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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】搬送用什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20240307BHJP
   A47B 95/02 20060101ALI20240307BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240307BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20240307BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A47B31/00 A
A47B95/02 501Z
A47B95/02 503F
A47B95/02 504A
A47B95/02 504E
B62B3/00 D
B62B5/06 Z
A61G12/00 C
A47B31/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020019747
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021122644
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.展示日 :令和1年11月6日~令和1年11月8日 展示会名、開催場所 :オカムラグランドフェア 2019 オカムラガーデンコートショールーム(東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ ガーデンコート3階) 公開者 :株式会社オカムラ 2.展示日 :令和1年11月20日~令和1年11月22日 展示会名、開催場所 :HOSPEX Japan 2019 :東京ビッグサイト 西1・2ホール(東京国際展示場) :(東京都江東区有明3‐11‐1) 公開者 :株式会社オカムラ 3.ウェブサイトの掲載日 :令和2年1月17日 ウェブサイトのアドレス: ヘルスケア[医療・福祉施設]総合カタログ2020-2021(http://gmd.okamura.jp/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=OKM05&catalogId=27535980000&pageGroupId=1&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=&keyword=) 公開者 :株式会社オカムラ
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 延忠
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-088542(JP,U)
【文献】米国特許第05788252(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0032491(US,A1)
【文献】特開2017-031629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
A47B 95/02
B62B 3/00
B62B 5/06
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を通じて内部に物品を収容可能な什器本体と、
前記什器本体の下方に設けられ床面を走行可能な走行部と、
前記什器本体の側壁に設けられたハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、
前記側壁の幅方向に離間した位置から前記側壁の厚さ方向に突出するとともに、上下方向に延びる一対の第1把持部と、
前記第1把持部に比べて弾性に優れた材料により形成され、前記第1把持部のうち前記厚さ方向で前記側壁と反対側を向く外側端部に配設されたバンパと、
一対の前記第1把持部の間を架け渡す第2把持部と、を備え
前記第2把持部は、前記バンパに対して前記厚さ方向で前記側壁寄りに位置している搬送用什器。
【請求項2】
開口部を通じて内部に物品を収容可能な什器本体と、
前記什器本体の下方に設けられ床面を走行可能な走行部と、
