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特許7449869高度な機械学習手法を用いた記述岩石薄片の画像の自動分析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】高度な機械学習手法を用いた記述岩石薄片の画像の自動分析
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/11 20170101AFI20240307BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20240307BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20240307BHJP
   G06V 10/145 20220101ALI20240307BHJP
   G06V 10/56 20220101ALI20240307BHJP
   G06V 10/762 20220101ALI20240307BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G06T7/11
G06T7/62
G06T7/90 A
G06V10/145
G06V10/56
G06V10/762
G01N21/21
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020557198
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019024755
(87)【国際公開番号】W WO2019204005
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】15/955,072
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アニフォウーズ,ファタイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】メズハニ,モクレス ムスタファ
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0091958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/11
G06T 7/62
G06T 7/90
G06V 10/145
G06V 10/56
G06V 10/762
G01N 21/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩石薄片の画像の自動化された分析のための方法であって:
岩石試料の岩石薄片の第1の画像を特定するステップと;
前記第1の画像の各ピクセルに対する特徴ベクトルを特定するステップであって、各ピクセルそれぞれの前記特徴ベクトルは前記ピクセルそれぞれの少なくとも色特性に基づいて決定される、特徴ベクトルを特定する前記ステップと;
前記第1の画像の前記ピクセルの前記特徴ベクトルに基づいて、前記第1の画像の前記ピクセルを、反復クラスタリング技術を使用してクラスタリングの複数回の反復でクラスタリングすることによって、前記岩石薄片の複数の異なる領域を特定するステップであって、前記領域のうちの1つは前記岩石薄片の粒子に対応する、前記岩石薄片の複数の異なる領域を特定する前記ステップと;
前記岩石薄片の第2の画像を特定するステップであって、
平面偏光と交差偏光とを用いて取得した前記岩石薄片の画像を合成するステップと、
前記第1の画像からの前記複数の異なる領域に基づいて前記岩石薄片の前記第2の画像から複数の粒子をセグメント分割するステップと、
前記セグメント分割された粒子の特性を特定するステップとを有する、第2の画像を特定する前記ステップと;を備え、
前記セグメント分割するステップは、
前記第1の画像から前記複数の異なる領域に基づいてマスク画像を生成するステップであって、(i)前記粒子の領域に含まれる前記マスク画像のピクセルは、第1の所定の値を有し、(ii)前記粒子の領域に含まれない前記マスク画像のピクセルは、異なる第2の所定の値を有する、マスク画像を生成する前記ステップと、
前記マスク画像を前記第2の画像に適用することによって、前記第2の画像の前記粒子の領域を強調するステップと、
前記マスク画像を前記第2の画像に適用した後、セグメンテーションアルゴリズムを使用して、前記第2の画像から複数の粒子をセグメント化するステップを有する、
方法。
【請求項2】
前記岩石薄片の前記複数の異なる領域は、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄の少なくとも1つに対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記岩石薄片の前記複数の異なる領域の相対的割合を特定するステップを更に備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セグメント分割された粒子の前記特性には、前記複数の粒子のそれぞれに対して、面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度の少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングするステップは、k-平均クラスタリングアルゴリズムを前記第1の画像の前記ピクセルに適用するステップを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の粒子は、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムを用いてセグメント分割される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の画像は、平面偏光を用いて取得された前記岩石薄片の画像である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
交差偏光を用いて取得された各画像は、前記岩石薄片が基準角度に対して異なる角度に回転されたときに取得され、前記岩石薄片の第2の画像を特定する前記ステップは、複数の取得された画像を、基準画像にレジストレーションをするステップを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
貯留層の品質を評価するために、前記岩石薄片の前記特定された複数の異なる領域と前記セグメント分割された粒子の前記特性とが用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
システムであって:
データ処理装置と;
前記データ処理装置によって実行可能な命令を格納し、前記データ処理装置との間でデータ通信する非一時的なコンピュータ読取り可能記憶媒体と;を備え、
前記命令の実行時には、前記データ処理装置に:
岩石試料の岩石薄片の第1の画像を特定する動作と;
前記第1の画像の各ピクセルに対する特徴ベクトルを特定する動作であって、各ピクセルそれぞれの前記特徴ベクトルは前記ピクセルそれぞれの少なくとも色特性に基づいて決定される、特徴ベクトルを特定する前記動作と;
前記第1の画像の前記ピクセルの前記特徴ベクトルに基づいて、前記第1の画像の前記ピクセルを、反復クラスタリング技術を使用してクラスタリングの複数回の反復でクラスタリングすることによって、前記岩石薄片の複数の異なる領域を特定する動作であって、前記領域のうちの1つは前記岩石薄片の粒子に対応する、前記岩石薄片の複数の異なる領域を特定する前記動作と;
前記岩石薄片の第2の画像を特定する動作であって、
平面偏光と交差偏光とを用いて取得した前記岩石薄片の画像を合成することと、
前記第1の画像からの前記複数の異なる領域に基づいて前記岩石薄片の前記第2の画像から複数の粒子をセグメント分割することと、
前記セグメント分割された粒子の特性を特定することとを含む、第2の画像を特定する前記動作と;を有する動作を実行させ、
前記セグメント分割することは、
前記第1の画像から前記複数の異なる領域に基づいてマスク画像を生成することであって、(i)前記粒子の領域に含まれる前記マスク画像のピクセルは、第1の所定の値を有し、(ii)前記粒子の領域に含まれない前記マスク画像のピクセルは、異なる第2の所定の値を有する、マスク画像を生成することと、
前記マスク画像を前記第2の画像に適用することによって、前記第2の画像の前記粒子の領域を強調することと、
前記マスク画像を前記第2の画像に適用した後、セグメンテーションアルゴリズムを使用して、前記第2の画像から複数の粒子をセグメント化することとを含む、
