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特許7449585薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品用の丸剤ディスペンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品用の丸剤ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/04 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61J7/04 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021533330
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 IB2019061031
(87)【国際公開番号】W WO2020128909
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】62/780,951
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521252092
【氏名又は名称】イスラエリ,マオリ
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】イスラエリ,マオリ
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202009017373(DE,U1)
【文献】特表2004-507322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を定量供給するための丸剤ディスペンサであって、前記丸剤ディスペンサは、
(a)中心軸の周りに配置された外向きの複数の区画を有する中心部であって、前記区画は、前記中心軸と平行に延在する複数の列で配置され、各列は、複数の区画に分割され、各区画は、他の列にある対応する区画と共に、前記中心軸の周りに配列される区画の段を形成する、中心部と、
(b)前記中心部に重なった、前記中心部と同軸上にある第1のスリーブであって、前記第1のスリーブは、前記中心軸と平行に延在する細長いスロットを有し、前記細長いスロットが前記中心部にある区画の前記列のうちの1つに選択的に位置合わせされるように、前記中心部は、前記第1のスリーブに対して回転可能である、第1のスリーブと、
(c)前記第1のスリーブと同軸上にある第2のスリーブであって、前記第2のスリーブは、千鳥状の開口部の様式を有し、前記千鳥状の開口部はそれぞれ、前記段のうちの対応する1つに位置合わせされるように軸方向に位置付けられ、前記千鳥状の開口部をそれぞれ、前記細長いスロットに選択的に位置合わせするように、前記第2のスリーブは、前記中心部と前記第1のスリーブとの両方に対して回転可能であり、それによって、前記中心部の他の区画がすべて閉口されたままの状態で、前記中心部にある前記区画のうちの1つが利用できるようになる、第2のスリーブとを備え、
ここで、前記中心部は、軸方向に取り外し可能な複数のカートリッジを含み、各カートリッジは、前記区画の前記列のうちの少なくとも1つを含み、取り外し可能な前記カートリッジは、前記区画に丸剤を含んだ状態で差し込むことができる、丸剤ディスペンサ。
【請求項2】
前記カートリッジはそれぞれ、前記区画の前記列のうちの1つだけを設け、前記区画の前記列はそれぞれ、少なくとも7つの区画を含むことを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項3】
前記カートリッジはそれぞれ、前記中心軸を中心にして約90度~約120度の間の、前記中心部の扇形の範囲に亘ることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項4】
前記中心部は、支持構造をさらに備え、前記カートリッジはそれぞれ、前記支持構造の相補的な係合特徴部に係合する少なくとも1つの係合特徴部を有することを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項5】
前記丸剤ディスペンサは、再充填用キットをさらに備え、前記再充填用キットは、複数の前記カートリッジであって、前記カートリッジのそれぞれの前記区画は、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を含む、複数の前記カートリッジと、前記カートリッジを前記丸剤ディスペンサに差し込む前に、前記薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を前記区画内に保持するための閉口配置構造とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項6】
前記再充填用キットは、前記再充填用キットの複数の前記カートリッジを収容するように構成されたトレーをさらに備え、前記閉口配置構造は、前記トレー用の蓋を含むことを特徴とする、請求項5に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項7】
前記閉口配置構造は、前記区画を密閉するために施される、ポリマー膜の密閉段を備えることを特徴とする、請求項5に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項8】
前記第1のスリーブおよび/または前記第2のスリーブは、カートリッジ差込用開口部を有する端壁を備えるように形成され、前記カートリッジ差込用開口部は、前記カートリッジ差込用開口部が位置合わせされた、前記カートリッジのうちの1つを選択的に取り出したり差し込んだりすることができる形状であることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項9】
