(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】コンロ用天板
(51)【国際特許分類】
F24C 3/02 20210101AFI20240307BHJP
F24C 15/10 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F24C3/02 H
F24C15/10 B
(21)【出願番号】P 2020156935
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】梅田 宗行
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219236(JP,A)
【文献】特開2014-134312(JP,A)
【文献】特開2015-203532(JP,A)
【文献】特開2020-34255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-3/14
F24C 9/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体の開放された上面を覆うコンロ用天板であって、天板本体にコンロバーナを臨ませるバーナ用開口が開設されるものにおいて、
天板本体の裏面に、所定方向に離隔して一対の支持部が設けられると共に、前記所定方向に長手であって、少なくとも長手方向中間部を天板本体の裏面から浮かせた状態で長手方向両端部が両支持部に固定される補強材が設けられ、天板本体の裏面に、補強材の長手方向中間部の所定箇所の上方に隙間を存して対向するアンカー部材が固定され、補強材の前記所定箇所にアンカー部材を締結する締結手段を備え、アンカー部材を締結手段により補強材の前記所定箇所に締結して下方に牽引することにより、天板本体を予め下方に凹になるように反らせることを特徴とするコンロ用天板。
【請求項2】
請求項1記載のコンロ用天板であって、前記天板本体が金属製であるものにおいて、前記アンカー部材は、天板本体に溶接固定されることを特徴とするコンロ用天板。
【請求項3】
請求項2記載のコンロ用天板であって、前記各支持部は、前記所定方向と直交方向に長手で、前記補強材の長手方向の各端部が固定される枠材と、前記天板本体に枠材の長手方向に間隔を存して溶接固定した複数の固定部材とで構成され、これら固定部材に枠材がネジ止めされることを特徴とするコンロ用天板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ本体の開放された上面を覆うコンロ用天板であって、天板本体にコンロバーナを臨ませるバーナ用開口が開設されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンロ用天板では、加熱による熱膨張で天板本体が上方に凸になるように反ると、五徳に載せた調理容器が不安定になったり、調理容器の重さで調理中に反り方向が下方に凹になるように急に反転するといった危ない事象を生ずる恐れがある。
【0003】
そこで、従来、特許文献1や特許文献2により、天板本体の裏面に補強部材を装着して、加熱時の反りを防止するようにしたコンロ用天板が知られている。然し、このものでも、天板本体の加熱による熱膨張で発生する上方に凸になるように反らせる力が補強部材の強度を超えてしまうことがあり、天板本体が上方に凸になるように反ってしまうことを確実には防止できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-134312号公報
【文献】特開2015-203532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、天板本体が上方に凸になるように反ることを確実に防止できるようにしたコンロ用天板を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロ本体の開放された上面を覆うコンロ用天板であって、天板本体にコンロバーナを臨ませるバーナ用開口が開設されるものにおいて、天板本体の裏面に、所定方向に離隔して一対の支持部が設けられると共に、前記所定方向に長手であって、少なくとも長手方向中間部を天板本体の裏面から浮かせた状態で長手方向両端部が両支持部に固定される補強材が設けられ、天板本体の裏面に、補強材の長手方向中間部の所定箇所の上方に隙間を存して対向するアンカー部材が固定され、補強材の前記所定箇所にアンカー部材を締結する締結手段を備え、アンカー部材を締結手段により補強材の前記所定箇所に締結して下方に牽引することにより、天板本体を予め下方に凹になるように反らせることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、天板本体が予め下方に凹になるように反っているため、天板本体の加熱による熱膨張で、天板本体は下方に凹の反りの程度が増加するだけで、上方に凸になるように反ることを確実に防止できる。従って、天板本体が上方に凸になるように反って、五徳に載せた調理容器が不安定になったり、調理容器の重さで調理中に反り方向が下方に凹になるように急に反転するといった危ない事象は生じない。
