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特許7449857分枝状ポリアミンを使用してリップスティックを除去するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】分枝状ポリアミンを使用してリップスティックを除去するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/30 20060101AFI20240307BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20240307BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C11D3/30
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/08
C11D3/10
C11D3/26
C11D3/37
C11D3/386
C11D3/40
C11D3/43
D06F35/00 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020524543
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018059580
(87)【国際公開番号】W WO2019112744
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】62/595,686
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ケリー イー.ウォルターズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ストークス
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ オウェンズ
(72)【発明者】
【氏名】アリ ビッヒラー
(72)【発明者】
【氏名】スクファン スーントラバニッチ
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】長谷川 真一
【審判官】関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-218226(JP,A)
【文献】特開2014-9245(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122360(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103540422(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0287994(US,A1)
【文献】特表2008-516012(JP,A)
【文献】特表2016-519704(JP,A)
【文献】特表2017-527670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
D06F1/00-60/00
STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯洗浄組成物であって、前記洗濯洗浄組成物は、
アルカリ金属水酸化物を含む、アルカリ源と、
非イオン性界面活性剤を含む、界面活性剤と、
10~C20アルキル基を有する、分枝状ポリアミンであって、前記分枝状ポリアミンは少なくとも5つのアミン基及び少なくとも2つの分枝状構造を含み、かつ芳香族官能基を含まない、分枝状ポリアミンと、を含む、洗濯洗浄組成物。
【請求項2】
前記アルカリ源が、水酸化ナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記分枝状ポリアミンが、以下の構造:
【化1】
を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記分枝状ポリアミンが、以下の構造:
【化2】
を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロトロープ、染料、キーラント、蛍光増白剤、ポリカルボン酸を含む水調整剤、酵素、溶媒、又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つの追加の機能性成分をさらに含み、前記キーラントは、アミノカルボン酸、アミノカルボキシレート、ホスホン酸塩、ホスホネート、又はこれらの組み合わせから選択され、前記界面活性剤が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、および/または逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、および/または逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アルカリ性洗濯洗浄組成物であって、
アルカリ金属水酸化物と、
10~C20アルキル基を有する、分枝状ポリアミンであって、前記分枝状ポリアミンは少なくとも5つのアミン基及び少なくとも2つの分枝状構造を含み、かつ芳香族官能基を含まない、分枝状ポリアミンと、
非イオン性界面活性剤と、
水と、を含む、アルカリ性洗濯洗浄組成物。
【請求項8】
前記組成物が、組成物の1重量%~99重量%を構成する水酸化ナトリウムであるアルカリ金属水酸化物を含み、前記分枝状ポリアミンが、前記組成物の0.0005重量%~50重量%を構成する、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、ヒドロトロープ、染料、キーラント、蛍光増白剤、ポリカルボン酸を含む水調整剤、酵素、溶媒、又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つの追加の機能性成分をさらに含み、前記キーラントは、アミノカルボン酸、アミノカルボキシレート、ホスホン酸塩、ホスホネート、又はこれらの組み合わせから選択され、前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、および/または逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物を含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、および/または逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物を含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項11】
ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを除去する方法であって、
ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを有する織物基材を、請求項1~10のいずれか一項に記載の洗濯洗浄組成物と接触させることと、
前記織物基材を洗浄して前記汚れを除去することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記汚れが、リップ化粧汚れである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リップ化粧汚れが、リップスティック、リップステイン、リップグロス、リップバーム、またはリップクリームのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記織物基材が、洗濯物である、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記洗濯物が、手動で洗浄されるか、または洗濯機で洗浄される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記洗濯洗浄組成物が使用溶液の形態である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記洗濯洗浄組成物が使用溶液の形態であり、前記分枝状ポリアミンが、前記使用溶液中に100ppm~1000ppmの濃度で提供される、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記洗濯洗浄組成物が使用溶液の形態であり、前記分枝状ポリアミンおよび追加の界面活性剤が、前記使用溶液中に100ppm~1000ppmの濃度で提供される、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記洗濯洗浄組成物が、7.5~13.5のpHを有する使用溶液の形態である、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2017年11月7日に出願された米国仮出願第62/595,686号に基づく優先権を主張するものであり、その米国仮出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、リップスティックおよびリップグロスなどのリップ化粧汚れを含む、ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを洗浄する方法に関する。特に、洗濯および他の硬質表面洗浄用途におけるリップスティックおよびリップグロスのステインを含むリップ化粧汚れの除去が、分枝状ポリアミン、すなわち、1~5個の窒素を有するC6~C20、C8~C20、C10~C20、C10~C18、またはC10~C12分枝状ポリアミンを含み、アルカリ源および好ましくは追加の界面活性剤を有するかまたは有しない、固体および/または液体の洗浄組成物の適用を通じて開示される。
【背景技術】
【0003】
様々な布地の基材、織物、および洗濯物は、しばしば、人の唇から織物および洗濯物にこすり取られるリップ化粧汚れにより汚染される。リップ化粧汚れは、典型的には、ワックス状、油性、および/または脂性の粘稠性のため、除去するのが非常に困難である。最近では、新しい「長持ちする」リップスティックなどのリップ化粧業界の進歩の結果として、リップ化粧汚れを除去することがさらに難しくなっている。過去において、かかる布地基材は、かかる困難なステインを除去しようとする際に使用される特定の方法に応じて、様々な前処理および/または洗浄プロセスを経た。従来の洗濯洗浄サイクルの前には、前処理または浸漬を用いて、リップ化粧汚れを除去するか、または最後に汚れをほぐした。しばしば、これらの前処理では、汚れを十分に接触させるために、基材を洗浄組成物に浸す必要がある。追加のプロセスとしては、例えば、基材を再洗浄すること、基材を手動でこすること、および/またはかかる汚れを除去するために洗濯機の洗浄サイクルに追加の時間を加算すること、が挙げられる。リップ化粧品に関する改善された汚れ除去の必要性が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、リップ化粧汚れを含む、ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを効果的に除去するための改善された固体および/または液体の洗浄組成物を開発することが目的である。
【0005】
さらなる目的は、かかるリップ化粧汚れを除去するための改善された洗濯洗浄サイクル性能を提供することである。
【0006】
さらなる目的は、布地基材上のリップ化粧汚れを浸漬するための前処理ステップの使用を必要としない洗浄組成物を提供することである。
【0007】
さらなる目的は、かかる洗浄組成物を使用する効率的な方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的、利点および特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
組成物および方法の利点は、複数の界面活性剤を含有する配合物が、洗濯用途におけるリップ化粧汚れに相乗的洗浄力を提供することである。固体および/または液体のアルカリ性洗浄組成物は、分枝状ポリアミン、すなわち、1~5個の窒素を有するC6~C20ポリアミン、好ましくは1~5個の窒素を有するC8~C20、C8~C18、またはC10~C18ポリアミンが挙げられる。洗浄組成物は、アルカリ源を含むかまたは排除することができる。好ましいアルカリ性洗浄組成物は、界面活性剤と少なくとも1つの分枝状ポリアミンとを含む、水酸化物系、カーボネート系、および/またはシリケート系の洗剤を含む。
【0010】
一実施形態では、洗濯洗浄組成物は、任意のアルカリ源であって、そのアルカリ源が含まれる場合、それは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属カーボネート、アルカリ金属シリケート、アルカリ金属メタシリケートおよび/または有機窒素塩基である、アルカリ源と、少なくとも洗浄性および/または消泡性界面活性剤と、水調整剤と、酵素と、酸化剤と、および/または蛍光増白剤と、分枝状C6~C20ポリアミンと、を含む。
【0011】
一実施形態では、アルカリ性洗濯洗浄組成物は、C8~C20分枝状ポリアミン、好ましくはC9~C20ポリアミン、非イオン性界面活性剤、および水を含む。
【0012】
一実施形態では、ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを除去する方法は、ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを有する織物基材を準備することと、本明細書に開示されるように、その織物基材をアルカリ性洗浄組成物と接触させることと、その織物基材を洗浄して汚れを除去することと、を含む。
【0013】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のまた他の実施形態は、本発明の例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本質的に例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1からの異なる化学作用によって綿スワッチから除去されたリップスティック汚れの百分率のグラフ表示である。
図2】実施例2からの線状および分枝状ポリアミン界面活性剤の化学作用を比較する、綿スワッチから除去されたリップスティック汚れの百分率のグラフ表示である。
図3】実施例3からの様々な濃度での線状および分枝状ポリアミン界面活性剤の化学作用を比較する、綿スワッチから除去されたリップスティック汚れの百分率のグラフ表示である。
図4】実施例4からの異なる化学作用によって綿スワッチから除去されたリップスティック汚れの百分率のグラフ表示である。
図5】実施例5からの異なる化学作用によって綿スワッチから除去されたリップスティック汚れの百分率のグラフ表示である。
【0015】
図面を参照して本発明の様々な実施形態を詳細に説明するが、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部分を表す。様々な実施形態への言及は、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書で表される図は、本発明による様々な実施形態に限定するものではなく、本発明の例示的な説明のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
リップスティックおよびリップグロスなどのリップ化粧汚れを含む、ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを洗浄する方法を、提供し、その方法は、かかる汚れを除去するための従来の洗浄組成物を超える多くの利点を有する。特に、洗濯用途におけるリップスティックおよびリップグロスのステインを含むリップ化粧汚れの除去は、1~5個の窒素を含む分枝状ポリアミンを含む、すなわち、C6~C20ポリアミン、好ましくはC9~C20ポリアミンを含むアルカリ性洗浄組成物の使用により有益に達成される。
【0017】
