(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】端末、制御システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240307BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2020079461
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徳之
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530925(JP,A)
【文献】特開2013-145497(JP,A)
【文献】特開2017-130121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得する第1の取得部と、
前記指定作業情報を外部の装置に出力する出力部と、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得する第2の取得部と、
前記設定作業情報を、表示部に表示させる表示制御部と、
を含
み、
前記第1の取得部は、前記指定作業情報として、前記移動体による対象物の搬送経路を含む指定搬送経路の情報を取得し、
前記第2の取得部は、前記設定作業情報として、前記指定搬送経路の情報に基づいて生成された前記搬送経路を含む設定搬送経路の情報を取得する、
端末。
【請求項2】
前記第1の取得部は、前記指定作業情報として、前記移動体が搬送する対象物の情報と、前記対象物の搬送先の情報とを取得する、請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記第1の取得部は、前記ユーザによって、複数の前記対象物の搬送先の位置を一括で変更する旨の入力がされた場合に、一括して変更された複数の前記対象物の搬送先の位置情報を、前記指定作業情報として取得する、請求項2に記載の端末。
【請求項4】
前記移動体が搬送を開始する前に、前記ユーザに対して提案される前記搬送経路である提案搬送経路の情報を、外部の装置から取得する第3の取得部をさらに備え、
前記第1の取得部は、前記提案搬送経路の情報が取得されたら、前記提案搬送経路に対して修正された前記指定搬送経路の情報を、前記指定作業情報として取得する、請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
前記移動体の搬送中に、外部の装置から前記搬送経路の再設定を要請する旨の再設定要請情報を取得する第4の取得部をさらに備え、
前記第1の取得部は、前記再設定要請情報を取得したら、前記指定搬送経路の情報を取得する、請求項
1から請求項4のいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
前記第1の取得部は、前記移動体が搬送する複数の対象物について搬送する順番を指定する旨の情報を、前記指定作業情報として取得する、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の端末。
【請求項7】
前記第1の取得部は、前記移動体が搬送する対象物の搬送方法を示す情報を、前記指定作業情報として取得する、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の端末。
【請求項8】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得する第1の取得部と、
前記指定作業情報を外部の装置に出力する出力部と、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得する第2の取得部と、
前記設定作業情報を、表示部に表示させる表示制御部と、
を含み、
前記第1の取得部は、
前記移動体が搬送する対象物の搬送方法を示す情報を、前記指定作業情報として取得し、
前記移動体のフォークを横方向に移動させるサイドシフトを用いて前記対象物をピックアップさせるか否かの情報を、前記対象物の搬送方法を示す情報として取得する、
端末。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記ユーザの前記端末に対する操作に応じて、前記対象物の搬送方法を示す画像を前記表示部に表示させる、請求項
7又は請求項
8に記載の端末。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の端末と、前記設定作業情報に基づいて作業を実行する前記移動体と、を含む、制御システム。
【請求項11】
前記移動体は、前記指定作業情報に基づいて前記設定作業情報を設定して、設定した前記設定作業情報を前記端末に出力する、請求項
10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記移動体は、対象物の搬送経路である設定搬送経路を、前記設定作業情報として設定する、請求項
11に記載の制御システム。
【請求項13】
前記移動体は、前記指定作業情報に、前記対象物の向きの情報が含まれる場合には、前記対象物の向きに基づいて、前記設定搬送経路を設定する、請求項
12に記載の制御システム。
【請求項14】
前記移動体は、モデル予測制御によって、前記設定搬送経路を設定する、請求項
13に記載の制御システム。
【請求項15】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得する第1の取得部と、
前記指定作業情報を外部の装置に出力する出力部と、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得する第2の取得部と、
前記設定作業情報を、表示部に表示させる表示制御部と、
を含む端末と、
前記設定作業情報に基づいて作業を実行する前記移動体と、を含み、
前記移動体は、
前記指定作業情報に基づいて前記設定作業情報を設定して、設定した前記設定作業情報を前記端末に出力し、
対象物の搬送経路である設定搬送経路を、前記設定作業情報として設定し、
前記対象物の搬送経路の候補となる経路を複数算出して、複数の前記経路のうち、ユーザによって指定された搬送経路である指定搬送経路に最も近い経路を、前記設定搬送経路として設定する、
制御システム。
【請求項16】
前記移動体は、前記対象物の搬送経路がユーザによって指定されなかった場合には、予め設定された搬送経路である提案搬送経路を、前記設定搬送経路として設定する、請求項
12から請求項
15のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項17】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得する第1の取得部と、
前記指定作業情報を外部の装置に出力する出力部と、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得する第2の取得部と、
前記設定作業情報を、表示部に表示させる表示制御部と、
を含む端末と、
前記設定作業情報に基づいて作業を実行する前記移動体と、を含み、
前記移動体は、
前記指定作業情報に基づいて前記設定作業情報を設定して、設定した前記設定作業情報を前記端末に出力し、
対象物の搬送経路である設定搬送経路を、前記設定作業情報として設定し、
前記設定搬送経路がユーザに承認されなかった場合には、前記ユーザに新たに指定された搬送経路に基づき、前記設定搬送経路を更新して設定する、
制御システム。
【請求項18】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得する第1の取得部と、
前記指定作業情報を外部の装置に出力する出力部と、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得する第2の取得部と、
前記設定作業情報を、表示部に表示させる表示制御部と、
を含む端末と、
前記設定作業情報に基づいて作業を実行する前記移動体と、を含み、
前記移動体は、
前記指定作業情報に基づいて前記設定作業情報を設定して、設定した前記設定作業情報を前記端末に出力し、
対象物の搬送経路である設定搬送経路を、前記設定作業情報として設定し、
ユーザによって指定された前記対象物の搬送経路である指定搬送経路に基づいて前記設定搬送経路を設定する第1モードと、前記指定搬送経路によらず、前記設定搬送経路を自動で設定する第2モードとが、切り替え可能である、
制御システム。
【請求項19】
前記移動体は、走行中に障害物を検出したら、ユーザに前記搬送経路の再設定を要請する旨の再設定要請情報を、前記端末に出力する、請求項
12から請求項
18のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項20】
前記移動体は、走行中に障害物を検出したら、前記障害物を回避できる新たな搬送経路を生成して、新たな搬送経路に切り替えて走行する、請求項
12から請求項
18のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項21】
前記指定作業情報に基づいて前記設定作業情報を設定して、設定した前記設定作業情報を出力する演算装置をさらに含む、請求項
10に記載の制御システム。
【請求項22】
前記移動体が走行することを禁止する禁止経路を設定する演算装置をさらに含む、請求項
10から請求項
21のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項23】
前記演算装置は、他の移動体が走行を予定している経路に近い経路を、前記禁止経路として設定する、請求項
22に記載の制御システム。
【請求項24】
前記演算装置は、前記移動体が対象物を搬送する経路である設定搬送経路の少なくとも一部が、前記禁止経路に設定されている場合には、前記禁止経路の設定が解除されるまで、前記移動体に走行を開始させない、請求項
22又は請求項
23に記載の制御システム。
【請求項25】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得するステップと、
前記指定作業情報を外部の装置に出力するステップと、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得するステップと、
