(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】試料取扱いシステム、質量分析計および関連方法
(51)【国際特許分類】
H01J 49/04 20060101AFI20240307BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H01J49/04 090
H01J49/04 950
H01J37/20 B
(21)【出願番号】P 2020564801
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(86)【国際出願番号】 US2019017469
(87)【国際公開番号】W WO2019160801
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-12-16
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502073946
【氏名又は名称】ビオメリュー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロック, ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, スコット
(72)【発明者】
【氏名】マクレガー, イアン
(72)【発明者】
【氏名】タルマー, マーク
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-210237(JP,A)
【文献】特開2000-093157(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085874(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0225596(US,A1)
【文献】特開平11-054400(JP,A)
【文献】特開2014-139980(JP,A)
【文献】特開2012-114117(JP,A)
【文献】特開2006-173445(JP,A)
【文献】特表2006-525520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20,49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドポートを有する前面壁を備えるハウジングと、
スライド受入れチャネルを備える少なくとも1つの回転可能な回転ラックを備える入出力モジュールであって、前記回転ラックが第1の位置と第2の位置の間で回転し、前記第1の位置が、スライドを摺動自在に受け取ることができるように前記スライドポートと整列する前記スライド受入れチャネルの開放端を外向きに位置決めするスライド取入れ位置であり、前記第2の位置が、前記スライド受入れチャネルの前記開放端を前記ハウジングの内部に向けて設置するものである、入出力モジュールと、
前記回転可能な回転ラックと通信するロボットであって、前記ハウジングの内部に存するスライドグリッパを保持するロボットアームを有し、前記ロボットアームが前記ハウジングの中で3次元に動くことができる、ロボットと、
長手方向に対向した第1の端部および第2の端部、貫通チャネル、ならびに前記第2の端部に対して密封可能に結合されたドアを有するロードロックチャンバと、
XYステージと真空密封接触面を有するスライド保持具とを有する収集真空チャンバであって、前記スライド保持具が、前記ロードロックチャンバの前記ドアが閉じられた後に、前記ロードロックチャンバの中へ延びて、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を密封し、前記ロボットの前記スライドグリッパから前記スライド保持具にスライドが移された状態で、前記収集真空チャンバの中へ引っ込むことができる、収集真空チャンバとを備える、スライド試料の取扱いおよび/または分析のシステム。
【請求項2】
前記回転ラックが、前記回転ラックの中心を横切って前記回転ラックの直径の主要部よりも長く延在するある長さを有する前記スライド受入れチャネルを1つ有するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スライド受入れチャネルの前記開放端が、前記回転ラックの外径に対して内側へ引っ込んだ周囲を有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スライドグリッパが備える平行して並んだ第1のグリッパアームと第2のグリッパアームが、前記スライドグリッパの上あごおよび下あごに隣接して横方向に延在するシャフトによって枢動可能に保持されており、前記第1のグリッパアームが前記スライドグリッパの前記上あごに結合されており、前記第2のグリッパアームが前記スライドグリッパの前記下あごに結合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記スライドグリッパの前記上あごが、ノッチが前記下あごより上に存する状態で整列部材を受け取るように構成されたノッチを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2のグリッパアームに結合されたグリッパモータと、
各々が前記第1および第2のグリッパアームのうち少なくとも1つに結合されているホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサと、
前記グリッパモータならびに前記ホームセンサ、前記グリップセンサおよび前記スライド存在センサと通信する制御回路であって、前記ホームセンサ、前記グリップセンサおよび前記スライド存在センサからセンサデータを受け取って、前記上あごおよび前記下あごの開閉状態を識別し、どちらも閉状態であればスライドが存在するかどうかを識別する制御回路とをさらに備える、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のグリッパアームが、前記第2のグリッパアームに隣接するがより高いところに存し、前記ホームセンサと前記グリップセンサが、前記第1のグリッパアームの端部に結合されたプリント回路基板上で、一方が他方よりも高いところに存するように整列されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のグリッパアームの端部が前記スライド存在センサに結合されており、前記スライド存在センサが、前記ホームセンサおよび前記グリップセンサに対して隣接するが間隔を置いて前記プリント回路基板上に存在する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プリント回路基板が、前記ロボットの前記ロボットアームの枢動可能なアームセグメントに取り付けられている、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記収集真空チャンバに接続された第1の真空ポンプおよび前記ロードロックチャンバに接続された第2の真空ポンプをさらに備え、前記ハウジングの中で、前記第1の真空ポンプが前記第2の真空ポンプよりも高いところに存する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記スライドポートをもたらす取外し可能なベゼルフェースプレートをさらに備え、前記ベゼルフェースプレートが、前記ハウジングの内部に存し前記ベゼルフェースプレートに隣接した位置から上部のセグメントへ5~45度の角度で内向きに傾斜する上部のブラケット部材に結合されている開いた窓を有する斜面ブラケットによって保持されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ベゼルフェースプレートが4~6インチの幅および6~10インチの高さを有することと、
