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特許7449664タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラム
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  • 特許-タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラム 図1A
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  • 特許-タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラム 図4A
  • 特許-タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラム 図4B
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  • 特許-タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラム 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240307BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240307BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20240307BHJP
   B60S 5/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G06Q10/20
B60C19/00 H
B60C19/00 J
G01M17/02
B60S5/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019170316
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021047683
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】戸田 隼人
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156295(JP,A)
【文献】特開2002-245125(JP,A)
【文献】特開2019-105599(JP,A)
【文献】国際公開第2016/071993(WO,A1)
【文献】特開2002-171800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B60C 19/00
G01M 17/02
B60S 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動物体に装着されたそれぞれのタイヤを管理するタイヤ管理装置であって、
前記タイヤの溝残量を取得する溝残量取得部と、
前記タイヤが装着された移動物体の走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記溝残量と、前記走行情報とに基づいて、前記タイヤの交換時期を算出する交換時期算出部と、
前記交換時期に交換されるタイヤの数が閾値を超える場合、所定の通知先に通知する通知部と
を備えることを特徴とするタイヤ管理装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記交換時期におけるタイヤ在庫に関する情報である
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記閾値を超えるタイヤのうち少なくとも一部のタイヤの前記交換時期の変更を前記所定の通知先に提案する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ管理装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記交換時期を前倒しすることを提案する
ことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ管理装置。
【請求項5】
前記溝残量取得部は、新品時のタイヤの溝残量と、予測された摩耗量とを用いて前記溝残量を算出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のタイヤ管理装置。
【請求項6】
前記タイヤは、航空機に装着される航空機用タイヤであり、
前記走行情報は、前記航空機のフライトスケジュールを含み、
前記交換時期算出部は、
前記溝残量に基づいて、前記航空機がフライト可能な残フライト数を算出し、
算出した前記残フライト数と、前記フライトスケジュールとに基づいて、前記タイヤの交換時期を算出する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ管理装置。
【請求項7】
