(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】オフライン用照明器具
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240307BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240307BHJP
H05B 45/32 20200101ALI20240307BHJP
H05B 45/34 20200101ALI20240307BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20240307BHJP
H05B 45/355 20200101ALI20240307BHJP
H05B 45/36 20200101ALI20240307BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20240307BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
H05B45/10
H05B45/32
H05B45/34
H05B45/345
H05B45/355
H05B45/36
H05B45/375
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2020035888
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-082828(JP,A)
【文献】特開2015-119509(JP,A)
【文献】特開2017-085734(JP,A)
【文献】実開平03-040882(JP,U)
【文献】特開2008-236855(JP,A)
【文献】特開2014-064349(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 7/00
H05B 45/10
H05B 45/32
H05B 45/34
H05B 45/345
H05B 45/355
H05B 45/36
H05B 45/375
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製支持板と、
一面に印刷配線パターンが形成され、他面に光源を点灯させるためのスイッチング電源回路が搭載され、前記印刷配線パターンを金属製支持板側にして前記金属製支持板に平行状態に取り付けられた片面プリント配線基板と、
を備え、
前記スイッチング電源回路は半導体からなるスイッチング素子を備えるとともに、前記スイッチング素子は、交流電源の脈流を平滑化する平滑回路若しくは力率改善回路の出力の正電位側に接続され、
前記スイッチング素子のスイッチング動作は不連続モードであり、かつ
前記スイッチング素子のソース側ないしはエミッタ側の印刷配線パターンと、ソース側ないしエミッタ側の周辺回路の印刷配線パターンの合計面積が、100mm
2以下に設定されていることを特徴とするオフライン用照明器具。
【請求項2】
前記交流電源側に雑音防止用コンデンサを備え、前記雑音防止用コンデンサの後段に、雑音防止用インダクタに代えて突入防止用素子が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のオフライン用照明器具。
【請求項3】
前記突入防止用素子が抵抗であることを特徴とする請求項2に記載のオフライン用照明器具。
【請求項4】
前記金属製支持板と前記片面プリント配線基板の印刷配線パターンとの距離が4~8mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のオフライン用照明器具。
【請求項5】
前記周辺回路の印刷配線パターンは、前記スイッチング素子のソースないしはエミッタの電位に対して30V以下の電位にある印刷配線パターンである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオフライン用照明器具。
【請求項6】
前記周辺回路は、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御部である請求項5に記載のオフライン用照明器具。
【請求項7】
前記制御部には、当該制御部への電力供給部、電流検出部、電圧検出部、前記スイッチング素子の駆動部、フィードバック部が含まれる請求項6に記載のオフライン用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商用電源から直流出力を得るためのスイッチング電源を備え、スイッチング電源により得られた直流で光源を点灯させるオフライン用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなオフライン用照明器具として、鋼板等の金属製支持板に照明を点灯させるためのスイッチング電源等回路が搭載された片面プリント配線基板が取り付けられている構成のものが提供されている。尚、片面プリント配線基板(以下、基板と称することもある)は、紙フェノール等の材質で低価格である為使用されることが多いものの、片側にしか印刷パターンを配線できない為、形状が大きくなる若しくはノイズ対策が限定的になる等の課題がある。
