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特許7449673非甘味性飲料、および非甘味性飲料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】非甘味性飲料、および非甘味性飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12C 5/02 20060101AFI20240307BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C12C5/02
A23L2/52
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019203212
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021073907
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】新村 杏奈
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093809(JP,A)
【文献】特開2018-126115(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035439(WO,A1)
【文献】特開2020-167942(JP,A)
【文献】Journal of Bioscience and Bioengineering,2018年,Vol.126, No. 3,pp.330-338
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C12C
C12G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦味価が5BU以下であり、真性エキス値が7%以下であり、
デカナールを含有し、当該デカナールの含有量が0.01質量ppb以上120質量ppb以下であり、
アルコール度数が0~9(v/v)%であり、
ビールテイスト飲料である、非甘味性飲料。
【請求項2】
麦由来成分を含む、請求項1に記載の非甘味性飲料。
【請求項3】
ホップ由来成分を実質的に含まない、請求項1または2に記載の非甘味性飲料。
【請求項4】
発酵ビールテイスト飲料である、請求項1~3のいずれかに記載の非甘味性飲料。
【請求項5】
蒸留酒を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の非甘味性飲料。
【請求項6】
アルコール度数が0(v/v)%以上1(v/v)%未満である、請求項1~5のいずれかに記載の非甘味性飲料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の非甘味性飲料を製造する方法であって、
水および麦芽を含む原材料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する、非甘味性飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非甘味性飲料、および非甘味性飲料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康志向が高まっている状況の下、食事の際の飲料として非甘味性飲料が好まれる傾向がある。
【0003】
例えば、非甘味性飲料の一つである、アルコールビールテイスト飲料および非アルコールビールテイスト飲料を含むビールテイスト飲料には、一般的に主原料として麦芽等の穀物とホップが用いられる。原料としてホップが使用されることによって、ホップ特有の苦味や香りが付与されたビールテイスト飲料を製造できる。
しかし、ホップに由来する苦味は若者のビール離れの原因の一つといわれており、ホップの使用量を制限するビールテイスト飲料が求められている。他方、ホップに由来する苦味を抑制するためにホップの使用量を一定量以下に制限すると、ホップ特有の苦味がなくなるため風味のシマリ感がなくなり、もったりした風味の飲料となってしまう(特開2017-6077号公報(特許文献1))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-6077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、苦味価が一定値以下であって、風味の優れた非甘味性飲料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、苦味価が5BU以下であり、真性エキス値が7%以下であり、デカナールを含有する、非甘味性飲料を提供する。
【0007】
本発明には以下の態様の発明が含まれる。
[1]
苦味価が5BU以下であり、真性エキス値が7%以下であり、デカナールを120質量ppb以下の量で含有する、非甘味性飲料。
[2]
麦由来成分を含む、[1]に記載の非甘味性飲料。
[3]
ホップ由来成分を実質的に含まない、[1]または[2]に記載の非甘味性飲料。
[4]
発酵飲料である、[1]~[3]のいずれかに記載の非甘味性飲料。
[5]
蒸留酒を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の非甘味性飲料。
[6]
前記非甘味性飲料がビールテイスト飲料である、[1]~[5]のいずれかに記載の非甘味性飲料。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の非甘味性飲料を製造する方法であって、
