(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】調理器具用蓋
(51)【国際特許分類】
A47J 36/06 20060101AFI20240307BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A47J36/06 A
A47J27/00 101D
(21)【出願番号】P 2020103481
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】平升 悠太
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0481197(KR,Y1)
【文献】特開2012-90673(JP,A)
【文献】特開2007-246061(JP,A)
【文献】実開昭60-71933(JP,U)
【文献】実公昭3-5385(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3106267(JP,U)
【文献】米国特許第2733052(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0095018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 36/06
A47J 27/00
A47J 45/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体と、
前記蓋本体に固定された摘み部と、を備えた調理器具用蓋であって、
前記摘み部は、前記蓋本体に取付けられた第1筒部と、当該第1筒部の径方向外側に設けられ互いに径方向に重なり合った少なくとも2つの移動筒部と、を有し、
前記第1筒部の径方向外側に凸部または凹部が設けられており、
前記移動筒部の径方向外側および内側の一方に凸部が設けられ且つ他方に凹部が設けられており、
前記摘み部が軸方向において収縮した収縮状態から前記2つの移動筒部を軸方向移動させ、その後に周方向に回転させることにより、前記摘み部が前記軸方向に伸張した伸張状態を維持することを特徴とする、調理器具用蓋。
【請求項2】
前記摘み部は、前記少なくとも2つの移動筒部として、前記第1筒部の径方向外側に位置する第2筒部、および前記第2筒部の前記径方向外側に位置する第3筒部を有し、
前記第1筒部は、軸方向において前記蓋本体から離間する側である一方側端から前記径方向外方に突出する第1凸部を有し、
前記第2筒部は、内周面から凹む第1溝部および軸方向の前記一方側から径方向外方に突出する第2凸部を有し、
前記第3筒部は、内周面から凹む第2溝部を有し、
前記第1溝部は、前記軸方向の前記一方側に開口する第1開口部と、前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側に非開口に設けられ且つ周方向の位置が前記第1開口部に対してずれている第1終端部と、を有し、
前記第2溝部は、前記軸方向の前記一方側に開口する第2開口部と、前記軸方向の前記他方側に非開口に設けられ且つ周方向の位置が前記第2開口部に対してずれている第2終端部と、を有し、
前記第1筒部、前記第2筒部および前記第3筒部は、
前記第1凸部が、前記第1溝部において前記第1開口部寄りに収容され、且つ前記第2凸部が、前記第2溝部において前記第2開口部寄りに収容された前記収縮状態と、
前記第1凸部が、前記第1溝部において前記第1終端部に収容され、且つ前記第2凸部が、前記第2溝部において前記第2終端部に収容された前記伸張状態と、をとる、請求項1に記載の調理器具用蓋。
【請求項3】
前記第1溝部は、前記第1開口部と前記第1終端部とを繋ぐ第1連結部を有し、
前記第1終端部は、前記第1連結部から前記周方向に突出する形状であり、
前記第2溝部は、前記第2開口部と前記第2終端部とを繋ぐ第2連結部を有し、
前記第2終端部は、前記第2連結部から前記周方向に突出する形状である。請求項2に記載の調理器具用蓋。
【請求項4】
前記第1終端部は、前記周方向において前記第1連結部から離間するほど軸方向寸法が小さい部分を有する形状であり、
前記第2終端部は、前記周方向において前記第2連結部から離間するほど軸方向寸法が小さい部分を有する形状である、請求項3に記載の調理器具用蓋。
【請求項5】
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記軸方向に沿っている、請求項3または4に記載の調理器具用蓋。
【請求項6】
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記軸方向に対して傾いている、請求項3または4に記載の調理器具用蓋。
【請求項7】
前記摘み部は、前記第3筒部を前記軸方向の前記一方側から覆うカバー部をさらに有し、
前記第1筒部は、前記摘み部を前記蓋本体に固定するための締結部材を保持する保持部を有し、
前記カバー部は、前記軸方向に沿って視て前記保持部と重なり且つ前記軸方向において前記他方側に凹む凹部を有する、請求項2ないし6のいずれかに記載の調理器具用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
