IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図1
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図2
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図3
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図4
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図5
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図6
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図7
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図8
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図9
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図10
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図11
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図12
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図13
  • 特許-応荷重弁及び鉄道車両 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】応荷重弁及び鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B60T 15/36 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B60T15/36 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020061464
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021160401
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒光 将
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-067312(JP,A)
【文献】特開2016-098969(JP,A)
【文献】特開平08-268245(JP,A)
【文献】特開昭52-122775(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/18-8/30
B60T 15/00-17/22
F16K 31/12-31/165
F16K 31/36-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重圧力が入力される複数の入力部と、
前記複数の入力部から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する伝達部と、
前記伝達部から伝達された合成荷重圧力によって軸方向に移動し、移動量に応じて出力される応荷重圧力が決まる弁棒とを備える
応荷重弁。
【請求項2】
前記複数の入力部は、前記弁棒の軸線に垂直な平面上に並び、前記弁棒の軸方向に荷重圧力を前記伝達部に入力する
請求項1に記載の応荷重弁。
【請求項3】
前記伝達部は、前記伝達部が備える球面部を介して前記合成荷重圧力を前記弁棒に伝達する
請求項1又は2に記載の応荷重弁。
【請求項4】
前記球面部は、前記伝達部と前記弁棒とが接触する接触面の間に設けられる球である
請求項3に記載の応荷重弁。
【請求項5】
前記球面部は、球面座金であり、
前記弁棒は、前記球面座金と前記伝達部とに設けられた貫通孔を挿通して、
前記弁棒の前記伝達部寄りの端部は、前記応荷重弁の内壁に設けられた凹部に挿入される
請求項3に記載の応荷重弁。
【請求項6】
調整ねじのねじ込み量によって前記弁棒に加わる合成荷重圧力の下限を調整する調整ばねと、
前記調整ばねを押さえ、前記伝達部に当接するばね押さえとを備え、
前記ばね押さえと前記伝達部とは、球面を介して当接する
請求項1~5のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項7】
前記調整ねじは、前記弁棒の軸方向にねじ込まれることで前記ばね押さえを前記弁棒の軸方向に押し込む
請求項6に記載の応荷重弁。
【請求項8】
調整ねじのねじ込み量によって前記弁棒に加わる合成荷重圧力の下限を調整する調整ばねとを備え、
前記調整ばねは、前記弁棒の周囲に位置する
請求項1~5のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項9】
前記調整ばねを押さえ、前記伝達部に当接するばね押さえを備え、
前記ばね押さえは、前記調整ねじが前記弁棒の軸線に垂直な方向にねじ込まれることで前記ばね押さえを前記弁棒の軸方向に押し込む変換部を備える
請求項に記載の応荷重弁。
【請求項10】
前記変換部は、前記軸線に垂直な方向への前記調整ねじの移動を前記軸線の方向への移動に変換する斜面である
請求項9に記載の応荷重弁。
【請求項11】
前記弁棒に加わる前記合成荷重圧力の下限を保証する保証ばねを備え、
前記保証ばねは、皿ばねである
請求項1~10のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項12】
前記弁棒に加わる前記合成荷重圧力の下限を保証する保証ばねを備え、
前記保証ばねは、コイルばねである
請求項1~10のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項13】
前記複数の入力部は、前記弁棒の軸線を中心とした円周上において等間隔に位置する
請求項1~12のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項14】
前記入力部は、入力された空気を貯める貯め部を有する
請求項1~13のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項15】
前記弁棒、前記複数の入力部、及び前記伝達部を収容する筐体を備え、
前記荷重圧力の入力ポートと、前記応荷重圧力の出力ポートとは、前記筐体の同一平面上に設けられる
請求項1~14のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項16】
前記荷重圧力は、鉄道車両の車体を支持する空気ばねの内部圧力である
請求項1~15のいずれか一項に記載の応荷重弁。
【請求項17】
前記荷重圧力は、前記車体の前側の2つの空気ばねの内部圧力と、前記車体の後側の2つの空気ばねの内部圧力とである
請求項16に記載の応荷重弁。
【請求項18】
荷重圧力が入力される複数の入力部と、前記複数の入力部から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する伝達部と、前記伝達部から伝達された合成荷重圧力によって軸方向に移動し、移動量に応じて出力される応荷重圧力が決まる弁棒とを備える応荷重弁と、
前記応荷重弁から出力される前記応荷重圧力に応じてブレーキ力が調整されるブレーキ装置とを備える
鉄道車両。
【請求項19】
