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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】防火扉の係止装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/10 20060101AFI20240307BHJP
   E05C 17/56 20060101ALI20240307BHJP
   E05F 15/72 20150101ALI20240307BHJP
   A62C 2/06 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
E05B65/10 F
E05C17/56
E05F15/72
A62C2/06 504
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020192135
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022080914
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-87847(JP,U)
【文献】実開昭56-33949(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0261754(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/10
E05C 17/56
E05F 15/72
A62C 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火扉(1)を開閉可能に支持する扉支持構造体(2)に取付けられ、前記防火扉(1)の開度が所定角度(α)となったときに、前記防火扉(1)と当接するドアストッパ(10)と、
前記ドアストッパ(10)に設けられ、強磁性体(21)及び磁石(31)の一方を含む被吸着部(20)と、
前記強磁性体(21)及び前記磁石(31)の他方を含み、前記被吸着部(20)に吸着する吸着部材(30)と、
前記吸着部材(30)と係合し、前記吸着部材(30)を前記防火扉(1)に係止する係止部材(40)であって、前記吸着部材(30)と係合する係合位置(P1)と、前記吸着部材(30)との係合が解除される非係合位置(P2)との間で移動可能に前記防火扉(1)に支持される係止部材(40)と、
前記係止部材(40)を前記非係合位置(P2)に向かって付勢する付勢手段(50)と、
温度ヒューズ(61)を含み、環境温度が所定温度以下であるとき、前記付勢手段(50)の付勢力に抗して、前記係止部材(40)を前記係合位置(P1)に支持する支持手段(60)
とを具備する防火扉の係止装置。
【請求項2】
前記係止部材(40)は、前記吸着部材(30)と係合する一対の係合部(41)、及び前記一対の係合部(41)の間に配設され、前記吸着部材(30)を前記被吸着部(20)と吸着可能に開口する窓部(42)を有し、前記窓部(42)は、上端が開放されており、前記非係合位置(P2)は、前記係合位置(P1)の下方にあり、前記支持手段(60)は、前記係止部材(40)を前記係合位置(P1)に吊支する、請求項1に記載の防火扉の係止装置。
【請求項3】
前記ドアストッパ(10)は、前記防火扉(1)と当接する当接部(11)、及び前記当接部(11)を前記扉支持構造体(2)に支持するアーム部(12)を有し、
前記当接部(11)は、前記強磁性体(21)及び前記磁石(31)の前記一方が設置される設置面(11a)を有し、前記設置面(11a)が前記防火扉(1)と当接可能な当接可能状態と、前記設置面(11a)が前記防火扉(1)と当接不可能な当接不可能状態との間で回動可能に前記アーム部(12)に支持される、請求項1又は請求項2に記載の防火扉の係止装置。
【請求項4】
前記ドアストッパ(10)は、前記防火扉(1)と当接する当接部(11)、及び前記当接部(11)を前記扉支持構造体(2)に支持するアーム部(12)を有し、