【0003】
その片面プリント配線基板に搭載されたスッチング電源回路には、半導体製のスイッチング素子からスイッチング周波数(数10kHz~数100kHz)に同期したR/N成分ノイズが発生する。このノイズが照明器具外部へ流出するのを抑える為、入力にフィルタが接続されるものとなされ、このフィルタが片面プリント配線基板にスイッチング電源回路とともに搭載されるのが一般的である。
【0004】
フィルタは、コンデンサとインダクタで構成されており、特にインダクタは高価であるためノイズ対策は高価になっていた。又、オフライン用スッチング電源は、商用電源を投入した時に発生する突入電流を制限する為、サーミスタ・抵抗等の突入防止用素子をフィルタとは別に基板に搭載されていることが多い。コスト低減の為、突入防止をインダクタの抵抗分で補い突入防止をまかなうことは行われている。しかし、逆の突入防止用素子でインダクタ分を補うことは行われていない。これは、上記突入防止用素子のインダクタンスが寄生の為、約数μHと非常に小さく、フィルタとしての能力が小さい為、電気用品安全法等のEMI(Electro Magnetic Interference)規格を満足させることができなかったからである。実現させるにはノイズ発生そのものを低減させる必要があった。
【0005】
ノイズ発生そのものを低減させるため、従来、スイッチングモードの選択でハイサイドスイッチングや不連続モードの採用が提案されている(例えば特許文献1~4)。ハイサイドスイッチングとは、交流電源の脈流を平滑する平滑回路若しくは力率改善回路(PFC回路)の出力の正電位側にスイッチング素子が接続されたものである。不連続モードとはスイッチング素子の電流が零から立ち上がるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-64430号公報
【文献】特開2014-35943号公報
【文献】特開2015-119509号公報
【文献】特開2018-57093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ノイズ低減のためには、上述したハイサイドスイッチング、不連続モードの採用が望ましいことは確かである。
【0008】
しかし、ハイサイドスイッチング、不連続モードの採用のみでは、ノイズの低減効果は十分ではなく、このため、フィルタにおけるインダクタを小型化あるいは省略化を図り、ひいてはフィルタのコスト低減を図ることはできなかった。
【0009】
この発明は、このような背景に鑑みてなされたものであって、片面プリント配線基板に搭載されたスッチング電源回路のスイッチング素子からのノイズの発生抑止効果を高めたオフライン用照明器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)金属製支持板と、一面に印刷配線パターンが形成され、他面に光源を点灯させるためのスイッチング電源回路が搭載され、前記印刷配線パターンを金属製支持板側にして前記金属製支持板に平行状態に取り付けられた片面プリント配線基板と、を備え、前記スイッチング電源回路は半導体からなるスイッチング素子を備えるとともに、前記スイッチング素子は、交流電源の脈流を平滑化する平滑回路若しくは力率改善回路の出力の正電位側に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作は不連続モードであり、かつ前記スイッチング素子のソース側ないしはエミッタ側の印刷配線パターンと、ソース側ないしエミッタ側の周辺回路の印刷配線パターンの合計面積が、100mm2以下に設定されていることを特徴とするオフライン用照明器具。
(2)前記交流電源側に雑音防止用コンデンサを備え、前記雑音防止用コンデンサの後段に、雑音防止用インダクタに代えて突入防止用素子が接続されていることを特徴とする前項1に記載のオフライン用照明器具。
(3)前記突入防止用素子が抵抗であることを特徴とする前項2に記載のオフライン用照明器具。
(4)前記金属製支持板と前記片面プリント配線基板の印刷配線パターンとの距離が4~8mmであることを特徴とする前項1ないし前項3のいずれかに記載のオフライン用照明器具。
(5)前記周辺回路の印刷配線パターンは、前記スイッチング素子のソースないしはエミッタの電位に対して30V以下の電位にある印刷配線パターンである前項1ないし前項4のいずれかに記載のオフライン用照明器具。
(6)前記周辺回路は、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御部である前項5に記載のオフライン用照明器具。
(7)前記制御部には、当該制御部への電力供給部、電流検出部、電圧検出部、前記スイッチング素子の駆動部、フィードバック部が含まれる前項6に記載のオフライン用照明器具。
【発明の効果】
【0011】
