IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ システム・インスツルメンツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液量検出装置 図1
  • 特許-液量検出装置 図2
  • 特許-液量検出装置 図3
  • 特許-液量検出装置 図4
  • 特許-液量検出装置 図5
  • 特許-液量検出装置 図6
  • 特許-液量検出装置 図7
  • 特許-液量検出装置 図8
  • 特許-液量検出装置 図9
  • 特許-液量検出装置 図10
  • 特許-液量検出装置 図11
  • 特許-液量検出装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】液量検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240307BHJP
   G01F 23/292 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G01N35/10 D
G01F23/292 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020149184
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043736
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】392017303
【氏名又は名称】システム・インスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 道雄
【審査官】野口 聖彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-184027(JP,A)
【文献】特開平06-050981(JP,A)
【文献】特開2007-278707(JP,A)
【文献】特開2007-066226(JP,A)
【文献】特開2007-101366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
G01N 35/00
G01F 23/292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入される液体の体積を示す標線が付された容器の前記標線を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影する画像のうちの前記標線を含む範囲である第1フレームにおいて前記容器に注入される液体の液面を認識し、前記液面および前記標線の高さの差を検出する第1画像処理部と、
前記液面および前記標線の高さの差が予め設定された閾値より小さいと前記第1画像処理部が判定した後に、前記撮影装置が撮影する画像のうちの前記標線を含み前記第1フレームより狭い範囲である第2フレームにおいて前記容器に注入される液体の前記液面を認識し、前記液面の高さが前記標線に達するかを判定する第2画像処理部と、
を備え
前記第2画像処理部は、前記液面における予め設定された基準点を検出し、前記基準点の高さが前記標線に達するかの判定を行い、当該判定の結果を用いて前記液面の高さが前記標線に達するかを判定する
液量検出装置。
【請求項2】
前記第2画像処理部は、前記液面の水平方向の全体を含む範囲を前記第2フレームとする
請求項1に記載の液量検出装置。
【請求項3】
前記第2画像処理部は、前記液面の水平方向のうち前記容器の表面に触れている部分を含まない範囲を前記第2フレームとする
請求項1に記載の液量検出装置。
【請求項4】
前記第2画像処理部は、前記第2フレームの領域について前記液面の一部であるか否かの二値化処理を行い、前記第2フレームの少なくとも一部の範囲において前記液面の一部である領域および前記液面の一部でない領域の割合が予め設定された割合であるかの判定を行い、当該判定の結果を用いて前記液面の高さが前記標線に達するかを判定する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液量検出装置。
【請求項5】
前記第2画像処理部は、前記液面の形状が凹面状である場合に、前記第2フレームの前記標線より下方の範囲において前記液面の一部である領域の割合が予め設定された閾値を下回るかの判定を行い、当該判定の結果を用いて前記液面の高さが前記標線に達するかを判定する
請求項4に記載の液量検出装置。
【請求項6】
前記第2画像処理部は、前記液面の形状が凸面状である場合に、前記第2フレームの前記標線より上方の範囲において前記液面の一部である領域の割合が予め設定された閾値を上回るかの判定を行い、当該判定の結果を用いて前記液面の高さが前記標線に達するかを判定する
請求項4に記載の液量検出装置。
【請求項7】
前記容器に振動を加える加振機構
を備え、
前記第2画像処理部は、前記加振機構が前記容器に振動を加えている間に前記液面の高さが前記標線に達するかの判定を行わない
を備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、メスフラスコへの溶液の注入を行う自動前処理装置の例を開示する。自動前処理装置は、一次元CCDカメラを備える。一次元CCDカメラによって、注入される溶液の液面およびメスフラスコの標線による波形が得られる。自動前処理装置は、得られた波形に基づいて液面の位置を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-50981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メスフラスコなどの容器に注入される溶液などの液体の液面の形状は、容器および液体の組み合わせ、ならびに容器の状態などに応じて変化しうる。しかしながら、特許文献1の自動前処理装置は一次元波形によって液面の位置を認識するため、液面の形状によって液体の計量に誤差が生じる場合がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、より正確に液体を計量できる液量検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る液量検出装置は、注入される液体の体積を示す標線が付された容器の標線を撮影する撮影装置と、撮影装置が撮影する画像のうちの標線を含む範囲である第1フレームにおいて容器に注入される液体の液面を認識し、液面および標線の高さの差を検出する第1画像処理部と、液面および標線の高さの差が予め設定された閾値より小さいと第1画像処理部が判定した後に、撮影装置が撮影する画像のうちの標線を含み第1フレームより狭い範囲である第2フレームにおいて容器に注入される液体の液面を認識し、液面の高さが標線に達するかを判定する第2画像処理部と、を備え、第2画像処理部は、液面における予め設定された基準点を検出し、基準点の高さが標線に達するかの判定を行い、当該判定の結果を用いて液面の高さが標線に達するかを判定する
