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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】頸部美容器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020002071
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021108906
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 岩男
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187335(JP,A)
【文献】特開平08-140735(JP,A)
【文献】特開2000-079169(JP,A)
【文献】特許第5314549(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頸部に装着して使用される頸部美容器であって、
背面側の一部を開放した略環状の美容器本体と、
該美容器本体に付設され頸部前面に当接する左右の前側電極部と、
該美容器本体に付設され頸部側面又は背面に当接する左右の後側電極部とを備え、
少なくとも該前側電極部と、該後側電極部とによって頸部に保持される
ことを特徴とする頸部美容器。
【請求項2】
前記後側電極部は、左右のそれぞれに2つ以上の電極を有し、左の電極同士及び右の電極同士で通電するように構成した
請求項1に記載の頸部美容器。
【請求項3】
前記前側電極部には相対的に微弱な微弱電流を通電すると共に、
前記後側電極部には相対的に強く身体に対して電気刺激を付与する電流を通電する
請求項1又は2に記載の頸部美容器。
【請求項4】
前記後側電極部が、前記美容器本体に対して、弾性を有する中空円錐台状の支持部を介して支持する
請求項1ないし3のいずれかに記載の頸部美容器。
【請求項5】
前記支持部の中空円錐台状の側面に剛性を高める補強要素を有する
請求項4に記載の頸部美容器。
【請求項6】
前記支持部の美容器本体側の起立面が頸部の対向位置に対して略平行に配置される
請求項4又は5に記載の頸部美容器。
【請求項7】
前記美容器本体は、少なくとも頸部の径方向に可撓性を有すると共に、
前記美容器本体の開放した部分の間隔を外力で変化させない、すなわち自由状態における前記前側電極部の左右の最遠部の間隔が、
前記後側電極部の前端における左右の間隔よりも大きく構成される、
請求項1ないし6のいずれかに記載の頸部美容器。
【請求項8】
前記美容器本体の前下端部が、使用者の胸鎖関節間に衝合する下向きの凸形状を成す
請求項1ないし7のいずれかに記載の頸部美容器。
【請求項9】
前記美容器本体の前面側が、略均一な高さを維持しながら、下向きに凸形状となるように屈曲して形成される
請求項8に記載の頸部美容器。
【請求項10】
前記美容器本体が電流を通電するための電源供給と制御を行う制御電源部を内装し、美容器本体だけで動作可能に構成した
請求項1ないしのいずれかに記載の頸部美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の頸部に装着する頸部美容器に関し、特に頸部に適した美容効果を奏するための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
使用者が頸部に装着して電気刺激を与える美容器が従来から提供されている。
例えば特許文献1は、生体の頸部に対して電気刺激を与えるための頸部電気刺激装置であって、装置を装着した際の使用者の負担が少なく、かつ、使用者の体動等に起因する電極の位置ずれや脱落を防止する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、頸部の板状筋に導子を適切に密着させて低周波治療を行うことができる低周波治療器が開示されている。
【0004】
特許文献3には、首形状に沿うために弾性を有した支持枠上に、低周波電流を流して患部を治療する導子部と、支持枠を首形状に保持させる首押さえ部を設け、導子部を多様な首形状に対して接触させて保持することができるように首押さえ部が伸縮自在な首用低周波治療器が開示されている。
【0005】
特許文献4には、首に取り付けられる装着部と、同装着部に設けられて生体にパルス電流を流す電極部と、同電極部にパルス電流を供給する本体部とを備える首用電気治療器において、装着部が首への装着状態を安定させるための保持部が端部に設ける構成が開示されている。
【0006】
