(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】FTIR顕微鏡による皮膚癌発生の一般的および特異的特性解析法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3563 20140101AFI20240307BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240307BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240307BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20240307BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20240307BHJP
【FI】
G01N21/3563
G01N33/483 C
G01N33/50 P
G01N33/50 Q
G01N33/68
C12Q1/68
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021123774
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2019102997の分割
【原出願日】2013-02-21
【審査請求日】2021-08-30
(32)【優先日】2012-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514197371
【氏名又は名称】エムシー プロフェッショナル オーユー
(73)【特許権者】
【識別番号】514241238
【氏名又は名称】アイキエ,ナタリア
(73)【特許権者】
【識別番号】514197360
【氏名又は名称】スクレボファ,イリーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】アイキエ,ナタリア
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-500464(JP,A)
【文献】特表平11-502935(JP,A)
【文献】国際公開第2011/009931(WO,A1)
【文献】特許第6991442(JP,B2)
【文献】EIKJE NATALJA SKREBOVA,PHOTONIC THERAPEUTICS AND DIAGNOSTICS VII,米国,SPIE,2011年02月10日,V7883 N1,P1-5
【文献】EIKJE NATALJA SKREBOVA,NUMERICAL MODELING AND ANALYTICAL TREATMENT OF IR SPECTRA IN THE DIAGNOSIS OF SKIN CANCERS,PROCEEDINGS OF THE SPIE,米国,THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR OPTICAL ENGINEERING,2010年,V7999,P799909-1 - 799909-6
【文献】EIKJE NATALJA SKREBOVA,BIOTECHNOLOGY ANNUAL REVIEW,ELSEVIER SCIENCE BV,2005年,V11,P191-225
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01N 33/48-G01N 33/98
C12Q 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FTIRマイクロスペクトロスコピーによる多段階皮膚発癌の一般的かつ特異的特性評価のための、ヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法であって、
FTIR顕微分光法による965cm-1、1055cm-1、1071cm-1、1084/1085cm-1および1095cm-1のDNA/RNAの
五徴候ピークを割り当て、特定の皮膚腫瘍型で検出される組織の発癌を伴う核酸の一般的かつ特異的な発現に対応する核酸のスペクトル連続パターンで同定し、
ヒト皮膚組織試料上
に照
射皮膚
組織内の、核酸のスペクトル連続パターンによって、
相互作用分子活性レベルの、特徴的なスペクトル測定パターンと相関させることであり、
(i)FTIR顕微分光法によるDN
A965cm-1、DNA/RNA(1055cm-1)、DNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)の、3つの核酸ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する核酸分子の組み合わせ群で、
965cm-1)<(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)として、1つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される相互作用分子活性レベルで特徴づけられ、
平均DNAピーク値が、
965cm-1
で0.12~0.18内、
平均DNA/RNAピーク値が、
1055cm-1で0.17~0.24内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク値が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.19~0.27内、
DNAピーク強度が、
965cm-1で0.47~0.56内、
平均DNA/RNAピーク強度が、
1055cm-1で0.59-0.75内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.72-0.84内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.8:1]または、[0.9:1]の特徴的な範囲にあり、
ヒト皮膚組織試料における良性複合母斑(BCN)と関連した皮膚組織の良性腫瘍に特異的であること、または
(ii)FTIR顕微分光法によるD
NA(965cm-1
)、DNA/RNA(1055cm-1)、DNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)の、3つの核酸ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する核酸分子の組み合わせ群で、(965cm-1)<(1055cm-1)<(1071、1084/1085、1095cm-1最大ピーク)として、1つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される相互作用分子活性レベルを有し、
平均DNAピーク値が、
965cm-1で0.09~0.23内、
平均DNA/RNAピーク値が、
1055cm-1の0.15~0.26内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク値が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.18~0.29内、
平均DNAピーク強度が、
965cm-1の0.41~0.70内、
平均DNA/RNAピーク強度が、
1055cm-1の0.68~0.79内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.82~0.88内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.8:1]または、[0.9:1]の特徴的な範囲にあり、または、
FTIR顕微分光法によるDNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)に達する、1つの核酸ピークであって、(-)<(-)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)として、1つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される相互作用分子活性レベルを有し、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク値が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.07内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.64内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.7:1]の特徴的な範囲にあり、
ヒト皮膚組織試料におけるのボーエン病(BD)と関連した皮膚組織の前悪性に特異的であること、または
