(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240307BHJP
F16K 47/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F16K47/02 D
(21)【出願番号】P 2020196977
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小池 亮司
(72)【発明者】
【氏名】中川 大樹
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-173004(JP,A)
【文献】特開2003-148642(JP,A)
【文献】特開2020-56472(JP,A)
【文献】特開平4-262175(JP,A)
【文献】米国特許第5113903(US,A)
【文献】特開2013-249889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F16K 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体の主弁室内に設けられて該主弁室に開口する主弁ポートを開閉する主弁体と、前記主弁体に形成された副弁室内で該主弁体に形成された副弁ポートの軸線方向に移動して該副弁ポートの開度を制御する副弁体と、を備え、前記主弁室から前記副弁室に連通する連通路が形成され、前記主弁体で前記主弁ポートを閉として、前記連通路を介して前記副弁室に流入する流体を、前記副弁体のニードル弁と前記副弁ポートとの隙間のポート絞り部で絞る小流量制御域を有する電動弁において、
前記副弁体は前記副弁室内に配置されるガイド用ボス部を備えるとともに、前記副弁室の内周と前記ガイド用ボス
部の外周との間に、前記ガイド用ボス部が摺接する高潤滑性ガイド部材を備え
、
前記高潤滑性ガイド部材は前記副弁室の内周から離間する円筒部を有し、該円筒部の周囲の連通空間に前記連通路が開口していることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記高潤滑性ガイド部材の前記円筒部が、前記副弁体の前記ニードル弁を囲繞していることを特徴とする請求項
1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記高潤滑性ガイド部材の内側に前記副弁体を収容する副弁体収容室が形成され、前記円筒部の周囲の前記連通空間から前記副弁体収容室まで、前記軸線方向に延びる流路を有することを特徴とする請求項
1または2に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小流量制御域と大流量域とで流量制御する電動弁がある。このような電動弁は、例えば特開2020-56472号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図9は上記同様な従来の電動弁の縦断面図である。この従来の電動弁では、主弁体aの内側の副弁室a1内に副弁体bが配置されている。副弁体bはガイド用ボス部b1とニードル弁b2とを有している。そして、副弁体bは駆動部cのロータ軸c1の下端に形成されている。駆動部cはねじ送り機構c2を備え、ロータ軸c1が回転することで、副弁体bが主弁体aの内側で、上下動する。これにより、ニードル弁b2が副弁ポートa2の開度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の電動弁の構造においては、副弁体bは、ガイド用ボス部b1が主弁体aの副弁室a1の内周でガイドされながら上下動する。このガイド部分は、副弁体bのニードル弁b2が必要以上に副弁ポートa2に干渉しないように径方向への動きを抑制する役割を持っている。しかし、副弁体bのガイド用ボス部b1と主弁体aは金属同士の摺動となる為、摩耗等により作動性を損なう可能性がある。
【0006】
本発明は、主弁体で主弁ポートを全閉状態とし、この主弁体に形成された副弁ポートと副弁体との間のポート絞り部により流体の小流量制御域での流量制御を行う電動弁において、副弁体の良好な作動性を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動弁は、弁本体の主弁室内に設けられて該主弁室に開口する主弁ポートを開閉する主弁体と、前記主弁体に形成された副弁室内で該主弁体に形成された副弁ポートの軸線方向に移動して該副弁ポートの開度を制御する副弁体と、を備え、前記主弁室から前記副弁室に連通する連通路が形成され、前記主弁体で前記主弁ポートを閉として、前記連通路を介して前記副弁室に流入する流体を、前記副弁体のニードル弁と前記副弁ポートとの隙間のポート絞り部で絞る小流量制御域を有する電動弁において、前記副弁体は前記副弁室内に配置されるガイド用ボス部を備えるとともに、前記副弁室の内周と前記ガイド用ボス部の外周との間に、前記ガイド用ボス部が摺接する高潤滑性ガイド部材を備え、前記高潤滑性ガイド部材は前記副弁室の内周から離間する円筒部を有し、該円筒部の周囲の連通空間に前記連通路が開口していることを特徴とする。
【0009】
また、前記高潤滑性ガイド部材の前記円筒部が、前記副弁体の前記ニードル弁を囲繞していることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0010】
