(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】トレーラ
(51)【国際特許分類】
B62D 53/00 20060101AFI20240307BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20240307BHJP
B60P 3/22 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B62D53/00 B
B60P3/00 U
B60P3/22 A
(21)【出願番号】P 2020044382
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】鯨井 貴靖
(72)【発明者】
【氏名】東出 和教
(72)【発明者】
【氏名】中尾 頼人
(72)【発明者】
【氏名】小暮 正幸
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-059056(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/075770(JP,A1)
【文献】実開昭48-043306(JP,U)
【文献】特開2004-098823(JP,A)
【文献】特開昭63-129276(JP,A)
【文献】特開2000-142211(JP,A)
【文献】特開2006-298179(JP,A)
【文献】特開2002-012289(JP,A)
【文献】特開2010-154609(JP,A)
【文献】実開昭52-123919(JP,U)
【文献】特開2011-111078(JP,A)
【文献】特開2016-022891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 53/00
B60P 3/00、 3/22
B60D 1/00-99/00
B60L 5/00- 5/42
B60P 1/00- 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用コンテナと給電用コンテナとのうちの少なくとも一方を含む複数のコンテナと、
前記複数のコンテナを搭載する車台と、を備え、
前記車台は、前記複数のコンテナを固定するための係合部材と、前記複数のコンテナに電力を供給するバッテリと、前記バッテリのコネクタとを有
し、
前記複数のコンテナの各々は、第1の接続口と第2の側面に第2の接続口を有し、
前記複数のコンテナは第1のコンテナおよび第2のコンテナを含み、
前記第1のコンテナの前記第2の接続口と前記第2のコンテナの前記第1の接続口とが接続部材で接続され、
前記第1のコンテナに含まれる蓄電装置に蓄電された電力と、前記第2のコンテナに含まれる蓄電装置に蓄電された電力とが、蓄電装置同士が並列接続されることで一体となる、トレーラ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレーラにおいて、
蓄電装置同士が並列接続される際には、電圧値が相対的に高い電圧値を示す蓄電装置から、相対的に低い電圧値を示す蓄電装置に電流を還流させてレベリング制御を行うトレーラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のトレーラにおいて、
前記第1のコンテナの蓄電装置と、前記第2のコンテナの蓄電装置とを充電する際には、前記第1のコンテナおよび前記第2のコンテナのそれぞれが有する前記第1の接続口おとび前記第2の接続口のうちのいずれか1つの接続口を介して、一方のコンテナの蓄電装置とともに、電源接続部材を介して他方のコンテナの蓄電装置を充電するトレーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
ベースフレームの上方に床パネルとともに取り付けられ、車室を構成するボデーを備える車両が知られている(特許文献1参照)。用途に応じたボデーをベースフレームに搭載することにより、車両は、乗員や荷物の運搬、移動商店或いは移動オフィスといった用途に利用可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された車両によると、大規模かつ多様な資源供給用途に適さないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、トレーラは、給水用コンテナと給電用コンテナとのうちの少なくとも一方を含む複数のコンテナと、前記複数のコンテナを搭載する車台と、を備える。