前項(1)に記載の発明によれば、一面に印刷配線パターンが形成され、他面に光源を点灯させるためのスイッチング電源回路が搭載され、印刷配線パターンを金属製支持板側にして金属製支持板に平行状態に取り付けられた片面プリント配線基板と、を備え、スイッチング電源回路の半導体からなるスイッチング素子は、交流電源の脈流を平滑化する平滑回路若しくは力率改善回路の出力の正電位側に接続され、またスイッチング素子のスイッチング動作は不連続モードであるから、このようなハイサイドスイッチング、不連続モードの採用により、スイッチング素子からのノイズの発生を抑制することができる。加えてこの発明では、スイッチング素子のソース側ないしはエミッタ側の印刷配線パターンと、ソース側ないしエミッタ側の周辺回路の印刷配線パターンの合計面積が、100mm2以下に設定されているから、スイッチング素子からのノイズ発生抑止効果を更に高めることができる。この結果、ノイズが照明器具外部へ流出するのを抑える為、入力に従来接続されていたフィルタの高価なインダクタを小型化ないし省略することができ、コスト低減にも資することができる。
【0012】
前項(2)に記載の発明によれば、交流電源側に雑音防止用コンデンサを備え、雑音防止用コンデンサの後段に、雑音防止用インダクタに代えて突入防止用素子が接続されているから、高価なインダクタを省略しながら、商用電源を投入した時に発生する突入電流を制限することができる。
【0013】
前項(3)に記載の発明によれば、安価な抵抗によって商用電源を投入した時に発生する突入電流を制限することができるうえ、少ないながらもインダクタンスの成分を期待できる。
【0014】
前項(4)に記載の発明によれば、金属製支持板と片面プリント配線基板の印刷配線パターンとの距離が4~8mmであるから、金属製支持板と片面プリント配線基板の間に絶縁物を挟む必要がなく、しかも全体的な大きさをコンパクトにまとめることができ、照明装置の全体の大きさが大きくなって商品価値が低下するのを防止することができる。
【0015】
前項(5)に記載の発明によれば、スイッチング素子のソース側ないしはエミッタ側の印刷配線パターンと、スイッチング素子のソースないしはエミッタの電位に対して30V以下の電位にある印刷配線パターンを含めた印刷配線パターンの面積が、100mm2以下の場合に、ノイズ抑止効果を良好に発揮させることができる。
【0016】
前項(6)に記載の発明によれば、スイッチング素子のソース側ないしはエミッタ側の印刷配線パターンと、スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御部の印刷配線パターンを含めた印刷配線パターンの合計面積が100mm2以下の場合に、ノイズ抑止効果を良好に発揮させることができる。
【0017】
前項(7)に記載の発明によれば、スイッチング素子のソース側ないしはエミッタ側の印刷配線パターンと、制御部への電力供給部、電流検出部、電圧検出部、スイッチング素子の駆動部、フィードバック部の印刷配線パターンの合計面積が100mm2以下の場合に、ノイズ抑止効果を良好に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の一実施形態に係るオフライン照明装置の概略構成を示すもので、オフライン照明装置を横から見た断面図である。
【
図2】オフライン照明装置を上から見た断面図である。
【
図4】スイッチング電源回路の概略構成を示す回路図である。
【
図5】(a)は、スイッチング素子241を不連続モードで動作させたときの電流波形図、(b)は連続モードで動作させたときの電流波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1はこの発明の一実施形態に係るオフライン照明装置1の概略構成を示すもので、オフライン照明装置1を横から見た断面図である。この照明装置1は、一面(
図1の例では上面)が開口した箱型の筐体11を備え、この筐体11内に片面プリント配線基板12が収容されている。
【0021】
筐体11は鋼板等の金属製であり、筐体11の開口部と反対側(
図1では下側)の部分を支持板11aとして、この支持板11aに、片面プリント配線基板12が支持板11aと所定の隙間を隔てて平行状態となるようにスペーサ15を介して固定されている。
【0022】
片面プリント配線基板12は支持板11a側と反対側、換言すれば筐体11の開口部側の面に電子部品13が実装されるとともに、支持板11a側の面に各電子部品13を接続するための印刷配線パターン14が形成されている。
【0023】
筐体11の側面の一部には、入口接続部17が形成され、この入口接続部17に、商用電源2からの入出力線が電源スイッチ3を介して接続されており、さらに入口接続部17と片面プリント配線基板12上の回路とは電線16aを介して接続されており、これによって商用電源2から片面プリント配線基板12上の回路に電力を供給できるようになっている。
【0024】
また、筐体11の上面開口部にはLED等の光源18が配設されており、片面プリント配線基板12上の回路と光源18とが電線16bで接続されている。
【0025】
図2は、オフライン照明装置1を上から見た断面図である。