システム。
【請求項11】
前記岩石薄片の前記複数の異なる領域は、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄の少なくとも1つに対応する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記岩石薄片の前記複数の異なる領域の相対的割合を特定する動作を更に有する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記セグメント分割された粒子の前記特性には、前記複数の粒子のそれぞれに対して、面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度の少なくとも1つが含まれる、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングすることは、k-平均クラスタリングアルゴリズムを前記第1の画像の前記ピクセルに適用することを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の粒子は、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムを用いてセグメント分割される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
貯留層の品質を評価するために、前記岩石薄片の前記特定された複数の異なる領域と前記セグメント分割された粒子の前記特性とが用いられる、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
データ処理装置によって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取り可能記憶媒体であって、前記命令の実行時には、前記データ処理装置に:
岩石試料の岩石薄片の第1の画像を特定する動作と;
前記第1の画像の各ピクセルに対する特徴ベクトルを特定する動作であって、各ピクセルそれぞれの前記特徴ベクトルは前記ピクセルそれぞれの少なくとも色特性に基づいて決定される、特徴ベクトルを特定する前記動作と;
前記第1の画像の前記ピクセルの前記特徴ベクトルに基づいて、前記第1の画像の前記ピクセルを、反復クラスタリング技術を使用してクラスタリングの複数回の反復でクラスタリングすることによって、前記岩石薄片の複数の異なる領域を特定する動作であって、前記領域のうちの1つは前記岩石薄片の粒子に対応する、前記岩石薄片の複数の異なる領域を特定する前記動作と;
前記岩石薄片の第2の画像を特定する動作であって、
平面偏光と交差偏光とを用いて取得した前記岩石薄片の画像を合成することと、
前記第1の画像からの前記複数の異なる領域に基づいて前記岩石薄片の前記第2の画像から複数の粒子をセグメント分割することと、
前記セグメント分割された粒子の特性を特定することとを含む、第2の画像を特定する前記動作と;を備える動作を実行させ、
前記セグメント分割することは、
前記第1の画像から前記複数の異なる領域に基づいてマスク画像を生成することであって、(i)前記粒子の領域に含まれる前記マスク画像のピクセルは、第1の所定の値を有し、(ii)前記粒子の領域に含まれない前記マスク画像のピクセルは、異なる第2の所定の値を有する、マスク画像を生成することと、
前記マスク画像を前記第2の画像に適用することによって、前記第2の画像の前記粒子の領域を強調することと、
前記マスク画像を前記第2の画像に適用した後、セグメンテーションアルゴリズムを使用して、前記第2の画像から複数の粒子をセグメント化することとを含む、
非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項18】
前記岩石薄片の前記複数の異なる領域は、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄の少なくとも1つに対応する、
請求項17に記載の媒体。
【請求項19】
前記岩石薄片の前記複数の異なる領域の相対的割合を特定する動作を更に備える、
請求項18に記載の媒体。
【請求項20】
貯留層の品質を評価するために、前記岩石薄片の前記特定された複数の異なる領域と前記セグメント分割された粒子の前記特性とが用いられる、
請求項17に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
この出願は、2018年4月17日に出願された米国特許出願第15/955,072号の優先権を請求し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、記述岩石の薄片の画像を分析する方法に関する。
【0003】
地質学上の記述岩石学における研究(geological petrography work)に共通する大事な問題は、薄片の分析である。薄片の分析を用いて、鉱物組成及び鉱物テクスチャなどの、薄片の特性を特定できる。
【0004】
炭化水素流体は、薄片中の目視可能な空孔内で発見できる場合がある。地質学上の薄片の調査は、炭化水素探査の最も重要な分野の1つになっている。
【0005】
従来、薄片分析は、ポイントカウンティング法(point counting method)によってなされてきた。薄片でのポイントカウンティングは、顕微鏡に取り付けた機械的装置又は電気機械的装置を介して行うのが普通である。このような機械的装置及び電気機械的装置は非常に高価であり、しかも機能が制限される可能性がある。ポイントカウンティング分析の最終結果は主観的であって、ポイントカウンティングを行ったユーザの専門性に依存する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書は、1つ又は複数の場所にある1つ又は複数のコンピュータ上へコンピュータプログラムとして実装されるシステムについて述べ、コンピュータは、記述岩石薄片の画像(petrographic thin section images)の自動分析を実行する。
【0007】
第1の態様によれば、記述岩石薄片の画像を自動分析するための方法が提供される。この方法は、例えば偏光顕微鏡によって、岩石試料の記述岩石薄片の第1の画像を特定するステップを含む。第1の画像のピクセル毎に特徴ベクトルが特定され、各ピクセルそれぞれの特徴ベクトルは、それぞれのピクセルが呈する少なくとも色(例えば、明度及び色度)に基づいて特定される。記述岩石薄片の複数の異なる領域は、第1の画像のピクセルの特徴ベクトルに基づいて、第1の画像のピクセルをクラスタリングすることによって(例えば、k-平均アルゴリズムによって)特定される。そのうちの1つの領域は、記述岩石薄片中の粒子に対応し、その他の領域は、例えば、記述岩石薄片中の空孔、粘土、又は酸化鉄に対応してもよい。
【0008】
記述岩石薄片の第2の画像は、平面偏光及び交差偏光で得られた記述岩石薄片の画像を合成することによって特定される。粒子は、セグメンテーション法(例えば、watershed(分水嶺)セグメンテーション法)を用いて、記述岩石薄片の第2の画像からセグメント分割(セグメントに分割又はセグメンテーション分割)される(segmented)。このセグメンテーションは、薄片中の粒子に対応する領域を含む、第1の画像から特定された領域を組み込むことによって強化される。セグメント分割された粒子の特性は、粒子セグメンテーションに基づいて特定される。
【0009】
実施によっては、記述岩石薄片の複数の異なる領域の相対的割合が特定される。
【0010】
実施によっては、セグメント分割された粒子の特性には、粒子のそれぞれに対して、面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度の少なくとも1つが含まれる。
【0011】
実施によっては、第1の画像は、平面偏光を用いて(例えば、偏光顕微鏡によって)取得される記述岩石薄片の画像である。
【0012】
実施によっては、交差偏光(例えば、第2の画像を特定するために使用される)で取得される各画像は、記述岩石薄片が基準角度に対して異なる角度に回転されたときに取得される。これらの各画像は、その後、基準画像にレジストレーションされてもよい。
【0013】
実施によっては、薄片の特定された領域とセグメント分割された粒子の特性とを用いて貯留層の品質を評価する。
【0014】
第2の態様によれば、前述の方法の動作を実行するシステムが提供される。システムは、データ処理装置と、データ処理装置との間でデータ通信する非一時的なコンピュータ読取り可能記憶媒体とを含む。非一時的な記憶媒体は、データ処理装置によって実行可能な命令を格納する。データ処理装置が非一時的な記憶媒体によって格納された命令を実行する時、データ処理装置は前述の方法の動作を実行する。
