(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/10 20060101AFI20240307BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20240307BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A47K13/10
A47K13/24
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020040775
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】行武 陽平
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-153824(JP,A)
【文献】特開2008-099950(JP,A)
【文献】特開2004-113297(JP,A)
【文献】特開2001-348933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00 - 17/02
E03D 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、
便座と、
便蓋と、
前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉させる回転装置と、
前記便器本体に接近した人を検知する人体検知部と、
前記人体検知部による人の検知に基づいて、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を自動開閉動作させるように前記回転装置を制御する制御装置と、
前記制御装置によって制御される自動開閉動作のうちの自動閉動作についてユーザが設定可能な入力部と、を備え
、
前記入力部は、ユーザによって自動閉動作を実行するか実行しないかのいずれかを設定可能に構成される、便器装置。
【請求項2】
便器本体と、
便座と、
便蓋と、
前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉させる回転装置と、
前記便器本体に接近した人を検知する人体検知部と、
前記人体検知部による人の検知に基づいて、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を自動開閉動作させるように前記回転装置を制御する制御装置と、
前記制御装置によって制御される自動開閉動作のうちの自動閉動作についてユーザが設定可能な入力部と、を備え、
前記制御装置は、自動開放した後に、前記人体検知部による人の検知の継続時間が所定時間を超えたことに基づいて、自動閉動作を実行するように前記回転装置を制御する、便器装置。
【請求項3】
便器本体と、
便座と、
便蓋と、
前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉させる回転装置と、
前記便器本体に接近した人を検知する人体検知部と、
前記人体検知部による人の検知に基づいて、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を自動開閉動作させるように前記回転装置を制御する制御装置と、
前記制御装置によって制御される自動開閉動作のうちの自動閉動作についてユーザが設定可能な入力部と、を備え、
前記制御装置は、自動開放した後に、前記人体検知部による人の検知の継続時間が所定時間を超えたことに基づいて、自動閉動作を実行しないように前記回転装置を制御する、便器装置。
【請求項4】
前記制御装置は、自動開放した後に、前記人体検知部による人の検知の継続時間が所定時間を超えたことに基づいて、自動閉動作を実行するように前記回転装置を制御する、請求項1
に記載の便器装置。
【請求項5】
前記制御装置は、自動開放した後に、前記人体検知部による人の検知の継続時間が所定時間を超えたことに基づいて、自動閉動作を実行しないように前記回転装置を制御する、請求項1
又は2に記載の便器装置。
【請求項6】
前記入力部は、自動開放した後に自動閉鎖するまでの時間をユーザによって設定変更可能に構成される、請求項1
