(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】制御装置、熱源システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240307BHJP
F25B 1/053 20060101ALI20240307BHJP
F25B 15/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F25B1/00 361J
F25B1/00 371E
F25B1/00 399Y
F25B1/053 A
F25B15/00 306A
(21)【出願番号】P 2020044051
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】立石 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 智
(72)【発明者】
【氏名】筈井 祐介
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-257938(JP,A)
【文献】特開2006-275492(JP,A)
【文献】特開2015-117888(JP,A)
【文献】特開2018-017478(JP,A)
【文献】特開2008-241210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 1/053
F25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御する制御装置であって、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷の範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う運転台数制御部、
を備
え、
前記運転台数制御部は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、
増段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機を選択する、
制御装置。
【請求項2】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御する制御装置であって、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷の範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う運転台数制御部、
を備
え、
前記運転台数制御部は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、
前記負荷の予測値が、増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように増段対象の前記熱源機を選択する、
制御装置。
【請求項3】
前記運転台数制御部は、増段候補の前記熱源機について、前記負荷の予測値と増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最大の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、前記負荷の予測値と増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最小の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、を算出し、前記差分のうち小さい値が最大となる前記熱源機を増段対象として選択する、
請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御する制御装置であって、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷の範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う運転台数制御部、
を備
え、
前記運転台数制御部は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、
減段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように減段対象の前記熱源機を選択する、
制御装置。
【請求項5】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御する制御装置であって、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷の範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う運転台数制御部、
を備
え、
前記運転台数制御部は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、
前記負荷の予測値が、減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように減段対象の前記熱源機を選択する、
制御装置。
【請求項6】
前記運転台数制御部は、減段候補の前記熱源機について、前記負荷の予測値と減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最大の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、前記負荷の予測値と減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最小の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、を算出し、前記差分のうち小さい値が最大となる前記熱源機を減段対象として選択する、
請求項
5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記運転台数制御部は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値の何れかが、前記適正負荷範囲内の場合、前記熱源機の増段および減段を行わない、
請求項1
から請求項6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
複数の熱源機と、
請求項1から請求項
7の何れか1項に記載の制御装置と、
を備える熱源システム。
【請求項9】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数の制御方法であって、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行
い、
前記熱源機を増段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、増段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機を選択し、
