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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B41L 13/16 20060101AFI20240307BHJP
   B41L 13/04 20060101ALI20240307BHJP
   B41C 1/055 20060101ALI20240307BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B41L13/16 B
B41L13/04 F
B41C1/055 511
G06K19/077 220
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019180081
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2020192801
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019097813
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】藤村 峻也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 大貴
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-027517(JP,A)
【文献】特開2008-102726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0356398(US,A1)
【文献】特開2000-037880(JP,A)
【文献】特開2004-255701(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014109759(DE,A1)
【文献】特開2019-048462(JP,A)
【文献】特開2014-054227(JP,A)
【文献】特開2008-284709(JP,A)
【文献】特開2001-018507(JP,A)
【文献】特開2010-036399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41L 13/00-13/18
B41C 1/055
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を備えた製版装置と通信を行う通信タグを備えており、前記製版装置で製版される孔版原紙が巻装されるとともに自身の中心軸の周りに回転自在となるように前記製版装置に装着され、その両端に開口部を有する紙管に取り付けられるキャップであって、
周壁と底部と孔部を備えて前記孔部が外側となるように前記紙管の前記開口部に前記周壁と前記底部が挿入されて取り付けられる筒体と、
前記紙管により隠蔽される前記筒体の前記底部の表面に設けられた凹部である収納部と、
前記通信手段と対向するとともに前記紙管の中心軸と交差する位置に配置されるように前記収納部に設けられた通信タグと、
前記表面に設けられ、前記凹部を覆うように前記表面に貼付されて前記通信タグを前記凹部内に保持する貼付シートと、
を具備し、
前記通信タグは正方形状であり、かつ前記通信タグには、前記キャップ前記製版装置に装着された場合に前記通信手段との通信に問題がない前記通信タグよりも大きい正方形状である配置の許容範囲が定められており、
前記収納部の形状は、前記許容範囲内に設定可能な最大の円形とされており、前記凹部の反対側から視認可能な前記底部の他方の表面が平らな面となるように、前記底部の全体の厚さが設定されたことを特徴とするキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製版装置に装着される紙管に取り付けられて通信タグで装置と通信することができる機能を備えたキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、インク情報等が記憶された情報保持部が設けられたインクカートリッジの発明が開示されている。このインクカートリッジによれば、容器本体の外面に設けた凹部内にメモリーモジュールを収納し、メモリーモジュールとの間に空間を形成するように、凹部と対向する部分には粘着層がないフィルムを凹部上に貼着し、メモリーモジュールを凹部内に保持させている。このインクカートリッジをインクジェット記録装置に装着すると、メモリーモジュールに記憶されたデータがインクジェット記録装置に読み出されて印刷が行われ、インクカートリッジの使用状態に関するメモリーモジュールのデータ等がインクジェット記録装置によって書き替えられる等の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-37880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のインクカートリッジによれば、容器本体の外面に設けた凹部内にメモリーモジュールを設けているため、インクジェット記録装置に対する着脱の際に、カバーしているフィルム越しに機械的衝撃を誤って加えてしまえばメモリーモジュールを破損してしまう危険性があった。また、インクカートリッジの外側に貼付されたフィルムをメモリーモジュールの保持用とは知らずに剥がしてしまう可能性もあった。さらに、インクカートリッジの外側に貼付されたフィルムがメモリーモジュールの保持用であると知っていれば、インクカートリッジの外側から見てメモリーモジュールの位置は容易に認識できることから、フィルムを剥がしたり、メモリーモジュールの記憶データを改竄することも不可能ではないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、装着対象である製版装置との間で通信を行う通信タグを備えたキャップにおいて、外側から通信タグの位置が認識できないようにすることによって故意又は過失による通信タグの破損等を防止することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載されたキャップは、