水および麦芽を含む原材料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する、非甘味性飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の好適な一態様によれば、苦味価が一定値以下であって、風味の優れた非甘味性飲料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.非甘味性飲料
本発明の非甘味性飲料は、苦味価が5BU以下であり、真性エキス値が7%以下であり、デカナール(Decanal)を120質量ppb以下の量で含有する、非甘味性飲料である。
【0010】
本明細書において、「非甘味性飲料」は甘味を呈さない飲料であれば特に限定されないが、具体例としては、ビール、発泡酒、新ジャンル等のアルコールビールテイスト飲料、蒸留酒、酎ハイ、ハイボールおよびジントニック等のアルコール飲料、ならびに、ノンアルコールビール等のノンアルコールビールテイスト飲料、緑茶、無糖紅茶、微糖紅茶等の茶飲料、無糖コーヒー、微糖コーヒー等のコーヒー飲料等の非アルコール飲料が挙げられる。本発明の非甘味性飲料は、これらの飲料の中でも、アルコールビールテイスト飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料等のビールテイスト飲料が好ましい。
また、本発明の一態様の非甘味性飲料がビールテイスト飲料である場合、当該ビールテイスト飲料の種類としては、例えば、アルコール含有のビールテイスト飲料、アルコール度数が1(v/v)%未満のビールテイスト飲料等も含まれる。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。したがって、麦汁に酵母を添加して発酵させて製造される飲料に限定されず、エステル、高級アルコール(例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル)、4-ビニルグアイアコール、リナロール等を含むビール香料が添加された炭酸飲料をも包含する。
本発明の一態様の非甘味性飲料であるビールテイスト飲料は、発酵工程を経て得られた発酵ビールテイスト飲料が好ましく、発酵麦芽ビールテイスト飲料、発酵大麦麦芽ビールテイスト飲料、麦芽使用ビールテイスト飲料および大麦麦芽使用ビールテイスト飲料が好ましい。また、本発明のビールテイスト飲料は、スピリッツ、ウイスキー、焼酎などの蒸留酒を含有する、蒸留酒含有ビールテイスト飲料であることが好ましく、その中でも、スピリッツ含有ビールテイスト飲料がより好ましい。
【0011】
本発明の非甘味性飲料は、5BU以下の苦味価を有する。本発明の飲料の苦味価は0BUであってもよい。苦味価が5BU以下にすることによって、苦味を好まない消費者に好まれる飲料が提供できる。
ここで、「苦味価」とは、イソフムロンを主成分とするホップ由来成分により与えられる苦味の指標である。苦味価は、「改訂BCOJビール分析法1998年改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:財団法人日本醸造協会)」の「8.15 苦味価」に記載された測定法よって測定することができる。
【0012】
飲料の苦味価は、ホップまたはホップエキス等のホップ由来成分の使用量を調整することにより調節できる。本発明の非甘味性飲料には、苦味価が5BU以下であればホップ由来成分が含まれてよく、ホップ由来成分を実質的に含まなくてもよい。本発明の非甘味性飲料の苦味価は、好ましくは3BU以下、より好ましくは2BU以下、特に好ましくは1BU以下である。
本明細書において、「ホップ由来成分を実質的に含まない」とは、非甘味性飲料を製造する際に、原材料として、ホップおよびホップに由来する成分をいずれも積極的に添加しないこと意味し、非甘味性飲料の製造の際にホップ由来の成分が不可避的に混入する態様は包含する。
【0013】
また、非甘味性飲料の原材料として、ホップおよびホップに由来する成分が積極的に添加されているか否かは、酒税法、食品表示法、食品衛生法、JAS法、景品表示法、健康増進法あるいは業界団体が定めた規約や自主基準等によって定められた原材料表示から確認することもできる。例えば、ビールテイスト飲料にホップおよびホップに由来する成分が含まれている場合、原材料表示の原材料名に「ホップ」のように表記される。一方、「ホップに由来する成分を実質的に含まない」ビールテイスト飲料では、原材料表示の原材料名に「ホップ」との表記がされない。
【0014】
本発明の非甘味性飲料の真正エキス値は7%以下である。真正エキス値が7%を超えると、それを飲用する人は甘味を感じ易くなり、食事の際に食物と一緒に飲む場合に、食欲に悪影響を与えることがある。本発明の飲料の真正エキス値は、好ましくは0.1~6.7%、より好ましくは0.5~6%、さらに好ましくは1~5.5%、特に好ましくは1.5~5.0%、さらに好ましくは2.0~4.5%である。
【0015】
真正エキスとは、特に発酵性飲料において溶存しており、飲料を(酵母や蛋白凝固物など不溶物がある場合はこれを濾別したうえで)穏やかに加熱して水分、アルコール、二酸化炭素、その他の揮発成分をすべて蒸発させたとき、蒸発せずに乾固して残る固形物そのもの(可溶性蒸発残渣)、またはその含有量(重量%)をいう。
【0016】
非甘味性飲料の真性エキス値は、当該非甘味性飲料のアルコール含有量が0.5体積%以上、10.0体積%以下であり、当該真性エキス値が10.0g/100mL以下の場合には、文献「改訂BCOJビール分析法2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.4真性エキス」の「8.4.3アルコライザー法」に記載の方法により測定される。
【0017】
また、非甘味性飲料のアルコール含有量が0.005体積%以上、0.5体積%未満である場合には、当該非甘味性飲料の真性エキス値(w/v%)は、日本国の酒税法に規定されるエキス分、すなわち、温度15℃において原容量100cm中に含有される不揮発性成分のグラム数として測定される。
【0018】