図2に示すように、片面プリント配線基板12には、フィルタ回路21、突入防止素子22、整流平滑部23、スイッチング電源回路24を構成する各電子部品13が、前述したように、片面プリント配線基板12の支持板11aとは反対側の面に搭載されている。フィルタ回路21、突入防止素子22、整流平滑部23、スイッチング電源回路24について、
図3を参照して以下に説明する。
【0026】
図3は、オフライン照明装置1の回路図である。オフライン照明装置1は商用電源2と並列に接続されたフィルタ回路21として雑音防止用コンデンサ21aを備え、突入防止素子22は、雑音防止用コンデンサ21aの一方の出力に直列に接続されている。突入防止素子22は、商用電源2を投入した時に発生する突入電流を制限するための素子であり、限定はされないがこの実施形態では抵抗により構成されている。また、整流平滑部23は、突入防止素子22の出力側に接続され、スイッチング電源回路24は整流平滑部23の出力側に接続されている。
【0027】
整流平滑部23は、商用電源2の交流電力を直流に整流平滑する公知の回路であり、例えば、整流回路としてのダイオードブリッジと、ダイオードブリッジで直流に変換されたときの脈流を平滑化する平滑コンデンサによって構成されている。
【0028】
スイッチング電源回路24は、平滑化された直流をスイッチングして電圧の降下した定電圧電源を作成するものであり、平滑化された直流をスイッチングするための半導体からなるスイッチング素子を備えている。スイッチング素子の一例としては、FET(電界効果トランジスタ)やトランジスタ等を挙げることができる。スイッチング電源回路24により作成された定電流電源等により、負荷である光源18が駆動される。
【0029】
図4は、スイッチング電源回路24の概略構成を示す回路図である。スイッチング電源回路24はスイッチング素子241を備え、このスイッチング素子241のドレイン端子ないしコレクタ端子241aは、整流平滑部23の正電位側に接続され、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241bは、アノードを整流平滑部23の負電位側に接続されたダイオード242のカソードに接続されている。つまり、スイッチング素子241はハイサイドスイッチングとなっている。
【0030】
また、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241bにはインダクタ243の一端が接続され、インダクタ243の他端と整流平滑部23の負電位側の間にはコンデンサ244が接続されている。これらのインダクタ243及びコンデンサ244は、スイッチング素子241のスイッチング動作により得られた電力を平滑化して、安定した出力を得るための部品である。そして、コンデンサ244に充電される電荷が、負荷である光源18に供給される。
【0031】
スイッチング素子241のスイッチング動作は、制御部245によって制御される。制御部245は、CPU、ROM、RAM、その他の回路部品を備え、コンデンサ244の両端電圧が所定の電圧となるようにスイッチング素子241のスイッチング動作を制御する。
【0032】
この実施形態では、スイッチング素子241は不連続モードで動作する。連続モードは、
図5(a)に示すように、スイッチング素子241を流れる電流が0から開始されるのではなく、急峻に立ち上がるモードである。不連続モードは、
図5(b)に示すように、スイッチング素子241を流れる電流が0から徐々に増大していくモードである。スイッチング素子241を不連続モードで動作させる制御は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0033】
このようにこの実施形態では、スイッチング素子241は整流平滑部23の出力の正電位側に接続されており、また不連続モードで動作するから、従来から知られているとおり、スイッチング素子のスイッチング動作に同期したR/N成分ノイズの発生を抑止することができる。
【0034】
この実施形態では、ノイズ発生の抑止のためのさらなる対策が採られている。具体的には、
図4に示すように、片面プリント配線基板12の支持板11a側の面に形成された印刷配線パーン14のうち、
図4にハッチングで示したような、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241b側の印刷配線パターン25と、ソースないしエミッタ端子241b側に存在する周辺回路の印刷配線パターン26の合計面積が、100mm
2以下に設定されている。このような印刷配線パターンの面積を100mm
2以下とすることで、スイッチング素子241が整流平滑部23の出力の正電位側に接続されていること、不連続モードで動作することとの相乗効果で、スイッチング素子241のスイッチング動作に同期したR/N成分ノイズの発生をさらに抑止することができる。
【0035】