複数の移動物体に装着されたタイヤを管理するタイヤ管理装置によるタイヤ管理方法であって、
前記タイヤの溝残量を取得するステップと、
前記タイヤが装着された移動物体の走行情報を取得するステップと、
前記溝残量と、前記走行情報とに基づいて、前記タイヤの交換時期を算出するステップと、
前記交換時期に交換されるタイヤの数が閾値を超える場合、所定の通知先に通知するステップと
を備えることを特徴とするタイヤ管理方法。
【請求項8】
複数の移動物体に装着されたタイヤを管理するタイヤ管理プログラムであって、
コンピュータに、
前記タイヤの溝残量を取得するステップと、
前記タイヤが装着された移動物体の走行情報を取得するステップと、
前記溝残量と、前記走行情報とに基づいて、前記タイヤの交換時期を算出するステップと、
前記交換時期に交換されるタイヤの数が閾値を超える場合、所定の通知先に通知するステップと
を実行させるためのタイヤ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、航空機用タイヤの摩耗量を予測する技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された方法は、使用条件に応じて区分けされた複数の走行状態(例えば、タッチダウン走行状態、タッチダウン後減速走行状態、タキシー走行状態など)に対応する複数の摩耗エネルギーを取得し、取得した摩耗エネルギーに基づいて航空機用タイヤの摩耗量を予測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-113724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
摩耗量が所定値に達した航空機用タイヤは交換される。同一の交換時期に一定数以上のタイヤの交換が集中した場合、交換作業の遅延や在庫不足に陥るおそれがある。そこで、交換時期の把握による交換業務の計画化が望まれている。なお、この課題は航空機用タイヤに限定されず、乗用自動車、トラック、バスなどに装着されるタイヤについても同様である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タイヤの交換時期の把握による交換業務の計画化に寄与するタイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びタイヤ管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤ管理装置(タイヤ管理装置10)は、タイヤの溝残量を取得する溝残量取得部(溝残量取得部12)と、タイヤが装着された移動物体の走行情報を取得する走行情報取得部(走行情報取得部13)と、溝残量と、走行情報とに基づいて、タイヤの交換時期を算出する交換時期算出部(交換時期算出部14)と、交換時期に交換されるタイヤの数が閾値を超える場合、所定の通知先に通知する通知部(通知部15)と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通常は非計画業務とされるタイヤ交換業務の計画化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本発明の実施形態に係るタイヤ管理装置システムの全体概略図である。
図1B図1Bは、本発明の実施形態に係るタイヤ管理装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの交換時期の算出方法の一例を説明する図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの交換時期を説明する図である。
図4A図4Aは、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの交換時期の変更提案の一例を説明する図である。
図4B図4Bは、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの交換時期の変更提案の一例を説明する図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るタイヤ管理装置の一動作例を説明するフローチャートである。
図6A図6Aは、本発明の他の実施形態に係る航空機用タイヤの交換時期の変更提案の一例を説明する図である。
図6B図6Bは、本発明の他の実施形態に係る航空機用タイヤの交換時期の変更提案の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(1)タイヤ管理システムの構成例
図1Aを参照して、タイヤ管理システム1の構成の一例について説明する。図1Aに示すように、タイヤ管理システム1は、タイヤ管理装置10と、航空会社30とを含む。
【0011】
タイヤ管理装置10は、例えば、汎用のコンピュータであり、CPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリを含むプロセッサを備える。CPUは、ROMなどに記憶されたプログラムを、RAMに読み出して実行する。なお、タイヤ管理装置10は、設置型の端末装置でもよく、持ち運びが容易な携帯型の端末装置(例えば、スマートフォン)でもよい。また、タイヤ管理装置10は、サーバでもよい。タイヤ管理装置10は、複数の移動物体に装着されたそれぞれのタイヤを管理する。図1Bに示すように、通信部11と、溝残量取得部12と、走行情報取得部13と、交換時期算出部14と、通知部15とを備える。