鉄道車両の車体を支持する前側の2つの空気ばねの内部圧力と、前記車体の後側の2つの空気ばねの内部圧力とがそれぞれ入力される4つの入力部と、
前記4つの入力部から並列に入力された内部圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する伝達部と、
前記伝達部から伝達された合成荷重圧力によって軸方向に移動し、移動量に応じて出力される応荷重圧力が決まる弁棒とを備え、
前記4つの入力部は、前記弁棒の軸線に垂直な平面上に並び、前記弁棒の軸方向に荷重圧力を前記伝達部に入力し、
前記伝達部は、前記伝達部と前記弁棒とが接触する接触面の間に設けられる球を介して前記合成荷重圧力を前記弁棒に伝達する
応荷重弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応荷重弁及び鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両は、乗客を乗せたり、積載物を搭載したりする車体と車体を支持する台車とを備える。台車は、複数の空気ばねを介して車体を支持している。台車は、軌道上を回転する車輪と、車輪に制動力を加えるブレーキ装置と、ブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置とを備える。ブレーキ装置は、車輪に制動力を加えることで鉄道車両を減速又は停止させる。
【0003】
車体の総重量は、乗客の数や積載物の量によって変化する。ブレーキ制御装置は、車体の総重量が増えるほどブレーキ装置が車輪に加える制動力を大きくする制御を行う。空気ばねの内部圧力は、車体の総重量が増えるほど高くなる。ブレーキ制御装置は、特許文献1に記載される応荷重弁を備える。
【0004】
応荷重弁は、2つの空気ばねの内部圧力が荷重圧力として入力され、入力された荷重圧力に応じた応荷重圧力をブレーキ装置に出力する。ブレーキ装置は、ブレーキ制御装置から出力された応荷重圧力に応じて車輪に制動力を加える。応荷重弁は、2つの荷重圧力を受けて弁棒が軸方向に移動することで出力する応荷重圧力の大きさを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平1-104853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の応荷重弁は、弁棒の軸方向に各空気ばねの荷重圧力を入力する部屋が設けられている。このため、荷重圧力の入力数を増やした場合、弁棒の軸方向における応荷重弁の寸法が増加する。
【0007】
本発明の目的は、荷重圧力の入力数を増やした場合であっても弁棒の軸方向における応荷重弁の寸法の増加を抑制する応荷重弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する応荷重弁は、荷重圧力が入力される複数の入力部と、前記複数の入力部から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する伝達部と、前記伝達部から伝達された合成荷重圧力によって軸方向に移動し、移動量に応じて出力される応荷重圧力が決まる弁棒とを備える。
【0009】
上記構成によれば、複数の入力部から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する構成とすることで、複数の入力部が弁棒の軸方向において並ぶ構成と比べて、荷重圧力の入力数を増やした場合であっても弁棒の軸方向における寸法の増加を抑制することができる。
【0010】
上記応荷重弁において、前記複数の入力部は、前記弁棒の軸線に垂直な平面上に並び、前記弁棒の軸方向に荷重圧力を前記伝達部に入力することが好ましい。
上記応荷重弁において、前記伝達部は、前記伝達部が備える球面部を介して前記合成荷重圧力を前記弁棒に伝達することが好ましい。
【0011】
上記応荷重弁において、前記球面部は、前記伝達部と前記弁棒とが接触する接触面の間に設けられる球であることが好ましい。
上記応荷重弁において、前記球面部は、球面座金であり、前記弁棒は、前記球面座金と前記伝達部とに設けられた貫通孔を挿通して、前記弁棒の前記伝達部寄りの端部は、前記応荷重弁の内壁に設けられた凹部に挿入されることが好ましい。
【0012】
上記応荷重弁において、調整ねじのねじ込み量によって前記弁棒に加わる合成荷重圧力の下限を調整する調整ばねと、前記調整ばねを押さえ、前記伝達部に当接するばね押さえとを備え、前記ばね押さえと前記伝達部とは、球面を介して当接することが好ましい。
【0013】
上記応荷重弁において、前記調整ねじは、前記弁棒の軸方向にねじ込まれることで前記ばね押さえを前記弁棒の軸方向に押し込むことが好ましい。
上記応荷重弁において、調整ねじのねじ込み量によって前記弁棒に加わる合成荷重圧力の下限を調整する調整ばねを備え、前記調整ばねは、前記弁棒の周囲に位置してもよい。
【0014】
上記応荷重弁において、前記ばね押さえは、前記調整ねじが前記弁棒の軸線に垂直な方向にねじ込まれることで前記ばね押さえを前記弁棒の軸方向に押し込む変換部を備えることが好ましい。
【0015】
上記応荷重弁において、前記変換部は、前記軸線に垂直な方向への前記調整ねじの移動を前記軸線の方向への移動に変換する斜面であることが好ましい。
上記応荷重弁において、前記弁棒に加わる前記合成荷重圧力の下限を保証する保証ばねを備え、前記保証ばねは、皿ばねであることが好ましい。
【0016】
上記応荷重弁において、前記弁棒に加わる前記合成荷重圧力の下限を保証する保証ばねを備え、前記保証ばねは、コイルばねであることが好ましい。
上記応荷重弁において、前記複数の入力部は、前記弁棒の軸線を中心とした円周上において等間隔に位置することが好ましい。
【0017】
上記応荷重弁において、前記入力部は、入力された空気を貯める貯め部を有することが好ましい。
上記応荷重弁において、前記弁棒、前記複数の入力部、及び前記伝達部を収容する筐体を備え、前記荷重圧力の入力ポートと、前記応荷重圧力の出力ポートとは、前記筐体の同一平面上に設けることが好ましい。
【0018】
上記応荷重弁において、前記荷重圧力は、鉄道車両の車体を支持する空気ばねの内部圧力であることが好ましい。
上記応荷重弁において、前記荷重圧力は、前記車体の前側の2つの空気ばねの内部圧力と、前記車体の後側の2つの空気ばねの内部圧力とであることが好ましい。
【0019】
上記課題を解決する鉄道車両は、荷重圧力が入力される複数の入力部と、前記複数の入力部から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する伝達部と、前記伝達部から伝達された合成荷重圧力によって軸方向に移動し、移動量に応じて出力される応荷重圧力が決まる弁棒とを備える応荷重弁と、前記応荷重弁から出力される前記応荷重圧力に応じてブレーキ力が調整されるブレーキ装置とを備える。
【0020】
上記構成によれば、複数の入力部から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する構成とすることで、複数の入力部が弁棒の軸方向において並ぶ構成と比べて、荷重圧力の入力数を増やした場合であっても弁棒の軸方向における応荷重弁の寸法の増加を抑制することができる。
【0021】
上記課題を解決する応荷重弁は、鉄道車両の車体を支持する前側の2つの空気ばねの内部圧力と、前記車体の後側の2つの空気ばねの内部圧力とがそれぞれ入力される4つの入力部と、前記4つの入力部から並列に入力された内部圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する伝達部と、前記伝達部から伝達された合成荷重圧力によって軸方向に移動し、移動量に応じて出力される応荷重圧力が決まる弁棒とを備え、前記4つの入力部は、前記弁棒の軸線に垂直な平面上に並び、前記弁棒の軸方向に荷重圧力を前記伝達部に入力し、前記伝達部は、前記伝達部と前記弁棒とが接触する接触面の間に設けられる球を介して前記合成荷重圧力を前記弁棒に伝達する。