(i)FTIR顕微分光法によるDNA(965cm-1)、DNA/RNA(1055cm-1)、DNADNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)に達する、3つの核酸ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する核酸分子の組み合わせ群で、(965cm-1)<(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)、または(965cm-1)>(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)として、2つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される相互作用分子活性レベルを有し、
平均DNAピーク値が、
965cm-1で0.19~0.23内、
平均DNA/RNAピーク値が、
1055cm-1で0.14~0.26内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク値が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.27~0.30内、
平均DNAピーク強度が、
965cm-1で0.61~0.63内、
平均DNA/RNAピーク強度が、
1055cm-1で0.47~0.69内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.73~0.90内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.8:1]の特徴的範囲にあり、または
FTIR顕微分光法によるDNA(965cm-1)、DNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)に達する、2つの核酸ピークを有し、(965cm-1)>(-)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)として、1つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルを有し、
平均DNAピーク値が、
965cm-1で0.25内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク値が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.35内、
平均DNAピーク強度が、
965cm-1で0.52内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.73内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.7:1]の特徴的範囲にあり、
ヒト皮膚組織試料におけるの悪性黒色腫(MM)と関連した皮膚組織の悪性腫瘍に特異的であること、
(iv)FTIR顕微分光法によるDNA
965cm-1、DNA/RNA(1055cm-1)、DNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)の、3つの核酸ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する核酸分子の組み合わせ群で、(965cm-1)=(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)、または(965cm-1)<(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)、または(965cm-1)<(1055cm-1)>(DNA/RNAトライアド最大ピーク)として、3つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルを有し、
平均DNAピーク値が、
965cinで0.09~0.35内、
平均DNA/RNAピーク値が、
1055cm-1で0.09~0.44、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク値が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.16~0.48内、
平均DNAピーク強度が、
965cm-1の0.38~0.88内、
平均DNA/RNAピーク強度が、
1055cm-1で0.45~1.05内、
平均DNA/RNAトライアドピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.76~1.15内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.8:1]または、[1:1]の特徴的な範囲にあり、
ヒト皮膚組織試料におけるの基底細胞癌(BCC)と関連した皮膚組織の悪性腫瘍に特異的であること、または
(v)FTIR顕微分光法によるDMA(965cm-1)、DNA/RNA(1055cm-1)、DNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)の、3つの核酸ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する核酸分子の組み合わせ群で、(965cm-1)<(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)、または(965cm-1)<(1055cm-1)>(DNA/RNAトライアド最大ピーク)、または
965cm-1>(1055cm-1)<(DNA/RNAトライアドmarピーク)として、3つのスペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される相互作用
する分子活性レベルを有し、
平均DNAピーク値が、
965cm-1で0.19~0.60内、
平均DNA/RNAピーク値が、
1055cm-1の0.13~0.66内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の0.16~0.65内、
平均DNAピーク強度が、
965cm-1で0.41~0.91内、
平均DNA/RNAピーク強度が、
1055cm-1の0.77~1.00内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の0.71~0.99内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.7:1]、[0.9:1]、または[1:1]の特徴的な範囲にあり、または
FTIR顕微分光法によるDNA(965cm-1)、DNA/RNAトライアド(1071、1084/1085、1095cm-1)の、2つの核酸ピークを有し、(965cm-1)>(-)<(DNA/RNAトライアド最大ピーク)として、3スペクトル連続パターンの平均ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルを有し、
平均DNAピーク値が、
965cm-1で0.07内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.12内、
平均DNAピーク強度が、
965cm-1で0.91内、
平均DNA/RNAトライアド最大ピーク強度が、
1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で0.76内、
DNA/RNAトライアドにおける、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルと、1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値の、比例比が[0.7:1]の特徴的な範囲にあり、
ヒト皮膚組織試料における扁平上皮癌(SCC)と関連した皮膚組織の悪性腫瘍に特異的であること、から選択して特徴づけられる
FTIRマイクロスペクトロスコピーによる多段階皮膚発癌の一般的かつ特異的特性評価のための、ヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法。
【請求項2】
特定のタイプに関連する皮膚組織の良性、前悪性および悪性腫瘍に特異的な核酸分子の組み合わせ群を、FTIR顕微分光法において、965cm-1、1055cm-1、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で特徴的なスペクトルパラメータを有する核酸分子の組み合わせ群から選択され、生検組織サンプルにおける、ヒトの多段階発癌モデルの特徴付け、または生検組織サンプルにおける、ヒト良性、前悪性および悪性皮膚組織細胞における腫瘍細胞の活性評価の等級付けに使用することを含む請求項1に記載のヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法。
【請求項3】