鍋等の調理器具は、調理中の調理器具本体の内部を外気から保護したり、過度な蒸発を抑制したりするために、調理器具本体の開口部を塞ぐ調理器具用蓋を備える。特許文献1には、従来の調理器具用蓋の一例が開示されている。同文献に開示された調理器具用蓋は、蓋本体と蓋本体に固定された摘み部とを備える。摘み部は、使用者が手で摘むことにより、調理器具用蓋を鍋に脱着させたり、持ち運んだりするための部位である。同文献の摘み部は、板バネを利用した係合構造を採用することにより、高さが低い状態(収縮状態)と、高い状態(伸張状態)との2通りの状態をとる。これにより、調理器具用蓋を収納するときには、摘み部を収縮状態とし、調理器具用蓋を使用するときには、摘み部を伸張状態とすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調理器具用蓋を使用する際に伸張状態の摘み部に衝撃等が加えられると、摘み部が意図せずに収縮状態となってしまうことが懸念される。また、収縮時には、摘み部は、できるだけ嵩張らないことが好ましい。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より確実に摘み部の伸張状態を維持しつつ、収納状態において摘み部が嵩張ることを抑制することが可能な調理器具用蓋を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される調理器具用蓋は、蓋本体と、前記蓋本体に固定された摘み部と、を備えた調理器具用蓋であって、前記摘み部は、前記蓋本体に取付けられた第1筒部と、当該第1筒部の径方向外側に設けられ互いに径方向に重なり合った少なくとも2つの移動筒部と、を有し、前記第1筒部の径方向外側に凸部または凹部が設けられており、前記移動筒部の径方向外側および内側の一方に凸部が設けられ且つ他方に凹部が設けられており、前記摘み部が軸方向において収縮した収縮状態から前記2つの移動筒部を軸方向移動させ、その後に周方向に回転させることにより、前記摘み部が前記軸方向に伸張した伸張状態を維持することを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記摘み部は、前記少なくとも2つの移動筒部として、前記第1筒部の径方向外側に位置する第2筒部、および前記第2筒部の前記径方向外側に位置する第3筒部を有し、前記第1筒部は、軸方向において前記蓋本体から離間する側である一方側端から前記径方向外方に突出する第1凸部を有し、前記第2筒部は、内周面から凹む第1溝部および軸方向の前記一方側から径方向外方に突出する第2凸部を有し、前記第3筒部は、内周面から凹む第2溝部を有し、前記第1溝部は、前記軸方向の前記一方側に開口する第1開口部と、前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側に非開口に設けられ且つ周方向の位置が前記第1開口部に対してずれている第1終端部と、を有し、前記第2溝部は、前記軸方向の前記一方側に開口する第2開口部と、前記軸方向の前記他方側に非開口に設けられ且つ周方向の位置が前記第2開口部に対してずれている第2終端部と、を有し、前記第1筒部、前記第2筒部および前記第3筒部は、前記第1凸部が、前記第1溝部において前記第1開口部寄りに収容され、且つ前記第2凸部が、前記第2溝部において前記第2開口部寄りに収容された前記収縮状態と、前記第1凸部が、前記第1溝部において前記第1終端部に収容され、且つ前記第2凸部が、前記第2溝部において前記第2終端部に収容された前記伸張状態と、をとる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1溝部は、前記第1開口部と前記第1終端部とを繋ぐ第1連結部を有し、前記第1終端部は、前記第1連結部から前記周方向に突出する形状であり、前記第2溝部は、前記第2開口部と前記第2終端部とを繋ぐ第2連結部を有し、前記第2終端部は、前記第2連結部から前記周方向に突出する形状である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1終端部は、前記周方向において前記第1連結部から離間するほど軸方向寸法が小さい部分を有する形状であり、前記第2終端部は、前記周方向において前記第2連結部から離間するほど軸方向寸法が小さい部分を有する形状である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記軸方向に沿っている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記軸方向に対して傾いている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記摘み部は、前記第3筒部を前記軸方向の前記一方側から覆うカバー部をさらに有し、前記第1筒部は、前記摘み部を前記蓋本体に固定するための締結部材を保持する保持部を有し、前記カバー部は、前記軸方向に沿って視て前記保持部と重なり且つ前記軸方向において前記他方側に凹む凹部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より確実に摘み部の伸張状態を維持しつつ、収納状態において摘み部が嵩張ることを抑制することができる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の収縮状態の摘み部を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の収縮状態の摘み部を示す(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部を示す分解斜視図である。
