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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】樹脂建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/964 20060101AFI20240307BHJP
   E06B 3/20 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
E06B3/964 A
E06B3/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020116632
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014351
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】水名 裕太
(72)【発明者】
【氏名】北尾 匡
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048480(JP,A)
【文献】特開2017-061833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96-3/99
E06B 3/04-3/46
E06B 3/54-3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、障子とを備え、
障子は、樹脂材料からなる上下框及び左右の竪框を有し、左右の竪框の内周面に上、下框の端部を当接して四周組され、
上、下框及び竪框は、長手方向に沿って補強部材が配置されており、
竪框は、端部に端部部品が配置されており、
竪框と、竪框に配置された補強部材と、端部部品は、横框に配置された補強部材に対して固定されており、
横框に配置された補強部材と端部部品との間には、熱等による竪框の収縮によって生じる端部部品と竪框との隙間を覆う隙間覆い部を有する隙間覆い部材が配置された樹脂建具。
【請求項2】
枠体と、障子とを備え、
障子は、樹脂材料からなる上下框及び左右の竪框を有し、左右の竪框の内周面に上、下框の端部を当接して四周組され、
上、下框及び竪框は、長手方向に沿って補強部材が配置されており、
竪框は、端部に端部部品が配置されており、
竪框と、竪框に配置された補強部材と、端部部品は、横框に配置された補強部材に対して固定されており、
端部部品は、熱等による竪框の収縮によって生じる隙間を覆う隙間覆い部を有する樹脂建具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される樹脂建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の枠材と樹脂製の框材を有し、建物開口部に配置される樹脂建具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-91918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂建具においては、各框材に配置された補強部材同士を固定することで、障子の強度を向上させることが好ましいが、金属材料からなる補強部材と樹脂材料からなる框材の熱伸び量の違いから、框材の変形等の問題が生じる等の問題があった。
【0005】
本発明は、樹脂サッシにおいて、樹脂製の框材の熱伸びによって生じる問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、枠体と、障子とを備え、障子は、樹脂材料からなる上下框及び左右の竪框を有し、左右の竪框の内周面に上、下框の端部を当接して四周組され、上、下框及び竪框は、長手方向に沿って補強部材が配置されており、竪框の端部に端部部品が配置されており、竪框と、竪框に配置された補強部材と、端部部品は、横框に配置された補強部材に対して固定されており、横框に配置された補強部材と端部部品との間には、竪框の熱伸縮によって生じる端部部品と竪框との隙間を隙間覆い部を有する変形対策部品が配置された樹脂建具である。
