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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】吸着搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240307BHJP
   B65B 5/06 20060101ALI20240307BHJP
   B65B 35/38 20060101ALI20240307BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B65B5/06
B65B35/38
B65G47/91 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020027493
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021130172
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 卓也
(72)【発明者】
【氏名】綱島 和也
(72)【発明者】
【氏名】横田 祐嗣
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049620(JP,A)
【文献】特開2016-060013(JP,A)
【文献】実開平06-071404(JP,U)
【文献】特開2002-018759(JP,A)
【文献】特開2018-089732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0072549(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/06
B65B 5/04-35/38
B65G 47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアによって搬送される、包材で包装された第1物品を吸着搬送する吸着搬送装置において、
真空源と接続された吸気部に一端が接合し、他端が前記第1物品を吸着する吸着部となる、第1吸着部材と、
前記第1物品に当接する当接部を有する、支持部材と、
を備え、
前記当接部は、水平方向において、前記第1吸着部材よりも外側に位置し、
前記第1吸着部材の前記吸着部が前記第1物品を吸着する前に、前記第1物品が傾斜した姿勢となり、
前記吸着部が前記第1物品を吸着し、前記当接部が前記第1物品と当接している時、
前記吸着部の高さは、鉛直方向において、前記当接部の高さより高く、前記吸気部を上昇させて前記傾斜した姿勢を保ちながら、前記コンベアから持ち上げることで前記第1物品を吸着搬送する、
吸着搬送装置。
【請求項2】
前記第1物品を吸着していない時の前記吸着部の高さは、鉛直方向において、前記当接部の高さ以上の高さである、
請求項1に記載の吸着搬送装置。
【請求項3】
前記当接部の高さを変更する位置調整部、
をさらに備える、
請求項1又は2に記載の吸着搬送装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記第1物品が当接できる範囲で移設可能である、
請求項1から3のいずれかに記載の吸着搬送装置。
【請求項5】
前記当接部は、前記第1物品に当接する時に弾性変形する、
請求項1から4のいずれかに記載の吸着搬送装置。
【請求項6】
前記当接部は、ゴム製の弾性部材である、
請求項1から5のいずれかに記載の吸着搬送装置。
【請求項7】
前記当接部の面積が、前記吸着部の面積よりも大きい、
請求項1から6のいずれかに記載の吸着搬送装置。
【請求項8】
前記支持部材は前記第1物品を吸着保持しない、
請求項1から7のいずれかに記載の吸着搬送装置。
【請求項9】
前記吸気部に一端が接合し、他端が第2物品を吸着する第2吸着部材、
をさらに備え、
前記第1吸着部材の吸着部及び前記第2吸着部材の他端が前記第1物品及び前記第2物品を吸着するより前に、前記第1物品と前記第2物品は、前記第1物品が傾斜して、前記第1物品の一部が前記第2物品の上面に重なって接触する所定の姿勢となる
請求項1から8のいずれかに記載の吸着搬送装置。
【請求項10】
前記第1物品及び前記第2物品を容器に搬送する、
請求項9に記載の吸着搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2018-89732号公報)に開示されているように、物品を吸着保持して箱詰めを行う吸着搬送装置が知られている。このような吸着搬送装置は、複数の物品が部分的に重なるような姿勢で複数の物品を吸着する。これによって、複数の物品の間隔が詰められるため、物品が箱内面と接触することが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、吸着搬送装置が複数の物品を吸着搬送する際に、複数の物品のそれぞれが柔軟性に欠ける場合、複数の物品が好ましい姿勢で吸着搬送されない状態が生じることを、種々の検討に基づいて本願の発明者が見出している。このような状態では、複数の物品が正しく箱詰めされない恐れがある。
【0004】
本発明の課題は、物品が柔軟性に欠ける場合であっても、複数の物品を好ましい姿勢で吸着搬送することができる吸着搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る吸着搬送装置は、第1物品を吸着搬送する吸着搬送装置であって、第1吸着部材と、支持部材と、を備える。第1吸着部材は、真空源と接続された吸気部に一端が接合し、他端が第1物品を吸着する吸着部となる。支持部材は、第1物品に当接する当接部を有する。第1吸着部材が第1物品を吸着し、当接部が第1物品と当接している時、吸着部の高さは、鉛直方向において、当接部の高さより高い。