~5のいずれか1項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の腰掛便器が知られている。この腰掛便器は、人体検知センサを備え、人体を感知しなくなったときに便蓋と便座を自動で閉じるように構成される。便器の清掃をするときは、腰掛便器は、システムを「切」にすることによって、手動にて便蓋及び便座を開閉できるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、便座及び便蓋の自動開閉動作を実行する及び実行しないのいずれかを選択して設定することができる。しかし、上記の技術では、便座及び便蓋の自動開動作と自動閉動作とを切り離して、便座及び便蓋の自動閉動作のみを実行する及び実行しないのいずれかに選択することができない。そのため、発明者は、便器装置において、便座及び便蓋の少なくとも一方の自動閉動作をユーザの好みで自由に設定できるようにする、という新たな課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る便器装置は、便器本体と、便座と、便蓋と、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を開閉させる回転装置と、前記便器本体に接近した人を検知する人体検知部と、前記人体検知部による人の検知に基づいて、前記便座及び前記便蓋の少なくとも一方を自動開閉動作させるように前記回転装置を制御する制御装置と、前記制御装置によって制御される自動開閉動作のうちの自動閉動作についてユーザが設定可能な入力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態に係る便器装置の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る便器装置の側面断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る便器装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る便器装置における入力部の画面部の一例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る便器装置における入力部の画面部の他の一例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る便器装置における便蓋自動閉処理を説明するフローチャートである。
【
図7】本開示の一実施形態に係る便器装置における便蓋自動閉処理を説明するフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態に係る便器装置における便蓋自動閉処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の便器装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、便器装置1の便座21に座った人から視た場合の前後の方向を前後方向と定義する。前後方向に交差する左右を結ぶ方向を左右方向と定義する。鉛直方向に沿った上下の方向を上下方向と定義する。
【0008】
図1に示すように、便器装置1は、便器本体10と、便座21と、便蓋22と、機能部3と、人体検知部4(
図2参照)と、着座検知部8と、入力部9と、を有する。便器装置1は、例えばトイレルームの壁面Wに壁掛け式で配置され、汚物を下水へ流して洗浄する水洗式の装置である。
【0009】
便座21は、中央が後述する便器本体10の開口に連通するように開口した略環状で平坦な部材であり、便器本体10の上面に載置される。便座21は、便器本体10に対して、後述する便座回転装置32(
図3参照)の駆動によって回転可能に取り付けられている。これによって、便座21は、便器本体10に対して開閉可能に設けられる。
【0010】
便蓋22は、便座21の上に配置され、便座21及び便器本体10の凹部を覆っている。便蓋22は、便器本体10に対して、後述する便蓋回転装置33(
図3参照)の駆動によって、便座21とは独立して回転可能に取り付けられている。これによって、便蓋22は、便座21と同様に開閉可能に設けられる。
【0011】
機能部3は、便器本体10の後方に配置される。機能部3は、制御装置31と、便座21の開閉機構である便座回転装置32と、便蓋22の開閉機構である便蓋回転装置33と、を含む。便座回転装置32及び便蓋回転装置33は、便座21及び便蓋22を回転させるモータ(図示せず)等をそれぞれ含む。便座回転装置32及び便蓋回転装置33のそれぞれの駆動は、制御装置31によって制御される。これによって、便座21及び便蓋22は、それぞれ個別に開閉動作することができる。さらに、機能部3は、加温装置、音楽基板、スピーカー等の機能部品を含むことができる(いずれも図示省略)。機能部3には、各種の機構や装置を接続し、機能部3内の機能部品に電力を供給するための電気配線や、給水用の配管等が配置される。