【0008】
また、本発明において、天板本体が金属製である場合には、アンカー部材を天板本体に溶接固定することが望ましい。これによれば、天板本体へのアンカー部材の固定が強固になり、アンカー部材の下方への牽引で天板本体を確実に下方に凹になるように反らせることができる。
【0009】
天板本体が金属製である場合には、更に、各支持部を、前記所定方向と直交方向に長手で、補強材の各端部が固定される枠材と、天板本体に枠材の長手方向に間隔を存して溶接固定した複数の固定部材とで構成し、これら固定部材に枠材をネジ止めすることが望ましい。これによれば、枠材が天板本体に強固に固定されるため、枠材の長手方向に伸縮する天板本体の反りを枠材により抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態のコンロ用天板を具備するガスコンロの斜視図。
【
図3】
図2のIII-III線で切断した要部の拡大断面図。
【
図4】第1実施形態のコンロ用天板の分解状態の斜め下方から見た斜視図。
【
図5】本発明の第2実施形態のコンロ用天板の底面図。
【
図6】
図5のVI-VI線で切断した要部の拡大断面図。
【
図7】本発明の第3実施形態のコンロ用天板の底面図。
【
図8】本発明の第4実施形態のコンロ用天板の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すガスコンロは、ビルトイン式のものであり、図示省略したシステムキッチンのカウンタトップに開設したコンロ開口に落とし込むようにして設置されるコンロ本体1と、コンロ本体1の開放された上面を覆うようにしてカウンタトップ上に載置されるコンロ用天板2と、コンロ用天板2上に露出する左右一対のコンロバーナ3,3と、コンロ本体1内に組み込んだグリル4とを備えている。コンロ用天板2上には、各コンロバーナ3を囲うようにして五徳5が載置されている。
【0012】
図2も参照して、コンロ用天板2は、左右一対のコンロバーナ3,3を臨ませる左右一対のバーナ用開口21a,21aを開設した天板本体21と、天板本体21の後方に連設した、グリル4用の排気口22aを開設した後部板22と、天板本体21及び後部板22の周縁を囲う囲い枠23とを備えている。天板本体21上には、各コンロバーナ3とバーナ用開口21aとの間の隙間を上方から覆うカバーリング6が装着され、また、後部板22上には、排気口22aを覆う排気ガード7が載置されている。
【0013】
ところで、加熱による熱膨張で天板本体21が上方に凸になるように反ると、五徳5に載せた調理容器が不安定になったり、調理容器の重さで調理中に天板本体21の反り方向が下方に凹になるように急に反転するといった危ない事象を生ずる恐れがある。そこで、
図1乃至
図4に示す本発明の実施形態のコンロ用天板2では、天板本体21を予め下方に凹になるように反らせている。以下、この点について詳述する。
【0014】
天板本体21の裏面には、左右のバーナ用開口21a,21aよりも前側と後側とに位置させて一対の支持部24,24が設けられると共に、両支持部24,24の離隔方向たる前後方向に長手であって、長手方向中間部を天板本体21の裏面から浮かせた状態で長手方向両端部が両支持部24,24に固定されるチャンネル材から成る補強材25が設けられている。尚、補強材25は、天板本体21の裏面の左右のバーナ用開口21a,21aの間の部分に設置されている。また、本実施形態において、補強材25の長手方向両端寄りの部分は、天板本体21の裏面に当接しているが、補強材25をその全長に亘り天板本体21の裏面から浮かせるようにしてもよい。
【0015】
また、天板本体21の裏面の左右のバーナ用開口21a,21aの間の部分には、補強材25の長手方向中間部の所定箇所の上方に隙間を存して対向するアンカー部材26が固定されている。更に、このアンカー部材26を補強材25の上記所定箇所に締結する締結手段27を設けている。尚、天板本体21の裏面には、上記支持部24、補強材25、アンカー部材26以外にもカバーリング6を係止する枠や補強用の枠が固定されているが、
図2以下では図面の簡略化のためこれら枠を省略している。
【0016】
ここで、天板本体21は、琺瑯引き鋼板やステンレス鋼板等の金属製である。アンカー部材26は、底板部26aと底板部26aから起立する両側の側板部26b,26bとを有するU字状金具で構成され、側板部26bの上端の曲げフランジ部26cにおいて天板本体21に溶接固定されている。また、締結手段27は、ネジ271と、アンカー部材26の底板部26aに形成したネジ孔272とで構成されている。そして、ネジ271を補強材25の上記所定箇所に形成した透孔273を通してアンカー部材26のネジ孔272に締め込むことにより、アンカー部材26を補強材25の所定箇所に締結して下方に牽引し、天板本体21を図示できないほど微小ではあるが予め下方に凹になるように反らせている。
【0017】