【0006】
第1観点の吸着搬送装置では、吸着搬送装置は、支持部材を備え、支持部材の当接部が第1物品に当接する。また、吸着部が第1物品を吸着し、当接部が第1物品と当接している時、吸着部の高さは、鉛直方向において、当接部の高さより高い。これにより、吸着搬送装置が複数の物品を吸着搬送する際に、第1吸着部材の吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る吸着搬送装置は、第1観点に係る吸着搬送装置であって、第1物品を吸着していない時の吸着部の高さは、鉛直方向において、当接部の高さ以上の高さである。
【0008】
第2観点の吸着搬送装置では、第1物品を吸着していない時の吸着部の高さは、鉛直方向において、当接部の高さ以上の高さである。これにより、吸着搬送装置が複数の物品を吸着搬送する際に、第1吸着部材の吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る吸着搬送装置は、第1観点又は第2観点に係る吸着搬送装置であって、当接部の高さを変更する位置調整部をさらに備える。
【0010】
当接部は、第1物品と当接することで、吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を一定に保つ。この時、当接部の高さによっては、第1物品が損傷する恐れがあるため、当接部の高さは適宜調整可能であることが好ましい。
【0011】
第3観点の吸着搬送装置では、吸着搬送装置は、当接部の高さを変更する位置調整部をさらに備える。これにより、第1物品の姿勢や形状に合わせて当接部の高さを調整することができるため、第1物品が損傷することを抑制できる。
【0012】
本発明の第4観点に係る吸着搬送装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る吸着搬送装置であって、支持部材は、第1物品が当接できる範囲で移設可能である。
【0013】
支持部材の当接部は、第1物品と当接することで、吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を一定に保つ。この時、支持部材が吸気部に接合される位置によっては、第1物品が損傷する恐れがあるため、支持部材の位置は、適宜調整可能であることが好ましい。
【0014】
第4観点の吸着搬送装置では、支持部材は、第1物品が当接できる範囲で移設可能である。これにより、第1物品の姿勢や形状に合わせて支持部材の位置を調整することができるため、第1物品が損傷することを抑制できる。
【0015】
本発明の第5観点に係る吸着搬送装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る吸着搬送装置であって、当接部は、第1物品に当接する時に弾性変形する。
【0016】
当接部は、第1物品と当接することで吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を一定に保つ。このため、当接部の材質によっては、第1物品が損傷する恐れがある。
【0017】
第5観点の吸着搬送装置では、当接部は第1物品に当接する時に弾性変形する。これにより、当接部が第1物品と当接する時に、第1物品が損傷することを抑制できる。
【0018】
本発明の第6観点に係る吸着搬送装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る吸着搬送装置であって、当接部は、ゴム製又はバンコラン製の弾性部材である。
【0019】
当接部は、第1物品と当接することで吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を一定に保つ。このため、当接部の材質によっては、第1物品が損傷する恐れがある。
【0020】
第6観点の吸着搬送装置では、当接部は、ゴム製又はバンコラン製の弾性部材である。これにより、当接部は弾性及び柔軟性を有するため、第1物品と当接する時に、第1物品が損傷することを抑制できる。
【0021】
本発明の第7観点に係る吸着搬送装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る吸着搬送装置であって、当接部の面積が、吸着部の面積よりも大きい。
【0022】
第7観点の吸着搬送装置では、当接部の面積が、吸着部の面積よりも大きい。これにより、吸着搬送装置が複数の物品を吸着搬送する際に、第1吸着部材の吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0023】
本発明の第8観点に係る吸着搬送装置は、第1観点から第7観点のいずれかに係る吸着搬送装置であって、支持部材は、第1物品を吸着保持しない。
【0024】
第8観点の吸着搬送装置では、支持部材は第1物品を吸着保持しない。換言すると、支持部材は第1物品を吸着保持するための機構を有しない。これにより、支持部材を備える吸着搬送装置のコストの上昇が抑制できる。
【0025】
本発明の第9観点に係る吸着搬送装置は、第1観点から第8観点のいずれかに係る吸着搬送装置であって、吸気部に一端が接合し、他端が第2物品を吸着する第2吸着部材、をさらに備える。第1吸着部材の吸着部及び第2吸着部材の他端が第1物品及び第2物品を吸着するより前に、第1物品と第2物品とは互いに異なる姿勢で接触している。
【0026】
第9観点の吸着搬送装置では、吸着搬送装置は、一端が吸気部に接合し、他端が第2物品を吸着する第2吸着部材をさらに備える。また、第1吸着部材の吸着部及び第2吸着部材の他端が第1物品及び第2物品を吸着するより前に、第1物品と第2物品とは互いに異なる姿勢で接触している。このように、吸着搬送装置が第1物品及び第2物品を吸着搬送する場合であっても、第1吸着部材の吸着部に吸着されている第1物品の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0027】
