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特許7449763酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 12/06 20060101AFI20240307BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H01B12/06
H01B13/00 565D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020069712
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021166166
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 渉
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-140789(JP,A)
【文献】特開2013-122894(JP,A)
【文献】Katherine D. Bagarinao他,Control of Porosity and Composition in Large-area YBCO Films to Achieve Micrometer Thickness and Hig,IEEE. Trans. Appl. Supercond.,米国,IEEE,2005年06月,Vol.15,Issue:2,pp.2962-2965
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 12/06
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル合金、ステンレス鋼、配向Ni-W合金のうちのいずれかで構成された基板と、
前記基板上に積層された中間層と、
前記中間層上に積層され、複数の空隙を含む酸化物超電導体により形成された超電導層と、
前記超電導層上に積層された保護層と、を備え、
積層方向から観察される前記超電導層の前記空隙の面積の比率を示す空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内である、酸化物超電導線材。
【請求項2】
前記積層方向から観察される前記超電導層の前記空隙の面積の標準偏差が、1618nm2以下である、請求項1に記載の酸化物超電導線材。
【請求項3】
ニッケル合金、ステンレス鋼、配向Ni-W合金のうちのいずれかで構成された基板上に中間層を積層する工程と、
複数の空隙を含む酸化物超電導体により形成された超電導層を蒸着法により前記中間層上に積層する工程と、
前記超電導層上に保護層を積層する工程と、を有し、
積層方向から観察される前記超電導層の前記空隙の面積の比率を示す空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内となるように、前記超電導層を積層する際の蒸着速度を設定する、酸化物超電導線材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空隙が分散して存在する酸化物超電導体が開示されている。この酸化物超電導体を酸素アニール処理すると、空隙の存在によって酸素拡散速度が大きくなり、処理に要する時間を短くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-92234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成において、空隙の数が多すぎると、酸化物超導電体の断面積が低下し、かえって臨界電流値が低下するという課題がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、酸素アニール処理を短時間で行うことが可能であり、かつ臨界電流値の低下を抑制した酸化物超電導線材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様に係る酸化物超電導線材は、基板と、前記基板上に積層された中間層と、前記中間層上に積層され、複数の空隙を含む酸化物超電導体により形成された超電導層と、前記超電導層上に積層された保護層と、を備え、積層方向から観察される前記超電導層の前記空隙の面積の比率を示す空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内である。
【0007】
上記態様によれば、空隙面積率が0.8%以上であることで、短時間で酸素アニール処理を行ったとしても、良好な臨界電流特性を得られる。また、空隙面積率が3.7%以下であることで、超電導層に含まれる酸化物超電導体の体積(断面積)が不足して臨界電流値が低下することを抑制できる。
【0008】
ここで、前記積層方向から観察される前記超電導層の前記空隙の面積の標準偏差が、1618nm以下であってもよい。
【0009】