【0012】
便器本体10は、
図2に示すように壁面Wに対して取り付けられる壁掛け式であり、ボウル部11と、排水口11aと、排水トラップ11bと、周壁部12と、溝部13と、を有する。
図2では、便座21、便蓋22、機能部3及び入力部9は省略して示されている。ボウル部11は、上部が開口した凹状に形成され、汚物等を受け入れる容器である。排水口11aは、ボウル部11の下端に配置されて外部の下水管(図示省略)へと連続する開口である。排水トラップ11bは、排水口11aから延出し、略U字状に延びる屈曲した管である。排水トラップ11bは、排水口11aの下端と下水管との間で下方へ延びた後に上方へ屈曲することで形成され、水を溜めることができる溜水部11cを有する。排水トラップ11bは、溜水部11cに水を溜めることで、下水側からの臭気がボウル部11へ移動することを防止する。
【0013】
周壁部12は、ボウル部11の外周を覆うとともに、上下方向に延びる壁である。周壁部12は、便器本体10の外郭を規定する。
図2に示すように、溝部13は、ボウル部11の下面と周壁部12の内側面との間に形成される凹部であり、ボウル部11の下面の周囲に沿って略U字状に形成されている。
【0014】
人体検知部4は、便器本体10の下方に設けられ、
図3に示すように、機能部3の制御装置31と電気的に接続されている。人体検知部4は、ユーザが便器装置1に近づいたことを検知した場合に、検知信号を制御装置31に出力する。本実施形態に示す人体検知部4は、ユーザの足を検知するフットセンサによって構成され、
図2に示すように、便器本体10の溝部13に配置される。より具体的には、人体検知部4は、排水トラップ11bよりも前方側に配置され、便器本体10の前方側における周壁部12の内側面12aに固定される。人体検知部4は、取付部41と、センサ部42と、を有し、取付部41によって内側面12aに固定される。本実施形態に示すセンサ部42は、例えば赤外線測距センサによって構成される。
【0015】
図2に示すように、人体検知部4は、周壁部12の前方下端と、排水トラップ11bの前方下端とを結ぶ仮想線IMよりも側面視で上方に配置されている。人体検知部4は溝部13内に取り付けられる。センサ部42はセンサ光を発光するために傾いている。センサ部42の一部分は、便器本体10から下方に突出している。この突出したセンサ部42の一部分は、仮想線IMよりも上方に位置している。人体検知部4の検知エリアは、例えば、便器本体10の先端から70mm程度前方であり、床面Fから80mm程度上方である。検知エリアは、適宜変更してよい。
【0016】
着座検知部8は、便座21に設けられ、
図3に示すように、機能部3の制御装置31と電気的に接続されている。着座検知部8は、ユーザが閉状態の便座21に着座したことを検知した場合に、検知信号を制御装置31に出力する。本実施形態に示す着座検知部8は、ユーザが便座21に接触したときの静電容量の変化を検出する静電容量センサによって構成され、便座21の内部に埋め込まれている。しかし、着座検知部8は、例えば、赤外線センサ、圧力センサ、物理スイッチ等によって構成されてもよい。
【0017】
入力部9は、リモートコントローラによって構成され、
図1に示すように、トイレルームの便器装置1の側方に配置される壁面Wに取り付けられている。入力部9は、
図3に示すように、配線(図示せず)によって機能部3の制御装置31と電気的に接続されている。入力部9は、便器装置1の状態、便器装置1が有する複数種類の機能の設定項目等の表示を行う画面部91と、複数の入力スイッチ92と、を有する。入力部9は、ユーザによって操作されることによって、便器装置1の様々な機能の設定を行うことができる。入力部9の一部の機能は、便器本体10側に配置されていてもよい。
【0018】
便器装置1において、入力部9は、制御装置31によって制御される便座21及び便蓋22の少なくとも一方の自動開閉動作のうちの自動閉動作について、ユーザが設定可能に構成される。具体的には、便器装置1は、便座21及び便蓋22の少なくとも一方を自動開放した後、人体検知部4がユーザの足を再検知しなくなった場合に、所定の待機時間経過後に自動閉鎖する自動閉機能を有する。この自動閉機能において、制御装置31は、便座21及び便蓋22の少なくとも一方を自動開放した後、人体検知部4がユーザの足を再検知しなくなった場合に、所定の待機時間経過後に自動閉鎖するように、対応する便座回転装置32及び便蓋回転装置33を制御する。入力部9は、自動開放後に自動閉鎖するまでの自動閉待機時間を、ユーザによって任意に設定可能に構成されている。