【
図6】
図3(c)のVI-VI線に沿う断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部の第1筒部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部の第2筒部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部の第3筒部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図であり、(g)は同図(c)のG-G線に沿う断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部のカバー部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の収縮状態の複数の摘み部を積み重ねた状態を示す断面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の収縮状態と伸張状態との中間状態の摘み部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は正面図である。
【
図13】
図12(c)のXIII-XIII線に沿う断面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の中間状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の中間状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の中間状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図17】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の伸張状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図18】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の伸張状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図19】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の伸張状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図20】本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋の第1溝部および第2溝部53の(a)は第1変形例を示しており、(b)は第2変形例を示している。
【
図21】本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部を示す分解斜視図である。
【
図22】本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部の第2筒部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は断面図である。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部の第3筒部を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)(d)は断面図である。
【
図24】本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の伸張状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図25】本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の伸張状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【
図26】本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の伸張状態の摘み部を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0018】
<第1実施形態>
図1~
図19は、本発明の第1実施形態に係る調理器具用蓋を示している。本実施形態の調理器具用蓋A1は、蓋本体1および摘み部2を備えている。
【0019】
図1は、調理器具用蓋A1を示す斜視図である。
図2は、調理器具用蓋A1の収縮状態の摘み部2を示す斜視図である。
図3は、調理器具用蓋A1の収縮状態の摘み部2を示す(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
図4は、調理器具用蓋A1の摘み部2を示す分解斜視図である。
図5は、
図3(c)のV-V線に沿う断面図である。
図6は、
図3(c)のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、調理器具用蓋A1の摘み部2の第1筒部3を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図である。
図8は、調理器具用蓋A1の摘み部2の第2筒部4を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図である。
図9は、調理器具用蓋A1の摘み部2の第3筒部5を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図であり、(g)は同図(c)のG-G線に沿う断面図である。
図10は、調理器具用蓋A1の摘み部2のカバー部6を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は平面図であり、(d)は正面図であり、(e)は底面図であり、(f)は同図(c)のF-F線に沿う断面図である。
図11は、調理器具用蓋A1の収縮状態の複数の摘み部2を積み重ねた状態を示す断面図である。
図12は、調理器具用蓋A1の収縮状態と伸張状態との中間状態の摘み部2を示す、(a)(b)は斜視図であり、(c)は正面図である。
図13は、
図12(c)のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14~
図16は、調理器具用蓋A1の中間状態の摘み部2を示す断面斜視図である。
図17~
図19は、調理器具用蓋A1の伸張状態の摘み部2を示す断面斜視図である。これらの図において、z方向は、本発明の軸方向に相当する。図中において、z方向上側が本発明の一方側に相当し、z方向下側が他方側に相当する。r方向およびθ方向は、z方向とともに円筒座標系をなす軽方向および周方向である。
【0020】
〔蓋本体1〕
蓋本体1は、鍋等の調理器具の開口部を塞ぐ部材である。蓋本体1の形状、大きさおよび材質は何ら限定されない。蓋本体1の形状としては、円形状、矩形状、多角形状等の種々の形状が挙げられ、本実施形態においては、蓋本体1がz方向に沿って視て円形状である場合を例に説明する。また、蓋本体1の材質としては、金属、ガラス、陶器等が挙げられる。本実施形態においては、
図5および
図6に示すように、摘み部2を固定するための貫通孔11が設けられている。
【0021】
〔摘み部2〕
摘み部2は、蓋本体1に固定されており、使用者が手で摘むことにより、調理器具用蓋A1を鍋等の調理器具に脱着させたり、持ち運んだりするための部位である。本実施形態においては、摘み部2は、蓋本体1の上面からz方向の一方側に突出するように取り付けられている。摘み部2の固定方法は何ら限定されず、螺合、係合、接着等の従来公知の種々の手法が採用され得る。本実施形態においては、
図5および
図6に示すように、ナット91およびボルト92を用いて固定する場合を例に説明する。
【0022】
図1~
図5に示すように、本実施形態の2は、第1筒部3、第2筒部4、第3筒部5およびカバー部6を有する。
【0023】
〔第1筒部3〕
第1筒部3は、本発明の移動筒部の一例である。
図7に示すように、第1筒部3は、第1筒本体部31、複数の第1凸部32および底部33を有する。第1筒部3の材質は特に限定されず、たとえば、樹脂等からなる。
【0024】
第1筒本体部31は、z方向を軸方向とする円筒形状の部位である。図示された例においては、第1筒本体部31のz方向寸法は、r方向に沿う直径よりも小さい。
【0025】
複数の第1凸部32は、第1筒本体部31のz方向一方側(図中上側)からr方向外方にそれぞれが突出している。第1凸部32の突出量は、後述の第2筒部4の第2筒本体部41の肉厚よりも小さい。第1凸部32の個数は何ら限定されないが、後述の摘み部2の収縮状態と伸張状態とを適切に実現するためには、複数であることが好ましく、本実施形態においては、4つの第1凸部32が設けられている。4つの第1凸部32は、θ方向において、90°のピッチで配置されている。また、本実施形態においては、第1凸部32は、第1筒本体部31のz方向一方側端に繋がっている。第1凸部32の形状は何ら限定されず、図示された例においては、第1凸部32は、z方向に沿って視て略矩形状である。また、図示された例においては、第1凸部32は、θ方向両端にテーパ形状の部位を有する。
【0026】
底部33は、第1筒本体部31のz方向他方側部分に繋がっており、図示された例においては、ほぼ円板状の部材である。本実施形態においては、底部33は、保持部331および貫通孔332を有する。保持部331は、
図5および
図6に示すように、上述のナット91を保持するための部位である。貫通孔332は、底部33をz方向に貫通しており、保持部331に繋がっている。貫通孔332は、上述のボルト92を挿通させるためのものである。
