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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】二次電池の充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020105241
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021197883
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 邦久
(72)【発明者】
【氏名】北村 謙治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅人
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-199804(JP,A)
【文献】特開平8-280140(JP,A)
【文献】特開2010-233369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池に電力を供給する充電回路と、
前記充電回路から二次電池への電力供給を断接するため開閉する第一スイッチ要素と、
前記第一スイッチ要素の開閉を制御する制御装置と、
を備え、
前記充電回路は、充電時、前記二次電池の両極間に印加される出力電圧を所定の充電時設定電圧に保持する定電圧回路部を有し、
前記定電圧回路部は、
前記出力電圧を分圧する第一抵抗部及び前記第一抵抗部の低圧側に直列接続された第二抵抗部と、
一定に保持された電圧を分圧する第三抵抗部及び前記第三抵抗部の低圧側に直列接続された第四抵抗部と、
前記第一抵抗部と前記第二抵抗部との接続点における電圧として定義される中間電圧と、前記第三抵抗部と前記第四抵抗部との接続点における電圧として定義される基準電圧とを比較するコンパレータと、を備えるとともに、
前記コンパレータで比較した前記中間電圧の前記基準電圧との差がゼロになるようにフィードバック制御することにより前記出力電圧を前記充電時設定電圧に保持するよう構成されており、
前記第一乃至第四抵抗部の少なくとも1つは、第一固定抵抗と第二固定抵抗とを含む少なくとも2つの固定抵抗と、第二スイッチ要素とを備えるとともに前記第二スイッチ要素を開閉させることにより抵抗値を切り替えることができる抵抗値切替可能抵抗部として構成され、
前記制御装置は、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して、前記第二スイッチ要素を開放または閉止することにより前記抵抗値切替可能抵抗部の抵抗値を切り替え、それにより、前記出力電圧を、前記充電時設定電圧より低い所定の充電停止時設定電圧に保持するように構成されている二次電池の充電装置。
【請求項2】
前記抵抗値切替可能抵抗部は、前記第一固定抵抗に、前記第二固定抵抗と前記第二スイッチ要素とを直列に接続してなる抵抗調整部を並列接続して構成され、
前記第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、前記第四抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は開放状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成され、
前記第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、前記第三抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は閉止状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成される、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記抵抗値切替可能抵抗部は、前記第一固定抵抗に、前記第二固定抵抗と第二スイッチ要素とを並列に接続した抵抗調整部を直列接続して構成され、
前記第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、前記第四抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は開放状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成され、
前記第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、前記第三抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は閉止状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成される、請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
二次電池に電力を供給する充電回路と、
前記充電回路から二次電池への電力供給を断接するため開閉する第一スイッチ要素と、
前記第一スイッチ要素の開閉を制御する制御装置と、
を備え、
前記充電回路は、充電時、前記二次電池の両極間に印加される出力電圧を所定の充電時設定電圧に保持する定電圧回路部を有し、
前記定電圧回路部は、