【0015】
第3の態様によれば、非一時的なコンピュータ読取り可能記憶媒体が提供される。非一時的な記憶媒体は、データ処理装置によって実行可能な命令を格納する。命令を実行する時、データ処理装置は前述の方法の動作を実行する。
【0016】
本明細書に記載する主題の特定の実施の形態は、以下の利点のうちの1つ又は複数を実現するように実施できる。
【0017】
本明細書に記載する薄片分析システムは、高度な機械学習(マシンラーニング)法と自動画像処理法とを用いて薄片画像を処理し、薄片画像分析のための手動システムに勝るいくつかの利点を達成する。第1に、本明細書に記載する薄片分析システムを実施することにより、(ポイントカウンティング法などの)手動による薄片画像分析方法よりも、桁違いに速い薄片画像分析を実行できる。例えば、本明細書に記載する薄片分析システムは、薄片画像を2分又はそれ未満で処理できるが、(多数の異なるポイントで、地質専門家が薄片画像を手動で検査しなければならない)従来のポイントカウンティング法は、最大で4時間かかることもある。第2に、本明細書に記載する薄片分析システムは、薄片画像分析のための手動による方法よりも精確であろう。例えば、本明細書に記載する薄片分析システムは、機械学習と自動画像分析アルゴリズムとに依拠しているので、手動による薄片画像分析方法におけるヒューマンエラーの原因を取り除く。例えば、薄片画像分析のためのポイントカウンティング法は、ポイントカウンティング法を実行するユーザに、認知に伴う高い負担を強いるので、薄片の領域内の粒子又は空孔の数をユーザが誤ってカウントするなどのヒューマンエラーの可能性が高まる。第3に、本明細書に記載する薄片分析システムは首尾一貫しており、手動による薄片画像分析方法における潜在的な偏りを解消する。例えば、単一の薄片画像に対してポイントカウンティング法を複数回実行して薄片画像の特性(例えば、薄片中の粒子の平均直径)の推定値を特定するユーザは、毎回異なる値を特定するかもしれない。対照的に、本明細書に記載される薄片分析システムは、同一特性の一貫性のある推定値を特定するであろう。
【0018】
本明細書に記載する薄片分析システムは、薄片の組成上の特性(例えば、薄片において空孔が占める割合)及び薄片の粒子の特性(例えば、薄片中の粒径分布)の両方を含め、薄片の特性を包括的に分析する。対照的に、従来の多くの薄片分析システムは、薄片の識別可能な関連特性がもっと少ないので、分析はあまり包括的ではない。
【0019】
本明細書に記載する薄片分析システムは完全自動化がなされているため、完全には自動化されていない従来のシステムよりも効率的にコンピュータリソースを使うことができる。完全には自動化されていない従来のシステムでは、(例えば、システムパラメータを手動でキャリブレーションするためには)ユーザの介在が必要になる。ユーザの介在は時間がかかるおそれ(可能性としては、数秒から数時間に及ぶ)があり、ユーザの介在中、このような従来システムのコンピュータリソース(例えば、処理能力)は利用されない。本明細書に記載する薄片分析システムは完全に自動化されているので、連続的に動作し、コンピュータリソースをより効率的に利用できる。
【0020】
本明細書の主題の1つ又は複数の実施の形態の詳細を、添付の図面及び説明に記載する。主題の他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、例示的な薄片分析システムの図である。
【0022】
図2図2は、薄片の組成データを特定するための例示的な工程のフロー図である。
【0023】
図3図3は、薄片の粒子テクスチャデータを特定するための例示的な工程のフロー図である。
【0024】
図4図4は、薄片のテクスチャ分析画像を特定するための例示的な工程のフロー図である。
【0025】
図5図5は、クラスタリングによって薄片領域を特定するための例示的な工程のフロー図である。
【0026】
種々の図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、薄片分析システム100の例を示す。薄片分析システム100は、1つ又は複数の場所にある1つ又は複数のコンピュータに、コンピュータプログラムとして実装されるシステムの例である。そのコンピュータにおいて、後に述べるシステム、コンポーネント、及び手法が実施される。
【0028】
薄片分析システム100は、組成分析システム134及びテクスチャ分析システム136を用いて、岩石試料130からの、薄片128の薄片画像102を処理して、薄片128の特性を特徴付けるデータを出力として生成する。組成分析システム134は、粒子、空孔、粘土、及び酸化鉄などの複数の薄片構成要素のそれぞれが薄片102に占める相対比率を示す組成データ126を生成する。テクスチャ分析システム136は、薄片128中の粒子の面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度の1つ又は複数を特徴付けるデータを含む粒子テクスチャデータ124を生成する。
【0029】
岩石試料130は、露頭、コア、岩屑、又は他の岩石試料源から取得できる。
【0030】
岩石試料130の薄片128は、岩石試料130を(任意の適切な薄片生成工程を用いて)スライドガラスに固定することによって生成される。
【0031】
場合によっては、岩石試料130が石油貯留層の近くで取得された場合、貯留層の品質を評価するために;貯留層刺激手順を立案するために;貯留層に対する地層損傷の可能性を評価するために;又は、貯留層の続成作用履歴及び地球化学的履歴(diagenetic and geochemical history)を再構築するために;システム100によって生成された組成データ126と粒子テクスチャデータ124とを使うことができる。
【0032】
例えば、組成データ126は、粒子及び空孔が占める薄片102の相対的割合を示し、それによって、貯留層の品質の指標である岩石試料130の多孔性及び圧密を特徴付ける。別の例として、組成データ126は、薄片102の、ひいては岩石試料130の、粘土が占める相対的割合を示す。粘土は、さもなければ石油が占めたであろう空孔空間を占めるので、岩石試料130中の粘土の量は貯留層の品質の指標である。別の例として、粒子テクスチャデータ124は、薄片128、ひいては岩石試料130内の粒子の直径を示すことができ、それによって、貯留層の品質に影響を与える重要な要因である岩石試料130の浸透性を示すことができる。具体的には、粒径が大きいほど岩石の浸透性が高いことを示し、それによって貯留層の品質が高いことを示唆し得る。
【0033】
薄片128の複数の薄片画像102は、偏光顕微鏡132によって生成される。偏光顕微鏡132は、薄片128を直線偏光(すなわち、磁場又は電場のベクトルが伝搬方向に沿う平面に限定される光)に曝す間に、薄片128の拡大画像を取得することによって薄片画像102を生成するように構成される。薄片画像102は、偏光顕微鏡132が薄片128を直線偏光に曝すときに取得される薄片128の画像と、偏光顕微鏡132が薄片128を交差偏光に曝すときに取得される薄片128の画像とを含む。偏光顕微鏡内の薄片128の位置を基準角度(reference angle)に対して異なる角度に回転させ、その異なる角度に回転させている間に薄片128の画像を取得することによって、異なる薄片画像102が取得される。異なる角度は、0°、22.5°、45°、67.5°又は、任意の他の適切な角度を含むことができる。薄片画像102は、カラー画像、すなわち、各画像ピクセルに対する異なる色チャネルからの色データを含む画像である。例えば、薄片画像102は、赤-緑-青(「RGB」)画像、すなわち、各画像ピクセルに対する赤色チャネル、緑色チャネル、及び青色チャネルの色データを含む画像とすることができる。別の例として、薄片画像102は、明度チャネル及び色度チャネルの色データを含む画像とすることができる。
【0034】
システム100は、薄片画像102を処理して、(必要な場合には)任意の適切な色空間変換手法を用いてその薄片画像102を明度-色度フォーマットに変換するように構成された画像前処理エンジン104を含む。色空間変換手法とは、1つの色フォーマットに従って表された画像のピクセルを、別の色フォーマットに従ってその画像のピクセルで表すために適用される数学的変換を指す。色フォーマットの例には、グレースケール色フォーマット、RGB色フォーマット、及び明度-色度フォーマットが含まれる。
【0035】