前記熱源機を減段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、減段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように減段対象の前記熱源機を選択する、
制御方法。
【請求項10】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数の制御方法であって、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行
い、
前記熱源機を増段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、前記負荷の予測値が、増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように増段対象の前記熱源機を選択し、
前記熱源機を減段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、前記負荷の予測値が、減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように減段対象の前記熱源機を選択する、
制御方法。
【請求項11】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御するコンピュータに、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行
い、
前記熱源機を増段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、増段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機を選択し、
前記熱源機を減段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、減段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように減段対象の前記熱源機を選択する処理を実行させる、
プログラム。
【請求項12】
複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御するコンピュータに、
前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行
い、
前記熱源機を増段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、前記負荷の予測値が、増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように増段対象の前記熱源機を選択し、
前記熱源機を減段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、前記負荷の予測値が、減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように減段対象の前記熱源機を選択する処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、熱源システム、制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷水又は温水を負荷系統に供給する熱源システムにおいて、各熱源機が適正能力範囲で運転可能となるように熱源機の運転台数を決定し、熱源機の起動と停止を制御する制御方法が開示されている。この制御方法では、負荷が変動すると、その負荷変動に伴う不要な熱源機の発停を引き起し、安定した熱供給を阻害するおそれがある。熱源機の不要な発停を回避するには、例えば、一定時間、負荷が適正能力範囲を逸脱した場合に台数を変更するといった対策が考えられるが、この制御では、熱源機の発停が遅れてしまい、要求負荷を満たせない、あるいは熱源機が軽負荷停止してしまう等の可能性がある。
【0003】
特許文献2には、将来の負荷を予測し、先行的に熱源機を増段又は減段することで、負荷変動への追従性の向上を図る制御方法が開示されている。特許文献2の制御方法は、将来の負荷予測に対する容量の過不足に従って熱源機の台数制御を行うため、特許文献1に記載の制御方法によって達成できる、現在の負荷に対する効率的な運転が達成できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-106699号公報
【文献】特開2019-74270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安定した熱供給を行いつつ、少ない発停回数で負荷変動への追従を可能にする、熱源機の運転台数の制御方法が求められている。
【0006】
そこで本開示は、上述の課題を解決することのできる制御装置、熱源システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、制御装置は、複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御する制御装置であって、前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う運転台数制御部、を備え、前記運転台数制御部は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、増段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機を選択する。
【0008】
本開示の一態様によれば、複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数の制御方法であって、前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行い、前記熱源機を増段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、増段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機を選択し、前記熱源機を減段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、減段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように減段対象の前記熱源機を選択する、制御方法である。
【0009】
本開示の一態様によれば、プログラムは、複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御するコンピュータに、前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行い、前記熱源機を増段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段し、増段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機を選択し、前記熱源機を減段する場合、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段し、減段後の全ての前記熱源機の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように減段対象の前記熱源機を選択する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記の制御装置、熱源システム、制御方法およびプログラムによれば、効率的かつ安定した熱供給と、負荷変動への追従性を両立する熱源機の台数制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る熱源システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施例1に係る増減段制御の一例を示すフローチャートである。