前記車台は、前記複数のコンテナを固定するための係合部材と、前記複数のコンテナに電力を供給するバッテリと、前記バッテリのコネクタとを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トレーラを、大規模かつ多様な資源供給用途に利用することが可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の第1および第2の実施の形態におけるトレーラを有する貨物車両の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、トレーラの車台に搭載される略同一の外形形状を有する複数種類のコンテナの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態におけるトレーラの車台に、複数のコンテナとして2つの給水用コンテナが搭載される状態の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態におけるトレーラの車台に、複数のコンテナとして2つの給電用コンテナが搭載される状態の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態におけるトレーラの車台に、複数のコンテナとして給水用コンテナおよび給電用コンテナの両方が搭載される状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の第1および第2の実施の形態におけるトレーラ10を有する貨物車両1の構成を示す図である。
図1(A)において、貨物車両1は、トレーラ10と、トレーラ10を牽引する牽引車20と、トレーラ10を牽引車20へ連結する連結器30とを有する。牽引車20は、乗員を収容するキャビン21と、貨物車両1を駆動する駆動装置22と、車輪23とを有する。
【0009】
トレーラ10は、2つのコンテナ100と、2つのコンテナ100が搭載された車台15と、車台15に格納されたバッテリ11と、車輪14とを有する。2つのコンテナ100は、接続部材200によって互いに接続されているが、2つのコンテナ100どうしを接続する必要が無い場合においては、接続部材200は不要である。車台15は、バッテリ11のトレーラ側コネクタ12と、コンテナ100を車台15へ物理的に固定するためのトレーラ側係合部材13とを有する。トレーラ側コネクタ12は、バッテリ11とコンテナ100とを電気的に接続し、バッテリ11は、トレーラ側コネクタ12を介して複数のコンテナ100内部の装置類に電力を供給する。こうしてバッテリ11から供給される電力は、それらの装置類の動作および制御に用いられる。
【0010】
図1(A)に示すように、貨物車両1は、牽引車20内の駆動装置22によって駆動されることにより、進行方向5に向かって前進する。そのとき、トレーラ10は、連結器30を介して牽引車20に牽引され、連結器30側の方向に移動する。車台15にコンテナ100を搭載しない状態で、
図1(A)の上方からトレーラ10および連結器30を見たときの平面図を、
図1(B)に示す。
【0011】
図1(B)に示すように、1つのコンテナ100に対して、それぞれ2つずつのトレーラ側コネクタ12およびトレーラ側係合部材13が、貨物車両1の進行方向5に沿って交互に配置される態様で、トレーラ10の車台15に設けられている。連結器30は、トレーラ10の車台15の進行方向5側に設けられている。
【0012】
図2は、トレーラ10の車台15に搭載される略同一の外形形状を有する複数種類のコンテナ100の構成を示す図である。複数種類のコンテナ100の構成例として、具体的には、
図1(A)に示すコンテナ100に給水用設備が設けられることによって得られる給水用コンテナ100Xの構成例と、
図1(A)に示すコンテナ100に給電用設備が設けられることによって得られる給電用コンテナ100Yの構成例とが示されている。給水用コンテナ100Xおよび給電用コンテナ100Yは、後述するように、特に正面を含む側面および底面に関して、略同一の外形形状を有する。
【0013】
給水用コンテナ100Xの正面図を
図2(A)に示す。
図2(A)に示す給水用コンテナ100Xの正面図は、
図1(A)に示すコンテナ100を、紙面に向かって見たときの正面図に対応する。
【0014】
図2(A)において、給水用コンテナ100Xは、連結器30側の第1の側面101に第1の接続口151を有するとともに、第1の側面101に対向する第2の側面102に第2の接続口152を有する。給水用コンテナ100Xは、その内部に、給水用の水を貯蔵する貯水槽131と、貯水槽131内の水を外部へ供給するための水供給部133と、貯水槽131内の水を水供給部133へ送出するためのポンプ132とを有する。水供給部133として、例えば蛇口が設けられる。給水用コンテナ100Xには複数の水供給部133を取り付け可能であることが好ましい。