システム100は、組成分析画像106を組成分析システム134に提供する。一般に、組成分析画像106は、任意の前処理された(すなわち、画像前処理エンジン104によって前処理された)薄片画像であっても薄片画像の合成であってもよい。例えば、組成分析画像106は、平面偏光を用いて取得された薄片画像であってもよい。
【0036】
組成分析システム134は、組成分析画像106を処理し、出力として組成データ126を生成する。組成データ126は、粒子、空孔、粘土、及び酸化鉄などのそれぞれの薄片構成要素が占める薄片102の相対的割合を示す。場合によっては、組成データ126は、膠結物(セメント)などの追加の構成要素が占める薄片102の相対的割合を更に示す。一般に、以下の説明は、任意の数の異なる薄片構成要素の組成データを特定するために類似的に適用できる。
【0037】
後により詳細に説明するように、組成分析システム134は、入力として組成分析画像106を、それぞれのピクセルの少なくとも色成分に基づいて組成分析画像106の各ピクセルそれぞれに対する特徴ベクトル112(すなわち、数値が順番に並べられた集合)を決定するように構成された特徴生成エンジン110へ提供する。
【0038】
組成分析システム134は、入力として組成分析画像106のそれぞれのピクセルに対する特徴ベクトル112を、組成分析画像106のピクセルの特徴ベクトル112に基づき(機械学習クラスタリングアルゴリズムを用いて)組成分析画像106のピクセルをクラスタリングするように構成されたクラスタリングエンジン114へ提供する。クラスタリングエンジン114は、組成分析画像106の各ピクセルそれぞれに対して、そのピクセルが特定の薄片構成要素に対応することを示すクラスタリングされた画像構成要素118を生成する。
【0039】
組成分析システム134は、入力としてクラスタリングされた画像構成要素118を、画像処理エンジン140へ提供する。画像処理エンジン140は、クラスタリングされた画像構成要素118を処理して、(i)その画像構成要素118を構成要素分析エンジン138によって処理可能なストレージフォーマット(storage format)に変換し、(ii)(テクスチャ分析システム136への入力として提供される)テクスチャ分析画像108を生成する。一般に、画像処理エンジン140は、(i)前処理された薄片画像102の1つ又は複数、及び(ii)クラスタリングされた画像構成要素118に基づきマスク画像を合成することによって、テクスチャ分析画像108を生成する。薄片のテクスチャ分析画像を特定するための工程の例を、図4を参照して説明する。
【0040】
構成要素分析エンジン(component analysis engine)138は、画像処理エンジン140による出力のクラスタリングされた画像構成要素118の画像(representation)を処理して、組成データ126を特定するように構成される。特定の構成要素(例えば、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄)が占める薄片128の相対的割合を特定するために、構成要素分析エンジン138は、クラスタリングされた画像構成要素に基づき特定の構成要素に対応する組成分析画像106のピクセルの割合を特定する。
【0041】
薄片の組成データを特定する工程の例を、図2を参照して説明する。
【0042】
テクスチャ分析システム136は、(画像処理エンジン140によって生成された)テクスチャ分析画像108を処理し、出力として粒子テクスチャデータ124を生成する。粒子テクスチャデータ124は、薄片128の粒子の面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度、の1つ又は複数を特徴付けるデータを含む。
【0043】
テクスチャ分析システム136は、入力としてテクスチャ分析画像108を、セグメンテーションエンジン(segmentation engine)116へ提供し、セグメンテーションエンジン116は、その入力を処理して粒子セグメンテーション120を出力として生成するように構成される。粒子セグメンテーション120は、薄片128の粒子をインデックス化した(indexing)データ(すなわち、薄片128の各粒子を異なる数値のインデックス値に関連付けるデータ)を含み、テクスチャ分析画像108の各ピクセルそれぞれに対して、ピクセルが粒子に対応していないこと、又はピクセルが薄片128の特定の粒子に対応していること、のどちらかを示す。
【0044】
テクスチャ分析システム136は、入力として粒子セグメンテーション120を、粒子分析エンジン122へ提供し、粒子分析エンジン122は、その入力を処理して粒子テクスチャデータ124を出力として生成するように構成される。薄片102の粒子の特性(例えば、粒子の面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度)を特定するために、粒子分析エンジン122は、粒子セグメンテーション120によってインデックス化された薄片128の粒子のそれぞれを個別に処理し、粒子の対応する特性を特定する。
【0045】
薄片に対する粒子テクスチャデータを特定するための工程の例を、図3を参照して説明する。
【0046】
図2は、薄片の組成データを特定する工程の例のフロー図である。便宜上、工程200を、1つ又は複数の場所に配置された1つ又は複数のコンピュータのシステムによって実行されるものとして説明する。例えば、組成分析システム、例えば、図1の組成分析システム134は、本明細書に従って適切にプログラムされ、工程200を実行することができる。
【0047】
システムは、組成分析画像のそれぞれのピクセルに対する特徴ベクトルを決定する(ステップ202)。一般に、組成分析画像の各ピクセルそれぞれに対する特徴ベクトルは、それぞれのピクセルに対応する色成分を含む。例えば、組成分析画像が明度-色度の画像である場合、それぞれのピクセルに対する特徴ベクトルは、それぞれのピクセルの明度及び色度チャネルの値を含む。実施によっては、組成分析画像の各ピクセルそれぞれに対する特徴ベクトルは、それぞれのピクセルの近傍における平均色強度及び色強度の分散など、組成分析画像のそれぞれのピクセルの近傍から導き出された他の特徴を含む。
【0048】
実施によっては、組成分析画像のどのピクセルが、酸化鉄に対応すると分かっている基準特徴ベクトルに十分に類似する特徴ベクトルを有するのかを、システムが特定することによって、酸化鉄構成要素に対応する組成分析画像の領域を特定する(ステップ204)。例えば、特定の組成分析画像の場合、酸化鉄は黒色だが、薄片の他の構成要素(例えば、空孔、粒子、粘土)は黒色ではない。この例では、システムは、黒色に十分に類似する色の特徴を有するピクセルが酸化鉄に対応することを特定できる。他の実施によっては、システムはステップ204を実行せず、ステップ206を参照して説明するように、むしろ、ピクセルをクラスタリングすることによって、それぞれの異なる薄片構成要素に対応する(酸化鉄に対応する領域を含む)組成分析画像の領域を特定する。
【0049】
システムは、ピクセルの特徴ベクトルに基づいて組成分析画像のピクセルをクラスタリングすることによって、それぞれの薄片構成要素(粒子、空孔、粘土、場合によっては酸化鉄など)に対応する組成分析画像の領域を特定する(ステップ206)。クラスタリングによって薄片領域を特定するための工程の例を、図5を参照して説明する。
【0050】
システムは、特定された領域(すなわち、それぞれの異なる薄片構成要素に対応する領域)に基づいて薄片の組成特性を特定する(ステップ208)。薄片の組成特性には、異なる薄片構成要素が占める薄片の相対的割合が含まれる。具体的には、構成要素cが占める薄片の割合を特定するために、システムは以下の計算を行う:
領域cにおけるピクセル数/総ピクセル数×100%
ここで、構成要素cは、粒子、空孔、粘土、酸化鉄、又は他の関連構成要素に対応してもよい。
【0051】
実施によっては、システムは、各構成要素それぞれに対応する薄片の各領域の(例えば、平方ミリメートルで表す)絶対面積など、薄片の他の組成特性を計算できる。
【0052】
図3は、薄片の粒子テクスチャデータを特定する工程の例のフロー図である。便宜上、工程300は、1つ又は複数の場所に配置された1つ又は複数のコンピュータのシステムによって実行されるとして説明される。例えば、図1のテクスチャ分析システム136などのテクスチャ分析システムは、本明細書に従って適切にプログラムされ、工程300を実行できる。
【0053】
システムは、テクスチャ分析画像を受け取る(ステップ302)。一般に、テクスチャ分析は、1つ又は複数の薄片画像を、1つ又は複数の薄片構成要素のマスク画像と合成することによって生成される。薄片のテクスチャ分析画像を特定する工程の例を、図4を参照して説明する。