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る液量検出装置によれば、液体の計量がより正確に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る液量検出装置の構成図である。
図2】液面の形状に応じた液量検出の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る液量検出装置の機能ブロック図である。
図4】実施の形態1に係る液量検出装置による液量検出の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る液量検出装置による液量検出の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る液量検出装置による液量検出の例を示す図である。
図7】実施の形態1に係る第2画像処理部の画像処理の例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る第2画像処理部の画像処理の例を示す図である。
図9】実施の形態1に係る第2画像処理部の画像処理の例を示す図である。
図10】実施の形態1に係る第2画像処理部の画像処理の例を示す図である。
図11】実施の形態1に係る液量検出装置の動作の例を示すフローチャートである。
図12】実施の形態2に係る第2画像処理部の画像処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る液量検出装置の構成図である。
【0011】
液量検出装置1は、容器を用いて一定量の体積の液体を計量する装置である。液量検出装置1は、例えば化学分析における前処理の工程の自動化などに用いられる。液量検出装置1は、例えばメスフラスコ2などの一定量の体積の液体を計量する器具を容器として用いる。首部2aおよび胴部2bを有するメスフラスコ2において、首部2aに標線3が付される。標線3は、メスフラスコ2に注入される液体の体積を示す線である。液量検出装置1は、タンク4と、ポンプ5と、載置台6と、照明装置7と、撮影装置8と、制御装置9と、を備える。
【0012】
タンク4は、計量される液体を貯留する機器である。計量される液体は、例えば水もしくは有機溶媒などの溶媒もしくは溶液、または希釈液などである。
【0013】
ポンプ5は、タンク4に貯留されている液体を送り出す機器である。この例において、ポンプ5が送り出す液体の流量は、連続的または段階的に可変である。なお、ポンプ5が送り出す液体の流量は固定であってもよい。ポンプ5は、液量検出装置1に配置されたメスフラスコ2に至るタンク4からの流路10に設けられる。流路10のメスフラスコ2側の先端において、ノズル11が設けられる。ノズル11は、標線3より上方のメスフラスコ2の内面に接触するように配置される。これにより、ポンプ5によって流路10を送り出された液体は、メスフラスコ2の内面に沿って円滑にメスフラスコ2の内部に流入する。
【0014】
載置台6は、メスフラスコ2を乗せる台である。載置台6の上面において、容器受け12が設けられる。容器受け12は、メスフラスコ2の底部を受ける部分である。容器受け12は、例えば凹部を有し載置台6の上面をなす部分などである。載置台6は、移動機構13と、加振機構14と、を備える。加振機構14は、容器受け12に乗せられたメスフラスコ2に振動を加える機構である。加振機構14が加える振動は、例えば超音波振動である。加振機構14は、例えば容器受け12を通じてメスフラスコ2に振動を加える。加振機構14がメスフラスコ2に加える振動によって、ノズル11から注入される液体がメスフラスコ2の内部に速やかに流れ落ちるようになる。この例において、加振機構14は、一定時間の継続した加振および一定時間の加振の停止を繰り返す、すなわち間欠的にメスフラスコ2に振動を加える。なお、加振機構14は、他の方法によってメスフラスコ2に振動を加えてもよい。移動機構13は、容器受け12に乗せられたメスフラスコ2を移動させる機構である。移動機構13は、メスフラスコ2が乗せられた容器受け12を上下方向、左右方向、または前後方向などに平行移動させる。移動機構13は、例えば鉛直方向を軸として容器受け12を回転移動させてもよい。この例において、移動機構13は、容器受け12および加振機構14を一体に移動させる。移動機構13は、液体が注入される前のメスフラスコ2の位置合わせに用いられる。
【0015】
照明装置7は、メスフラスコ2の標線3を照らす光を発する装置である。照明装置7は、1つまたは複数のLEDランプ15(LED:Light Emitting Diode)と、照明制御ユニット16と、を備える。各々のLEDランプ15は、メスフラスコ2の標線3に向けて光を発する。照明制御ユニット16は、各々のLEDランプ15の点灯および消灯などの動作を制御する部分である。この例において、照明装置7は、複数のLEDランプ15によって標線3を上下の両側から照らす。また、照明装置7は、複数のLEDランプ15によって標線3を左右または前後の両側から照らす。照明装置7は、例えば可視光、赤外線、または紫外線などの光によって標線3を照らす。例えば複数のLEDランプ15は、可視光を発するLEDランプ15、赤外線を発するLEDランプ15、および紫外線を発するLEDランプ15などを含んでもよい。この場合に、照明制御ユニット16は、点灯させるLEDランプ15を選択することで標線3を照らす光を切り替えてもよい。あるいは、各々のLEDランプ15は、可視光、赤外線または紫外線などの光を切り替えて発する機能を搭載していてもよい。この場合に、照明制御ユニット16は、各々のLEDランプ15が発する光を切り替える制御を行ってもよい。あるいは、照明装置7は、連続的な波長の範囲の光を発するランプを有していてもよい。この場合に、ランプが発する光は、可視光、赤外線、または紫外線の少なくともいずれかを含んでいてもよい。ここで、赤外線の波長域は、例えば750nm~1000nmなどの、水の吸収波長970nmを含む範囲である。
【0016】
