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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20240307BHJP
   B05B 1/30 20060101ALI20240307BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20240307BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20240307BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240307BHJP
   A61H 33/06 20060101ALN20240307BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20240307BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240307BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/30
B05B1/18
F21S8/02 400
F21V33/00 200
A61H33/06 H
F21Y101:00 100
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019214363
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021083669
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西澤 研一
(72)【発明者】
【氏名】今村 竜太
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 和幸
(72)【発明者】
【氏名】中田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
(72)【発明者】
【氏名】白石 和久
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-297118(JP,A)
【文献】実開昭56-164043(JP,U)
【文献】特開2008-161323(JP,A)
【文献】特開2014-79328(JP,A)
【文献】特開2015-157070(JP,A)
【文献】特開平2-307553(JP,A)
【文献】特開2009-72260(JP,A)
【文献】特開2004-202178(JP,A)
【文献】特開2010-81956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-3/40
B05B 1/00-1/36
F21S 8/02
F21V 33/00
A61H 33/06
F21Y 101/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミスト流を噴射する複数のミストノズルと、
前記複数のミストノズルの噴射範囲に照明光を照射する照明器と、を備え
記複数のミストノズルは、前記照明光の光軸に対して、前記光軸に直交する仮想平面と平行な一方向の両側に配置され
前記複数のミストノズルは、ノズル孔から放射状に広がる範囲を噴射範囲としてミスト流を噴射可能であり、
記複数のミストノズルの噴射範囲を総合した範囲を総噴射範囲というとき、前記複数のミストノズルの噴射範囲は、前記総噴射範囲において、前記照明光の光軸周りの全周に亘る範囲で連続する連続箇所を形成するように設定される噴霧装置。
【請求項2】
前記照明光の照射範囲は、前記連続箇所において、前記総噴射範囲の外周輪郭内に収まるように設定される請求項に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記複数のミストノズルの噴射範囲は、前記連続箇所において、前記光軸を含む範囲で中実となる中実領域を形成するように設定される請求項からのいずれか1項に記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記複数のミストノズルは、前記照明光の光軸方向から視て、前記照明光の光軸を取り囲むように環状に配列される請求項からのいずれか1項に記載の噴霧装置。
【請求項5】
前記照明器は、前記照明光となる光を発する光源を備え、
前記光源は、前記ミストノズルのノズル孔の開口位置よりも高位置に設けられる請求項1からのいずれか1項に記載の噴霧装置。
【請求項6】
前記照明器は、前記照明光となる光を発する光源と、前記光源によって発せられた光を前記照明光として照射する照射口と、前記照射口に対して前記照明光の照射方向とは反対側に設けられる内部空間と、を備え、