特許文献5には、扁平な帯状のバンド体にペルティエ素子を埋設し、短い周期で繰り返し皮膚の温熱、冷却を行ない、皮膚の活性化を促すことができる美容バンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-200384号公報
【文献】特開2000-079169号公報
【文献】特開2000-202035号公報
【文献】特許第5314549号
【文献】特開平08-140735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術では、電気刺激用のパルスを頸部に印加することや、電極の位置ずれを防ぐことなどが記載されているが、頸部に電気刺激を与えたり、その他の美容効果を与えるための十分な技術が開示されているとは言い難い。
【0009】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、頸部に電気刺激やイオン導入などの美容効果を奏する頸部美容器であって、血管が集中し、刺激にも敏感な頸部において、快適で効果的な美容作用を及ぼすと共に、取り扱いも容易な頸部美容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は次のような頸部美容器を提供する。
本発明の第1の実施態様によれば、使用者の頸部に装着して使用される頸部美容器であって、背面側の一部を開放した略環状の美容器本体と、美容器本体に付設され頸部前面に当接する左右の前側電極部と、美容器本体に付設され頸部側面又は背面に当接する左右の後側電極部とを備え、少なくとも前側電極部と、後側電極部とによって頸部に保持されることを特徴とする頸部美容器を提供する。
【0011】
本発明の第2の実施態様によれば、上記の後側電極部は、左右のそれぞれに2つ以上の電極を有し、左の電極同士及び右の電極同士で通電するように構成してもよい。
【0012】
本発明の第3の実施態様によれば、上記の前側電極部には相対的に微弱な微弱電流を通電すると共に、上記の後側電極部には相対的に強く身体に対して電気刺激を付与する電流を通電してもよい。
【0013】
本発明の第4の実施態様によれば、上記の後側電極部が、美容器本体に対して、弾性を有する中空円錐台状の支持部を介して支持する構成でもよい。
【0014】
本発明の第5の実施態様によれば、上記の支持部の中空円錐台状の側面に剛性を高める補強要素を有する構成でもよい。
【0015】
本発明の第6の実施態様によれば、上記の支持部の美容器本体側の起立面が頸部の対向位置に対して略平行に配置される構成でもよい。
【0016】
本発明の第7の実施態様によれば、美容器本体は、少なくとも頸部の径方向に可撓性を有すると共に、自由状態における前側電極部の左右の最遠部の間隔が、後側電極部の前端における左右の間隔よりも大きく構成することができる。
【0017】
本発明の第8の実施態様によれば、美容器本体の前下端部が、使用者の胸鎖関節間に衝合する下向きの凸形状を成す構成でもよい。
【0018】
本発明の第9の実施態様によれば、上記の前側電極部が左右対称な略平板状であって、頸部前面と当接する表面の角をR面取り加工し、内側上の角と、外側下の角とのR径をその他の角よりも大きくした電極を備えることができる。
【0019】
本発明の第10の実施態様によれば、美容器本体の前面側が、略均一な高さを維持しながら、下向きに凸形状となるように屈曲して形成される構成でもよい。
【0020】
本発明の第11の実施態様によれば、美容器本体が電流を通電するための電源供給と制御を行う制御電源部を内装し、美容器本体だけで動作可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記構成により次のような効果を奏する。
すなわち、背面側の一部を開放した略環状の形状により、使用者が本美容器を顔面側から装着することができるので、装着しやすく、身体にぶつけたり電極が頸部を擦れて不快感を生じることが少なくなる。
また、横臥したり、背中をもたれた状態でも頸部美容器が干渉しにくく、使用者が楽な姿勢をとることができる。
【0022】
さらに、前側電極部と後側電極部とを備えて、前後のそれぞれに適した美容作用を及ぼすことができると共に、それらの電極によって頸部美容器を保持することができる。
【0023】
第2の実施態様によれば、後側電極部において左の電極同士、右の電極同士に通電することで、頸部の中心に電気刺激を与えないようにする。刺激電流が頸部の中心を通る通電方法をとると、首が締まるように感じるなどの不快な刺激に感じられることが多いことから、これを防ぐことができる。
【0024】