前記設定作業情報を表示部に表示させるステップと、
を含
み、
前記指定作業情報として、前記移動体による対象物の搬送経路を含む指定搬送経路の情報を取得し、
前記設定作業情報として、前記指定搬送経路の情報に基づいて生成された前記搬送経路を含む設定搬送経路の情報を取得する、
制御方法。
【請求項26】
ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得するステップと、
前記指定作業情報を外部の装置に出力するステップと、
前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得するステップと、
前記設定作業情報を表示部に表示させるステップと、
を含む制御方法を、コンピュータに実行させ
、
前記指定作業情報として、前記移動体による対象物の搬送経路を含む指定搬送経路の情報を取得し、
前記設定作業情報として、前記指定搬送経路の情報に基づいて生成された前記搬送経路を含む設定搬送経路の情報を取得する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末、制御システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフォークリフトなどの移動体の移動経路を設定する技術が知られている。特許文献1には、予め設定された広域軌道で目標物近くまで移動し、フォークリフトに設けられた測域センサで目標物の位置情報を検出して、目標物までのアプローチ軌道を決定する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、倉庫内の状況や、荷物の配送者の希望などによっては、特許文献1のように予め設定されたり自動的に生成されたりする対象物の搬送経路とは異なる搬送経路が望まれる場合がある。また、例えば車両に搭載されている対象物を荷下ろしする場合には、対象物が車両にどのように搭載されているかの把握が難しいため、搬送経路を予め設定することが難しい場合もある。また、搬送経路以外にも、例えば対象物を搬送する順番などの、移動体が実行する種々の作業内容について、予め設定されたり自動的に決められたりする作業内容とは異なるものが望まれる場合や、予め設定すること自体が難しい場合もある。従って、移動体が行う作業内容を適切に設定することが求められている。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述した課題を解決するものであり、移動体が行う作業内容を適切に設定することが可能な端末、制御システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る端末は、ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得する第1の取得部と、前記指定作業情報を外部の装置に出力する出力部と、前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得する第2の取得部と、前記設定作業情報を表示部に表示させる表示制御部と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御システムは、前記端末と、前記設定作業情報に基づいて作業を実行する前記移動体と、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御方法は、ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得するステップと、前記指定作業情報を外部の装置に出力するステップと、前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得するステップと、前記設定作業情報を表示部に表示させるステップと、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、ユーザから入力された、移動体の作業内容を示す指定作業情報を取得するステップと、前記指定作業情報を外部の装置に出力するステップと、前記指定作業情報に基づいて生成された、前記移動体の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得するステップと、前記設定作業情報を表示部に表示させるステップと、を含む制御方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、移動体が行う作業内容を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の少なくとも一実施形態に係る制御システムの模式図である。
【
図3】
図3は、演算装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の少なくとも一実施形態に係る端末の模式的なブロック図である。
【
図6】
図6は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、表示部に表示された設定搬送経路の例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、移動体による作業が開始されるまでの処理フローを説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、表示部に表示された指定搬送経路の例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、作業中に設定搬送経路を設定する際の処理フローを説明するフローチャートである。
【
図12】
図12は、対象物を搬送する順番(搬送順)を指定する場合の画像を示す図である。
【
図13】
図13は、対象物を搬送する順番(搬送順)を指定する場合の画像を示す図である。
【
図14】
図14は、対象物の搬送方法を指定する場合の画像を示す図である。
【
図15】
図15は、対象物の搬送先を指定する場合の画像を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の少なくとも一実施形態に係る制御システムの模式図である。
【
図17】
図17は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、表示部に表示された設定搬送経路の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0013】
(第1実施形態)
(制御システムの全体構成)
図1は、本開示の少なくとも一実施形態に係る制御システムの模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る制御システム1は、移動体10、演算装置12、及び端末14を含む。制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。移動体10は、自動で移動可能な装置である。本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、さらにいえば、いわゆるAGF(Automated Guided Forklift)やAGV(Automated Guided Vehicle)である。ただし、移動体10は、自動で移動する装置であることに限られず、例えば、作業者が操作する有人の移動体(有人フォークリフトなど)であってもよい。
図1に示すように、本実施形態の例では、移動体10は、車両Vの荷台VPの設置領域AR0に配置された対象物Pをピックアップして、設備W内の搬送先領域AR1まで搬送して、搬送先領域AR1に対象物Pを配置する。車両Vは、対象物Pを設備Wまで配送してきた車両である。車両Vは、例えば、設備Wの領域A内の指定された領域に停車される。対象物Pは、移動体10が搬送する対象物であり、本実施形態ではパレットであるが、パレット及びパレット上に配置された荷物を指してもよい。設置領域AR0は、これから搬送する対象物Pが設置されている領域であり、本実施形態では荷台VP内の領域である。設置領域AR0は、対象物P毎に区画されており、設置領域AR0には対象物Pが1つ配置される。ただし、設置領域AR0は、対象物P毎に区画されていることに限られず、例えば、複数の対象物Pが設置されるように設定されてもよい。搬送先領域AR1は、搬送した対象物Pを設置する領域であり、本実施形態では設備Wの領域A上に設定される。
図1の例では、搬送先領域AR1は、対象物P毎に区画されており、搬送先領域AR1には対象物Pが1つ配置される。ただし、搬送先領域AR1は、対象物P毎に区画されていることに限られず、例えば、フリースペースとして、複数の対象物Pが設置されるように設定されていてもよい。なお、本実施形態では、車両Vの荷台VPから対象物Pを搬送して荷下ろしすることを例としているが、それに限られず、制御システム1は、後述の第2実施形態のように、設備W内の対象物を荷台VPに荷積みする際にも利用可能である。また、制御システム1には、設備W内での対象物Pを管理するWMS(Warehouse Management System)が含まれていてもよい。
【0014】
本実施形態のように荷下しをする場合、移動体10は、アプローチ経路R0に従って、荷台VPの設置領域AR0に向けて移動する。移動体10は、設置領域AR0に近づいたら、後述のセンサ26で対象物Pの位置及び姿勢を検出して、設置領域AR0までのアプローチ軌道TR0を算出する。移動体10は、アプローチ軌道TR0に従って設置領域AR0に設置された対象物Pまでアプローチして対象物Pをピックアップしたら、搬送経路Rに従って、搬送先領域AR1に向けて移動して、搬送先領域AR1に対象物Pを荷下ろしする。アプローチ経路R0、アプローチ軌道TR0、及び搬送経路Rの詳細については後述する。以下、領域Aに沿った一方向を、方向Xとし、領域Aに沿った方向であって方向Xに直交する方向を、方向Yとする。また、領域Aに直交する方向、すなわち方向X、Yに直交する方向を、方向Zとする。方向X、Yは水平方向であり、方向Zは鉛直方向といえる。
【0015】
(移動体)
次に、移動体10の構成について説明する。
図1では、1つの移動体10のみが記載されているが、設備Wには複数の移動体10が所属しており、複数の移動体10が作業を行っていてもよい。また、作業者が操作する有人の移動体(有人フォークリフトなど)が所属していてもよい。
