(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】システム、測定器、方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20240307BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240307BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240307BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/20
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2023123971
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2023-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 良輔
(72)【発明者】
【氏名】小舘 直人
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-130028(JP,A)
【文献】特開2004-226157(JP,A)
【文献】特許第7291985(JP,B1)
【文献】特許第7284550(JP,B1)
【文献】特開2008-236071(JP,A)
【文献】特許第7317418(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象空間内に設置され、給電信号を送信する1又は複数の送信機と、
前記給電信号により、電力を発生させる1又は複数の受信機と、
配置される位置における電界強度を測定する複数の測定器と、
前記測定対象空間の空間情報を予め記憶し、当該空間情報と複数の前記測定器により測定された電界強度とに基づき、測定対象空間内の電界強度分布を生成する情報処理装置とを備えるシステム。
【請求項2】
前記測定器は、前記測定対象空間内に規則的な間隔で配置される請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記測定器は、前記送信機の配置に対応した位置に配置される請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記測定器は、前記受信機の整流効率を所定の条件に基づいて設定することで、測定した前記電界強度に基づき、前記受信機で発生される電力を算出する請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、測定時間が異なる少なくとも2つの電界強度分布を生成する請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記空間情報が異なる状況における少なくとも2つの電界強度分布を生成する請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記測定器は、前記電界強度を3軸で測定可能であり、
前記情報処理装置は、3軸で測定された電界強度に基づき、電界強度分布を生成する請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、生成した前記電界強度分布に基づき、前記送信機の最適な配置を算出する請求項1記載のシステム。
【請求項9】
測定対象空間に配置され、当該位置における電界強度を測定する複数の測定器と、前記測定対象空間についての空間情報と、複数の前記測定器により測定された電界強度とに基づき、前記測定対象空間内の電界強度分布を生成する情報処理装置とを備えるシステムで用いられる測定器において、
無線により電力を供給する1又は複数の送信機から送信される電波を受信するアンテナと、
受信した前記電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定する手段と、
測定した前記電界強度に基づく情報を生成する手段と、
生成した前記情報を送信する手段と
を備える測定器。
【請求項10】
前記生成する手段は、測定した前記電界強度に対して統計的な処理を行うことで、前記情報を生成する請求項9記載の測定器。
【請求項11】
前記生成する手段は、前記送信機から送信される電波を受信して電力を発生させる受信機の整流効率を所定の条件に基づいて設定することで、受信した前記電波に基づき、前記受信機で発生される電力を算出する請求項9記載の測定器。
【請求項12】
前記アンテナは、直交座標系における2軸に沿って配置される請求項9記載の測定器。
【請求項13】
前記アンテナは、直交座標系における3軸に沿って配置される請求項9記載の測定器。
【請求項14】
前記アンテナ、前記生成する手段、前記送信する手段を格納し、一方の端部に載置部を有するケースを有し、
前記アンテナは、前記端部と反対の端部近傍に格納される請求項9記載の測定器。
【請求項15】
測定対象空間に配置されて当該位置における電界強度を測定する複数の測定器と、前記測定対象空間についての空間情報と、複数の前記測定器により測定された電界強度とに基づき、前記測定対象空間内の電界強度分布を生成する情報処理装置とを備えるシステムで用いられる測定器で実行される方法であって、
無線により電力を供給する1又は複数の送信機から送信される電波をアンテナにより受信するステップと、
受信した前記電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定するステップと、
測定した前記電界強度に基づく情報を生成するステップと、
生成した前記情報を送信するステップと
を実行する方法。
【請求項16】
測定対象空間に配置されて当該位置における電界強度を測定する複数の測定器と、前記測定対象空間についての空間情報と、複数の前記測定器により測定された電界強度とに基づき、前記測定対象空間内の電界強度分布を生成する情報処理装置とを備えるシステムで用いられる測定器に実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記測定器に、
無線により電力を供給する1又は複数の送信機から受信した
電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定するステップと、
測定した前記電界強度に基づく情報を生成するステップと、
生成した前記情報を送信するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、測定器、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で、ワイヤレス電力伝送(WPT:Wireless Power Transfer)が利用されている。WPTを活用することで、有線による電力伝送の場合と比較して、配線の負担、破断、メンテナンス等の問題を回避することができる。
【0003】
特許文献1では、室内空間内に設置されてその設置場所で受信される無線電力供給装置からの電磁波のレベルを検知する電界強度センサが記載され、電界強度センサが複数設けられていてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、無線電力供給装置から放射される電磁波のレベルの検知値と、電磁波のレベルの設定値とに基づいてシステム異常を診断するようにしている。しかしながら、特許文献1では、室内空間における電波の強度を診断していない。
