(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】戸別宿泊コンテナ
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240307BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240307BHJP
B60P 3/33 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
E04B1/343 Q
E04H1/12 302Z
B60P3/33
(21)【出願番号】P 2020085550
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】593058684
【氏名又は名称】山田 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸男
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190156(JP,A)
【文献】実開平01-088895(JP,U)
【文献】登録実用新案第3224784(JP,U)
【文献】登録実用新案第3093479(JP,U)
【文献】特開2018-166260(JP,A)
【文献】特開平08-050804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/343,1/348
B65D 88/00-90/66
B60P 3/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型車両に積める大きさの直方体の形状とした既存コンテナを改造して窓及び出入り口ドアを設けると共に、既存コンテナを長さ方向に壁により複数に区分けして、コンテナ内部に複数の寝室を形成し、上段ベッド及び下段ベッドを設けている前記寝室に前記下段ベッドの下部に出し入れ自在の簡易ベッドを設け、前記寝室が、四人家族、五人・六人親類に対応した寝室となるように、前記寝室に、前記上段ベッド、前記下段ベッド及び前記簡易ベッドを、通路を隔てて互いに向き合うようにそれぞれ一対ずつ配置した
一次避難用戸別宿泊コンテナであって、前記戸別宿泊コンテナの下部四隅に鉤状の土突きを設け、前記戸別宿泊コンテナの上部中央及び四隅に積み下ろし固定するためのフック掛け金具を設け、保管場所に前記戸別宿泊コンテナを2段積みにする際に、前記土突きに四隅の前記フック掛け金具が嵌合して安定して固定することができることを特徴とする一次避難用戸別宿泊コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害の一次避難時に、避難した方が板の床やプライバシーのない学校の体育館、公民館などで過ごすことを解決する個室宿泊コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
噴火、地震、台風、河川の氾濫や地滑り等による災害により避難する人々が年々、その回数や人数が多く出ている。このようなニュースを目にするたびに公民館や体育館などの避難場所での様子がテレビで放映される。その都度、その時夜行列車の一室が浮かび使えるなと思った。プライバシーは、床板で眠れるだろうか、色々と苦労することを考えてしまう。これらの苦痛を少しでも解決できないだろうか、・・・と。いつ、どこで起きるかわからない災害、誰も体験したくない出来事ではあるが、避けて通れないのであれば、市町村、各県、全国的な協力できないものかと考えてしまう。
【0003】
従来、被災地の避難場所などのように宿泊施設などが一時的に不足する場所に、個々に用途に応じ設備を迅速・的確に運搬・設置ができるように、災害時の住宅等における用途限定構造を備えたキャビン体の供給システムが知られている(特許文献1を参照)。
また、被災地などの一時的に人が集まる場所に、用途に応じて迅速・的確に運搬・設置ができるように、ハウス本体の内部に、シャワーユニット、トイレユニットおよび洗面ユニット等からなる水周りユニットを配置したような用途限定構造を有する限定用途のコンテナハウス又はトレーラーハウスが知られている(特許文献2を参照)。
【0004】
これらの公知技術は、災害時には、被災地情報端末手段から発信された被災地域で必要とするキャビン体の種類と数量とからなる被災地情報に基づいて、配備情報端末手段により、被災地周辺地域に分散配備された配備拠点毎に供給すべき種類と数量のキャビン体を選択し、出動情報端末手段により出動させることができるから、被災地に必要とする多種多様なキャビン体をその周辺の配備拠点から過不足なく迅速に搬送することができるものである。
【0005】
しかし、これらの公知技術は、前記キャビン体が長期にわたる避難生活や限定用途には有効であるが、災害発生早期の一次避難時には間に合わず、緊急に簡易宿泊できる施設が必要となり、これに呼応するような個室宿泊コンテナがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-166260号公報
【文献】特開2018-39280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、災害の一次避難時に、避難した方が板の床やプライバシーのない学校の体育館、公民館などで過ごすことを解決する個室宿泊コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の箱形の戸別宿泊コンテナは、大型車両に積める直方体の大きさとし、既存コンテナを改造して窓及び出入り口ドアを設けると共に、コンテナ内部に寝室空間を形成し、前記戸別宿泊コンテナの下部四隅に鉤状の土突きを設け、前記戸別宿泊コンテナの上部中央及び四隅に積み下ろし固定するためのフック掛け金具を設け、保管場所に前記戸別宿泊コンテナを2段積みにする際に、前記土突きに四隅の前記フック掛け金具が嵌合して安定して固定することができる。
【0009】
前記戸別宿泊コンテナは、一人独身、二人夫婦、三人親子に対応した寝室となるように、上段ベッド及び下段ベッドを設けている寝室に前記下段ベッドの下部に出し入れ自在の子供用の簡易ベッドを設け、または、四人家族、五人・六人親類に対応した寝室となるように、寝室のベッドを互いに向き合うように通路を隔てて線対称的に配置して、既存コンテナの長さ方向を壁により複数に区分けして寝室を形成する。
【0010】