また、前記高潤滑性ガイド部材の内側に前記副弁体を収容する副弁体収容室が形成され、前記円筒部の周囲の前記連通空間から前記副弁体収容室まで、前記軸線方向に延びる流路を有することを特徴とする電動弁が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電動弁によれば、副弁室の内周とガイド用ボスの外周との間に、ガイド用ボス部が摺接する高潤滑性ガイド部材を備えているので、副弁体が上下動するときに、副弁体のガイド用ボス部が、この高潤滑性ガイド部材内で容易に摺動し、電動弁の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体の良好な作動性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図4】本発明の第4実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図5】本発明の第5実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図6】本発明の第6実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図7】本発明の第7実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図8】本発明の第8実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【
図9】本発明の第9実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の電動弁の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。この電動弁100は、弁ハウジング1と、支持部材2と、主弁体3と、副弁体4と、駆動部5と、を備えている。
【0014】
弁ハウジング1は例えば、黄銅、ステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に主弁室1Rを有している。弁ハウジング1の外周片側には主弁室1Rに導通される第1継手管11が接続されるとともに、下端から下方に延びる筒状部に第2継手管12が接続されている。また、弁ハウジング1の第2継手管12の主弁室1R側には主弁座13が形成され、この主弁座13の内側は主弁ポート13aとなっている。主弁ポート13aは軸線Lを中心とする円柱形状の孔であり、第2継手管12は主弁ポート13aを介して主弁室1Rに導通される。なお、本実施形態では、主弁座13は、弁ハウジング1に一体的に形成されているが、主弁ポートを有する弁座部材を弁ハウジングとは別体に設け、弁座部材を弁ハウジングに組み付ける形態としてもよい。
【0015】
弁ハウジング1の上端の開口部には、支持部材2が取り付けられている。支持部材2は、弁ハウジング1の内周面内に嵌合される嵌合部21と、嵌合部21の内側の上下に位置する略円柱状のガイド部22と、ガイド部22の上部に延設されたホルダ部23と、嵌合部21に設けられ、嵌合部21の外周に突出する金属板からなるリング状の固定金具24とを有している。嵌合部21、ガイド部22及びホルダ部23は樹脂製の一体品として構成されており、固定金具24はインサート成形により樹脂製の嵌合部21と共に一体に設けられている。なお、支持部材2の嵌合部21を弁ハウジング1に対して圧入してもよい。
【0016】
また、支持部材2のホルダ部23の中心には、軸線Lと同軸の雌ねじ部23aとそのネジ孔が形成されるとともに、雌ねじ部23aのネジ孔に連なる軸ガイド孔23bが形成され、さらに、この軸ガイド孔23bの内周よりも径の大きな円筒状のスライド孔23cが形成されている。そして、この雌ねじ部23aのネジ孔と、軸ガイド孔23bの中に円柱棒状のロータ軸51が配設されている。ロータ軸51の外周に雄ねじ部51aが形成されており、この雄ねじ部51aはホルダ部23の雌ねじ部23aに螺合されている。
【0017】
ホルダ部23には、その外周に螺旋状の突条からなるガイド雄ネジ231、ガイド雄ネジ231の下側一端に半径方向に突出した下端ストッパ232、及びガイド雄ネジ231の上端部の外周縁に上端ストッパ233がそれぞれ形成されている。また、ガイド雄ネジ231の外周にはコイル状の従動スライダ234が螺合されている。この従動スライダ234は後述のマグネットロータ52の回転に伴って同方向に連れ回され、ガイド雄ネジ231に倣ってロータ軸51と同方向(上下)に移動する。そして、この従動スライダ234が下端ストッパ232または上端ストッパ233に当接することにより、マグネットロータ52の上下の停止位置が規制される。
【0018】
主弁体3は、主弁座13に対して着座及び離座する主弁部31と、主弁体3の側壁であって副弁体4を内包する副弁内包部32とで構成されている。主弁部31の内側には円柱状の開口3Aが形成されるとともに、副弁内包部32の内側には円柱状の副弁室3Rが形成されている。そして、主弁部31と副弁内包部32との間には、軸線Lを中心として副弁室3Rから開口3A側に開口する円柱状の副弁ポート3aが形成されている。
【0019】
主弁体3の副弁内包部32の側面には、軸線Lと交差する方向で主弁室1Rから副弁室3Rに連通する連通路3bが形成されている。この実施形態では、連通路3bは、軸線L周りに回転対象な位置に放射状に複数本(例えば4本)形成されている。また、主弁体3は、副弁内包部32の上端部にリテーナ34を有するとともに、リテーナ34と支持部材2のガイド孔2Aの上端部との間に主弁ばね35を有しており、この主弁ばね35により主弁体3は主弁座13の方向(閉方向)に付勢されている。なお、主弁部31の開口3Aの内側に消音部材36が配設されている。なお、連通路3bは、回転対象な位置に放射状に複数本形成される形態に限らず、連通路3bの数を一個としたり、不等間隔に複数本形成してもよい。
【0020】
副弁体4は、ロータ軸51の下端部に形成されている。また、副弁体4は、ロータ軸51に一体に形成されている。この副弁体4はガイド用ボス部41とニードル弁42とで構成されている。また、副弁体4のニードル弁42は、その先端が副弁ポート3a対して軸線L方向に挿通されるものであり、ニードル弁42と副弁ポート3aとの隙間であるポート絞り部を小流量の流体が流れることにより小流量制御が行われる。副弁体4のガイド用ボス部41の上端には、潤滑性樹脂からなる円環状のワッシャ43が配設され、ガイド用ボス部41は、副弁内包部32の内側に配設されている。そして、副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41の外周との間には、このガイド用ボス部41が摺接する高潤滑性ガイド部材10が配設されている。なお、副弁体4と、ロータ軸51とを別体にそれぞれ形成し、これらを組み付けてもよい。
