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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ワーク浸漬装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 3/09 20060101AFI20240307BHJP
   B05C 3/20 20060101ALI20240307BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B05C3/09
B05C3/20
B05C11/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020129116
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025924
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原田 克也
(72)【発明者】
【氏名】桜井 秀昌
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-136576(JP,A)
【文献】特開平10-057864(JP,A)
【文献】特開平11-276960(JP,A)
【文献】特開2006-100717(JP,A)
【文献】特開2012-142394(JP,A)
【文献】特開平11-244754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-3/20
B05C 7/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容された前記液体の表面に向かって気体を吐出することにより前記液体の表面に斜面を形成する気体吐出部と、
前記液体収容部に収容された前記液体に向かってワークを相対的に移動させる移動手段と、
前記液体収容部に収容された前記液体の内部から外部へ取り出された前記ワークに付着している前記液体に接触することにより前記液体を流下させて除去する液体除去部と、を備え、
前記移動手段は、前記液体の前記斜面に前記ワークの表面を接触させながら前記ワークを前記液体の内部へ移動させる、
ことを特徴とするワーク浸漬装置。
【請求項2】
前記液体除去部は、前記ワークに付着している前記液体を前記液体収容部の内側に流下させる、ことを特徴とする請求項に記載のワーク浸漬装置。
【請求項3】
前記液体除去部は、前記ワークから一定距離だけ離れた第一の停止位置と前記ワークと接触する第二の停止位置とを結ぶ経路上を往復移動可能であり、前記経路は、前記液体収容部に収容された前記液体の上方に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載のワーク浸漬装置。
【請求項4】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容された前記液体の表面に向かって気体を吐出することにより前記液体の表面に斜面を形成する気体吐出部と、
前記液体収容部に収容された前記液体に向かってワークを相対的に移動させる移動手段と、
前記ワークが挿入される一端とそれとは反対側の他端とを有する筒状部と、を備え、
前記筒状部の前記一端は、前記液体収容部に収容された前記液体の外部に配置され、
前記筒状部の前記他端は、前記液体収容部に収容された前記液体の内部に配置され
前記移動手段は、前記液体の前記斜面に前記ワークの表面を接触させながら前記ワークを前記液体の内部へ移動させる
ことを特徴とするワーク浸漬装置。
【請求項5】
前記筒状部は、前記気体吐出部から吐出された前記気体を前記筒状部の内側に収容された前記液体に向かって通過させる開口部からなる吸気口を有する、ことを特徴とする請求項に記載のワーク浸漬装置。
【請求項6】
前記筒状部は、前記吸気口を通して前記筒状部の内側に流入した前記気体を前記筒状部の内側から外側へ通過させる開口部からなる排気口を有する、ことを特徴とする請求項に記載のワーク浸漬装置。
【請求項7】
前記吸気口と前記排気口は、互いに対向している、ことを特徴とする請求項に記載のワーク浸漬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク浸漬装置及びワーク浸漬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(例えば、小型の金属部品など)を液体に浸漬させた状態でワークの検査、試験、加工、改質、塗装、洗浄などの処理が行われることがある。そのためには、まず、ワークを液体に浸漬させる必要があるが、ワークを液体に浸漬させた際にワークの表面に気泡が発生することがあった。この気泡は、ワークに付着し、あるいは、液中や液面を漂い、ワークの処理を妨害する恐れがあった。この問題を解決するための従来技術として、ワークに付着した気泡に液体を吹き付けたり、液面を漂う気泡に気体を吹き付けたりすることで、気泡を除去することが知られている(例えば、特許文献1~7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-100717号公報
【文献】特開平7-136576号公報
【文献】特開2019-219234号公報
【文献】特開2010-53406号公報
【文献】特開2009-291674号公報
【文献】特開平10-165910号公報
【文献】実開平4-41659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のように気泡を除去したとしても、既に発生してしまった多量の気泡を完全に取り除くことは困難である。このような問題に対しては、ワークを液体に浸漬させた際にできるだけ気泡を発生させないようにすることが有効である。
【0005】