【0022】
上記構成によれば、4つの入力部から並列に入力された内部圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する構成とすることで、1つの応荷重弁によって車体の前側と後側との空気ばねの内部圧力を取得して車体の重量に応じた応荷重圧力を出力することができ、且つ、弁棒の軸方向における寸法を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、荷重圧力の入力数を増やした場合であっても弁棒の軸方向における寸法の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】応荷重弁の第1実施形態における外観を示す前方斜視図。
図2】応荷重弁の同実施形態における外観を示す後方斜視図。
図3】応荷重弁の同実施形態における内部構造を示す図1の3-3断面図。
図4】(a)~(c)は応荷重弁の同実施形態における伝達部の作用を示す模式図。
図5】(a)~(c)は応荷重弁の同実施形態における伝達部の作用を示す模式図。
図6】応荷重弁の第2実施形態における内部構造を示す断面図。
図7】応荷重弁の第3実施形態における内部構造を示す断面図。
図8】応荷重弁の第4実施形態における内部構造を示す断面図。
図9】応荷重弁の第5実施形態における内部構造を示す断面図。
図10】応荷重弁の第6実施形態における内部構造を示す断面図。
図11】応荷重弁の第7実施形態における内部構造を示す断面図。
図12】応荷重弁の変形例における内部構造を示す断面図。
図13】応荷重弁の変更例における外観を示す前方斜視図。
図14】応荷重弁の変更例における外観を示す後方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、図1図5を参照して、応荷重弁の第1実施形態について説明する。応荷重弁は、鉄道車両に設けられ、4つの空気ばねから入力される荷重圧力に応じた応荷重圧力を、鉄道車両の車輪に制動力を加えるブレーキ装置に出力する。
【0026】
図1及び図2に示すように、応荷重弁1は、筐体2と、排気ポート4、給気ポート5、出力ポート6、及び4つの入力ポート7を備える。応荷重弁1は、入力ポート7から入力された荷重圧力ASに応じて出力ポート6から応荷重圧力VLを出力する。給気ポート5、出力ポート6、及び4つの入力ポート7は、筐体2の同一平面上に位置する。筐体2は、荷重圧力が入力される4つの入力部50を備える。
【0027】
各入力ポート7は、車体を支持する複数の空気ばねのうちの一つの空気ばね(図示略)と接続される。4つの入力ポート7は、例えば車体の前側の2つの空気ばねと車体の後側の2つの空気ばねと接続される。また、各入力ポート7は、4つの入力部50のいずれか一つの入力部50に筐体2の内部に設けられた管を介して接続される。すなわち、空気ばねの圧力が入力ポート7を介して入力部50に荷重圧力ASとして入力される。出力ポート6は、図示しないブレーキ装置に接続される。給気ポート5は、鉄道車両が備える圧縮空気源に接続される。
【0028】
図3に示すように、筐体2には、排気室11、給気室12、出力室13、主ピストン室14、及び入力室15が順に設けられている。また、筐体2は、弁体21、弁棒30、主ピストン41、膜板42、入力部50、及び伝達部60を備える。なお、以下では弁棒30の軸方向において排気室11が位置する側を応荷重弁1の下側、入力室15が位置する側を応荷重弁1の上側とする。
【0029】
排気ポート4は、筐体2の下面に位置している。排気室11は、排気ポート4と接続されて大気開放された空間である。すなわち、排気室11の圧力は、大気圧P0である。
給気室12は、排気室11の上方に位置して排気室11と接続される。給気室12は、給気室12の上方に位置する出力室13と接続される。また、給気室12は、給気ポート5と接続して、圧縮空気源から圧縮空気が供給される空間である。すなわち、給気室12には、圧縮空気源が有する圧力P1が供給される。また、給気室12には、弁体21が位置する。弁体21には、弁体ばね22が接続される。弁体ばね22の一方の端部は、給気室12の内壁に固定される。弁体21の他方の端部は、弁体ばね22に固定される。弁体ばね22は、給気室12と出力室13との間の流路を閉じるように弁体21を付勢する。
【0030】
また、弁体21は、弁体21の中心軸に沿って排気室11につながる貫通孔21Aが形成される。すなわち、弁体21が給気室12において出力室13に向かって付勢されることで給気室12と出力室13との間の流路が閉じる。このとき、弁体21に形成された貫通孔21Aによって出力室13と排気室11との間に流路が形成される。
【0031】
出力室13は、出力ポート6と接続される空間である。すなわち、出力室13の圧力は、出力ポート6から出力される応荷重圧力VLである。弁棒30は、出力室13及び主ピストン室14に亘って位置する。弁棒30は、軸線に沿って延びる直線状の棒部材である。弁棒30は、軸方向に移動可能に構成される。弁棒30の下端部が弁体21に当接すると、弁体21に形成された貫通孔21Aを塞ぐことで、出力室13と排気室11とを接続する流路を閉じる。弁棒30は、移動することで応荷重圧力VLの出力を制御する。すなわち、弁棒30が弁体21側へ移動して弁体21を移動させることで、給気室12と出力室13との間の流路を開く。また、弁棒30は、弁体21から離れる方向へ移動することで、出力室13と排気室11との間の流路を開く。
【0032】
主ピストン室14は、出力室13の上方に位置する空間である。主ピストン室14には、主ピストン41及び膜板42が収容される。主ピストン41は、弁棒30に固定される。膜板42は、可撓性を有する円環状の部材である。膜板42の内周縁は、主ピストン41に固定される。また、膜板42の外周縁は、主ピストン室14の内壁に固定される。主ピストン室14は、膜板42によって出力室13に近い第1空間14Aと入力室15に近い第2空間14Bとの2つの空間に仕切られる。主ピストン41及び膜板42は、弁棒30の移動を規制せず、弁棒30の移動を受けて撓む。
【0033】
主ピストン室14には、フランジを有する筒状の部材であるブッシュ43が設けられている。ブッシュ43は、弁棒30と主ピストン室14の内壁との間に位置する。ブッシュ43は、弁棒30の移動を案内する。また、弁棒30とブッシュ43とによって出力室13と主ピストン室14とは区画される。
【0034】
出力室13から出力ポート6につながる流路は、主ピストン室14における第1空間14Aとも接続する。したがって、第1空間14Aの圧力は、出力室13の圧力と同様に応荷重圧力VLである。主ピストン41及び膜板42は、第1空間14Aの圧力を受けて弁棒30に第2空間14B側への力を加える。
【0035】
また、弁棒30の下端部と反対側の上端部には、窪む球面である凹球面30Aが形成される。
入力室15には、4つの入力部50と伝達部60とが位置する。4つの入力部50は、弁棒30の軸線に垂直な平面上に並ぶ。図3では、2つの入力部50のみ示しているが、図示していない2つの入力部50も同様に前記平面上に並んで位置する。また、4つの入力部50は、弁棒30の軸線に垂直な平面と対向する位置から見て、弁棒30の軸を中心とした円周上に等間隔に位置する。
【0036】
