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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】製袋充填機のシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/26 20060101AFI20240307BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B65B51/26
B65B51/10 200
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020062382
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160736
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 A.展示会による発表 ▲1▼展示会名 「JAPAN PACK 2019」(日本包装産業展) ▲2▼展示年月日 2019年10月29日~11月1日 B.電気通信回線を通じた発表 (1)掲載年月日 2019年12月15日 (2)掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=R8GeWITQ9bM
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】清水 晴樹
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197238(JP,A)
【文献】特開2009-286411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0256058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを加熱シールする一対のヒータブロックと、
前記ヒータブロックに対して進退可能であって進出時に前記ヒータブロックを覆うカバー部材と、
前記カバー部材の進出移動を検出するセンサと、
前記センサによる検出後に前記ヒータブロックを前記フィルムの加熱シール位置から退避させる切離機構と、
を備え、
前記一対のヒータブロックは、筒状に成形された前記フィルムの側縁部同士を重ね合わせた状態で縦シール部を形成する縦シール装置に設けられ、
前記筒状のフィルムを搬送する製袋チューブから前記縦シール装置を退避させる駆動機構と、
を備えたことを特徴とする製袋充填機のシール装置。
【請求項2】
前記カバー部材を進退移動させるリンク機構と、
前記リンク機構を変位移動させる回転可能な第一軸と、
前記第一軸と一体に回転する位置決め部材と、
前記位置決め部材を弾性的に押圧して前記第一軸を前記カバー部材の開放位置と閉鎖位置との間で切り替え可能に付勢する付勢部材と、
を備えた請求項1に記載された製袋充填機のシール装置。
【請求項3】
前記カバー部材を進退移動させるリンク機構と、
前記リンク機構を作動させる回転可能な第一軸と、
前記リンク機構に設けられていて前記カバー部材の開放位置及び閉鎖位置で選択的に前記第一軸に係止する第一係止部及び第二係止部と、
を備えた請求項1または2に記載された製袋充填機のシール装置。
【請求項4】
前記カバー部材を進退移動させるリンク機構を変位移動させる回転可能な第一軸は幅狭部を有しており、
前記切離機構には前記第一軸を回転可能に係合させると共に前記第一軸の幅狭部でのみ離脱可能な係合溝部を有するロック部材が設けられ、
前記カバー部材がヒータブロックを覆う位置で前記第一軸が幅狭部で前記ロック部材の係合溝部から離脱して前記切離機構を退避できるようにした請求項1から3のいずれか1項に記載された製袋充填機のシール装置。
【請求項5】
前記カバー部材を進退移動させるリンク機構に回転制限部が設けられ、
前記リンク機構の作動を規制するストッパーが設けられ、
前記切離機構が加熱シール位置で、前記回転制限部が前記ストッパーに当接することで前記カバー部材がヒータブロックを覆う位置に進出することを阻止し、前記切離機構が加熱シール位置から退避することで前記ストッパーが前記回転制限部から相対的に離脱するようにした請求項1から4のいずれか1項に記載された製袋充填機のシール装置。
【請求項6】
前記カバー部材を進退移動させるリンク機構に旋回係合部が設けられ、
前記切離機構には旋回ガイド部が設けられ、