撮影装置8は、メスフラスコ2の標線3を含む部分を撮影する装置である。撮影装置8は、カメラ17と、フィルタ18と、を備える。カメラ17は、例えば水平方向を向くように配置される。カメラ17は、例えば可視光、赤外線、または紫外線などの光による画像を撮影する。フィルタ18は、カメラ17に入射する光を波長の範囲に応じて選択的に透過させる部分である。フィルタ18は、例えば赤外線を透過させる。この例において、フィルタ18は、カメラ17の正面の位置およびカメラ17の正面から外れた位置の間を移動可能に設けられる。
【0017】
制御装置9は、ポンプ5、載置台6、照明装置7、および撮影装置8などの機器の制御、およびメスフラスコ2に注入される液量の検出などを行う装置である。制御装置9は、ハードウェアとして、例えばプロセッサ100aおよびメモリ100bを備えた処理回路を有する。プロセッサ100aは、例えばCPU、演算装置、マイクロプロセッサ、またはマイクロコンピュータなどである。メモリ100bは、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMおよびEEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、もしくはDVDなどが該当する。メモリ100bは、例えばソフトウェアまたはファームウェアとしてのプログラムなどを記憶する。そして、制御装置9は、メモリ100bに記憶されたプログラムなどをプロセッサ100aが実行することによって予め設定された処理を実施し、ハードウェアとソフトウェアとが協働した結果として各機能を実現する。制御装置9の各機能は、それぞれ処理回路で実現されてもよい。あるいは、制御装置9の各機能の一部または全部は、まとめて処理回路で実現されてもよい。また、処理回路は、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、もしくはFPGA、またはこれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0018】
続いて、図2を用いてメスフラスコ2などの容器を用いた液量検出の例を説明する。
図2は、液面の形状に応じた液量検出の例を示す図である。
【0019】
メスフラスコ2の材質は、例えばガラスまたはプラスチックなどである。メスフラスコ2の材質は、透明ガラスまたは褐色ガラスなどであってもよい。図2において、液体が標線3の位置まで注入されたメスフラスコ2が示される。
【0020】
ここで、メスフラスコ2に注入される液体の液面の形状は、メスフラスコ2の材質および液体の組み合わせ、ならびに容器の状態などに応じて図2(a)、(b)、または(c)などのように変化しうる。
【0021】
図2(a)は、凹面状の液面の形状を示す図である。例えばガラスのメスフラスコ2に水が注入される場合などに、液面は、重力および表面張力ならびにメスフラスコ2の内面の濡れなどによって、凹面状のメニスカスを形成する。凹面状のメニスカスが形成される場合に、メニスカスの最低点を標線3に合わせることで一定量の体積の液体が計量される。
【0022】
図2(b)は、凸面状の液面の形状を示す図である。例えばメスフラスコ2が液体で濡れにくい場合、または液体の表面張力が高い場合などに、液面は、重力および表面張力ならびにメスフラスコ2の内面の濡れなどによって、凸面状のメニスカスを形成する。あるいは、容器がホールピペットなどの負圧によって液体を吸引する器具である場合などに、凸面状のメニスカスが形成される。凸面状のメニスカスが形成される場合に、メニスカスの最高点を標線3に合わせることで一定量の体積の液体が計量される。
【0023】
図2(c)は、平坦な液面の形状を示す図である。例えば液体が泡を含むものなどである場合に、液面は平坦になる。また、液体の注入などによって液面に泡がある場合、あるいは液面が波打っている場合などにおいて、液面の形状は不定形となる。これらの場合に、例えば液面の平均的な高さを標線3に合わせることで液体が計量される。
【0024】
続いて、図3を用いて制御装置9の構成を説明する。
図3は、実施の形態1に係る液量検出装置1の機能ブロック図である。
【0025】
制御装置9は、入力部19と、機器制御部20と、第1画像処理部21と、第2画像処理部22と、を備える。
【0026】
入力部19は、液量検出装置1に対する操作を受け付ける部分である。入力部19は、例えば液量の検出の開始などを受け付けるスイッチを含む。あるいは、入力部19は、液量の検出の設定を入力する操作を受け付けてもよい。
【0027】
機器制御部20は、ポンプ5、載置台6、照明装置7、および撮影装置8などの液量検出装置1の機器の制御を行う部分である。機器制御部20は、液量検出装置1の機器への制御信号の出力、または液量検出装置1の機器の状態を表す信号の取得などを行う。機器制御部20は、例えばポンプ5の起動および停止、ならびにポンプ5が送り出す液体の流量の加減などを行う。機器制御部20は、加振機構14および移動機構13の動作の制御などを行う。機器制御部20は、例えば照明装置7の点灯および消灯などを行う。機器制御部20は、撮影装置8のカメラ17による撮影の開始および終了、ならびにフィルタ18の移動などを行う。
【0028】
第1画像処理部21および第2画像処理部22の各々は、撮影装置8が撮影する画像の少なくとも一部の範囲の画像処理によって、メスフラスコ2に注入される液体の液面の検出を行う部分である。第1画像処理部21および第2画像処理部22は、共通の画像処理モジュールまたは画像処理ライブラリなどによって画像処理を行ってもよい。
【0029】
第1画像処理部21は、撮影装置8が撮影する画像のうちの第1フレームについて画像処理を行う。第1フレームは、撮影装置8が撮影する画像のうちの標線3を含む範囲である。第1フレームは、例えば標線3を含む矩形の範囲である。なお、例えば撮影装置8がメスフラスコ2の首部2aの拡大画像を撮影する場合などに、第1フレームは、撮影装置8が撮影する画像全体であってもよい。第1画像処理部21は、液面および標線3の高さの差が予め設定された第1閾値より小さいかを判定する機能を搭載する。ここで、第1閾値は、例えばメスフラスコ2に注入される液体の流量などに応じて設定される。第1閾値は、入力部19の入力によって設定されてもよい。
【0030】
第2画像処理部22は、撮影装置8が撮影する画像のうちの第2フレームについて画像処理を行う。第2フレームは、撮影装置8が撮影する画像のうちの標線3を含む範囲である。第2フレームは、例えば標線3を含む矩形の範囲である。第2フレームは、第1フレームより狭い範囲である。第2フレームは、例えば第1フレームに含まれる。第2画像処理部22は、液面の高さが標線3に達するかを判定する機能を搭載する。ここで、第2画像処理部22は、例えば計量誤差などの許容される範囲内において液面の高さが標線3に合っているときに液面の高さが標線3に達したと判定してもよい。
