(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】折り畳み椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 4/04 20060101AFI20240307BHJP
A47C 9/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A47C4/04 B
A47C9/00 Z
(21)【出願番号】P 2023064116
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2018203135の分割
【原出願日】2018-10-29
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2018080908
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018122492
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598087841
【氏名又は名称】株式会社幸和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】海野 恭平
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259759(JP,A)
【文献】特開2002-191523(JP,A)
【文献】特開2017-196111(JP,A)
【文献】特開2000-210153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 4/04,4/28,5/10,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の前脚と、前記前脚に対して回動可能にそれぞれ軸支された一対の後脚と、水平状態と跳ね上げた状態との間で前記前脚および前記後脚に対して回動可能な座部とを備える折り畳み椅子であって、
前記後脚は、前記前脚よりも内側に配設されており、
前記座部は、前記後脚を支軸脚として当該支軸脚に回動可能に軸支されており、
前記前脚に対して前記後脚が軸支される位置は、前記支軸脚に対して前記座部が軸支される位置よりも前方にあり、
前記支軸脚に設けられる支軸は前記後脚から外向きに延設された延設部を有しており、前記延設部は前記折り畳み椅子を展開したときに前記前脚を支持する
折り畳み椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能な椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、使用しないときには折り畳んでおくことで、省スペース化ができる折り畳み椅子が多数開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された折り畳み椅子は、背もたれの背面に解除操作具が設けられており、当該解除操作具を操作することによって座部の底面に設けられたロック装置によるロック解除操作を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された折り畳み椅子は、折り畳み時に座部を跳ね上げる機構が複雑であり、かつ、座部の幅方向寸法に対して前後脚の幅方向寸法が大きいという問題があった、
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、構造が簡便で、かつ、前後脚の幅方向寸法が小さいコンパクトな折り畳み椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
一対の前脚と、前記前脚に対して回動可能にそれぞれ軸支された一対の後脚と、水平状態と跳ね上げた状態との間で前記前脚および前記後脚に対して回動可能な座部とを備える折り畳み椅子であって、
前記後脚は、前記前脚よりも内側に配設されており、
前記座部は、前記後脚を支軸脚として当該支軸脚に回動可能に軸支されており、
前記前脚に対して前記後脚が軸支される位置は、前記支軸脚に対して前記座部が軸支される位置よりも前方にあり、
前記支軸脚に設けられる支軸は前記後脚から外向きに延設された延設部を有しており、前記延設部は前記折り畳み椅子を展開したときに前記前脚を支持する
折り畳み椅子が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡便な構造で折り畳み機構を構成することができ、かつ、座部の幅方向寸法に対して前後脚の幅方向寸法を小さくすることができる。以上により、構造が簡便で、かつ、前後脚の幅方向寸法が小さいコンパクトな折り畳み椅子を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10の斜視図である。
【
図2】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10の正面図である。
【
図3】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10の背面図である。
【
図4】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10の平面図(肘掛け24を展開した状態(a);跳ね上げた状態(b))である。
【
図5】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10の底面図である。
【
図6】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10の左側面図である。
【
図7】本発明が適用された実施形態に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図8】折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図9】変形例1に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における斜視図である。
【
図10】変形例1に係る折り畳み椅子10を展開した状態における斜視図である。
【
図11】変形例2に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における斜視図である。
【
図12】変形例3に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における斜視図である。
【
図13】変形例4に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図14】変形例5に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図15】変形例6に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図16】変形例7に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図17】変形例8に係る折り畳み椅子10における座部16の座面形状を示す平面図である。
【
図18】変形例8に係る折り畳み椅子10における座部16の座面形状を示す平面図である。
【
図19】変形例9に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図20】変形例9に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における断面図である。
【
図21】変形例9における他の実施形態に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図22】変形例9における他の実施形態に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図23】変形例9における他の実施形態に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図24】変形例9における他の実施形態に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図25】変形例9における他の実施形態に係る折り畳み椅子10を折り畳んだ状態における座部16の底面を中心に拡大した図である。
【
図26】肘掛け24の構造について説明するための模式図である。
【
図27】肘掛け24の構造について説明するための断面図である。
【
図28】肘掛け24の変形例1に関する構造を説明するための斜視図である。
【
図29】肘掛け24の変形例1に関する構造を説明するための断面図である。
