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▶ インジェヴィティ・サウス・カロライナ・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】蒸発燃料蒸気エミッション制御システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20240307BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/12 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F02M25/08 311D
B01D53/04 111
B01D53/04 220
B01D53/04 230
B01J20/06 A
B01J20/06 B
B01J20/06 C
B01J20/08 A
B01J20/08 B
B01J20/08 C
B01J20/10 A
B01J20/10 B
B01J20/10 C
B01J20/12 A
B01J20/12 B
B01J20/12 C
B01J20/18 B
B01J20/18 C
B01J20/18 E
B01J20/20 B
B01J20/20 C
B01J20/20 D
B01J20/26 A
B01J20/28 A
B01J20/28 Z
B01J20/34 A
B01J20/34 D
B01J20/34 E
B01J20/34 F
【請求項の数】 86
(21)【出願番号】P 2019570120
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 US2018038370
(87)【国際公開番号】W WO2018236935
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-02-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】62/521,912
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/685,174
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516107826
【氏名又は名称】インジェヴィティ・サウス・カロライナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーン,ティモシー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒルツィク,ローレンス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ガルシア・マータ
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,キャメロン・アイ
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】吉村 俊厚
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-19572(JP,A)
【文献】特開2013-11243(JP,A)
【文献】国際公開第2004/110928(WO,A1)
【文献】特表2005-510654(JP,A)
【文献】国際公開第2009/011287(WO,A1)
【文献】特開2011-132903(JP,A)
【文献】特表2016-500784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M25/00-25/14
B01D53/02-53/12
B01J20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、
前記システムは、複数のチャンバーを有する一つまたは複数のキャニスタであって、各チャンバーは容積を画定し、前記複数のチャンバーは流体連通し、流体または蒸気が一つのチャンバーから次のチャンバーに一方向に流れることを可能にし、少なくとも一つのチャンバーは少なくとも一つの微粒子吸着容積を備える、一つまたは複数のキャニスタを備え、前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約160%より大きい比、を有する微粒子吸着体を備え、
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、前記微粒子吸着材料の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で、40Pa/cm未満の流量制限特性と、(i)8g/dL未満の公称ブタン作業容量(BWC)、(ii)1g/dL未満のブタン保持容量、または(iii)(i)と(ii)との組み合わせの少なくとも1つとを有しており、
前記微粒子吸着体のペレット強度が、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、40L/分の空気流下で0.3kPa未満の流量制限、長さの直径に対する2以上の比、またはその両方を有する、請求項1に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、(i)1.0g/dL未満のブタン保持容量、(ii)前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約200%を超える比、もしくは(iii)長さの直径に対する2以上の比、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する、請求項1または2に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、少なくとも25℃において5vol%~50
vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項5】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)は、40g/時ブタン充填工程後に適用される315リットル以下のパージで50mg以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項6】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは40g/時ブタン充填工程後に適用される210リットル以下のパージで20mg以下である、請求項5に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項7】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは40g/時ブタン充填工程後に適用される150以下のベッド体積のパージで50mg以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項8】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される100以下のベッド体積のパージで20mg以下である、請求項7に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、燃料ポートに最も近いチャンバー内に配置された少なくとも一つの燃料側の微粒子吸着容積を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、前記燃料ポートからベントポートへの蒸気経路内の少なくとも1つの燃料側の微粒子吸着容積に対して下流に配置されている、請求項9に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項11】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、前記燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される、請求項9~10のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項12】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する、請求項10に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項13】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される吸着材料を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項14】
なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備える、請求項1に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項15】
前記活性炭は、木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜
炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される部材を含む材料に由来する、請求項13に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つの微粒子吸着容積は容積希釈体を備える、請求項12~1のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項17】
前記容積希釈体は、不活性スペーサー粒子、閉じ込められた空域、発泡体、繊維、スクリーン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される要素を含む、請求項16に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項18】
加熱ユニットをさらに備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの微粒子吸着容積は保持容量が0.5g/dL未満である、請求項1に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項20】
一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、前記一つまたは複数のキャニスタは、
少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、
直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約160%より大きい比、を有する微粒子吸着体を備える、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、
前記少なくとも一つのベント側の粒子吸着容積は、(i)1g/dL未満のブタン保持容量、(ii)8g/dL未満の公称ブタン作業容量(BWC)、または(iii)それらの組み合わせの少なくとも1つとを有し、
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積よりも燃料ポートの近くに配置されており、
前記微粒子吸着体のペレット強度は、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項21】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、40L/分の空気流下で0.3kPa未満の流量制限を有する、請求項20に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項22】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、(i)1.0g/dL未満のブタン保持容量、(ii)巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%を超える比、(iii)長さの直径に対する2以上の比、または(iv)それらの組み合わせ、の
うちの少なくとも一つを有する、請求項20または21に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項23】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)の公称ブタン作業容量、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)、または両方を有する、請求項2022のいずれか1項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項24】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)は、40g/時ブタン充填工程後に適用される315リットル以下のパージで50mg以下である、請求項2023のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項25】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される210リットル以下のパージで20mg以下である、請求項24に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項26】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される150以下のベッド体積のパージで50mg以下である、請求項2023のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項27】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される100以下のベッド体積のパージで20mg以下である、請求項26に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項28】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積および前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、前記燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される、請求項2327のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項29】
単一のベント側の微粒子吸着容積を備える、請求項2028のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項30】
複数のベント側の微粒子吸着容積を備える、請求項2028のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項31】
少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備え、前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する、請求項2030のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項32】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはそれらの組み合わせは、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から
選択される吸着材料を含む、請求項2031のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項33】
前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は活性炭ハニカムである、請求項31または32に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項34】
前記活性炭は、木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される部材を含む材料に由来する、請求項32に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項35】
前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は容積希釈体を備える、請求項3134のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項36】
前記容積希釈体は、不活性スペーサー粒子、閉じ込められた空域、発泡体、繊維、スクリーン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される要素を含む、請求項35に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項37】
加熱ユニットをさらに備える、請求項2036のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項38】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は保持容量が0.5g/dL未満である、請求項20に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項39】
一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、前記一つまたは複数のキャニスタは、
少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、
直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比、を有する微粒子吸着体を備える、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、ブタン保持容量が1g/dL未満であり、
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積よりも燃料ポートの近くに配置されており、
前記微粒子吸着体のペレット強度は、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項40】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で、40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性を有する、請求項39に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項41】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、(i)0.4g/dL未満のブタン保持容量、(ii)巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%を超える比、(iii)長さの直径に対する2以上の比、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する、請求項39または40に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項42】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)の公称ブタン作業容量、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)、または両方を有する、請求項3941のいずれか1項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項43】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)は、40g/時ブタン充填工程後に適用される315リットル以下のパージで50mg以下である、請求項3942のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項44】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される210リットル以下のパージで20mg以下である、請求項43に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項45】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される150以下のベッド体積のパージで50mg以下である、請求項3942のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項46】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される100以下のベッド体積のパージで20mg以下である、請求項45に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項47】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積および前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、前記燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される、請求項4246のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項48】
単一のベント側の微粒子吸着容積を備える、請求項3947のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項49】
複数のベント側の微粒子吸着容積を備える、請求項3948のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項50】
少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備え、前記少なくとも一つのベント
側の後続吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する、請求項3949のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項51】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはそれらの組み合わせは、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される吸着材料を含む、請求項3950のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項52】
前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は活性炭ハニカムである、請求項51に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項53】
前記活性炭は、木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される部材を含む材料に由来する、請求項51に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項54】
前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は容積希釈体を備える、請求項5053のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項55】
前記容積希釈体は、不活性スペーサー粒子、閉じ込められた空域、発泡体、繊維、スクリーン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される要素を含む、請求項54に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項56】
加熱ユニットをさらに備える、請求項39~55のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項57】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は保持容量が0.25g/dL未満である、請求項39に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項58】
一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、前記一つまたは複数のキャニスタは、
少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、
直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約200%より大きい比、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、ブタン保持容量が1g/dL未満
であり、
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積よりも燃料ポートの近くに配置されており、
前記微粒子吸着体のペレット強度は、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項59】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、前記ベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で、40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性を有する、請求項58に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項60】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、(i)1.0g/dL未満のブタン保持容量、(ii)巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%を超える比、(iii)長さの直径に対する2以上の比、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する、請求項58または59に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項61】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)の公称ブタン作業容量、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)、または両方を有する、請求項5860のいずれか1項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項62】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)は、40g/時ブタン充填工程後に適用される315リットル以下のパージで50mg以下である、請求項5861のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項63】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される210リットル以下のパージで20mg以下である、請求項62に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項64】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される150以下のベッド体積のパージで50mg以下である、請求項5861のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項65】
2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、前記2日間のDBLは、40g/時ブタン充填工程後に適用される100以下のベッド体積のパージで20mg以下である、請求項64に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項66】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積および前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、前記燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される、請求項6165のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項67】
単一のベント側の微粒子吸着容積を備える、請求項5866のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項68】
複数のベント側の微粒子吸着容積を備える、請求項5867のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項69】
少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備え、前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する、請求項5868のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項70】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはそれらの組み合わせは、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される吸着材料を含む、請求項5869のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項71】
前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は活性炭ハニカムである、請求項70に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項72】
前記活性炭は、木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される部材を含む材料に由来する、請求項70に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項73】
前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は容積希釈体を備える、請求項6972のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項74】
前記容積希釈体は、不活性スペーサー粒子、閉じ込められた空域、発泡体、繊維、スクリーン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される要素を含む、請求項73に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項75】
加熱ユニットをさらに備える、請求項5874のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項76】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は保持容量が0.5g/dL未満である、請求項58に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項77】
蒸発エミッション制御システムであって、
燃料を貯蔵するための燃料タンクと、
空気導入システムを有し、燃料を消費するように構成されるエンジンと、
一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムとを備え、