通信手段を備えた製版装置と通信を行う通信タグを備えており、前記製版装置で製版される孔版原紙が巻装されるとともに自身の中心軸の周りに回転自在となるように前記製版装置に装着され、その両端に開口部を有する紙管に取り付けられるキャップであって、
周壁と底部と孔部を備えて前記孔部が外側となるように前記紙管の前記開口部に前記周壁と前記底部が挿入されて取り付けられる筒体と、
前記紙管により隠蔽される前記筒体の前記底部の表面に設けられた凹部である収納部と、
前記通信手段と対向するとともに前記紙管の中心軸と交差する位置に配置されるように前記収納部に設けられた通信タグと、
前記表面に設けられ、前記凹部を覆うように前記表面に貼付されて前記通信タグを前記凹部内に保持する貼付シートと、
を具備し、
前記通信タグは正方形状であり、かつ前記通信タグには、前記キャップ前記製版装置に装着された場合に前記通信手段との通信に問題がない前記通信タグよりも大きい正方形状である配置の許容範囲が定められており、
前記収納部の形状は、前記許容範囲内に設定可能な最大の円形とされており、前記凹部の反対側から視認可能な前記底部の他方の表面が平らな面となるように、前記底部の全体の厚さが設定されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載されたキャップによれば、
製版装置との間で通信を行う通信タグは、収納部に収納されてキャップの外側からは確認できず、外側から位置を認識することが容易ではないため、故意又は過失による通信タグの破損等を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における製版印刷装置の製版ユニットの内部構造を示す斜視図である。
図2図1においてマスターロールの一端部付近を拡大して示す斜視図である。
図3】第1実施形態におけるマスターロールの断面図である。
図4】第1実施形態におけるマスターロールのキャップを説明するための図であって、分図(a)はキャップに通信タグを配置する工程を示す斜視図であり、分図(b)はキャップの凹部に対する通信タグの配置を示す拡大平面図であり、分図(c)はキャップに配置した通信タグを貼付シートで保持する工程を示す斜視図である。
図5】分図(a)は第1実施形態のキャップの凹部における拡大断面図であり、分図(b)は第1実施形態の変形例のキャップの凹部における拡大断面図である。
図6】第1実施形態においてキャップに設けた通信タグと製版ユニットの読取装置との位置関係を示す図である。
図7】分図(a)は第2実施形態であるインクカートリッジの概略透視図であり、分図(b)は同インクカートリッジの係合部の拡大断面図である。
図8】分図(a)は第2実施形態であるインクカートリッジの係合部の斜視図であり、分図(b)は同係合部を内面側から見た平面図である。
図9】第3実施形態のタグ付き製品の平面図である。
図10】第3実施形態のタグ付き製品において通信タグを製品に装着する手順を示す説明図である。
図11】第4実施形態のタグ付き製品の斜視図である。
図12】第5実施形態のタグ付き製品の斜視図である。
図13】第6実施形態のタグ付き製品において通信タグを装着する途中の状態を示す断面図である。
図14】第6実施形態のタグ付き製品において通信タグが装着された状態を示す斜視図である。
図15】第7実施形態のタグ付き製品において通信タグを表裏を間違えて空洞部に挿入した場合の状態を示す断面図である。
図16】第7実施形態のタグ付き製品において通信タグを表裏が正しい姿勢で空洞部に挿入した場合の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1実施形態を図1図6を参照して説明する。
第1実施形態は、孔版原紙(以下、マスターと称する。)に画像の穿孔パターンを熱で形成する装置である製版ユニット1(製版装置)と、この製版ユニット1に搭載する連続帯状のマスターMを紙管に巻装したマスターロール2に関するものである。
【0010】
図1は、製版ユニット1の内部構造と、製版ユニット1の内部に装着されたマスターロール2を示すために、製版ユニット1の外筐体3を部分的に破断して内部を示した斜視図であり、図2図1においてマスターロール2の一端部付近を拡大して示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、外筐体3の内部には、マスターロール2が回転自在に装着されている。マスターロール2の構造の詳細については後述するが、その円筒形状の一端部の側(図1中奥側)には、マスター情報等が書き込まれた通信タグ4が設けられており、図2にも示すように製版ユニット1に設けられた通信手段である読取装置5と対向している。
【0012】
図1に示すように、製版ユニット1の外筐体3の内部には、マスターロール2に隣接してサーマルヘッド(TPH)と、これに接するプラテンローラ7が設けられており、マスターロール2から繰り出されたマスターMを感熱製版するようになっている。サーマルヘッド6で製版されたマスターMは、複数対の搬送ローラ8により矢印で示す搬送方向Aに沿って搬送され、外筐体3の外に排出されるようになっている。なお、製版されたマスターMは、図示しない印刷装置に装着されて印刷に供されることとなる。
【0013】
図3に示すように、マスターロール2は、製版ユニット1に装着される物体である管体としての紙管10を芯材とし、その外周に長尺帯状のマスターMを巻装した製品である。紙管10は中空であり、その両端は開口部11となっており、その2つの開口部11の一方には、製版ユニット1の読取装置5と通信を行う通信タグ4を備えたキャップ12が取り付けられている。開口部11の他方には、通信タグ4が設けられていないキャップが取り付けられている。なお、紙管10は実際に厚紙からなる管でもよいし、樹脂や金属を含むその他の素材からなる管であってもよい。
【0014】