前記切離機構が退避した位置から加熱シール位置側に進出する際、前記カバー部材は前記ヒータブロックから退避している場合に前記切離機構の回転に連動して、前記旋回係合部が前記旋回ガイド部にガイドされて前記カバー部材を前記ヒータブロックを覆う位置に進出するようにした請求項1から5のいずれか1項に記載された製袋充填機のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋充填機の加熱シール部を安全に覆うことができる製袋充填機のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋充填機として、フィルム(包材)をフォーマから製袋チューブの周囲に筒状に成形し、筒状フィルムの両側縁部を一対のヒータブロックで挟み込んで加熱シールして縦シール部を製作する縦シール装置が知られている。
製袋充填機のフォーマを交換等する際、縦シール装置を製袋チューブから離間させて行う。その場合、ヒータブロックには加熱シール時の熱が残っているため保守作業者が接触して火傷等を追わないようにカバー部材で覆うことが行われている。
【0003】
例えば特許文献1に記載された包装装置では、レバーハンドルを引くことで縦ヒータを有する縦シールユニットを水平回転させて加熱シール部から退避させる。この退避運動を縦ヒータのカバー機構に伝達し、カバー機構のカバーを連動させて縦ヒータを覆うようにしていた。しかも、縦ヒータをカバーで覆う機構はリンク機構であり、レバーハンドルを作動させることでリンク機構を90度水平旋回させてリンク機構に連結したカバーで一対のヒータブロックを覆うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-197238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保守作業者がカバーのリンク機構を90度回動させる前の途中段階で停止させて保守作業に入ろうとした場合、カバーは縦ヒータの途中までしか覆うことができず、保守作業者が縦ヒータに接触してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、シール装置の退避運動とは別個にシール装置をカバー部材で覆うことができる製袋充填機のシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による製袋充填機のシール装置は、フィルムを加熱シールする一対のヒータブロックと、ヒータブロックに対して進退可能であって進出時にヒータブロックを覆うカバー部材と、カバー部材の進出移動を検出するセンサと、センサによる検出後にヒータブロック及びカバー部材をフィルムの加熱シール位置から離間させる切離機構と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、フォーマ交換時等にカバー部材でヒータブロックを覆う際にカバー部材の進出移動をセンサで検出して、切離機構によってヒータブロック及びカバー部材をフィルムの加熱シール位置から離間させるため、進出移動するカバー部材が製袋チューブフィルムの加熱シール部と干渉することがなく、確実にカバー部材でヒータブロックを覆うことができる。
【0008】
また、カバー部材を進退移動させるリンク機構と、リンク機構を変位移動させる回転可能な第一軸と、第一軸と一体に回転する位置決め部材と、位置決め部材を弾性的に押圧して第一軸をカバー部材の開放位置と閉鎖位置との間で切り替え可能に付勢する付勢部材と、を備えていることが好ましい。
リンク機構を変位移動させる第一軸の位置決め部材を付勢部材で付勢することで、第一軸をカバー部材の開放位置と閉鎖位置との間で切り替え可能に回転できる。
【0009】
また、カバー部材を進退移動させるリンク機構と、リンク機構を作動させる回転可能な第一軸と、リンク機構に設けられていてカバー部材の開放位置及び閉鎖位置で選択的に第一軸に係止する第一係止部及び第二係止部と、を備えていることが好ましい。
リンク機構を作動させてカバー部材をヒータブロックの開放位置と閉鎖位置との間で変位作動させる際、リンク機構に設けられた第一係止部及び第二係止部の一方を第一軸に係止させることでカバー部材を開放位置に保持し、他方を第一軸に係止させることでカバー部材を閉鎖位置に保持することができる。
【0010】
また、第一軸は幅狭部を有しており、切離機構には第一軸を回転可能に係合させると共に第一軸の幅狭部でのみ離脱可能な係合溝部を有するロック部材が設けられ、カバー部材がヒータブロックを覆う位置で第一軸が幅狭部でロック部材の係合溝部から離脱して切離機構を退避できるようにしてもよい。