前記第2のスリーブは、前記千鳥状の開口部のうちの対応する1つが前記細長いスロットに位置合わせされる、前記第1のスリーブに対する複数の異なる位置と、充填するためのさらなる位置とをとり、前記カートリッジ差込用開口部は、前記第2のスリーブが前記さらなる位置をとったときにしか前記カートリッジのうちの1つが取り出したり差し込んだりできないように位置合わせされることを特徴とする、請求項8に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項10】
前記中心部は、支持構造をさらに備え、前記複数のカートリッジはそれぞれ、前記支持構造に対して対応する差込位置を表示するように色分けされることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項11】
前記第2のスリーブは、開口部のない軸方向片をさらに備え、それによって、前記軸方向片が前記第1のスリーブの前記細長いスロットと位置合わせされたときに、前記中心部にあるすべての区画が閉口されることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項12】
前記第2のスリーブは、軸方向に延在した開口部をさらに備え、それによって、軸方向に延在した前記開口部が前記第1のスリーブの前記細長いスロットと位置合わせされたときに、前記中心部にある1つの列のすべての区画が利用可能になることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項13】
前記丸剤ディスペンサは、前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブにあるすべての開口部を覆うように選択的に配備可能なカバーをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項14】
前記第1のスリーブは、径方向に見て取れる表示マークを有し、前記中心部および前記第2のスリーブはそれぞれ、どの区画の列とどの千鳥状の開口部とが前記細長いスロットと位置合わせされるのかを表示するようにマーク付けられた、径方向に見て取れる指標面を有することを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項15】
前記丸剤ディスペンサは、前記丸剤ディスペンサに離すことができるように連結した分離可能な丸剤箱をさらに備え、前記分離可能な丸剤箱は、手動で開口可能な複数の区画と、丸剤切断部とを有し、前記分離可能な丸剤箱は、使用者のポケットに嵌まるように大きさが定められることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項16】
前記丸剤ディスペンサは、前記中心部と一体化したハウジング内に少なくとも部分的に配備される電子部品をさらに備え、前記電子部品は、必要な時間に必要な服用量を服用するように前記丸剤ディスペンサが開口されていたかを監視するために、通信部品と前記丸剤ディスペンサの機械的な状態を感知するためのセンサとを備えることを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項17】
前記列のそれぞれにある前記区画の数は、前記段のそれぞれにある前記区画の数より大きく、前記丸剤ディスペンサの軸方向寸法は、前記丸剤ディスペンサの外径より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の丸剤ディスペンサ。
【請求項18】
薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を定量供給するための丸剤ディスペンサであって、前記丸剤ディスペンサは、
(a)中心軸の周りに配置された外向きの複数の区画を有する中心部であって、前記区画は、前記中心軸と平行に延在する複数の列で配置され、各列は、複数の区画に分割され、各区画は、他の列にある対応する区画と共に、前記中心軸の周りに配列される区画の段を形成する、中心部と、
(b)前記中心部に重なった、前記中心部と同軸上にある第1のスリーブであって、前記第1のスリーブは、前記中心軸と平行に延在する細長いスロットを有し、前記細長いスロットが前記中心部にある区画の前記列のうちの1つに選択的に位置合わせされるように、前記中心部は、前記第1のスリーブに対して回転可能である、第1のスリーブと、
(c)前記第1のスリーブと同軸上にある第2のスリーブであって、前記第2のスリーブは、千鳥状の開口部の様式を有し、前記千鳥状の開口部はそれぞれ、前記段のうちの対応する1つに位置合わせされるように軸方向に位置付けられ、前記千鳥状の開口部がそれぞれ、前記細長いスロットに選択的に位置合わせされるように、前記第2のスリーブは、前記中心部と前記第1のスリーブとの両方に対して回転可能であり、それによって、前記中心部の他の区画がすべて閉口されたままの状態で、前記中心部にある前記区画のうちの1つが利用できるようになる、第2のスリーブとを備え、
ここで、前記列のそれぞれにある前記区画の数は、前記段のそれぞれにある前記区画の数より大きく、前記丸剤ディスペンサの軸方向寸法は、前記丸剤ディスペンサの外径より大きい、丸剤ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品用の機械式ディスペンサであって、特に好ましい実施形態では、交換可能なカートリッジが採用される。本装置は、使用者が丸剤を適時服用するのを支援することによって、使用者の健康を増進、維持するのに役立つものである。
【0002】
様々な丸剤ディスペンサが提案されてきた。初期の例として、米国特許第4245742号および米国特許第4572376号に開示されたものが挙げられる。このような装置は、典型的には、充填または再充填するのに不便である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を定量供給するための丸剤ディスペンサである。
【0004】