【0054】
システムは、テクスチャ分析画像から個々の粒子をセグメント分割する(ステップ304)。テクスチャ分析画像から粒子をセグメント分割するステップは、薄片の粒子をインデックス化したデータ(すなわち、薄片の各粒子を異なる数値のインデックス値に関連付けるデータ)と、テクスチャ分析画像の各ピクセルそれぞれに対して、ピクセルが粒子に対応していない(すなわち、ピクセルが背景ピクセルである)、又はピクセルが薄片の特定の粒子に対応している(すなわち、特定のインデックス値でインデックス化した粒子)のどちらかを示すデータとを生成することを含む。
【0055】
システムは、適切なセグメンテーションアルゴリズム(segmentation algorithm)を用いて粒子をセグメント分割できる。一般に、セグメンテーションアルゴリズムは、主に自動化されたアルゴリズム(すなわち、人間の介在をほとんど又はまったく必要としないアルゴリズム)である。例えば、システムは、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムなどの画像処理方法を用いて、テクスチャ分析画像から粒子をセグメント分割できる。この例では、システムはテクスチャ分析画像を処理してエッジ画像を生成するが、ピクセルの強度は、ピクセルがテクスチャ分析画像のエッジに属する尤度と相関がある。エッジ画像は薄片の粒子の輪郭を描き、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムがエッジ画像に適用されて粒子をセグメント分割する。一般に、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムは、高いピクセル強度から特徴付けられる境界で囲まれる画像の領域を特定することによって(例えば、フラッディング(flooding)アルゴリズムによって)、異なる領域への画像のセグメント化を特定する。他の例として、システムは、ランダムフォレスト(random forest)又はニューラルネットワーク(neural network)によるセグメンテーション法などの機械学習セグメンテーション方法を用いて、テクスチャ分析画像から粒子をセグメント分割できる。
【0056】
システムは、セグメント分割された粒子の特性を特定する(ステップ306)。セグメント分割された粒子の特性には、面積、周囲長、長軸径、短軸径、及び粒子の真円度のうちの1つ又は複数が含まれる。システムは、セグメント分割された粒子のそれぞれを個別に処理し、粒子の対応する特性を特定する。例えば、システムは、セグメント分割された粒子のピクセル数に単一のピクセルが占める面積を乗ずることによって、セグメント分割された粒子の面積を特定することができる。
【0057】
実施によっては、システムはセグメント分割された粒子の集合特性(aggregate characteristics)を特定する。例えば、システムは、セグメント分割された粒子の面積の分布、セグメント分割された粒子の平均面積、又は、セグメント分割された粒子の面積の分散を特定することができる。
【0058】
図4は、薄片テクスチャ分析画像を特定する工程の例のフロー図である。便宜上、工程400を、1つ又は複数の場所に配置された1つ又は複数のコンピュータのシステムによって実行されるものとして説明する。例えば、薄片分析システム、例えば、図1の薄片分析システム100は、本明細書に従って適切にプログラムされ、工程400を実行できる。
【0059】
システムは、偏光顕微鏡によって生成された薄片の複数の画像及び(異なる薄片構成要素に対応する薄片の領域を示す)クラスタリングされた画像構成要素を受け取る(ステップ402)。
【0060】
偏光顕微鏡は、薄片を直線偏光(すなわち、磁場又は電場ベクトルが伝搬の方向に沿う平面に限定される光)に曝す間に、薄片の拡大画像を取得することによって薄片画像を生成するように構成される。薄片画像は、偏光顕微鏡が薄片を直線偏光に曝すときに得られる薄片の画像と、偏光顕微鏡が薄片を交差偏光に曝すときに得られる薄片の画像とを含む。偏光顕微鏡の薄片の位置を偏光顕微鏡の基準角度に対して異なる角度に回転させ、その異なる角度に回転させている間に薄片の画像を取得することによって、異なる薄片画像を取得する。異なる角度は、0°、22.5°、45°、67.5°又は他の任意の適切な角度を含むことができる。薄片画像は、色画像、すなわち、各画像ピクセルに対して異なる色チャネルからの色データを含む画像である。例えば、薄片画像は、RGB画像、すなわち、各画像ピクセルの赤色チャネル、緑色チャネル、及び青色チャネルの色データを含む画像とすることができる。別の例として、薄片画像は、明度チャネル及び色度チャネルの色データを含む画像とすることができる。
【0061】
システムは、複数の薄片画像を基準薄片画像にレジストレーションをする(ステップ404)。一般に、基準薄片画像は、任意の薄片画像とすることができる。場合によっては、基準薄片画像は組成分析画像である。システムは、適切なレジストレーションアルゴリズム(registration algorithm)を使用できる。レジストレーションアルゴリズムは、線形レジストレーション変換(linear registration transformation)、弾性レジストレーション変換、又は他の適切なレジストレーション変換を採用できる。レジストレーションアルゴリズムには、差の二乗和目的関数(sum of squared differences objective function)、相互情報量(mutual information)目的関数、又は任意な他の適切な目的関数を含むことができる。
【0062】
複数の薄片画像のそれぞれは、偏光顕微鏡内で異なる角度に回転させている間に取得されたかもしれない。実施によっては、システムは、その複数の薄片画像を基準薄片画像にレジストレーションをする前に、基準薄片画像に対して複数の薄片画像のそれぞれを逆回転させる。システムは、薄片画像と基準薄片画像との取得角度(acquisition angle)の差を特定し、特定された角度の逆方向に薄片をデジタル的に回転させることによって、基準薄片画像に対して薄片画像を逆回転させる。例えば、システムが、薄片画像と基準薄片画像との取得角度の差が時計回りに35°であると特定した場合、システムは、薄片画像を反時計回りに35°回転させる。
【0063】
システムは、レジストレーションをされた薄片画像を合成して、合成画像(composite image)を生成する(ステップ406)。場合によっては、レジストレーションをされた薄片画像を合成する前に、システムは、それらを、対応するグレースケール画像に変換する。実施によっては、システムは、レジストレーションをされた薄片画像を平均化することによって(すなわち、合成画像の各ピクセルの値を、レジストレーションをされた薄片画像の対応するピクセルの値の平均となるように設定することによって)合成する。実施によっては、システムは、レジストレーションをされた薄片画像を、その中央値を計算することによって(すなわち、合成画像の各ピクセルの値を、レジストレーションをされた薄片画像の対応するピクセルの値の中央値に設定することによって)合成する。
【0064】
システムは、クラスタリングされた画像構成要素からマスク画像を生成する(ステップ408)。具体的には、システムは、薄片の粒子構成要素、薄片の空孔構成要素、又はその両方のマスク画像を生成する。薄片の1つ又は複数の構成要素のマスク画像は、1つ又は複数の構成要素に属するピクセルが第1の所定の値(例えば、1の値)を有し、1つ又は複数の構成要素に属さないピクセルが第2の所定の値(例えば、ゼロの値)を有する、そのような画像を指す。
【0065】
システムは、合成画像とマスク画像とを合成して、テクスチャ分析画像を生成する(ステップ410)。合成画像とマスク画像とは、任意の適切な方法で合成できる。例えば、合成画像とマスク画像とは、テクスチャ分析画像の各ピクセルの値を、合成画像とマスク画像との対応するピクセルの値の積であるように設定することによって合成し、それにより、テクスチャ分析画像において粒子領域を強調できる。
【0066】
図5は、クラスタリングによって薄片領域を特定する工程の例のフロー図である。具体的には、図5は、薄片の画像(例えば、組成分析画像106)のピクセルの特徴ベクトルをクラスタリングすることによって薄片領域を特定する工程の例を説明する。便宜上、工程500を、1つ又は複数の場所に配置された1つ又は複数のコンピュータのシステムによって実行されるものとして説明する。例えば、組成分析システム、例えば、図1の組成分析システム134は、本明細書に従って適切にプログラムされ、工程500を実行できる。
【0067】