【0016】
図2は、移動体の構成の模式図である。
図2に示すように、移動体10は、車体20と、マスト22と、フォーク24と、センサ26と、制御装置28とを備えている。車体20は、車輪20Aを備えている。マスト22は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられている。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、第1方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、第2方向とする。
【0017】
センサ26は、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び向きの少なくとも1つを検出する。センサ26は、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の向きとを検出するともいえる。本実施形態では、センサ26は、マスト22に設けられており、車体20の第1方向側の対象物の位置及び向きを検出する。ただし、センサ26の検出方向は第1方向に限られず、例えば第1方向側と第2方向側の両方を検出してもよい。この場合、センサ26として、第1方向側を検出するセンサと第2方向側を検出するセンサとを設けてよい。センサ26は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。なお、センサ26は、以上のものに限られず任意の方法で対象物検出するセンサであってよく、例えば、カメラなどであってもよい。また、センサ26の設けられる位置も、マスト22に限られない。具体的には、例えば、移動体10に設けられる安全センサを、センサ26として流用してもよい。安全センサを流用することで、新たにセンサを設ける必要がなくなる。
【0018】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0019】
(演算装置)
図3は、演算装置の模式的なブロック図である。演算装置12は、移動体10を管理する装置であり、移動体10の移動に関する情報などを演算し、移動体10に情報を出力する。演算装置12は、たとえば設備Wに設けられたいわゆる地上システムであるが、設備Wに設けられることに限られず、設備Wから離れた箇所に設けられていてもよい。演算装置12は、コンピュータであり、
図3に示すように、制御部30と記憶部32と通信部34とを含む。記憶部32は、制御部30の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。通信部34は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。演算装置12は、無線通信で移動体10や端末14と通信を行うが、通信方式は任意であってよい。
【0020】
制御部30は、演算装置、すなわちCPUである。制御部30は、作業情報取得部40と、移動体選定部42(選定部の一例)と、提案作業情報取得部44と、排他制御部46と、出力部48とを含む。制御部30は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業情報取得部40と移動体選定部42と提案作業情報取得部44と排他制御部46と出力部48とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部30は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業情報取得部40と移動体選定部42と提案作業情報取得部44と排他制御部46と出力部48との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0021】
移動体選定部42は、これから作業を行う移動体10を選定し、提案作業情報取得部44は、後述する提案作業情報を取得し、排他制御部46は、他の移動体の侵入を禁止する禁止経路を設定し、出力部48は、通信部34を介して、移動体10や端末14などの外部の装置に情報を出力する。これらの処理内容の詳細は後述する。
【0022】
(移動体の制御装置)
図4は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する。制御装置28は、コンピュータであり、
図4に示すように、制御部50と記憶部52と通信部54とを含む。記憶部52は、制御部50の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。通信部54は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。制御装置28は、無線通信で演算装置12や端末14と通信を行うが、通信方式は任意であってよい。
【0023】
制御部50は、演算装置、すなわちCPUである。制御部50は、提案作業情報取得部60(第1の情報取得部の一例)と、指定作業情報取得部61(第2の情報取得部の一例)と、設定作業情報取得部62(第3の情報取得部の一例)と、アプローチ軌道設定部64と、出力部66と、移動制御部68とを含む。制御部50は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、提案作業情報取得部60と指定作業情報取得部61と設定作業情報取得部62とアプローチ軌道設定部64と出力部66と移動制御部68とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部50は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、提案作業情報取得部60と指定作業情報取得部61と設定作業情報取得部62とアプローチ軌道設定部64と出力部66と移動制御部68との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0024】
提案作業情報取得部60は、演算装置12から後述する提案作業情報を取得し、指定作業情報取得部61は、端末14から後述する指定作業情報を取得し、設定作業情報取得部62は、後述する設定作業情報を取得し、アプローチ軌道設定部64は、アプローチ軌道TR0を設定し、出力部66は、通信部54を介して、演算装置12や端末14などの外部の装置に情報を出力し、移動制御部68は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。これらの処理内容の詳細は後述する。
【0025】
(端末)
端末14は、ユーザに操作される端末である。ここでのユーザは、車両Vの運転者など、車両Vに搭載される対象物Pを運送する作業者であり、端末14は、ユーザに携帯される携帯端末である。端末14としては、いわゆるスマートフォン、タブレット端末、及びラップトップ型コンピュータなどが挙げられる。ただし、端末14は、携帯端末に限られず、設置場所が固定されたコンピュータであってもよく、端末14を操作するユーザも、車両Vの運転者などに限られない。
【0026】
図5は、本開示の少なくとも一実施形態に係る端末の模式的なブロック図である。
図5に示すように、端末14は、制御部70と、入力部72と、表示部74と、記憶部76と、通信部78とを備える。入力部72は、ユーザの操作を受け付ける装置であり、例えばタッチパネルや、マウス及びキーボードなどである。表示部74は、画像を表示する表示装置である。記憶部76は、制御部70の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。通信部78は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。端末14は、無線通信で移動体10や演算装置12と通信を行うが、通信方式は任意であってよい。
【0027】
制御部70は、演算装置、すなわちCPUである。制御部70は、指定作業情報取得部80(第1の取得部の一例)と、設定作業情報取得部82(第2の取得部の一例)と、提案作業情報取得部84(第3の取得部の一例)と、再設定要請取得部86と、表示制御部88と、出力部90とを含む。制御部70は、記憶部76からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、指定作業情報取得部80と設定作業情報取得部82と提案作業情報取得部84と再設定要請取得部86と表示制御部88と出力部90とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部70は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、指定作業情報取得部80と設定作業情報取得部82と提案作業情報取得部84と再設定要請取得部86と表示制御部88と出力部90との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0028】
指定作業情報取得部80は、ユーザの入力を受け付けて後述の指定作業情報を取得し、設定作業情報取得部82は、移動体10から後述の設定作業情報を取得し、提案作業情報取得部84は、移動体10から後述の提案作業情報を取得し、再設定要請取得部86は、移動体10から後述の再設定要請を取得し、表示制御部88は、表示部74への画像の表示を制御し、出力部90は、通信部78を介して、移動体10や演算装置12などの外部の装置に情報を出力する。これらの処理内容の詳細は後述する。
【0029】
(制御システムの処理)
次に、以上説明した制御システム1の処理について説明する。制御システム1は、移動体10と演算装置12と端末14とで情報の送受信を行うことで、移動体10の作業内容を設定して、移動体10に設定した作業内容の作業を実行させる。本実施形態では、移動体10は、車両Vから対象物Pをピックアップして、搬送経路Rを走行して搬送先領域AR1まで対象物Pを搬送して、対象物Pを搬送先領域AR1で荷下ろしする。そのため、本実施形態における作業内容は、車両Vから荷下ろしする対象物Pの情報(どの対象物Pが作業対象となるかの情報)と、対象物Pを設置する搬送先領域AR1の情報(対象物の搬送先の情報)と、搬送経路Rの情報(対象物Pを搬送する経路の情報)と、を含む。
【0030】
(初期指定情報の取得)