本発明の実施形態の教示では、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を定量供給するための丸剤ディスペンサが提供され、前記ディスペンサは、(a)中心軸の周りに配置された外向きの複数の区画を有する中心部であって、前記区画は、前記中心軸と平行に延在する複数の列で配置され、各列は、複数の区画に分割され、各区画は、他の列にある対応する区画と共に、前記中心軸の周りに配列される区画の段を形成する、中心部と、(b)前記中心部に重なった、前記中心部と同軸上にある第1のスリーブであって、前記第1のスリーブは、前記中心軸と平行に延在する細長いスロットを有し、前記細長いスロットが前記中心部にある区画の前記列のうちの1つに選択的に位置合わせされるように、前記中心部は、前記第1のスリーブに対して回転可能である、第1のスリーブと、(c)前記第1のスリーブと同軸上にある第2のスリーブであって、前記第2のスリーブは、千鳥状の開口部の様式を有し、前記千鳥状の開口部はそれぞれ、前記段のうちの対応する1つに位置合わせされるように軸方向に位置付けられ、前記千鳥状の開口部がそれぞれ、前記細長いスロットに選択的に位置合わせされるように、前記第2のスリーブは、前記第1のスリーブに対して回転可能であり、それによって、前記中心部にある前記区画のうちの1つが利用できるようになる、第2のスリーブとを備え、ここで、前記中心部は、軸方向に取り外し可能な複数のカートリッジを含み、各カートリッジは、前記区画の前記列のうちの少なくとも1つを含み、取り外し可能な前記カートリッジは、前記区画に丸剤を含んだ状態で差し込むことができる。
【0005】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記カートリッジはそれぞれ、前記区画の列のうちの1つだけを設け、前記区画の列はそれぞれ、少なくとも7つの区画を含む。
【0006】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記カートリッジはそれぞれ、前記中心軸を中心にして約90度~約120度の間の、前記中心部の扇形の範囲に亘る。
【0007】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記中心部は、支持構造をさらに備え、前記カートリッジはそれぞれ、前記支持構造の相補的な係合特徴部に係合する少なくとも1つの係合特徴部を有する。
【0008】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、再充填用キットがさらに提供され、前記再充填用キットは、複数の前記カートリッジであって、前記カートリッジのそれぞれの前記区画は、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を含む、複数のカートリッジと、前記カートリッジを前記丸剤ディスペンサに差し込む前に、前記薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を前記区画内に保持するための閉口配置構造とを備える。
【0009】
本発明のある実施形態のさらなる特徴では、前記再充填用キットは、前記再充填用キットの複数の前記カートリッジを収容するように構成されたトレーをさらに備え、前記閉口配置構造は、前記トレー用の蓋を含む。
【0010】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記再充填用キットの前記閉口配置構造は、前記区画を密閉するために施されるポリマー膜の密閉段を備える。
【0011】
本発明のある実施形態のさらなる特徴では、前記第1のスリーブおよび/または前記第2のスリーブは、カートリッジ差込用開口部を有する端壁を備えるように形成され、前記カートリッジ差込用開口部は、前記カートリッジ差込用開口部が位置合わせされた、前記カートリッジのうちの1つを選択的に取り出したり差し込んだりすることができる形状である。
【0012】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記第2のスリーブは、前記千鳥状の開口部のうちの対応する1つが前記細長いスロットに位置合わせされる、第1のスリーブに対する複数の異なる位置と、充填するためのさらなる位置とをとり、前記カートリッジ差込用開口部は、前記第2のスリーブが前記さらなる位置をとったときにしか前記カートリッジのうちの1つを取り出したり差し込んだりできないように位置合わせされる。
【0013】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記中心部は、支持構造をさらに備え、前記複数のカートリッジはそれぞれ、前記支持構造に対して対応する差込位置を表示するように色分けされる。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記第2のスリーブは、開口部のない軸方向片をさらに備え、それによって、前記軸方向片が前記第1のスリーブの前記細長いスロットと位置合わせされたときに、前記中心部にあるすべての区画が閉口される。
【0015】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記第2のスリーブは、軸方向に延在した開口部をさらに備え、それによって、軸方向に延在した前記開口部が前記第1のスリーブの前記細長いスロットと位置合わせされたときに、前記中心部にある1つの列のすべての区画が利用可能になる。
【0016】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、また、前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブにあるすべての開口部を覆うように選択的に配備可能なカバーがさらに設けられる。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記第1のスリーブは、径方向に見て取れる表示マークを有し、前記中心部および前記第2のスリーブはそれぞれ、どの区画の列とどの千鳥状の開口部とが前記細長いスロットと位置合わせされるのかを表示するようにマーク付けられた、径方向に見て取れる指標面を有する。