入力部50は、対応する入力ポート7から荷重圧力ASがそれぞれ入力されて、弁棒30の軸方向に押圧力を出力する。入力部50は、ピストン51とシリンダー52とを備える。ピストン51は、シリンダー52内を移動する。ピストン51は、ピストン51に入力された荷重圧力ASを受けて、伝達部60に対して押圧力を出力する。ピストン51の内部には、空気を貯める貯め部53が形成される。
【0037】
また、ピストン51の外周に形成された溝には、Oリング54が装着される。Oリング54は、シリンダー52内部の気密性を高めると共に、ピストン51がシリンダー52に対して移動する際にピストン51の移動を抑制する方向に摩擦力を発生させる。よって、荷重圧力ASの微小な変動が入力部50から伝達部60に入力する押圧力に与えた影響が、静止摩擦力を越えるまで、変動した押圧力が伝達部60に伝達されることを抑制することができる。
【0038】
また、入力ポート7から入力部50に荷重圧力ASが入力される流路において、入力部50の入口には、オリフィス55が位置する。オリフィス55は、入力部50の入口において流路の断面積を狭めることで、入力部50に入力される空気の流れを抑制する。
【0039】
伝達部60は、4つの入力部50から押圧力が並列に入力されて、入力された押圧力を合成して弁棒30に伝達する。ここで、従来技術では複数の入力部から直列に荷重圧力が伝達され、第1入力部の押圧力が第2入力部に入力されて第2入力部の押圧力が伝達部に入力される。一方、複数の入力部50から並列に荷重圧力が伝達されるとは、伝達部60に対して各入力部50の押圧力が別々に入力されることである。
【0040】
伝達部60は、受圧部61、ばね受け62、及び球63を備える。受圧部61は、複数の入力部50が移動して当接することで、複数の入力部50から並列に押圧力を受ける。受圧部61とばね受け62との間には保証ばね64が位置する。保証ばね64は、受圧部61に設けられた収容部61Aに収容されて、受圧部61とばね受け62とに当接する。受圧部61は、各入力部50から並列に受けた押圧力を合成して、保証ばね64を介してばね受け62に伝達する。ばね受け62は、受圧部61から球63に合成荷重圧力を伝達することで、弁棒30を押圧する。保証ばね64は、伝達部60に付勢力を加えることで、弁棒30に加わる合成荷重圧力の下限を保証する。すなわち、入力部50から受圧部61に入力される押圧力が空車時相当の合成荷重圧力以上のとき、弁棒30には入力部50から入力された押圧力が加わる。一方、入力部50から受圧部61に入力する押圧力が空車時相当の合成荷重圧力を下回ったとき、保証ばね64がばね受け62に加える付勢力によって、弁棒30に加わる合成荷重圧力を一定に保つ。保証ばね64は、皿ばねである。
【0041】
また、入力室15には、調整部80が設けられている。調整部80は、伝達部60の上方且つ中央に位置する。調整部80は、保証ばね64とともに伝達部60に付勢力を入力することで、弁棒30に加わる合成荷重圧力の下限の大きさを変更する。調整部80は、調整ばね81、ばね押さえ82、及び調整ねじ83を備える。調整ばね81は、コイルばねである。調整ばね81は、ばね受け62とばね押さえ82とに当接して、ばね受け62に付勢力を加える。筐体2の上面には、入力室15に貫通する雌ねじ2Aが設けられている。調整ねじ83は、六角ボルトである。調整ねじ83は、筐体2の外部から雌ねじ2Aに弁棒30の軸方向にねじ込まれる。調整ねじ83の先端は、ばね押さえ82の上面に当接する。調整ねじ83の先端は球面状に形成され、ばね押さえ82の上面には調整ねじ83の先端が当接する球面状の凹部が形成されている。調整ばね81は、ばね押さえ82の下面に当接する。弁棒30の軸方向におけるばね押さえ82の位置は、調整ねじ83のねじ込み量によって決定される。調整ばね81がばね受け62に加える付勢力の大きさはばね押さえ82の位置によって変更される。
【0042】
ばね受け62の弁棒30側の下面には、窪む球面である凹球面62Aが形成される。球63は、凹球面62Aにおいてばね受け62と当接するとともに、凹球面30Aにおいて弁棒30と当接する。伝達部60は、球63を介して入力部50から受けた合成荷重圧力を弁棒30に伝達する。
【0043】
次に、上記のように構成された応荷重弁1の作用について説明する。
応荷重弁1において、荷重圧力ASを入力された入力部50から伝達された合成荷重圧力が、弁棒30を下向きに移動させる。一方、応荷重圧力VLを受けた主ピストン41は、上向きに移動して弁棒30を上向きに移動させる。応荷重弁1は、弁棒30が受ける下向きの力と上向きの力とが釣り合うように移動することで、応荷重圧力VLを出力する。
【0044】
車体の総重量が増加することで、空気ばねから入力される荷重圧力ASが増加するため、弁棒30を下向きに移動させる力が、弁棒30を上向きに移動させる力よりも大きくなる。このため、弁棒30は、弁棒30は下向きに移動して、弁体21が備える貫通孔21Aを閉じつつ弁体21を下方に移動させる。このとき、給気室12と出力室13との間の流路が開くため、給気室12から出力室13へ圧縮空気が流れ込み、応荷重圧力VLが増加する。第1空間14Aにも応荷重圧力VLがかかるため、応荷重圧力VLが増加することで、弁棒30を上向きに移動させる力が、弁棒30を下向きに移動させる力よりも大きくなったとき、弁棒30は上向きに移動する。そして、弁体21が給気室12と出力室13との間の流路を閉じるため、応荷重圧力VLの増加は止まる。弁体21が流路を閉じたとき、弁棒30を下向きに移動させる力は、弁棒30を上向きに移動させる力よりも大きいため、弁棒30は静止する。
【0045】
車体の総重量が減少したとき、空気ばねから入力される荷重圧力ASが減少するため、弁棒30を下向きに移動させる力が、弁棒30を上向きに移動させる力よりも小さくなる。このため、弁棒30は、上向きに移動して、弁棒30は当接していた弁体21から離れる。このとき、弁体21に形成された貫通孔21Aによって形成される出力室13と排気室11との間の流路が開く。このため、第1空間14Aに供給されていた圧縮空気は、排気室11から外部に排気されて、応荷重圧力VLが減少する。第1空間14Aにも応荷重圧力VLがかかるため、応荷重圧力VLが減少することで弁棒30を下向きに移動させる力よりも上向きに移動させる力が大きくなったとき、弁棒30は下向きに移動して、弁体21に当接する。そして、出力室13と排気室11との間の流路は閉じるため、応荷重圧力VLの減少は止まる。
【0046】
車体内部で乗客が移動したとき、車体の総重量は変わらない一方、重量の分布は変化する。このため、各空気ばねの圧力には微小な変動が生じる。入力ポート7から入力部50の入口に設けられたオリフィス55によって、入力部50に入力される空気の流れは抑制されて、荷重圧力ASの微小な変動が入力部50へ入力されることを抑制できるため、荷重圧力ASの微小な変動が応荷重圧力VLに与える影響を抑制することができる。さらに、入力された圧力の変動は、ピストン51に設けられた貯め部53に貯蔵された空気に吸収されて、ピストン51にかかる押圧力の変動を抑制する。そして、ピストン51にかかる押圧力の変動は、押圧力の変動量がピストン51とシリンダー52との間の静止摩擦力を越えるまで、弁棒30には伝達されない。
【0047】
各空気ばねは、車体の重量を異なる位置においてそれぞれ支持する。このため、乗客や荷物の重量の分布が車体の内部において不均一であれば、各空気ばねの圧力はそれぞれ異なる。
【0048】
各空気ばねの圧力は、荷重圧力ASとして各入力部50に入力される。荷重圧力ASが入力された入力部50は、弁棒30を軸方向に移動させる力を伝達部60に加える。伝達部60は、複数の入力部50から入力された押圧力を合成して弁棒30に伝達する。
【0049】
続いて、図4及び図5を参照して、伝達部60の作用について説明する。