【
図3】実施例2に係る増減段制御の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施例3に係る増減段制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
(熱源システムの構成・機能)
以下、本開示の実施形態による熱源機の増減段制御について
図1~
図5を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る熱源システムの構成例を示す図である。
熱源システム1は、熱源機21A、21B、21Cと、ポンプ22A,22B,22Cと、制御部20A,20B,20Cと、サプライヘッダ23と、リターンヘッダ24と、バイパス流路25と、負荷予測装置50と、制御装置10と、を備える。以下、制御部20A,20B,20Cを区別して説明する場合には、制御部20A,20B,20Cとし、制御部20A~20Cを区別しない場合には単に制御部20と記載することがある。熱源機21A、21B、21Cについても区別する必要が無い場合に単に熱源機21と記載することがある。
【0013】
熱源機21A~21Cは、例えば、ターボ冷凍機、吸収式冷凍機などである。熱源機21A~21Cは、冷蔵や冷凍ショーケース、空調機や給湯機、工場設備等の外部負荷30に対して供給する冷水が所定の目標温度となるよう制御する。3台の熱源機21A、21B、21Cは、外部負荷30に対して並列に設置されている。
【0014】
ポンプ22A,22B,22Cは、それぞれ熱源機21A,21B,21Cの冷水の流れ方向の上流側に設けられており、リターンヘッダ24からの冷水を熱源機21A,21B,21Cへ供給する。制御装置10は、ポンプ22A,22B,22Cの動作を制御する。
【0015】
熱源機21A、21B、21Cのそれぞれは、図示しない圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁などを含む冷凍サイクルを備えている。熱源機21Aの制御部20Aは、冷凍サイクルを制御することにより、ポンプ22Aにより送水される冷水を冷却する。同様に熱源機21Bは、制御部20Bの制御により、ポンプ22Bにより送水される冷水を冷却する。熱源機21Cは、制御部20Cの制御により、ポンプ22Cにより送水される冷水を冷却する。制御装置10は、制御部20A,20B,20Cを制御する。
【0016】
熱源機21A、21B、21Cが送り出した冷水は、サプライヘッダ23へと至り、サプライヘッダ23で集約され、外部負荷30へと供給される。外部負荷30に供給された冷水は、外部負荷30で利用されて昇温し、リターンヘッダ24に送られる。冷水は、リターンヘッダ24で3つの流路に分岐され、ポンプ22A,22B,22Cに送られる。
【0017】
サプライヘッダ23とリターンヘッダ24との間には、バイパス流路25が設けられている。バイパス流路25には、開閉バルブ26が設けられている。この開閉バルブ26を調整することにより、サプライヘッダ23からバイパス流路25を介してリターンヘッダ24へと流れる冷水の流量を制御して、サプライヘッダ23から外部負荷30へ供給される冷水の供給圧力を調整する。制御装置10は、開閉バルブ26の開閉を制御する。
【0018】
外部負荷30とリターンヘッダ24とを接続する還り流路31には、開閉バルブ32が設けられている。この開閉バルブ32を調整することにより、外部負荷30への冷水の供給を制御する。制御装置10は、開閉バルブ32の開閉を制御する。
【0019】
熱源機21Aの冷水の入口側には、流量センサ40Aと温度センサ41Aとが設けられている。熱源機21Aの冷水の出口側には温度センサ42Aが設けられている。同様に熱源機21Bの入口側には、流量センサ40Bと温度センサ41Bとが設けられ、出口側には温度センサ42Bが設けられている。また、熱源機21Cの入口側には、流量センサ40Cと温度センサ41Cとが設けられ、出口側には温度センサ42Cが設けられている。また、サプライヘッダ23の下流側には、温度センサ43が設けられている。
【0020】
流量センサ40Aは、熱源機21Aに流入する冷水の流量を計測する。温度センサ41Aは、熱源機21Aに流入する冷水の温度を計測する。温度センサ42Aは、熱源機21Aが送り出す冷水の温度を計測する。流量センサ40B,40C、温度センサ41B,41C、温度センサ42B,42Cについても同様である。温度センサ43は、外部負荷30へ供給される冷水の温度(送水温度)を計測する。
流量センサ40A~40C、温度センサ41A~41C、温度センサ42A~42C、温度センサ43等の各センサは、計測した計測値を制御装置10へ送信する。
【0021】
各熱源機の制御部20A~20Cと制御装置10との間は通信線を介して通信可能に接続されている。制御部20A、20B、20Cは、熱源機21A、21B、21Cを起動、停止する機能を有している。例えば、制御装置10が制御部20Aに起動信号を送信すると、制御部20Aが熱源機21Aを起動する。制御装置10が制御部20Aに停止信号を送信すると、制御部20Aが熱源機21Aを停止する。制御部20B,20Cについても同様である。
【0022】
制御装置10は、流量センサ40Aが計測した流量、温度センサ41Aおよび温度センサ42Aが計測した温度を制御部20Aへ送信する。同様に制御装置10は、流量センサ40B、温度センサ41Bおよび温度センサ42Bが計測した計測値を制御部20Bへ送信する。制御装置10は、流量センサ40C、温度センサ41Cおよび温度センサ42Cが計測した計測値を制御部20Cへ送信する。
【0023】
制御部20Aは、温度センサ41Aが計測した温度から温度センサ42Aが計測した温度を減算した値に、流量センサ40Aが計測した流量と、冷水の比熱と、冷水の比重と、を乗じて、熱源機21Aの現在の運転負荷を演算する。制御部20Aは、熱源機21Aの現在の運転負荷を制御装置10へ送信する。制御部20B,20Cも同様に、それぞれ、熱源機21B,21Cの現在の運転負荷を演算し、演算した値を制御装置10へ送信する。なお、制御装置10が、流量センサ40A~40Cの計測値、温度センサ41A~41Cの計測値、温度センサ42A~42Cの計測値を取得して、熱源機21A~21Cそれぞれの現在の運転負荷を演算してもよい。
【0024】
負荷予測装置50は、外部負荷30で必要となる将来の負荷を予測する。将来とは、例えば、10分後や30分後のことである。負荷予測装置50は、スケジューリングされた計画負荷、あるいは機械学習等を用いて構築された負荷予測モデルが予測する負荷の予測値を、制御装置10へ送信する。