f特定のタイプに関連する皮膚組織の良性、前悪性および悪性腫瘍に特異的な核酸分子の組み合わせ群を、FTIR顕微分光法において、965cm-1、1055cm-1、1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1で特徴的なスペクトルパラメータを有する核酸分子の組み合わせ群から選択され、ヒトにおける生検組織サンプル上の良性、前悪性および悪性皮膚腫瘍の診断、またはヒトにおける生検組織サンプル上の良性、前悪性および悪性皮膚腫瘍のモニタリング、またはヒトにおける生検組織サンプル上の良性、前悪性または悪性皮膚腫瘍の治療評価に使用するための請求項1に記載のヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法。
【請求項4】
FTIRマイクロスペクトロスコピーによる多段階皮膚発癌の一般的かつ特異的特性評価のための、ヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法であって、
FTIR顕微分光法による965cm-1、1055cm-1、1071cm-1、1084/1085cm-1および1095cm-1のDNA/RNAの
五徴候ピークを割り当て、特定の皮膚腫瘍型で検出される組織の発癌を伴う核酸の一般的かつ特異的な発現に対応する核酸のスペクトル連続パターンで同定し、
ヒト皮膚組織試料上の照射された皮膚表皮の中の、核酸のスペクトル連続パターンによって、
(i)FTIR顕微分光法によるアミドIII(1245cm-1)で特異的蛋白質ピーク、非特異的蛋白質ピーク(1310、1390、1450cm-1)、アミドII(1540cm-1)で特異的蛋白質ピーク、およびアミドI(1650cm-1)で特異的蛋白質ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する蛋白質分子の組み合わせ群で、
(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)、または(1245cm-1)>(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)、または(1245cm-1)>(1310cm-1)<(1390cm-1)<(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)として、3つのスペクトル連続パターンの平均蛋白質ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルで特徴づけられ、
平均蛋白質ピーク値および強度が、
1245cm-1で0.3内、
1310cm-1で0.2~0.3内、
1390cm-1で0.3~0.4内、
1450cm-1で0.3~0.4内、
1540cm-1で0.7~0.8内で特徴的づけられ、
1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値に対する、DNA/RNAトライアドの1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルの比例比が[0.7:1]、または[0.8:1]、または[0.9;1]であり、
ここで、
スペクトルパターン(1245cm-1)=(1310cm-1)<1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、平均蛋白質ピーク値と強度が、(0.3)<(0.4)<(0.8)<(1.0)対[0.7:1]内で特徴づけられ、
スペクトルパターン(1245cm-1)>(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、平均蛋白質ピーク値と強度が(03)>(0.2)<(0.3)=(0.3)<(0.7)<(1.0)対[0.8:1]内で特徴づけられ、
スペクトルパターン(1245cm-1)>(1310cm-1)<1390cm-1)<(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、平均蛋白ピーク値および強度が、(0.3)>(0.2)<(0_3)<(0.4)<(0.7)<(1.0)対[0.9:1]で特徴づけられ、
ヒトの生検サンプルにおける良性複合母斑(BCN)と関連した皮膚組織の良性腫瘍に特異的であること、または
(ii)FTIR顕微分光法によるアミドIII(1245cm-1)で特異的蛋白質ピーク、非特異的蛋白質ピーク(1310、1390、1450cm-1)、アミドII(1540cm-1)で特異的蛋白質ピーク、およびアミドI(1650cm-1)で特異的蛋白質ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する蛋白質分子の組み合わせ群で、(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)として、1つのスペクトル連続パターンの平均蛋白質ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルで特徴づけられ、
特異的な平均蛋白質ピーク値と強度が、
1245cm-1で0.1~0.3内、
1310cm-1で0.1~0.3内、
1390cm-1で0.2~0.4内、
1450cm-1で0.2~0.4内、
1540cm-1で0.6~0.8内、
1650cm-1で1.0内、という特徴を示し、
1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値に対する、DNA/RNAトライアドの1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルの比例比が[0.7:1]、または[0.8:1]、または[0.9:1]であり、
ここで、
スペクトルパターン(1245cm-r)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1}<(1540cm-1}<(1650cm-1)は、
(0.1)=(0.1)<(0.2)=(0.2)<(0.6)<(1.0)対[0.7:1]、または
(0.2)=(02)<(0.3)(0.3)<(0.7)<1.0)対[0.8:1]、または
(0.3=0.3<0.4=0.4<0.8<1.0)対[0.9:1]の範囲内の平均蛋白質ピーク値および強度によって特徴づけられ、またはヒトの生検サンプルにおけるボーエン病(BD)と関連した皮膚組織の前悪性に特異的であること、または
(iii)FTIR顕微分光法によるアミドIII(1245cm-1)で特異的蛋白質ピーク、非特異的蛋白質ピーク(1310、1390、1450cm-1)、アミドII(1540cm-1)で特異的蛋白質ピーク、およびアミドI(1650cm-1)で特異的蛋白質ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する蛋白質分子の組み合わせ群で、(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)、または(1245cm-1)>(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)として、2つのスペクトル連続パターンの平均蛋白質ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルで特徴づけられ、
特異的な平均蛋白質ピーク値と強度が、
1245cm-1で0.1~0.3内、
1310cm-1で0.1~0.3内、
1390cm-1で0.2~0.4内、
1450cm-1で0.2~0.4内、
1540cm-1で0.6~0.8内、
1650cm-1で1.0内、という特徴を示し、
1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値に対する、DNA/RNAトライアドの1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルの比例比が[0.7:1]、または[0.8:1]、または[0.9:1]であり、
ここで、
スペクトルパターン(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1}<(1540cm-1}<(1650cm-1)は、
(0.4)=(0.4)<(0.5)=(0.5)<(0.8)<(1.0)対[0.8:1]、または
(0.3)=(0.3)<(0.4)=(0.4)<(0.8)<(1.0)対[0.8:1]の範囲内の平均蛋白質ピーク値および強度によって特徴づけられ、
スペクトルパターン(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1}<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、(0.5)>(0.4)<(0.5)=(0.5)<(0.8)<(1.0)対[0.7:1]の範囲内のピーク値および強度によって特徴づけられ、
ヒトの生検サンプルにおける悪性黒色腫(MM)と関連した皮膚組織の悪性腫瘍に特異的であること、または