第一軸は切離機構に設けたロック部材の係合溝部に係合された状態で回転してリンク機構を作動させてカバー部材をヒータブロックを覆う位置に進出でき、その位置で第一軸は幅狭部が係合溝部の開口に対向している。この状態で、ヒータブロック及びカバー部材を有する切離機構を退避させようとすると、第一軸の幅狭部が係合溝部から離脱するため、切離機構を加熱シール位置から離間させることができる。
【0011】
また、カバー部材を進退移動させるリンク機構に回転制限部が設けられ、リンク機構の作動を規制するストッパーが設けられ、切離機構が加熱シール位置で、回転制限部がストッパーに当接することでカバー部材がヒータブロックを覆う位置に進出することを阻止しリンク機構の作動が規制され、切離機構が加熱シール位置から退避することでストッパーが回転制限部から相対的に離脱するようにしてもよい。
切離機構のヒータブロックが加熱シール位置にあるときにカバー部材を進出させると製袋チューブ等と干渉するため、リンク機構の回転制限部とストッパーとの当接によってリンク機構の作動を阻止する。そして、切離機構が加熱シール位置から退避することでストッパーが回転制限部から相対的に離脱するため、カバー部材はヒータブロックを覆う位置に進出することができる。
【0012】
また、前記カバー部材を進退移動させるリンク機構に旋回係合部が設けられ、切離機構には旋回ガイド部が設けられ、切離機構が退避位置から加熱シール位置側に進出する際、カバー部材はヒータブロックから退避している場合に切離機構の回転に連動して旋回係合部が旋回ガイド部にガイドされてカバー部材をヒータブロックを覆う位置に進出させるようにしてもよい。
切離機構のヒータブロックを加熱シール位置から退避させた状態でメンテナンス等を行う際に、カバー部材をヒータブロックから退避させる場合があり、この状態で切離機構を加熱シール位置に戻す作動を行うとリンク機構の旋回係合部が旋回ガイド部に当接してガイドされてリンク機構を作動させ、カバー部材をヒータブロックを覆う位置に進出させる。これによって、ヒータブロックをカバー部材で覆うことを忘れたとしても保守作業者等がヒータブロックに接触することを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による製袋充填機のシール装置によれば、センサによってカバー部材の進出移動を検出することで切離機構を駆動させてヒータブロック及びカバー部材をフィルムの加熱シール部から離間させることができる。そのため、ヒータブロック及びカバー部材の離間移動時に、カバー部材が製袋チューブや加熱シール部等と干渉することなくヒータブロックを覆うことができて安全にフォーマの交換等を行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による縦型製袋充填機の概略構成を示す要部説明図である。
図2】(a)は加熱シール位置における縦シール装置の要部平面図、(b)は同図(a)における第二アーム部の第一係止部と第一軸の係合状態を示す説明図である。
図3図2に示す縦シール装置をA方向から見た側面図である。
図4図2に示す縦シール装置の要部正面図である。
図5】退避位置の縦シール装置をカバー部材で覆った状態の要部平面図である。
図6】駆動機構に設けたロック部材を示すもので、(a)は第一軸を係合溝部に係合した状態の図、(b)は第一軸を係合溝部から離脱させた状態の図である。
図7図4のB-B線断面図である。
図8】第一軸を開位置と閉位置とに切り換え可能な構造を示す水平断面図である。
図9】縦シール装置を製袋チューブから離間させた位置で開閉機構を水平旋回させた平面図である。
図10図9においてヒータブロックをカバー部材で覆った平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による製袋充填機1の縦シール装置10について添付図面により説明する。
図1に示す実施形態による製袋充填機1は、供給されるフィルムf(包材)を製袋して内容物を充填した袋Fを製造する例えば縦型製袋充填機2と、縦型製袋充填機2にフィルムfを供給するフィルム供給装置3とを備えている。縦型製袋充填機2は、内容物を製袋チューブ6に投入するホッパ4を備えると共に供給されるフィルムfを成形するフォーマ5と、筒状のフィルムfを搬送する製袋チューブ6と、フィルムfを送り出す繰り出しベルト8と、を有している。製袋チューブ6の側部にはフィルムfの側縁部同士を重ね合わせた状態で縦シール部faを形成する縦シール装置10が設置され、製袋チューブ6の下側にはフィルムfを横シールして袋Fを形成する横シーラ11が設置されている。