【0018】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、また、前記丸剤ディスペンサに離すことができるように連結した分離可能な丸剤箱が設けられ、前記分離可能な丸剤箱は、手動で開口可能な複数の区画と、丸剤切断部とを有し、前記分離可能な丸剤箱は、使用者のポケットに嵌まるように大きさが定められる。
【0019】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、また、前記中心部と一体化したハウジング内に少なくとも部分的に配備される電子部品が設けられる。
【0020】
本発明の実施形態のさらなる特徴では、前記列のそれぞれにある前記区画の数は、前記段のそれぞれにある前記区画の数より大きく、前記丸剤ディスペンサの軸方向寸法は、前記丸剤ディスペンサの外径より大きい。
【0021】
本発明の実施形態では、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品用の丸剤ディスペンサが提供され、前記ディスペンサは、(a)中心軸の周りに配置された外向きの複数の区画を有する中心部であって、前記区画は、前記中心軸と平行に延在する複数の列で配置され、各列は、複数の区画に分割され、各区画は、他の列にある対応する区画と共に、前記中心軸の周りに配列される区画の段を形成する、中心部と、(b)前記中心部に重なった、前記中心部と同軸上にある第1のスリーブであって、前記第1のスリーブは、前記中心軸と平行に延在する細長いスロットを有し、前記細長いスロットが前記中心部にある前記区画の列のうちの1つに選択的に位置合わせされるように、前記中心部は、前記第1のスリーブに対して回転可能である、第1のスリーブと、(c)前記第1のスリーブと同軸上にある第2のスリーブであって、前記第2のスリーブは、千鳥状の開口部の様式を有し、前記千鳥状の開口部はそれぞれ、前記段のうちの対応する1つに位置合わせされるように軸方向に位置付けられ、前記千鳥状の開口部をそれぞれ、前記細長いスロットに選択的に位置合わせするように、前記第2のスリーブは、前記第1のスリーブに対して回転可能であり、それによって、前記中心部にある前記区画のうちの1つが利用できるようになる、第2のスリーブとを備え、ここで、前記列のそれぞれにある前記区画の数は、前記段のそれぞれにある前記区画の数より大きく、前記丸剤ディスペンサの軸方向寸法は、前記丸剤ディスペンサの外径より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、添付図面を参照して、あくまで一例として本明細書に記載される。
図1】本発明のある実施形態に従って構成され、作用する丸剤ディスペンサの等角図である。
図2】外カバーが取り外された、図1の丸剤ディスペンサの等角図である。
図3A図3A図3Cはそれぞれ、図2の丸剤ディスペンサの中心部、第2のスリーブ、第1のスリーブの等角図である。
図3B図3A図3Cはそれぞれ、図2の丸剤ディスペンサの中心部、第2のスリーブ、第1のスリーブの等角図である。
図3C図3A図3Cはそれぞれ、図2の丸剤ディスペンサの中心部、第2のスリーブ、第1のスリーブの等角図である。
図4A図4A図4Cはそれぞれ、軸方向分解図にした、図2の丸剤ディスペンサの第1のスリーブ、第2のスリーブ、中心部の等角図である。
図4B図4A図4Cはそれぞれ、軸方向分解図にした、図2の丸剤ディスペンサの第1のスリーブ、第2のスリーブ、中心部の等角図である。
図4C図4A図4Cはそれぞれ、軸方向分解図にした、図2の丸剤ディスペンサの第1のスリーブ、第2のスリーブ、中心部の等角図である。
図5】中心部の構成部品と第1のスリーブの表示リングの間の関係を図示した、軸方向分解等角図である。
図6】第1のスリーブと第2のスリーブの間の関係を図示した、拡大軸方向分解等角図である。
図7】第2のスリーブ内に部分的に差し込まれた第1のスリーブを図示した、部分切断等角図である。
図8A】第2のスリーブに組み付けられた第1のスリーブの平面図である。
図8B図8AのA-A線に沿った断面図である。
図9】取り外し可能なカートリッジの取り外しや差し込みを図示した、図2の丸剤ディスペンサの中心部の等角図である。
図10A図10A図10Cは、カートリッジを取り外す(あるいはその逆に、差し替える)間の位置順の図2の丸剤ディスペンサの等角図である。
図10B図10A図10Cは、カートリッジを取り外す(あるいはその逆に、差し替える)間の位置順の図2の丸剤ディスペンサの等角図である。
図10C図10A図10Cは、カートリッジを取り外す(あるいはその逆に、差し替える)間の位置順の図2の丸剤ディスペンサの等角図である。
図11図2の丸剤ディスペンサに使用するための1組の取り替え用カートリッジの等角図である。
図12A】トレーに収容した図11の1組の取り替え用カートリッジを含む、再充填用キットの等角図である。
図12B】蓋で閉口された、図12Aのトレーの平面図である。
図13A図1の丸剤ディスペンサの分離可能な丸剤箱の等角図である。
図13B】2つの丸剤用の区画が開口されている状態を図示した、図13Aの丸剤箱の等角図である。
図13C】一体化した切断部が開口されている状態を図示した、図13Aの丸剤箱の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を定量供給するための丸剤ディスペンサである。
【0024】
本発明によるディスペンサの原理および作用は、図面および添付説明を参照して、よりよく理解されるであろう。本ディスペンサは、広範囲の用途に利用可能であり、硬質錠剤から液体材料または固体材料を充填し得る様々な種類のカプセル剤に至る形状の処方薬剤、非処方薬剤、ビタミン剤および栄養補助食品が挙げられ、これらを総称して「丸剤」と呼ぶ。説明の簡略化のため、単に「薬剤」または「丸剤」が以下で言及されるが、全体にわたり、これらの用語は、ビタミン剤、栄養補助食品、錠剤、カプセル剤、および本明細書に記載の本装置を用いて定量供給するのに適した任意の他の製品と互換可能に使用されることを理解されたい。