本発明は、気泡の発生を抑制することが可能なワーク浸漬装置及びワーク浸漬方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部に収容された前記液体の表面に向かって気体を吐出することにより前記液体の表面に斜面を形成する気体吐出部と、前記液体収容部に収容された前記液体に向かってワークを相対的に移動させる移動手段と、を備え、前記液体の前記斜面に前記ワークの表面を接触させながら前記ワークを前記液体の内部へ移動させる、ワーク浸漬装置である。
【0007】
前記液体収容部に収容された前記液体の内部から外部へ取り出された前記ワークに付着している前記液体に接触することにより前記液体を流下させて除去する液体除去部を備える、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0008】
前記液体除去部は、前記ワークに付着している前記液体を前記液体収容部の内側に流下させる、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0009】
前記液体除去部は、前記ワークから一定距離だけ離れた第一の停止位置と前記ワークと接触する第二の停止位置とを結ぶ経路上を往復移動可能であり、前記経路は、前記液体収容部に収容された前記液体の上方に配置されている、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0010】
前記ワークが挿入される一端とそれとは反対側の他端とを有する筒状部を備え、前記筒状部の前記一端は、前記液体収容部に収容された前記液体の外部に配置され、前記筒状部の前記他端は、前記液体収容部に収容された前記液体の内部に配置されている、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0011】
前記筒状部は、前記気体吐出部から吐出された前記気体を前記筒状部の内側に収容された前記液体に向かって通過させる開口部からなる吸気口を有する、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0012】
前記筒状部は、前記吸気口を通して前記筒状部の内側に流入した前記気体を前記筒状部の内側から外側へ通過させる開口部からなる排気口を有する、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0013】
前記吸気口と前記排気口は、互いに対向している、ワーク浸漬装置であっても良い。
【0014】
液体の表面に向かって気体を吐出することにより前記液体の表面に斜面を形成し、前記液体の前記斜面にワークの表面を接触させながら前記ワークを前記液体の内部へ移動させる、ワーク浸漬方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、気泡の発生を抑制することが可能なワーク浸漬装置及びワーク浸漬方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-1】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S1)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-2】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S2)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-3】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S3)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-4】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S4)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-5】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S5)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-6】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S6)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図2-7】本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S7)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
図3】本発明の他の実施形態におけるワーク浸漬装置を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。この実施形態(実施例1)におけるワーク浸漬装置1は、液体2を収容する液体収容部3と、ワークWを液体2の表面に向かって相対的に移動させる移動手段4と、液体2の表面に向かって気体Gを吐出する気体吐出部5と、ワークWに付着している液体2a(図2-5参照)を除去する液体除去部6とを、備えている。ワークWは、例えば、実質的に平坦な下面を有する円柱状の金属部品である。
【0019】
液体収容部3は、例えば、上部が開口された箱型の容器である。液体収容部3の内側には、液体2が所定の量だけ収容されている。液体2は、例えば、水や有機溶媒である。なお、液体2の種類は、これらに限らず、ワークWに対して行われる処理の内容に応じて適宜選択される。
【0020】
