並行するように前記外槽の下方に配置され
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記第1切替部は、前記モータ軸と並行に配置され、前記切替作動体を動作させるための動力を発生させる動力発生部を含む、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記洗濯脱水槽内の水を排出するための排水経路に配置された排水バルブと、
前記排水バルブを開閉させるための開閉機構と、をさらに備え、
前記第2切替部は、
前記クラッチ体を、前記係合部が前記被係合部に係合して前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸の回転が規制される規制位置と前記係合部が前記被係合部から離れて前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸の回転の規制が解除される解除位置との間で移動させるための移動機構と、
前記移動機構を駆動する駆動装置と、を含み、
前記駆動装置は、前記移動機構と連動するように前記開閉機構を駆動する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯兼脱水槽内の底部に回転自在に設けられた回転翼と、洗濯兼脱水槽内の側壁に設けられた揚水通路と、洗濯兼脱水槽内の底部と回転翼との間に設けられ、揚水通路を通じて洗濯兼脱水槽内の洗濯液を循環させる揚水翼と、揚水翼の回転速度を回転翼の回転速度よりも速める増速手段とを備える洗濯機が、特許文献1に記載されている。
【0003】
上記洗濯機において、増速手段は、洗濯兼脱水槽の底部に固定された太陽歯車と、回転翼に固定され、太陽歯車の周りを回転する遊星歯車と、揚水翼に固定され、遊星歯車の外周とかみ合って回転する外輪歯車とで構成される。回転翼が回転すると、この回転が遊星歯車と外輪歯車により増速されて揚水翼に伝達され、揚水翼が回転翼より高速で回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-28509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の洗濯機では、洗い工程において、回転翼と揚水翼の双方が回転する。よって、デリートな洗濯物が洗われる場合、デリケートな洗濯物が回転する回転翼に擦られることで布傷みが生じやすくなることが懸念される。
【0006】
即ち、上記洗濯機では、洗い工程において、揚水翼を有効に利用して、デリケートな洗濯物を、布傷みが生じにくいように洗うことが難しい。
【0007】
本発明は、このような課題を解消するものであり、揚水翼を有効に利用して、デリケートな洗濯物を、布傷みが生じにくいように洗うことができ得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底部に回転可能に配置された回転翼と、前記洗濯脱水槽の底壁と前記回転翼との間に回転可能に配置された揚水翼と、前記洗濯脱水槽の側壁に設けられ、前記揚水翼の回転により供給された水が流れる揚水路と、前記揚水路を流れた水が前記洗濯脱水槽内へと吐き出される吐出口と、前記外槽の下方に設けられ、前記洗濯脱水槽、前記回転翼および前記揚水翼を駆動するための駆動部と、を備える。ここで、前記駆動部は、駆動モータと、前記モータのモータ軸に設けられ、当該モータ軸とともに回転する第1モータ回転駆動部および第2モータ回転駆動部と、前記回転翼の回転軸となる回転翼軸と前記揚水翼の回転軸となり、前記回転翼軸が回転可能に挿入される揚水翼軸と、前記洗濯脱水槽の回転軸となり、前記回転翼軸および前記揚水翼軸が回転可能に挿入される脱水槽軸と、前記回転翼軸における前記揚水翼軸から下方に突出した部分に固定され、前記第1モータ回転駆動部の回転が伝達される第1回転従動部と、前記揚水翼軸における前記脱水槽軸から下方に突出した部分に固定され、前記第2モータ回転駆動部の回転が伝達される第2回転従動部と、前記駆動モータの回転が、前記第1回転従動部を介して前記回転翼軸に伝達されるとともに前記第2回転従動部を介して前記揚水翼軸に伝達される第1駆動モードと、前記駆動モータの回転が、前記第1回転従動部を介して前記回転翼軸に伝達されずに前記第2回転従動部を介して前記揚水翼軸に伝達される第2駆動モードとの間で切り替えを行う第1切替部と、前記回転翼軸と前記揚水翼軸と前記脱水槽軸とが一体的に回転可能な第3駆動モードと、前記回転翼軸と前記揚水翼軸とが前記脱水槽軸に対して回転可能な第4駆動モードとの間で切り替えを行う第2切替部と、を含む。前記第1切替部は、前記モータ軸に配置され、前記第1駆動モードにおいて、前記モータ軸の回転が前記第1モータ回転駆動部に伝達されるよう前記モータ軸に対して前記第1モータ回転駆動部を固定する動作を行い、前記第2駆動モードにおいて、前記モータ軸の回転が前記第1モータ回転駆動部に伝達されないよう前記モータ軸に対する前記第1モータ回転駆動部の固定を解除する動作を行う切替作動体を含む。前記第2切替部は、前記第2回転従動部側に突出する係合部を有し、前記脱水槽軸に沿って移動でき且つ前記脱水槽軸と共に回転できるクラッチ体を含む。前記第2回転従動部には、前記係合部が貫通する貫通孔が設けられ、前記第1回転従動部には、前記貫通孔を貫通した前記係合部が係合する被係合部が設けられる。前記第3駆動モードでは、前記クラッチ体が前記第2回転従動部に近づく方向に移動して、前記係合部が前記貫通孔を貫通して前記被係合部に係合し、前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸および前記揚水翼軸の回転が規制される。前記第4駆動モードでは、前記クラッチ体が前記第2回転従動部に近づく方向に移動せず、前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸および前記揚水翼軸の回転の規制が解除される。デリケートな洗濯物を洗濯するデリケートコースの洗い工程では、前記第1切替部により前記第2駆動モードに切り替えられ、前記第2切替部により前記第4駆動モードに切り替えられ状態で前記駆動モータが回転することにより、前記回転翼が回転せずに前記揚水翼が回転する。標準的な洗濯物を洗濯する標準コースの洗い工程では、前記第1切替部により前記第1駆動モードに切り替えられ、前記第2切替部により前記第4駆動モードに切り替えられ状態で前記駆動モータが回転することにより、前記回転翼および前記揚水翼が回転する。脱水工程では、前記第1切替部により前記第2駆動モードに切り替えられ、前記第2切替部により前記第3駆動モードに切り替えられ状態で前記駆動モータが回転することにより、前記駆動モータの回転が前記第2回転従動部を介して前記揚水翼軸に伝達されて前記揚水翼軸、前記回転翼軸および前記脱水槽軸が回転し、前記回転翼、前記揚水翼および前記洗濯脱水槽が一体的に回転する。
なお、回転翼軸および揚水翼軸は、一本の軸により構成されてもよいし、二本の軸とこれらの軸の間に設けられた減速機構あるいは増速機構とにより構成されてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、洗い工程において、駆動モータにより回転翼を回転させずに揚水翼のみを回転させ、吐出口から水を放出させつつ洗濯脱水槽と揚水路との間で水を循環させることにより、デリケートな洗濯物を洗うことができる。よって、洗濯によるデリケートな洗濯物の布傷みが抑えられる。