前記キャニスタは複数の吸着容積を備え、
前記複数の吸着容積は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約160%より大きい比、および約0.5g/dL以下のブタン保持容量、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積とを備え、
前記キャニスタは、
前記蒸発エミッション制御キャニスタシステムを前記燃料タンクに連結する燃料蒸気入口導管と、
前記蒸発エミッション制御キャニスタシステムを前記エンジンの前記空気導入システムに連結する燃料蒸気パージ導管と、
前記蒸発エミッション制御キャニスタシステムを大気にベントし、前記蒸発エミッション制御キャニスタシステム内にパージ用空気を吸気するためのベントポートと、を含み、
前記蒸発エミッション制御キャニスタシステムは:
前記燃料蒸気入口導管から複数の吸着体を通ってベントポートまでの燃料蒸気流路、および、
前記ベントポートから前記複数の吸着容積および燃料蒸気パージ出口を通る空気流路によって画定され、
前記微粒子吸着体のペレット強度は、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、蒸発エミッション制御システム。
【請求項78】
前記システムは、ベント側の微粒子吸着容積からの上流、下流、または両方の少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備える、請求項77に記載の蒸発エミッション制御システム。
【請求項79】
蒸発エミッション制御システムにおける燃料蒸気エミッションを低減する方法であって、前記方法は、
前記燃料蒸気を複数の微粒子吸着ボリューム内の他の微粒子吸着ボリュームよりも燃料ポートに最も近くに配置された少なくとも一つの燃料側の吸着容積と接触させることと、
直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100nm以上の巨視的細孔、前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約160%より大きい比、および前記ベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、(i)8g/dL未満の公称ブタン作業容量(BWC)、(ii)1g/dL未満のブタン保持容量、または(iii)(i)と(ii)との組み合わせの少なくとも1つとを有する少なくとも1つのベント側の微粒子吸着体と前記燃料蒸気を接触させることとを備え、
前記微粒子吸着体のペレット強度は、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、方法。
【請求項80】
一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、前記一つまたは複数のキャニスタは、
直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔
、前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比、および約1.0g/dL未満のブタン保持容量、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、
直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、前記巨視的細孔の容積の前記微視的細孔の容積に対する約160%より大きい比、を有する微粒子吸着体を備える、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、前記ベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性を有し、
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積よりも燃料ポートの近くに配置されており、
前記微粒子吸着体のペレット強度は、35強度メトリックを上回り、
前記微粒子吸着体の断面形状は、中空形状を有しており、
前記微粒子吸着体の前記中空形状は、約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する外壁及び約0.1mm以上約3.0mm以下の厚さを有する内壁の少なくともいずれかを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項81】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積はブタン保持容量が1.0g/dL未満である、請求項80に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項82】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、40L/分の空気流下で0.3kPa未満の流量制限を有する、請求項80に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項83】
前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積
は、長さの直径に対する比が2以上である、請求項80に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項84】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、8g/dLより大きい公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/Lより大きい公称IAC、または両方を有する、請求項8083のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項85】
少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備え、前記少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する、請求項8084のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【請求項86】
前記少なくとも一つの燃料側の吸着容積、前記少なくとも一つのベント側の微粒子容積、またはその両方は、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%より大きい比を有し、前記少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は1.0g/dL未満のブタン保持容量を有する、請求項8085のいずれか一項に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月19日に出願された米国仮特許出願62/521,912および2018年6月14日に出願された米国仮特許出願62/685,174の優先権を主張し、その内容は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.技術分野
本開示は、概ね、微粒子吸着材料を備えるシステムおよびそれを使用する方法に関する。より具体的には、本開示は、低保持容量微粒子吸着材料を備えるシステム、および蒸発燃料蒸気エミッション制御システムでそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
自動車の燃料システムからのガソリン燃料の蒸発は、炭化水素の大気汚染の主な原因である。このようなエミッションは、燃料システムによって生成される燃料蒸気を吸着するために活性炭を使用するキャニスタシステムによって制御されることができる。特定のエンジン動作モードでは、キャニスタシステムを周囲空気でパージして活性炭から燃料蒸気を脱着させることにより、吸着された燃料蒸気が活性炭から定期的に除去される。そして再生された炭素は、別の燃料蒸気を吸着する状態にある。
【0004】
環境問題が増加することにより、車両が作動していないときでさえ、自動車からの炭化水素エミッションの規制がますます厳しくなっている。車両が駐車中に周囲温度が上昇すると車両の燃料タンク内の蒸気圧が増加する。通常、車両から大気中への燃料蒸気の漏れを防止するために、燃料タンクは、燃料蒸気を一時的に吸着できる好適な燃料吸着材料を含むキャニスタへ導管を通って排気される。燃料タンクからの燃料蒸気および空気の混合物は、キャニスタの燃料蒸気入口を通ってキャニスタに入り、燃料蒸気が一時貯蔵域で吸着される吸着容積中へ膨張または拡散し、浄化された空気は、キャニスタのベントポートから大気に放出される。エンジンが作動すると、周囲空気がキャニスタのベントポートを通ってマニホールドバキュームによってキャニスタシステム中に引き込まれる。パージ用空気は、キャニスタ内の吸着容積を通って流れ、吸着容積に吸着した燃料蒸気を脱着してから、燃料蒸気パージ導管を通って内燃エンジンに入る。パージ用空気は、吸着容積に吸着された燃料蒸気の全てを脱着するわけではなく、結果として、大気に放出される可能性のある残留炭化水素(「ヒール」)が生じる。さらに、気相を有する局所平衡におけるそのヒールにより、燃料タンクからの燃料蒸気が、キャニスタシステムを通ってエミッションとして移動することも可能になる。そのようなエミッションは、典型的に、車両が駐車していて、数日の期間にわたって日中の温度変化に曝されている場合に生じ、一般的に「ダイアーナルブリージングロス」と呼ばれる。
【0005】
米国では、カリフォルニア州の低公害車規制により、キャニスタシステムからのダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションが、2003モデル年以降の多くの車両では約20mg(「PZEV」)、2004年モデル以降のより多くの車両では約50mg未満(「LEV-II」)であることが好ましいとされている。現在、カリフォルニア州の低公害車規制(LEV-III)およびEPAs Tier 3 Standardにより、2012年3月22日のCalifornia Evaporative Emissions Standards and Test Procedures for 2001 and Subsequent Model Motor VehiclesおよびEPAs Control of Air Pollution From Motor Vehicles:Tier 3 Motor Vehicle Emission and Fuel Standards;Final Rule,40 CFR Parts 79,80,85他に記載されているように、ブリードエミッション試験方法(BETP)にしたがってキャニスタのDBLエミッションが20mgを超過しないことを義務づけている。対照的に、世界的には、蒸発エミッション規制は米国より厳しくなかったが、現在では、米国がとった道に沿って規制がより厳しくなる傾向にある。特に、軽量車の使用が急速に増加しており、空気の質の問題が緊急の注意を必要とする地域では、車両燃料のより良い使用とよりクリーンな空気のためのより厳密な制御の利点の認識が高まっている。
【0006】
車両の設計段階で蒸発燃料エミッション規制基準を満たすために、車両メーカーは通常、潜在的なサプライヤーに、機能的内容、外観、物理的特性、および耐久性に関するキャニスタシステム全体の性能に関する目標仕様を提供し、したがって、これらの目標を達成するための好適な設計の柔軟性をキャニスタシステムのメーカーに残している。例えば、General Motors Corporationは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムの多くの設計仕様を設定している(GMW16494を参照)。注目すべき仕様は、カーボンキャニスタシステムの総許容圧力降下である。この例では、車搭載型燃料供給時蒸気回収(ORVR)を目的とするキャニスタシステムの最大流量制限は、「キャニスタタンクチューブから外気チューブに空気を流しながらタンクチューブで測定した場合、60リットル/分(lpm)の空気流量で0.90±0.225kPaでなければならない」(GMW-16494のセクション3.2.1.3.2.2を参照)。この仕様およびGMW-16494の他の仕様は、車両メーカーが流量制限を許可する程度の例を示している。
【0007】
このような仕様の結果、エンジンの種類、エンジンの動作設計、スペースの可用性、パージの可用性、およびキャニスタシステムの制御方針に従って、様々な車両メーカーの様々な車両プラットフォームごとに要求は大きく異なるため、キャニスタシステムの設計者は、世界中の様々な燃料エミッション規制に加えて、幅広い吸着体オプションを十分評価する。確かに、キャニスタシステムの設計およびその吸着体の充填のために「一つのサイズが全てに適合するわけではない」。したがって、コスト、サイズ、流量制限、作業容量、ダイアーナルブリージングロス(DBL)の性能、複雑さ、および配置の柔軟性の点からトレードオフのバランスをとるための新しい吸着体オプションおよび方法が強く求められている。
【0008】
例えば、キャニスタシステムが満たす必要がある仕様の側面の一つであるDBLエミッションを削減するために、チャンバーの設計および吸着体の特性を含むいくつかの方法が報告されている。
【0009】
低エミッションを達成するための一つの方法は、パージガスの容積を大幅に増やして、吸着容積から残留炭化水素ヒールの脱着を強化することである。しかし、この方法には、パージ工程中にエンジンへの燃料/空気混合物の管理が複雑になるという欠点があり、テールパイプエミッションに悪影響を及ぼす傾向がある。米国特許第4,894,072号を参照。ターボチャージャー、ガソリン直噴、ハイブリッド電気自動車を含む特定の高性能で高燃費のエンジン設計では、このような高いパージは利用できないか、エンジンの性能に大きく影響する可能性がある。
【0010】
別の方法は、既存のキャニスタの寸法を再設計するか、または好適な寸法の補助ベント側キャニスタチャンバーを設置することにより、キャニスタのベント側の断面積が比較的小さくなるようにキャニスタを設計することである。米国特許第5,957,114号を参照。この方法は、パージ用空気の強度を高めることにより、残留炭化水素ヒールを低減する。このような方法の一つの欠点は、直径が1~3mmの固体形状の従来の微粒子吸着体の場合、最短のベッド長を除けば比較的小さい断面積がキャニスタに過度の流量制限を与えることであるが、最短のベッド長以外の場合は、DBLエミッション制御のためのこのベント側チャンバーの有効性が損なわれる。したがって、システムのブリードエミッションを低減するのに潜在的に効果的ではあるが、従来の微粒子吸着体では過度な流量制限に対応できない。
【0011】
パージ効率を高めるための別の方法は、パージ用空気、または燃料蒸気を吸着した吸着容積の一部、またはその両方を加熱することである。米国特許第6,098,601号および第6,279,548号を参照。しかし、この方法では、制御システム管理の複雑さが増し、いくつかの安全上の懸念が生じる。
【0012】
さらに別の方法は、キャニスタシステムチャンバー内の複数の吸着体を選択することであって、燃料蒸気を、キャニスタシステムの燃料側ポートに近接してまたは近傍に(つまり、流体または蒸気経路の上流に)設置されている一つまたは複数の燃料側吸着容積を通って、その後、大気へ排出する前に、燃料側吸着体に対して流体または蒸気経路の下流(または遠位)に設置されている、少なくとも一つのベント側のまたは後続吸着容積に送り、最初の吸着容積は、後続吸着容積よりも高い増分吸着容量(5~50%濃度のブタン吸着等温線のより大きな勾配)を有するように、選択することである。米国特許第RE38,844号および米国特許第9,732,649号を参照のこと。これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0013】
キャニスタシステムのベント側に向かう後続吸着容積の一つの効果的なの型は、細長いセラミック結合活性炭ハニカム、例えばNuchar(登録商標)HCA(Ingevity(登録商標),North Charleston,South Carolina,USA)、通常、直径29、35、41mm、および長さ50~200mmの特定の長さで入手可能である。このような吸着構造は、低流量制限で望ましい吸着特性を提供するが、これらの設計部品は製造に費用がかかり、製造には特別なスキルと設備が必要であり、直接の最初の顧客であるキャニスタシステムの設計者は、システムの設計、試験、および認証に通常利用できるこれらのサイズのハニカムパーツのみに限定される。
【0014】
チャンバー設計の柔軟性を可能にするベント側容積の別の効果的な形は、2~3mmのペレット形態、例えば、Nuchar(登録商標)BAX LBEグレード活性炭(Ingevity(登録商標),North Charleston,South Carolina,USA)、または2GK-C7グレードの活性炭(Kuraray Chemical Co.,Ltd.,Bizen-shi,Japan)である。これらのペレットは、ブリードエミッション制御に有用な吸着特性を有し、微粒子材料として、これらのペレットが充填される吸着体チャンバーの寸法に大きな柔軟性を与えるが、これらのペレットは、カーボンハニカムに比べて高い流量制限特性を有し、米国特許第5,957,114号で教示されるように、潜在的に有用な低断面積の形状を制限する。
【0015】
車両の運転中はほぼ半分の時間で内燃エンジンが停止し、パージ頻度は通常よりはるかに低くなる「ハイブリッド」車両のように、少量のパージ下で運転した場合、一連の吸着体の概念に沿って、吸着作業容量、例えばブタン作業容量(BWC)およびシステムのベント側のグラム総ブタン作業容量における段階的な吸着容積が、エミッション制御キャニスタシステムに特に有用であることが教示されている。国際出願公開第2014/059190号(PCT/US2013/064407)を参照。キャニスタシステムのパージで課題となる他のエンジン設計には、ガソリンの直接噴射およびターボチャージまたはターボアシストの機能が含まれる。しかし、これらの方法は通常、カーボンハニカム形態に限定される。
【0016】
上記の方法、および他の方法によって説明される課題と要望(例えば、米国特許第7,186,291号および米国特許第7,305,974号を参照)は、蒸発エミッションキャニスタシステムの性能、特に、保持される吸着蒸気の最小量(ヒールの最小量)が強く求められるDBLエミッション性能に及ぼす残留吸着蒸気の有害な影響を軽減することである。さらに、キャニスタシステムのDBLエミッション性能、および作業容量性能の劣化(「エージング」とも呼ばれる)はまた、この吸着蒸気ヒールにおけるパージ性の低い成分の蓄積によることが公知である(例えば、SAE Technical Paper Series 2000-01-895を参照)。したがって、パージ後の炭化水素の低保持容量の利点は二つある:新しい車両の低レベルのDBLエミッション、および低い蒸気保持容量特性によって生じる車両の寿命期間中の作業容量およびエミッション性能の維持。
【0017】
方法として非常に望ましいが、蒸発エミッション制御のための微粒子吸着体によってもたらされる低コスト、生産の低複雑度、高い材料構造強度、低い流量制限、および最小の蒸気保持容量の組み合わせは、ほぼ克服できない設計上の課題であると教えられている。例えば、米国特許第9,174,195号(「195特許」)で教示されているように、巨視的「M」細孔容積の微視的「m」細孔容積に対する比の有用な範囲は、より高い比では機械的強度が低下するため、65%~150% M/mに制限される。さらに、請求項に記載の細孔比の範囲内で、蒸気保持率(保持容量)は漸近的で、標準のASTM試験でブタンの残留量として測定される1g/dLを超え、(低い強度に加えて)気孔比が請求項に記載の150%の限度を超えた場合、前述の1.7g/dLの目標を超える。「195特許」は、M/m細孔比が150%を超える典型的な直径5mmのペレットでは使用に十分な堅牢性がないことを教示していることに留意することが重要である(図6を参照)。細孔比とペレット強度との間のトレードオフは、2GK-C7ペレット吸着材料(Kuraray Chemical Co.,Ltd.,Bizen-shi,Japan)によって強調される。この材料は、約170%のM/mであるにもかかわらず平均直径が2.6mmであり、このことはその強度を改善する一方で、流量制限を増加させるという望ましくない効果がある。換言すれば、エミッションを制御する機能にもかかわらず、「195特許」は、2GK-C7の比較的高いM/m比は、流量制限を低くすると強度も低下し、保持容量が比較的高くなる直径の大きいペレットには好適ではないことを教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、蒸発エミッション制御システムの設計者のために、特に、堅牢だけではなく、システムが車両の寿命期間中の高い作業容量および低いDBLエミッション性能を達成するのに役立つ低い蒸気保持容量および低い流量制限を示すベント側へ向かう吸着容積のために別の吸着体オプションが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
約50mg未満または約20mg未満の2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションを含み、比較的少量のパージ(例えば、約175BV未満または100BV未満)の場合を含む驚くべき想定されない特性を有する蒸発エミッション制御キャニスタシステムが、ここで説明される。驚くべきことに、そして予想外に、本明細書に記載の微粒子吸着容積で、低パージおよび低DBLの蒸発エミッション制御キャニスタシステムが可能であることがわかった。これは、製造の費用対効果がよく、望ましい保持容量を有し、材料の構造強度が高く、流量制限が少ない。例えば、本明細書に記載の低DBLキャニスタシステムを提供する微粒子吸着材料はマクロ気孔率(M)のミクロ気孔率(m)に対する150%を超える比(すなわち、M/m)、1.0g/dL未満のブタン保持容量を有し、同時に、過度の流量制限を課すことなくシステムで利用されるのに十分な大きさと堅牢性も備えている。
【0020】
したがって、一態様では、本開示は、複数のチャンバーを有する一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、各チャンバーは容積を画定し、複数のチャンバーは流体連通し、流体(例えば、空気、ガス、または燃料蒸気)が一つのチャンバーから次のチャンバーへ一方向に流れることを可能し、少なくとも一つのチャンバーは、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つの微粒子吸着容積を備え、微粒子吸着容積は、微粒子吸着材料の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で40Pa/cm未満の流量制限特性、もしくは40lpmの空気流量下で0.3kPa未満の流量制限、または両方を有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。特定の実施形態では、微粒子吸着容積は、長さの直径に対する2以上の比、1.0g/dL未満のブタン保持容量、またはそれらの組み合わせを有する。特定の実施形態では、ブタン保持容量は0.5g/dL未満である。特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはその両方を備える。特定の実施形態では、吸着容積は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される。特定の実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つの燃料側の吸着容積または両方は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)の公称ブタン作業容量(BWC)、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)、または両方を有する。特定の実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、または両方は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する。特定の実施形態では、微粒子容積は、約200%を超えるM/m比を有する。
【0021】
別の態様では、本説明は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積(すなわち、燃料タンク蒸気入口またはその近傍の吸着容積)および少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、一つまたは複数のベント側の後続吸着容積の代替として、またはそれと組み合わせて備えられる。少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、および/または少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、単一のキャニスタ内、または燃料蒸気(および逆にパージ用空気)によって連続的に接触できるように連結する別個のキャニスタ内のいずれかに収容されることができる。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、非微粒子吸着材料、例えば、発泡体、モノリス、ポリマーもしくは紙シート、またはハニカム(例えば、活性炭ハニカム)を備え、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積により、蒸気または流体の流量制限が低くなる。
【0022】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積の上流にある(すなわち、燃料側吸着容積または流路内の燃料蒸気入口近傍に設置される)少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積の下流にある(すなわち、流路のベントポート近傍に設置される)少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはそれらの組み合わせ、を備える。
【0023】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積の上流にある(すなわち、燃料側の吸着容積または流路内の燃料蒸気入口近傍に設置される)少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積の下流にある(すなわち、流路内のベントポート近傍に設置される)少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、またはそれらの組み合わせ、を備える。
【0024】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、非微粒子吸着材料、例えば、発泡体、モノリス、ハニカム、ポリマーまたは紙シートを備える。特定の実施形態では、非微粒子吸着材料により、蒸気または流体の流量制限が低くなる。特定の実施形態では、非微粒子吸着材料は、均一な断面積を有するハニカムである。
【0025】
吸着容積としての用途に好適な吸着体は、多くの異なる材料から、様々な形態で得られてもよい。単一の構成要素でも、種々の構成要素の混合体でもよい。さらに、吸着体は(単一の構成要素または異なる構成要素の混合体として)容積希釈体を含んでもよい。容積希釈体の非限定的な例としては、スペーサー、不活性ギャップ、発泡体、繊維、ばね、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、燃料側の吸着容積、ベント側の微粒子吸着容積、およびベント側の後続吸着容積に、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、またはそれらの組み合わせを含む公知の吸着材料を用いてもよいが、これらに限定されない。活性炭は、様々な炭素前駆体に由来する。非限定的な例として、炭素前駆体は木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、例えばもみ殻もしくはわら、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせであってもよい。さらに、活性炭は、化学的活性化、熱的活性化、またはそれらの組み合わせを含む様々なプロセスを用いて製造されてもよいが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、燃料側の吸着容積、ベント側の微粒子吸着容積、およびベント側の後続吸着容積に任意の様々な吸着体の形態を用いてもよい。吸着体の形態の非限定的な例としては、粒状、ペレット、球状、ハニカム、モノリス、ペレット状の円筒形、均一な形状の微粒子媒体、不均一な形状の微粒子媒体、押し出し形状の構造体媒体、巻回状形状の構造体媒体、折り畳まれた形状の構造体媒体、プリーツ状の構造体媒体、波形状の構造体媒体、流し込み形態の構造体媒体、接着形態の構造体媒体、不織布、織物、シート、紙、発泡体、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。吸着体は(単一の構成要素または異なる構成要素の混合体として)容積希釈体を含んでもよい。容積希釈体の非限定的な例としては、スペーサー、不活性ギャップ、発泡体、繊維、ばね、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、吸着体は、特別な薄肉断面形状、例えば中空円筒形、星形、ねじれらせん形、アスタリスク、形成されたリボン、または当技術分野の技術的範囲内の他の形状に押し出されてもよい。成形において、無機および/または有機バインダーを用いてもよい。
【0028】
ハニカム吸着体は、円形、円筒形、または正方形を含む任意の幾何学的形状であってもよいが、これらに限定されない。さらに、ハニカム吸着体のセルは任意の形状でよい。フロースルー通路のための均一な断面積のハニカム、例えば、正方形の断面セルを備える正方形のハニカム、またはらせんに巻かれた波形のハニカムは、直角のマトリックスに正方形の断面セルを備える円形のハニカムであって、様々な断面積を有する隣接する通路を備え、したがって同等にパージされない通路を備える円形のハニカムよりも優れた性能を発揮することができる。いかなる理論に束縛されることなく、ハニカム面全体のセル断面積がより均一になると、吸着サイクルとパージサイクルの両方でその部品内の流れの分布がより均一になり、したがってキャニスタシステムからのDBLエミッションがより少なくなると考えられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、一つもしくは複数の吸着容積および/または一つもしくは複数の空の容積を加熱するための一つもしくは複数の入熱ユニットをさらに備えることができる。入熱ユニットは、内部抵抗素子、外部抵抗素子、または吸着体に関連する入熱ユニットを備えることができるが、これらに限定されない。吸着体に関連する入熱ユニットは、吸着体から分離した(すなわち、吸着体と接触しない)素子であることができる。あるいは、吸着体に関連する入熱ユニットは、吸着体が付着、接着、非接着、または物理的に接触している基材または層であってもよい。吸着体に関連する入熱ユニットは、好適な抵抗率を有することにより電気的に直接加熱される吸着体であってもよい。吸着体の抵抗特性を、吸着体の最初の調製において、および/または吸着体を微粒子またはモノリシック形態に形成する際に、導電性または抵抗性の添加物およびバインダーを加えることにより修正することができる。導電性成分は、導電性吸着体、導電性基材、導電性添加物および/または導電性バインダーであってもよい。導電性材料を、吸着体の調製において加えても、中間の成形プロセスにおいて加えても、および/または吸着体を最終形状へ成形する際に加えてもよい。任意の様式の入熱ユニットを用いることができる。非限定的な例として、入熱ユニットとしては、熱伝達流体、熱交換器、熱伝導性要素、および正の温度係数材料が挙げられる。入熱ユニットは、加熱される流路長に沿って均一であってもなくてもよい(すなわち、局所的に異なる強度を与えても与えなくてもよい)。さらに、入熱ユニットを、加熱される流路長に沿った様々な点で、加熱強度および加熱時間をより大きくするように分配してもしなくてもよい。
【0030】