【0006】
本開示の目的は、室内空間における電波の強度を把握することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
システムは、1又は複数の送信機、1又は複数の受信機、複数の測定器、情報処理装置を備える。送信機は、測定対象空間内に設置され、給電信号を送信する。受信機は、給電信号により、電力を発生させる。測定器は、配置される位置における電界強度を測定する。情報処理装置は、測定対象空間の空間情報を予め記憶し、当該空間情報と複数の測定器により測定された電界強度とに基づき、測定対象空間内の電界強度分布を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、室内空間における電磁波のレベルを把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
【
図3】
図1に示す測定器500の構成例を表すブロック図である。
【
図4】第1情報処理装置300の機能的な構成例を示す図である。
【
図5】
図3に示す測定器500の構造を示す図の例である。
【
図6】
図5に示すPCB530の構造を示す斜視図の例である。
【
図7】
図5に示す測定器500を平面に載置した際の斜視図である。
【
図8】第1情報処理装置300に記憶される空間情報テーブル3021のデータ構造の例を示す模式図である。
【
図9】第1情報処理装置300に記憶される測定結果テーブル3022のデータ構造の例を示す模式図である。
【
図10】測定器500の動作の例を表すフローチャートである。
【
図11】送信機100及び測定器500の空間における配置例を表す図である。
【
図12】生成モジュール3034により生成される分布図の例を表す模式図である。
【
図13】送信機100及び測定器500の空間における配置例を表す図である。
【
図14】
図13に示すように送信機100が配置された場合の分布図の例を表す模式図である。
【
図15】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0011】
<概要>
WPT(Wireless Power Transfer)システムにおいて、給電信号を送信する1又は複数の送信機と、給電信号を受信する複数の受信機とが存在する。1又は複数の測定器は、送信機が送信する給電信号に基づく電界強度を測定する。情報処理装置は、測定器によって測定される電界強度に基づき、測定対象空間(室内空間)における電界強度分布を算出する。
【0012】
<1 システム全体の構成>
図1は、本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0013】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、第2情報処理装置400、及び測定器500を備える。
図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。ビルは、建物の一例であり、業務、執務等、所定の活動を行う屋内空間であればビルに限定されない。送信機100と第1情報処理装置300との接続、及び第1情報処理装置300と第2情報処理装置400との接続は、有線であっても無線であっても構わない。
【0014】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0015】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0016】
なお、本明細書において、送信機100は無線で電力を送信するという意味での(電力)送信機100であり、同様に、受信機200は無線で電力を受信するという意味での(電力)受信機200である。後述するように、受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信し、送信機100はかかるデータ信号を受信することがある。この場合、送信機100はデータ信号を受信する受信機であり、受信機200はデータ信号を送信する送信機として機能する。
【0017】
図1において、WPTシステム1が測定器500を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる測定器500の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる測定器500は、3台以上であってもよい。測定器500は、例えば、送信機100の位置に対応した位置に設置されてもよい。例えば、測定器500は、各送信機100に対して略均等な距離隔てて設置される。また、測定器500は、例えば、受信機200の位置に対応した位置に設置されてもよい。例えば、測定器500は、受信機200の近傍に設けられる。
【0018】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0019】
送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0020】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電してもよいし、複数台の受信機200へ給電してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0021】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。
【0022】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、蓄電部を有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を蓄電部に貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。受信機200は、蓄電部に蓄えた電力により、センサを駆動してもよい。
【0023】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。
【0024】
測定器500は、例えば、送信機100から送信される給電信号により発生する電界の強度(電界強度)を測定する。測定器500は、例えば、送信機100から送信される、920MHz帯の電波により発生する電界の、直交座標系における3軸に沿った強度を測定する。測定器500は、例えば、測定した電界強度に所定の統計的処理を施す。測定器500は、処理後の情報を、例えば、2.4GHz帯の電波により、第1情報処理装置300へ送信する。
【0025】
測定器500は、受信した給電信号により発生し得る電力を算出してもよい。測定器500は、例えば、送信機100から送信される、920MHz帯の電波により発生し得る電力の、直交座標系における3軸に沿った強度を算出する。測定器500は、例えば、算出した電力に所定の統計的処理を施す。測定器500は、処理後の情報を、例えば、2.4GHz帯の電波により、第1情報処理装置300へ送信する。
【0026】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0027】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0028】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。例えば、第1情報処理装置300は、所定の指示、又は情報を送信機100へ送信する。