【0025】
ここで、図面を参照すると、図1図11図13A図13Cは、概して(10)で示され、本発明の教示に従って構成され、作用する、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を定量供給するための丸剤ディスペンサの様々な態様を図示する。一般には、丸剤ディスペンサ(10)は、中心軸(16)の周りに配置された複数の外向きの区画(14)を有する中心部(12)(図3A)を含む。区画(14)は、中心軸(16)と平行に延在する複数の列(矢印(18))で配置され、各列は、複数の区画に分割され、各区画は、他の列にある対応する区画と共に、中心軸の周りに配列された区画(矢印(20))の段を形成する。
【0026】
第1のスリーブ(22)(図3Cでは分けて示されている)は、中心部(12)に重なる。第1のスリーブ(22)は、中心軸と平行に延在する細長いスロット(24)を有する。細長いスロット(24)が中心部の区画の列(18)のうちの1つに選択的に位置合わせされるように、中心部(12)は、第1のスリーブ(22)に対して回転可能である。第2のスリーブ(26)は、第1のスリーブ(22)と同軸上に配備され、第1のスリーブ(22)と重なる関係にある。第2のスリーブ(26)は、千鳥状の開口部(28)の様式を有し、そのそれぞれは、段(20)のうちの対応する1つに位置合わせされるように、軸方向に位置付けられる。千鳥状の開口部(28)がそれぞれ、細長いスロット(24)に選択的に位置合わせされるように、第2のスリーブ(26)は、中心軸(16)の周りを第1のスリーブ(22)に対して回転可能であり、それによって、中心部(12)の区画(14)のうちのただ1つが利用できるようになる。
【0027】
本発明のある特に好ましいが非限定的な実施形態の態様では、中心部(12)は、軸方向に取り外し可能な複数のカートリッジ(30)が実装され、そのそれぞれは、区画(14)の列のうちの少なくとも1つを含む。図9は、中心部(12)から分けられた1つのカートリッジ(30)を図示する。
【0028】
特に好ましくは、取り外し可能なカートリッジ(30)は、区画(14)に丸剤を含んだ状態で差し込むことができ、それによって、装置の外側で、カートリッジに、適切な投与計画の薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を充填し、その後、装置に差し込んで、装置を直ちに使用できるように準備できる。この目的のために、図10A図10Cの順で図示されるように上向きに区画(14)を開けたまま、カートリッジを保持した状態で、カートリッジの取り出しや差し込みを有利に行うことができる。
【0029】
ここで図示される特に好ましい例では、各カートリッジ(30)は、区画(14)の列(18)のうちの1つだけを設け、区画の各列は、少なくとも7つの区画を含む。典型的には、カートリッジ当たりの区画の数は、以下でさらに説明されるように意図した用途に応じて7~10の範囲であるが、区画の数はこの他であったとしても、代替用途に適している場合もある。好ましくは、カートリッジ(30)はそれぞれ、中心軸を中心にして約80度~約120度の間に相当する、中心部(12)の扇形の範囲に亘る。これは、3つまたは4つのいずれかのカートリッジに相当し、これらは共に、中心部の周囲のほとんどを包含する。
【0030】
よって、ここで図示されるように特に好ましい実装形態では、7つの段が設けられ、それぞれは4つの区画に分割され、各カートリッジ(30)は、中心部(30)の一部、この場合は中心部(30)の四分円であり、各段1つの区画を設けた、7つの区画(14)からなる1つの列を伴う。好ましくは、カートリッジは、支持構造から独立して滑り込んだり出されたりされ、支持構造は、各カートリッジを収容するための1つ以上の特徴部を備えた中央スピンドルまたはホルダであってもよい。代わりに、場合によっては、カートリッジは、個別の支持構造(図示せず)なしに互いに直接連結するように実装されてもよい。
【0031】
ここで図示される例では、図4C図5図9で最もよく見られるように、カートリッジ(30)は、カートリッジ(30)の全長に沿って延在する支持構造(32)の垂直面の間に形成されたそれぞれの凹部に滑り込む。また、支持構造(32)は、カートリッジが完全に差し込まれる位置の範囲を定めるフランジ(34)を含む。
【0032】
好ましくは、各カートリッジ(30)と支持構造(32)は、使用中にカートリッジが完全に差し込まれる位置にカートリッジを保持するための、相補的な係合特徴部を有する。ここで図示される非限定的な例では、各カートリッジは、弾力性のある溝付きピン(36)が設けられ、この溝付きピン(36)は、フランジ(34)にある対応する孔(38)に係合するように大きさが定められた頭部を有する。
【0033】
よって、各カートリッジは、一連の薬剤を収容するための区画の列を有し、これは、例えば、1日1回服用する1日の薬剤服用量に対応しても、または、1日の特定の時間に服用する薬剤服用量に対応してもよい。装置の外側でこれらのカートリッジを装填できることで、使用中のディスペンサと分けて「再充填用キット」を用意して、素早くかつ容易にディスペンサの内容物を補充できるように準備できる可能性が広がる。具体的には、好ましくは、再充填用キットは、ディスペンサの容量に対応する数のカートリッジ(30)を含み、カートリッジはそれぞれ、典型的には、個人の服用計画に従った薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を含む。カートリッジを丸剤ディスペンサに差し込む前に、薬剤、ビタミン剤および/または栄養補助食品を区画(14)内に保持するために閉口配置構造が設けられる。
【0034】