図3及び図4(a)、(c)に示すように、キャップ12は、紙管10の開口部11に挿入して取り付けられる本体としての筒体13を備えている。筒体13は、テーパー状の周壁14と、周壁14の直径が狭い側の端部に設けられた円形板状の底部15と、周壁14の直径が広い側の端部に開口した円形の孔部16と、孔部16の周囲に連続して設けられた円板状のフランジ17を備えている。キャップ12は、図3に示すように孔部16が外側、底部15が内側となるように紙管10の開口部11から周壁14を挿入し、フランジ17が開口部11に当接する位置まで押し込んで紙管10に取り付ける。
【0015】
紙管10の内部に挿入される筒体13は、周壁14がテーパー状であるため挿入が容易である。また、フランジ17が開口部11に当接する位置まで押し込んだところが規定の装着位置となるため、キャップ12に設ける後述の通信タグ4と、マスターロール2が装着される製版ユニット1の読取装置5との間隔が一定になり、通信タグ4と読取装置5の通信には所期の安定した性能を期待することができる。
【0016】
またフランジ17が開口部11に当接する位置まで押し込んだところで紙管10の内面と筒体13との間に適度な摩擦力が得られるようになっているため、キャップ12は必要な固定力で紙管10と一体化される。なお、キャップ12のテーパー状の周壁14の角度は、図3等に示したものに限るものではなく、紙管10の内面との間で所望の摩擦力、固定力が得られるように任意に調整、設定できるものとする。
【0017】
図3図4(a)及び図5(a)に示すように、キャップ12の底部15には、孔部16及びフランジ17から遠い一方の表面に、通信タグ4を収納する収納部である円形の凹部18が設けられている。従って、孔部16及びフランジ17に近い底部15の他方の表面、すなわち凹部18と反対側の表面には、凹部18の反対形状である円形の凸部が現れている。図3に示すように、円形の凹部18の中心は、円形の底部15の中心と一致しており、これら中心は、マスターロール2の中心軸C(すなわち紙管10の中心軸C)とも一致している。キャップ12を紙管10に装着した場合には、凹部18は紙管10の内部の空間内にあり、紙管10により隠蔽されて紙管10の外側からは視認できず、凹部18には紙管10の外側からアクセスすることもできない。また、凹部18の反対形状である上述した円形の凸部が埋没するように底部15の全体に厚みをもたせ、凹部18の反対側から視認可能な表面を平らな面にすれば、凹部18の存在を示唆するような円形の凸部がなくなるため、通信タグ4の隠蔽性をより高くすることができる(不図示)。
【0018】
図3及び図5(a)に示すように、キャップ12の凹部18の中には、薄い正方形の板状の通信タグ4が収納されている。通信タグ4は樹脂性の基板部19と、基板部19に形成されたアンテナ部20とを備えており、その厚さは凹部18の深さよりも若干大きい程度である。通信タグ4は、アンテナ部20が凹部18の底に接するように配置されている。従って、図3に示すようにマスターロール2を製版ユニット1に装着した場合には、図示と異なり基板部19が凹部18の底に接するように通信タグ4を反対向きに配置した場合に比べ、通信タグ4のアンテナ部20は製版ユニット1の読取装置5により接近した状態となり、読取装置5との通信状態はより有利になる。通信タグ4が収納された凹部18の上からはカバーである貼付シート21が貼付されており、貼付シート21は通信タグ4の基板部19と底部15の表面に貼着して通信タグ4を凹部18内に保持している。
【0019】
図4を参照して、通信タグ4をキャップ12の凹部18に取り付ける手順と、通信タグ4と凹部18の大きさの関係等について説明する。まず図4(a)に示すように、まず通信タグ4を凹部18の中に配置する。ここで、通信タグ4には、製版ユニット1の読取装置5と有効な通信を行うために必要な配置の許容範囲が定められている。
【0020】
図4(b)に示すように、正方形状の通信タグ4には、通信タグ4よりも大きい正方形状の配置の許容範囲Tが定められている。本実施形態では、許容範囲T内に設定可能な最大の円形を想定し、これを前記凹部18の形状としている。円形としたのは、筒体13を樹脂の射出成形で製造する場合に、角のある形状よりも高い形状精度が得られるからである。円形の凹部18の場合、図示のように凹部18の中央に通信タグ4を配置するのが好ましいが、同図中に示すように通信タグ4aの角部が凹部18の外周に接する程度に位置が変わっても凹部18内であれば読取装置5との通信に問題はない。また、凹部18の形状精度に大きな問題がないのであれば、許容範囲Tの正方形状と同形の正方形状の凹部としてもよい。正方形状の凹部の場合、凹部の中央に通信タグ4を配置するのが好ましいのは円形の凹部18の場合と同じであるが、同図中に示すように通信タグ4bの角部が凹部(許容範囲Tと一致する。)の隅部に合致する程度に位置が変わっても読取装置5との通信に問題はないため、円形の凹部18の場合よりも通信タグ4を配置できる範囲が広くなる。従って、組み立て作業員の手作業で通信タグ4を凹部内に配置する作業は、正方形状の凹部の場合の方が前記凹部18の場合よりも容易である。
【0021】
図4(c)に示すように、上述したような配置条件のもとで通信タグ4を配置した凹部18の上から、貼付シート21を貼付する。貼付シート21の形状は凹部18に合わせて円形であり、凹部18を完全に隠す程度の大きさとなっている。貼付シート21は、図5(a)に示すように通信タグ4の基板部19と底部15の表面の両方に貼着されるため、通信タグ4は最初に配置された凹部18内の位置に固定して保持されることとなる。なお、貼付シート21の材質や粘着剤の材質は任意である。
【0022】
以上説明した製造工程で製造されたキャップ12の構造によれば、図5(a)に示すように、通信タグ4の厚さは凹部18の深さよりも若干大きいため、通信タグ4の基板部19部の一部が凹部18から突出する。このため、貼付シート21は、上から被せて軽く押さえるだけの通常の動作で通信タグ4の基板部19と底部15の表面の両方に貼着され、通信タグ4を最初に配置した凹部18内の位置に確実に固定できる。なお、通信タグ4を目的に応じて選択すると、凹部18の広さが選択された通信タグ4の配置の許容範囲Tと比較して問題なかったとしても、通信タグ4の厚さが凹部18の深さより小さい場合がありうる。そのような場合には、図5(b)に示すように、貼付シート21を凹部18の周囲において底部15の表面に接着させるとともに、凹部18内にも十分に押し込んで通信タグ4の基板部19に確実に接着させれば、図5(a)に示した場合と同様、通信タグ4を最初に配置された凹部18内の位置に確実に固定できる。