【0027】
〔第2筒部4〕
第2筒部4は、本発明の移動筒部の一例である。
図8に示すように、第2筒部4は、第2筒本体部41、複数の第2凸部42および複数の第1溝部43を有する。第2筒部4の材質は特に限定されず、たとえば、樹脂等からなる。
【0028】
第2筒本体部41は、z方向を軸方向とする円筒形状の部位である。図示された例においては、第2筒本体部41のz方向寸法は、r方向に沿う直径よりも小さい。また、第2筒本体部41の内径は、第1筒本体部31の外形よりも若干大きい。
図5および
図6に示すように、第2筒本体部41のz方向寸法は、第1筒本体部31のz方向寸法と略同じである。
【0029】
複数の第2凸部42は、第2筒本体部41のz方向一方側(図中上側)からr方向外方にそれぞれが突出している。第2凸部42の突出量は、後述の第3筒部5の第3筒本体部51の肉厚よりも小さい。第2凸部42の個数は何ら限定されないが、後述の摘み部2の収縮状態と伸張状態とを適切に実現するためには、複数であることが好ましく、本実施形態においては、4つの第2凸部42が設けられている。4つの第2凸部42は、θ方向において、90°のピッチで配置されている。また、本実施形態においては、第2凸部42は、第2筒本体部41のz方向一方側端に繋がっている。第2凸部42の形状は何ら限定されず、図示された例においては、第2凸部42は、z方向に沿って視て略矩形状である。また、図示された例においては、第2凸部42は、θ方向両端にテーパ形状の部位を有する。
【0030】
複数の第1溝部43は、第2筒本体部41の内周面から凹んでいる。複数の第1溝部43の個数は何ら限定されず、第1筒部3の複数の第1凸部32と同数以上であればよく、本実施形態においては同数の4つである。4つの第1溝部43は、θ方向において、90°のピッチで配置されている。
【0031】
第1溝部43は、第1開口部431、第1終端部432および第1連絡部433を有する。第1開口部431は、z方向の一方側(上側)に開口した部位である。図示された例においては、第1開口部431は、z方向に沿って視て略矩形状である。第1開口部431のθ方向の寸法は、第1凸部32のθ方向の寸法よりも大きい
【0032】
第1連絡部433は、第1開口部431と第1終端部432とを繋ぐ部位である。第1開口部431の形状は何ら限定されず、本実施形態においては、z方向に沿った形状である。
【0033】
第1終端部432は、第1開口部431に対してz方向の他方側に位置しており、z方向の他方側に非開口とされている。すなわち、第1終端部432は、第2筒本体部41のz方向の他方側端からz方向一方側に離間した位置に設けられている。また、第1終端部432は、θ方向の位置が第1開口部431に対してずれている。また、第1終端部432の形状は何ら限定されず、本実施形態においては、第1連絡部433からθ方向に突出した形状である。また、図示された例においては、第1終端部432は、θ方向において第1連絡部433から離間するほどz方向寸法が小さい形状である。
【0034】
〔第3筒部5〕
図9に示すように、第3筒部5は、第3筒本体部51、複数の第2溝部53および複数の係合凹部54を有する。第3筒部5の材質は特に限定されず、たとえば、樹脂等からなる。
【0035】
第3筒本体部51は、z方向を軸方向とする円筒形状の部位である。図示された例においては、第3筒本体部51のz方向寸法は、r方向に沿う直径よりも小さい。また、第3筒本体部51の内径は、第2筒本体部41の外形よりも若干大きい。
図5および
図6に示すように、第3筒本体部51のz方向寸法は、第2筒本体部41のz方向寸法と略同じである。
【0036】
複数の第2溝部53は、第3筒本体部51の内周面から凹んでいる。複数の第2溝部53の個数は何ら限定されず、第2筒部4の複数の第2凸部42と同数以上であればよく、本実施形態においては同数の4つである。4つの第2溝部53は、θ方向において、90°のピッチで配置されている。
【0037】
第2溝部53は、第2開口部531、第2終端部532および第2連絡部533を有する。第2開口部531は、z方向の一方側(上側)に開口した部位である。図示された例においては、第2開口部531は、z方向に沿って視て略矩形状である。第2開口部531のθ方向の寸法は、第2凸部42のθ方向の寸法よりも大きい。
【0038】
第2連絡部533は、第2開口部531と第2終端部532とを繋ぐ部位である。第2開口部531の形状は何ら限定されず、本実施形態においては、z方向に沿った形状である。
【0039】
第2終端部532は、第2開口部531に対してz方向の他方側に位置しており、z方向の他方側に非開口とされている。すなわち、第2終端部532は、第3筒本体部51のz方向の他方側端からz方向一方側に離間した位置に設けられている。また、第2終端部532は、θ方向の位置が第2開口部531に対してずれている。なお、第2終端部532が第2開口部531に対するずれは、第1終端部432の第1開口部431に対するずれとθ方向において同じ側である。また、第2終端部532の形状は何ら限定されず、本実施形態においては、第2連絡部533からθ方向に突出した形状である。また、図示された例においては、第2終端部532は、θ方向において第2連絡部533から離間するほどz方向寸法が小さい形状である。
