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  • 特許-注出キャップおよび容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】注出キャップおよび容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019228718
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021095201
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-004362(JP,U)
【文献】特公昭46-037474(JP,B1)
【文献】特開2018-090263(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0134455(US,A1)
【文献】特開平09-142512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられる注出キャップであって、
容器に取り付けられる本体と、
容器内の半固体状や泥状又は液状の内容物が導入開口部を通して導入される貯留室と、
貯留室内でスライド自在に配置されたスライド体と、
スライド体を導入開口部側に付勢する付勢体と、
貯留室内の内容物を注出する注出部と、
を備え、
付勢体はコイルばねから構成され、
スライド体には、内容物を、貯留室におけるスライド体よりも導入開口部側の領域と注出部側の領域との間で通す貫通孔が形成され、スライド体が、貯留室において最も導入開口部側に位置した場合でも、貫通孔により、貯留室への導入開口部が閉鎖されないよう構成されており、
容器内の内容物が、貫通孔を通って貫通孔から圧縮された付勢体の内側に流入し、注出部から注出されることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
付勢体とスライド体とが一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
導入開口部側から貯留室内に付勢体およびスライド体が入れられることを許容する一方でスライド体が貯留室から導入開口部側へ抜け出ることを阻止する突部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
スライド体は、導入開口部寄り領域に形成された太径部と、注出部寄り領域に形成された細径部とを有し、
付勢体は、注出部側ほど太径となるコイルばねから構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の注出キャップ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の注出キャップを備えた容器であって、
変形自在であり、内部容量が小さくなるように変形された状態から、内部容量が増加するように元に戻るサックバック機能を有しないことを特徴とする容器。
【請求項6】
容器がパウチであることを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項7】
請求項1~4の何れか1項に記載の注出キャップを備えた容器であって、
変形可能であり、内部容量が小さくなるように変形された状態から、内部容量が増加するように元に戻るサックバック機能を有することを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けられる注出キャップおよびこの注出キャップを備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に、注出部を有する注出キャップが取り付けられている構造は従来から知られている。容器に収容されている内容物を注出する場合は、注出キャップに設けられている注出部を開けた状態で、容器を傾けて注出部から内容物を出している。また、内容物の注出を止める際には、容器を元の姿勢(容器を立てた姿勢など)に戻すとともに、注出部を閉じるなどしている。
【0003】
このような容器が変形可能であるものも既に広く知られている。例えば、いわゆるPETボトルや、その他の樹脂製の容器、その他、パウチと呼ばれる袋状容器などが既に広く知られている。このような変形可能である容器においては、容器内の内容物を注出する場合は、注出部を開けた状態で容器を傾けるとともに容器を指や手のひらなどで押すなどして変形させながら、注出部から内容物を出している。
【0004】
なお、容器に取り付けられる注出キャップが例えば特許文献1などに開示されている。また、パウチと呼ばれる袋状容器にスパウトと呼ばれる注出キャップが取り付けられている構造が例えば特許文献2などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-142512号公報