前記什器本体の側壁に設けられたハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、
前記側壁の幅方向に離間した位置から前記側壁の厚さ方向に突出するとともに、上下方向に延びる一対の第1把持部と、
前記第1把持部に比べて弾性に優れた材料により形成され、前記第1把持部のうち前記厚さ方向で前記側壁と反対側を向く外側端部に配設されたバンパと、
一対の前記第1把持部の間を架け渡す第2把持部と、を備え、
前記第1把持部は、
前記側壁のうち上下方向に離間した位置から前記厚さ方向に突出する一対の突出部と、
上下方向に延びるとともに、一対の前記突出部のうち前記厚さ方向で前記側壁とは反対側に位置する端部同士を接続する接続部と、をそれぞれ備え、
前記バンパは、前記接続部に設けられている搬送用什器。
【請求項3】
開口部を通じて内部に物品を収容可能な什器本体と、
前記什器本体の下方に設けられ床面を走行可能な走行部と、
前記什器本体の側壁に設けられたハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、
前記側壁の幅方向に離間した位置から前記側壁の厚さ方向に突出するとともに、上下方向に延びる一対の第1把持部と、
前記第1把持部に比べて弾性に優れた材料により形成され、前記第1把持部のうち前記厚さ方向で前記側壁と反対側を向く外側端部に配設されたバンパと、
一対の前記第1把持部の間を架け渡す第2把持部と、を備え、
一対の前記第1把持部は、前記幅方向で互いに接近する向きに突出するとともに、前記幅方向に直交する横断面視形状が真円以外の形状に形成されたハンドルポストをそれぞれ備え、
前記第2把持部は、前記幅方向に直交する横断面視形状が前記ハンドルポストに補形する筒状に形成され、
前記第2把持部における前記幅方向の両端開口部には、一対の前記第1把持部の前記ハンドルポストがそれぞれ嵌合されている搬送用什器。
【請求項4】
前記バンパは、
前記第1把持部とともに前記ハンドルの外面を構成する外装部と、
前記第1把持部と前記外装部との間に前記厚さ方向の隙間を形成するスペーサと、を備えている請求項1から請求項の何れか1項に記載の搬送用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用什器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設や公共施設、オフィス等の各種施設においては、物品を搬送する際に搬送用什器が用いられることがある。搬送用什器は、物品を収容可能な什器本体と、什器本体の下方に設けられて床面上を走行可能なキャスタと、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。この構成において、利用者は、什器本体の前壁や後壁に設けられたハンドルを把持して搬送用什器を押したり引いたりすることで、搬送用什器を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-87018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、搬送用什器では、利用者が例えば前方から搬送用什器を押し進める際に、搬送用什器の後方が視認し難いという課題がある。この場合、搬送用什器の後方において、什器本体自体又は什器本体の後壁に設けられたハンドルが、施設の内壁や他の物品等(以下、まとめて接触物という。)に接触する可能性がある。その結果、接触物又は搬送用什器自体が損傷する可能性がある。
特に、物品を含めた搬送用什器の重量の大きい場合には、搬送用什器の作業性(例えば、旋回作業等)が低下するとともに、接触物との接触時に発生する衝撃も大きくなることから、上述した課題が起こり易い。
【0005】
そこで、本発明は、搬送時(特に、旋回時等)における作業性を向上させた上で、接触物との接触時に発生する衝撃を軽減させることができる搬送用什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る搬送用什器は、開口部を通じて内部に物品を収容可能な什器本体と、前記什器本体の下方に設けられ床面を走行可能な走行部と、前記什器本体の側壁に設けられたハンドルと、を備え、前記ハンドルは、前記側壁の幅方向に離間した位置から前記側壁の厚さ方向に突出するとともに、上下方向に延びる一対の第1把持部と、前記第1把持部に比べて弾性に優れた材料により形成され、前記第1把持部のうち前記厚さ方向で前記側壁と反対側を向く外側端部に配設されたバンパと、を備えている。