また、非甘味性飲料のアルコール含有量が0.005体積%未満である場合、当該非甘味性飲料の真性エキス値(w/v%)は、文献「改訂BCOJビール分析法2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「7.2エキス」に記載の方法に従い測定される。
【0019】
本発明の非甘味性飲料の真正エキス値は、発酵飲料である場合には、原料の配合、仕込条件、酵母種、発酵条件等を変更することにより調節することができる。また、非発酵飲料である非甘味性飲料の真性エキス値は、原料配合を変更することにより調節することができる。
【0020】
本発明の非甘味性飲料は、苦味価が5BU以下と苦味が抑えられている。一般的に、苦味が抑えられた飲料は、風味のシマリ感がなくなり、もったりした風味の飲料となってしまう傾向にある。
これに対して、本発明の非甘味性飲料は、デカナール(Decanal)を所定の量で含有することで、苦味が抑えられた飲料における風味の改善を図っている。
デカナールとは、化学式C1020Oで示される鎖状の有機化合物である。デカナールは、非甘味性飲料の味の厚みとすっきり感を増強させることができる。
【0021】
本発明の非甘味性飲料は、デカナールを含有し、デカナールの含有量は、120質量ppb以下であり、100質量ppb以下が好ましく、90質量ppb以下がさらに好ましく、80質量ppb以下が特に好ましく、70質量ppb以下がさらに好ましく、60質量ppb以下がさらに好ましく、55質量ppb以下がさらに好ましく、45質量ppb以下がさらに好ましく、40質量ppb以下がさらに好ましい。
なお、本発明の非甘味性飲料は、デカナールを含有していればよいため、デカナールの含有量について、下限は特に制限はないが、0.001質量ppb以上が好ましく、0.01質量ppb以上がより好ましく、0.1質量ppb以上がさらに好ましく、0.2質量ppb以上が特に好ましい。
このようにデカナールを一定量含有した飲料とすることにより、本発明の非甘味飲料は苦味価が5BU以下にもかかわらず、もったり感がなく、後味のすっきりした香味を実現できる。
【0022】
デカナールはガスクロマトグラフィーによって測定することができる。具体的には、測定対象の飲料を水で5倍希釈し、得られた希釈液をSPME Arrowファイバー(Carbon WR/PDMS)でヘッドスペースの成分を捕集し、前記希釈液をGC Orbitrap、DB-WaxUIカラムを使用したガスクロマトグラフィーにより分析する。
【0023】
本発明の一態様の非甘味性飲料におけるデカナールの含有量は、デカナールを所望の量となるように添加して調節することができるが、それ以外に、原材料の種類や配合量、仕込条件によっても調節でき、また、非甘味性飲料が発酵性飲料である場合には、酵母種や発酵条件等を適宜設定することによっても調節することができる。
【0024】
本発明の非甘味性飲料はノンアルコール非甘味性飲料を含む。本発明の非甘味性飲料のアルコール度数は限定されず、好ましくは0~20(v/v)%、より好ましくは1~15(v/v)%、さらに好ましくは2~12(v/v)%、さらに好ましくは3~10(v/v)%、特に好ましくは4~9(v/v)%である。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率(v/v%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
【0025】
また、本発明の一態様の非甘味性飲料は、アルコール成分として、蒸留酒を含有してもよく、例えば、穀物に由来するスピリッツを含有してもよい。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原材料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、さらに蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、麦が好ましい。
【0026】
本発明の一態様の非甘味性飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのような琥珀色や黄金色、黒ビールのような黒色、または、無色透明であってもよく、あるいは着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。非甘味性飲料の色は、肉眼でも判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
【0027】
本発明の一態様の非甘味性飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくは2.0~4.6であり、より好ましくは2.5~4.5であり、さらに好ましくは3.0~4.2であり、特に好ましくは3.2~4.0である。本発明の非甘味性飲料は、苦味価が5BU以下であるため、静菌効果のあるイソα酸の含有量が極めて少なくなりやすく、微生物が発生して増殖するリスクがある。そこで、微生物の発生と増殖を抑制するために、非甘味性飲料のpHは4.5以下が好ましく、4.0以下がさらに好ましい。また、本発明の非甘味性飲料のpHは2.0以上であれば飲料の香味が向上しやすい。
アルコールを含有する非甘味性飲料のpHは、好ましくは3.0~4.5であり、さらに好ましくは3.0~4.0であり、特に好ましくは3.2~3.8である。また、ノンアルコール非甘味性飲料のpHは、好ましくは4.0未満であり、さらに好ましくは3.8以下である。
【0028】
本発明の一態様の非甘味性飲料は、容器詰の態様に適している。容器の例としては、ビン、ペットボトル、缶、または樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