【0029】
また、第1情報処理装置300は、第2情報処理装置400の動作を制御する。
【0030】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1が構築されている空間の電波環境を監視する。第1情報処理装置300は、例えば、測定器500から送信される情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。第1情報処理装置300は、例えば、記憶している情報、及び送信機100の配置に関する情報に基づき、空間内における電界強度の分布を算出する。電界強度の分布は、3次元分布であってもよいし、2次元分布であってもよい。第1情報処理装置300は、例えば、算出した電界強度分布に基づき、送信機100の適切な配置を算出する。
【0031】
第2情報処理装置400は、例えば、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0032】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力強度に関する情報
【0033】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、測定器500により測定された情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・空間内の電界強度分布
・空間内の電界強度分布の経時変化
・空間内の状況の変化(例えば、送信機100の配置、又はパラメータの変更)に基づく電界強度分布の変化
・空間内のレイアウトの変化(例えば、机、棚等の配置の変更)に基づく電界強度分布の変化
・送信機100の最適な配置(例えば、第1情報処理装置300で算出されない場合)
【0034】
<1.1 送信機と受信機の構成>
図2は、
図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。送信機100は、設置され方によっては、設置後において、位置を変更することが可能である。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。受信機200は、設置され方によっては、設置後において、位置を変更することが可能である。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0035】
送信機100は、例えば、発振器101、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105を有する。発振器101、マイコン103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。
【0036】
発振器101は、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。発振された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0037】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0038】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載した半導体素子により実現される。マイコン103は、例えば、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0039】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から所定の信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0040】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0041】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207を有する。受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0042】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0043】
整流器202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0044】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、蓄電部204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、蓄電部204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0045】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0046】
蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。蓄電部204は、例えば、バッテリー、又はキャパシタ等により実現される。また、蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0047】
マイコン205は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0048】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。なお、センサは、受信機200に内蔵されていてもよい。
【0049】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、データ送受信アンテナ207で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0050】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0051】
<1.2 測定器の構成>
図3は、
図1に示す測定器500の構成例を表すブロック図である。
図3に示す測定器500は、例えば、測定対象となる空間に配置される。測定器500は、例えば、規則的な間隔で空間に配置される。測定器500は、例えば、測定が必要な位置のみに配置されてもよい。測定器500は、例えば、送信機100、又は受信機200と対応する位置に配置されてもよい。測定器500は、机、椅子、棚等の物体の上に載置されてもよいし、紐によりぶら下げられてもよい。測定器500は、一定の高さでなく、複数の高さで配置されてもよい。
【0052】
測定器500は、例えば、測定用アンテナ501、電界強度測定部502、蓄電部503、マイコン504、データ送受信機505、データ送受信アンテナ506を有する。測定用アンテナ501、電界強度測定部502、蓄電部503、マイコン504、データ送受信機505、データ送受信アンテナ506、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0053】