【0007】
本態様によれば、第1把持部が上下方向に延在しているため、指が上下方向に並んだ自然な形(縦持ち)でハンドルを把持することができ、搬送用什器を移動させる際に搬送用什器に操作荷重を付与し易くなる。これにより、例えば搬送用什器の旋回操作等において、搬送用什器の操作性を向上させることができる。
特に、本態様では、第1把持部における外側端部にバンパが配設されているため、搬送用什器と接触物との接触時には、バンパが優先的に接触物に接触する。そのため、搬送用什器と接触物との間に作用する衝撃をバンパによって緩和できる。
その結果、搬送時(特に、旋回時等)における作業性を向上させた上で、接触物との接触時に発生する衝撃を軽減させることができ、搬送用什器(ハンドル)や接触物の損傷を抑制できる。
【0008】
上記態様の搬送用什器において、前記ハンドルは、一対の前記第1把持部の間を架け渡す第2把持部を備えていてもよい。
本態様によれば、指が幅方向(左右方向)に並んだ、いわゆる横持ちでハンドルを把持することができる。特に、第2把持部が第1把持部間を架け渡しているため、両手の間隔を好みの位置に配置できる。したがって、利用者の好みや操作状況等に応じてハンドルの持ち方を変更できるので、搬送用什器の操作性の更なる向上を図ることができる。
【0009】
上記態様の搬送用什器において、前記第2把持部は、前記バンパに対して前記厚さ方向で前記側壁寄りに位置していてもよい。
本態様によれば、第2把持部を設けた場合であっても、搬送用什器と接触物との接触時にバンパを優先的に接触させることができる。
【0010】
上記態様の搬送用什器において、前記第2把持部は、前記第1把持部の下端部同士を架け渡していてもよい。
本態様によれば、把持部を縦持ちした際に第2把持部が邪魔になり難い。そのため、縦持ち時における操作性を低下させることなく、第2把持部を追加することができる。
【0011】
上記態様の搬送用什器において、前記第1把持部は、上下方向に直線状に延在していてもよい。
本態様によれば、縦持ち時において第1把持部を把持し易い。そのため、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0012】
上記態様の搬送用什器において、前記バンパは、前記第1把持部とともに前記ハンドルの外面を構成する外装部と、前記第1把持部と前記外装部との間に前記厚さ方向の隙間を形成するスペーサと、を備えていてもよい。
本態様によれば、仮にバンパが接触物と接触した場合に、外装部が隙間内を弾性変形することで、外装部の変形量を確保し易くなる。これにより、バンパと接触物との間に作用する衝撃をより一層軽減し易くなる。
【発明の効果】
【0013】
上記各態様によれば、搬送時(特に、旋回時等)における作業性を向上させた上で、接触物との接触時に発生する衝撃を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る搬送用什器の斜視図である。
図2図1のII-II線に対応する断面図である。
図3】ハンドル周辺を示す搬送用什器の拡大斜視図である。
図4図3のIV-IV線に対応する断面図である。
図5図3のV-V線に対応する断面図である。
図6】変形例に係る縦ハンドルの断面図である。
図7】変形例に係る縦ハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0016】
[搬送用什器1]
図1は、搬送用什器1の斜視図である。
図1に示す搬送用什器1は、例えばカート等であって、施設内で物品を搬送するために用いられる。本実施形態の搬送用什器1は、什器本体2と、走行部3と、ハンドル4と、を備えている。
【0017】
<什器本体2>
什器本体2は、平面視で長方形の箱形(直方体形状)に形成されている。以下の説明では、平面視において、什器本体2の長手方向を前後方向(矢印FRが前方)とし、短手方向を左右方向(矢印LHが左方)として説明する。但し、什器本体2の平面視形状は、長方形に限らず、長方形以外の多角形状や円形状等であってもよい。
【0018】
什器本体2は、筐体11と、開閉部12と、トレー13と、を備えている。
筐体11は、什器本体2の外観を構成するものであって、左方に開口する開口部15を有する箱型に形成されている。具体的に、筐体11は、底板21と、天板22と、周壁部23と、を備えている。なお、筐体11の開口部15は、左方に開口するものに限らず、上下方向に交差する方向に開口するものを1つ以上有していればよい。
【0019】