この場合、各空隙のサイズのバラつきが適切な範囲内となるため、酸化物超電導体に酸素が均一に行き渡り、臨界電流特性をより安定させることができる。
【0010】
本発明の第2態様に係る酸化物超電導線材の製造方法は、基板上に中間層を積層する工程と、複数の空隙を含む酸化物超電導体により形成された超電導層を蒸着法により前記中間層上に積層する工程と、前記超電導層上に保護層を積層する工程と、を有し、積層方向から観察される前記超電導層の前記空隙の面積の比率を示す空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内となるように、前記超電導層を積層する際の蒸着速度を設定する。
【0011】
上記態様の製造方法によれば、超電導層の蒸着速度を調整することで容易に空隙面積率を0.8~3.7%の範囲内とすることが可能となる。したがって、酸素アニール処理を短時間で行うことが可能であり、かつ臨界電流値の低下を抑制した酸化物超電導線材を製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、酸素アニール処理を短時間で行うことが可能であり、かつ臨界電流値の低下を抑制した酸化物超電導線材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る酸化物超電導線材の断面図である。
図2A】実験例1で作成したサンプルの超電導層の透過型電子顕微鏡写真である。
図2B】実験例2で作成したサンプルの超電導層の透過型電子顕微鏡写真である。
図2C】実験例3で作成したサンプルの超電導層の透過型電子顕微鏡写真である。
図2D】実験例4で作成したサンプルの超電導層の透過型電子顕微鏡写真である。
図2E】実験例5で作成したサンプルの超電導層の透過型電子顕微鏡写真である。
図2F】実験例6で作成したサンプルの超電導層の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の酸化物超電導線材について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、酸化物超電導線材10は、基板11、中間層12、超電導層13、および保護層14をこの順に積層して構成された積層体15を有している。
基板11は、テープ状の金属基板である。金属基板を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni-W合金などが挙げられる。
【0015】
中間層12は、多層構成でもよく、例えば基板11側から超電導層13側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。中間層12は、金属酸化物であってもよい。配向性に優れた中間層12の上に超電導層13を成膜することにより、配向性に優れた超電導層13を得ることが容易になる。
【0016】
超電導層13は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、例えば一般式REBaCu(RE123)等で表されるRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。RE123の一般式において、yは7-x(酸素欠損量)である。超電導層13には、複数の空隙が存在している。空隙の詳細については後述する。
【0017】
保護層14は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、超電導層13と保護層14の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したりする等の機能を有する。保護層14を構成する材料としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)又はこれらの1種以上を含む合金(例えばAg合金、Cu合金、Au合金)が挙げられる。保護層14は、2種以上の金属又は2層以上の金属層から構成されてもよい。保護層14は、蒸着法、スパッタ法等により形成することができる。
【0018】
図1に示すように、積層体15の外周には安定化層16が設けられていてもよい。安定化層16は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、超電導層13及び保護層14を機械的に補強したりする等の機能を有する。安定化層16の材質としては、例えば銅を採用可能である。
【0019】
次に、酸化物超電導線材10の製造方法の一例について説明する。なお、以下で説明する製造方法は一例であり、他の製造方法を採用してもよい。
【0020】
まず基板11を用意する。
次に、基板11上に中間層12を積層する。中間層12は、IBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などの蒸着法を用いて形成できる。