測定用アンテナ501は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。測定用アンテナ501は、例えば、直交座標系における3軸に沿って形成されている。つまり、測定用アンテナ501は、x軸に沿って形成されるアンテナ素子、y軸に沿って形成されるアンテナ素子、z軸に沿って形成されるアンテナ素子を有する。各アンテナ素子は、例えば、ダイポールアンテナにより実現される。なお、モノポールアンテナであってもよい。各アンテナ素子は、例えば、920MHz帯の電波の波長の半分以下の長さ(例えば、約40mm)になっている。測定用アンテナ501は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0054】
電界強度測定部502は、測定用アンテナ501で受信された信号の強度に基づき、電界強度を測定する。具体的には、電界強度測定部502は、例えば、測定用アンテナ501のアンテナ素子毎に受信された信号の強度に基づき、電界強度を測定する。電界強度測定部502は、例えば、所定の周期で電界強度を測定する。所定の周期は、例えば、1秒間に複数回(約1000回)である。電界強度測定部502は、測定結果をマイコン504へ出力する。測定結果には測定を実施した時刻を表すタイムスタンプが付されていてもよい。
【0055】
蓄電部503は、例えば、外部から給電される電力を蓄える。蓄電部503は、例えば、バッテリー、又はキャパシタ等により実現される。なお、蓄電部503は、送信機100から送信される給電信号により発生される電力を蓄えてもよい。測定器500が受信機200に接続されて配置される場合、測定器500は、受信機200の蓄電部204を利用してもよい。また、測定器500が受信機200に内蔵される場合、測定器500は、受信機200の蓄電部204を利用してもよい。
【0056】
マイコン504は、測定器500の動作を制御する。また、マイコン504は、電界強度測定部502で測定された測定結果に基づき、統計的な処理を実行する。統計的な処理は、例えば、所定期間におけるアベレージ値の算出、所定期間におけるピーク値の算出を含む。なお、統計的な処理はこれらに限定されず、様々な処理を実施可能である。所定期間は、例えば、測定器500が測定結果に関する情報を送信する周期に対応した期間である。所定期間は、測定器500が測定結果に関する情報を送信する周期と同じであってもよいし、短くてもよい。マイコン504は、測定結果に関する情報として、統計処理後の情報、又は電界強度測定部502により測定された情報をデータ送受信機505へ出力する。マイコン504は、例えば、測定結果に関する情報を、測定が実施された日時を付して出力する。
【0057】
マイコン504は、電界強度測定部502で測定された測定結果に基づき、自装置が受信機200だとした場合に、発生される電力を算出してもよい。具体的には、例えば、マイコン504は、整流器の効率に関する情報を記憶している。例えば、整流器の効率は、受信される給電信号の強度と、接続される負荷の大きさ(発生される電力により実行されるアプリケーションの負荷の大きさ)とによって変化する。マイコン504は、整流器の効率に関する情報と、電界強度測定部502で測定された測定結果とに基づき、電力を算出する。マイコン504は、算出した電力に関するデータに統計的な処理を実行する。マイコン504は、統計処理後のデータをデータ送受信機505へ出力する。マイコン504は、統計処理後のデータに基づき、電力を算出してもよい。
【0058】
マイコン504には、電源スイッチが接続されていてもよい。電源スイッチの押下により、測定器500を駆動させるか否かが入力される。ユーザが電源スイッチをオンに入力することで、マイコン504が駆動する。ユーザが電源スイッチをオフに入力することで、マイコン504が停止する。
【0059】
データ送受信機505は、マイコン504から出力されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機505は、データ送受信アンテナ506で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。
【0060】
データ送受信アンテナ506は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ506は、データ送受信機505から出力されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ506は、第1情報処理装置300から送信されたデータ信号を受信する。
【0061】
<1.3 第1情報処理装置の構成>
図4は、第1情報処理装置300の機能的な構成の例を示す図である。
図4に示すように、第1情報処理装置300は、通信部301と、記憶部302と、制御部303としての機能を発揮する。
【0062】
通信部301は、第1情報処理装置300が他の装置、例えば、送信機100、受信機200、測定器500と通信するための処理を行う。
【0063】
記憶部302は、例えば、空間情報テーブル3021、測定結果テーブル3022等を有する。記憶部302で記憶されるテーブルは、これらに限定されない。記憶部302は、例えば、これらの他に送信機100、及び受信機200の状態に関する情報を記憶するテーブルを記憶している。
【0064】
空間情報テーブル3021は、測定対象としての空間に関する情報を記憶するテーブルである。詳細は後述する。
【0065】
測定結果テーブル3022は、測定結果に関する情報を記憶するテーブルである。詳細は後述する。
【0066】
制御部303は、プロセッサが記憶部に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部303は、プログラムに従って動作することにより、受信制御モジュール3031、送信制御モジュール3032、記憶モジュール3033、生成モジュール3034、及び提案モジュール3035として示す機能を発揮する。
【0067】
受信制御モジュール3031は、第1情報処理装置300が他の装置、例えば、送信機100、第2情報処理装置400、測定器500から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0068】
送信制御モジュール3032は、第1情報処理装置300が他の装置、例えば、送信機100、第2情報処理装置400、測定器500に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0069】
記憶モジュール3033は、送信機100、測定器500から取得した情報を、記憶部302に記憶する。具体的には、例えば、測定器500から測定結果に関する情報が所定の周期で送信される。記憶モジュール3033は、測定器500から出力される情報を取得し、取得した情報を測定結果テーブル3022に記憶する。
【0070】
生成モジュール3034は、測定に関する情報に基づき、測定対象の空間における分布図を生成する。具体的には、例えば、生成モジュール3034は、測定結果テーブル3022を参照し、空間内における電界強度の分布図を生成する。生成モジュール3034は、2次元の分布図を生成してもよいし、3次元の分布図を生成してもよい。生成モジュール3034は、測定器500により電力が算出されている場合、電力の分布図を生成してもよい。
【0071】
提案モジュール3035は、空間内の分布図に基づき、空間に適した送信機100の配置を算出する。提案モジュール3035は、送信機100の位置の変更だけでなく、例えば、送信機100の増加、減少も考慮して最適な送信機100の配置を算出してもよい。また、提案モジュール3035は、送信機100の配置だけでなく、例えば、送信機100が配置される方向、放射する電波の強度等のパラメータも変化させながら、最適な送信機100の配置を算出してもよい。提案モジュール3035は、例えば、算出された分布図に基づき、電界と送信機100との関連性を推定し、空間内の電界強度が推奨される状態となるように送信機100の数、位置、パラメータを調整する。