【0023】
また、図3に示すように、円形の凹部18の中心はマスターロール2の中心軸C(すなわち紙管10の中心軸C)と一致しており、以下に図6を参照して説明するように、マスターロール2を製版ユニット1の所定位置に装着させれば、凹部18内の通信タグ4は、製版ユニット1の読取装置5と対向する位置に配置されて正常な通信が可能な状態となる。
【0024】
図6は、マスターロール2のキャップ12に設けた通信タグ4と、マスターロール2が装着された製版ユニット1の読取装置5との位置関係を示す図である。読取装置5は、通信タグ4よりも大きな直径の周状(図6の例では円周状)のアンテナ25を備えている。この図において、マスターロール2の中心軸Cの方向を紙面に垂直なX軸方向(白丸で示す。)とし、これと直交する紙面に平行な2つの方向をY軸方向及びZ軸方向とすると、マスターロール2を製版ユニット1に正規の状態で装着させれば、通信タグ4のアンテナ部20はYZ平面と平行な状態となり、通信タグ4の略中央を通過するマスターロール2の中心軸C(X軸)は、概ね読取装置5のアンテナ25の中心を通過する。
【0025】
すなわち、図6に示すように、マスターロール2の中心軸C(X軸)と平行な視線で見ると、通信タグ4は読取装置5のアンテナ25の概ね中央に配置されることになる。また、先に図3を参照して説明したように、キャップ12のフランジ17による位置決め効果により、通信タグ4と読取装置5のX軸方向の距離(図3においては中心軸C方向の距離)は所期の値に確実に設定される。従って、製版ユニット1の使用時にマスターロール2からマスターMが繰り出されてマスターロール2が回転しても、通信タグ4と読取装置5は、YZ平面内においてそれぞれの中心軸は略一致した状態に維持され、かつX軸方向の距離も所定の状態に維持される。マスターロール2の回転によって通信タグ4が偏芯的に回転移動してYZ平面内で位置がぶれることはなく、X軸方向の距離が変化することもない。なお、通信タグ4は凹部18を覆う貼付シート21によって凹部18内の所定位置に固定されているため、マスターロール2の回転によって凹部18内で移動することはなく、仮に移動しても通信が可能な許容範囲T内であるので問題ない。
【0026】
以上説明したように、通信タグ4と読取装置5の通信条件を左右する両者の位置関係は所期の状態で安定しており、製版作業中にマスターロール2が回転しても変化することはないので、製版動作時、通信タグ4の情報(有無情報を含む。)は円滑に製版ユニット1に送信され、製版ユニット1の読取装置5のアンテナ25から送信された情報は通信タグ4によって確実に受信される。
【0027】
また、以上説明したキャップ12及びこれを用いたマスターロール2によれば、図3に示すように、通信タグ4は、紙管10の内側に面している筒体13の底部15の表面にある凹部18に収納されており、紙管10の内部に隠された状態にあるため、外側からその位置を認識することはできない。従って、画策や過失による通信タグ4の破損等は確実に防止できる。
【0028】
第1実施形態において、通信タグ4が設けられているキャップ12は、それ自体で通信タグ4を備えた部品である「タグ付き製品」であるし、また通信タグ4を備えたキャップ12を部品として有するマスターロール2も「タグ付き製品」であると言える。
【0029】
第1実施形態では、管体である紙管10にマスターMが巻装されていたが、マスターM以外の連続帯状シート体、例えば印刷用紙が管体に巻装されて印刷装置に装着される用紙ロール等も本発明の対象になりうる。また、第1実施形態では通信タグ4の収納部は凹部18であったが、通信タグ4の配置の許容範囲を区画する枠状の突起を、底部15の内面側に形成し、貼付シートで通信タグ4を突起内に固定してもよい。
【0030】
本発明の第2実施形態を図7及び図8を参照して説明する。
第2実施形態は、インクで用紙に画像を印刷する印刷装置(画像形成装置)に着脱自在に装着され、画像形成装置にインクを供給するインクカートリッジ200に関するものである。
【0031】
図7(a)に示すように、このインクカートリッジ200は、印刷装置に対して水平方向(装填方向)に着脱される直方体形状の製品であり、インクを充填した熱可塑性フィルム材料からなる液体収納容器210と、液体収納容器210の長手方向における一方の端部に設けられ、後述する印刷装置のカートリッジ取付機構に係合される樹脂又は金属製の係合部220と、液体収納容器210が収納されて係合部220が取り付けられる外装体230で構成されている。
【0032】
図7(b)に示すように、係合部220の略中央には、印刷装置のカートリッジ取付機構310に嵌合されるジョイント部241が設けられている。ジョイント部241は、中央の円柱状突起の周囲が環状の凹陥部となって外部に露出しており、カートリッジ取付機構310の環状の凸部に嵌合するようになっている。ジョイント部241の中央にある円柱状突起の先端には、インク供給口240が設けられている。ジョイント部241は、インク供給口240の後方が中空構造となって液体収納容器210に連通しており、さらに当該中空構造の内部には、インク供給口240を封止する中栓242が付勢手段(ばね)の付勢力によってインク流出方向(図中右方向であり、印刷装置への装填方向と同方向)に向けて付勢されている。すなわち、中栓242の先端がインク供給口240の内面側に押し付けられることで、インク供給口240を封止する構造となっている。
【0033】
図7(b)に示すように、ジョイント部241が係合される印刷装置のカートリッジ取付機構310には、ジョイント部241が係合された際に、中栓242をジョイント部241の内方に押し込む挿入軸311が突設されている。インクカートリッジ200を印刷装置に装填すると、挿入軸311が中栓242を内方に押し込むことでインク供給口240が開放され、カートリッジ取付機構310に設けられたインク経路320とインク供給口240が連通し、液体収納容器210内のインクが印刷装置へと供給される。