実施形態は、洗浄組成物を使用する特定の方法に限定されず、方法は、変化することができ、当業者によって理解される。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、全ての単位、接頭辞、および記号は、そのSI認証形態で表示され得る。
【0018】
本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示されている。範囲形式での説明は単に便宜上および簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の全ての可能性のある部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0019】
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語が最初に定義される。別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の実施形態が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似、修正、または同等の多くの方法および材料を、過度の実験なしに本発明の実施形態の実施に使用することができ、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。本発明の実施形態を説明および特許請求する上で、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0020】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物もしくは使用溶液の作製のために使用される典型的な測定および液体取扱い手順、それらの手順における不慮の誤差、組成物の作製もしくは方法の実行に使用される成分の製造、供給源、もしくは純度の違いなどによって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡条件に起因して異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0021】
「活性物質」または「パーセント活性物質」または「重量パーセント活性物質」または「活性物質濃度」という用語は、本明細書において互換的に使用され、例えば水または塩などの不活性成分を引いたパーセンテージとして表される洗浄に関与する成分の濃度を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「アルキル」または「アルキル基」という用語は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、環状アルキル基(または「シクロアルキル」または「脂環式」または「炭素環状」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなど)、およびアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)が含まれる、1つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。
【0023】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用される場合、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が含まれ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0025】
「再堆積防止剤」は、浄化されている物体上に再堆積する代わりに水中に懸濁されたままであることを助ける化合物を指す。再堆積防止剤は、浄化されている表面上の除去された汚れの再堆積の低減を補助するために、本発明において有用である。
【0026】
本明細書で使用される場合、「洗浄」という用語は、汚れ除去、漂白、微生物集団の減少、すすぎ、およびこれらの任意の組み合わせにおいて促進するか、または助けるために使用される方法を指す。本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」という用語は、任意の非細胞または単細胞(群体を含む)生物を指す。微生物は、全ての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、菌類、原生動物、ビリノス(virinos)、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻類を含む。本明細書において使用する場合、「微生物(microbe)」という用語は、微生物(microorganism)と同義である。
【0027】
「商業的に許容可能な洗浄性能」という用語は、一般に、典型的な基材の典型的な汚れ状態に対処するために洗浄製品または洗浄システムを使用する場合に典型的な消費者が達成または消費すると予想し得る清浄度の程度、労力、またはその両方を指す。この清浄度の程度は、特定の洗浄製品と特定の基材に応じて、目に見える汚れが一般的にないこと、またはいくらかより低い程度の清浄度に相当し得る。清浄度は、使用される特定の洗浄製品(例えば、用品洗剤)および洗浄される特定の硬質または軟質表面(例えば、用品)に応じて、様々な仕方で評価してもよく、通常は、一般に合意された業界標準試験またはかかる試験のローカライズされたバリエーションを使用して判定することができる。かかる合意された業界標準試験がない場合、製造業者または販売業者がすでに採用している試験を使用して、そのブランドに関連して販売されているリン含有洗浄製品の洗浄性能が評価されてもよい。
【0028】
「ドリンク用品」という用語には、ガラス、陶磁器、セラミック、プラスチック、磁器、コレラウェア(Corelleware)、メルマック(Melmac)、石器、銅、アルミニウム、アクリル、ステンレス鋼、クロム、クリスタル、メラミンなどを含む、飲用容器を作製するために使用される様々な材料が含まれる。「ドリンク用品」という用語は、任意の飲用容器を指し、例えば、ハイボールグラス、ローボールグラス、ワイングラス、マグカップ、ティーカップ、パイントグラス、ショットグラス、マティーニグラス、スニフター、ピルスナーグラス、シャンパンフルート、水グラスなどを指す。
【0029】
「改善された洗浄性能」という用語は、一般に、典型的な基材上の典型的な汚れ状態に対処するために、従来のリン含有洗浄製品ではなく代替洗浄製品または代替洗浄システムを使用する際における、概ねより高度な清浄度であるか、または概ね労力が削減される、またはその両方の、代替洗浄製品または代替洗浄システムによって達成されるものを指す。この程度の清浄度は、特定の洗浄製品および特定の基材に応じて、上で説明したように、目に見える汚れの一般的な欠如、またはいくらか低い程度の清浄度に相当し得る。
【0030】
材料のリストを参照して使用される場合の「含む」および「含むこと」という用語は、そのように列挙されている材料を指すが、それに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において使用する場合、「無リン」または「実質的に無リン」という用語は、リンもしくはリン含有化合物を含有しないか、またはリンもしくはリン含有化合物が添加されていない組成物、混合物、または成分を指す。リンまたはリン含有化合物が、無リン組成物、混合物、または配合成分の汚染によって存在する場合、リンの量は、0.5重量%未満とする。より好ましくは、リンの量は、0.1重量%未満であり、最も好ましくは、リンの量は、0.01重量%未満である。
【0032】
本明細書において使用される場合、「ポリマー」という用語は、一般に、これらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマーなど、ターポリマー、ならびにより高次の「x」量体を含み、それらの誘導体、組み合わせおよびブレンドをさらに含む。さらに、別段に具体的に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、これらに限定されないが、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称、ならびにそれらの組み合わせを含む、分子の全ての可能な異性体構成を含むものとする。さらに、別段に具体的に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、分子の全ての可能な幾何学構成を含むものとする。
【0033】
本明細書で使用される場合、「汚れ」という用語は、炭水化物、タンパク質、脂肪、油などを含むがそれらに限定されない極性または非極性の有機または無機の物質を指す。これらの物質は、それらの有機状態で存在するか、または金属と錯体化して無機錯体を形成し得る。汚れは、本明細書に記載されているより特定のリップ化粧汚れも指す。
【0034】
「固体」という用語は、予想される保管条件下で一般的に形状安定な形態の組成物、例えば、粉末、粒子、凝集物、フレーク、顆粒、ペレット、錠剤、ロゼンジ、パック、ブリケット、レンガまたはブロック、および単位用量または測定された単位用量が引き出される可能性がある部分を指す。固体は、様々な程度の形状安定性を有していてもよいが、典型的には、例えば、成形された固体が金型から取り出されるとき、押出された固体が押出機から出るときなどのように、適度な応力、圧力、または単なる重力の下では、知覚できるほど流動せず、実質的にその形状を保持することになる。固体は、様々な程度の表面硬度を有することができ、例えば、表面が比較的密で硬く、コンクリートに似ている溶融固体ブロックのそれから、可鍛性で、スポンジ状であり、硬化したコーキング材料に似ていると特徴付けられる粘稠性までの範囲であり得る。
【0035】
本明細書において使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、またはその構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0036】
「実質的に同様の洗浄性能」という用語は、概して清浄度の同じ度合(または少なくとも顕著に劣る度合ではない)、または概して同じ労力の消費(または少なくとも顕著に劣る消費ではない)、もしくはその両方を用いる代用洗浄製品または代用洗浄系により概して達成されることを指す。
【0037】
本明細書で使用される「重量パーセント」、「重量%(wt%)」、「重量%(percent by weight」、「重量%(% by weight)」、およびこれらの変形は、物質の重量を組成物の総重量で割り、100を掛けた、その物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されることが理解される。
【0038】
本発明の方法および組成物は、本発明に記載の構成要素および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含む(comprise)か、これらから本質的になる(consist essentially of)か、またはこれらからなって(consist of)いてもよい。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法および組成物が、追加の工程、構成要素、または成分が、特許請求の範囲に記載の方法および組成物の基本的かつ新規な特徴を著しく変更しない場合にのみ、その追加の工程、構成要素、または成分を含んでもよいことを意味する。
【0039】
洗浄組成物
実施形態
洗剤組成物の例示的な範囲を、濃縮物およびすぐに使用できる組成物の両方を含む、固体および/または液体洗剤組成物の重量百分率で表1A~1Dに示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0040】
洗浄組成物は、液体、固体、および/またはエマルジョンの形態で提供することができる。洗浄組成物は、濃縮固体および/もしくは液体組成物を含んでいてもよく、または希釈して、使用組成物ならびにすぐに使用できる組成物を形成してもよい。概して、濃縮物は、水で希釈されて、対象物に接触して所望の洗浄、すすぎなどを提供する使用溶液を提供することが意図される組成物を指す。洗浄される物品または用品に接触する洗浄組成物は、方法で使用される配合に応じて、濃縮物または使用組成物(または使用溶液)と称することができる。長鎖ポリアミンおよび他の成分の濃度は、洗浄組成物が濃縮物として提供されるか、または使用溶液として提供されるかに応じて変化することを理解すべきである。
【0041】
使用溶液は、所望の洗浄特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変化し得る。典型的な希釈係数は、およそ1~およそ10,000であるが、水の硬度、除去される汚れの量などの要因に依存するであろう。一実施形態において、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物と水との比で希釈される。具体的には、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物と水との比で希釈される。より具体的には、濃縮物は、約1:250~約1:2,000の濃縮物と水との比で希釈される。
【0042】
一態様では、洗浄組成物の使用溶液は、約0ppm~約2000ppmのアルカリ度、および約100ppm~約1000ppmの分枝状ポリアミンおよび/または追加の界面活性剤を有する。アルカリ源を含む他の態様では、洗浄組成物の使用溶液は、約100ppm~約2000ppmのアルカリ度、および約100ppm~約800ppmの分枝状ポリアミンおよび/または追加の界面活性剤を有する。好ましい態様では、洗浄組成物の使用溶液は、約500ppm~約1500ppmのアルカリ度、および約100ppm~約400ppmの分枝状ポリアミンおよび/または追加の界面活性剤を有する。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙される全ての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0043】
アルカリ源
いくつかの態様では、組成物は、有効量の1つ以上のアルカリ源を含む。他の態様では、組成物は、アルカリ源を含まず、効果的な汚れ除去を予想外に提供することができる。アルカリ源を使用する組成物では、1つ以上のアルカリ源の有効量は、約7~約14のpHを有する組成物を提供する量と考えるべきである。特定の実施形態では、洗浄組成物は、約7.5~約13.5のpHを有する。特定の実施形態では、洗浄組成物は、約8~約13のpHを有する。洗浄サイクルの間、使用溶液は、約8~約13のpHを有する。特定の実施形態では、使用溶液は、約9~11のpHを有する。洗浄組成物の好適なアルカリ源の例としては、カーボネート系アルカリ源、例えば、カーボネート塩、例えば、アルカリ金属カーボネート;苛性アルカリ系アルカリ源、例えば、アルカリ金属水酸化物が挙げられ;他の好適なアルカリ源としては、金属シリケート、メタシリケート、金属ボレート、および/または有機アルカリ源を挙げることができるが、それらに限定されない。使用することができる例示的なアルカリ金属カーボネートとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、バイカーボネート、セスキカーボネート、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。使用することができる例示的なアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、または水酸化カリウムが挙げられるが、それらに限定されない。使用することができる例示的な金属シリケートとしては、ケイ酸ナトリウムもしくはケイ酸カリウムまたはメタケイ酸ナトリウムもしくはメタケイ酸カリウムが挙げられるが、それらに限定されない。例示的な金属ボレートとしては、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