【文献】特開2014-15245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の注出キャップによれば、容器から内容物を出すために容器を傾けるなどした際に、内容物が過剰にまたは急激に出たり、内容物の一部が注出部に残って垂れたり(いわゆる液だれを生じたり)することがあった。内容物の一部が注出部の外側などに残って垂れた場合には、注出部から垂れた内容物が指や衣服などに落ちて指や衣服などを汚してしまう恐れがある。また、容器が変形可能である場合には、このような不具合を発生することが増えていた。
【0007】
本発明は上記課題を解決するもので、容器から内容物を出す際に内容物が過剰にまたは急激に出ることを防止できるとともに、注出部の外側や内側に内容物が残ることを抑制できる注出キャップや容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の注出キャップは、容器に取り付けられる注出キャップであって、容器に取り付けられる本体と、容器内の半固体状や泥状又は液状の内容物が導入開口部を通して導入される貯留室と、貯留室内でスライド自在に配置されたスライド体と、スライド体を導入開口部側に付勢する付勢体と、貯留室内の内容物を注出する注出部と、を備え、付勢体はコイルばねから構成され、スライド体には、内容物を、貯留室におけるスライド体よりも導入開口部側の領域と注出部側の領域との間で通す貫通孔が形成され、スライド体が、貯留室において最も導入開口部側に位置した場合でも、貫通孔により、貯留室への導入開口部が閉鎖されないよう構成されており、容器内の内容物が、貫通孔を通って貫通孔から圧縮された付勢体の内側に流入し、注出部から注出されることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、容器内の内容物が導入される貯留室に、スライド自在のスライド体が配設されているので、容器から内容物を出すために、容器を傾けたり変形自在の容器を変形させたりした際でも、内容物によりスライド体が付勢体の付勢力に抗してスライドされながら内容物が移動され、これにより、内容物が過剰にまたは急激に注出部から出ることが阻止される。また、内容物を注出した後に、容器に対する注出動作を止めると(例えば、容器を変形させることを止めると)、内容物を貯留室に押し込む力が無くなるので、付勢体の付勢力によってスライド体が導入開口部側にスライドする。これにより、貯留室内の内容物が容器内側に押し戻されるとともに、これに伴って、注出部やその近傍にある内容物も貯留室内側に移動し、注出部の外側や内側に内容物が残ることを抑制できる。また、この場合に、スライド体に形成されている貫通孔により、スライド体が導入開口部に当接したり近接したりするまでスライドした際でも、導入開口部が閉鎖されないので、貯留室内の内容物が良好に導入開口部内や容器内に戻り易い利点もある。
【0010】
また、本発明は、付勢体とスライド体とが一体形成されていると好適である。この構成によれば、付勢体とスライド体とが別の部品で構成されている場合と比較して、部品点数を削減できるので、製造コストを低減したり、組付け時の手間を省いたりすることができる。
【0011】
また、本発明は、導入開口部側から貯留室内に付勢体およびスライド体が入れられることを許容する一方でスライド体が貯留室から導入開口部側へ抜け出ることを阻止する突部が形成されていることを特徴とする。これにより、簡単な構成により、付勢体およびスライド体を貯留室に入れることができるとともに、スライド体が貯留室から導入開口部側へ抜け出ることを阻止することができる。
【0012】
なお、この注出キャップは、スライド体が、導入開口部寄り領域に形成された太径部と、注出部寄り領域に形成された細径部とを有し、付勢体が、注出部側ほど太径となるコイルばねから構成されていると好適である。
【0013】
また、本発明は、前記何れかの注出キャップを備えた容器であって、変形自在であり、内部容量が小さくなるように変形された状態から、内部容量が増加するように元に戻るサックバック機能を有しないことを特徴とする。例えば、容器がパウチである場合が該当する。
【0014】
このように、容器がサックバック機能を有しない場合には、内容物を注出部から出した直後に、注出部内に残った内容物が容器内に戻らないので、内容物の一部が注出部に残って垂れて、いわゆる液だれを生じ易くなる。しかしながら、この構成によれば、内容物を注出した後に、容器に対する注出動作を止めると(例えば、容器を変形させることを止めると)、付勢体の付勢力によってスライド体が導入開口部側にスライドして、貯留室内の内容物が容器内側に押し戻されるとともに、これに伴って、注出部やその近傍にある内容物も貯留室内側に移動するので、注出部の外側や内側に内容物が残ることを抑制できる。
【0015】