本発明の第10観点に係る吸着搬送装置は、第9観点に係る吸着搬送装置1であって、第1物品及び第2物品を容器に搬送する。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る吸着搬送装置は、当接部を備えることで、物品が柔軟性に欠ける場合であっても、物品を好ましい姿勢で吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る吸着搬送装置が搭載された箱詰め装置の概略図。
図2】箱詰め装置の内部構成の概略図。
図3】本発明に係る吸着搬送装置の概略斜視図。
図4】本発明に係る物品の所定の姿勢を示す概略図。
図5】本発明に係る吸着搬送装置の待機時における様子を示す概略図。
図6】本発明に係る吸着搬送装置が物品を吸着する様子を示す概略図。
図7】本発明に係る吸着搬送装置が物品を吸着する様子を示す概略図。
図8】本発明に係る吸着搬送装置が物品を吸着搬送する様子を示す概略図。
図9A】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図9B】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図9C】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図9D】従来技術において、物品の所定の姿勢が崩れる様子を示す概略図。
図10】本発明に係る吸着搬送装置において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図11A】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図11B】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図11C】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図11D】従来技術において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
図11E】従来技術において、物品の所定の姿勢が崩れる様子を示す概略図。
図12】本発明に係る吸着搬送装置において、物品に加えられる圧力の様子を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る吸着搬送装置1について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、具体例であって、技術的範囲を限定するものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0031】
また、以下の説明では、方向や位置関係等を説明するために、水平、鉛直等の表現を用いる場合があるが、これらは厳密に水平、鉛直等である場合だけではなく、実質的に水平、鉛直等である場合を含む。
【0032】
(1)吸着搬送装置の全体構成
本発明の一実施形態に係る吸着搬送装置1について、図を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る吸着搬送装置1が搭載された箱詰め装置100の概略図である。図3は、本発明の一実施形態に係る吸着搬送装置1の概略的な斜視図である。図4は、吸着搬送装置1によって吸着搬送される第1物品P1及び第2物品P2を、図2の矢印Aの方向から見た時の概略図である。
【0033】
箱詰め装置100は、複数の物品を1つの容器Cに入れるためのものである。箱詰め装置100のフレーム81には、複数の物品を一箇所にまとめるパラレルリンクロボット82、及び、まとめられた複数の物品を吸着保持して容器Cに搬送する、吸着搬送装置1が取り付けられている。
【0034】
第1コンベア91は、物品入口101から入れられた物品を1つずつ搬送する。パラレルリンクロボット82は、第1コンベア91の上の2つの物品を持ち上げて、2つの物品からなる列Rを第2コンベア92の上に置く。以下では、パラレルリンクロボット82によって列Rに並び替えられた物品を、第1物品P1と、第2物品P2とする。限定するものではないが、第1物品P1及び第2物品P2は、表面に紙ラミネート加工が施された物品であって、ポテトチップス等のスナック菓子が充填された袋状の物品である。換言すると、第1物品P1及び第2物品P2は、柔軟性に欠ける物品である。パラレルリンクロボット82は、第1物品P1と第2物品P2とが、互いに異なる姿勢で接触するように、第1物品P1と第2物品P2とを並び替える。なお、「互いに異なる姿勢」とは、具体的には、図4に示すような、第1物品P1が傾斜して、第1物品P1の一部が第2物品P2の上面に重なって接触するような姿勢のことを指す。以下では説明の便宜上、図4に示すような第1物品P1と第2物品P2との姿勢を、「所定の姿勢」と呼ぶ。
【0035】
第2コンベア92は、搬送速度を調節することにより、2つの列Rからなる物品群Gを作る。吸着搬送装置1は物品群Gを吸着し、容器待機部84で待機している容器Cの中へ入れる。換言すると、吸着搬送装置1は、2つの第1物品P1と、2つの第2物品P2とを、容器Cに吸着搬送する装置である。
【0036】
容器Cは、容器入口102又は容器入口103から入れられ、コンベアローラ94の上を移動し、押出機構95によって第3コンベア93の方へ押し出される。その後、容器Cは第3コンベア93によって、容器待機部84まで搬送され、複数回にわたり物品群Gを受け取る。その後、容器Cは再び第3コンベア93によって搬送され、容器出口105から出る。なお、限定するものではないが、容器Cは例えば段ボールケースや通い箱等である。
【0037】