さらに、係合部が貫通孔を貫通して被係合部に係合することにより、脱水槽軸に対する回転翼軸の回転が規制されて第3駆動モードに切り替えられ、係合部が被係合部から離れることにより、脱水槽軸に対する回転翼軸の回転の規制が解除されて第4駆動モード切り替えられる。よって、脱水槽軸と回転翼軸との間に揚水翼軸が存在していても、第2切替部による第3駆動モードと第4駆動モードとの間での切り替えを実現することができる。
【0010】
なお、短時間の回転翼の間欠回転を行うことにより、洗濯物を少しずつ移動させながら、効果的に循環水を洗濯物に当てることも可能である。
【0011】
本態様に係る洗濯機において、前記駆動モータは、そのモータ軸が前記回転翼軸および前記揚水翼軸と並行するように前記外槽の下方に配置される
【0013】
上記の構成によれば、回転翼軸および揚水翼軸と駆動モータとが上下方向に並ばないため、駆動部の上下方向のサイズをコンパクトにでき、洗濯機が高くなることを抑制できる。
【0015】
本態様に係る洗濯機において、前記第1切替部は前記モータ軸と並行に配置され、前記切替作動体を動作させるための動力を発生させる動力発生部を含むような構成とされ得る。
【0016】
このような構成とされれば、モータ軸と動力発生部とが上下方向に並ばないため、駆動部の上下方向のサイズを、一層、コンパクトにできる。
【0020】
上記の構成とされた場合、さらに、前記洗濯脱水槽内の水を排出するための排水経路に配置された排水バルブと、前記排水バルブを開閉させるための開閉機構と、をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記第2切替部は、前記クラッチ体を、前記係合部が前記被係合部に係合して前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸の回転が規制される規制位置と前記係合部が前記被係合部から離れて前記脱水槽軸に対する前記回転翼軸の回転の規制が解除される解除位置との間で移動させるための移動機構と、前記移動機構を駆動する駆動装置と、を含むような構成とされる。そして、前記駆動装置は、前記移動機構と連動するように前記開閉機構を駆動する。
【0021】
このような構成とされれば、移動機構を駆動するための駆動装置を、排水バルブを開閉するための駆動源としても用いることができ、洗濯機のコストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、揚水翼を有効に利用して、デリケートな洗濯物を、布傷みが生じにくいように洗うことが可能となる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、外槽の底部と駆動ユニットが示された全自動洗濯機の要部の縦断面図である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る、第1プーリの平面図であり、図3(b)は、実施の形態に係る、第2プーリの平面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、第1クラッチ機構部の周辺が示された駆動ユニットの縦断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る、第1クラッチ機構部の斜視図である。
図6図6(a)は、実施の形態に係る、第1クラッチ機構部により一翼駆動モードに切り替えられた状態を模式的に示す図であり、図6(b)は、実施の形態に係る、第1クラッチ機構部により二翼駆動モードに切り替えられた状態を模式的に示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る、第2クラッチ機構部の周辺が示された駆動ユニットの縦断面図である。
図8図8は、実施の形態に係る、第2クラッチ機構部の周辺が示された駆動ユニットの底面図である。
図9図9は、実施の形態に係る、第2クラッチ機構部の周辺が示された、第1プーリ、第2プーリおよびクラッチ機構が除かれた状態の駆動ユニットの底面図である。
図10図10(a)は、実施の形態に係る、上下逆さまにされたクラッチ機構910の斜視図である。図10(b)は、実施の形態に係る、クラッチ体の斜視図であり、図10(c)は、実施の形態に係る、上下逆さまにされたクラッチ受け部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機1について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0027】
全自動洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上面が開放された有底の方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12とを含む。筐体10の外底面には、脚13が設けられる。上面板12には、洗濯物を投入するための投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。
【0028】
筐体10内には、上面が開口するほぼ円筒状の外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開放されたほぼ円筒状の洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22の側壁には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。
【0029】
洗濯脱水槽22の底部には、ほぼ円板状の回転翼24が配置される。回転翼24の上面には、中央から放射状に延びる複数の羽根24aが形成される。また、洗濯脱水槽22の底部には、回転翼24と洗濯脱水槽22の底壁との間に、ほぼ円盤状の揚水翼25が配置される。揚水翼25には、洗濯脱水槽22の底壁側である下面に、中央から放射状に延びる複数の羽根25aが形成される。洗濯脱水槽22の底壁には、揚水翼25の形状に対応してほぼ円形に凹む凹部26が形成され、この凹部26に揚水翼25が収容される。また、洗濯脱水槽22の底壁には、凹部26の位置に、複数の通水口22bが形成される。
【0030】
洗濯脱水槽22の側壁には、揚水カバー27が取り付けられることにより、上下方向に延びる揚水路28が、周方向にほぼ均等な間隔を置いて3か所に配置される。各揚水路28の下端部は、凹部26に繋がる。各揚水カバー27の上部には、スリット状の吐出口27aが形成される。
【0031】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22、回転翼24および揚水翼25を駆動するための駆動ユニット30が配置される。駆動ユニット30は、洗い工程およびすすぎ工程において、洗濯運転コースに応じて、回転翼24と揚水翼25とを回転させる場合と、揚水翼25のみを回転させる場合とがある。また、駆動ユニット30は、脱水工程において、洗濯脱水槽22、回転翼24および揚水翼25を一体的に回転させる。駆動ユニット30は、本発明の駆動部に相当する。駆動ユニット30の詳細な構成は、追って説明される。
【0032】
外槽20の外底部には、円筒状の排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が接続される。排水バルブ40には、排水ホース41が接続される。即ち、排水口部20aと排水ホース41により排水経路が構成され、この排水経路に排水バルブ40が配置される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0033】
上面板12の後部には、水道水を洗濯脱水槽22内に供給するための給水ユニット50が配置される。給水ユニット50は、給水バルブ51を有する。給水バルブ51は、水道栓に接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓から水道水が給水ユニット50に導入される。導入された水道水は、給水ユニット50の注水口52から洗濯脱水槽22内へ流出する。