移動手段4は、例えば、ワークWを左右両側から把持したまま上下方向及び左右方向へそれぞれ往復移動可能な機構である。移動手段4は、ワークWを把持したまま下方へ移動することにより、所定の位置に固定された液体収容部3に収容されている液体2の表面に向かってワークWを移動させる。なお、移動手段4は、所定の位置に固定されたワークWに向かって液体収容部3を移動させる機構などであっても良い。つまり、移動手段4は、液体収容部3に収容されている液体2の表面に向かってワークWを相対的に移動させる機構であれば、どのような機構であっても良い。
【0021】
気体吐出部5は、例えば、空気などの気体を吐出する円筒状のノズルであり、任意の気体供給装置(不図示)と接続されている。気体吐出部5は、任意のスライド機構を介して支持され、ワークWから一定距離だけ離れた所定の停止位置と、それよりもワークWに近接する所定の停止位置との間を、往復移動可能である。気体吐出部5は、液体収容部3に収容されている液体2の表面に斜めに気体を吐出する角度で配置されている。なお、気体吐出部5の角度は、これに限らず、液体2の表面に垂直に気体を吐出する角度などであっても良い。気体吐出部5の数は、一つに限らず、二つ以上であっても良い。
【0022】
液体除去部6は、例えば、ワークWの側面に沿って下方へ延在する薄い平板である。液体除去部6は、PETなどの樹脂材料で構成され、適度な可撓性と、光沢のある平滑な表面とを有している。液体除去部6は、任意のスライド機構を介して支持され、ワークWから一定距離だけ離れた所定の停止位置(第一の停止位置)と、ワークWの側面と接触する所定の停止位置(第二の停止位置)との間を、往復移動可能である。これらの二つの停止位置を結ぶ液体除去部6の移動経路は、液体収容部3に収容されている液体2の上方に配置されている。なお、液体除去部6の数は、一つに限らず、二つ以上であっても良い。
【0023】
図2-1~図2-7は、本発明の一実施形態におけるワーク浸漬装置の動作(S1~S7)を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。ワーク浸漬装置1は、以下のステップ1~7(S1~S7)に従って順次動作する。
【0024】
<S1>
図2-1に示すように、ワーク浸漬装置1は、移動手段4を動作させることにより、液体収容部3に収容されている液体2の上方にワークWを移動させ、所定の位置に停止させる。次に、ワーク浸漬装置1は、気体吐出部5をワークWに向かって移動させ、ワークWに近接する所定の位置に停止させる。次に、ワーク浸漬装置1は、気体吐出部5から液体2の表面に向かって気体Gを所定の圧力で連続的に吐出させる。この気体Gの風圧により、液体2の表面には、湾曲した斜面7aを有する概ね半球状の凹部7が形成される。凹部7の表面は、気体Gや液体2の流動により多少波立つが、凹部7の形状は、概ね一定に保たれる。なお、凹部7の形状は、この形状に限らず、その他の形状であっても良い。凹部7の位置は、ワークWの直下付近であるが、これに限らず、ワークWが凹部7と接触可能な範囲内であれば、その他の位置であっても良い。凹部7の開口幅は、ワークWの下面の幅よりも僅かに小さい程度であるが、これに限らず、その他の大きさ(例えば、ワークWの下面の幅よりも僅かに大きい程度)であっても良い。
【0025】
<S2>
図2-2に示すように、ワーク浸漬装置1は、移動手段4を動作させることにより、ワークWを液体2に向かって降下させ、ワークWの下面の一部を液体2の表面に接触させる。この時、ワーク2の下面の一部は、凹部7の周囲に位置する実質的に平坦な液体2の表面と概ね平行に接触する。言い換えると、ワークWの下面の一部は、凹部7の外縁において、凹部7の斜面7aと非平行に接触する。これに対し、ワークWの下面のその他の部分は、液体2とは接触せず、凹部7の斜面7aから僅かな隙間(凹部7)を介して離れた位置に配置される。
【0026】
<S3>
図2-3に示すように、ワーク浸漬装置1は、移動手段4を動作させることにより、ワークWを液体2に向かって更に降下させ、ワークWの下面の一部を凹部7の斜面7aに非平行に接触させながら液体2の内部に移動させる。この時、ワークWの下面のその他の部分は、液体2とは接触せず、凹部7の斜面7aから僅かな隙間(凹部7)を介して離れた位置に配置されるが、この隙間は、ワークWの下面の一部が液体2の内部に移動するにつれて徐々に小さくなる。この過程において、ワークWの下面と凹部7の斜面7aとの間の隙間に介在する空気は、ワークWの下面と凹部7の斜面7aとに挟まれながら横方向へ徐々に押し出され、凹部7の外側へ徐々に排出される。
【0027】
<S4>
図2-4に示すように、ワーク浸漬装置1は、移動手段4を動作させることにより、ワークWを液体2に向かって更に降下させ、ワークWの下面の全体を液体2の内部に移動させる。この時、ワークWの下面と凹部7の斜面7aとの間の隙間は、ワークWの下面が液体2の内部に移動するにつれて徐々に小さくなり、やがて消滅する。この過程において、ワークWの下面と凹部7の斜面7aとの間の隙間に介在する空気は、ワークWの下面と凹部7の斜面7aとに挟まれながら横方向へ徐々に押し出され、やがて凹部7の外側へ完全に排出される。このようなプロセスにより、ワークWの下面における気泡の発生が抑制される。そして、この状態で、液体2に浸漬されているワークWの下部に対して所定の処理(検査など)が行われる。この時、ワーク浸漬装置1は、必要に応じて気体吐出部5からの気体Gの吐出を停止させる。
【0028】
<S5>
図2-5に示すように、ワーク浸漬装置1は、気体吐出部5をワークWから離反する方向へ移動させ、ワークWから一定距離だけ離れた所定の位置に停止させる。また、ワーク浸漬装置1は、移動手段4を動作させることにより、ワークWを上昇させ、ワークWの下面が液体2とは接触しない所定の位置に停止させる。この時、液体2の内部から外部へ移動したワークWの表面には、表面張力により多少の液体2aが付着する。
【0029】
<S6>