図4は、伝達部60に対して複数の入力部50から等しく押圧力が加えられた際の伝達部60及び弁棒30の動きを示したものである。
【0050】
図4(a)に示すように、空気ばねから入力される荷重圧力ASに変動がないとき、応荷重弁1が出力する応荷重圧力VLは弁棒30を下向きに移動させる力と上向きに移動させる力とが釣り合うように調整されて、弁棒30は静止している。
【0051】
図4(b)に示すように、車体の総重量が増加して空気ばねから入力される荷重圧力ASが均等に増加したとき、受圧部61に入力される押圧力は均等に増加するため、受圧部61及びばね受け62は傾斜することなく、球63を介して弁棒30に合成荷重圧力を伝達する。そして、弁棒30を上向きに押し込む力に対して下向きに押し込む力が勝るため、弁棒30は紙面下向きに移動する。
【0052】
また、図4(c)に示すように、車体の総重量が減少して空気ばねから入力される荷重圧力が均等に減少したとき、受圧部61に入力される押圧力が均等に減少するため、受圧部61及びばね受け62は傾斜することなく、球63を介して弁棒30に押圧力を伝達する。そして、弁棒30を下向きに押し込む力に対して上向きに押し込む力が勝るため、弁棒30は上向きに移動する。
【0053】
図5は、伝達部60に対して複数の入力部50から異なる押圧力が加えられた際の伝達部60及び弁棒30の動きを示したものである。
図5(a)に示すように、空気ばねから入力される荷重圧力ASに変動がないとき、応荷重弁1が出力する応荷重圧力VLは弁棒30を下向きに押し込む力と上向きに押し込む力とが釣り合うように調整されて、弁棒30は静止している。
【0054】
図5(b)に示すように、車体の総重量が増加して空気ばねから入力される荷重圧力ASがそれぞれ増加したとき、ばね受け62は球63と当接しているため、受圧部61及びばね受け62は入力された押圧力の大きさの差に従って傾斜する。すなわち、受圧部61の中でより大きい押圧力が入力された箇所は大きく押し込まれ、より小さい押圧力が入力された箇所はピストン51によって小さく押し込まれる。複数の入力部50から入力された押圧力は、受圧部61において合成され、球63を介して弁棒30に伝達される。弁棒30を上向きに押し込む力に対して下向きに押し込む力が勝るため、弁棒30は下向きに移動する。
【0055】
図5(c)に示すように、車体の総重量が増加して空気ばねから入力される荷重圧力ASがそれぞれ減少したとき、ばね受け62は球63と当接しているため、入力された押圧力の大きさの差に従って受圧部61及びばね受け62は傾斜する。すなわち、伝達部60の中でより大きい押圧力が入力された箇所はピストン51によって大きく押し込まれ、より小さい押圧力が入力された箇所はピストン51によって小さく押し込まれる。そして、弁棒30を下向きに押し込む力に対して上向きに押し込む力が勝るため、ピストン51、伝達部60、及び弁棒30は上向きに移動する。
【0056】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1)4つの入力部50から並列に入力された荷重圧力を合成した合成荷重圧力を伝達する構成とすることで、複数の入力部50が弁棒の軸方向において並ぶ構成と比べて、入力部50の数を増やした場合であっても、弁棒30の軸方向における寸法の増加を抑制することができる。
【0057】
(2)4つの入力部50を弁棒30の軸線に垂直な平面上に並べる構成とすることにより、弁棒30の軸方向における寸法の増加を抑制することができる。
(3)伝達部60が備える球面部を介して合成荷重圧力を弁棒30に伝達する。このため、複数の入力部50から入力された複数の押圧力の間に差があるとき、球面部によって伝達部60が傾斜することで弁棒30が傾くことが抑制されて、弁棒30の固渋を抑制することができる。
【0058】
(4)球面部が伝達部60と弁棒30とが接触する接触面の間に設けられる球63である。このため、受圧部61が揺動する際の摩擦抵抗を抑制して、荷重圧力の変化を正確に弁棒30に伝達することができる。
【0059】
(5)調整ねじ83は、弁棒30の軸方向にねじ込まれることでばね押さえを弁棒30の軸方向に押し込む。このため、鉄道車両の幅方向と応荷重弁1の軸方向とが一致するように応荷重弁1を鉄道車両に取り付けたとき、調整ねじ83は鉄道車両の側面を向く。結果として、調整ねじ83が鉄道車両の底面や、車体と台車との間に位置する場合と比べて調整ねじ83の操作が容易となる。
【0060】
(6)弁棒30に加わる合成荷重圧力の下限を保証する保証ばね64に皿ばねを用いる。このため、保証ばねにコイルばねを用いる構成と比べて、弁棒30の軸方向における応荷重弁1の寸法を短くできる。
【0061】
(7)前記弁棒30の軸線に垂直な平面に対向する位置から見て、4つの入力部50は、弁棒30の軸線を中心とした円周上において等間隔に位置する。このため、伝達部60に対してより均等に押圧力を入力でき、結果として、弁棒30の固渋をさらに抑制することができる。
【0062】
(8)入力部50は、入力された空気を貯める貯め部53を有する。荷重圧力ASの微小な変動は、貯め部53に貯蔵された空気が吸収するため、結果として、荷重圧力ASの微小な変動が応荷重圧力VLに与える影響を抑制することができる。また、応荷重弁1を備えるブレーキ制御装置が、空気を貯める貯め部53を有して荷重圧力の微小な変動を抑制する空気緩衝装置を備える構成と比べて、空気緩衝装置の構成を省略して、ブレーキ制御装置の部品点数を低減することができる。ひいては、ブレーキ制御装置の寸法を短くすることができる。
【0063】
(9)筐体2の側面に位置する出力ポート6及び4つの入力ポート7は、筐体2の同一平面上に位置する。このため、空気ばね、ブレーキ装置、圧縮空気源、及び応荷重弁1からなる空気圧回路の接続が容易となる。
【0064】
(10)荷重圧力が鉄道車両の車体を支持する空気ばねの内部圧力である。このため、空気ばねから出力された荷重圧力に応じた応荷重圧力を出力することができる。
(11)1つの応荷重弁1によって車体の前側と後側との空気ばねの内部圧力を取得して車体の重量に応じた応荷重圧力を出力することができ、且つ、弁棒30の軸方向における寸法を抑制することができる。
【0065】
(第2実施形態)
以下、図6を参照して、応荷重弁の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、伝達部が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図6に示すように、伝達部70は、受圧部71、ばね受け72、および球63を備える。受圧部71は、複数の入力部50が移動して当接することで、複数の入力部50から並列に押圧力を受ける。受圧部71とばね受け72との間には保証ばね74が位置する。保証ばね74は、受圧部71に設けられた収容部71Aに収容されて、受圧部71とばね受け72とに当接する。受圧部71は、各入力部50から並列に受けた押圧力を合成して、保証ばね74を介してばね受け72に伝達する。球63は、ばね受け72の凹球面72Aに当接している。ばね受け72は、受圧部71から球63に押圧力を伝達することで、弁棒30を押圧する。保証ばね74は、コイルばねである。保証ばね74の外径は、調整ばね81の外径よりも長く設定されている。
【0067】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(5)、(7)~(11)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(6)保証ばね74はコイルばねから構成される。このため、保証ばね64に皿ばねを用いる場合と比べて保証ばね74が伝達部60に加える付勢力の大きさを容易に調整することができる。