前記アーム部(12)は、長さ調節機構(70)を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防火扉の係止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火扉の係止装置、特に、火災発生時に自動的に閉じることができるように、防火扉を開放状態に係止する防火扉の係止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防火扉の係止装置として、特許文献1には、火災発生時に自動的に閉じることができるように、防火扉を開放状態に係止する防火扉の係止装置が記載されている。特許文献1に記載の係止装置は、防火扉を開放状態に係止するためのフックと、フックを係止解除状態とするための駆動機構とを有している。係止装置が、火災感知装置からの信号、又は人による遠隔操作を受付けると、駆動機構によって、フックが係止解除状態とされ、防火扉が閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-137728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の係止装置においては、煙感知装置などの火災感知装置と、火災感知装置と係止装置との間の配線とが必要となる。従って、防火扉の設置コストは上昇する。更に、火災感知装置や配線などに不具合があると、火災発生時に防火扉が正常に閉じられなくなることも考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、防火扉の設置コストを抑えることができるとともに、火災発生時に、防火扉をより安全、確実に閉じることができる防火扉の係止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する防火扉の係止装置は、ドアストッパ(10)と、被吸着部(20)と、吸着部材(30)と、係止部材(40)と、付勢手段(50)と、支持手段(60)とを具備する。前記ドアストッパ(10)は、扉支持構造体(2)に取付けられ、前記防火扉(1)の開度が所定角度(α)となったときに前記防火扉(1)と当接する。前記扉支持構造体(2)は、前記防火扉(1)を開閉可能に支持する。前記被吸着部(20)は、前記ドアストッパ(10)に設けられ、強磁性体(21)及び磁石(31)の一方を含む。前記吸着部材(30)は、前記強磁性体(21)及び前記磁石(31)の他方を含み、前記被吸着部(20)に吸着する。前記係止部材(40)は、前記吸着部材(30)と係合し、前記吸着部材(30)を前記防火扉(1)に係止する。そして、前記係止部材(40)は、係合位置(P1)と非係合位置(P2)との間で移動可能に前記防火扉(1)に支持される。前記係合位置(P1)は、前記係止部材(40)が前記吸着部材(30)と係合する位置である。前記非係合位置(P2)は、前記係止部材(40)と前記吸着部材(30)との係合が解除される位置である。前記付勢手段(50)は、前記係止部材(40)を前記非係合位置(P2)に向かって付勢する。前記支持手段(60)は、温度ヒューズ(61)を含み、環境温度が所定温度以下であるとき、前記付勢手段(50)の付勢力に抗して、前記係止部材(40)を前記係合位置(P1)に支持する。
【0007】
本願に開示する防火扉の係止装置において、前記係止部材(40)は、一対の係合部(41)及び窓部(42)を有する。前記一対の係合部(41)は、前記吸着部材(30)と係合する。前記窓部(42)は、前記一対の係合部(41)の間に配設され、前記吸着部材(30)を前記被吸着部(20)と吸着可能に開口する。また、前記窓部(42)は、上端が開放されており、前記非係合位置(P2)は、前記係合位置(P1)の下方にあり、前記支持手段(60)は、前記係止部材(40)を前記係合位置(P1)に吊支する。
【0008】
本願に開示する防火扉の係止装置において、前記ドアストッパ(10)は、当接部(11)及びアーム部(12)を有する。前記当接部(11)は、前記防火扉(1)と当接する。前記アーム部(12)は、前記当接部(11)を前記扉支持構造体(2)に支持する。また、前記当接部(11)は、設置面(11a)を有する。前記設置面(11a)は、前記強磁性体(21)及び前記磁石(31)の前記一方が設置される。そして、前記当接部(11)は、当接可能状態と当接不可能状態との間で回動可能に前記アーム部(12)に支持される。前記当接可能状態は、前記設置面(11a)が前記防火扉(1)と当接可能な状態である。前記当接不可能状態は、前記設置面(11a)が前記防火扉(1)と当接不可能な状態である。
【0009】
本願に開示する防火扉の係止装置において、前記アーム部(12)は、長さ調節機構(70)を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防火扉の係止装置によれば、防火扉の設置コストを抑えることができるとともに、火災発生時に、防火扉をより安全、確実に閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る防火扉の係止装置を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る防火扉の係止装置を示す上面図である。