前記出力電圧を分圧する第一抵抗部及び前記第一抵抗部の低圧側に直列接続された第二抵抗部と、
前記第一抵抗部と前記第二抵抗部との接続点における電圧として定義される中間電圧と所定の基準電圧とを比較するコンパレータと、を備えるとともに、
前記コンパレータで比較した前記中間電圧の前記基準電圧との差がゼロになるようにフィードバック制御することにより前記出力電圧を充電時電圧に保持するよう構成されており、
前記第一及び第二抵抗部の少なくとも1つは、第一固定抵抗と第二固定抵抗とを含む少なくとも2つの固定抵抗と、第二スイッチ要素とを備え、前記第二スイッチ要素を開閉させることにより抵抗値を切り替えることができる抵抗値切替可能抵抗部として構成され、
前記制御装置は、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して、前記第二スイッチ要素を開放または閉止することにより前記抵抗値切替可能抵抗部の抵抗値を切り替え、それにより、前記出力電圧を、前記充電時設定電圧より低い所定の充電停止時設定電圧に保持するように構成されている二次電池の充電装置。
【請求項5】
前記抵抗値切替可能抵抗部は、前記第一固定抵抗に、前記第二固定抵抗と前記第二スイッチ要素とを直列に接続した抵抗調整部を並列接続して構成され、
前記第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は開放状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成され、
前記第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は閉止状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成される、請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記抵抗値切替可能抵抗部は、前記第一固定抵抗に、前記第二固定抵抗と第二スイッチ要素とを並列に接続した抵抗調整部を直列接続して構成され、
前記第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は開放状態を保持し、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成され、
前記第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素は、充電時は閉止状態を保持し、前記第一スイッチ要素
を開放する信号に同期して開放されるよう構成される、請求項4に記載の充電装置。
【請求項7】
前記充電回路は、定電流回路部を備える請求項1~6のいずれかに記載の充電装置。
【請求項8】
前記充電停止時設定電圧は、前記二次電池の過放電電池電圧以下である請求項1~7のいずれか1項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充電装置に関し、特に、前記充電回路から二次電池への電力供給を断接するため充電停止スイッチを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、二次電池を充電するための充電装置では、過充電を防止するため、また、装置に異常が発生した際にその影響が二次電池に及ぶのを防止するため、電圧が所定の値を超えたり、そのような異常が発生したりした場合には、電力の供給を停止するための充電停止スイッチがもうけられている。
【0003】
しかし、このような充電停止には通常半導体スイッチが用いられており、充電の開始及び停止の度に開閉させるためのものであるが、閉じた状態、すなわちショートモードで故障した場合、充電を停止すべくスイッチを開放しようとしても開放することができず、電池への充電を止めることができず、電池を過充電させてしまという問題があった。このような過充電に対処するため、従来は、充電されるべき二次電池側に保護装置を逐一設ける必要があり、コスト等が問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-341871
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、充電停止スイッチが故障しても、二次電池側に保護装置を設けなくとも確実に充電を停止することのできる充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る第一発明は、二次電池と、
前記二次電池に電力を供給する充電回路と、
前記充電回路から二次電池への電力供給を断接するため開閉する第一スイッチ要素と、
前記第一スイッチ要素の開閉を制御する制御装置と、
を備え、
前記充電回路は、充電時、前記二次電池の両極間に印加される出力電圧を所定の充電時設定電圧に保持する定電圧回路部を有し、
前記定電圧回路部は、
前記出力電圧を分圧する第一抵抗部及び前記第一抵抗部の低圧側に直列接続された第二抵抗部と、
一定に保持された電圧を分圧する第三抵抗部及び前記第三抵抗部の低圧側に直列接続された第四抵抗部と、
前記第一抵抗部と前記第二抵抗部との接続点における電圧として定義される中間電圧と、前記第三抵抗部と前記第四抵抗部との接続点における電圧として定義される基準電圧とを比較するコンパレータと、を備えるとともに、
前記コンパレータで比較した前記中間電圧の前記基準電圧との差がゼロになるようにフィードバック制御することにより前記出力電圧を前記充電時設定電圧に保持するよう構成されており、
前記第一乃至第四抵抗部の少なくとも1つは、第一固定抵抗と第二固定抵抗とを含む少なくとも2つの固定抵抗と、第二スイッチ要素とを備えるとともに前記第二スイッチ要素を開閉させることにより抵抗値を切り替えることができる抵抗値切替可能抵抗部として構成され、
前記制御装置は、前記第一スイッチ要素を開放する信号に同期して、前記第二スイッチ要素を開放または閉止することにより前記抵抗値切替可能抵抗部の抵抗値を切り替え、それにより、前記出力電圧を、前記充電時設定電圧より低い所定の充電停止時設定電圧に保持するように構成されている二次電池の充電装置である。
【0007】
なお、本明細書において、スイッチ(要素)を開放すること及び閉止することと記載された表現は、それぞれ、これらのスイッチ(要素)をONにする及びOFFにすることと同義である。
【0008】
本発明によれば、充電停止スイッチを構成する第一スイッチ要素を開放する信号に同期して、前記第二スイッチ要素を開放または閉止し、それにより、前記出力電圧を、前記充電時設定電圧より低い所定の充電停止時設定電圧に保持するように構成されているので、所定の充電停止時設定電圧を二次電池の充電ができないような低い電圧に設定しておくことにより、仮に充電停止スイッチが故障してこれを開放することができなくとも、二次電池は充電されることはなく、過充電を防止することができる。
【0009】
また、この第一発明は、定電圧回路部を構成する第一乃至第四抵抗部の少なくとも一つを抵抗値切替可能とすることにより、充電停止スイッチを開放するタイミングで充電停止時設定電圧を発生させるものであり、既に用いられている定電圧回路部の抵抗部をわずかに変更するだけで、上記機能を容易に担持させることができる。
【0010】
第一発明における抵抗値切替可能抵抗部の態様としては、第一固定抵抗に、第二固定抵抗と前記第二スイッチ要素とを直列に接続した抵抗調整部を並列接続して構成することがでる。
【0011】
この構成においては、第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、第四抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、第二スイッチ要素を、充電時は開放状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成し、第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、第三抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素を、充電時は閉止状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成することにより、充電停止スイッチを開放するタイミングで充電停止時設定電圧を発生させることができる。
【0012】
第一発明における抵抗値切替可能抵抗部の別の態様としては、、抵抗値切替可能抵抗部を、第一固定抵抗に、第二固定抵抗と第二スイッチ要素とを並列に接続した抵抗調整部を直列接続して構成することができる。
【0013】
この構成においては、第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、第四抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、第二スイッチ要素を、充電時は開放状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成し、第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合、又は、第三抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、第二スイッチ要素を、充電時は閉止状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成することにより、同様に、充電停止スイッチを開放するタイミングで充電停止時設定電圧を発生させることができる。
【0014】
本願の第二発明は、二次電池と、
前記二次電池に電力を供給する充電回路と、
前記充電回路から二次電池への電力供給を断接するため開閉する第一スイッチ要素と、
前記第一スイッチ要素の開閉を制御する制御装置と、
を備え、
前記充電回路は、充電時、前記二次電池の両極間に印加される出力電圧を所定の充電時設定電圧に保持する定電圧回路部を有し、
前記定電圧回路部は、
前記出力電圧を分圧する第一抵抗部及び前記第一抵抗部の低圧側に直列接続された第二抵抗部と、
前記第一抵抗部と前記第二抵抗部との接続点における電圧として定義される中間電圧と所定の基準電圧とを比較するコンパレータと、を備えるとともに、
前記コンパレータで比較した前記中間電圧の前記基準電圧との差がゼロになるようにフィードバック制御することにより前記出力電圧を充電時電圧に保持するよう構成されており、
前記第一及び第二抵抗部の少なくとも1つは、第一固定抵抗と第二固定抵抗とを含む少なくとも2つの固定抵抗と、第二スイッチ要素とを備えるとともに、前記第二スイッチ要素を開閉させることにより抵抗値を切り替えることができる抵抗値切替可能抵抗部として構成され、
前記制御装置は、前記第一スイッチ要素を開放する、信号に同期して、前記第二スイッチ要素を開放しまたは閉止することにより前記抵抗値切替可能抵抗部の抵抗値を切り替え、それにより、前記出力電圧を、前記充電時設定電圧より低い所定の充電停止時設定電圧に保持するように構成されている二次電池の充電装置である。
【0015】
本発明によれば、第一発明同様、充電停止スイッチを構成する第一スイッチ要素を開放する信号に同期して、前記第二スイッチ要素を開放または閉止し、それにより、前記出力電圧を、前記充電時設定電圧より低い所定の充電停止時設定電圧に保持するように構成されているので、所定の充電停止時設定電圧を二次電池の充電ができないような低い電圧に設定しておくことにより、仮に充電停止スイッチが故障してこれを開放することができなくとも、二次電池は充電されることはなく、過充電を防止することができる。
【0016】
また、この第二発明も、定電圧回路部を構成する第一又は第二抵抗部の少なくとも一つを抵抗値切替可能とすることにより、充電停止スイッチを開放するタイミングで充電停止時設定電圧を発生させるものであり、既に用いられている定電圧回路部の抵抗部を変更するだけで、上記機能を容易に担持させることができる。
【0017】
第二発明における抵抗値切替可能抵抗部の態様としては、第一固定抵抗に、第二固定抵抗と前記第二スイッチ要素とを直列に接続した抵抗調整部を並列接続して構成することがでる。
【0018】
この構成においては、第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、第二スイッチ要素を、充電時は開放状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成し、第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、前記第二スイッチ要素を、充電時は閉止状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成することにより、充電停止スイッチを開放するタイミングで充電停止時設定電圧を発生させることができる。
【0019】
第二発明における抵抗値切替可能抵抗部の別の態様としては、、抵抗値切替可能抵抗部を、第一固定抵抗に、第二固定抵抗と第二スイッチ要素とを並列に接続した抵抗調整部を直列接続して構成することができる。
【0020】
この構成においては、第一抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、第二スイッチ要素を、充電時は開放状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して閉止されるよう構成し、第二抵抗部が抵抗値切替可能抵抗部である場合には、第二スイッチ要素を、充電時は閉止状態を保持し、第一スイッチ要素を開放する信号に同期して開放されるよう構成することにより、充電停止スイッチを開放するタイミングで充電停止時設定電圧を発生させることができる。
【0021】
充電回路は、定電流回路部を備えることが好ましい。これにより、一定電圧かつ一定電流での充電を可能にすることができる。
【0022】
また、前記充電停止時設定電圧は、前記二次電池を充電させないために、過放電電池電圧以下とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本開示に係る二次電池の充電装置の第一実施形態を示す概略回路図である。
図2図2は、第一実施形態の、第一スイッチ要素及び第二スイッチ要素の開閉タイミング並びに出力電圧の時間変化及び充電電流の時間変化を示す図である。
図3図3は、第三実施形態の定電圧回路部を示す概略回路図である。
図4図4は、第四実施形態の定電圧回路部を示す概略回路図である。
図5図5は、第三実施形態の、第一スイッチ要素及び第二スイッチ要素の開閉タイミング並びに出力電圧の時間変化及び充電電流の時間変化を示す図である。
図6図6は、第四実施形態の定電圧回路部を示す概略回路図である。
図7図7は、第五実施形態の二次電池の充電装置を示す概略回路図である。
図8図8は、第六実施形態の定電圧回路部を示す概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、第一実施形態の充電装置10は、二次電池20に電力を供給する充電回路1と、この充電回路1から二次電池20への電力供給を断接するため開閉する第一スイッチ要素S1と、第一スイッチ要素S1の開閉を制御する制御装置5とを備えている。充電回路1は、充電時、二次電池20の両極間に印加される出力電圧Voutを所定の充電時設定電圧Vcgに保持する定電圧回路部2を有する。また、定電圧回路部2には、後述するように第二スイッチ要素S2が設けられている。
【0025】
二次電池20は通常、複数のセルを直列に接続して構成され、これにより所定の電圧を発生させることができる。また、第一スイッチ要素S1及び第二スイッチ要素S2は、例えば半導体スイッチで構成される。第一スイッチ要素S1は、過充電を防止するため、また、充電装置10に異常が発生した際にその影響が二次電池20に及ぶのを防止するため、二次電池20の電圧が所定の値を超えたり、異常が発生したりした場合には、電力の供給を停止するための充電停止スイッチとして機能する。第一スイッチ要素S1の開閉は、制御装置5から信号を出力することによって制御される。
【0026】
制御装置5は、充電装置10の全体を制御するものであり、二次電池20の電圧や温度の信号を入力し、異常を判断し検出する機能を有し、その判断にもとづき、第一スイッチ要素S1や第二スイッチ要素S2を含む充電装置10の各部分に信号を出力してこれらを制御する。
【0027】
また、充電プロセスは一定電流の下で行うのが好ましく、このため、充電装置10は、定電圧回路部1に加え定電流回路部3を備えるのが好ましい。そしてこの実施形態においては、詳細を図示しないが、定電流回路部3が設けられ、その制御は、例えば、充電時の充電電流に比例する電圧を検知しこの電圧が所定電圧となるようフィードバック制御することによって行われる。
【0028】
次に、この実施形態の定電圧回路部2について詳しく説明する。定電圧回路部2は、帰還型のものが用いられ、前記出力電圧Voutを分圧する第一抵抗部R1及びこの第一抵抗部R1の低圧側に直列接続された第二抵抗部R2と、一定に保持された電圧V0を分圧する第三抵抗部R3及びこの第三抵抗部R3の低圧側に直列接続された第四抵抗部R4と、コンパレータ4とを備える。
【0029】
コンパレータ4は、第一抵抗部R1と第二抵抗部R2との接続点P1における電圧として定義される中間電圧Vmと、第三抵抗部R3と前記第四抵抗部R4との接続点P2における電圧として定義される基準電圧Vbとを比較する。そして、定電圧回路部2は、中間電圧Vmと基準電圧Vbとが等しくなるようにフィードバック制御が行われ、その結果、出力電圧Voutが一定になるように制御されている。
【0030】
よって、平衡状態においては、以下の式(1)が成立している。

Vout=V0*r4*(r1+r2)/(r2*(r3+r4)) (1)

式(1)において、r1~r4はそれぞれ、第一抵抗部R1~第四抵抗部R4の抵抗(複数の固定抵抗よりなる場合にはそれらの合成抵抗)の値を表す。
【0031】
ここで、第一抵抗部R1~第三抵抗部R3は、単一の固定抵抗R1~R3より構成されるが、第四抵抗部R4は図1に示す通り、第一固定抵抗R4aと、第二固定抵抗R4bと、第二スイッチ要素S2とを備え、第一固定抵抗R4aに、第二固定抵抗R4bと前記第二スイッチ要素S2とを直列に接続した抵抗調整部Raj1を並列接続して構成される。ここで、第一固定抵抗R4a及び第二固定抵抗R4bの抵抗値をr4a、r4bとする。
【0032】
このように構成された第四抵抗部R4の抵抗値r4は、第二スイッチ要素S2が開放状態のとき、r4aである。一方、第二スイッチ要素S2が閉止状態のときの第四抵抗部R4の抵抗値r4は、並列に接続された第一固定抵抗R4aと第二固定抵抗R4bとの合成抵抗値となるので、r4aより小さいr4a*r4b/(r4a+r4b)の抵抗値を有する。すなわち、第四抵抗部R4は、第二スイッチ要素S2を開閉することにより抵抗値が変化する抵抗値切替可能抵抗部として構成され、第二スイッチ要素S2を閉止したとき、第四抵抗部R4の抵抗値r4は、開放時の抵抗値r4aからr4a*r4b/(r4a+r4b)に低下するよう切り替わる。
【0033】
第四抵抗部R4の抵抗値r4が低下するということは、一定電圧V0をr3とr4との比で分圧して得られる点P2の電圧、すなわち、基準電圧Vbが低下することになる。そして、第一抵抗部R1と第二抵抗部R2との接続点P1における中間電圧Vmは基準電圧Vbと等しくなるよう制御されているので、抵抗値r4が低下に伴って中間電圧Vmも低下し、さらに、出力電圧Vout は中間電圧Vmに定数(r1+r2)/r2を乗じたものなので、第二スイッチ要素S2を閉止に伴う抵抗値r4の低下により、出力電圧Voutも低下するよう切り替わることになる。このことは、式(1)からも明らかである。
【0034】
次に、第一の実施形態における第一スイッチ要素S1及び第二スイッチ要素S2の動作について説明する。
【0035】
図2は、第一スイッチ要素S1及び第二スイッチ要素S2の開閉タイミング並びに充電装置からの出力電圧Voutの時間変化及び充電電流Icgの時間変化を、横軸に経過時間をとって示す図である。図2(a)は第一スイッチ要素S1の開閉タイミング、図2(b)は第二スイッチ要素S2の開閉タイミング、図2(c)は出力電圧Voutの時間変化、そして、図2(d)は充電電流Icgの時間変化を、それぞれ時間を合わせて示している。
【0036】
制御装置5は、第一スイッチ要素S1の開閉する信号のタイミングに合わせて第二スイッチ要素S2にも信号を出力しこれを開閉する。ここで、第一の実施形態においては、図2(b)に示すとおり、第一スイッチ要素S1が開放する(すなわちOFFする)タイミングで第二スイッチ要素S2が閉止する(すなわちONする)、いわゆる逆相の動作をする。
【0037】
上記のような動作の結果、第一スイッチ要素S1が閉止(すなわちONし充電中)しているときの出力電圧Vout が充電時設定電圧Vcgとなるよう制御されているとすると、第一スイッチ要素S1がONからOFFに変化し、これに同期して第二スイッチ要素S2がOFFからONに切り替わったとき、前述の通り、第四抵抗部R4の抵抗値r4は低下するので、出力電圧Voutは低下する。そして、第四抵抗部R4の第一固定抵抗R4aと第二固定抵抗R4bとの抵抗値を調整することにより、低下時の出力電圧Voutをあらかじめ定めた充電停止時設定電圧Vncとなるようにしておくことができる。なお、充電停止時設定電圧Vncは当然、充電時設定電圧Vcgより低い。
【0038】
充電を停止するため第一スイッチ要素S1を開放する(OFFにする)と、正常時は、第一スイッチ要素S1により充電電流は遮断されるので、図2(d)に示すように、二次電池20への充電電流Icgはゼロとなる。しかし、このタイミングで第一スイッチ要素S1がショートモードで開放できなくなる可能性がある。
【0039】
このような問題に対して、第一実施形態の充電装置によれば、第一スイッチ要素S1を開放して充電を停止すべきタイミングにおいて、仮に故障等によりこれを開放できず(OFFならない)充電を遮断できなくなっても、充電停止時設定電圧Vncを定常時における実際の電池電圧より低くなるように設定しておくことにより、二次電池20には電流は流れず充電電流Icgはゼロとすることができ、よって過充電を防止することができる。
【0040】
図3は、第二実施形態の充電装置の定電圧回路部2Aを示す概略図である。第一実施形態の定電圧回路部2では、第一抵抗部R1~第三抵抗部R3が単一の固定抵抗R1~R3よりそれぞれ構成され、第四抵抗部R4だけが抵抗値切替可能抵抗部として構成されるのに対し、第二実施形態の定電圧回路部2Aでは、代わりに、第二抵抗部R2~第四抵抗部R4がそれぞれ単一の固定抵抗R2~R4よりなり、第一抵抗部R1だけが抵抗値切替可能抵抗部として構成されている点が、第一実施形態と異なり、その他の点については、第一実施形態と同様に構成されている。
【0041】
第二実施形態では、第一抵抗部R1は図3に示す通り、第一実施形態における第四抵抗部R4と同様、第一固定抵抗R1aと、第二固定抵抗R1bと、第二スイッチ要素S2とを備え、第一固定抵抗R1aに、第二固定抵抗R1bと第二スイッチ要素S2とを直列に接続した抵抗調整部Rajを並列接続して構成される。
【0042】
したがって、第二実施形態においても、第二スイッチ要素S2を閉止したとき、第一抵抗部R1の抵抗値r1は、開放時の抵抗値r1aからr1a*r1b/(r1a+r1b)に低下するよう切り替わる(r1a、r1bは、それぞれ第一固定抵抗R1a及び第二固定抵抗R1bの抵抗値)。
【0043】
第一抵抗部R1の抵抗値r1が低下したとき、もし出力電圧Voutが一定なら第一抵抗部R1と第三抵抗部R3との接続点P1の電圧、すなわち中間電圧Vmは、抵抗値r1の低下に応じて上昇してしまうが、中間電圧Vmは一定値Vbと同じ値をとるよう制御されるので、第二実施形態では、第一抵抗部R1の抵抗値r1が低下した分だけVmを一定にすべく出力電圧Voutが低下するように制御される。このことは、式(1)からもわかる。このように、第二実施形態においても、第二スイッチ要素S2を閉止したとき、第一実施形態と同じく、出力電圧Voutも低下するよう切り替わることになる。
【0044】
これにより、第一実施形態について説明したとおり、第二実施形態においても、第一スイッチ要素S1のON-OFFに伴って充電電圧Vcg、充電電流Icgが図2に示すように変化し、その結果、第一スイッチ要素S1で構成される充電停止スイッチが故障してこれをOFFすることができなくとも、二次電池20は充電されることはなく過充電を防止することができる。
【0045】
次いで、第三実施形態について、図4図5を参照して説明する。図4は、第三実施形態の充電装置の定電圧回路部2Bを示す概略回路図である。この定電圧回路部2Bでは、第一抵抗部R1、第二抵抗部R2及び第四抵抗部R4は、単一の固定抵抗R1、R2、R4でそれぞれ構成され、第三抵抗部R3だけが抵抗値切替可能抵抗部として構成されている。
【0046】
そして、第三抵抗部R3は図4に示す通り、第一固定抵抗R3aと、第二固定抵抗R3bと、第二スイッチ要素S2とを備え、第一固定抵抗R3aに、第二固定抵抗R3bと第二スイッチ要素S2とを並列に接続した抵抗調整部Raj2を直列接続して構成される。この抵抗値切替可能抵抗部の構成は、前述の第一実施形態や第二実施形態とは異なることを注記しておく。
【0047】
第三実施形態において、第三抵抗部R3の抵抗値r3は、第二スイッチ要素S2を閉止した状態では抵抗調整部Raj2はそのバイパスがショートされるので、第一固定抵抗R3aの抵抗値r3aと等しい(r3a、r3bは、それぞれ第一固定抵抗R3a及び第二固定抵抗R3bの抵抗値)。これに対して、第二スイッチ要素S2を開放した状態では、第一固定抵抗R3aと第二固定抵抗R3bとが直列に接続されていることにより、r3a+r3bである。このように、第二スイッチ要素S2を閉止した状態から解放すると第三抵抗部R3の抵抗値r3は増加する。
【0048】
第三抵抗部R3の抵抗値r3が増加するということは、一定電圧V0をr3とr4との比で分圧して得られる、R3とR4との接続点P2の電圧、すなわち、基準電圧Vbは、一実施形態と同様、低下することになる。、その結果、第一実施形態と同様、第二スイッチ要素S2の開放に伴う抵抗値r3の増加により、出力電圧Voutは低下するよう切り替わることになる。
【0049】
図5は、第一スイッチ要素S1及び第二スイッチ要素S2の開閉タイミング並びに充電装置からの出力電圧Voutの時間変化及び充電電流Icgの時間変化を、横軸に経過時間をとって示す図である。図5(a)は第一スイッチ要素S1の開閉タイミング、図5(b)は第二スイッチ要素S2の開閉タイミング、図5(c)は出力電圧Voutの時間変化、そして、図5(d)は充電電流Icgの時間変化を、それぞれ時間を合わせて示している。
【0050】
制御装置5は、第一スイッチ要素S1の開閉する信号のタイミングに合わせて第二スイッチ要素S2にも信号を出力しこれを開閉する。ここで、第三実施形態においては、図5(b)に示すとおり、第一スイッチ要素S1が開放する(すなわちOFFする)タイミングで第二スイッチ要素S2も開放する(すなわちOFFする)よう動作する。この点において、第一スイッチ要素S1に対する第二スイッチ要素S2の動作は、第三実施形態では、第一の実施形態や第二実施形態のものとは逆になっている点に注意したい。
【0051】
上記のような動作の結果、第一スイッチ要素S1が閉止(すなわちONし充電中)しているときの出力電圧Voutが充電時設定電圧Vcgとなるよう制御されているとして、第一スイッチ要素S1がONからOFFに変化し、これに同期して第二スイッチ要素S2もONからOFFに切り替わったとき、前述の通り、第三抵抗部R3の抵抗値r3は増加し、出力電圧Voutは低下して充電時設定電圧Vcgより低い充電停止時設定電圧Vncとなるよう制御される。充電時設定電圧Vcgと充電停止時設定電圧Vncとの比は、第三抵抗部の第一固定抵抗R3aと第二固定抵抗R3bとの設定によって調整されることは第一の実施形態について説明したとおりである。
【0052】
このように第三実施形態の充電装置によっても、第一実施形態や第二実施形態と同様、充電停止スイッチが故障してこれをOFFにすることができなくとも、充電電圧を電池電圧より下げることができ、二次電池20は充電されることはなく過充電を防止することができる。
【0053】
次いで、第四実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、第四実施形態の充電装置の定電圧回路部1Cを示す概略回路図である。第四実施形態の定電圧回路部2Cでは、第一抵抗部R1、第三抵抗部R3及び第四抵抗部R4が単一の固定抵抗R1、R3、R4よりそれぞれ構成され、第二抵抗部R2だけが抵抗値切替可能抵抗部として構成される。
【0054】
そして、第四実施形態の第二抵抗部R2は図6に示す通り、第一固定抵抗R2aと、第二固定抵抗R2bと、第二スイッチ要素S2とを備え、第一固定抵抗R2aに、第二固定抵抗R2bと第二スイッチ要素S2とを直列に接続した抵抗調整部Raj1を並列接続して構成されており、この点については、第一実施形態の第四抵抗部R4と同様である。
【0055】
したがって、第四実施形態も第一実施形態と同様、第二抵抗部R2の抵抗値r2は、第二スイッチ要素S2を開放した状態から閉止すると、r2aからr2a*r2b/(r2a+r2b)に低下するよう切り替わる。逆に、第二スイッチ要素S2を閉止した状態から解放すると、第二抵抗部R2の抵抗値r2は、r2a*r2b/(r4a+r2b)からr2aに増加する。このとき、先に説明したように、接続点P1の中間電圧Vmは、一定値Vbと同じ値となるよう制御されるので、第二抵抗部R2の抵抗値r2が増加すると、Vmを一定にすべく出力電圧Voutも低下する。このことは、式(1)からもわかる。このように、第四実施形態においても、第二スイッチ要素S2を閉止状態から開放したとき、抵抗値r2は増加し、よって、出力電圧Voutは、第三実施形態と同じく低下するよう切り替わることになる。
【0056】
ここで、第四実施形態の第二スイッチ要素S2の動作タイミングは、図5を用いて第三実施形態について説明したのと同様であり、第一スイッチ要素S1がOFFするタイミングで第二スイッチ要素S2もOFFするよう制御装置5によって制御される。
【0057】
その結果、充電電流Icg、充電電圧Vcgも第三実施形態と同様に変化し、充電停止スイッチが故障してこれをOFFにすることができなくとも、充電電圧を電池電圧より下げることにより、二次電池20は充電されることはなく、よって過充電を防止することができる。
【0058】
次に第五実施形態について図7を参照して説明する。図7は、第五実施形態の充電装置10Aを示す。第一実施形態の充電装置10Aは、第一実施形態同様、二次電池20に電力を供給する充電回路1Aと、この充電回路1Aから二次電池20への電力供給を断接するため開閉する第一スイッチ要素S1と、第一スイッチ要素S1の開閉を制御する制御装置5とを備え、充電回路1Aは、充電時、二次電池20の両極間に印加される出力電圧Voutを所定の充電時設定電圧Vcgに保持する定電圧回路部2Dを備える。なお、符号3は定電流回路部を示す。
【0059】
定電圧回路部2Dは、前記出力電圧Voutを分圧する第一抵抗部R1及びこの第一抵抗部R1の低圧側に直列接続された第二抵抗部R2と、第一抵抗部R1と前記第二抵抗部R2との接続点P1における電圧である中間電圧Vmと、と所定の基準電圧Vbとを比較するコンパレータ4とを備える。そして、定電圧回路部2Dは、中間電圧Vmと基準電圧Vbとが同じになるようにフィードバック制御が行われ、これにより、出力電圧Voutが一定になるように制御されている。
【0060】
よって、第五実施形態においても、平衡状態においては、以下の式(2)が成立している。

Vout=Vb*(r1+r2)/r2 (2)

式(1)において、r1、r2はそれぞれ、第一抵抗部R1及び第二抵抗部R2の抵抗(複数の固定抵抗よりなる場合にはそれらの合成抵抗)の値を表す。
【0061】
ここで、第一抵抗部R1は、単一の固定抵抗R1により構成され、第二抵抗部R2は、第一固定抵抗R2aと、第二固定抵抗R2bと、第二スイッチ要素S2とを備え、第一固定抵抗R2aに、第二固定抵抗R2bと前記第二スイッチ要素S2とを直列に接続した抵抗調整部Raj1を並列接続した抵抗値切替可能抵抗部として構成される。ここで、第一固定抵抗R2a及び第二固定抵抗R2bの抵抗値をr2a、r2bとする。
【0062】
このように構成された第二抵抗部R2の抵抗値r2は、第二スイッチ要素S2を閉止した状態から解放すると、、第四実施形態について説明した通り、r2a*r2b/(r4a+r2b)からr2aに増加し、その結果、出力電圧Voutは低下する。
【0063】
そして、第五実施形態においても、第二スイッチ要素S2の動作タイミングは、第四実施形態と同様に、図5に示すように、第一スイッチ要素S1がOFFするタイミングで第二スイッチ要素S2もOFFするよう制御装置5によって制御する(S1とS2は同相)。このような構成により、第五実施形態の充電装置1Aによっても、充電停止スイッチが故障してこれを開放することができなくとも、二次電池20は充電されることはなく過充電を防止することができる。
【0064】
最後に、第五実施形態を変形した第六実施形態について図8を参照して説明する。図8は、第六実施形態の定電圧回路部2Eを示す。定電圧回路部2Eは、第五実施形態同様、出力電圧Voutを分圧する第一抵抗部R1及び第二抵抗部R2と中間電圧Vmを所定の基準電圧Vbと比較するコンパレータ4とを備える。
【0065】
この実施形態では、第二抵抗部R2が単一の固定抵抗R2により構成され、第一抵抗部R1は、第一固定抵抗R1aと、第二固定抵抗R1bと、第二スイッチ要素S2とを備え、第一固定抵抗R1aに、第二固定抵抗R1bと前記第二スイッチ要素S2とを並列に接続した抵抗調整部Raj2を直列接続した抵抗値切替可能抵抗部として構成される。ここで、第一固定抵抗R1a及び第二固定抵抗R1bの抵抗値をr1a、r1bとする。
【0066】
このように構成された第一抵抗部R1の抵抗値r1は、第三実施形態の第三抵抗部について説明したように、前述の通り、第二スイッチ要素S2を閉止したとき、開放時の抵抗値r1a+r2bからr1aに低下するよう切り替わる。そして、その結果、定電圧回路部2Eでは、中間電圧Vmが基準電圧Vbと等しくなるように制御されるので、第二スイッチ要素S2が閉止すれば、第二実施形態について説明したのと同様に、Voutは低下するよう切り替わる。
【0067】
その結果、第六実施形態においても、図2に示すように、第二スイッチ要素S2の動作タイミングを第一スイッチ要素S1の開閉に同期させ、第一スイッチ要素S1が開放したときには閉止し、第一スイッチ要素S1が閉止したときにはこれを開放することにより、充電電圧Vcg、充電電流Icgを図2に示すように変化させることができる。したがって、第六実施形態によっても、充電停止スイッチが故障してこれを開放することができなくとも、二次電池20は充電されることはなく過充電を防止することができる。
【0068】
以上、代表的な実施形態を6つ示して説明したが、この他にも種々のものが考えられる。しかし、いずれの実施形態も、第一スイッチS1の開閉に同期して第二スイッチS2を開放又は閉止することにより、出力電圧Voutを充電時のVcgから充電停止時のVncに低下させることを特徴としている。
【0069】
この目的を達成するためには種々の手段が考えられるが、これらの手段は、一例として、以下の通り分類・整理することができる。
第一群の手段としては、第一抵抗部R1又は第四抵抗部R4を抵抗値切替可能抵抗部で構成し、第一スイッチ要素S1を閉止(ON)から解放(OFF)に切り替える際、これら抵抗値を低下させるようにする手段である。
第二群の手段としては、第二抵抗部R2又は第三抵抗部R3を抵抗値切替可能抵抗部で構成し、第一スイッチ要素S1を閉止(ON)から解放(OFF)に切り替える際、これら抵抗値を増加させるようにする手段である。
【0070】
前記第一群の手段は、さらに、
抵抗値切替可能抵抗部を、第一固定抵抗R1a、R4aに、第二固定抵抗R1b、R4bと前記第二スイッチ要素S2とを直列に接続した抵抗調整部Raj1を並列接続して構成し、かつ、第二スイッチ要素S2を、図2に示すように、第一スイッチ要素S2の動作と逆相に同期させる手段と、
抵抗値切替可能抵抗部を、第一固定抵抗R1a、R4aに、第二固定抵抗R1a、R4aと前記第二スイッチ要素S2とを並列に接続した抵抗調整部Raj2を直列接続して構成し、、かつ、第二スイッチ要素S2を、図5に示すように、第一スイッチ要素S2の動作と同相に同期させる手段とに分類できる。
【0071】
前記第二の手段は、さらに、
抵抗値切替可能抵抗部を、第一固定抵抗R2a、R3aに、第二固定抵抗R2b、R3bと前記第二スイッチ要素S2とを直列に接続した抵抗調整部Raj1を並列接続して構成し、かつ、第二スイッチ要素S2を、図2に示すように、第一スイッチ要素S2の動作と同相に同期させる手段と、
抵抗値切替可能抵抗部を、第一固定抵抗R2a、R3aに、第二固定抵抗R2b、R3bと前記第二スイッチ要素S2とを並列に接続した抵抗調整部Raj2を直列接続して構成し、、かつ、第二スイッチ要素S2を、図5に示すように、第一スイッチ要素S2の動作と逆相に同期させる手段とに分類できる。
【0072】
また、第一~第六実施形態では、定電圧回路部の複数の抵抗部のうち1つだけを抵抗値切替可能抵抗部として構成したが、複数の抵抗部をともに抵抗値切替可能抵抗部として構成することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1、1A 充電回路
2、2A、2B、2C、2D、2E 定電圧回路部
3 定電流回路部
4 コンパレータ
5 制御装置
10、10A 充電装置
20 二次電池
S1 第一スイッチ要素
S2 第二スイッチ要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8