また、一実施形態は、枠体と、障子とを備え、障子は、樹脂材料からなる上下框及び左右の竪框を有し、左右の竪框の内周面に上、下框の端部を当接して四周組され、上、下框及び竪框は、長手方向に沿って補強部材が配置されており、竪框の端部に端部部品が配置されており、竪框と、竪框に配置された補強部材と、端部部品は、横框に配置された補強部材に対して固定されており、端部部品は、竪框の熱伸縮によって生じる隙間を覆う隙間覆い部を有する樹脂建具である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、樹脂建具において、樹脂製の框材の熱伸びによって生じる問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の樹脂建具の竪断面図の一例である。
図2】一実施形態の樹脂建具の横断面図の一例である。
図3】一実施形態の樹脂建具の上框(横框)の図の一例である。
図4】一実施形態の樹脂建具の上框(横框)の図の一例である。
図5】一実施形態の樹脂建具の右竪框(竪框)の図の一例である。
図6】一実施形態の樹脂建具の右框(竪框)の図の一例である。
図7】一実施形態の樹脂建具の端部キャップ(端部部品)の図の一例である。
図8】一実施形態の樹脂建具の隙間覆い部材の図の一例である。
図9】一実施形態の樹脂建具の上框(横框)と右竪框(竪框)の連結部の斜視図であり、連結前の図の一例である。
図10】一実施形態の樹脂建具の上框(横框)と右竪框(竪框)の連結部の斜視図であり、連結前の図の一例である。
図11】一実施形態の樹脂建具の上框(横框)と右竪框(竪框)の連結部の斜視図であり、連結後の図の一例である。
図12】一実施形態の樹脂建具の上框(横框)と右竪框(竪框)の連結部の図であり、(a)(b)(c)は熱伸び前の図の一例であり、(d)(e)(f)は熱伸び後の図の一例である。
図13】樹脂建具の上框(横框)と右竪框(竪框)の連結部の図であり、(a)(b)(c)は熱伸び前の図の一例であり、(d)(e)(f)は熱伸び後の図の一例である。
図14】他の実施形態の樹脂建具の上框(横框)と右竪框(竪框)の連結部の斜視図であり、(a)は連結前の図の一例であり、(b)は連結後の図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の樹脂建具について、図面を参考にして説明する。
本実施形態の樹脂建具は、図1,2に示すように、建物開口部に配置される枠体1と、枠体1に対して摺動自在に配置される内障子2及び外障子3を備えている。
【0010】
本実施形態の樹脂建具の枠体1は、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14を有しており、各枠材は枠組されることなく、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14がそれぞれ建物開口部の内周面にビス等の固定手段によって固定されることで建物開口部の四周に亘る枠体1が形成されている。
【0011】
本実施形態の樹脂建具の内障子2は、上框21、下框22、左竪框(召合框)23及び右竪框(戸先框)24を四周に組んで、その内周に複層ガラス等のパネル体25を取り付けて形成されており、外障子3は、上框31、下框32、左竪框(戸先框)33及び右竪框(召合框)34を四周に組んで、その内周に複層ガラス等のパネル体35を取り付けて形成されている。
そして、内、外障子2,3の召合せ部には、内、外障子2,3を閉鎖状態でロックするクレセントが設けられている。
【0012】
(枠体の構成)
枠体1の上枠11は、樹脂材料からなり、図1に示すように、建物開口部の上部内周面に固定される略平板状の上枠本体部11aと、上枠本体部11aの室内側から下方に延設される室内側壁部11bと、上枠本体部11aの内周面から下方に延設される内、外上レール部11c,11dを有している。
【0013】
上枠11は、図示しないビス等の固定手段によって建物開口部に固定されており、内上レール部11cと外上レール部11dとの間であって、内障子2及び外障子3の召合框23,34の上方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材41が配置されている。
【0014】
枠体1の下枠12は、樹脂材料からなり、図1に示すように、建物開口部の下部内周面に固定される略平板状の下枠本体部12aと、下枠本体部12aの室内側から上方に延設される室内側壁部12bと、下枠本体部12aの内周面から上方に延設される内、外下レール部12c,12dを有している。
【0015】
下枠11は、図示しないビス等の固定手段によって建物開口部に固定されており、内下レール部12cと外下レール部12dとの間であって、内障子2及び外障子3の召合框23,34の下方位置にはモヘア等によって形成された風止め部材42が配置されている。