(iv)FTIR顕微分光法によるアミドIII(1245cm-1)で特異的蛋白質ピーク、非特異的蛋白質ピーク(1310、1390、1450cm-1)、アミドII(1540cm-1)で特異的蛋白質ピーク、およびアミドI(1650cm-1)で特異的蛋白質ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する蛋白質分子の組み合わせ群で、
(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)、または(1245cm-1)>(1310cm-1)=(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)として、2つのスペクトル連続パターンの平均蛋白質ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルで特徴づけられ
平均蛋白質ピーク値と強度は
1245cm-1で0.2~0.5内、
1310cm-1で0.2~0.4内、
1390cm-1で0.3~0.5内、
1450cm-1で0.3~0.5内、
1540cm-1で0.7~0.8内、
1650cm-1で1.0内、という特徴を示し、
1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値に対する、DNA/RNAトライアドの1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルの比例比が[0.8:1]、または[1:1]であり、
ここで、
スペクトルパターン(245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(140cm-1}<(1650cm-1)は、
(0.2)=(0.2)<(0.3)=(0.3)<(0.7)<(1.0)対[0.8:1]、または
(0.2)=(0.2)<(0.3)=(0.3)<(0.8)<(1.0)対[0.8:1]、または
(0.4)=(0.4)<(0.5)=(0.5)<(0.8)<(1.0)対[1:1]の範囲内の平均蛋白質ピーク値および強度によって特徴づけられ、
スペクトルパターン(1245cm-1)>(1310cm-1)=(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、(0.5)>(0.4)=(0.4)=(0.4)<(0.7)<(1.0)対[1:1]の範囲内の平均蛋白質ピーク値および強度によって特徴づけられ、ヒトの生検サンプルにおける基底細胞癌(BCC)と関連した皮膚組織の悪性腫瘍に特異的であること、または
(v)FTIR顕微分光法によるアミドIII(1245cm-1)で特異的蛋白質ピーク、非特異的蛋白質ピーク(1310、1390、1450cm-1)、アミドII(1540cm-1)で特異的蛋白質ピーク、およびアミドI(1650cm-1)で特異的蛋白質ピークの特徴的なスペクトル測定パターンを有する蛋白質分子の組み合わせ群で、
(1245cm-1)=(1310cm-1)=(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)、または(1245cm-1)>(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)、または
(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)として、3つのスペクトル連続パターンの平均蛋白質ピーク値と強度で表される
相互作用する分子活性レベルで特徴づけられ、
平均蛋白質ピーク値と強度は
1245cm-1で0.2~0.7内、
1310cm-1で0.2~0.6内、
1390cm-1で0.2~0.7内、
1450cm-1で0.2~0.7内、
1540cm-1で0.6~0.9内、
1650cm-1で1.0内、という特徴を示し、
1245cm-1のDNA/アミドIIIピーク値に対する、DNA/RNAトライアドの1071cm-1、1084/1085cm-1または1095cm-1の核酸ピークの
算出された総平均発現レベルの比例比が[0.7:1]、[0.8:1]、または[0.9:1]であり、
ここで、
スペクトルパターン(1245cm-1)=(1310cm-1)=(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1}<(1650cm-1)は、
(0.2)=(0.2)=(0.2)=(0.2)<(0.6)<(1.0)対[0.7:1]、または
(04)=(04)=(04)=(04)<(0.7)<(1.0)対[0.9:1]の平均蛋白質のピーク値と強度で特徴づけられ、
スペクトルパターン(1245cm-1)>(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、(0.7)>(0.6)<(0.7)=(0.7)<(0.9)<(1.0)対[1:1]の範囲内の平均蛋白質ピーク値および強度によって特徴づけられ、または
蛋白質のスペクトルパターン(1245cm-1)=(1310cm-1)<(1390cm-1)=(1450cm-1)<(1540cm-1)<(1650cm-1)は、(02)=(02)<(03)=(03)<(0.6)<(1.0)対[0.7:1]の範囲内の平均蛋白質ピーク値および強度によって特徴づけられ、
ヒトの生検サンプルにおける扁平上皮癌(SCC)と関連した皮膚組織の悪性腫瘍に特異的であること、から選択される
ヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法。
【請求項5】
FTIR顕微分光法による1245cm-1、1310cm-1、1390cm-1、1450cm-1、1540cm-1および1650cm-1で特徴的なスペクトルパラメータを有する蛋白質分子の組合せ群から選択し、生検組織サンプル上のヒトの多段階発癌モデルの確定、または生検組織サンプル上のヒト良性、前悪性および悪性皮膚組織細胞における腫瘍細胞の活性評価の等級付けに使用する請求項4に記載のヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法。
【請求項6】
FTIR顕微分光法により1245cm-1、1310cm-1、1390cm-1、1450cm-1、1540cm-1および1650cm-1で特徴的なスペクトルパラメータを有する蛋白質の組合せ群から選択し、生検組織サンプル上のヒト良性、前悪性および悪性皮膚腫瘍を特定のタイプと関連付けて診断するため、または生検組織サンプル上のヒト良性、前悪性および悪性皮膚腫瘍を特定のタイプと関連付けてモニタリングするため、または生検組織サンプル上のヒト良性、前悪性および悪性皮膚腫瘍を特定のタイプと関連付けて治療評価するために使用する請求項4に記載のヒト皮膚組織試料において連続的に発現される核酸およびタンパク質のスペクトルパターン分析の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フーリエ変換赤外線(FTIR)顕微分光法に基づく皮膚癌組織における発癌の非破壊的特徴付けのための光学的方法を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は、ヒト皮膚癌組織における細胞における腫瘍活性のグレードの指標としての用途を見出す、各タイプの病理学のIRスペクトルにおいて一般的におよび特異的に発現される、核酸およびタンパク質の分子内および分子間相互作用の同時観察およびさらなる特徴付けのための分析方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中で引用される刊行物および他の参考文献(本明細書中で引用される参考文献を含む)は、その全体が参考として本明細書中に援用され、そして以下の文章において数値的に参照され、そしてそれぞれ、特許請求の範囲の直前の添付の参考文献目録においてグループ化される。
【0003】
多くの国々で、皮膚がんは他の全てのがんを併用した場合よりも多くの人に罹患するが[1]、皮膚がん発生中に起こる分子的、細胞的、組織的変化についてはまだ十分な理解がなされておらず、皮膚がんの臨床診断、モニタリング、治療に影響を及ぼすであろう。
【0004】
長年にわたり、マウス皮膚モデルは、多段階発癌機構を研究する可能性を提供したが[2]、このモデル系はヒト皮膚癌に直接関係しなかった。
【0005】
最新の文献では、皮膚がんの発生は部分的には遺伝的制御下にあり、転写因子(TFs)は配列特異的DNA結合蛋白質であり、転写の活性化または退縮を制御し、したがって細胞の成長を制御するが、この過程で重要であることが記載されている[3]。
【0006】
しかし、既存の方法では、ヒトに対するがん発生のメカニズムを直接研究することはできず、現時点ではすべての既存の疑問に答えることはできない。
【0007】
皮膚癌の発生に関与する分子機構および細胞機構をよりよく理解するために、1つの患者から同じ病理を有する患者のグループまで、1つのタイプの癌から別のタイプの癌まで、過形成から浸潤癌までの発癌を直接特徴付ける方法が必要とされている。
【0008】