例えば車両Vが設備Wに到着したら、ユーザにより、端末14の入力部72に、初期指定情報が入力される。端末14の指定作業情報取得部80は、ユーザによって入力された初期指定情報を、指定作業情報の1つとして取得する。ユーザにより、初期指定情報として、搬送する対象物Pを指定する情報と、対象物Pの搬送先を指定する情報とが入力される。搬送する対象物Pを指定する情報には、例えば、車両Vに搭載されている対象物Pの情報(例えば対象物PのID)と、車両Vの設置領域AR0にどの対象物Pが設置されているかを、設置領域AR0毎に示す情報とが含まれる。すなわち、ユーザによって、搬送する対象物を指定する情報として、設置されている対象物Pの情報が、設置領域AR0毎に入力されるといえる。対象物Pの搬送先を指定する情報は、対象物Pの搬送先領域AR1を指定する情報であり、対象物P毎に指定される。すなわち、ユーザによって、搬送する対象物P毎に、搬送先領域AR1が指定される。なお、初期指定情報には、対象物Pの姿勢(向き)に関する情報も入力されてよい。
【0031】
(移動体の選定)
端末14の出力部90は、指定作業情報取得部80が取得した初期指定情報を、演算装置12に出力する。演算装置12の作業情報取得部40は、端末14から、初期指定情報を取得する。演算装置12の移動体選定部42は、初期指定情報に基づき、作業を実行させる移動体10を選定する。移動体選定部42は、例えば、設備Wに所属する複数の移動体から、作業を実行させる移動体10を選定する。移動体選定部42は、任意の方法で移動体10を選定してよいが、例えば、作業対象となる対象物Pの位置や搬送先領域AR1の位置などに基づいて、その対象物Pを搬送するのに適した移動体を、作業を実行させる移動体10として選定してよい。なお、演算装置12は、予め作業を実行させる移動体10を選定していてもよい。この場合、例えば、端末14の出力部90は、初期指定情報を、選定された移動体10に出力してもよい。
【0032】
(アプローチ経路の取得)
演算装置12の提案作業情報取得部44は、アプローチ経路R0(
図1参照)の情報を取得する。アプローチ経路R0は、設置領域AR0(対象物P)までの経路である。アプローチ経路R0は、例えば設置領域AR0に予め設定されており、提案作業情報取得部44は、初期指定情報において指定された設置領域AR0に対して設定されたアプローチ経路R0の情報(座標情報)を、取得する。例えば、提案作業情報取得部44は、記憶部32からアプローチ経路R0を読み出すことで、アプローチ経路R0を取得する。
【0033】
アプローチ経路R0は、設備Wの地図情報に基づき予め設定される。設備Wの地図情報は、設備Wに設置されている障害物(柱など)や移動体10が走行可能な通路などの位置情報を含んだ情報であり、領域A内で移動体10が移動可能な領域を示す情報といえる。また、アプローチ経路R0は、設備Wの地図情報に加えて、移動体10の車両仕様の情報にも基づき、設定されてよい。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。車両仕様の情報にも基づきアプローチ経路R0が設定されている場合、アプローチ経路R0は、移動体毎に設定されてよい。なお、アプローチ経路R0は、人によって、地図情報や車両仕様の情報などに基づき設定されてもよいし、演算装置12などの装置によって、地図情報や車両仕様の情報などに基づき、自動的に設定されてもよい。自動的にアプローチ経路R0を設定する場合、例えば通過して欲しいポイント(Waypoint)を指定してもよく、この場合、通過して欲しいポイントを通過しつつ、最短、かつ障害物(壁などの固定物)を避けたアプローチ経路R0の設定が可能となる。なお、アプローチ経路R0は、設置領域AR0毎に設定されていることに限られず、例えば、車両Vの停止位置毎に設定されていてもよい。この場合例えば、初期指定情報に車両Vの停止位置の情報が含まれており、提案作業情報取得部44は、初期指定情報において指定された車両Vの停止位置に対して設定されたアプローチ経路R0の位置情報を、取得する。
【0034】
(提案搬送経路の取得)
演算装置12の提案作業情報取得部44は、提案作業情報としての提案搬送経路R1の情報を取得する。提案搬送経路R1は、ユーザに対して提案される搬送経路Rであり、実際の搬送経路Rの候補となる経路といえる。提案搬送経路R1は、対象物Pが設置されている設置領域AR0から搬送先領域AR1までの経路である。提案搬送経路R1は、設置領域AR0及び搬送先領域AR1毎に、予め設定されている。提案作業情報取得部44は、初期指定情報において指定された設置領域AR0から搬送先領域AR1までの経路として予め設定されていた提案搬送経路R1を、取得する。例えば、提案作業情報取得部44は、記憶部32から提案搬送経路R1を読み出すことで、提案搬送経路R1を取得する。提案作業情報取得部44は、初期指定情報において搬送すると指定された対象物Pのそれぞれについて、提案搬送経路R1を取得する。なお、提案搬送経路R1は、アプローチ経路R0と同様に、設備Wの地図情報や車両仕様の情報に基づき設定されてよい。
【0035】
演算装置12の出力部48は、取得した提案搬送経路R1の情報(提案作業情報の一例)を、選定した移動体10に出力する。移動体10の提案作業情報取得部60は、演算装置12から、この提案搬送経路R1の情報を含む提案作業情報を取得する。移動体10は、出力部66により、取得した提案搬送経路R1の情報を、端末14に出力する。端末14の提案作業情報取得部84は、移動体10から、提案搬送経路R1の情報を取得する。端末14の表示制御部88は、提案作業情報取得部84が取得した提案搬送経路R1を、表示部74に表示させる。なお、演算装置12は、移動体10を経由せず、提案搬送経路R1を、端末14に直接出力してもよい。
【0036】
図6は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
図6に示すように、表示制御部88は、表示部74の画面Dに、車両Vの画像と、車両V内の設置領域AR0の画像と、対象物Pの画像と、搬送先領域AR1の画像と、提案搬送経路R1の画像と、を表示させる。
図6の例では、初期指定情報として、設置領域AR0aに対象物Paが設置されており、設置領域AR0bに対象物Pbが設置されており、設置領域AR0cに対象物Pcが設置されており、設置領域AR0dに対象物Pdが設置されており、設置領域AR0eに対象物Peが設置されている旨が指定されている。また、
図6の例では、初期指定情報として、対象物Paの搬送先が搬送先領域AR1aであり、対象物Pbの搬送先が搬送先領域AR1bであり、対象物Pcの搬送先が搬送先領域AR1cであり、対象物Pdの搬送先が搬送先領域AR1dであり、対象物Peの搬送先が搬送先領域AR1eである旨が指定されている。
図6の例では、対象物Paに対する提案搬送経路R1a、対象物Pbに対する提案搬送経路R1b、対象物Pcに対する提案搬送経路R1c、対象物Pdに対する提案搬送経路R1d、及び対象物Peに対する提案搬送経路R1eが、画面Dに表示されている。表示制御部88は、画面Dに表示させる車両V、設置領域AR0、搬送先領域AR1、及び提案搬送経路R1の位置関係が、設備W内における実際の車両V、設置領域AR0、搬送先領域AR1、及び提案搬送経路R1の位置関係に対応するように、それぞれの画像を表示させるが、厳密に実際の位置関係と一致させなくてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、演算装置12が提案搬送経路R1(提案作業情報)を生成するが、それに限られず、例えば移動体10が提案作業情報取得部44を備えて、移動体10が提案搬送経路R1(提案作業情報)を生成してもよい。この場合、端末14は、移動体10に初期指定情報(指定作業情報)を出力して、移動体10が、初期指定情報に基づき、提案搬送経路R1(提案作業情報)を生成する。
【0038】
(指定搬送経路の取得)
図7は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。端末14は、提案搬送経路R1を取得して画面Dに表示したら、指定作業情報取得部80により、指定作業情報としての指定搬送経路R2の情報を取得する。指定搬送経路R2は、ユーザによって指定される搬送経路Rである。指定搬送経路R2は、ユーザによって指定された、対象物Pが設置されている設置領域AR0から搬送先領域AR1までの経路である。
図7に示すように、端末14は、提案搬送経路R1を画面Dに表示している状態で、指定搬送経路R2の入力を受け付ける。ユーザによって、端末14に表示されている提案搬送経路R1が確認されて、提案搬送経路R1以外の経路を指定したい場合には、ユーザによって、端末14の入力部72に、指定搬送経路R2の情報が、入力される。例えば、ユーザによって、画面D上で、変更したい提案搬送経路R1や対象物Pが選択されて、画面D上で、設置領域AR0から搬送先領域AR1までのおおよその軌跡が入力される。端末14は、この軌跡を、指定搬送経路R2として取得する。ただし、指定搬送経路R2の入力方法は任意であってよい。
【0039】
図7の例では、対象物Paの提案搬送経路R1aがユーザに受け入れられず、対象物Paの指定搬送経路R2aが入力されている。表示制御部88は、提案搬送経路R1が表示されている画面Dに、指定搬送経路R2aの画像を表示する。なお、
図7の例では、提案搬送経路R1b、R1c、R1d、R1eについては、ユーザに受け入れられ、指定搬送経路R2が入力されていない。
【0040】
端末14の出力部90は、指定作業情報取得部80が取得した指定搬送経路R2の情報(指定作業情報)を、移動体10に出力する。移動体10の指定作業情報取得部61は、端末14から指定搬送経路R2の情報(指定作業情報)を取得する。
【0041】
(設定搬送経路の取得)
移動体10の設定作業情報取得部62は、指定搬送経路R2の情報(指定作業情報)に基づき、設定作業情報としての設定搬送経路R3の情報を取得する。設定搬送経路R3は、指定搬送経路R2に基づいて生成される搬送経路Rである。設定搬送経路R3は、対象物Pが設置されている設置領域AR0から搬送先領域AR1までの経路である。本実施形態では、移動体10の設定作業情報取得部62は、指定搬送経路R2(指定作業情報)に基づき、設定搬送経路R3(設定作業情報)を設定する。
【0042】