【0034】
次に、駆動ユニット30の構成について詳細に説明する。
【0035】
図2は、外槽20の底部と駆動ユニット30が示された全自動洗濯機1の要部の縦断面図である。なお、図2では、吊棒21の図示が省略されている。
【0036】
図2を参照して、駆動ユニット30は、駆動モータ100と、脱水槽軸200と、揚水翼軸300と、回転翼軸400と、軸受ユニット500と、第1伝達機構部600と、第2伝達機構部700と、第1クラッチ機構部800と、第2クラッチ機構部900とを含む。
【0037】
駆動モータ100は、アウターロータ型のDCブラシレスモータであり、洗濯脱水槽22、回転翼24および揚水翼25を駆動するためのトルクを発生する。駆動モータ100は、ロータ110とステータ120とを含む。ロータ110の中央には、モータ軸130が取り付けられる。モータ軸130は、上下の転がり軸受141、142を介して支持部150に回転可能に支持される。なお、駆動モータ100は、インナーロータ型のDCブラシレスモータなど、他の種類のモータであってもよい。
【0038】
脱水槽軸200、揚水翼軸300および回転翼軸400は、それぞれ、洗濯脱水槽22、揚水翼25および回転翼24の回転軸となる。
【0039】
脱水槽軸200は、上部、中間部および下部の3つの部材を結合することにより形成される。脱水槽軸200は、中空であり、その中央部が外側に膨出し、ブレーキドラム201を構成する。脱水槽軸200の内部には、上端部と下端部にすべり軸受211、212が設けられ、すべり軸受211の上方にオイルシール213が設けられる。
【0040】
揚水翼軸300は、脱水槽軸200に挿入される。揚水翼軸300の上部は、脱水槽軸200から上方に突出し、揚水翼軸300の下部は、脱水槽軸200から下方に突出する。揚水翼軸300は、外周面がすべり軸受211、212により受けられ、脱水槽軸200内において円滑に回転する。また、オイルシール213により、脱水槽軸200と揚水翼軸300との間への水の侵入が防止される。揚水翼軸300は、中空であり、その内部には、上端部と下端部にすべり軸受311、312が設けられ、すべり軸受311の上方にオイルシール313が設けられる。
【0041】
回転翼軸400は、揚水翼軸300に挿入される。回転翼軸400の上部は、揚水翼軸300から上方に突出し、回転翼軸400の下部は、揚水翼軸300から下方に突出する。回転翼軸400は、外周面がすべり軸受311、312により受けられ、揚水翼軸300内において円滑に回転する。また、オイルシール313により、揚水翼軸300と回転翼軸400との間への水の侵入が防止される。
【0042】
軸受ユニット500は、ほぼ長方形の平面形状を有する取付台510と、取付台510の中央部に下方から取り付けられる軸受ケース520とを含む。取付台510の上面には、中央部に円形の軸受凹部511が形成される。軸受凹部511内には、転がり軸受531が配置される。また、軸受凹部511の入口には、オイルシール540が設けられる。
【0043】
軸受ケース520は、その底部521の径が絞られた有底の円筒状を有する。軸受ケース520の底部521には、転がり軸受532が配置される。軸受ケース520の上端にはフランジ部522が形成され、このフランジ部522が取付台510にねじ止めされる(図8参照)。また、軸受ケース520の上端には、後述するレバー軸を支持する支持部523が形成される。
【0044】
揚水翼軸300および回転翼軸400が回転可能に挿入された脱水槽軸200は、その上部が転がり軸受531を介して取付台510の軸受凹部511に回転可能に支持され、その下部が転がり軸受532を介して軸受ケース520の底部521に回転可能に支持される。脱水槽軸200のブレーキドラム201が、軸受ケース520内に収容される。
【0045】
取付台510は、外槽20の底壁に取り付けられる。脱水槽軸200が外槽20の内部に臨む。外槽20内において、洗濯脱水槽22に脱水槽軸200が固定される。また、揚水翼軸300と回転翼軸400が洗濯脱水槽22の内部に臨む。洗濯脱水槽22の内部において、揚水翼25に揚水翼軸300が固定され、回転翼24に回転翼軸400が固定される。
【0046】
取付台510には、軸受ケース520の側方に、モータ軸130が下向きとなるように駆動モータ100が取り付けられる。これにより、外槽20の下方において、モータ軸130が回転翼軸400および揚水翼軸300と並行する状態となる。この他、取付台510には、軸受ケース520に対して駆動モータ100と反対側に排水バルブ40が取り付けられる。
【0047】
図3(a)は、第1プーリ610の平面図であり、図3(b)は、第2プーリ710の平面図である。
【0048】
図2および図3(a)を参照して、第1伝達機構部600は、第1プーリ610と、第1モータプーリ620と、第1プーリ610と第1モータプーリ620とを連結する第1ベルト630とを含む。第1プーリ610が、本発明の第1回転従動部に相当し、第1モータプーリ620が、本発明の第1モータ回転駆動部に相当する。
【0049】
第1プーリ610は、外槽20の下方において、揚水翼軸300から露出した回転翼軸400の下部に固定される。第1プーリ610は、円盤状のプーリ部611と、プーリ部611の上側中央に取り付けられたクラッチボス部612とを含む。クラッチボス部612の上端面には、周方向に所定の間隔を有して、複数の係合凹部613が形成される。係合凹部613は、本発明の被係合部に相当する。
【0050】
第1モータプーリ620は、下端にフランジを有するプーリ部621と、プーリ部621の上側に一体形成されたボス部622とを含む。
【0051】
第1モータプーリ620は、駆動モータ100のモータ軸130により回転可能に支持される。即ち、第1モータプーリ620は、ボス部622が2つの転がり軸受640を介してモータ軸130の先端部に取り付けられる。第1モータプーリ620は、転がり軸受640により、モータ軸130に対して円滑に回転する。
【0052】
第1プーリ610のプーリ部611の外径は、第1モータプーリ620のプーリ部621の外径よりも大きくされている。第1プーリ610のプーリ部611と第1モータプーリ620のプーリ部621との間に、第1ベルト630が掛け渡される。
【0053】
第1クラッチ機構部800の切替動作によって第1モータプーリ620がモータ軸130に固定された状態にあるとき、第1伝達機構部600によって、駆動モータ100の回転が回転翼軸400に伝達される。この際、駆動モータ100の回転は、プーリ部611とプーリ部621との外径比で決まる減速比に従って減速される。
【0054】
図2および図3(b)を参照して、第2伝達機構部700は、第2プーリ710と、第2モータプーリ720と、第2プーリ710と第2モータプーリ720とを連結する第2ベルト730とを含む。第2プーリ710が、本発明の第2回転従動部に相当し、第2モータプーリ720が、本発明の第2モータ回転駆動部に相当する。
【0055】
第2プーリ710は、円盤状を有し、外槽20の下方において、脱水槽軸200から露出した揚水翼軸300の下部に固定される。第2プーリ710は、第1プーリ610と並ぶようにして第1プーリ610の上方に位置する。第2プーリ710の外周部には、第2ベルト730が掛けられる溝部711が形成される。また、第2プーリ710には、周方向に所定の間隔を有して、複数の貫通孔712が形成される。貫通孔712は、係合凹部613とほぼ同じ形状およびほぼ同じ大きさを有する。
【0056】