皮膚組織IR顕微分光法技術は、皮膚生検の未染色組織の分光学的評価のためのツールである。それは、組織の化学組成を組織中の細胞の健康的または病理学的状態の指標として用いる皮膚組織切片の分析のための客観的方法である。IRスペクトル情報は、皮膚細胞および組織の化学組成の変化を客観的かつ定量的に決定し、さらに医学的知識に「変換」することができる。単離された生体分子を単独で、また相互作用において研究するための感度の高いツールである。
【0009】
最も一般的な皮膚前癌および癌のスペクトル特性評価のためのIR顕微分光法の適用の可能性は、すでに900~1700cm-1領域に導入されており、蛋白質構造および核酸塩基に関係する最も目に見える変化が明らかになり、一般にその領域において悪性腫瘍への進行に伴う修飾および増強が示された[4]。
【0010】
皮膚表皮癌からのIRスペクトルのスペクトル変化を伴う核酸およびタンパク質のピークの詳細なアラインメントは、約965cm-1におけるDNAピークの出現;約1055cm-1における多重線(DNA/RNA);約1071、1084/1085、1095cm-1におけるDNA/RNAトライアドピーク; DNAおよびアミドIIIの組み合わせとしての約1245cm-1におけるDNA/RNAトライアドピーク;約1310、1390および1450cm-1における多数の非特異的(非記述的)タンパク質;約1540cm-1におけるアミドII振動;ならびに約1650cm-1におけるアミドI振動を記述した[5]。それにもかかわらず、この問題は、FTIR顕微分光法によるヒト皮膚腫瘍における発癌の一般的かつ特異的な特徴付けに向けてまだ取り組まれていない。
【0011】
したがって、本発明の別の目的は、皮膚発癌の間に起こる分子、細胞および組織の変化を理解するために、表皮癌の赤外(IR)スペクトルで発現される核酸およびタンパク質の分子内および分子間の相互作用を客観的に評価するための光学的分析方法を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様では、本発明は、ヒト生検癌組織 における共通および特異的発癌の特徴付けのためにFTIR顕微分光法を使用する方法を提供する。試料は、組織試料上の正常、良性、前癌性または癌性の細胞から構成され得る。本発明の方法は、健康な、すなわち正常/未変化の皮膚組織からのIRスペクトルと比較して、良性、前癌性および悪性皮膚癌の赤外(IR)スペクトルにおけるそれらの発現された相互作用活性レベルによる、核酸およびタンパク質の分子内および分子間相互作用の同時特徴付けに基づく。より詳細には、提供される方法により、FTIR顕微分光法により、各患者および患者間での腫瘍細胞の活性を評価するために、各種類のがんおよび異なる種類のがん間での皮膚がん発生の共通かつ特異的な特徴を記述することが可能となる。
【0013】
皮膚表皮がん発生は多段階の過程であり、少なくとも3つの機序的に異なる段階(開始、促進、進行)を伴う。皮膚がんは一般に表皮に発生する。最も一般的な悪性皮膚癌は、基底細胞癌(BCC)、扁平上皮癌(SCC)および悪性黒色腫(MM)であり、これらは、本発明の使用者の例として使用されている。使用者に本発明のステップをさらに提供するために、ボーエン病が、上皮内癌として周知の前癌性皮膚病変の例として選択された。良性複合母斑は、本発明において良性皮膚腫瘍の一般的な例として選択された。
【0014】
この方法は手動で行うことができ、以下の工程を含み、
i. 各試料について多数の測定値を得るために、試料上の多数の病理部位からFTIRスペクトルを得る工程と、
ii. 各測定IRスペクトルにおける核酸の指定波数領域900~1300cm-1およびタンパク質の指定波数領域1300~1700cm-1の決定工程と、
iii. 各IRスペクトルのアミドIピークへの規格化工程と、
iv. 試料の平均スペクトルを得るための表皮測定の平均化工程とからなる。
【0015】
上記の方法において、生検組織試料は、以下の工程により、FTIR顕微分光法を用いて測定のために調製される。
i. 厚さ6マイクロメーターの厳密に連続した2試料カット
ii, 組織病理学的評価のためにヘマトキシリン・エオジンで切断した1試料の染色
iii. FTIRスペクトル収集用CaF2スライドグラスにカットした1試料を風乾する
【0016】
皮膚組織は、この説明を代表的な組織として大まかに使用しているが、本発明の方法は、表皮皮膚組織の測定に限定されるものではなく、当業者には明らかなように、他の組織で利用できることを理解されたい。
【0017】
本発明の上記および他の全ての特徴および利点は、さらに記載される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、好ましい実施形態の説明を通して、本発明をさらに説明する。
【0019】
すべてのFTIR顕微鏡測定は、モデルIR-MAU200であるJEOL Co. (東京、日本) FT-IR分光計を用いて行った。各測定に先立ち、製造業者より機器が付属している検体を用いて校正を行い、FTIRマイクロスペクトロメータの適正な操作条件を確認した。
【0020】
下記の例で用いたデータは、徳島県徳島大学医学部皮膚科の生検資料保管庫および徳島県徳島大学医学部整形外科の池原博士の好意によるものである。
【0021】
FT-IR顕微分光法に用いた組織試料は乾燥状態であったが、光学顕微鏡で観察した対応するスライドは組織構造の同定のためにヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。測定に使用された開口サイズは、25マイクロメートルを超える25であった。
【0022】
最初に、バックグラウンドスペクトルを収集した。可視光を用いて測定部位を選択した後、顕微鏡をIRモードに変更した。高い信号対雑音比を達成するために、同時追加スキャンの数を127まで増加させた。測定スペクトルは800~4000cm-1の波数範囲を4cm-1の分解能でカバーした。
【0023】
全部で198個の表皮スペクトルを有する病理学上および非病理学上のいずれのデータベースを、悪性腫瘍を有する13人の患者:基底細胞癌(BCC) (6人の患者)、扁平上皮癌(SCC) (4人の患者)、悪性黒色腫(MM) (3人の患者);良性腫瘍を有する4人の患者:良性複合母斑(4人の患者);前癌を有する3人の患者:ボーエン病(Bowen's disease)(3人の患者);および4人の健康な被験者から作成した。
【0024】
本発明の方法は、健常被験者からのIRスペクトルと比較して、BCC、SCC、MM、ボーエン病および良性複合母斑のIRスペクトルにおける核酸およびタンパク質の活性レベルを決定するための以下の工程を含み、
・各測定核酸の平均値の計算工程と、
・各測定核酸の平均値(特異的および非特異的)ピークの平均値の計算工程と、
・:1(965)/I(1245)、I(1055)/1(1245)、I(DNA/RNAトライアドピーク間の最大ピーク)/I(1245)の強度ピーク比を計算して900-1300 cm-1域の全測定核酸ピークの強度を約1245cm-1のピークの強度と比較する工程と、
・以下のピーク比: I(1310)/I(1650)、l(1390)/I(1650)、l(1450)/l(1650)、l(l540)/I(1650)を計算することによって、1300~1700cm-1における特異的および非特異的タンパク質について決定された全てのピークの強度と、約1650cm-1におけるアミドIピークの強度との比較する工程と、
・DNA-RNA比率DNA-タンパク質相互作用の活性レベルの計算する工程と、:l(DNA/RNAのトライアドピークの合計)/1(1245)
・マルチプレット(DNA/RNA)の活性レベルとDNA/RNAトライアドのピークの活性レベルの比較する工程とからなる。
【0025】
以下に、BCC、SCC、MM、ボーエン病、良性複合母斑、健常被験者から得たデータを例にまとめた。
【0026】
(核酸の分子内および分子内相互作用)
例
実施例1
BCC
核酸ピークの平均値(965cm-1、1055cm-1、DNA/RNAトライアドピークの最も顕著なピーク)、強度比および比例(DNA/RNAトライアドピークの合計対1245cm-1)について、BCC患者6例から表皮で測定したスペクトルデータ。
【0027】
6名の患者における表示された平均値対比例比に基づく2BCCパターン:
・965平均 < 1055平均< DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均
・965平均 < 1055平均 > DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均
1) 0.35 < 0.44 < 0.45 対 [1:1]
2) 0.31 < 0.43 < 0.48 対 [1:1]
3) 0.35 < 0.42 > 0.40 対 [1:1]
4) 0.11 < 0.19 > 0.18 対 [0.8:1]
5) 0.08 < 0.14 < 0.16 対 [0.8:1]
6) 0.09 = 0.09 < 0.23 対 [0.8:1]
【0028】
計算された強度比対比例比に基づく6人の患者の1BCCパターン:
・I(965)/ I(1245)< I(1055)/ I(1245)< I(DNA/RNA トライアド最大ピーク)/I(1245)(活性のグレードに関係なく)
1) 0.75 < 0.94 < 0.96 対. [1:1]
2) 0.71 < 0.98 < 1,09 対 [1:1]
3) 0.88 < 1.05 < 1,00 対 [1:1]
4) 0.50 < 0.87 < 0.82 対 [0.8:1]
5) 0.38 < 0.67 < 0.76 対 [0.8:1]
6) 0.45 < 0.45 < 1,15 対 [0.8:1]
【0029】
実施例2
SCC
核酸ピークの平均値(965cm-1、1055cm-1、DNA/RNAトライアドピークの最も顕著なピーク)、強度比および比例(DNA/RNAトライアドピークの合計対1245cm-1)について、SCC患者4例から表皮で測定したスペクトルデータ。
【0030】
4人の患者における表現された平均値対比例比に基づく3SCCパターン:
965平均 < 1055平均 > DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均 対. [1:1]
965平均 < 1055平均 < DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均 対. [0.9:1]
965平均 > 1055平均 < DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均 対. [0.7:1]
1) 0.60 < 0.66 > 0.65 対. [1:1]
2) 0.26 < 0.30 < 0.35 対 [0.9:1]
3) 0.19 > 0.13 < 0.16 対 [0.7:1]
4) 0.07 > (-) < 0.12 対 [0.7:1]
【0031】
計算された強度比対比例比に基づく4人の患者の2SCCパターン:
・I(965)/I(1245)<I(1055)/I(1245) > I(DNA/RNAトライアド最大ピーク)/I(1245)(約1055cm-1におけるピークの高活性レベルについて)。
・I(965)/I(1245)>1(1055)/1(1245) < I (DNA/RNAトライアド最大ピーク)/I(1245) (約1055cm-1におけるピークの低活性レベルについて)
1) 0.91 < 1.00 > 0.99 対 [1:1]
2) 0.70 < 0.81 > 0.78 対 [0.9:1]
3) 0.41 < 0.77 > 0.71 対 [0.7:1]
4) 0.91 >(-) < 0.76 対 [0.7:1]
【0032】
実施例3
MM
MM患者3例から表皮で測定した核酸ピークの平均値(965cm-1、1055cm-1、DNA/RNAトライアドピークの最も顕著なピーク)、強度比および比例(DNA/RNAトライアドピークの総和対1245cm-1)に関するスペクトルデータ。
3名の患者における表示された平均値対比例比に基づく2MMパターン、:
・965平均 > 1055平均 < DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均
・965平均 < 1055平均 < DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均
1) 0.19 >0.14 <0.27 対 [0.8:1]
2) 0.25 > (-) <0.35 対 [0.7:1]
3) 0.23 <0.26 <0.30 対 [0.8:I]
【0033】
計算された強度比対比比に基づく3人の患者の2MMパターン:
・I(965)/1(1245)<1(1055)/1(1245) < I (DNA/RNAトライアド最大ピーク)/1(1245)
・I(965)/1(1245)>1(1055)/1(1245) < I (DNA/RNAトライアド最大ピーク)/1(1245)対比。
【0034】
1) 0.61 <0.69 <0.79 対 [0.8:1]
2) 0.63 >0.47 <0.90 対 [0.8:1]
3) 0.52 > (-) <0.73 対 [0.7:1]
【0035】
実施例4
ボーエン病(BD)
核酸ピークの平均値(965cm-1、1055cm-1、DNA/RNAトライアドピークの最も顕著なピーク)、強度比および比例(DNA/RNAトライアドピークの合計対1245cm-1)について、BCN患者4例から表皮で測定したスペクトルデータ。
【0036】
3例の患者における平均値に基づく1BDパターン:
・965平均 < 1055平均< DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均(活動性の程度に左右されない)
1) (-) (-) < 0.07 対. [0.7:1]
2) 0.09 <0.15 < 0.18 対 [0.8:1]
3) 0.23 <0.26 < 0.29 対 [0.9:1]
強度比に基づく3人の患者における1個のBDパターン:I(965)/ 1(1245)<I(1055)/ 1(1245)<I(DNA / RNAトライアド最大ピーク)/ I(1245) 活動の等級)
1) (-) (-) 0.64 対 [0.7:1]
2) 0.41 <0.68 <0.82 対 [0.8:1]
3) 0.70 <0.79 <0.88 対 [0.9:1]
【0037】
実施例5
良性複合母斑(BCN)
核酸ピークの平均値(965cm-1、1055cm-1、DNA/RNAトライアドピークの最も顕著なピーク)、強度比および比例(DNA/RNAトライアドピークの合計対1245cm-1)について、BCN患者4例から表皮で測定したスペクトルデータ。
4名の患者における表現された平均値対比例比に基づく1BCNパターン、:
・965平均 < 1055平均 < DNA/RNA トライアド最大ピーク 平均
1) 0.15 < 0.22 < 0.23 対. [0.8:1]
2) 0.15 < 0.19 < 0.22 対 [0.7:1]
3) 0.18 < 0.24 < 0.27 対 [0.9:1]
4) 0.12 < 0.17 < 0.19 対 [0.7:1]
【0038】
4例の患者における算出された強度比対比例比に基づく1BCNパターン、:
・I(965)/I(1245)<I(1055)/I(1245) < I(DNA/RNA トライアド最大ピーク)/I(1245)(活性のグレードとは無関係)
1) 0.48 < 0.71 < 0.78 対 [0.8:1]
2) 0.47 < 0.59 < 0.72 対 [0.7:1]
3) 0.56 < 0.75 < 0.84 対 [0.9:1]
4) 0.48 < 0.68 < 0.76 対 [0.7:1]
【0039】
実施例6
健康な皮膚(HS)
表現された平均値対比例比に基づくHSパターン:
・965平均 > (ピーク発現なし)< DNA/RNA トライアド最大ピーク平均
1) 0.15 > (-) < 0.27 対. [0.5:1]
2) 0.24 > (-) < 0.47 対 [0.5:1]
3) 0.17 > (-) < 0.22 対 [0.7:1]
4) 0.22 > (-) < 0.30 対 [0.7:1]
【0040】
HSパターン:算出された強度比対比に基づく:
・I(965)/l(1245) > (ピーク発現なし) < I (DNA/RNAトライアド最大ピーク)/I(1245)
1) 0.41 > (-) < 0.75 対 [0.5:1]
2) 0.51 > (-) < 1.00 対 [0.5:1]
3) 0.38 > (-) < 0.49 対 [0.7:1]
4) 0.51 > (-) < 0.70 対 [0.7:1]
【0041】
(結果)
提示された実施例1~5に基づいて、約1055cm-1における多重項の活性レベルは、BCCを有する6人の患者のうちの5人、SCCを有する4人の患者のうちの3人、およびMMを有する3人の患者のうちの1人、ならびにBCNおよびBDを有する全ての患者において、DNA/RNAトライアド(1071、1084、1095cm-1)において発現される最も顕著なピークの活性レベルと強く相関した。しかし、計算された比例比は平均値と悪性と良性/前癌の強度比で異なり、悪性皮膚腫瘍で高かった。
【0042】
DNA-RNAおよびDNA-DNA相互作用のパターン認識は、I965 < I1055 < I 最大レベル DNA/RNA トライアドピーク]として、核酸の全ピークの発現活性レベルに依存せずに、BCCの全6名の患者において最も明瞭に観察された。DNA-RNAおよびDNA-DNA相互作用に関する同じパターン認識が、ボーエン病および良性複合母斑の全ての患者において認められ、この場合も核酸の全てのピークによって発現される活性レベルに依存しなかった。
【0043】
DNA-RNAおよびDNA-DNA相互作用のパターン認識は、l965<I1055<I max level DNA/RNA triad peakとして、約1055cm-1のマルチプレットの最高活性レベルを有する3SCCの患者で明らかに認められた。
【0044】