【0016】
フィルム供給装置3は、シート状のフィルムfを繰り出すフィルムリール13と、複数のガイドローラ14と、フォーマ5へフィルムを供給するタンジェントローラ15と、を備えている。
【0017】
図2乃至図4は縦型製袋充填機2の加熱シール位置における縦シール装置10の要部構成を示すものである。図2(a)において、縦シール装置10は、筒状のフィルムfの両側縁部を加熱シールする加熱シール部12と、製袋チューブ6に対してY軸方向に直線的に往復動可能な駆動機構17と、製袋チューブ6に対してR方向に水平旋回して接近離間可能な開閉機構18とを備えている。
図4において、縦シール装置10の開閉機構18には、加熱シール部12に固定されていて互いに連結された上部支持プレート19と下部支持プレート20とが上下二段に設けられている。上部支持プレート19及び下部支持プレート20の一方の端部には、加熱シール部12を製袋チューブ6に対してR方向に水平旋回させて接近及び離間させる回転軸21が配設されている。
【0018】
回転軸21は開閉機構18の上部支持プレート19及び下部支持プレート20を開閉可能に支持している。回転軸21はその上下の受け部22a、22bを介して連結板22に回転可能に支持されている。
図3図2に示す縦シール装置10をA方向から見た側面図であり、開閉機構18に連結された駆動機構17が示されている。駆動機構17において、回転軸21を支持する連結板22に対向する位置には縦型製袋充填機2の本体に連結された基板23が固定設置され、基板23の外側には作動ヘッド24が配設されている。作動ヘッド24と連結板22は基板23を貫通する一対のシャフト25によって連結されている。基板23の連結板22側の面にはシャフト25の相対摺動をガイドする筒状のスライダブロック26が上下方向に一対固定されている。
【0019】
上下に配設されたスライダブロック26の中間には駆動シリンダ28が基板23に固定されている。駆動シリンダ28は基板23に固定されたシリンダチューブ27と基板23を貫通して延びて作動ヘッド24に固定されているピストンロッド29とを備えている。
そして、駆動機構17における駆動シリンダ28を収縮することでピストンロッド29が引き込まれて作動ヘッド24が基板23側に移動する。すると、2本のシャフト25がスライダブロック26にガイドされて連結板22を押して、縦シール装置10及びその開閉機構18を前後方向(Y軸方向)に移動させて製袋チューブ6から退避させる。その後、開閉機構18をR方向に旋回作動させることで、縦シール装置10が製袋チューブ6から退避し、フォーマ交換等を行える。
【0020】
また、駆動シリンダ28のピストンロッド29を伸張させると作動ヘッド24が基板23から離間する方向に押される。すると、シャフト25がスライダブロック26にガイドされて移動して連結板22を介して開閉機構18を含む縦シール装置10が製袋チューブ6側に移動して加熱シール位置に保持できる。
【0021】
次に、縦シール装置10について、図2から図10により説明する。
図2及び図4に示す縦シール装置10の加熱シール部12において、上部支持プレート19及び下部支持プレート20に連結された略コの字状の支持基板31には上下に配設された一対のガイドシャフト32が水平方向に延びて連結されている。これらのガイドシャフト32には一対のヒータブロック33a、33bをそれぞれ支持する作動プレート34、35がスライド可能に挿通されている。
一対のヒータブロック33a、33bは、製袋チューブ6を包囲する略筒状のフィルムfの合掌状態の両側縁部の両側に開閉可能に配設されている。一方の作動プレート35にはシリンダ36のシリンダチューブが固定され且つ他方の作動プレート34にはシリンダ36のピストンロッドが連結され、シリンダ36を駆動することで一対のヒータブロック33a、33bの一方または両方を接近作動させて加熱シールすることができる。
【0022】
ヒータブロック33a、33bの一方の側部には、略板状のカバー部材38をヒータブロック33a、33bに対して進退移動させるカバー部材38の進退機構39が設置されている。進退機構39は上部支持プレート19及び下部支持プレート20を貫通して鉛直に支持された回転可能な第一軸40と固定された第二軸41とが設けられている。第一軸40及び第二軸41とカバー部材38の間にリンク機構43が設けられ、リンク機構43の変位移動によってカバー部材38を開放位置と閉鎖位置との間を変位移動させる。