第3の実施態様によれば、前側電極部には相対的に微弱な微弱電流を通電することでイオン導入による美容成分の浸透などのスキンケアを行うことができる。その一方、後側電極部には相対的に強く身体に対して電気刺激を付与することで首の筋肉を鍛えたり、マッサージ効果を付与することができる。
【0025】
第4の実施態様によれば、後側電極部が、弾性を有する中空円錐台状の支持部を介して支持され、電極が上下左右どの方向にも均一に曲がることができ、電極と肌の接触を広範囲で安定させることができる。
【0026】
第5の実施態様によれば、その中空円錐台状の側面に剛性を高める補強要素、例えば当該部位を肉厚に形成することによって後側電極部の沈み込みを防ぎ、首に巻き付くようにフィットさせることができる。
背面側に補強要素である肉厚部を設けることで、電極部が前開きになりやすくして、よりフィット感を高めることもできる。
【0027】
第6の実施態様によれば、上記支持部の美容器本体側の起立面が頸部の対向位置に対して略平行に配置されることで、後側電極部を頸部に対して均一に接することができ、上記中空円錐台状と相まって電極と肌の接触を広範囲で安定させることができる。
【0028】
第7の実施態様によれば、前側電極部の左右の最遠部の間隔が、後側電極部の前端における左右の間隔よりも大きく構成することにより、美容器本体の開放部を開いていくときに、後側電極部が、首にフィットしやすく、良好な通電を得ることができる。
【0029】
第8の実施態様によれば、使用者の胸鎖関節間に衝合する下向きの凸形状を成すことによって、前側電極部が下方にずれることがなく、より適正位置での接触が安定する。また、電極以外の美容器本体が頸部に接触しにくく、不快感や電気接触の不安定がおきにくい利点を有する。
【0030】
第9の実施態様によれば、喉仏や鎖骨上方の肌への角あたりを避けることができ、快適な使用性に寄与する。
【0031】
第10の実施態様によれば、美容器本体の前面側が、略均一な高さを維持しながら、下向きに凸形状となるように屈曲して形成されることで顎を避けると共に、上記胸鎖関節間に衝合する下向きの凸形状に連続的に形成することができ、美匠性を高めることができる。
【0032】
第11の実施態様によれば、美容器本体だけで動作するので装着したまま自由に動くことができ、コードが首に巻き付いたりする恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る頸部美容器の斜視図である。
図2】本発明に係る頸部美容器の平面図である。
図3】本発明に係る頸部美容器の背面図である。
図4】後側電極部の電極を示す図である。
図5】前側電極部の電極を示す図である。
図6】支持部近傍の分解斜視図である。
図7】美容器本体の前側透過図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。図1は、本発明に係る頸部美容器の斜視図、図2は同、平面図、図3は同、背面図である。
本発明の頸部美容器(以下、単に美容器と呼ぶ)(1)は、使用者の頸部に装着して使用される頸部美容器であり、背面側、すなわち装着時に使用者の背中側の一部を開放した開放部(10a)を有する略環状の美容器本体(10)を有する。
【0035】
そして、美容器本体(10)には頸部前面に当接する左右の前側電極部(20)(20)と、美容器本体に付設され頸部側面又は背面に当接する左右の後側電極部(21)(21)とを備え、前側電極部(20)と、後側電極部(21)が頸部に適度な圧力で接することによって美容器本体(10)全体を保持できるようになっている。
【0036】
美容器本体(10)は頸部の径方向、すなわち頸部の太さに応じて拡がる向きに可撓性を有し、外装はシリコンで形成されており、略全長にわたって板バネ状部材を内装して適度な弾性力によって頸部に前側電極部(20)と後側電極部(21)を押圧するように構成している。
【0037】
美容器本体(10)の前下端部には、使用者の胸鎖関節間に衝合する下向きの凸形状部(101)を成しており、前側電極部(20)が下方にずれることを防ぐように形成している。また、前方から見たときに、V字形のシャープな印象を与え、意匠性にも寄与している。
【0038】
合わせて、本実施例の美容器本体(10)は、前面側において高さを略均一に維持しながら、下向きに凸状となるように屈曲して形成されている。この場合、前面側も十分な高さが形成されるので後述するランプの配置を行ったり、内部に制御基板を内装するスペースを確保することができる。
また、上記V字形が前面の上辺にも形成されるので、顎を避けて違和感を無くすことができると共に、全体に流麗なデザインも実現される。
【0039】