設定作業情報取得部62は、アプローチ経路R0の設定方法と同様に、設備Wの地図情報や車両仕様の情報に基づき、設定搬送経路R3を設定する。設定作業情報取得部62は、設備Wの地図情報や車両仕様の情報に基づき、かつ、指定搬送経路R2に近い経路となるように、設定搬送経路R3を設定する。初期指定情報として対象物Pの向き(姿勢)の情報が入力されている場合は、設定作業情報取得部62は、対象物Pの向きも考慮して、すなわち対象物Pの向きに基づき、設定搬送経路R3を設定することが好ましい。
【0043】
本実施形態では、設定作業情報取得部62は、モデル予測制御(Model Predictive Control:MPC)によって、設定搬送経路R3を設定する。以下、設定搬送経路R3の算出方法の例を説明する。なお、以下の算出方法は一例であるため、他の方法で設定搬送経路R3を算出してもよい。
【0044】
移動体10の制御入力u(k)は、以下の式(1)で表される。
【0045】
【0046】
ここで、v(k)は、移動体10の速度指令値であり、φ(k)は、移動体10のヨーレート指令値であり、kは、離散時間のインデクスを表す。離散時間毎の移動体10の制御入力U(k)は、以下の式(2)で表される。なお、Nは、予測区間(Predictive horizon)である。
【0047】
【0048】
設定作業情報取得部62は、次の式(3)に示す最適化問題を解き、制御入力の最適解であるu(k),u(k+1),・・・,u(k+N-1)を求めて、設定搬送経路R3を算出する。この最適化問題の解法としては,逐次二次計画法や内点法などの公知技術を用いることができる。
【0049】
【0050】
なお、このように設定搬送経路R3を算出する際には、例えば、以下の式(4)から式(8)に示す拘束条件を与える。
【0051】
【0052】
ここで、xは、方向Xにおける移動体10の座標であり、yは、方向Yにおける移動体10の座標であり、θは、基準軸に対する移動体10の傾斜角度であり、Lは移動体10の前輪と後輪との距離を示すホイールベースである。vMAX、φMAXは、予め設定される速度とヨーレートの上限値である。
【0053】
なお、設置領域AR0から搬送先領域AR1まで到達可能な経路は、複数存在する場合がある。この場合、設定作業情報取得部62は、設置領域AR0から搬送先領域AR1までの複数の経路を算出して、すなわち搬送経路の候補となる経路を複数算出して、それらの経路のうち、たとえば指定搬送経路R2に最も近い経路を、設定搬送経路R3として設定する。
【0054】
なお、設定作業情報取得部62は、指定搬送経路R2が指定されなかった対象物Pについては、すなわち提案搬送経路R1がユーザによって受け入れられた対象物Pについては、提案搬送経路R1をそのまま設定搬送経路R3とする。言い換えれば、設定作業情報取得部62は、指定搬送経路R2がユーザによって指定されなかった場合には、予め設定された提案搬送経路R1を、設定搬送経路R3として設定する。ただし、設定作業情報取得部62は、指定搬送経路R2が指定されなかった対象物Pについて、提案搬送経路R1に基づいて、上記と同様の方法で、設定搬送経路R3を設定してもよい。
【0055】
図8は、表示部に表示された設定搬送経路の例を示す模式図である。移動体10は、このようにして設定搬送経路R3を設定したら、出力部66により、設定搬送経路R3の情報(設定作業情報)を、端末14に出力する。端末14の設定作業情報取得部82は、移動体10から、設定搬送経路R3の情報(設定作業情報)を取得する。
図8に示すように、端末14の表示制御部88は、設定作業情報取得部82が取得した設定搬送経路R3(設定作業情報)の画像を、表示部74の画面Dに表示させる。
図8の例では、対象物Paの指定搬送経路R2aに基づいて設定された設定搬送経路R3aが表示されている。また、
図8の例では、対象物Pb、Pc、Pd、Peについては、指定搬送経路R2が指定されなかったので、提案搬送経路R1b、R1c、R1d、R1eが、そのまま設定搬送経路R3b、R3c、R3d、R3eとして設定されている。
【0056】
端末14は、設定搬送経路R3をユーザが承認するかの情報を取得する。例えば、ユーザによって、設定搬送経路R3を承認する旨の情報(承認情報)を端末14の入力部72に入力されることで、端末14は、設定搬送経路R3をユーザが承認した旨の承認情報を取得する。なお、ユーザによって設定搬送経路R3が承認されない場合は、例えば、再度指定搬送経路R2が入力される。この場合は、移動体10によって、新たに入力された指定搬送経路R2に基づいて設定搬送経路R3が更新設定されて、端末14に表示される。すなわち、移動体10は、設定搬送経路R3がユーザに承認されなかった場合には、ユーザに新たに指定された指定搬送経路R2に基づき、設定搬送経路R3を更新して設定する。
【0057】
端末14の出力部90は、承認情報を、移動体10に出力する。移動体10の設定作業情報取得部62は、端末14から承認情報を取得して、出力部66により、承認された設定搬送経路R3を、演算装置12に出力する。演算装置12の排他制御部46は、移動体10から、承認された設定搬送経路R3を取得する。なお、端末14は、移動体10を介さず、演算装置12に、承認された設定搬送経路R3を直接出力してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、移動体10が設定搬送経路R3(設定作業情報)を生成するが、それに限られず、例えば演算装置12が設定作業情報取得部62を備えて、演算装置12が設定搬送経路R3(設定作業情報)を生成してもよい。この場合、端末14は、移動体10を介して、又は直接、演算装置12に指定搬送経路R2(指定作業情報)を出力して、演算装置12が、指定搬送経路R2(指定作業情報)に基づいて設定搬送経路R3(設定作業情報)を生成する。演算装置12は、生成した設定搬送経路R3(設定作業情報)を、移動体10を介して、又は直接、端末14に出力する。
【0059】
(禁止経路の設定)
演算装置12の排他制御部46は、設定搬送経路R3が、禁止経路として設定されていないかを確認する。禁止経路とは、移動体10が走行する際に、他の移動体10が侵入することを禁止する経路(領域)を指す。ある移動体10が走行している際に、その移動体10の経路の近くを他の移動体10が走行した場合、移動体同士が衝突するおそれがある。このような衝突を防ぐために、移動体10が走行する場合には、禁止経路が設定される。なお、禁止経路の設定方法は任意であるが、たとえば移動体10が走行を予定している経路に近い経路(領域)が、禁止経路として設定される。なお、移動体10が走行を予定している経路に近い経路(領域)とは、例えば、移動体10が走行を予定している経路に対して所定の距離範囲内にある経路(領域)を指す。
【0060】
排他制御部46は、設定搬送経路R3の少なくとも一部が、他の移動体10が走行する際の禁止経路として設定されていないかを確認して、禁止経路として設定されていない場合には、設定搬送経路R3を登録して、設定搬送経路R3で移動体10を走行させる旨を決定する。排他制御部46は、設定搬送経路R3の少なくとも一部が、他の移動体10が走行する際の禁止経路として設定されている場合には、禁止経路の設定が解除されるまで、移動体10に走行を開始させないことが好ましい。
【0061】
排他制御部46は、設定搬送経路R3で移動体10を走行させることを決定した場合には、設定搬送経路R3に対応する禁止経路を設定する。設定搬送経路R3に対応する禁止経路は、他の移動体10(設定搬送経路R3で走行する移動体10以外の移動体)の侵入を禁止する経路(領域)である。なお、排他制御部46は、アプローチ経路R0に対しても、同様に、アプローチ経路R0が他の移動体10が走行する際の禁止経路に設定されているかを確認し、禁止経路に設定されてない場合には、アプローチ経路R0に対応する禁止経路を設定する。
【0062】
演算装置12の出力部48は、設定搬送経路R3に対応する禁止経路を設定したら、移動体10に作業を開始させる旨の指令を出力する。移動体10は、演算装置12から作業を開始させる旨の指令を取得したら、作業を開始する。作業の内容については後述する。
【0063】
(作業開始までの処理フロー)
以上説明した移動体10による作業が開始されるまでの処理フローについて説明する。
図9は、移動体による作業が開始されるまでの処理フローを説明するフローチャートである。
図9に示すように、端末14は、ユーザによって入力された初期指定情報を、すなわち搬送する対象物Pを指定する情報と、対象物Pの搬送先を指定する情報とを、取得して、演算装置12に出力する(ステップS10)。演算装置12は、初期指定情報に基づき、提案搬送経路R1の情報を取得して、移動体10に出力する(ステップS12)。移動体10は、演算装置12から提案搬送経路R1の情報を取得して、端末14に出力する(ステップS14)。
【0064】
端末14は、取得した提案搬送経路R1を、表示部74に表示する(ステップS16)。ユーザによって、表示部74に表示されている提案搬送経路R1が確認されて、指定搬送経路R2が端末14に入力される。端末14は、ユーザによって入力された指定搬送経路R2の情報を取得して、表示部74に表示させて、移動体10に出力する(ステップS18)。移動体10は、取得した指定搬送経路R2に基づいて、設定搬送経路R3を設定して、端末14に出力する(ステップS20)。なお上述のように、設定搬送経路R3は、演算装置12によって生成されてもよい。端末14は、取得した設定搬送経路R3を表示部74に表示させて(ステップS22)、ユーザの承認を待つ。設定搬送経路R3が承認されない場合は(ステップS24;No)、ユーザによって新たに指定搬送経路R2が指定されるので、ステップS18の処理に戻る。一方、端末14は、ユーザによって設定搬送経路R3が承認された場合(ステップS24;Yes)、すなわち承認情報を取得した場合、承認情報を移動体10に出力する(ステップS26)。
【0065】
移動体10は、承認情報を取得したら、承認された設定搬送経路R3の情報を、演算装置12に出力する(ステップS28)。演算装置12は、承認された設定搬送経路R3の情報を取得したら、設定搬送経路R3を登録して(ステップS30)、すなわち設定搬送経路R3で移動体10に搬送させることを決定して、設定搬送経路R3に対応する禁止経路を設定する(ステップS32)。演算装置12は、移動体10に作業を開始する旨の指令を出力して、移動体10は、作業を開始する(ステップS34)。
【0066】