【
図30】肘掛け24の変形例2に関する構造を説明するための図である。
【
図31】肘掛け24の変形例3に関する構造を説明するための図である。
【
図32】肘掛け24の変形例3に関する構造を説明するための図である。
【
図33】肘掛け24の変形例3に係る軸支手段133を示す図である。
【
図34】肘掛け24の変形例3に関し、軸部材168が抜き出された状態を示す図である。
【
図35】軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図36】
図35に示す実施形態において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図37】位置関係変形例1における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図38】位置関係変形例1において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図39】位置関係変形例2における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図40】位置関係変形例2において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図41】位置関係変形例3における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図42】位置関係変形例3において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図43】位置関係変形例4における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図44】位置関係変形例4において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図45】位置関係変形例5における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図46】位置関係変形例5において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図47】位置関係変形例6における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図48】位置関係変形例6において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図49】位置関係変形例7における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図50】位置関係変形例7において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図51】位置関係変形例8における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図52】位置関係変形例8において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図53】位置関係変形例9における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【
図54】位置関係変形例9において、本体部材144を設けない場合における、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(折り畳み椅子10の構成について)
図1から
図7を用いて、本実施形態に係る折り畳み椅子10(以下、単に「椅子10」という)の構成について説明する。本実施形態に係る椅子10は、大略、一対の前脚12と、一対の後脚14と、座部16と、リンク接続バー18と、リンクバー20と、背もたれ22と、肘掛け24とを備えている。なお、背もたれ22および肘掛け24については、本発明の必須構成要素ではなく、これらを設けなくてもよい。
【0011】
なお、本明細書を通じて、椅子10に座ったユーザが向く方向を「前方」といい、この反対方向を「後方」という。
【0012】
前脚12は、断面円形のパイプ材を曲げることによって形成された部材である。本実施形態において、前脚12は、椅子10を展開した状態(つまり、
図1から
図6に示す状態)において、後方から前方に向かって、やや前方の下方向に向けて延びる背もたれ支持部26と、これに続いて水平方向に延びる水平部28と、さらにこの水平部28に続いて再び前方の下方向に向けて延びる前脚部30とで一体的に構成されている。また、前脚部30の下方先端には脚ゴム32が取り付けられている。
【0013】
一対の前脚12は、それぞれの背もたれ支持部26における上側端が水平に延びる背もたれ取付部34で互いに連結されている。つまり、本実施形態における一対の前脚12は、1本のパイプ材を曲げることによって形成されている。もちろん、複数のパイプ材を組み合わせて一対の前脚12を構成してもよい。
【0014】
なお、本実施形態における前脚12の下端部は二重パイプ構造になっており、外パイプ36の表面には所定の間隔で複数個の高さ調節孔38が形成されており、内パイプ40からは、当該内パイプ40の表面から出没自在であって、いずれかの高さ調節孔38に嵌め込まれる高さ調節ピン42が設けられている。これにより、前脚12における前脚部30の長さを調節して、床から座部16までの高さを調節することができる。
【0015】
後脚14は、前脚12と同様に、断面円形のパイプ材を曲げることによって形成された部材である。本実施形態において、後脚14は、椅子10を展開した状態で前方から後方に向かって、水平方向からやや後方下向きに延びる座部支持部44と、これに続いて後方の下方向に延びる後脚部46とで一体的に構成されている。また、後脚部46の下方先端にも脚ゴム48が取り付けられている。また、本実施形態において、一つの後脚14は、それぞれ別のパイプ材で構成されている。
【0016】
また、前脚12と同様、後脚14の下端部も二重パイプ構造になっており、外パイプ50の表面には所定の間隔で複数個の高さ調節孔52が形成されており、内パイプ54からは、当該内パイプ54の表面から出没自在であって、いずれかの高さ調節孔52に嵌め込まれる高さ調節ピン56が設けられている。
【0017】
本実施形態において、後脚14は、前脚12よりも内側に配設されている。また、一対の前脚12と一対の後脚14とは、前脚12における水平部28の中央部と、後脚14における座部支持部44の先端部とでそれぞれ互いに回動可能に軸支されている。具体的には、前脚12における水平部28の中央部に前脚側軸支孔58が形成されているとともに、後脚14における座部支持部44の先端部に後脚側軸支孔60が形成されており、これらに軸支ピン62が挿通されることにより前脚12と後脚14とが互いに回動自在になっている。また、
図6に示すように、本実施形態における前脚12と後脚14との軸支位置(つまり、前脚側軸支孔58等が形成されている位置)は、前脚12の前端と、後脚14の後端との間の中間位置にある。なお、後脚14を前脚12に軸支させる前脚側軸支孔58の位置は、上述のように前脚12における水平部28の中央部に限定されず、例えば、水平部28における前方側、つまり、前脚部30に近い位置に前脚側軸支孔58を設けてもよい。
【0018】
また、本実施形態において、後脚14の座部支持部44における後脚側軸支孔60よりもやや後方には、座部16を後脚14で軸支する座部軸支ピン64が嵌挿される座部軸支孔66が形成されている。つまり、本実施形態における一対の後脚14は、座部16を回動可能に軸支する「支軸脚」となっている。また、前脚12に対して後脚14が軸支される位置(例えば、後脚側軸支孔60の位置)は、支軸脚(つまり、後脚14)に対して座部16が軸支される位置(つまり、座部軸支孔66)よりも前方にある。
【0019】
さらに、本実施形態において、後脚14の座部支持部44における座部軸支孔66の位置には、椅子10を展開したときにおいて前脚12の水平部28を下から支える前脚支持部63が外向きに突設されている。この前脚支持部63は、上述した座部軸支ピン64の一部を後脚14から外向きに突出させ、この座部軸支ピン64をパイプ状の前脚支持部材65の中心に挿通することによって構成されている。
【0020】
座部16は、ユーザが腰掛けるための座面を有する部材であり、水平状態と跳ね上げた状態との間で前脚12や後脚14に対して回動可能になっている。具体的に説明すると、上述のように、座部16は、支軸脚である一対の後脚14間において、座部軸支ピン64によって回動可能に軸支されている。このため、本実施形態における座部16の後方両側面には、座部軸支ピン64を受け入れる座部軸支ピン穴68がそれぞれ形成されている。また、本実施形態において、座部16の座面形状は、前方部分の幅が比較的広く、逆に後方部分の幅が比較的狭い形状となっている(