本実施形態の周壁部23は、底板21及び天板22の外周縁同士を架け渡している。周壁部23は、底板21及び天板22の外周縁のうち、左辺を除く三辺に沿って延在している。したがって、底板21、天板22及び周壁部23によって画成された部分は、開口部15を通じて内部に物品を収容可能な収容部25を構成している。
【0020】
図2は、図1のII-II線に対応する断面図である。
図2に示すように、周壁部23は、コーナ部材27とパネル材28とが組み合わされて構成されている。
コーナ部材27は、周壁部23のうち、各角部を跨って配置されている。コーナ部材27は、例えば押出成形等によって筒状に形成されている。
パネル材28は、隣り合うコーナ部材27同士間を接続している。
【0021】
図1に示すように、開閉部12は、例えば筐体11にスライド移動可能に支持されたシャッタである。具体的に、開閉部12は、開口部15に沿って上下方向にスライド移動することで、開口部15を開閉する。なお、開閉部12としては、左右方向にスライド移動するシャッタでもよく、軸線回りに回動する扉等であってもよい。また、什器本体2は、開閉部12を有さない構成であってもよい。
【0022】
トレー13は、上方に開口する箱型に形成されている。トレー13は、収容部25内において、上下方向及び前後方向に複数配列されている。各トレー13は、収容部25内において、筐体11に左右方向にスライド可能に支持されることで、開口部15を通じて引き出すことができる。なお、収容部25は、トレー13に限らず、棚板等を設ける構成であってもよい。
【0023】
<走行部3>
走行部3は、例えばキャスタである。走行部3は、底板21の下面に複数取り付けられている。図示の例において、走行部3は、底板21の下面のうち、各角部にそれぞれ取り付けられている。本実施形態の走行部3は、床面Fに平行な軸線回りに回転可能な車輪3aが、上下方向に沿う軸線回りに旋回可能に構成されている。
【0024】
<ハンドル4>
ハンドル4は、走行部3を介して搬送用什器1を走行させる際に利用者が把持するものである。本実施形態において、ハンドル4は、周壁部23のうち、前壁(側壁)41及び後壁(側壁)42の双方に取り付けられている。各ハンドル4は、互いに同等の構成であるため、以下の説明では後壁42に取り付けられたハンドル4を例にして説明する。なお、ハンドル4は、周壁部23の任意の箇所に少なくとも一つ取り付けられていればよく、例えば前壁41及び後壁42の何れか一方のみに取り付けられた構成であってもよい。
【0025】
図3は、ハンドル4周辺を示す搬送用什器1の拡大斜視図である。
図3に示すように、ハンドル4は、後方から見た正面視において、上方に開口するU字状に形成されている。具体的に、ハンドル4は、縦ハンドル51と、横ハンドル(第2把持部)52と、を備えている。
縦ハンドル51は、後壁42における左右両端部にそれぞれ取り付けられている。なお、各縦ハンドル51は、互いに同等の構成であるため、以下の説明では一方の縦ハンドル51を例にして説明する。
【0026】
縦ハンドル51は、本体部61と、バンパ62と、を備えている。
本体部61は、例えば樹脂材料(ポリアミド等)により一体に形成されている。本体部61は、把持部(第1把持部)64と、ハンドルポスト65と、を備えている。
把持部64は、側面視において、後方に向けて突のアーチ状に形成されている。具体的に、把持部64は、一対の突出部67と、接続部68と、を備えている。
【0027】
図4は、図3のIV-IV線に対応する断面図である。図5は、図3のV-V線に対応する断面図である。
図4図5に示すように、各突出部67は、後壁42において上下方向に離間した位置からそれぞれ後方に突出している。各突出部67は、後方に向かうに従い正面視外形が漸次縮小する四角錘台形状をなしている。本実施形態において、各突出部67のうち、上下方向の内側を向く面(以下、対向面67aという。)以外の面は、後方に向かうに従い各突出部67の正面視外形を縮小させる傾斜面に形成されている。一方、各突出部67の対向面67aは、上下方向に直交する平坦面に形成されている。
【0028】