このような再充填用キットの例の1つが、図12A図12Bに図示され、ここでは、再充填用キットの1組のカートリッジ(30)を収容して支持する形状の凹部を備えるように形成されたトレー(40)が設けられる。好ましくは、トレー(40)は、適切な形状の蓋(42)で閉口され、この蓋(42)は、カートリッジ(30)の湾曲面の上にぴったりと嵌まり、例えばクリップ(44)を使用して所定位置にしっかりとクリップ留めされるように成形され、それによって、丸剤を区画(14)内に保持するために閉口配置構造の少なくとも一部の役目を果たす。この配置構造は、まだディスペンサで前の1組のカートリッジを使用している間に、使用者または家族もしくは他の介護者が都合の良い時に丸剤を仕分けして再充填用キットに配置できるようにするために特に役立ち、それによって、不便や遅れなしに、必要な時にディスペンサの再充填を行うことができる。
【0035】
さらに、または代わりに、再充填用キットは、薬剤供給者(薬剤師またはその他)によって、特定の患者に必要とされる、正確な順で正確な量だけ事前に装填された特定の薬剤と服用量が事前に充填されて、提供されてもよい。好ましくは、事前に装填したカートリッジは、区画を密閉するために施されるポリマー膜の密閉段などによって密閉される。事前に装填したカートリッジは、使用者が自分で装填するように、個々にあるいは(示されているように)共通のトレーで使用者に提供されてもよい。場合によっては、カートリッジを事前に充填して密閉するのは、自動薬剤定量供給システムによって自動的に行われてもよい。密閉段は、カートリッジをディスペンサに差し込む前に使用者(または介護者)によって手動で取り外されてもよい。特定の場合には、カートリッジは、密閉段を事前に取り外すことなく差し込まれてもよい。この場合には、差し込み中に密閉段を取り外すために、または、定量供給中に装置の構成部品の相対的な動きの一貫として各構成部品のために密閉段を分離するために、随意に、切断部(図示せず)がディスペンサに組み込まれてもよい。
【0036】
よって、本発明の実施形態のさらなる態様は、カートリッジ当たり複数の区画を備えた複数のカートリッジに個人の服用計画に従って事前に装填されて密閉された薬剤を提供する方法であって、ここで、カートリッジは、順に、一度に1つの区画の内容物を利用できるように構成された機械式ディスペンサに直接装填される。最も好ましくは、ディスペンサは、本明細書に記載のディスペンサによって例示されるように、複数のカートリッジを同時に受け入れる。
【0037】
ディスペンサ内の対応する位置にあるカートリッジを正確に差し込むのを促すために、好ましくは、カートリッジは、例えば、(以下でさらに説明されるように)装置の中心部にある表示リングに表示された色に対応する色のプラスチックでその全体が形成されて色分けされ、それによって、支持構造に対して対応する必要な差し込み位置を表示する。さらに、または代わりに、中心部に対して対応するカートリッジの位置は、様々な印および/またはグラフィック要素で表示されてもよい。さらに、または代わりに、カートリッジ(30)を中心部(12)の支持構造に対して不正確な位置に差し込むと、例えば、各カートリッジとそれに対応する差し込み位置に対して、支持構造とカートリッジの間にある上述したピンと孔の係合の位置が変わることによって、あるいは、各カートリッジとそれに対応する差し込み位置に対して、異なったさらなる係合構成(図示せず)が設けられることによって、機械的に差し込みを遮断してもよい。
【0038】
ここで、カートリッジ(30)を取り出したり差し込んだりするのに関連したさらなる構造特徴部を参照すると、使用中にカートリッジを装置内にさらに保持しておくために、好ましくは、第1のスリーブ(22)と第2のスリーブ(26)のうちの1つまたはその両方は、カートリッジ差込用開口部(48)を有する端壁を備えるように形成され、カートリッジ差込用開口部(48)は、開口部がカートリッジと位置合わせされたときしか、カートリッジのうちの1つを選択的に取り出したり差し込んだりすることができない形状である(図7図10A)。
【0039】
好ましくは、丸剤ディスペンサ(10)は、第1のスリーブ(22)に対する中心部(12)の相対的な動きと同様に、第1のスリーブ(22)に対する第2のスリーブ(26)の相対的な動きによって別々に停止する、その位置の数を定めるバネ付き構造を備えて設けられ、それによって、各要素は、互いに対して「所定位置にカチッとはまる」ように感じられる。このような作用は、バネ付きベアリング、板バネ要素、および他の形態の機械的係合を含むが、これに限らない広範囲の単純な機械的解決手段を使用して達成することができる。また、最も好ましくは、バネ付き機構は、相対的に回転する方向を1つの方向に制限して、ラチェットの機能を果たす。これらの機能を達成するためのある特に単純な実装形態では、図4A図5図6で見られるように、方向性のあるラチェット歯を備えた、弾力性のあるバネ挿入部(50)を使用し、このバネ挿入部は、歯が切欠きに係合するまで、相補的に切欠き面(52)に沿って乗り上がり(図6)、事前に設定された位置のうちの1つを定める。歯の形状に起因して、係合は、許容された方向に回転し続けることによってしか、解放することができない。
【0040】
ここで図示される特に好ましい実装形態では、端壁(46)とカートリッジ差込用開口部(48)とは、第2のスリーブ(26)と一体化される。最も好ましくは、第1のスリーブ(22)に対して第2のスリーブ(26)が別々に停止する、その位置のうちの1つは、指定「充填位置」であり、千鳥状の開口部(28)が細長いスロット(24)と位置合わせされる様々な定量供給位置とは異なる。装置の外側で充填されたカートリッジを差し込むことによってもっぱら充填が行われる場合は、充填位置は、開口部のない第2のスリーブ(26)の軸方向片(54)の細長いスロット(24)との位置合わせに対応してもよく(図10Aを参照)、装置が閉口された状態をもたらすために、好ましくは、充填位置は、いかなる場合でも存在する。閉口した軸方向片(54)は、第1のスリーブ(22)の細長いスロット(24)と位置合わせされたときに、中心部のすべての区画が閉口される。