次に、中間層12上に超電導層13を積層する。超電導層13は、IBAD法、PLD法、MOCVD法などの蒸着法を用いて形成できる。このとき、蒸着速度を変更することで、超電導層13に含まれる空隙の大きさや数を調整できる。例えば、蒸着速度を大きくすれば、超電導層13に含まれる空隙の大きさや数を増大する傾向となる。逆に、蒸着速度を小さくすれば、超電導層13に含まれる空隙の大きさや数は減少する傾向となる。
【0021】
次に、超電導層13上に保護層14を積層する。保護層14は、スパッタ法等によって形成できる。これにより、積層体15が得られる。
次に、酸素アニール処理を行う。より詳しくは、積層体15を酸素雰囲気下で300~500℃に加熱する。酸素アニール処理を行うことで、超電導層13に空気を導入し、必要な臨界電流特性(臨界電流値等)を得ることができる。超電導層13に空隙が含まれていることで、酸素の拡散速度を高めて、酸素アニール処理に要する時間を短縮することができる。
次に、必要に応じて積層体15の外周に安定化層16を形成する。安定化層16は、めっき等により形成できる。
【0022】
以上のように、本実施形態の酸化物超電導線材10の製造方法は、基板11上に中間層12を積層する工程と、空隙を含む酸化物超電導体により形成された超電導層13を蒸着法により中間層12上に積層する工程と、超電導層13上に保護層14を積層する工程と、を有している。
【0023】
次に、具体的な実験例を用いて、超電導層13に含まれる空隙の好ましい割合等について説明する。
表1に示すように、実験例1~6での酸化物超電導線材10のサンプルを用意した。
【0024】
【表1】
【0025】
実験例1~6では、基板11としてハステロイのテープを用いた。基板11上に、PLD法を用いて中間層12を積層した。中間層12上に、PLD法を用いて超電導層13を積層した。超電導層13を構成する酸化物超導電体としては、GdBaCuを用いた。積層方向における超電導層13の厚さは、2μmとした。以上の点は各実験例1~6で共通である。
ここで、表1に示すように、実験例1~6は「蒸着速度」が互いに異なっている。蒸着速度とは、蒸着により超電導層13の厚さが増加する速度である。例えば実験例1では、1秒につき5nmの速度で厚さが増すように超電導層13を蒸着した。
【0026】
作製した実験例1~6の各サンプルについて、超電導層13の積層方向における中央部分から100nmの厚さで観察用試料を切り出した。切り出した観察用試料を、超電導層13の積層方向から透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、所定の視野でTEM画像を撮影した。撮影したTEM画像を画像処理ソフト「ImageJ」に取り込み、該画像処理ソフトの面積計測機能を用いてTEM画像に写った空隙の面積を計測した。「空隙総面積」は、TEM画像に写った全空隙の面積の合計である。「空隙面積標準偏差」は、TEM画像に写った全空隙の面積のばらつき度合いを標準偏差で表したものである。
【0027】
表1の「空隙面積率」は、視野面積に対する空隙総面積の割合を示している。例えば実験例1のサンプルは、空隙総面積が377.0nmであり、視野面積が783535.6nmであった。このため、実験例1のサンプルの空隙面積率は、377.0÷783535.6×100=0.05%となった。尚、実験例2~6の空隙面積率は小数第一位(小数第二位を四捨五入)までの値を示したが、実験例1の空隙面積率は他よりも小さいため小数第二位(小数第三位を四捨五入)までの値を示した。
【0028】
上記の通り、「空隙面積率」および「空隙面積標準偏差」は、超電導層13の一部から観察用試料を切り出し、その切り出した観察用試料の一部領域を観察して得た画像から算出している。しかしながら、蒸着法によれば酸化物超導電体に空隙が略均一に形成されるため、表1における「空隙面積率」および「空隙面積標準偏差」の値は、当該実験例で作製したサンプルの超電導層13全体の「空隙面積率」および「空隙面積標準偏差」と実質的に同じ値となる。
【0029】
なお、蒸着法における蒸着速度が大きいほど、超電導層13に含まれる空隙の数が大きくなり、各空隙の大きさも大きくなる傾向がある。したがって、表1に示すように、蒸着速度が大きいほど空隙面積率が大きくなる。空隙面積標準偏差が小さいほど、空隙サイズのばらつきが小さいため、酸化物超電導体の全体に空隙を通じた酸素の供給が偏りなく行われると考えられる。他方、空隙面積標準偏差が大きいほど、空隙を通じた酸素供給に偏りが生じ酸化物超電導体の全体に酸素拡散しにくくなると考えられる。実験例1のサンプルでは、観察された空隙の数が1であったため、空隙面積標準偏差は0とした。
【0030】
図2A図2Fは、実験例1~6で作成した各サンプルの超電導層13を積層方向から透過電子顕微鏡で観察した画像である。図2A図2Fに示すように、超電導層13には、酸化物超電導体13aと、複数の空隙13bと、が含まれている。例えば図2F(実験例6)では、図2A(実験例1)よりも、空隙13bの数が多く、各空隙13bの面積も大きくなっていることがわかる。
【0031】