図4(b)を参照)。
【0021】
また、
図8に示すように、座部16の底面における前方中央部には、椅子10が展開されて当該座部16が水平状態にあるときにリンク接続バー18に係合するストッパ70が設けられている。本実施形態におけるストッパ70は、係合ツメ72が形成されたその下端部が座部16の底面に対して揺動可能に取り付けられており、当該係合ツメ72がリンク接続バー18に係合することで座部16の水平状態を維持できるようになっている。
【0022】
さらに、座部16の底面における前方両側部には、座部16が水平状態にあるときにリンク接続バー18に当接することで、当該リンク接続バー18で座部16の前方部を支持する一対の支持突部74が形成されており、当該支持突部74には、それぞれリンク接続バー18が嵌まる嵌込溝76が形成されている。
【0023】
また、座部16の底面における、後方端部の座部軸支ピン穴68が形成された位置よりもやや前方には、一対のブラケット78が設けられている。このブラケット78は、互いに平行に対向する一対のブラケット板材80でそれぞれ構成されており、一対のブラケット板材80は、リンクバー20の他端部が嵌まる程度の間隔をあけて配置されている。また、各ブラケット板材80には、リンクバー20の他端部をブラケット78に対して軸着する軸着ピン79が嵌挿される軸着ピン嵌挿孔81が形成されている。
【0024】
なお、一対のブラケット78を設ける位置は、上述のような座部16の底面における後方端部の座部軸支ピン穴68が形成された位置よりも前方に限定されるものではなく、当該座部軸支ピン穴68が形成された位置よりも後方であってもよい。
【0025】
また、本実施形態における座部16は、比較的硬質の材料で形成された座部底部材に対して、比較的軟質の材料で形成された座部表面部材を重ねることによって構成されているが、もちろん、1種類の材料で座部16を構成してもよいし、3種類以上の材料で座部16を構成してもよい。
【0026】
リンク接続バー18は、断面円形の中実棒材を曲げることによって形成された部材であり、一方の前脚12における水平部28と前脚部30とが互いに連結する部分の内側面にその一端が接続されており、他方の前脚12における水平部28と前脚部30とが互いに連結する部分の内側面にその他端が接続されている。また、本実施例におけるリンク接続バー18は、両端からそれぞれ内側に向けて略水平に延びる端部82と、中央部において端部82よりも前方やや下側で同じく略水平に延びる中央部84とで一体に構成されている。
【0027】
上述した座部16におけるストッパ70の係合ツメ72は、リンク接続バー18の中央部84に係合するようになっている。また、座部16における支持突部74の嵌込溝76には、リンク接続バー18の端部82が嵌め込まれる。
【0028】
このように、本実施形態における一対の前脚12は、それらの間でリンク接続バー18が架設された「リンク脚」となっている。
【0029】
リンクバー20は、一端がリンク接続バー18(より正確には、リンク接続バー18における端部82)に対して回動可能に接続されており、他端が座部16の底面に対して回動可能に接続された部材である。
【0030】
引き続き
図8を参照し、本実施形態において、リンクバー20の一端部はリンクバー本体部材86とリンク接続バー挟持部材88とで構成されており、これらリンクバー本体部材86およびリンク接続バー挟持部材88における互いに対向する面にはリンク接続バー18が嵌め込まれる凹所90,92がそれぞれ形成されている。それぞれの凹所90,92でリンク接続バー18を挟むようにして、ビス94などを用いてリンクバー本体部材86およびリンク接続バー挟持部材88を合体させることで、リンクバー20の一端がリンク接続バー18に対して回動可能に接続される。
【0031】
リンクバー20の他端部には、座部16の底面に形成されたブラケット78に当該リンクバー20の他端部を軸着させるための軸着ピン挿通孔96が形成されている。ブラケット78に形成された軸着ピン嵌挿孔81と、この軸着ピン挿通孔96とに軸着ピン79を嵌挿することにより、リンクバー20の他端が座部16の底面に対して回動可能に接続される。
【0032】
なお、本実施形態では、「支軸脚」である一対の後脚14同士の間に補強バー21が架設されているが、この補強バー21は本発明の必須の構成要素ではない。
【0033】
図1から
図7に戻り、背もたれ22は、座部16に腰掛けた状態のユーザの背中を後方から支えるための部材であり、上述のように、一対の前脚12の上側端を互いに連結する背もたれ取付部34に取り付けられている。もちろん、背もたれ22は、例えば、一対の前脚12における背もたれ支持部26に取り付けてもよいし、他の部材に取り付けてもよい。
【0034】
肘掛け24は、座部16に腰掛けた状態のユーザが肘を掛けるための部材である。本実施形態では、一対の前脚12における背もたれ取付部34の中央部から前方に突出するように一対の肘掛け24が取り付けられている。また、各肘掛け24における前脚12への取り付け部である肘掛け取付部98は、当該前脚12に対して肘掛け24の先端が回動可能となるように構成されており、かつ、椅子10を展開した状態において当該肘掛け24が略水平となる位置で回動が止まるようになっている。もちろん、肘掛け24は、他の部材に取り付けてもよい。
【0035】
(折り畳み椅子10の折り畳み手順)
上述した実施形態の折り畳み椅子10によれば、展開された状態(
図1から
図6に示す状態)から、以下の手順で折り畳むことができる。すなわち、座部16の底面に設けられたストッパ70を揺動させ、当該ストッパ70の下端部に形成された係合ツメ72をリンク接続バー18から外す。然る後、座部16の後端部側面に嵌挿された座部軸支ピン64を中心として当該座部16の前端部を持ち上げ(跳ね上げ)ていく。
【0036】
すると、座部軸支ピン64を中心として座部16が一対の後脚14に対して回動するとともに、座部16の底面に設けられたブラケット78に接続されたリンクバー20により、リンク接続バー18を介して一対の前脚12が後脚14に近づく方向に回動する。これにより、座部16を完全に持ち上げた状態で
図7に示すように椅子10が折り畳まれた状態になる。なお、本実施形態において、一対の肘掛け24は上述した座部16を持ち上げることによる折り畳み動作とは連動しておらず、別途、ユーザが肘掛け24を前脚12に対して跳ね上げるようになっている。
【0037】
図7に示す折り畳まれた状態から、再び、
図1から
図6に示す展開された状態にするには、上述した手順と逆の手順を進めていけばよい。
【0038】
(折り畳み椅子10の特徴)
本実施形態にかかる椅子10によれば、支軸脚である後脚14に回動可能に軸支された座部16の底面と、リンク脚である前脚12の間に架設されたリンク接続バー18との間にリンクバー20が回動可能に配設されており、これとともに後脚14が前脚12よりも内側に配設されていることから、簡便な構造で折り畳み機構を構成することができ、かつ、座部16の幅方向寸法に対して前脚12および後脚14の幅方向寸法を小さくすることができる。以上により、構造が簡便で、かつ、前脚12および後脚14の幅方向寸法が小さいコンパクトな折り畳み椅子10を提供することができる。
【0039】
(変形例1)
上述した実施形態では、座部16を回動可能に軸支する「支軸脚」が後脚14であり、リンク接続バー18が架設される「リンク脚」が前脚12である場合について説明したが、これを入れ替えてもよい。すなわち、
図9および
図10に示すように、座部16は、軸支ピン62によって前脚12における水平部28に形成された前脚側軸支孔100を中心として回動するようになっており、前脚12が座部16を回動可能に軸支する「支軸脚」となっている。また、リンク接続バー18の各端が各後脚14における座部支持部44の後方端部の側面に接続されており、後脚14がリンク接続バー18を架設する「リンク脚」となっている。
【0040】
なお、変形例1の場合、展開した状態において座部16における底面の前方端部を支える役割を有する座部支持バー102が一対の前脚12における水平部28と前脚部30との連結位置同士の間に架設されている。
【0041】
さらに、座部16の底面に設けられるストッパ70は、上述した実施形態と同様に、座部16の底面における前方端部に設けられて座部支持バー102に係合するようにしてもよいし、
図9および
図10に示すように、座部16の底面における後方端部に設けてリンク接続バー18に係合するようにしてもよい。
【0042】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、座部16の前端を上方に引き上げるようにして当該座部16を回動させて椅子10を折り畳んでいたが、これに変えて、