特定の実施形態では、ベント側の後続吸着容積は活性炭モノリスまたは活性炭ハニカムであり、ベント側の微粒子吸着容積の位置に対して燃料蒸気経路内の上流に、ベント側の微粒子吸着容積の位置に対して燃料蒸気経路内の下流に、またはそれらの組み合わせに設置される。
【0031】
特定の実施形態では、少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、比較的高いブタン作業容量(BWC)、5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で1リットルあたり約35グラム(g/L)を超えるn-ブタンの有効増分吸着容量のうちの少なくとも一つ、または両方を有する。例えば、特定の実施形態では、システムは、ベント側の微粒子吸着容積の上流または前に設置される少なくとも一つの追加の高ブタン作業容量(BWC)吸着容積をさらに備える(すなわち、車両が停止している間、高ブタン作業容量吸着容積がベント側の微粒子吸着容積よりも前に燃料蒸気と接触する)。特定の実施形態では、燃料側の吸着容積は、i)比較的高いブタン作業容量(BWC)、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15以上の1デシリットルあたりのグラム(g/dL)、ii)5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90以上の1リットルあたりのグラム(g/L)のn-ブタンの増分吸着容量、のうちの少なくとも一つ、または両方を有する。
【0032】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積(すなわち、燃料タンクからベントポートまでの蒸気経路内の少なくとも一つの燃料側の吸着容積に対して下流)を備える。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、ブタン保持容量が低く、巨視的サイズの細孔容積の微視的細孔容積に対する比(M/m)が比較的高く、および流量制限特性が比較的低い。特定の実施形態では、低ブタン保持容量と低流量制限特性を有する微粒子吸着体は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、または220%以上の比(M/m)を有し、微粒子吸着材料は、約1.0g/dL以下の保持容量と46cm/秒の見かけの線形ガス流速下で40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限を有する。
【0033】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、ベント側の微粒子吸着容積は、40lpmの空気流下で約0.3kPa未満の流量制限を有する。
【0034】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5以上の長さの直径に対する比を有する。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積は、長さの直径に対する比、約2より大きいL/Dを有し、細長い。
【0035】
特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積のM/mは150%より大きく、46cm/秒の見かけの線形空気流速下で圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限特性を有する。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積のM/mは200%より大きく、ブタン保持容量は1g/dL未満である。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積のM/mは150%より大きく、ブタン保持容量は0.5g/dL未満である。
【0036】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、本明細書に記載の少なくとも一つのベント側の、例えばブタン保持容量が比較的低く流量制限が低い微粒子吸着容積を備え、キャニスタシステムは、カリフォルニアブリードエミッション試験手順(California Bleed Emissions Test Procedure)(BETP)で測定される約175、150、125、120、115、110、100以下のベッド体積のパージで、または315、300、275、250、225、200、175、150リットル以下のパージで、約50、45、40、35、30、25、20mg以下の2日間のDBLエミッションを有する。特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、低ブタン保持容量および低流量制限微粒子吸着体を有す少なくとも一つの吸着容積を備え、ならびにBETPテストで100未満のベッド体積、または210リットル未満のパージで50mg以下もしくは20mg以下の2日目DBLエミッション、を有す。
【0037】
いくつかの実施形態では、システムは、流体、例えば燃料蒸気により連続的に接触できるように構成される複数のベント側の微粒子吸着容積を備える。特定の実施形態では、例えば、吸着体は直列に連結され、そこを通る流体流路を画定する。
【0038】
特定の実施形態では、システムは、流体、例えば燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタを備える。
【0039】
別の実施形態では、システムは、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着容積の下流または後続の後続吸着容積をさらに備える(すなわち、エンジンが停止しているときに、後続吸着容積が、ベント側の微粒子吸着容積の後に燃料蒸気と接触する)。
【0040】
特定の実施形態では、少なくとも一つの後続吸着容積は、i)約8g/dL未満のBWC、ii)5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で約35グラム未満のn-ブタン/LのIAC、または、iii)これらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する。特定の実施形態では、後続吸着容積は活性化ハニカムである。
【0041】
別の態様では、説明は:直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、および約1.0g/dL未満の保持容量、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は1.0g/dL未満のブタン保持容量を有する、一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積は、見かけの線形空気流速46cm/秒がベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される場合、40Pa/cm未満の流量制限特性を有する。更なる実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、40lpmの空気流下で約0.3kPa未満の流量制限を有する。別の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積は、長さの直径に対する比が2以上である。更なる実施形態では、少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、8g/dLより大きい公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/Lより大きい公称IAC、または両方を有する。特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備え、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する。特定の実施形態では、少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子容積、またはその両方は、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%より大きい比を有し、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は1.0g/dL未満のブタン保持容量を有する。
【0042】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、システムは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを燃料タンクに連結する燃料蒸気入口導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをエンジンの空気導入システムに連結する燃料蒸気パージ導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをベントし、蒸発エミッション制御キャニスタシステムにパージ用空気を吸気するためのベント導管と、またはその組み合わせ、のうちの少なくとも一つをさらに備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、システムは、燃料蒸気入口導管から複数の吸着容積(すなわち、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積上流の上流の少なくとも一つの燃料側の吸着容積、および必要に応じて少なくとも一つの後続吸着容積)のそれぞれを通ってベント導管までの燃料蒸気流路、ベント導管から複数の吸着容積(すなわち、必要に応じて少なくとも一つの後続吸着容積、少なくとも一つのベント側の特定の吸着容積、および少なくとも一つの燃料側の吸着容積)のそれぞれを通って燃料蒸気パージ出口までの空気流路、または両方、のうちの少なくとも一つを有する。
【0044】
さらに別の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積の充填ベッドは、46cm/秒の見かけの線形空気流速で40Pa/cm以下の圧力降下を有する。
【0045】
別の態様では、本開示は、燃料を貯蔵するための燃料タンクと、空気導入システムを備え、燃料を消費するように構成されるエンジンと、蒸発エミッション制御キャニスタシステムと、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをエンジンの空気導入システムに連結する燃料蒸気パージ導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをベントし、蒸発エミッション制御キャニスタシステムにパージ用空気を吸気するためのベント導管と、を備え、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを燃料タンクに連結する燃料蒸気入口導管と、燃料蒸気入口導管から複数の吸着容積を通ってベント導管までの燃料蒸気流路と、ベント導管から複数の吸着容積および燃料蒸気パージ出口を通る空気流路と、によって定義される蒸発エミッション制御システムを提供する。
【0046】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積を備える複数の吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備え、ベント側の微粒子吸着容積は、微粒子吸着容積、例えば、(i)直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比(M/m)、(ii)約1~約0.25g/dL未満の保持容量、(iii)約210mm以上の粒子径、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する低保持容量の微粒子吸着体を備える。特定の実施形態では、粒子径は、3~10mm、約3~9mm、約3~8mm、約3~7mm、約3~6mm、約3~5mm、約2~9mm、約2~8mm、約2~7mm、または約2~6mmである。
【0047】
特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、少なくとも0.5、1、1.5、2以上の長さ/直径(L/D)比を有する。
【0048】
別の実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタを備える。
【0049】
別の態様では、本開示は、蒸発エミッション制御システムにおいて燃料蒸気エミッションを低減する方法を提供し、方法は、燃料蒸気を、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積の約150%を超える比(M/m)、約1~0.25g/dL以下の保持容量、粒子径が3~6mm、またはこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着体と接触させることを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、燃料蒸気を本明細書に記載の少なくとも一つの燃料側の吸着容積に接触させ、その後、本明細書に記載の少なくとも一つのベント側の微粒子吸着体に接触させることをさらに含む。
【0051】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、吸着体は単一のキャニスタ内に設置される。特定の実施形態では、吸着体は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタ内に設置される。
【0052】
有用性に関する前述の全般的な記載は、例示の目的でのみ提示するものであり、本開示および添付の請求の範囲を限定することは意図されない。本開示の組成物、方法、およびプロセスに関連する追加の目的および利点は、請求の範囲、詳細な説明、および実施例を鑑みることで当分野の当業者には明らかであろう。例えば、本開示の種々の態様および実施形態は、多数の組み合わせで利用してもよく、その全ては本開示によって明示的に意図しているものである。これらの追加的な有益な目的および実施形態は、本開示の範囲内に明示的に含まれる。本発明の背景を解説するために、および特定の場合には実施に関して追加の詳細を提供するために使用される公表文献および他のマテリアルは参照により組み込まれる。
【0053】
この明細書に組み込まれてその一部を形成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を図示するものであり、この説明と共に、この発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の実施形態の解説の目的のためのみであり、本発明を限定すると解釈されるものではない。この発明の例示的な実施形態を示す添付の図面とあわせて、以下の発明を実施するための形態から、この発明のさらなる目的、特徴及び利点が明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本開示による蒸発エミッション制御キャニスタシステムの断面図である。
図2図2は、本開示による蒸発エミッション制御キャニスタシステムの断面図である。
図3A図3Aは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3B図3Bは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3C図3Cは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3D図3Dは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3E図3Eは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3F図3Fは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3G図3Gは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3H1図3H1は、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3H2図3H2は、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図3I図3Iは、低保持容量の微粒子吸着体の別の吸着体形態の例である。
図4図4は、微粒子吸着体により生じる圧力降下を測定するための装置の断面図である。
図5図5は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図6図6は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図7図7は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図8図8は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図9図9は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図10図10は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図11図11は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図12図12は、公称容積の見かけ密度の計算方法を説明するのに役立つ。
図13図13は、ブタン吸着容量の測定に用いられる装置の簡略化された概略図である。
図14図14は、表1である。特定の実施形態において、複数のチャンバーおよび/または複数の吸着容積を備えるメインキャニスタを備えるメインキャニスタ構成。
図15-1】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図15-2】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図15-3】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図15-4】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図15-5】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図15-6】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図15-7】図15は、表2-A、表2-B、および表2-Cである。補助キャニスタ構成。
図16-1】図16は、表3-A、表3-B、および表3-Cであり、実施例29~33、73、74、94、96、および106~111の補助キャニスタのベント側の後続吸着容積の情報を提供する。
図16-2】図16は、表3-A、表3-B、および表3-Cであり、実施例29~33、73、74、94、96、および106~111の補助キャニスタのベント側の後続吸着容積の情報を提供する。
図16-3】図16は、表3-A、表3-B、および表3-Cであり、実施例29~33、73、74、94、96、および106~111の補助キャニスタのベント側の後続吸着容積の情報を提供する。
図17図17は、システムパージBVに対する実施例29~31の2日目のエミッションのグラフである。
図18図18は、吸着体の増分吸着容量対蒸気経路長のグラフである。
図19図19は、吸着体ブタン作業容量対蒸気経路長のグラフである。
図20図20は、吸着体g-総ブタン作業容量対蒸気経路長のグラフである。
図21図21は、合理的な流量制限およびDBLエミッション性能の目標の柔軟性を提供する際の、直径2~5mmの従来の固体微粒子吸着体(円筒形ペレット)でよく知られた性能トレードオフである。これらの例は、表2および3に記載のように、別の吸着体が充填された一つまたは複数のベント側の吸着容積を有するメインキャニスタ用である。
図22図22は、表2および3に記載のように、別の吸着体を充填した一つまたは複数のベント側の吸着容積を備えるキャニスタを備える蒸発エミッション制御システムの2日間のDBLに及ぼす長さ/直径比の効果である。
図23図23は、表2および3に記載のように、別の吸着体を充填した一つまたは複数のベント側の吸着容積を備えるキャニスタを備える蒸発エミッション制御システムの圧力降下に及ぼす長さ/直径比の効果である。本明細書に記載の微粒子吸着体は、現在利用可能な微粒子吸着体と比較して、低減されたベッド圧力降下を提供することに留意されたい。
図24図24は、典型的な流量(slpmまたはlpm)に対する、従来の微粒子吸着体およびカーボンハニカムの流量制限である。
図25図25は、図21~23のベント側容積のガス速度に関する典型的な流量である。
図26図26は、図21に例示される従来の材料と比較して、低いDBLエミッションおよび低い流量制限性能を提供することができる微粒子吸着体の発明の実施例である。
図27図27は、2より大きい高チャンバーL/Dを有するカーボンハニカムと比較した、高性能で例示的なまたは本発明のベント側の微粒子吸着容積である。
図28図28は、典型的な流量(slpm)に対する例示的または本発明の微粒子吸着体およびカーボンハニカムの流量制限である。
図29図29は、カーボンハニカムと比較した一つまたは複数の例示的または本発明のベント側の微粒子吸着容積を有する蒸発エミッション制御システムの圧力降下に及ぼす長さ/直径比の効果である。
図30図30は、カーボンハニカムと比較した例示的または本発明のベント側の微粒子吸着容積を備えるエミッションキャニスタシステムのガス速度に関する流量である。
図31図31は、40g/時のブタン充填工程後に、100BV未満および210リットルレベル未満のパージが適用された図26の実施例である。
図32図32は、ベッド(「吸着体2」)の本発明の実施例を含む第二のチャンバーが追加される場合、システムのエミッションは低い流量制限および低いエミッションを示す。
図33図33は、カーボンハニカムのL/D比と同様のL/D比を有し、より低いL/D値へシフトする吸着体2のチャンバーに含まれる、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着容積の低パージ条件(すなわち、100BV未満)下での2日間のDBLエミッションである。
図34図34は、カーボンハニカムと同様のL/D比を有する吸着体2のチャンバーに含まれる図32および図33の例示的または本発明のベント側の微粒子吸着容積のベッド圧力降下である。
図35図35は、150%以上のM/m比を有する本発明の微粒子の315L(139BV)パージ条件下での2日間のDBLエミッションである。
図36図36は、約0.5g/dL未満の保持容量を有する本発明の微粒子の315L(139BV)パージ条件下での2日間のDBLエミッションである。
図37図37は、150%以上のM/m比を有する本発明の微粒子の315L(137-147BV)パージ条件下での2日間のDBLエミッションである。
図38図38は、約0.5g/dL未満の保持容量を有する本発明の微粒子の315L(137-147BV)パージ条件下での2日間のDBLエミッションである。
図39図39は、カーボンハニカムおよび従来の微粒子と比較した、エミッションキャニスタシステムにおける例示的なベント側の低流量制限微粒子の低流量制限特性である。
図40図40は、カーボンハニカムおよび従来の微粒子と比較した、エミッションキャニスタシステムにおける例示的なベント側の低流量制限微粒子の低流量制限特性である。
図41図41は、カーボンハニカムおよび従来の微粒子と比較して2を超える高いチャンバーL/Dを有する高性能の例示的なベント側の微粒子吸着容積である。
図42図42は、M/m特性の関数としての図26および27の実施例における微粒子吸着体のペレット強度であり、「LFR」は低流量制限である。
図43図43は、良好なペレット強度を示しながら、高いM/m特性を有する(またはそれにもかかわらず)DBLエミッションの優れた制御を達成することができる図26および27の実施例の低流量制限微粒子吸着体である。
図44図44は、図35および36の実施例における例示的な低流量制限微粒子吸着体のペレット強度である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
ここで、以下に本開示をより詳細に説明するが、本開示の全ての実施形態が示されるわけではない。本開示は例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を均等物で置き換えることができることを当業者は理解するであろう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の構造または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。
【0056】
出願に添付されている図面は、例示のみを目的としている。それらは、本開示の実施形態を限定することを意図していない。また、図面は正確な縮尺率ではない。図の間で共通の要素は、同じ数字表示を保つ場合がある。
【0057】
値の範囲が提供される場合、その範囲および別の記載された範囲の上限と下限の間にある各値、およびその記載された範囲内にある値は本発明に含まれることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限が独立してより小さな範囲に含まれてもよく、これも本発明内に包含され、指定範囲中の任意の具体的に除外される境界値となる。記載された範囲が制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる境界のいずれか、両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0058】
以下の語を、本発明を説明するために用いる。本明細書において用語が具体的に定義されていない場合、その用語は、本発明の説明においてその使用に関連して当該用語を適用する当業者により当分野において認識されている意味が与えられる。
【0059】
本明細書において使用される場合、「a」および「an」という冠詞は、文脈により明白に別段の示唆が無い限り、当該冠詞の文法的客体のうちの一つまたは一つ以上(すなわち少なくとも一つ)を指すように本明細書において使用される。一例として、「要素」は一つの要素または複数の要素を意味する。
【0060】
本明細書および請求の範囲において本明細書に使用される場合、「および/または」という語句は、そのように結合される要素のうちの「いずれか、または両方」を意味すると理解されたい。すなわち、一部の例では要素は結合して存在し、他の例では結合せずに存在する。「および/または」を用いて列記された複数の要素は、同じように解釈されるべきである。すなわち、要素の「一つ以上」がそのように結合されている。「および/または」条項により具体的に特定された要素以外の他の要素が、それら具体的に特定された要素との関連性の有無に関係なく、任意に存在し得る。したがって、非限定的な例として、例えば「含む」などの非限定的文言と併せて使用される場合、「Aおよび/またはB」という言及は、一つの実施形態においては、Aのみを指し(任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態においてはBのみを指し(任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態においてはAとBの両方を指す(任意で他の要素を含む)。
【0061】
本明細書および請求の範囲において本明細書で使用される場合、「または」は、上記に定義される「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するときに、「または」または「および/または」は包括的なものとして解釈されるものとする。すなわち、多くの要素、または要素のリストのうちの少なくとも一つを含むが、複数も含み、そして任意で列記されていない追加の項目も含む。例えば「~の内のただ一つ」、または「~の内の正確に一つ」、または請求項において使用される場合には「~からなる」など、反対を明確に示唆される用語のみが、多くの要素、または要素のリストのうちの正確に一つの要素の含有を指す。概して本明細書に使用される場合、「または」という用語は、例えば「いずれか」、「~のうちの一つ」、「~のうちの一つのみ」、または「~のうちの正確に一つ」などの排他的な用語が先行する場合にのみ排他的な選択肢(すなわち「一つまたはその他であるが、両方ではない」)を示すものと解釈されるべきである。
【0062】
請求の範囲、ならびに上述の明細書において、「含む(comprising)」、「含有する(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」、「構成される(composed of)」などの全ての移行句は、非限定である、すなわちそれらを含むが限定されないことを意味すると理解されたい。移行句「~からなる(consisting of)」及び「本質的に~からなる(consisting essentially of)」のみについては、米国特許審査便覧第10版(the 10 United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)のセクション2111.03に記載されているとおり、それぞれ、クローズドの移行句、セミクローズドの移行句であるものとする。
【0063】
本明細書において使用される場合、明細書および請求の範囲において、一つ以上の要素のリストに関し、「少なくとも一つ」という語句は、要素リスト中のいずれか一つ、または複数の要素から選択される少なくとも一つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素リスト内に具体的に列記される全ての要素のうちの少なくとも一つを含むものではなく、要素リスト中の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。さらにこの定義は、「少なくとも一つ」という語句が指す要素リスト内で具体的に特定された要素以外にも、具体的に特定されたそれら要素の関連性の有無にかかわらず、任意で要素が存在し得ることを許容する。したがって非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも一つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも一つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一つ」)は、一つの実施形態において、任意で複数のAを含む少なくとも一つのAを指し、Bは存在しない(任意でB以外の要素を含む)。別の実施形態においては、任意で複数のBを含む少なくとも一つのBを指し、Aは存在しない(任意でA以外の要素を含む)。さらに別の実施形態においては、任意で複数のAを含む少なくとも一つのAと、任意で複数のBを含む少なくとも一つのBを指す(任意で他の要素を含む)。明確に別の説明がない限り、一つ以上のステップ又は動作を含む本明細書で請求するあらゆる方法において、その方法のステップ又は動作の順序は、列挙されているその方法のステップ又は動作の順序に必ずしも限定されないということも理解されたい。
【0064】
本明細書で使用する用語「気体の」および「蒸気性」は、一般的な意味で使用され、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、交換可能であることが意図される。
【0065】
本明細書で使用する用語「吸着体要素」または「吸着容積」は、蒸気流路に沿った吸着材料または吸着体含有材料を指し、微粒子材料のベッド、モノリス、ハニカム、シート、または他の材料から成ることができる。
【0066】
本明細書に記載の用語「上流」は、システムの別の位置/容積の前にまたは先だって流体、例えば燃料蒸気と接触するシステム内の位置/容積を指す。すなわち、上流の位置/容積は、位置/容積に対して燃料蒸気入口に向かって設置される。
【0067】
本明細書に記載の用語「下流」は、システムの別の位置/容積の後または後続して流体、例えば燃料蒸気と接触するシステム内の位置/容積を指す。すなわち、下流の位置/容積は、位置/容積に対して燃料蒸気入口より遠位に設置される。
【0068】