なお、無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、通常の缶や有色のビンでの場合と異なり、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。しかしながら、本発明の一態様の非甘味性飲料は、ホップに由来する成分を実質的に含有していないため、日光の照射に起因した日光臭の発生が抑制される。そのため、本発明の一態様の非甘味性飲料は、このような無色透明のビンやペットボトルに充填することもできる。
【0029】
本発明の非甘味性飲料の製造に使用できる穀物、甘味料等の任意の添加原材料については、「1.1原材料」において詳述する。
【0030】
1.1 原材料
本発明の一態様の非甘味性飲料の原材料は特に限定されないが、好ましい態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、窒素、ポリフェノール等を含有する麦芽等の麦由来成分および水である。苦味価5BU以下を実現するために、ホップを実質的に使用しないことが好ましい。また、その他に、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料等を用いてもよい。
【0031】
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。本発明においては、好ましくは大麦麦芽を用いる。大麦麦芽は、ビールテイスト飲料の原材料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
【0032】
また、麦芽と共に、麦芽以外の穀物、タンパク、酵母エキス、糖液等を用いてもよい。そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、およびそれらから得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。また、タンパクとしては、大豆タンパク、エンドウ豆タンパク、酵母エキス、これらの分解物等が挙げられる。
【0033】
甘味を訂正しない範囲で甘味料を用いることができる。甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素等で分解した市販の糖化液、市販の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオースおよびこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ネオテーム等が挙げられる。
【0034】
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリンまたはポリデキストロースが好ましい。
【0035】
苦味価が5BU以下という範囲内で、使用される苦味料または苦味付与剤は、特に限定されず、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、ナリンギン、ニガヨモギおよびニガヨモギ抽出物等が挙げられる。
【0036】
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用いられるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、およびカテキン等が挙げられる。
【0037】
香料としては、特に限定されず、一般的な香料を用いることができる。香料は、風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が含まれる。非甘味性飲料に適した香料の具体例としてはエステルや高級アルコール(例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル)、4-ビニルグアイアコール、プロピオン酸イソアミル、リナロール等が挙げられる。
【0038】
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、酒石酸、リン酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノデルタラクトンまたはそれらの塩が挙げられる。これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸またはそれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酢酸またはそれらの塩がより好ましい。
これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
1.2 炭酸ガス
本発明の一態様の非甘味飲料は炭酸飲料でもよい。炭酸飲料の非甘味性飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール発酵を行うため、この発酵工程で生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
【0040】
本発明の一態様の非甘味性飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧によって表されるが、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的には、飲料の炭酸ガス圧の上限は5.0kg/cm、4.5kg/cm、または4.0kg/cmであり、下限は0.20kg/cm、0.50kg/cm、または1.0kg/cmであり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50kg/cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/cm以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