【0016】
枠体1の左、右竪枠13,14は、図2に示すように、ほぼ同様の構成をしているので、ここでは主に、右竪枠14ついて説明する。
なお、図2には、左竪枠13の対応する部位に適宜符号を付与しておく。
【0017】
右竪枠14は、樹脂材料からなり、建物開口部の右部内周面に固定される略平板状に形成された右竪枠本体部14aと、右竪枠本体部14aの室内側端から内周方向に突設される室内側壁部14bと、右竪枠本体部14aの室外側端から内周方向に突設される室外側壁部14cと、右竪枠本体部14aの見込み方向略中央位置から内周方向に突設される中央壁部14dを有している。
【0018】
右竪枠14は、ビス等の固定手段によって建物開口部の内周面に固定されている。
右竪枠14は、中央壁部14dの内周端に室内外両側に延びるヒレ状の気密片s141を有しているとともに、室内側内周面にヒレ状の気密片s142を有しており、内障子2の閉鎖時に、ヒレ状の気密片s141,s142が内障子2の戸先框24に当接して内障子2と右竪枠14との気密をはかっている。
【0019】
本実施形態の樹脂建具の枠体1を建物開口部に固定するに際しては、例えば、左竪枠13→下枠12→右竪枠14→上枠11の順番で建物開口部の四周に配置、固定することで、枠体10を建物開口部の四周に対して配置することができる。
【0020】
このとき、建物開口部の四隅において、横枠(上枠11,下枠12)の少なくとも内上レール部11c、外上レール部11d及び内下レール部12c、外下レール部12dの一部、もしくは、竪枠(左竪枠13,右竪枠14)の中央壁部13d,14dの一部を切欠くこと等によって、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14同士が取付けに際して干渉することを防止することができる。
【0021】
(外障子の構成)
外障子3の上框31は、図1図3図4に示すように、樹脂材料からなる上框本体311と、アルミ合金等の金属材料からなる補強部材312を有している。
上框本体311は、上外レール部11dに案内される上框本体部311aと、上框本体部311aの内周に形成されパネル体35を保持するためのパネル間口部311bを有し、上框本体部311a内に補強部材312が配置されている。
【0022】
上框本体部311aは、室内側見付壁及び室外側見付壁の上端に上外レール部11dに当接もしくは近接する気密材s,sが設けられている。
【0023】
補強部材312は、底壁部312aと、底壁部312aの室内側に連続して見付け方向に延びる室内壁部312bと、底壁部312aの室外側に連続して見付け方向に延びる室外壁部312cを有しており、底壁部312aにビスホール312dが設けられている。
【0024】
補強部材312は、図3(b),図4(b)に示すように、室内壁部312b及び室外壁部312cの長さ寸法が底壁部312aの長さ寸法よりも大きく形成されており、室内壁部312b及び室外壁部312cには底壁部312aよりも外周側(右側)に突出する室内側突出壁312e及び室外側突出壁321fが形成されている。
なお、上框31の戸先側(左側)端部についても同様である。
【0025】
そして、上框31は、底壁部312aの長さ寸法が上框本体311と同程度の長さ寸法を有しており、図3(c),図4(c)に示すように、上框本体311の内部に補強部材312が配置された状態では上框本体311の左右端から補強部材312の室内側突出壁312e及び室外側突出壁321fが突出している。
【0026】
補強部材312の室内壁部312b及び室外壁部312cは、互いに対向する内側の面に複数のリブ部等が形成されているが、室内側突出壁312e及び室外側突出壁321fの内側の面においてリブ部等は切りかかれて面一の面に形成され、図3(b)(c)に示すように、室内側突出壁312e及び室外側突出壁321fの上方部位にビス孔312g,312gが形成されている。
【0027】
外障子3の下框32は、図1に示すように、樹脂材料からなる下框本体321と、アルミ合金等の金属材料からなる第1補強部材322及び第2補強部材323を有している。
下框本体321は、中空部の外周(下方)に下側が開口する開口部が連設された下框本体部321aと、下框本体部321aの内周に設けられたパネル間口部321bを有している。
【0028】