【0031】
続いて、図4から図6を用いて、液量検出装置1を用いた液体の計量の例を説明する。
図4から図6は、実施の形態1に係る液量検出装置1による液量検出の例を示す図である。
【0032】
図4において、撮影装置8が撮影する画像の例が示される。図4において、第1フレームF1の例が示される。この例において、第1フレームF1の中心は、画像の中心に一致する。図4を用いて、移動機構13によるメスフラスコ2の位置合わせの例を説明する。この例において、照明装置7は、メスフラスコ2の位置合わせを行うときに可視光を含む光を発する。撮影装置8は、可視光による画像を撮影する。このとき、フィルタ18は、カメラ17の正面から外れた位置に移動している。図4において示される画像は、例えば可視光による画像である。
【0033】
図4(a)において、位置合わせ前の画像が示される。移動機構13による位置合わせは、メスフラスコ2に液体が注入される前に行われる。この例において、移動機構13は、例えば画像の中心に標線3が位置するようにメスフラスコ2を移動させる。このとき、撮影装置8は標線3を水平方向から撮影する。
【0034】
図4(b)において、位置合わせ後の画像が示される。位置合わせ後において、標線3は第1フレームF1の中央に位置している。なお、位置合わせにおいて、移動機構13は、鉛直方向を軸としてメスフラスコ2を回転させてもよい。移動機構13は、例えばメスフラスコ2の壁面に傷または汚れなどがある場合に、傷または汚れなどが撮影装置8の反対側になるようにメスフラスコ2を回転させてもよい。
【0035】
移動機構13によってメスフラスコ2の位置合わせが行われた後に、機器制御部20は、ポンプ5を起動させる。これにより、メスフラスコ2への液体の注入が開始される。なお、ノズル11は、メスフラスコ2の位置合わせの後で液体の注入の前に、メスフラスコ2の首部2aに挿入されてもよい。
【0036】
この例において、照明装置7は、メスフラスコ2への液体の注入が開始された後に、赤外線を含む光を発する。撮影装置8は、赤外線による画像を撮影する。このとき、フィルタ18は、カメラ17の正面の位置に移動している。ここで、メスフラスコ2の材質は、赤外線について透明である。また、注入される液体は、赤外線について透明である。すなわち、撮影装置8は、メスフラスコ2および液体を透過する光によって画像を撮影する。これにより、メスフラスコ2の表面の汚れなどの影響が低減されうる。
【0037】
図5および図6において、撮影装置8が撮影する画像の例が示される。図5および図6において示される画像は、例えば赤外線による画像である。図5および図6において、第2フレームF2の例が示される。この例において、第2フレームF2の中心は、画像の中心に一致する。図5および図6を用いて、第1画像処理部21における処理の例を説明する。
【0038】
図5において、メスフラスコ2に注入された液体の液面が首部2aに達した状態の例が示される。
【0039】
第1画像処理部21は、第1フレームF1についての画像処理を行う。第1画像処理部21は、画像処理によって液体の液面を認識する。第1画像処理部21は、認識した液面の形状の種類を認識する。第1画像処理部21は、例えば液面の形状の種類が凹面状であるか、もしくは凸面状であるか、または凹面状および凸面状のいずれでもないか、を判定する。第1画像処理部21は、認識した液面の高さを検出する。第1画像処理部21は、例えば液面の上端、下端、または上下の中央などの位置における高さを検出する。液体の注入によって液面が波打っている場合などに、第1画像処理部21は、液面の平均高さを検出してもよい。第1画像処理部21は、液面および標線3の高さの差を検出する。第1画像処理部21は、液面および標線3の高さの差が第1閾値より小さいかを判定する。第1画像処理部21は、液面および標線3の高さの差が第1閾値以上であると判定している間、第1フレームF1についての画像処理を継続する。
【0040】
図6において、メスフラスコ2に注入された液体の液面が標線3に接近した状態の例が示される。
【0041】
第1画像処理部21は、液面の高さおよび標線3の高さの差が第1閾値より小さいと判定する場合に、機器制御部20および第2画像処理部22に通知を行う。この例において、機器制御部20および第2画像処理部22への通知は同時に行われる。
【0042】
第1画像処理部21から通知を受けた機器制御部20は、ポンプ5が送り出す液体の流量を低下させる。機器制御部20は、加振機構14のメスフラスコ2への間欠的な加振を開始させる。
【0043】
第1画像処理部21から通知を受けた後に、第2画像処理部22は、機器制御部20がメスフラスコ2に振動を加えているかを判定する。メスフラスコ2に振動が加えられている間、第2画像処理部22は、第2フレームF2についての画像処理を行わない。一方、メスフラスコ2に振動が加えられていないときに、第2画像処理部22は、第2フレームF2についての画像処理を行う。第2画像処理部22は、画像処理によって液体の液面を認識する。第2画像処理部22は、液面の高さが標線3に達するかを判定する。液面の高さが標線3に達すると第2画像処理部22が判定する場合に、機器制御部20は、ポンプ5を停止させる。これにより、メスフラスコ2への液体の注入が停止される。このようにメスフラスコ2に注入された液体の液面が標線3に合ったものとなるため、一定量の液体が計量される。
【0044】
なお、ポンプ5および液体の慣性などによって、制御信号の入力から液体の送出が実際に停止するまでに遅れが生じうる。また、流路10を流れている液体およびメスフラスコ2の首部2aの内面を伝っている液体などが流れ落ちることで、ポンプ5による液体の送出が停止した後においてもメスフラスコ2の内部に液体が遅れて流入しうる。このため、第2画像処理部22は、例えば液面の高さの差が予め設定された第2閾値より小さくなった場合に液面の高さが標線3に達したと判定してもよい。第2閾値は、例えばポンプ5への制御信号の入力後に遅れて流入する液体の量に応じて設定される。第2閾値は、入力部19の入力によって設定されてもよい。
【0045】
続いて、図7から図9を用いて、第2画像処理部22における画像処理の例を説明する。
図7から図9は、実施の形態1に係る第2画像処理部22の画像処理の例を示す図である。
【0046】
図7において、メスフラスコ2に注入された液体の液面の拡大図が示される。
【0047】