図2-6に示すように、ワーク浸漬装置1は、液体除去部6をワークWに向かって移動させ、ワークWの側面と接触する所定の位置(第二の停止位置)に停止させる。これにより、液体除去部6は、ワークWの表面に付着している液体2aと接触する。液体除去部6と接触した液体2aは、表面張力により周囲の液体2aを巻き込みながら液体除去部6の表面を伝って流下し、液体収容部3の内側に落下する。落下した液体2aは、液体収容部3に収容されている液体2の一部として再利用される。このように、ワークWの表面に付着している液体2aを除去すれば、ワークWの表面から液体2aを容易に除去できると共に、液体収容部3に収容されている液体2の損失を低減することができる。また、後工程においてワークWを乾燥させたり洗浄したりする必要がある場合には、ワークWに付着している液体2aの量が予め減少するため、後工程に要する時間を短縮することなどができる。
【0030】
<S7>
図2-7に示すように、ワーク浸漬装置1は、液体除去部6をワークWから離反する方向へ移動させ、液体収容部3の上方の所定の位置(第一の停止位置)に停止させる。この過程において、液体除去部6に付着している液体2a(不図示)が落下したとしても、落下した液体2aは、液体収容部3の内側に収容されるため、液体収容部3の周囲が液体2aで汚染されることはない。
【0031】
S1~S7が終了した後は、ワークWが新たなワークWと入れ替えられ、新たなワークWに対してS1~S7が同様に行われ、以降、同様の動作が繰り返される。
【実施例2】
【0032】
図3は、本発明の他の実施形態におけるワーク浸漬装置を概念的に示す(a)上面図、(b)A-A断面図である。この実施形態(実施例2)におけるワーク浸漬装置21は、実施例1におけるワーク浸漬装置1と同様の構成として、液体2を収容する液体収容部3と、ワークWを液体2の表面に向かって相対的に移動させる移動手段4と、液体2の表面に向かって気体Gを吐出する気体吐出部5と、ワークWに付着している液体2a(図2-5参照)を除去する液体除去部6とを備え、更に、実施例1におけるワーク浸漬装置1とは異なる構成として、ワークWを収容する筒状部22を備えている。
【0033】
筒状部22は、円柱状のワークWの外径よりも僅かに大きな内径を有する円筒状のパイプである。筒状部22の上端は、液体収容部3に収容されている液体2の外部に配置され、ワークWの挿入口として上方に向かって開口されている。筒状部22の下端は、液体収容部3に収容されている液体2の内部に配置され、液体収容部3の底面に固定されている。なお、筒状部22の形状は、これに限らず、その他の形状(角筒状など)であっても良い。
【0034】
筒状部22の下端と液体収容部3の底面との間には、少なくとも一つの隙間23が設けられている。液体収容部3に収容されている液体2は、隙間23を介して筒状部22の内側と外側との間を自由に流通することができる。これにより、筒状部22の内側に収容されている液体2の表面の高さ(液位)と、筒状部22の外側に収容されている液体2の表面の高さ(液位)は、互いに常に等しい状態に保たれる。
【0035】
筒状部22は、液体2の表面から僅かに上方へ離れた位置に、互いの対向する二つの開口部22a、22bを有している。一方の開口部22aは、気体吐出部5から吐出された気体Gを筒状部22の内側へ流入させる吸気口としての役割を果たし、他方の開口部22bは、筒状部22の内側に流入した気体Gを筒状部22の外側へ排出する排気口としての役割を果たす。
【0036】
気体吐出部5から吐出された気体Gは、一方の開口部22aを通して液体2の表面に吹き付けられる。これにより、筒状部22の内側に収容されている液体2の表面には、実施例1と同様の凹部7(図2-1参照)が形成される。液体2の表面に吹き付けられた気体Gは、他方の開口部22bを通して筒状部22の外側へ排出される。気体吐出部5から吐出された気体Gは、一方の開口部22a、液体2の表面、他方の開口部22bを順次経由してスムーズに流動するため、筒状部22の内側に収容されている液体2の表面には、安定した形状の凹部7が形成される。
【0037】
二つの開口部22a、22bは、互いに対向していなくても良いが、気体吐出部5から吐出された気体Gをスムーズに流動させるためには、互いに対向していることが好ましい。二つの開口部22a、22bの形状は、例えば、それぞれ円形であるが、その他の形状であっても良い。他方の開口部22bは、必須ではなく、省略することが可能であるが、気体Gをスムーズに流動させるためには、設けられていることが好ましい。
【0038】
実施例2におけるワーク浸漬装置21では、筒状部22の内側にワークWが収容されているため、外側から飛来した異物などがワークWに付着したり、ワークWに付着している液体2aが外側へ飛散したりすることなどが防止される。また、筒状部22の内側に収容されている液体2の表面は、筒状部22の外側に収容されている液体2の表面よりも波立ち難いため、筒状部22の内側に収容されている液体2の表面には、安定した形状の凹部7が形成される。
【0039】
実施例2におけるワーク浸漬装置21は、実施例1におけるワーク浸漬装置1と同様に、前述のS1~S7に従って順次動作する。
【0040】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、その他種々の形態を取り得る。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、小型の金属部品などを液体に浸漬させる場合に好適に利用することができるが、それ以外の場合にも利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ワーク浸漬装置(実施例1)
2 液体
2a 液体
3 液体収容部
4 移動手段
5 気体吐出部
6 液体除去部
7 凹部
7a 斜面
21 ワーク浸漬装置(実施例2)
22 筒状部
22a 開口部(吸気口)
22b 開口部(排気口)
23 隙間
W ワーク
G 気体
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図3