【0040】
複数の係合凹部54は、第3筒本体部51の外面から凹んでいる。複数の係合凹部54の個数は何ら限定されず、後述のカバー部6の複数の係合突起621と同数以上であればよく、本実施形態においては、同数の4つである。4つの係合凹部54は、θ方向において、90°のピッチで配置されている。また、4つの係合凹部54は、4つの第2溝部53に対してθ方向にずれた位置に設けられている。
【0041】
図示された例においては、係合凹部54は、導入部541および係止部542を有する。導入部541は、第3筒本体部51のz方向の一方側端から他方側に向かって延びる部分であり、図示された例においては、z方向に沿った形状である。係止部542は、導入部541に対してz方向の他方側に繋がっている。係止部542は、導入部541よりもr方向の深さが深い。また、係止部542は、z方向の他方側に開口している。
【0042】
〔カバー部6〕
図10に示すように、カバー部6は、天板部61および筒状部62を有する。カバー部6の材質は特に限定されず、たとえば、樹脂等からなる。カバー部6は、第3筒部5に取り付けられることにより、第3筒本体部51をz方向の一方側から塞ぐ部材である。摘み部2は、本実施形態のように、第3筒部5と別体のカバー部6を備える構成であってもよいし、カバー部6が第3筒部5の一部として一体的に形成された構成であってもよい。また、摘み部2は、カバー部6に相当する部位を有さない構成であってもよい。
【0043】
天板部61は、摘み部2のz方向の一方側の外観をなす部位であり、第1筒部3、第2筒部4および第3筒部5をz方向の一方側から覆う部位である。本実施形態においては、天板部61は、凹部611を有する。凹部611は、天板部61のz方向の一方側の面から他方側に凹んだ部位である。
図5および
図6に示すように、天板部61は、z方向に沿って視て第1筒部3の保持部331および貫通孔332と重なる位置に設けられている。
【0044】
筒状部62は、z方向を軸方向とする円筒形状の部位である。図示された例においては、筒状部62のz方向寸法は、r方向に沿う直径よりも小さい。また、筒状部62の内径は、第3筒本体部51の外形よりも若干大きい。
図5および
図6に示すように、筒状部62のz方向寸法は、第3筒本体部51のz方向寸法と略同じである。
【0045】
筒状部62は、複数の係合突起621を有する。係合突起621は、天板部61の内周面のz方向他方側部分からr方向の内方に突出している。本実施形態の複数の筒状部62の個数は、第3筒部5の複数の係合凹部54と同数の4つである。
【0046】
図4~
図5に示すように、摘み部2の組み立ては、第3筒部5の第3筒本体部51の内側に第2筒部4を挿入し、第2筒部4の第2筒本体部41の内側に第1筒部3を挿入し、第3筒部5にカバー部6を取り付ける。なお、カバー部6の取り付けに先立ち、第1筒部3の保持部331にボルト92を保持させておく。第3筒部5の第3筒本体部51に第2筒部4を挿入する際には、複数の第2開口部531に複数の第2凸部42をそれぞれ通過させ、第2連絡部533の第2開口部531寄りの部分に第2凸部42を収容させる。また、第2筒部4の第2筒本体部41に第1筒部3を挿入する際には、複数の第1開口部431に複数の第1凸部32をそれぞれ通過させ、第1連絡部433の第1開口部431寄りの部分に第1凸部32を収容させる。また、カバー部6を第3筒部5に取り付ける際には、係合突起621が複数の係合凹部54の導入部541を経由して、係止部542にそれぞれ係合させる。これにより、
図5および
図6に示すように、第1筒本体部31、第2筒本体部41および第3筒本体部51が互いに重なった状態の摘み部2が完成する。この状態は、摘み部2の収縮状態である。
【0047】
図5および
図6に示すように、蓋本体1のz方向一方側に摘み部2を配置し、蓋本体1のz方向他方側から貫通孔11を通じて、ボルト92をナット91に螺合させる。これにより、摘み部2を蓋本体1に固定することができる。
【0048】
図11は、収縮状態の摘み部2を積み重ねた状態を示している。ナット91には、ボルト92が螺合されており、ボルト92の頭部が第1筒部3からz方向の他方側に突出している。この突出したボルト92は、z方向の他方側の摘み部2のカバー部6の凹部611に収容される格好となる。
【0049】
図12~
図16は、収縮状態と伸張状態との間の状態である中間状態の摘み部2を示している。なお、
図12に示された中間状態の摘み部2は、伸張状態の摘み部2と略同様の外観である。中間状態の摘み部2は、収縮状態の摘み部2のカバー部6をz方向一方側に持ち上げた状態である。これにより、
図12~
図15に示すように、第1筒部3の複数の第1凸部32が、第2筒部4の複数の第1溝部43の第1連絡部433のz方向の他方側端に位置する。第1連絡部433は、z方向の他方側に非開口であるため、各第1凸部32が第1終端部432の他方側端に当接することにより、第1筒部3と第2筒部4とのz方向の位置が決定される。なお、第2筒部4が第1筒部3に対してz方向一方側に持ち上げられた中間状態においては、第1凸部32は、未だ第1終端部432には進入していない。
【0050】