有機アルカリ源には、しばしば、強窒素塩基、例えば、アンモニア(水酸化アンモニウム)、アミン、アルカノールアミン、およびアミノアルコールが含まれる。アミンの典型的な例としては、少なくとも1つの窒素結合炭化水素基を担持する第一級、第二級、または第三級アミンおよびジアミンが挙げられ、それは、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは16~24個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の線状もしくは分枝状アルキル基、または最大24個の炭素原子を含有するアリール、アラルキル、もしくはアルカリール基を表し、また、任意の他の窒素結合基は、任意選択的に置換されたアルキル基、アリール基、またはアラルキル基またはポリアルコキシ基によって形成される。アルカノールアミンの典型例としては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどが挙げられる。アミノアルコールの典型例としては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ヒドロキシメチルアミノメタンなどが挙げられる。
【0045】
一般に、アルカリ源は、通常は、水性形態または粉末形態のいずれかで入手可能であり、そのどちらも本洗剤組成物を配合する際に有用である。アルカリ度は、水溶液に溶解した固体ビーズ、顆粒形態または粒子形態、またはそれらの組み合わせを含む、当技術分野で既知の任意の形態で組成物に添加することができる。
【0046】
一般に、洗浄組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、約0重量%~約99重量%、約0.005重量%~約95重量%、約0.01重量%~約90重量%、0.015重量%~約90重量%、約10重量%~約90重量%、約20重量%~約90重量%、約40重量%~約90重量%、約50重量%~約90重量%、および約50重量%~約85重量%の量で、アルカリ源を含む。希釈して使用溶液とするときには、本発明の組成物は、約0ppm~約4000ppmのアルカリ源、約10ppm~約4000ppmのアルカリ源、好ましくは約100ppm~約1500ppm、最も好ましくは約100ppm~1000ppmのアルカリ源を含むことができる。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙される全ての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0047】
分枝状ポリアミン
組成物は、有効量の1以上の分枝状ポリアミンを含む。本明細書で言及するように、分枝状ポリアミンとしては、C6~C20ポリアミン、C8~C20ポリアミン、C9~C20ポリアミン、C8~C18ポリアミン、C9~C18ポリアミン、C10~C18ポリアミン、または好ましくはC8~C12ポリアミンが挙げられる。本明細書で言及するように、分枝状ポリアミンは、分枝状構造中に、様々な長さのアルキル鎖および少なくとも3つのアミン基を含む。好ましい態様では、組成物での使用に好適な分枝状ポリアミンは、少なくとも1つの分枝状構造、または少なくとも2つの分枝状構造を含む。
【0048】
例示的なC6~C20分枝状ポリアミンとしては、以下の構造を有するN1,N1,N3-トリス(3-アミノプロピル)-N3-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン[I]が挙げられる。
【化1】
なおさらなる分枝状ポリアミンとしては以下の構造を挙げることができる。
【化2】
または、
【化3】
【0049】
さらに、上記の構造は、C6~C20、C6~C18、C6~C12、C8~C18、C8~C12、C9~C18、C9~C12の鎖長で変えることができ、単一または二重の分枝状構造のいずれかを提供する。好ましくは、ポリアミンは、構造中にまったく芳香族官能基を有していない。
【0050】
一態様では、組成物は、約0.0005重量%~約99重量%の分枝状ポリアミン、約0.0005重量%~約50重量%の分枝状ポリアミン、約0.001重量%~約30重量%の分枝状ポリアミン、約0.005重量%~約20重量%の分枝状ポリアミン、約0.01重量%~約10重量%の分枝状ポリアミン、約0.1重量%~約25重量%の分枝状ポリアミン、約0.5重量%~約15重量%の分枝状ポリアミン、約1重量%~約30重量%の分枝状ポリアミン、約1重量%~約20重量%の分枝状ポリアミン、または好ましくは約1重量%~約10重量%の分枝状ポリアミンを含む。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙される全ての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0051】
アルカリ源を含有するかまたはアルカリ源を含有しない洗浄組成物において、組成物は、アルカリ性洗浄組成物を提供するために、少なくとも中性からアルカリ性のpHを有する。アルカリ性洗浄組成物は、酸または酸味料、例えばリン系の酸を含まない。結果として、アルカリ性洗浄組成物中の長鎖ポリアミンは、中和されたアミンではなく、それらはカチオン性ポリアミンではないことを意味している。
【0052】
消泡界面活性剤
洗浄組成物の成分は、消泡界面活性剤をさらに含むことができる。例示的な消泡性界面活性剤としては、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物および逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物が挙げられる。
【0053】
本発明の組成物で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤には、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POコポリマー、キャップドEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャップドアルコールアルコキシレート、これらの混合物などが挙げられる。溶媒として使用するのに好適なアルコキシル化界面活性剤としては、Pluronicおよび逆Pluronic界面活性剤などのEO/POブロックコポリマー;Dehypon LS-54(R-(EO)(PO))およびDehypon LS-36(R-(EO)(PO))などのアルコールアルコキシレート;Plurafac LF221およびTegoten EC11などのキャップドアルコールアルコキシレート;これらの混合物などが挙げられる。
【0054】
開始剤反応性水素化合物としての、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミンをベースとするブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物。開始剤の逐次的プロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF Corp.製のPluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)の商品名で市販されている。Pluronic(登録商標)化合物は、エチレンオキシドを、プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加によって形成される疎水性塩基と縮合させることによって形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、約1,000~約4,000の分子量を有する。次いで、エチレンオキシドを、この疎水性物質を親水性基の間に挟むように添加し、最終分子の約10重量%~約80重量%を構成するように、長さによって制御する。Tetronic(登録商標)化合物は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続添加から誘導された四官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプ(hydrotype)の分子量は、約500~約7,000の範囲であり;親水性のエチレンオキシドは、分子の約10重量%~約80重量%を構成するように付加される。
【0055】
エチレンオキシドをエチレングリコールに付加して指定の分子量の親水性物質を提供し、次いでプロピレンオキシドを付加して分子の外側(端部)に疎水性ブロックを得ることにより改質され、本質的に反転されるブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物。分子の疎水性部分は、約1,000から約3,100の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%~約80重量%を含む。これらの反転Pluronics(商標)は、BASF CorporationによりPluronic(商標)R界面活性剤の商品名で製造されている。
【0056】
一態様では、組成物は、約0重量%~約30重量%の消泡界面活性剤、約0.001重量%~約30重量%の消泡界面活性剤、約0.005重量%~約20重量%の消泡界面活性剤、約0.01重量%~約15重量%の消泡界面活性剤、約1重量%~約30重量%の消泡界面活性剤、または好ましくは約0.1重量%~約15重量%の消泡界面活性剤を含む。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙される全ての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0057】
追加の機能性成分
洗浄組成物の成分は、用品の洗浄用途および洗濯用途での使用に好適な様々な追加の機能性成分とさらに組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、アルカリ源および長鎖ポリアミンを含む洗浄組成物は、洗浄組成物の総重量の大部分、またはさらには実質的に全てを構成する。他の実施形態では、アルカリ源および長鎖ポリアミンを含む洗浄組成物は、洗浄組成物の総重量の大部分、またはさらには実質的に全てを構成する。例えば、いくつかの実施形態では、その中に追加の機能性成分はほとんど、または全く含まれない。
【0058】
他の実施形態では、追加の機能性成分を、洗浄組成物中に含めることができる。機能性成分は、組成物に所望の性質および機能性を付与する。本出願の目的のために、「機能性成分」という用語は、使用および/または濃縮溶液中に分散または溶解される場合、特定の使用において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に考察されるが、考察される特定の材料は単に例として挙げられているだけであり、多様な他の機能性成分が使用されてもよい。例えば、以下に考察される機能性材料の多くは、清浄化、具体的には、用品洗浄用途で使用される材料に関する。しかしながら、他の実施形態は、他の用途における使用のための機能性成分を含み得る。
【0059】
好ましい実施形態では、組成物は、リン酸および/またはリン系酸を含まない。好ましい実施形態では、組成物は、リンおよび/またはリン酸塩を含まない。追加の好ましい実施形態では、組成物は、第四級アンモニウム化合物、例えば、界面活性剤を含まない。さらに好ましい実施形態では、組成物はポリエチレンイミン(PEI)を含まない。PEI(および変性PEI)は、エチレンイミン単位-CHCHNH-で構成された材料であり、分枝状である場合、窒素上の水素は、エチレンイミン単位の別の鎖に置き換えられる。
【0060】
他の実施形態では、組成物は、界面活性剤、消泡剤、再付着防止剤、水調整ポリマー、漂白剤、溶解度調整剤、分散剤、すすぎ補助剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、酵素、充填剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、例えば、ホスホネート、芳香剤および/または染料、蛍光増白剤、レオロジー調整剤または増粘剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝剤、溶媒などを含み得る。
【0061】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。本発明の組成物との使用に好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、約0重量%~約25重量%の界面活性剤を含む。他の実施形態では、組成物は、約0重量%~約5重量%の界面活性剤を含む。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙される全ての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0062】
非イオン性界面活性剤
有用な非イオン界面活性剤は、一般的に、有機疎水基および有機親水基の存在を特徴とし、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物と、一般的には、エチレンオキシドまたはその多水和生成物(polyhydration product)、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキシド部分との縮合によって生成される。実際には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物が、エチレンオキシド、またはその多水和付加物、またはプロピレンオキシドなどのアルコキシレンとのその混合物と縮合して、非イオン性表面活性剤を形成し得る。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間の所望の程度のバランスを有する水分散性または水溶性化合物を生成するように、容易に調節され得る。有用な非イオン性界面活性剤には、開始剤反応性水素化合物としての、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミン系のブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物が含まれる。開始剤の連続的なプロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF Corp.から市販されている。1つのクラスの化合物は、エチレンオキシドと、プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加によって形成される疎水性塩基とを縮合することによって形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、約1,000~約4,000の分子量を有する。次いで、エチレンオキシドは、この疎水性物質を親水基の間に挟み込むように付加され、最終的な分子の約10重量%~約80重量%を構成するように長さにより制御される。化合物の別のクラスは、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次的付加から得られる三官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプ(hydrotype)の分子量は、約500~約7,000の範囲であり、親水性のエチレンオキシドは、分子の約10重量%~約80重量%を構成するように付加される。
【0063】
直鎖もしくは分枝鎖構成の、または単一もしくは二重アルキル構成物質のアルキル鎖が約8~約18個の炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールの、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルキル基は、例えば、ジイソブチレン、ジ-アミル、重合プロピレン、イソ-オクチル、ノニル、およびジ-ノニルにより代表され得る。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンオキシド縮合物であってもよい。この化学の商業的化合物の例は、Rhone-Poulenc製のIgepal(登録商標)、およびUnion Carbide製のTriton(登録商標)の商品名で市販されている。
【0064】