【0015】
図2(A)に示すように、給水用コンテナ100Xがトレーラ10の車台15に搭載された際に車台15に面する給水用コンテナ100Xの底面には、車台15が有するトレーラ側コネクタ12が接続されるコンテナ側コネクタ112、および車台15が有するトレーラ側係合部材13が係合されるコンテナ側係合部材113が設けられている。コンテナ側コネクタ112にトレーラ側コネクタ12が接続されることによって、ポンプ132を動作させるのに必要な電力がバッテリ11から供給される。コンテナ側係合部材113にトレーラ側係合部材13が係合されることによって、給水用コンテナ100Xが車台15へ物理的に固定される。
【0016】
図2(A)に示すように、給水用コンテナ100Xの上述した底面に対向する上面には、受水口134が形成されている。給水用コンテナ100Xの貯水槽131内に水を貯蔵する際、受水口134を介して貯水槽131内に注水される。注水が完了すると、受水口134には受水口134を閉塞する不図示のキャップが取り付けられる。
【0017】
図2(B)は、給水用コンテナ100Xを、連結器30側の第1の側面101から見た時の側面図を示す。給水用コンテナ100Xの第1の側面101には、上述したように、第1の接続口151が形成されている。第1の接続口151は、複数の給水用コンテナ100Xの貯水槽131どうしを接続する接続部材200の接続口として用いられる。第1の接続口151を閉塞する際には、後述するカバーが取り付けられる。
図2(B)の紙面に向かって右側には、
図2(A)に対応して水供給部133が示されている。
【0018】
図2(C)は、給水用コンテナ100Xを、第1の側面101に対向する第2の側面102から見た時の側面図を示す。給水用コンテナ100Xの第2の側面102には、上述したように、第2の接続口152が形成されている。第2の接続口152は、複数の給水用コンテナ100Xの貯水槽131どうしを接続する接続部材200の接続口として用いられる。第2の接続口152を閉塞する際には、後述するカバーが取り付けられる。
図2(C)の紙面に向かって左側には、
図2(A)に対応して水供給部133が示されている。
【0019】
給電用コンテナ100Yの正面図を
図2(D)に示す。
図2(D)に示す給電用コンテナ100Yの正面図は、
図1(A)に示すコンテナ100を、紙面に向かって見たときの正面図に対応する。
【0020】
図2(D)において、給電用コンテナ100Yは、連結器30側の第1の側面101に第1の接続口151を有するとともに、第1の側面101に対向する第2の側面102に第2の接続口152を有する。給電用コンテナ100Yは、その内部に、給電用の電力を蓄電する蓄電装置141と、蓄電装置141から電力を外部へ供給するための電力供給部143と、蓄電装置141の、充電率(SOC)および電力供給部143へのを介して外部へ電力を出力する出力状態を管理するための制御装置142とを有する。給電用コンテナ100Yには複数の電力供給部143を取り付け可能であることが好ましい。また、各電力供給部143は、外部へ電力が供給されない、すなわち不使用の期間には、不図示のカバーによって覆われていることが好ましい。
【0021】
図2(D)に示すように、給電用コンテナ100Yがトレーラ10の車台15に搭載された際に車台15に面する給電用コンテナ100Yの底面には、車台15が有するトレーラ側コネクタ12が接続されるコンテナ側コネクタ112、および車台15が有するトレーラ側係合部材13が係合されるコンテナ側係合部材113が設けられている。コンテナ側コネクタ112にトレーラ側コネクタ12が接続されることによって、制御装置142を動作させるのに必要な電力がバッテリ11から供給される。コンテナ側係合部材113にトレーラ側係合部材13が係合されることによって、給電用コンテナ100Yが車台15へ物理的に固定される。
【0022】
図2(E)は、給電用コンテナ100Yを、連結器30側の第1の側面101から見た時の側面図を示す。給電用コンテナ100Yの第1の側面101には、上述したように、第1の接続口151が形成されている。第1の接続口151は、給電用コンテナ100Y内の蓄電装置141を外部の充電設備により充電する際の充電ケーブル接続口として用いられるとともに、複数の給電用コンテナ100Yの蓄電装置141どうしを電気的に接続する接続部材200の接続口としても用いられる。第1の接続口151を閉塞する際には、後述するカバーが取り付けられる。
図2(E)の紙面に向かって右側には、
図2(D)に対応して電力供給部143が示されている。
【0023】