第1補強部材322は、断面略矩形の中空形状をなしており、下框本体部321aの中空部内に配置されている。また、第2補強部材323は、矩形中空部と下方に開口する開口部を備える断面形状をなしており、下框本体部321aの開口部内に配置されている。
下框32は、下框本体部321aの所定位置に下外レール部12d上を走行する車輪93が配置され、下外レール部12d上を走行自在に配置されている。
【0029】
外障子3の左竪框(戸先框)33は、図2に示すように、樹脂材料からなる左竪框本体331と、スチール等の金属材料からなり断面略U字状の補強部材332を有している。
【0030】
左竪框本体331は、断面略矩形の中空部を有する左竪框本体部331aと、左竪框本体部331aの内周側に形成されパネル体35を保持するためのパネル間口部331bを有しており、左竪框本体部33aの中空部内に断面略U字状の補強部材332が外周側に向けて開口するように配置されている。
【0031】
外障子3の右竪框(召合框)34は、図2図5図6に示すように、樹脂材料からなる右竪框本体341と、スチール等の金属材料からなる補強部材342を有している。
【0032】
右竪框本体341は、中空部を有する右竪框本体部341aと、右竪框本体部341aの内周に形成されパネル体35を保持するためのパネル間口部341bを有している。
【0033】
図5(a),図6(a)に示すように、右竪框本体341の右竪框本体部341aの外周側壁341c及び右竪框本体部341aとパネル間口部341bを仕切る見込壁341dの上部位置には上外レール部11dを案内する切欠き341e及び切欠き341fがそれぞれ形成されている。
【0034】
外周側壁341cの切欠き341eの下方位置には、ビス挿通孔341gが形成されており、見込壁341dの切欠き341fの下方に連続してビス挿通部341hが形成されている。また、右竪框本体341のパネル間口部341bを構成する室内側見付壁及び室外側見付壁には、長手方向に沿ってパネル間口の内側に突出するリブ部341i,341iが形成されている。
【0035】
右竪框本体341の上方位置で、右竪框本体部341aの室内側見付面及び室外側見付面にはビス孔341mが形成されており、パネル間口部341bの室内側見付面及び室外側見付面にはビス孔341nが形成されている。
【0036】
右竪框本体341の室内側の内周側端部には、室内側に延びる当接片341jが形成されており、右竪框本体341の室内側の外周側端部近傍に中空部341kが形成されている。当接片341jには、内障子2の左竪框(召合框)23の外周側端の室外側に設けられた気密材sが当接する。
また、図2に示すように、右竪框34の室内側面には、例えば防火性能を有するクレセント受82が設けられている。
【0037】
補強部材342は、見込壁342aと、見込壁342aの室内側に連続して見付け方向に延びる室内側壁342bと、見込壁342aの室外側に連続して見付け方向に延びる室外側壁342cを有し、断面略U字状をなしており、右竪框本体部341aの中空部内に見込壁342aが内周側となるように配置されている。
【0038】
補強部材342は、室内側壁342b及び室外側壁342cの長さ寸法が見込壁342aの長さ寸法よりも大きく形成されており、室内側壁342b及び室外側壁342cには見込壁342aよりも上方に突出する室内側突出壁342e及び室外側突出壁342fが形成されている。
【0039】
補強部材342は、見込壁342aの上方部位にビス孔342dが形成されているとともに、室内側突出壁342e及び室外側突出壁342fの上方部位にビス孔342g,342gが形成されている。
【0040】
そして、右竪框本体341の内部に補強部材342が配置された状態で右竪框本体部341aの室内側見付面及び室外側見付面に形成されたビス孔341mと、補強部材342の室内側突出壁342e及び室外側突出壁342fに形成されたビス孔342gをビスによって固定することで、右竪框34が形成されている。
【0041】
(内障子の構成)
以下に、内障子2について説明するが、内障子2と外障子3は、上下框および戸先框について基本的にその構成を同じくするものであるから、ここでは、特に内障子2の左竪框(召合框)23について説明し、外障子3の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0042】
内障子2の左竪框(召合框)23は、図2に示すように、樹脂材料からなる左竪框本体231と、アルミ合金等の金属材料からなる補強部材232を有している。