中間状態の摘み部2は、第2筒部4が第1筒部3に対してz方向の一方側にスライドして突出し、第3筒部5が第2筒部4に対してz方向の一方側にスライドして突出している。この結果、中間状態の摘み部2のz方向の寸法は、収縮状態の摘み部2のz方向の寸法よりも大きく、たとえば、2倍以上である。
【0051】
また、
図12~
図14および
図16に示すように、第2筒部4の複数の第2凸部42が、第3筒部5の複数の第2溝部53の第2連絡部533のz方向の他方側端に位置する。第2連絡部533は、z方向の他方側に非開口であるため、各第2凸部42が第2終端部532の他方側端に当接することにより、第2筒部4と第3筒部5とのz方向の位置が決定される。なお、第3筒部5が第2筒部4に対してz方向一方側に持ち上げられた中間状態においては、第2凸部42は、未だ第2終端部532には進入していない。
【0052】
図17~
図19は、伸張状態の摘み部2を示している。なお、伸張状態の摘み部2の外観は、
図12に示された中間状態の摘み部2の外観と略同様である。伸張状態の摘み部2は、中間状態の摘み部2のカバー部6をθ方向に回転させた状態である。これにより、
図17および
図18に示すように、第1筒部3の複数の第1凸部32が、第2筒部4の複数の第1溝部43の第1終端部432に進入し、第1終端部432に嵌まり込む格好となる。また、
図17および
図19に示すように、第2筒部4の複数の第2凸部42が、第3筒部5の複数の第2溝部53の第2終端部532に進入し、第2終端部532に嵌まり込む格好となる。
【0053】
伸張状態の摘み部2のz方向の寸法は、中間状態の摘み部2のz方向の寸法と略同じであり、収縮状態の摘み部2のz方向の寸法よりも大きく、たとえば、2倍以上である。なお、摘み部2を収縮状態から中間状態を経て伸張状態とした手順と反対の手順を踏むことにより、摘み部2を伸長状態から中間状態を経て収縮状態へと戻すことができる。
【0054】
次に、調理器具用蓋A1の作用について説明する。
【0055】
本実施形態によれば、
図17~
図19に示すように、摘み部2が伸張状態をとった際には、第1筒部3の第1凸部32が第2筒部4の第1溝部43の第1終端部432に進入し、第2筒部4の第2凸部42が第3筒部5の第2溝部53の第2終端部532に進入する。これにより、伸張状態の摘み部2のカバー部6をz方向の他方側(下側)に押し込むような衝撃等が加えられても、第1凸部32および第1終端部432の係合構造と第2凸部42および第2終端部532の係合構造とによって、摘み部2が意図せずに収縮してしまうことを抑制することができる。また、第1筒部3、第2筒部4および第3筒部5がr方向の内外に重なり合った構造とすることにより、収縮状態の摘み部2のz方向の寸法を伸張状態の摘み部2のz方向の寸法のたとえば半分以下程度に小さくすることが可能である。したがって、調理器具用蓋A1によれば、より確実に摘み部2の伸張状態を維持しつつ、収納状態において摘み部2が嵩張ることを抑制することができる。
【0056】
第1終端部432が第1連絡部433からθ方向に突出し、第2終端部532が第2連絡部533からθ方向に突出する構成であることにより、第1凸部32および第1終端部432の係合と第2凸部42および第2終端部532の係合とを、より強固に維持することが可能である。これは、より強い衝撃が生じた場合であっても、摘み部2の伸張状態を維持するのに好ましい。
【0057】
図8および
図9に示すように、第1終端部432は、θ方向において第1連絡部433から離間するほどz方向寸法が小さい形状であり、第2終端部532は、θ方向において第2連絡部533から離間するほどz方向寸法が小さい形状である。これにより、
図18および
図19に示す伸張状態の摘み部2において、第1凸部32を第1終端部432に嵌合させ、42を第2終端部532に嵌合させるような係合構造を実現することが可能である。これは、摘み部2の伸張状態を維持するのに適している。また、第1凸部32および第2凸部42が、θ方向の端部にテーパ形状の部分を有することは、第1終端部432および第2終端部532とより強固い嵌合させるのに有利である。
【0058】
第1連絡部433および第2連絡部533がz方向に沿った形状であることにより、本実施形態の摘み部2は、カバー部6をz方向に沿って持ち上げることにより
図14~
図16に示す中間状態を経由して、
図17~
図19に示す伸張状態に移行する。これは、伸張状態と収縮状態とを互いに明確に区別し、それぞれの状態により確実に移行させるのに適している。
【0059】
図11に示すように、蓋本体1に取り付けられていない収縮状態の複数の摘み部2をz方向に積み重ねた場合、ボルト92の頭部をz方向の他方側の摘み部2の凹部611に収容させることが可能である。これにより、複数の摘み部2をより安定して積み重ねることができる。
【0060】
図20~
図26は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0061】
<第1実施形態 第1、第2変形例>