図11に示すように、座部16の後端を上方に引き上げるようにして当該座部16を回動させてもよい。この場合、椅子10を展開したときにおいて、前脚12に対して後脚14が軸支される位置(例えば、後脚側軸支孔60の位置)は、上述した実施形態と逆に、支軸脚(つまり、後脚14)に対して座部16が軸支される位置(つまり、座部軸支孔66)よりも後方になる。
【0043】
(変形例3)
さらに、
図12に示すように、前脚12を「支軸脚」にするとともに後脚14を「リンク脚」とし、さらに、座部16の後端を上方に引き上げて椅子10を折り畳むようにしてもよい。
【0044】
(変形例4)
上述した実施形態では、
図8に示すようにブラケット78を構成する一対のブラケット板材80同士の間にリンクバー20の他端部を嵌め込むようになっていたが、これに変えて、
図13に示すように座部16の後端部における側部に軸着ピン79が嵌挿される軸着ピン嵌挿孔81を設けて、ここにリンクバー20の他端部を軸着してもよい。
【0045】
(変形例5)
また、
図14に示すように、座部16の底面における後端部から椅子10の幅方向に延びる突出部104を形成し、この突出部104における椅子10の幅方向端面に軸着ピン嵌挿孔81を形成することにより、ここにリンクバー20の他端部を軸着してもよい。
【0046】
(変形例6)
さらに、
図15に示すように、座部16の底面における後端部から突設部106を2箇所形成し、これら突設部106のそれぞれに軸着ピン嵌挿孔81を形成し、突設部106の外側端面にリンクバー20の他端部を軸着してもよい。
【0047】
(変形例7)
また、
図16に示すように、座部16の底面における後端部から突設部106を2箇所形成し、これら突設部106のそれぞれに軸着ピン嵌挿孔81を形成し、突設部106の内側端面にリンクバー20の他端部を軸着してもよい。
【0048】
変形例4から7に挙げたように、座部16の底面とリンクバー20の他端部との連結態様は特定の態様に限定されるものではないが、いずれの態様でも、支軸脚(例えば、後脚14)に対して座部16が軸支される位置よりも、リンクバー20の他端部が軸着される位置(つまり、軸着ピン嵌挿孔81の位置)の方がリンク接続バー18に近い位置にある。
【0049】
(変形例8)
上述した実施形態における座部16の座面は、
図4(b)に示すように前方部分の幅が比較的広く、逆に後方部分の幅が比較的狭い形状となっていたが、座部16の座面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、
図17に示すように、前方部分の幅が比較的狭く、逆に後方部分の幅が比較的広い形状としてもよいし、
図18に示すように、前方部分の幅と後方部分の幅とを同じように設定してもよい。
【0050】
(変形例9)
さらに、
図19に示すように、座部16の底面に作用して当該座部16を上方へ回動付勢する回動付勢部材110を設けてもよい。
図19に示す実施形態の場合、回動付勢部材110としてねじりバネが使用されている。このねじりバネは、いわゆる「ダブル」のねじりバネであり、コイル部112と、第1アーム部114と、第2アーム部116とを有する「シングル」のねじりバネが2つ一組で一体的に形成されて本実施形態の回動付勢部材110を構成している。具体的には、双方の第1アーム部114の先端部が略直角に曲げられたうえで、当該第1アーム部114の先端同士が互いに接続された態様となっている。
【0051】
また、リンクバー20の他端部を座部16の底面に形成されたブラケット78に軸着させるための軸着ピン79の長さが当該ブラケット78の幅よりも長くなるように設定されており、ブラケット78から突出した軸着ピン79の両端部が両方のコイル部112に嵌挿されて位置決めされている。さらに、上述した、双方の第1アーム部114の先端部(略直角に曲げられた部分)がリンクバー20の表面に当接するようになっている。また、
図20に示すように、第2アーム部116の先端部も略直角に曲げられており、その曲げられた先端部が座部16の底面に形成された固定穴120に嵌挿されている。
【0052】
これにより、「ダブル」のねじりバネである回動付勢部材110が座部16の底面に作用して、リンクバー20に対して座部16の底面を上方へ回動付勢することになり、少しの力で座部16を持ち上げて折り畳み椅子10を折り畳むことができ、かつ、折り畳んだ状態から不所望に座部16が下方に回動するのを防止して折り畳んだ状態を維持することができる。
【0053】
図19に示す実施形態では、「ダブル」のねじりバネである回動付勢部材110が両方のリンクバー20に取り付けられていたが、もちろん、
図21に示すように、いずれか一方のリンクバー20のみに当該回動付勢部材110を取り付けてもよい。
【0054】
また、
図22に示すように、回動付勢部材110として「シングル」のねじりバネを使用してもよい。
【0055】
さらに、
図23に示すように、回動付勢部材110としていわゆる押しバネを使用してもよい。この場合、押しバネ(回動付勢部材110)の一端は、座部16の底面に当接しており、他端はリンクバー20の表面に当接するようになっている。もちろん、この態様の場合、押しバネに変えて、所定の弾性力を有するゴム等のエラストマを使用することもできる。
【0056】
また、
図24に示すように、回動付勢部材110として、短冊状の部材を折り曲げた板バネを使用してもよい。この態様の場合、板バネ(回動付勢部材110)は、その一方の端部が座部16の底面に当接し、他方の端部がリンクバー20の表面に当接するように配設される。
【0057】
また、
図25に示すような態様も「座部16の底面に作用して当該座部16を上方へ回動付勢する回動付勢部材110」に含まれる。この実施態様では、回動付勢部材110として「シングル」のねじりバネが使用されている。そして、前脚12と後脚14とを互いに回動自在に取り付ける軸支ピン62の先端部が折り畳み椅子10の内側に向けて突出しており、この突出した先端部がねじりバネのコイル部112に嵌挿されている。また、各前脚12における水平部28の側面から内側に向けてアーム部係止ピン122が突設されている。さらに、ねじりバネ(回動付勢部材110)の第1アーム部114がアーム部係止ピン122に係止され、第2アーム部116が座部16の底面に当接するようになっている。これにより、ねじりバネ(回動付勢部材110)が座部16の底面に作用して、座部16を上方へ回動付勢することができる。
【0058】
(肘掛け24について)
次に、本件発明に係る折り畳み椅子10に取り付けられた肘掛け24について詳細に説明する。上述ように、肘掛け24は、肘掛け取付部98を有しており、前脚12における座部16よりも上方に延びたフレーム130に対して当該肘掛け24の先端が回動可能となっている。また、肘掛け24は、本発明の必須構成要素ではないところ、折り畳み椅子10に設けなくてもよく、つまり、取り付け自由又は自在なものである。
【0059】
図26および
図27に示すように、肘掛け24は、大略、肘掛け本体132と、軸支手段133と、回動規制手段134とを有している。なお、上述した肘掛け取付部98は、軸支手段133および回動規制手段134で構成されている。
【0060】
肘掛け本体132は、略直線棒状の部材であり、肘掛け取付部98が設けられた一端部が前脚12のフレーム130に取り付けられている。この肘掛け本体132はユーザが直接触れる部材であるから、当該肘掛け本体132の表面をウレタンや樹脂等の軟質素材で覆うのが好適である。
【0061】
また、肘掛け本体132の一端部には、互いに離間対向する左右一対の取付部138が形成されており(
図27)、これら取付部138同士の間にフレーム130が嵌め込まれるようになっている。
【0062】
さらに、肘掛け本体132における一対の取付部138の間には、受け棒147が架設されている。この受け棒147は、肘掛け本体132をユーザが使用可能な位置である展開位置まで下方向に回動させたとき、当該受け棒147が軸支手段133よりも低い位置、かつ、フレーム130の正面側において、本体部材144に当接する位置に配設されている。
【0063】
軸支手段133は、肘掛け本体132を前脚12のフレーム130に対して回動可能に取り付ける手段であり、例えば、六角穴付きボルト・ナット等が考えられる。本実施形態では、肘掛け本体132における一対の取付部138にそれぞれ軸支手段挿入孔140が形成されており、また、本体部材144にも軸支手段挿入第2孔141が形成されており、さらに、前脚12のフレーム130にも軸支手段挿通孔142が形成されている。軸支手段133が一方の軸支手段挿入孔140、軸支手段挿入第2孔141、軸支手段挿通孔142、そして他方の軸支手段挿入第2孔141、軸支手段挿入孔140の順に挿通されることにより、肘掛け本体132がフレーム130に対して回動可能に取り付けられている。