【0041】
1.3 その他の添加物
本発明の一態様の非甘味性飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
【0042】
1.4 容器詰飲料
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビンやペットボトルが好ましい。
【0043】
2. 非甘味性飲料の製造方法
2.1 非甘味性発酵飲料の製造方法
本発明の一態様の非甘味性発酵飲料の製造方法は特に限定されないが、発酵ビールテイスト飲料を製造する場合、水および麦芽を含む原材料に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程(1)を有することが好ましく、さらに酵母が資化可能な原材料を1種以上配合する工程(2)、穀物に由来するスピリッツを添加する工程(3)およびデカナールの含有量を調整する工程(4)を有してもよい。
・工程(1):水および麦芽を含む原材料に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程。
・工程(2):酵母が資化可能な原材料を1種以上配合する工程。
・工程(3):穀物に由来するスピリッツを添加する工程。
・工程(4):デカナールの含有量を調整する工程。
【0044】
上記の工程(1)~(4)の順序は特に限定されないが、工程(2)として、水および麦芽と共に、酵母が資化可能な原材料を配合して、発酵前の原材料を調製した後、工程(1)として、酵母が資化可能な原材料を含む原材料に対してアルコール発酵を行うことが好ましい。これによって、アルコール発酵中の泡の大量発生を抑制することができる。
また、工程(3)についても、同様に、それぞれの工程を行う順序は特に限定されず、例えば、工程(3)で行う各成分の配合は、工程(1)の前の発酵前の原材料に対して行ってもよく、工程(1)の後の発酵後の原材料に対して行ってもよい。
工程(4)についても、同様に、それぞれの工程を行う順序は特に限定されず、例えば、工程(4)で行うデカナールの含有量の調整は、工程(1)の後の発酵後の原材料に対して行ってもよいが、工程(4)は最後に行うことが好ましい。具体的には、工程(4)以外の工程(例えば、工程(1)~(3))に基づいて非甘味性ベース飲料を製造し、当該ベース飲料に工程(4)に基づいてデカナールの含有量を調整することが好ましい。
本発明の非甘味性飲料は苦味価が5BU以下であるため、酵母を一定量以上含むと香味に悪影響を与えやすい。そこで、本発明の製造方法は、ろ過工程によって、酵母を取り除くことが好ましい。ろ過工程の順序は特に限定されないが、工程(2)と工程(3)の間に行われることが好ましい。
また、本発明の製造方法は、ホップを配合する工程を有さないことが好ましいが、静菌効果があるホップを用いずに得られた飲料は、微生物が発生して増殖するリスクがある。そこで、本発明の製造方法は、微生物の発生と増殖を抑制するために、殺菌工程を有することが好ましい。殺菌工程の順序は特に限定されないが、工程(4)の後に行われることが好ましい。殺菌工程は、加熱によって行われることが好ましい。
【0045】
本発明の一態様の非甘味性飲料の製造方法はホップを配合する工程を有しないことが好ましい。本発明の製造方法がホップを配合する工程を有さない場合でも、不可避的に混入する態様までを除外するわけではない。また、本発明の製造方法の麦芽比率は特に限定されないが、70質量%以下が好ましく、2~60質量%以下がさらに好ましく、5~55質量%が特に好ましく、10~50質量%がさらに好ましく、15~49.5質量%がさらに好ましく、20~49.2質量%がさらに好ましく、30~49.0質量%がさらに好ましい。
本明細書において、麦芽比率は、平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
【0046】
<工程(1)>
工程(1)は、水および麦芽を含む原材料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程である。
原材料の調製方法としては、原材料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼ等の酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク等の固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えて、原材料を調製することができる。
なお、酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素等は、発酵工程後において所定量添加してもよいが、糊化・糖化工程を含む製造工程中の任意のタイミングで添加してもよく、添加タイミングは限定されない。
【0047】
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、本発明の飲料の製造には、上面発酵酵母も下面発酵酵母も用いることができ、また、Weihenstephan-34株(下面発酵酵母)等の市販の酵母を用いることができる。
酵母は、酵母懸濁液のまま原材料に添加しても良いし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを原材料に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加しても良い。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×10cells/mL~1×10cells/mL程度である。
【0048】