第2モータプーリ720は、下面が開放された皿状を有し、モータ軸130の第1モータプーリ620よりも上方に固定される。第2モータプーリ720の外周部には、第2ベルト730が掛けられる溝部721が形成される。
【0057】
第2プーリ710の外径は、第2モータプーリ720の外径と等しくされている。第2プーリ710と第2モータプーリ720との間に、第2ベルト730が掛け渡される。
【0058】
第2伝達機構部700によって、駆動モータ100の回転が、同じ速度で揚水翼軸300に伝達される。
【0059】
第1クラッチ機構部800は、モータ軸130の回転が第1伝達機構部600を介して回転翼軸400に伝達されることを可能または不可能にすることにより、駆動モータ100の回転が回転翼24と揚水翼25の双方に伝達される二翼駆動モードと、駆動モータ100の回転が回転翼24に伝達されずに揚水翼25に伝達される一翼駆動モードとの間で切り替えを行う。第1クラッチ機構部800は、本発明の第1切替部に相当する。二翼駆動モードは、本発明の第1駆動モードに相当し、一翼駆動モードは、本発明の第2駆動モードに相当する。
【0060】
図4は、第1クラッチ機構部800の周辺が示された駆動ユニット30の縦断面図である。図5は、第1クラッチ機構部800の斜視図である。
【0061】
図4および図5を参照して、第1クラッチ機構部800は、クラッチ体810と、スプリング820と、クラッチレバー830と、レバー支持部840と、レバー駆動装置850と、取付板860とを含む。
【0062】
クラッチ体810は、第1モータプーリ620と第2モータプーリ720との間に位置するよう、モータ軸130に配置される。クラッチ体810は、クラッチ部811と、包囲部812と、転がり軸受813とを含む。クラッチ部811は、ほぼ円筒形状を有し、下側部811aの外径が上側部811bの外径よりも大きくなるように構成されている。下側部811aには、第1モータプーリ620のボス部622の外径とほぼ等しい内径を有する係合凹部814が形成される。係合凹部814の内周面には、全周に亘って第1スプライン815が形成される。第1スプライン815に対応して、第1モータプーリ620のボス部622の外周面には、全周に亘ってスプライン623が形成される。なお、クラッチ体810は、本発明の切替作動体に相当する。
【0063】
上側部811bの内周面には、全周に亘って第2スプライン816が形成される。第2スプライン816に対応して、モータ軸130における第1モータプーリ620と第2モータプーリ720との間に位置には、外周面に、全周に亘ってスプライン131が形成される。スプライン131の上下の寸法は、第2スプライン816の上下の寸法より大きくされる。
【0064】
クラッチ部811の第2スプライン816とモータ軸130のスプライン131とが係合し、かかる係合によって、クラッチ部811は、モータ軸130に対してモータ軸130の軸線方向への移動でき且つモータ軸130と共に回転できる状態となる。
【0065】
包囲部812は、円環状に形成され、クラッチ部811が回転可能となるように、転がり軸受813を介してクラッチ部811を包囲する。転がり軸受813により、クラッチ部811は、包囲部812に対して円滑に回転する。包囲部812には、外周面に互いに背向する一対の軸部817が、脱水槽軸200とモータ軸130とが並ぶ方向(以下、軸並び方向という)に沿うように形成される。
【0066】
クラッチ体810は、クラッチ部811の第1スプライン815が第1モータプーリ620のボス部622のスプライン623と係合する係合位置へ移動することにより、モータ軸130の回転が第1モータプーリ620に伝達されるようモータ軸130に対して第1モータプーリ620を固定する動作を行う。また、クラッチ体810は、第1スプライン815とスプライン623との係合が解除される解除位置へ移動することにより、モータ軸130の回転が第1モータプーリ620に伝達されないようモータ軸130に対する第1モータプーリ620の固定を解除する動作を行う。クラッチ体810が解除位置にあるとき、クラッチ体810のほぼ全体が第2モータプーリ720の内部に収容される。
【0067】
スプリング820は、クラッチ体810と第2モータプーリ720との間に配置され、クラッチ体810を第1モータプーリ620側、即ち係合位置側へ付勢する。
【0068】
クラッチレバー830、レバー支持部840、レバー駆動装置850および取付板860は、クラッチ体810に対して、軸並び方向と直交する方向に配置される。
【0069】
クラッチレバー830は、レバー本体831と、一対のアーム832と、操作片833とを含む。レバー本体831は、軸並び方向に長い方形状を有する。一対のアーム832は、レバー本体831からクラッチ体810へと延び、先端部に設けられた受け部832aが、包囲部812の軸部817を下方から受ける。操作片833は、レバー本体831のアーム832とは反対側に設けられ、レバー駆動装置850側へ突出する。
【0070】
レバー支持部840は、取付板860から延びる一対の支持片841と、一対の支持片841の先端部に固定され、レバー本体831を貫通する支軸842とを含み、クラッチレバー830を、支軸842を中心に回転可能となるように支持する。
【0071】
レバー駆動装置850は、トルクモータ851と、カム852とを含む。トルクモータ851は、クラッチ体810を動作させるための動力であるトルクを発生させる。カム852は、円盤状を有し、トルクモータ851のトルクによって水平軸周りに回転する。カム852の正面には、内側と外側の2重のリブにより、円形のカム溝853が形成される。カム溝853の中心は、カム852の回転中心とずらされている。カム溝853の内部にクラッチレバー830の操作片833が収容される。なお、トルクモータ851は、本発明の動力発生部に相当する。
【0072】
レバー駆動装置850は、取付板860に固定される。取付板860は、軸受ユニット500の取付台510に固定される。これにより、レバー駆動装置850、即ちトルクモータ851は、外槽20の下方において、モータ軸130と並行に配置される。
【0073】
図6(a)は、第1クラッチ機構部800により一翼駆動モードに切り替えられた状態を模式的に示す図であり、図6(b)は、第1クラッチ機構部800により二翼駆動モードに切り替えられた状態を模式的に示す図である。
【0074】
トルクモータ851の動作によりカム852が回転すると、図6(a)および(b)に示すように、カム溝853に案内されてクラッチレバー830の操作片833が下方向または上方向に回動し、クラッチレバー830のアーム832が、操作片833と逆方向、即ち上方向または下方向に回動する。
【0075】
一翼駆動モードでは、図6(a)に示すように、カム溝853が最下位置となり、操作片833が押し下げられて、アーム832の先端部、即ち受け部832aが押し上げられる。これにより、クラッチ体810がスプリング820の付勢力に抗して解除位置まで押し上げられ、クラッチ体810の第1スプライン815と第1モータプーリ620のスプライン623とが離れた状態となり、モータ軸130に対して、第1モータプーリ620が固定されない状態となる。モータ軸130の回転は、第2モータプーリ720には伝達され、揚水翼軸300、即ち揚水翼25に伝達されるが、第1モータプーリ620には伝達されず、回転翼軸400、即ち回転翼24に伝達されない。
【0076】