【0025】
制御装置10は、PLC(Programmable Logic Controller)やマイコン等のコンピュータで構成される。制御装置10は、データ取得部11と、運転台数制御部12と、記憶部13と、通信部14と、を備える。本実施形態の熱源機21A~21Cの運転台数制御に関係のない機能についての説明は省略するが、制御装置10は、外部負荷30の要求負荷を達成できるように制御部20A~20Cへ運転指示を与える機能、ポンプ22A,22B,22Cの制御や、開閉バルブ26の制御など熱源システム1に関する種々の制御を行う機能を有している。
【0026】
データ取得部11は、外部負荷30が要求する現在の負荷(要求負荷)、熱源機21A~21Cの現在の運転負荷、外部負荷30の将来の負荷の予測値(予測負荷)を取得する。データ取得部11は、流量センサ40A~40C、温度センサ41A~41C、温度センサ42A~42C、温度センサ43から各センサが計測した計測値を取得する。
【0027】
運転台数制御部12は、現在の要求負荷、熱源機21の現在の運転負荷に基づいて、熱源機21の運転台数を制御する。例えば、現在、起動している熱源機21の定格能力の合計よりも外部負荷30が大きければ、運転台数制御部12は、熱源機21を増段する。反対に、外部負荷30に比べて、現在、起動している熱源機21の定格能力の合計が過剰であれば、運転台数制御部12は、熱源機21を減段する。
【0028】
さらに、本開示の運転台数制御部12は、現在の熱源機21の運転負荷と将来の予測負荷とに基づき熱源機21の運転台数制御を行う。熱源機21の増減段を行うと、その間、安定した熱供給が妨げられる。その為、運転台数制御部12は、できるだけ熱源機21の発停を避けて安定した熱供給を維持しつつ、負荷の変動に追従できるように運転台数制御を行う。後述するように運転台数制御部12は、現在起動中の熱源機21の運転負荷と将来の予測負荷が共に、熱源機21の運転効率が適正となるような負荷の範囲を示す適正能力範囲を上回るか下回る場合のみ、増段又は減段を行う。現在から将来にわたる負荷の傾向に基づいて、増減段を行うことで、無駄な増減段(例えば、増段後すぐに減段する等)を防止し、安定した熱供給を行うことができる。また、将来の予測負荷に基づいて、熱源機21の増減段を行うので、遅延なく負荷の変化へ追従することが可能になる。その際、運転台数制御部12は、例えば、予め定められた順で起動又は停止する熱源機21を選択(第一実施形態)するだけでなく、熱源機21を増減段させた後の、熱源システム1の熱供給の安定性、要求負荷とのバランス(第二実施形態)や運転効率(第三実施形態)を考慮して、起動又は停止する熱源機21を選択する。
【0029】
記憶部13は、各種閾値など種々の情報を記憶する。例えば、記憶部13は、熱源機21の定格能力、適正能力範囲の情報を記憶する。適正能力範囲とは、熱源機21のCOP(Coefficient Of Performance:成績係数)が所定の基準値以上となるときの負荷率の範囲である。適正能力範囲は、熱源機21ごとに、冷水入口温度(温度センサ41A~41Cが計測する温度)別に予め定められている。熱源機21が適正能力範囲内の負荷で運転するとき、その熱源機21は効率の良い運転をしていることを意味する。運転台数制御部12は、熱源機21Aの適正能力範囲に基づいて、制御部20Aから送信される熱源機21Aの現在の運転負荷を評価することができる。なお、記憶部13は、必須の構成ではない。制御装置10が記憶部13を備えるか否かに関わらず、制御装置10と熱源機21との間で通信を行って、データ取得部11が、熱源機21の定格能力、適正能力範囲の情報を取得してもよい。
通信部14は、制御部20A~20Cとの通信を行う。
【0030】
(実施例1)
次に
図2を参照して、第一実施形態における運転台数制御部12による台数制御について説明する。
図2は、実施例1に係る増減段制御の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部11が、制御に必要なデータを取得する(ステップS11)。例えば、データ取得部11は、制御部20Aから現在の熱源機21Aの運転負荷を取得し、制御部20Bから現在の熱源機21Bの運転負荷を取得し、制御部20Cから現在の熱源機21Cの運転負荷を取得する。データ取得部11は、外部負荷30の要求負荷を取得する。データ取得部11は、負荷予測装置50から10分後や30分後の予測負荷を取得する。データ取得部11は、温度センサ41A~41Cが計測した熱源機21A~21Cの入口側における冷水の温度を取得する。
【0031】
次に運転台数制御部12が、熱源機21の現在の運転負荷が適正能力範囲内か否かを判定する(ステップS12)。例えば、現在、熱源機21A、21Bが起動していて、それぞれの定格能力(定格負荷)が300kWである。運転台数制御部12は、まず、熱源機21A、21Bの適正能力範囲を演算する。例えば、運転台数制御部12は、温度センサ41Aの計測した温度を記憶部13が記憶する適正能力範囲演算用の関数に入力して、熱源機21Aの適正能力範囲を演算する。熱源機21Bについても同様である。例えば、熱源機21A、21Bの適正能力範囲が共に60~70%と演算されたとする。すると、熱源機21A、21Bの適正な負荷範囲は、それぞれ、300kW×60%~300kW×70%、つまり、180~210kWとなる。運転台数制御部12は、これらを合計して、現在起動中の熱源機21全体での適正な負荷の範囲を算出する。この例の場合、能力適正能力範囲に対応する負荷の範囲は、360~420kWとなる。運転台数制御部12は、演算した適正能力範囲に対応する負荷の範囲と、熱源機21A~21Cの運転負荷の合計を比較する。例えば、運転負荷の合計が360~420kWの範囲であれば、運転台数制御部12は、現在の運転負荷は適正能力範囲内であると判定する。例えば、運転負荷の合計が500kWであれば、運転台数制御部12は、現在の運転負荷は適正能力範囲内ではない(要求負荷が大きい)と判定する。例えば、運転負荷の合計が350kWであれば、運転台数制御部12は、現在の運転負荷は適正能力範囲内ではない(要求負荷が小さい)と判定する。
【0032】
ステップS12の判定で現在の運転負荷が適正能力範囲内と判定した場合、運転台数制御部12は、増段、減段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。例えば、現在の負荷が適正能力範囲内であって、将来の予測負荷が適正能力範囲を上回るような場合であっても、運転台数制御部12は、この時点での増段は実行しない。これにより、結果として10分後に要求負荷が適正能力範囲を上回ることがなかった場合に、無駄な増段を行わずに済む。また、結果として10分後に要求負荷が適正能力範囲を上回るようになった場合、適正能力範囲は上回っても、起動中の熱源機21A、21Bで10分後の要求負荷を賄うことができれば、安定した熱供給を損なうことが無い。なお、10分後に起動中の熱源機21A、21Bで要求負荷を満たすことができない場合には、別の制御によって、運転台数制御部12が停止中の熱源機21を起動する。
【0033】