【0019】
図4は、便蓋自動閉待機時間をユーザが設定変更するための入力部9の画面部91の例を示している。画面部91には、現在設定されている便蓋自動閉待機時間が「60秒」であることが表示されている。入力部9は、画面部91に表示された時間を増減させるUP及びDOWNに対応する入力スイッチ92をユーザが押下操作することによって、便蓋自動閉待機時間を変更することができる。これによって、便蓋22が自動閉鎖するまでの時間をユーザの好みによって任意に設定できるため、便器装置1の利便性が向上する。便蓋自動閉待機時間の設定は、秒単位に限らず、分単位であってもよい。便蓋自動閉待機時間の設定は、予め規定された複数種類の時間を、入力スイッチ92の押下操作によってユーザが選択するように構成されてもよい。図示しないが、ユーザが便座21の自動閉待機時間を設定変更する場合も、上記と同様にして、ユーザが入力部9を使用して任意に行うことができる。
【0020】
便器装置1において、入力部9は、便座21及び便蓋22の少なくとも一方を自動閉動作させる自動閉機能を実行する及び実行しないのいずれかをユーザによって設定可能に構成されてもよい。
図5は、便蓋自動閉機能を実行する及び実行しないのいずれかをユーザが設定するための入力部9の画面部91の例を示している。画面部91には、便蓋自動閉機能が「ON」であること、すなわち、実行するように設定されていることが表示されている。入力部9は、画面部91に表示されたON及びOFFに対応する入力スイッチ92をユーザが押下操作することによって、便蓋自動閉機能を実行する及び実行しないのいずれかに設定することができる。例えば、
図5に示す入力部9において、ユーザがOFFに対応する入力スイッチ92を押下操作することによって、便器装置1の便蓋自動閉機能を実行しないように設定変更することができる。これによって、便蓋自動閉機能を実行する及び実行しないのいずれかをユーザの好みによって任意に設定できるため、便器装置1の利便性が向上する。図示しないが、ユーザが便座21の自動閉機能を実行する及び実行しないのいずれかを設定更する場合も、上記と同様にして、ユーザが入力部9を使用して任意に行うことができる。
【0021】
例えば、ユーザによって入力部9が操作されることによって便蓋自動閉機能がOFFに設定されている場合、便器装置1は、便蓋22を自動開放した後、人体検知部4の検知の有無に関わらず、便蓋22の自動閉動作を実行しない。しかし、ユーザの中には、便器装置1の便蓋自動閉機能がOFFに設定されている場合であっても、一時的に便蓋22を自動閉鎖することを希望するユーザが存在する場合がある。そのため、便器装置1の制御装置31は、便蓋22を自動開放させた後、人体検知部4によって足を再検知した際の継続時間が第1の継続時間を超えたことに基づいて、便蓋22の自動閉動作を実行するように便蓋回転装置33を制御してもよい。
【0022】
図6は、一時的に便蓋22の自動閉動作を実行する場合の便器装置1の動作のフローチャートを示している。一時的とは、次回便蓋22が開放するまでの間を意味する。
図6に示す便蓋自動閉処理1において、便器装置1の便蓋自動閉機能は予めOFFに設定されている。制御装置31は、ユーザの足を検知したことによって便蓋22を自動開放し(S101)、その後、人体検知部4によってユーザの足が再検知されたかどうかを継続して監視する(S102)。ステップS102において、ユーザの足が再検知された場合(ステップS102においてYESの場合)、制御装置31は、
図3に示すタイマ311を起動させて足再検知継続時間t1の計測を開始する(S103)。
【0023】
足再検知継続時間t1の計測開始後、制御装置31は、足再検知継続時間t1が、予め設定されている足再検知継続時間の閾値T1を超えたかどうかを判断する(S104)。制御装置31は、足再検知継続時間t1が閾値T1を未だ超えていない間、人体検知部4による足の検知が無くなったかどうかを継続して監視している(S105)。ステップS105において、人体検知部4が足を検知し続けている場合(ステップS105においてNOの場合)は、ステップS104からの処理に戻り、足再検知継続時間t1が閾値T1を超えたかどうかの判断を継続する。ステップS105において、人体検知部4が足を検知し無くなった場合(ステップS105においてYESの場合)は、制御装置31は、足再検知継続時間t1をリセットし(S106)、ステップS102からの処理に戻る。