一方、二翼駆動モードでは、図6(b)に示すように、カム溝853が最上位置となり、操作片833が押し上げられて、アーム832の受け部832aが押し下げられる。これにより、クラッチ体810がスプリング820の付勢力により係合位置まで押し下げられ、第1スプライン815とスプライン623とが係合する状態となり、モータ軸130に対して、第1モータプーリ620が固定される状態となる。モータ軸130の回転は、第2モータプーリ720と第1モータプーリ620の双方に伝達され、揚水翼軸300、即ち揚水翼25と回転翼軸400、即ち回転翼24の双方に伝達される。
【0077】
図7は、第2クラッチ機構部900の周辺が示された駆動ユニット30の縦断面図である。図8は、第2クラッチ機構部900の周辺が示された駆動ユニット30の底面図である。図9は、第2クラッチ機構部900の周辺が示された、第1プーリ610、第2プーリ710およびクラッチ機構910が除かれた状態の駆動ユニット30の底面図である。図10(a)は、上下逆さまにされたクラッチ機構910の斜視図である。図10(b)は、クラッチ体950の斜視図であり、図10(c)は、上下逆さまにされたクラッチ受け部970の斜視図である。
【0078】
なお、図8では、便宜上、第2プーリ710より上の位置で脱水槽軸200、揚水翼軸300、回転翼軸400およびクラッチ体950が切断された状態が示されており、図9では、便宜上、軸受ケース520は、その胴部のみが断面にて示されている。
【0079】
図7ないし図10(c)を参照して、第2クラッチ機構部900は、クラッチ機構910と、クラッチ機構910を駆動するための駆動装置920とを含む。これらクラッチ機構910と駆動装置920とにより、脱水槽軸200に対する回転翼軸400と揚水翼軸300の回転を規制することにより回転翼24および揚水翼25と洗濯脱水槽22とが一体的に回転可能な一体駆動モードと、脱水槽軸200に対する回転翼軸400と揚水翼軸300の回転の規制を解除することにより回転翼24と揚水翼25が洗濯脱水槽22に対して回転可能な別個駆動モードとの間で切り替えが行われる。クラッチ機構910と駆動装置920により、本発明の第2切替部が構成される。一体駆動モードは、本発明の第3駆動モードに相当し、別個駆動モードは、本発明の第4駆動モードに相当する。
【0080】
なお、本実施の形態では、揚水翼25に揚水翼軸300の上端部を固定し、揚水翼25より上に位置する回転翼24に回転翼軸400の上端部を固定する構成上、揚水翼軸300の内側に回転翼軸400が位置する。よって、脱水槽軸200と回転翼軸400との間に揚水翼軸300が存在するため、脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転のみが規制される構成を実現することが難しい。よって、クラッチ機構910では、一体駆動モードで脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転が規制されるときに、揚水翼軸300の回転も規制されるようになされている。
【0081】
さらに、第2クラッチ機構部900には、脱水槽軸200を制動するためのブレーキ機構930と、排水バルブ40を開閉させるための開閉機構940とが含まれる。これらブレーキ機構930と開閉機構940の駆動のために駆動装置920が供用される。
【0082】
クラッチ機構910は、クラッチ体950と、移動機構960と、クラッチ受け部970とを含む。
【0083】
クラッチ受け部970は、円筒状を有し、軸受ケース520の底部521に固定される。クラッチ受け部970の下面には、環状の凹凸部971が形成される。
【0084】
クラッチ体950は、脱水槽軸200における、クラッチ受け部970と第2プーリ710との間に配置される。クラッチ体950は、上端部の外径が他の部分の外径よりも大きな円筒状に形成され、内側にボス部951を有する。クラッチ体950の下端部には、周方向に所定の間隔を有して、下方向、即ち第2プーリ710側に突出する複数の係合突部952が形成される。係合突部952は、係合凹部613および貫通孔712とほぼ同じ断面形状を有する。また、クラッチ体950の上端部には、内周面に、全周に亘ってクラッチ受け部970の凹凸部971に噛み合う環状の凹凸部953が形成される。さらに、ボス部951の内周面には、全周に亘ってスプライン954が形成される。なお、係合突部952は、本発明の係合部に相当する。
【0085】
脱水槽軸200における軸受ケース520と第2プーリ710との間に位置には、外周面に、全周に亘ってスプライン214が形成される。スプライン214の上下の寸法は、ボス部951のスプライン954の上下の寸法より大きくされる。
【0086】
ボス部951のスプライン954と脱水槽軸200のスプライン214とが係合し、かかる係合によって、クラッチ体950は、脱水槽軸200に対して脱水槽軸200の軸線方向への移動でき且つ脱水槽軸200と共に回転できる状態となる。
【0087】
移動機構960は、クラッチ体950を、係合突部952が係合凹部613に係合して脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転が規制される規制位置と、係合突部952が係合凹部613から離れて脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転の規制が解除される解除位置との間で移動させる。クラッチ体950が解除位置に移動したとき、クラッチ体950の凹凸部953とクラッチ受け部970の凹凸部971とが噛み合い、脱水槽軸200が、クラッチ受け部970を介して軸受ケース520に固定され、回転できなくなる。
【0088】
移動機構960は、第1スプリング961と、第1レバー962と、レバー支持部963と、中継ワイヤー964と、第2レバー965と、レバー軸966と、第2スプリング967と、連結体968とを含む。
【0089】
第1スプリング961は、クラッチ体950と軸受ケース520の転がり軸受532との間に配置され、クラッチ体950を第2プーリ710側、即ち規制位置側へ付勢する。
【0090】
第1レバー962は、クラッチ体950の上端部より下の部分の外周面に沿う、ほぼ半円弧状のヘッド部981と、ヘッド部981から上方へ延びるレバー部982とを含む。ヘッド部981の両側の先端部には、クラッチ体950の上端部に下方から接触し、上端部を上方へ押す押圧部983が形成される。
【0091】
レバー支持部963は、クラッチ受け部970と一体形成された一対の支持片963aと、一対の支持片963aの先端部に固定され、レバー部982の下端部を貫通する支軸963bとを含み、第1レバー962を、支軸963bを中心に回転可能となるように支持する。
【0092】
中継ワイヤー964は、第1レバー962と第2レバー965とを連結する。中継ワイヤー964には、中間位置にスプリング964aが一体形成される。中継ワイヤー964の一端が、第1レバー962のレバー部982の上端部に取り付けられる。
【0093】
レバー軸966は、軸受ケース520の支持部523に支持されて下方に延びる。レバー軸966の下部に、回動可能に第2レバー965が取り付けられる。第2レバー965には、脱水槽軸200から離れる方向へ延びるアーム部965aが形成される。アーム部965aの中間位置には取付ピン965bが形成され、取付ピン965bに中継ワイヤー964の他端が取り付けられる。なお、レバー軸966は、ブレーキ機構930にも用いられる。
【0094】
第2スプリング967は、ねじりスプリングであり、レバー軸966に取り付けられ、第1レバー962のレバー部982が引っ張られる方向に第2レバー965が回動ように、第2レバー965を付勢する。
【0095】
連結体968は、駆動装置920と排水バルブ40の間に配置され、第1連結部968aと、第2連結部968bとを有する。第1連結部968aに、第2レバー965のアーム部965aが連結される。また、連結体968には、駆動装置920側の端部に第1取付部968cが設けられ、排水バルブ40側の端部に第2取付部968dが設けられる。