本明細書は、本明細書に記載の少なくとも一つの微粒子吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。キャニスタは、本明細書に記載の別の吸着容積、例えば少なくとも一つの燃料側の吸着容積、および/または少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備えることができる。好ましい実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着容積は、燃料側の吸着容積(すなわち、ベント側の微粒子吸着体)から流体経路の下流に設置される。更なる実施形態では、ベント側の微粒子吸着体は、低保持容量のベント側の微粒子吸着容積である。本明細書で使用する場合、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、「低保持容量」または「低ブタン保持容量」は、約2g/dL未満、好ましくは約1g/dL未満のブタン保持容量を指す。
【0069】
蒸発エミッションキャニスタシステム
図1は、本明細書に記載の蒸発エミッション制御キャニスタシステムのいくつかの実施形態の非限定的な例を例示しており、少なくとも一つの吸着容積、例えば燃料側の吸着容積、および少なくとも一つのベント側の吸着容積(すなわち、最初の吸着体の下流)を有する単一のキャニスタを備える。キャニスタシステム100は、支持スクリーン102、隔壁103、燃料タンクからの燃料蒸気入口104、大気に通じるベントポート105、エンジンへのパージ出口106、燃料側の吸着容積201、および少なくとも一つのベント側の吸着容積202、203、204を備える。ただし、任意の特定の吸着容積は201、202、203、204のうちの一つまたは複数を備えることができることに留意されたい。すなわち、燃料側の吸着容積は201および202を備えることができ、および/またはベント側の吸着容積は203および204を備えることができる。吸着容積は、流体(例えば、空気、ガス、または燃料蒸気)が指向性を有して連続的に接触できるように(流体連通して)連結される。
【0070】
エンジンが停止している場合、燃料タンクからの燃料蒸気は、燃料蒸気入口104を通ってキャニスタシステム100に入る。この例では、燃料蒸気は最初の燃料側の吸着容積201内に拡散し、次に少なくとも一つのベント側(すなわち下流)吸着容積内に拡散してから、キャニスタシステムのベントポート105を通って大気に放出される。エンジンが作動すると、周囲空気がベントポート105を通ってキャニスタシステム100内に引き込まれる。パージ用空気は、少なくとも一つのベント側(すなわち下流)吸着容積204、203、202、次に燃料側の吸着容積201を通って流れ、吸着容積204、203、202、201に吸着された燃料蒸気を脱着し、パージ出口106を通って内燃エンジンに入る。
【0071】
蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、キャニスタ内に空の容積を備えてもよい。本明細書で使用する用語「空の容積」は、吸着体を全く含まない容積を指す。このような容積は、エアギャップ、発泡体スペーサー、スクリーン、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の非吸着体を備えてもよい。空の容積を、図1に示される表示の容積201、202、203、204のいずれかに設置することができるか、または表示の容積201、202、203、204のいずれかの間、前、もしくは後にあることができる。
【0072】
図2は、複数の吸着容積を備える二つ以上のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムのさらなる実施形態の非限定的な例を示す。例えば、燃料側の吸着容積および少なくとも一つのベント側の吸着容積は別々のキャニスタに設置され、一つの容積(およびキャニスタ)から次の容積へ燃料蒸気が指向性を有して連続的に接触できるように、吸着容積は(流体連通で)連結される。図2に例示するように、キャニスタシステム100は、メインキャニスタ101、支持スクリーン102、隔壁103、燃料タンクからの燃料蒸気入口104、大気に通じるベントポート105、エンジンへ通じるパージ出口106、メインキャニスタ101内の最初の燃料側の吸着容積201、メインキャニスタ101内の最初の燃料側の吸着容積201の下流のベント側の吸着容積202、203、204、少なくとも一つの別のベント側の吸着容積301、302、303、304、305を備える補助キャニスタ300、およびメインキャニスタ101を補助キャニスタ300に連結する導管107を備える。メインキャニスタのものと同様に、補助キャニスタ内の別のベント側の吸着容積は、表示の容積301、302、303、304、305の複数に設置される単一の吸着体を備えることができる。
【0073】
さらに、蒸発エミッション制御キャニスタシステムの補助キャニスタは、空の容積備えることができ、図2に示される表示の容積301、302、303、304、305のいずれかにあることができるか、または表示の容積301、302、303、304、305のいずれかの間、前、もしくは後にあることができる。例えば、302、304のうちの少なくとも一つ、または両方が空の容積である。前述のように、用語「空の容積」は、吸着体を全く含まない容積を指す。このような容積は、エアギャップ、発泡体スペーサー、スクリーン、導管、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の非吸着体を備えてもよい。
【0074】
エンジンが停止している場合、燃料タンクからの燃料蒸気は、燃料蒸気入口104を通ってキャニスタシステム100に入り、メインキャニスタ101内に入る。燃料蒸気は、メインキャニスタ101内の最初の燃料側の吸着容積201、次にベント側の吸着容積(202、203、および204)を通って拡散し、導管107を通って補助キャニスタ300に入る。燃料蒸気は、ベント側の吸着容積または補助キャニスタ300内部の吸着容積301、302、303、304、305を通って拡散し、キャニスタシステムのベントポート105を通って大気中に放出される。エンジンが作動すると、周囲空気がベントポート105を通ってキャニスタシステム100内に引き込まれる。パージ用空気は、吸着容積(305、304、303、302、301、204、203、202、201)に吸着された燃料蒸気を脱着するために、ベント側の吸着容積または補助キャニスタ300内の容積305、304、303、302、301、メインキャニスタ101内のベント側の吸着容積(204、203、202)、次にメインキャニスタ101内の燃料側の吸着容積201を通って流れ、パージ出口106を通って内燃エンジンに入る。
【0075】
さらに、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、メインキャニスタと補助キャニスタとの間に空の容積を備えてもよい。
【0076】
所望の場合、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、本明細書で説明されるように、二つ以上の補助キャニスタを備えてもよい。蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、メインキャニスタと第一の補助キャニスタとの間、補助キャニスタの間、および/または最後の補助キャニスタの終端に、一つまたは複数の空の容積をさらに備えてもよい。非限定的な例として、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、メインキャニスタ、第一の補助キャニスタ、第二の補助キャニスタ、第三の補助キャニスタ、メインキャニスタと第一の補助キャニスタとの間の空の容積、第一の補助キャニスタと第二の補助キャニスタとの間の空の容積、および第三の補助キャニスタの終端の空の容積を備える。補助キャニスタのそれぞれは、一つまたは複数の追加の吸着容積をさらに備えることができる。
【0077】
必要に応じて、総吸着容積(つまり、吸着容積の合計)は、蒸発エミッション制御キャニスタシステムの容積と同じであってもよい。あるいは、総吸着容積は、蒸発エミッション制御キャニスタシステムの容積より小さくてもよい。
【0078】
したがって、一態様では、本開示は、複数のチャンバーを有する一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、各チャンバーは容積を画定し、複数のチャンバーは連結または流体連通し、流体(例えば、空気、ガス、または燃料蒸気)が一つのチャンバーから次のチャンバーへ一方向におよび連続して流れることを可能し、少なくとも一つのチャンバーは、約100nm未満の直径を有する微視的細孔、約100~100,000nmの直径を有する巨視的細孔、および巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つの微粒子吸着容積を備え、少なくとも一つの微粒子吸着容積は、(i)微粒子吸着材料の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で、圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限特性、(ii)40lpmの空気流下で0.3kPa未満の流量制限、(iii)約0.5g/dL未満のブタン保持容量、(iv)約2より大きい長さの直径に対する(L/D)比、または(v)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。
【0079】
特定の実施形態では、キャニスタシステムは、少なくとも一つの追加の吸着容積を備える。特定の実施形態では、吸着容積は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される。
【0080】
特定の実施形態では、キャニスタシステムは、少なくとも一つの燃料側の吸着容積をさらに含み、少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、8g/dLを超える公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/Lを超える公称IAC、または両方を有する。
【0081】
特定の実施形態では、キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに含み、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する。特定の実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、または両方は、8g/dL未満のBWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満のIACを有する。
【0082】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)の公称ブタン作業容量(BWC)、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)、または両方を有する少なくとも一つの燃料側の吸着容積を備える。
【0083】
特定の実施形態では、吸着容積は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される。
【0084】
特定の実施形態では、微粒子吸着容積は、約200%を超えるM/m比を有する。特定の実施形態では、微粒子吸着容積は、約2.0g/dL未満、または1.0g/dL未満、または0.5g/dL未満のブタン保持容量を有する。
【0085】
特定の実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着体は、キャニスタシステムのベント側、キャニスタシステムの燃料側、またはその両方に設置される。
【0086】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはその両方を備える。
【0087】
特定の実施形態では、吸着容積は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される。特定の実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の吸着容積、または両方は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)のBWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/LのIAC、または両方を有する。特定の実施形態では、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、または両方は、8g/dL未満のBWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満のIAC、または両方を有する。特定の実施形態では、微粒子容積は、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%より大きい比を有する。
【0088】
別の態様では、本説明は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積(すなわち、燃料タンク蒸気入口104またはその近傍の吸着容積)および少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、例えばベント側の低保持容量の微粒子吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。用語「ベント側」は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積に比べて下流またはベントポートに近い位置を指す。そのため、車両が停止している間、少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、燃料タンクからベントポートまで(つまり、104から105の方向の下流)の流路内の燃料側の吸着容積の下流に設置される他のいずれかの吸着容積の前にガスタンクからの燃料蒸気と接触する。
【0089】
いくつかの実施形態では、システムは、流体、例えば燃料蒸気による連続的な接触を可能にするように構成される複数のベント側の微粒子容積、例えばベント側の低保持容量の微粒子吸着容積を備える。特定の実施形態では、例えば、吸着体は直列に連結され、そこを通る流体流路を画定する。特定の実施形態では、システムは、流体、例えば燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタを備える。
【0090】
図1および図2を参照すると、吸着体は、単一のキャニスタ内、または流体、例えば燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタ(例えば2、3、4、5、6、7、または8個のキャニスタ)内に設置されることができる。特定の実施形態では、吸着体は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタ内に設置される。例えば、特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積、例えば、ベント側の低保持容量の微粒子吸着容積は、メインキャニスタのうちの少なくとも一つの容積、例えば、図1および2を参照すると、202、203、もしくは201、および/または補助キャニスタ、例えば、301、302、303、304、もしくは305のうちの少なくとも一つの容積内にある。つまり、特定の実施形態では、低保持容量の微粒子吸着体は、メインキャニスタ201、202、203、および204の内の少なくとも一つの容積内に、補助キャニスタ301、302、303、304、305、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つの容積内にあることできる。
【0091】
本開示は、本開示から容易に理解されるであろう任意の数の組み合わせで追加の吸着容積を備えることも意図する。例えば、本明細書に記載の追加のベント側のまたは低保持容量の微粒子吸着体は、ベント側の後続吸着容積の後または下流に存在することができる。補助キャニスタが存在する場合、補助キャニスタは、ベントポート側(例えば、容積305)およびメインキャニスタ側(例えば、容積301)にベント側のまたは低保持容量の吸着容積を備え、下流のベント側の後続吸着容積(例えば、容積302、303、304)がそれらの間に設置される。同様に、ベント側のまたは低保持容量の吸着容積が補助キャニスタのメインキャニスタ側(例えば、容積301)およびメインキャニスタの補助キャニスタ側(例えば、容積204)に存在することができ、キャニスタシステムは、ベント側のまたは低保持容量の吸着体の上流にある高いブタン作業容量吸着体を備える。システムはまた、ベント側のまたは低保持容量の吸着容積(例えば、容積301)の下流にベント側の後続吸着容積(例えば、容積304)を備えるように構成されることができ、必要に応じて後続吸着容積(例えば、容積305)の後にさらに低い保持容量の吸着容積を備えることができる。
【0092】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、ベント側の微粒子吸着体は、直径が約100nm未満の微視的細孔と、直径約100~100,000nmの巨視的細孔と、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、250%、275%、280%、300%より大きい比(M/m)と、を有する。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着体は、150%~約170%、約160%~約180%、約170%~約190%、約180%~約200%、190%~約210%、200%~約220%、または220%より大きいM/m比を有する。別の実施形態では、容積比は、150%超~約1000%、約150%超~約800%、約150%超~約600%、約150%超~約500%、約150%超~約400%、約150%超~約300%、約150%超~約200%、約175%~約1000%、約175%~約800%、約175%~約600%、約175%~約500%、約175%~約400%、約175%~約300%、約175%~約200%、約200%~約800%、約200%~約600%、約200%~約500%、約200%~約400%、約200%~約300%、約300%~約800%、約300%~約600%、約300%~約500%、約300%~約400%、約400%~約800%、約400%~約600%、約400%~約500%、約500%~約800%、約500%~約600%、または約600%~約800%である。
【0093】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、ベント側の微粒子吸着容積、例えば、ベント側の低保持容量の微粒子吸着容積は、40lpmの空気流下で約0.3kPa未満の流量制限、46cm/秒の見かけの線形気流速度下で40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性、または両方を有する。
【0094】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、ベント側の微粒子吸着容積、例えばベント側の低保持容量の微粒子吸着容積は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5以上で、その間の全ての値を含む長さの直径に対する比(L/D)を有する。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積は、約2より大きいL/D比を有し細長い。特定の実施形態では、L/D比は、約1.0~約6.0、約1.25~約5.75、約1.5~約5.5、約1.75~約5.0、または約2~約4.75である。
【0095】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、例えば、ベント側の低保持容量の微粒子吸着容積は、約2g/dL以下、約1.5g/dL以下、約1g/dL以下、約0.9g/dL以下、約0.8g/dL以下、約0.7g/dL以下、約0.6g/dL以下、約0.5g/dL以下、約0.4g/dL以下、約0.3g/dL以下、約0.2g/dL、または約0.1g/dL以下のブタン保持容量を有する。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、例えば、ベント側の低保持容量の微粒子吸着容積は、約0.01g/dL~約2.5g/dL、約0.01g/dL~約2.0g/dL、約0.01g/dL~約1.5g/dL、約0.01g/dL~約1.0g/dL、約0.01g/dL~約0.75g/dL、約0.25g/dL~約1.00g/dL、約0.25g/dL~約0.75g/dL、約0.25g/dL~約0.50g/dL、約0.50g/dL~約1.00g/dL、約0.50g/dL~約0.75g/dL、または約0.75g/dL~約1.00g/dLのブタン保持容量を有する。
【0096】
本明細書に記載の微粒子吸着体、例えば本明細書に記載の低保持容量の吸着体の有利な特徴は、それが、代替品、例えば発泡体、ポリマーもしくは紙シート、またはハニカムモノリス吸着体として使用されることができるほど十分に低い流量制限特性を有することである。例えば、図21は、直径2~3mmの従来技術の微粒子吸着体が、エミッション「スクラバー」としてキャニスタシステムのベント側に用いられる市販のカーボンハニカムの何倍の流量制限になるかを示す。したがって、態様または実施形態のいずれかでは、ベント側の微粒子吸着体、例えば、ベント側の低保持容量の吸着体は、約3~10mm、約3~9mm、約3~8mm、約3~7mm、約3~6mm、約3~5mm、または約3~4mmの粒子径を有する。
【0097】
特定の実施形態では、メインキャニスタは高ブタン作業容量吸着体を備え、メインキャニスタのベント側および/または補助キャニスタのメインキャニスタ側は本明細書に記載の低保持容量の微粒子吸着体を備え、ならびに補助キャニスタのベント部はベント側の後続吸着容積を備える。特定の実施形態では、ベント側の後続吸着容積は、低い流量制限の材料、例えば、発泡体、ポリマーもしくは紙シート、またはハニカム、例えば活性炭ハニカムである。
【0098】
特定の実施形態では、少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、ベント側の吸着容積に比べて高いブタン作業容量(BWC)、5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で1リットルあたり約35グラム(g/L)を超えるn-ブタンの有効増分吸着容量のうちの少なくとも一つ、または両方を有する。
【0099】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、キャニスタシステムの燃料側の吸着容積は:i)1デシリットルあたり8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25g/dL以上のグラム(g/dL)の公称ブタン作業容量(BWC)、ii)5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で1リットルあたり35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、60、65、70、75、80、85、90以上のグラムのn-ブタンの増分吸着容量(g/L)、のうちの少なくとも一つ、または両方を有する。
【0100】
特定の実施形態では、高ブタン作業容量吸着体は、高作業容量活性炭を含む。これらは、NUCHAR(登録商標)BAX 1100、NUCHAR(登録商標)BAX 1100 LD、NUCHAR(登録商標)BAX 1500、およびNUCHAR(登録商標)BAX 1700(Ingevity(登録商標)、North Charleston, South Carolina、USA)として市販されている。高ブタン作業容量容積は、高ブタン作業容量吸着体を備える複数の容積を備えることができる。例えば、メインキャニスタは、二つの高ブタン作業容量容積(例えば、NUCHAR(登録商標)BAX 1100容積、およびNUCHAR(登録商標)BAX 1500容積)を備えることができる。
【0101】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積をさらに備え、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、8、7、6、5、4、3、2、または1g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35、34、33、32、31、30、29、28、37、36、35、34、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、77、6、5、4、3、2、または1g/L未満の公称IAC、または両方を有する。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積のBWCは、約1g/dL~約8g/dL、約1g/dL~約7g/dL、約1g/dL~約6g/dL、約1~約5g/dL、約1g/dL~約4g/dL、または約1g/dL~約3g/dLである。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で約1g/L~約35g/L、約2g/L~約30g/L、約3g/L~約25g/L、約3g/L~約20g/L、約3g/L~約15g/L、または約3g/L~約10g/LのIAC(グラムn-ブタン/L)である。
【0102】
特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、i)約8、7、6、5、4、3、2、または1g/dL未満のBWC、ii)5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で約35、30、25、20、15、10、もしくは5グラム未満のn-ブタン/LのIAC、または、iii)これらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する。特定の実施形態では、後続吸着容積は活性炭ハニカムである。
【0103】
特定の実施形態では、後続吸着容積は、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着容積からの蒸気経路の上流、下流、または両方(すなわち、ベント側の後続吸着容積)である。
【0104】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、ベント側の後続/下流の吸着体/容積は、ハニカム吸着体(例えば、HCA、HCA-LBE、またはIngevity(登録商標),North Charleston,South Carolina,USAから入手可能なSquare HCA)、モノリス吸着体、または両方からなる群から選択される。
【0105】
開示の蒸発エミッション制御システムは、低いパージ条件下でも低いダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションを提供する。特定の実施形態では、開示の蒸発エミッション制御システムの蒸発エミッション性能は、50mg以下、またはCalifornia Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で定義された規制限界である20以下以内である場合がある。本明細書に記載のあらゆる態様または実施形態では、本明細書に記載の蒸発エミッションキャニスタシステムは、California Bleed Emissions Test Procedure (BETP)で測定される約175、150、125、120、115、110、100以下のベッド体積のパージで、または315、300、275、250、225、200、175、150リットル以下のパージで、約5~約50mg、約6~約50mg、約7~約50mg、約8~約50mg、約9~約50mg、約10~約50mg、約5~約45mg、約5~約40mg、約5~約35mg、約5~約30mg、約5~約20mg、約5~約15mg、または約5~約10mgの2日間DBLを有する。
【0106】
蒸発エミッション制御システムは、40g/時のブタン充填工程後に適用される210リットル以下でパージされた場合でも、低いダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションを提供することができる。いくつかの実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、40g/時のブタン充填工程後に適用される157.5リットル以下でパージされてもよい。
【0107】
蒸発エミッション制御システムは、40g/時のブタン充填工程後に適用される150BV以下でパージされる場合でも、低いダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションを提供することができる。蒸発エミッション制御システムは、40g/時のブタン充填工程後に適用される100BV以下でパージされる場合でも、低いダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションを提供することができる。いくつかの実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、40g/時のブタン充填工程後に適用される75BV以下でパージされてもよい。
【0108】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、例えば、ベント側の低保持容量の微粒子吸着容積を備え、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着体は、150%を超えるM/m比、および比較的低い流量制限特性と1.0g/dL未満のブタン保持容量とのうちの少なくとも一つ、またはその両方、を有する。例えば、特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着体は、150%を超えるM/m、および約0.5g/dL未満のブタン保持容量、46cm/秒の見かけの線形ガス流速下における圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限、40lpmの気流下で0.3kPa未満の流量制限、長さの直径に対する2を超える比(L/D)、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つ、を有する。別の実施形態では、ベント側の微粒子吸着容積は、200%を超えるM/m、および約1g/dL未満のブタン保持容量、46cm/秒の見かけの線形ガス流速下における圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限、40lpmの気流下で0.3kPa未満の流量制限、長さの直径に対する2を超える比(L/D)、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つ、を有する。
【0109】
特定の実施形態では、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着体、例えばベント側の低保持容量微粒子吸着体は、46cm/秒の見かけの線形空気流速下における圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限特性で150%より大きいM/mを有する。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着体、例えば、ベント側の低保持容量の微粒子吸着体のM/mは200%より大きく、ブタン保持容量は1g/dL未満である。特定の実施形態では、ベント側の微粒子吸着体のM/mは150%より大きく、ブタン保持容量は0.5g/dL未満である。
【0110】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積を備える複数の吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備え、ベント側の微粒子吸着容積は、例えば、(i)直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比(M/m)、(ii)約1g/dL~約0.25g/dL未満のブタン保持容量、(iii)約210mm以上の粒子径、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する低保持容量の微粒子吸着体を備える。