図2(F)は、給電用コンテナ100Yを、第1の側面101に対向する第2の側面102から見た時の側面図を示す。給電用コンテナ100Yの第2の側面102には、上述したように、第2の接続口152が形成されている。第2の接続口152は、給電用コンテナ100Y内の蓄電装置141を外部の充電設備により充電する際の充電ケーブル接続口として用いられるとともに、複数の給電用コンテナ100Yの蓄電装置141どうしを電気的に接続する接続部材200の接続口としても用いられる。第2の接続口152を閉塞する際には、後述するカバーが取り付けられる。
図2(F)の紙面に向かって左側には、
図2(D)に対応して電力供給部143が示されている。
【0024】
-第1の実施の形態-
図3は、第1の実施の形態におけるトレーラ10の車台15に、複数のコンテナ100として2つの給水用コンテナ100Xが搭載される状態の一例を示す図である。
図3において、
図1および
図2と共通する符号が付された各部材の説明を省略する。
図3において、2つの給水用コンテナ100Xどうしが接続されている。車台15に搭載された2つの給水用コンテナ100Xのうち、連結器30側に配置された給水用コンテナ100Xを前方側給水用コンテナ100XAとし、前方側給水用コンテナ100XAの後方に配置された給水用コンテナ100Xを後方側給水用コンテナ100XBとする。前方側給水用コンテナ100XAおよび後方側給水用コンテナ100XBは、それぞれ、トレーラ側コネクタ12およびコンテナ側コネクタ112を介してバッテリ11からの電力供給を受けるとともに、トレーラ側係合部材13およびコンテナ側係合部材113によって車台15に固定される。
図3に示す給水用コンテナ100Xの構成は、
図2(A),(B)および(C)に示す給水用コンテナ100Xと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0025】
前方側給水用コンテナ100XAおよび後方側給水用コンテナ100XBは、それぞれ、連結器30側の第1の側面101に第1の接続口151を有し、第1の側面101に対向する第2の側面102に第2の接続口152を有する。前方側給水用コンテナ100XAの第2の接続口152と、後方側給水用コンテナ100XBの第1の接続口151とが、接続部材200で接続されている。給水用コンテナ100Xどうしを接続する接続部材200は、それぞれの貯水槽131を互いに接続する水槽接続部材200Xである。水槽接続部材200Xは、例えば金属または樹脂で形成された配管或いはホースである。前方側給水用コンテナ100XAの第2の接続口152と、後方側給水用コンテナ100XBの第1の接続口151と、水槽接続部材200Xとを介して、前方側給水用コンテナ100XAの貯水槽131に貯蔵された水と、後方側給水用コンテナ100XBの貯水槽131に貯蔵された水とが直結されて一体となり、単一の給水用コンテナ100Xよりも大容量の水を外部へ供給することが可能となる。
【0026】
なお、前方側給水用コンテナ100XAの第1の接続口151と、後方側給水用コンテナ100XBの第2の接続口152とは、いずれも水槽接続部材200Xを要せず、貯水槽閉塞用カバー135によって閉塞される。
【0027】
また、前方側給水用コンテナ100XAの貯水槽131と、後方側給水用コンテナ100XBの貯水槽131とに水を貯蔵する際には、前方側給水用コンテナ100XAおよび後方側給水用コンテナ100XBのそれぞれが有する受水口134のうちの一方を介して、一方の貯水槽131に注水すれば、水槽接続部材200Xを介して他方の貯水槽131へも注水される。
【0028】
図4は、第1の実施の形態におけるトレーラ10の車台15に、複数のコンテナ100として2つの給電用コンテナ100Yが搭載される状態の一例を示す図である。
図4において、
図1および
図2と共通する符号が付された各部材の説明を省略する。
図4(A)において、給電用コンテナ100Yどうしが接続されている。車台15に搭載された2つの給電用コンテナ100Yのうち、連結器30側の方向に配置された給電用コンテナ100Yを前方側給電用コンテナ100YAとし、前方側給電用コンテナ100YAの後方に配置された給電用コンテナ100Yを後方側給電用コンテナ100YBとする。前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBは、それぞれ、トレーラ側コネクタ12およびコンテナ側コネクタ112を介してバッテリ11からの電力供給を受けるとともに、トレーラ側係合部材13およびコンテナ側係合部材113によって車台15に固定される。
図4に示す給電用コンテナ100Yの構成は、
図2(D),(E)および(F)に示す給電用コンテナ100Yと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0029】
