(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】歯間ブラシ及びデンタルフロス用のホルダー
(51)【国際特許分類】
A46B 17/02 20060101AFI20240307BHJP
A61C 15/04 20060101ALI20240307BHJP
A46B 17/08 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A46B17/02
A61C15/04 502
A46B17/08
(21)【出願番号】P 2019211852
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】513026838
【氏名又は名称】小谷 勇
(72)【発明者】
【氏名】小谷 勇
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-304808(JP,A)
【文献】特開2019-063463(JP,A)
【文献】特開2002-272591(JP,A)
【文献】特開2002-153325(JP,A)
【文献】特開2002-165813(JP,A)
【文献】実開平06-000792(JP,U)
【文献】登録実用新案第3129089(JP,U)
【文献】特開2004-243072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 17/00
A47K 1/09
A61C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間ブラシまたはデンタルフロスのハンドル部が個々に入れられる概筒状の挿入部を複数有するホルダーであり、
複数の挿入部は、
握り部の軸心に対して円周状に配置され、互いに連接するとともに、
ジョイント部によっても相互に結合され、
このジョイント部に、握り部が
連結して構成されるホルダー。
【請求項2】
前記挿入部
の形状は、三角形
筒、四角
形筒、五角形
筒、六角形
筒、ハート形
筒、円形
筒である、
請求項1に記載のホルダー。
【請求項3】
前記挿入部は、その
筒壁面に
縦方向の複数のスリットを設けた、
請求項1~2のいずれかに記載のホルダー。
【請求項4】
前記挿入部は、筒壁面の一部を無くし、横断面が概「コの字形」と
なっており、
この
概「コの字形」の挿入部の内壁面
に、縦方向に平行な波状の凹凸が設けられており、
この
概「コの字形」の挿入部
の内壁面に密接し、且つ着脱可能な形で概直方体が挿入されており、
この
概直方体の「コの字形」の開口側の
側面中央に、縦方向に幅1~2mmで、奥行き4~6mmの切り込みが、
概直方体の両端に達する長さで入っており、
挿入部及び概直方体の樹脂材質の硬さが硬度15~70度である、
請求項1に記載のホルダー。
【請求項5】
歯間ブラシまたはデンタルフロスのハンドル部が個々に入れられる概筒状の挿入部を複数有するホルダーであり、
複数の挿入部は、互いに連接するとともに、
ジョイント部によっても相互に結合され、
前記挿入部は、筒壁面の一部を無くし、横断面が概「コの字形」となっており、
前記概「コの字形」の挿入部が直線状に複数連結され、
概「コの字形」の開口面の反対側に、三角柱形状の前記ジョイント部が配置され、
且つ、概「コの字形」の開口面が斜めに上向きとなるように、前記ジョイント部が結合され、
固定部として磁石、吸着盤、粘着材、クリップ、引掛け具のいずれかが、前記ジョイント部に対して、前記挿入部が結合されている面の反対側に結合されているホルダー。
【請求項6】
前記握り部の本数は1本で、形状は棒状又は中空棒状で、棒の直径は6~15mmで、長さは60~130mmである、
請求項1に記載のホルダー。
【請求項7】
中央に穴を設けた板状の台座部を有し、
前記握り部のうち、前記ジョイント部が連結されていない端部を、この台座部の穴に差し込み、
自立可能とした請求項1~4のいずれかに記載のホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間ブラシまたはデンタルフロスの保管用器具に関する。(以下の説明においては、「歯間ブラシまたはデンタルフロス」を簡単にして「歯間ブラシ類」と呼ぶことにする。)