【0068】
(第3実施形態)
以下、図7を参照して、応荷重弁の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、伝達部及び調整部が第2実施形態と異なる。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図7に示すように、伝達部70は、受圧部71、ばね受け73、及び球63を備える。受圧部71は、複数の入力部50に当接して、各入力部50から並列に押圧力を受ける。受圧部71とばね受け73との間には保証ばね75が位置して、保証ばね75は受圧部71とばね受け73とに当接する。受圧部71は、各入力部50から並列に受けた押圧力を合成して、保証ばね75を介してばね受け73に伝達する。ばね受け73は、受圧部71から弁棒30に押圧力を伝達することで、弁棒30を押圧する。
【0070】
また、調整部80は、調整ばね81、第1ばね押さえ82A、第2ばね押さえ82B、及び調整ねじ83を備える。調整ばね81は、第1ばね押さえ82A及び第2ばね押さえ82Bに当接し、第1ばね押さえ82Aと第2ばね押さえ82Bとに付勢力を加える。第1ばね押さえ82Aは、第1実施形態のばね押さえ82と同様であって、調整ばね81と当接する面と反対の面が調整ねじ83に当接する。第2ばね押さえ82Bは、調整ばね81と当接する面と反対の面がばね受け73に当接する。
【0071】
ばね受け73は、受圧部71を貫通する球面凸部73Aを備える。球面凸部73Aの先端は、球面状に形成されている。第2ばね押さえ82Bの下面には、ばね受け73の球面凸部73Aが当接する球面状に窪んだ球面凹部82Cが形成される。ばね受け73に形成された球面凸部73Aが球面凹部82Cに当接する。第2ばね押さえ82Bとばね受け73とは、伝達部70が傾斜するときに付勢力を弁棒30の軸方向に沿ってばね受け73に伝えるよう、球面を介して当接する。
【0072】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(5)、(7)~(11)及び第2実施形態の(12)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(13)第2ばね押さえ82Bが調整ばね81と当接して、調整ばね81の付勢力をばね受け73に伝達する。このため、ばね受け73が調整ばね81と当接する構成と比べて、伝達部70を小さくして、応荷重弁1の重量を軽減することができる。
【0073】
(14)第2ばね押さえ82Bがばね受け73の球面凸部73Aと当接するため、受圧部71及びばね受け73が傾斜したとしても、調整ばね81から加わる付勢力は、第2ばね押さえ82Bからばね受け73に対して弁棒30の軸方向に伝達される。このため、伝達部70の固渋を抑制することができる。
【0074】
(第4実施形態)
以下、図8を参照して、応荷重弁の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、弁棒、伝達部、及び調整部が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図8に示すように、伝達部160は、受圧部161、第1ばね受け162、球163、及び第2ばね受け164を備える。受圧部161は、複数の入力部50に当接して、各入力部50から押圧力を受ける。受圧部161は、第1ばね受け162と対向する面に凹球面161Aが設けられる。受圧部161と第1ばね受け162との間には、球163が位置する。第1ばね受け162は、受圧部161と対向する面において凹球面162Aが形成される。球163は、受圧部161に設けられた凹球面161Aと、第1ばね受け162に設けられた凹球面162Aとにそれぞれ当接する。保証ばね165は、第1ばね受け162及び第2ばね受け164に当接する。
【0076】
第2ばね受け164には、弁棒130が貫通する貫通孔164Aが設けられる。また、第1ばね受け162には、凹部162Bが設けられる。弁棒130は、第2ばね受け164に設けられた貫通孔164Aを挿通して、第1ばね受け162に設けられた凹部162Bに挿入される。
【0077】
弁棒130は、球面状突起131を備える。また、第2ばね受け164は、球面状突起131が備える球面131Aに面接触する凹球面164Bが設けられる。第2ばね受け164に設けられた貫通孔164Aを挿通した弁棒130は、球面131Aと凹球面164Bとで第2ばね受け164に当接する。
【0078】
受圧部161は、複数の入力部50から入力された押圧力を合成して、球163を介して第1ばね受け162に伝達する。第1ばね受け162は、保証ばね165を介して、受圧部161から伝達された押圧力を第2ばね受け164に伝達する。第2ばね受け164が球面状突起131を介して弁棒130に押圧力を伝達することで、弁棒130には弁棒130を下向きに移動させる力が加えられる。
【0079】
調整部180は、調整ばね181、ばね押さえ182、及び調整ねじ183を備える。ばね押さえ182は、主ピストン室14と入力室15とを区画する。また、膜板42は、主ピストン室14を第1空間14Aと第2空間14Bとに区画する。保証ばね165、調整ばね181、及び第2ばね受け164は、第2空間14Bに位置する。調整ばね181は、弁棒130の周囲、更に保証ばね165の周囲に位置する。調整ばね181は、ばね押さえ182と第2ばね受け164とに当接して、第2ばね受け164を介して弁棒130に付勢力を加える。調整ねじ183は、筐体2の側面に設けられて側面を貫通する雌ねじ2Aから、弁棒130の軸線に対して垂直な方向に向かってねじ込まれる。調整ねじ183は、六角穴付きボルトである。調整ねじ183は、ばね押さえ182に設けられた傾斜面182Aに当接する。調整ねじ183が傾斜面182Aに当接してねじ込まれることで、調整ねじ183の弁棒130の軸線に対して垂直方向へのねじ込み量は、ばね押さえ182の弁棒130の軸方向への移動に変換される。すなわち、傾斜面182Aが変換部として機能する。ばね押さえ182の位置によって、調整ばね181が第2ばね受け164に加える付勢力の大きさは変更される。
【0080】
次に、第4実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(5)、(7)~(11)及び第2実施形態の(12)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(15)調整ばね181は、弁棒130の周囲に位置する。このため、調整ばね181が弁棒130に対して軸方向において並んで位置する構成と比べて、弁棒130の軸方向における応荷重弁1の寸法を短くすることができる。
【0081】
(16)調整部180は、調整ねじ183が弁棒130の軸線に対して垂直にねじ込まれることで伝達部160に入力される合成荷重圧力の下限の大きさを調整する変換部としてばね押さえ182の傾斜面182Aを備える。このため、調整ねじが弁棒130の軸方向にねじ込まれる構成と比べて、弁棒130の軸方向における応荷重弁1の寸法を短くすることができる。
【0082】
(17)弁棒130が挿通される第2ばね受け164が弁棒130の軸線に対して垂直な方向への弁棒130の移動を規制する。このため、弁棒130の移動が弁棒130の軸方向に案内されるため、弁棒130が軸方向に滑らかに移動することができる。
【0083】
(18)球163は、受圧部161と第1ばね受け162との間に位置する。このため、球163が受圧部161と弁棒130との間に位置する構成と比べて、伝達部160の傾斜範囲を小さくすることができる。結果として、伝達部60の傾斜するための空間を小さくすることができるため、応荷重弁1の寸法を小さくすることができる。