システムは、それらの特徴ベクトルをクラスタリングすることによって、薄片の画像のピクセルを異なるグループに割り当てる(ステップ502)。ピクセルの特徴ベクトルとは、ピクセルに関連付けられた数値が順番に並べられた集合を指す。特徴ベクトルに基づいて画像のピクセルをクラスタリングすることは、画像の各ピクセルを所定の数の異なるグループの1つに割り当てることを指す。その割り当ては、グループ内のピクセルの特徴ベクトル間の差異を最小化し、異なるグループ間のピクセルの特徴ベクトル間の差異を最大化するために実行される。システムは、適切なクラスタリングアルゴリズムを用いて、特徴ベクトルに基づきピクセルをクラスタリングできる。例えば、システムは、k-平均クラスタリングアルゴリズム、期待値最大化クラスタリングアルゴリズム(expectation-maximization clustering algorithm)、又はニューラルネットワークに基づくクラスタリングアルゴリズムを使用できる。
【0068】
場合によっては、クラスタリングアルゴリズムは所定の反復回数で実行される。場合によっては、クラスタリングアルゴリズムによって予測されたクラスタが収束するまで、クラスタリングアルゴリズムが実行される。例えば、反復間でクラスタへのピクセルの割り当ての差が所定のしきい値未満である場合、クラスタリングアルゴリズムは収束したと特定できる。
【0069】
システムは、特定される対象であるクラスタリングされる画像構成要素の数に基づいて、クラスタリングアルゴリズム内の所定グループの数を選択する。例えば、特定される対象のクラスタリングされる画像構成要素が空孔、粒子、及び粘土に対応する場合、システムが選択する所定グループの数は3つである。
【0070】
システムは、所定数のグループの各グループに対するそれぞれの典型的(exemplar)特徴ベクトルを特定する(ステップ504)。例えば、グループの典型的特徴ベクトルは、グループに割り当てられたピクセルの特徴ベクトルの平均として特定できる。別の例として、グループの典型的特徴ベクトルは、グループに割り当てられたピクセルの特徴ベクトルの重心(centroid)として特定できる。
【0071】
システムは、各グループに対応する薄片構成要素(例えば、空孔、粒子、又は粘土)を識別することによって、クラスタリングされた画像構成要素を特定する(ステップ506)。具体的には、システムは、各グループに対する典型的特徴ベクトルを、各構成要素に対する基準特徴ベクトルと比較する。異なる基準特徴ベクトルは各構成要素に対応する。例えば、構成要素が空孔、粒子、及び粘土である場合、第1の基準特徴ベクトルは空孔に対応し、第2の基準特徴ベクトルは粒子に対応し、第3の基準特徴ベクトルは粘土に対応することになろう。構成要素に対する基準特徴ベクトルは、(例えば、先の試みから)構成要素に対応するピクセルの特徴ベクトルをほぼ代表することが知られている特徴ベクトルである。与えられたグループの典型的な特徴ベクトルが特定の構成要素の基準特徴ベクトルに十分に類似している場合、システムは、(クラスタリングによって特定されるように)与えられたグループ内のピクセルが特定の構成要素に対応すると特定する。システムは、(例えば、ユークリッド距離測定によって決定される)典型的特徴ベクトルと基準特徴ベクトルとの間の距離が所定のしきい値未満である場合、典型的特徴ベクトルが基準特徴ベクトルに十分に類似していると特定できる。
【0072】
本明細書では、システム及びコンピュータプログラム構成要素に関連して用語「構成される」を用いる。1台又は複数のコンピュータのシステムが特定の動作(オペレーション)又は所作(アクション)を実行するように構成されるということは、そのシステムにソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせがインストールされており、稼働中にそれらがシステムに動作又は所作を実行させることを意味する。1つ又は複数のコンピュータプログラムが特定の動作又は所作を実行するように構成されるということは、1つ又は複数のプログラムが、データ処理装置によって実行されると装置に動作又は所作を実行させる命令を含むことを意味する。
【0073】
本明細書に記載する主題及び機能上の動作の実施の形態は、デジタル電子回路において、又は、有形に具現化されたコンピュータソフトウェア若しくはファームウェアにおいて、又は、本明細書に開示する構造とそれらの構造上の均等物とを含むコンピュータハードウェアにおいて、又は、それらのうちの1つ若しくは複数の組み合わせにおいて実施できる。本明細書に記載する主題の実施の形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムとして、すなわち、データ処理装置によって実行する又はデータ処理装置の動作を制御するための有形で非一時的な記憶媒体にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールとして実施できる。コンピュータ記憶媒体は、機械読取り可能な記憶デバイス、機械読取り可能な記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリデバイス、又は、それらの1つ又は複数の組み合わせであってもよい。代替として、又は、更に、プログラム命令は、人為的に生成された伝搬信号、例えば、機械生成による電気信号、光信号、若しくは電磁信号にエンコードすることができる。信号は、データ処理装置によって実行するために適切な受信装置へ送信するため情報をエンコードして生成される。
【0074】
用語「データ処理装置」は、データ処理ハードウェアを指し、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は、マルチプルプロセッサ及びマルチコンピュータを含む、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、CPU、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路)等の専用論理回路であってもよく、更にそれらを含む装置であってもよい。装置は、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラムの実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又は、それらの1つ又は複数の組み合わせを構成するコードを、任意であるが含むことができる。
【0075】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、App(アプリ)、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとしても参照される若しくは記述されるコンピュータプログラムは、プログラミング言語の任意の形式(例えば、コンパイル若しくはインタプリットされた言語、又は、宣言型若しくは手続き型言語)で記述できる。コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとして、又は、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適する他のユニットとして等、任意の形式で展開できる。プログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応できるが、対応する必要はない。プログラムは、ファイルの一部分に格納されることができ、ファイルは、他のプログラム若しくはデータ、例えば、マークアップ言語ドキュメントに保存された、当のプログラムに専用である単一ファイルに保存された、又は、複数の連携ファイル、例えば、1つ若しくは複数のモジュール、サブプログラム、若しくは、コードの各部分を保存するファイルに保存された、1つ若しくは複数のスクリプトを保持する。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は、1つのサイトに配置されている、若しくは、複数のサイトに分散配置され、データ通信ネットワークによって相互接続されている、複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0076】
本明細書では、用語「エンジン」は、1つ又は複数の特定の機能を実行するようにプログラムされたソフトウェアベースのシステム、サブシステム、又は工程を指すために広く用いられる。一般に、エンジンは1つ又は複数のソフトウェアモジュール又はコンポーネントとして実装され、1つ又は複数の場所にある1台又は複数のコンピュータにインストールされる。場合によっては、1台又は複数のコンピュータが特定のエンジン専用になる。それ以外の場合は、複数のエンジンを同じ1台又は複数のコンピュータにインストールして実行できる。