【0012】
本実施形態において、タイヤ管理システム1が管理するタイヤは、複数の航空機に装着される航空機用タイヤ31として説明するが、タイヤ管理システム1が管理するタイヤは、航空機用タイヤ31に限定されない。換言すれば、タイヤ管理システム1が管理するタイヤが装着される移動物体は、航空機に限定されない。タイヤ管理システム1が管理するタイヤが装着される移動物体は、乗用自動車、トラック(オフロードダンプトラックを含む)、バスなどでもよい。なお、以下では、航空機を単に機体とよぶ場合がある。
【0013】
通信部11は、ネットワーク20に接続して航空会社30との間でデータを送受信するインタフェースである。通信部11は、ネットワーク20を介して、航空会社30から各種情報を取得する。溝残量取得部12は、航空会社30から取得した情報を用いて、航空機用タイヤ31の溝残量を取得する。走行情報取得部13は、航空機用タイヤ31が装着された航空機の走行情報を航空会社30から取得する。航空機の走行情報には、航空機のフライトスケジュールが含まれる。交換時期算出部14は、溝残量取得部12によって取得された溝残量と、走行情報取得部13によって取得された走行情報とに基づいて、航空機用タイヤ31の交換時期を算出する。通知部15は、交換時期算出部14によって算出された交換時期に交換される航空機用タイヤ31の数が閾値を超える場合、所定の通知先に通知する。本実施形態において所定の通知先は、航空会社30として説明するが、これに限定されない。例えば、所定の通知先は、MROサービスを提供する会社であってもよい(MRO:Maintenance Repair Overhaul)。MROサービスを提供する会社は、航空機用タイヤ、ホイールの補修、点検、整備関連などを行う会社である。また、所定の通知先は、航空会社30及びMROサービスを提供する会社を含んでもよい。なお、所定の通知先が航空会社30及びMROサービスを提供する会社を含む場合、タイヤ管理装置10、航空会社30、及びMROサービスを提供する会社はそれぞれネットワーク20を介して接続される。
【0014】
さらに、通知部15は所定の通知先に対し、閾値を超える航空機用タイヤ31の交換時期の変更を提案する提案機能も備える。
【0015】
ネットワーク20は、各種情報を送受信可能な通信網である。例えば、ネットワーク20は、電気通信事業者により設置された専用線、公衆交換電話網、衛星通信回線、移動体通信回線等の各種通信回線で構成される。
【0016】
通信部11、溝残量取得部12、走行情報取得部13、交換時期算出部14、及び通知部15は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含む。
【0017】
次に、図2を参照して、航空機用タイヤの交換時期の算出方法の一例を説明する。
【0018】
図2に示すように、機体AAAの位置1には、セリアル番号1175A001の航空機用タイヤが装着される。図2に示す摩耗エネルギーとは、過去の走行によって航空機用タイヤに蓄積した摩耗エネルギーを示す。この摩耗エネルギーは、タイヤ管理装置10によって取得される。
【0019】
図2に示すように、タイヤ管理装置10は、摩耗エネルギーから航空機用タイヤの摩耗量を予測する。なお、摩耗エネルギーから航空機用タイヤの摩耗量を予測する手法は、公知の技術(例えば特開2013-113724号公報に記載された技術)を用いればよい。あるいは、タイヤ管理装置10は、実際に使用されている航空機用タイヤの内圧、航空機用タイヤにかかる荷重、航空機の速度、航空機用タイヤに発生するスリップ角、及び航空機の制動力などに基づいて航空機用タイヤの摩耗量を予測してもよい。そして、溝残量取得部12は、新品時の航空機用タイヤの溝残量と、予測された摩耗量を用いて、航空機用タイヤの溝残量を取得する。例えば、機体AAAの位置1に装着される航空機用タイヤの摩耗量が7.2mmである場合、溝残量は、6.3mmとなる。なお、新品時の航空機用タイヤの溝残量は、13.5mmである。すなわち、溝残量取得部12は、新品時の航空機用タイヤの溝残量から予測された摩耗量を減算して、溝残量を算出する。
【0020】
1フライトあたりの摩耗エネルギーは、すでに判明しているため、タイヤ管理装置10は、航空機用タイヤの残りの利用回数(以下、残フライト数と表現する場合がある)を算出できる。走行情報取得部13は、航空会社30から機体AAAのフライトスケジュールを取得する。タイヤ管理装置10は、フライトスケジュールを用いることにより、航空機用タイヤの溝残量が所定値以下になるまでの日数(以下、単に残日数と表現する場合がある)を算出できる。
【0021】
溝残量が所定値以下になった航空機用タイヤは交換される。上述したように、タイヤ管理装置10は、残日数を算出できる。このため、図2に示すように、タイヤ管理装置10は、航空機用タイヤが交換される日(以下、交換日と表現する場合がある)を算出できる。