【0111】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)によって測定される約175、150、125、120、115、110、100以下のベッド体積のパージで、または315、300、275、250、225、200、175、150リットル以下のパージで約50、45、40、35、30、25、20mg以下の2日間DBLエミッションを有する。
【0112】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、150%を超えるM/mを有する少なくとも一つのベント側の微粒子吸着体を備え、ベント側の微粒子吸着容積、例えば、ベント側の低保持容量微粒子容積は、46cm/秒の見かけの線形ガス流速下における圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限、または40lpmの空気流下で0.3kPa未満の流量制限のうちの少なくとも一つを有し、キャニスタシステムは、BETP試験において100未満のベッド体積または210リットル未満のパージ下で、50mg以下、または20mg以下の2日目DBLエミッションを有する。
【0113】
別の態様では、本開示は、低保持容量を有する少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、一つまたは複数の低保持容量微粒子吸着材料を含む低保持容量微粒子吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタ、を備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着材料は、直径が約100nm未満の微視的細孔と、直径が約100~100,000nmの巨視的細孔と、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%より大きい比と、を有し、微粒子吸着材料は約1.0g/dL以下の保持容量を有する。
【0114】
例えば、システムは、低保持容量吸着容積の上流または前に設置される高ブタン作業容量吸着体を備える上流吸着容積を備えることができる(すなわち、高ブタン作業容量吸着容積は低保持容量吸着体の前で流体、例えば燃料蒸気と接触する)。高ブタン作業容量吸着容積は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/dL)の公称ブタン作業容量、少なくとも35g/L(例えば、少なくとも45g/L)の公称増分吸着容量(IAC)、またはその組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する吸着体を有してもよい。
【0115】
本開示のシステムは、低保持容量吸着容積の下流またはその後に設置される吸着容積を備えてもよい(すなわち、上流の吸着容積は、低保持容量吸着容積の後で燃料蒸気と接触する)。下流の吸着容積は、直径が約100nm未満の微視的細孔と、直径が約100~100,000nmの巨視的細孔と、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%以下の比と、を有する吸着体を備えてもよい。例えば、下流または後続の吸着体は、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する比が約150%以下、約145%以下、約140%以下、約135%以下、または130%以下であってもよい。
【0116】
特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、例えばベント側の低保持容量微粒子吸着容積は、一つまたは複数のベント側の後続吸着容積の代替として、またはそれと組み合わせて備えられる。少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、および/または少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、単一のキャニスタ内、または燃料蒸気(および逆にパージ用空気)によって連続的に接触できるように連結する別個のキャニスタ内のいずれかに収容されることができる。特定の実施形態では、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は、非微粒子吸着材料、例えば、発泡体、モノリス、ポリマーもしくは紙シート、またはハニカム(例えば、活性炭ハニカム)を備え、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積により、蒸気または流体の流量制限が低くなる。
【0117】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、例えば少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積の上流にある(すなわち、燃料側吸着容積または流路内の燃料蒸気入口近傍に設置される)ベント側の低保持容量微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積の下流にある(すなわち、流路のベントポート近傍に設置される)少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはそれらの組み合わせ、を備える。
【0118】
特定の実施形態では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、例えば少なくとも一つのベント側の後続吸着容積の上流にある(すなわち、燃料側吸着容積または流路内の燃料蒸気入口近傍に設置される)ベント側の低保持容量微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積の下流にある(すなわち、流路のベントポート近傍に設置される)少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、またはそれらの組み合わせ、を備える。
【0119】
いくつかの実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、一つもしくは複数の吸着容積および/または一つもしくは複数の空の容積を加熱するための一つもしくは複数の入熱ユニットをさらに備えることができる。入熱ユニットは、内部抵抗素子、外部抵抗素子、または吸着体に関連する入熱ユニットを備えることができるが、これらに限定されない。吸着体に関連する入熱ユニットは、吸着体から分離した(すなわち、吸着体と接触しない)素子であることができる。あるいは、吸着体に関連する入熱ユニットは、吸着体が付着、接着、非接着、または物理的に接触している基材または層であってもよい。吸着体に関連する入熱ユニットは、好適な抵抗率を有することにより電気的に直接加熱される吸着体であってもよい。吸着体の抵抗特性を、吸着体の最初の調製において、および/または吸着体を微粒子またはモノリシック形態に形成する際に、導電性または抵抗性の添加物およびバインダーを加えることにより修正することができる。導電性成分は、導電性吸着体、導電性基材、導電性添加物および/または導電性バインダーであってもよい。導電性材料を、吸着体の調製において加えても、中間の成形プロセスにおいて加えても、および/または吸着体を最終形状へ成形する際に加えてもよい。任意の様式の入熱ユニットを用いることができる。非限定的な例として、入熱ユニットとしては、熱伝達流体、熱交換器、熱伝導性要素、および正の温度係数材料が挙げられる。入熱ユニットは、加熱される流路長に沿って均一であってもなくてもよい(すなわち、局所的に異なる強度を与えても与えなくてもよい)。さらに、入熱ユニットを、加熱される流路長に沿った様々な点で、加熱強度および加熱時間をより大きくするように分配してもしなくてもよい。
【0120】
一般的に、低保持容量微粒子吸着体は、直径が約100nm未満の微視的細孔と、直径が約100~100,000nmの巨視的細孔と、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比と、を有し、微粒子吸着材料は約1.0g/dL以下の保持容量を有する、吸着体を備える。
【0121】
記載されているように、吸着容積の調製に用いられる任意の好適な吸着材料としては、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。活性炭は、様々な炭素前駆体に由来する。非限定的な例として、炭素前駆体は木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、例えばもみ殻もしくはわら、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせであってもよい。さらに、活性炭は、化学的活性化、熱的活性化、またはそれらの組み合わせを含む様々なプロセスを用いて製造されてもよいが、これらに限定されない。
【0122】
記載される低保持容量微粒子吸着体は、(木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの材料に由来してもよい)活性炭、炭、モレキュラーシーブ、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、粘土、多孔質シリカ、カオリン、ゼオライト、金属有機構造体、チタニア、セリア、またはこれら組み合わせのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0123】
様々な吸着体の形態を用いることができる。吸着体の形態の非限定的な例としては、粒状、ペレット、球状、ハニカム、モノリス、ペレット状の円筒形、均一な形状の微粒子媒体、不均一な形状の微粒子媒体、押し出し形状の構造体媒体、巻回状形状の構造体媒体、折り畳まれた形状の構造体媒体、プリーツ状の構造体媒体、波形状の構造体媒体、流し込み形態の構造体媒体、接着形態の構造体媒体、不織布、織物、シート、紙、発泡体、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。吸着体は(単一の構成要素または異なる構成要素の混合体として)容積希釈体を含んでもよい。容積希釈体の非限定的な例としては、スペーサー、不活性ギャップ、発泡体、繊維、ばね、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、吸着体は、特別な薄肉断面形状、例えば中空円筒形、星形、ねじれらせん形、アスタリスク、形成されたリボン、または当技術分野の技術的範囲内の他の形状に押し出されてもよい。成形において、無機および/または有機バインダーを用いてもよい。
【0124】
ハニカム吸着体は、円形、円筒形、または正方形を含む任意の幾何学的形状であってもよいが、これらに限定されない。さらに、ハニカム吸着体のセルは任意の形状でよい。フロースルー通路のための均一な断面積のハニカム、例えば、正方形の断面セルを備える正方形のハニカム、またはらせんに巻かれた波形のハニカムは、直角のマトリックスに正方形の断面セルを備える円形のハニカムであって、様々な断面積を有する隣接する通路を備え、したがって同等にパージされない通路を備える円形のハニカムよりも優れた性能を発揮することができる。いかなる理論に束縛されることなく、ハニカム面全体のセル断面積がより均一になると、吸着サイクルとパージサイクルの両方でその部品内の流れの分布がより均一になり、したがってキャニスタシステムからのDBLエミッションがより少なくなると考えられる。
【0125】
本開示のシステムは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを燃料タンクに連結する燃料蒸気入口導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをエンジンの空気導入システムに連結する燃料蒸気パージ導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをベントし、蒸発エミッション制御キャニスタシステムにパージ用空気の吸気のためのベント導管と、またはその組み合わせ、のうちの少なくとも一つを備えてもよい。システムは、燃料蒸気入口導管から複数の吸着容積(すなわち、少なくとも一つの後続吸着容積の上流の最初の吸着容積、少なくとも一つの吸着容積は低保持容量微粒子吸着体を備える)のそれぞれを通ってベント導管までの燃料蒸気流路、ベント導管から複数の吸着容積(すなわち、後続吸着容積およびそれに続く後続吸着容積の上流の最初の吸着体)のそれぞれを通って燃料蒸気パージ出口までの空気流路、または両方、のうちの少なくとも一つを有することができる。
【0126】
別の態様では、本開示は、燃料を貯蔵するための燃料タンクと、空気導入システムを備え、燃料を消費するように構成されるエンジンと、蒸発エミッション制御キャニスタシステムと、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをエンジンの空気導入システムに連結する燃料蒸気パージ導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをベントし、蒸発エミッション制御キャニスタシステムにパージ用空気の吸気のためのベント導管と、を備える蒸発エミッション制御システムを提供し、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを燃料タンクに連結する燃料蒸気入口導管と、燃料蒸気入口導管から複数の吸着容積を通ってベント導管までの燃料蒸気流路と、ベント導管から複数の吸着容積および燃料蒸気パージ出口を通る空気流路と、によって定義される。蒸発エミッション制御システムは、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比(M/m)、および約1.0g/dL未満の保持容量、を有する低保持容量微粒子吸着体を備える少なくとも一つの低保持容量吸着容積を備える複数の吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備える。蒸発エミッション制御システムは、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタを備える。
【0127】
いくつかの実施形態では、蒸発エミッション制御システムは、パージ効率をさらに高めるために加熱ユニットを備えてもよい。非限定的な例として、蒸発エミッション制御システムは、パージ用空気、低保持容量吸着容積および/または後続吸着容積のうちの少なくとも一方、または両方を加熱するための加熱ユニットを備えてもよい。
【0128】
一態様によれば、本開示は、蒸発エミッション制御キャニスタシステムの燃料蒸気エミッションを低減する方法を提供し、方法は、燃料蒸気を微粒子吸着容積と接触させることを含み、例えば、ベント側の低保持容量微粒子吸着容積は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比を有し、微粒子吸着材料は微粒子吸着材料の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で、約40Pa/cm未満の流量制限特性を有する。
【0129】
燃料側およびベント側
別の態様では、説明は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、および約0.5g/dL未満の保持容量、または巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約200%を超える比、および約1g/dL未満の保持容量、を有する少なくとも一つの燃料側の微粒子吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、0.5g/dL未満のブタン保持容量、または巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約200%を超える比、および約1g/dL未満の保持容量を有する、一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。特定の実施形態では、燃料側の微粒子吸着容積は、ベント側の微粒子吸着容積、または両方は、見かけの線形空気流速46cm/秒がベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される場合、40Pa/cm未満の流量制限特性を有する。更なる実施形態では、少なくとも一つの燃料側の微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、または両方は、40lpmの空気流下で0.3kPa未満の流量制限を有する。別の実施形態では、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、長さの直径に対する比が2以上である。更なる実施形態では、少なくとも一つの燃料側の吸着容積は、8g/dLより大きい公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/Lより大きい公称IAC、または両方を有する。
【0130】
特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体は、約225cc/L以下(約0.5cc/g以下)の細孔容積を有する。例えば、低保持容量微粒子吸着体の細孔容積は、約200cc/L以下、約175cc/L以下、約150cc/L以下、約125cc/L以下、約100cc/L以下、約75cc/L以下、約50cc/L以下、または約25cc以下/Lとすることができる。さらなる例として、低保持容量微粒子吸着体の細孔容積は、約1.0cc/L~約225cc/L、約1.0cc/L~約200cc/L、約1.0cc/L~約175cc/L、約1.0cc/L~約150cc/L、約1.0cc/L~約125cc/L、約1.0cc/L~約100cc/L、約1.0cc/L~約75cc/L、約1.0cc/L~約50cc/L、約1.0cc/L~約25cc/L、約25cc/L~約225cc/L、約25cc/L~約200cc/L、約25cc/L~約175cc/L、約25cc/L~約150cc/L、約25cc/L~約125cc/L、約25cc/L~約100cc/L、約25cc/L~約75cc/L、約25cc/L~約50cc/L、約50cc/L~約225cc/L、約50cc/L~約200cc/L、約50cc/L~約175cc/L、約50cc/L~約150cc/L、約50cc/L~約125cc/L、約50cc/L~約100cc/L、約50cc/L~約75cc/L、約75cc/L~約225cc/L、約75cc/L~約200cc/L、約75cc/L~約175cc/L、約75cc/L~約150cc/L、約75cc/L~約125cc/L、約75cc/L~約100cc/L、約100cc/L~約225cc/L、約100cc/L~約200cc/L、約100cc/L~約175cc/L、約100cc/L~約150cc/L、約100cc/L~約125cc/L、約125cc/L~約225cc/L、約125cc/L~約200cc/L、約125cc/L~約175cc/L、約125cc/L~約150cc/L、約150cc/L~約225cc/L、約150cc/L~約200cc/L、約150cc/L~約175cc/L、約175cc/L~約225cc/L、約175cc/L~約200cc/L、または約200cc/L~約225cc/Lであってもよい。
【0131】
いくつかの他の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体は、外面および三次元の低い流れ抵抗形状または形態を画定する本体を備える。三次元の低い流れ抵抗形状または形態は、当業者が低い流れ抵抗を有することを理解する任意の形状または形態であることができる。例えば、三次元の低い流れ抵抗形状または形態は、実質的に円筒、実質的に長円柱、実質的に球体、実質的に立方体、実質的に楕円柱、実質的に長方形柱、ローブ状柱、三次元のらせんまたはスパイラル、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つであってもよい。形態の他の有用な例としては、当業者に公知の吸収カラム充填物の形状を含み、Rachigリング、クロスパーティションリング、Pall(登録商標)リング、Intalox(登録商標)サドル、Berlサドル、SuperIntalox(登録商標)サドル、Conjugateリング、Cascadeミニリング、およびLessingリングが挙げられる。形態の他の有用な例として、パスタ製造分野の当業者に公知の形状を挙げることができ、ストリップ、スプリング、コイル、コルク栓抜き、シェル、チューブのリボン状の、中実の、中空の、ローブ状の、およびローブ状で中空の複合形状、例えば、ジェメッリ、フジッリ、中空フジッリ、マカロニ、リガトーニ、チェレンターニ、ファルファッレ、ゴーミティリガーテ、カサレッツィ、カヴァテッリ、クレステディガリ、ジーリ、ルマコニ、クワッドレフィオ、ラジエーターリ、ルーテ、コンキリエ、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0132】
非限定的な例として、図3A~3Iは、複合ローブ形状(A)、四角柱形状(B)、円筒形状(C)、星形断面を有する形状(D)、クロス断面(E)、中心軸を横切る内壁を備える三角プリズム(F)、中心軸を横切らない内壁を備える三角プリズム(G)、らせん状またはねじれたリボン形状(H1と立てた外観H2)、および中空円筒(I)を含む、本開示の例示的な形状形態を示す。
【0133】
低保持容量微粒子吸着材料は、約1mm~約20mm(例えば約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、または約20mm)の断面幅を有してもよい。微粒子の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の断面幅は、約1mm~約18mm、約1mm~約16mm、約1mm~約14mm、約1mm~約12mm、約1mm~約10mm、約1mm~約8mm、約1mm~約6mm、約1mm~約4mm、約1mm~約3mm、約2mm~約20mm、約2mm~約18mm、約2mm~約16mm、約2mm~約14mm、約2mm~約12mm、約2mm~約10mm、約2mm~約8mm、約2mm~約6mm、約2mm~約4mm、約4mm~約20mm、約4mm~約18mm、約4mm~約16mm、約4mm~約14mm、約4mm~約12mm、約4mm~約10mm、約4mm~約8mm、約4mm~約6mm、約6mm~約20mm、約6mm~約18mm、約6mm~約16mm、約6mm~約14mm、約6mm~約12mm、約6mm~約10mm、約6mm~約8mm、約8mm~約20mm、約8mm~約18mm、約8mm~約16mm、約8mm~約14mm、約8mm~約12mm、約8mm~約10mm、約10mm~約20mm、約10mm~約18mm、約10mm~約16mm、約10mm~約14mm、約10mm~約12mm、約12mm~約20mm、約12mm~約18mm、約12mm~約16mm、約12mm~約14mm、約14~約20mm、約14mm~約18mm、約14mm~約16mm、約16mm~約20mm、約16mm~約18mm、または約18mm~約20mmである。
【0134】
低保持容量微粒子吸着体は、吸着体の外面と流体連通する少なくとも一つの空洞を備えてもよい。
【0135】
低保持容量微粒子吸着体は、断面が中空形状を有してもよい。
低保持容量微粒子吸着体は、少なくとも一つの外面と流体連通する少なくとも一つのチャネルを備えることができる。
【0136】
特定のさらなる実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の各部分は、約3.0mm以下の厚さを有する。例えば、低保持容量微粒子吸着体の各部分は、2.5mm以下、2.0mm以下、1.5mm以下、1.25mm以下、1.0mm以下、0.75mm以下、0.5mm以下、または0.25mm以下の厚さを有してもよい。すなわち、吸着体の各部分は、約0.1mm~約3mm、約0.1mm~約2.5mm、約0.1mm~約2.0mm、約0.1mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.0mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.2mm~約3mm、約0.2mm~約2.5mm、約0.2mm~約2.0mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.4mm~約3mm、約0.4mm~約2.5mm、約0.4mm~約2.0mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.0mm、約0.4mm~約3mm、約0.4mm~約2.5mm、約0.4mm~約2.0mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.0mm、約0.75mm~約3mm、約0.75mm~約2.5mm、約0.75mm~約2.0mm、約0.75mm~約1.5mm、約0.75mm~約1.0mm、約1.25mm~約3mm、約1.25mm~約2.5mm、約1.25mm~約2.0mm、約2.0mm~約3mm、約2.0mm~約2.5mm、または約2.5mm~約3.0mmの厚さを有してもよい。
【0137】
一実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の中空形状の少なくとも一つの外壁は、約1.0mm以下(例えば、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、または約1.0mm)の厚さを有する。例えば、低保持容量微粒子吸着体の中空形状の外壁は、約0.1mm~約1.0mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、約0.1mm~約0.3mm、約0.1mm~約0.2mm、約0.2mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.9mm、約0.2mm~約0.8mm、約0.2mm~約0.7mm、約0.2mm~約0.6mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約0.4mm、約0.2mm~約0.3mm、約0.3mm~約1.0mm、約0.3mm~約0.9mm、約0.3mm~約0.8mm、約0.3mm~約0.7mm、約0.3mm~約0.6mm、約0.3mm~約0.5mm、約0.3mm~約0.4mm、約0.4mm~約1.0mm、約0.4mm~約0.9mm、約0.4mm~約0.8mm、約0.4mm~約0.7mm、約0.4mm~約0.6mm、約0.4mm~約0.5mm、約0.5mm~約1.0mm、約0.5mm~約0.9mm、約0.5mm~約0.8mm、約0.5mm~約0.7mm、約0.5mm~約0.6mm、約0.6mm~約1.0mm、約0.6mm~約0.9mm、約0.6mm~約0.8mm、約0.6mm~約0.7mm、約0.7mm~約1.0mm、約0.7mm~約0.9mm、約0.7mm~約0.8mm、約0.8mm~約1.0mm、約0.8mm~約0.9mm、または約0.9mm~約1.0mmの範囲の厚さを有してもよい。
【0138】
さらに他の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の中空形状は、外壁間に延在し、約1.0mm以下(例えば、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、または約1.0mm)の厚さを有する少なくとも一つの内壁を有する。例えば、内壁は、約0.1mm~約1.0mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、約0.1mm~約0.3mm、約0.1mm~約0.2mm、約0.2mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.9mm、約0.2mm~約0.8mm、約0.2mm~約0.7mm、約0.2mm~約0.6mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約0.4mm、約0.2mm~約0.3mm、約0.3mm~約1.0mm、約0.3mm~約0.9mm、約0.3mm~約0.8mm、約0.3mm~約0.7mm、約0.3mm~約0.6mm、約0.3mm~約0.5mm、約0.3mm~約0.4mm、約0.4mm~約1.0mm、約0.4mm~約0.9mm、約0.4mm~約0.8mm、約0.4mm~約0.7mm、約0.4mm~約0.6mm、約0.4mm~約0.5mm、約0.5mm~約1.0mm、約0.5mm~約0.9mm、約0.5mm~約0.8mm、約0.5mm~約0.7mm、約0.5mm~約0.6mm、約0.6mm~約1.0mm、約0.6mm~約0.9mm、約0.6mm~約0.8mm、約0.6mm~約0.7mm、約0.7mm~約1.0mm、約0.7mm~約0.9mm、約0.7mm~約0.8mm、約0.8mm~約1.0mm、約0.8mm~約0.9mm、または約0.9mm~約1.0mmの範囲の厚さを有してもよい。
【0139】
特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の内壁、外壁、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つの厚さは、約1.0mm以下(例えば、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、または約1.0mm)である。例えば、低保持容量微粒子吸着体の内壁、外壁、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つの厚さは、約1.0mm以下、約0.6mm以下、または約0.4mm以下である。特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の内壁、外壁、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つは、約0.1mm~約1.0mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、約0.1mm~約0.3mm、約0.1mm~約0.2mm、約0.2mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.9mm、約0.2mm~約0.8mm、約0.2mm~約0.7mm、約0.2mm~約0.6mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約0.4mm、約0.2mm~約0.3mm、約0.3mm~約1.0mm、約0.3mm~約0.9mm、約0.3mm~約0.8mm、約0.3mm~約0.7mm、約0.3mm~約0.6mm、約0.3mm~約0.5mm、約0.3mm~約0.4mm、約0.4mm~約1.0mm、約0.4mm~約0.9mm、約0.4mm~約0.8mm、約0.4mm~約0.7mm、約0.4mm~約0.6mm、約0.4mm~約0.5mm、約0.5mm~約1.0mm、約0.5mm~約0.9mm、約0.5mm~約0.8mm、約0.5mm~約0.7mm、約0.5mm~約0.6mm、約0.6mm~約1.0mm、約0.6mm~約0.9mm、約0.6mm~約0.8mm、約0.6mm~約0.7mm、約0.7mm~約1.0mm、約0.7mm~約0.9mm、約0.7mm~約0.8mm、約0.8mm~約1.0mm、約0.8mm~約0.9mm、または約0.9mm~約1.0mmの範囲の厚さを有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の内壁は、微粒子吸着材料の中空部分から(例えば、微粒子吸着材料の中心から)外向きに外壁に向かって二方向に延在する。
【0141】
例えば、低保持容量微粒子吸着体の内壁は、微粒子吸着材料の中空部分から(例えば、微粒子吸着材料の中心から)少なくとも三方向に、または微粒子吸着材料の中空部分から(例えば、微粒子吸着材料の中心から)少なくとも四方向に外向きに外壁向かって延在してもよい。
【0142】