左竪框本体231は、中空部を有する左竪框本体部231aと左竪框本体部231aの室外側内周側に形成されるパネル間口部231bを有しており、補強部材232は、左竪框本体部231aの中空部内に配置されている。
【0043】
左竪框本体231は、内周側端部から室外側に延びる当接片231cが形成されており、外障子3の右竪框(召合框)34の外周側端の室内側に設けられた気密材sが当接している。
左竪框23は、外周面に例えば防火性能を有するクレセント錠81が取り付けられている。
【0044】
以上のように、本実施形態の樹脂建具は、樹脂材料からなる框本体内に金属材料からなる補強部材を配置して框材が形成されており、竪框の内周面に横框の端部を当接させて竪框内に配置されている補強部材と横框内に配置されている補強部材とを連結することで丈夫な樹脂建具を形成することができる。
【0045】
ここで、樹脂建具においては、夏季等の高温等によって樹脂材料からなる框本体が収縮することがあるが、框本体内に配置された金属材料からなる補強部材は框本体に比べて収縮の程度が小さく、収縮率の違いによる不具合が発生することがある。
本実施形態の樹脂建具は、樹脂材料からなる框本体の熱収縮によって生じる不具合を解消するための構成を備えている。
【0046】
不具合について説明すると、従来、樹脂建具の上框及び竪框の連結部分は、図13(a)ないし(c)に示すように、右竪框(竪框)34の内周面に上框(横框)31の端部が当接され、右竪框34の上端小口から端部キャップ7の挿入部分7bが挿入されている。
【0047】
そして、右竪框34の外周面のビス挿通孔からビスbが挿通され、竪框34の補強部材342のビス孔と横框31の補強部材312のビスホール312dに対して、間に右竪框本体341の見込壁341dのビス孔341x及び端部キャップ7のビス孔7aを挟んで螺合することで右竪框34と上框31が連結されている。
【0048】
この状態で、夏季等の高温等によって樹脂材料からなる右竪框本体341が収縮すると、図13(d),(e)に示すように、右竪框本体341の上端と部キャップ7の縁部73との間に隙間Sができて端部キャップ7の右竪框34への挿入部分7bが露出することがあった。
【0049】
また、図13(e),(f)に示すように、右竪框34と上框31を連結するビスbが挿入されている右竪框本体341の見込壁341dのビス孔341xが裂けて裂け目341yが生じ、ビスbによって右竪框本体341の上方部位が破損する可能性があった。
【0050】
以上の問題を解決するために、本実施形態の樹脂建具は、外障子3の上框31と右竪框34の連結部分においては、右竪框34の内周に上框31の左端部が当接されるとともに、右竪框34の上端小口に端部キャップ(端部部品)7及び隙間覆い部材6が配置されて連結されている。
また、右竪框34の右竪框本体341の見込壁341dに形成されるビス孔は、ビスの上下方向への移動を許容する形状のビス挿通部341hとして形成されている。
以下、さらに詳細に説明する。
【0051】
端部キャップ(端部部品)7は、図7に示すように、右竪框34の右竪框本体部341aに挿入され振れ止めとしての機能を備えるキャップ本体部71と、右竪框34のパネル間口部341bに挿入される嵌入部72と、キャップ本体部71及び嵌入部72の上方に形成された縁部73,73を有しており、嵌入部72には、見付け方向に貫通するビス孔72aが形成されている。
【0052】
隙間覆い部材6は、図8に示すように、右竪框34の右竪框本体部341aに挿入される挿入部61と、右竪框34への装着時に右竪框34の外周側に配置される戸先側壁部62と右竪框34の室内側に配置される室内側隙間覆い部63と右竪框34の室内側に配置される室外側隙間覆い部64と、室内側隙間覆い部63及び室外側隙間覆い部64の上方に形成された縁部65,65と、室内側に形成されて右竪框34の中空部341kに挿入される挿入部66を有している。
戸先側壁部62には、ビス挿通のための長孔62aが形成されている。
【0053】
本実施形態の樹脂建具の右竪框34に上框31を連結するに際して、右竪框34の内周に上框31の左端部が当接された状態では、図9(c),図10(c)に示すように、上框本体311の端部から突出する補強部材312の室内側突出壁312e及び室外側突出壁312fの端部が右竪框34の右竪框本体341の見込壁341dに当接しているとともに、上框本体311の端部が右竪框本体341のリブ部341i,341iに当接している。
【0054】