【0064】
回動規制手段134は、本実施形態の場合、略筒状の本体部材144と、受け部位146と、当り部位148とを有している。
【0065】
本体部材144は、フレーム130における肘掛け本体132が取り付けられる部分を覆う部材である。本実施形態に係る本体部材144は半割り構造になっており、一対の本体部材片145で構成されている。フレーム130を挟むようにしてこれら本体部材片145同士を組み合わせることで、フレーム130を覆う本体部材144が完成する。この本体部材144が取り付けられた後、当該本体部材144とともにフレーム130が肘掛け本体132における一対の取付部138同士の間に嵌め込まれるようになっている。
【0066】
受け部位146は、肘掛け本体132が展開状態にある場合において、当該肘掛け本体132の他端部(先端部)をさらに下向きに回動させる方向に加えられた力を直接受ける部位である。本実施形態では、本体部材144における、上述した受け棒147によって当接される部位がこの受け部位146に該当する。
【0067】
当り部位148は、上述した受け部位146に加えられた力により、本体部材144が軸支手段133を支点として理論上回動して、フレーム130を外側から押す部位である。本実施形態では、本体部材144における、軸支手段133よりも上側で、かつ、フレーム130の背面側の端が当り部位148になる。
【0068】
なお、本実施形態において、肘掛け本体132の取付部138に対応する位置の外面には、軸支手段133や受け棒147が外部から直接見えないようにするカバー150が取り付けられている。なお、当該カバー150は、本発明の必須構成部材ではない。
【0069】
本実施形態に係る肘掛け24は、軸支手段133によって前脚12のフレーム130に軸支されており、かつ、肘掛け本体132をユーザが使用可能な展開位置まで下方向に回動させたときに受け棒147が本体部材144の受け部位146を押圧し、軸支手段133を介してフレーム130がこの力の一部を受け止めるとともに、本体部材144の当り部位148がフレーム130に当接して残りの力を受け止めるので、ユーザが使用可能な展開位置から、略垂直に立てる収納位置まで、肘掛け本体132をフレーム130に対して回動させることができるとともに、展開位置において、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとしても、肘掛け本体132がその展開位置を維持することができる。
【0070】
また、フレーム130を覆うように本体部材144を取り付けており、さらに、受け棒147を肘掛け本体132に形成された取付部138間に架設していることにより、軸支手段133を抜き取った後、フレーム130から肘掛け本体132と本体部材144とを外してしまうと、フレーム130には軸支手段挿通孔142のみが残るだけで、突起物等が不所望に残ることがない。このため、肘掛け24全体を外した状態で、肘掛け24の無い折り畳み椅子10としても違和感無く使用できる。
【0071】
(肘掛け24の変形例1)
上述した実施形態では、軸支手段133として六角穴付きボルトが使用されているが、これに代えて、
図28および
図29に示すように、ローレット付きボルトを使用してもよい。このようにローレット付きボルトを軸支手段133として用いることにより、例えばユーザが低介護状態の場合等のように肘掛け24が不要な場合において、工具を用いることなく軸支手段133を取り外して肘掛け本体132をフレーム130から外し、然る後、本体部材144をフレーム130から外すことにより、肘掛け24全体を取り外すことができる。
【0072】
(肘掛け24の変形例2)
また、工具を用いることなく取り外すことのできる軸支手段133の他の例としては、
図30に示すように、軸支手段133を一対の円盤状部材160と丸棒状の軸部材162とで構成してもよい。
【0073】
軸部材162の一端は一方の円盤状部材160の内側面における中心位置に接続されており、他端部には雄ネジが形成されている。そして、他方の円盤状部材160の内側面における中心位置には、当該雄ネジが螺合される雌ネジが形成されている。また、各円盤状部材160の外側面には、当該円盤状部材160を回す際にユーザが掴むツマミ164が突設形成されている。
【0074】
これにより、フレーム130に肘掛け24を取り付ける際には、軸部材162の先端部を軸支手段挿入孔140等に挿入し、ツマミ164を回して他方の円盤状部材160に形成された雌ネジに螺合させる。逆に、フレーム130から肘掛け24を取り外す際には、ツマミ164を回して両円盤状部材160を互いに分離させ、軸支手段挿入孔140等から軸部材162を抜き出すことにより、肘掛け24全体を取り外すことができる。
【0075】
(肘掛け24の変形例3)
さらに、工具を用いることなく取り外すことのできる軸支手段133の別の例としては、
図31から
図34に示すように、軸支手段133を円盤状部材166と、軸部材168と、軸押さえ部材172と、軸押さえ部材付勢部材174とで構成してもよい。
【0076】
円盤状部材166には、軸部材168が摺動自在に嵌挿された軸部材嵌挿孔176が形成されている(
図33)。また、軸押さえ部材172が円盤状部材166の表面に回動自在に取り付けられており、当該軸押さえ部材172が軸部材168の先端を押さえる方向に付勢する位置に軸押さえ部材付勢部材174が配設されている。さらに、軸部材168の先端は、軸押さえ部材172に対して回動自在に取り付けられている。
【0077】
これにより、自然状態において、軸押さえ部材付勢部材174によって付勢された軸押さえ部材172が軸部材168の先端を押さえることにより、軸部材嵌挿孔176に軸部材168が押し込まれる。円盤状部材166自体が肘掛け本体132に固定されているので、このように軸部材168が押し込まれた状態で当該軸部材168の反対側端が軸支手段挿通孔142に入った状態になっている。
【0078】
このように、フレーム130の両側から、軸支手段挿通孔142に軸部材168が入った状態になっているので、肘掛け本体132がフレーム130に対して取り付けられた状態となる。
【0079】
逆に、フレーム130から肘掛け24を取り外す際には、軸押さえ部材付勢部材174の付勢力に抗して軸押さえ部材172を逆方向に傾けることにより(
図34)、軸部材168が軸支手段挿通孔142から抜き出される。これにより、工具を用いることなく肘掛け24全体を取り外すことができる。
【0080】
(軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係に関する変形例)
上述した実施形態では、軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係が、
図35に示すように、軸支手段133がフレーム130を貫通する位置にあり、受け部位146の位置が当該軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側(ユーザが座部16に腰掛けたときに向かう側の面。以下同じ。)にあり、さらに、当り部位148の位置が軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側(上述した正面側とは反対の側。以下同じ。)にある。
【0081】
また、本体部材144を設けない場合、
図36に示すように、受け棒147を肘掛け本体132における一対の取付部138間に設けることになる。より具体的には、肘掛け24の展開位置において、当該受け棒147の位置は、軸支手段133よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に当接するように設定されている。これにより、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130と当接する位置である受け部位146に当接し、フレーム130の同じ位置にある当り部位148が当該応力を受け止める。
【0082】
ところで、ユーザが使用可能な展開位置から、略垂直に立てる収納位置まで、肘掛け本体132をフレーム130に対して回動させることができるとともに、展開位置において、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとしても、肘掛け本体132がその展開位置を維持することができるようにすることは、
図35や
図36に示すような軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を変えても成立する。
【0083】
そこで以下では、これら軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係に関する変形例(以下、単に「位置関係変形例」という。)について説明する。