【0041】
また、カートリッジが差し込まれたときに(また、取り外し可能なカートリッジがなく、固定された中心部を使用した本発明の実施形態で)装置を手動で充填する選択肢を設けるために、好ましくは、第2のスリーブ(26)は、軸方向に延在した開口部(56)を有し、それによって、軸方向に延在した開口部(56)が第1のスリーブ(22)の細長いスロット(24)と位置合わせされたときに、図10Aに図示されるように、中心部にある1つの列のすべての区画が利用可能になる。また、この場合は、好ましくは、これは「充填位置」であり、ここで、カートリッジ差込用開口部(48)は、細長いスロット(24)と現在位置合わせされているいずれかのカートリッジ(30)と位置合わせされ、カートリッジを取り出したり差し込んだりすることができる。
【0042】
カートリッジを取り出すのを促すために、好ましくは、各カートリッジは、カートリッジが開口部と位置合わせされたときにカートリッジ差込用開口部(48)を介して手動で利用可能な、弾力性のあるプルタブ(58)が設けられる。
【0043】
本明細書で図示される特に好ましい実装形態では、中心部(12)は、1段当たり4つの区画を有し、したがって、第1のスリーブ(22)に対して4つの指標位置を有する。第2のスリーブ(26)は、中心部の7つの段に対応する7つの千鳥状の開口部(28)と、さらに、閉口された片(54)と、軸方向に延在した開口部(56)とを有し、第1のスリーブ(22)に対する指標位置は合計9つになる。4と9は互いに素であるので、指定充填位置以外、第2のスリーブ(26)の位置は、いずれかのカートリッジと正確に位置合わせされたカートリッジ差込用開口部を有さず、それによって、装置が充填位置にあるとき以外はカートリッジを取り外すことが決してできないようにする。
【0044】
ある特に好ましい実装形態では、例えば、本明細書で示されるように、中心部、第1のスリーブおよび第2のスリーブの相対的な位置によって定められた装置の状態は、ディスペンサの径方向外向きの面からたやすく見て取れる。この場合は、第1のスリーブ(22)は、径方向に見て取れる表示マーク(60)を有し、ここで、表示マーク(60)は、第1のスリーブ(22)に関連付けられた外向きに突出したフランジ(64)に装着するリング(62)に組み込まれる(図4A)。中心部(12)と第2のスリーブ(26)はそれぞれ、どの区画の列とどの千鳥状の開口部とが現在細長いスロットと位置合わせされているのかを表示するようにマーク付けられた、径方向に見て取れる指標面(66)、(68)を有する。ここで示される実装形態では、指標面(68)は、第2のスリーブ(26)の上端部に沿って、溝付き面(52)の外方に単純に実装することができる。中心部(12)の場合は、径方向に見て取れる指標面(66)は、1組の弾力性のあるタブ(70)にスナップ留めで嵌まる中空ハウジングの一部として実装され(図4C)、タブ(70)は、第1のスリーブ(22)の上端面(72)にある中央開口部を通り抜けて突出する。第2のスリーブ(26)の基板(46)にある相補的な孔に係合する支持構造(32)の下部にスナップ留めで嵌まる、さらなる係合部を設けることによって、中心部の組立体は、組み立てられると、装置のすべての部品を本質的に共に結合する。
【0045】
好ましくは、丸剤ディスペンサ(10)は、第1のスリーブおよび第2のスリーブにあるすべての開口部を覆うように選択的に配備可能なカバー(76)が設けられる。好ましくは、外カバー(76)は、典型的には一方の端部が閉口された円筒形スリーブの形で設けられ、この円筒形スリーブは、使用中でないときは、ディスペンサを物理的に保護する役目ならびに薬剤を紫外線から保護する役目を果たし、また、使用中でないときは、不注意により薬剤が出てしまうのを防止する役目および/または汚れや異物が装置内に入るのを防止する役目を果たす。装置は、内筐体・外筐体を「閉口」状態にした組み合わせで使用したときは、動きや振動のある困難な条件下でさえ、ディスペンサの内容物を保護する二重閉口配置構造を設ける。また、外カバーは、画像および/または文字用の面を設け、これによって、材料、患者の詳細および/または装飾の内容を知らせてもよい。
【0046】
ある特に好ましい実装形態では、丸剤ディスペンサ(10)は、丸剤ディスペンサ(10)に離すことができるように連結した分離可能な丸剤箱(78)をさらに備える。図1で図示される好ましい例では、分離可能な丸剤箱(78)は、通常使用時にディスペンサの基板として機能して、必要なときに手動で分離可能なように、カバー(76)の下周縁部にスナップ留めで嵌まる形状である。好ましくは、丸剤箱(78)は、開口可能な複数の区画(80)を有し、典型的には、ディスペンサの1段当たりの区画の数に対応して4つであり、それによって、使用者は、1日分の服用量を丸剤箱(78)に移すことができる。また、ここで図示されるように、特に好ましい丸剤箱は、一体化された丸剤切断部(82)を含み、使用者は、必要なときに丸剤を分けることができる。好ましくは、分離可能な丸剤箱(78)は、便利なように使用者のポケットに嵌まるように大きさが定められ、好ましくは、全体寸法が2x10x10cm以下であると定められる。分離可能な丸剤箱は、使用者が高い移動性を持っており、丸剤ディスペンサを持ち運ぶのを好まない場合の短期間の使用に特に便利である。
【0047】
上記にかかわらず、丸剤ディスペンサ(10)のフォームファクタは、同様の容量を備えたほとんどの装置よりはるかに小型であることに注意されたい。特に、以上に挙げられた例に関して、各列にある区画(14)の数(典型的には7つまたは10)は、各段にある区画の数(典型的には3つあるいは4つ)より大きい。この差の結果、ならびに、好ましい構成のさらなる態様として、丸剤ディスペンサ(10)の軸方向寸法は、典型的には、丸剤ディスペンサの外径より大きい。小さな直径であれば、装置は、取り扱いが便利になり、典型的には、使用者が指を装置の反対側に伸ばすことによって容易に握れ、小型の真空魔法瓶と同様のスペースを占めるので、便利なようにブリーフケースやバックパックに入る。