前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBは、それぞれ、連結器30側の第1の側面101に第1の接続口151を有し、第1の側面101に対向する第2の側面102に第2の接続口152を有する。前方側給電用コンテナ100YAの第2の接続口152と、後方側給電用コンテナ100YBの第1の接続口151とが、接続部材200で接続されている。給電用コンテナ100Yどうしを接続する接続部材200は、それぞれの蓄電装置141を互いに電気的に接続する電源接続部材200Yである。電源接続部材200Yは、例えば電力供給用の強電ケーブルである。前方側給電用コンテナ100YAの第2の接続口152と、後方側給電用コンテナ100YBの第1の接続口151と、電源接続部材200Yとを介して、前方側給電用コンテナ100YAの蓄電装置141に蓄電された電力と、後方側給電用コンテナ100YBの蓄電装置141に蓄電された電力とが、蓄電装置141どうしが並列接続されることによって一体となり、単一の給電用コンテナ100Yよりも大容量の電力を外部へ供給することが可能となる。
【0030】
図4(B)は、前方側給電用コンテナ100YAの蓄電装置141に蓄電された電力と、後方側給電用コンテナ100YBの蓄電装置141に蓄電された電力とが並列接続された状態を模式的に示す回路図である。前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBは、それぞれ、
図4(A)を用いて上述した第1の接続口151および第2の接続口152と、電池146と、電池146からの電力を電力供給部143へ出力するかまたは遮断するかを切替えるリレースイッチ147と、
図2(D)を用いて上述した制御装置142と、それらの部材を接続する電気回路とを含む。このうちの、電池146と、リレースイッチ147と、電気回路の一部とが、
図2(D)を用いて上述した蓄電装置141に配置される。リレースイッチ147が閉じると、電池146からの電力が、直流電力を交流電力に変換するインバータ144により変換されたのち、電力供給部143へ出力され、リレースイッチ147が開くと、電池146から電力供給部143への電力出力は遮断される。
【0031】
制御装置142は、電池146に対して電気的に並列接続される。リレースイッチ147は、電池146に対して電気的に直列接続される。電力供給部143は、電池146およびリレースイッチ147に対して電気的に並列接続される。前方側給電用コンテナ100YAの電池146およびリレースイッチ147と、後方側給電用コンテナ100YBの電池146およびリレースイッチ147とは、前方側給電用コンテナ100YAの第2の接続口152と、後方側給電用コンテナ100YBの第1の接続口151と、電源接続部材200Yとを介して、互いに電気的に並列接続される。
【0032】
前方側給電用コンテナ100YAの電池146と、後方側給電用コンテナ100YBの電池146とが、電源接続部材200Yとを介して、互いに電気的に並列接続される際には、互いに同レベルの電圧を有している必要がある。そこで、前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBの、それぞれのリレースイッチ147が閉じる前に、それぞれの電池146の電圧値が電圧センサによって測定され、測定されたそれぞれの電圧値に所定レベル以上の電圧差が生じている場合には、次のようなレベリング制御が行われる。
【0033】
前方側給電用コンテナ100YAの制御装置142および後方側給電用コンテナ100YBの制御装置142とのうちのいずれか一方が、マスタ制御装置として、各電池146の電圧値を、電圧センサから取得する。マスタ制御装置は、高い電圧値を示す電池146から、低い電圧値を示す電池146へ、電流を還流させる。こうしたレベリング制御の際、各電力供給部143は、不図示のカバーによって覆われていることが好ましい。
【0034】
なお、前方側給電用コンテナ100YAの第1の接続口151と、後方側給電用コンテナ100YBの第2の接続口152とは、いずれも電源接続部材200Yを要せず、回路端子保護カバー145によって閉塞される。
【0035】
また、前方側給電用コンテナ100YAの蓄電装置141と、後方側給電用コンテナ100YBの蓄電装置141とを充電する際には、前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBのそれぞれが有する第1の接続口151および第2の接続口152のうちのいずれか一つの接続口を介して、一方の給電用コンテナ100Yの蓄電装置141とともに、電源接続部材200Yを介して他方の給電用コンテナ100Yの蓄電装置141へも充電される。