【0084】
(位置関係変形例1)
軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図37に示すように、フレーム130を貫通する位置に軸支手段133を設定し、受け部位146、および、当り部位148の位置を、互いに基本的に同じ位置である、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定してもよい。
【0085】
この場合、肘掛け本体132に取り付けられた受け棒147も、肘掛け本体132が展開位置にあるとき、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に配置されている。これにより、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、基本的に同じ位置にある当り部位148がフレーム130に当接して当該応力が受け止められる。
【0086】
また、本体部材144を設けない場合、
図38に示すように、肘掛け本体132における一対の取付部138間に設けられた受け棒147は、肘掛け本体132が展開位置にあるとき、軸支手段133よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に当接するように設定されている。これにより、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130と当接する位置である受け部位146に当接し、フレーム130の同じ位置にある当り部位148が当該応力を受け止める。
【0087】
(位置関係変形例2)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図39に示すように、フレーム130を貫通する位置に軸支手段133を設定し、受け部位146を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定し、また、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、受け部位146の位置よりも高く、さらに、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0088】
この場合、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、本体部材144は、例えば図示するように、受け棒147によって受け部位146が図中反時計回りに押圧されるので、この押圧力を受け止められるように本体部材144には、図中左側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。なお、突起部当接部182の形状は図示するような直線状に限定されるものではなく、例えば突起部180が嵌まるような孔を本体部材144に形成した場合、当該孔の左側円弧部が突起部当接部182に該当する。
【0089】
これにより、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、軸支手段133を中心として図中反時計回りに回動しようとするが、突起部当接部182にある当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0090】
また、本体部材144を設けない場合、
図40に示すように、肘掛け本体132における一対の取付部138間に設けられた受け棒147は、肘掛け本体132が展開位置にあるとき、軸支手段133よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に当接するように設定されている。また、フレーム130における、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、受け部位146の位置よりも高い位置から突起部180が突設されており、かつ、例えば図示するように、肘掛け本体132には、図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。そして、突起部180と突起部当接部182が互いに当接する位置が、当り部位148となる。
【0091】
これにより、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の受け部位146に当接するとともに、フレーム130に形成された突起部180にある当り部位148が肘掛け本体132に形成された突起部当接部182に当接することにより、当該応力が受け止められる。
【0092】
(位置関係変形例3)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図41に示すように、フレーム130を貫通する位置に軸支手段133を設定し、受け部位146を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130と重なる位置に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0093】
この場合、本体部材144には、例えば図示するように受け棒147からの応力を受け止められるように図中右側から受け棒147に当接する受け棒当接部184が形成されている。加えて、肘掛け本体132をはね上げて収納する際に受け棒147に干渉しないように、当該受け棒当接部184よりも図中左側(つまり、肘掛け本体132をはね上げる際に受け棒147が通過する部分)には切り欠き186が形成されている。さらに、受け棒147が肘掛け本体132における一対の取付部138間に架設されていると、当該受け棒147がフレーム130に干渉してしまうので、この変形例の場合、受け棒147は、フレーム130に干渉しない程度に一対の取付部138における互いに対向する面から突設されている。
【0094】
また、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、本体部材144は、例えば図示するように、受け棒147によって受け部位146が図中反時計回りに押圧されるので、この押圧力を受け止められるように本体部材144には、図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。なお、突起部当接部182の形状は図示するような直線状に限定されるものではなく、例えば突起部180が嵌まるような孔を本体部材144に形成した場合、当該孔の左側円弧部が突起部当接部182に該当する。
【0095】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、軸支手段133を中心として図中反時計回りに回動させようとするが、軸支手段133を介してフレーム130がこの応力の一部を受け止めるとともに、突起部当接部182にある当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して残りの応力が受け止められる。
【0096】
また、当該位置関係変形例3の場合も、本体部材144を設けない場合、
図42に示すように、フレーム130には、例えば図示するように受け棒147からの応力を受け止められるように図中右側から受け棒147に当接される受け棒当接部184が形成されている。加えて、受け棒147が肘掛け本体132における一対の取付部138間に架設されていると、当該受け棒147がフレーム130に干渉してしまうので、この変形例の場合、受け棒147は、フレーム130に干渉しない程度に一対の取付部138における互いに対向する面から突設されている。
【0097】
また、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、取付部138には、図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。
【0098】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、受け棒当接部184の受け部位146に当接するとともに、突起部当接部182にある当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0099】
(位置関係変形例4)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図43に示すように、フレーム130を貫通する位置に軸支手段133を設定し、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、受け部位146よりも低く、さらに、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0100】