ステップS12の判定で現在の運転負荷が適正能力範囲より大きいと判定した場合、運転台数制御部12は、予測負荷が適正能力範囲より大きいか否かを判定する(ステップS14)。上記の例の場合、例えば、10分後の予測負荷が500kWであれば、運転台数制御部12は、予測負荷は適正能力範囲より大きいと判定する。負荷予測装置50が、例えば、10分後の予測負荷と、30分後の予測負荷と、を予測している場合、運転台数制御部12は、10分後および30分後の予測負荷が共に適正能力範囲より大きい場合に、予測負荷は適正能力範囲より大きいと判定する。予測値が3つ以上存在する場合、それら予測値の全てが適正能力範囲より大きいと、運転台数制御部12は、負荷の予測値は適正能力範囲より大きいと判定する。あるいは、全ての予測値のうち、適正能力範囲より大きい値を有する予測値の数が、そうでない予測値の数より多い場合、運転台数制御部12は、負荷の予測値は適正能力範囲より大きいと判定してもよい。例えば、10分後の予測負荷が現在起動中の熱源機21の適正能力範囲は上回るが、現在起動中の熱源機21が定格で運転すれば予測負荷を賄うことができる場合であって、30分後の予測負荷が現在起動中の熱源機21の適正能力範囲内の場合、一時的な負荷の増大に対し増段を行うことは無駄となる可能性がある。予測負荷全てが、適正能力範囲は上回る場合にのみ増段を行うことで、無駄な増段による熱供給の不安定化を防ぐことができる。
【0034】
なお、将来予測期間の長さ(何分先の将来予測を考慮するか)については、起動対象の熱源機21の能力発揮時間(起動を開始してから能力を発揮するまでの時間)によって定めることが可能である。例えば、ターボ冷凍機の起動から能力発揮までの所要時間が600秒の場合、600秒後(10分後)あるいはそれ以降の将来予測負荷に従い、増減段の判定を行うことが望ましい。
【0035】
予測負荷が適正能力範囲より大きいと判定した場合(ステップS14;Yes)、運転台数制御部12は、熱源機21を増段する(ステップS17)。運転台数制御部12は、次に起動する熱源機21を選択する。例えば、熱源機21の起動順が予め定められている場合、運転台数制御部12は、この起動順に従って、次に起動すべき熱源機21を選択する。起動順が定められていない場合、運転台数制御部12は、起動後に予測負荷を満足することができる熱源機21の中から任意に起動対象の熱源機21を選択する。現在だけでなく将来においても負荷が適正能力範囲を上回るならば、負荷が適正能力範囲となるような台数の熱源機21を起動して運転した方が運転効率は向上する。本開示では、現在および将来において負荷が適正能力範囲を上回ることが予測される場合、増段によりシステムが一時的に不安定化することよりも、増段による運転効率の向上に利益があると考え、熱源機21を増段する。運転台数制御部12は、運転台数制御部12が選択した熱源機21を起動する。
【0036】
予測負荷が適正能力範囲より大きくないと判定した場合(ステップS14;No)、運転台数制御部12は、増段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。現在の運転状態が、適正能力範囲を上回っていたとしても要求負荷を達成することは可能で、近い将来の負荷の予測値は、現在起動中の熱源機21の能力適正能力範囲で賄うことができるならば、現在起動中の熱源機21で運転を続けることで、無駄な発停を回避することができる。なお、現在、起動中の熱源機21の運転状態が適正能力範囲を上回っているだけでなく、要求負荷が起動中の熱源機21の定格負荷の合計を上回るような場合、
図2のフローチャートの制御とは別の制御が働いて、運転台数制御部12が停止中の熱源機21を起動する。
【0037】
ステップS12の判定で現在の運転負荷が適正能力範囲より小さいと判定した場合、運転台数制御部12は、予測負荷が適正能力範囲より小さいか否かを判定する(ステップS13)。上記の例の場合、例えば、10分後の負荷の予測値が350kWであれば、運転台数制御部12は、予測負荷は適正能力範囲より小さいと判定する。また、負荷予測装置50が、例えば、10分後の予測負荷と、30分後の予測負荷と、を予測している場合、運転台数制御部12は、10分後および30分後の負荷の予測値が共に適正能力範囲より小さい場合に、予測負荷が適正能力範囲より小さいと判定する。予測負荷が3つ以上存在する場合、それら予測負荷の全てが適正能力範囲より小さいと、運転台数制御部12は、負荷の予測値は適正能力範囲より小さいと判定する。あるいは、全ての予測値のうち、適正能力範囲より小さい値を有する予測値の数が、そうでない予測値の数より多い場合、運転台数制御部12は、負荷の予測値は適正能力範囲より小さいと判定してもよい。
【0038】
予測負荷が適正能力範囲より小さいと判定した場合(ステップS13;Yes)、運転台数制御部12は、熱源機21を減段する(ステップS15)。運転台数制御部12は、停止する熱源機21を選択する。例えば、熱源機21の停止順が予め定められている場合、運転台数制御部12は、この停止順に従って、次に停止すべき熱源機21を選択する。停止順が定められていない場合、運転台数制御部12は、停止後に予測負荷を満足することができるように停止対象の熱源機21を選択する。現在だけでなく将来においても負荷が適正能力範囲を下回るならば、負荷が適正能力範囲となるような台数の熱源機21だけで運転した方が運転効率は向上する。本開示では、現在および将来において負荷が適正能力範囲を下回ることが予測される場合、減段により熱供給が一時的に不安定化することよりも、減段による運転効率の向上に利益があると考え、熱源機21を減段する。運転台数制御部12は、運転台数制御部12が選択した熱源機21を停止する。
【0039】
予測負荷が適正能力範囲より小さくないと判定した場合(ステップS13;No)、運転台数制御部12は、減段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。現在の運転状態が、適正能力範囲を下回っていたとしても要求負荷を達成することは可能で、近い将来に予測される負荷を現在起動中の熱源機21の能力適正能力範囲で賄うことができるならば、現在起動中の熱源機21で運転を続けることで、無駄な発停を回避することができる。なお、現在、起動中の熱源機21の運転状態が適正能力範囲を下回っているだけでなく、1台停止させたとしても外部負荷30を満足させることができるような場合
図2のフローチャートの制御とは別の制御が働いて、運転台数制御部12が熱源機21を減段する。
【0040】
上記説明したように、実施例1の制御において、運転台数制御部12は、起動中の熱源機21の運転負荷の合計が、起動中の熱源機21の適正能力範囲の合計を上回る場合、将来の予測負荷が適正能力範囲内である場合は熱源機21の増段を行わず、将来の予測負荷が適正能力範囲を上回る場合は熱源機21を増段する。また、運転台数制御部12は、起動中の熱源機21の運転負荷の合計が、起動中の熱源機21の適正能力範囲の合計を下回っている場合、将来の予測負荷が適正能力範囲内である場合は熱源機21の減段を行わず、将来の予測負荷が適正能力範囲を下回っている場合は熱源機21を減段する。また、運転台数制御部12は、起動中の熱源機21の運転負荷の合計が適正能力範囲内の場合、将来予測負荷に関わらず熱源機21の増減段を行わない。
【0041】