【0022】
次に、図3図4A、及び図4Bを参照して、航空機用タイヤの交換時期(交換日)の通知、および、交換時期の変更の提案について説明する。なお、図3図4A、及び図4Bに示す方法は、一例である。
【0023】
図3に示すように、機体AAAに装着された航空機用タイヤは、1月1日に1本交換される。同様に、機体BBBに装着された航空機用タイヤは、1月1日に2本交換される。図3に示すように、1月1日に交換される航空機用タイヤの数は、合計で9本である。同様に、1月2日に交換される航空機用タイヤの数は、合計で5本である。
【0024】
同一の交換時期に一定数以上の航空機用タイヤの交換が集中した場合、交換作業が遅延するおそれがある。例えば、スムーズな交換のための数(閾値)が、20本であったと仮定する。この場合、図4Aに示すように、1月4日(35本)、1月5日(29本)、1月11日(27本)においては、交換作業が遅延するおそれがある。一方で、その他の日において、交換される航空機用タイヤの数は、閾値(20本)以下であるため、余裕がある。
【0025】
本実施形態において、通知部15は、特定の交換時期に交換される航空機用タイヤの数が閾値を超える場合、特定の交換時期に交換される航空機用タイヤの数が閾値を超えたことを航空会社30に通知する。これにより、通常は非計画業務とされる航空機用タイヤの交換業務を計画化することが可能となる。これにより、例えば航空機がフライトしている間に交換用の航空機用タイヤを準備することが可能となり、作業者、機材などのリソースの最適配置が可能となる。
【0026】
なお、本実施形態において、通知部15は、交換される航空機用タイヤの数が閾値を超えたか否かに関わらず航空機用タイヤごとの交換時期を航空会社30に通知し、少なくとも閾値を超えた特定の交換時期および、閾値を超えた特定の交換時期に交換が必要となる航空機用タイヤのどちらか一方(両方でもよい)についてはアラートを付与して通知するが、これに限定されない。例えば通知部15は、少なくとも閾値を超えた特定の交換時期および、閾値を超えた特定の交換時期に交換が必要となる航空機用タイヤのどちらか一方(両方でもよい)についてのみ航空会社30に通知してもよい。
【0027】
また、通知部15は、航空機用タイヤの交換時期の変更を航空会社30に提案してもよい。一例として、通知部15は、航空機用タイヤの交換時期を前倒しすることを航空会社30に提案することができる。例えば、1月4日において、閾値を超える航空機用タイヤの数は、15本であり、1月5日において、閾値を超える航空機用タイヤの数は、9本である。図4Bに示すように、通知部15は、閾値を超える航空機用タイヤ(合計24本)の交換時期を1月2日及び1月3日に前倒しすることを提案する。同様に、図4Aに示すように、1月11日において、閾値を超える航空機用タイヤの数は、7本である。図4Bに示すように、通知部15は、閾値を超える航空機用タイヤ(7本)の交換時期を1月10日に前倒しすることを提案する。これにより、全ての日において、交換される航空機用タイヤの数は、閾値以下となるため、航空機用タイヤの交換時期の集中は防止され、スムーズな交換作業が実現する。なお、閾値は、スムーズな交換のための数として説明したが、これに限定されず、交換時期におけるタイヤ在庫に関する情報であってもよい。タイヤ在庫に関する情報とは、タイヤ在庫数、またはタイヤ在庫数に一定のマージンを持たせた数値も含む。すなわち、本実施形態において、閾値は、タイヤ在庫数、またはタイヤ在庫数に一定のマージンを持たせた数値に基づいて設定されてもよい。
【0028】
次に、図5を参照してタイヤ管理装置10の一動作例について説明する。
【0029】
ステップS101において、タイヤ管理装置10は、航空機用タイヤの摩耗エネルギーを取得し、取得した摩耗エネルギーに基づいて、航空機用タイヤの摩耗量を予測する。タイヤ管理装置10は、予測した摩耗量を用いて、航空機用タイヤの溝残量を取得する。
【0030】
処理はステップS102に進み、タイヤ管理装置10は、航空会社30から航空機のフライトスケジュールを取得する。処理はステップS103に進み、タイヤ管理装置10は、摩耗量とフライトスケジュールとに基づいて航空機用タイヤの交換時期を算出する。処理はステップS104に進み、タイヤ管理装置10は、交換時期に交換される航空機用タイヤの数が閾値を超える場合、閾値を超えた特定の交換時期および/または特定の交換時期に交換が必要となる航空機用タイヤを所定の通知先に通知する。なお、タイヤ管理装置10は閾値を超えたか否かに関わらず所定の通知先に通知を行い、閾値を超えた特定の交換時期および/または閾値を超えた特定の交換時期に交換が必要となる航空機用タイヤについてはアラートを付与して通知する。
【0031】
(2)作用効果
次に、タイヤ管理装置10の作用及び効果について説明する。
【0032】
タイヤ管理装置10は、交換時期に交換される航空機用タイヤの数が閾値を超える場合、所定の通知先(例えば、航空会社30)に通知する。これにより、通常は非計画業務とされる航空機用タイヤの交換業務を計画化することが可能となる。これにより、例えば航空機がフライトしている間に交換用の航空機用タイヤを準備することが可能となり、作業者、機材などのリソースの最適配置が可能となる。