【0002】
歯間ブラシ類を保管する器具としては、歯ブラシスタンドに併設した形が一般的となっている。一部で、陶器製のもので歯間ブラシ類を挿入できる壺形のものもみられる。特許文献としては、実用新案登録第3058342号公報において針金を螺旋状に巻いたもの(
図7)が歯間ブラシホルダーとして提起されている。このホルダーは乾燥性の点では優れているとみられるが、ブラシ部を下にして保管するために、使用上で一番重要な働きをするブラシのフィラメント部すなわち毛の部分に力がかかり続けるために、毛が変形してしまうという問題点があると考える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯間ブラシ類の保管用として市販されている器具には、歯間ブラシ類用の保管枠が少ない。つまり、歯間ブラシは歯間の開き程度に応じて、5~6種類のサイズの異なるブラシから選択して使用することが推奨されている。一般に人の歯は前歯の歯間は狭く、奥歯は広いと言われているので、使用する歯間ブラシは1人当たり2~4本となり、歯ブラシが1人1本で足りるのに比較して保管用の枠数が歯ブラシよりも多く必要となる。しかしながら、市販品では歯ブラシ用の枠数と同数か少ない現状にある。本発明は、この保管枠の少ない点の解決を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)歯間ブラシ類のハンドル部が個々に入れられる概筒状の挿入部を複数連接させ、この複数の筒をジョイント部によって結合させ筒相互の結合を強固にする。このジョイント部に、握り部、台座部、固定部のいずれかを結合させたホルダーを作製する。
このホルダーによって、場所を取らずに複数の歯間ブラシ類が保管可能となる。
【0006】
(2)上記の挿入部は、筒の上面からの形状が三角形、四角形、五角形、六角形、ハート形、円形であるが、この筒部形状はホルダー全体の形状に対応して無駄部分の少ない形状が選択される。これによって、保管に無駄なスペースを取らないホルダーとなる。
【0007】
(3)上記の挿入部は、隣接する筒部との連結力を極端に弱めない範囲でその壁面に複数のスリットを入れ、筒内への空気の流入を良くする(
図5参照)。歯間ブラシ類は使用後に水洗するために、保管器具であるホルダー内に水が付着し、使用に伴って器具内にヌメリ等が発生する。これを抑制するために筒内への空気の流入を良くして乾燥性を高める必要がある。
【0008】
(4)上記の挿入部の形状として、挿入部壁面の一部を無くし、横断面が概「コの字形」とすることも考えられる(
図2参照)。この「コの字形」挿入部の内壁面の長手方向に平行な波状の凹凸が設けられており、この「コの字形」の挿入部内に、挿入部内壁面に密接し、且つ着脱可能な形で直方体が挿入されており、この直方体の「コの字形」の開口面側の面の中央に挿入部の縦方向に沿って幅1~2mmで奥行き4~6mmの切り込みが挿入部の上下両端に達する長さで入っており、この場合の挿入部及び直方体の材質の硬さは、硬度15~70度の柔軟性のある樹脂が用いられる。これによって、ハンドル部が偏平な歯間ブラシや、ハンドル部が細いデンタルフロスの場合でも、柔軟な切り込み部に挟み込むことによって把持する事ができる。
この挿入部内に設けられた直方体は着脱自在であるので、ハンドル部が太い或いは平たく大きい場合には直方体を脱除する事によって、壁面の波状の凹凸とコの字形の内壁が柔軟に変形することによってハンドル部を把持する事ができる。
【0009】
(5)上記のジョイント部にはパイプ状、または板状、または三角柱形状のいずれかが選択される。ジョイント部の下部にパイプが接続する場合にはパイプ状が選択される。数個の挿入部が一列に並んだ背面にジョイント部が設けられる場合には板状または三角柱形状が選択される。三角柱形状が選択されるのは、一列に並んだ挿入部に傾きを付けるためであり、ブラシを上から入れる場合には挿入口が手前に傾いている方が入れやすくなり(
図5参照)、「コの字形」の挿入部にブラシを押し入れる場合には、少し上を向いた傾きのある方が押し入れ易くなる(
図6参照)。
【0010】
(6)上記の握り部の本数は1本で、形状は棒状又は中空棒状で、断面積は30~120平方mmで、長さは60~130mmである(