このように、現在から将来までの一定期間に渡って熱源機21の増減段が必要な場合にのみ熱源機21の増減段を行うことにより、熱源機21の発停を抑制した安定的な熱供給を行いつつ、負荷変動に追従することが可能となる。また、現在の要求負荷、予測負荷が、適正能力範囲内か範囲外かに基づき増減段を判断するため、消費電力の観点で効率的な熱源機の台数制御が可能となる。
【0042】
なお、上記説明では、現状の負荷が適正能力範囲内かどうかを判定する場合に(ステップS12)、起動中の熱源機21の運転負荷の合計と、起動中の熱源機21の適正能力範囲の合計とを比較することとしたが、外部負荷30の要求負荷と起動中の熱源機21の適正能力範囲の合計を比べてもよい。また、上記説明では、運転台数制御部12が、記憶部13が記憶する適正能力範囲演算用の関数を用いて熱源機21の適正能力範囲を演算することとしたが、ステップS11にて、データ取得部11が、制御部20Aから熱源機21Aの定格能力、適正能力範囲の情報を取得し、制御部20Bから熱源機21Bの定格能力、適正能力範囲の情報を取得し、制御部20Cから熱源機21Cの定格能力、適正能力範囲の情報を取得し、ステップS12以降では、運転台数制御部12が、ステップS11で取得した適正能力範囲の情報を用いて増減段の判断を行ってもよい。これらのことは、実施例2、実施例3でも同様である。
【0043】
(実施例2)
次に
図3を参照して、実施例2における運転台数制御部12による台数制御について説明する。実施例1と同様の処理については簡単に説明する。
図3は、実施例2に係る増減段制御の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部11が、制御に必要なデータを取得する(ステップS11)。次に、運転台数制御部12が、現在の運転負荷が適正能力範囲内か否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の判定で運転負荷が適正能力範囲内と判定した場合、運転台数制御部12は、増段、減段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。
【0044】
ステップS12の判定で運転負荷が適正能力範囲より大きいと判定した場合、運転台数制御部12は、予測負荷が適正能力範囲より大きいか否かを判定する(ステップS14)。予測負荷が適正能力範囲より大きくないと判定した場合(ステップS14;No)、運転台数制御部12は、増段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。
【0045】
ステップS14の判定で予測負荷が適正能力範囲より大きいと判定した場合(ステップS14;Yes)、運転台数制御部12は、現在起動している熱源機21の定格能力と次に増段する熱源機21の定格能力の合計が予測負荷以上で、且つ、増段後の全ての熱源機21の定格能力の合計と予測負荷の差分が最小となる熱源機21を選択して増段する(ステップS17A)。(例1)例えば、現在、熱源機21Aが起動中で、予測負荷が500kW、熱源機21A,21B,21Cの定格能力がそれぞれ、300kW,300kW,100kWの場合、増段後の定格能力の合計は予測負荷以上でなければならないので、運転台数制御部12は、増段対象として熱源機21Bを選択する。(例2)同じ例で、熱源機21A,21B,21Cの定格能力がそれぞれ、300kW,300kW,250kWの場合、増段後の全熱源機21の定格能力の合計と予測負荷の差分が最小となる熱源機21を選択するので、運転台数制御部12は、増段対象として熱源機21Cを選択する。
【0046】
ここで、増段後の定格能力の合計と負荷の予測値の差分が最小となる熱源機21を選択するのは次の(1)~(3)のような理由による。つまり、(1)要求されている負荷と起動中の熱源機21の能力がなるべく釣り合うようにする。一般的な増段制御でも、能力が過剰(例2の熱源機21C)となるような増段を行わない。(2)将来の予測負荷はあくまでも予測の為、外れる場合がある。例えば、予測負荷よりも負荷が小さくなった場合、能力の過剰な熱源機21を増段すると、増段した熱源機21は、適正能力範囲を下回る低効率域で運転することになり、非効率な運転となる可能性がある。(3)予測が外れて、予測負荷よりも大きな負荷となった場合、もし熱源機21の能力の合計が足りなければ、別の制御によって熱源機21が増段される。結果として、初めから能力の大きな熱源機21を起動するよりも1回多く増段が行われる可能性があるが、負荷の増大により増段が発生するのは一般的な制御であり、本開示の制御によって生じる不利益ではない。
【0047】
運転台数制御部12は、運転台数制御部12が選択した熱源機21を起動する。これにより、現在から将来にわたる負荷変動に追従することができる。
【0048】
ステップS12の判定で、運転負荷が適正能力範囲より小さいと判定した場合、運転台数制御部12は、予測負荷が適正能力範囲より小さいか否かを判定する(ステップS13)。予測負荷が適正能力範囲より小さくないと判定した場合(ステップS13;No)、運転台数制御部12は、減段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。
【0049】
ステップS13の判定で、予測負荷が適正能力範囲より小さいと判定した場合(ステップS13;Yes)、運転台数制御部12は、起動中の熱源機21の定格能力の合計から次に減段する熱源機21の定格能力を減算した値が予測負荷以上で、且つ、減段後の定格能力の合計と負荷の予測値の差分が最小となる熱源機21を選択して減段する(ステップS15A)。(例1)例えば、現在、熱源機21A、21Bが起動していて、予測負荷が350kW、熱源機21A,21Bの定格能力がそれぞれ、400kW,300kWの場合、減段後の定格能力の合計は予測負荷以上でなければならないので、運転台数制御部12は、減段対象として熱源機21Bを選択する。(例2)同じ例で、熱源機21A,21Bの定格能力がそれぞれ、500kW,400kWの場合、減段後の定格能力の合計と負荷の予測値の差分が最小となる熱源機21を選択するので、運転台数制御部12は、減段対象として熱源機21Aを選択する。運転台数制御部12は、運転台数制御部12が選択した熱源機21を停止する。
【0050】
一般的に複数の熱源機を備える熱源システムでは、事前に定義した固定優先順位に基づく増減段もしくはローテションに基づく増減段が行われることが多い。異容量同機種の熱源機が存在する環境でこのような制御を行うと、誤って過小な能力の熱源機を起動した場合、結局は能力不足により他の熱源機を起動せざるを得ず、熱源機の起動が連続してしまい、熱供給が安定しないおそれがある。
【0051】
これに対し、実施例2における運転台数制御部12は、増段を行う際、予測負荷を満たしつつ、既に起動している熱源機21の定格能力および次に起動する熱源機21の定格能力の合計と予測負荷との差分が最小となる熱源機21を選択して起動する。減段の場合にも、運転台数制御部12は、予測負荷を満たしつつ、既に起動している熱源機21の定格能力の合計から次に停止する熱源機21の定格能力を減算した値と、将来の負荷の予測値との差分が最小となる熱源機21を次に停止する熱源機として選択し、停止する。これにより、少ない発停回数で負荷への追従が可能となり、安定した熱供給が可能になる。また、予測負荷と熱源機21の能力のつり合いが取れるように増減段を行うことにより、結果として将来の要求負荷が予測負荷と乖離した場合でも、