接続部68は、各突出部67の後端部同士の間を架け渡している。よって、後壁42と接続部68との間の隙間は、把持部64を把持する際に指を挿通させる挿通空間を構成している。接続部68は、上下方向に沿って直線状に延びる杆状に形成されている。図5に示すように、接続部68は、上下方向に直交する横断面視において、前後方向を長軸方向とする長円形状に形成されている。具体的に、接続部68は、前面68a及び後面68bが互いに離間する方向に突の湾曲面に形成されている。接続部68のうち、左右方向の外側を向く外側面68cは、後方に向かうに従い左右方向の内側に向けて延びる傾斜面に形成されている。一方、接続部68のうち、左右方向の内側を向く内側面68dは、前後方向に直線状に延びる平坦面に形成されている。なお、接続部68の横断面視形状は、長円形状に限らず、多角形状や真円形状等であってもよい。また、接続部68は、上下方向の全体に亘って直線状である場合に限らず、少なくとも一部が湾曲していてもよい。
【0029】
図4図5に示すように、接続部68の後端部には、取付溝71が形成されている。取付溝71は、接続部68のうち、左右方向の中央部を上下方向に沿って延在している。取付溝71は、図4に示す上下方向に沿う縦断面視において、接続部68の後面68bから上下両面に至る範囲に形成されている。但し、取付溝71の形成範囲は、接続部68の後面68bの一部を含んでいればよい。
【0030】
取付溝71の底面には、前方に向けて窪む凹部73が形成されている。凹部73は、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。
図4に示すように、取付溝71の底面のうち、接続部68の上下両面に対応する位置(上下方向の外側を向く部分)には、係止孔74が形成されている。係止孔74は、取付溝71の底面に対して上下方向の内側に窪んでいる。
【0031】
図2図4に示すように、取付溝71の底面のうち、接続部68の上下両端部に対応する位置(正面視で突出部67と重なり合う位置)には、取付孔81が形成されている。取付孔81は、接続部68及び突出部67を前後方向に貫いている。すなわち、取付孔81の後端開口部は、取付溝71の底面で開口している。取付孔81の前端開口部は、突出部67の前面で開口している。
【0032】
各取付孔81内には、ビス82が挿通されている。ビス82は、後壁42に形成された貫通孔83を通じて後壁42を貫通している。ビス82の前端部は、後壁42の内側(コーナ部材27の内側)に配置された取付プレート85に螺着されている。これにより、本体部61が後壁42に取り付けられている。なお、本体部61の後壁42への取付方法は、適宜変更が可能である。
【0033】
図5に示すように、ハンドルポスト65は、把持部64の下端部から左右方向の内側(対向する縦ハンドル51に向かう方向)に向けて突出している。ハンドルポスト65は、左右方向に直交する横断面視で前後方向を長軸方向とする長円形状に形成されている。
【0034】
図4図5に示すように、バンパ62は、接続部68に取り付けられている。バンパ62は、弾性変形可能であって、かつ縦ハンドル51の構成材料よりも軟材質(弾性に優れた材料)により一体に形成されている。本実施形態において、バンパ62は、例えばゴムにより形成されている。但し、バンパ62は、ゴム以外に、ABS樹脂等の樹脂材料であってもよい。
【0035】
バンパ62は、外装部90と、リブ(スペーサ)91と、係止部92と、を備えている。
外装部90は、側面視において、上述した取付溝71に倣って延びるアーチ状に形成されている。すなわち、外装部90のうち、上端部90a及び下端部90bは、中央部90cに対して前方に向けて屈曲されている。外装部90は、上述した取付溝71内に嵌め込まれている。したがって、外装部90は、上述した取付孔81を後方から覆っている。
【0036】
外装部90の外面は、把持部64から膨出する湾曲面に形成されている。縦ハンドル51のうち、外装部90が配置された部分は、外装部90が縦ハンドル51の最外面を構成している。なお、本実施形態において、外装部90の外周縁は、取付溝71の開口縁に滑らかに連なっている。
【0037】
リブ91は、外装部90の内面から突出している。具体的に、リブ91は、外側リブ91a及び内側リブ91bを備えている。
外側リブ91aは、外装部90の外周縁に倣って枠状に形成されている。
内側リブ91bは、外側リブ91aのうち、上下方向に延びる部分同士を左右方向に接続している。
【0038】
リブ91は、取付溝71の底面に近接又は当接している。したがって、リブ91は、外装部90の内面と取付溝71の底面との間に隙間94を形成するスペーサとしても機能する。
【0039】
係止部92は、外装部90の上端部90a及び下端部90bから、それぞれ上下方向の内側に向けて突出している。係止部92は、外装部90が取付溝71内に嵌め込まれた状態において、上述した係止孔74に各別に係止されている。すなわち、バンパ62は、本体部61が後壁42に取り付けられた状態において、取付溝71内に後方から押し込まれることで、本体部61に組み付けられる。バンパ62は、本体部61に押し込まれる過程で、上端部90a及び下端部90bが取付溝71の底面に摺動することで押し広げられながら、取付溝71内に進入する。そして、係止部92が対応する係止孔74に差し掛かった時点で上端部90a及び下端部90bが復元変形することで、係止部92が係止孔74に係止される。
【0040】
図4に示すように、外装部90の下端縁のうち、係止部92に近接する位置には、切欠き部95が形成されている。切欠き部95には、工具(マイナスドライバー等)が差し込み可能に構成されている。すなわち、切欠き部95内に工具を差し込んだ状態で、外装部90を取り外す方向に工具を倒すことで、下端部90bが押し広げられる。その結果、下端部90bに形成された係止部92と係止孔74との係止が解除され、本体部61からバンパ62を取り外すことができる。
【0041】
図3図5に示すように、横ハンドル52は、左右方向に沿って延びる筒状に形成されている。横ハンドル52は、例えば縦ハンドル51と同様の材料により形成されている。横ハンドル52は、ハンドルポスト65を介して各縦ハンドル51同士の間を架け渡している。横ハンドル52は、左右方向に直交する横断面視において、前後方向を長軸方向とする長円形状に形成されている。横ハンドル52内には、左右方向の両端開口部を通じて各縦ハンドル51のハンドルポスト65が各別に嵌合されている。なお、横ハンドル52及びハンドルポスト65の横断面視形状は、適宜変更が可能である。但し、横ハンドル52及びハンドルポスト65の横断面視形状を、真円以外で補形した形状とすることで、ハンドルポスト65に対する横ハンドル52の回転を規制できる点で好ましい。また、縦ハンドル51及び横ハンドル52同士の接続方法は、嵌合以外にも接合や締結等、適宜変更が可能である。
【0042】
本実施形態において、横ハンドル52の後端は、バンパ62の後端よりも前方に位置していることが好ましい。図示の例において、横ハンドル52の後端は、縦ハンドル51の後端(接続部68の後面68b)よりも前方に位置している。なお、横ハンドル52の外周面のうち、少なくとも後方を向く部分にもバンパを配設してもよい。
【0043】
ここで、図3に示すように、搬送用什器1が使用される施設等には、壁面に手すり等の突起物100が設けられている場合がある。突起物100は、床面Fからの高さが550mmから1000mmの範囲に設けられていることが一般的である。
【0044】
そのため、本実施形態では、バンパ62の上下範囲内に突起物100が位置するように、バンパ62の高さ位置(縦ハンドル51の高さ位置)が設定されていることが好ましい。これにより、搬送用什器1と接触物(突起物100)とが接触する際に、バンパ62を優先的に接触させることができる。
一方、横ハンドル52の高さ位置は、突起物100よりも低い位置に設定することが好ましい。これにより、横ハンドル52と突起物100との間に物品等を挟むのを抑制できる。
【0045】
[搬送用什器1の使用方法]
上述した搬送用什器1を移動させる場合、利用者は、例えば搬送用什器1に対して後方に立ち、ハンドル4を把持する。この状態で、ハンドル4を介して搬送用什器1を押したり引いたりすることで、搬送用什器1を前進、後退又は旋回させることができる。
【0046】
ここで、本実施形態では、左右方向(側壁の幅方向)に離間した位置において、上下方向に延びる一対の把持部64を備える構成とした。
この構成によれば、指が上下方向に並んだ自然な形(縦持ち)でハンドル4を把持することができ、搬送用什器1を移動させる際に搬送用什器1に操作荷重を付与し易くなる。これにより、例えば搬送用什器1の旋回操作等において、搬送用什器1の操作性を向上させることができる。
【0047】
特に、本実施形態では、把持部64における前後方向(側壁の厚さ方向)の外側端部に配設されたバンパ62を備える構成とした。
この構成によれば、搬送用什器1と接触物との接触時には、バンパ62が優先的に接触物に接触する。そのため、搬送用什器1と接触物との間に作用する衝撃をバンパ62によって緩和できる。その結果、搬送時(特に、旋回時等)における作業性を向上させた上で、接触物との接触時に発生する衝撃を軽減させることができ、搬送用什器1(ハンドル4)や接触物の損傷を抑制できる。
【0048】
本実施形態では、把持部64同士の間を架け渡す横ハンドル52を備える構成とした。