特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着材料は、約1mm~約20mm(例えば約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm約17mm、約18mm、約19mm、または約20mm)の長さを有してもよい。特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の長さは、約1mm~約18mm、約1mm~約16mm、約1mm~約14mm、約1mm~約12mm、約1mm~約10mm、約1mm~約8mm、約1mm~約6mm、約1mm~約4mm、約1mm~約3mm、約2mm~約20mm、約2mm~約18mm、約2mm~約16mm、約2mm~約14mm、約2mm~約12mm、約2mm~約10mm、約2mm~約8mm、約2mm~約6mm、約2mm~約4mm、約4mm~約20mm、約4mm~約18mm、約4mm~約16mm、約4mm~約14mm、約4mm~約12mm、約4mm~約10mm、約4mm~約8mm、約4mm~約6mm、約6mm~約20mm、約6mm~約18mm、約6mm~約16mm、約6mm~約14mm、約6mm~約12mm、約6mm~約10mm、約6mm~約8mm、約8mm~約20mm、約8mm~約18mm、約8mm~約16mm、約8mm~約14mm、約8mm~約12mm、約8mm~約10mm、約10mm~約20mm、約10mm~約18mm、約10mm~約16mm、約10mm~約14mm、約10mm~約12mm、約12mm~約20mm、約12mm~約18mm、約12mm~約16mm、約12mm~約14mm、約14~約20mm、約14mm~約18mm、約14mm~約16mm、約16mm~約20mm、約16mm~約18mm、または約18mm~約20mmである。
【0143】
低保持容量微粒子吸着体は、細孔形成材料、または100℃以上の温度に加熱される場合、昇華する、気化する、化学分解する、可溶化する、もしくは融解する加工助剤、バインダー、充填剤、またはその組み合わせのうちの少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【0144】
特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体は、約5%~約60%の吸着体、約60%以下の充填剤、約6%以下の細孔形成材料(または加工助剤)、約10%以下のケイ酸塩、約5%~約70%の粘土、またはこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを含む。低保持容量微粒子吸着体は、微粒子吸着材料の約5%~約60%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約60%、約30%~約50%、約30%~約40%、約40%~約60%、約40%~約50%、または約50%~約60%で存在することができる。
【0145】
充填剤は、低保持容量微粒子吸着体中に微粒子吸着材料の約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%~約60%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約60%、約30%~約50%、約30%~約40%、約40%~約60%、約40%~約50%、または約50%~約60%で存在することができる。
【0146】
低保持容量微粒子吸着体の細孔形成材料は、微粒子吸着材料の≦約6%、≦約5%、≦約4%、≦約3%、≦約2%、または≦約1%で存在することができる。
【0147】
低保持容量微粒子吸着体のケイ酸塩は、微粒子吸着材料の≦約10%、≦約9%、≦約8%、≦約7%、≦約6%、≦約5%、≦約4%、≦約3%、≦約2%、または≦約1%で存在することができる。
【0148】
低保持容量微粒子吸着体の粘土は、微粒子吸着材料の約5%~約70%、5%~約60%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、約30%~約40%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%、約50%~約70%、約50%~約60%、または60%~約70%で存在してもよい。
【0149】
低保持容量微粒子吸着体の細孔形成材料(または加工助剤)は、昇華する、蒸発する、化学分解する、可溶化する、または溶融すると、巨視的細孔を生成する。これにより、低保持容量微粒子吸着材料の空間的な希釈が得られる。細孔形成材料は、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノールホルムアルデヒド樹脂(ノボラック、レゾール)、ポリエチレンまたはポリエステル樹脂であってもよい。セルロース誘導体は、メチル基を有する、ならびに/またはヒドロキシプロピル基および/もしくはヒドロキシエチル基による部分置換を有するコポリマーを含んでもよい。細孔形成材料または加工助剤は、約125℃~約640℃の範囲の温度に加熱される場合、昇華、蒸発、化学分解、可溶化、または融解する場合がある。例えば、低保持容量微粒子吸着体の加工助剤は、約125℃~約600℃、約125℃~約550℃、約125℃~約500℃、約125℃~約450℃、約125℃~約400℃、約125℃~約350℃、約125℃~約300℃、約125℃~約250℃、約125℃~約200℃、約125℃~約150℃、約150℃~約640℃、150℃~約600℃、約150℃~約550℃、約150℃~約500℃、約150℃~約450℃、約150℃~約400℃、約150℃~約350℃、約150℃~約300℃、約150℃~約250℃、約150℃~約200℃、約200℃~約640℃、200℃~約600℃、約200℃~約550℃、約200℃~約500℃、約200℃~約450℃、約200℃~約400℃、約200℃~約350℃、約200℃~約300℃、約200℃~約250℃、約250℃~約640℃、250℃~約600℃、約250℃~約550℃、約250℃~約500℃、約250℃~約450℃、約250℃~約400℃、約250℃~約350℃、約250℃~約300℃、約300℃~約640℃、300℃~約600℃、約300℃~約550℃、約300℃~約500℃、約300℃~約450℃、約300℃~約400℃、約300℃~約350℃、約350℃~約640℃、350℃~約600℃、約350℃~約550℃、約350℃~約500℃、約350℃~約450℃、約350℃~約400℃、約400℃~約640℃、400℃~約600℃、約400℃~約550℃、約400℃~約500℃、約400℃~約450℃、約450℃~約640℃、450℃~約600℃、約450℃~約550℃、約450℃~約500℃、約500℃~約640℃、500℃~約600℃、約500℃~約550℃、約550℃~約640℃、550℃~約600℃、または約600℃~約640℃の範囲の温度に加熱される場合、昇華、蒸発、化学分解、可溶化、または融解する場合がある。
【0150】
低保持容量微粒子吸着体のバインダーは粘土またはケイ酸塩材料であってもよい。例えば、低保持容量微粒子吸着体のバインダーは、ゼオライト粘土、ベントナイト粘土、モンモリロナイト粘土、イライト粘土、フレンチグリーン粘土、パスカライト粘土、レドモンド粘土、テラミン粘土、リビング粘土、フラー土粘土、オーマライト粘土、バイタルライト粘土、レクトライト粘土、コージライト、ボール粘土、カオリンまたはそれらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つであってもよい。
【0151】
低保持容量微粒子吸着体の充填剤は、形状形成および機械的完全性を支援および保存し、最終微粒子製品のマクロ細孔容積の量を高めるために、微粒子吸着体構造で機能することができる。一実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の充填剤は、ミクロンサイズ以上であってもよい固体または中空の微小球である。別の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体の充填剤は、無機充填剤、例えばガラス材料および/またはセラミック材料である。低保持容量微粒子吸着体の充填剤は、上記の利点を提供する、当業者が理解する任意の好適な充填剤であってもよい。
【0152】
低保持容量微粒子吸着材料は、直径が約100nm未満の微視的細孔を有する吸着体、および100℃以上の温度に加熱された場合、昇華、蒸発、化学分解、可溶化、または融解する細孔形成材料または加工助剤と混合することにより、ならびに混合物を約100℃~約1200℃の範囲の温度に約0.25時間~約24時間加熱して、コア材料が昇華、蒸発、化学分解、可溶化、または溶融した場合、直径約100~100,000nmの巨視的細孔を形成することにより調製されることができ、吸着体中の巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する比は150%より大きい。吸着体は、本開示を通して論じられる低保持容量微粒子吸着材料の特徴のいずれかを有することができる。
【0153】
混合物は、約100℃~約1200℃、約100℃~約1000℃、約100℃~約900℃、約100℃~約800℃、約100℃~約700℃、約100℃~約600℃、約100℃~約500℃、約100℃~約400℃、約100℃~約300℃、約100℃~約200℃、約200℃~約1200℃、約200℃~約1100℃、約200℃~約1000℃、約200℃~約900℃、約200℃~約800℃、約200℃~約700℃、約200℃~約600℃、約200℃~約500℃、約200℃~約400℃、約200℃~約300℃、約300℃~約1200℃、約300℃~約1100℃、約300℃~約1000℃、約300℃~約900℃、約300℃~約800℃、約300℃~約700℃、約300℃~約600℃、約300℃~約500℃、約300℃~約400℃、約400℃~約1200℃、約400℃~約1100℃、約400℃~約1000℃、約400℃~約900℃、約400℃~約800℃、約400℃~約700℃、約400℃~約600℃、約400℃~約500℃、約500℃~約1200℃、約500℃~約1100℃、約500℃~約1000℃、約500℃~約900℃、約500℃~約800℃、約500℃~約700℃、約500℃~約600℃、約600℃~約1200℃、約600℃~約1100℃、約600℃~約1000℃、約600℃~約900℃、約600℃~約800℃、約600℃~約700℃、約700℃~約1200℃、約700℃~約1100℃、約700℃~約1000℃、約700℃~約900℃、約700℃~約800℃、約800℃~約1200℃、約800℃~約1100℃、約800℃~約1000℃、約800℃~約900℃、約900℃~約1200℃、約900℃~約1100℃、約900℃~約1000℃、約1000℃~約1200℃、約1000℃~約1100℃、または約1100℃~約1200℃に加熱されてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、混合物の加熱は、約2.5℃/分、約1.0℃/分、約1.25℃/分、約1.5℃/分、約1.75℃/分、約2.0℃/分、約2.25℃/分、約2.75℃/分、約3.0℃/分、約3.25℃/分、約3.5℃/分、約3.75℃/分、約4.0℃/分、または約4.25℃/分のランプ速度を含む。例えば、ランプ速度は、約0.5℃/分~約20℃/分、約0.5℃/分~約15℃/分、約0.5℃/分~約10℃/分、約0.5℃/分~約5.0℃/分、約0.5℃/分~約2.5℃/分、約1.0℃/分~約20℃/分、約1.0℃/分~約15℃/分、約1.0℃/分~約10℃/分、約1.0℃/分~約5.0℃/分、約1.0℃/分~約2.5℃/分、約2.0℃/分~約20℃/分、約2.0℃/分~約15℃/分、約2.0℃/分~約10℃/分、約2.0℃/分~約5.0℃/分、約2.0℃/分~約2.5℃/分、約5.0℃/分~約20℃/分、約5.0℃/分~約15℃/分、約5.0℃/分~約10℃/分、約10℃/分~約20℃/分、約10℃/分~約15℃/分、または約15℃/分~約20℃/分であってよい。特定の実施形態では、加熱ランプ速度は、約20℃/分~約100℃/分、30℃/分~約100℃/分、40℃/分~約100℃/分、50℃/分~約100℃/分、60℃/分~約100℃/分、70℃/分~約100℃/分、80℃/分~約100℃/分、または90℃/分~約100℃/分である。
【0155】
例えば、温度へのランプは、約5分~約2時間、約5分~約1.75時間、約5分~約1.5時間、約5分~約1.25時間、約5分~約1.0時間、約5分~約45分、約5分~約30分、約5分~約15分、約15分~約2時間、約15分~約1.75時間、約15分~約1.5時間、約15分~約1.25時間、約15分~約1.0時間、約15分~約45分、約15分~約30分、約30分~約2時間、約30分~約1.75時間、約30分~約1.5時間、約30分~約1.25時間、約30分~約1.0時間、約30分~約45分、約45分~約2時間、約45分~約1.75時間、約45分~約1.5時間、約45分~約1.25時間、約45分~約1.0時間、約1.0時間~約2時間、約1.0時間~約1.75時間、約1.0時間~約1.5時間、約1.0~約1.25時間、約1.25~約2時間、約1.25~約1.75時間、約1.25~約1.5時間、約1.5~約2時間、約1.5~約1.75時間、または約1.75時間~約2.0時間かかる場合がある。
【0156】
別の実施形態では、混合物は、約0.25時間~約24時間の間、(すなわち、ランプ後に)温度に保持される。例えば、混合物は約0.25時間~約18時間、約0.25時間~約16時間、約0.25時間~約14時間、約0.25時間~約12時間、約0.25時間~約10時間、約0.25時間~約8時間、約0.25時間~約6時間、約0.25時間~約4時間、約0.25時間~約2時間、約1時間~約24時間、約0.25時間~約18時間、約1時間~約16時間、約1時間~約14時間、約1時間~約12時間、約1時間~約10時間、約1時間~約8時間、約1時間~約6時間、約1時間~約4時間、約1時間~約2時間、約2時間~約24時間、約2時間~約18時間、約2時間~約16時間、約2時間~約14時間、約2時間~約12時間、約2時間~約10時間、約2時間~約8時間、約2時間~約6時間、約2時間~約3時間、約3時間~約24時間、約3時間~約18時間、約3時間~約16時間、約3時間~約14時間、約3時間~約12時間、約3時間~約10時間、約3時間~約8時間、約3時間~約6時間、約3時間~約4時間、約4時間~約24時間、約4時間~約18時間、約4時間~約16時間、約4時間~約14時間、約4時間~約12時間、約4時間~約10時間、約4時間~約8時間、約4時間~約6時間、約6時間~約24時間、約6時間~約18時間、約6時間~約16時間、約6時間~約14時間、約6時間~約12時間、約6時間~約10時間、約6時間~約8時間、約8時間~約24時間、約8時間~約18時間、約8時間~約16時間、約8時間~約14時間、約8時間~約12時間、約8時間~約10時間、約10時間~約24時間、約10時間~約18時間、約10時間~約16時間、約10時間~約14時間、約10時間~約12時間、約12時間~約24時間、約12時間~約18時間、約12時間~約16時間、約12時間~約14時間、約14時間~約24時間、約14時間~約18時間、約14時間~約16時間、約16時間~約24時間、約16時間~約18時間、約18時間~約24時間、約18時間~約22時間、約18時間~約20時間、約20時間~約24時間、約20時間~約22時間、または約22時間~約24時間、温度に保持されてもよい。
【0157】
低保持容量微粒子吸着体の製造方法は、混合物を(例えば、ほぼ室温に)冷却することをさらに含むことができる。一実施形態では、混合物は約0.5~約10時間にわたって冷却されてもよい。例えば、混合物は、約0.5時間~約9時間、約0.5時間~約8時間、約0.5時間~約7時間、約0.5時間~約6時間、約0.5時間~約5時間、約0.5時間~約4時間、約0.5時間~約3時間、約0.5時間~約2時間、約0.5時間~約1時間、約5時間~約10時間、約5時間~約9時間、約5時間~約8時間、約5時間~約7時間、約5時間~約6時間、約6時間~約10時間、約6時間~約9時間、約6時間~約8時間、約6時間~約7時間、約7時間~約10時間、約7時間~約9時間、約7時間~約8時間、約8時間~約10時間、約8時間~約9時間、または約9時間~約10時間にわたって冷却されてもよい。
【0158】
低保持容量微粒子吸着体を製造するための混合物の加熱は、不活性雰囲気(例えば、窒素、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、蒸気および酸素含有量が制御された煙道ガス、またはそれらの組み合わせ)中で実施されてもよい。
【0159】
低保持容量微粒子吸着材料は、約1.0g/dL以下、約0.75g/dL以下、約0.50g/dL以下、または約0.25g/dL以下の保持容量を有することができる。例えば、低保持容量吸着体は、約0.25g/dL~約1.00g/dL、約0.25g/dL~約0.75g/dL、約0.25g/dL~約0.50g/dL、約0.50g/dL~約1.00g/dL、約0.50g/dL~約0.75g/dL、または約0.75g/dL~約1.00g/dLの保持容量を有することができる。
【0160】
本明細書に記載の任意の態様または実施形態では、低保持容量吸着体の微視的細孔の直径のうちの少なくとも一つは約100nm未満であり、巨視的細孔の直径は100nm以上および100,000nm未満であり、またはその組み合わせである。
【0161】
低保持容量微粒子吸着体の製造方法は、混合物を押出成形または圧縮して成形構造にすることをさらに含むことができる。例えば、押し出されたまたは圧縮された低保持容量微粒子吸着材料は、外表面および三次元の低い流れ抵抗形状または形態を画定する本体を備えることができる。低保持容量微粒子吸着体の低い流れ抵抗形状または形態は、例えば、吸着体について本明細書に記載の任意の形状または形態であってもよい。例えば、低保持容量微粒子吸着体の三次元の低い流れ抵抗形状または形態は、実質的に円筒、実質的に長円柱、実質的に球体、実質的に立方体、実質的に楕円柱、実質的に長方形柱、ローブ状柱、三次元のスパイラル、図3A~3Iに例示された形状または形態、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つであることができる。
【0162】
低保持容量微粒子吸着体の吸着体は、活性炭、モレキュラーシーブ、多孔質アルミナ、粘土、多孔質シリカ、ゼオライト、金属有機構造体、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0163】
低保持容量微粒子吸着体の混合物は、バインダー(例えば、粘土、ケイ酸塩、もしくはそれらの組み合わせ)、および/または充填剤をさらに含んでもよい。充填剤は、公知の充填剤または関連技術で公知となる任意の充填剤であってもよい。
【0164】
低保持容量微粒子吸着体は、約1mm~約20mmの範囲の断面幅を有してもよい。
低保持容量微粒子吸着材料は、吸着体の外面と流体連通する少なくとも一つの空洞またはチャネルを備えてもよい。低保持容量微粒子吸着体は、断面が中空形状を有してもよい。低保持容量微粒子吸着体の各部分は、約3.0mm以下の厚さを有することができる。中空形状の外壁は、3mm以下(例えば、約0.1mm~約1.0mm)の厚さを有することができる。中空形状は、例えば、約3.0mm以下(例えば、約0.1mm~約1.0mm)の厚さを有することができる外壁間に延在する内壁を有することができる。
【0165】
内壁は、内部容積(例えば、中空部分からの)、例えば中心から外向きに外壁に向かって少なくとも二つの方向、少なくとも三つの方向、または少なくとも四つの方向に延在してもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、低保持容量微粒子吸着体は、約1mm~約20mm(例えば、約2mm~約7mm)の長さを有する。
【0167】
方法
別の態様では、本開示は、蒸発エミッション制御システムにおいて燃料蒸気エミッションを低減する方法を提供し、方法は、燃料蒸気を、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積の約150%を超える比(M/m)、を備え、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、約1~0.25g/dL以下のブタン保持容量、粒子径が3~6mm、または両方を備える、ベント側の微粒子吸着体の少なくとも一つの容積と接触させることを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、方法は、燃料蒸気を本明細書に記載の少なくとも一つの燃料側の吸着容積、例えば高BWC、高IAC吸着容積に接触させ、その後、本明細書に記載の少なくとも一つのベント側の微粒子吸着体に接触させることをさらに含む。
【0169】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、吸着体は単一のキャニスタ内に設置される。特定の実施形態では、吸着体は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する複数のキャニスタ内に設置される。
【0170】
別の実施形態では、方法は、燃料蒸気を本明細書に記載の高ブタン作業容量吸着容積に、その後、ベント側の低保持容量微粒子吸着容積に接触させることを含むことができる。すなわち、高ブタン作業容量吸着体は、低保持容量微粒子吸着体に対して燃料蒸気流路内の上流に設置される。例えば、ベント側の低保持容量微粒子吸着容積がメインキャニスタの容積204に存在する場合、高ブタン作業容量吸着体は、メインキャニスタの容積203、202、201、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つ内に存在する。同様に、補助キャニスタがベント側の低保持容量微粒子吸着容積を備える場合、高ブタン作業容量吸着体を、メインキャニスタ201~204のうちの少なくとも一つの容積内に、および/または補助キャニスタのベント側の低保持容量微粒子吸着容積の前もしくは上流の補助キャニスタのうちの少なくとも一つの容積内に設置することができる。例えば、ベント側の低保持容量微粒子吸着容積が容積304内に存在する場合、高ブタン作業容量吸着体は、201~204、301~303、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つの容積内に存在する。当技術分野の当業者は、この機構を満たす多くの他の構成があることを理解するであろう。例えば、一実施形態では、メインキャニスタは(例えば、容積201~204の少なくとも一つ、またはそれらの組み合わせ内に)高ブタン作業容量吸着体を備え、一方で補助キャニスタは(例えば、容積301~305、またはそれらの組み合わせ内に)高ブタン吸着体を備える。
【0171】
本方法は、燃料蒸気を、追加のベント側の微粒子吸着容積、例えば、流体経路または蒸気経路内の別の下流または後続するベント側の低保持容量微粒子吸着容積と接触させることをさらに含んでもよく、ベント側の後続吸着体は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%以下の比を有する。例えば、メインキャニスタの容積203が低保持容量微粒子吸着体を備える場合、下流のベント側の後続吸着容積は、メインキャニスタの容積204、補助キャニスタ301~305のうちの少なくとも一つの容積、またはそれらの組み合わせ内に存在することができる。例えば、特定の実施形態では、低保持容量微粒子吸着体は、補助キャニスタのメインキャニスタ側(例えば、301~303)に存在し、下流/後続の吸着容積は、補助キャニスタのベントポート側(例えば、容積304および305)に存在する。
【0172】
つまり、特定の実施形態では、方法は、高ブタン作業容量吸着体/容積、低保持容量吸着体/容積、および後続の吸着体/容積を、燃料蒸気に燃料蒸気入口からこの順序で接触させることを含む。
【0173】
つまり、特定の実施形態では、方法は、高ブタン作業容量吸着体/容積、低保持容量吸着体/容積、および後続の吸着体/容積を、燃料蒸気に燃料蒸気入口からこの順序で接触させることを含む。
【0174】
吸着容積としての用途に好適な吸着体は、多くの異なる材料から、様々な形態で得られてもよい。単一の構成要素でも、種々の構成要素の混合体でもよい。さらに、吸着体は(単一の構成要素または異なる構成要素の混合体として)容積希釈体を含んでもよい。容積希釈体の非限定的な例としては、スペーサー、不活性ギャップ、発泡体、繊維、ばね、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【実施例
【0175】
見かけ密度の測定
標準方法ASTM D 2854-09(2014)(以下「標準方法」)を使用して、規定の標準スクリーニング方法に従って測定された平均粒子径を用いて、測定シリンダー直径の微粒子材料の平均粒子直径に対する規定の最小比10を考慮して、微粒子吸着体の見かけ密度を測定することができる。
【0176】
巨視的細孔容積の測定
巨視的細孔容積は、水銀圧入ポロシメトリー法ISO 15901-1:2016によって測定される。実施例に使用した装置は、Micromeritics Autopore V(Norcross,GA)であった。用いた試料のサイズは約0.4gで、105℃のオーブンで少なくとも1時間前処理された。Washburnの式に用いられる水銀の表面張力と接触角は、それぞれ485ダイン/cmと130°であった。本明細書で言及されるマクロ細孔は、約100nm~約100,000nmの直径を有するものである。
【0177】
微視的細孔容積の測定
微視的細孔容積は、Micromeritics ASAP 2420(Norcross, GA)を用いて窒素ガス吸着法ISO 15901-2:2006による窒素吸着ポロシメトリーによって測定される。本明細書で言及されるミクロ細孔は、約100nm未満の直径を有する細孔である。試料調製手順は、10μmHg未満の圧力まで脱ガスすることであった。微視的細孔サイズの細孔容積の測定は、0.1gの試料の77Kの等温線の脱着枝からのものであった。窒素吸着等温線データをKelvinおよびHalseyの式で分析し、Barrett、Joyner、およびHalendaのモデル(「BJH」)に従って、円筒状細孔の細孔サイズを有する細孔容積の分布を測定した。非理想係数は0.0000620であった。密度変換係数は0.0015468であった。熱蒸散剛体球の直径は3.860Åであった。分子断面積は0.162nmであった。計算に用いられた細孔径(D、Å)に関連する凝縮層の厚さ(Å)は、0.4977[ln(D)]-0.6981ln(D)+2.5074であった。等温線の目標相対圧力は次のとおりであった:0.04、0.05、0.085、0.125、0.15、0.18、0.2、0.355、0.5、0.63、0.77、0.9、0.95、0.995、0.95、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.12、0.1、0.07、0.05、0.03、0.01。実際の点は、それぞれ5mmHgまたは5%のいずれか厳しい方の絶対または相対圧力許容値範囲内で記録された。平衡化中の連続する圧力測定値間の時間は10秒であった。
【0178】
吸着容積の直径の測定
吸着容積の直径Dは「円相当直径」であり、吸着容積の容積Vおよび蒸気経路長Lから導出される。直径Dは、(4V/πL)1/2として計算される円相当の寸法である。例えば、計算の一般的な例示として、200ccの吸着容積の蒸気経路長は10cmである。直径は[(4x200)/(10π)]1/2=5.0cmである。したがって、L/Dは10cm/5cm=2.0である。
【0179】
流量制限の測定
流量制限は、図4に示すデバイスを用いて、所定の標準リットル/分(slpm)で長さ30mmの高密度充填ベッド全体の異なる形状の吸着粒子について圧力降下(Pa/cm)として測定された。具体的に、圧力降下(Pa/cm)は、10~70slpm(11.5~80.3cm/秒)の空気流範囲で、直径43mmのペレットベッドの中心で深さ30mmにわたって測定された。吸着体は、ASTM手順D2854に従って、ベッド長に沿って中点から測定して+/-15mmの穴が開けられた内径43mmのチューブ内に充填された。連続気泡発泡体を用いて、カーボンベッドを収容した。圧力パージのために、ポート1を通ってポート2の大気に圧縮空気を充填した。ポート3とポート4の間の圧力降下を測定した。真空パージでは、ポート1から真空を引き、圧力降下はポート3と4の間で測定された。流量は10~70SLPM(11.5~80.3cm/秒)から調整され、各調整で圧力降下を測定した。モノリスの場合、圧力降下(Pa/cm)は、10~70slpmでモノリス全体で測定された。直径35mmのモノリスの場合、46cm/秒での圧力降下は30lpm流量での測定値から近似され、直径29mmのモノリスの場合、46cm/秒での圧力降下は20lpm流量での測定値から近似された。
【0180】
(例えば、図4のポート1と2の間の)部品の流量制限は、キャニスタ試験に用いられるハウジング内の部品の圧力降下(kPa)として測定された。部品ハウジングの流量制限も、吸着体なしで測定された。流量は10~70SLPM(11.5~80.3cm/秒)から調整され、各調整で圧力降下を測定した。吸着体ベッドまたはモノリス部品の圧力降下kPaは、同じ流量でのハウジングの圧力降下を補正して記録された。
【0181】
キャニスタ内の吸着体ベッドの場合、上記のようにならびに図25および図30に例示するように、圧力降下は、43mm内径(ID)補助チューブ内の43x110mmベッドの基本Pa/cm対cm/秒プロットを最初に測定することにより計算された。次に、上記で計算した平均水力直径を使用して、40LPMでの圧力降下を計算し、所定のcm/秒流量での吸着体ベッドのPa/cmを測定し、計算したベッド長を掛けた。ベッド長は、容積をキャニスタベッド部分の平均断面積で割ることにより求められた。
【0182】
本明細書で使用する用語「総公称容積」は、吸着体要素の容積の合計を指し、ギャップ、ボイド、ダクト、導管、管、プレナム空間または蒸気流路に垂直な平面を横切る吸着材料のない蒸気流路の長さに沿った他の体積を含まない。例えば、図1において、キャニスタシステムの総公称容積は、吸着容積201、202、203、および204の容積の総計から、空の容積である容積を全て引いたものである。図2において、キャニスタシステムの総公称容積は、吸着容積201、202、203、204、301、302、303、304、および305の容積の総計から、空の容積である容積を全て引いたものである。
【0183】
公称容積の見かけ密度の測定
本明細書で使用する用語「公称容積の見かけ密度」という用語は、吸着容積中の代表的な吸着体の質量を吸着体の公称容積で割ったものであり、ここで、容積の長さは、吸着体要素と最初に接触する蒸気流路の垂直面と、吸着体要素を排出する蒸気流路の垂直面との間のキャニスタシステム内のその場距離として定義される。
【0184】
様々な形態の吸着体の公称容積の見かけ密度を計算する方法の非限定的な例を本明細書に記載する。
(A)吸着体要素の流路の長さ全体にわたる均一な吸着容量の粒状、ペレット状、または球状吸着体
標準方法ASTM D 2854(以下「標準法」)を用いて、微粒子吸着体、例えば燃料システムの蒸発エミッション制御に通常使用されるサイズと形状の粒状およびペレット状吸着体の公称容積の見かけ密度を測定することができる。標準方法を用いて、キャニスタシステムにある吸着体ベッドの質量の公称容積に対する比と同じ見かけ密度値を与える場合、吸着容積の見かけ密度を求めることができる。標準法による吸着体の質量は、増分吸着分析で用いられる代表的な吸着体の質量である。すなわち、吸着体試料としてどの代表材料を分析するかに応じて、吸着容積内の不活性バインダー、充填剤、および構造要素を同等に含めたり除外したりする。
【0185】
さらに、吸着容積の公称容積の見かけ密度を、以下で定義される別の見かけ密度法を用いて求めてもよい。別の方法は、標準方法では同等または好適に測定されない見かけ密度を有する公称吸着容積に適用されてもよい。さらに、その汎用的な適用性により、標準の方法の代わりに、別の見かけ密度法を微粒子吸着体に適用してもよい。別の方法は、正味の増分の容積を低減する効果のための容積内または連続する類似の吸着容積の内のスペーサー、空隙、空隙添加物よって増大された微粒子吸着体、非微粒子吸着体、および任意の形態の吸着体を含んでもよい吸着容積に適用されてもよい。
【0186】
別の見かけ密度法では、吸着容積の見かけ密度は、吸着体の質量を吸着体の体積で割ることによって得られる。
【0187】