次に、本発明の電極部について説明する。図4には、後側電極部(21)の電極部について頸部と当接する面を示している。本発明において、後側電極部(21)は頸部の丸みに沿って湾曲した略平面であり、それぞれに2つの電極(210)(211)を備えている。2つの電極(210)(211)は上下に2段で配置されているが、左右に並列でもよい。
【0040】
そして、この電極(210)(211)の間で電気刺激を与えるための電流を通電する。後側電極部(21)は、所定の周波数の電流を印加するEMS(Electrical Muscle Stimulation)と呼ばれる電気的筋肉刺激を及ぼす。EMSでは数Hzから数kHzの周波数で電気刺激を肌に与えることで筋収縮を起こして筋肉運動をさせたり、緊張をほぐす作用があることが広く知られている。
【0041】
EMSによって表情筋である胸鎖乳突筋などをトレーニングし、シワ、弛みの除去を行う他、首回りのリンパ節にEMSによるドレナージュトリートメントを行うことで、リンパの流れを良くし、代謝を活性化することができる。
【0042】
EMSにおいては比較的大きな電気刺激を与えるため、頸部においては刺激を背骨に沿った首の中心に通電しないようにすることが好適である。そこで、本発明では左右の各後側電極部(21)のそれぞれに2つの電極(210)(211)を備えて、その電極間のみ通電し、左右の電極間には電気が流れないようにしている。
なお後側電極部(21)は本実施例のように2極に限らず、3極、4極と多数の電極を備えても良い。この場合でも、左右間で通電しないように配置することが望ましい。
【0043】
後側電極部(21)(21)は、美容器本体(10)に対して、弾性を有する中空円錐台状の支持部(22)(22)を介して支持される。図6は支持部(22)近傍の分解斜視図である。図示のように支持部(22)は所定の厚さを有するシリコン材料で形成された、内部が中空の円錐台形であり、その上面(220)に後側電極部(21)が取付される。孔部(221)から電極(210)(211)に向けた配線などが通される。
【0044】
本実施例において、支持部(22)の中空円錐台状の側面に補強要素として肉厚部(222)を設け、当該部位の剛性が他の部分に比べて高まるように構成している。当該肉厚部は側面の厚みを増す構成でもよいし、リブ状に突出させて形成してもよい。
また、補強を行うことが目的であるので、補強要素として他の材料を当該部位に付属させてもよい。
【0045】
このように、後側電極部(21)を支える支持部(22)が相対的に薄肉の弾性体で形成されており、その形状がすそひろがりで形成されているとき、一部分の肉厚を厚くし剛性を高めることにより、弾性体の圧縮バランスがくずれ、電極がよりソフトに美容器本体(10)の内方に沈み込むようになり(図6は手前側に沈み込んだ状態を示す)、美容器本体(10)が頸部にフィットすることができる。
【0046】
図2に示すように、上記の支持部(22)について、美容器本体(10)と接する起立面(223)が、頸部の対向位置に対して略平行に配置されることが望ましい。すなわち平面視ではやや背面側の左右の間隔が前側に比べて狭く、これは頸部が背面側に向かって細くなっていることに対応する。
本構成によって、後側電極部(21)を頸部に対して均一に接することができる。
【0047】
同じく、図2に示すように、前側電極部(20)の左右の最遠部の間隔(d)が、後側電極部(21)の前端における左右の間隔(d)よりも大きくなっている。このような位置関係にすると、美容器本体(10)の開放部を開いて頸部周りに装着した時に、後側電極部(21)がしっかりと頸部に当接して通電と保持ができると共に、前側電極部(20)で息苦しさを感じにくく、良好な使用感を得ることができる。
上記間隔は開放部を広げない自由状態における距離であり、手で広げた時に変化することはもちろんである。
【0048】
本実施例において、後側電極部(21)には、ヒーターを内蔵している。ヒーターによって首のリンパ部分を温め、リンパや血行促進や睡眠導入に有効である。特に、後側電極部(21)の電極部分を金属で構成することにより、伝熱性に優れ、低出力、低消費電力のヒーターでも十分に効果を奏することができる。
【0049】
図5には、前側電極部(20)の電極(204)を示す。前側電極部(20)には後側電極部(21)に比して微弱な電流を通電する。前側電極部(20)は頸部前面に当たり、当該部位は刺激に敏感な部位であることから、発明者の実験によればEMSに用いられるような電流を流すと刺激が強すぎて不快感を生じさせる。
【0050】