【0096】
ブレーキ機構930は、ブレーキバンド931と、ブレーキレバー932と、スプリング933とを含む。ブレーキバンド931には、裏面にブレーキシュー934が張り付けられている。ブレーキバンド931は、軸受ケース520内において脱水槽軸200のブレーキドラム201に巻き付けられる。軸受ケース520には、支持部523側に2つの孔524が形成される。ブレーキバンド931の一端は、一方の孔524から軸受ケース520の外に出され、軸受ケース520にネジ935で固定される。また、ブレーキバンド931の他端は、他方の孔524から軸受ケース520の外に出され、ブレーキレバー932にピン936で固定される。
【0097】
ブレーキレバー932は、レバー軸966の上部に回動可能に取り付けられる。ブレーキレバー932には、脱水槽軸200から離れる方向へ延びるアーム部932aが形成される。アーム部932aは、連結体968の第2連結部968bに連結される。
【0098】
スプリング933は、ねじりスプリングであり、レバー軸966に取り付けられ、ブレーキバンド931が引っ張られる方向にブレーキレバー932が回動ように、ブレーキレバー932を付勢する。この状態では、ブレーキバンド931のブレーキシュー934がブレーキドラム201に接触するため、ブレーキドラム201の回転が制止される。
【0099】
開閉機構940は、作動体941と、連結棒942とを含む。作動体941は、排水バルブ40の弁室42内に挿入されて、弁室42内に移動可能に配置された弁体43に接続される。連結棒942は、一端が作動体941に接続され、他端が連結体968の第2取付部968dに取り付けられる。作動体941および連結棒942が、排水バルブ40に近づく方向または離れる方向に移動することにより、弁体43が排水口部20aにつながる排水口44を閉塞または開放する。
【0100】
駆動装置920は、トルクモータ921と、カム922と、連結ワイヤー923とを含む。トルクモータ921は、クラッチ機構910の移動機構960、ブレーキ機構930および開閉機構940を動作させるための動力であるトルクを発生させる。カム922は、円盤状を有し、トルクモータ921のトルクによって水平軸周りに回転する。カム922の正面には、外周縁部に取付部924が設けられる。連結ワイヤー923は、一端が取付部924に取り付けられ、他端が連結体968の第1取付部968cに取り付けられる。
【0101】
別個駆動モードでは、図7および図8に示すように、第2レバー965により中継ワイヤー964を介して第1レバー962のレバー部982が引かれ、第1レバー962のヘッド部981が押し上げられた状態となる。ヘッド部981の押圧部983がクラッチ体950に接触してクラッチ体950を押し上げ、クラッチ体950の凹凸部953とクラッチ受け部970の凹凸部971とが噛み合う。これにより、脱水槽軸200が軸受ケース520に固定されて回転できず、回転翼軸400と揚水翼軸300が脱水槽軸200と別個に回転できる状態となる。即ち、回転翼24と揚水翼25が洗濯脱水槽22と別個に回転できる状態となる。
【0102】
別個駆動モードでは、ブレーキバンド931のブレーキシュー934がブレーキドラム201に接触しており、脱水槽軸200、即ち洗濯脱水槽22は、ブレーキ機構930によっても制止されている。また、排水バルブ40は、開閉機構940により弁体43が閉塞された状態となっている。
【0103】
なお、図8および図10(a)では、中継ワイヤー964のスプリング964aが自然長の状態に描かれているが、実際には、別個駆動モードにおいて、スプリング964aは少し伸びた状態となる。これにより、クラッチ体950には、押圧部983から押圧力が加えられるので、凹凸部953、971同士をしっかりと係合させることができる。
【0104】
別個駆動モードから一体駆動モードに切り替えられる際には、トルクモータ921の動作によりカム922が回転し、連結体968が連結ワイヤー923に引かれて駆動装置920側に移動する。これにより、第2レバー965が、第2スプリング967の付勢力に抗して駆動装置920側に回動し、中継ワイヤー964に押されて第1レバー962が回動し、そのヘッド部981が押し下げられる。図7の破線に示すように、クラッチ体950が第1スプリング961の付勢力により押し下げられ、凹凸部953、971同士の噛み合が解除されるとともに、クラッチ体950の係合突部952が第2プーリ710の貫通孔712を貫通して第1プーリ610の係合凹部613に係合する。これにより、脱水槽軸200に対して回転翼軸400および揚水翼軸300が固定され、脱水槽軸200と回転翼軸400と揚水翼軸300とが一体に回転できる状態となる。即ち、洗濯脱水槽22と回転翼24と揚水翼25とが一体に回転できる状態となる。
【0105】
一体駆動モードでは、連結体968が駆動装置920側に移動すると、ブレーキレバー932が、スプリング933の付勢力に抗して駆動装置920側に回動し、ブレーキバンド931が緩んでブレーキシュー934がブレーキドラム201から離れる。これにより、脱水槽軸200、即ち洗濯脱水槽22は、ブレーキ機構930によって制止されない状態となる。また、開閉機構940では、作動体941と連結棒942が排水バルブ40から離れる方向に移動する。これにより、排水バルブ40の弁体43が開放される。
【0106】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転コースには、標準的な洗濯物を洗濯する標準コースの他、デリケートな洗濯物を洗濯するデリケートコースが含まれる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0107】
洗い工程では、第2クラッチ機構部900により、駆動モードが別個駆動モードに切り替えられている。これにより、洗濯脱水槽22が回転しないよう固定された状態となり、回転翼24と揚水翼25とが洗濯脱水槽22に対して回転できる状態となっている。なお、別個駆動モードへの切り替えは、前回の洗濯運転での最終すすぎ工程が終了した際に行われる。このとき、ブレーキ機構930により、駆動モータ100が停止されて惰性回転している洗濯脱水槽22が制動される。
【0108】
さらに、洗い工程において、洗濯コースが標準コースの場合は、第1クラッチ機構部800により、駆動モードが二翼駆動モードに切り替えられる。これにより、駆動モータ100の回転が回転翼24と揚水翼25の双方に伝達される状態となる。
【0109】
洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、駆動モータ100が、停止を挟んで右方向と左方向とに回転する。これにより、回転翼24および揚水翼25が停止を挟んで右方向と左方向に回転する。このとき、揚水翼25は回転翼24よりも高速で回転する。
【0110】
回転翼24の回転により洗濯脱水槽22内に渦水流が発生する。洗濯脱水槽22内の洗濯物は、渦水流の作用により、攪拌されたり互いに擦れ合ったりして洗われる。また、洗濯物は、回転翼24の羽根24aで擦られることによっても洗われる。
【0111】
揚水翼25が回転すると、洗濯脱水槽22と外槽20との間の水が通水口22bを通じて凹部26内に吸い込まれる。吸い込まれた水は揚水翼25により押し出されて各揚水路28へ送られ、各揚水路28内を流れて各吐出口27aから洗濯脱水槽22内に放出される。洗濯脱水槽22内の水面側の洗濯物が、落下する水で叩かれて洗われる。なお、洗い工程では、洗剤による洗浄性能も発揮される。