このように、以上の説明では、最初に演算装置12により提案搬送経路R1(提案作業情報)が生成されて、ユーザによって提案搬送経路R1(提案作業情報)が確認されてから、指定搬送経路R2(指定作業情報)を入力するが、それに限られない。例えば、提案搬送経路R1(提案作業情報)が生成されることなく、ユーザによって、端末14に初期指定情報と共に、指定搬送経路R2(指定作業情報)が入力されてもよい。
【0067】
また、制御システム1は、言い換えれば移動体14は、以上説明したようなユーザから入力された指定搬送経路R2(指定作業情報)に基づいて設定搬送経路R3(設定作業情報)を生成する第1モードと、指定搬送経路R2(指定作業情報)によらず設定搬送経路R3(設定作業情報)が自動で生成される第2モードとを切り替え可能であってもよい。第2モードにおいては、例えばユーザによって初期指定情報が入力されたら、指定搬送経路R2を指定することなく、設定搬送経路R3が生成されるモードである。すなわち、第2モードにおいては、例えば提案搬送経路R1に基づいて設定搬送経路R3が生成される。第1モードと第2モードとは、例えばユーザによって端末14に入力されることで、切り替えられる。すなわち、端末14が第1モードとするか第2モードとするかの画像を表示して、ユーザによる第1モードとするか第2モードとするかの選択を取得して、第1モードにするか第2モードにするかを決定する。例えば、ユーザが作業内容を管理したい場合には第1モードとし、ユーザの管理負荷を低減させたい場合には第2モードとすることで、ユーザの意図に応じた柔軟な処理が可能となる。
【0068】
(移動体の作業)
(アプローチ経路に従った走行、対象物の位置・姿勢情報の検出)
図1に示すように、移動体10は、作業を開始する旨の指令を取得したら、移動制御部68の制御により、アプローチ経路R0に従って、設置領域AR0に向かって走行する。移動体10は、アプローチ経路R0の走行中にセンサ26による検出を続けさせ、センサ26によって対象物Pの位置・姿勢情報を検出させる処理を続ける。センサ26は、移動体10がセンサ26によって対象物Pの位置・姿勢情報を検出可能な距離に到達したら、対象物Pの位置・姿勢情報を検出する。
【0069】
対象物Pの位置・姿勢情報とは、対象物Pの位置(座標)と、対象物Pの姿勢(向き)とを示す情報である。例えばセンサ26がレーザ光を照射する構成の場合、移動体10は、アプローチ経路R0を走行中に、センサ26から、横方向(水平方向)に走査させつつ、レーザ光を照射させる。移動体10が対象物Pに近づいたら、センサ26の前方向にある対象物Pは、レーザ光を反射する。センサ26は、対象物Pからの反射光を受光する。移動体10は、センサ26が受光した対象物Pからの反射光に基づき、対象物Pの位置及び向きを検出する。移動体10は、対象物Pからの反射光がセンサ26に向かってくる方向や、レーザ光を照射してから反射光を受光するまでの時間などから、対象物Pの位置及び姿勢を算出することができる。
【0070】
(アプローチ軌道に従った走行)
移動体10のアプローチ軌道設定部64は、対象物Pの位置・姿勢情報に基づき、対象物Pに対して所定の位置及び姿勢となる目標位置・姿勢までの経路であるアプローチ軌道TR0を算出する。目標位置・姿勢は、例えば、対象物Pをピックアップ可能な(例えば直進することでフォーク24を対象物Pのパレットの開口に挿入することができる)位置及び姿勢である。アプローチ軌道設定部64は、対象物Pの位置・姿勢情報に基づき、目標位置・姿勢を算出して、目標位置・姿勢までの経路を、アプローチ軌道TR0として算出する。アプローチ軌道TR0の算出方法は、上述の設定搬送経路R3の算出方法と同様である。
【0071】
移動体10は、アプローチ軌道TR0が算出されたら、走行する経路をアプローチ経路R0からアプローチ軌道TR0に切り替えて、アプローチ軌道TR0に従って走行して、目標位置・姿勢まで到達して、設置位置AR0に設置されている対象物Pをピックアップする。
【0072】
(設定搬送経路に従った走行)
対象物Pをピックアップしたら、移動体10は、設定搬送経路R3に従って走行して、対象物Pを搬送先領域AR1まで搬送して、搬送先領域AR1に対象物Pを設置する(荷下ろしする)。
【0073】
対象物Pを搬送先領域AR1に荷下ろしをしたら、移動体10は、他に搬送する対象物Pがあるかを判断する。他に搬送する対象物がない場合は、作業を終了する。他に搬送する対象物Pがある場合は、移動体10は、その対象物P(設置領域AR0)に対して設定されているアプローチ経路R0に従って走行して、上述と同様の処理を続ける。
【0074】
なお、例えばアプローチ経路R0が設置領域AR0毎に設定されていない場合、移動体10は、直前に搬送した対象物Pをピックアップするために使用したアプローチ経路R0に従って、次の対象物Pの近くまで移動する。次の対象物Pは、直前の対象物Pの近くにあるため、直前に搬送した対象物Pのアプローチ経路R0を使用しても、次の対象物Pの位置情報・姿勢を検出でき、次の対象物Pまでのアプローチ軌道TR0を生成できる。
【0075】
(作業途中での設定搬送経路の設定)
以上の説明では、移動体10が作業を開始する前に指定搬送経路R2を指定して設定搬送経路R3を設定していたが、移動体10の作業中、すなわち搬送中にも、指定搬送経路R2を指定して設定搬送経路R3を設定してもよい。以下、具体的に説明する。
【0076】
移動体10は、アプローチ経路R0や設定搬送経路R3に従った走行中に、センサ26や他のセンサによって、障害物を検出する。障害物とは、移動体10がそのまま走行を続けた場合に、衝突するおそれがある物体を指す。移動体10は、障害物を検出したら、そのまま走行を継続できないと判断して、走行を停止する。移動体10は、障害物を検出してそのまま走行を継続できないと判断したら、出力部66によって、端末14に再設定要請を出力する。再設定要請とは、端末14に指定搬送経路R2を再度指定することを要請する情報である。
【0077】
図10は、表示部に表示された指定搬送経路の例を示す模式図である。端末14の再設定要請取得部86は、移動体10から再設定要請を取得する。端末14は、再設定要請を取得した旨を、例えば音声や表示部74への表示などにより、通知する。また、端末14は、再設定要請を取得したら、指定搬送経路R2の入力を受けつける画像を、表示部74に表示する。ユーザによって、例えば目視で障害物が確認されて、障害物を回避可能な、新たな指定搬送経路R2が、端末14に入力される。端末14は、新たな指定搬送経路R2を取得したら、新たな指定搬送経路R2を表示部74に表示する。
図10の例では、指定搬送経路R2の入力を受けつける画像には、車両V、設置領域AR0、及び搬送先領域AR1などの画像に加えて、移動体10の画像が含まれる。例えば、移動体10の画像は、移動体10が実際に停止している位置を反映した位置に表示される。ユーザによって、移動体10が停止している位置から搬送先領域AR1までの、新たな指定搬送経路R2が入力されて、端末14は、その新たな指定搬送経路R2の情報を取得する。
【0078】
端末14は、新たな指定搬送経路R2の情報を移動体10に出力する。移動体10は、上述に説明した方法と同様の方法で、新たな指定搬送経路R2に基づいて設定搬送経路R3を新たに生成して、端末14に出力する。端末14は、新たに生成された設定搬送経路R3を表示部74に表示して、ユーザの承認を取得した場合に、新たに生成された設定搬送経路R3についての承認情報を移動体10に出力する。移動体10は、上述の説明と同様に承認された設定搬送経路R3を演算装置12に出力して、演算装置12から作業の開始の指令を受けたら、新たに生成された設定搬送経路R3での走行を開始する。
【0079】
図11は、作業中に設定搬送経路を設定する際の処理フローを説明するフローチャートである。
図11に示すように、移動体10は、設定搬送経路R3で走行しつつ、このまま走行を継続できるかを判断する(ステップS40)。走行が継続できる場合(ステップS40;Yes)、ステップS40に戻って走行を継続する。走行を継続できない場合(ステップS40;Yes)、すなわち障害物が検出された場合、移動体10は、走行を停止して、端末14に再設定要請を出力する(ステップS42)。端末14は、再設定要請を取得した旨を通知して(ステップS44)、ユーザに指定搬送経路R2を再設定することを促す。ユーザによって、端末14に指定搬送経路R2が入力されて、端末14は、指定搬送経路R2を取得して、表示部74に表示して、移動体10に出力する(ステップS18)。ステップS18からステップS32までの処理は
図9の説明と同様なので省略する。ステップS32で禁止経路が設定されて、演算装置12から移動体10に作業を開始する旨の指令が出力されたら、移動体10は、新たに設定された設定搬送経路R3での走行を再開する(ステップS34a)。
【0080】
なお、以上の説明では、を再設定する旨を説明していたが、対象物Pまでのアプローチ経路R0を走行中に障害物が検出された場合も、設定搬送経路R3の設定と同様の手順で、アプローチ経路R0を再設定してもよい。
【0081】
また、以上の説明では、移動体10は、走行中に障害物を検出したら、再設定要請を出力して端末14に指定搬送経路R2の指定を要請する。ただし、それに限られず、移動体10は、障害物を検出したら、その障害物を回避できる新たな経路(アプローチ経路R0や設定搬送経路R3)を生成して、その新たな経路に切り替えて走行してもよい。すなわち、移動体10は、ユーザの指示によらず、自身で新たな経路を生成してもよい。この場合、移動体10は、新たな経路の情報を端末14に送信して、端末14が、ユーザによって新たな経路が承認された旨の情報を取得した場合に、新たな経路での走行を開始してもよいし、ユーザの承認を受けることなく、新たな経路での走行を開始してもよい。
【0082】
また、以上の説明では、移動体10が障害物を検出したことをトリガとして、指定搬送経路R2が再設定されて設定搬送経路R3が更新されていたが、トリガはそれに限られない。例えば、ユーザによって設定搬送経路R3を更新したいと判断されたことをトリガとして、設定搬送経路R3を更新してもよい。この場合、端末14は、移動体10の作業中に、指定搬送経路R2の再設定の入力を受け付けて、指定搬送経路R2が再設定された場合に、移動体10に再設定された指定搬送経路R2の情報を出力する。移動体10は、再設定された指定搬送経路R2の情報を取得したら、例えば走行を停止して、設定搬送経路R3を生成する。
【0083】
(他の作業内容の決定の例)