約6~約24個の炭素原子を有する1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖アルコールと、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルコール部分は、上述された炭素範囲内のアルコールの混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールからなり得る。同様の商業的界面活性剤の例は、BASF製のLutensol(商標)、Dehydol(商標)、Shell Chemical Co.製のNeodol(商標)、およびVista Chemical Co.製のAlfonic(商標)の商品名で入手可能である。
【0065】
約8~約18個の炭素原子を有する1モルの飽和または不飽和直鎖または分枝状鎖カルボン酸と、約6~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸部分は、上記に定義された炭素原子範囲内の酸の混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有する酸からなり得る。この化学の商業的化合物の例は、BASF製のDisponilまたはAgnique、およびLipo Chemicals,Inc.製のLipopeg(商標)の商品名で市販されている。
【0066】
一般にポリエチレングリコールエステルと呼ばれるエトキシル化カルボン酸に加えて、グリセリド、グリセリン、および多価(サッカリドまたはソルビタン/ソルビトール)アルコールとの反応により形成される他のアルカン酸エステルは、特殊化された実施形態、特に間接的食品添加剤用途について本明細書における用途を有する。これらのエステル部分は全て、その分子上に、これらの物質の親水性を制御するためにさらなるアシル化またはエチレンオキシド(アルコキシド)付加に供され得る1つ以上の反応性水素部位を有する。これらの脂肪エステルもしくはアシル化炭水化物を、アミラーゼおよび/もしくはリパーゼ酵素を含有する本発明の組成物に追加する場合、不適合性の可能性があるため、注意しなければならない。
【0067】
非イオン性低発泡性界面活性剤の例は以下を含む。
エチレンオキシドをエチレングリコールに付加して指定の分子量の親水性物質を提供し;次いでプロピレンオキシドを付加して分子の外側(端部)に疎水性ブロックを得ることにより改質され、本質的に反転された(1)からの化合物。分子の疎水性部分は、約1,000~約3,100の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%~約80重量%を含む。これらの反転Pluronics(商標)は、BASF CorporationによりPluronic(商標)R界面活性剤の商標で製造されている。同様に、Tetronic(商標)R界面活性剤は、BASF Corporationにより、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次的付加によって製造されている。分子の疎水性部分は、約2,100~約6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%~約80重量%を含む。
【0068】
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ベンジルクロリドなどの疎水性低分子、および1~5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコール、またはアルキルハロゲン化物、ならびにそれらの混合物との反応による発泡を低減するために、(多官能性部分の)末端ヒドロキシ基(複数可)を「キャッピング」または「末端ブロッキング」することによって修飾された化合物。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニルなどの反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基に対するそのような修飾は、全ブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、または全ヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0069】
有効な低発泡性非イオン性物質の追加の例は以下を含む。
1959年9月8日にBrownらに発行された米国特許第2,903,486号の、
【化4】
Rが、8~9個の炭素原子のアルキル基であり、Aが、3~4個の炭素原子のアルキレン鎖であり、nが、7~16の整数であり、mが、1~10の整数である、式によって表されるアルキルフェノキシポリエトキシアルカノール。
【0070】
末端疎水性鎖の重量、中間疎水性単位の重量、および連結親水性単位の重量がそれぞれ縮合物の約3分の1を表す、交互親水性オキシエチレン鎖および疎水性オキシプロピレン鎖を有する、1962年8月7日にMartinらに発行された米国特許第3,048,548号のポリアルキレングリコール縮合物。
【0071】
Zが、アルコキシル化可能な材料であり、Rが、エチレンおよびプロピレンであり得るアルキレンオキシドから誘導されるラジカルであり、nが、例えば、10~2,000以上の整数であり、zが、反応性オキシアルキル化可能な基の数によって決定される整数である、一般式Z[(OR)OH]を有する、1968年5月7日にLissantらに発行された米国特許第3,382,178号に開示される消泡性非イオン性界面活性剤。
【0072】
Yが、約1~6個の炭素原子および1個の反応性水素原子を有する有機化合物の残基であり、nが、ヒドロキシル価により決定される少なくとも約6.4の平均値を有し、mが、オキシエチレン部分が分子の約10重量%~約90重量%を構成するような値を有する、式Y(CO)(CO)Hに対応する、1954年5月4日にJacksonらに発行された米国特許第2,677,700号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物。
【0073】
式Y[(C(CO)H](式中、Yは、約2から6個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子(xは、少なくとも約2の値を有する)を含有する有機化合物の残基であり、nは、ポリオキシプロピレン疎水性塩基の分子量が少なくとも約900であるような値を有し、mは、分子のオキシエチレン含量が約10重量%から約90重量%であるような値を有する)を有する、1954年4月6日にLundstedらに対して発行された米国特許第2,674,619号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物。Yについての定義の範囲内に該当する化合物は、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミンなどを含む。オキシプロピレン鎖は、任意選択的であるが、有益なことに、少量のエチレンオキシドを含有し、オキシエチレン鎖もまた、任意選択的であるが、有益なことに、少量のプロピレンオキシドを含有する。
【0074】
本発明の組成物において有利に使用される追加の共役ポリオキシアルキレン表面活性剤は、式:P[(CO) (CO)H]に対応し、式中、Pが約8から18個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子を含む有機化合物の残基であり、xがまたは2の値を有し、nがポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも約44であるような値を有し、mが分子のオキシプロピレン含量が約10重量%から約90重量%であるような値を有する。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意選択で、しかし有利に、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択で、しかし有利に、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0075】
本組成物における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、構造式RCONR1Z(式中、R1は、H、C~Cヒドロカルビル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、エトキシ、プロポキシ基、またはそれらの混合であり;Rは、直鎖であってもよいC~C31ヒドロカルビルであり;Zは、鎖に直接接続された少なくとも3つのヒドロキシルを有するヒドロカルビル直鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル、またはそのアルコキシル化誘導体(好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化)である)を有するものを含む。Zは、グリシチル部分など、還元アミン化反応において還元糖から得られ得る。
【0076】
脂肪族アルコールの約0~約25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物は、本組成物における使用に好適である。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖もしくは分岐鎖、第1級もしくは第2級であり得、また一般に6~22個の炭素原子を含有する。
【0077】
エトキシル化C~C18脂肪アルコールならびにC~C18混合エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコールは、特に水溶性のものは、本組成物における使用に好適な界面活性剤である。好適なエトキシル化脂肪アルコールは、3~50のエトキシル化度を有するC~C18エトキシル化脂肪アルコールを含む。
【0078】
特に本組成物における使用に好適な非イオン性アルキルポリサッカリド界面活性剤は、1986年1月21日に発行された米国特許第4,565,647号、Llenadoに開示されるものを含む。これらの界面活性剤は、約6~約30個の炭素原子を含有する疎水性基およびポリサッカリド、例えば、ポリグリコシド、約1.3~約10サッカリド単位を含有する親水性基を含む。5または6個の炭素原子を含有する任意の還元サッカリドを使用することができ、例えば、グルコース、ガラクトース、およびガラクトシル部分をグルコシル部分に置換することができる。(任意に、疎水性基は、2位、3位、4位などで結合し、したがってグルコシドまたはガラクトシドとは対照的にグルコースまたはガラクトースをもたらす。)サッカリド間結合は、例えば、追加のサッカリド単位の1つの位置と、先行するサッカリド単位上の2位、3位、4位、および/または6位との間にあり得る。
【0079】
本組成物における使用に好適な脂肪酸アミド界面活性剤は、式:RCON(Rを有するものを含み、式中、Rが7~21個の炭素原子を含むアルキル基であり、各Rが独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、または--(CO)Hであり、式中、xが1~3の範囲内である。
【0080】
非イオン性界面活性剤の有用なクラスは、アルコキシル化アミン、または、最も具体的には、アルコールアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤として定義されるクラスを含む。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、一般式:R20--(PO)N--(EO)H、R20--(PO)N--(EO)H(EO)H、およびR20--N(EO)Hにより表され得、式中、R20がアルキル、アルケニルもしくは他の脂肪族基、または8から20個、好ましくは12から14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、EOがオキシエチレンであり、POがオキシプロピレンであり、sが1から20、好ましくは2~5であり、tは、1~10、好ましくは2~5であり、uは、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物の範囲における他の変形例は、代替の式:R20--(PO)--N[(EO)H][(EO)H]により表され得、式中、R20が上で定義された通りであり、vが1から20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzが独立して、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより代表される。このクラスの好ましい化学薬品は、Surfonic(商標)PEA25アミンアルコキシレートを含む。本発明の組成物に好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、EO/POブロックコポリマー、アルキルフェノールアルコキシレートなどを含む。
【0081】
論文、Nonionic Surfactants, edited by Schick,M.J.,Vol.1 of the Surfactant Science Series,Marcel Dekker,Inc.,New York,1983は、本発明の実施において一般的に用いられる広範な非イオン性化合物に関する優れた参考文献である。非イオン性クラス、およびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、「Surface Active Agents and detergents」(第I巻、および第II巻、Schwartz,PerryおよびBerch)に記載されている。
【0082】
半極性非イオン性界面活性剤
半極性型の非イオン性表面活性剤は、本発明の組成物において有用な別のクラスの非イオン性界面活性剤である。一般に、半極性非イオン性物質は、高発泡物質および泡安定剤であり、これはCIPシステムにおけるそれらの適用を制限し得る。しかしながら、高発泡浄化方法用に設計された本発明の組成上の実施形態では、半極性非イオン性物質は、即時的な実用性を有する。半極性非イオン性界面活性剤は、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびそれらのアルコキシル化誘導体を含む。
【0083】
アミンオキシドは、一般式に対応する第三級アミンオキシドであり、
【化5】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R、R、およびRは、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであり得る。一般に、洗剤関連のアミンオキシドでは、Rが、約8~約24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、RおよびRが、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル、またはそれらの混合物であり、RおよびRが、例えば酸素または窒素原子を介して互いに結合し、環構造を形成することができ、Rが、アルカリ、または2~3個の炭素原子を含有するヒドロキシアルキレン基であり、nが、0~約20の範囲である。
【0084】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、ヤシまたはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、それらの具体例は、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアインオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、および3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0085】
有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性ホスフィンオキシドを含み、