表1に示すIc/Icmaxは、各サンプルの臨界電流値Icの、最大臨界電流値Icmaxに対する割合を示している。「臨界電流値Ic」は、実験例1~6の各サンプルを酸素雰囲気下で500℃まで加熱し、室温まで10時間かけて徐冷した後の臨界電流値の値である。「最大臨界電流値Icmax」は、実験例1~6の各サンプルの超電導層13に対して完全に酸素が導入されるよう、酸素雰囲気下で500℃まで加熱し、室温まで100時間かけて徐冷した後の臨界電流値の値である。
【0032】
すなわち、最大臨界電流値Icmaxは、実験例1~6の各サンプルが十分に時間をかけて酸素アニール処理されることで完全に酸素を導入された当該超電導層13が発揮しうる最大の臨界電流値である。すなわち理想的な酸化物超電導線材10の臨界電流値である。そしてIc/Icmaxの値は、空隙を有する超電導層に酸素アニール処理を短時間(10時間)で行ったときに、どれだけ理想的な酸化物超電導線材10と近い状態にできたかを判定する指標となる。なお、IcおよびIcmaxの値は、サンプルを液体窒素中の低温状態で4端子法により測定した。
【0033】
表1に示す通り、空隙面積率が0.1%未満のサンプル(実験例1の0.05%)では、Ic/Icmaxの値が70%となった。これは、理想的な酸化物超電導線材10に対して70%程度の臨界電流特性しか得られないことを意味する。要因としては、超電導層13に含まれる空隙13bが不充分であり、短時間の酸素アニール処理では酸化物超導電体に十分に酸素が行き渡らなかったことが考えられる。
【0034】
これに対して、空隙面積率が0.8~3.7%のサンプル(実験例2~5)では、Ic/Icmaxの値が93%以上となった。これは、短時間で酸素アニール処理を行ったとしても、理想的な酸化物超電導線材10と略同等の臨界電流特性を得られることを意味する。このような結果が得られた要因として、空隙面積率の値が適切であったことが挙げられる。つまり、超電導層13に適度な空隙が存在することで酸素の供給が促進され、酸化物超導電体に十分に酸素が行き渡ったためであると考えられる。
【0035】
一方、空隙面積率が5.6%のサンプル(実験例6)では、Ic/Icmaxの値が87%となり、空隙面積率が大きすぎるとかえって臨界電流特性が低下する結果となった。要因として、超電導層13に含まれる酸化物超導電体の体積(断面積)が不足したことが考えられる。
【0036】
以上のことから、積層方向から観察される超電導層13の空隙13bの面積の比率を示す空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内である酸化物超電導線材10は、短時間で酸素アニール処理を行ったとしても、良好な臨界電流特性を発揮することが可能となる。
また、上記のような酸化物超電導線材10を得るための製造方法として、空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内となるように、超電導層13を蒸着法により積層する際の蒸着速度を設定するとよい。
【0037】
また、実験例2~5のサンプルではIc/Icmaxの値が93%以上となり良好な結果が得られたが、その一因として、空隙面積標準偏差の値(420~1618nm)が適切であったことが挙げられる。
例えば空隙面積標準偏差が大きすぎる場合、各空隙13bのサイズのバラつきが大きく、酸化物超電導体13aに均一に酸素が行き渡らないことが考えられる。したがって、空隙面積標準偏差の値は、実験例2~5の最大値である1618nm以下であるとよい。
実験例2~5では空隙面積標準偏差の最小値が420nmであったが、空隙面積標準偏差が小さいほど各空隙13bのサイズが均等になり、酸素が酸化物超電導体13aにより均一に行き渡ると考えられる。つまり、空隙面積標準偏差の値は420nmより小さくてもよい。
【0038】
したがって、積層方向から観察される超電導層13の空隙13bの面積の標準偏差(空隙面積標準偏差)は、1618nm以下であることが好ましい。これにより、各空隙13bのサイズのバラつきが適切な範囲内となるため、酸化物超電導体13aに酸素が均一に行き渡り、臨界電流特性をより安定させることができる。
【0039】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、前記実施例における空隙面積率以外の条件を変更しても、空隙面積率が0.8~3.7%の範囲内であれば同様の効果を得られると考えられる。具体的には、超電導層13としてGdBaCu以外の酸化物超導電体を用いてもよいし、超電導層13が人工ピンを含有していてもよい。中間層12をPLD法以外の方法で積層してもよい。あるいは、積層体15に基板11、中間層12、超電導層13、および保護層14以外の層が含まれていてもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…酸化物超電導線材 11…基板 12…中間層 13…超電導層 13b…空隙 14…保護層
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F