【0084】
(第5実施形態)
以下、図9を参照して、応荷重弁の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、弁棒及び球が第4実施形態と異なる。以下では、第4実施形態との相違点を中心に説明し、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図9に示すように、伝達部260は、受圧部261、第1ばね受け262、第2ばね受け264、及び球面座金266を備える。球面座金266は、凹側球面座金267と凸側球面座金268とを備える。凹側球面座金267は、上向きに窪む球面を備える。凸側球面座金268は、上向きに突出する球面を備える。凹側球面座金267は、受圧部261に固定される。凸側球面座金268は、第1ばね受け262に固定される。凹側球面座金267が備える上向きに窪む球面と、凸側球面座金268が備える上向きに突出する球面とは、互いに当接する。複数の入力部50から異なる大きさの押圧力が受圧部261に入力されたとき、凹側球面座金267が備える球面が、凸側球面座金268が備える球面に沿って摺動することで受圧部261が傾斜しつつ弁棒130を下向きに移動させる。
【0086】
受圧部261は、貫通孔261Aが設けられる。第1ばね受け262は、貫通孔262Aが設けられる。第2ばね受け264は、貫通孔264Aが設けられる。球面座金266には、貫通孔267Aと貫通孔268Aとが設けられる。弁棒230は、各貫通孔261A,262A,264A,267A,268Aに挿通される。凹側球面座金267の貫通孔267Aの直径は、凸側球面座金268の貫通孔268Aの直径よりも長い。受圧部261の貫通孔261Aの直径は、凹側球面座金267の貫通孔267Aの直径よりも長い。このため、受圧部261及び凹側球面座金267は、弁棒230に対して傾くことができる。
【0087】
弁棒230のうち受圧部261に近い端部は、筐体2に設けられた凹部45に挿入される。凹部45は、弁棒230の軸線に対して垂直方向への弁棒230の動きを規制することで、弁棒230の軸方向への移動を滑らかに行わせる。
【0088】
弁棒230は、球面状突起231を備える。また、第2ばね受け264は、球面状突起231が備える球面231Aに面接触する凹球面264Bが設けられる。第2ばね受け264に設けられた貫通孔264Aを挿通した弁棒230は、球面231Aと凹球面264Bとで第2ばね受け264に当接する。
【0089】
次に、第5実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(3)、(5)、(7)~(11)、第2実施形態の(12)、及び第4実施形態の(15)、(16)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0090】
(19)弁棒230が受圧部261の貫通孔261A、第1ばね受け262の貫通孔262A、第2ばね受け264の貫通孔264A、球面座金266の貫通孔267A、及び貫通孔268Aに挿通されて、弁棒230の端部が凹部45に挿入されるため、弁棒230の軸線に対して垂直方向への弁棒230の動きが規制される。結果として、弁棒230が弁棒230の軸方向に案内され、伝達部260が大きく傾斜したとしても弁棒230の軸線に対して垂直な方向の位置を維持することができる。
【0091】
(第6実施形態)
以下、図10を参照して、応荷重弁の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、弁棒及び伝達部が第4実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点を中心に説明し、第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0092】
図10に示すように、伝達部360は、受圧部361とばね受け362とを備える。すなわち、受圧部361は、第4実施形態の構成に含まれる球163の構成が省略されて、受圧部161と第1ばね受け162とが一体化されている。
【0093】
受圧部361は、軸方向へのみ移動可能に構成される。受圧部361は、複数の入力部50に当接して、各入力部50から並列に押圧力が入力される。受圧部361は、複数の入力部50から入力された押圧力を合成して弁棒330に伝達する。ばね受け362は、受圧部361が受けた押圧力を弁棒330に伝達することで、弁棒330を押圧する。受圧部361とばね受け362との間には保証ばね165が位置する。保証ばね165は、受圧部361とばね受け362とを反発させる方向に付勢力を加えることで、受圧部361が入力部50から受けた押圧力をばね受け362に伝達する。
【0094】
受圧部361には、貫通孔361Aが設けられる。ばね受け362には、貫通孔362Aが設けられる。弁棒330は、各貫通孔361A,362Aに挿通される。弁棒330において受圧部361に近い側の端部は、筐体2に設けられた凹部45に挿入される。凹部45は、弁棒330の軸線に対して垂直方向への弁棒330の動きを規制することで、弁棒330の軸方向への移動を滑らかに行わせる。
【0095】
弁棒330は、球面状突起331を備える。また、ばね受け362は、球面状突起331が備える球面331Aに面接触する凹球面362Bが設けられる。ばね受け362に設けられた貫通孔362Aを挿通した弁棒330は、球面331Aと凹球面362Bとでばね受け362に当接する。
【0096】
次に、第6実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)、(2)、(5)、(7)~(11)、第2実施形態の(12)、及び第4実施形態の(15)、(16)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0097】
(20)複数の入力部50から異なる大きさの押圧力が並列に受圧部361に入力されたとしても、受圧部361は軸方向へのみ移動するように構成されるため、受圧部361の傾きが弁棒330の移動方向における隙間に限られる。このため、受圧部361に加わる意図しない抵抗を抑制することができる。
【0098】
(第7実施形態)
以下、図11を参照して、応荷重弁1の第7実施形態について説明する。第7実施形態は、伝達部及び主ピストンが第4実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点を中心に説明し、第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0099】
図11に示すように、伝達部460は、受圧部461、ばね受け462、及び球463を備える。また、弁棒430は、主ピストン441を備える。すなわち、伝達部460は、第4実施形態の構成に含まれる第2ばね受け164の構成が省略されて、主ピストン441が第2ばね受け164として機能する。弁棒430と主ピストン441とは一体に設けられている。
【0100】
保証ばね165は、ばね受け462と主ピストン441とにそれぞれ当接して、受圧部461から伝達された押圧力をばね受け462から主ピストン441に伝達する。主ピストン441は、弁棒430に固定されており、ばね受け462から伝達された押圧力を弁棒430に伝達する。
【0101】
また、主ピストン441は、調整部180が備える調整ばね181に当接して、調整ばね181から受けた付勢力を弁棒430に伝達する。保証ばね165、及び調整ばね181は、第2空間14Bに位置する。