前記光源は、前記内部空間に配置される請求項1からのいずれか1項に記載の噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミスト流を噴射する噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、入浴者にリラクゼーション効果を与えるための噴霧装置を開示する。この噴霧装置は、演出効果の向上を実現するため、ミスト流を噴射する複数のミストノズルの他に、照明器を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-161323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、照明光の照射範囲に関して何ら開示していない。本願発明者は、更なる演出効果の向上を実現するうえで、特許文献1の開示技術に関して、改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本開示の目的の1つは、噴霧装置において演出効果の向上を実現できる技術を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本開示のある態様は噴霧装置である。ある態様の噴霧装置は、ミスト流を噴射するミストノズルと、前記ミストノズルの噴射範囲に照明光を照射する照明器と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の噴霧システムの利用シーンを模式的に示す側面断面図である。
図2】実施形態の噴霧システムの構成図である。
図3】実施形態の噴霧装置の側面断面図である。
図4】実施形態の噴霧装置の下面図である。
図5】実施形態の噴射範囲及び照射範囲を模式的に示す側面断面図である。
図6図5のA-A断面を詳細に示す図である
図7図5のB-B断面を詳細に示す図である。
図8】実施形態の照射範囲の光り方を模式的に示す説明図である。
図9】照射範囲の光り方の具体的な一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する構造には、言及している構造に厳密に一致する構造のみでなく、寸法誤差、製造誤差等の誤差の分だけずれた構造も含まれる。
【0009】
図1を参照する。本実施形態の噴霧システム10は浴室設備に用いられる。噴霧システム10は、噴霧装置12を備える。噴霧装置12は、ミスト流を噴射する複数のミストノズル14と、照明光を照射する照明器16と、を備える。図1では、ミストノズル14の噴射範囲S1と、照明器16の照射範囲S2を示す。照射範囲S2は、説明の便宜のため、実線で示すこともある。噴霧装置12の詳細は後述する。
【0010】
図2を参照する。噴霧システム10は、水源から供給される水をミストノズル14に供給する給水路18を備える。水源は、例えば、上水道、貯水槽等である。給水路18には、温度調整弁を通じて温度調整された水が供給されてもよい。給水路18は、給水路18において上流側に設けられる共通水路20と、給水路18において共通水路20よりも下流側に設けられる複数の通水路22とを備える。複数の通水路22は、共通水路20から分岐する。水源から供給される水は、共通水路20を通して複数の通水路22のそれぞれに供給される。複数の通水路22は、複数のミストノズル14のそれぞれに対応し、その対応するミストノズル14に給水する。
【0011】
噴霧システム10は、給水路18を開閉可能な開閉弁24を備える。本実施形態の開閉弁24は、給水路18の共通水路20を開閉可能である。開閉弁24は、電磁弁、電動弁等の電気駆動弁である。
【0012】
噴霧システム10は、噴霧装置12及び開閉弁24を制御する制御装置26を備える。制御装置26は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアを組み合わせたコンピュータである。制御装置26は、予め設定されたプログラムに従って、噴霧装置12及び開閉弁24を制御する。
【0013】
制御装置26は、開閉弁24の開閉状態を制御可能である。開閉弁24が給水路18を開く開状態にあるとき、その給水路18を通してミストノズル14に給水され、ミストノズル14がミスト流を噴射する噴射状態となる。開閉弁24が給水路18を閉じる閉状態にあるとき、ミストノズル14に対する給水が停止し、ミストノズル14の噴射動作が停止する停止状態となる。
【0014】
制御装置26は、噴霧装置12の照明器16を制御可能である。詳しくは、制御装置26は、照明器16によって照明光を照射する点灯状態と、その照射動作を停止する消灯状態とを切り替え可能である。
【0015】
制御装置26は、噴霧装置12及び開閉弁24を制御することによって、ミスト照射モードを実行可能である。ミスト照射モードは、ミストノズル14によってミスト流を噴射すると同時に、照明器16によって照明光を照射するモードである。ミスト照射モードは、開閉弁24を開いてミストノズル14を噴射状態に切り替え、かつ、照明器16から照明光を照射する点灯状態に切り替えることで実現される。
【0016】