【0024】
ステップS104において、足再検知継続時間t1が閾値T1を超えた場合(ステップS104においてYESの場合)、制御装置31は、便蓋自動閉機能のOFF設定を解除するとともに、足再検知継続時間t1をリセットする(S107)。その後、制御装置31は、タイマ311を再び起動させ、所定時間経過後に便蓋22を自動閉鎖するための便蓋閉待機時間t2の計測を開始する(S108)。
【0025】
制御装置31は、便蓋閉待機時間t2の計測開始後、予め設定されている便蓋閉待機時間の閾値T2を便蓋閉待機時間t2が超えたかどうかを判断する(S109)。ステップS109において、便蓋閉待機時間t2が閾値T2を超えた場合(ステップS109においてYESの場合)は、制御装置31は、便蓋22を自動閉鎖するように便蓋回転装置33を制御するとともに、便蓋閉待機時間t2をリセットする(S110)。その後、制御装置31は、便蓋自動閉機能の設定をOFFに戻し(S111)、便蓋自動閉処理1を終了する。
【0026】
これによれば、便器装置1の便蓋自動閉機能がOFFに設定されていても、ユーザが便蓋22を一時的に自動閉鎖してほしい場合には、便蓋22に手を触れる必要なく、足を人体検知部4に検知させるだけで、便蓋自動閉動作を一時的に実行することができる。したがって、便器装置1の利便性が向上する。
【0027】
図6に示すフローチャートのステップS106において、足再検知継続時間t1をリセットした後は、ステップS102に戻らずに、便蓋自動閉処理1を終了してもよい。上記のステップS104において、足再検知継続時間t1が閾値T1を超えた場合(ステップS104においてYESの場合)は、制御装置31は、便蓋閉待機時間t2を計測せずに、直ちに便蓋22を自動閉鎖してもよい。
【0028】
図7は、一時的に便蓋22の自動閉動作を実行する場合の便器装置1の動作において、便蓋22が自動開放した後に、制御装置31が便座21への着座の有無を判断する場合のフローチャートを示している。
図7に示す便蓋自動閉処理2において、ステップS201及びステップS203からステップS212の処理は、
図6に示したフローチャートと実質的に同一の処理であるため、それらの説明については省略する。
【0029】
図7に示すフローチャートでは、ステップS201において便蓋22が自動開放した後、制御装置31は、着座検知部8によってユーザの便座21への着座が検知されることによって検知信号の入力があったかどうかを監視する(S202)。ステップS202において、着座検知部8からの検知信号が無い場合(ステップS202においてNOの場合)は、制御装置31は、ステップS203の処理に進み、人体検知部4によってユーザの足が再検知されたかどうかを継続して監視する。
【0030】
ステップS202において、ユーザが便座21に着座したことによって着座検知部8から検知信号が出力された場合(ステップS202においてYESの場合)は、制御装置31は、タイマ311を起動させて着座継続時間t3の計測を開始する(S213)。着座継続時間t3の計測開始後、制御装置31は、着座継続時間t3が、予め設定されている着座継続時間の閾値T3を超えたかどうかを判断する(S214)。制御装置31は、着座継続時間t3が閾値T3を未だ超えていない間、着座検知部8による着座検知が無くなったかどうかを継続して監視する(S215)。
【0031】
ステップS215において、着座検知部8が着座を検知し続けている場合(ステップS215においてNOの場合)は、ステップS214からの処理に戻り、着座継続時間t3が閾値T3を超えたかどうかの判断を継続する。ステップS215において、着座検知部8が着座を検知し無くなった場合(ステップS215においてYESの場合)は、制御装置31は、着座継続時間t3をリセットし(S216)、ステップS202からの処理に戻る。ステップS214において、着座継続時間t3が閾値T3を超えた場合(ステップS214においてYESの場合)は、ユーザが座姿勢で便器装置1を使用し続けていると判断されるため、制御装置31は便蓋自動閉処理2を終了する。
【0032】
これによれば、便蓋22が自動開放した後、ユーザによる便座21への着座があった場合には、便座自動閉動作は実行されない。そのため、便器装置1の使用時に人体検知部4が足を検知し続けることによって、意図せず便蓋自動閉動作が実行されてしまうおそれを回避できる。
【0033】