図3に示すように、本実施形態に係る吸着搬送装置1は主に、吸気部10と、第1吸着部材11と、第2吸着部材12と、支持部材30と、を備える。以下、吸着搬送装置1の詳細な構成について説明する。
【0038】
(2)詳細構成
(2-1)吸気部10
図3に示すように、吸気部10は、第1吸気部10aと、第2吸気部10bと、からなる。吸気部10は、第1吸気部10aと、第2吸気部10bと、の2つの吸気部によって、2つの第1物品P1と、2つの第2物品P2とを同時に吸着保持し、容器待機部84で待機している容器Cの中へ入れる。第1吸気部10a及び第2吸気部10bは、それぞれが第1吸着部材11、第2吸着部材12と接合し、支持部材30と連結している。第2吸気部10bは、ロボットアーム5と連結する、取付部16を有する。取付部16の側面には、2つのブラケット161が固定されている。各ブラケット161には、ガイド14が互いに平行になるように取り付けられており、各ガイド14には、ロッド18がスライド自在に保持されている。各ロッド18は、各ガイド14に対して平行に保持されている。第1吸気部10aは、各ロッド18と各ガイド14とによって、第2吸気部10bに支持されている。また、図示は省略するが、吸気部10はアクチュエータを有しており、アクチュエータが作用することにより、第1吸気部10aと第2吸気部10bとは、近接離反が可能である。
【0039】
第1吸気部10a及び第2吸気部10bは、負圧室17を有している。以下、第1吸気部10aが有する負圧室を第1負圧室17aとして、第2吸気部10bが有する負圧室を第2負圧室17bとする。第1負圧室17a及び第2負圧室17bは、真空源15と接続する。
【0040】
詳細には、第2負圧室17bが、ロボットアーム5の下端部に気密裡に連結される取付部16と連通しており、取付部16の上面に形成された孔22が、ロボットアーム5の内部に収納された負圧ダクトに接続されるようになっている。この負圧ダクトは、吸引ブロワや真空ポンプ等である真空源15に接続され、取付部16を介して第2負圧室17bの内部に負圧が作用するようになっている。また、この取付部16には、取付面で回転するエルボ23が取り付けられ、そのエルボ23と第1吸気部10aのパイプ13とが、フレキシブルホース24を介して接続されている。したがって、第1吸気部10aの第1負圧室17aには、フレキシブルホース24を介して取付部16内の負圧が作用するようになっている。このように、各負圧室17a、17bが真空源15と接続することで、各第1吸着部材11及び各第2吸着部材12は、各第1物品P1及び各第2物品P2を吸着することができる。
【0041】
なお、限定するものではないが、本実施形態における第1吸気部10a及び第2吸気部10bは、軽量化の観点から、アルミ製である。
【0042】
(2-2)第1吸着部材11
第1吸着部材11は、吸気部10に接合し、第1物品P1を吸着する。具体的には、第1吸着部材11の一端が、第1吸気部10aや第2吸気部10bのそれぞれと接合し、他端が、第1物品P1を吸着する吸着部111となる。図3に示すように、本実施形態における第1吸着部材11は、蛇腹状のホースからなる筒状の伸縮部材であって、第1吸気部10aや、第2吸気部10bのそれぞれに、2個取り付けられている。第1吸気部10aは、これらの2個の第1吸着部材11で、1個の第1物品P1を吸着する。同様に、第2吸気部10bは、2個の第1吸着部材11で、1個の第1物品P1を吸着する。なお、第1吸着部材11の数量や形状や素材は、第1物品P1の数量や形状や素材や姿勢に応じて適宜変更可能である。第1吸着部材11は、第1吸着部材11の内部が負圧室17によって真空状態となることで、第1物品P1を吸着する。第1吸着部材11の第1物品P1を吸着する吸着面が、吸着部111である。第1物品P1を吸着していない時、吸着部111の高さは、鉛直方向において、後述する当接部311の高さ以上の高さである。また、図6図7に示すように、吸着部111が第1物品P1を吸着し、当接部311が第1物品P1と当接している時、吸着部111の高さは、鉛直方向において、当接部311の高さよりも高い。
【0043】
(2-3)第2吸着部材12
第2吸着部材12は、吸気部10に接合し、第2物品P2を吸着する。具体的には、第2吸着部材12の一端が、第1吸気部10a、第2吸気部10bのそれぞれと接合し、他端が、第2物品P2を吸着する。なお、本実施形態において、第2吸着部材12の他端とは、第2吸着部材12の鉛直方向における下端のことを指す。図3に示すように、本実施形態における第2吸着部材12は、蛇腹状のホースからなる筒状の伸縮部材であって、第1吸気部10a、第2吸気部10bのそれぞれに、3個取り付けられている。第1吸気部10aは、これらの3個の第2吸着部材12で、1個の第2物品P2を吸着する。同様に、第2吸気部10bは、3個の第2吸着部材12で、1個の第2物品P2を吸着する。なお、第2吸着部材12の数量や形状や素材は、第2物品P2の数量や形状や素材や姿勢に応じて適宜変更可能である。第2吸着部材12は、第2吸着部材12の内部が負圧室17によって真空状態となることで、第2物品P2を吸着する。図6図8に示すように、本実施形態において、第2吸着部材12の他端(下端)の高さは、鉛直方向において、第1吸着部材11の吸着部111の高さよりも低い。
【0044】
(2-4)支持部材30
図3に示すように、本実施形態において、第1吸気部10a及び第2吸気部10bは、それぞれが1個の支持部材30と連結している。
【0045】
支持部材30は、第1物品P1と当接する当接部311を有する。具体的には、支持部材30は、当接部材31と、当接部材31を吸気部10に連結させる支持部32と、からなり、当接部材31が、第1物品P1と当接する当接部311を有する。当接部材31の第1物品P1と当接する当接面が、当接部311である。このため、第1物品P1の姿勢や形状に応じて、当接部311の位置は適宜変化する。