図3】本発明の実施形態に係る防火扉の係止装置を示す斜視図であって、防火扉が閉じている斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る防火扉の係止装置を示す斜視図であって、防火扉が開いている斜視図である。
図5】防火扉の要部を示す斜視図である。
図6】吸着部材を示す斜視図である。
図7】(a)防火扉の要部を示す正面図である。(b)防火扉の要部を示す断面図である。
図8】係止部材を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る防火扉の係止装置を示す斜視図であって、火災発生時に防火扉が閉じられている斜視図である。
図10】ドアストッパの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る係止装置を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
〈実施形態〉
以下に、図1図9を参照して、本発明の実施形態に係る係止装置を説明する。図1は、実施形態に係る防火扉の係止装置を示す正面図であり、図2は、上面図である。図3は、実施形態に係る防火扉の係止装置を示す斜視図であって、防火扉が閉じている斜視図であり、図4は、防火扉が開いている斜視図である。図5は、防火扉の要部を示す斜視図であり、図6は、吸着部材を示す斜視図である。図7(a)は、防火扉の要部を示す正面図であり、図7(b)は、断面図である。図8は、係止部材を示す斜視図であり、図9は、実施形態に係る防火扉の係止装置を示す斜視図であって、火災発生時に防火扉が閉じられている斜視図である。
【0013】
図1図2に示すように、実施形態に係る防火扉の係止装置は、ドアストッパ10と、被吸着部20と、吸着部材30と、係止部材40と、付勢手段50と、支持手段60とを具備する。
【0014】
図1に示すように、防火扉1は、ドアノブ1a、錠1bを有するとともに、ドアクローザ1cによって、閉じる方向に常時付勢される。扉枠2は、扉支持構造体であり、蝶番2aを介し防火扉1を開閉可能に支持する。
【0015】
図2図3に示すように、ドアストッパ10は、当接部11及びアーム部12を有しており、扉枠2に取付けられる。実施形態においては、ドアストッパ10は、扉枠2の上部に取付けられる。
【0016】
当接部11は、例えばゴム又は樹脂から形成される。図2に示すように、防火扉1は、開度が所定の開き角αとなったとき、当接部11と当接する。図2に示す例においては、角αは、約90度であり、防火扉1が当接部11と当接するとき、防火扉1は壁面3と略平行となっている。当接部11の形状は特に限定されないが、実施形態においては、当接部11は、六面体などの多面体形状に形成される。
【0017】
図2図3に示すように、アーム部12は、実施形態においては、湾曲した金属板から形成され、当接部11を扉枠2に支持する。また、アーム部12は、長さ調節機構70を有する。長さ調節機構70の具体的な構造は、特に限定されないが、実施形態においては、アーム部12を2枚の金属板から形成し、2枚の金属板の一方に少なくとも2つの貫通孔71を形成し、他方に湾曲した長孔72を形成し、貫通孔71と長孔72とを介し、一方の金属板に他方の金属板を任意の位置でネジ止めすることによって、アーム部12の長さが調節される。
【0018】
図3に示すように、被吸着部20は、ドアストッパ10に設けられており、強磁性体21及び磁石31の一方を含む。実施形態においては、被吸着部20は、強磁性体21を含む。強磁性体21は、例えば薄い鉄板である。強磁性体21が、当接部11の1つの側面である設置面11aに例えば埋設されることによって、設置面11aに被吸着部20が設置される。強磁性体21を設置面11aに、例えば、貼り付けたり、ネジ留めしたりすることによって、設置面11aに被吸着部20を設置してもよい。
【0019】
図3図6に示すように、吸着部材30は、強磁性体21及び磁石31の他方を含み、被吸着部20に吸着する。実施形態においては、吸着部材30は、磁石31を含む。磁石31は、永久磁石である。
【0020】