制御装置26は、所定の開始条件を満たすと、ミスト照射モードの実行を開始する。開始条件は、例えば、ミスト照射モードの実行指令を取得することである。実行指令は、例えば、ユーザによる操作部(不図示)に対する操作を通じて制御装置26に入力される。操作部は、例えば、押しボタン、非接触式センサ、タッチパネル等である。制御装置26は、所定の停止条件を満たすと、ミスト照射モードの実行を停止する。所定の停止条件とは、例えば、開始条件と同様の実行指令が入力されることである。
【0017】
図3図4を参照する。噴霧装置12は、外部構造体28に固定される固定部材30と、複数のミストノズル14を保持するノズルホルダ32と、を備える。本実施形態の外部構造体28は、室内空間34の天井面を形成する天井部である。複数のミストノズル14は、ノズルホルダ32を介して固定部材30に固定される。
【0018】
ミストノズル14は、給水路18から供給された水を用いてミストを生成し、その生成したミストをミスト流として噴射可能である。ここでのミスト流とは、複数のミストの流れをいう。本実施形態のミストノズル14は一流体ノズルである。ミストノズル14は、この他にも、二流体ノズルであってもよい。
【0019】
ミストノズル14は、ミストノズル14の外面部に開口するノズル孔14aを備える。ミストノズル14は、ノズル孔14aの中心軸線CL1を中心としてノズル孔14aから放射状に広がる範囲を噴射範囲S1として、ミスト流を噴射可能である。本実施形態のミストノズル14は、錐体状、詳しくは、円錐状に広がる範囲を噴射範囲S1として、ミスト流を噴射する。この「噴射範囲S1」は、ノズル孔14aを飛び出てから固定構造体36に当たるまでの間にミスト流が直線的に伝わるとした場合に、ミスト流の通る範囲をいう。この噴射範囲S1は、一定の流量の水をミストノズル14から噴射する場合を前提に想定している。この「固定構造体36」は、室内空間34に露出する位置にあり、本実施形態では床となる。
【0020】
照明器16は、固定部材30に固定される本体38と、本体38に固定されるとともに照明光となる光を発する光源40と、を備える。光源40は、LED、白熱球等である。照明器16は、光源40によって発せられた光を照明光として出射する照射面42を備える。照射面42は、照明器16の外面部に設けられる。本実施形態の照射面42は、照明器16の下面部に設けられる。実施形態の照射面42には照明光を照射する照射口44が開口する。照明器16は、照射口44に対して照明光の照射方向Pcとは反対側に設けられる内部空間16aを備える。光源40は、照明器16の内部空間16aに配置される。光源40は、照明器16の外部にある外部空間から見て、照射口44よりも奥側に配置されるということである。
【0021】
本実施形態の照明器16は、光源40によって発せられた直接光を反射するリフレクタ46を備える。照射面42はリフレクタ46によって反射した光を照射口44側に向けて照明光として照射する。リフレクタ46は、照射口44側に向かうに連れて徐々に内径が大きくなるカップ状をなす。
【0022】
本実施形態の照明器16は、リフレクタ46によって反射した光が通り抜けるコーン48を備える。本実施形態のコーン48は本体38の一部を兼ねている。コーン48は、入浴者の視界に光源40を入れ難くするために用いられる。コーン48の軸線方向における端部には照射口44が形成される。コーン48は、照射口44側に向かうに連れて徐々に内径が大きくなるように形成される。
【0023】
以上の照明器16は、光軸CL2を中心として放射状に広がる範囲を照射範囲S2として、照射面42(本実施形態では照射口44)から照明光を照射する。ここでの光軸CL2とは、照明光の光束の中心軸をいう。本実施形態の照明器16は、錐体状、詳しくは、円錐状に広がる範囲を照射範囲S2として照明光を照射する。この「照射範囲S2」とは、照射面42を出射してから固定構造体36に当たるまでの間に照明光の全光束が通る範囲をいう。
【0024】
噴霧装置12は、複数のミストノズル14が設けられたノズル面50を備える。ノズル面50は、照射光の光軸方向Paから視て、照射面42を中心として環状に設けられる。ここでの光軸方向Paとは、照明光の光軸CL2に沿った方向をいう。図4は、照明光の光軸方向Paから視た図でもある。本実施形態の照射面42及びノズル面50は天井部の内壁面と面一となるように設けられる。
【0025】
複数のミストノズル14は、照明光の光軸CL2に対して、光軸CL2に直交する仮想平面S0(図3も参照)と平行な一方向Pdの両側に配置される。図4の紙面は仮想平面S0を示す。光軸CL2を通る仮想平面であって、光軸CL2に対して平行かつ方向Pdに直交する仮想平面をSaという。このとき、仮想平面Saに対して方向Pdの両側に個別のミストノズル14が設けられるということである。
【0026】
本実施形態の複数のミストノズル14は、照明光の光軸方向Paから視て、照明光の光軸CL2を囲むように環状に配列される。複数のミストノズル14は、照射面42の周囲において、照射面42を囲むように環状に配列されるともいえる。本実施形態においては合計16個のミストノズル14が用いられる。
【0027】