【0021】
弁ハウジング1の上端には密閉ケース55が溶接等によって気密に固定され、密閉ケース55内には、外周部を多極に着磁されたマグネットロータ52と、その中心に固着されたロータ軸51とが設けられている。また、密閉ケース55の外周にはステータコイル53が配設されており、マグネットロータ52、ロータ軸51及びステータコイル53はステッピングモータ5を構成している。そして、ステータコイル53にパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ52が回転されてロータ軸51が回転する。
【0022】
以上の構成により、ステッピングモータ5が駆動されるとマグネットロータ52及びロータ軸51が回転し、雄ねじ部51aと雌ねじ部23aとのねじ送り機構により、マグネットロータ52と共にロータ軸51が軸線L方向に移動する。そして、副弁体4が軸線L方向に進退移動して副弁体4のニードル弁42が副弁ポート3aに対して近接又は離間する。また、副弁体4が上昇するとき、ワッシャ43が主弁体3のリテーナ34に係合し(副弁上端位置)、主弁体3は副弁体4と共に移動して、主弁体3の主弁部31が主弁座13から離座する。これにより、主弁ポート13aが全開となって大流量域状態となる。
【0023】
高潤滑性ガイド部材10は、主弁体3の副弁室3Rの内面に整合する円筒形状をしており、副弁室3Rの内部の底部に設置されている。そして、この高潤滑性ガイド部材10には、主弁体3の連通路3bに対向する位置に連通路10aが形成されている。
図1の小流量制御域状態では、主弁体3は主弁座13に着座した状態で主弁ポート13aが弁閉となり、副弁体4のニードル弁42により副弁ポート3aの開度が制御され、小流量の制御が行われる。このとき第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3bと高潤滑性ガイド部材10の連通路10aとを通って副弁室3Rに流れる。
【0024】
そして、高潤滑性ガイド部材10は、フッ素樹脂を含有するポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)製や、フッ素樹脂等の高潤滑性を有するコーティングを施した金属製である。このため、高潤滑性ガイド部材10は、高い潤滑性を有し、副弁体4が上下動するときに、副弁体4のガイド用ボス部41が、この高潤滑性ガイド部材10内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4の良好な作動性が得られる。
【0025】
図2は本発明の第2実施形態の電動弁の要部断面図である。なお、以下の第2乃至第8実施形態において、図示する要部以外のその他の部分は第1実施形態の
図1と同一である。また、以下の各実施形態において第1実施形態と同様な部材、同様な要素には同じ符号を付記して詳細な説明は省略する。この第2実施形態で第1実施形態と異なる点は、高潤滑性ガイド部材20と副弁体4′の構成である。
【0026】
副弁体4′は、第1実施形態のガイド用ボス部41より厚さの薄いガイド用ボス部41′と第1実施形態のニードル弁42より長さの長いニードル弁42′とで構成されている。そして、副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41′の外周との間には、このガイド用ボス部41′が摺接する高潤滑性ガイド部材20が配設されている。また、高潤滑性ガイド部材20は、円筒部20bを有し、この円筒部20bはニードル弁42′を挿通してニードル弁42′の回りに隙間を形成している。また、円筒部20bの外径は、副弁内包部32の内径よりも小さくなっており、円筒部20bと副弁内包部32との間に全周に亘って副弁室3Rの一部としての連通空間3R1が形成されている。また、高潤滑性ガイド部材20の内部には副弁体4′を収容する副弁室3Rの一部としての副弁体収容室3R2が形成されており、主弁体3の連通路3bの上部で連通空間3R1と副弁体収容室3R2とを連通する連通路20aが円筒部20bよりも外側に形成されている。これにより、第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3bを通って連通空間3R1に流れ、さらに高潤滑性ガイド部材20の連通路20aから、副弁体収容室3R2における円筒部20bとニードル弁42′との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。連通空間3R1は軸線L回りの全周に亘って形成されているため、高潤滑性ガイド部材20の回転位置に関わらず主弁体3の連通路3bは、連通空間3R1を介して連通路20aに連通可能となる。そして、この第2実施形態でも、ガイド用ボス部41′が、高潤滑性ガイド部材20内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4′の良好な作動性が得られる。
【0027】
また、副弁体4′のニードル弁42′を円筒部20bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3bから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42′が受けにくいので、ニードル弁42′の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3b(横孔)を通過した後、軸線L方向に延びる連通路20a(流路)により軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。これにより高潤滑性ガイド部材20内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速も低減するので、副弁体4′に流体が衝突したとしても副弁体4′が振動することを抑制することができる。