図1参照)。この握り部によって歯ブラシとほぼ同じ長さ・太さとなり、歯ブラシ立て等に一緒に保管できるようになる。上部の挿入部の太さと握り部の太さの間には非常に微妙なバランスがあり、バランスが悪いと不格好となる。このため、上部の挿入部の太さに応じて握り部の太さが決定される。
【0011】
(7)上記の台座部は下部で広がりを持つ概台形状をしておりホルダーを自立させる働きを持ち、パイプ状のアダプターによってジョイント部と結ばれている(
図3参照)。
場合によっては板状であり、板の広さによってホルダーを自立させる、板の中央に穴が開けられた台座部を有する(
図4参照)。この板状の台座部は、特殊な使い方が考えられており、普段は食卓でコースターとしても利用されるが、場合によって食卓周辺でホルダーを使用する際にホルダーの台座部として利用される。つまり、挿入部・ジョイント部・握り部から成る歯ブラシと一緒に歯ブラシ立てに保管される歯ブラシ型のホルダーが、一時的に食卓上に保持される場合に利用されると考えられる。
【0012】
(8)上記の固定部には磁石、吸着盤、粘着材、クリップ、引掛け具のいずれか一つが使われる。いずれの固定部を採用するかの選択は、固定される場所の状況に応じて行われる。洗面化粧台のような樹脂材壁の場合は吸盤や粘着材が適しており(
図6参照)、風呂場壁面や台所周辺のような感磁性壁面の場合は磁石が適している(
図5参照)。吸盤はどこにも使える器具であるが、やや持続性が弱い欠点がある。粘着材は最も適した器具と考えられ、特に繰り返しの粘着性と貼り跡の残らない粘着材は、自重の小さな本ホルダーを固定する点において優れていると考えられる。
【0013】
(9)上記の挿入部の数は2~8筒で、挿入部の横方向の空間断面積は38~58平方mmで、挿入部の長さが25~45mmである。歯間ブラシのハンドル部の太さは、断面直径で7~8mmであり、全体の長さ5~9cm程度であるので、上記の範囲を選択することによって、ほぼ全ての歯間ブラシ類に対応させることができる(
図1~6参照)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の歯ブラシ型の効果としては、1ホルダーで歯間ブラシ類を複数保管でき、しかも、歯ブラシと一緒に保管できるので特別な保管器具を必要としない。また、このホルダーに挿入したままで、ホルダーの挿入部を指で弾くとホルダーに入れた歯間ブラシ類に付着した水分が水滴となって飛散するので乾燥がより早くなる利点も見いだされた。
【0015】
台座型のホルダーは、あらゆる平面上に置くことができるので場所を選ばない利点がある。また、使用時にホルダーごと持ち出して好みの場所で歯間ブラシ類を使うことが出来る。さらに、コースター形の台座の場合には、食卓でコースターとしても利用することが出来る。
【0016】
固定型は、多数の挿入部を一列または二列程度に並べることが出来ることから、他のホルダーよりも多くの歯間ブラシ類を保管することが出来る利点を持つ。また、垂直面に設置出来るので設置場所が格段に増加する効果もある。さらに、台所で歯間ブラシ類を使用する人にとっては、冷蔵庫の放熱部に固定すれば乾燥性が格段に向上するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】筒部断面が円形の挿入部、パイプ状ジョイント部、パイプ状握り部を組合せたホルダーの全体斜視図
【
図2】筒部断面がコの字形の挿入部、挿入部に填めて使用されるアダプター、パイプ状ジョイント部、握り部を組合せたホルダーの部分斜視図
【
図3】筒部断面が六角形の挿入部、パイプ状ジョイント部、ジョイント部と台座部を繋ぐアダプター、台座部を組み合わせたホルダー全体の斜視図
【
図4】筒部全体の横断面がクローバー形となる挿入部、パイプ状ジョイント部、握り部、クローバー形の台座部からなるホルダーの斜視図
【
図5】筒部断面が四角形の挿入部、三角柱状のジョイント部、固定部に磁石を用いたホルダーの裏面斜視図
【
図6】筒部断面がコの字形の挿入部、三角柱状のジョイント部、固定部に粘着材を用いたホルダーの正面斜視図
【
図7】特許文献実用新案第3058342号公報にみられる図面