この例において、第2フレームF2は、液面の水平方向のうちメスフラスコ2の内壁に触れる部分を含まない。すなわち、第2フレームF2は、液面の水平方向の両端部を含まない。第2フレームF2は、液面の水平方向の中心部を含む。なお、第2フレームF2は、液面の水平方向の少なくとも一方の端部を含んでもよい。第2フレームF2は、上側サブフレームUと、下側サブフレームLと、を有する。上側サブフレームUは、標線3より上方の範囲である。下側サブフレームLは、標線3より下方の範囲である。この例において、上側サブフレームUは、縦方向500画素および横方向400画素の合計200000画素からなる、4点abefを頂点とした矩形の範囲である。下側サブフレームLは、縦方向500画素および横方向400画素の合計200000画素からなる、4点bcdeを頂点とした矩形の範囲である。なお、上側サブフレームUおよび下側サブフレームLは、互いに異なる形状または互いに異なる画素数の範囲であってもよい。この例において、第2フレームF2は、下端から標線3までの距離が予め設定された距離となるように設定される。
【0048】
第2画像処理部22は、例えば画像処理によって認識した液面における基準点Pを検出する。基準点Pは、例えば液面の最低点または最高点である。基準点Pは、第1画像処理部21が判定した液面の形状の種類に応じて検出されてもよい。例えば液面の形状が凹面状である場合に、第2画像処理部22は、基準点Pとして液面の最低点を検出する。例えば液面の形状が凸面状である場合に、第2画像処理部22は、基準点Pとして液面の最高点を検出する。例えば液面の形状が凹面状および凸面状のいずれでもない場合に、第2画像処理部22は、基準点Pとして液面の中間点を検出する。液面の中間点の高さは、例えば液面の水平方向における平均高さなどである。第2画像処理部22は、液面の上昇に伴って鉛直方向または水平方向に移動する基準点Pを追従して検出する。
【0049】
第2画像処理部22は、検出した基準点Pの高さが標線3に達したかの判定を行う。第2画像処理部22は、例えば基準点Pおよび標線3の高さが計量誤差の範囲で一致するときに、検出した基準点Pの高さが標線3に達したと判定する。あるいは、第2画像処理部22は、例えば基準点Pおよび標線3の高さの差が第2閾値を下回るときに、検出した基準点Pの高さが標線3に達したと判定する。第2画像処理部22は、例えば基準点Pの高さが標線3に達したと判定するときに、液面の高さが標線3に達したと判定する。
【0050】
第2画像処理部22は、例えば第2フレームF2の画像について二値分類を行う分類器を搭載する。分類器は、例えば教師あり学習などによって分類を学習する機械学習モジュールなどである。第2画像処理部22は、含む予め入力された教師データに基づいて二値分類の基準を学習する。教師データは、例えば第2フレームF2における複数の画像、および各々の画像について付される液面の高さが標線3に達している状態の画像であるか否かのラベルを含む。教師データは、液面の形状の種類のラベルを含んでいてもよい。第2画像処理部22は、教師データによって学習を行った分類器によって、第2フレームF2の画像について液面の高さが標線3に達している状態の画像であるか否かの二値分類を行う。第2画像処理部22は、例えば第2フレームF2の画像は液面の高さが標線3に達している状態の画像であると分類器が分類するときに、液面の高さが標線3に達したと判定する。なお、第2画像処理部22は、第1画像処理部21が判定した液面の形状の種類に応じて二値分類を行ってもよい。例えば、液面の形状が凹面状である場合に、第2画像処理部22は、複数の画像として凹面状の形状の液面の画像を含む教師データによって学習した分類器を用いてもよい。例えば、液面の形状が凸面状である場合に、第2画像処理部22は、複数の画像として凸面状の形状の液面の画像を含む教師データによって学習した分類器を用いてもよい。
【0051】
第2画像処理部22は、例えば第2フレームF2の領域について液面の一部であるか否かの二値化処理を行う。第2フレームF2の領域は、例えば第2フレームF2の各々の画素に対応する部分である。ここで、液面より上方または液面より下方の部分において、赤外線は透過する。液面において、赤外線は反射または屈折などによって十分透過しない。このように、撮影装置8が撮影する画像における液面の輝度は、液面の上方または下方の部分と異なる。このため、第2画像処理部22は、例えば輝度による二値化によって、液面の一部であるか否かの二値化処理を各々の画素について行う。
【0052】
図8から図10において、第2フレームF2について二値化処理された画像の例が示される。図8から図10の第2フレームF2において、各々の画素が格子状に示される。なお、図8から図10において、図示のため、各々の画素の大きさおよび数は実際のものと異なる場合がある。
【0053】
図8に示されるように、第2画像処理部22は、上側サブフレームUおよび下側サブフレームLにおいて液面の一部である領域および液面の一部でない領域の割合を算出する。この例において、第2画像処理部22は、液面の一部であると判定された画素数および液面の一部でないと判定された画素数の割合を算出する。図8に示される例において、第2画像処理部22は、例えば下側サブフレームLにおける液面の一部である領域の割合を20%と算出する。また、第2画像処理部22は、例えば下側サブフレームLにおける液面の一部でない領域の割合を80%と算出する。
【0054】
第2画像処理部22は、算出した割合が予め設定された基準割合であるかの判定を行う。当該判定は、第1画像処理部21が判定した液面の形状の種類に応じた基準によって行われてもよい。
【0055】
例えば図9に示されるように液面の形状が凹面状である場合に、第2画像処理部22は、メニスカスの最低点が標線3に合うときの割合を基準割合とする。このとき、基準割合は、下側サブフレームLにおける液面の一部である領域を0%とする割合である。第2画像処理部22は、下側サブフレームLにおける液面の一部である領域の割合が予め設定された第3閾値を下回るかの判定を行う。第3閾値は、例えば0%に計量誤差を加えた値などである。第2画像処理部22は、例えば第3閾値を下回ったと判定するときに、液面の高さが標線3に達したと判定する。第3閾値は、入力部19の入力によって設定されてもよい。
【0056】
同様に、例えば図10に示されるように液面の形状が凸面状である場合に、第2画像処理部22は、メニスカスの最高点が標線3に合うときの割合を基準割合とする。このとき、基準割合は、上側サブフレームUにおける液面の一部である領域を0%とする割合である。第2画像処理部22は、上側サブフレームUにおける液面の一部である領域の割合が予め設定された第4閾値を上回るかの判定を行う。第4閾値は、例えば計量誤差の範囲で0%に一致する割合などである。第2画像処理部22は、例えば第4閾値を上回ったと判定するときに、液面の高さが標線3に達したと判定する。第4閾値は、入力部19の入力によって設定されてもよい。