【0112】
このようにして、標準的な洗濯物が、回転翼24の回転による渦水流等の作用と揚水翼25の回転による水の循環放水により良好に洗われる。
【0113】
一方、洗い工程において、洗濯コースがデリケートコースの場合は、第1クラッチ機構部800により、駆動モードが一翼駆動モードに切り替えられる。これにより、駆動モータ100の回転が回転翼24には伝達されず揚水翼25に伝達される状態となる。
【0114】
洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、駆動モータ100が回転する。これにより、回転翼24が停止した状態で揚水翼25が回転する。このとき、駆動モータ100および揚水翼25は、右方向および左方向のうち何れか一方向に連続的に回転してもよいし、間欠的に回転してもよい。駆動モータ100および揚水翼25が間欠的に回転する場合は、停止を挟んで右方向と左方向とに回転してもよい。
【0115】
洗濯脱水槽22内の洗濯物が、揚水路28の吐出口27aから放出された洗剤を含む水で叩かれることにより洗われる。また、洗濯脱水槽22内で水面側から底部側へ向かう水流が発生し、洗濯物の中を水が通り抜けることにより、洗濯物が洗われる。このとき、回転翼24は駆動モータ100により回転駆動されないので、渦水流が発生せず、洗濯物同士の擦れが生じにくい。また、洗濯物が回転翼24の羽根24aで擦られることも生じにくい。
【0116】
なお、短時間の回転翼24の間欠回転を行うことにより洗濯物を少しずつ移動させながら、効果的に循環水を洗濯物に当てることも可能である。
【0117】
このようにして、デリケートな洗濯物が、揚水翼25の回転による水の循環放水により、布傷みが抑えられるように良好に洗われる。
【0118】
すすぎ工程においても、洗い工程と同様、洗濯コースが標準コースの場合には、回転翼24と揚水翼25とが回転し、標準的な洗濯物が、回転翼24の回転による渦水流等の作用と揚水翼25の回転による水の循環放水により良好にすすがれる。また、洗濯コースがデリケートコースの場合には、揚水翼25のみが回転し、デリケートな洗濯物が、揚水翼25の回転による水の循環放水により、布傷みが抑えられるように良好にすすがれる。
【0119】
なお、すすぎ工程では、中間脱水工程の終了直後に別個駆動モードへの切り替えが行われ、ブレーキ機構930により、駆動モータ100が停止されて惰性回転している洗濯脱水槽22が制動される。
【0120】
中間脱水工程および最終脱水工程では、第2クラッチ機構部900により、駆動モードが一体駆動モードに切り替えられる。これにより、脱水槽軸200と揚水翼軸300と回転翼軸400の三者が結合されて、洗濯脱水槽22、回転翼24および揚水翼25が一体的に回転できる状態となる。また、第1クラッチ機構部800により、駆動モードが一翼駆動モードに切り替えられる。これにより、駆動モータ100の回転が、第1伝達機構部600を介して回転翼軸400には伝達されず、第2伝達機構部700を介して揚水翼軸300に伝達される状態となる。
【0121】
一体駆動モードに切り替えられたとき、開閉機構940により排水バルブ40が開放される。これにより、洗濯脱水槽22内および外槽20内から排水される。
【0122】
排水が終了した後、駆動モータ100が高速で一方向に回転する。第2伝達機構部700での速度の増減はないため、揚水翼軸300と、揚水翼軸300と一体化された脱水槽軸200および回転翼軸400とが、駆動モータ100と同じ速度で回転する。これにより、洗濯脱水槽22、回転翼24および揚水翼25が、駆動モータ100と同じ速度で一体的に高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0123】
デリケートコースでは、洗濯物が傷みにくいよう、標準コースに比べて、脱水時の駆動モータ100の回転数が低くされたり、脱水時間が短くされたりされ得る。
【0124】
なお、洗濯コースとして、標準的な洗濯物を、布がらみを抑えながら洗濯する布がらみ低減コースが設けられてもよい。この布がらみ低減コースでは、洗い工程およびすすぎ工程において、一定時間ごとに、第1クラッチ機構部800により、二翼駆動モードと一翼駆動モードとの間で切り替えが行われる。これにより、回転翼24と揚水翼25の双方が回転する期間と揚水翼25のみが回転する期間とが生じる。
【0125】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、デリケートな洗濯物を洗う場合に、第1クラッチ機構部800により一翼駆動モードに切り替えられ、第2クラッチ機構部900により別個駆動モードに切り替えられた状態で洗い工程が行われる。これにより、洗い工程において、駆動モータ100により回転翼24を回転させずに揚水翼25のみを回転させ、吐出口27aから水を放出させつつ洗濯脱水槽22と揚水路28との間で水を循環させることにより、デリケートな洗濯物を洗うことができる。よって、洗濯によるデリケートな洗濯物の布傷みが抑えられる。
【0126】
なお、短時間の回転翼24の間欠回転を行うことにより洗濯物を少しずつ移動させながら、効果的に循環水を洗濯物に当てることも可能である。
【0127】
また、本実施の形態によれば、駆動モータ100が、そのモータ軸130が回転翼軸400および揚水翼軸300と並行するように外槽20の下方に配置され、回転翼軸400および揚水翼軸300に、それぞれ第1プーリ610および第2プーリ710が設けられ、モータ軸130に、第1プーリ610に第1ベルト630を介して連結される第1モータプーリ620と第2プーリ710に第2ベルト730を介して連結される第2モータプーリ720とが設けられるような構成が採られている。これにより、回転翼軸400および揚水翼軸300と駆動モータ100とが上下方向に並ばないため、駆動ユニット30の上下方向のサイズをコンパクトにでき、全自動洗濯機1が高くなることを抑制できる。
【0128】
さらに、本実施の形態によれば、第1クラッチ機構部800は、クラッチ体810を動作させるための動力を発生させるトルクモータ851が駆動モータ100のモータ軸130と並行に配置されるよう構成されている。これにより、モータ軸130とトルクモータ851とが上下方向に並ばないため、駆動ユニット30の上下方向のサイズを、一層、コンパクトにできる。
【0129】
さらに、本実施の形態では、揚水翼25に揚水翼軸300の上端部が固定され、揚水翼25より上に位置する回転翼24に回転翼軸400の上端部が固定される構成上、揚水翼軸300に回転翼軸400が挿入されるため、脱水槽軸200と回転翼軸400との間に揚水翼軸300が存在する。このような構成に対して、駆動ユニット30は、クラッチ機構910が、第2プーリ710側に突出する係合突部952を有し、脱水槽軸200に沿って移動でき且つ脱水槽軸200と共に回転できるクラッチ体950を含み、第2プーリ710には、クラッチ体950が第2プーリ710に近づく方向に移動したときに係合突部952が貫通する貫通孔712が設けられ、第1プーリ610には、貫通孔712を貫通した係合突部952が係合する係合凹部613が設けられるような構成とされている。
【0130】
このような構成によれば、係合突部952が貫通孔712を貫通して係合凹部613に係合することにより、脱水槽軸200と回転翼軸400とを一体的に回転できる一体駆動モードに切り替えられ、係合突部952が係合凹部613から離れることにより、脱水槽軸200に対して回転翼軸400を回転できる別個駆動モード切り替えられる。よって、脱水槽軸200と回転翼軸400との間に揚水翼軸300が存在していても、クラッチ機構910による一体駆動モードと別個駆動モードとの間での切り替えを実現することができる。