ユーザによって入力部9が操作されることによって便蓋自動閉機能がONに設定されている場合、便器装置1は、便蓋22を自動開放した後、ユーザの足を検知しなくなった後に便蓋22の自動閉動作が実行される。しかし、ユーザの中には、便器装置1の便蓋自動閉機能がONに設定されている場合であっても、一時的に便蓋22を自動閉鎖することを希望しないユーザが存在する場合がある。そのため、便器装置1の制御装置31は、便蓋22を自動開放させた後、人体検知部4によって足を再検知した際の継続時間が第2の継続時間を超えたことに基づいて、便蓋22の自動閉動作を実行しないように便蓋回転装置33を制御してもよい。
【0034】
図8は、便蓋22の自動閉動作を実行しない場合の便器装置1の動作のフローチャートを示している。
図8に示す便蓋自動閉処理3において、便器装置1の便蓋自動閉機能は予めONに設定されている。制御装置31は、ユーザの足を検知したことによって便蓋22を自動開放し(S301)、その後、タイマ311を起動させ、便蓋閉待機時間t2の計測を開始する(S302)。
【0035】
便蓋閉待機時間t2の計測開始後、制御装置31は、便蓋閉待機時間t2が、予め設定されている便蓋閉待機時間の閾値T2を超えたかどうかを判断する(S303)。ステップS303において、便蓋閉待機時間t2が閾値T2を超えた場合(ステップS303においてYESの場合)は、制御装置31は、便蓋22を自動閉鎖するように便蓋回転装置33を制御するとともに、便蓋閉待機時間t2をリセットし、便蓋自動閉処理3を終了する。
【0036】
ステップS303において、便蓋閉待機時間t2が閾値T2を未だ超えていない場合(ステップS303においてNOの場合)は、制御装置31は、人体検知部4によって足が再検知されたかどうかを監視する(S305)。ステップS305において、人体検知部4が足を再検知していない場合(ステップS305においてNOの場合)は、制御装置31は、ステップS303からの処理に戻り、便蓋閉待機時間t2が閾値T2を超えたかどうかの判断を継続する。ステップS305において、人体検知部4が足を再検知した場合(ステップS305においてYESの場合)は、制御装置31は、タイマ311を起動させて足再検知継続時間t1の計測を開始する(S306)。
【0037】
足再検知継続時間t1の計測開始後、制御装置31は、予め設定されている足再検知継続時間の閾値T1を足再検知継続時間t1が超えたかどうかを判断する(S307)。足再検知継続時間t1が閾値T1を未だ超えていない場合(ステップS307においてNOの場合)は、制御装置31は、人体検知部4による足の検知が無くなったかどうかを継続して監視する(S308)。ステップS308において、人体検知部4が足を検知し続けている場合(ステップS308においてNOの場合)は、制御装置31は、ステップS307からの処理に戻り、足再検知継続時間t1が閾値T1を超えたかどうかの判断を継続する。ステップS308において、人体検知部4が足を検知し無くなった場合(ステップS308においてYESの場合)は、制御装置31は、足再検知継続時間t1をリセットし(S309)、ステップS303からの処理に戻る。
【0038】
ステップS307において、足再検知継続時間t1が閾値T1を超えた場合(ステップS307においてYESの場合)は、制御装置31は、便蓋自動閉機能をOFFに設定するとともに、足再検知継続時間t1及び便蓋閉待機時間t2をリセットし(S310)、その後、便蓋自動閉処理3を終了する。
【0039】
これによれば、便器装置1の便蓋自動閉機能がONに設定されていても、例えば、ユーザが便器装置1の清掃を行う場合等のように、便蓋22を自動閉鎖してほしくない場合には、足を人体検知部4に検知させるだけで、便蓋自動閉動作を実行しないようにすることができる。したがって、便器装置1の利便性が向上する。
【0040】
図8に示すフローチャートのステップS309において、足再検知継続時間t1をリセットした後は、ステップS303に戻らずに、便蓋自動閉処理3を終了してもよい。
【0041】
制御装置31は、便座21に対して、
図6及び
図8のフローチャートに示す自動閉処理と同様の自動閉処理を実行してもよい。
【0042】
本開示の便器装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、便器装置は床面設置式であってもよい。人体検知部4は、ユーザの足を検知するフットセンサに限定されず、例えば、手等のユーザの足以外の身体の一部を検知するセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 便器装置、 4 人体検知部、 9 入力部、 10 便器本体、 22 便蓋、 31 制御装置、 33 便蓋回転装置