このように、天板本体21が予め下方に凹になるように反っていれば、天板本体21の加熱による熱膨張で、天板本体21は下方に凹の反りの程度が増加するだけで、上方に凸になるように反ることを確実に防止できる。従って、天板本体21が上方に凸になるように反って、五徳5に載せた調理容器が不安定になったり、調理容器の重さで調理中に天板本体21の反り方向が下方に凹になるように急に反転するといった危ない事象は生じない。
【0018】
また、本実施形態では、上記の如く天板本体21が金属製であって、アンカー部材26が天板本体21に溶接固定されている。これによれば、天板本体21へのアンカー部材26の固定が強固になり、アンカー部材26の下方への牽引で天板本体21を確実に下方に凹になるように反らせることができる。
【0019】
また、上記各支持部24は、両支持部24,24の離隔方向と直交方向、即ち、横方向に長手で、補強材25の長手方向の各端部が固定されるチャンネル材から成る枠材241と、天板本体21に枠材241の長手方向に間隔を存して固定した複数の固定部材242とで構成され、これら固定部材242に枠材241が取付けられている。各固定部材242は、アンカー部材26と同様に、底板部と底板部から起立する両側の側板部とを有するU字状金具で構成され、側板部の上端の曲げフランジ部において天板本体21に溶接固定されている。そして、各固定部材242の底板部に形成したネジ孔243aに、枠材241に形成した透孔243bを通してネジ243を締め込むことにより、各固定部材242に枠材241をネジ止めしている。そして、各枠材241の長手方向中央部に形成したネジ孔251aに、補強材25の長手方向の各端部に形成した透孔251bを通してネジ251を締め込むことにより、補強材27の長手方向の各端部を各枠材241の長手方向中央部にネジ止めしている。
【0020】
このように、天板本体21に枠材241の長手方向に間隔を存して溶接固定した複数の固定部材242に枠材241をネジ止めすれば、枠材241が天板本体21に強固に固定されることになる。そのため、枠材241の長手方向に伸縮する天板本体21の反りを枠材241により抑制することができる。
【0021】
次に、
図5、
図6に示す第2実施形態のコンロ用天板2について説明する。第2実施形態のコンロ用天板2の基本的な構造は、上記第1実施形態のものと特に異ならず、第1実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態のコンロ用天板2の第1実施形態のものとの相違点は、天板本体21に前側の左右2個と後側中央部の1個との計3個のバーナ用開口21aが開設されている点と、補強材25が、横方向に長手で、天板本体21の裏面の前後方向中央部に設置されていることである。
【0022】
具体的には、天板本体21の裏面の前後方向中央部に、横方向に離隔させて、天板本体21に溶接固定したU字状金具で構成される一対の支持部24,24を設け、横方向に長手のチャンネル材から成る補強材25を、その長手方向中間部を天板本体21の裏面から浮かせた状態で、長手両端部において両支持部24,24にネジ251,251で固定し、更に、天板本体21の裏面に、補強材25の長手方向中間部の所定箇所の上方に隙間を存して対向するU字状金具で構成されるアンカー部材26を溶接固定している。そして、補強材25の所定箇所に形成した透孔273に挿通されるネジ271とアンカー部材26に形成したネジ孔272とで構成される締結手段27により、アンカー部材26を補強材25の所定箇所に締結して下方に牽引し、天板本体21を予め下方に凹になるように反らせている。
【0023】
尚、第2実施形態では、天板本体21の裏面の前後方向中央部に一対の支持部24,24と補強材25とアンカー部材26とを設けているが、
図7に示す第3実施形態や
図8に示す第4実施形態の如く、天板本体21の裏面に、前側の左右のバーナ用開口21a,21aの間に位置させて、一対の支持部24,24と補強材25とアンカー部材26とを設けてもよい。また、第3実施形態では、一対の支持部24,24の離隔方向、即ち、補強材25の長手方向を第2実施形態と同様に横方向にしているが、この方向を第4実施形態の如く横方向及び前後方向に対し傾いた斜め方向にしてもよい。
【0024】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、天板本体21が金属製であるが、天板本体21をガラス製とすることも可能であり、この場合は、アンカー部材26及び支持部24となる部材を天板本体21の裏面に接着固定すればよい。また、上記実施形態では、締結手段27を補強材25の所定箇所に形成した透孔273に挿通されるネジ271と、アンカー部材26に形成したネジ孔272とで構成しているが、補強材25の所定箇所に形成した透孔に挿通されるようにアンカー部材26に植設したスタッドボルトと、スタッドボルトに補強材25の下方から螺合するナットとで締結手段27を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1…コンロ本体、2…コンロ用天板、21…天板本体、21a…バーナ用開口、24…支持部、241…枠材、242…固定部材、25…補強材、26…アンカー部材、27…締結手段、3…コンロバーナ。