【0023】
リンク機構43は、カバー部材38に固定されたカバーホルダ46と、第一軸40及びカバーホルダ46を接続する第一アーム44と、第二軸41及びカバーホルダ46を接続する第二アーム45と、を備えている。第一アーム44と第二アーム45は平行に配設されている。第一アーム44には第一軸40に対してカバーホルダ46と反対側に延びるハンドル44aが設けられている。
ハンドル44aを回動させることで、第一アーム44は第一軸40を中心に回動すると共に第一アーム44とカバーホルダ46を介して連結された第二アーム45は第二軸41を中心に回動する。
【0024】
ハンドル44aの開閉操作によってカバー部材38をヒータブロック33a、33bから後退した開放位置(図2(a)参照)とヒータブロック33a、33bを覆う閉鎖位置(図5参照)との間で進退作動できる。第一軸40を中心にハンドル44aを正逆回転させることで、カバー部材38を開放位置と閉鎖位置とに切り換える。本実施形態では、図2(a)に示すようにハンドル44aが上部支持プレート19に重なった平行な位置と、図5に示すように所定角度回転させた傾斜角度位置との間で正逆回転させる。
【0025】
また、図9及び図10に示すように、開閉機構18の回転軸21の受け部22bはロック部材を兼ねている。図6(a)、(b)に示すように、受け部22bには第一軸40を係合可能な略円弧状の係合溝部30aが形成され、係合溝部30aは第一軸40を出し入れする開口30bが第一軸40の外径より小さい幅狭に形成されている。一方、第一軸40は軸方向の一部に対向する二面が平行な平面状に切除された面取り部(幅狭部)40aが形成され、この面取り部40aで係合溝部30aの開口30bから出入り可能となっている。
【0026】
しかも、第一軸40は係合溝部30a内で回転可能に係合保持され、リンク機構43を介してカバー部材38の開閉操作が行える。カバー部材38がヒータブロック33a、33bを覆う角度位置で第一軸40の面取り部40aが開口30bに対向して係合溝部30aから離脱可能となる。この位置でヒータブロック33a、33b及びカバー部材38を有する開閉機構18を回転軸21を中心にR方向に旋回させると、第一軸40の面取り部40aで開口30bを通過して係合溝部30aから離脱できる。
ヒータブロック33a、33bがカバー部材38に覆われた位置で、開閉機構18をR方向に旋回させて加熱シール位置からより離間させることができる。そのため、開閉機構18はヒータブロック33a、33bをカバー部材38で覆わないとR方向に旋回できず、安全性が高い。
【0027】
図2及び図3において、開閉機構18の連結板22にはアーム37aを介してセンサ37が配設されている。このセンサ37は開放位置にあるカバー部材38の後部に配設され、カバー部材38が開放位置から閉鎖位置に向けて進出移動する初期にセンサ37から外れることを検出できる。センサ37はカバー部材38を検出している状態でONとされ、カバー部材38が移動して外れるとOFFになる。センサ37がOFFになると、制御手段42を介して駆動シリンダ28を駆動させて縦シール装置10を製袋チューブ6から離間させる。
図2に示すように、製袋チューブ6を包囲する筒状のフィルムfの両側縁部を加熱シールできる位置にヒータブロック33a、33bが位置すると、カバー部材38が製袋チューブ6と干渉してしまいヒータブロック33aを覆うことができない。しかし、縦シール装置10を製袋チューブ6から離間させることで、カバー部材38をヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動させることができる(図5参照)。
【0028】
図2において、カバー部材38を進退移動させるリンク機構43の第一アーム44には、その回転を規制する回転制限部として回転制限ピン52が設置されている。また、基板23にはリンク機構43の回転を規制するためのストッパー53が連結されて回転制限ピン52の前方に延びている。