この構成によれば、指が左右方向に並んだ、いわゆる横持ちでハンドル4を把持することができる。特に、横ハンドル52が把持部64間を架け渡しているため、両手の間隔を好みの位置に配置できる。したがって、利用者の好みや操作状況等に応じてハンドル4の持ち方を変更できるので、搬送用什器1の操作性の更なる向上を図ることができる。
【0049】
本実施形態では、横ハンドル52がバンパ62に対して前後方向の内側(周壁部23寄り)に位置している構成とした。
この構成によれば、横ハンドル52を設けた場合であっても、搬送用什器1と接触物との接触時にバンパ62を優先的に接触させることができる。
【0050】
本実施形態では、横ハンドル52が把持部64の下端部同士を架け渡している構成とした。
この構成によれば、把持部64を縦持ちした際に横ハンドル52が邪魔になり難い。そのため、縦持ち時における操作性を低下させることなく、横ハンドル52を追加することができる。
【0051】
本実施形態では、把持部64が上下方向に沿って直線状に延在している構成とした。
この構成によれば、縦持ち時において把持部64を把持し易い。そのため、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0052】
本実施形態では、バンパ62において、外装部90と取付溝71の底面との間に隙間94を形成するリブ91を備える構成とした。
この構成によれば、仮にバンパ62が接触物と接触した場合に、外装部90が隙間94内を弾性変形することで、外装部90の変形量を確保し易くなる。これにより、バンパ62と接触物との間に作用する衝撃をより一層軽減し易くなる。
【0053】
本実施形態では、バンパ62が本体部61に取り付けられた状態において、ハンドル4と後壁42との締結部分(取付孔81やビス82)を覆う構成とした。
この構成によれば、バンパ62を締結部分の目隠し材として兼用できる。これにより、構成の簡素化や設計自由度の向上を図ることができる。
【0054】
本実施形態では、バンパ62が本体部61に取り外し可能な構成とした。
この構成によれば、例えばハンドル4の交換やメンテナンス時等において、バンパ62を取り外すことで、ハンドル4と後壁42との締結部分に容易にアクセスできる。
【0055】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、本体部61が側面視でアーチ状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。本体部61は、少なくとも上下方向に延在していればよく、後壁42から板状に突出していてもよい。
上述した実施形態では、バンパ62が把持部64の取付溝71に嵌め込まれる構成について説明したが、この構成に限られない。バンパ62は、把持部64に接着や締結等によって取り付けられていてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、横ハンドル52が縦ハンドル51(把持部64)の下端部同士を接続する構成について説明したが、この構成に限られない。横ハンドル52は、縦ハンドル51のうち、上下方向で任意の位置を接続してもよい。
上述した実施形態では、ハンドル4が縦ハンドル51及び横ハンドル52の双方を備える構成について説明したが、この構成に限られない。ハンドル4は、少なくとも一対の縦ハンドル51を備えていれば、横ハンドル52は必須の構成ではない。また、ハンドル4は、横ハンドル52を並列に複数備えていてもよい。
【0057】
上述した実施形態では、外装部90の外面が把持部64に滑らかに連なる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、図6に示すように、外装部90が把持部64の後面64bに対して段差状に膨出していてもよい。
上述した実施形態では、バンパ62(外装部90)が把持部64の後面及び上下両面に配置された構成について説明したが、この構成に限られない。バンパ62は、把持部64における左右方向を向く側面に配置されていてもよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…搬送用什器
2…什器本体
3…走行部
4…ハンドル
15…開口部
41…前壁(側壁)
42…後壁(側壁)
52…横ハンドル(第2把持部)
62…バンパ
64…把持部(第1把持部)
90…外装部
91…リブ
94…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7