(1)吸着容積内の代表的な吸着体の乾燥質量基準が測定される。例えば、McBain法によって吸着容積内の25.0gの総吸着体質量の0.200gの代表的試料の吸着容量が測定される。McBain法では、g-吸着体あたりg-ブタンの吸着値が得られるが、McBain分析値を吸着容積の容積特性に変換できる吸着容積の見かけ密度の分子については、適用可能な質量は25.0gである。
【0188】
(2)見かけ密度の分母の吸着体要素の容積は、キャニスタシステム内に表面蒸気流路が生じるその場の幾何学的容積として定義される。容積の長さは、問題の吸着容積の表面的な蒸気流入口(すなわち、垂直な面上に吸着体が存在する点)に対して垂直な面と、問題の吸着容積の蒸気流出口(つまり、蒸気流に対して垂直な面にわたって吸着体が存在しない点)において表面的な流れに対して垂直な面とによって境界づけられる。
(B)ハニカム吸着体、モノリス吸着体、または発泡吸着体
(1)円筒状のハニカム吸着体
円筒形ハニカム吸着体の見かけ密度は、Purification Cellutions、LLC(Waynesboro,Ga)の手順SOP500-115に従って求められる。吸着体の容積は、吸着体の断面積(A)と長さ(h)の積である。吸着体の長さ(h)は、吸着体に入る蒸気またはガス流に垂直な吸着体の前面と、蒸気またはガスが吸着体を出る吸着体の背面との間の距離として定義される。容積測定値は、公称容積の測定値であり、パージのためのベッド体積比の定義にも用いられる。円形断面の円筒形ハニカム吸着体の場合、吸着体の断面積はπd/4によって求められ、ここで、dはハニカムのそれぞれの端の四点で測定された平均直径である。公称吸着容積と公称容積の見かけ密度は、次のように計算される。
【0189】
公称吸着容積=h×A
公称容積の見かけ密度=部品質量/(h×A)、
「部品質量」は、代表的な吸着体試料の吸着特性について試験した吸着体の質量であり、不活性バインダーまたは吸着性バインダーおよび充填剤の代表的な割合を含む。
【0190】
非限定的な例として、図5は、断面積Aを有するハニカム吸着体109の公称容積の境界定義を示す。蒸気またはガスは、D1からD2の方向にハニカム吸着体109を通って流れる。蒸気またはガスは、吸着体109の前面(F)に入り、吸着体109の長さ(h)を通って流れ、吸着体109の背面(B)を出る。ハニカム吸着体109の公称容積は、断面積A×長さhに等しい。同様に、図6は、発泡吸着体110の公称容積の境界定義を示す。
(2)プリーツ状吸着体、波形状吸着体、およびシート状吸着体
プリーツ状吸着体、波形状吸着体の場合、公称吸着容積には、プリーツおよび波形によって生じる全ての空隙が含まれる。容積測定値は、公称容積の測定値であり、パージのためのベッド体積比の定義にも用いられる。吸着体の公称容積および見かけ密度は、次のように計算される。
【0191】
公称吸着容積=h×A
公称容積の見かけ密度=部品質量/(h×A)、
ここで、
「部品質量」は、代表的な吸着体試料の吸着特性について試験した吸着体の質量であり、不活性バインダーまたは吸着バインダーおよび充填剤の代表的な割合を含む。
【0192】
hは吸着体の長さであり、フィルターに入る蒸気またはガス流に垂直な吸着体の前面と、蒸気またはガスがフィルターを出る吸着体の背面との間の距離として定義される。
【0193】
Aは吸着体の断面積である。
非限定的な例として、図7は、積み重ねられた波形シート吸着モノリス111の容積の境界定義を示す。押出成形されたハニカムとしてこのようなモノリスを形成することも当業者の範囲内である。
【0194】
プリーツ状吸着体の場合、吸着体の断面積はL×Wによって求められ、ここで、Lは吸着体の一方の端から吸着体の反対側の端までのX方向の距離であり、Wは吸着体の一方の端から吸着体の反対側の端までのY方向の距離である。
【0195】
非限定的な例として、図8は、単一のプリーツのまたは波形112の容積の境界定義を示す。図9は、ガス流に対するある種の透過性によりシートを通る蒸気流路を備えたプリーツ状または波形状シート113の容積の境界定義を示す。シートの面は蒸気流に垂直である。対照的に、図10は、表面がガス流に対して傾斜しているプリーツまたは波形状シート114の容積の境界定義を示す。図11は、並列の吸着シートの吸着容積115の容積の境界定義を示す。図12は、吸着スリーブの容積116の境界定義を示す。
【0196】
増分吸着容量の測定
図13は、ブタン吸着容量の測定に用いられる装置の簡略化された概略図を示す。これは当分野ではMcBain法として公知である。装置800は、試料管803内の試料パン801およびばね802、低真空ポンプ804、拡散ポンプ805、栓806、金属/Oリング真空弁807~809、ブタンシリンダ810、圧力読み取りユニット811、および装置800の構成要素を連結する少なくとも一つの導管812を備える。
【0197】
代表的な吸着体要素試料(「吸着体試料」)を、110℃で3時間以上オーブン乾燥させてから、試料管803内のばね802に取り付けられた試料パン801上に装着した。次に、試料管803を装置800に設置した。見かけ密度値の測定に、その質量の分子に不活性バインダー、充填剤、および構造要素の質量が同等に含まれる場合、吸着体試料は、吸着体要素の公称容積に代表量の不活性バインダー、充填剤、および構造成分を含むものとする。逆に、見かけ密度の値が分子内に不活性バインダー、充填剤、構造要素の質量を同等に除外する場合、吸着体試料はこれらの不活性バインダー、充填剤、構造要素を除外する。普遍的な概念は、公称容積内にブタンに対する吸着特性を容量ベースで正確に定義することである。
【0198】
試料管に1torr未満の真空を適用し、吸着体試料を105℃で1時間加熱した。次いで、カセトメーターを用いてばねの伸張量によって吸着体試料の質量を求めた。その後、試料管を25℃に温度制御された水槽に浸漬した。試料管内の圧力が10-4torrになるまで試料管から空気を排気した。選択された圧力で平衡に達するまで、n-ブタンを試料管に導入した。それぞれが約38torrおよび約380torrで取得された、四つの選択された平衡圧の二つのデータセットに対して試験を行なった。n-ブタンの濃度は、試料管内の平衡圧力に基づくものであった。選択された平衡圧力での各テストの後、カセトメーターを用いたばねの伸張量に基づいて吸着体試料の質量を測定した。吸着体試料の増加した質量は、吸着体試料に吸着されたn-ブタンの量であった。各試験について、様々なn-ブタン平衡圧で、吸着体試料の質量(グラム)当りの吸着されたn-ブタンの質量(グラム)を求め、n-ブタンの濃度(容積%)の関数としてグラフにプロットした。一気圧における5vol%のn-ブタン濃度(容積濃度)は、試料管の内部の38torrの平衡圧によって与えられる。一気圧における50vol%のn-ブタン濃度は、試料管の内部の380torrの平衡圧によって与えられる。38torrおよび380torrにおける正確な平衡は、容易には達成され得ないので、5vol%のn-ブタン濃度および50vol%のn-ブタン濃度における吸着体試料の質量当りの吸着されたn-ブタンの質量は、目標の38torrおよび380torrの圧力近傍で収集されたデータ点を用いてグラフから内挿された。
【0199】
あるいは、McBain法の代わりに、粉体工学(例えば、粉体工学ASAP 2020)を用いて、増分ブタン吸着容量を求めることができる。
【0200】
公称増分吸着容量の測定
本明細書で使用する用語「公称増分吸着容量」は、以下の式、
公称増分吸着容量=[50vol%における吸着されたブタン-5vol%における吸着されたブタン]×公称容積の見かけ密度×1000、による吸着容量を指し:
ここで、
「50vol%における吸着されたブタン」は、50vol%のブタン濃度における、吸着体試料のグラム質量当りの吸着されたn-ブタンのグラム質量であり、
「5vol%における吸着されたブタン」は、5vol%のブタン濃度における、吸着体試料のグラム質量当りの吸着されたn-ブタンのグラム質量であり、
「公称容積の見かけ密度」は、本明細書で定義される通りである。
【0201】
ブタン作業容量の測定
標準方法ASTM D5228-16を用いて、微粒子粒状および/またはペレット状の吸着体を含有する吸着容積のブタン作業容量(BWC)を測定することができる。保持容量(g/dL)は、容積ブタン活性(g/dL)[すなわち、重量ベースの飽和ブタン活性(g/100g)に見かけ密度(g/cc)を掛けたもの]と、BWC(g/dL)との差として計算される。
【0202】
公称容積ブタン作業容量(BWC)の測定
標準方法ASTM D5228を用いて、微粒子粒状および/またはペレット状の吸着体を含有する吸着容積の公称容積ブタン作業容量(BWC)を測定することができる。
【0203】
ASTM D5228方法の修正版を用いて、微粒子、ハニカム、モノリス、および/またはシート吸着容積の公称容積ブタン作動容量(BWC)を測定することができる。修正版は、微粒子吸着体にも用いることができ、微粒子吸着体には、充填剤、空隙、構造要素、または添加物が含まれる。さらに、ASTM D5228方法の修正版は、微粒子吸着体が標準方法ASTM D5228と適合性がない、例えば試験の試料管中に16.7mLの代表的な吸着体試料を満たすのが容易でない場合に用いられる。
【0204】
ASTM D5228方法の修正版は以下の通りである。吸着体試料を、110±5℃で最低8時間オーブン乾燥し、次いで乾燥器に配置して冷却する。吸着体試料の乾燥質量を記録する。空の試験アセンブリの質量を測定してから、吸着体試料を試験アセンブリへ組み立てる。次に、試験アセンブリを流通装置の中に設置して、25℃、1気圧において500ml/分のブタン流量で最低25分(±0.2分)間、n-ブタンガスを充填する。次に、試験アセンブリをBWC試験装置から取り出す。試験アセンブリの質量を測定し、0.001グラム単位で記録する。このn-ブタン充填工程を、一定質量が達成されるまで、5分間連続して流す期間を繰り返す。例えば、直径35mm×長さ150mmのハニカム(実施例27の補助キャニスタ吸着体)の総ブタン充填時間は66分であった。公称容積が完全なまま取り出されて試験され得る場合には、試験アセンブリはハニカム部品またはモノリス部品のための容器であってよい。あるいは、公称容積は、キャニスタシステムの一部分であるか、または内容物がガス流れに対して好適に向けられた状態で、あるいはキャニスタシステム内で遭遇するように好適に再構成される必要があってもよい。
【0205】
試験アセンブリを試験装置に再実装し、25℃、1気圧において2.00リットル/分の空気で、次式による一組の選択されたパージ時間(±0.2分)パージする。パージ時間(分)=(719×公称容積(cc))/(2000(cc/分))。
【0206】
BWC試験における空気パージ流の方向は、キャニスタシステムで適用されるパージ流と同じ方向である。パージ工程の後、試験アセンブリをBWC試験装置から取り出す。試験終了後15分以内に試験アセンブリの質量を測定し、0.001グラム単位で記録する。
【0207】
次式を用いて、吸着体試料の公称容積のブタン作業容量(BWC)を求める。
公称容積のBWC(g/dL)=パージされたブタンの量(g)/公称吸着容積(dL)、
ここで、
パージされたブタンの量=充填後の試験アセンブリの質量-パージ後の試験アセンブリの質量、である。
【0208】
本明細書で使用する用語「g-総BWC」は、パージされたブタンのg-量を指す。
本明細書で使用する用語「キャニスタのおおよその総蒸気充填量」は、2日間のダイアーナル試験中のキャニスタの総重量増加を指す。それは1日目の充填量(g)+2日目の充填量(g)-バックパージ(g)に等しい。
【0209】
本明細書で使用する用語「バックパージ」は、ダイアーナル試験での1日目の冷却中の燃料タンクの真空によって生じる空気流によるキャニスタの重量損失を指す。
【0210】
ダイアーナルブリージングロス(DBL)エミッションの測定
実施例1~118の蒸発エミッション制御システムは、表1~3(図14から16を参照のこと)に示されるように選択された量およびタイプの吸着体で組み立てられる。
【0211】
各実施例は、認定されたTF-1燃料(9RVP、10vol%のエタノール)またはEPA認定のTier-3燃料(9RVP、10vol%エタノール)およびメインキャニスタに基づき22.7lmpにおける300の公称ベッド体積の乾燥空気パージ(例えば2.1Lのメインキャニスタについては630リットル)を用いて、ガソリン蒸気吸着の反復サイクリングにより、均一にあらかじめ調整された(エージングされた)。ガソリン蒸気の充填速度は40g/時であり、炭化水素組成物は50vol%であり、2リットルのガソリンを約36℃まで加熱し、200mL/分で空気を通してバブリングすることによって生成されたものである。燃料の2リットルの一定分量は、FID(水素炎イオン化検出器)によって5000ppmの破過が検出されるまで、二時間ごとに新しいガソリンに自動的に交換された。バージンキャニスタでは、最低25のエージングサイクルが用いられた。エージングサイクルの後に、単一のブタン吸着/空気パージ工程が続いた。この工程では、ブタンを40g/時で、1気圧の空気中に50vol%の濃度で5000ppmの破過まで充填し、1時間保持し、その後、乾燥空気で21分間パージし、その期間に好適な一定の空気パージ速度を選択することにより、総パージ体積を達成する。以前のブタンの充填およびパージ工程中に、大気温度が約20~25℃のチャンバー内で行った。その後、ポートを20℃で24時間密閉してキャニスタに吸収させた。
【0212】
その後、DBLエミッションは、CARB LEV III燃料(7RVP、10vol%エタノール)またはPhase II(7RVP、0vol%エタノール)で(燃料タンクの定格容量に基づいて)40vol%満たされた燃料タンクに実施例のタンクポートを取り付けることによって生成された。取り付け前に、充填された燃料タンクはベントしながら18.3℃で24時間安定化させた。タンクおよび実施例は、CARBの2日間の温度プロファイルによる温度サイクルにかけ、毎日、11時間かけて温度を18.3℃から40.6℃まで上昇させ、次いで13時間かけて18.3℃まで戻した。本発明に記載の68Lタンクおよび2.1Lキャニスタのこれらの2日間のサイクル中、ガソリン蒸気発生量は1日目で平均約34g、バックパージは平均約8.2g、および2日目の蒸気発生量は、約61.7gの正味蒸気負荷に対して平均約34.3gであった。全ての場合、1日目の加熱(1日目の蒸気発生)、1日目の冷却(バックパージ)、2日目の加熱(2日目の蒸気発生)の間、キャニスタの重量変化の実施例によって、蒸気の発生とバックパージを測定した。本発明に記載されるシステム以外の燃料システムの場合、蒸気発生およびバックパージは、特定のまたは商用の車両システムの燃料タンクおよびキャニスタを用いて上記のように測定される。エミッション試料は、加熱段階中の6時間と12時間に実施例のベントからカイナー(Kynar)バッグ中に収集された。カイナーバッグを、圧力に基づいて既知の総容量まで窒素で充填し、そしてFID中に排気して炭化水素濃度を求めた。FIDは、5000ppmブタン基準で較正された。カイナーバッグの容積、エミッション濃度、および理想的なガスを仮定して、エミッションを(ブタンとして)計算した。毎日、6時間と12時間の排出量が加えられた。CARBのプロトコルに従って、総エミッションが最大の日は「2日間のエミッション」として報告された。全ての場合、最大のエミッションは2日目に得られた。この手順は、概ねR.S.WilliamsおよびC.R.Clontzによる、”Impact and Control of Canister Bleed Emissions」と題するSAE Technical Paper 2001-01-0733に、ならびにCARB’s LEV III BETP手順(California Evaporative Emissions Standards and Test Procedures for 2001 and Subsequent Model Motor Vehicles,Mar.22,2012のD.12節)に記載されている。
【0213】
実施例1~16では、68リットルの燃料タンクおよび2.1リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#1)を使用し、メインキャニスタは2.1リットルの市販の活性炭吸着体ペレット(Ingevity,North Charleston,SC製のNUCHAR(登録商標)BAX 1500)で充填された。メインキャニスタの活性炭吸着体ペレットは、通常、長さが約2~2.8mmであり、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着材料と比較して、高BWC、低流量制限、および低M/mを有する。NUCHAR(登録商標)BAX 1500活性炭吸着体は、1.4リットルおよび0.7リットルの二つの連結する容積中に存在した。表1に示すように実施例17~25および99~100では、68リットルの燃料タンクおよび2.1リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#2)を使用し、メインキャニスタは1.4および0.4リットルの二つの連結する容積を1.8リットルのNUCHAR BAX(登録商標)1500で、ならびに0.3リットルを別の市販の活性炭吸着体ペレット(Ingevity,North Charleston,SC製のNUCHAR(登録商標)BAX LBE)で充填された。NUCHAR(登録商標)BAX 1500、NUCHAR(登録商標)BAX LBEと同様に、活性炭吸着体ペレットは、通常、長さが約2~2.8mmであり、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着材料と比較して、高BWC、低流量制限、および低M/mを有する。表1に示すように実施例26および27では、68リットルの燃料タンクおよび2.1リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#3)を使用し、メインキャニスタは1.4および0.4リットルの二つの連結する容積を1.8リットルのNUCHAR(登録商標)BAX 1500で、ならびに0.3リットルを市販の活性炭吸着体ペレット(Mahle Corporation製のMPAC I(商標))活性炭吸着体で充填された。実施例29~62および101~111では、60リットルの燃料タンクおよび2.1リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#4)を使用し、メインキャニスタは1.4および0.7リットルの二つの連結する容積を2.1リットルの市販の活性炭吸着体ペレット(Ingevity,North Charleston,SC製のNUCHAR(登録商標)BAX 1100)で充填された。NUCHAR(登録商標)BAX 1100活性炭吸着体ペレットは、通常、長さが約2~2.8mmであり、本明細書に記載のベント側の微粒子吸着材料と比較して、高BWC、低流量制限、および低M/mを有する。
【0214】
実施例63~92では、60リットルの燃料タンクおよび2.1リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#5)を使用し、メインキャニスタは1.4および0.7リットルの二つの連結する容積を2.1リットルのNUCHAR(登録商標)BAX 1100 LD(低密度)活性炭吸着体で充填された。実施例93および94では、72.7リットルの燃料タンクおよび2.875リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#6)を使用し、メインキャニスタは2.7、0.135、および0.04リットルの容積をNUCHAR(登録商標)BAX 1100活性炭吸着体で充填された。表1に示すように実施例95では、72リットルの燃料タンクおよび2.75リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#7)を使用し、メインキャニスタは1.8および0.5リットルの容積を2.3リットルのNUCHAR(登録商標)BAX 1500で、ならびに0.45リットルの容積をNUCHARBAX(登録商標)1100活性炭吸着体で充填された。実施例96では、47リットルの燃料タンクおよび1.8リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#8)を使用し、メインキャニスタはNUCHAR(登録商標)BAX 1100活性炭吸着体で充填された。実施例97~98では、68リットルの燃料タンクおよび2.1リットルのメインキャニスタ(表1および2、メインキャニスタ タイプ#9)を使用し、メインキャニスタは1.4および0.4リットルの連結する容積を1.8リットルのNUCHAR(登録商標)BAX 1500で、ならびに0.3リットルの容積を本明細書に記載の低保持容量微粒子活性炭吸着材料で充填され。
【0215】
各吸着体の特性を表1~3に示す(図14~16を参照)。存在する場合、補助キャニスタの吸着容積を表2に示す。さらに、実施例29~33、73、74、94、96、および106-111には、表1に記載の補助キャニスタの第一の吸着体の下流にある補助キャニスタに別の吸着体を備える(表3に記載、図15を参照)
表1に記載の例示的なメインキャニスタのいくつかの吸着容積の充填量と寸法を以下に示す。吸着容積201、202、203、204は、図1に示す容積を指す。表示「201+202」は、図1の図でキャニスタの右側に広がる単一の吸着容積を指す。表示「203+204」は、図1の図でキャニスタの左側に広がる単一の吸着容積を指す。
【0216】
キャニスタ タイプ#1について
201+202容積は1400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、201+202容積の蒸気流路の長さは16.7cmである。平均断面積は84cm2であり、円相当直径は10.3cmであり、L/Dは1.6である。
【0217】
203+204容積は700ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、203+204の蒸気流路の長さは16.6cmである。平均断面積は45cm2であり、円相当直径は7.6cmであり、L/Dは2.1である。
【0218】
キャニスタ タイプ#2について
201+202容積は1400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、201+202容積の蒸気流路の長さは16.7cmである。平均断面積は84cm2であり、円相当直径は10.3cmであり、L/Dは1.6である。
【0219】
203容積は400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、203の蒸気流路の長さは7.8cmである。平均断面積は51cm2であり、円相当直径は8.1cmであり、L/Dは1.0である。
【0220】
204容積は300ccのNUCHAR(登録商標)BAX LBEであり、蒸気流路の長さは7.8cmである。平均断面積は38cm2であり、円相当直径は7.0cmであり、L/Dは1.1である。
【0221】
キャニスタ タイプ#3について
201+202容積は1400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、201+202容積の蒸気流路の長さは16.7cmである。平均断面積は84cm2であり、円相当直径は10.3cmであり、L/Dは1.6である。
【0222】
203容積は400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、203の蒸気流路の長さは7.8cmである。平均断面積は51cm2であり、円相当直径は8.1cmであり、L/Dは1.0である。
【0223】
204容積は300ccのMPAC 1(商標)であり、蒸気流路の長さは7.8cmである。平均断面積は38cm2であり、円相当直径は7.0cmであり、L/Dは1.1である。
【0224】
キャニスタ タイプ#4について
201+202容積は1400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1100であり、201+202容積の蒸気流路の長さは16.7cmである。平均断面積は84cm2であり、円相当直径は10.3cmであり、L/Dは1.6である。
【0225】
203+204容積は700ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1100であり、203+204の蒸気流路の長さは16.6cmである。平均断面積は45cm2であり、円相当直径は7.6cmであり、L/Dは2.1である。
【0226】
キャニスタ タイプ#5について
201+202容積は1400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1100 LDであり、201+202容積の蒸気流路の長さは16.7cmである。平均断面積は84cm2であり、円相当直径は10.3cmであり、L/Dは1.6である。
【0227】
203+204容積は700ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1100 LDであり、203+204の蒸気流路の長さは16.6cmである。平均断面積は45cm2であり、円相当直径は7.6cmであり、L/Dは2.1である。
【0228】
キャニスタ タイプ#9について
201+202容積は1400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、201+202容積の蒸気流路の長さは16.7cmである。平均断面積は84cmであり、円相当直径は10.3cmであり、L/Dは1.6である。
【0229】
203容積は400ccのNUCHAR(登録商標)BAX 1500であり、203の蒸気流路の長さは7.8cmである。平均断面積は51cm2であり、円相当直径は8.1cmであり、L/Dは1.0である。
【0230】
204体積は、実施例101にも見られる300ccの本発明の低流量制限ペレットであり、蒸気流路の長さは7.8cmである。平均断面積は38cmであり、円相当直径は7.0cmであり、L/Dは1.1である。
【0231】
表1~3は、実施例1~111のキャニスタシステムの条件と、測定された2日間のDBLエミッションを表にまとめたものである。上述したように、California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)では20mg未満の2日間のDBLエミッションが要求される。以下の節で説明するように、150BV以下のパージ下でBETPが20mgを超えないという要件は、本開示の蒸発エミッション制御キャニスタシステムによって満たされた。
【0232】
表2に提供されるデータから分かるように、また以下で議論されるように、本開示の蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、例えば約50mg未満または約20mg未満の低い2日間のDBLを有する。実施例における吸着容積は、燃料蒸気流路を介して、すなわち、燃料蒸気入口からベントポートへの順で説明されている。「燃料側」および「ベント側」としての吸着容積の図および説明は、特定の態様および実施形態のために提供され、当業者によって理解されるように、本開示の範囲を限定しないことは言うまでもない。記載された低保持容量微粒子吸着容積は、燃料入口(図2の104)からベントポート(図2の105)までの流路内の任意の数の位置に設置されることができることが明確に考えられる。実際、一つまたは複数の記載される低保持容量微粒子吸着容積は、(i)一つまたは複数の高い作業容量の吸着容積、(ii)一つまたは複数の別の低容量の吸着容積、例えばモノリス、ハニカム、ポリマー、もしくは紙シート、または(iii)それらの任意の組み合わせ、の上流および/または下流に配置されることができる。
【0233】
例えば、図2を参照すると、特定の例では、燃料側の吸着容積201は、燃料蒸気入口104からベントポート105までの流路内の第一の吸着容積である。このような場合、蒸気流路内の別の各吸着容積(すなわち、202、203、204、301、302、303、304、および305)は、ベント側吸着容積と見なすことができる。特定の実施形態では、第一の吸着容積は、高作業容量吸着材料、例えば微粒子を含む。ただし、システムはそれほど制限されていない。例えば、高作業容量吸着材料が第一の容積の下流にあるか流路に沿った複数の吸着容積に備えられるキャニスタシステムも考えられる。特定の実施形態において、高作業容量吸着容積は、低作業容量吸着容積、例えば本明細書に記載の微粒子吸着容積、モノリス、ハニカム、ポリマーもしくは紙シート、またはそれらの組み合わせ、の上流、下流または両方にある。さらに、当業者によって認識されるように、本明細書に記載のそれぞれの吸着容積を、同じキャニスタ内もしくは別個のキャニスタ内またはその両方内に設置することができ、図2の特定の構成は記載のキャニスタシステムに限定されない。さらに、任意の数の吸着容積は、それらの間に空隙を備えることができる。
【0234】
実施例のシステム32および33は、システムの燃料蒸気側にNUCHAR(登録商標)BAX 1100 LDを備えるメインキャニスタ4を利用する。実施例32の補助キャニスタは、MPAC Iに続いて29x100活性炭ハニカム(HCA)(Ingevity(登録商標),Charleston,South Carolina,USA)を備え、実施例33の補助キャニスタは、本明細書に記載の低保持容量微粒子吸着体に続いて29x100 HCAを備える。表2から分かるように、実施例33は、比較例32(50.9mg)と比較して、実質的に低い2日間のDBL(31.1mg)を有する。同様に、実施例31(NUCHAR(登録商標)BAX1100、低保持容量微粒子吸着体、29x100 HCA)は、実施例29(44.6mg;NUCHAR(登録商標)BAX 1100、5mm NUCHAR(登録商標)BAX LBE、29x100 HCA)と比較して大幅に減少した(17.1mg)。
【0235】
さらに、実施例43、52、53、57、58、59、60、および62を含む低保持容量微粒子吸着体も、20mg未満の2日間のDBLを示した。実施例35と同様に、NUCHAR(登録商標)BAX 1100はメインキャニスタの燃料蒸気側に設置され、低保持容量微粒子吸着体が下流に(すなわち、ベントポートに向かって)存在する。同様のパージ処理(つまり、150のパージBVおよび315Lのパージ)を受けた比較例(例えば、実施例64、65、66、67、89、90、91、および68)と比較して、これらの例は実質的に低い2日間のDBLを有し、カリフォルニアBETPが要求する20mg未満であった。メインキャニスタ5(NUCHAR(登録商標)BAX 1100 LD燃料蒸気側)および保持力の低保持容量微粒子吸着体を有する補助キャニスタ(例えば、実施例80、85、79、88、86、87)を含む例ではまた、2日間のDBLは20mg未満であった。
【0236】
図17~20は、実施例31の補助キャニスタの第一の吸着体(すなわち、本明細書に記載の低保持容量吸着体)の容量対経路長関数が非単調であることを示している。すなわち、ある経路長で吸着体の容量が予想外に増加することは驚くべき予想外に観察されたことである。
【0237】
図21は、合理的な流量制限とDBLエミッション性能の目標の柔軟性を提供する際に、直径2~5mmの従来の固体微粒子吸着体(円筒形ペレット、「充填ダイヤモンド」)とのよく知られた性能トレードオフの例を示す。これらの例は、表2および3に記載のように、別の吸着体が充填された一つまたは複数のベント側の吸着容積を有するメインキャニスタ用である。40g/時ブタン充填工程後に適用されるシステム内の吸着体の総公称容積に基づく150未満のベッド体積(BV)のパージを用いるBETPプロトコル下で試験した場合(システムの説明について表1~3の従来例を参照)、カーボンハニカムの実施例のみが、チャンバー(つまり、吸着容積を含み空のホルダーより少ないチャンバー)の40標準リットル/分(slpm)で0.3kPa未満のベント側の容積の妥当な流量制限のスペースを占め、2日目のDBLエミッションで50mg未満のBETP試験結果が得られる。対照的に、3mmより小さい従来のペレットは、低コストの解決ではあるが、流量制限およびエミッション性能の間に残念なトレードオフがある。これらのペレットは、エミッション性能と一致する可能性があるが、吸着体ベッドの幾何学的な比率が必要である(例えば、直径に対するベッドの長さが短いため、過度の流量制限が課され、より好ましいベッドの比率によって妥当な流量制限が提供されるが、DBLエミッションは過剰である。上記のように、米国特許第5,957,114号の教示に従って、吸着容積またはチャンバーの寸法に小さな断面積を適用するために、長さの直径に対する比L/Dが2を超える細長いチャンバーは、同様の寸法のカーボンハニカム吸着体と比較して、従来の微粒子吸着体の低DBLエミッション応答に有利であるが(図22)、これらの従来の吸着体は過度の流量制限がある(図23)。特に、大きな直径の固体ペレット(実施例1)は、2より大きいL/Dの好ましいチャンバー形状の流量制限バリアを克服するが、システムのDBLエミッション性能は、大きな直径の固体ペレットのパージ能力が低いために、著しく損なわれる。