【0033】
閾値は、一例として、交換時期におけるタイヤ在庫に関する情報である。このような閾値が設定されることにより、航空機用タイヤの交換業務の計画化が実現する。
【0034】
また、タイヤ管理装置10は、閾値を超える航空機用タイヤの交換時期の変更を所定の通知先に提案してもよい。これにより、図4Bに示すように、交換される航空機用タイヤの数は、閾値以下となるため、航空機用タイヤの交換時期の集中は防止され、スムーズな交換作業が実現する。
【0035】
また、タイヤ管理装置10は、交換時期の変更を提案する際に、交換時期を前倒しすることを提案してもよい。これにより、航空機用タイヤの交換時期の集中は防止され、スムーズな交換作業が実現する。
【0036】
また、タイヤ管理装置10は、新品時の航空機用タイヤの溝残量と、予測された摩耗量とを用いて溝残量を算出する。タイヤ管理装置10は、このようにして算出された溝残量と、走行情報とに基づいて、交換時期を算出する。これにより、交換時期の精度が向上する。
【0037】
また、タイヤ管理装置10は、溝残量に基づいて、航空機がフライト可能な残フライト数を算出する。タイヤ管理装置10は、航空会社30から航空機のフライトスケジュールを取得する。タイヤ管理装置10は、残フライト数と、フライトスケジュールとに基づいて、航空機用タイヤの交換時期を算出する。これにより、交換時期の精度が向上する。
【0038】
なお、航空機の走行情報には、フライトスケジュールが含まれると説明したが、このフライトスケジュールは、未来のフライトスケジュールでもよく、過去のフライトスケジュールでもよい。タイヤ管理装置10は、未来のフライトスケジュールが取得できない場合は、過去のフライトスケジュールから未来のフライトスケジュールを予測してもよい。
【0039】
なお、上述した例では、交換時期は1日として説明したが、これに限定されない。交換時期は、複数の日を含んでもよい。この場合、例えば、3日間の平均交換本数が閾値を超える場合に、タイヤ管理装置10は交換時期の変更を提案してもよい。具体的には、図4Aに示すように、1月3日~5日の3日間の平均交換本数(27本)は、閾値(20本)を超えるため、タイヤ管理装置10はこのような場合に交換時期の変更を提案してもよい。
【0040】
なお、上述した説明では、タイヤ管理装置10は、予測した摩耗量を用いて溝残量を予測したが、これに限定されない。溝残量は、測定によって取得されてもよい。
【0041】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0042】
例えば、タイヤ管理装置10は、航空会社30から航空機の情報を取得するが、これに限定されない。タイヤ管理装置10は、航空会社30以外から航空機の情報を取得してもよい。
【0043】
上述した実施例では、航空機用タイヤのサイズごと(図2に示す例ではサイズは1つ)に交換時期に交換される航空機用タイヤの数を算出したが、これに限定されない。交換時期に交換される航空機用タイヤの数は、任意のサイズの航空機用タイヤの合計本数であってもよい。なお、閾値としてタイヤ在庫に関する情報を使用する場合は、タイヤサイズごとに交換時期を算出して通知することが好ましい。
【0044】
なお、上述した実施例では、図4A及び図4Bに示すように、通知部15は閾値を超える、全ての航空機用タイヤの交換時期の変更を提案したが、これに限定されない。例えば、通知部15は、閾値を超える航空機用タイヤのうち少なくとも一部の航空機用タイヤの交換時期の変更を提案してもよい。具体的には、図6Aに示すように、通知部15は閾値を超える航空機用タイヤのうち少なくとも一部の航空機用タイヤ(1月4日においては13本、1月5日においては7本、1月11日においては6本)の交換時期の変更を提案してもよい。これにより、図6Bに示すように、閾値を超える航空機用タイヤのうち少なくとも一部の航空機用タイヤ(1月4日及び1月5日の合計20本)の交換時期が1月2日及び1月3日に前倒しされる。同様に、図6Bに示すように、閾値を超える航空機用タイヤのうち少なくとも一部の航空機用タイヤ(1月11日の6本)の交換時期が1月10日に前倒しされる。これにより、航空機用タイヤの交換時期の集中は防止され、スムーズな交換作業が実現しうる。
【0045】
なお、航空機用タイヤの交換時において、ホイールも同時に交換される場合がある。そこで、交換されるホイールの数も考慮して閾値が設定されてもよい。そして、交換される航空機用タイヤ及びホイールの数が閾値を超える場合、通知部15は所定の通知先に通知してもよい。これにより、通常は非計画業務とされる航空機用タイヤ及びホイールの交換業務を計画化することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 タイヤ管理システム
10 タイヤ管理装置
11 通信部
12 溝残量取得部
13 走行情報取得部
14 交換時期算出部
15 通知部
20 ネットワーク
30 航空会社
31 航空機用タイヤ
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B