【0034】
図8(a)は、インク供給口240とジョイント部241を除外して係合部220のみを単独で示した斜視図であり、図8(b)は、同係合部220を内面側から見た平面図である。図8(a)及び(b)に示すように、係合部220の内面(内側の表面)、すなわち外装体230と嵌合して製品となった後には視認できなくなる側の面には、収納部として円形の凹部18が形成されている。図8(b)に示すように、凹部18の中には、通信タグ4が置かれている。凹部18及び通信タグ4の構成は第1実施形態と同様である。また、図8(b)に示すように、係合部220の内面の凹部18の部分には、カバーとしての貼付シート21が貼り付けられており、凹部18の周囲の内面と、通信タグ4の基板部19に接着している。通信タグ4の安定した固定状態は第1実施形態の場合と同様である。なお、図8(b)においては貼付シート21を透視して凹部18及び通信タグ4を実線で表現している。
【0035】
図示はしないが、このインクカートリッジ200が取り付けられる印刷装置には、第1実施形態と同様の読取装置が設けられている。インクカートリッジを印刷装置に正規の状態で装着すると、インクカートリッジの通信タグ4は読取装置と良好な通信が可能となる所定の位置に配置されるようになっている。
【0036】
本実施形態のインクカートリッジによれば、印刷装置との間で通信を行う通信タグ4は、係合部220の内面に設けられた凹部18に収納されており、外側に露出した状態にはないため、インクカートリッジの外側から位置を認識することは容易ではなく、故意又は過失による通信タグ4の破損等を効果的に防止することができる。
【0037】
通信タグ4が設けられている係合部220は、それ自体で通信タグ4を備えた部品である「タグ付き製品」であるし、また通信タグ4を備えた係合部220を部品として有するインクカートリッジも「タグ付き製品」である。
【0038】
本発明の第3実施形態を、図9を参照して説明する。
第3実施形態は、通信タグ4を装着した最終製品であるタグ付き製品、又は通信タグ4を装着した最終製品を製造するための部品であるタグ付き製品に関するものである。まず、最終製品と、これに部品として使用されているタグ付き製品の構造について説明する。
【0039】
図9は、最終製品の部品である実施形態のタグ付き製品30の断面図である。
図9では、最終製品の本体は図示しておらず、この図示しない本体に図9に示すタグ付き製品30が取り付けられて最終製品が完成する。図9には、このタグ付き製品30の本体として、所定の厚さを有する矩形の基板31を示しているが、この基板31の形状・大きさはタグ付き製品30の形態を単純化・模式化した例示であって、このような形状・大きさに限定する意図ではなく、素材も特に限定しない。
【0040】
タグ付き製品30としては、第1及び第2実施形態で説明したようなマスターロールやインクカートリッジ等の最終製品があり、さらにマスターロールやインクカートリッジ等のような最終製品に用いられるキャップや係合部のような部品がある。しかしながら、通信タグ4を装着したタグ付き製品は様々な目的、用途で使用されるものであり、従ってその構造、形状、大きさ等が特定のものに限定される理由はない。後に説明する第4実施形態~第7実施形態においても同様である。
【0041】
図9に示すように、タグ付き製品30の基板31の図示上面には、通信タグ4を収納する収納部として、矩形(略正方形)の凹部32が形成されている。この基板31を最終製品に組み込むと、基板31の図示上面は最終製品の内面側となり、この凹部32に収納した通信タグ4は最終製品の外側からは視認できなくなる。このように、最終製品の外側からは視認できなくなる面を内面と称し、本実施形態では収納部が開口した基板31の面を内面と称する。このように凹部32は開口をもって基板31の内面に開放されている。
【0042】
図9に示すように、基板31の凹部32内には矩形の通信タグ4が収納されている。通信タグ4を凹部32に入れると、通信タグ4の互いに対向する二対の側面のうちの一方(図9において上辺及び下辺)は、凹部32の互いに対向する二対の内側面のうちの一方に接する。すなわち、図9において上下方向を幅方向とすれば、通信タグ4の幅と凹部32の幅は概ね一致している。また、通信タグ4の互いに対向する二対の側面のうちの他方(図9において左辺と右辺)は、凹部32の互いに対向する二対の内側面のうちの他方との間に、若干の隙間Sを有している。すなわち、図9において幅方向と直交する左右方向を長さ方向とすれば、通信タグ4の長さは凹部32の長さよりも小さくなっている。これは後に説明するように通信タグ4を凹部32内に収納し易くするためである。また、凹部32の深さは、通信タグ4の厚さよりもやや深く設定されている。なお、通信タグ4の基板部19とアンテナ部20の何れを上面側にするかは、最終製品として装置に装着した場合の読取機器との位置関係や通信条件等に応じて定めればよく、これは第7実施形態を除く他の後述する実施形態でも同様であって、図10(a)は一例を示したものである。
【0043】
図9に示すように、凹部32の互いに対向する二対の内側面の他方(図9において左右の一対の辺)には、保持爪33が取り付けられている。すなわち、保持爪33は、収納した通信タグ4との間に隙間Sが生じる側の内側面に設けられている。保持爪33は、対向する2つの内側面の各中央において、開口に近接した位置に内方に向けて突出して取り付けられている。保持爪33は、樹脂、ゴム、金属板等の弾性を有する素材からなり、図10に示すように先端が尖った断面略三角形状の板状部材として構成されている。保持爪33は、凹部32内に収納された通信タグ4の上面に当接しており、通信タグ4を凹部32内に保持している。保持爪33の素材がゴムであれば、通信タグ4に接することにより摩擦力で通信タグ4を凹部32内に確実に保持することができ、また素材が樹脂や金属等からなる板ばねであれば強い弾性力で通信タグ4を凹部32内に確実に保持できる。
【0044】
図10を参照して、凹部32内に通信タグ4を収納する手順を説明する。