【0238】
図24および25は、蒸発エミッション制御キャニスタシステムでしばしば引用される流量について従来のペレットおよびカーボンハニカムの流量制限を例示する。上記のように、キャニスタシステムの製造業者は、最初に全体的な吸着チャンバーの方針を設計し、次に、特にコスト、流量制限、作業容量性能、およびブリード制御等の要因を比較してバランスを取るために、利用可能な製品を比較する。図24と25の比較では、直径43mmx長さ150mm(「43x150」)の微粒子吸着体ベッドは、直径35mmx長さ150mmのカーボンハニカム(「35x150」)、つまり直径35mmのカーボンハニカムと厚さ4mmのOリングを含まなければ微粒子吸着体を備えるチャンバーの容積充填の代表例である。Oリングまたはその他のシーラント材料の両方は、ハニカムを所定の位置に保ち、ハニカム外部スキンとチャンバー内壁との間をシールし、空気および蒸気の流れがハニカムセルを通過し、モノリス周囲の隙間を迂回しないようにする。図24では、キャニスタシステムの試験と認定で適用される典型的なよく知られている流れが強調されている。15slpmは、2.1リットルのキャニスタシステムの150BVのDBL前処理で用いられるパージ流量である。EPA GWCおよびGWC測定では、通常22.7slpmのパージ速度が用いられる。米国でのORVRの最大燃料流量は1分あたり約10ガロンであり、これは、キャニスタシステムへの約40slpmの排気される空気蒸気流を意味する。背景技術で引用されているように、ORVR下での最大流量制限についてGMによるキャニスタシステムの仕様は60slpmである。図25は、材料の流量制限特性を比較する手段として、チャンバー制限の点ではなく、微粒子の実施例についてベッドまたは直径43mmのベッドの一部の長さあたりの流量制限の点から、図21から図23のベント側の容積のガス速度の点からこれらの重要な流れを示す。明らかに、メインキャニスタチャンバー内にある通常の直径2~2.8mmの従来の固体ペレットは、カーボンハニカムに優位性がなく、その潜在的な低エミッション性能は、L/Dが2を超えることが要求されるチャンバー形状では非実用的になる。
【0239】
ベント側の充填用の従来のペレット媒体によって示される制限に対処するために、この説明では、キャニスタシステム内の少なくとも一つの容積内の微粒子吸着体であって:1)低流量制限特性(Pa/cm圧力損失)を得るために、十分に大きなサイズ、例えば公称直径の微粒子形状を採用し、それにより、有利に細長い形状のチャンバーの流量制限を緩和する、2)DBLエミッション性能を向上させるために、固体形状、例えば固体円筒形を避ける、ならびに3)低保持容量のために150+%の範囲のM/m比が得られるように、充填剤、バインダー、および押出助剤を好適に選択して調製される吸着材料であって、従来の見識に反して、低流量制限のベント側の微粒子吸着体を得る、吸着材料を使用する、微粒子吸着体を提供する。したがって、驚くべきことに、そして予想外に、本説明は、150+M/mの特性を有し、直径43mmのベッドとして測定した場合、46cm/秒の見かけの線形空気流速下における圧力降下が40Pa/cm未満の流量制限特性を有するベント側の微粒子吸着容積を備えるキャニスタシステムを提供する。
【0240】
例えば、米国特許第9,174,195号は、優れたDBLエミッション制御、良好な強度、および低保持容量を提供する低流量制限吸着微粒子材料の製造を避けて教示する。このように、本発見は驚くべきものであり、予想外のものである。さらに、米国特許出願公開第2007/78056A1号に記載されている直径2.6mm(ノギスで測定)の従来の固体活性炭ペレット、2GK-C7(Kuraray Chemical Co.,Ltd.)はまた、このような性能は流量制限を制限する大きなペレットからは得られないことを教示している。
【0241】
2GK-C7は、2010モデル年のMitsubishi Outlander(商標)「PZEV」および「米国連邦政府の(federal)」車両(すなわち、EPA Tier 2で認定され、500mg/日の2日間の完全な車両試験要件を満たす)、および2010モデル年のSuzuki SX-4車両に搭載されているキャニスタシステムに搭載されている。2010年にこのような車両用に製造されたキャニスタシステムから得られた2GK-C7はペレット直径が約2.7mmであり、本書に記載の方法を用いて測定した場合、M/m特性が164%、保持容量が約0.6g/dLである。2GK-C7ペレットの強度は、本明細書で用いられ、商業的に受け入れられる方法で99+である。「195特許」は、M/mが150%を超えるレベルに増加した大きな直径のペレットを準備する際に、保持容量が約1g/dLに漸近的に横ばいになり、強度が急激に低下し(それぞれ「195特許」の図5および6)、それにより、好適な強度および吸着特性を有する大きな直径のペレットを、150%未満、好ましくは65~150%の範囲のM/mによって画定される空間に制限することを教示している。
【0242】
特定の実施形態では、本説明は、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積を備える蒸発エミッションキャニスタシステムを提供し、微粒子吸着材料は、200%を超えるM/mおよび1g/dL未満のブタン保持容量を有する。別の実施形態では、微粒子吸着材料は、150%を超えるM/mおよび0.5g/dL未満のブタン保持容量を有する。これらの実施形態の発明の実施例が本明細書に記載されている。
【0243】
円形断面の円柱、三角形の固体、正方形の固体、五角形の固体、六角形の固体などの簡単に決められる直径以外の場合は、複雑な幾何学的形状では特徴的な直径の正確な測定が妨げられる可能性があるので、本明細書で定義されるプロトコルで測定されるPa/cm流量制限の使用はペレット直径よりも好適である。本発明の物理的な実施例の目的のために、本明細書では中空の固体壁の円筒が採用されている。それでも、中空の特性(例えば、バルク相と吸着体内部との間の薄い壁および低い拡散経路長の抵抗)を備えた低流量制限の別の形状を利用してもよく、これらの形状には、ねじれたリボン、コイルストランド、サドル、または中空シェルが含まれる。これらの形状は、より良い強度および吸着質のパージ性を付与するための条線、くぼみ、および穿孔をさらに備えてもよい。さらに、これらのより複雑な形状により、単純な円筒形よりも低い流量制限に対応できる、より小さな見かけの幾何学的「直径」が可能になり、またはそうでなければ、同様の直径の幾何学的な立体は、例えば、開いたバネ、ねじれたリボン、またはサドルを、軸方向に平行なチャネルを備えた中実壁の円筒として形成される微粒子と比較して対応する場合がある。
【0244】
図21の従来の微粒子吸着体の例とは対照的に、 図26は、図21に例示される従来の材料では不可能であった低DBLエミッションおよび低流量制限性能を提供することができる本明細書に記載の特徴を有する微粒子吸着体の実施例を示す。 本明細書に記載の材料(「本発明の実施例」)と同様に、カーボンハニカムの特定の構成は、性能ボックスを満たさない。多数の発明の実施例が、性能ボックスをカーボンハニカムによって示されるよりも低いDBLエミッションで満たし、チャンバー流量制限がカーボンハニカムのそれに近づく。これらの高性能な実施例は全て、特徴として150%を超えるM/m特性を有し、多くは200%を超えるM/m特性を有する。
【0245】
図27は、低いDBLエミッションの寄与因子であると考えられる2よりも大きい有利に高いチャンバーL/Dを有する高性能の発明の実施例を示す。図28、29、および図30は、本発明の実施例の低流量制限特性によって、有利に高いL/Dに対する低流量制限の実現可能性がどのように可能になるかを示している。46cm/秒の見かけの線形空気流速において、本発明の実施例は、同様の直径43mmのチャンバーに配置される場合、従来の直径2~2.8mmの固体の従来ペレットのPa/cm圧力降下流量制限のごく一部である。
【0246】
本発明のさらなる驚くべき態様は、先行技術、特に米国特許第9,174,195号の教示にもかかわらず、150%以上のM/m比における本発明の試料の良好な強度特性である。図42は、図26および27の実施例における微粒子吸着体のペレット強度をM/m特性の関数として示し、「LFR」は低流量制限を示す。比較のため、この試験では許容強度の一つのメトリックは35である。35強度は、車両の蒸発エミッション制御用に製造されたキャニスタシステムから得られたMPAC1(Kuraray Chemical Co.,Ltd.、図42に実線の三角形のシンボルで表示)で測定された特性である。MPAC1は、66%のM/mを含む米国特許第9,174,195号のペレットにより教示される範囲内に収まる形状と特性を備える中空、円筒形、低流量制限ペレットであり、市販のキャニスタシステムのベント側の容積内の吸着体充填物である。比較の目的で、業界で認められている二番目のメトリックは、一部のキャニスタシステムメーカーが高作業容量の2mmのNuchar(登録商標)BAX 1700活性炭ペレットに必要とする製品の最小強度仕様40である。図42から明らかなように、本発明の実施例は、低流量制限ペレットの商業的に典型的な値である35をはるかに上回り、高作業容量ペレットの最小仕様40をはるかに上回る強度を有する。図26および27の本発明のキャニスタシステムのセットの実施例について図43に示すように、本発明の低流量制限微粒子吸着体は高いM/mを有し(または、にもかかわらず)、良好なペレット強度を示しながら、DBLエミッションの優れた制御を達成することができる。キャニスタシステムの実施例における本発明のいくつかの低流量制限微粒子吸着体は、35および40の比較強度メトリックスにおける、またはそれ直下のペレット強度を有するが、試料の強度は、例えば本開示によるバインダーの配合を修正するが他の所望の特性を維持することによりさらに最適化されることができる。
【0247】
本発明の実施例の汎用性は、低パージの特に困難な条件下におけるそれらの性能により示される。例えば、米国特許第9,732,649号は、BETP試験プロトコルでテストされているように、40g/時のブタン充填工程後に適用される100BV未満、または210リットル未満のパージの低パージ条件下でDBLエミッションを非常に低いレベルに制御することは困難な場合があることを教示する。これらの低パージの負荷の下で、図31は、40g/時のブタン充填工程後に100BV未満および210リットル未満のレベルのパージが適用される実施例についてフィルター処理された図26の実施例を示し、図26および図31の全ての実施例は、メインキャニスタの外部にベント側の吸着容積が一つだけ有した。図32は、追加のベント側の微粒子がベッド(「吸着体2」)に追加される場合、低い流量制限で低いシステムエミッションが観察されることを示している。図33および34に示されるように、本発明の微粒子は、カーボンハニカムのものと同様のL/D比率を有する吸着体2チャンバー内のベッドとして収容される。より低いL/D値へのシフトは、それ以外の場合はカーボンハニカムに必要とされるスペースを消費し、断面積を制限するシーリングおよび保持Oリング、または同様のシーラントがないことを反映している。重要なことに、低パージ条件下でこれらのキャニスタシステムの低エミッションをもたらした実施例107~110の吸着体2の本発明の微粒子ベッドは、260%の高いM/m比でも51のペレット強度を有した。
【0248】
このタイプ4メインキャニスタでは、本発明のペレット吸着体を後続の吸着容積の特定の35x100カーボンハニカムと一緒に組み合わせる組み合わせで、低パージ条件下で非常に低いDBLエミッションが得られた。35x100のカーボンハニカムをシステムベント(実施例106のキャニスタシステム)に向かう最終吸着容積として使用した場合、2日目のDBLエミッションは15mgであった。しかし、本発明のペレットが43x100の吸着体2として収容する最終チャンバーを充填する場合(実施例107のキャニスタシステム)、2日目のDBL排出量はさらに少なくなり、12mgであった。業界の常識では、特に低パージ条件下で20mg未満を達成するために、DBLエミッションに最も有益なものとして、システム大気ベントに向かって作業容量が単調に減少する変化の利点を示唆しているので、この結果は驚くべきことである。本開示は、その結果を達成するためのベント側の微粒子吸着体充填物の新しいオプションであって、例えば、微粒子容積が配置されてもよい場所の柔軟性を備える複数の容積内ではなく、カーボンハニカムを収容するキャニスタシステム内のただ一つの吸着容積を備える、オプションを提供する。これまで不利に教示されていた微粒子の多孔性特性は、優れたDBLエミッション性能であることが示される。キャニスタシステムを設計する意味と機会は、例えば、既存のキャニスタシステムを利用できるという利点であり、ベント側のカーボンハニカムを収容する複数の直列の吸着容積を考慮して設計されること、そして、システムを再設計することも、改造することもなく、これらの容積のうちの一つまたは複数内にベント側の微粒子吸着溶液を選択できる柔軟性を有すること、そしてさらに、システム全体の圧力降下の制限内で、望ましいDBLエミッション性能の結果を得ることである。
【0249】
特定の実施形態では、説明は、M/mが150%より大きく、およびベント側の吸着容積の適度な流量制限を伴い、低DBLエミッションが発生する0.5g/dL未満のブタン保持容量特性を有するベント側の微粒子吸着体を備えるエミッション制御キャニスタシステムを提供する。例えば、タイプ4のメインキャニスタ(2.1Lカーボン充填物)のベント側に低流量制限の中空ペレット微粒子の直径43mm長さ100mmの吸着体ベッドを備えるチャンバーが取り付けられ、システムは、40g/時のブタン充填工程後に適用される315Lのパージ、またはその総吸着容積に対して139BVのパージでくり返えされた(実施例36~62を参照)。ベースキャニスタの2日間のDBLエミッションは76mgであった(例えば、実施例28、メインキャニスタは、43x100の外部ベント側のチャンバーなしで試験され、315Lのパージは総吸着体ベッド2.1Lの150BVであった)。キャニスタのベント側に設置される補助チャンバー内の吸着容積のL/D比は2.56であった。そのチャンバー内のペレットベッドの流量制限は、実施例47の従来技術ペレットKuraray MPAC1の、より高い0.26kPa(見かけの線形空気速度46cm/秒で13.3Pa/cmの流量制限特性)を除いて、40lpm流量で0.22kPa(見かけの線形空気流速46cm/秒で10.0Pa/cm)であった。図35および36に示すように、このキャニスタシステムには、20mg未満のエミッションを有する150+%のM/mを有する複数の発明の実施例、および低流量制限ペレットのブタン保持容量特性が0.5g/dL未満であった場合、10mg未満のいくつかの実施例がある。図44は、図35および図36の実施例における本発明の低流量制限微粒子吸着体のペレット強度を例示する。200+%をはるかに超えるM/m特性、および0.5g/dL未満のブタン保持容量特性を含む、150+%のM/mの本発明の低流量制限微粒子は、しばしば35をはるかに上回るペレット強度を有する。
【0250】
ベント側に吸着体1の補助チャンバーが取り付けられたタイプ5のメインキャニスタ(2.1Lカーボン充填)の別の実施形態が示されている。ベースキャニスタの2日間のDBLエミッションは93mgであった(例えば、実施例63、補助吸着体1チャンバーなしで試験されたメインキャニスタであり、315Lのパージは総吸着体ベッドの2.1Lの150BVであった)。補助チャンバーは、従来のペレット、低流量制限中空ペレット微粒子、またはカーボンハニカムの様々なサイズの吸着体1のベッドから成っていた。キャニスタシステムは、40g/時のブタン充填後に適用される315Lのパージ、または総公称吸着容積に対して137~147BVのパージを繰り返した。全ての実施例は同じ315Lでパージされたが、BV値は実施例間で異なるメインキャニスタの外部のベント側のチャンバーのサイズに依存した(実施例64~69、76、79、および88~92を参照)。微粒子状とハニカム状の両方の形態である試験された吸着体の図35および36の実施例と同様に、図37および38は、最も少ないエミッションは、150%を超えるM/m特性および0.5g/dL未満のブタン保持容量を有する流量制限微粒子吸着体によるものだったことを示す。この材料は、他の試験された微粒子および吸着体1容積で試験されたハニカム材料と比較して、ブリードエミッション性能が驚くほど低いため、繰り返し試験された(実施例86および87)。低流量制限微粒子の低流量制限特性(図39の見かけの線形空気速度46cm/秒で10Pa/cm)は、寸法が直径43mm長さ132mmの吸着体1のベッドの適度に低い流量制限(図40の40lpmで0.72kPa)を可能にし、それにより、3をわずかに超える良好なベッドL/D(図41を参照)を可能にし、ブリードエミッション制御の向上に貢献した。
【0251】
例示的な実施形態
一態様では、本開示は、複数のチャンバーを有する一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、各チャンバーは容積を画定し、複数のチャンバーは流体連通し、流体または蒸気が一つのチャンバーから次のチャンバーへ一方向に流れることを可能し、少なくとも一つのチャンバーは少なくとも一つの微粒子吸着容積を備え、少なくとも一つの微粒子吸着容積は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比を有する微粒子吸着体を備え、微粒子吸着容積は、微粒子吸着材料の直径43mmのベッドに適用される見かけの線形空気流速46cm/秒の条件下で40Pa/cm未満の流量制限特性を有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。
【0252】
別の態様では、本開示は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供し、ベント側の吸着容積は、見かけの線形空気流速46cm/秒がベント側の微粒子吸着容積の直径43mmのベッドに適用される場合、40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性を有する。
【0253】
別の態様では、本開示は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、および巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の低保持容量の微粒子吸着容積と、を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供し、少なくとも一つのベント側の低保持容量微粒子吸着容積は、ブタン保持容量が0.5g/dL未満である。
【0254】
別の態様では、本開示は、少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%より大きい比を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の低保持容量の微粒子吸着容積と、を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供し、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、ブタン保持容量が1g/dL未満である。
【0255】
別の態様では、本開示は、燃料を貯蔵するための燃料タンクと、空気導入システムを備え、燃料を消費するように構成されるエンジンと、少なくとも一つの燃料側の吸着容積を備える複数の吸着容積を備える一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムと、ならびに直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、および約0.5g/dL未満の保持容量を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを燃料タンクに連結する燃料蒸気入口導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをエンジンの空気導入システムに連結する燃料蒸気パージ導管と、蒸発エミッション制御キャニスタシステムをベントし、蒸発エミッション制御キャニスタシステムにパージ用空気の吸気のためのベントポートと、を備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供し、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、燃料蒸気入口導管から複数の吸着体を通ってベントポートまでの燃料蒸気流路と、ベントポートから複数の吸着容積および燃料蒸気パージ出口を通る空気流路、によって定義される。
【0256】
別の態様では、本開示は蒸発エミッション制御システムにおける燃料蒸気エミッションを低減する方法を提供し、方法は、燃料蒸気を少なくとも一つの燃料側の吸着容積を備える複数の吸着体と接触させることを含み、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100nm以上の巨視的細孔、巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約150%より大きい比、および約1.0g/dL未満の保持容量を有する微粒子吸着体を備える。
【0257】
別の実施形態では、本開示は、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、および約1.0g/dL未満の保持容量、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つの燃料側の吸着容積と、直径約100nm未満の微視的細孔、直径約100~100,000nmの巨視的細孔、巨視的細孔容積の微視的細孔容積に対する約150%を超える比、を有する微粒子吸着体を備える少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積と、を備え、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積は1.0g/dL未満のブタン保持容量を有する、一つまたは複数のキャニスタを備える蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。
【0258】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、または少なくとも一つのベント側の低保持容量微粒子容積は、40lpmの空気流下で0.3kPa未満の流量制限、見かけの線形空気流速46cm/秒が直径43mmのベッドに適用される場合の40Pa/cm未満の圧力降下の流量制限特性、長さの直径に対する2以上の比、またはそれらの組み合わせ、うちの少なくとも一つを有する。
【0259】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、または少なくとも一つのベント側の低保持容量微粒子容積は、(i)1.0g/dL未満の保持容量、(ii)巨視的細孔の容積の微視的細孔の容積に対する約200%を超える比、(iii)長さの直径に対する2以上の比、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つを有する。
【0260】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、40g/時ブタン充填工程後に適用される315リットル以下のパージで、50mg以下の2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)を有する。
【0261】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、40g/時ブタン充填工程後に適用される210リットル以下のパージで、20mg以下の2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)を有する。
【0262】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012 California Bleed Emissions Test Procedure(BETP)で測定すると、40g/時ブタン充填工程後に適用される150以下のベッド体積のパージで、50mg以下の2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)を有する。
【0263】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012 California Bleed Emissions Test Procedure (BETP)で測定すると、40g/時ブタン充填工程後に適用される100以下のベッド体積のパージでで、20mg以下の2日間のダイアーナルブリージングロス(DBL)を有する。
【0264】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つのベント側の吸着容積、またはその両方を備える。
【0265】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、吸着容積は、燃料蒸気により連続的に接触できるように連結する単一のキャニスタ内または複数のキャニスタ内に設置される。
【0266】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、もしくは少なくとも一つのベント側の低保持容量微粒子容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはこれらの組み合わせは、8g/dL未満の公称BWC、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で35g/L未満の公称IAC、または両方を有する。
【0267】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は活性炭ハニカムである。
【0268】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積、または少なくとも一つのベント側の低保持容量微粒子容積は、0.5g/dL未満の保持容量を有する。
【0269】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、燃料側の吸着容積は、少なくとも8g/dL(例えば、少なくとも10g/L)の公称ブタン作業容量(BWC)、25℃において5vol%~50vol%のn-ブタンの蒸気濃度で少なくとも35g/Lの公称増分吸着容量(IAC)、または両方を有する。
【0270】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つの燃料側の吸着容積、少なくとも一つの微粒子吸着容積、少なくとも一つのベント側の微粒子吸着容積もしくは少なくとも一つのベント側の低保持容量微粒子容積、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積、またはそれらの組み合わせは、活性炭、炭、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、ボール粘土、カオリン、チタニア、セリア、またはこれら組み合わせからなる群から選択される吸着材料を含む。
【0271】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、少なくとも一つのベント側の後続吸着容積は活性炭ハニカムである。
【0272】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、活性炭は、木、木材粉塵、木粉、コットンリンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、フルーツストーン、ナッツシェル、ナッツピット、おがくず、ヤシ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される部材を含む材料に由来する。
【0273】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、吸着体の形態は、粒状、ペレット、球状、ハニカム、モノリス、ペレット状の円筒形、均一な形状の微粒子媒体、不均一な形状の微粒子媒体、押し出し形状の構造体媒体、巻回状形状の構造体媒体、折り畳まれた形状の構造体媒体、プリーツ状の構造体媒体、波形状の構造体媒体、流し込み形態の構造体媒体、接着形態の構造体媒体、不織布、織物、シート、紙、発泡体、中空円筒形、星形、ねじれらせん形、アスタリスク、形成されたリボン、またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される部材を含むことができる。
【0274】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、吸着容積は容積希釈体を含んでもよい。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、容積希釈体は、不活性スペーサー粒子、閉じ込められた空域、発泡体、繊維、スクリーン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される要素を含む。
【0275】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれかでは、キャニスタシステムはさらに加熱ユニットを備えてもよい。
【0276】
本発明のいくつかの実施形態を示して本明細書において説明したが、こうした実施形態は単に例として提供したものであるということが理解されるであろう。当業者にとっては、この発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変形、変更及び置き換えが想到されるであろう。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的同等物によって定義される本開示の範囲内に入る全ての修正、同等物、および代替物を網羅するものである。したがって、説明および添付の特許請求の範囲は、本発明の趣旨および範囲内にあてはまる変形の全てを包含していることを意図している。
【0277】
本出願にわたって引用した全ての参考文献、特許、係属中の特許出願、公開された特許の内容が、参照によりここに明文で組み込まれているものとする。
【0278】
当業者は、ほんのわずかな通例の実験により、本明細書に記載の発明の特定の実施形態についての多くの均等物を認識するであろうし、又は確かめることができるであろう。かかる均等物は、以下の請求項に包含されることが意図される。本明細書に記載される詳細な実施例および実施形態は、解説目的のための例示としてのみ提供され、決して本発明を限定するものとはみなされないことを理解されたい。その観点での様々な改変または変更は、当分野の当業者に提案されるものであり、本出願の主旨および範囲内に含まれ、添付の請求項の範囲内で考慮される。例えば、成分の相対量は、望ましい効果を最適化するために変更されてもよく、追加的な成分が加えられてもよく、および/または類似した成分が、記載される成分のうちの一つ以上と置き換えられてもよい。本発明のシステム、方法及びプロセスに関連するさらなる有利な特徴及び機能性が、添付の請求項から明らかになることとなる。さらに、当業者は、ほんのわずかな日常的な実験により、本明細書に記載の発明の特定の実施形態についての多くの均等物を認識するであろうし、又は確かめることができるであろう。かかる均等物は、以下の請求項に包含されることが意図される。
図1
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図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
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図3H2
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