そして、開閉機構18が加熱シール位置にある場合には、カバー部材38をヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動すべくリンク機構43を作動させると、回転制限ピン52がストッパー53に当接して阻止される。一方、図5に示すように、開閉機構18が加熱シール位置からY軸方向に離間した位置では、リンク機構43の回転制限ピン52がストッパー53から外れるためリンク機構43が作動可能になる。そのため、ヒータブロック33a、33bが製袋チューブ6から退避する前にカバー部材38がヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動できないため、製袋チューブ6やヒータブロック33a、33b等の損傷を防止できる。なお、ストッパー53はフォーマ等を支える支持部を兼ねている。
【0029】
また、図2(b)に示すように、第二アーム45には第二軸41の近傍にリンク機構43の回動に応じて第一軸40に選択的に係止可能な第一係止部45aと第二係止部45bが凹部形状にそれぞれ形成されている。リンク機構43を回動させる際、カバー部材38の開放位置で第二アーム45の第一係止部45aが第一軸40に係止し、閉鎖位置で第二係止部45bが第一軸40に係止する。これによって、開閉位置にあるカバー部材38を位置決めして係止できる。
更に、図4に示すように、開閉機構18における上部支持プレート19及び下部支持プレート20間の固定板47には、第一軸40に対向してその両側に配設された付勢部材としてばね板49を保持する支持部材48が固定されている。図8において、ばね板49は、支持部材48の上向きの凹部形状部48a上に配設されてその両側に延びており、左側部分がボルト55で固定され、右側部分は凹部形状部48aの右側の起立部48bに面接触して摺動可能に当接している。そのため、ばね板49は凹部形状部48aで弾性変形した際に起立部48b上を摺動可能に支持されていることで、その右側位置が規制されている。
【0030】
一方、図7及び図8において、第一軸40には、ばね板49を設けた領域に固定リング51が固定され、この固定リング51にカムフォロア50が連結されてばね板49に押圧されている。ばね板49は平板状に取り付けられている。第一軸40がカバー部材38の開放位置と閉鎖位置との間で所定角度回転することで一体に回動するカムフォロア50にばね板49が押されて起立部48b上を摺動して弾性的に変位し (図8参照)、凹曲面状に弾性変形する。回転可能な第一軸40はカムフォロア50とばね板49によってカバー部材38の開放位置と閉鎖位置に付勢される。
このように、第二アーム45の第一係止部45a及び第二係止部45bと第一軸40のカムフォロア50及びばね板49とによって、リンク機構43の回動位置をカバー部材38の開放位置と閉鎖位置との間に規制すると共にそれぞれの位置で係止できる。
【0031】
図9及び図10において、リンク機構43の第二アーム45には旋回係合部として旋回係合ピン57が設けられている。一方、駆動機構17に設けた連結板22には旋回係合ピン57に当接可能な傾斜面状の旋回ガイド部58が形成されている。縦シール装置10の開閉機構18をR方向に旋回させて駆動機構17と直線状になった場合、ヒータブロック33a、33bは保護のためにカバー部材38で覆われている。
【0032】
この状態で、ヒータブロック33a、33bのメンテナンス等のためにカバー部材38を退避させることがあり、図10に示す構成になる。この状態で、旋回係合ピン57は連結板22の旋回ガイド部58に近接する位置に保持される。この状態から、開閉機構18を駆動機構17に直交する位置に戻すと、旋回の初期に旋回係合ピン57は旋回ガイド部58に当接する。更にスライドすることで旋回係合ピン57が押されてリンク機構43が回動し、カバー部材38をヒータブロック33a、33bを覆う位置に戻すことができる。
【0033】
本実施形態による製袋充填機1の縦シール装置10は上述の構成を有しており、次にその使用方法について説明する。
図1に示す製袋充填機1では、フィルム供給装置3のフィルムリール13から繰り出されるフィルムfを、タンジェントローラ15を介して縦型製袋充填機2に供給して製袋しながら内容物を充填して袋Fを順次製造する。縦型製袋充填機2において、フォーマ5から製袋チューブ6に供給されるフィルムfは筒状に成形され、製袋チューブ6上のフィルムfは繰り出しベルト8によって下方に間欠搬送される。
【0034】
また、製袋チューブ6で円筒状に成形されたフィルムfは、図2及び図4において、停止状態で両側縁部を縦シール装置10の互いに接近するヒータブロック33a、33bによって押圧され加熱シールされる。その後、製袋チューブ6の下側で横シーラ11によって袋Fの上端部及び次の袋Fの下端部が横シールされ、その中間でカッタによる切断が行われて袋Fが製造される。
【0035】
次に製袋充填機1における縦シール装置10のメンテナンス方法について説明する。