【0036】
-第2の実施の形態-
図5は、第2の実施の形態におけるトレーラ10の車台15に、複数のコンテナ100として給水用コンテナ100Xおよび給電用コンテナ100Yの両方が搭載される状態の一例を示す図である。
図5において
図1、
図2、
図3および
図4と共通する符号が付された各部材の説明を省略する。
図5(A)において、給水用コンテナ100Xと給電用コンテナ100Yとが接続されている。給電用コンテナ100Yは給水用コンテナ100Xよりも、トレーラ10の牽引車20への連結器30側に配置される。給水用コンテナ100Xおよび給電用コンテナ100Yは、それぞれ、トレーラ側コネクタ12およびコンテナ側コネクタ112を介してバッテリ11からの電力供給を受けるとともに、トレーラ側係合部材13およびコンテナ側係合部材113によって車台15に固定される。
【0037】
図5(A)に示すように、給水用コンテナ100Xは、連結器30側であって、かつ給電用コンテナ100Yに対面する第1の側面101に第1の接続口151を有し、第1の側面101に対向する第2の側面102に第2の接続口152を有する。給水用コンテナ100Xの第1の接続口151と第2の接続口152とは、いずれも接続部材200を要せず、貯水槽閉塞用カバー135によって閉塞される。給水用コンテナ100Xの、水槽接続部材200X以外の構成は、
図2(A),(B)および(C)に示す給水用コンテナ100X、ならびに
図3に示す前方側給水用コンテナ100XAおよび後方側給水用コンテナ100XBの各々と同様である。
【0038】
図5(A)および
図5(B)に示すように、給電用コンテナ100Yは、連結器30側の第1の側面101に第1の接続口151を有し、第1の側面101に対向し、かつ給水用コンテナ100Xに対面する第2の側面102に第2の接続口152を有する。給電用コンテナ100Yの第1の接続口151と第2の接続口152とは、いずれも接続部材200を要せず、回路端子保護カバー145によって閉塞される。給電用コンテナ100Yの、電源接続部材200Y以外の構成は、
図2(D),(E)および(F)に示す給電用コンテナ100Y、
図4(B)に示す前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBの各々と同様である。
【0039】
本実施の形態におけるトレーラ10によると、給水用コンテナ100Xによる水の供給、および給電用コンテナ100Yによる電力供給を、同時複合的に行うことが可能である。
【0040】
上述した第1および第2の実施の形態におけるトレーラ10によれば、次の作用効果が得られる。
【0041】
(1)トレーラ10は、給水用コンテナ100Xと給電用コンテナ100Yとのうちの少なくとも一方を含む複数のコンテナ100と、複数のコンテナ100を固定するためのトレーラ側係合部材13と、複数のコンテナ100に電力を供給するバッテリ11のトレーラ側コネクタ12とを有する車台15と、を有する。このようにトレーラ10を構成することによって、コンテナ100に貯蔵される大容量の水、および/またはコンテナ100に蓄電される大容量の電力といった、大規模かつ多様な資源供給用途に、トレーラ10を利用することが可能となるという効果が得られる。
【0042】
(2)トレーラ10において、複数のコンテナ100の各々は、牽引車20への連結器30側の第1の側面101に第1の接続口151を有し、第1の側面101に対向する第2の側面102に第2の接続口152を有する。トレーラ10は、それらの接続口どうしを接続して同一種類の資源を収容した複数のコンテナ100を運搬して移動することや、いずれの接続口も閉塞してそれぞれ異なる資源を収容した複数のコンテナ100を運搬して移動することができるため、移動先のニーズに応じた大規模かつ多様な資源供給用途に、トレーラ10を利用することが可能となるという効果が得られる。
【0043】
また、第1の接続口151および第2の接続口152を、連結器30側の第1の側面101および第1の側面101に対向する第2の側面102にそれぞれ設けたので、複数のコンテナ100の各々は、大規模な給水用途および大規模な給電用途のいずれか一方を目的とした使用方法と、給水用途および給電用途の双方を満たす使用方法との、いずれの使用方法にも対応できる。
【0044】