【0072】
<2 測定器の構造>
図5は、
図3に示す測定器500の構造を示す図の例である。
図5(a)は、測定器500の斜視図の例を示す。また、
図5(b)は、測定器500の横面図を示す。
図5に示す測定器500は、例えば、測定器500に係る回路が形成されたPCB530が筐体510に格納されている。測定器500は、長手方向の長さが約10cm、短手方向、奥行方向の長さが約5cmである。
図5に示す例では、筐体510の側面の一部が空洞となっているが、筐体510の側面は空洞であることに限定されない。
【0073】
筐体510は、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂により実現される。筐体510は、例えば、第1部材511と、第2部材512とを有する。第1部材511と、第2部材512とは、アーチ形状をしている。第1部材511と、第2部材512とは、アーチ形状の橋脚部において互いに接触し固定されることで、筐体510を形成する。アーチ形状の第1部材511と、第2部材512とが橋脚部において固定されることで、内部に空間が形成される。
【0074】
第1部材511の橋脚部の内側には、凸部5115、5116が形成されている。第2部材512の橋脚部の内側には、凸部5125、5126が形成されている。第1部材511と、第2部材512とを固定させた場合、凸部5115と凸部5125との距離は、PCB530の厚さに相当する距離となる。また、凸部5116と凸部5126との距離は、PCB530の厚さに相当する距離となる。PCB530は、凸部5115及び凸部5125と、凸部5116及び凸部5126との間に挟まれることで、筐体510内で把持される。
【0075】
PCB530は、長手方向に沿って測定用アンテナ501と、その他の回路領域540とが形成される。回路領域540には、例えば、電界強度測定部502、蓄電部503、マイコン504、データ送受信機505、データ送受信アンテナ506が実装される。回路領域540は、例えば、PCB530の両面に形成される。
【0076】
筐体510における、回路領域540が形成される方向の一方の端部は平面に載置可能な形状に成形されている。例えば、
図5では、回路領域540が形成される方向の一方の端部は平坦に成形されており、載置部520を形成している。測定器500による正確な測定のため、載置部520は、測定用アンテナ501の軸により形成される面に沿って形成されることが望ましい。
【0077】
第1部材511は、長手方向に沿って孔部5112、5113が形成されている。孔部5112、5113は、
図5で示す面の裏側においても同じ位置に形成されている。なお、孔部5112、5113は、第2部材512に形成されていてもよいし、第1部材511及び第2部材512の両方に形成されていてもよい。孔部5112、5113は、測定器500を、例えば、机等と同程度の高さ、又は所定の高さの中空に設置するための機構である。例えば、孔部5112、5113に、机等の間で渡した糸、紐、針金等、線状の物体を通すことで測定器500を中空で固定することが可能となる。測定器500による正確な測定のため、孔部5112、5113は、測定用アンテナ501の軸方向に沿って形成されることが望ましい。
【0078】
第1部材511は、回路領域540が形成される方向の一方の端部に孔部5114が形成されている。また、第2部材512は、回路領域540が形成される方向の一方の端部に孔部5124が形成されている。第1部材511と、第2部材512とを固定させた場合、孔部5114と孔部5124とは、短手方向に沿って形成される。孔部5114、5124は、
図5で示す面の裏側においても同じ位置に形成されている。なお、孔部5114、5124は、測定用アンテナ501が形成される側の端部に形成されていてもよいし、両方の端部に形成されていてもよい。孔部5114、5124は、測定器500を中空に設置するための機構である。例えば、孔部5114、5124に、糸、紐、針金等、線状の物体を通すことで測定器500を中空で固定することが可能となる。測定器500による正確な測定のため、孔部5114、5124は、測定用アンテナ501の軸方向に沿って形成されることが望ましい。
【0079】
孔部5112、5113、5114、5124は、線状の物体を通して、測定器500を中空に設置可能な設置機構であればよく、孔でなくてもよい。設置機構は、例えば、フックであってもよい。
【0080】
スイッチ507は、ユーザが筐体510の側面から押下可能な位置に取り付けられている。
【0081】
図6は、
図5に示すPCB530の構造を示す斜視図の例である。
図6において、測定用アンテナ501は、直交座標系における3軸に沿ってそれぞれ形成されるアンテナ素子5011、5012、5013を有する。PCB530の長手方向は、アンテナ素子5011が形成される方向に沿って形成されている。PCB530の短手方向は、アンテナ素子5012が形成される方向に沿って形成されている。電界強度測定部502は、例えば、アンテナ素子5011、5012、5013が形成される領域の近傍に実装されてもよい。これにより、電界強度をより正確に測定することが可能となる。
【0082】
図7は、
図5に示す測定器500を平面に載置した際の斜視図である。
図7において、測定器500は、載置部520により平面に載置される。載置部520は、回路領域540が形成される方向の筐体510の端部に設けられているため、載置部520を平面に接触させて測定器500を設置した場合、測定用アンテナ501は、平面から離れた位置に置かれることになる。そのため、測定器500は、測定用アンテナ501の受信効率が低下することを抑えることが可能となる。
【0083】
<3 データ構造>
図8、
図9は、第1情報処理装置300が記憶するテーブルのデータ構造を示す図である。なお、
図8、
図9は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルに記載されるデータであっても、記憶部302において離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。
【0084】
図8は、第1情報処理装置300に記憶される空間情報テーブル3021のデータ構造の例を示す模式図である。
図8に示す空間情報テーブル3021は、例えば、設定IDをキーとして、空間ID、設定日時、空間情報、送信機、受信機、測定器のカラムを有するテーブルである。
【0085】
設定IDは、設定の識別情報を記憶する項目である。空間IDは、空間の識別情報を記憶する項目である。設定日時は、空間に関する情報を設定した日時を記憶する項目である。空間情報は、空間について登録されている情報を記憶する項目である。空間情報は、例えば、部屋の縦方向の距離、部屋の横方向の距離、部屋の高さ、空間を形成する材質に関する情報、空間に配置される物体に関する情報、空間における電波強度の損失に関する情報、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等を含む。空間を形成する材質に関する情報は、例えば、床材、天井材、壁材、窓ガラス材、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等を含む。空間に配置される物体に関する情報は、例えば、机及び椅子等の物体の位置、物体の種類、物体の材質、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等を含む。空間情報は、予め記憶されていてもよいし、ユーザにより設定されてもよい。空間情報は、これらに限定されない。例えば、上記のうちいずれかがなくてもよいし、上記以外の情報が含まれていてもよい。