以上の説明では、指定作業情報として指定搬送経路R2が指定されて、設定作業情報として設定搬送経路R3が設定されていたが、搬送経路以外の作業内容がユーザによって指定されてもよい。以下、搬送経路以外の作業内容の指定の例を説明する。
【0084】
図12及び
図13は、対象物を搬送する順番(搬送順)を指定する場合の画像を示す図である。演算装置12は、初期指定情報に基づいて、提案作業内容として、対象物Pの搬送順を設定してもよい。この場合、
図12に示すように、端末14は、画面Dに、提案搬送経路R1と共に、対象物Pの搬送順を示す搬送順画像PT1を表示する。
図12の例では、提案作業内容では、対象物Pa、Pb、Pc、Pd、Peの順で搬送するよう設定されている。
【0085】
ユーザによって、画面Dに表示されている搬送順画像PT1が確認されて、搬送順を変えたい場合には、端末14の入力部72に、指定情報として搬送順を指定する情報が、入力される。例えば、ユーザによって、搬送順画像PT1のうちで搬送順を変更したい対象物Pの画像が選択されて、搬送順を変更する操作が実行される。
図13の例では、対象物Pdと対象物Peとの搬送順が入れ替えられており、この場合例えば、ユーザによって、対象物Pdの画像を対象物Peの画像の下側に移動させる操作や、対象物Peの画像を対象物Pdの画像の上側に移動させる操作が実行される。端末14は、このような搬送する順番を指定する旨の入力を受け付けて、指定作業情報として、すなわち搬送順を示す情報として、取得する。端末14は、搬送順を示す情報を、指定作業情報として移動体10に出力する。移動体10は、指定作業情報で指定された搬送順を設定作業情報として設定して、指定された搬送順で、対象物Pの搬送を行う。
【0086】
車両Vのレイアウトによっては、他の対象物Pを荷下ろししてからでないと、荷下ろしできない対象物Pが存在する場合もある。例えばこのような場合に搬送順を指定することで、対象物Pを適切に荷下ろしできる。なお、搬送順の指定は、後述する第2実施形態における荷積みの作業においても適用可能である。
【0087】
図14は、対象物の搬送方法を指定する場合の画像を示す図である。演算装置12は、提案作業情報として、対象物Pの搬送方法を設定してもよい。本例での対象物Pの搬送方法とは、対象物Pをピックアップする際のフォーク24の動作を指し、より具体的には、フォーク24をサイドシフトさせずに対象物Pをピックアップさせる通常モードと、フォーク24をサイドシフトさせて対象物Pをピックアップさせるサイドシフトモードとが選択される。サイドシフトとは、フォーク24を横方向に移動させる動作である。演算装置12は、例えば通常モードを提案作業情報としている。端末14は、画面Dに、提案搬送経路R1と共に、対象物Pの搬送方法を示す搬送方法画像PT2を表示する。搬送方法画像PT2は、例えば入力部72の長押しなど、ユーザの操作に応じて表示されてもよい。すなわち、端末14の表示制御部88は、ユーザの端末14に対する操作に応じて、搬送方法画像PT2を表示部74に表示させる。例えば、ユーザによって、画面D上で、搬送方法を変更したい対象物Pが選択されたら、端末14の表示制御部88は、搬送方法画像PT2を表示させて、ユーザによって、搬送方法画像PT2でサイドシフトモードが選択されることで、搬送方法が指定される。端末14は、指定作業情報取得部82により、ユーザによって指定された搬送方法の情報を取得して、出力部90により、指定作業情報として移動体10に出力する。移動体10は、指定作業情報で指定された搬送方法を設定作業情報として設定して、指定された搬送方法で、対象物Pを搬送する。サイドシフトモードが選択される例においては、端末14は、指定作業情報取得部82により、サイドシフトを用いて対象物Pをピックアップさせるか否かの情報を、指定作業情報(対象物Pの搬送方法を示す情報と)して取得して、出力部90により、指定作業情報として移動体10に出力する。移動体10は、指定作業情報として、サイドシフトを用いて対象物Pをピックアップさせる旨の情報を取得した場合に、サイドシフトを用いて対象物をピックアップする。
【0088】
車両Vのレイアウトによっては、サイドシフトを用いないと荷下ろしできない対象物Pが存在する場合もある。例えばこのような場合に搬送方法を指定することで、対象物Pを適切に荷下ろしできる。なお、搬送方法の指定は、後述する第2実施形態における荷積みの作業においても適用可能である。
【0089】
図15は、対象物の搬送先を指定する場合の画像を示す図である。演算装置12は、初期指定情報に基づいて、対象物Pの搬送先領域AR1(搬送先)を指定して、指定された搬送先領域AR1までの提案搬送経路R1を取得して、端末14に出力する。
図16に示すように、端末14は、指定された搬送先領域AR1までの提案搬送経路R1を、画面Dに表示する。この例では、ユーザによって、搬送先領域AR1(搬送先)を変更させる操作が実行されてもよい。例えば、ユーザによって、画面D上で、変更したい搬送先領域AR1が選択されて、変更後の搬送先領域AR1(搬送先)の位置が指定される。ユーザによって、複数の搬送先領域AR1が一括で選択されて、複数の搬送先領域AR1の位置が一括で変更されることが可能である。端末14の指定作業情報取得部82は、ユーザによって、複数の対象物Pの搬送先の位置を一括で変更する旨の入力がされた場合に、ユーザに指定された変更後の搬送先の位置の情報を、すなわち一括して変更された複数の対象物Pの搬送先の位置情報を、指定作業情報として取得して、演算装置12に出力する。演算装置12は、変更後の搬送先の位置に対して設定された提案搬送経路R1を取得して、端末14に出力する。端末14は、変更前の搬送先までの提案搬送経路R1から、変更後の搬送先までの提案搬送経路R1に切り替えて表示する。
【0090】
(効果)
以上説明したように、端末14は、ユーザから入力された、移動体10の作業内容を示す指定作業情報を取得する指定作業情報取得部80(第1の取得部)と、指定作業情報を外部の装置(ここでは移動体10や演算装置12)に出力する出力部90と、指定作業情報に基づいて生成された、移動体10の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置(ここでは移動体10や演算装置12)から取得する設定作業情報取得部82(第2の取得部)と、設定作業情報を表示部74に表示させる表示制御部88と、を含む。移動体10が実行する作業内容は、予め設定されたり自動的に決定されたりすることが多い。しかし、予め設定されたり自動的に決定されたりした作業内容とは異なる作業が求められたり、作業内容を予め設定したり自動的に決定したりすること自体が難しい場合もある。それに対し、本実施形態に係る端末14は、ユーザから指定された指定作業情報を取得して、移動体10や演算装置12などに出力する。そして、移動体10や演算装置12は、指定作業情報に基づいて、これから行う作業内容を示す設定作業情報を生成して、端末14に出力する。ユーザによって、端末14に表示された設定作業情報が確認されて、移動体10に自動で作業を行わせる。本実施形態によると、このように移動体10が行う作業がユーザの指定に基づいて決定されるため、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0091】
また、指定作業情報取得部80は、指定作業情報として、移動体10が搬送する対象物Pの情報と、対象物Pの搬送先の情報とを(すなわち初期指定情報を)、取得する。そのため、移動体10は、ユーザに指定された対象物Pを、ユーザに指定された搬送先に搬送する作業が可能となる。従って、本実施形態によると、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0092】
また、指定作業情報取得部80は、ユーザによって、複数の対象物Pの搬送先の位置を一括で変更する旨の入力がされた場合に、一括して変更された複数の対象物Pの搬送先の位置情報を、指定作業情報として取得する。本実施形態によると、ユーザによる柔軟な指示を受け付けることが可能であるため、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0093】
また、指定作業情報取得部80は、指定作業情報として、移動体10による対象物Pの搬送経路Rを含む指定搬送経路R2の情報を取得する。設定作業情報取得部82は、設定作業情報として、指定搬送経路R2の情報に基づいて生成された搬送経路Rを含む設定搬送経路R3の情報を取得する。そのため、移動体10は、ユーザに指定された搬送経路に基づいて算出された設定搬送経路R3で、対象物Pを搬送できる。従って、本実施形態によると、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。また、指定搬送経路R2は、ユーザによっておおまかに指定された経路であるが、指定搬送経路R2をそのまま用いず、指定搬送経路R2に基づいた設定搬送経路R3を用いることで、ユーザの指示を反映しつつ、設備Wの状況や移動体10の性能などに応じた適切な搬送経路を設定することができる。
【0094】
また、端末14は、提案作業情報取得部84(第3の取得部)をさらに含む。提案作業情報取得部84は、移動体10が搬送を開始する前に、ユーザに対して提案される搬送経路Rである提案搬送経路R1の情報を、外部の装置(演算装置12や移動体10)から取得する。指定作業情報取得部80は、提案搬送経路R1の情報が取得されたら、提案搬送経路R1に対して修正された指定搬送経路R2の情報を、指定作業情報として取得する。本実施形態によると、ユーザに指示される前に、予め自動的に設定された提案搬送経路R1が端末14を介してユーザに提案されるので、ユーザによる搬送経路Rの指定の負担を抑制することが可能となる。
【0095】
また、端末14は、外部の装置(移動体10や演算装置12)から搬送経路Rの再設定を要請する旨の情報(再設定要請情報)を取得する再設定要請取得部86(第4の取得部)をさらに含む。指定作業情報取得部80は、再設定要請情報を取得したら、指定搬送経路R2の情報を取得する。本実施形態によると、移動体10の作業中に、ユーザによって搬送経路Rが修正可能であるので、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0096】
また、指定作業情報取得部80は、移動体10が搬送する複数の対象物Pについて搬送する順番を指定する旨の情報を、指定作業情報として取得する。本実施形態によると、ユーザによる搬送順の指定が可能となるので、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0097】