DNA-RNAおよびDNA-DNAに対するMMパターン認識を有する2人の患者において、I965> l1055 <最大レベルのDNA / RNAトライアドピークは独特であり、他の病理学では見られず、最低の活性レベルのマルチプレットであった。
【0045】
I965のDNA-RNAおよびDNA-DNA相互作用に関する4つの健常被験者パターン認識において、(ピーク発現なし)<I最大レベル DNA/RNAトライアドピークは、表皮中約1055cm-1で多重の発現を伴わない、上記の病理上で測定された全ての測定値とは異なっていた。
【0046】
タンパク質の分子内および分子内相互作用
実施例1
BCC
1) BCC: 0.5 > 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [1:1]
2) BCC: 0.5 > 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [1:1]
3) BCC: 0.4 = 0.4 < 0.5 = 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [1:1]
4) BCC: 0.2 = 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
5) BCC: 0.2 = 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
6) BCC: 0.2 = 0.2 < 0.3 < 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
【0047】
実施例2
SCC
I) SCC: 0.7 > 0.6 < 0.7 = 0.7 < 0.9 < 1.0 対 [1:1]
2) SCC: 0.4 = 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [0.9:1]
3) SCC: 0.2 = 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
4) SCC: 0.2 = 0.2 = 0.2 = 0.2 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
【0048】
実施例3
MM
1) MM: 0.4 = 0.4 < 0.5 = 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
2) MM: 0.3 = 0.3 < 0.4 = 0.4 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
3) MM: 0.5 = 0.4 < 0.5 = 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [0.7:1]
【0049】
実施例4
SCC対BOWEN病(BD)
1) SCC: 0.7 > 0.6 < 0.7 = 0.7 < 0.9 < 1.0 対 [1:1]
2) SCC: 0.4 = 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [0.9:1]
3) BD : 0.3 < 0.3 < 0.4 = 0.4 < 0.8 < 1.0 対 [0.9:1]
4) BD : 0.2 = 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
5) SCC: 0.2 = 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
6) SCC: 0.2 = 0.2 = 0.2 = 0.2 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
7) BD : 0.1 = 0.1 < 0.2 = 0.2 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
【0050】
実施例5
MM 対. BENIGN COMPOUND NEVUS (BCN)
l) BCN: 0.3 > 0.2 < 0.3 < 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [0.9:1]
2) BCN: 0.3 > 0.2 < 0.3 < 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [0.9:1]
3) BCN: 0.3 > 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
4) BCN: 0.3 > 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.7:1]
5) BCN: 0.3 = 0.3 < 0.4 = 0.4 < 0.8 < 1.0 対 [0.7:1]
1) MM: 0.4 = 0.4 < 0.5 = 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
2) MM: 0.3 = 0.3 < 0.4 = 0.4 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
3) MM: 0.5 > 0.4 < 0.5 < 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [0.7:1]
【0051】
実施例6
全ての測定病理
l) BCC: 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [1:1]
2) BCC: 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [1:1]
3) BCC: 0.4 < 0.5 = 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [1:1]
4) SCC: 0.6 < 0.7 = 0.7 < 0.9 < 1.0 対 [1:1]
5) SCC: 0.4 = 0.4 = 0.4 < 0.7 < 1.0 対 [0.9:1]
6) MM: 0.4 < 0.5 = 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
7) MM: 0.3 < 0.4 = 0.4 < 0.8 < 1.0 対 [0.8:1]
8) BCC: 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
9) BCC: 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
10) BCC: 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.7 < 1.0 対 [0.8:1]
11) SCC: 0.2 < 0.3 = 0.3 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
12) SCC: 0.2 = 0.2 = 0.2 < 0.6 < 1.0 対 [0.7:1]
13) MM: 0.4 < 0.5 < 0.5 < 0.8 < 1.0 対 [0.7:1]
【0052】
結果
DNA-蛋白質相互作用に関する提示データは、1310、1390および1450cm-IにおけるDNA/RNAトライアドピークと非記述的蛋白質の強度間でほとんど発現しており、これらはBCCとSCCの間で一致していたが、MMでは一致していなかった。
【0053】
蛋白質-蛋白質相互作用は患者間で類似しており、組織中の細胞における活性のグレードを示した。
【0054】
BCCおよびSCCの患者間では、非記述蛋白質のレベルは一般に0.2~0.7の間で異なっていた。BCC I(DNA/RNAトライアドピークの合計平均)/1(1245)の患者3例は[1: 1]であり、非記述蛋白質のレベルは0.4~0.5レベルで安定していた。同様のレベルがMMを有する3人の患者で観察されたが、それらのI(合計平均DNA/RNAトライアドピーク)/1(1245)が[0.7 : 1]および[0.8 : 1]であった。SCCの全患者において、非記述タンパク質のレベルは、I(DNA/RNAのトライアドピークの合計平均)/1(1245)の活性を明確に示すのに最も感度が高かった。タンパク質-タンパク質相互作用は、I(アミドII)/I(アミドI)と、約1310、1390および1450cm-1のピークの平均値との間の相関によって観察された。蛋白質-蛋白質相互作用は皮膚癌間で類似しており、一般に組織中の細胞における低、中および高活性レベルを示した。
【0055】
(参考文献)
1. Federman, D.G., Concato, J., Kirsner, R.S., "Screening for skin cancer: absence of evidence", Arch.Dermatol., 145, (2009), 926.