【0086】
送信機は、送信機100に関する情報を記憶する項目である。項目「送信機」は、送信機100が配置される座標、送信利得、送信強度、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等を含む。受信機は、受信機200に関する情報を記憶する項目である。項目「受信機」は、受信機200が配置される座標、受信利得、整流効率、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせ等を含む。測定器は、測定器500に関する情報を記憶する項目である。項目「測定器」は、測定器500が配置される座標等を含む。
【0087】
図9は、第1情報処理装置300に記憶される測定結果テーブル3022のデータ構造の例を示す模式図である。
図9に示す測定結果テーブル3022は、例えば、設定IDをキーとして、測定日時、電界強度、推定電力のカラムを有するテーブルである。
【0088】
測定日時は、測定を実施した日時を記憶する項目である。電界強度は、測定された電界強度を記憶する項目である。項目「電界強度」には、統計処理が施された情報が記憶されてもよいし、統計処理がなされる前の情報が記憶されてもよい。推定電力は、算出された電力を記憶する項目である。項目「推定電力」には、統計処理が施された情報が記憶されてもよいし、統計処理がなされる前の情報が記憶されてもよい。なお、電力が算出されない場合、項目「推定電力」はなくてもよい。
【0089】
<4 動作>
図10は、測定器500の動作の例を表すフローチャートである。
図10の説明では、送信機100と、測定器500とが、例えば、
図11に示されるように配置されている場合を説明する。
【0090】
図11は、送信機100及び測定器500の空間における配置例を表す図である。送信機100及び測定器500は、例えば、x方向に10m、及びy方向に10mの室内に配置される。送信機100は、例えば、3m間隔で配置される。測定器500は、例えば、y方向の位置を送信機100と揃え、x方向の位置が送信機100の間に位置するように配置される。
【0091】
ステップS11において、測定器500は、所定の周期で電界強度を測定する。具体的には、測定用アンテナ501は、直交座標系における3軸に沿って配置されるアンテナ素子5011、5012、5013により、送信機100から送信される920MHz帯の電波を受信する。電界強度測定部502は、例えば、1秒間に複数回の周期で、アンテナ素子5011、5012、5013により受信された電波の強度に基づき、軸毎の電界強度を測定する。
【0092】
ステップS12において、測定器500は、測定した電界強度に対し、統計的処理を実施する。具体的には、マイコン504は、例えば、1秒の間に測定された電界強度に基づき、当該1秒間の電界強度を算出する。より具体的には、マイコン504は、例えば、1秒の間に測定された電界強度の平均を取ることで、当該1秒間の電界強度を算出する。また、マイコン504は、例えば、1秒の間に測定された電界強度のピーク値を、当該1秒間の電界強度とする。統計的処理に係る期間は、1秒に限定されず、1秒より長くてもよい。
【0093】
ステップS13において、測定器500は、処理後の情報を第1情報処理装置300へ送信する。具体的には、マイコン504は、統計的処理を施した情報を所定の周期で第1情報処理装置300へ送信する。所定の周期は、統計的処理に係る期間と一致していてもよいし、当該期間よりも長くてもよい。マイコン504は、電界強度の平均値と、ピーク値とを第1情報処理装置300へ送信してもよい。マイコン504は、電界強度の平均値と、ピーク値との差分を第1情報処理装置300へ送信してもよい。マイコン504は、統計的処理を施していない測定結果を第1情報処理装置300へ送信してもよい。
【0094】
第1情報処理装置300は、測定器500から測定に関する情報を受信すると、受信した情報を測定結果テーブル3022に記憶する。第1情報処理装置300は、例えば、所定の情報が第2情報処理装置400から要求されると、要求に応じた処理を実行する。例えば、空間内の電界強度分布を第2情報処理装置400から要求されると、生成モジュール3034は、測定結果テーブル3022に蓄積されている測定に関する情報に基づき、測定対象の空間における分布図を生成する。
【0095】
図12は、生成モジュール3034により生成される分布図の例を表す模式図である。
図12では、空間内が所定のグリッドに分割されており、グリッドの色彩により電界強度が表される。グリッドの分割は、例えば、測定器500の配置に基づいて設定されている。測定器500を配置することでグリッドが設定されてもよいし、グリッドに合わせて測定器500を配置するようにしてもよい。
【0096】
また、例えば、電界強度分布の経時変化を第2情報処理装置400から要求されると、生成モジュール3034は、測定結果テーブル3022に蓄積されている測定に関する情報に基づき、複数の時点における電界強度の分布図を生成する。
【0097】
また、例えば、空間内の状況の変化、又はレイアウトの変化に基づく電界強度分布の変化を第2情報処理装置400から要求されると、生成モジュール3034は、空間情報テーブル3021を参照し、空間に関する設定が更新された日時を取得する。生成モジュール3034は、測定結果テーブル3022に基づき、更新前後の測定に関する情報を取得し、取得した情報に基づき、電界強度の分布図を生成する。
【0098】
また、例えば、電界強度の分布を改善させるための提案を第2情報処理装置400から要求されると、提案モジュール3035は、空間内の分布図に基づき、空間に適した送信機100の配置を算出する。
【0099】
図13は、送信機100及び測定器500の空間における配置例を表す図である。
図11に示す例と異なり、
図13において、(x,y)=(6,3)には、送信機100が配置されていない。
【0100】
図14は、
図13に示すように送信機100が配置された場合の分布図の例を表す模式図である。
図14において、グリッド31、32は、他のグリッドと比較し、電界強度が低い。提案モジュール3035は、電界と送信機100との関連性を推定し、空間内の電界強度が推奨される状態となるように送信機100の数、位置、パラメータを調整する。提案モジュール3035は、
図14におけるグリッド31とグリッド32との間、すなわち、(x,y)=(6,3)に送信機100を配置することを提案する。
【0101】
以上のように上記実施形態では、WPTシステム1は、1又は複数の送信機100、1又は複数の受信機200、複数の測定器500、及び第1情報処理装置300を備える。送信機100は、測定対象空間内に設置され、給電信号を送信する。受信機200は、給電信号により、電力を発生させる。測定器500は、配置される位置における電界強度を測定する。第1情報処理装置300は、測定対象空間の空間情報を予め記憶し、当該空間情報と測定器500により測定された電界強度とに基づき、測定対象空間内の電界強度分布を生成する。これにより、第1情報処理装置300は、空間内の電界強度をリアルタイムで取得することが可能となる。
【0102】