また、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、本体部材144は、例えば図示するように、受け棒147によって受け部位146が図中反時計回りに押圧されるので、この押圧力を受け止められるように本体部材144には、図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。なお、突起部当接部182の形状は図示するような直線状に限定されるものではなく、例えば突起部180が嵌まるような孔を本体部材144に形成した場合、当該孔の左側円弧部が突起部当接部182に該当する。
【0101】
さらに、肘掛け本体132に取り付けられた受け棒147も軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に配置されている。これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、軸支手段133を中心として図中反時計回りに回動しようとするが、突起部当接部182にある当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0102】
また、当該位置関係変形例4の場合も、本体部材144を設けない場合、
図44に示すように、フレーム130を貫通する位置に軸支手段133を設定し、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、受け部位146よりも低く、さらに、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0103】
また、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、肘掛け本体132における取付部138には、図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。
【0104】
さらに、肘掛け本体132に取り付けられた受け棒147も軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に配置されている。これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の表面にある受け部位146に当接するとともに、突起部当接部182にある当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0105】
ここまでの位置関係変形例では、軸支手段133がフレーム130を貫通する位置に設定されていたが、以下の位置関係変形例では、軸支手段133がフレーム130の正面側あるいは背面側に位置している場合について説明する。このようにフレーム130の正面側あるいは背面側に軸支手段133を配置(間接固定)する手段としては、軸支手段133をフレーム130の表面に対して溶接や接着等すること、あるいは、フレーム130からブラケット190を突設させ、当該ブラケット190に軸支手段133を固定する手段等が考えられる。とりわけ、上記ブラケット190等の「第三の部材」自体をフレーム130から着脱自在にしておくことで、肘掛け24を外した後のフレーム130に突起物等が不所望に残ることがない。このため、肘掛け24全体を外した状態で、肘掛け24の無い折り畳み椅子10としても違和感無く使用できる。
【0106】
(位置関係変形例5)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図45に示すように、例えば図示しないブラケットを用いてフレーム130の背面側に軸支手段133の位置を設定し、受け部位146、および、当り部位148の位置を、互いに基本的に同じ位置である、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定してもよい。
【0107】
この場合、肘掛け本体132に取り付けられた受け棒147も、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に配置されている。これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、基本的に同じ位置にある当り部位148がフレーム130に当接して当該応力が受け止められる。
【0108】
また、当該位置関係変形例5の場合も、本体部材144を設けない場合、
図46に示すように、フレーム130の背面側に軸支手段133の位置を設定可能なブラケット190を設け、受け部位146、および、当り部位148の位置を、互いに同じ位置である、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定してもよい。
【0109】
この場合、肘掛け本体132における一対の取付部138間に取り付けられた受け棒147も、肘掛け本体132が展開位置にあるとき、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に配置されている。これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の受け部位146に当接し、フレーム130における同じ位置にある当り部位148が当該応力を受け止める。
【0110】
(位置関係変形例6)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図47に示すように、例えば図示しないブラケットを用いてフレーム130の背面側に軸支手段133の位置を設定し、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0111】
この場合、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、本体部材144は、受け棒147によって受け部位146が図中反時計回りに押圧されるので、本体部材144には、例えば図示するように、この押圧力を受け止められるように図中左側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。なお、突起部当接部182の形状は図示するような直線状に限定されるものではなく、例えば突起部180が嵌まるような孔を本体部材144に形成した場合、当該孔の左側円弧部が突起部当接部182に該当する。
【0112】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、軸支手段133を中心として図中反時計回りに回動させようとするが、突起部当接部182における当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0113】
また、当該位置関係変形例6の場合も、本体部材144を設けない場合、
図48に示すように、フレーム130の背面側に軸支手段133の位置を設定可能なブラケット190を設け、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0114】
この場合、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、肘掛け本体132には、図中左側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。
【0115】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の受け部位146に当接するとともに、突起部当接部182における当り部位148がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0116】
(位置関係変形例7)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図49に示すように、例えば図示しないブラケットを用いてフレーム130の正面側に軸支手段133の位置を設定し、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定してもよい。
【0117】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、軸支手段133を中心として図中反時計回りに回動させようとするが、軸支手段133を介してフレーム130がこの応力の一部を受け止めるとともに、当り部位148がフレーム130に当接して残りの応力が受け止められる。
【0118】
また、当該位置関係変形例7の場合も、本体部材144を設けない場合、
図50に示すように、フレーム130の正面側に軸支手段133の位置を設定可能なブラケット190を設け、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも低く、かつ、フレーム130の正面側に設定し、さらに、受け部位146と同じ位置に当り部位148の位置を設定してもよい。