ここで、ソースないしエミッタ端子241b側の周辺回路の印刷配線パターン26とは、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241bの電位に対して30V以下の電位にある印刷配線パターンをいう。この実施形態では、ソースないしエミッタ端子241b側に存在している例えば制御部245の印刷配線パターンである。制御部245には、限定はされないが、制御部245への電力供給部、電流検出部、電圧検出部、スイッチング素子の駆動部、フィードバック部が含まれ、これらの一部を構成するCPU、ROM、RAMの配線も含まれる。
【0036】
通常、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241b側に存在する周辺回路の印刷配線パータンはパターン幅等を太くして寄生インダクタンスを低減させることで誤動作防止したリノイズ低減させたりする。又、放熱も考慮して太くする場所である。しかし、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241b側の印刷配線パターン25と、ソースないしエミッタ端子241b側の周辺回路の印刷配線パターン26の合計面積が100mm2を超えると、スイッチング素子241のスイッチング動作に同期したR/N成分ノイズが増大する。
【0037】
ちなみに、片面プリント配線基板12の印刷配線パターン14と鋼板からなる支持板11aとの距離を6mmとし、
図3に示したように、フィルタ回路21を雑音防止用インダクタがなく雑音防止用コンデンサ21aのみの回路とし、突入防止素子22として抵抗を用い、スイッチング素子241をハイサイドスイッチング及び不連続モードで動作させるとともに、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241b側の印刷配線パターン25と、ソースないしエミッタ端子241b側の周辺回路の印刷配線パターン26の合計面積のみを、50mm
2、75mm
2、100mm
2、150mm
2と変化させたときの商用電源2側に流出するノイズのレベルを調べた。その結果、ノイズレベルは印刷配線パターンの合計面積の順に、48.7dB、49.4dB、51.0dB、53.4dBであり、印刷配線パターンの合計面積が小さいほど流出ノイズが低下し、印刷配線パターンの合計面積が100mm
2以下の場合に、許容ノイズレベル51dBを満たしていた。
【0038】
これは、片面プリント配線基板12の下方に金属製支持板11aがある構造の為、支持板11aへのコモンモードノイズが他の発生源ノイズに比べて影響が大きいことを物語っている。また、片面プリント配線基板12における印刷配線パターン14が支持板11a側であり、支持板11aと平行しているのも影響が大きいものと考えられる。許容値が51dB(電気用品安全法の56dBの規格値に対し一般的な5dBマージ ンをとったもの )に対し、当該面積が100mm
2以下であれば51dB以下となり、フィルタ回路21のインダクタを除去し、突入防止素子22のみで達成出来る。つまり、スイッチング素子241が整流平滑部23の出力の正電位側に接続されていること、不連続モードで動作することのみでは、
図6に示すように、フィルタ回路30として雑音防止用コンデンサ30aと、雑音防止用コンデンサ30aの出力側の正負ラインに接続された各インダクタ30b、30cが必要であるが、スイッチング素子241のソースないしエミッタ端子241b側の印刷配線パターン25と、ソースないしエミッタ端子241b側の周辺回路の印刷配線パターン26の合計面積を100mm
2以下とすることで、インダクタ30b、30cを除去することができる。
【0039】
構造上、片面プリント配線基板12の印刷配線パターン14は支持板11a側になるのが一般的である。それはオフライン用スイッチング電源回路24の部品は高耐圧が要求され大きくなるので、絶縁性が要求される支持板11a側に部品を配置しないのが効率的であるからである。片面プリント配線基板12の印刷配線パターン14から支持板11aまでの距離は、部品の基板下リード長及び絶縁距離を考慮すると4~8mmが望ましい。4mmより短くすると間に絶縁物を挟む必要があり、高価となる。8mmより長くすると全体的な大きさが大きくなり商品価値が低下する。
【0040】
尚、突入防止素子22は、安価で少ないながらもインダクタンスを期待できる抵抗が 望ましい。
【0041】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0042】
例えば、スイッチング素子241は、商用電源の脈流を平滑化する整流平滑部(平滑回路)23の出力の正電位側に接続されている場合を示したが、力率改善回路(PFC回路)が用いられる場合は、力率改善回路の出力の正電位側に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 オフライン照明装置
2 商用電源
3 電源スイッチ
11 筐体
12 片面プリント配線基板
13 電子部品
14 印刷配線パターン
15 スペーサ
17 入口接続部
18 光源(負荷)
21 フィルタ回路
22 突入防止素子
23 整流平滑部
24 スイッチング電源回路
25 ソースないしエミッタ側の印刷配線パターン
26 周辺回路の印刷配線パターン
241 スイッチング素子
241b ソースないしエミッタ端子