図20は、調理器具用蓋A1の第1溝部43および第2溝部53の第1変形例および第2変形例を示している。同図(a)に示す第1変形例は、第1溝部43の第1終端部432が、傾斜部4321を有する例であり、また、第2溝部53の第2終端部532が、傾斜部5321を有する例である。傾斜部4321および傾斜部5321は、第1終端部432および第2終端部532のz方向上側に設けられており、θ方向において第1連絡部433および第2連絡部533から離間するほどz方向寸法が小さい部分である。同図(b)に示す第2変形例は、第1終端部432および第2終端部532のz方向の下側に、傾斜部4321および傾斜部5321が設けられている。これらは、第1終端部432およ第2終端部532が、θ方向において第1連絡部433および第2連絡部533から離間するほどz方向寸法が小さい部分を有する一構成例である。なお、上述した調理器具用蓋A1における第1終端部432および第2終端部532は、その全体がθ方向において第1連絡部433および第2連絡部533から離間するほどz方向寸法が小さい部分となっている例である。
【0062】
本例によっても、第1凸部32を第1終端部432に嵌合させ、42を第2終端部532に嵌合させるような係合構造を実現することが可能である。
【0063】
<第2実施形態>
図21~
図26は、本発明の第2実施形態に係る調理器具用蓋の摘み部を示している。本実施形態の摘み部2は、第2筒部4の第1溝部43および第3筒部5の第2溝部53の構成が、上述した実施形態と異なっており、その他の構成は、上述の実施形態と略共通である。
【0064】
図21および
図22に示すように、本実施形態の第2筒部4の第1溝部43は、第1連絡部433がz方向に対して傾いている。より具体的には、第1連絡部433は、z方向において他方側(下側)から一方側(上側)に向かうほど、θ方向において第1終端部432から離間するように傾いている。
【0065】
図21および
図23に示すように、本実施形態の第3筒部5の第2溝部53は、第2連絡部533がz方向に対して傾いている。より具体的には、第2連絡部533は、z方向において他方側(下側)から一方側(上側)に向かうほど、θ方向において第2終端部532から離間するように傾いている。
【0066】
図24~
図26は、本実施形態の摘み部2が伸張状態をとった場合を示している。摘み部2を収縮状態から伸張状態に移行させるには、カバー部6をθ方向に回転させながらz方向の一方側に持ち上げる。これにより、
図24および
図25に示すように、第1筒部3の第1凸部32が、第2筒部4の第1溝部43の第1連絡部433を経由して第1終端部432に進入し、第1終端部432に嵌まり込む。また、
図24および
図26に示すように、第2筒部4の第2凸部42が第3筒部5の第2溝部53の第2連絡部533を経由して第2終端部532に進入し、第2終端部532に嵌まり込む。これにより、本実施形態の摘み部2が伸張状態となる。本実施形態の摘み部2を収縮状態に戻すには、カバー部6をθ方向に逆回転させながらz方向の他方側(下側)に押し込めばよい。
【0067】
本実施形態によっても、より確実に摘み部2の伸張状態を維持しつつ、収納状態において摘み部2が嵩張ることを抑制することができる。また、第1連絡部433および第2連絡部533がz方向に対して傾いているため、カバー部6をθ方向に回転させつつ一方側(上側)に持ち上げることによって、いわゆるワンアクションで摘み部2を収縮状態から伸長状態に移行させることができる。
【0068】
本発明に係る調理器具用蓋は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る調理器具用蓋の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0069】
摘み部2は、複数の筒部として第1筒部3、第2筒部4および第3筒部5のみを有する構成に限定されず、たとえば第1筒部3のさらにr方向の外側に別の移動筒部を有する構成であってもよい。
【0070】
第1筒部3、第2筒部4および第3筒部5の第1凸部32および第2凸部42と、第1溝部43および第2溝部53とは、凸部がr方向外方に突出し、溝部が内周面に設けられていることによって、摘み部2が伸張状態である場合に、第1溝部43および第2溝部53が摘み部2の外面に現れて美観を損ねることを回避することができる。また、第1溝部43および第2溝部53に汚れが溜まってしまうことを抑制することができる。しかし、本発明はこのような構成に限定されず、凸部が径方向内方に突出し、溝部が外周面に設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
A1 :調理器具用蓋
1 :蓋本体
2 :摘み部
3 :第1筒部
4 :第2筒部(移動筒部)
5 :第3筒部(移動筒部)
6 :カバー部
11 :貫通孔
31 :第1筒本体部
32 :第1凸部
33 :底部
41 :第2筒本体部
42 :第2凸部
43 :第1溝部
51 :第3筒本体部
53 :第2溝部
54 :係合凹部
61 :天板部
62 :筒状部
91 :ナット
92 :ボルト
331 :保持部
332 :貫通孔
431 :第1開口部
432 :第1終端部
433 :第1連絡部
531 :第2開口部
532 :第2終端部
533 :第2連絡部
541 :導入部
542 :係止部
611 :凹部
621 :係合突起