本実施形態において、ミストノズル14の噴射方向Pbと照明器16の照射方向Pcは下向きに設定される。噴射方向Pbと照射方向Pcは同じ向きに設定されるということである。照明器16は、下向きに照明光を照射するダウンライトとして機能することになる。この「噴射方向Pb」は、ミストノズル14のノズル孔14aの中心軸線CL1に沿った一方向をいい、「照射方向Pc」は、光軸方向Paにおいて照明器16から離れる方向をいう。本明細書において「同じ向き」とは、言及している一方の方向に平行な軸線と、他方の方向に平行な軸線のなす角度が45°以内であることをいう。
【0028】
本実施形態の噴射方向Pbと照射方向Pcは一致するように設定される。本明細書において「一致」とは、言及している一方の方向に平行な軸線と、他方の方向に平行な軸線とが字句通りに一致する場合の他に、ほぼ一致する場合が含まれる。複数のミストノズル14の噴射方向Pbは同じ向きに設定される。本実施形態の複数のミストノズル14の噴射方向Pbは一致するように設定される。
【0029】
図5図7を参照する。照明器16は、ミストノズル14の噴射範囲S1に照明光を照射する。本実施形態において、照明器16における照明光の光軸CL2は、ミストノズル14の噴射範囲S1を通るように設定される。
【0030】
複数のミストノズル14の噴射範囲S1を総合した範囲を総噴射範囲S3という。複数のミストノズル14の噴射範囲S1は、総噴射範囲S3において、照明光の光軸CL2周りの全周に亘る範囲で連続する連続箇所52を形成するように設定される。連続箇所52は、本実施形態において、照射面42に対して照射方向Pcに間を空けた位置から固定構造体36までの範囲に形成される。
【0031】
複数のミストノズル14の噴射範囲S1は、連続箇所52において、中空領域54と中実領域56を形成するように設定される。中空領域54は、各ミストノズル14の噴射範囲S1によって囲まれる中空空間58の設けられる領域である。中実領域56は、照明光の光軸CL2を含む範囲で中実となり、中空空間58の設けられない領域である。中空領域54は、光軸方向Paにおいて照明器16側に設けられる。中実領域56は、光軸方向Paにおいて中空領域54を間に挟んで照明器16とは反対側に設けられる。
【0032】
照明器16は、ミストノズル14の総噴射範囲S3に内側から照明光を照射可能な位置に配置される。照明器16は、ミストノズル14の総噴射範囲S3に外周側から照明光を照射可能な位置に配置されないともいえる。ここでの「総噴射範囲S3の内側」とは、照明光の光軸CL2に直交する断面(例えば、図6の断面)において、中空空間58側をいう。
【0033】
照明光の照射範囲S2は、総噴射範囲S3の連続箇所52において、総噴射範囲S3の外周輪郭60内に収まるように設定される。照明光の照射範囲S2は、この連続箇所52において、総噴射範囲S3の外周輪郭60から外周側にはみ出ないということである。これを実現するうえで、前述のように、ミストノズル14の噴射方向Pbと照明器16の照射方向Pcとが一致するように設定される。
【0034】
以上の工夫点に関する効果を説明する。図8図9を参照する。図8は、ミストノズル14の総噴射範囲S3を外周側から視た模式図でもある。噴霧装置12は、ミストノズル14の噴射範囲S1に照明光を照射する照明器16を備える。ミストノズル14の噴射範囲S1にあるミスト流によって照明光が拡散する。これにより、照明光の照射範囲S2は、ミストノズル14の噴射範囲S1と重なる箇所A1において、照射方向Pcに向かって徐々に淡くなるような光り方をする。これにより、濃淡のある独特の視覚効果を付与でき、演出効果の向上を実現できる。
【0035】
複数のミストノズル14は、照明光の光軸方向Paから視て、照明光の光軸CL2に対して、光軸CL2に直交する方向Pdの両側に配置される。これにより、ミストノズル14の総噴射範囲S3を外側から視たとき、照明器16からユーザの眼球に至る照明光の光路においてミスト流を存在させ易くなる。これに伴い、このような光路上のミスト流によって照明光を拡散でき、照明光によって感じる眩しさを軽減できる。
【0036】
複数のミストノズル14の噴射範囲S1は、総噴射範囲S3において、照明光の光軸CL2周りの全周に亘る範囲で連続する連続箇所52を形成するように設定される。これにより、ミストノズル14の総噴射範囲S3を外側から視たとき、その連続箇所52の内部からユーザの眼球に至る光路においてミスト流を存在させることができる。これに伴い、このような光路上のミスト流によって照明光を拡散でき、照明光によって感じる眩しさを更に軽減できる。
【0037】
照明光の照射範囲S2は、総噴射範囲S3の連続箇所52において、総噴射範囲S3の外周輪郭60内に収まるように設定される。これにより、ミストノズル14の総噴射範囲S3と照明光の照射範囲S2の重なる箇所A1を強く光らせることができる。これと同時に、ミスト流に照明光が当たって拡散した拡散光によって、ミストノズル14の総噴射範囲S3において外周輪郭60の近傍の箇所A2を弱く光らせることができる。この結果、ミスト流において弱く光っている箇所A2が強く光っている箇所A1を包み込むような独特の視覚効果を得ることができる(図9も参照)。
【0038】