【化6】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、Rは、10~約24個の炭素原子の鎖長範囲のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキル部分であり、RおよびRは、それぞれ、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基から別々に選択されるアルキル部分である。
【0086】
有用なホスフィンオキシドの例としては、ジメチルデシルホスフィンオキシド、ジメチルテトラデシルホスフィンオキシド、メチルエチルテトラデシルホスホンオキシド、ジメチルヘキサデシルホスフィンオキシド、ジエチル-2-ヒドロキシオクチルデシルホスフィンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルホスフィンオキシド、およびビス(ヒドロキシメチル)テトラデシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0087】
本明細書において有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、構造を有する水溶性スルホキシド化合物を含み、
【化7】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、Rは、約8~約28個の炭素原子、0~約5個のエーテル結合、および0~約2個のヒドロキシル置換基のアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、Rは、1~3個の炭素原子を有するアルキルおよびヒドロキシアルキル基からなるアルキル部分である。
【0088】
これらのスルホキシドの有用な例としては、ドデシルメチルスルホキシド;3-ヒドロキシトリデシルメチルスルホキシド;3-メトキシトリデシルメチルスルホキシド;および3-ヒドロキシ-4-ドデコキシブチルメチルスルホキシドが挙げられる。
【0089】
本発明の組成物のための半極性非イオン性界面活性剤は、ジメチルアミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、それらの組み合わせなどを含む。有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ココナッツ、または獣脂アルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシドおよび3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0090】
本発明の組成物で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤には、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POコポリマー、キャップドEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャップドアルコールアルコキシレート、これらの混合物などが挙げられる。溶媒として使用するのに好適なアルコキシル化界面活性剤としては、Pluronicおよび逆Pluronic界面活性剤などのEO/POブロックコポリマー;Dehypon LS-54(R-(EO)(PO))およびDehypon LS-36(R-(EO)(PO))などのアルコールアルコキシレート;Plurafac LF221およびTegoten EC11などのキャップドアルコールアルコキシレート;これらの混合物などが挙げられる。
【0091】
アニオン性界面活性剤
疎水性物質の電荷が負であるためアニオン性物質として分類される界面活性物質、またはpHが中性以上に上昇しない限り分子の疎水性部分が電荷を持たない界面活性剤(例えば、カルボン酸)もまた、本発明において有用である。カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、およびホスフェートは、アニオン性界面活性剤に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と関連したカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウム、およびカリウムは、水溶性を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水溶性および油溶性の両方を提供し、カルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油溶性を促進する。当業者が理解するように、アニオン性物質は、優れた洗浄性界面活性剤であり、したがって重質洗剤組成物への好ましい添加物である。
【0092】
本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性硫酸塩界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、線状および分枝状第一級および第二級アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、脂肪オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテル硫酸塩、C~C17アシル-N-(C~Cアルキル)および-N-(C~Cヒドロキシアルキル)グルカミン硫酸塩、ならびにアルキル多糖類の硫酸塩、例えばアルキルポリグルコシドの硫酸塩などが挙げられる。また、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェート、例えばスルフェートまたはエチレンオキシドとノニルフェノールとの縮合生成物(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)も含まれる。
【0093】
本組成物において使用するのに好適な陰イオン性スルホネート界面活性剤としてはまた、アルキルスルホネート、線状および分枝状第1級および第2級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有しない芳香族スルホネートが挙げられる。
【0094】
本組成物における使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤としては、カルボン酸(および塩)、例えば、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸、スルホン化脂肪酸、例えば、スルホン化オレイン酸などが挙げられる。そのようなカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物において有用な第2級カルボキシレートとしては、第2級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。第二級カルボキシレート界面活性剤は、典型的にはエーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含まない。さらに、それらは、典型的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的には、11~13個の総炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在し得る。好適なカルボキシレートとしてはまた、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)などのアシルアミノ酸(および塩)が挙げられる。
【0095】
好適なアニオン性界面活性剤としては、以下の式のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートが挙げられ、
R-O-(CHCHO)(CH-COX(3)
式中、Rは、C~C22アルキル基であるか、または
【化8】
であり、Rは、C~C16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオン、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態では、nは、4~10の整数であり、mは、1である。いくつかの実施形態では、Rは、C~C16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C12~C14アルキル基であり、nは4であり、mは1である。
【0096】
他の実施形態では、Rは、
【化9】
であり、Rは、C~C12アルキル基である。またさらに他の実施形態では、Rは、Cアルキル基であり、nは10であり、mは1である。
【0097】
そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的には、酸の形態として入手可能であり、それらは、アニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。市販のカルボキシレートとしては、Neodox 23-4、C12~13アルキルポリエトキシ(4)カルボン酸(Shell Chemical)、およびEmcol CNP-110、Cアルキルアリールポリエトキシ(10)カルボン酸(Witco Chemical)が挙げられる。カルボキシレート、例えば製品Sandopan(登録商標)DTC、C13アルキルポリエトキシ(7)カルボン酸もまた、Clariantから入手可能である。
【0098】
カチオン性界面活性剤
表面活性物質は、分子のヒドロトロープ部分上の電荷が正である場合、カチオン性と分類される。ヒドロトロープが、pHが中性近く、またはそれ以下まで下げられない限り電荷を帯びないが、その後カチオン性(例えば、アルキルアミン)である界面活性剤も、この群に含まれる。理論的には、カチオン性界面活性剤は、「オニウム」構造RnX+Y--を含む元素のいずれの組み合わせからも合成され得、リン(ホスホニウム)および硫黄(スルホニウム)などの窒素(アンモニウム)以外の化合物を含み得る。実際には、カチオン性界面活性剤の分野は、恐らく、窒素のカチオン性界面活性剤への合成経路が単純かつ容易であり、高収率の生成物を生じ、これが、窒素のカチオン性界面活性剤をより安価にするために、窒素含有化合物によって支配されている。
【0099】
カチオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも1つの長い炭素鎖疎水性基と、少なくとも1つの正電荷を帯びた窒素とを含有する化合物を指す。長炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合されてもよく、またはより好ましくは、所謂中断アルキルアミンおよびアミドアミン内の架橋官能基(複数可)によって間接的に結合されてもよい。かかる官能基は、分子を、より親水性および/もしくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によってより容易に水に溶解されるようにし、かつ/または水溶性にすることができる。水溶性の増大のために、追加の第一級、第二級、もしくは第三級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が低分子量アルキル基を用いて四級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖もしくは直鎖部分の一部、または飽和もしくは不飽和複素環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、2個以上のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有してもよい。
【0100】
アミンオキシド、両性物質および双性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体が一般的には中性近くから酸性pHの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複する。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、概して、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように挙動し、酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように挙動する。
【0101】
大量の商業用陽イオン界面活性剤の大部分は、当業者に既知の4つの主なクラスおよび追加の部分群に細分することができ、‘‘Surfactant Encyclopedia´´,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86-96(1989)に記載されている。第1のクラスは、アルキルアミンおよびそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などの第四級物を含む。カチオン性界面活性剤は、本組成物において有益であり得る多様な特性を有することが知られている。これらの望ましい特性としては、中性pH以下の組成物における洗浄力、抗微生物性効能、他の薬剤と連携した増粘またはゲルなどが含まれ得る。
【0102】
本発明の組成物において有用なカチオン性界面活性剤としては、式R Zを有するものが挙げられ、式中、各Rは、直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基を含有し、最大3個のフェニルまたはヒドロキシ基で任意選択的に置換され、以下の構造のうちの最大4つ:
【化10】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物によって任意選択的に中断された有機基であり、それは、約8~22個の炭素原子を含有する。R基は、追加的に最大12個のエトキシ基を含有し得る。mは、1~3の数字である。好ましくは、分子中の1個以下のR基は、mが2であるときに16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3であるときに12個超の炭素原子を有する。各Rは、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、かつ分子中の1個以下のRは、ベンジルであり、xは、0~11、好ましくは0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素によって占められる。
【0103】
Yは、限定されるものではないが、
【化11】
またはそれらの混合物であり得る。好ましくは、Lは、1または2であり、かつY基は、Lが2であるとき、1~約22個の炭素原子と2個の遊離炭素単結合とを有するRおよびR類似体(好ましくはアルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分によって分離されている。Zは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオンなどの水溶性アニオンであり、特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、硫酸アニオン、またはメチル硫酸アニオンが、カチオン性構成成分の電気的中性を付与する数において好ましい。
【0104】
両性界面活性剤
両性または両性電解質界面活性剤は、塩基性および酸性親水性基および有機疎水性基の両方を含む。これらのイオン性実体は、他の種類の界面活性剤について本明細書に記載されているアニオン性基またはカチオン性基のいずれであってもよい。塩基性窒素および酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性親水性基として用いられる典型的な官能基である。いくつかの界面活性剤では、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、またはホスフェートが負電荷を与える。
【0105】