前記戸別宿泊コンテナは、各寝室毎に、屋根に備えた充電式ソーラー発電装置と、該充電式ソーラー発電装置により温風、冷風を確保する通気ダクトファンと、夜間の照明のための電池式ランタンと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の戸別宿泊コンテナは、一次避難時の公民館、体育館等における板の床の解消および主に家族単位でのプライバシーの確保が目的であり、全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導で戸別宿泊コンテナを確保しておくため、災害で必要な市町村に持ち込み、助け合うことができ、どこで災害が起きても県単位、全国的に助け合えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明の戸別宿泊コンテナの一部破断概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の戸別宿泊コンテナの一実施例を図面に基づいて、以下に説明する。
図1の正面図に示すように、箱形の戸別宿泊コンテナ1は、大型車両、例えば11t車に積める大きさとし、既存コンテナを改造して窓(図示省略)及び出入り口ドア5を設けると共に、コンテナ内部に寝室2空間を形成する。
戸別宿泊コンテナ1の下部四隅に鉤状の土突き3を有し、戸別宿泊コンテナ1の上部中央及び四隅に積み下ろし固定するためのフック掛け金具4を有する。そして、保管場所に前記戸別宿泊コンテナ1を2段積みにする際に、前記土突き3に四隅の前記フック掛け金具4が嵌合して安定して固定することができる。
災害地に着いたら、戸別宿泊コンテナ1が直接地面に接触することがないように四隅位置にコンクリートブロック(図示省略)を並べ、前記コンクリートブロックに戸別宿泊コンテナ1を載せて1段の横並び列とする。
【0014】
前記既存コンテナを利用した戸別宿泊コンテナ1は、カプセルタイプの寝室2が基本であるが、一人独身、二人夫婦、三人親子や寝室2のベッドを互いに向き合うように通路を隔てて
線対称的に配置して四人家族、五人・六人親類などに対応した寝室2となるように、必要に応じて既存コンテナの長さ方向を壁により複数に区分けして寝室2を形成する。
図2の
図1のA-A矢視断面図に示すように、夫婦や親子で過ごすことを想定し、2人・3人用に二段ベッド (旧ブルートレインの寝台を想定してもらえればよい。) 寝室2が必要であり、
図3の一部破断概略斜視図に示すように、上段ベッド6及び下段ベッド7を設けている二段ベッド寝室2に前記下段ベッド7の下部に出し入れ自在の子供用の簡易ベッド8を設ける。
また、
図3に示す寝室2のベッドを互いに向き合うように通路を隔てて
線対称的に配置して四人家族、五人・六人親類に対応した寝室2となるように、必要に応じて既存コンテナの長さ方向を壁により複数に区分けして寝室2を形成することもできる。
【0015】
図2に示すように、戸別宿泊コンテナ1の各寝室2毎に、屋根に充電式ソーラー発電装置9を有し、通気ダクトファン10により温風、冷風を確保する。また夜間の照明は、電池式ランタン11を利用する。
【0016】
災害で必要な市町村に戸別宿泊コンテナ(個室宿泊コンテナ)を持ち込み、助け合う。
また県単位で多数個必要な時もあるので、全国の県単位で保管し、相互に助け合うことも大事である。
全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導で、移動が可能な小さい個室のカプセルタイプの臨時居住ができる戸別宿泊コンテナを製作し、前記戸別宿泊コンテナには市町村名と識別番号を記入し、避難地や公園等で複数個ずつ保管しておく。
全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導では、災害支援窓口を設け、災害時に救助連絡を受けることができるようにし、災害支援窓口に相互連絡が取れるように通信回線でインターネットに接続する。
どこで災害が起きても県単位、全国的に助け合えるように全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導で保管場所と数量の情報は共有できるように保管データベースを作成し、データベース化しておき、災害に備え準備しておく。
【0017】
次に、災害が発生した際の具体的な戸別宿泊コンテナの利用方法について、以下に述べる。
例えば、河川の氾濫や地滑り等による災害が発生した場合には、被災者は自分の居住地の全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導の災害支援窓口に携帯電話やパソコンなどの通信機器を利用して戸別宿泊コンテナの利用希望を伝える。
全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導の保管データベースにアクセスして保管している戸別宿泊コンテナ1の保管場所と数量を検索し、被災地に近い保管場所又は周辺の市町村へ連絡して戸別宿泊コンテナの運搬、設置を依頼する。
【0018】
被災地における戸別宿泊コンテナを設置する避難場所を選択し、戸別宿泊コンテナを運搬する運送会社に避難場所を伝えると共に被災者にも避難場所を教える。
被災地では、直接地面に接触することがないように四隅にコンクリートブロックなど並べて戸別宿泊コンテナを設置し、
図2に示すように、戸別宿泊コンテナ1の各寝室2には、屋根に充電式ソーラー発電装置9を備え、通風ダクトファン10により温風、冷風を確保できるようにすると共に、夜間の照明のために電池式ランタン11を備える。
前記戸別宿泊コンテナ1は、カプセルタイプの寝室2が基本であるが、一人独身、二人夫婦、三人親子や四人家族、五人・六人親類などに対応した寝室2となるように、必要に応じて既存コンテナの長さ方向を壁により複数に区分けして寝室2を用意する。
【0019】
このような戸別宿泊コンテナでの避難生活は、一時的なものであり、インフラ等の設備が整うまでの短期間であり、長期にわたる避難生活には不向きである。
仮設住宅等の長期滞在の環境が整ったら、全ての戸別宿泊コンテナは回収して、全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導の保管場所へ返却する。
災害時の戸別宿泊コンテナの提供情報と共に、この返却情報も全国ボランティア組織や全国県単位の行政主導の保管データベースに記憶させて次の災害に備える。
【符号の説明】
【0020】
1 戸別宿泊コンテナ
2 寝室
3 土突き
4 フック掛け金具
5 出入り口ドア
6 上段ベッド
7 下段ベッド
8 簡易ベッド
9 充電式ソーラー発電
10 通気ダクトファン
11 電池式ランタン