したがって、本実施形態に係るWPTシステム1によれば、室内空間における電波の強度を把握できる。
【0103】
また、上記実施形態では、測定器500は、測定対象空間内に規則的な間隔で配置される。これにより、第1情報処理装置300は、空間内の電界強度を偏りなく取得することが可能となる。
【0104】
また、上記実施形態では、測定器500は、送信機100の配置に対応する位置に配置される。これにより、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される信号の強度を高精度に監視することが可能となる。
【0105】
また、上記実施形態では、測定器500は、受信機200の整流効率を所定の条件に基づいて設定することで、測定した電界強度に基づき、受信機200で発生される電力を算出する。これにより、第1情報処理装置300は、空間内の電力をリアルタイムで取得することが可能となる。
【0106】
また、上記実施形態では、第1情報処理装置300は、測定時間が異なる少なくとも2つの電界強度分布を生成する。これにより、第1情報処理装置300は、空間における電波の強度の経時変化を取得することが可能となる。
【0107】
また、上記実施形態では、第1情報処理装置300は、空間情報が異なる状況における少なくとも2つの電界強度分布を生成する。これにより、第1情報処理装置300は、同一空間において、設定が異なる空間における電波の強度を取得することが可能となる。
【0108】
また、上記実施形態では、測定器500は、電界強度を3軸で測定可能である。第1情報処理装置300は、3軸で測定された電界強度に基づき、電界強度分布を生成する。これにより、送信機100の配置を検討する際、給電信号の偏波面も考慮することが可能となる。
【0109】
また、上記実施形態では、第1情報処理装置300は、生成した電界強度分布に基づき、送信機100の最適な配置を算出する。これにより、第1情報処理装置300は、空間における電波環境を効率的に改善することが可能となる。
【0110】
また、上記実施形態では、測定器500は、測定用アンテナ501、測定する手段(電界強度測定部502)、生成する手段(マイコン504)、送信する手段(データ送受信アンテナ506)を備える。測定用アンテナ501は、無線により電力を供給する1又は複数の送信機から送信される電波を受信する。電界強度測定部502は、受信した電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定する。マイコン504は、測定した電界強度に基づく情報を生成する。データ送受信アンテナ506は、生成した情報を送信する。本実施形態に係るWPTシステム1では、複数の送信機100が非同期に指向性なく給電信号を送信している。送信機100から送信された給電信号は、マルチパスで反射し、波の重ね合わせ、打ち消し合いが発生する。そのため、電波強度の時間的な変動が大きい。本実施形態では、電界強度測定部502は、電界強度を1秒間に1000回測定し、マイコン504は、測定した電界強度に基づく情報を生成する。これにより、複数の送信機100が非同期に指向性なく給電信号を送信している環境下において、電界強度を高精度に測定することが可能となる。
【0111】
また、上記実施形態では、マイコン504は、測定した電界強度に対して統計的な処理を行うことで、情報を生成する。これにより、電界強度測定部502は、時間的な変動を抑え、定常状態の電界強度を取得することが可能となる。
【0112】
また、測定器500は、統計的な処理を実施した後の情報だけでなく、測定結果も送信するようにしてもよい。こうすることで、1秒間に複数回実施した測定結果を、所定の分析で利用することが可能となる。
【0113】
また、上記実施形態では、マイコン504は、送信機100から送信される電波を受信して電力を発生させる受信機200の整流効率を所定の条件に基づいて設定することで、受信した電波に基づき、受信機200で発生される電力を算出する。これにより、測定器500は、空間内の電力をリアルタイムで推定することが可能となる。
【0114】
また、上記実施形態では、測定用アンテナ501は、直交座標系における3軸に沿って配置されている。受信機200は、受信アンテナ201の構造上、偏波面の影響を受ける可能性がある。測定用アンテナ501は、xyz軸での電波を受信可能であり、電界強度測定部502は、xyz軸での電波の強度を測定可能である。そのため、3軸で測定された電界強度に基づいて電界強度分布を生成することが可能となるため、ユーザは、電界強度分布を参照することで、受信機200の最適な置き方についても検討することが可能となる。
【0115】
また、上記実施形態では、測定器500は、測定用アンテナ501、回路領域540を格納する筐体510を有する。筐体510は、一方の端部に載置部520を有する。測定用アンテナ501は、載置部520が形成される端部と反対の端部近傍に格納される。これにより、測定用アンテナ501が載置面から離れた位置に置かれることになるため、測定器500は、測定用アンテナ501の受信効率が低下することを抑えることが可能となる。
【0116】
<変形例>
上記実施形態では、第1情報処理装置300が電界強度分布、又は電力分布を生成する場合を例に説明した。しかしながら、測定器500が電界強度分布、又は電力分布を生成してもよい。この場合、例えば、複数の測定器500のうち少なくともいずれかの測定器500が他の測定器500から測定に関する情報を収集する。情報を収集した測定器500は、収集した情報に基づき、電界強度分布、又は電力分布を生成する。
【0117】
また、上記実施形態では、測定用アンテナ501が、直交座標系における3軸に沿ってそれぞれ形成されるアンテナ素子5011、5012、5013を有する例を説明した。しかしながら、測定用アンテナ501が有するアンテナ素子は、直交座標系における1軸に沿って配置されるアンテナ素子であってもよいし、直交座標系における2軸に沿って配置されるアンテナ素子であってもよい。
【0118】
また、上述した各実施形態においては交流信号からなる送信電力を送信機100から無線で受信機200に送信する、いわゆるWPTシステム1への適用について説明していたが、それ以外の手法により受信機200に電力を提供するシステムへの適用も当然に可能である。このようなシステムは既知であるので詳細な説明は割愛するが、一例として、太陽光発電により生成した電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム、さらには、レーザー光により電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム等が挙げられる。他に、振動や音を受信機200に与え、受信機200が振動等のパワーを電力に変換する構成であっても適用可能である。加えて、交流信号からなる送信電力を無線で受電する以外の、既知の非接触給電技術、一例として磁界結合方式による非接触給電技術を用いたシステムにも当然に適用可能である。
【0119】