両性界面活性剤は、脂肪族第二級および第三級アミンの誘導体として広く記載することができ、ここで脂肪族ラジカルは、直鎖または分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1個は、約8~18個の炭素原子を含み、1個は、アニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスファト、またはホスホノを含む。両性界面活性剤は、当業者に知られており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Surfactant Encyclopedia」Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)69-71(1989)に記載されている2つの主なクラスに細分される。第1のクラスには、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)およびそれらの塩が含まれる。第2のクラスには、N-アルキルアミノ酸およびそれらの塩が含まれる。いくつかの両性界面活性剤は、両方のクラスに適合すると想定され得る。
【0106】
両性界面活性剤は、当業者に知られている方法によって合成することができる。例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、長鎖カルボン酸(または誘導体)とジアルキルエチレンジアミンとの縮合および閉環によって合成される。市販の両性界面活性剤は、その後の加水分解およびアルキル化によるイミダゾリン環の開環によって、例えばクロロ酢酸または酢酸エチルを用いて誘導体化される。アルキル化中に、1個または2個のカルボキシ-アルキル基が反応して、第三級アミンおよび異なるアルキル化剤とのエーテル結合を形成し、異なる第三級アミンを生じる。
【0107】
本発明において用途を有する長鎖イミダゾール誘導体は、一般に以下の一般式を有する:
【化12】
式中、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオン、一般的にはナトリウムである。本組成物に用いることができる商業的に有名なイミダゾリン由来両性化合物としては、例えば、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシ-プロピオネート、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシ-グリシネート、ココアンホプロピル-スルホネート、およびココアンホカルボキシ-プロピオン酸が挙げられる。アンホカルボン酸は、脂肪族イミダゾリンから生成することができ、ここで、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基は、二酢酸および/またはジプロピオン酸である。
【0108】
本明細書で上記のカルボキシメチル化化合物(グリシネート)は、しばしばベタインと呼ばれる。ベタインは、双性イオン界面活性剤と題した以下の節において、本明細書で以下に説明される特別なクラスの両性化合物である。
【0109】
長鎖N-アルキルアミノ酸は、容易に、反応RNHによって調製され、Rは、C~C18直鎖または分岐鎖アルキル、ハロゲン化カルボン酸を有する脂肪アミンである。アミノ酸の第一級アミノ基のアルキル化は、第二級および第三級アミンをもたらす。アルキル置換基は、複数の反応性窒素中心を提供する追加のアミノ基を有してもよい。最も市販されているN-アルキルアミン酸は、β-アラニンまたはβ-N(2-カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本発明に適用される市販のN-アルキルアミノ酸両性電解質の例としては、アルキルβ-アミノジプロピオネート、RN(CCOOM)およびRNHCCOOMが挙げられる。実施形態では、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水性基であり得、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオンである。
【0110】
好適な両性界面活性剤は、ココナッツ油またはココナッツ脂肪酸などのココナッツ製品から誘導されるものを含む。追加の好適なココナッツ由来界面活性剤は、それらの構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えばグリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8~18個(例えば12個)の炭素原子の脂肪族置換基を含む。そのような界面活性剤はまた、アルキルアンホジカルボン酸と考えることができる。これらの両性界面活性剤は、C12-アルキル-C(O)-NH-CH-CH-N(CH-CH-CONa)-CH-CH-OHまたはC12-アルキル-C(O)-N(H)-CH-CH-N(CH-CONa)-CH-CH-OHとして表される化学構造を含み得る。ココアンホジプロピオン酸二ナトリウムは、1つの好適な両性界面活性剤であり、Rhodia Inc.(Cranbury,N.J.)から商品名Miranol(商標)FBSで市販されている。化学名ココアンホ二酢酸二ナトリウムを有する別の好適なココナッツ由来両性界面活性剤は、同様にRhodia Inc.(Cranbury,N.J.)から商品名Mirataine(商標)JCHAで販売されている。
【0111】
両性クラスの典型的なリストおよびこれらの界面活性剤の種は、1975年12月30日にLaughlin and Heuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に記載されている。これらの参考文献の各々は、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。
【0112】
双性イオン界面活性剤
双性イオン界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットと考えることができ、アニオン電荷を含み得る。双性イオン界面活性剤は、第二級および第三級アミンの誘導体、複素環式第二級および第三級アミンの誘導体、または第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、または第三級スルホニウム化合物の誘導体として広く記載することができる。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正荷電第四級アンモニウム、または場合によってはスルホニウムもしくはホスホニウムイオン、負荷電カルボキシル基、およびアルキル基を含む。双性イオン性化合物は、一般に、分子の等電領域においてほぼ同程度にイオン化し、正-負電荷中心間に強い「内部塩」誘引を生じ得るカチオン性基およびアニオン性基を含有する。このような双性イオン性合成界面活性剤の例としては、脂肪族基が直鎖または分枝鎖であり得る、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、脂肪族置換基のうちの1個が、8~18個の炭素原子を含み、1個がアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含む。
【0113】
ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、本明細書で使用するための双性イオン界面活性剤の例である。これらの化合物の一般式は、以下のとおりであり、
【化13】
式中、Rは、0~10個のエチレンオキシド部分および0~1個のグリセリル部分を有する、8~18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含み、Yは、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択され、Rは、1~3個の炭素原子を含むアルキル基またはモノヒドロキシアルキル基であり、Yが硫黄原子であるとき、xは1であり、Yが窒素原子またはリン原子であるときは2であり、Rは、1~4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、およびリン酸基からなる群から選択されたラジカルである。
【0114】
上に挙げた構造を有する双性イオン界面活性剤の例としては、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-スルフェート、3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラコサンホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート、3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル-アンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-プロパン-1-スルホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-スルホネート、4-[N,N-ジ(2(2-ヒドロキシエチル)-N(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1-ホスフェート、3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート、およびS[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-スルフェートが挙げられる。当該洗剤界面活性剤に含まれるアルキル基は、線状または分枝状および飽和または不飽和であり得る。
【0115】
本組成物における使用に適した双性イオン界面活性剤は、一般構造のベタインを含む。
【化14】
これらの界面活性剤ベタインは、典型的には、極端なpHにおいて強いカチオン性またはアニオン性を示さず、またそれらは等電点範囲で低い水溶性を示さない。「外部の」第四級アンモニウム塩とは異なり、ベタインはアニオン性物質と相溶性がある。好適なベタインの例としては、ココナッツアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12~14アシルアミドプロピルベタイン、C8~14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4-C14~16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ-1-カルボキシブタン、C16~18アシルアミドジメチルベタイン、C12~16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC12~16アシルメチルアミドジメチルベタインが挙げられる。
【0116】
本発明において有用なスルタインは、式(R(RSO3-を有する化合物を含み、ここで、Rは、C~C18ヒドロカルビル基であり、各Rは、典型的には独立して、C~Cアルキル、例えばメチルであり、Rは、C~Cヒドロカルビル基、例えばC~Cアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である。
【0117】
双性イオン性クラスおよびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlin and Heuringによって発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz, Perry and Berch)に記載されている。これらの参照文献の各々は、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0118】
消泡剤
本発明の組成物および方法は、消泡剤を任意選択的に含むことができる。消泡剤は、アニオン性界面活性剤などの発泡界面活性剤を含む実施形態に特に好適であることができる。一般に、使用され得る消泡剤としては、シリカおよびシリコーン;脂肪酸またはエステル;アルコール;スルフェートまたはスルホネート;アミンまたはアミド;フルオロクロロ炭化水素などのハロゲン化合物;植物油、ワックス、鉱物油、ならびにそれらのスルホン化または硫酸化誘導体;アルカリ、アルカリ土類金属石鹸などの脂肪酸および/またはそれらの石鹸;およびアルキルおよびアルカリジホスフェートなどのホスフェートおよびホスフェートエステル、および特にトリブチルホスフェート;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態では、組成物は、本方法の適用を考慮すれば、食品グレードの品質である泡止め剤または消泡剤を含むことができる。この目的のために、より効果的な泡止め剤のうちの1つには、シリコーンが含まれる。ジメチルシリコーン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキルまたはテトラアルキルシラン、疎水性シリカ消泡剤、およびそれらの混合物などのシリコーンは全て、消泡用途に使用することができる。一般に入手可能な市販の脱泡剤としては、有機エマルジョン中の結合したシリコーンである、Armour Industrial Chemical Company製のARDEFOAM(商標);シリコーンおよび非シリコーンタイプの脱泡剤およびシリコーンエステルである、Krusable Chemical Companyから入手可能なFOAM KILL(商標)またはKRESSEO(商標);ならびに、とりわけ両方が食品グレードタイプのシリコーンである、Dow Corning Corporation製のANTI-FOAM A(商標)およびDC-200が挙げられる。
【0120】
酵素
いくつかの実施形態では、組成物は、酵素をさらに含み得る。好ましくは、アルカリ源を含まない洗浄組成物では、酵素および水が洗浄組成物の大部分を占める。
【0121】
酵素は、タンパク質であるので、組成物の他の成分が、酵素を変性させ、その意図された目的に対して無効とならないようにすることが重要である。活性な酵素または他の方法で安定化された酵素を組み込んだ好ましい洗浄組成物については、組成物のpHが重要である。すなわち、酵素を含む組成物のpHは、酵素成分が、安定したままであり、変性されないようなpHでなければならない。かかるpHは、ほぼ中性のpHもしくはその近く、または約7~8であり得る。特定の酵素について、かかるpHは、約7および約11であり得、または約7~約11のpHであり得る。当分野に精通した者ならば認識するように、安定な酵素と活性な酵素との間には違いがある。例えば、酵素は、pH6の組成物に配合することができ、安定しているが活性ではないと考えることができるが、その後、組成物のpHを(例えば、6~11に)変更するアルカリ性組成物/アルカリ性用途において酵素が使用されると、pHは、より高い「理想的な」pH(例えば、pH11)に変化すると、酵素は活性となる。
【0122】
アミラーゼは、洗浄組成物において有用な酵素の例である。使用することができるアミラーゼの例は、Bacillus licheniformis、B.amyloliquiefaciensまたはB.stearothermophilus由来のアルファ-アミラーゼ、ならびに洗浄および洗浄組成物での使用のために改良されたそれらの開発型である。NovozymesおよびGenencorは、上記の細菌種のうちの1つまたは全てに由来する市販のアルファ-アミラーゼを販売している。Novozymesはさらに、Aspergillus nigerおよびA.oryzae由来のアルファ-アミラーゼを提供している。
【0123】
プロテアーゼは、洗浄組成物において有用な酵素の例である。プロテアーゼは、酵母、カビ、または細菌などの微生物から誘導することができる。洗浄組成物に使用することができるタンパク質分解酵素の例としては、サビナーゼが挙げられる。Bacillus lentus、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus alcalophilusに由来するプロテアーゼは、Genencor International、Solvay Enzymes、Novozymesなどから市販されている。
【0124】
好ましい酵素は、良好なタンパク質除去および洗浄性能を付与し、残留物を残さず、配合が容易であり、安定な製品を形成する。Novozymesから市販されるSavinaseは、セリン-タイプのエンドプロテアーゼであり、8~12のpH範囲および20℃~60℃の温度範囲において活性を有する。さらなる例として、Novozymesから市販されているアルカラーゼは、Bacillus licheniformisに由来し、6.5~8.5のpH範囲および45℃~65℃の温度範囲で活性を有する。エスペラーゼは、Novozymesから市販されており、Bacillus sp.に由来し、アルカリ性のpH活性範囲および50℃~85℃の温度範囲を有する。
【0125】
異なる酵素の混合物を洗浄組成物に組み込んでもよい。様々な特定の酵素を記載してきたが、組成物に所望のタンパク質分解活性を付与することができるプロテアーゼなどの任意の酵素が使用され得ることを理解するべきである。本発明の組成物は、約0重量%~約25重量%の酵素、約0.0005重量%~約15重量%の酵素、約0.001重量%~約10重量%の酵素、約0.001重量%~約5重量%の酵素、約0.001重量%~約1重量%の酵素を含む。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙される全ての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0126】
キーラント
いくつかの実施形態では、組成物は、キーラントをさらに含み得る。本明細書において、キレート化とは、二座または多座リガンドの結合または複合体形成を意味する。これらのリガンドは、多くの場合、有機化合物であり、キーラント(chelant)、キレーター、キレート剤(chelating agent)、および/または金属イオン封鎖剤と呼ばれる。キレート剤は、単一の金属イオンと複数の結合を形成する。キーラントは、特定の金属イオンと可溶性複合体分子を形成する化学物質であり、それらが他の元素またはイオンと正常に反応して沈殿物またはスケールを生成することができないように、それらのイオンを不活性化する。リガンドは、基材とキレート複合体を形成する。用語は、金属イオンがキーラントの2つ以上の原子に結合している複合体のものである。
【0127】
好適なアミノカルボン酸型キレート剤は、酸、またはそのアルカリ金属塩を含む。アミノカルボン酸材料のいくつかの例としては、アミノアセテートおよびその塩が挙げられる。いくつかの例としては、以下のものが挙げられる:N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびアラニン-N,N-二酢酸など、ならびにそれらの混合物。NTAをほとんどまたは全く含有せず、かつリンを含有しない特に有用なアミノカルボン酸材料としては、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2,2´-イミノジコハク酸(HIDS)、およびカルボン酸置換基と共にアミノ基を有する他の類似の酸が挙げられる。
【0128】
他のキーラントとしては、アミノカルボキシレートが挙げられ、エチレンジアミンテトラ-アセテート、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロ-トリアセテート、エチレンジアミンテトラプロ-プリオネート(prionate)、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、およびエタノールジ-グリシン、アルカリ金属、アンモニウム、ならびにそれらの中の置換アンモニウム塩、ならびにそれらの中の混合物が挙げられる。好適なキレート剤としては、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換芳香族キレート剤、およびそれらの混合物が挙げられる。例示的なキーラントとしては、アミノ酸系キーラント、ならびに好ましくはクエン酸、酒石酸、およびグルタミン酸-N,N-二酢酸および誘導体、ならびに/またはホスホネート系キーラントが挙げられる。
【0129】
他のキーラントとしては、ポリカルボン酸およびそれらの部分的または完全に中和された塩のホモポリマーおよびコポリマー、ならびにモノマーポリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸ならびにそれらの塩が挙げられる。上述の化合物の好ましい塩は、アンモニウムならびに/またはアルカリ金属塩、すなわち、リチウム、ナトリウム、およびカリウム塩であり、特に好ましい塩は、硫酸ナトリウムなどのナトリウム塩である。
【0130】
他のキーラントとしては、ポリカルボン酸ポリマーが挙げられる。リンス組成物に好適な代表的なポリカルボン酸ポリマーとしては、リンス溶液を最終使用条件下で調整するために、とりわけアミノカルボン酸、水溶性アクリルポリマー、ポリマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸ポリマーが挙げられるかかるポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解メタクリルアミド、加水分解アクリルアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリルメタクリロニトリルコポリマー、またはそれらの混合物が挙げられる。それらのそれぞれのアルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)またはアンモニウム塩などのこれらのポリマーの水溶性塩または部分塩も使用することができる。
【0131】
さらに、ホスホン酸塩またはホスホネート金属イオン封鎖剤もまた使用することができる。いくつかの実施形態では、ホスホン酸塩および/またはホスホネート金属イオン封鎖剤は、ポリカルボン酸ポリマーなしで、単独で使用することができる。かかる有用なホスホン酸としては、モノ、ジ、トリ、およびテトラホスホン酸が挙げられ、それらはまた、カルボキシ、ヒドロキシ、チオなどのアルカリ条件下でアニオンを形成することができる基を含むこともできる。
【0132】
水調整ポリマー
一実施形態では、組成物は、任意選択的に、水調整ポリマー(複数可)を含む。いくつかの態様では、水調整ポリマーは、組成物のための二次ビルダーまたはスケール抑制剤である。一実施形態によれば、水調整ポリマーは、非リンポリマーであり得る。一態様では、水調整ポリマーは、非イオン性界面活性剤である。一態様では、水調整ポリマーは、ポリカルボン酸および/または疎水的に変性されたポリカルボン酸である。例示的なポリアクリル酸は、Acusol(登録商標)445N(Dow Chemical)として市販されている。さらなる実施形態では、中和ポリカルボン酸ポリマーは、水調整ポリマーとして使用される。例示的な中和ポリカルボン酸は、Acumer(登録商標)1000(Rohm & Haas Company)として市販されている。
【0133】
さらなる態様では、水調整ポリマーとしては、ポリカルボキシレートまたは関連のコポリマーを挙げることができる。ポリカルボキシレートは、複数のカルボキシレート基を有する化合物を指す。様々なかかるポリカルボキシレートポリマーおよびコポリマーは、既知であり、特許および他の文献に記載されており、市販されている。ビルダーおよび/または水調整ポリマーとして使用することができる例示的なポリカルボキシレートとしては、ペンダントカルボキシレート(-CO )基を有するもの、例えば、アクリルホモポリマー、ポリアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、スルホン化コポリマーまたはターポリマー、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、および加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。さらなる態様では、ビルダーおよび/または水調整ポリマーとして使用することができるポリカルボキシレートとしては、ポリアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;非カルボキシル化材料、例えば、ポリオレフィンおよびポリマレイン酸のコポリマー、例えば、オレフィン水素化物およびマレイン酸水素化物コポリマー;およびそれら全ての誘導体および塩が挙げられるが、それらに限定されない。例示的なポリカルボキシレートおよびポリアクリレートに関する追加の説明は、米国特許第7,537,705号および第3,887,806号に提供されている。
【0134】
さらなる態様では、水調整ポリマーとしては、ポリアクリレートまたは関連のコポリマーを挙げることができる。本発明に従う好適なポリアクリレート、ポリアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリオレフィン系およびポリマレイン酸系としては、有機化合物、例えば、ポリマー剤および小分子剤の両方、例えば、ポリアニオン組成物、例えば、ポリアクリル酸化合物を挙げることができる。ポリマー剤は、通常は、ポリアクリル酸化合物などのポリアニオン組成物を含む。例えば、例示的な市販のアクリル酸タイプのポリマーとしては、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、および当該ポリマーの水溶性塩が挙げられる。これらのものとしては、高分子電解質、例えば、水溶性アクリルポリマー、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマー、加水分解メタクリルアミド、加水分解アクリルアミド-メタクリルアミドコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。かかるポリマー、またはそれらの混合物は、これらのポリマーの水溶性塩または部分塩を含み、例えば、それらの各アルカリ金属(例えば、ナトリウムもしくはカリウム)またはアンモニウム塩も使用することができる。
【0135】
水調整ポリマーのさらなる考察については、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume 5,pages 339-366およびvolume 23,pages 319-320を参照されたい。
【0136】
洗浄方法
洗浄方法は、リップ化粧汚れを除去するのに特に適している。科学理論に固執することは望まないが、リップ化粧汚れの疎水性部分は、汚れた基材から汚れを除去することを特に困難にすると考えられている。リップ化粧品の疎水性部分は、最終製品の粘稠性に応じて、油、粘性固体、またはワックスであり得る。例えば、唇の上で転がされるリップグロスは、指先を使用して適用されるリップグロスよりも粘稠性のある液体になる傾向がある。当然、ロールオンリップグロスは、フィンガーティップリップグロスよりも油分が多く、固形分またはワックスの量が多いと思われる。リップ化粧品の疎水性成分は、天然でも合成でもよい。以下は、リップ化粧品に見出される疎水性材料の非限定的な例のリストである:リンゴ(Pyrus Malus)の皮のワックス、アボカド(Persea Gratissima)ワックス、ヤマモモ(Myrica cerifera)ワックス、蜜蝋、キャンデリラ(Euphorbia cerifera)ワックス、キャノーラ油、カルナウバ(Copernicia cerifera)ワックス、ヒマシ油、セレシン、セチルアルコール、セチルエステル、ココア(Theobroma cacao)バター、ココナッツ(Cocos nucifera)油、水素化ホホバ油、水素化ホホバワックス、水素化微結晶ワックス、水素化米ふすまワックス、加水分解ミツロウ、イソステアリン酸、ホホババター、ホホバエステル、ホホバワックス、ラノリン油、ラノリンワックス、微結晶ワックス、ミネラルオイル、ミンクワックス、モンタン酸ワックス、モンタンワックス、オリーブ(Olea europaea)オイル、オレンジ(Citrus aurantium dulcis)ピールワックス、オウリキュリーワックス、酸化蜜蝋、酸化マイクロクリスタリン、オゾケライト、パームカーネルワックス、パラフィン、PEG-6蜜蝋、PEG-8蜜蝋、PEG-12蜜蝋、PEG-20蜜蝋、PEG-12カルナウバ、ワセリン、黄色ワセリン、カリウム酸化マイクロクリスタリンワックス、ライス(Oryza sativa)ワックス、ゴマ(Sesamum indicum)オイル、シアバター(Butyrospermum parkii)、シェラックワックス、ビール粕ワックス、ステアリン酸、硫化ホホバ油、合成蜜蝋、合成キャンデリラワックス、合成カルナウバ、合成木蝋、合成ホホバ油、合成ワックス、および植物油。リップ化粧品に見出される追加の材料としては、シリコーン、例えば、ジメチコン、ならびに他の顔料、染料、着色剤、および香料が挙げられる。
【0137】
本明細書に開示される組成物は、上記の疎水性および他の材料ならびに上記のリストに含まれないものを有するリップ化粧汚れを除去することができることが理解される。
【0138】
その方法は、織物および他の硬質表面などのあらゆるタイプの布地基材に蓄積するリップ化粧汚れを除去するのに特に十分に好適である。洗浄の方法としては、例えばリップスティック、リップステイン、リップグロス、リップバーム、および/またはリップクリームを含むリップ化粧汚れを除去する必要がある布地基材または他の硬質表面に接触させることを含む。一態様では、布地基材または硬質表面は、ワックス状、油性、および/または脂性の汚れで汚れている。布地基材または硬質表面をアルカリ性洗浄組成物と接触させるために、接触の任意の手段、例えば、浸漬、噴霧、滴下、拭いなどを使用することができる。記載した接触の範囲内に含まれるものとして、布地基材および/または硬質表面はまた、前処理または洗浄サイクルを含み、アルカリ性組成物で浸漬することもできる。接触ステップの結果として、表面は洗浄され、汚れが除去される。
【0139】
一態様では、表面は、洗濯物などの布地基材である。例示的な洗濯物には、例えば、洗濯機で洗浄される品目または物品が含まれる。一般に、洗濯物は、織物材料、織布、不織布、およびニット織物から作製された、またはそれらを含む、あらゆる品目または物品を指す。織物材料としては、シルク繊維、リネン繊維、綿繊維、ポリエステル繊維、ナイロンなどのポリアミド繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、ならびに綿およびポリエステルブレンドを含むこれらのブレンドなどの、天然または合成繊維が挙げられ得る。繊維は、処理済または未処理であり得る。例となる処理済繊維としては、難燃処理をされたものが挙げられる。「リネン」という用語は、しばしば、ある特定の種類の洗濯品目、例えばベッドシーツ、枕カバー、タオルなどを説明するために使用されることを理解すべきである。本発明は、非洗濯物物品と、硬質表面を含む表面とを処理するための組成物および方法を追加的に提供する。本明細書に記載の織物および洗濯物の洗浄は、手動での洗浄であり得る。別の態様では、基材は洗濯機で洗浄される。
【0140】
洗浄用途、浸漬(または前処理)用途、および/または他の硬質表面処理用途では、分枝状ポリアミンを使用溶液中の洗浄組成物に添加することができる。あるいは、完全に配合された洗浄組成物を提供することができる。洗濯用途の使用として、前処理濃縮液をスプレーとして、処理が必要な基材上への噴霧として適用することを挙げることができる。接触時間は、数秒から数分まで変え得る。他の実施形態では、より低い濃度の洗浄組成物を、予浸用途に使用し得る。かかる実施形態では、接触時間は、数分から数時間まで変え得る。
【0141】
(例えば、固体から)水性使用溶液を希釈および/または作製する第1のステップもまた、方法に含めることができる。例示的な希釈ステップは、液体および/または固体組成物を水と接触させることを含む。本発明の組成物は、濃縮組成物および使用組成物を含む。例えば、濃縮組成物は、使用組成物を形成するために、例えば、水で希釈され得る。一実施形態では、濃縮組成物は、対象物への塗布の前に使用溶液に希釈され得る。経済面の理由から、濃縮物が売られ、エンドユーザは、濃縮物を水または水性希釈剤で使用溶液に希釈することができる。濃縮組成物中の活性成分のレベルは、濃縮物の活性成分の、意図される希釈倍率および所望の活性によって決まる。一般に、約1液量オンス対約10ガロンの水から、約10液量オンス対約1ガロンの水の希釈が、水性組成物に関して使用される。いくつかの実施形態では、洗濯用途で使用されるとき、濃縮組成物は、希釈剤に対して約0.1g/L~約100g/Lの濃縮物、希釈剤に対して約0.5g/L~約10.0g/Lの濃縮物、希釈剤に対して約1.0g/L~約4.0g/Lの濃縮物、または希釈剤に対して約1.0g/L~約2.0g/Lの濃縮物、という希釈比で希釈することができる。他の実施形態において、使用組成物は、約0.01重量%~約10重量%の濃縮組成物および約90重量%~約99.99重量%の希釈剤、または約0.1重量%~約1重量%の濃縮組成物および約99重量%~約99.9重量%の希釈剤を含み得る。