【0046】
当接部材31は、当接部311が第1物品P1と当接する時の衝撃を緩和するために、弾性や柔軟性を有する素材で構成されている。当接部材31は、例えばゴム製又はバンコラン製である。同様に、当接部311はゴム製又はバンコラン製である。このため、当接部311が第1物品P1と当接する時、当接部311は弾性変形する。本実施形態において、当接部材31は、ゴム製又はバンコラン製の平板状のシートが湾曲した形状で固定されたものであり、図3や5に示すように、側面視において、略J字状又は略U字状を呈している。なお、当接部材31の形状は、第1物品P1の姿勢や形状に応じて適宜変更可能である。
【0047】
当接部材31は、位置調整部35を有している。位置調整部35は、例えば図3に示すような、鉛直方向に伸びるようにして形成される長穴である。当接部材31が位置調整部35を有することにより、第1物品P1の形状や姿勢に応じて、当接部材31の下端の鉛直方向における高さを調整できる。換言すると、第1物品P1の形状や姿勢に応じて、当接部311の鉛直方向における高さが変更できる。
【0048】
支持部材30の支持部32は、当接部材31を第1吸気部10aや第2吸気部10bのそれぞれに連結させる。図3に示すように、支持部32は、第1支持部32aと第2支持部32bとを有する。第1支持部32aは、当接部材31を、第1吸気部10aや第2吸気部10bのそれぞれに、ビス等によって連結させる。第2支持部32bは、当接部材31を第1支持部32aにビス等によって固定させる際に、ワッシャーとしての役割を果たす。本実施形態において、支持部材30は、当接部材31と支持部32とからなり、支持部32が当接部材31を第1吸気部10a、第2吸気部10bに連結させる位置は、第1物品P1の姿勢や形状に応じて適宜変更可能である。換言すると、支持部材30は、第1物品P1が当接できる範囲で移設可能である。
【0049】
なお、支持部材30は、第1物品P1を吸着保持しない。換言すると、支持部材30は、第1吸着部材11や第2吸着部材12のような吸着機構を有しない。
【0050】
(3)吸着搬送装置1の動作
上記の通り、吸着搬送装置1は、箱詰め装置100に搭載される装置であり、第2コンベア92を流れる物品群Gを、第1吸気部10a、第2吸気部10bによって吸着保持して、容器Cに搬送する装置である。物品群Gは、2個の第1物品P1と、2個の第2物品P2とによって構成される。
【0051】
以下、吸着搬送装置1の吸着搬送動作について、第1吸気部10aを例に取って、図4図8を参照しながら説明する。なお、図4図8は、吸着搬送装置1、第1物品P1及び第2物品P2を、図2の矢印Aの方向から見た図である。このため、図4図8では、吸着搬送装置1の一部の構成については図示が省略されている。
【0052】
なお、第2吸気部10bの吸着搬送動作は、第1吸気部10aの吸着搬送動作と概ね同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0053】
パラレルリンクロボット82によって、図4に示すような所定の姿勢に並び替えられた第1物品P1及び第2物品P2は、第2コンベア92によって、第1吸気部10aの鉛直方向下方まで搬送される。吸着搬送装置1の第1吸気部10aは、第2吸気部10bを介してロボットアーム5と連結しており、水平方向や鉛直方向に自在に移動できる。図5図6に示すように、第1物品P1及び第2物品P2が、第1吸気部10aの鉛直方向下方に到達すると、ロボットアーム5は、第1吸気部10aを鉛直方向下方へ移動させる。この時、第1吸気部10aの各第1吸着部材11及び各第2吸着部材12の内部空間には、負圧が供給されている。図6に示すように、ロボットアーム5による第1吸気部10aの鉛直方向下方への移動は、各第1吸着部材11が第1物品P1に当接するタイミングと、各第2吸着部材12が第2物品P2に当接するタイミングと、が概ね同時になるように行われる。図6に示すように、各第1吸着部材11の吸着部111が第1物品P1の上面に当接すると、内部空間に負圧が供給された各第1吸着部材11に第1物品P1が吸着される。同様に、各第2吸着部材12の他端(下端)が第2物品P2の上面に当接すると、内部空間に負圧が供給された各第2吸着部材12に第2物品P2が吸着される。支持部材30の当接部311は、各吸着部111が第1物品P1と当接するタイミングと、同時もしくは僅かに遅れたタイミングで、第1物品P1に当接する。各第1吸着部材11及び各第2吸着部材12が第1物品P1及び第2物品P2を吸着すると、図7に示すように、ロボットアーム5は第1吸気部10aを上昇させる。図6図7に示すように、各第1吸着部材11の吸着部111が第1物品P1を吸着しており、当接部311が第1物品P1と当接している時、各吸着部111の高さは、鉛直方向において、当接部311の高さよりも高い。図8に示すように、第1吸気部10aを上昇させて第1物品P1及び第2物品P2を第2コンベア92から持ち上げたロボットアーム5は、第1吸気部10aを移動させて、第1物品P1及び第2物品P2を容器Cに搬送する。この搬送中において、各第1吸着部材11及び各第2吸着部材12の内部空間は、負圧が供給された状態が維持される。また、搬送中において、当接部311が第1物品P1に当接する状態が維持される。このようにして、吸着搬送装置1は、第1物品P1及び第2物品P2の所定の姿勢を保ちながら、第1物品P1及び第2物品P2の吸着搬送を行う。
【0054】
なお、当接部311の面積は、吸着部111の面積よりも大きいことが好ましい。ここで、吸着部111の面積とは、各吸着部111の面積の合計を意味している。当接部311が、各吸着部111の面積の合計よりも大きな面積で第1物品P1に当接することにより、各吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢をより確実に一定に保つことができる。