図6に示すように、吸着部材30は、横長であり、磁石31を支持する磁石支持部32と、一対の突起33とを含む。磁石支持部32は、方形箱状であり、磁石31の1つの表面が外部に露出された状態で磁石31を支持する。一対の突起33は、磁石支持部32における長手方向両端の外側面から横方向に突設されている。
【0021】
図7図8に示すように、係止部材40は、一対の係合部41及び窓部42を有しており、吸着部材30と係合し、吸着部材30を防火扉1に係止する。実施形態においては、一対の係合部41は、一対の突起33と係合する。窓部42は、一対の係合部41の間に配設され、図5に示すように、吸着部材30を被吸着部20と吸着可能に開口する。
【0022】
また、図8に示すように、係止部材40は、実施形態においては、長方形の底板40aと、底板40aの2つの長辺から上方に各々立設される略長方形の第1立設部40b及び第2立設部40cを有する。吸着部材30は、底板40aの上方に配置される。第1立設部40bの上辺は、第2立設部40cの上辺よりも高い位置にある。
【0023】
一対の係合部41と、窓部42とは、第1立設部40bの上辺に沿って形成されており、窓部42は、上端が開放された長方形形状を有する。窓部42の横幅は、一対の係合部41に一対の突起33が係合するように、磁石支持部32の横幅よりも若干大きくなっている。
【0024】
また、図5図7に示すように、係止部材40は、実施形態においては、箱状の収容部材100に収容されている。収容部材100は、天板101と、収容部102と、開口部103とを有し、防火扉1の上部に設置される。
【0025】
天板101は、一対の延出部101aを有しており、上面が防火扉1の上端面と面一に配設される。延出部101aは、木ネジなどによって防火扉1に固定される。
【0026】
収容部102は、方形箱状であり、係止部材40の他に、吸着部材30、付勢手段50及び支持手段60を収容する。吸着部材30は、係止部材40と係合するとともに、渡し板などによって下から支えられた状態で収容部102に収容される。
【0027】
開口部103は、吸着部材30の全幅よりも大きい横幅を有し、吸着部材30が通過可能である。また、開口部103は、収容部102の4つの側面のうち、ドアストッパ10の当接部11と対向する対向面に形成される。吸着部材30は、開口部103と、係止部材40の窓部42とを介し、被吸着部20と吸着する。
【0028】
そして、係止部材40は、図7に示すように、係合位置P1と非係合位置P2との間で移動可能に防火扉1に支持される。実施形態においては、係止部材40は、収容部材100の内部において、係合位置P1と非係合位置P2とに移動可能となっている。
【0029】
係合位置P1は、吸着部材30と係合部41とが係合する位置である。非係合位置P2は、吸着部材30と係合部41との係合が解除される位置である。吸着部材30と係合部41との係合が解除されると、吸着部材30は、開口部103を介し、防火扉1から離脱可能となる。なお、図7においては、係合位置P1、非係合位置P2を係止部材40の下面の位置で示している。
【0030】
付勢手段50は、係止部材40を非係合位置P2に向かって付勢する。実施形態においては、付勢手段50は、スプリング51から形成されており、スプリング51は、圧縮された状態で収容部材100の内部に配置される。スプリング51の上端は、収容部材100における天板101の下面に当接され、スプリング51の下端は、係止部材40における底板40aの上面に当接される。
【0031】
支持手段60は、温度ヒューズ61を含み、環境温度が所定温度以下であるとき、付勢手段50の付勢力に抗して、係止部材40を係合位置P1に支持する。「所定温度」は、火災発生時に到達が予想される環境温度であり、例えば摂氏90度である。
【0032】
実施形態の温度ヒューズ61は、可動ガラリなどに使用されるものであり、2枚の銅板と、接着部とを有している。2枚の銅板は、一端部に固定用の貫通孔を各々有している。接着部は、2枚の銅板の各貫通孔が温度ヒューズ61の両端に配されるようにして、2枚の銅板を接着する。環境温度が所定温度を超えると、接着部が溶融し、2枚の銅板は分離される。
【0033】
実施形態においては、温度ヒューズ61の一端部がリベットなどの固定具61aによって収容部材100に固定され、温度ヒューズ61の他端部が固定具61bによって係止部材40の第2立設部40cに固定され、係止部材40が、支持手段60によって係合位置P1に吊支される。
【0034】