【0028】
図3は本発明の第3実施形態の電動弁の要部断面図である。この第3実施形態の副弁体4′は第2実施形態と同様である。そして、副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41′の外周との間には、このガイド用ボス部41′が摺接する高潤滑性ガイド部材30が配設されている。高潤滑性ガイド部材30には、副弁室3Rの内周に対向する連通路30aが形成されている。また、高潤滑性ガイド部材30はニードル弁42′を挿通してニードル弁42′の回りに隙間を形成する円筒部30bを有している。また、円筒部30bの外径は、副弁内包部32の内径よりも小さくなっており、円筒部30bと副弁内包部32との間に全周に亘って副弁室3Rの一部としての連通空間3R1が形成されている。また、高潤滑性ガイド部材30の内部には副弁体4′を収容する副弁室3Rの一部としての副弁体収容室3R2形成されており、主弁体3の連通路3cの上部で連通空間3R1と副弁体収容室3R2とを連通する連通路30aが円筒部30bよりも外側に形成されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の第1実施形態より径の大きな連通路3cを通って連通空間3R1に流れ、さらに副弁内包部32の内周と高潤滑性ガイド部材30の外周との間の間隙を介して連通路30aを通り、円筒部30bとニードル弁42′との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。連通空間3R1は全周に亘って形成されているため、高潤滑性ガイド部材30の回転位置に関わらず主弁体3の連通路3bは、連通空間3R1を介して連通路30aに連通可能となる。そして、この第3実施形態でも、ガイド用ボス部41′が、高潤滑性ガイド部材30内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4′の良好な作動性が得られる。
【0029】
また、副弁体4′のニードル弁42′を円筒部30bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3cから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42′が受けにくいので、ニードル弁42′の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3c(横孔)を通過した後、連通路30aに至るまでの副弁内包部32と高潤滑性ガイド部材30との間の軸線L方向に延びる間隙(流路)により軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。これにより高潤滑性ガイド部材30内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速も低減するので、副弁体4′に流体が衝突したとしても副弁体4′が振動することを抑制することができる。
【0030】
図4は本発明の第4実施形態の電動弁の要部断面図である。副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41′の外周との間には、このガイド用ボス部41′が摺接する高潤滑性ガイド部材40が配設されている。高潤滑性ガイド部材40の外形は第3実施形態の高潤滑性ガイド部材30と同様であり、ニードル弁42′を挿通してニードル弁42′の回りに隙間を形成する円筒部40bを有している。また、円筒部40bの外径は、副弁内包部32の内径よりも小さくなっており、円筒部40bと副弁内包部32との間に全周に亘って副弁室3Rの一部としての連通空間3R1が形成されている。また、高潤滑性ガイド部材40の内部には副弁体4′を収容する副弁体収容室3R2が形成されている。また、円筒部40bには主弁体3の連通路3cに対向する位置に連通路40aが形成されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3cを通って連通空間3R1に流れ、さらに高潤滑性ガイド部材40の外周から連通路40aを通り、副弁体収容室3R2における円筒部40bとニードル弁42′との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。連通空間3R1は全周に亘って形成されているため、高潤滑性ガイド部材40の回転位置に関わらず主弁体3の連通路3cは、連通空間3R1を介して連通路40aに連通可能となる。そして、この第4実施形態でも、ガイド用ボス部41′が、高潤滑性ガイド部材40内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4′の良好な作動性が得られる。
【0031】
図5は本発明の第5実施形態の電動弁の要部断面図である。副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41′の外周との間には、このガイド用ボス部41′が摺接する高潤滑性ガイド部材50と円筒状のフィルタFが配設されている。高潤滑性ガイド部材50の外形は第3実施形態の高潤滑性ガイド部材30と略同様であり、ニードル弁42′を挿通してニードル弁42′の回りに隙間を形成する円筒部50bを有している。また、高潤滑性ガイド部材50の側部には、フィルタF側に開口する連通路50aが形成されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3cを通って連通空間3R1に流れ、さらに高潤滑性ガイド部材50の円筒部50bの外周からフィルタFを通過し、連通路50aを通って高潤滑性ガイド部材50の内側に流れる。また、円筒部50bとニードル弁42′との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。そして、この第5実施形態でも、ガイド用ボス部41′が、高潤滑性ガイド部材50内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4′の良好な作動性が得られる。
【0032】
また、副弁体4′のニードル弁42′を円筒部50bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3cから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42′が受けにくいので、ニードル弁42′の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3c(横孔)を通過した後、連通路50aに至るまでの軸線L方向に延びるフィルタF(流路)により軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。また、フィルタFを流体が通過する際に受ける流路抵抗によってもさらに流速は低減する。これにより高潤滑性ガイド部材50内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速が低減するので、副弁体4′に流体が衝突したとしても副弁体4′が振動することを抑制することができる。
【0033】
図6は本発明の第6実施形態の電動弁の要部断面図である。副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41′の外周との間には、このガイド用ボス部41′が摺接する高潤滑性ガイド部材60が配設されている。この第6実施形態は、第5実施形態のフィルタFを無くしたものであり、主弁体3の連通路3bは第1実施形態と同様であり、ニードル弁42′を挿通してニードル弁42′の回りに隙間を形成する円筒部60bを有している。また、高潤滑性ガイド部材60の側部には、副弁室3Rに開口する連通路60aが形成されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3bを通って連通空間3R1に流れ、さらに高潤滑性ガイド部材60の外周と副弁内包部32との間の間隙を通過し、連通路60aを通って高潤滑性ガイド部材60の内側に流れる。また、円筒部60bとニードル弁42′との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。そして、この第5実施形態でも、ガイド用ボス部41′が、高潤滑性ガイド部材60内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4′の良好な作動性が得られる。
【0034】
また、副弁体4′のニードル弁42′を円筒部60bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3bから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42′が受けにくいので、ニードル弁42′の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3b(横孔)を通過した後、副弁内包部32と高潤滑性ガイド部材60との間の軸線L方向に延びる間隙(流路)により軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。これにより高潤滑性ガイド部材60内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速も低減するので、副弁体4′に流体が衝突したとしても副弁体4′が振動することを抑制することができる。
【0035】
図7は本発明の第7実施形態の電動弁の要部断面図である。副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41′の外周との間には、このガイド用ボス部41′が摺接する高潤滑性ガイド部材70と円筒状のフィルタF′が配設されている。高潤滑性ガイド部材70の外形は第3実施形態の高潤滑性ガイド部材30と略同様であり、ニードル弁42′を挿通してニードル弁42′の回りに隙間を形成する円筒部70bを有している。また、高潤滑性ガイド部材70の側部には、フィルタF′側に開口する連通路70aが形成されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3cを通って連通空間3R1に流れ、さらに高潤滑性ガイド部材70の円筒部70bの外周からフィルタF′を通過し、連通路70aを通って高潤滑性ガイド部材70の内側に流れる。また、円筒部70bとニードル弁42′との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。そして、この第7実施形態でも、ガイド用ボス部41′が、高潤滑性ガイド部材70内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4′の良好な作動性が得られる。
【0036】
また、副弁体4′のニードル弁42′を円筒部70bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3bから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42′が受けにくいので、ニードル弁42′の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3c(横孔)を通過した後、連通路70aに至るまでの軸線L方向に延びるフィルタF′(流路)により軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。またフィルタF′流体が通過する際に受ける流路抵抗によってもさらに流速は低減する。これにより高潤滑性ガイド部材70内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速が低減するので、副弁体4′に流体が衝突したとしても副弁体4′が振動することを抑制することができる。
