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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ビーズ複合材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/42 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
C08J9/42 CES
C08J9/42 CFF
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112086
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011147
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】夛田 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】大田 英生
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106316135(CN,A)
【文献】特開2016-074841(JP,A)
【文献】国際公開第2020/084668(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続気泡構造を有するビーズ状材料の内部にエアロゲルを充填したビーズ複合材であって、前記ビーズ状材料は、平均セル径が500μm以下であり、
前記ビーズ状材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含むことを特徴とする、ビーズ複合材。
【請求項2】
前記エアロゲルは、JIS K-7120に準拠して測定した300℃での重量減少率が15%未満である、請求項1に記載のビーズ複合材。
【請求項3】
前記ビーズ状材料は、軟化温度が300℃以下であるポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のビーズ複合材。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のビーズ複合材を成形してなることを特徴とする、エアロゲル成形物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載のビーズ複合材及び/又は請求項4に記載のエアロゲル成形物を含むことを特徴とする、断熱器物。
【請求項6】
ビーズ状材料とエアロゲルとを含むビーズ複合材の製造方法であって、
前記ビーズ状材料は、平均セル径が500μm以下であり、
連続気泡構造を有する前記ビーズ状材料に、常圧下、又は減圧下において、前記エアロゲルの原料であるゾル溶液を充填するゾル溶液充填工程を含み、
前記ビーズ状材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含むことを特徴とする、ビーズ複合材の製造方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のビーズ複合材を成形する工程を含むことを特徴とする、エアロゲル成形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーズ複合材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中空ビーズや、ビーズ法ポリスチレン発泡体といったビーズ状材料は、基材に断熱性能を付与したり、それら単独で断熱材料を製造する目的で使用されている(特許文献1~3)。
【0003】
例えば、中空ビーズを配合した硬質ウレタン発泡体や、ビーズ法ポリスチレン発泡体を容器形状に成形した発泡成形体(発泡スチロール)がある。特にビーズ法ポリスチレン発泡体は、発泡体を充填した型を加熱処理することで発泡体同士を融着させるといった、比較的簡易な手法で成形品を製造することができる。
このため、発泡スチロールは食品や医療医薬品、工業製品といった幅広い分野において、保冷、保温、または輸送目的で利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3508212号
【文献】特開平9-302096号公報
【文献】特開2013-194125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中空ビーズの内部は真空状態、または高断熱性のガスが含まれており、経時で空気との置換が起こるため、断熱性が低下するという課題がある。
また、ビーズ法ポリスチレン発泡体は成形加工性に優れるものの、断熱性能は真空断熱材や硬質ウレタン発泡体より劣る。
【0006】
そこで、本発明は、優れた断熱性を有する断熱材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定のビーズ複合材を用いることにより、上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
本発明は、
連続気泡構造を有するビーズ状材料の内部にエアロゲルを充填したビーズ複合材であって、前記ビーズ状材料は、平均セル径が500μm以下であるビーズ複合材である。
前記エアロゲルは、JIS K-7120に準拠して測定した300℃での重量減少率が15%未満であってもよい。
前記ビーズ状材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含んでもよい。
前記ビーズ状材料は、軟化温度が300℃以下であるポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂の少なくとも1つを含んでもよい。
【0009】
また、本発明は、前記ビーズ複合材を成形してなるエアロゲル成形物である。
【0010】
また、本発明は、前記ビーズ複合材及び/又は前記エアロゲル成形物を含む断熱器物である。
【0011】
また、本発明は、ビーズ状材料とエアロゲルとを含むビーズ複合材の製造方法であって、
前記ビーズ状材料は、平均セル径が500μm以下であり、
連続気泡構造を有する前記ビーズ状材料に、常圧下、又は減圧下において、前記エアロゲルの原料であるゾル溶液を充填するゾル溶液充填工程を含むビーズ複合材の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、前記ビーズ複合材を成形する工程を含むエアロゲル成形物の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた断熱性を有する断熱材料を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかるビーズ複合材、ビーズ複合材の製造方法、ビーズ複合材の用途等について詳述する。
【0015】
本発明において、常圧下とは、特に減圧も、加圧も行っていない圧力を示す。また、減圧下とは、人為的に大気圧よりも減圧された状態を示す。
【0016】
本発明において、密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠して測定された見掛け密度である。
【0017】
粉落ちとは、通常、ビーズ複合材の製造工程乃至はエアロゲル成形物の製造工程においてビーズ複合材乃至はエアロゲル成形物からエアロゲルの粉末が脱離することを意味するが、ビーズ複合材乃至はエアロゲル成形物の使用時にこれらからエアロゲルの粉末が脱離することを意味してもよい。
【0018】
以下において、ビーズ複合材は、特に断りがない限り、複数のビーズ複合材からなる群のことを意味してもよい。
【0019】
<<<<ビーズ複合材>>>>
<<<構造>>>
ビーズ複合材は、連続気泡構造を有するビーズ状材料と、ビーズ状材料の内部(ビーズ状材料の連続気泡中)に充填されたエアロゲルと、を含む。ビーズ複合材は、その他の成分を含有していてもよい。
【0020】
<<ビーズ状材料>>
ビーズ状材料は連続気泡構造を有する微小材料であり、通常、平均最大径が500μm~5cm、好ましくは1mm~3cm、より好ましくは1mm~1cmの材料である。
【0021】
ビーズ状材料の形状としては、公知の形状、例えば、球状、楕円体状、多面体状、棒状、環状体状、不定形状等とすることができ、球状であることが好ましい。ビーズ状材料は、多孔体であっても単孔体であってもよいが、発泡体(多孔の樹脂発泡体)であることが好ましい。
【0022】
ビーズ状材料の材質としては、連続気泡構造を有する限り特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、セラミック、ガラス、繊維体等とすることができる。ビーズ状材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含むことが好ましく、熱可塑性樹脂を含むことがより好ましく、軟化温度が300℃以下であるポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂の少なくとも1つを含むことが特に好ましい。特に、ビーズ状材料を熱可塑性樹脂とすることで、後述する成形工程において、接着剤を使用することなく、ビーズ状材料を熱形成することができるため、より優れた性能の成形体とすることが可能となる。
【0023】
ビーズ状材料の軟化温度は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K7196:1991「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に記載の方法を用いて測定することができる。
【0024】
ビーズ状材料は、材料を貫通するセル(孔)を少なくとも一つ有する連続気泡構造である。
【0025】
また、ビーズ状材料が樹脂発泡体である場合、シート形状に成形した状態における通気度が、0.1cm/cm/sec以上であることが好ましい。シート形状への成形方法は特に限定されず、例えば、型枠にビーズ状材料を隙間がないように詰めた状態で加熱することにより、シート形状に成形する方法が挙げられる。
【0026】
このような通気度量は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に記載の方法を用いて測定することができる。測定されたビーズ状材料の通気度量(又は通気度)が、0.01cm/cm/sec以上である場合には、ビーズ状材料がある程度の通気性を有すると判断される。
【0027】
ビーズ状材料の密度は、0.010g/cm以上、0.020g/cm以上、0.050g/cm以上、0.075g/cm以上、0.100g/cm以上、0.120g/cm以上としてもよく、また、0.500g/cm以下、0.300g/cm以下、0.250g/cm以下、0.200g/cm以下としてもよい。ビーズ状材料の密度をこの範囲とすることで、優れた断熱性を奏するようにエアロゲルの充填量を制御しつつも、柔軟性に優れた複合材とすることができる。
【0028】
ビーズ状材料の平均セル径は、好ましくは、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、または200μm以下である。平均セル径の下限値は、特に限定されないが、10μm、20μm、30μm、50μm等とすることができる。平均セル径比が、かかる範囲にある場合には、複合材は、優れた粉落ち防止性を有することにより、優れた断熱性を有する。更に、粉落ちが少ない場合には、断熱材であるエアロゲルがビーズ状材料内から脱落することが少なく、ビーズ複合材およびエアロゲル成形物として、高い断熱性を維持することができる。また、粉落ちが少ない場合において、断熱効果が維持できるため、難燃性の向上にも寄与するものと考えられる。
【0029】
ビーズ状材料の平均セル径の測定は以下の方法で行うことができる。
走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、ビーズ状材料の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフトImage-ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver)を用いて、各セル径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、セル径を算出する。
また、このセル径の計測を、10個の任意のビーズ状材料について実施し、その個数平均値を算出することで、ビーズ状材料全体の平均セル径とすることができる。
【0030】
セル径、密度、連通の度合い等は、公知の手段により調整することができる。一例として、ポリオレフィン系樹脂からなるビーズ状材料を製造する場合には、ポリオレフィン系樹脂を製造するための発泡原料に連通化剤を混ぜ込むことで、ビーズ状材料を製造することができる。この際、発泡剤の含侵時間(発泡剤の添加量)/圧力条件/温度条件等を変更して気泡の含有量や合一化の程度を制御することで、密度やセル径を調整でき、また、連通化剤の量を変更することで、連通の程度を調整することができる。
【0031】
ビーズ状材料は、連続気泡を有する材料を所定のサイズに加工し、製造してもよい。例えば、シート形状の連続樹脂発泡体を粉砕機にてキューブ状に裁断する方法を挙げることができる。
【0032】
<<エアロゲル>>
エアロゲルは、低密度の乾燥ゲルであれば、特に限定されない。超臨界流体乾燥法を用いて得られたエアロゲルだけでなく、通常の乾燥過程によるキセロゲル、凍結乾燥によるクライオゲル等も含む。
【0033】
<成分>
エアロゲルとしては、任意の好適なエアロゲル成分を使用することができる。例えば、シリカエアロゲルやアルミナエアロゲルのような無機エアロゲル、レゾルシノール・ホルムアルデヒド・エアロゲル(RFエアロゲル)、セルロースナノファイバー・エアロゲル(CNFエアロゲル)のような有機エアロゲル、炭素エアロゲル、及びそれらの混合物から選択することができる。エアロゲルは、シリカ(SiO)を含有するシリカエアロゲルを好適に用いることができる。
【0034】
エアロゲルは、通常、エアロゲルの前駆体であるゾル溶液を、ビーズ状材料に充填し、前記発泡体内でゲル化、乾燥してエアロゲルを形成する。
【0035】
<重量減少率>
エアロゲルは、JIS K-7120に準拠して測定した300℃での重量減少率が15%未満であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。このようなエアロゲルを使用することにより、本発明の効果を高めることが可能である。
【0036】
なお、エアロゲルの重量減少率は、素原料の種類や配合量、ポリマーの重合度等によって調整することができる。例えば、シリカエアロゲルの場合、シリカ成分(モノマーやオリゴマー)を選択することによって調整することができ、より具体的には、4量体以上のオリゴマーを素原料とし、ポリマー成分の重合度を上げることで、エアロゲルの重量減少率を抑制することが可能である。また、溶媒の種類や配合比率、触媒の種類や配合量の調整により、ポリマー成分の重合度を上げることでも、エアロゲルの重量減少率を抑制することが可能である。
【0037】
<<<<ビーズ複合材の製造方法>>>>
ビーズ状材料の内部(ビーズ状材料の連続気泡)に、エアロゲルの前駆体であるゾル溶液を充填し、その後、ゾル溶液をゲル化させることで、ビーズ複合材を製造することができる。
【0038】
<<<ビーズ状材料形成工程>>>
下記には、ビーズ状材料形成工程について詳述するが、ビーズ状材料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、公知の方法で製造されたものを使用可能であり、市販のビーズ状材料を用いることができる。以下では、ポリオレフィン系樹脂を原料とする場合のビーズ状材料形成工程について例示的に説明する。
【0039】
<<ポリオレフィン系樹脂を原料とする場合のビーズ状材料形成工程>>
<原料>
ビーズ状材料の原料であるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。さらに、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他添加物を添加することができる。以下、ポリオレフィン系ビーズ状材料の製造方法の一例について説明する。
【0040】
ポリオレフィン系ビーズ状材料は、ポリオレフィン系樹脂を含有する発泡性組成物に、発泡剤を含浸した後に、樹脂を発泡することで得られる。
【0041】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、及びこれら相互のポリマーブレンドが例示される。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのいずれでもよく、ポリプロピレンは、アタクチック、イソタクチック、シンジオタクチック、ランダムなどのいずれでもよい。また、発泡に適するとされる主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(HMS-PP)や高分子量成分を含んで分子量分布の広いポリプロピレンなどの伸張粘度が高いポリプロピレンを使用しても良い。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよく、熱可塑性樹脂でも熱可塑性エラストマーでもよい。これらのうち、得られるビーズ状材料に耐熱性を付与でき、また得られるビーズ状材料の柔軟性を維持できることから、ランダム系ポリプロピレンが好ましい。また、本形態のビーズ状材料の性質を損ねない範囲で、他の熱可塑性ポリマーが存在してもよい。
【0042】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂、及び場合によって任意に配合する成分を、高分子材料の混合に適した混合手段によって混合して、発泡性組成物を調製する。この際、任意に配合する成分として、得られるビーズ状材料に適切な性質を与え、又はビーズ状材料の作製や加工を容易にするために、この発泡性組成物に、使用目的に応じて、流動パラフィン、炭化水素系プロセスオイル、高級脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸アミドのような滑剤;湿式シリカ、乾式シリカ、タルク、マイカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリドのような核剤;リン酸エステル、リン酸メラミン又はリン酸ピペラジン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、塩素化パラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエンのような難燃剤;芳香族アミン類、ベンゾイミダゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、フェノール化合物、亜リン酸エステル類のような老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4′-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタンのような酸化防止剤;導電性カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉、酸化スズのような導電材;カーボンブラック、有機顔料、染料、それらを含有するマスターバッチのような着色剤;ならびにシリカ、アルミナ、酸化チタン及び上記の各種添加剤のうち充填剤の機能を有するもののような充填剤などを配合することができる。
【0043】
前記発泡性組成物に含浸させる発泡剤としては、発泡性組成物中のポリマーに浸透するものであればよく、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、プロパン、ブタンなど、及びそれらの混合ガスのような無機ガス;プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ネオペンタンのような飽和炭化水素;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランのようなエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn―ブチルケトン、メチルi-ブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルn-ヘキシルケトン、エチルn-プロピルケトン、エチルn-ブチルケトンのようなケトン類;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC-245fa、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-225caのようなフルオロカーボンが例示され、取扱いが容易で、安全性が高く、作業環境が優れていることから、二酸化炭素及び窒素が好ましく、二酸化炭素が特に好ましい。
【0044】
<含浸工程>
下記の条件で、発泡剤を発泡性組成物中のポリマーに含浸させる。含浸方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、臨界圧力以上の状態にした発泡剤を、液相状態で樹脂に接触させる液相含浸法、臨界圧力未満の状態にした発泡剤を、気相状態で樹脂に接触させる気相含浸法、懸濁系を利用して水性媒体で行う懸濁含浸法、重炭素水素ナトリウムといった化合物を熱分解し発泡剤を生成させる発泡剤分解法等が挙げられる。発泡性樹脂組成物への発泡剤の含浸が進行しやすく、ビーズ状材料のセルサイズも均一になりやすいことから、気相含浸法が好ましい。
【0045】
発泡剤を発泡性組成物に含浸させる圧力、温度は、特に限定されないが、効率的に機能性のビーズ状材料が得られることから、圧力は0.4~7.0MPaが、温度は5~35℃が好ましい。圧力、温度がこの範囲内である場合は、発泡性組成物への発泡剤の含浸が効率的に進行しやすくなる。
【0046】
<発泡工程>
下記の条件で、発泡剤を発泡性組成物中のポリマーに含浸させた後、圧力を解放することで連続気泡となるように発泡させる。発泡方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、圧力を一気に減圧し、発泡性組成物に溶解している発泡剤を膨張させる減圧発泡法や、加圧水蒸気により加熱し、発泡性組成物に溶解した発泡剤を膨張させる加熱発泡法等が挙げられる。ビーズ状材料のセルサイズが均一になりやすいことから、加熱発泡法が好ましい。
【0047】
<裁断>
得られたビーズ状材料を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
【0048】
以上のビーズ状材料形成工程により、連続気泡を有するビーズ状材料が得られる。
【0049】
<<<ゾル溶液充填工程>>>
以下には、好適例であるシリカエアロゲルの製造方法を一例として詳細を説明するが、本発明は、シリカエアロゲルにのみ限定されるものではない。
【0050】
本例においては、ゾル溶液の調製、ゾル溶液の充填、ゾル溶液のゲル化、乾燥を実施することで、ビーズ複合材を製造する。
【0051】
<<ゾル溶液>>
シリカエアロゲルのシリコーン原料として、シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体やケイ酸アルカリ金属塩を用いることができ、水系溶媒に混合してゾル溶液とする。
【0052】
シリコーン原料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。シリコーンアルコキシドやその誘導体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランオリゴマー、テトラエトキシシランオリゴマー、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、モノヘキシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。ケイ酸アルカリ金属塩としては、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げることができる。前記シリコーン原料は、複数を組み合せて用いることができる。複数を用いる場合には、その組み合わせ及び配合比率は、目的に応じて選択することができる。
【0053】
シリコーン原料の加水分解には、水と、水に相溶性を有し、シリコーン原料を溶解する溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールや、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール等の芳香族ジオール又は脂環式ジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノペンタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン等の多価アルコール、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
シリコーン原料を効率良く加水分解するためには、反応系に予め触媒を添加しておくことが好ましい。触媒としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、例えば、酸性触媒としては、ギ酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、炭酸、リン酸等が、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属酸化物及び/又は水酸化物、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、アニリン、1,5-ナフタレンジアミン等の脂肪族及び/又は芳香族アミン、アンモニア、2価金属のナフテン酸、2価金属の水酸化物などが挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
<<充填方法>>
ゾル溶液の充填方法は、常圧下、又は減圧下で行われる限りにおいて、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ビーズ状材料を、減圧下で、調製したゾル溶液に完全に含浸することで充填する方法等が挙げられる。特に、通気度量が10cm/cm/sec以上の場合、常圧下での充填が可能である。
【0056】
具体的には、ゾル溶液を、テトラメトキシシラン(以下TMOSとする):メタノール:水:触媒(アンモニア)をモル比1:7.2:4:0.01で混合したゾル溶液を例にすると、セパラブルフラスコ内にビーズ状材料を設置し、徐々にゾル溶液を導入することで、ビーズ状材料を完全にゾル溶液内に浸漬し、ゾル溶液をビーズ状材料に充填することができる。そのままゲル化まで2~3時間放置する。
【0057】
ビーズ状材料中に残存する、未反応の水酸基やカルボキシル基、アミノ基等の反応性官能基は後述する疎水化処理剤と反応する場合がある。反応性官能基が多量に存在すると湿潤ゲルの疎水化反応を阻害する恐れがあるため、ゾル溶液充填工程の前工程にて、ビーズ状材料中に残存する反応性官能基を不活性化してもよい。反応性官能基の不活性化方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0058】
<<ゲル化>>
ビーズ状材料に充填されたゾル溶液は、ゾル-ゲル反応によって、TMOSが水、触媒により加水分解され、ゾル状態を経て、湿潤ゲルを形成する。ここで湿潤ゲルとは、ゲル化後のゾル溶液の残液等の液体を含んだまま固体状になったものを示す。
【0059】
シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体の加水分解によるゾル-ゲル反応によりビーズ状材料内の連続気泡内部に湿潤ゲルが形成される。
【0060】
湿潤ゲルを形成した後に、湿潤ゲル中の水や未反応物を除去する工程を有してもよい。この工程で用いられる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールやアセトン、アセトニトリル等が挙げられる。湿潤ゲルが充填されたビーズ状材料を、前記溶媒に浸漬し、数回溶媒を新しいものに入れ替えることで、工程が完了する。
【0061】
親水性を持つシラノール基に対して反応する官能基と疎水基を有する疎水化処理剤によって、シリカエアロゲル表面のOH基を疎水化する工程を有してもよい。該疎水化処理剤は、シラノール基に対して反応する官能基と疎水基を有するものを用いる。シラノール基に対して反応する官能基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基、及び水酸基が挙げられる。疎水基としては、例えばアルキル基、フェニル基、及びそれらのフッ化物等が挙げられる。疎水化処理剤は、上記官能基及び疎水基を、それぞれ1種のみを有してもよいし、2種以上を有してもよい。例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン等の有機シラン化合物が挙げられ、これ以外にも、酢酸、蟻酸、コハク酸等のカルボン酸や、メチルクロリド等のハロゲン化アルキル等の有機化合物が挙げられる。疎水化処理剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0062】
エアロゲルとビーズ状材料の密着性を上げて、エアロゲルの脱落を抑制するために、カップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、エアロゲル表面のシラノール基と、ビーズ状材料に残存する水酸基やカルボキシル基、アミノ基等の反応性官能基の両方と反応できるものであれば特に制限されず、任意の好適なカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤を用いることが好適で、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0063】
<<乾燥工程>>
湿潤ゲルを乾燥させる乾燥工程を実施してもよい。乾燥方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されない。湿潤ゲルを乾燥させる場合には、シリカエアロゲルが壊れ難いため、超臨界流体乾燥が好ましい。超臨界流体乾燥としては、例えば、80℃、20MPa程度の条件で溶媒の全部を、この溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換しながら除去する方法が挙げられる。
【0064】
なお、発泡体等にエアロゲルを充填した後に、それを裁断して微細化する乃至は外形を整えることで、ビーズ複合材とすることも可能である。
【0065】
<<<<ビーズ複合材の用途>>>>
ビーズ複合材は、通常の中空ビーズや、ビーズ法ポリスチレン発泡体といったビーズ状材料の代替材料として使用できる。例えば、充填材として使用するなどして、断熱材料として使用することができる。また、所定の容器にビーズ複合材を充填させる等して、食品や医療医薬品、工業製品といった幅広い分野において使用される断熱器物とすることができる。例えば、ビーズ複合材を含む保温部材及び/又は保冷部材を有する、食品や医療、医薬品向け保冷温ボックス、冷凍庫/冷蔵庫や冷凍/冷蔵ショーケース、製氷機、厨房機器といった保冷温機器、冷凍/冷蔵設備等を構成することができる。
【0066】
また、ビーズ複合材を成形して、エアロゲル成形物とすることができる。次に、ビーズ複合材を成形してなるエアロゲル成形物の製造方法およびエアロゲル成形物の用途等について説明する。
【0067】
<<<エアロゲル成形物の製造方法>>>
エアロゲル成形物は、ビーズ複合材を成形する工程を実施することで製造できる。なお、ビーズ複合材の成形は、通常、所定の型枠を使用して実施される。
【0068】
ビーズ状材料が熱可塑性樹脂を含む場合、ビーズ複合材に外力および熱を付加しながら(例えば、加熱した型枠に嵌め込みながら)、熱可塑性樹脂を軟化させ、ビーズ複合材同士を結着させ、所望の形状に変形させる。その後、必要に応じて冷却し、エアロゲル成形物が製造される。
【0069】
熱成形における外力および熱の付加としては、ビーズ複合材の材質(特に、ビーズ状材料の材質/軟化点)を考慮して、ビーズ複合材が十分に変形可能な条件とすればよく、特に限定されないが、例えば、100℃以上、110℃以上、120℃以上又は130℃以上等の条件にて実施することができる。
【0070】
エアロゲル成形物の製造に際しては、ビーズ複合材のみを成形原料としてもよいし、ビーズ複合材と、その他の成分とを混合したものを成形原料としてもよい。例えば、ビーズ状材料が熱可塑性材料を含まない場合において、ビーズ状材料と、接着剤と、を含む成形原料とし、当該成形原料を所定形状に成形した上で接着剤を硬化等させることで、エアロゲル成形物を製造することができる。接着剤としては、ケイ素系等の無機系接着剤や、熱可塑性樹脂/熱硬化性樹脂/ゴム・エラストマー系等の有機系接着剤等の公知の接着剤を使用できる。
【0071】
成形原料が、ビーズ複合材と、その他の成分とを含む場合、成形原料中のビーズ複合材の含有量は、50質量%以上、75質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上等とすることができる。
【0072】
<<<エアロゲル成形物の用途>>>
このようにして得られたエアロゲル成形物は、粉落ちが少なく、断熱性が高い。そのため、食品や医療医薬品、工業製品といった幅広い分野において使用される断熱器物とすることができる。例えば、エアロゲル成形物を含む保温部材及び/又は保冷部材を有する、食品や医療、医薬品向け保冷温ボックス、冷凍庫/冷蔵庫や冷凍/冷蔵ショーケース、製氷機、厨房機器といった保冷温機器、冷凍/冷蔵設備等を構成することができる。
【実施例
【0073】
以下、実施例および比較例によって、本発明のビーズ複合材およびエアロゲル成形物についてより詳細に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
【0074】
<<<<ビーズ複合材の製造方法>>>>
<<<ポリオレフィン系ビーズ状材料の製造方法>>>
(発泡性組成物)
・ランダム型ポリプロピレン
・核剤(湿式シリカ)
・フェノール系酸化防止剤
【0075】
<<ポリオレフィン系ビーズ1>>
<ビーズ状材料原料調製、含浸、発泡工程>
ランダム型ポリプロピレン100重量部に、湿式シリカ4重量部、フェノール系酸化防止剤0.5重量部とを、溶融混練させた。耐圧容器内にて二酸化炭素を含浸させた後、加圧水蒸気により、ポリオレフィン系ビーズ1を得た。製造条件は、含浸温度が20℃であり、含浸圧力が4MPaであり、含浸時間が4時間である。
【0076】
<<ポリオレフィン系ビーズ2>>
耐圧容器内での二酸化炭素の含浸時間を2時間とした以外は、ポリオレフィン系ビーズ1と同様にしてポリオレフィン系ビーズ2を得た。
【0077】
<<ポリオレフィン系ビーズ3>>
耐圧容器内での二酸化炭素の含浸温度を10℃、含浸圧力を3MPa、含浸時間を30分とした以外は、ポリオレフィン系ビーズ1と同様にしてポリオレフィン系ビーズ3を得た。
【0078】
<<<ビーズ複合材の製造方法>>>
(シリカエアロゲルの素原料)
・シリコーン原料1
4官能メトキシシランオリゴマー(平均4量体)
・シリコーン原料2
4官能エトキシシランオリゴマー(平均2量体)
・シリコーン原料3
4官能メトキシシランオリゴマー(平均2量体)
・シリコーン原料4
2官能メトキシシランオリゴマー(平均4量体)
(溶媒)
・メタノール(和光純薬工業社製)
・エタノール(和光純薬工業社製)
・イオン交換水、電気抵抗率1×1010Ω・cm以上
(触媒)
25%アンモニア水(和光純薬工業社製)
【0079】
<<<実施例1>>>
下記手法にて、ポリオレフィン系ビーズ1にシリカエアロゲル1を充填し、ビーズ複合材を得た。
【0080】
<<ゾル溶液の調製>>
シリコーン原料1を主剤として使用し、主剤1モルに対し、45モルのメタノール、25モルのイオン交換水、0.01モルの触媒を混合してゾル溶液1とした。
【0081】
<<ポリオレフィン系ビーズとの複合化>>
ポリオレフィン系ビーズ1をセパラブルフラスコ内に収納した。調製したゾル溶液1をポリオレフィン系ビーズ1が完全に浸漬するまで加えて、減圧下で3時間静置し、湿潤ゲルが充填されたポリオレフィン系ビーズを得た。
【0082】
<<ポリオレフィン系ビーズの超臨界乾燥>>
得られた湿潤ゲルが充填されたポリオレフィン系ビーズをエタノールに浸漬し、撹拌しながらエタノールを繰り返し交換し、溶媒置換を24時間行った。次に、ゲル表面を疎水化するため、ヘキサメチルジシランのエタノール溶液(濃度20質量%)中に浸漬し、撹拌しながら疎水化処理を24時間行った。得られたゲル含有ポリオレフィン系ビーズをエタノールに浸漬し、撹拌しながらエタノールを繰り返し交換し、溶媒置換を24時間行った。
ゲル表面が疎水化されたポリオレフィン系ビーズを、80℃、20MPaの二酸化炭素中に含浸させ、超臨界乾燥を12時間行った。
以上のようにして、ポリオレフィン系ビーズ1の内部にシリカエアロゲル1が充填された実施例1のビーズ複合材を得た。
【0083】
<<<実施例4>>>
ゾル溶液1の代わりに、シリコーン原料2を主剤として使用し、主剤1モルに対し、30モルのエタノール、20モルのイオン交換水、0.0025モルの触媒を混合したゾル溶液2を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン系ビーズ1の内部にシリカエアロゲル2が充填されたビーズ複合材を得た。
【0084】
<<<実施例6>>>
ゾル溶液1の代わりに、シリコーン原料3を主剤として使用し、主剤1モルに対し、110モルのメタノール、70モルのイオン交換水、2モルのシリコーン原料4、0.002モルの触媒を混合したゾル溶液3を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン系ビーズ1の内部にシリカエアロゲル3が充填されたビーズ複合材を得た。
【0085】
<<<実施例2~3、5、比較例1、2>>>
ポリオレフィン系ビーズ1の代わりに、各表に示したビーズ状材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてビーズ状材料の内部にシリカエアロゲル1が充填されたビーズ複合材を得た。なお、ポリウレタン系ビーズおよびガラスケービーズ、独泡ビーズ(ポリスチレン系独泡ビーズ)については、市販品を用いた。なお、各ビーズは、平均最大径が2mm程度である。
【0086】
<<<<評価>>>>
<<<エアロゲル/ビーズ状材料の評価>>>
実施例及び比較例で使用したエアロゲルおよびビーズ状材料について、下記に示す方法に従い評価した。
【0087】
<<エアロゲルの重量減少率>>
重量減少率は、下記手法に従って測定したものを、評価基準に従い評価した。
<評価手法>
JIS K7120 「プラスチックの熱重量測定方法」に準拠して、示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製:STA7200)を用いて測定したものを、評価基準に従い評価した。
<測定条件>
加熱速度毎分10℃にて、20℃から200℃まで温度を上昇させた。
<評価基準>
「○」は「重量変化率が5%以下」を、「△」は「重量変化率が5%超10%以下」を、「×」は「重量変化率が10%超」を、それぞれ示す。
【0088】
<<ビーズ状材料の平均セル径>>
ビーズ状材料の平均セル径は、下記手法に従って測定したものを、評価基準に従い評価した。
【0089】
<評価手法>
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、ビーズ状材料の断面セル写真を撮影した。その後、画像処理ソフトImage-Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節した。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出した。
<評価基準>
「◎」は「平均セル径が200μm以下」を、「○」は「平均セル径が200μm超300μm以下」を、「△」は「平均セル径が300μm超500μm以下」を、「×」は「平均セル径が500μm超」を、それぞれ示す。
【0090】
<<<ビーズ複合材の評価>>>
上記のようにして作製した実施例及び比較例のビーズ複合材について、下記に示す方法に従い評価した。なお、比較例3では市販の不織布エアロゲル複合材を評価した。
【0091】
<<断熱性>>
断熱性は、下記手法に従って測定したものを、評価基準に従い評価した。
<評価手法>
200×200mm×厚み5mmの型枠に、試料を隙間ができないように敷き詰め、60℃に加熱したヒーター上に試験片を5分間静置し、5分後の試料の表面温度を測定した。試料の厚みと表面温度から、単位厚みあたりの温度変化を算出した。単位厚みあたりの温度変化(℃)は「(ヒーター温度60(℃)-試料の表面温度(℃))/試料の厚み」で計算した。
<評価基準>
「◎」は「単位厚みあたりの温度変化が10℃超」を、「○」は「単位厚みあたりの温度変化が5℃超10℃以下」を、 「△」は「単位厚みあたりの温度変化が2℃超5℃以下」を、「×」は単位厚みあたりの温度変化が2℃以下」をそれぞれ示す。
【0092】
<<粉落ち性>>
粉落ち性は、下記手法に従って測定したものを、評価基準に従い評価した。
<評価手法>
JIS K0069 「化学製品のふるい分け試験方法」に準拠し、ふるい振とう機(アズワン株式会社、SS-HK50)を用いて、振動数 60/回、試験時間 5分として測定した。試験前後の試験片重量から粉落ち率を算出した。
粉落ち率(%)は(試験前重量(g)-試験後重量(g))/試験前重量(g)×100、で計算した。
粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。
<評価基準>
「◎」は「粉落ち率が5%以下」を、「◎」は「粉落ち率が5%超10%以下」を、「△」は「粉落ち率が10%超15%以下」を、「×」は「粉落ち率が15%超」を、それぞれ示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】