【0077】
本明細書に記載する工程及び論理フローは、1つ又は複数のプログラム可能なコンピュータによって実行できる。コンピュータは1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行し、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行する。その工程及び論理フローは、例えば、FPGA若しくはASIC等の専用論理回路によっても実行でき、又は、専用論理回路と1つ又は複数のプログラムされたコンピュータとの組み合わせによっても実行できる。
【0078】
コンピュータプログラムの実行に適するコンピュータは、汎用若しくは専用のマイクロプロセッサ、その両方、又は任意の他の種類のCPUに基づくことができる。一般に、CPUはリードオンリメモリ(ROM)又はランダムアクセスメモリ(RAM)、又はその両方から命令とデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのCPU、並びに、命令及びデータを格納するための1つ又は複数のメモリデバイスである。
CPU及びメモリは、専用論理回路によって補完される又は専用論理回路に組み込むことができる。一般に、コンピュータは、例えば、磁気、光磁気、若しくは光ディスク等の、データを格納するための1つ若しくは複数の大容量記憶デバイスを含む(又は、それらとの間でデータを共有するように作動可能に結合される)。しかし、コンピュータは必ずしもそのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータを、別のデバイスに、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又は、例えば、ほんの数例を挙げると、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブのようなポータブルストレージデバイスに組み込むことができる。
【0079】
コンピュータプログラムの命令とデータとの保存に適するコンピュータ読取り可能媒体は、すべての方式の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスを含み、その例として、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイス;例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク等の磁気ディスク;光磁気ディスク;CD-ROM、及びDVD-ROMディスクを含む。
【0080】
ユーザとの対話(インタラクション)を提供するために、本明細書に記載する主題の実施の形態は、ユーザに情報を表示するための、例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタのようなディスプレイデバイスと、ユーザがコンピュータに入力を提供する、キーボードと、例えばマウス又はトラックボールのようなポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実施できる。他の種類のデバイスを用いてユーザと対話することもできる。ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック等の任意の形態の感覚的フィードバックであってよい。また、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含め、任意の形態で受け取ることができる。更に、コンピュータは、例えば、Webブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのデバイスのWebブラウザへWebページを送信することにより、ユーザが使っているデバイスとの間でドキュメントを送受信してユーザとの間で対話することができる。また、コンピュータは、テキストメッセージ又は他の形式のメッセージをパーソナルデバイス、例えば、メッセージングアプリケーションを実行しているスマートフォンに送信し、その返報にユーザから応答メッセージを受信することによって、ユーザとの間で対話することができる。
【0081】
機械学習モデルを実装するためのデータ処理装置は、例えば、機械学習トレーニング又はプロダクション(例えば、推論)の作業量という、共通で計算集約的な部分を処理するための専用ハードウェアアクセラレータユニットを含むこともできる。
【0082】
機械学習モデルは、例えば、TensorFlowフレームワーク、Microsoft Cognitive Toolkitフレームワーク、Apache Singaフレームワーク、ApacheMXNetフレームワークなどの機械学習フレームワークを用いて実装し、展開できる。
【0083】
本明細書に記載する主題の実施の形態は、例えばデータサーバとしてのバックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステムで、又は、ミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバ、を含むコンピューティングシステムで、又は、フロントエンドコンポーネント、例えば、ユーザが本明細書に記載する主題の実施でそれらを介することで対話できるグラフィカルユーザインタフェース、Webブラウザ、若しくはアプリを有するクライアントコンピュータを含むコンピューティングシステムで、又は、1つ若しくは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、若しくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実施することができる。このシステムのコンポーネントは、例えば通信ネットワークのような、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体によって相互に接続することができる。通信ネットワークの例として、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)、例えばインターネットが挙げられる。
【0084】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバを含むことができる。クライアントとサーバは、一般に、互いに離れていて、通常、通信ネットワークを介してインタラクション(相互に作用)する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され且つ互いのクライアント/サーバ関係を持つコンピュータプログラムにより生まれる。実施の形態によっては、例えば、クライアントとして機能するデバイスと対話するユーザにデータを表示し、そのユーザからのユーザ入力を受信する目的で、サーバは、データ、例えば、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)ページをユーザデバイスに送信する。ユーザデバイスで生成されたデータ、例えば、ユーザとの対話の結果などは、デバイスからサーバで受信できる。
【0085】
本明細書は、特定の実施の詳細を多く含んでいるが、これらは、明細書の記載の範囲に対しても特許請求の範囲に対してもそれらの限定として解釈されるべきではなく、特定の実施の形態に固有であろう特徴の記述として解釈されるべきである。個別の実施の形態の文脈において本明細書に記載するいくつかの特徴を、一つの実施の形態として組み合わせて実施することもできる。逆に、ある一つの実施の形態の文脈で述べる多様な特徴を、複数の実施の形態で個別に、又は、任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。更に、特徴は、いくつかの組み合わせで作用するものとして前述されたり、最初からそのように請求される場合があるが、請求した組み合わせの1つ又は複数の特徴を、場合によっては、組み合わせから削除でき、及び、請求した組み合わせが、サブコンビネーション、又は、サブコンビネーションの変形に向けられてもよい。
【0086】