そこで、本発明では前側電極部(20)は微弱電流を流し、肌の保湿効果を有するイオン導入を行う。イオン導入は、化粧水がマイナスイオンに帯電して肌に吸着して浸透しやすくなるものであり、例えば1V~20V程度の直流電流や、パルス電流を印加することで行われる。
イオン導入に適したパルス電流は、例えば出力電圧5V程度、周波数1.5kHzなどが好ましい。
【0051】
その他、前側電極部(20)、後側電極部(21)のいずれにおいても、RF電流、例えば1Mhz程度の高周波を用いて肌の内部を温め、コラーゲン・エラスチンの生成を促し、シワ・ハリ・たるみの改善を図ることもできる。
【0052】
前側電極部(20)は左右のそれぞれが対称で、頸部の丸みに沿って湾曲した略平板状である。図5は右側の前側電極部(20)を示している。そして、頸部前面と当接する表面の角をR面取り加工し、内側上の角(200)と、外側下の角(202)とのR径をその他の角(201)(203)よりも大きく形成する。左右対称なので、左側は図5の鏡像にした外形となる。
【0053】
本構成によって美容器本体(10)の前面の形状に合致して前側電極部(20)が上下にはみ出さないだけでなく、喉仏や鎖骨上方の肌への角あたりを避けることができるので違和感のない、快適な使用感を得ることができる。
【0054】
次に本発明の制御、電源に関して説明する。
本美容器(1)は電源を本体内に収容し、ウェアラブルな製品としている。美容器本体(10)には、電流を通電するための電源供給と制御を行う制御電源部を内装し、美容器本体だけで動作可能に構成している。
【0055】
図7に示すように、制御電源部のうち、まず制御基板(110)を美容器本体(10)の前端中央部に配置している。美容器本体(10)は可撓性を有して径方向に撓るため、もっとも変動の少ない当該位置に縦方向に長手の制御基板(110)を配置する。これによって基板のクラック破損などが起きにくく、長寿命化を図ることができる。
【0056】
同様の趣旨で、上記制御基板(110)と美容器本体(10)の筐体とを結合は、美容器本体(10)が開く方向面に対して垂直または美容器本体(10)の中心面上の一直線上でなされている。
本発明における制御基板(110)は制御に係る基板の少なくとも一部を指し、例えば本実施例ではLEDを配置するための基板である。全ての基板がこの部位に設けられていることは必要ではなく、適宜分散して配置することができる。
【0057】
本実施例の制御基板(110)には、前面にレベルや動作状態を表示するLED(111)が設置されている。LED(111)は鉛直方向に4つ配置しているが、これは鏡に映して見たときでも誤認しないように工夫すると共に、前方からの意匠性を高めている。
【0058】
さらに、本発明の制御電源部について、制御電源部の所定重量割合の一部を後側電極部(21)よりも背面側に配置し、後側電極部(21)を回転中心として前側に偏ることを防止している。
具体的には、後側電極部(21)よりも背面側に充電池の重心を位置させて装着時のバランスの良さや、回転ずれが起きないように考慮している。
【0059】
上記重量割合として、後側電極部の前後方向の中心を境界として、それよりも前方の部材の重量の総和と後方の部材の重量の総和との割合が、3:1ないし1:2の範囲が特に好適である。
さらに好ましくは、後側電極部のいずれかの部位に、前後方向における全体の重心位置が収まっていることが最適である。
【0060】
本美容器(1)の操作は右側に設けた操作スイッチ(120)によって電源のオンオフや、レベルアップ、レベルダウン等を行うことができる。また、前側電極部(20)からのイオン導入や、後側電極部(21)のEMSのモード切り替えも操作スイッチ(120)等を用いて行うことができる。赤外線受光部を備えて、リモコン操作ができるようにしてもよい。
【0061】
操作スイッチ(120)の背面側にはマグネット式の充電端子(121)を配置し、これに充電ケーブルを接続することで、美容器(1)に内装した充電池の充電を行うようにしてもよい。充電池を用いることで、電源コードなどが邪魔にならず、ウェアラブルな製品を提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 美容器
10 美容器本体
10a 開放部
20 前側電極部
21 後側電極部
22 支持部
101 凸形状部
110 制御基板
111 LED
120 操作スイッチ
121 充電端子
200 角
201 角
202 角
203 角
204 電極
22 支持部
220 上面
221 孔部
222 肉厚部
223 起立面
210 電極
211 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7