【0057】
なお、第2画像処理部22は、二値化処理した画像において基準点Pを検出してもよい。第2画像処理部22は、二値化処理した画像において分類器の二値分類を行ってもよい。
【0058】
また、第2画像処理部22は、例えば基準点Pによる判定、分類器による判定、および二値化処理した画像の割合による判定の結果のうち、いずれか単独の判定結果によって液面の高さが標線3に達したかの判定を行ってもよい。
【0059】
あるいは、第2画像処理部22は、複数の条件を組み合わせて、または複数の条件を切り替えて液面の高さが標線3に達したかの判定を行ってもよい。第2画像処理部22は、例えば基準点Pによる判定、分類器による判定、および二値化処理した画像の割合による判定の結果の一部または全部の結果の論理和によって液面の高さが標線3に達したかの判定を行ってもよい。例えば、第2画像処理部22は、基準点Pおよび標線3の高さが計量誤差の範囲で一致し、または、二値化処理した画像から算出した液面の一部である領域もしくは液面の一部でない領域の割合が予め設定された基準割合である場合に、液面の高さが標線3に達したと判定する。第2画像処理部22は、例えば基準点Pによる判定、分類器による判定、および二値化処理した画像の割合による判定の結果の一部または全部の結果の論理積によって液面の高さが標線3に達したかの判定を行ってもよい。例えば、第2画像処理部22は、基準点Pおよび標線3の高さが計量誤差の範囲で一致し、かつ、二値化処理した画像から算出した液面の一部である領域または液面の一部でない領域の割合が予め設定された基準割合である場合に、液面の高さが標線3に達したと判定する。
【0060】
続いて、図11を用いて実施の形態1に係る液量検出装置1の動作の例を説明する。
図11は、実施の形態1に係る液量検出装置1の動作の例を示すフローチャートである
【0061】
ステップS1において、機器制御部20は、移動機構13にメスフラスコ2の位置合わせを行わせる。移動機構13による位置合わせの後に、照明装置7および撮影装置8は、赤外線による画像の撮影に切り替える。その後、液量検出装置1は、ステップS2の動作に進む。
【0062】
ステップS2において、機器制御部20は、ポンプ5を起動させる。その後、液量検出装置1は、ステップS3の動作に進む。
【0063】
ステップS3において、第1画像処理部21は、撮影装置8が撮影した画像を用いて第1フレームF1の画像処理を行う。その後、液量検出装置1は、ステップS4の動作に進む。
【0064】
ステップS4において、第1画像処理部21は、液面および標線3の高さの差が第1閾値より小さいかを判定する。判定結果がYesの場合に、液量検出装置1は、ステップS5の動作に進む。一方、判定結果がNoの場合に、液量検出装置1は、ステップS3の動作に進む。
【0065】
ステップS5において、機器制御部20は、ポンプ5が送り出す液体の流量を低下させる。このとき、機器制御部20は、加振機構14のメスフラスコ2への間欠的な加振を開始させてもよい。その後、液量検出装置1は、ステップS6の動作に進む。
【0066】
ステップS6において、第2画像処理部22は、加振機構14がメスフラスコ2を加振しているかを判定する。判定結果がYesの場合に、液量検出装置1は、ふたたびステップS6の動作を繰り返す。一方、判定結果がNoの場合に、液量検出装置1は、ステップS7の動作に進む。
【0067】
ステップS7において、第2画像処理部22は、撮影装置8が撮影した画像を用いて第2フレームF2の画像処理を行う。その後、液量検出装置1は、ステップS8の動作に進む。
【0068】
ステップS8において、第2画像処理部22は、液面の高さが標線3に達したかを判定する。判定結果がNoの場合に、液量検出装置1は、ステップS6の動作に進む。一方、判定結果がYesの場合に、液量検出装置1は、ステップS9の動作に進む。
【0069】
ステップS9において、機器制御部20は、ポンプ5を停止させる。その後、液量検出装置1は、動作を終了する。
【0070】
なお、メスフラスコ2の材質および注入される液体が可視光について透明である場合などに、照明装置7および撮影装置8は、移動機構13による位置合わせの後に赤外線による画像の撮影に切り替えなくてもよい。この場合に、照明装置7および撮影装置8は、例えば可視光による画像を撮影する。液量検出装置1は、可視光による画像の画像処理に基づいて液体を計量する。また、照明装置7および撮影装置8は、メスフラスコ2の材質および注入される液体に応じて、移動機構13による位置合わせの後に紫外線などの他の波長の光による画像の撮影に切り替えてもよい。また、第1画像処理部21は、例えばメスフラスコ2の胴部2bに液面がある場合などに、液体の色または光の波長に対する透過性を判定してもよい。照明装置7および撮影装置8は、第1画像判定部が判定した色などに基づいて、画像を撮影する光の波長を切り替えてもよい。
【0071】
また、第1画像処理部21または第2画像処理部22のいずれによる画像処理を用いるかを切り替えるタイミングと、ポンプ5による液体の流量を低下させるタイミングとは、同期していなくてもよい。すなわち、画像処理の切替えおよび流量の切替えは、それぞれ異なる液面の高さにおいて行われてもよい。液体の流量を低下させるタイミングは、画像処理を切り替える前に行われてもよい。このとき、第1画像処理部21は、液体の流量が低下して液面の揺らぎが小さくなった後に液面の形状の種類を判定してもよい。画像処理の切り替えは、その後に行われてもよい。また、液面の形状の種類の判定は、第2画像処理部22が行ってもよい。また、液体の流量は、注入の開始から終了まで切り替えられずに一定であってもよい。
【0072】
また、加振機構14は、第1画像処理部21が画像処理を行っている間にメスフラスコ2に振動を加えてもよい。このとき、加振機構14は、第2画像処理部22による画像処理に切り替えられた後にメスフラスコ2に信号を加えないものであってもよい。液量検出装置1は、加振機構14を有していなくてもよい。加振機構14は、液面の高さなどによらずにメスフラスコ2に信号を加えてもよい。
【0073】
以上に説明したように、実施の形態1に係る液量検出装置1は、撮影装置8と、第1画像処理部21と、第2画像処理部22と、を備える。撮影装置8は、メスフラスコ2に付された標線3を撮影する。標線3は、メスフラスコ2に注入される液体の体積を示す。第1画像処理部21は、第1フレームF1においてメスフラスコ2に注入される液体の液面を認識する。第1フレームF1は、撮影装置8が撮影する画像のうちの標線3を含む範囲である。第1画像処理部21は、液面および標線3の高さの差を検出する。第2処理部は、液面および標線3の高さの差が予め設定された第1閾値より小さいと第1画像処理部21が判定した後に、第2フレームF2においてメスフラスコ2に注入される液体の液面を認識する。第2フレームF2は、撮影装置8が撮影する画像のうちの、標線3を含み第1フレームF1より狭い範囲である。第2処理部は、液面の高さが標線3に達するかを判定する。