<5 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図15は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0120】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0121】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0122】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0123】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0124】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0125】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図20に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0126】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0127】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0128】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0129】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0130】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0131】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0132】
また、以上の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0133】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0134】
また、以上の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0135】
また、以上の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0136】
また、以上の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス、マイコン)とされてもよい。
【0137】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0138】
また、以上の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0139】
また、以上の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0140】
また、以上の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0141】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
測定対象空間内に設置され、給電信号を送信する1又は複数の送信機と、給電信号により、電力を発生させる1又は複数の受信機と、配置される位置における電界強度を測定する複数の測定器と、測定対象空間の空間情報を予め記憶し、当該空間情報と複数の測定器により測定された電界強度とに基づき、測定対象空間内の電界強度分布を生成する情報処理装置とを備えるシステム。
(付記2)
測定器は、測定対象空間内に規則的な間隔で配置される(付記1)に記載のシステム。
(付記3)
測定器は、送信機の配置に対応した位置に配置される(付記1)に記載のシステム。
(付記4)
測定器は、受信機の整流効率を所定の条件に基づいて設定することで、測定した電界強度に基づき、受信機で発生される電力を算出する(付記1)から(付記3)のいずれかに記載のシステム。
(付記5)
情報処理装置は、測定時間が異なる少なくとも2つの電界強度分布を生成する(付記1)から(付記4)のいずれかに記載のシステム。
(付記6)
情報処理装置は、空間情報が異なる状況における少なくとも2つの電界強度分布を生成する(付記1)から(付記5)のいずれかに記載のシステム。
(付記7)
測定器は、電界強度を3軸で測定可能であり、情報処理装置は、3軸で測定された電界強度に基づき、電界強度分布を生成する(付記1)から(付記6)のいずれかに記載のシステム。
(付記8)
情報処理装置は、生成した電界強度分布に基づき、送信機の最適な配置を算出する(付記1)から(付記7)のいずれかに記載のシステム。
(付記9)
無線により電力を供給する1又は複数の送信機から送信される電波を受信するアンテナと、受信した電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定する手段と、測定した電界強度に基づく情報を生成する手段と、生成した情報を送信する手段とを備える測定器。
(付記10)
生成する手段は、測定した電界強度に対して統計的な処理を行うことで、情報を生成する(付記9)に記載の測定器。
(付記11)
生成する手段は、送信機から送信される電波を受信して電力を発生させる受信機の整流効率を所定の条件に基づいて設定することで、受信した電波に基づき、受信機で発生される電力を算出する(付記9)又は(付記10)に記載の測定器。
(付記12)
アンテナは、直交座標系における2軸に沿って配置される(付記9)から(付記11)のいずれかに記載の測定器。
(付記13)
アンテナは、直交座標系における3軸に沿って配置される(付記9)から(付記11)のいずれかに記載の測定器。
(付記14)
アンテナ、生成する手段、送信する手段を格納し、一方の端部に載置部を有するケースを有し、アンテナは、端部と反対の端部近傍に格納される(付記9)から(付記13)のいずれかに記載の測定器。
(付記15)
無線により電力を供給する1又は複数の送信機から送信される電波を受信するアンテナを有する測定器で実行される方法であって、受信した電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定するステップと、測定した電界強度に基づく情報を生成するステップと、生成した情報を送信するステップとを実行する方法。
(付記16)
無線により電力を供給する1又は複数の送信機から送信される電波を受信するアンテナを有する測定器に実行させるためのプログラムであって、プログラムは、測定器に、受信した電波に基づいて電界強度を1秒間に複数回測定するステップと、測定した電界強度に基づく情報を生成するステップと、生成した情報を送信するステップとを実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0142】
1…WPTシステム
100…送信機
101…発振器
102…送信アンテナ
103…マイコン
104…データ送受信機
105…データ送受信アンテナ
200…受信機
201…受信アンテナ
202…整流器
203…電力管理部
204…蓄電部
205…マイコン
206…データ送受信機
207…データ送受信アンテナ
300…第1情報処理装置
400…第2情報処理装置
500…測定器
【要約】
【課題】室内空間における電波の強度を把握することが可能な技術を提供する。
【解決手段】 システムは、1又は複数の送信機、1又は複数の受信機、複数の測定器、情報処理装置を備える。送信機は、測定対象空間内に設置され、給電信号を送信する。受信機は、給電信号により、電力を発生させる。測定器は、配置される位置における電界強度を測定する。情報処理装置は、測定対象空間の空間情報を予め記憶し、当該空間情報と複数の測定器により測定された電界強度とに基づき、測定対象空間内の電界強度分布を生成する。
【選択図】
図1