図2(a)及び図4において、縦シール装置10によるフィルムfの縦シールが終了した状態で縦シール装置10のメンテナンスのためにハンドル44aを第一軸40回りに所定角度回動させる。すると、カバー部材38はヒータブロック33a、33bから外れた開放位置から閉鎖位置に向けて進出移動を開始する。
【0036】
ハンドル44aの回動によって第一軸40が所定角度回転するため、図7及び図8においてばね板49との間に弾性圧接されたカムフォロア50はばね板49を押圧しながら第一軸40と一体に回動して開位置から閉位置に至る。しかも、ハンドル44aの回転によってリンク機構43の第一アーム44が第一軸40を中心に回動し第二アーム45も連動して第二軸41を中心に回動する。これによって、図2(b)に示す第二アーム45は第一係止部45aが第一軸40から外れて、図5に示すように第二係止部45bが第一軸40に係合する閉鎖位置に至る。
第一軸40は閉位置に至ると、図6に示すように、受け部22bの係合溝部30aに係合された面取り部40aが係合溝部30aの幅狭の開口30bに対向し、係合溝部30aから離脱可能になる。
【0037】
しかも図2(a)に示すように、カバー部材38の移動初期においてカバー部材38がセンサ37から外れる。センサ37がOFFになると、制御手段42を介して駆動機構17の駆動シリンダ28を駆動させる。すると、駆動機構17において、伸張状態にあった駆動シリンダ28のピストンロッド29がシリンダチューブ27側へ移動するため、作動ヘッド24に押された一対のシャフト25がスライダブロック26にガイドされて相対摺動し、連結板22を介して縦シール装置10の開閉機構18をY軸方向に押動する。
【0038】
図5に示すように、縦シール装置10の開閉機構18はY軸方向に移動させられてヒータブロック33a、33bが製袋チューブ6から退避する。これにより、リンク機構43の第一アーム44に設けた回転制限ピン52が駆動機構17のストッパー53から外れ、カバー部材38はヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動可能になる。そのため、開放位置からスライド移動するカバー部材38は製袋チューブ6と干渉することなくヒータブロック33a、33bを覆うまで移動して閉鎖位置に至ることができる。
次に、縦シール装置10の開閉機構18を回転軸21を中心にR方向に水平旋回することで、図9に示すように開閉機構18は約90度回転して駆動機構17とほぼ直線状に至る。この状態で、フォーマ5等の交換作業を行える。その際、ヒータブロック33a、33bはカバー部材38で覆われているため、ヒータブロック33a、33bに加熱シール時の余熱が残っていたとしても保守点検作業員が誤って接触する恐れを防止できる。
【0039】
この状態で、図10に示すように、ヒータブロック33a、33bのメンテナンス等のためにカバー部材38をヒータブロック33a、33bから退避させることがある。すると、リンク機構43の第二アーム45に設けた旋回係合ピン57は連結板22の旋回ガイド部58に近接する位置に保持される。
通常、メンテナンス等の後にカバー部材38を再度ヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動させてから開閉機構18をR方向に旋回させるが、保守作業者がカバー部材38の進出移動を忘れるおそれがある。
【0040】
即ち、図10に示すカバー部材38をヒータブロック33a、33bから後退させた状態で、開閉機構18のヒータブロック33a、33bを加熱シール位置側に戻すおそれがある。この場合、開閉機構18の戻し旋回の初期に、旋回係合ピン57は連結板22の旋回ガイド部58に当接する。更に旋回が進むと旋回ガイド部58上をスライドする旋回係合ピン57が相対的に押されてリンク機構43が第一軸40を中心に回動し、カバー部材38をヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動させる。
そのため、カバー部材38をヒータブロック33a、33bを覆う位置に戻すことを忘れても、図5に示すように開閉機構18が駆動機構17と直交する位置に戻ると自動的にヒータブロック33a、33bを覆うことができる。その後、開閉機構18を加熱シール位置に戻す際には、図5に示す位置でハンドル44aを作動してカバー部材38をヒータブロック33a、33bから後退させることができる。
【0041】