同様に、動作については特定の順序で図面に示す及び請求項に列挙するが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作を示された特定の順序で若しくは順番に実行すること、又は、すべての図示された動作を実行することが必要であると理解するべきではない。状況によっては、マルチタスク及び並列処理が有利である。更に、先に述べた実施の形態による様々なシステムモジュール及びコンポーネントの分離は、すべての実施の形態においてそのような分離が必要と理解すべきではなく、記載するプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品の中に一緒に統合することもでき、複数のソフトウェア製品にパッケージ化することもできるものと理解すべきである。
【0087】
主題の特定の実施の形態について述べた。他の実施の形態は、以下の特許請求の範囲に
含まれる。例えば、特許請求の範囲に記載する所作は、異なる順序で実行でき、それでも
望ましい結果を達成できる。その一つの例として、添付図に示す工程において望ましい結
果を達成するためには、図示する特定の順序や連続する順序を必ずしも必要としない。場
合によっては、マルチタスク処理及び並列処理が有利な場合がある。
[第1の局面]
記述岩石薄片の画像の自動化された分析のための方法であって:
岩石試料の記述岩石薄片の第1の画像を特定するステップと;
前記第1の画像の各ピクセルに対する特徴ベクトルを特定するステップであって、各ピクセルそれぞれの前記特徴ベクトルは前記ピクセルそれぞれの少なくとも色特性に基づいて決定される、特徴ベクトルを特定する前記ステップと;
前記第1の画像の前記ピクセルの前記特徴ベクトルに基づいて前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングすることによって、前記記述岩石薄片の複数の異なる領域を特定するステップであって、前記領域のうちの1つは、前記記述岩石薄片の粒子に対応する、前記記述岩石薄片の複数の異なる領域を特定する前記ステップと;
前記記述岩石薄片の第2の画像を特定するステップであって、
平面偏光と交差偏光とを用いて取得した前記記述岩石薄片の画像を合成するステップと、
前記第1の画像からの前記複数の異なる領域に基づいて前記記述岩石薄片の前記第2の画像から複数の粒子をセグメント分割するステップと、
前記セグメント分割された粒子の特性を特定するステップとを有する、第2の画像を特定する前記ステップと;を備える、
方法。
[第2の局面]
前記記述岩石薄片の前記複数の異なる領域は、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄の少なくとも1つに対応する、
第1の局面に記載の方法。
[第3の局面]
前記記述岩石薄片の前記複数の異なる領域の相対的割合を特定するステップを更に備える、
第2の局面に記載の方法。
[第4の局面]
前記セグメント分割された粒子の前記特性には、前記複数の粒子のそれぞれに対して、面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度の少なくとも1つが含まれる、
第1の局面に記載の方法。
[第5の局面]
前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングするステップは、k-平均クラスタリングアルゴリズムを前記第1の画像の前記ピクセルに適用するステップを備える、
第1の局面に記載の方法。
[第6の局面]
前記複数の粒子は、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムを用いてセグメント分割される、
第1の局面に記載の方法。
[第7の局面]
前記第1の画像は、平面偏光を用いて取得された前記記述岩石薄片の画像である、
第1の局面に記載の方法。
[第8の局面]
交差偏光を用いて取得された各画像は、前記記述岩石薄片が基準角度に対して異なる角度に回転されたときに取得され、前記記述岩石薄片の第2の画像を特定する前記ステップは、前記複数の取得された画像を、基準画像にレジストレーションをするステップを更に備える、
第1の局面に記載の方法。
[第9の局面]
貯留層の品質を評価するために、前記薄片の前記特定された複数の異なる領域と前記セグメント分割された粒子の前記特性とが用いられる、
第1の局面に記載の方法。
[第10の局面]
システムであって:
データ処理装置と;
前記データ処理装置によって実行可能な命令を格納し、前記データ処理装置との間でデータ通信する非一時的なコンピュータ読取り可能記憶媒体と;を備え、
その実行時には、前記データ処理装置に:
岩石試料の記述岩石薄片の第1の画像を特定する動作と;
前記第1の画像の各ピクセルに対する特徴ベクトルを特定する動作であって、各ピクセルそれぞれの前記特徴ベクトルは前記ピクセルそれぞれの少なくとも色特性に基づいて決定される、特徴ベクトルを特定する前記動作と;
前記第1の画像の前記ピクセルの前記特徴ベクトルに基づいて前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングすることによって、前記記述岩石薄片の複数の異なる領域を特定する動作であって、前記領域のうちの1つは、前記記述岩石薄片の粒子に対応する、前記記述岩石薄片の複数の異なる領域を特定する前記動作と;
前記記述岩石薄片の第2の画像を特定する動作であって、
平面偏光と交差偏光とを用いて取得した前記記述岩石薄片の画像を合成することと、
前記第1の画像からの前記複数の異なる領域に基づいて前記記述岩石薄片の前記第2の画像から複数の粒子をセグメント分割することと、
前記セグメント分割された粒子の特性を特定することとを含む、第2の画像を特定する前記動作と;を有する動作を実行させる、
システム。
[第11の局面]
前記記述岩石薄片の前記複数の異なる領域は、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄の少なくとも1つに対応する、
第10の局面に記載のシステム。
[第12の局面]
前記記述岩石薄片の前記複数の異なる領域の相対的割合を特定する動作を更に有する、
第11の局面に記載のシステム。
[第13の局面]
前記セグメント分割された粒子の前記特性には、前記複数の粒子のそれぞれに対して、面積、周囲長、長軸径、短軸径、又は真円度の少なくとも1つが含まれる、
第10の局面に記載のシステム。
[第14の局面]
前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングすることは、k-平均クラスタリングアルゴリズムを前記第1の画像の前記ピクセルに適用することを含む、
第10の局面に記載のシステム。
[第15の局面]
前記複数の粒子は、watershed(分水嶺)セグメンテーションアルゴリズムを用いてセグメント分割される、
第10の局面に記載のシステム。
[第16の局面]
貯留層の品質を評価するために、前記薄片の前記特定された複数の異なる領域と前記セグメント分割された粒子の前記特性とが用いられる、
第10の局面に記載のシステム。
[第17の局面]
データ処理装置によって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取り可能記憶媒体であって、その実行時には、前記データ処理装置に:
岩石試料の記述岩石薄片の第1の画像を特定する動作と;
前記第1の画像の各ピクセルに対する特徴ベクトルを特定する動作であって、各ピクセルそれぞれの前記特徴ベクトルは前記ピクセルそれぞれの少なくとも色特性に基づいて決定される、特徴ベクトルを特定する前記動作と;
前記第1の画像の前記ピクセルの前記特徴ベクトルに基づいて前記第1の画像の前記ピクセルをクラスタリングすることによって、前記記述岩石薄片の複数の異なる領域を特定する動作であって、前記領域のうちの1つは、前記記述岩石薄片の粒子に対応する、前記記述岩石薄片の複数の異なる領域を特定する前記動作と;
前記記述岩石薄片の第2の画像を特定する動作であって、
平面偏光と交差偏光とを用いて取得した前記記述岩石薄片の画像を合成することと、
前記第1の画像からの前記複数の異なる領域に基づいて前記記述岩石薄片の前記第2の画像から複数の粒子をセグメント分割することと、
前記セグメント分割された粒子の特性を特定することとを含む、第2の画像を特定する前記動作と;を備える動作を実行させる、
非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
[第18の局面]
前記記述岩石薄片の前記複数の異なる領域は、粒子、空孔、粘土、又は酸化鉄の少なくとも1つに対応する、
第17の局面に記載の媒体。
[第19の局面]
前記記述岩石薄片の前記複数の異なる領域の相対的割合を特定する動作を更に備える、
第18の局面に記載の媒体。
[第20の局面]
貯留層の品質を評価するために、前記薄片の前記特定された複数の異なる領域と前記セ
グメント分割された粒子の前記特性とが用いられる、
第17の局面に記載の媒体。
図1
図2
図3
図4
図5