図3の制御によって行った増減段が大きな無駄を生じさせるような状況を回避することができる。
【0052】
(実施例3)
実施例2では、増減段後の定格負荷の合計と予測負荷の釣り合いを考慮して、予測負荷を満足できるように熱源機21の増減段を制御した。実施例3では、さらに増減段後の運転効率を考慮して起動又は停止する熱源機を選択する。
図4を参照して、実施例3における運転台数制御部12による台数制御について説明する。実施例1、2と同様の処理については簡単に説明する。
図4は、実施例3に係る増減段制御の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部11が、制御に必要なデータを取得する(ステップS11)。次に、運転台数制御部12が、現在の運転負荷が適正能力範囲内か否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の判定で運転負荷が適正能力範囲内と判定した場合、運転台数制御部12は、増段、減段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。
【0053】
ステップS12の判定で、運転負荷が適正能力範囲より大きいと判定した場合、運転台数制御部12は、予測負荷が適正能力範囲より大きいか否かを判定する(ステップS14)。予測負荷が適正能力範囲より大きくないと判定した場合(ステップS14;No)、運転台数制御部12は、増段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。
【0054】
ステップS14の判定で予測負荷が適正能力範囲より大きいと判定した場合(ステップS14;Yes)、運転台数制御部12は、将来の予測負荷が、現在起動している熱源機21と次に増段する熱源機21が何れも適正能力範囲で運転したときの負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように、熱源機21を選択して増段する(ステップS17B)。(例1)例えば、現在、熱源機21Aが起動中で、予測負荷が500kW、熱源機21A,21B,21Cの定格能力がそれぞれ、300kW,300kW,200kW、適正能力範囲が何れも80~90%の場合、熱源機21A,21Bの適正能力範囲に対応する負荷は240~270kW、熱源機21Cの適正能力範囲に対応する負荷は160~180kWである。ここで、熱源機21Bを起動すると、熱源機21A、21Bの適正能力範囲に対応する負荷の範囲は、480~540kWとなる。熱源機21Cを起動すると、熱源機21A、21Cの適正能力範囲に対応する負荷の範囲は、400~450kWとなる。従って、運転台数制御部12は、熱源機21Bを選択して起動する。これにより、予測負荷を満足しつつ、運転効率が良好な範囲で増段後の熱源機21を運転することができ、熱源システム1の効率を向上することができる。
【0055】
なお、増段候補となる熱源機21が複数存在する場合、予測負荷と適正能力範囲上限に対応する負荷との差分、予測負荷と適正能力範囲下限に対応する負荷との差分のうち、小さい方が最大となる熱源機21を対象とする。例えば、熱源機21A、21B、21C、21Dが熱源システム1に設けられており、現在、熱源機21Aが起動中で、予測負荷が500kWとする。ここで、熱源機21B~21Dの適正能力範囲に対応する負荷の範囲が、それぞれ180~240kW、240~270kW、260~310kWであるとする。熱源機21Bを増段すると増段後の適正能力範囲に対応する負荷の範囲は420~510kWとなり、上記の差分のうち小さい値は10(510-500)となる。同様に熱源機21Cを増段した場合、増段後の適正能力範囲に対応する負荷の範囲は480~540kW、差分のうち小さい値は20(500-480)となる。熱源機21Dを増段した場合、増段後の適正能力範囲に対応する負荷の範囲は500~580kW、差分のうち小さい値は0(500-500)となる。差分のうち小さい値が最大となるのは、熱源機21Cを増段した場合の為、運転台数制御部12は、熱源機21Cを選択して起動する。
【0056】
ステップS12の判定で、運転負荷が適正能力範囲より小さいと判定した場合、運転台数制御部12は、予測負荷が適正能力範囲より小さいか否かを判定する(ステップS13)。予測負荷が適正能力範囲より小さくないと判定した場合(ステップS13;No)、運転台数制御部12は、減段を行わず、現在起動中の熱源機21による運転を継続する(ステップS16)。
【0057】
ステップS13の判定で、予測負荷が適正能力範囲より小さいと判定した場合(ステップS13;Yes)、運転台数制御部12は、将来の予測負荷が、減段後の熱源機21が何れも適正能力範囲で運転したときの負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように、熱源機21を選択して増段する(ステップS15B)。(例1)例えば、現在、熱源機21A、21Bが起動中で、予測負荷が450kW、熱源機21A,21Bの適正能力範囲に対応する負荷範囲がそれぞれ、400~500kW、300~400kWの場合の場合、運転台数制御部12は、熱源機21Bを選択して停止する。これにより、予測負荷を満足しつつ、運転効率が良好な範囲で減段後の熱源機21を運転することができ、熱源システム1の効率を向上することができる。
【0058】
なお、減段候補となる熱源機21が複数存在する場合、増段の場合と同様に、運転台数制御部12は、予測負荷と適正能力範囲上限に対応する負荷との差分、予測負荷と適正能力範囲下限に対応する負荷との差分のうちの小さい方が最大となる熱源機21を対象とする。
【0059】
実施例3の制御によれば、少ない熱源機発停回数にて熱負荷への追従が可能となり、安定した熱供給が可能となる。また、現在から将来にわたって、適正能力範囲内での運転を維持するように熱源機21の台数制御を行うため、熱源システム1の効率の向上が可能となる。
【0060】
図5は、実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の制御装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0061】
なお、制御装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。なお、制御装置10は、複数のコンピュータ900によって構成されていても良い。
【0062】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、熱源機21の数を3台としたが、熱源システム1が有する熱源機21の台数は2台でも4台以上でもよい。
【0063】
<付記>
各実施形態に記載の制御装置10、熱源システム1、制御方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0064】
(1)第1の態様に係る制御装置10は、複数の熱源機21を備える熱源システム1における前記熱源機の運転台数を制御する制御装置10であって、前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機21の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機21の増段又は減段を行う運転台数制御部12、を備える。