そして、右竪框本体341のパネル間口部341bの室内側見付面及び室外側見付面に形成されたビス孔341n,341nと上框31の補強部材312の室内側突出壁312e及び室外側突出壁312fに形成されたビス孔312g,312gをビスb3によって固定されることで、右竪框34に対して上框31を位置決め固定することができる。
【0055】
なお、右竪框本体341の右竪框本体部341aの室内側見付面及び室外側見付面に形成されたビス孔341m,341mと右竪框34の補強部材342の室内側突出壁342e及び室外側突出壁342fに形成されたビス孔312g,312gはビスb2によって固定されている。
【0056】
その後、図12(a)(b)(c)に示すように、右竪框34の上端小口に隙間覆い部材6及び端部キャップ7が装着され、右竪框34内に配置された補強部材342のビス孔342dと上框31内に配置された補強部材312のビスホール312dが、右竪框34の見込壁34dのビス挿通部341h及び端部キャップ7のビス孔72aを間に挟んだ状態で、右竪框本体341の外周側のビス挿通孔341gから挿入されたビスb1によって固定されることで、図11に示すように、上框31と右竪框34が連結される。
【0057】
上框31と右竪框34が連結された状態では、隙間覆い部材6は、例えば、縁部65,65の下面が上框31内に配置された補強部材312の室内側突出壁312e及び室外側突出壁312fの露出する上面に載置され、上框31の補強部材312及び右竪框34の補強部材342にビス止め固定された端部キャップ7の縁部73,73の下面で挟まれるように固定されている。
これによって、隙間覆い部材6の高さ方向の位置決めを行うことができ、上下位置を安定させることができる。
【0058】
なお、隙間覆い部材6は、右竪框34の内部に配置された補強部材342の室内側壁342b及び室外側壁342cの室内側突出壁342e及び室外側突出壁342fの上面と端部キャップ7の縁部73,73の下面に挟まれるように固定されていてもよく、補強部材312の室内側突出壁312e及び室外側突出壁312fは必ずしも必要ではない。同様に、補強部材342の室内側突出壁342e及び室外側突出壁342fも必ずしも必要ではない。
【0059】
以上の本実施形態の樹脂建具においては、図12(d),(e)に示すように、夏季等の熱によって右竪框34の右竪框本体341が収縮した場合に露出する端部キャップ7のキャップ本体部71及び嵌入部72を隙間覆い部材6の室内側隙間覆い部63及び室外側隙間覆い部64によって覆うことができ、右竪框本体341内へのごみ等の侵入を防止するとともに、意匠性を向上させることができる。
【0060】
さらに、上框(横框)31と右竪框34を連結するために右竪框34の右竪框本体341に形成されたビス挿通部341hは、ビスの上下方向への移動を許容するように上方が開口した溝状としているので、樹脂材料からなる右竪框本体341が熱によって収縮しても、図12(e),(f)に示すように、ビス挿通部341hにおけるビスbの移動を許容して、ビス孔が裂けて右竪框本体341が破損することを抑制することができる。
【0061】
なお、ビスの上下方向への移動を許容するビス挿通部341hの形状は、上方が開口した溝状に限らず、長孔などでもよい。
【0062】
また、右竪框34の右竪框本体341と右竪框34の補強部材342及び上框31の補強部材312とを固定するビス孔341m、341nをビスの上下方向への移動を許容する形状としてもよく、例えば、ビス孔341m、341nを上下に長い長孔等によって形成してもよい。
【0063】
また、例えば図14に示すように、端部キャップ7と隙間覆い部材6を一体的に形成して、右竪框34への装着時に右竪框34の外周側に配置される戸先側壁部62、右竪框34の室内側に配置される室内側隙間覆い部63等を有する端部キャップ(端部部品)7としてもよい。
【0064】
その他、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。例えば、右竪框本体341の中空部内に配置される補強部材342は、略U字状の断面形状に限らず、例えば、断面略矩形のホロー構造等でもよいし、端部部品は、端部キャップに限定されない。
【符号の説明】
【0065】
1 :枠体
3 :外障子
31 :上框(横框)
311 :上框本体
312 :補強部材
34 :右竪框
341 :右竪框本体
341h :ビス挿通部
6 :隙間覆い部材6
63 :室内側隙間覆い部
64 :室外側隙間覆い部
7 :端部キャップ

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