仮に、接続口を1つしか有しないコンテナを車台に2つ搭載し、接続部材200を介してそれら2つのコンテナを互いに接続することを想定した場合、それぞれ1つずつしか存在しない接続口どうしが対向するように配置して接続部材200により2つのコンテナを互いに接続するか、または長い接続部材200を引き回して2つのコンテナを互いに接続する必要がある。長い接続部材200を引き回すのは安全上の問題があるため、2つのコンテナがそれぞれ1つずつしか有しない接続口どうしが対向するように、連結器側のコンテナの向きと連結器から遠い側のコンテナの配置方向とが互いに逆向きとなるようにする必要がある。この場合、車台には、そうしたコンテナの配置方向のいずれにも適合するように、トレーラ側コネクタおよびトレーラ側係合部材が2種類のレイアウトで設けられる必要がある。それに対し、第1および第2の実施の形態におけるトレーラ10においては、第1の接続口151および第2の接続口152をいずれも有する2つのコンテナ100の配置方向を互いに逆向きとする必要が無いため、車台15には、トレーラ側コネクタおよびトレーラ側係合部材が1種類のレイアウトで設けられれば足り、コスト面で有利である。
【0045】
(3)トレーラ10において、複数のコンテナ100は、前方側給水用コンテナ100XAおよび後方側給水用コンテナ100XBを含み、前方側給水用コンテナ100XAの第2の接続口152と後方側給水用コンテナ100XBの第1の接続口151とが水槽接続部材200Xで接続されている。また、トレーラ10において、複数のコンテナ100は、前方側給電用コンテナ100YAおよび後方側給電用コンテナ100YBを含み、前方側給電用コンテナ100YAの第2の接続口152と後方側給電用コンテナ100YBの第1の接続口151とが電源接続部材200Yで接続されている。トレーラ10は、それらの接続口どうしを接続して同一種類の資源を収容した複数のコンテナ100を運搬して移動することによって、大容量の資源供給用途に、トレーラ10を利用することが可能となるという効果が得られる。
【0046】
(4)トレーラ10において、複数のコンテナ100の各々は、給水用コンテナ100Xと給電用コンテナ100Yとのうちのいずれか一方のコンテナのみである、とすることができる。トレーラ10は、移動先のニーズを満たす単一種類の資源を収容した複数のコンテナ100を搭載し、移動先で高い同時給水能力または高い同時給電能力を発揮することが可能となるという効果が得られる。
【0047】
(5)トレーラ10において、複数のコンテナ100は、給水用コンテナ100Xおよび給電用コンテナ100Yの両方を含み、給電用コンテナ100Yは給水用コンテナ100Xよりも、牽引車20への連結器30側に配置される。トレーラ10は、移動先のニーズを満たす水および電力といった複数種類の資源を収容した複数のコンテナ100を搭載し、移動先で高い異資源同時供給能力を発揮することが可能となるという効果が得られる。また、供給前後で重量が大きく変動する給水用コンテナ100Xよりも、一定程度の重量が維持される給電用コンテナ100Yがトレーラ10の移動方向側に搭載されている。すなわち、給水用コンテナ100Xが、移動方向において給電用コンテナ100Yよりも後方に配置されていることにより、トレーラ10の走行時における安定性が高まる。さらには、トレーラ10に対して仮に進行方向の後方からの衝撃があった場合でも、給水用コンテナ100Xが給電用コンテナ100Yに対する衝突吸収作用の役割を果たすため、安全性が高まる。
【0048】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0049】
(変形例1)上述の実施形態におけるトレーラ10には、2つのコンテナ100が搭載されることとしたが、3つ以上のコンテナ100が搭載されることとしてもよい。
【0050】
(変形例2)上述の実施形態におけるトレーラ10には、イベント会場、仮設施設、災害現場等においてニーズの高い給水用コンテナ100Xおよび/または給電用コンテナ100Yが搭載されることとしたが、燃料等の他の資源を供給する用途のコンテナ100が搭載されることとしてもよい。
【0051】
本発明は、上述した実施の形態および変形例の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 貨物車両、5 進行方向、10 トレーラ、11 バッテリ、
12 トレーラ側コネクタ、13 トレーラ側係合部材、14 車輪、15 車台、
20 牽引車、21 キャビン、22 駆動装置、23 車輪、30 連結器、
100 コンテナ、101 第1の側面、102 第2の側面、
112 コンテナ側コネクタ、113 コンテナ側係合部材、
131 貯水槽、132 ポンプ、133 水供給部、134 受水口、
135 貯水槽閉塞用カバー、
141 蓄電装置、142 制御装置、143 電力供給部、144 インバータ、
145 回路端子保護カバー、146 電池、147 リレースイッチ、
151 第1の接続口、152 第2の接続口、200 接続部材