これにより、現在の要求負荷と将来の予測負荷の2つの情報に基づき熱源機台数制御を行うことで、少ない発停回数にて負荷への追従が可能となり、安定した熱供給が可能となる。適正負荷範囲とは、1台又は複数台の熱源機21の各々が適正能力範囲内の負荷率で運転した場合の負荷の合計の範囲である。
【0065】
(2)第2の態様に係る制御装置10は、(1)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値の何れかが、前記適正負荷範囲内の場合、前記熱源機21の増段および減段を行わない。
これにより、一時的な負荷の増減に反応して、熱源機21の発停を行うことが無くなり、安定した熱供給が可能となる。
【0066】
(3)第3の態様に係る制御装置10は、(1)~(2)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を上回る場合、前記熱源機を増段する。
現在~将来まで継続して適正負荷範囲を上回る場合のみ増段を行うので、少ない発停で負荷に追従することができる。また、増段が無駄になる可能性を低減することができる。
【0067】
(4)第4の態様に係る制御装置10は、(3)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、増段後の全ての前記熱源機21の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように増段対象の前記熱源機21を選択する。
これにより、増段対象の熱源機21が、能力不足、能力過剰となることを防ぎ、要求される負荷に応じた増段を行うことができる。
【0068】
(5)第5の態様に係る制御装置10は、(3)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、前記負荷の予測値が、増段後の全ての前記熱源機21をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように増段対象の前記熱源機21を選択する。
これにより、増段後も熱源機21は、適正負荷範囲で運転することが可能になり、消費電力の観点で効率的な熱源機の台数制御が可能になる。
【0069】
(6)第6の態様に係る制御装置10は、(5)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、増段候補の前記熱源機について、前記負荷の予測値と増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最大の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、前記負荷の予測値と増段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最小の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、を算出し、前記差分のうち小さい値が最大となる前記熱源機を増段対象として選択する。
これにより、増段候補の熱源機が複数存在する場合、負荷範囲が適切な1台を選択して増段することができる。
【0070】
(7)第7の態様に係る制御装置10は、(1)~(6)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、前記現在の負荷および前記負荷の予測値が、前記適正負荷範囲を下回る場合、前記熱源機を減段する。
現在~将来まで継続して適正負荷範囲を下回る場合のみ減段を行うので、少ない発停で負荷に追従することができる。また、減段が無駄になる可能性を低減することができる。
【0071】
(8)第8の態様に係る制御装置10は、(7)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、減段後の全ての前記熱源機21の定格能力の合計が前記負荷の予測値以上となり、前記定格能力の合計と前記負荷の予測値との差分が最小となるように減段対象の前記熱源機21を選択する。
これにより、減段対象の熱源機21が、能力不足、能力過剰となることを防ぎ、要求される負荷に応じた減段を行うことができる。
【0072】
(9)第9の態様に係る制御装置10は、(7)の制御装置10であって、前記運転台数制御部12は、前記負荷の予測値が、減段後の全ての前記熱源機21をそれぞれの前記適正負荷範囲内の負荷で運転した場合の前記負荷の合計が取り得る値の範囲に含まれるように減段対象の前記熱源機21を選択する。
これにより、減段後も熱源機21は、適正負荷範囲で運転することが可能になり、消費電力の観点で効率的な熱源機の台数制御が可能になる。
【0073】
(10)第10の態様に係る制御装置10は、(9)の制御装置10であって、前記運転台数制御部は、減段候補の前記熱源機について、前記負荷の予測値と減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最大の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、前記負荷の予測値と減段後の全ての前記熱源機をそれぞれの前記適正負荷範囲内の最小の負荷で運転した場合の前記負荷の合計との差分と、を算出し、前記差分のうち小さい値が最大となる前記熱源機を減段対象として選択する。
これにより、減段候補の熱源機が複数存在する場合、負荷範囲が適切な1台を選択して減段することができる。
【0074】
(11)第11の態様に係る熱源システム1は、複数の熱源機21と、(1)~(10)の何れかに記載の制御装置10と、を備える。
【0075】
(12)第12の態様に係る制御方法は、複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数の制御方法であって、前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う。
【0076】
(13)第13の態様に係るプログラムは、複数の熱源機を備える熱源システムにおける前記熱源機の運転台数を制御するコンピュータ900に、前記熱源システムの現在の負荷および将来における負荷の予測値が、起動中の前記熱源機の運転負荷が当該熱源機の運転効率が適正となるときの負荷範囲を示す所定の適正負荷範囲から外れることに基づいて、前記熱源機の増段又は減段を行う処理を実行させる。
【符号の説明】
【0077】
1・・・熱源システム
10・・・制御装置
11・・・データ取得部
12・・・運転台数制御部
13・・・記憶部
14・・・通信部
20A,20B,20C・・・制御部
21A、21B、21C・・・熱源機
22A,22B,22C・・・ポンプ
23・・・サプライヘッダ
24・・・リターンヘッダ
25・・・バイパス流路
26・・・開閉バルブ
30・・・外部負荷
31・・・還り流路
32・・・開閉バルブ
40A、40B、40C・・・流量センサ
41A、41B、41C・・・温度センサ
42A、42B、42C・・・温度センサ
43・・・温度センサ
50・・・負荷予測装置
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース