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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】建物用煙突の継手構造
(51)【国際特許分類】
   F23J 13/04 20060101AFI20240307BHJP
   E04H 12/28 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F23J13/04 Z
E04H12/28 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020171160
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2022062943
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳宣
(72)【発明者】
【氏名】野上 泰照
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165582(JP,A)
【文献】実開昭60-25853(JP,U)
【文献】実開昭59-37939(JP,U)
【文献】特開2015-25491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/32930(US,A1)
【文献】特開2016-56633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 13/04
E04H 12/28
F23J 13/00
F16L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に付設された煙突における筒状の第1煙突ユニットと、前記第1煙突ユニットの直下の筒状の第2煙突ユニットとの間に設けられて、これら煙突ユニットどうしの水平方向の相対変位を許容する建物用煙突の継手構造であって、
前記第1煙突ユニットの下端面と前記第2煙突ユニットの上端面との間の環状の継手用空間に設けられたマット状の継手パッキンと、
前記第2煙突ユニットの上端部に外方へ水平に突出されるように設けられ、上面が前記第2煙突ユニットの上端面と面一をなす張り出し台と、
前記第1煙突ユニットの外周面の下端部から下方へ突出され、前記継手パッキンの上側部の外周面と対面する垂下板と、
を備え、前記垂下板の下端部と前記第2煙突ユニットとの間には前記継手パッキンの下側部の膨出を許容する間隙が形成され、前記張り出し台が、前記継手パッキンの下側部より張り出していることを特徴とする建物用煙突の継手構造。
【請求項2】
前記継手パッキンが、ブランケット状の柔軟な断熱材と、断熱性の袋体を有し、前記断熱材が、継手用空間の全周にわたる閉じた環体状であり、前記袋体が、前記断熱材を包む輪環面状であることを特徴とする請求項1に記載の建物用煙突の継手構造。
【請求項3】
非膨出状態における前記継手パッキンの煙突周方向と直交する断面が、概略四角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物用煙突の継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高層ビルなどの建物に設けられる煙突に関し、特に上下に積層された筒状の煙突ユニットどうしを相対変位可能に接続する継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボイラーや発電機等が有る建物には排ガスを放出するための煙突が備えられている。通常、この種の煙突は、複数の筒形状の煙突ユニットを含む(特許文献1等参照)。これら煙突ユニットが、鉛直に一列に積層されている。地震時の変形に追従するために、上下に隣接する煙突ユニットどうしは相対変位(層間変位)が許容されている。これら上下の煙突ユニットどうしの間には継手パッキンが挟まれている。継手パッキンによって煙突ユニット間の気密性が確保されている。例えば特許文献1のパッキンは、耐火性及び弾性を有する無機質繊維によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭63-050583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の煙突においては、上下の煙突ユニットどうしが地震等によって互いにずれたとしても、これら煙突ユニット間の気密性が確保されている必要がある。そこで、下側の煙突ユニットの上端面から外方へ水平に張り出す張り出し台を設け、継手パッキンを下側の煙突ユニットの上端面から張り出し台の先端部近くまで及ぶ幅広のマット状に形成することで、地震時には上側の煙突ユニットが継手パッキン上を滑るようにすることが考えられる。しかし、発明者の知見によれば、実際には、継手パッキンにおける、上側の煙突ユニットがずれて来ようとする側の上面部分が、めくれて凸凹になってしまい、上側の煙突ユニットがスムーズに滑らなかった。
本発明は、かかる事情に鑑み、上下の煙突ユニットどうし間に継手パッキンが挟まれた煙突において、地震時には煙突ユニットどうしの円滑な相対変位が許容されるようにするとともに、煙突ユニットどうし間の気密性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、建物に付設された煙突における筒状の第1煙突ユニットと、前記第1煙突ユニットの直下の筒状の第2煙突ユニットとの間に設けられて、これら煙突ユニットどうしの水平方向の相対変位を許容する建物用煙突の継手構造であって、
前記第1煙突ユニットの下端面と前記第2煙突ユニットの上端面との間の環状の継手用空間に設けられたマット状の継手パッキンと、
前記第2煙突ユニットの上端部に外方へ水平に突出されるように設けられ、上面が前記第2煙突ユニットの上端面と面一をなす張り出し台と、
前記第1煙突ユニットの外周面の下端部から下方へ突出され、前記継手パッキンの上側部の外周面と対面する垂下板と、
を備え、前記垂下板の下端部と前記第2煙突ユニットとの間には前記継手パッキンの下側部の膨出を許容する間隙が形成され、前記張り出し台が、前記継手パッキンの下側部より張り出していることを特徴とする。
【0006】
当該建物用煙突の継手構造においては、継手パッキンにおける張り出し台上への膨出ないしは張り出しを十分に小さくできる。このため、地震による層間変形に伴い、上側の第1煙突ユニットが下側の第2煙突ユニットに対して張り出し台の張り出し方向へ横ずれしようとするとき、継手パッキンのめくれを抑制又は防止でき、第1煙突ユニットがスムーズに横ずれできる。しかも、継手パッキンが第1煙突ユニットと一緒に張り出し台上へずれることができる。第1煙突ユニットが第2煙突ユニットに対して引っ込もうとする側では、継手パッキンの上側部分が垂下板に引っ掛かって押し動かされることで、継手パッキンが第1煙突ユニットと共に引っ込む。これによって、上下の煙突ユニットの相対変位を許容して層間変形に追従できるとともに、これら煙突ユニットどうし間の気密性を確保できる。
【0007】
前記継手パッキンが、ブランケット状の柔軟な断熱材と、断熱性の袋体を有し、前記断熱材が、継手用空間の全周にわたる閉じた環体状であり、前記袋体が、前記断熱材を包む輪環面状であることが好ましい。
これによって、地震による第1煙突ユニットの横ずれ時に継手パッキンのめくれを確実に抑制又は防止できる。かつ煙突ユニットどうし間の断熱性及び気密性を確実に確保できる。
【0008】
非圧縮状態における前記継手パッキンの煙突周方向と直交する断面が、概略四角形状であることが好ましい。非圧縮状態とは、継手パッキンが第1煙突ユニットと第2煙突ユニットとによる圧縮力を受けていない状態を言う。これによって、継手パッキンのめくれを確実に抑制でき、煙突ユニットどうしの円滑な相対変位を確実に許容することができる。かつ、発明者の知見によれば、継手パッキンの角部における損耗を抑制できる。ちなみに非圧縮状態における継手パッキンの煙突周方向と直交する断面が円形であると、特に煙突の2つの側面が交わる角部における継手パッキンの損傷が大きい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上下の煙突ユニットどうし間に継手パッキンが挟まれた煙突において、地震時には煙突ユニットどうしの円滑な相対変位が許容されるようにするとともに、煙突ユニットどうし間の気密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る煙突を含む建物の高層階部分の解説正面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う、前記煙突の継手の平面断面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う、前記継手の正面断面図である。
図4図4は、図3に現れた継手パッキンの周方向の一部分の非膨出状態(デフォルト状態)における断面図である。
図5図5は、前記継手パッキンの斜視図である。
図6図6は、前記継手の地震時における煙突ユニットどうしの相対変位の一態様を示す正面断面図である。
図7図7は、前記継手の地震時における煙突ユニットどうしの相対変位の他の様を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、高層ビルなどの建物1を示したものである。建物1には、ボイラーや発電機などからの排煙を放出するための煙突3が付設されている。本実施形態の煙突3の煙道ひいては煙突軸方向は屈曲されている。すなわち、煙突3は、建物1の低層部から屋上階1phまで鉛直に伸びる鉛直煙突部3aと、屋上階1phにおいて水平に伸びる横行部3bと、横行部3bから立ち上がる立ち上がり部3cと、立ち上がり部3cの頂部の煙突口3dとを有している。
【0012】
図1に示すように、煙突3は、煙道を構成する複数の煙突ユニット10と、継手14,20を備えている。図2に示すように、各煙突ユニット10は、例えば断面四角形の筒状になっている。図1に示すように、複数の煙突ユニット10が煙突軸方向に連ねられることによって煙道が形成されている。隣接する煙突ユニット10どうしが継手14を介して連ねられている。継手14は、上下の煙突ユニットどうしのロッキングを許容する差し込みジョイントである。鉛直煙突部3aの各煙突ユニット10は、支持ブラケット13を介して建物1の躯体1aに支持されている。屋上階1phの横行部3bの各煙突ユニット10は、吊フレーム15によって吊支持されている。
【0013】
図1に示すように、煙突ユニット10のうち、鉛直煙突部3aの上端部の第1煙突ユニット11は、これに連なる横行部3bの変位を直接受ける。このため、第1煙突ユニット11とその直下の第2煙突ユニット12との間には、継手14に代えて、煙突ユニット11,12どうしのスウェー(水平方向の相対変位)を許容するスウェージョイントからなる継手20(継手構造)が介在されている。
【0014】
詳述すると、図3に示すように、第1、第2煙突ユニット11,12を含む各煙突ユニット10は、互いに重ねられた内側断熱ボード13と外側断熱ボード14を有している。第1煙突ユニット11の下端部には、2枚の断熱ボード13,14の高低差による段差13dが形成されている。段差13dと、第1煙突ユニット11の外側断熱ボード14の下端面と、第2煙突ユニット12の上端面とによって、継手用空間19が形成されている。継手用空間19は、煙突3の全周にわたる四角形の環状になっており、煙突3の外側及び内側へ開放されている。継手用空間19に継手20が配置されている。
【0015】
図3に示すように、継手20は、継手パッキン21と、枠部材30と、台座40によって構成されている。四角環状の継手用空間19に継手パッキン21が設けられている。図2に示すように、継手パッキン21は、継手用空間19の全周にわたる四角環状に形成されている。つまり、継手パッキン21は、周方向に分割されておらず、継手用空間19の全周にわたって一体物になっている。
【0016】
図3に示すように、継手パッキン21は、圧縮変形可能なマット状である。継手パッキン21は、ブランケット状の柔軟な断熱材22と、断熱性の袋体23を有している。断熱材22は、継手用空間19の全周にわたる四角形の閉環体状(ドーナツ状)に形成されている。好ましくは、断熱材22の材質は、セラミックブランケットである。
【0017】
図5に示すように、袋体23は、四角い輪環面状(トーラス状)に形成されている。該袋体23が断熱材22の表面全体を包んでいる。好ましくは、袋体23の材質は、ガラスクロスである。なお、袋体23は、全体として一体の輪環面状であればよく、複数枚のガラスクロス等の断熱布地を縫い合わせることで縫い目(継ぎ目)が形成されていてもよい。
【0018】
図4に示すように、非圧縮状態における継手パッキン21の煙突周方向と直交する断面は、概略四角形状である。非圧縮状態とは、継手パッキン21が第1煙突ユニット11と第2煙突ユニット12とによる後記圧縮力を受けていない状態を言う。
【0019】
図3に示すように、第1煙突ユニット11の下端部に枠部材30が設置されている。枠部材30は、ウエブ31と一対のフランジ32,33を有する断面コ字状(C字状)の型鋼材によって構成されている。ウエブ31が外側断熱ボード14の下端面に宛がわれて固定されている。一対のフランジ32,33が、煙突内外方向に対向している。煙突内側のフランジ32が段差13dに宛がわれて固定されている。
【0020】
煙突外側のフランジ33は、第1煙突ユニット11の外周面の下端部から下方へ突出(垂下)されている。以下、フランジ33を適宜「垂下板33」と称す。垂下板33は、第1煙突ユニット11の外周面より少し外方へ突出されているが、これに限らず、第1煙突ユニット11の外周面と面一であってもよく、第1煙突ユニット11の外周面より少し引っ込んでいてもよい。
【0021】
図3に示すように、垂下板33の下端部は、継手用空間19の高さ方向の中間部に配置されている。垂下板33の下端部と第2煙突ユニット12の上端面(具体的には台座40の上面)との間には、間隙19bが形成されている。
図2に示すように、枠部材30ひいては垂下板33は、四角形断面の煙突3の全周にわたる四角環状になっている。
図2及び図3に示すように、ウエブ31と一対のフランジ33によって、枠部材30の内側にパッキン上側収容空間34が画成されている。パッキン上側収容室34は、下方へ開放され、かつ四角形断面の煙突3の全周にわたる四角環状になっている。
【0022】
図3に示すように、第2煙突ユニット12の上端部に台座40が設けられている。台座40は、台座部41と、張り出し台42を一体に有している。台座部41は、平板状をなし、第2煙突ユニット12の断熱ボード13,14の上端面に被さっている。台座部41の上面によって第2煙突ユニット12の上端面が構成されている。
【0023】
台座部41から煙突外方へ張り出し台42が延出されている。張り出し台42は、台座部41と面一かつ一体の平板状である。該張り出し台42が、第2煙突ユニット12の上端部から煙突外方へ水平に突出されている。張り出し台42の上面は、台座部41の上面ひいては第2煙突ユニット12の上端面と面一をなしている。
【0024】
図2に示すように、台座40ひいては台座部41及び張り出し台42は、四角形断面の煙突3の全周にわたる四角環状になっている。
【0025】
図3に示すように、台座部41に継手パッキン21が載置されている。張り出し台42が、継手パッキン21の下側部より張り出している。継手パッキン21は、張り出し台42上に張り出す張り出し部分を実質的に有していない。
【0026】
継手パッキン21の上側部は、枠部材30のフランジ32と垂下板33の間に差し入れられることで、枠部材30のパッキン上側収容室34に嵌め込まれている。継手パッキン21の上側部の外周面が垂下板33の内面に押し当てられている。つまり、垂下板33が、継手パッキン21の上側部の外周面と対面している。
【0027】