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すホルダーは、円形の挿入部11が3筒の場合で、挿入部はお互いに結合されているとともにジョイント部21とも結合されている。ジョイント部は下部で握り部31と連結されてホルダーを構成している。断面形状が円形以外の挿入部の場合においても、複数の挿入部を出来るだけ握り部の軸心に対して対称になるように配置すれば、バランスの良いホルダーができる。本ホルダーの挿入部に、歯間ブラシ類を挿入することによって、全体の丈と太さが歯ブラシとほぼ同じサイズとなり、これによって歯ブラシと一緒に歯ブラシスタンド等に保管することができるようになる。この型を便宜上「歯ブラシ型」と呼ぶことにする。
【0019】
図2に示すホルダーは、筒部の横断面がコの字形12をしている。挿入部壁面の一部を無くしており、しかも、挿入部を柔軟性のある樹脂で作製することによって、ハンドル部の太い歯間ブラシ類を保管する場合でも、挿入部12が伸びる事によって保持の役目を果たすことができる。
一方、ハンドル部が薄い歯間ブラシに対しては、コの字形挿入部に脱着できるアダプター12-1の中央部に設けられた切込部に填め込むことによって、保持することができる。
【0020】
図3に筒部の横断面が六角形の挿入部13がパイプ状のジョイント部21によって結合されており、このジョイント部21と台座部41とがアダプター41-1によって結ばれているホルダーを示す。このホルダーの場合には自立機能を有しているので、歯ブラシと同じ長さにする必要性は無く、複数の歯間ブラシ類を保管する機能を果たせればよい。この型を「台座型」と呼ぶことにする。
この台座型の場合には、平面さえあれば保管機能を果たせるので、洗面化粧台の隅や風呂場のカウンター、台所の出窓の隅等にも置くことができる。
【0021】
図4に、筒部4本で筒部の横断面形状がクローバー形となる挿入部14、パイプ状のジョイント部21、握り部31の場合を示す。下部にクローバー形の台座を備えているが、必修のものではなく、「歯ブラシ型」として保管することもできる。このクローバー形の台座部は、食卓においてコースターとしても利用可能であり、台所で歯間ブラシ類を使用する際の一時的な歯ブラシ型ホルダーの置き場として使える。
【0022】
図5は挿入部断面形状が四角形の場合で、一列に4個の挿入部が並んでおり、この挿入部の相互の連結と同時に、背面に設けた三角柱状のジョイント部23によっても結合が補強されている。挿入部は、乾燥性を高めるためにスリットが入れられている。この型を「固定型」と呼ぶことにする。
三角柱状のジョイント部の大きな働きは、挿入部を手前に傾けることにある。すなわち、狭い挿入部に歯間ブラシ類を入れる際に、垂直の挿入部よりも手前に傾けた挿入部の方が入れ易いという点を活かす工夫である。
固定部として磁石51を用いているが、他の固定材を使用することもでき、固定される場所の材質に応じて選択されればよい。
【0023】
図6に挿入部断面形状がコの字形12の場合を示す。5個のコの字形挿入部が一列に並べられており、相互に連結するとともに背面の三角柱状ジョイント部23によっても結合が確保されている。
三角柱状のジョイント部によって、挿入部は上向きに傾けられている。コの字形挿入部に歯間ブラシ類を押し入れる場合、垂直の挿入部よりも上向きに傾けた挿入部の方が入れ易いという点を活かす工夫である。
この場合には、固定部として粘着材が使用されている。粘着材としてはシート状のものが適していると考えられる。本ホルダーは軽量であることから、耐荷重の大きくない粘着材でも充分に固定が可能と考えられる。特に、洗面化粧台の鏡面の角等に貼っての使用が考えられるので、貼り跡の残らない粘着材は好都合と云える。
【符号の説明】
【0024】
11 :筒部の断面形状が円形の挿入部
12 :筒部の断面形状がコの字形の挿入部
12-1:コの字形挿入部に填めて使用されるアダプター
13 :筒部の断面形状が六角形の挿入部
14 :筒部の断面形状がハート形の挿入部
15 :筒部の断面形状が四角形の挿入部
21 :パイプ状ジョイント部
22 :板状ジョイント部
23 :三角柱状ジョイント部
31 :握り部
41 :台座部
41-1:台座部(アダプター)
42 :台座部(コースター形)
51 :固定部(磁石)
52 :固定部(粘着材)