【0074】
このような構成により、液面の画像に基づいて、第1フレームF1において液面および標線3の接近が検出された後に、第2フレームF2において液面が標線3に達するかの判定が行われる。第2フレームF2より広い第1フレームF1の画像を用いることで、液体の流量が大きい場合などにおいても、液面および標線3の接近がより確実に判定される。第1フレームF1より狭い第2フレームF2の画像を用いることで、周囲の外乱の影響を抑えて、液面が標線3に達するかがより高い精度で判定される。液面が標線3に達するかの判定は画像に基づいて行われるので、液面の形状による液体の計量の誤差が抑えられる。液量検出装置1によって前処理の工程の自動化が可能になるため、化学分析などの作業が効率化する。
【0075】
また、第1画像処理部21は、液面の形状の種類を認識する。第2画像処理部22は、第1画像処理部21が認識した形状の種類に応じた基準によって、液面の高さが標線3に達するかを判定する。
【0076】
このような構成により、液面の形状の種類の違いによる誤差の発生が抑えられる。例えば液面の形状が凹面状であるか凸面状であるかによって、標線3に合わせる液面の位置は異なる。このような場合においても、液面の形状の種類に応じた基準によって液面の高さが標線3に達するかが判定されるので、液体の計量がより正確に行われる。
【0077】
また、第2画像処理部22は、液面の水平方向のうちメスフラスコ2の表面に触れている部分を含まない範囲を第2フレームF2とする。
【0078】
メスフラスコ2の内壁を伝って流れ落ちる液体によって、メスフラスコ2の表面に触れている部分の液面が揺れることがある。また、液体の注入を迅速に行いうるように加振機構14などによってメスフラスコ2に振動が加えられる場合に、特にメスフラスコ2の表面に触れている部分の液面が揺れることがある。また、繰り返し使用されるメスフラスコ2において、洗浄などによって生じた壁面の傷などが画像処理のノイズとなる場合がある。このような液面の揺れまたは画像処理のノイズが生じやすい部分を除いた範囲の画像によって液面の高さが標線3に達するかの判定が行われるので、液体の計量がより正確に行われる。また、第2フレームF2の範囲がより狭くなるので、周囲の外乱の影響をより受けにくくなる。また、第2画像処理部22において画像処理を行う範囲が狭くなるので、画像処理に係る処理負荷が低減する。低い処理負荷によって液面の高さが標線3に達するかの判定が迅速に行われるので、例えばポンプ5を停止するための制御信号の出力について、制御遅れが抑制される。
【0079】
また、第2画像処理部22は、下端から標線3までの距離が予め設定された距離となる範囲を第2フレームF2とする。
【0080】
メスフラスコ2において、首部2aおよび胴部2bの製造誤差などによって、同一の容量のメスフラスコ2であっても標線3が付される高さに個体差が生じうる。このようにメスフラスコ2の個体差などによって標線3の位置が異なる場合においても、第2画像処理部22は、同様の処理によって液面の高さが標線3に達するかの判定を行うことができる。
【0081】
また、第2画像処理部22は、第2フレームF2の領域について液面の一部であるか否かの二値化処理を行う。第2画像処理部22は、第2フレームF2の少なくとも一部の範囲において液面の一部である領域および液面の一部でない領域の割合が予め設定された割合であるかの判定を行う。第2画像処理部22は、当該判定の結果を用いて液面の高さが標線3に達するかを判定する。
また、第2画像処理部22は、液面の形状が凹面状である場合に、下側サブフレームLにおいて液面の一部である領域の割合が予め設定された第3閾値を下回るかの判定を行う。下側サブフレームLは、第2フレームF2の標線3より下方の範囲の例である。第2画像処理部22は、当該判定の結果を用いて液面の高さが標線3に達するかを判定する。
また、第2画像処理部22は、液面の形状が凸面状である場合に、上側サブフレームUにおいて液面の一部である領域の割合が予め設定された第4閾値を上回るかの判定を行う。上側サブフレームUは、第2フレームF2の標線3より上方の範囲の例である。第2画像処理部22は、当該判定の結果を用いて液面の高さが標線3に達するかを判定する。
【0082】
このような構成により、液面の形状を反映して液面の高さが標線3に達するかの判定が行われる。これにより、液体の計量がより正確に行われる。また、液面における特定の基準点Pによらずに判定が行われるので、液面の揺動などによって基準点Pの位置が不安定な場合においても、液面の広い範囲の状態に基づいて安定に判定が行われる。
【0083】
また、第2画像処理部22は、液面における予め設定された基準点Pを検出する。第2画像処理部22は、基準点Pの高さが標線3に達するかの判定を行う。第2画像処理部22は、当該判定の結果を用いて液面の高さが標線3に達するかを判定する。
【0084】
このような構成により、液面の特徴を表す基準点Pによって液面の高さが標線3に達するかの判定が行われる。これにより、液体の計量がより正確に行われる。また、液面の形状によらずに判定が行われるので、液面の揺動などによって液面の形状が不安定な場合においても、基準点Pの位置に基づいて安定に判定が行われる。
【0085】
また、第2画像処理部22は、分類器を搭載する。分類器は、予め入力された教師データに基づいて、液面の高さが標線3に達している状態の画像であるか否かの二値分類を行う。教師データは、複数の画像を含む。第2画像処理部22は、第2フレームF2の画像に対する分類器の二値分類の結果を用いて、液面の高さが標線3に達するかを判定する。
【0086】
このような構成により、作業者などによってラベル付けされた教師データに基づく判定が行われる。作業者の経験を取り込んだ判定が行われるので、第2画像処理部22は、液面の多様な状態にも対応できる。
【0087】
また、液量検出装置1は、移動機構13を備える。移動機構13は、メスフラスコ2に液体が注入される前に、第1フレームF1および第2フレームF2に標線3が含まれる位置にメスフラスコ2を移動させる。
【0088】