以上、図1図8を参照して説明したように、実施形態に係る防火扉の係止装置によれば、吸着部材30が、ドアストッパ10の被吸着部20と吸着し、係止部材40が、吸着部材30を防火扉1に係止し、付勢手段50が、係止部材40を非係合位置P2に付勢し、支持手段60が、環境温度が所定温度以下であるとき、付勢手段50の付勢力に抗して、係止部材40を係合位置P1に支持する。従って、環境温度が所定温度以下である平常時には、吸着部材30と被吸着部20との吸着、つまり磁石31の磁力によって、防火扉1は、開いた状態に係止される。
【0035】
火災が発生し、環境温度が所定温度を超えると、温度ヒューズ61の接着部が溶融し、係止部材40は、支持手段60による支持を失い、付勢手段50の付勢力によって、非係合位置P2に移動される。係止部材40が非係合位置P2に移動されると、吸着部材30と係止部材40との係合が解除され、吸着部材30は、防火扉1から離脱可能となり、図9に示すように、防火扉1がドアクローザ1cによって閉じられるとき、ドアストッパ10の被吸着部20に吸着したまま取り残される。
【0036】
以上のとおり、実施形態に係る防火扉の係止装置によれば、電気的機構ではなく、機械的機構によって防火扉1が自動的に閉じられるために、火災感知装置としての煙感知装置や電動式の駆動機構が不要となり、防火扉の設置コストを抑制できる。また、機械的機構によって防火扉1が閉じられることから、火災感知装置や配線の不具合に起因して防火扉が閉じられなくなることを防止でき、確実に作動することの検証を経ることによって、作動の確実性を向上し担保することも容易であり、火災発生時に、防火扉をより確実に閉じることができる。
【0037】
また、実施形態に係る防火扉の係止装置によれば、防火扉1が、フックとの係合ではなく、磁石31の磁力によって、開かれた状態に係止される。従って、火災発生時に、環境温度が所定温度に達する前であっても、防火扉1にある程度の力を加えることによって、防火扉1を閉じることができ、例えば火災から避難する人が、防火扉1を直ちに閉じることができ、防火扉をより安全、確実に閉じることができる。
【0038】
また、フックとの係合によって防火扉1を係止する従来の係止装置においては、係止装置に不具合が生じ、火災発生時に防火扉1が閉じないとき、フックなどを破壊することが必要となり得るのに対し、実施形態の係止装置によれば、単に力を加えるだけで防火扉1を閉じることができ、防火扉を更に安全、確実に閉じることができる。
【0039】
また、図2図3を参照して説明したように、実施形態に係る防火扉の係止装置によれば、ドアストッパ10のアーム部12が、長さ調節機構70を有する。従って、防火扉1が係止されるときの開き角αを自由に調節でき、防火扉1が使用される様々な環境下で最適な角度に開き角αを調整でき、使用者の利便性を向上できる。
【0040】
次に、図10を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。図10は、ドアストッパの要部を示す斜視図である。
【0041】
本実施形態においては、ドアストッパ10の当接部11は、当接可能状態と当接不可能状態との間で回動可能にアーム部12に支持される。当接可能状態は、設置面11aが防火扉1と当接可能な状態である。当接不可能状態は、設置面11aが防火扉と当接不可能な状態である。具体的には、当接部11は、上下方向に延びている図示しない回動軸によって回動可能にアーム部12に支持される。
【0042】
以上、図10を参照して説明したように、本実施形態に係る防火扉の係止装置によれば、当接部11が、当接可能状態と当接不可能状態との間で回動可能である。従って、例えば当接部11を当接不可能状態に回動すると、防火扉1を開けたとき、防火扉1は係止されず、防火扉1をドアクローザ付きの通常の扉と同様に使用できる。また、当接部11を当接可能状態に回動すると、平常時には開かれた状態で係止され、火災発生時には自動的に閉じられる、常開の防火扉として防火扉1を使用できる。従って、防火扉1が設置される設置場所の使用目的、使用環境が変化しても、使用目的、使用環境に応じて防火扉1の動作を変更でき、使用者の利便性を向上できる。
【0043】
以上、図面(図1図10)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
P1…係合位置
P2…非係合位置
1…防火扉
2…扉枠(扉支持構造体)
10…ドアストッパ
11…当接部
11a…設置面
12…アーム部
20…被吸着部
21…強磁性体
30…吸着部材
31…磁石
40…係止部材
41…係合部
42…窓部
50…付勢手段
60…支持手段
61…温度ヒューズ
70…長さ調節機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10