図10(a)に示すように、通信タグ4を、幅方向と直交する長さ方向(同図において左右方向)に沿って、一方の保持爪33の側から凹部32内に挿入する。図10(b)に示すように、通信タグ4の先側を他方の保持爪33の下側に入れながら、通信タグ4の後端を他方の保持爪33の上から押さえ付ける。図10(c)に示すように、両方の保持爪33が形状を復元して通信タグ4の上面に当接し、凹部32内に収納された通信タグ4は保持爪33によって凹部32内に保持される。図10(c)において、通信タグ4は紙面垂直方向(前記幅方向)については凹部32の内側面に接しているので動かず、また、紙面に平行な水平方向(前記長さ方向)については、凹部32の内側面との間に隙間Sがあるものの、保持爪33が通信タグ4の上面に接して押さえているため、長さ方向にもずれることはない。仮にずれたとしても、通信タグ4は上面を保持爪33で押さえられているために凹部32から外れることはない。
【0045】
通信タグ4は凹部32内に保持されて凹部32内から移動することがないので、このタグ付き製品30を最終製品の部品として使用する場合、最終製品が搭載される装置との通信条件が安定化する効果が得られる。また、通信タグ4は、タグ付き製品30又は最終製品の外側からは視認することができないので、故意又は過失による通信タグ4の破損等を効果的に防止する効果が得られる。これらの効果は他の実施形態でも同様に得られる。
【0046】
本発明の第4実施形態を、図11を参照して説明する。
図11では、タグ付き製品40の本体として、所定の厚さを有する円板形の基板41を示しているが、前述したようにこれは形状、構造の例示に過ぎない。
【0047】
図11に示すように、最終製品に組み込んだ場合には外側からは視認できなくなる内面には、第3実施形態と同様の凹部42が設けられている。また凹部42と通信タグ4の形状、大きさの関係も第3実施形態と同様であり、凹部42と通信タグ4の間には隙間Sが生じている。本実施形態の保持爪43は、矩形の板部44と、板部44の先端に一体に設けられた三角柱形の尖端部45からなり、凹部42の内側面ではなく、基板41の内面に板部44が固定されて尖端部45が凹部42の開口内に突出している。第4実施形態の方が、第3実施形態よりも保持爪43の構造及び取り付け構成がより簡素であり、製造コストが安価である。
【0048】
本発明の第5実施形態を、図12を参照して説明する。
図12では、タグ付き製品50の本体の一例として、所定の厚さを有する円板形の基板51を示している。図12に示すように、タグ付き製品50の内面としての周壁14の内部には収納部としての空洞部52が設けられている。空洞部52は直方体形状であり、中央部と側周面の一部との間に設けられており、側周面においてスロット(溝孔)53を介して開口している。
【0049】
図12に示すように、基板51の中央部に相当する空洞部52の最奥部には、通信タグ4が嵌め込まれている。通信タグ4の幅は空洞部52の幅と略同一である。通信タグ4の長さは幅と略同一であって、空洞部52の長さの略半分以下となっている。空洞部52の高さと通信タグ4の高さは略同一である。このように、長さ以外については、空洞部52及びスロット53の内形状と、通信タグ4の外形状は略一致しており、緊密なはめあいの関係になっている。このため、通信タグ4をスロット53から差し込み、空洞の奥部まで挿入するためには、相応の力が必要であるが、挿入した後は確実に空洞部52内に保持され、空洞部52から移動してスロット53から外に落下してしまうことはない。
【0050】
すなわち、第5実施形態では、通信タグ4に対して、これを一度挿入すれば外せなくなる程度の緊密なはめあい寸法を有する空洞部52及びスロット53の構造自体が、空洞部52に挿入された通信タグ4を保持する保持手段である保持機構となっている。従って、第5実施形態では、空洞部52に収納した通信タグ4は取り出すことは想定していない。また、第5実施形態のタグ付き製品50を最終製品に組み込むと、基板51の図示上面又は図示下面が最終製品の内面側となり、基板51の側周面のスロット53は最終製品の外観には現れず、従って通信タグ4は外側からは視認できなくなる。
【0051】
本発明の第6実施形態を図13及び図14を参照して説明する。
図13及び図14に示すように、第6実施形態のタグ付き製品60は、第5実施形態と略同一の形状である円板形の基板61を有している。この基板61には、第5実施形態と同様の形状の空洞部62とスロット63が設けられているが、第5実施形態と異なるのは、挿入された通信タグ4を空洞部62内に保持する保持手段としての板ばね(保持機構)64が空洞部62に設けられている点である。第6実施形態では、通信タグ4を保持する板ばね64が空洞部62に設けられているので、通信タグ4を空洞部62とのはめあいで嵌合状態に保持する必要がない。従って、第6実施形態の空洞部62は第5実施形態と略同一の形状ではあるが、その寸法は、第5実施形態の場合よりも大きく、通信タグ4が空洞部63内で摺動できる程度に設定されている。
【0052】
図13及び図14に示すように、空洞部62には、長さ方向について奥側であって、両側面の対応する位置に、一対の収容部65が設けられている。この収容部65は空洞部62の内壁に設けられた凹みであり、そこには板ばね64が設けられている。板ばね64は、空洞部62の長さ方向を長手方向とする棒板状の部品である。板ばね64は空洞部62の長さ方向と平行に収容部65内に配置されており、その奥側が収容部65に固定され、スロット53の方に向けられた先端に係止部66が設けられている。板ばね64が変形していない状態では、係止部66以外の部分は収容部65に隠れており、係止部66のみが空洞部62内に突出している。
【0053】
図13において、通信タグ4を空洞部62に収納する場合には、通信タグ4をスロット63から空洞部62に挿入して奥に押し込む。すると図13に示すように、押し込まれた通信タグ4は、空洞部62内に突出した一対の板ばね64の各係止部66に接触し、板ばね64を変形させて係止部66を乗り越え、奥に入り込むことができる。変形した板ばね64の係止部66は収容部65に入り込む。
【0054】