【0055】
(4)支持部材30の機能
従来、ロボットアームによって、複数の物品を容器に吸着搬送する装置が知られている。このような装置は、図4に示すような姿勢(所定の姿勢)でコンベアを流れる複数の物品を吸着搬送する場合、複数の物品の所定の姿勢を保った状態で、複数の物品を容器に搬送する。
【0056】
上記のような装置によって吸着搬送される複数の物品が、プラスチックフィルム等の軟包材で包装された物品であって、柔軟性を有する物品である場合、これらの物品に対して何らかの圧力が加わったとしても、複数の物品のうちのいずれかの物品の一部が凹む等して変形することで、複数の物品の所定の姿勢は概ね保たれる。しかしながら、複数の物品が、例えば紙ラミネート加工が施された物品であって、柔軟性に欠ける物品である場合、複数の物品の所定の姿勢が保たれない状態で、吸着搬送が行われる恐れがある。
【0057】
(4-1)従来技術に係る吸着搬送装置1Xの場合その1
例えば、図9A図9Dに示すような、吸気部10Xと、第1吸着部材11Xと、第2吸着部材12Xと、を備える吸着搬送装置1Xがある。吸着搬送装置1Xは、パラレルリンクロボット(図示省略)によって所定の姿勢に並び替えられた第1物品X1と第2物品X2とを容器(図示省略)に吸着搬送する装置である。吸着搬送装置1Xの吸気部10Xは、ロボットアーム5Xと連結しており、水平方向や鉛直方向に自在に移動できる。また、吸気部10Xは図示しない真空源に接続する負圧室17Xを有しており、第1吸着部材11X及び第2吸着部材12Xの内部空間に負圧を供給することが可能である。パラレルリンクロボットによって所定の姿勢に並び替えられた第1物品X1及び第2物品X2は、コンベア92Xによって搬送される。なお、第1物品X1及び第2物品X2は、表面に紙ラミネート加工が施された物品であって、ポテトチップス等のスナック菓子が充填された袋状の物品である。換言すると、第1物品X1及び第2物品X2は、柔軟性に欠ける物品である。
【0058】
コンベア92Xによって搬送される第1物品X1及び第2物品X2が、吸着搬送装置1Xの鉛直方向下方に到達すると、図9Aに示すように、吸着搬送装置1Xの吸気部10Xが鉛直方向下方に移動して、第1吸着部材11X及び第2吸着部材12Xが、鉛直方向上方から第1物品X1及び第2物品X2に当接する。これにより、第1物品X1及び第2物品X2に対して、図9Aの矢印D1に示す方向に圧力が加わる。ここで、第1物品X1及び第2物品X2は、柔軟性に欠ける物品であるため、矢印D1の方向に圧力が加わると、第1物品X1と第2物品X2との間で、互いに反発する力が働く(図9Bの矢印D2、矢印D3参照)。そして、第1吸着部材11Xから矢印D1の方向に向かう圧力を受け、第2物品X2から矢印D3の方向に向かう圧力を受ける第1物品X1は、図9Cの矢印D4の方向に移動しようとする。この結果、図9Dに示すように、第1物品X1と第2物品X2との、所定の姿勢が崩れる。図9Dに示すような姿勢で、第1物品X1と第2物品X2とが容器に搬送される場合、第1物品X1及び/又は第2物品X2が、容器の内面と接触することが考えられ、正しい箱詰めが行われない恐れがある。
【0059】
(4-2)支持部材30を備える吸着搬送装置1の場合
一方で、本発明に係る吸着搬送装置1においては、図10に示すように、支持部材30の当接部311が、矢印D4方向に移動しようとする第1物品P1と当接する。これにより、第1物品P1に対して、図10の矢印D5に示す方向に反力が働き、第1物品P1が移動することが抑制される。このように、本発明においては、第1物品P1や第2物品P2が柔軟性に欠ける物品であったとしても、支持部材30の当接部311が第1物品P1と当接することにより、第1物品P1及び第2物品P2の所定の姿勢が保たれる。第1物品P1及び第2物品P2の所定の姿勢が保たれる時、第1物品P1と第2物品P2との間隔が詰められるため、第1物品P1及び第2物品P2が容器Cの内面と接触することが抑制される。換言すると、吸着搬送装置1は、第1物品P1や第2物品P2が柔軟性に欠ける物品であったとしても、第1物品P1の姿勢を好ましい姿勢に保ち、正しい箱詰めを行うことができる。
【0060】
(4-3)従来技術に係る吸着搬送装置1Xの場合その2
吸着搬送装置1Xにおいて、複数の物品の所定の姿勢が保たれない状態で、吸着搬送が行われる恐れがある例としては、次のような状況も考えられる。
【0061】
図11Aに示すように、第2吸着部材12Xは、第2物品X2を吸着することで、第2物品X2を矢印D6の方向に持ち上げる。ここで、第1物品X1及び第2物品X2は、柔軟性に欠ける物品であるため、第2物品X2を矢印D6の方向に持ち上げようとすると、第1物品X1と第2物品X2との間に、互いに反発する力が働く(図11Bの矢印D7、矢印D8参照)。この時、第1物品X1と吸気部10Xとの間に空間が確保されていない場合、第1物品X1が吸気部10Xと当接することで、第1物品X1と吸気部10Xとの間に、互いに反発する力が働く(図11Cの矢印D9、矢印D10参照)。第2物品X2から矢印D7の方向に向かう圧力を受け、吸気部10Xから矢印D10の方向に向かう圧力を受ける第1物品X1は、図11Dの矢印D11の方向に移動しようとする。この結果、図11Eに示すように、第1物品X1と第2物品X2との所定の姿勢が崩れる。図11Eのような姿勢で、第1物品X1と第2物品X2とが容器に搬送される場合、第1物品X1及び/又は第2物品X2が、容器の内面と接触することが考えられ、正しい箱詰めが行われない恐れがある。
【0062】
(4-4)支持部材30を備える吸着搬送装置1の場合