アルコール発酵を行う際の発酵温度および発酵期間等の諸条件は、適宜設定することができるが、例えば、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8~25℃、5~10日間、の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
【0049】
発酵工程を行った後は、貯酒工程およびろ過工程等の当業者に周知の非甘味性飲料の製造で行われる工程を行ってもよい。
【0050】
<工程(2)、(3)>
工程(2)は酵母が資化可能な原材料1種以上を配合する工程である。工程(2)における酵母が資化可能な原材料としては、窒素源および炭素源となる麦芽以外の原材料であり、例えば、エンドウ豆、トウモロコシ、コメ、大豆、酵母エキスなどを用いることができるが、これら以外の原材料を用いることも可能である。なお、これらの原材料も非甘味性飲料の呈味と香りに影響を与えるので飲用者の嗜好に合わせて適宜選択するのが好ましい。
また、工程(3)は、穀物に由来するスピリッツを添加する工程である。
【0051】
<工程(4)>
工程(4)は、デカナールの含有量を調整する工程である。
本発明の非甘味性飲料は、デカナールの含有量が上述の範囲となるように調整されていることが好ましく、このような飲料は工程(4)を含む工程を実施することによって製造することができる。ここで、原材料に由来するデカナールによって適した含有量となっている場合には、さらにデカナールを添加する必要はない。一方で、工程(4)で、デカナールを含む添加剤を添加して、非甘味性飲料のデカナールの含有量を調整してもよい。
【0052】
工程(2)~(4)において、各工程で配合する成分は、発酵前の原材料に対して配合してもよく、発酵後の原材料に対して配合してもよい。また、一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
また、酵母が資化可能な原材料およびスピリッツを同時に配合し、工程(2)~(4)を同時に行ってもよい。
さらに、工程(2)~(4)を行う際に、他の添加剤も同時に配合してもよい。
【0053】
2.2 非甘味性非発酵飲料の製造方法
本発明の一態様の非甘味性非発酵飲料の製造方法は特に限定されないが、苦味価、真性エキス値、デカナールの含有量を制御すること以外は、非甘味性非発酵飲料を製造する一般的な方法と同じである。具体的な製造方法としては、非発酵ビールテイスト飲料を製造する場合、通常の方法を用いて苦味価が5BU以下、真性エキス値が7%以下の非発酵ビールテイスト飲料の原液を製造し、デカナールの含有量が120質量ppb以下の範囲内となるようにデカナールを添加する方法が挙げられる。
【0054】
非発酵ビールテイスト飲料の原液の製造方法の一例として、まず、麦汁、甘味物質、香料、およびその他の成分を所定量混合して配合物を調製する。次いで、配合物に飲用水を所定量添加して一次原料液を調製する。一次原料液を煮沸後、酒類を加え、カーボネーション工程によって炭酸水を添加する。
加えられる酒類は特に限定されないが、例えば、原料用アルコール、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン等のスピリッツ等を使用することができる。
【0055】
必要により、各段階において、濾過、遠心分離等で沈澱を分離除去することもできる。また、上記原料液を濃厚な状態で作成した後に、炭酸水を添加しても良い。これらは通常のソフトドリンクの製造プロセスを用いることで、発酵設備を持たなくても、簡便に非発酵飲料の調製が可能である。
【0056】
カーボネーション工程や炭酸水添加工程の前に沈殿を除去すると、オリや雑味の原因物質が除去でき、より望ましい。
【0057】
このようにして得られた本発明の一態様の非甘味性飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
非甘味性飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明の非甘味性飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、「1.4 容器詰飲料」に記載の容器が挙げられる。
【実施例
【0058】
以下、非甘味性飲料としてビールテイスト飲料の実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
実施例等の飲料の苦味価、真性エキス値は、上記のとおり、改訂BCOJビール分析法に記載されている方法に基づいて測定した。
また、実施例等のデカナールの含有量は、上記のとおり5倍希釈液を調製し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。具体的には、標準添加法を用い、1つの希釈液を3回繰り返し測定し(n=3)、標準添加試料は2回繰り返して測定した(n=2)。標準添加量は試料含有量の概ね1.5~2倍以上のものを2点用い、検量線を求めた。繰り返し精度(RSD, CV)は0.4~9.3%と良好であった。また、検量線の直線性は0.99621~0.99999と良好であった。
【0059】
ビールテイスト飲料の官能評価(実施例1~9、比較例1~3)
粉砕した大麦麦芽を温水120Lが入った仕込槽に投入した後、段階的に温度を上げて保持し、ろ過して麦芽粕を除去した。その後、当該原料液を煮沸釜に投入し、麦芽比率55質量%になるように糖液を添加し温水で100Lに調整して熱麦汁を得た。熱麦汁を冷却し、酸素による通気を実施することで酵母添加前の発酵前液60Lを得た。
【0060】
このようにして得られた発酵前液を煮沸してから冷却した後、得られた発酵もろみにビール酵母(下面発酵酵母)を添加して約1週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期表間を経て、酵母をろ過で除去して、真性エキス値およびデカナールの濃度が表1に記載の濃度になるように、エキス調整水およびデカナールを添加しビールテイスト飲料を調製した。なお、このようにして得られた飲料は、容器に詰めた後、加熱殺菌を実施した。