上述したように本実施形態による製袋充填機1の縦シール装置10によれば、センサ37によってカバー部材38の離脱を検出することで駆動機構17を連動させて縦シール装置10を製袋チューブ6から離間させることができる。そのため、ヒータブロック33a、33bが製袋チューブ6から離間移動する初期の段階でヒータブロック33a、33bをカバー部材38によって完全に覆うことができる。そのため、安全にフォーマの交換等が行える。
また、ハンドル44aを開閉操作する際、第一軸40のカムフォロア50をばね板49で押圧しているため簡単にカバー部材38の開放位置と閉鎖位置とに切り換え移動させることができる。しかも、カバー部材38を開閉作動させるリンク機構43における第二アーム45に、カバー部材38の開放位置と閉鎖位置とで第一軸40に切り換えて係止する第一係止部45a及び第二係止部45bを設けたため、簡単な構造でカバー部材38の位置決めができる。
【0042】
また、カバー部材38が閉位置に至ると、第一軸40は受け部22bの係合溝部30aから離脱可能になるため、カバー部材38がヒータブロック33a、33bを覆わないと開閉機構18が開放位置に旋回できず、保守作業者等の安全性を確保できる。
しかも、縦シール装置10の開閉機構18は駆動機構17によってY軸方向に移動させられてヒータブロック33a、33bが加熱シール位置から退避すると、リンク機構43に設けた回転制限ピン52が駆動機構17のストッパー53から外れ、カバー部材38はヒータブロック33a、33bを覆う位置に移動できる。そのため、ヒータブロック33a、33bが加熱シール位置から退避する前にカバー部材38がヒータブロック33a、33bを覆うことが阻止され、ヒータブロック33a、33bや製袋チューブ6等の損傷を防止できる。
また、メンテナンス位置で、カバー部材38がヒータブロック33a、33bから外れた状態で、誤って開閉機構18を駆動機構17に直交する位置に戻そうとしても、旋回係合ピン57が旋回ガイド部58に沿ってスライドしてリンク機構43を回動させるためカバー部材38をヒータブロック33a、33bを覆う位置に戻すことができる。そのため、点検作業員をヒータブロック33a、33bから保護できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態による製袋充填機1の縦シール装置10について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。
以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0044】
なお、上述した実施形態では、フォーマ5の交換時や縦シール装置10のメンテナンス時に駆動機構17によって縦シール装置10を製袋チューブ6からY軸方向に直線的に離間させ、更に開閉機構18によって回転軸21を中心にR方向に水平旋回させている。しかしながら、本発明では、フォーマ交換時やメンテナンス時に縦シール装置10が製袋チューブ6から離間してカバー部材38がヒータブロック33a、33bを覆うことができればよい。そのため、駆動機構17と開閉機構18の少なくとも一方を備えていればよい。これら駆動機構17や開閉機構18は切離機構に含まれる。
また、ばね板49は付勢部材に含まれる。また、カムフォロア50は位置決め部材に含まれる。
【0045】
上述した実施形態では、製袋充填機1の縦型製袋充填機2における縦シール装置10について説明したが、本発明は横型製袋充填機にも採用することもできる。この場合、縦シール装置10は横シール装置とすることができ、これらはシール装置に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 製袋充填機
2 縦型製袋充填機
6 製袋チューブ
10 縦シール装置
12 加熱シール部
17 駆動機構
18 開閉機構
25 シャフト
28 駆動シリンダ
29 ピストンロッド
30a 係合溝部
30b 開口
33a、33b ヒータブロック
37 センサ
38 カバー部材
40 第一軸
40a 面取り部
41 第二軸
42 制御手段
43 リンク機構
44 第一アーム
44a ハンドル
45 第二アーム
45a 第一係止部
45b 第二係止部
48 支持部材
49 ばね板
50 カムフォロア
52 回転制限ピン
53 ストッパー
57 旋回係合ピン
58 旋回ガイド部
f フィルム
fa 縦シール部
F 袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10