図14に示すように、通信タグ4が係止部66を乗り越えて空洞部62の最奥部に到達すると、係止部66が通信タグ4の側面から外れるので板ばね64の変形が復元し、係止部66は空洞部62に突出して通信タグ4の後端面(スロット63側に向いている面)に係止する。これによって、通信タグ4は板ばね64によって空洞部62内から引き出せない安定した状態で保持される。第6実施形態では、空洞部62に収納した通信タグ4を取り出すことは想定していないが、何らかの理由でタグを空洞部62から引き出したい場合には、スロット63から器具を差し込んで一対の板ばね64を広げて通信タグ4を外に向けて引き出せばよい。なお、カード又はチップ状の記憶媒体を電子機器にワンタッチで着脱できるカードコネクタが広く知られているが、前記板ばね64に替えて、このようなカードコネクタを通信タグ4の保持機構として採用してもよい。
【0055】
本発明の第7実施形態を図15及び図16を参照して説明する。
図15及び図16に示すように、第7実施形態のタグ付き製品70は、第6実施形態と略同一の構造を備えている他、通信タグ4の誤挿入禁止機構を備えている。以下の説明では、誤挿入禁止機構について説明し、その他の部分については図15及び図16に第6実施形態の参照符号を付して第6実施形態の説明を援用する。
【0056】
通信タグ4は、先に説明したように基板部19とアンテナ部20を備えている。第3~第6実施形態では、通信タグ4をタグ付き製品に組み込む際に基板部19とアンテナ部20の何れを上面側にするかは、原則として最終製品として装置に装着した場合の通信タグ4と読取機器との位置関係や、通信条件等に応じて定めればよいものとした。このような前提とは異なり、第7実施形態のタグ付き製品70を最終製品に搭載した場合には、図15及び図16に示すように、基板61の図示下面側が最終製品の外面側となり、当該外面側に隣接して機器の読取装置が配置されるものとした。さらに、通信タグ4のアンテナ部20が読取装置に可能な限り近接するように、図15に及び図16において、アンテナ部20が下側となるように空洞部62に挿入することが通信タグ4の正規の挿入姿勢であるものとした。
【0057】
図15及び図16に示すように、第7実施形態の通信タグ4は、基板部19の挿入方向の奥側の一方の角に、立方体状の凹みである受容部72が形成されている。また、空洞部62の最奥部の一方の角の上方には、受容部72に対応する立方体状の突起部73が設けられている。
【0058】
図15は、第7実施形態のタグ付き製品70において、通信タグ4を、表裏を間違えた不正規の姿勢で通信タグ4を空洞部62に挿入した場合の状態を示している。図15において、通信タグ4は上側がアンテナ部20であり、下側が基板部19であるため、下側の基板部44の角にある受容部72(図中破線で示す。)は、上側の反対の角にある突起73とは係合することがなく、通信タグ4はアンテナ部20において突起部73に当接して最奥部まで入れない。このため、板ばね64の係止部66は通信タグ4の側面に掛止したままであり、通信タグ4の後端面(スロット63側に向いている面)に係止することができず、通信タグ4は空洞部62に確実には保持されていない。
【0059】
図16は、第7実施形態のタグ付き製品70において、通信タグ4を表裏が正しい正規の姿勢で空洞部62に挿入した場合の状態を示している。図16において、通信タグ4は上側が基板部19であり、下側がアンテナ部20であるため、上側の基板部19の角にある受容部72は、上側の同じ側にある突起部73と係合する。従って、通信タグ4は空洞部62の最奥部まで挿入され、板ばね64の係止部66は通信タグ4の後端面(スロット63側に向いている面)に係止するので、通信タグ4は空洞部62内に確実に保持される。
【0060】
第7実施形態によれば、第6実施形態と同様の効果が得られる他、通信タグ4を不正規の姿勢で基板71に挿入しようとするヒューマンエラーを未然に防止することができ、通信タグ4を誤りなく正規の姿勢で装着したタグ付き製品70を得ることができる。
【0061】
《実施形態における各態様のタグ付き製品及びキャップの構成とその効果について》
第1のタグ付き製品は、
装置と通信を行う通信タグを備えたタグ付き製品であって、
タグ付き製品の外側から確認できないように前記通信タグを収納する収納部と、
前記収納部に収納された通信タグと、
前記通信タグを前記収納部内に保持する保持手段と、
を具備することを特徴としている。
【0062】
第1のタグ付き製品によれば、
装置との間で通信を行う通信タグは、収納部の内部に収納されてタグ付き製品の外側からは確認できず、外側から位置を認識することは容易ではないため、故意又は過失による通信タグの破損等を効果的に防止することができる。
なお、第1のタグ付き製品は、
装置と通信を行う平面状の通信タグを備えたタグ付き製品であって、
前記タグ付き製品の内面に設けられた凹部であり、前記通信タグの側面の少なくとも一部、又は、上下両面の少なくとも一部を覆うように前記通信タグを収納する収納部と、
前記通信タグを前記収納部内に保持する保持手段であって、前記内面に設けられて前記通信タグを保持するカバーと、
を具備し、
前記収納部の形状は、前記通信タグが前記装置と有効な通信を行うために必要な、前記通信タグよりも大きい、前記通信タグの配置の許容範囲内の形状とされている構成とすることもできる
【0063】
第2のタグ付き製品は、第1のタグ付き製品において、
前記収納部は、前記タグ付き製品の内面に設けられた凹部18であり、
前記保持手段は、前記凹部18を覆うように前記内面に貼付されて前記通信タグ4を前記凹部18内に保持するカバーとしての貼付シート21であることを特徴としている。
【0064】
第2のタグ付き製品によれば、
通信タグ4は凹部18に収納され、凹部18を覆う貼付シート21によって凹部18内に保持されるので、通信タグ4の設置位置が凹部18の位置に特定され、そこに固定されて移動することがないので装置との通信条件が一定化する。
【0065】
第3のタグ付き製品30,40は、第1のタグ付き製品において、
前記収納部は、前記タグ付き製品30,40の内面に設けられた凹部32,42であり、