一方で、本発明に係る吸着搬送装置1においては、図12に示すように、支持部材30の当接部311が、矢印D11方向に移動しようとする第1物品P1と当接する。これにより、第1物品P1に対して、図12の矢印D12に示す方向に反力が働き、第1物品P1が移動することが抑制される。このように、本発明においては、第1物品P1や第2物品P2が柔軟性に欠ける物品であったとしても、支持部材30の当接部311が第1物品P1と当接することにより、第1物品P1及び第2物品P2の所定の姿勢が保たれる。第1物品P1及び第2物品P2の所定の姿勢が保たれる時、第1物品P1と第2物品P2との間隔が詰められるため、第1物品P1及び第2物品P2が容器Cの内面と接触することが抑制される。換言すると、吸着搬送装置1は、第1物品P1や第2物品P2が柔軟性に欠ける物品であったとしても、第1物品P1の姿勢を好ましい姿勢に保ち、正しい箱詰めを行うことができる。
【0063】
(5)特徴
(5-1)
吸着搬送装置1は、第1物品P1を吸着搬送する吸着搬送装置1であって、第1吸着部材11と、支持部材30と、を備える。第1吸着部材11は、真空源15と接続された吸気部10に一端が接合し、他端が第1物品P1を吸着する吸着部111となる。支持部材30は、第1物品P1に当接する当接部311を有する。吸着部111が第1物品P1を吸着し、当接部311が第1物品P1と当接している時、吸着部111の高さは、鉛直方向において、当接部311の高さより高い。
【0064】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、吸着搬送装置1は、支持部材30を備え、支持部材30の当接部311が第1物品P1に当接する。また、吸着部111が第1物品P1を吸着し、当接部311が第1物品P1と当接している時、吸着部111の高さは、鉛直方向において、当接部311の高さより高い。これにより、吸着搬送装置1が複数の物品を吸着搬送する際に、第1吸着部材11の吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0065】
(5-2)
吸着搬送装置1では、第1物品P1を吸着していない時の吸着部111の高さは、鉛直方向において、当接部311の高さ以上の高さである。
【0066】
吸着部111が第1物品P1を吸着していない時に、吸着部111の高さが、鉛直方向において、当接部311の高さよりも低い場合、吸着部111が第1物品P1を吸着し、当接部311が第1物品P1と当接している時、吸着部111の高さが、鉛直方向において、当接部311の高さより高いとは限らない。
【0067】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、第1物品P1を吸着していない時の吸着部111の高さは、鉛直方向において、当接部311の高さ以上の高さである。これにより、吸着搬送装置1が複数の物品を吸着搬送する際に、第1吸着部材11の吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0068】
(5-3)
吸着搬送装置1では、当接部311の高さを変更する位置調整部35をさらに備える。
【0069】
当接部311は、第1物品P1と当接することで吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を一定に保つ。この時、当接部311の鉛直方向における高さによっては、第1物品P1が損傷する恐れがあるため、当接部311の鉛直方向における高さは適宜調整可能であることが好ましい。
【0070】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、吸着搬送装置1は、当接部311の高さを変更する位置調整部35をさらに備える。これにより、第1物品P1の姿勢や形状に合わせて当接部311の鉛直方向における高さを調整することができるため、第1物品P1が損傷することを抑制できる。
【0071】
(5-4)
吸着搬送装置1では、支持部材30は、第1物品P1が当接できる範囲で移設可能である。
【0072】
支持部材30の当接部311は、第1物品P1と当接することで、吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を一定に保つ。この時、支持部材30が吸気部10に接合される位置によっては、第1物品P1が損傷する恐れがあるため、支持部材30の位置は、適宜調整可能であることが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、支持部材30は、第1物品P1が当接できる範囲で移設可能である。これにより、第1物品P1の姿勢や形状に合わせて支持部材30の位置を調整することができるため、第1物品P1が損傷することを抑制できる。
【0074】
(5-5)
吸着搬送装置1では、当接部311は、第1物品P1に当接する時に弾性変形する。
【0075】
当接部311は、第1物品P1と当接することで吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を一定に保つ。このため、当接部311の材質によっては、第1物品P1が損傷する恐れがある。
【0076】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、当接部311は第1物品P1に当接する時に弾性変形する。これにより、当接部311が第1物品P1と当接する時に、第1物品P1が損傷することを抑制できる。
【0077】
(5-6)
吸着搬送装置1では、当接部311は、ゴム製又はバンコラン製の弾性部材である。
【0078】
当接部311は、第1物品P1と当接することで吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を一定に保つ。このため、当接部311の材質によっては、第1物品P1が損傷する恐れがある。
【0079】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、当接部311は、ゴム製又はバンコラン製の弾性部材である。これにより、当接部311は弾性及び柔軟性を有するため、第1物品P1と当接する時に、第1物品P1が損傷することを抑制できる。