複数のミストノズル14の噴射範囲S1は、総噴射範囲S3の連続箇所52において中実領域56を形成するように設定される。これにより、総噴射範囲S3の中実領域56よりも照明光の照射方向Pcにおいてミスト流をユーザが浴びるとき、照明器16からユーザの眼球に至る照明光の光路において、ミスト流を存在させることができる。これに伴い、このような光路上のミスト流によって照明光を拡散できる。よって、ミスト流をユーザが浴びる場合に照明器16側を向いたときでも、照明光によって感じる眩しさを軽減できる。
【0039】
複数のミストノズル14は、照明光の光軸を取り囲むように環状に配列される。これにより、ミストノズル14の総噴射範囲S3を外側から視たとき、照明器16からユーザの眼球に至る照明光の光路においてミスト流を更に存在させ易くなる。これに伴い、照明光によって感じる眩しさを更に軽減できる。
【0040】
この他に、ミストノズル14の総噴射範囲S3の広い範囲を共通の照明光によって照射できるようになる。よって、環状に配列される複数のミストノズル14の外周側に照明器16を配置する場合と比べ、ミストノズル14の総噴射範囲S3の広い範囲を照射する光源40の数を減らすことができる。光源40はミストノズル14と比べて消耗し易く、定期的な交換を要する。このような頻繁な交換の対象となる光源40の数を減らすことで、良好なメンテナンス性を得られる。
【0041】
以上の噴霧装置12の他の工夫点を説明する。図3を参照する。光源40は、ミストノズル14のノズル孔14aの開口位置Peよりも高位置に設けられる。本実施形態の光源40は、全てのミストノズル14のノズル孔14aの開口位置Peよりも高位置に設けられる。光源40は、ノズル面50よりも高位置に設けられるともいえる。ここでの高位置とは、上下方向において上方に位置することをいう。
【0042】
これにより、ミストノズル14のノズル孔14aから噴射されるミスト流が光源40に当たり難くなり、光源40に水滴が付着し難くなる。これに伴い、水滴の付着に伴い照明光が散乱する事態を避けられ、ミストノズル14の噴射範囲S1に照明光を安定して照射できる。
【0043】
光源40は、照明器16の内部空間16aに配置される。よって、照射口44よりも外側に光源40を配置する場合と比べ、ミストノズル14のノズル孔14aから噴射されるミスト流が光源40の配置位置まで届き難くなり、光源40に水滴が付着し難くなる。これに伴い、水滴の付着に伴い照明光が散乱する事態を避けられ、ミストノズル14の噴射範囲S1に照明光を安定して照射できる。
【0044】
各構成要素の他の変形例を説明する。
【0045】
ミストノズル14の噴射方向Pbと照明器16の照射方向Pcは特に限定されない。これらは、例えば、横向きでもよい。
【0046】
ミストノズル14の個数は特に限定されない。例えば、ミストノズル14の個数は単数及び二つの何れかでもよい。複数のミストノズル14の配置位置は特に限定されない。複数のミストノズル14は、照明光の光軸方向Paから視て、照明光の光軸CL2を囲むように配列されていなくともよいということである。
【0047】
複数のミストノズル14の噴射範囲S1は、ミストノズル14の総噴射範囲S3において、中空領域54のみを形成するように設定されてもよい。ミストノズル14の総噴射範囲S3において、中実領域56を形成することは必須ではないということである。
【0048】
照明器16は、ミストノズル14の噴射範囲S1を照射できればよく、その具体的な構成は特に限定されない。たとえば、照明器16の照射面42は光源40そのものが構成していてもよい。
【0049】
照明器16の光源40は、ミストノズル14のノズル孔14aの開口位置Peに対して、上下方向で同じ位置に設けられてもよいし、その開口位置Peよりも低位置に設けられてもよい。
【0050】
照明器16は、光軸CL2と平行な直線的に広がる範囲を照射範囲S2として、照射面42から照明光を照射してもよい。照明光の照射範囲S2は、ミストノズル14の総噴射範囲S3の連続箇所52において、総噴射範囲S3の外周輪郭60から外周側にはみ出るように設定されてもよい。
【0051】
照射面42及びノズル面50の配置位置は特に限定されない。これらは、例えば、室内空間34を形成する内壁面から間を空けた位置に配置されてもよい。
【0052】
以上、実施形態及び変形例について詳細に説明した。実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は、実施形態及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎない。実施形態及び変形例の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。たとえば、実施形態に対して変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
S1…噴射範囲、S2…照射範囲、S3…総噴射範囲、CL2…光軸、12…噴霧装置、14…ミストノズル、14a…ノズル孔、16…照明器、16a…内部空間、40…光源、44…照射口、52…連続箇所、56…中実領域、60…外周輪郭。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9