【0131】
さらに、本実施の形態によれば、駆動装置920が、移動機構960と連動するように開閉機構940を駆動するような構成とされている。これにより、クラッチ機構910を駆動するための駆動装置920を、排水バルブ40を開閉するための駆動源としても用いることができ、全自動洗濯機1のコストの低減を図ることができる。
【0132】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0133】
たとえば、上記実施の形態では、揚水翼軸300は、減速機構または増速機構を含まず一本の軸により構成された。しかしながら、揚水翼軸300は、第2プーリ710に固定される入力軸と、揚水翼25に固定される出力軸と、これらの軸の間に設けられた減速機構または増速機構とを含むような構成とされてもよい。
【0134】
また、上記実施の形態では、揚水翼軸300に回転翼軸400が挿入される構成が採られた。しかしながら、上記の構成と反対に、回転翼軸400に揚水翼軸300が挿入される構成が採られてもよい。この場合、揚水翼25が妨げとなるため、直接、回転翼軸400を回転翼24に固定できない。よって、この場合、回転翼軸400と回転翼24は、揚水翼25を内包する連結部により連結されるとよい。連結部には、揚水翼25が回転したときに連結部内に対して水が流入および流出する流入口および流出口が設けられる。また、第2伝達機構部700が第1伝達機構部600の上方に配置される。なお、このように回転翼軸400に揚水翼軸300が挿入される構成が採られた場合、回転翼軸400は、一本の軸ではなく、第1プーリ610に固定される入力軸と、回転翼24に固定される出力軸と、これらの軸の間に設けられた減速機構または増速機構とを含むような構成とされてもよい。
【0135】
さらに、上記実施の形態では、第1クラッチ機構部800が、モータ軸130側に設けられた。しかしながら、第1クラッチ機構部800が、回転翼軸400側に設けられてもよい。この場合、第1プーリ610が回転翼軸400に対して回転可能とされ、クラッチ体810が回転翼軸400に配置される。この構成では、一翼駆動モードに切り替えられると、第1プーリ610が空転して回転翼軸400が回転せず、二翼駆動モードに切り替えられると、第1プーリ610とともに回転翼軸400が回転する。
【0136】
さらに、上記実施の形態では、第2モータプーリ720がモータ軸130に固定されており、モータ軸130の回転が常に第2モータプーリ720に伝達される。しかしながら、モータ軸130と第2モータプーリ720との間に、第1クラッチ機構部800と同様な構成の第3クラッチ機構部が設けられてもよい。あるいは、第3クラッチ機構部が、第2プーリ710と揚水翼軸300との間に設けられてもよい。この場合、第3クラッチ機構部により、モータ軸130の回転が揚水翼軸300に伝達される状態と伝達されない状態とに切り替えられる。このように第3クラッチ機構部が設けられた場合、第1クラッチ機構部800によりモータ軸130の回転が回転翼軸400に伝達されるよう切り替えが行われ、第3クラッチ機構部によりモータ軸130の回転が揚水翼軸300に伝達されないよう切り替えが行われることにより、揚水翼軸300、即ち揚水翼25が回転せず、回転翼軸400、即ち回転翼24が回転する駆動モードを実現できる。この駆動モードは、本発明の第1駆動モードに相当することになり、本発明の第1切替部が、第1クラッチ機構部800と第3クラッチ機構部とにより構成されることになる。
【0137】
なお、上記のように第3クラッチ機構部が設けられる場合には、脱水工程において、第2クラッチ機構部900により一体駆動モードに切り替えられたときに、揚水翼軸300が回転せずに回転翼軸400が回転する駆動モードに切り替えられるようにしてもよい。さらに、このような構成とされた場合に、上述した回転翼軸400に揚水翼軸300が挿入される構成が採られてもよい。この場合、クラッチ体950と第1プーリ610との間に第2プーリ710が介在しなくなるので、第2プーリ710から貫通孔712がなくされる。クラッチ体950の係合突部952は、直接、第1プーリ610の係合凹部613と係合することになるため、脱水槽軸200と回転翼軸400とは一体的に回転可能となるが、揚水翼軸300は、脱水槽軸200および回転翼軸400に対して回転できる状態となる。
【0138】
さらに、第1クラッチ機構部800は、一翼駆動モードと二翼駆動モードとの間で切り替えを行うことができれば、上記実施の形態に挙げられた構成以外の構成とされてもよい。同様に、第2クラッチ機構部900、即ち、クラッチ機構910と駆動装置920は、一体駆動モードと別個駆動モードとの間で切り替えを行うことができれば、上記実施の形態に挙げられた構成以外の構成とされてもよい。
【0139】
さらに、上記実施の形態では、第2クラッチ機構部900は、駆動装置920が、移動機構960だけでなく、排水バルブ40を開閉させる開閉機構940を駆動するような構成とされた。しかしながら、第2クラッチ機構部900が開閉機構940を含まない構成とされ、開閉機構940が駆動装置920とは別の駆動源により駆動される構成が採られてもよい。
【0140】
さらに、上記実施の形態では、吐出口27aが揚水路28の上部に設けられたが、中央部など他の位置に設けられてもよい。また、吐出口27aは、いかなる形状であってもよい。
【0141】
さらに、上記実施の形態では、第1伝達機構部600が、第1プーリ610、第1モータプーリ620および第1ベルト630により構成され、第2伝達機構部700が、第2プーリ710、第2モータプーリ720および第2ベルト730により構成された。しかしながら、第1伝達機構部600は、モータ軸130に設けられる第1モータ歯車と、回転翼軸400に設けられ、第1モータ歯車に噛み合う第1歯車とにより構成されもよく、第2伝達機構部700は、モータ軸130に設けられる第2モータ歯車と、揚水翼軸300に設けられ、第2モータ歯車に噛み合う第2歯車とにより構成されもよい。この場合、第1モータ歯車および第1歯車が、それぞれ、本発明の第1モータ回転駆動部および第1回転従動部に相当し、第2モータ歯車および第2歯車が、それぞれ、本発明の第2モータ回転駆動部および第2回転従動部に相当する。
【0142】
さらに、上記実施の形態では、衣類の乾燥機能が搭載されていない全自動洗濯機1に本発明が適用された例が示された。しかしながら、衣類の乾燥機能が搭載された全自動洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0143】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
20 外槽
22 洗濯脱水槽
24 回転翼
25 揚水翼
27a 吐出口
28 揚水路
30 駆動ユニット(駆動部)
40 排水バルブ
100 駆動モータ
200 脱水槽軸
300 揚水翼軸
400 回転翼軸
610 第1プーリ(第1回転従動部)
613 係合凹部(被係合部)
620 第1モータプーリ(第1モータ回転駆動部)
630 第1ベルト
710 第2プーリ(第2回転従動部)
712 貫通孔
720 第2モータプーリ(第2モータ回転駆動部)
730 第2ベルト
800 第1クラッチ機構部(第1切替部)
810 クラッチ体(切替作動体)
851 トルクモータ(動力発生部)
900 第2クラッチ機構部
910 クラッチ機構(第2切替部)
920 駆動装置(第2切替部)
940 開閉機構
950 クラッチ体
952 係合突部(係合部)
960 移動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10