なお、容器が、変形可能であり、内部容量が小さくなるように変形された状態から、内部容量が増加するように元に戻るサックバック機能を有する場合に、この注出キャップを備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の注出キャップによれば、容器内の内容物が導入開口部を通して導入される貯留室と、貯留室内でスライド自在に配置されたスライド体と、スライド体を導入開口部側に付勢する付勢体と、貯留室内の内容物を注出する注出部と、を備え、スライド体には、内容物を、貯留室におけるスライド体よりも導入開口部側の領域と注出部側の領域との間で通す貫通孔が形成され、スライド体が、貯留室において最も導入開口部側に位置した場合でも、貫通孔により、貯留室への導入開口部が閉鎖されないよう構成されていることにより、容器から内容物を出すために、容器を傾けたり変形自在の容器を変形させたりした際でも、内容物によりスライド体が付勢体の付勢力に抗してスライドされながら内容物が移動されて、内容物が過剰にまたは急激に注出部から出ることが阻止されるので、使い勝手が良好となる。
【0017】
また、内容物を注出した後に、容器に対する注出動作を止めると、付勢体の付勢力によってスライド体が導入開口部側にスライドするので、注出部の外側や内側に内容物が残ることを抑制でき、内容物の一部が注出部の外側などに残って垂れて注出部から垂れた内容物が指や衣服などに落ちて指や衣服などを汚してしまうことを最小限に抑えることができる。そして、この場合に、容器に対する注出動作を止めると付勢体の付勢力によってスライド体が導入開口部側にスライドするが、スライド体に形成されている貫通孔により、スライド体が導入開口部に当接したり近接したりするまでスライドする際でも、導入開口部が閉鎖されないので、貯留室内の内容物が良好に導入開口部内や容器内に戻り易い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る注出キャップおよび容器の正面図である。
図2】同注出キャップの平面図である。
図3】同注出キャップの正面縦断面図である。
図4】同注出キャップの正面縦断面図で、容器から内容物が貯留室内などに流入している際の状態を示す。
図5】同注出キャップの本体の正面縦断面図である。
図6】同注出キャップの付勢体およびスライド体の正面縦断面図である。
図7】同注出キャップの正面縦断面図で、容器の変形が止められた際の状態を示す。
図8】本発明の他の実施の形態に係る注出キャップの正面縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態の注出キャップおよび容器を、図面に基づき説明する。
図1図8において、1は、内部に内容物(内容液)が収容されている容器2に取付けられる注出キャップである。なお、図1図7においては、容器2がパウチである場合を示している。しかし、これに限るものではなく、図8においては、容器2がパウチでなく、一般的な容器(いわゆるペットボトルやその他の(パウチ以外の)容器)2である場合を示している。
【0020】
図1図6などに示すように、注出キャップ1は、半固体状や泥状、液状などの内容物が収容される容器2に取り付けられる本体(キャップ本体)3と、容器2内の内容物が導入開口部4を通して導入される貯留室5と、貯留室5内でスライド自在に配置されたスライド体6と、スライド体6を導入開口部4側に付勢する付勢体7と、貯留室5内の内容物を注出する注出部(注出ノズル)8と、などを備えている。この実施の形態では、本体3に、導入開口部4、貯留室5や注出部8などが形成されている。また、貯留室5内にスライド体6と付勢体7とが配置されている。
【0021】
なお、図1図7に示す実施の形態では、容器2は、例えば合成樹脂などからなりそれぞれ変形可能な表裏2枚のフレキシブルシートと底面の1枚のフレキシブルシートとの互いの周囲を熱溶着するなどして形成された(シールされた)パウチで構成され、例えば、正面視して矩形状(略矩形形状)とされているがこれに限るものではない。
【0022】
注出キャップ1の本体3はいわゆるスパウトであり、図1図5に示すように、この注出キャップ1の本体3は、容器2の上部に、2枚のフレキシブルシートにより挟持された状態で熱溶着されている。本体3の下部には、本体3に溶着される複数の溶着用リブ9aを有する容器取付部9が設けられているとともに、この容器取付部9から立設するように、貯留室5などの外殻部などをなす筒状体10が一体形成されている。また、注出キャップ1は、筒状体10およびこの筒状体10の内部に形成されている貯留室5の軸心X方向が容器2に対して上方に向いた姿勢で容器2の上辺部の中央位置に溶着されるなどして取り付けられている。
【0023】
貯留室5は、本体3における筒状体10と容器取付部9との内部を円柱状に貫通するように形成されており、本体3における貯留室5の下方には、容器2内に連通する導入開口部4が形成されている。また、この実施の形態では、貯留室5と導入開口部4とはほぼ同じ径とされている一方、貯留室5と導入開口部4との間には、内側に突出する突部11が形成されている。
【0024】