【0037】
図8は本発明の第8実施形態の電動弁の要部断面図である。この第8実施形態の副弁体4″は、第7実施形態のガイド用ボス部41′より厚さの薄いガイド用ボス部41″と第7実施形態のニードル弁42′より長さの長いニードル弁42″とで構成されている。そして、副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41″の外周との間には、このガイド用ボス部41″が摺接する高潤滑性ガイド部材80が配設されている。高潤滑性ガイド部材80には第2実施形態と同様に、主弁体3の連通路3cの上部で連通空間3R1と副弁体収容室3R2とを連通する連通路80aが形成されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3cを通って連通空間3R1に流れ、さらに高潤滑性ガイド部材80の円筒部80bの外周からフィルタF″を通過し、連通路80aを通って高潤滑性ガイド部材80の内側に流れる。また、円筒部80bとニードル弁42″との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。そして、この第8実施形態でも、ガイド用ボス部41″が、高潤滑性ガイド部材80内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4″の良好な作動性が得られる。
【0038】
また、副弁体4″のニードル弁42″を円筒部80bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3bから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42″が受けにくいので、ニードル弁42″の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3c(横孔)を通過した後、連通路80aに至るまでの軸線L方向に延びる連通路80a(及びフィルタF″)により軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。また、フィルタF″を流体が通過する際に受ける流路抵抗によってもさらに流速は低減する。これにより高潤滑性ガイド部材80内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速が低減するので、副弁体4″に流体が衝突したとしても副弁体4″が振動することを抑制することができる。
【0039】
図9は本発明の第9実施形態の電動弁の要部断面図である。この第9実施形態の副弁体4″は第8実施形態と同様である。そして、副弁室3Rの内周と、ガイド用ボス部41″の外周との間には、このガイド用ボス部41″が摺接する高潤滑性ガイド部材90が配設されている。高潤滑性ガイド部材90には第3実施形態と同様に、主弁体3の連通路3cの上部で連通空間3R1と副弁体収容室3R2とを連通する連通路90aが形成され、さらに、この副弁体収容室3R2側にフィルタF1が配設されている。第1継手管11から主弁室1R内に流入した流体は、主弁体3の連通路3cを通って連通空間3R1Rに流れ、さらに高潤滑性ガイド部材90の円筒部90bの外周から連通路90aを通り、フィルタF1を通過して高潤滑性ガイド部材90の内側に流れる。また、円筒部90bとニードル弁42″との隙間を通って副弁ポート3a側に流れる。そして、この第9施形態でも、ガイド用ボス部41″が、高潤滑性ガイド部材90内で容易に摺動し、電動弁100の作動音や振動の発生を抑制できるとともに、副弁体4″の良好な作動性が得られる。
【0040】
また、副弁体4″のニードル弁42″を円筒部90bが囲繞しているので、主弁体3の連通路3bから流出する流体の動圧の影響をニードル弁42″が受けにくいので、ニードル弁42″の振動が防止できる。したがって、副弁ポート3aを流れる流体の流量が安定する。また、流体は、主弁体3の連通路3c(横孔)を通過した後、軸線L方向に延びる連通路90a(及びフィルタF1)を通って連通路90aに至るまで軸線L方向に流路が曲げられるので流速が低減する。これにより高潤滑性ガイド部材90内部の副弁収容室3R2に流入する流体の流速も低減するので、副弁体4″に流体が衝突したとしても副弁体4″が振動することを抑制することができる。
【0041】
以上の実施形態で、第5、第7、第8及び第9実施形態では、フィルタF,F′,F″,F1を設けているので、前記の各効果に加えて、流体通過音の音圧を低減できる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述し、その他の実施形態についても詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 弁ハウジング
1R 主弁室
11 第1継手管
12 第2継手管
13 主弁座
13a 主弁ポート
L 軸線
2 支持部材
23a 雌ねじ部
3 主弁体
31 主弁部
32 副弁内包部
3a 副弁ポート
3b 連通路
3c 連通路
3R 副弁室
3R1 連通空間
3R2 副弁体収容室
4 副弁体
41 ガイド用ボス部
42 ニードル弁
5 ステッピングモータ
51 ロータ軸
51a 雄ねじ部
52 マグネットロータ
53 ステータコイル
4′ 副弁体
41′ ガイド用ボス部
43′ フランジ部
4a′ 拡大空間
4″ 副弁体
41″ ガイド用ボス部
10 高潤滑性ガイド部材
20 高潤滑性ガイド部材
30 高潤滑性ガイド部材
40 高潤滑性ガイド部材
50 高潤滑性ガイド部材
60 高潤滑性ガイド部材
70 高潤滑性ガイド部材
80 高潤滑性ガイド部材
90 高潤滑性ガイド部材
100 電動弁