得られたビールテイスト飲料における苦味価、真性エキス値およびデカナールの濃度を表1~3に示す。また,いずれの飲料もpHは4.0未満であった。
なお、実施例1~9および比較例1~3の製造工程において、原材料にホップは全く使用しておらず、これらの飲料はホップ由来成分を含まない。
【0061】
得られたビールテイスト飲料の評価は、同一の6人のパネラーが、各飲料の試飲をし、以下のように行った。
【0062】
[ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感]
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが試飲し、「ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感」をそれぞれ下記基準によって3段階で評価した。なお、「ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感」の評価前に、予め、それぞれの評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。
(ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感の評価)
・「3」:非常に良い。
・「2」:良い。
・「1」:悪い。
そして、6人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で評価をし、2.0以上を合格とした。
【0063】
[ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香り]
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが試飲し、「ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香り」をそれぞれ下記基準によって3段階で評価した。なお、「ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香り」の評価前に、予め、それぞれの評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。
(ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香りの評価)
・「3」:感じない。
・「2」:ほとんど感じない。
・「1」:感じる。
そして、6人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で評価をし、2.0以上を合格とした。
【0064】
[ビールテイスト飲料の総合評価]
また、各パネラーが試飲した際の、「ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感」および「ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香り」に基づき総合評価を、下記基準によって3段階で評価した。
・「〇」:「ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感」および「ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香り」の評価の両者が2.5以上。
・「△」:「○」および「×」に該当しない。
・「×」:「ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感」および「ビールテイスト飲料として不適なレモン様の香り」の評価のどちらか一方が2未満。
【0065】
各ビールテイスト飲料の評価の結果を表1~表3に示す。なお、表1~表3のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認されなかった。
【0066】
【表1】

【表2】

【表3】
【0067】
実施例1~3および比較例1のビールテイスト飲料はいずれも、苦味価が1BU、真性エキス値が6.55%のビールテイスト飲料である(表1)。これらのビールテイスト飲料を比較すると、デカナールの含有量が0.5、2.0、100.0質量ppbの飲料では、ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感およびビールテイスト飲料として不適なレモン様の香りがいずれも一定の評価以上であり、風味の優れたビールテイスト飲料であった。
実施例4~6および比較例2のビールテイスト飲料はいずれも、苦味価が1BU、真性エキス値が3.22%のビールテイスト飲料である(表2)。これらのビールテイスト飲料を比較すると、デカナールの含有量が0.5、2.0、100.0質量ppbの飲料では、ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感およびビールテイスト飲料として不適なレモン様の香りがいずれも一定の評価以上であり、風味の優れたビールテイスト飲料であった。特にデカナールの含有量が2.0質量ppbの実施例5の飲料は、ビールテイスト飲料としての風味が優れていた。
実施例7~9および比較例3のビールテイスト飲料はいずれも、苦味価が1BU、真性エキス値が1.38%のビールテイスト飲料である(表2)。これらのビールテイスト飲料を比較すると、デカナールの含有量が0.5、2.0、100.0質量ppbの飲料では、ビールテイスト飲料らしい後味のすっきり感およびビールテイスト飲料として不適なレモン様の香りがいずれも一定の評価以上であり、風味の優れたビールテイスト飲料であった。特にデカナールの含有量が2.0質量ppbの実施例8の飲料は、ビールテイスト飲料としての風味が優れていた。