このような構成により、メスフラスコ2において標線3が付される高さの個体差が吸収される。すなわち、画像において標線3の位置がメスフラスコ2の個体差に依らずに同一の位置となるので、液量検出装置1は、メスフラスコ2の個体差の影響を受けずに液体を計量できる。また、液量検出装置1は、容量の異なるメスフラスコ2などの容器を同一の処理で扱うことができる。また、撮影装置8および照明装置7などの光学系を標線3に合わせて移動させる必要がないので、光学系の相互の位置関係を保ったまま移動させる複雑な機構を設ける必要がない。このため、液量検出装置1の装置構成が簡略化される。また、移動機構13および加振機構14が載置台6などに一体として含まれる場合に、液量検出装置1の構造が簡略化される。このため、液量検出装置1の保守などの作業が効率化される。
【0089】
また、液量検出装置1は、加振機構14を備える。加振機構14は、メスフラスコ2に振動を加える。第2画像処理部22は、加振機構14がメスフラスコ2に振動を加えている間に液面の高さが標線3に達するかの判定を行わない。
【0090】
このような構成により、メスフラスコ2の振動に伴う液面の揺動による液面の高さが標線3に達するかについての誤判定が抑制される。
【0091】
また、機器制御部20は、液面が標線3に接近したときに、ポンプ5による液体の流量を低下させる。これにより、第2画像処理部22によって液面の高さが標線3に達するかの判定が行われるときに、液面の上昇速度および揺れなどが抑えられる。このため、第2画像処理部22による判定の精度がより高められる。
【0092】
また、第2画像処理部22は、複数の判定条件の論理和によって液面の高さが標線3に達するかの判定を行ってもよい。これにより、液面の状態によっていずれかの判定条件が機能しない場合においても、他の判定条件によって液面が標線3に達するかの判定を行うことができる。これにより、液量検出装置1は、より安定に液体の計量を行うことができる。
【0093】
また、第2画像処理部22は、複数の判定条件の論理積によって液面の高さが標線3に達するかの判定を行ってもよい。これにより、液面の状態によっていずれかの判定条件において誤判定が生じた場合においても、他の判定条件に基づいて誤判定が排除される。これにより、液量検出装置1は、より高い精度で液体の計量を行うことができる。第2画像処理部22は、複数の判定条件の多数決によって液面の高さが標線3に達するかの判定を行ってもよい。液体の計量の精度が高められるので、液面が標線3に接近した後の注入の流量を大きくすることができる。このため、液体の計量の工程が効率化される。
【0094】
また、液量検出装置1に用いられるメスフラスコ2などの容器は、交換可能である。液量検出装置1に用いられる容器は、メスフラスコ2でなくてもよい。液量検出装置1に用いられる容器は、ホールピペットなどの負圧によって液体を吸引する器具であってもよい。液量検出装置1は、ホールピペットを用いて吸引する液体の体積を計量するあるいは、容器は、ビュレットなどの液体を滴下する器具であってもよい。ビュレットにおいて、滴定剤などの液体が滴定の前に注入される。液量検出装置1は、ビュレットを用いて、滴定の前後において滴定剤の液体の体積を計量する。液量検出装置1は、例えばビュレットに付される複数の標線3のいずれに液面の高さが達しているかを判定することで、液体の体積を計量する。
【0095】
また、第2画像処理部22は、二値より大きい多階調の画像を用いて判定を行ってもよい。例えば、液面においてメスフラスコ2の内壁に接触する部分は、表面張力によって急峻に立ち上がる形状となる。第2画像処理部22は、例えば当該部分を中間諧調によって表すことで、液面の状態を把握してもよい。液量検出装置1は、第2画像処理部22によって把握された液面の状態に基づいて、メスフラスコ2に注入する液体の流量を調整してもよい。また、第2画像処理部22は、カラー画像を用いて判定を行ってもよい。
【0096】
また、液量検出装置1は、入力部19を備える。入力部19は、液面の形状の種類を指定する操作を受け付けてもよい。このとき、第2画像処理部22は、入力部19において指定された形状の種類に応じた基準によって、液面の高さが標線3に達するかを判定する。入力部19は、例えば凹面状、または凸面状などの液面の形状の種類を指定する切り替えスイッチなどを有していてもよい。液面の形状の種類は、容器の材質および液体の組み合わせによって既知である場合がある。このとき、作業者などによって液面の形状の種類が予め指定されてもよい。この場合に、第1画像処理部21および第2画像処理部22は、液面の形状の種類を判定しなくてもよい。
【0097】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0098】
図12は、実施の形態2に係る第2画像処理部22の画像処理の例を示す図である。
図12において、メスフラスコ2に注入された液体の液面の拡大図が示される。
【0099】
この例において、第2フレームF2は、液面の水平方向のうちメスフラスコ2の内壁に触れる部分を含む。すなわち、第2フレームF2は、液面の水平方向の両端部を含む。第2フレームF2は、液面の水平方向の中心部を含む。この例において、上側サブフレームUは、4点ABEFを頂点とした矩形の範囲である。下側サブフレームLは、4点BCDEを頂点とした矩形の範囲である。
【0100】
このように、実施の形態2に係る液量検出装置1の第2画像処理部22は、液面の水平方向の全体を含む範囲を第2フレームF2とする。
【0101】
このような構成により、液面の全体の状態を反映して液面の高さが標線3に達するかの判定が行われる。例えば液面の揺動が大きい場合に、基準点Pが大きく移動する場合がある。このような場合においても、基準点Pが第2フレームF2の外に出ないので、第2画像処理部22による判定がより安定に行われる。
【0102】
なお、第2画像処理部22は、互いに異なる複数の第2フレームF2による画像処理の結果を組み合わせて判定を行ってもよい。あるいは、第2画像処理部22は、互いに異なる複数の第2フレームF2による画像処理の結果を切り替えて判定を行ってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 液量検出装置、 2 メスフラスコ、 2a 首部、 2b 胴部、 3 標線、 4 タンク、 5 ポンプ、 6 載置台、 7 照明装置、 8 撮影装置、 9 制御装置、 10 流路、 11 ノズル、 12 容器受け、 13 移動機構、 14 加振機構、 15 LEDランプ、 16 照明制御ユニット、 17 カメラ、 18 フィルタ、 19 入力部、 20 機器制御部、 21 第1画像処理部、 22 第2画像処理部、 F1 第1フレーム、 F2 第2フレーム、 P 基準点、 U 上側サブフレーム、 L 下側サブフレーム、 100a プロセッサ、 100b メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12