【0102】
次に、第7実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(5)、(7)~(11)、第2実施形態の(12)、及び第4実施形態の(15)、(16)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0103】
(21)調整ばね181は弁棒430が備える主ピストン441に当接して、付勢力を弁棒430に入力する。このため、保証ばね64及び調整ばね181がばね受けを介して弁棒を押圧する構成と比べて、ばね受けの構成を省略して、弁棒430の軸方向における応荷重弁1の寸法を短くすることができる。
【0104】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。上記各実施形態と以下の変更例とは技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0105】
・第1実施形態~第3実施形態においては、調整ねじ83は六角ボルトとして構成した。また、第4実施形態~第7実施形態においては、調整ねじ183は六角穴付きボルトとして構成した。一方、第1実施形態~第3実施形態において、調整ねじ83を六角穴付きボルトとしてもよく、また、第4実施形態~第7実施形態において調整ねじ183を六角ボルトとしてもよい。
【0106】
・上記第1実施形態では、皿ばねである保証ばね64を備えたが、受圧部61の収容部61Aに複数のコイルばねを設けてもよい。
・上記実施形態において、出力ポート6と複数の入力ポート7とは筐体2の同一平面上に設けた。一方、出力ポート6と複数の入力ポート7とを筐体2の側面において異なる面上に設けてもよい。このような構成であれば、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0107】
・上記各実施形態において、4つの入力部50は、弁棒30の軸線に垂直な平面に対向する位置からみて、弁棒30(130)の軸線を中心とした円周上に等間隔に位置する構成とした。一方、4つの入力部50は、弁棒30(130)の軸線を中心とした円周上に異なる間隔で配置されてもよい。このような構成であっても、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0108】
・上記各実施形態において、入力部50は、空気を貯める貯め部53を有する。一方、入力部50が貯め部53を有しない構成であったとしても、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。また、応荷重弁は1つの入力部を備え、当該入力部が空気を貯蔵する空間を有する構成であっても、上記(7)に準じた効果を得ることは出来る。
【0109】
・上記各実施形態において、入力部50が備えるピストン51は、ピストン51の外周とシリンダー52の内壁との間にOリング54が装着された。ただし、入力部50に入力される荷重圧力ASに生じた微小な変動を入力部50が出力する応荷重圧力VLへ反映させないという観点においては、入力部50はOリング54を備える構成に限らない。入力部は、MYパッキンやXリングなどの環状部材を備える構成であってもよい。また、環状部材の材質は、シリコンゴムやニトリルゴムを含む各種ゴムであってもよく、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂であってもよい。
【0110】
・上記第1実施形態~第3実施形態において、伝達部60(160)は凹球面62A(161A,164A)と球63(163)とを備えて、凹球面62A(161A,164A)と球63(163)とが当接する構成とした。また、上記第5実施形態において、伝達部160は凹側球面座金267と凸側球面座金268とを備える球面座金266を備えて、凹側球面座金267と凸側球面座金268とが当接する構成とした。すなわち、伝達部は球面の一部が形成された球面部と窪んだ球面の一部が形成された凹球面部とを備えて、複数の入力部から並列に入力された押圧力が、球面部と凹球面部とを介して弁棒に伝達される構成とした。
【0111】
一方、伝達部が複数の入力部から並列に押圧力を加えられ、加えられた全ての押圧力の偏りに応じて傾斜するという観点においては、球面部は、伝達部が備える構成に限らない。弁棒が球面部を備える構成であっても、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0112】
また、伝達部は凹球面部を備える構成に限らない。伝達部は凹球面部を備えず、球面部は平坦な面において当接して、伝達部は球面部を介して弁棒へ合成荷重圧力を伝達する構成であっても、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0113】
すなわち、伝達部又は弁棒が球面部を備えて、複数の入力部から並列に入力された押圧力が伝達部から球面部を介して弁棒に伝達される構成であれば、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0114】
ただし、弁棒の軸線に対する垂直な方向へ伝達部が意図せず変位することを規制するという観点においては、伝達部は凹球面部を備え、球面部は凹球面部に当接することが好ましい。
【0115】
・上記各実施形態において、伝達部が球面になっている接触面を介して合成荷重圧力を弁棒に伝達してもよい。なお、球面になっている接触面が球面部に相当する。例えば、図12に示すように、球を省略して、弁棒30が伝達部60のばね受け62の球面になっている接触面である凹球面62Aに当接する。このような構成によれば、複数の入力部から入力された複数の押圧力の間に差があるとき、接触面によって伝達部が傾斜することで弁棒が傾くことが抑制されて、弁棒の固渋を抑制することができる。
【0116】
・上記各実施形態において、入力部50はピストン51とシリンダー52とを備える構成とした。一方、入力部50は、荷重圧力ASを入力されて弁棒30を押す力を出力する構成であればよく、入力部50はダイヤフラムであってもよい。
【0117】
・上記各実施形態において、応荷重弁1は4つの入力部50を備える構成とした。一方、応荷重弁1は、入力部50を2個以上備える構成であれば、入力部50を1つだけ備える構成と比較して、入力部50の数を増やした場合であっても、応荷重弁1の軸方向における寸法の増加を抑制することができる。
【0118】
・上記各実施形態において、給気ポート5、出力ポート6及び4つの入力ポート7は、弁棒の軸線に対して垂直方向に開口するように位置した。一方、応荷重弁1は、図13図14に示すように、給気ポート5、出力ポート6及び4つの入力ポート7は、弁棒30の軸方向に向けて開口するように位置してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…応荷重弁、2…筐体、4…排気ポート、5…給気ポート、6…出力ポート、7…入力ポート、11…排気室、12…給気室、13…出力室、14…主ピストン室、14A…第1空間、14B…第2空間、15…入力室、21…弁体、21A…貫通孔、30,130…弁棒、41…主ピストン、42…膜板、45…凹部、50…入力部、51…シリンダー、52…ピストン、53…貯め部、60,160…伝達部、61,161…受圧部、61A…収容部、62,162…ばね受け、62A…凹球面、63,163…球、64…保証ばね、80,180…調整部、81,181…調整ばね、82,182…ばね押さえ、83,183…調整ねじ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14