図3に示すように、継手パッキン21は、上下の煙突ユニット11,12に挟み付けられ、上下に圧縮されることで変形されている。詳しくは、継手パッキン21の下側部が煙突の内外方向へ膨出されている。特に継手パッキン21の下側部の外周部が、間隙19bから張り出し台42上へ膨出されている。言い換えると、間隙19bが、継手パッキン21の下側部の膨出を許容している。継手パッキン21の下側部の外周部の膨出量d21は、張り出し台42の張り出し幅w42と比して、十分に小さい。好ましくは、膨出量d21は、張り出し幅w42の数分の1以下である。
【0028】
圧縮によって継手パッキン21の上下寸法が縮められている。継手パッキン21の圧縮率aは、好ましくは、a=65%~85%程度であり、より好ましくはa=75%程度である。これによって、気密性を確保できる。
ここで、圧縮率aは、非圧縮状態(図4)における継手パッキン21の高さ寸法hに対する、圧縮状態(図3)における継手パッキン21の高さ寸法hの比を云う(a=h/h)。
【0029】
図3に示すように、上下の煙突ユニット11,12の外周面間には、外周連結枠50が跨ぐように設けられている。外周連結枠50は、上下一対の枠材51,52と、継手カバー53を含む。枠材51,52は、それぞれ断面コ字状の鋼材によって構成されている。上側の枠材51は、第1煙突ユニット11の外周面の下端部近くに設置されている。下側の枠材52は、第2煙突ユニット12の外周面の上端部近くに設置されている。枠材51,52どうしが、上下に離間して向き合っている。
【0030】
下側の枠材52の上面は、張り出し台42の下面に宛がわれている。枠材52によって張り出し台42が支持され、かつ補強されている。
【0031】
上下の枠材51,52の煙突外側を向く外端面どうし間に継手カバー53が架け渡されている。継手カバー53の上端部が枠材51に固定されている。継手カバー53の下端部が枠材52に固定されている。継手カバー53は、フレキシブル(柔軟)な断熱シートによって構成されている。好ましくは、継手カバー53の材質は、ガラスクロスである。継手カバー53は、煙突ユニット11,12どうしの相対変位(層間変形)に対応可能なように、弛められている。
【0032】
図2に示すように、継手カバー53及び枠材51,52を含む外周連結枠50は、煙突3の全周にわたって環状に設けられている。継手20が、全周にわたって、継手カバー53によって煙突外側から覆われている。継手カバー53によって、継手20内への塵埃侵入が防止されている。
【0033】
建物用煙突3においては、継手パッキン21によって、上下の煙突ユニット11,12間の気密性及び断熱性を確保できる。
当該継手パッキン21は、前述したように、張り出し台42上への張り出し部分を実質的に有しておらず、膨出量d21(図3)は十分に小さい。
このため、図6に示すように、例えば、地震の揺れによって、上側の第1煙突ユニット11が下側の第2煙突ユニット12に対して張り出し台42の張り出し方向(図6において右)へ横ずれするとき、継手パッキン21のめくれが起きることが無い。したがって、第1煙突ユニット11がスムーズに横ずれできる。このとき、継手パッキン21は、フランジ32ひいては段差13dによって押し動かされることで、第1煙突ユニット11と一緒に張り出し台42上へずれることができる。
【0034】
図7に示すように、上側の第1煙突ユニット11が下側の第2煙突ユニット12に対して引っ込むときは、継手パッキン21の上側部分が垂下板33によって押し動かされることで、継手パッキン21が第1煙突ユニット11と共に引っ込む。
これによって、上下の煙突ユニット11,12の相対変位を許容でき、層間変形に追従できる。かつ、煙突ユニット11,12の相対変位にかかわらず、継手パッキン21が、これら煙突ユニット11,12どうしの間の全周にわたって圧縮状態で介在されることによって、煙突ユニット11,12どうし間の気密性を確保できる。
【0035】
継手パッキン21の断熱材22及び袋体23が周方向に分割されていない一体物の四角環状であることで、第1煙突ユニット11の前記横ずれ時における継手パッキン21のめくれを確実に抑制できる。
更に、非圧縮状態における継手パッキン21の断面が四角形状であることによって、継手パッキン21のめくれを確実に抑制できるとともに、継手パッキン21の角部21cにおける継手パッキン21の損耗を確実に抑制できる。
【0036】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、継手パッキン21が、継手用空間19の周方向に複数に分割されていてもよい。非圧縮状態における継手パッキン21の煙突周方向と直交する断面が円形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば高層ビルに設けられた煙突に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
3 煙突
11 第1煙突ユニット
12 第2煙突ユニット
19 継手用空間
19b 間隙
20 継手(継手構造)
21 継手パッキン
21c 角部
22 断熱材
23 袋体
30 枠部材
33 フランジ(垂下板)
34 パッキン上側収容室
40 台座
41 台座部
42 張り出し台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7