【0142】
アルカリ性洗浄組成物は、組成物の成分の活性物質の所望の量を提供する直ちに使用できる活性物質レベルで、かつ/または濃縮組成物で提供され得る。一態様では、分枝状ポリアミンおよび/または追加の界面活性剤は、使用溶液において約100ppm~約10,000ppm、使用溶液において約100ppm~約800ppm、使用溶液において約100ppm~約400ppm、または使用溶液において約200ppm~約300ppmの濃度で提供される。
【0143】
一態様では、アルカリ性洗浄組成物は、使用溶液において、洗浄を必要とする織物基材および/または他の硬質表面と接触し、約7.5~約13.5のpHを有する。
【0144】
一態様では、アルカリ性洗浄組成物は、汚れを除去するのに十分な時間、例えば、数秒から数時間、織物基材および/または他の硬質表面と接触する。いくつかの態様では、洗浄組成物は、洗浄または予浸のいずれかの状況で使用することができ、物品は、少なくとも約100°F~約140°F、少なくとも約100°F~約160°F、または少なくとも約100°F~約180°Fの使用温度で、物品を洗浄するのに有効な時間、本発明の組成物と接触する。この時間は、好ましくは最短1時間、または2時間、および最長8時間である。
【0145】
アルカリ性洗浄組成物は、物品、例えば織物を処理するために単独で使用することができるか、または処理される物品に好適な従来の洗剤と共に使用することができる。組成物は、従来の洗剤と一緒に、様々な仕方で使用することができ、例えば、組成物は、従来の洗剤と配合することができる。他の実施形態では、組成物は、従来の洗剤とは別個の添加剤として物品を処理することができる。別個の添加剤として使用される際には、組成物は、処理される物品といつでも接触することができる。例えば、組成物は、選択された洗剤に物品を接触させる前、後、または実質的に同時に、物品と接触することができる。
【0146】
本明細書における全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の水準を示している。全ての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0147】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに定義される。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、例示のみのために与えられていることを理解されたい。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態の種々の変更および修正を行い、これを種々の用途および条件に適合させることができる。したがって、当業者には、本発明の実施形態の種々の修正は、本明細書に示され記載されたものに加えて、前述の説明から明らかであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0148】
以下の実施例で使用される材料が、本明細書で提供される。
Covergirl 435:Cover Girl Cosmeticsから市販されているリップスティック
MAC C46:MAC Cosmeticから市販されているリップスティック
リップスティックスワッチ:リップスティックで予め汚された綿スワッチ
Amine 736:以下の構造を有するC12線状トリアミン、N1-(3-アミノプロピル)-N3-ドデシルプロパン-1,3,ジアミン:
【化15】
Amine 739:以下の構造[I]を有するC12分枝状ペンタミン、N1,N1,N3-トリス(3-アミノプロピル)-N3-ドデシルプロパン-1,3ジアミン:
【化16】
Amine 1:Lonzabac 12.1 [II]として市販されている以下の構造を有するC12分枝状トリアミン:
【化17】
Amine 737:以下の構造[III]を有するC8分枝状トリアミン:
【化18】
Amine 738:以下の構造[IV]を有するC8分枝状トリアミン:
【化19】
Amine 2:以下の構造[V]を有するC18分枝状ペンタミン:
【化20】
Builder C:27%の苛性アルカリ(水酸化ナトリウム)
Tergitol NP-5:Dow Chemical Companyから入手可能なノニルフェノールエトキシレート(NPE)
Ecosurf EH-6:Dow Chemical Companyから入手可能なアルコキシレート界面活性剤、2-エチルヘキサノールアルコキシレート界面活性剤
Ecosurf EH-9:Dow Chemical Companyから入手可能なアルコキシレート界面活性剤、2-エチルヘキサノールアルコキシレート界面活性剤
Tomamine E-17-2:エトキシル化アミン界面活性剤
Tomamine AO-14-2:低発泡性アミンオキシド
Rewoferm SL 446:ソホロ脂質生物系界面活性剤
【0149】
実施例1
テルゴメーターを使用して、リップ化粧汚れに対する様々な評価される洗濯配合物の洗浄力を測定した。図1に示した洗剤配合物を、450ppmの界面活性剤レベルで従来のアルコキシレート界面活性剤と比較して、分枝状ポリアミン(Amine 739)を利用している界面活性剤を含む苛性系洗剤組成物を使用して、評価した。
【0150】
装置:1 Lポットおよび水浴を備えたテルゴトメーター
【0151】
手順:
1.試験で使用されるロット番号の未洗浄スワッチを、HunterLab Color Quest分光光度計で読み取り、平均の初期(洗浄前)L値を確定する。
【0152】
2.次いで、120°Fの所望の洗浄温度を、テルゴトメーターにプログラムし、その温度まで水浴を加熱する。
【0153】
3.1リットルの5グレイン(gpg)水を各テルゴトメーターポットに加え、120°Fに平衡させた。
【0154】
4.洗剤系を、秤量し、テルゴトメーターポットに入れた。洗剤系は、30秒間~1分間(必要に応じてさらに長く)撹拌して、混合し溶解させる。
【0155】
5.洗剤の溶解に所望される1分の実行時間をコントローラーに入力した。
【0156】
6.洗剤系への曝露時間における差を最小限に抑えるために、スワッチは、左から右の順序で、それらのそれぞれのポットにすばやく入れた。
【0157】
7.ステップ5のように洗浄時間を入力し、スワッチを入れた直後に撹拌を開始する。
【0158】
8.実行の終わりに、スワッチをピンセットを使用して左から右の順序ですばやくポットから取り出し、1Lの冷たい5グレイン(gpg)水の中に移してすすぐ。各ポットに関して、冷たいすすぎ水の入った1つの容器を使用する。スワッチを、冷水から取り出し、シンクにおいてストレーナーまたはザルを用いて、冷たい水道水でさらにすすぐ。
【0159】
9.冷たい水道水ですすいだ後、スワッチから余分な水を絞る。すすぎおよび絞りのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0160】
10.実験台のWypallペーパータオル上でスワッチを風乾する。
【0161】
11.次いで、スワッチをHunterLab Color Questで読み取り、初期(洗浄前)L値と最終L値(洗浄後)の差から、汚れ除去率を計算する。詳細については、HunterLabの手順を参照されたい。
【0162】
除去されたリップスティックの百分率を図1に示す。これは、評価した配合物によるリップスティック除去の百分率を示しているグラフである。値が大きいほど、より多くのリップスティックが除去されたことを示している。有益なことに、分枝状ポリアミン界面活性剤(Amine 739)を含有する評価済み配合物は、96.9%の汚れ除去を提供し、少なくとも450ppmのTergitol NP-9(NPE)と同様に機能し、アルコキシレート界面活性剤および苛性配合物(Builder C単独の負の制御)を上回った。
【0163】
実施例2
さらなるテルゴメーター試験により、リップ化粧汚れに対する様々な評価した洗濯配合物の洗浄力を測定した。図2に示した苛性アルカリ系洗剤配合物を、実施例1に記載した手順を使用して評価した。線状ポリアミン(Amine 736)、分枝状ポリアミン(Amine 739)、および様々な従来の界面活性剤を比較した。その結果は図2に示した。分枝状ポリアミンは、リップスティック汚れ除去において、線状ポリアミンおよび他の評価したアミン含有界面活性剤よりも優れていた。
【0164】
実施例3
さらなるテルゴメーター試験により、リップ化粧汚れに対する様々な評価した洗濯配合物の洗浄力を測定した。図3に示した洗剤配合物を、実施例1に記載した手順を使用して評価した。結果は図3に示され、そこでは、分枝状ポリアミン(Amine 739)は、リップスティック汚れ除去について線状ポリアミン(Amine 736)よりも優れていた。
【0165】
実施例4
さらなるテルゴメーター試験により、リップ化粧汚れに対する様々な評価した洗濯配合物の洗浄力を測定した。図4に示した洗剤配合物を、実施例1に記載した手順を使用して評価した。洗剤配合物は、苛性ビルダーを含み、本開示の実施形態に従って、対照洗剤か、または様々な線状もしくは分枝状ポリアミンのいずれかと組み合わせた。その結果を図4に示した。分枝状ポリアミンは、苛性アルカリ制御よりも良好に機能しないより短い鎖のポリアミン(C6、C8)を除いて、洗濯用途の線状ポリアミンと少なくとも同様に機能する。全体として、データは、少なくともC8を超える、好ましくは少なくともC9または少なくともC12の鎖長を有する分枝状ポリアミンの改善された性能を示している。
【0166】
実施例5
さらなるテルゴメーター試験により、リップ化粧汚れに対する様々な評価した洗濯配合物の洗浄力を測定した。実施例5と比較して、より長い分枝鎖長のポリアミンを評価した。図5に示される洗剤調合物は、実施例1に記載された手順を用いて評価された(Cover Girl #435を、綿のラベ製リップスティック上で120Fで10分間洗浄した)。洗剤配合物は、苛性ビルダーを含み、本開示の実施形態に従って、対照洗剤か、または様々な分枝状ポリアミンのいずれかと組み合わせた。結果は図5に示され、C18鎖長の分枝状ポリアミン(Amine 2)は、商業的対照と比較して、洗濯用途に好適な汚れ除去を提供した。
【0167】
本発明がこのように記載されていることから、本発明が多くの方法で変更され得ることは明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのこのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。上記明細書は、開示された組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるため、本発明は特許請求の範囲に属する。以下の項目[1]~[20]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
洗濯洗浄組成物であって、前記洗濯洗浄組成物は、
任意のアルカリ源であって、前記アルカリ源が含まれる場合、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属カーボネート、アルカリ金属メタシリケート、アルカリ金属シリケート、および/または有機窒素塩基である、任意のアルカリ源と、
少なくとも洗浄性および/または消泡性界面活性剤、水調整剤、酵素、酸化剤、および/または蛍光増白剤と、
分枝状C6~C20ポリアミンと、を含む、洗濯洗浄組成物。
[2]
前記アルカリ源が、アルカリ金属水酸化物である、項目1に記載の組成物。
[3]
前記分枝状ポリアミンが、C8~C20ポリアミン、または好ましくはC8~C18ポリアミンであり、芳香族官能基を含まない、項目1又は2に記載の組成物。
[4]
前記分枝状ポリアミンが、以下の構造:
【化1】
を有する、項目1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[5]
前記分枝状ポリアミンが、以下の構造:
【化2】
または
【化3】
のうちの1つを有する、項目1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
少なくとも1つの追加の機能性成分をさらに含む、項目1~5のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記組成物が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、および/または逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物をさらに含む、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
アルカリ性洗濯洗浄組成物であって、
任意のアルカリ金属水酸化物と、
C8~C20分枝状ポリアミンと、
非イオン性界面活性剤と、
水と、を含む、アルカリ性洗濯洗浄組成物。
[9]
前記組成物が、組成物の約1重量%~約99重量%を構成する水酸化ナトリウムであるアルカリ金属水酸化物を含み、前記C8~C20分枝状ポリアミンが、前記組成物の約0.0005重量%~約50重量%を構成する、項目8に記載の組成物。
[10]
前記組成物が、ヒドロトロープ、染料、粘度調整剤、キーラント、ポリマー、酸化剤、蛍光増白剤、水調整剤、酵素、充填剤、および/または溶媒を含む少なくとも1つの追加の機能性成分をさらに含む項目8又は9に記載の組成物。
[11]
前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、および/または逆ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物を含む、項目8~10のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを除去する方法であって、
ワックス状、油性、および/または脂性の汚れを有する織物基材を、項目1~11のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄組成物と接触させることと、
前記織物基材を洗浄して前記汚れを除去することと、を含む、方法。
[13]
前記汚れが、リップ化粧汚れである、項目12に記載の方法。
[14]
前記リップ化粧汚れが、リップスティック、リップステイン、リップグロス、リップバーム、またはリップクリームのうちの少なくとも1つを含む、項目13に記載の方法。
[15]
前記織物基材が、洗濯物である、項目12~14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記洗濯物が、手動で洗浄されるか、または洗濯機で洗浄される、項目12に記載の方法。
[17]
前記分枝状ポリアミンが、使用溶液中の前記組成物に添加される、項目12~16のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記分枝状ポリアミンが、使用溶液中に約100ppm~約1000ppmの濃度で提供される、項目12~16のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記分枝状ポリアミンおよび追加の界面活性剤が、使用溶液中に約100ppm~約1000ppmの濃度で提供される、項目12~18のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記使用溶液中の前記洗浄組成物が、約7.5~約13.5のpHを有する、項目12~19のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5