前記保持手段は、前記凹部32,42の内方に突出する保持爪33,43であることを特徴としている。
【0066】
通信タグ4は凹部32,42に収納され、凹部32,42の内方に突出する保持爪33,43によって凹部32,42内に保持されるので、通信タグ4の設置位置が凹部32,42の位置に特定され、そこに固定されて移動することがないので装置との通信条件が一定化する。
【0067】
第4のタグ付き製品50,60,70は、第1のタグ付き製品において、
前記収納部は、前記タグ付き製品50,60,70の内部に設けられた空洞部52,62であり、
前記保持手段は、前記空洞部52,62に設けられて前記空洞部52,62に挿入された前記通信タグ4を保持する保持機構52,64であることを特徴としている。
【0068】
通信タグ4は空洞部52,62に収納されて保持機構52,64によって空洞部52,62内に保持されるので、通信タグ4の設置位置が空洞部52,62内の位置に特定され、そこに固定されて移動することがないので装置との通信条件が一定化する。
【0069】
第5のタグ付き製品であるキャップ12は、
装置と通信を行う通信タグ4を備えており、装置に装着される物体に取り付けられるキャップ12であって、
前記物体に取り付けられる本体と、
前記物体により隠蔽される前記本体の表面に設けられた収納部と、
前記収納部に設けられた通信タグ4と、
前記表面に設けられて前記通信タグ4を保持するカバーと、
を具備することを特徴としている。
【0070】
第5のタグ付き製品であるキャップ12によれば、
装置との間で通信を行う通信タグ4は、物体により隠蔽される本体の表面に設けられた収納部に収納されており、外側に露出した状態にはないため、外側から位置を認識することは容易ではなく、故意又は過失による通信タグ4の破損等を効果的に防止することができる。
なお、第5のタグ付き製品であるキャップ12は、
装置と通信を行う通信タグ4を備えており、装置に装着される物体に取り付けられるキャップ12であって、
前記物体に取り付けられる本体と、
前記物体により隠蔽される前記本体の表面に設けられ、前記管体により隠蔽される前記底部の前記表面に設けられた凹部である収納部と、
前記収納部に設けられた通信タグ4と、
前記表面に設けられ、前記凹部を覆うように前記表面に貼付されて前記通信タグを前記凹部内に保持する貼付シートと、
を具備し、
前記収納部の形状は、前記通信タグが前記装置と有効な通信を行うために必要な、前記通信タグよりも大きい、前記通信タグの配置の許容範囲内の形状とされている構成とすることもできる。
【0071】
第6のタグ付き製品であるキャップ12は、第5のタグ付き製品であるキャップ12において、
前記物体は、両端に開口部11を有する管体であり、
前記本体は、周壁14と底部15と孔部16を備えて前記孔部16が外側となるように前記管体の前記開口部11に取り付けられる筒体13であり、
前記収納部は、前記管体により隠蔽される前記底部15の前記表面に設けられた凹部18であり、
前記カバーは、前記凹部18を覆うように前記表面に貼付されて前記通信タグ4を前記凹部18内に保持する貼付シート21であることを特徴としている。
【0072】
第6のタグ付き製品であるキャップ12によれば、
通信タグ4は、管体の内部に面している筒体13の底部15の表面に設けられた凹部18に収納されており、管体の内部に隠されて外側から位置を認識することはできず、故意又は過失による通信タグ4の破損等は確実に防止される。また、通信タグ4は凹部18に収納され、凹部18を覆う貼付シート21によって凹部18内に保持されるので、通信タグ4の設置位置が凹部18の位置に特定され、そこに固定されて移動することがないので装置との通信条件が一定化する。
【0073】
第7のタグ付き製品であるキャップ12は、第6のタグ付き製品であるキャップ12において、
前記装置は、前記通信タグ4と通信する通信手段を備えており、
前記管体は、自身の中心軸の周りに回転自在となるように前記装置に装着され、
前記通信タグ4は、前記通信手段と対向するように前記管体の中心軸と交差する位置に配置されることを特徴としている。
【0074】
第7のタグ付き製品であるキャップ12によれば、
装置の使用目的に従って管体を中心軸の周りに回転させても、管体に取り付けられたキャップ12の通信タグ4は、管体の中心軸と交差する位置に配置されているため位置がぶれることはなく、装置の通信手段と対向する位置関係に変化はない。従って、装置の通信手段と通信タグ4の通信条件は所期の状態で安定しており、変化することがない。
【0075】
第8のタグ付き製品であるキャップ12は、第7のタグ付き製品であるキャップ12において、
前記装置は、製版ユニット1であり、
前記管体は、前記製版ユニット1で製版される孔版原紙が巻装された紙管10であることを特徴としている。
【0076】
第8のタグ付き製品であるキャップ12によれば、
孔版原紙が巻かれた紙管10にこれを設けて製版ユニット1に搭載することにより、製版ユニット1の使用において、以上説明した種々の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…製版装置である製版ユニット
2…タグ付き製品であるマスターロール
4…通信タグ
5…通信手段としての読取装置
10…物体である筒体としての紙管
12…タグ付き製品であるキャップ
13…本体としての筒体
14…周壁
15…底部
16…孔部
18…収納部としての凹部
21…カバーである貼付シート
200…タグ付き製品であるインクカートリッジ
220…タグ付き製品である係合部
M…マスター
A…搬送方向
C…中心軸
T…許容範囲
30…タグ付き製品
32…収納部としての凹部
33…保持手段としての保持爪
40…タグ付き製品
42…収納部としての凹部
43…保持手段としての保持爪
50…タグ付き製品
52…保持手段である保持機構としても機能する収納部としての空洞部
60…タグ付き製品
62…収納部としての空洞部
64…保持手段としての板ばね
70…タグ付き製品
72…通信タグの受容部
73…空洞部に設けられた突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16