筒状体10には上面部10aと側壁部10bとが設けられている。そして、筒状体10における上面部10aから上方に突出するようにノズル形状の注出部8が設けられており、注出部8から貯留室5内の内容物を注出する。この実施の形態では、注出部8は、筒状体10の上面部10aから徐々に細くなって一旦くびれている一方、上部は若干外側に広がる形状とされているが、これに限るものではない。注出キャップ1には、図1において仮想線で示すように、注出部8を覆うカバーキャップ12が着脱自在に設けられると好適である。筒状体10の側壁部10bの上部にはカバーキャップ12に形成されている雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部10cが形成されている。
【0025】
図3図4に示すように、スライド体6は、貯留室5内を軸心X方向(この実施の形態では上下方向)にスライド自在に配置されている。図3図4図6に示すように、この実施の形態では、スライド体6は、導入開口部4寄り領域に形成された太径部6aと、注出部8寄り領域に形成された細径部6bとを有する。また、付勢体7は、コイルばねから構成されている。この実施の形態では、スライド体6の上方に付勢体7が載った状態で、スライド体6と付勢体7とが一体形成されているが、これに限るものではなく、スライド体6と付勢体7とが別体であってもよい。なお、スライド体6と付勢体7とが一体形成されている場合には、これらのスライド体6と付勢体7とをポリエチレンなどの樹脂により構成すると好適であり、この場合には、射出成形により製造すると好適であるが、これに限るものではない。
【0026】
また、この実施の形態では、付勢体7は、注出部8側(すなわち上方)ほど太径となるように形成されているとともに、縮むと隣り合うコイル部同士が接触して筒状になるように構成されているが、これに限るものではない。また、コイルばねからなる付勢体7は、その断面形状が、図6に示すように、内周側が導入開口部4側の傾斜面7aと注出部8側の傾斜面7bとにより山形に突出する略三角形状とされているが、導入開口部4側の傾斜面7aの傾斜角度が、注出部8側の傾斜面7bの傾斜角度よりも小さく形成されている。
【0027】
また、上記したように、図3図5に示すように、本体3における貯留室5と導入開口部4との間には内側に突出する突部11が形成されている。ここで、この突部11は、導入開口部4側から貯留室5内に付勢体7およびスライド体6が入れられることを許容する一方で、付勢体7およびスライド体6が貯留室5から導入開口部4側へ抜け出ることを阻止するように形成されている(すなわち、このような作用を有する突部11の突出寸法や本体3が弾性変形可能な材料で形成されている)。
【0028】
さらに、スライド体6には、内容物を、貯留室5におけるスライド体6よりも導入開口部4側の領域と注出部8側の領域との間で通す貫通孔13が形成されている。この実施の形態では、貫通孔13は、貯留室5の軸心X方向に沿って上下に形成されている。そして、図3に示すように、貯留室5内にある付勢体7が最も伸びた状態であり、スライド体6が貯留室5において最も導入開口部4側に位置した場合でも、貫通孔13により、貯留室5への導入開口部4が閉鎖されないよう構成されている。
【0029】
ここで、容器2から内容物を出すために、カバーキャップ12を外した状態で、容器2を手や指で押しつぶすように変形させるなどして、容器2の内部容量が小さくなるように変形させると、貯留室5やスライド体6がない場合には、内容物が過剰に出たり、内容物の一部が注出部8に残って垂れたりして、注出部8から垂れた内容物が指や衣服などに落ちて指や衣服などを汚してしまう恐れがあった。
【0030】
しかし、上記構成によれば、容器2内の内容物が導入される貯留室5に、スライド自在のスライド体6が配設されている。したがって、容器2から内容物を出すために変形自在の容器2を変形させた際には、図4に示すように、内容物がスライド体6の下面に当接し、内容物によりスライド体6が付勢体7の付勢力に抗してスライドされながら内容物が移動する。これにより、内容物が過剰にまたは急激に注出部8から出ることが阻止されて、使い勝手が良好となる。
【0031】
また、内容物を注出した後に、容器2に対する注出動作を止めると(例えば、容器2を変形させることを止めると)、内容物を貯留室5に押し込む力が無くなるので、図7に示すように、付勢体7の付勢力によってスライド体6が導入開口部4側にスライドする。これにより、貯留室5内の内容物が容器2内側に押し戻されるとともに、これに伴って、注出部8やその近傍にある内容物も貯留室5内側に移動し、注出部8の外側や内側に内容物が残ることを抑制できる。
【0032】
また、スライド体6には貫通孔13が形成されているので、スライド体6が導入開口部4に当接したり近接したりするまでスライドする際でも、図7に示すように、導入開口部4が閉鎖されない。したがって、貯留室5内の内容物が良好に導入開口部4内や容器2内に戻り易い利点もある。
【0033】
これらの作用効果によって、内容物の一部が注出部8に残って垂れるなどして、注出部8から垂れた内容物が指や衣服などに落ちて指や衣服などを汚してしまうことを最小限に抑えることができ、これによっても、使い勝手が良好となる。
【0034】