【0119】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の表面における受け部位146に当接するとともに、フレーム130における同じ位置にある当り部位148が当該応力を受け止める。
【0120】
(位置関係変形例8)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図51に示すように、例えば図示しないブラケットを用いてフレーム130の正面側に軸支手段133の位置を設定し、受け部位146の位置、および、当り部位148の位置を、互いに同じ位置である、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定してもよい。
【0121】
この場合、肘掛け本体132に取り付けられた受け棒147も、肘掛け本体132が展開位置にあるときにおいて、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に配置されている。これにより、肘掛け本体132が展開位置にあるとき、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、同じ位置にある当り部位148によって当該応力が受け止められる。
【0122】
また、当該位置関係変形例8の場合も、本体部材144を設けない場合、
図52に示すように、フレーム130の正面側に軸支手段133の位置を設定可能なブラケット190を設け、受け部位146の位置、および、当り部位148の位置を、互いに同じ位置である、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定してもよい。
【0123】
また、肘掛け本体132に取り付けられた受け棒147も、肘掛け本体132が展開位置にあるときにおいて、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に配置されている。これにより、肘掛け本体132が展開位置にあるとき、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の表面における受け部位146に当接し、同じ位置にある当り部位148によって当該応力が受け止められる。
【0124】
(位置関係変形例9)
本変形例に係る軸支手段133、受け部位146、および、当り部位148の位置関係を、
図53に示すように、例えば図示しないブラケットを用いてフレーム130の正面側に軸支手段133の位置を設定し、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、受け部位146よりも低く、さらに、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0125】
この場合、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、本体部材144は、例えば図示するように、受け棒147によって受け部位146が図中反時計回りに押圧されるので、本体部材144には、この押圧力を受け止められるように図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。なお、突起部当接部182の形状は図示するような直線状に限定されるものではなく、例えば突起部180が嵌まるような孔を本体部材144に形成した場合、当該孔の右側円弧部が突起部当接部182に該当する。
【0126】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、本体部材144の受け部位146に当接し、軸支手段133を中心として図中反時計回りに本体部材144を回動させようとするが、突起部当接部182がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0127】
また、当該位置関係変形例9の場合も、本体部材144を設けない場合、
図54に示すように、フレーム130の正面側に軸支手段133の位置を設定可能なブラケット190を設け、受け部位146の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、フレーム130の背面側に設定し、さらに、当り部位148の位置を、軸支手段133の位置よりも高く、かつ、受け部位146よりも低く、さらに、フレーム130と重なる位置に設定してもよい。
【0128】
また、フレーム130の表面における当り部位148に対応する位置から突起部180が突設されており、かつ、肘掛け本体132における一対の取付部138には、図中右側から突起部180に当接する突起部当接部182が形成されている。
【0129】
これにより、肘掛け本体132が展開位置にあり、ユーザが肘掛け本体132の先端部をさらに下方向に回動させる応力を加えたとき、受け棒147は、フレーム130の受け部位146に当接するとともに、突起部当接部182がフレーム130に形成された突起部180に当接して当該応力が受け止められる。
【0130】
(肘掛け24に関するその他の変形例)
ここまでに説明した肘掛け24の構造に関するバリエーション全体を通して、軸支手段133は、フレーム130を貫通する長さに設定してもよいし、これに代えて、軸支手段133の長さを短く設定して、フレーム130の断面中心部に相当する部分では軸支手段133が互いに接続されていない状態にしてもよい。
【0131】
また、受け棒147についても同じく、受け部位146がフレーム130に重なっているケースを除き、フレーム130の径以上の長さに設定してもよいし、これに代えて、長さを短く設定して、フレーム130の断面中心部に相当する部分では受け棒147が互いに接続されていない状態にしてもよい。
【0132】
さらに、フレーム130に形成された軸支手段挿通孔142は、1箇所に限定されるものではなく、フレーム130の上下方向に複数形成してもよい。このようにフレーム130の上下方向に複数の軸支手段挿通孔142を形成することにより、どの軸支手段挿通孔142に軸支手段133を挿通するかを選択して、肘掛け24の高さ方向の位置を調整できる点で好適である。
【0133】
また、上述した実施例において、肘掛け本体132は、前脚12における座部16よりも上方に延びたフレーム130に取り付けられていたが、これに代えて、後脚14から座部16よりも上方にフレーム130を延出させ、当該後脚14からのフレーム130に肘掛け本体132を取り付けてもよい。
【0134】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0135】
10…折り畳み椅子(椅子)、12…前脚、14…後脚、16…座部、18…リンク接続バー、20…リンクバー、21…補強バー、22…背もたれ、24…肘掛け、26…背もたれ支持部、28…水平部、30…前脚部、32…(前脚12の)脚ゴム、34…背もたれ取付部、36…(前脚12の)外パイプ、38…(前脚12の)高さ調節孔、40…(前脚12の)内パイプ、42…(前脚12の)高さ調節ピン、44…座部支持部、46…後脚部、48…(後脚14の)脚ゴム、50…(後脚14の)外パイプ、52…(後脚14の)高さ調節孔、54…(後脚14の)内パイプ、56…(後脚14の)高さ調節ピン、58…前脚側軸支孔、60…後脚側軸支孔、62…軸支ピン、63…前脚支持部、64…座部軸支ピン、65…前脚支持部材、66…座部軸支孔、68…座部軸支ピン穴、70…ストッパ、72…係合ツメ、74…支持突部、76…嵌込溝、78…ブラケット、79…軸着ピン、80…ブラケット板材、81…軸着ピン嵌挿孔、82…端部、84…中央部、86…リンクバー本体部材、88…リンク接続バー挟持部材、90…凹所、92…凹所、94…ビス、96…軸着ピン挿通孔、98…肘掛け取付部、100…前脚側軸支孔、102…座部支持バー、104…突出部、106…突設部
110…回動付勢部材、112…コイル部、114…第1アーム部、116…第2アーム部
120…固定穴、122…アーム部係止ピン
130…(前脚12の)フレーム、132…肘掛け本体、133…軸支手段、134…回動規制手段、138…取付部、140…軸支手段挿入孔、141…軸支手段挿入第2孔、142…軸支手段挿通孔、144…本体部材、145…本体部材片、146…受け部位、147…受け棒、148…当り部位、150…カバー
160…円盤状部材、162…軸部材、164…ツマミ、166…円盤状部材、168…軸部材、172…軸押さえ部材、174…軸押さえ部材付勢部材、176…軸部材嵌挿孔、180…突起部、182…突起部当接部、184…受け棒当接部、186…切り欠き、190…ブラケット