また、指定作業情報取得部80は、移動体10が搬送する対象物Pの搬送方法を示す情報を、指定作業情報として取得する。本実施形態によると、ユーザによる搬送方法の指定が可能となるので、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0098】
また、指定作業情報取得部80は、移動体10のフォーク24を横方向に移動させるサイドシフトを用いて対象物Pをピックアップさせるか否かの情報を、対象物の搬送方法を示す情報として取得する。本実施形態によると、ユーザによるサイドシフトの指示も可能となるので、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0099】
また、表示制御部88は、ユーザの端末10に対する操作に応じて、対象物Pの搬送方法を示す画像(搬送方法画像PT2)を表示部74に表示させる。本実施形態によると、ユーザの操作に応じて搬送方法画像PT2を表示するため、ユーザによる搬送方法の指定を容易とすることができる。
【0100】
また、本実施形態に係る制御システム1は、端末14と、設定作業情報に基づいて作業を実行する移動体10とを含む。この制御システム1によると、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0101】
また、移動体10は、指定作業情報に基づいて設定作業情報を設定して、設定した設定作業情報を端末14に出力してよい。この制御システム1によると、移動体10と端末14との通信によって作業内容が設定されるので、移動体10が行う作業内容を迅速に設定することが可能となる。
【0102】
また、移動体10は、対象物Pの搬送経路である設定搬送経路R3を、設定作業情報として設定する。この制御システム1によると、移動体10によって設定搬送経路R3が設定されるので、搬送経路を迅速に設定することが可能となる。
【0103】
また、移動体10は、指定作業情報に、対象物Pの向きの情報が含まれる場合には、対象物Pの向きに基づいて、設定搬送経路R3を設定する。この制御システム1によると、対象物Pの向きに基づいて設定搬送経路R3が設定されるので、対象物Pの向きに応じて搬送経路を適切に設定することが可能となる。
【0104】
また、移動体10は、モデル予測制御によって、設定搬送経路を設定する。この制御システム1によると、モデル予測制御を用いるため、搬送経路を適切に設定することが可能となる。
【0105】
また、移動体10は、対象物Pの搬送経路の候補となる経路を複数算出して、複数の経路のうち、ユーザによって指定された搬送経路である指定搬送経路R2に最も近い経路を、設定搬送経路R3として設定する。この制御システム1によると、ユーザの意図を適切に反映した搬送経路を設定できる。
【0106】
また、移動体10は、対象物Pの搬送経路(指定搬送経路R2)がユーザによって指定されなかった場合には、予め設定された搬送経路である提案搬送経路R1を、設定搬送経路R3として設定する。この制御システム1によると、ユーザが提案搬送経路R1を承認した場合に、その提案搬送経路R1を設定搬送経路R3とすることで、搬送経路を適切に設定できる。
【0107】
また、移動体10は、設定搬送経路R3がユーザに承認されなかった場合には、ユーザに新たに指定された搬送経路(指定搬送経路R2)に基づき、設定搬送経路R3を更新して設定する。この制御システム1によると、ユーザの意図を適切に反映した搬送経路を設定できる。
【0108】
また、移動体10は、ユーザによって指定された対象物Pの搬送経路である指定搬送経路R2に基づいて設定搬送経路R3を設定する第1モードと、指定搬送経路R2によらず、設定搬送経路R3を自動で設定する第2モードとが、切り替え可能である。この制御システム1によると、ユーザの制御システム1への信頼度などに応じてモードを切り替えることができるため、ユーザの意図に応じて適切な搬送経路を設定できる。
【0109】
また、移動体10は、走行中に障害物を検出したら、ユーザに搬送経路の再設定を要請する旨の再設定要請情報を、端末14に出力する。この制御システム1によると、障害物を回避する経路がユーザによって設定されることで、障害物を回避する適切な経路を設定できる。
【0110】
また、移動体10は、走行中に障害物を検出したら、障害物を回避できる新たな搬送経路を生成して、新たな搬送経路に切り替えて走行する。この制御システム1によると、障害物を回避する経路を自動で設定する、ユーザの負荷を減らしつつ、障害物を回避する適切な経路を設定できる。
【0111】
また、制御システム1は、指定作業情報に基づいて設定作業情報を設定して、設定した設定作業情報を出力する演算装置12をさらに含んでよい。この制御システム1によると、演算装置12側で作業内容を設定するので、移動体10の演算負荷を低減できる。
【0112】
また、制御システム1は、移動体10が走行することを禁止する禁止経路を設定する演算装置12をさらに含んでよい。この制御システム1によると、禁止経路が設定されることで、移動体10同士の衝突などを抑制できる。
【0113】
また、演算装置12は、他の移動体が走行を予定している経路に近い経路を、禁止経路として設定する。この制御システム1によると、このように禁止経路が設定されることで、移動体10同士の衝突などを抑制できる。
【0114】
また、演算装置12は、移動体10が対象物Pを搬送する経路である設定搬送経路R3の少なくとも一部が、禁止経路に設定されている場合には、禁止経路の設定が解除されるまで、移動体10に走行を開始させない。この制御システム1によると、移動体10に禁止経路を走行させないことで、移動体10同士の衝突などを抑制できる。
【0115】
また、本実施形態に係る制御方法は、ユーザから入力された、移動体10の作業内容を示す指定作業情報を取得するステップと、指定作業情報を外部の装置に出力するステップと、指定作業情報に基づいて生成された、移動体10の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得するステップと、設定作業情報を表示部74に表示させるステップと、を含む。この制御方法によると、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0116】
また、本実施形態に係るプログラムは、ユーザから入力された、移動体10の作業内容を示す指定作業情報を取得するステップと、指定作業情報を外部の装置に出力するステップと、指定作業情報に基づいて生成された、移動体10の作業内容を示す設定作業情報を、外部の装置から取得するステップと、設定作業情報を表示部74に表示させるステップとを、コンピュータに実行させる。このプログラムによると、ユーザの指示を反映して、移動体10が行う作業内容を適切に設定することが可能となる。
【0117】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、対象物Pを車両Vに荷積みする点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0118】
図16は、本開示の少なくとも一実施形態に係る制御システムの模式図である。
図16に示すように、第2実施形態においては、移動体10は、設備Wの設置領域AR0に配置されている対象物Pを、車両Vの荷台PV内の搬送先領域AR1まで搬送する。移動体10は、アプローチ経路R0及びアプローチ軌道TR0に従って設置領域AR0の対象物Pにアプローチする。移動体10は、設置領域AR0の対象物Pをピックアップして、搬送経路Rに従って車両Vの搬送先領域AR1まで搬送して、搬送先領域AR1に対象物Pを荷積みする。アプローチ経路R0及びアプローチ軌道TR0の設定方法は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0119】
図17は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
図17に示すように、端末14は、表示部74の画面Dに、車両Vの画像と、車両V内の設置領域AR0の画像と、対象物Pの画像と、搬送先領域AR1の画像と、提案搬送経路R1の画像と、を表示させる。提案作業情報としての提案搬送経路R1は、設備Wの設置領域AR0と車両Vの搬送先領域AR1までの経路として、演算装置12によって取得された搬送経路Rである。搬送先領域AR1の取得方法は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0120】
図18は、表示部に表示された提案搬送経路の例を示す模式図である。
図19に示すように、端末14は、提案搬送経路R1を取得して画面Dに表示したら、指定作業情報としての指定搬送経路R2を取得して、画面Dに表示させる。指定搬送経路R2は、ユーザによって入力された搬送経路Rである。指定搬送経路R2の取得方法は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0121】
図19は、表示部に表示された設定搬送経路の例を示す模式図である。
図19に示すように、端末14は、設定作業情報としての設定搬送経路R3を、画面Dに表示させる。設定搬送経路R3は、移動体10又は演算装置12によって指定搬送経路R2に基づいて設定された搬送経路Rである。設定搬送経路R3の設定方法は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0122】
以上説明したように、制御システム1は、対象物Pを車両Vに荷積みする際にも適用可能である。
【0123】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0124】
1 制御システム
10 移動体
12 演算装置
14 端末
74 表示部
80 指定作業情報取得部(第1の取得部の一例)
82 設定作業情報取得部(第2の取得部の一例)
84 提案作業情報取得部(第3の取得部の一例)
86 再設定要請取得部(第4の取得部の一例)
88 表示制御部
90 出力部
AR0 設置領域
AR1 搬送先領域
P 対象物
R 搬送経路
R0 アプローチ経路
R1 提案搬送経路
R2 指定搬送経路
R3 設定搬送経路
TR0 アプローチ軌道