【0080】
また、当接部311がゴム製又はバンコラン製であるため、吸気部10全体における重量の軽量化が実現されている。
【0081】
(5-7)
吸着搬送装置1では、当接部311の面積が、吸着部111の面積よりも大きい。
【0082】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、当接部311の面積が、吸着部111の面積よりも大きい。これにより、吸着搬送装置1が複数の物品を吸着搬送する際に、第1吸着部材11の吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0083】
(5-8)
吸着搬送装置1では、支持部材30は、第1物品P1を吸着保持しない。
【0084】
本実施形態に係る吸着搬送装置1では、支持部材30は第1物品P1を吸着保持しない。換言すると、支持部材30は第1物品P1を吸着保持するための機構を有しない。これにより、支持部材30を備える吸着搬送装置1のコストの上昇が抑制できる。
【0085】
(5-9)
吸着搬送装置1では、吸気部10に一端が接合し、他端が第2物品P2を吸着する第2吸着部材12をさらに備える。第1吸着部材11の吸着部111及び第2吸着部材12の他端が第1物品P1及び第2物品P2を吸着するより前に、第1物品P1と第2物品P2とは互いに異なる姿勢で接触している。
【0086】
本実施形態に係る吸着搬送装置1は、一端が吸気部10に接合し、他端が第2物品P2を吸着する第2吸着部材12をさらに備える。また、第1吸着部材11の吸着部111及び第2吸着部材12の他端が第1物品P1及び第2物品P2を吸着するより前に、第1物品P1と第2物品P2とは互いに異なる姿勢で接触している。これにより、吸着搬送装置1が第1物品P1及び第2物品P2を吸着搬送する場合であっても、第1吸着部材11の吸着部111に吸着されている第1物品P1の姿勢を好ましい姿勢に保つことができる。
【0087】
(5-10)
吸着搬送装置1は、第1物品P1及び第2物品P2を容器Cに搬送する。
【0088】
本実施形態において、容器Cは例えば段ボールケースや通い箱等である。吸着搬送装置1が、第1物品P1及び第2物品P2の所定の姿勢が崩れた状態で、容器Cに搬送を行うと、容器Cの内面と第1物品P1及び/又は第2物品P2とが接触することが考えられ、正しい箱詰めが行われない恐れが生じる。例えば、容器Cの内面と第1物品P1及び/又は第2物品P2とが接触することで、第1物品P1及び/又は第2物品P2の一部が容器Cから溢れ出て、容器Cの蓋を折りたたむことや、容器Cの蓋を閉めてシールを行うことが妨げられるといった恐れが生じる。
【0089】
本実施形態に係る吸着搬送装置1は、第1物品P1及び第2物品P2の好ましい姿勢を保ちながら第1物品P1及び第2物品P2を容器Cに搬送する。これにより、第1物品P1と第2物品P2との間隔が詰められるため、第1物品P1及び第2物品P2が容器Cの内面と接触することが抑制され、正しい箱詰めを行うことができる。
【0090】
(6)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。なお、上記の第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
(6-1)変形例A
上記実施形態では、当接部材31は、側面視において略J字状又は略U字状を呈すると説明した。しかしながら、当接部材31の形状はこれに限定されるものではなく、当接部材31は例えばS字状等であってもよい。このような場合であっても、当接部311の面積は吸着部111の面積よりも大きいことが好ましい。
【0092】
(6-2)変形例B
上記実施形態では、吸気部10が、第1吸気部10aと第2吸気部10bと、の2つの吸気部からなる例について説明した。しかしながら、吸気部10の構成はこれに限定されるものではなく、吸気部10は、より多くの又はより少ない吸気部からなるものであってもよい。
【0093】
(6-3)変形例C
上記実施形態では、列Rは第1物品P1と第2物品P2とからなり、物品群Gは、2つの列Rからなるものとして説明した。しかしながら、物品群Gの構成はこれに限定されるものではなく、物品群Gは、より多くの又はより少ない列Rからなるものであってもよい。換言すると、物品群Gを構成する第1物品P1及び第2物品P2の数量は、上記の数量に限定されるものではない。
【0094】
なお、上記の通り、第1吸着部材11や第2吸着部材12の数量や形状や素材は、第1物品P1や第2物品P2の数量や形状や素材や姿勢に応じて適宜変更可能であるため、本変形例においては、物品群Gを構成する第1物品P1や第2物品P2の数量に応じて、第1吸着部材11や第2吸着部材12の数量を適宜選択すればよい。
【0095】
(6-4)変形例D
上記実施形態において、第1物品P1及び第2物品P2は、紙ラミネート加工が施された物品であると説明した。しかしながら、本発明における吸着搬送装置1は、紙ラミネート加工が施された物品のみならず、例えばプラスチックフィルム等の軟包材で包装された袋状の物体に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1、1a 吸着搬送装置
10a 第1吸気部(吸気部)
10b 第2吸気部(吸気部)
11 第1吸着部材
12 第2吸着部材
30 支持部材
35 位置調整部
111 吸着部
311 当接部
P1 第1物品
P2 第2物品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【文献】特開2018-89732号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12