2. DiGiovanni, J., "Multistage carcinogenesis in mouse skin", Phaimacol.Ther.,54(1)、(1992),63-128.
3. Chimento, S.M., Kirsner, R.S., "skin cancer development, understanding the role of c-Jun and Jun B transcription factor", J. Invest. Dermatol., 131, (2011), 1002.
4. Eikje, N.S., Aizawa, K., Ozaki, Y., "Vibrational spectroscopy for molecular characterization and diagnosis of benign, premalignant and malignant skin tumours", Biotechnology Annual Review, Vol.11, (2005), 191-226.
5. Eikje, N.S., "Numerical modeling and analytical treatment of IR spectra in the diagnosis of skin cancers", In: SFM 2010: Optical Technologies in Biophysics a11d Medicine XII (Eds. Tuchin, V.V., Genina, E.A.), Proc SPIE, 7999, (2011), 799909.
【0056】
(参考請求項)
1.ヒト皮膚腫瘍における発癌の共通かつ特異的な特徴付けのためにフーリエ変換赤外線顕微分光法を使用する方法であって、この方法は
(i)良性、前悪性および悪性皮膚病変の表皮からのFTIRスペクトルにおける核酸および蛋白質の特異的および非特異的な発現平均値の比較評価工程と、
(ii)良性、前癌性および悪性皮膚病変のFTIRスペクトルにおける核酸のすべてのピークと約1245cm-1のピークの強度比の比較計算工程と、
(iii)良性、前癌性および悪性皮膚病変の表皮由来のFTIRスペクトルにおける約1650cm-1のアミドIピークに対する、特異的および非特異的蛋白質のすべてのピークに対する強度比の比較計算工程と、
(iv) 良性、前悪性および悪性皮膚病変の表皮由来のFTIRスペクトルにおける核酸の、発現平均値の比較評価に基づく、一般的および/または特異的なパターンの決定と、決定された健康な表皮のパターンとの比較工程と、
(v)良性、前悪性および悪性病変のFTIRスペクトルにおける核酸およびタンパク質の強度比の比較計算に基づく、良性、前悪性および悪性皮膚腫瘍に共通するパターンの決定工程と、
(vi)良性、前悪性および悪性皮膚病変の表皮由来のFTIRスペクトルにおける核酸および蛋白質の強度比の比較計算に基づく、病理学の各タイプに特異的なパターンの決定。健康な表皮の決定されたパターンとの比較工程とからなる方法。
2. 個々の患者、および良性、前癌性、および悪性の皮膚病変を有する患者間の、請求項1に記載の工程からなる比較分析方法。
3. 良性、前癌性、および悪性皮膚病変の分析に関連する病理学の一タイプに対する、請求項1のステップで構成される比較分析方法。
4. 異なるタイプの表皮皮膚癌に対する、請求項1の工程からなる比較分析方法。
5. 測定された皮膚腫瘍の腫瘍細胞における活性のグレードの指標のための、以下の工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、この方法は、
・DNA-RNA対DNA-タンパク質相互作用の活性レベルを、以下の比例比:I(DNA/RNAトライアドピークの合計平均値 対 1245cm-1)により計算工程と、
・比例比、すなわちDNA/RNAトライアドピークの合計平均値対1245cm-1と比較した、各割り当てられた核酸ピークの平均値の計算工程と、
・比例比、すなわちDNA/RNAトライアドピークの合計平均値対1245cm-1と比較した、割り当てられた各タンパク質(特異的および非特異的)ピークの平均値の計算工程と、
・900-1300cm-1領域におけるすべての決定された核酸ピークの強度と約1245cm-1におけるピークの強度との比較は、以下の強度ピーク比:I(965)/I (1245)、l(I055)II(1245)、l(DNA/RNA/RNAトライアドピーク間の最大ピーク)/I(1245)を計算することによって、比例比、すなわち、スタン平均DNA/RNAトライアドピーク対1245cm-lと比較する工程と、
・1300~1700cm-1領域における特異的および非特異的タンパク質について決定されたすべてのピークの強度と、約1650cm-1におけるアミドIピークの強度との比較工程であって、比例比、すなわち、合計平均DNA/RNAトライアドピークの合計対1245cm-1と比較して、以下のピーク比を計算することによって行った: I(1310)/I(1650)、I(1390)/I(1650)、I(1450)/I(1650)、I(l540)/I(1650)である工程と、
多重項(約1055cm-1のDNA/RNA)の活性レベルとDNA/RNAトライアド(約1071、1084、1095cm-1)のピークの活性のレベルとの比較工程からなる方法。
6. 請求項5に記載の工程を含む、良性、前癌性および悪性皮膚組織細胞間の活性の等級の系統的進行を分析する比較方法。
7. 異なるタイプの病理における悪性皮膚組織細胞における活性のグレードの系統的進行を分析する方法であって、請求項5に記載のステップを含む方法。
8. 1つの病理学的タイプ内の悪性皮膚組織細胞における活性のグレードの系統的進行を分析する方法であって、請求項5のステップを含む方法。