【0048】
使用中は、外筐体にある開口された軸方向の列が、内筐体にある開口された軸方向の列と位置合わせされる場合は、中央中心部にある全列が丸出しになる。これは、中央中心部にある区画に丸剤を手動で装填したり、または、そこから丸剤を空にしたりするのに役立つ。しかし、装置の意図された使用形態がもっぱら、事前に装填したカートリッジを差し込むことによる場合は、外筐体に開口された列がない、本発明の実装形態が好ましい場合もある。
【0049】
外筐体にある閉口された列が内筐体にある開口された列と重なる関係になる場合は、各筐体にあるすべての孔は閉口され、そして、薬剤用の区画はすべて閉口されたままになる。
【0050】
外筐体にある千鳥状の開口部のうちの1つが内筐体にある開口された列と位置合わせされたときには、この結果として、中央中心部にある1つだけの区画が選択的に開口され、それによって、その区画にある内容物を使用者の手の中に定量供給することができる。この状態で中央中心部を回転させることによって、選択された段にある次の区画がそれぞれ、内筐体および外筐体にある、位置合わせされた開口部に位置合わせされ、それによって、その区画にある内容物を定量供給することができる。
【0051】
装置は、多数の違った形態で使用してもよい。4つの区画の7つの段からなる典型的な場合では、外筐体を、1日当たり1列/ステップだけ回転して、曜日に対応する(1~7から)1つの段を選択してもよく、また、中心部を回転して、その日の対応する時間帯、例えば朝、昼、夕方、夜を選択してもよく、それによって、1日4回、1週間にわたって薬剤を定量供給する。代わりに、中心部は、一度に1週間にわたって、内筐体に対する場所をそのままにしておき、週を選択するものにしてもよい。この場合は、ディスペンサは、1日1回、4週間連続、すなわち28日間にわたり薬剤を定量供給するのに適した1x28ディスペンサになる。最も好ましくは、上述した指標面(66)、(68)は、意図された用途に対して適切なラベルでラベル付けされ、例えば、指標面(68)は、曜日名(例えば日曜日、月曜日、火曜日などから土曜日まで)、一方、指標面(66)は、意図した使用に応じて(朝、昼食時、夕方、夜)または(週1、週2、週3、週4)とマーク付けられる。また、表示(60)に位置合わせされたラベルは、最後の服用がいつだったかについて、使用者に見て思い出させる役目を果たす。よって、使用者が、日中服用したか覚えていない場合は、ディスペンサを見て、開口部(最後の服用)が朝の位置のままか、もしくは日中服用分がすでに定量供給済みであるかを確認できる。
【0052】
明らかに、1日2回、2週間などの他の使用形態も可能である。ある好ましい実装形態では、様々な使用の選択肢に応じて対応する時間帯を識別するために、マーク位置は、事前にラベル付けした挿入部を収容する差込口として実装されるか、または、事前にラベル付けしたシールを収容する凹型パネルとして実装される。
【0053】
上述したように、装置は、具体的に7つの段と、1段当たり4つの区画とを備えた実装形態に限定されることはない。例えば、代替実装形態では、装置は、1段当たり3つの区画、および/または、10の段が実装され、1カ月30日にわたって、(抗生物質の過程によっては典型的であるように)3×7回もしくは3×10回、または、1×30回の薬剤投与が可能になる。
【0054】
最も好ましくは、第1のスリーブ(22)(「内筐体」)および第2のスリーブ(26)(「外筐体」)の両方が、少なくとも部分的に透明な材料でできており、使用者が、特定の(現在閉口している)区画に薬剤があるかを見て確認することができ、および/または、中央中心部が正確に位置合わせされているか見て確認したり、または中心部にある部分/カートリッジの色分けを見ることができる。特に、1日に複数回服用する場合の使用では、好ましくは、中央中心部を構成するカートリッジは、直感で理解できる色分けを用いる。非限定的な一例として、分け方は、
・朝は白色、
・昼食時は黄色、
・夕方は青色、
・夜は黒色
であってもよい。
【0055】
随意に、薬剤ディスペンサにさらなる機能を設けるために、中空ハウジング(66)は、いくつかの電子部品に電力を供給する、好ましくは充電可能な1つ以上の電池を収容する内容積を含んでもよい。電子部品は、装置の機械的な状態を感知するためのいくつかのセンサと、携帯電話等と通信するためのBluetoothおよび/またはGPS部品とを含んでもよく、好ましくは、携帯電話等は、例えば、必要な時間に必要な服用量を服用するように装置が開口されていたかを観察したり、置き忘れた場合に装置の位置を突き止めるのを促したり、および/または、事前にプログラムされた予定に従って装置から携帯電話に通知したりするなどさらなる機能を設けた専用の携帯アプリを操作する。さらに、または代わりに、薬剤の服用を促すように、音声および/または表示灯のタイマーによるリマインダーを備えた内蔵式の時計が設けられてもよい。使用時に見て取れるようにすることが意図されていない構成部品を覆うため、取り外し可能なカバー(74)が設けられてもよい。
【0056】
また、随意に、電子部品は、次の薬剤服用量が出るように構成部品を正確な位置に進めるための小型電動式ドライブを含んでもよい。このような電動式操作は、手入力によって引き起こされてもよく、もしくは、プログラムされた時間に自動的に起きてもよい。
【0057】
添付の請求項が複数の従属なしに起草された程度において、これはそのような複数の従属が認められない管轄において、単に方式要件に適応させるためにしか行われていない。請求項が複数に従属することによって示唆されるであろう特徴の可能な組み合わせはすべて、明瞭に想定され、本発明の一部と見なされるべきであることに留意されたい。
【0058】
以上の記載は、例としての役割を果たすようにのみ意図されており、他の多くの実施形態が、添付の請求項により定義される本発明の範囲内で可能であることが認識される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C