また、上記のように、容器2がパウチである場合には、容器2が変形自在であり、内部容量が小さくなるように変形された状態から、内部容量が増加するように元に戻るサックバック機能をほぼ有しない。したがって、上記のように、容器2がパウチなどのサックバック機能をほぼ有しない性質を有する場合には、貯留室5やスライド体6や付勢体7ならびに貫通孔13が設けられていない構成であると、内容物を注出する際に、内容物が過剰に出たり、内容物の一部が注出部に残って垂れたりして、注出部から垂れた内容物が指や衣服などに落ちて指や衣服などを汚してしまう可能性が大きくなり易く、また、内容物を注出した後に、内容物の一部が注出部に残って垂れたりして、同様の不具合を生じやすい。これに対して、本構成によれば、貯留室5やスライド体6や付勢体7ならびに貫通孔13が設けられているので、上記のような不具合の発生を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、上記構成によれば、付勢体7とスライド体6とが一体形成されている。これにより、付勢体7とスライド体6とが別の部品で構成されている場合と比較して、部品点数を削減できるので、製造コストを低減したり、組付け時の手間を省いたりすることができる。
【0036】
また、上記構成によれば、本体3における貯留室5と導入開口部4との間に内側に突出する突部11が形成されているが、この突部11は、導入開口部4側から貯留室5内に付勢体7およびスライド体6が入れられることを許容する一方で、付勢体7およびスライド体6が貯留室5から導入開口部4側へ抜け出ることを阻止するように形成されている。これにより、極めて簡単な構成でありながら、付勢体7およびスライド体6を貯留室5に入れることができるとともに、スライド体6が貯留室5から導入開口部4側へ抜け出ることを阻止することができる。
【0037】
また、上記構成によれば、スライド体6が、導入開口部4寄り領域に形成された太径部6aと、注出部8寄り領域に形成された細径部6bとを有し、付勢体7が、注出部8側ほど太径となるコイルばねから構成されている。したがって、内容物を注出する際の内容物からのスライド体6が受ける力や、付勢体7の付勢力によって内容物をスライド体6により容器2内側に押し込む力を、太径部6aの下面によって良好に伝達することができる利点がある。また、スライド体6全体や付勢体7全体を太径部6aと同じ大きさにする場合と比較して、スライド体6や付勢体7を小さくすることができるので、スライド体6や付勢体7の製造コストを低減することが可能となる。
【0038】
また、上記構成によれば、付勢体7が、縮むと隣り合うコイル部同士が接触して筒状になるように構成されているので、図4に示すように、付勢体7は縮んだ際に、内容物が付勢体7より外側にはみ出し難くなり、内容物を良好に注出することができる。
【0039】
また、上記構成によれば、コイルばねからなる付勢体7の断面形状が、図6に示すように、内周側が導入開口部4側の傾斜面7aと注出部8側の傾斜面7bとにより山形に突出する略三角形状とされており、導入開口部4側の傾斜面7aの傾斜角度が、注出部8側の傾斜面7bの傾斜角度よりも小さく形成されている。この構成により、付勢体7が縮んだ状態で、内容部の付勢体7に当たる抵抗が小さい状態となり、良好に注出することができる。
【0040】
上記の実施の形態では、容器2が、パウチなどのサックバック機能を有しない性質を有する場合であったが、これに限るものではない。すなわち、容器2が、一般的な容器(いわゆるペットボトルやその他の容器(パウチ以外の)容器)2であり、変形可能であるとともに、内部容量が小さくなるように変形された状態から、内部容量が増加するように元に戻るサックバック機能を有する容器であってもよい(他の実施の形態)。
【0041】
この場合には、図8に示すように、注出部8を有する本体3の筒状体10自体が、容器2の口部2aに取り付けられる構成とすると好適であるが、これに限るものではなく、当該注出キャップ1を容器2に取り付けることができる構造であれば差し支えない。
【0042】
なお、内容物としては高粘度のものが特に好適であり、高粘度の内容物を注出する際には、内容物によりスライド体6が付勢体7の付勢力に抗してスライドされながら内容物が移動するので、内容物が過剰にまたは急激に注出部8から出ることを良好に阻止でき、また、内容物を注出した後に、容器2に対する注出動作を止めると、付勢体7の付勢力によってスライド体6が導入開口部4側にスライドして、貯留室5内の内容物が容器2内側に押し戻され、注出部8やその近傍にある内容物も貯留室5内側に移動し、注出部8の外側や内側に内容物が残ることを良好に抑制できる。しかし、これに限るものではなく、粘度の小さい内容物を入れる容器2にも適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 注出キャップ
2 容器
3 本体
4 導入開口部
5 貯留室
6 スライド体
6a 太径部
6b 細径部
7 付勢体
8 注出部
9 容器取付部
10 筒状体
11 突部
12 カバーキャップ
13 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8