前記ハウジングは幅×長さ×高さが0.7m×0.7m×1.1mに構成されたテーブルトップハウジングであることと、
前記ハウジングは幅×長さ×高さが0.25m×0.3m×0.3mの寸法の内部試料保管スペースを含むこととのうち1つまたは複数を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記取外し可能なベゼルフェースプレートが、カメラを保持する上部のブラケット部材を有する内部ベゼルブラケットプレートに取り付けられており、前記上部のブラケット部材が、前記ベゼルフェースプレートに接近したセグメントから上部のセグメントまで5~45度の角度で内向きに延在し、前記回転ラックが前記第2の位置にあるとき、前記カメラが、少なくとも前記スライドの端部をカバーする視野を有する、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記入出力モジュールが、前記回転ラックを前記第1の位置と前記第2の位置の間で回転させる、前記回転ラックの下の駆動シャフトに結合された駆動モータを備え、前記取外し可能なベゼルフェースプレートが操作窓を露出するために前記ハウジングから分離されたとき、前記回転ラックが、洗浄のために前記ハウジングの前記操作窓から取り出され得る、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハウジングの後部の、フィルタを有する吸気ファンと流体連通する、複数の、間隔を置いた入力通気口と、前記ハウジングの頂部の出力ファンと流体連通する複数の出力通気口とをさらに備え、前記吸気ファンと前記出力ファンが、前記ハウジングの内部に正圧をもたらすように協働し、前記ハウジングからの受動的な空気流および/またはファンで駆動された空気流のうち少なくとも1つが前記ハウジングに夾雑物が入るのを阻止する、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ホームセンサおよび前記グリップセンサが、前記第1のグリッパアームの第1の端部の位置によって個別にトリガ可能であり、前記スライド存在センサが、前記第2のグリッパアームの第1の端部の位置によってトリガ可能である、請求項6から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ハウジングの前部の入口から前記ハウジングの頂部の出口まで延在するレーザ冷却剤経路をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ロボットが、前記ハウジングの床面に取り付けられた基部を有し、前記入出力モジュールが有する基部が、前記ハウジングの前記床面に、前記ロボットの基部に隣接して、前記ロボットの基部よりも前記ハウジングの前部に近い位置に取り付けられている、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記
スライドポートが、横方向次元において横長であり、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う、請求項1から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ロードロックチャンバの前記貫通チャネルは、横幅が高さよりも大きく、1cc~100ccの容積を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
スライドをつかむためのスライドグリッパ組立体を動作させる方法であって、
隣接する第1のアームと第2のアーム
に結合されたグリッパモータならびにホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサを有するスライドグリッパ組立体を設けること
であって、前記第1のアームと第2のアームの一方が下あごに取り付けられ、もう一方が協働する上あごに取り付けられており、ホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサの各々が前記第1および第2のアームのうち少なくとも1つに結合されている、スライドグリッパ組立体を設けることと、
前記グリッパモータならびに前記ホームセンサ、前記グリップセンサおよび前記スライド存在センサと通信する制御回路を介して、前記上あごと前記下あごの開閉を電子的に管理する
ことにより、
前記ホームセンサ、
前記グリップセンサおよび
前記スライド存在センサのうち1つまたは複数の状態を前記
上あごと下あごの位置に関連づけ
て、前記上あごと下あごの開閉状態を識別し、前記上あごと下あごが閉状態にある場合にスライドが存在しているかどうかを識別することとを含む、スライドグリッパ組立体を動作させる方法。
【請求項22】
(a)前記電子的に管理するステップのために、前
記ホームセンサと前
記グリップセンサが、前記第1のアームの第1の端部の位置によって個別にトリガ可能であり、前
記スライド存在センサが、前記第2のアームの第1の端部の位置によってトリガ可能であることと、
(b)前記第1のアームが、前記第2のアームより上にあって前記下あごに取り付けられている上アームであり、前記第1のアームと前記第2のアームが、前記上あごおよび前記下あごに隣接して横方向に延在するシャフトによって互いに取り付けられており、前記方法が、スライドが前記上あごと前記下あごの間に存在するときに限って、前記シャフトを水平方向の配向になるように枢動させることにより、次いで、前記電子的に管理するステップのために、前
記スライド存在センサによるスライドの現在の状態の識別をトリガすることとのうち1つまたは複数を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
分析用の試料を扱う方法であって、
質量分析計を有するハウジングと、対向する第1の端部と第2の端部を有するロードロックチャンバと、収集真空チャンバとを設けることであって、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部が、前記収集真空チャンバの中に、または隣接して存在し、前記第2の端部が、前記第1の端部から間隔を置いて存在し、密封取付け可能なドアを有する、ハウジングとロードロックチャンバと収集真空チャンバとを設けることと、
前記ハウジングの内部において前記収集真空チャンバの外部に正圧を供給することと、
前記ハウジングの前部のポートを通じて、回転ラックのスライド受入れチャネルに分析用のスライドを受け取ることと、
前記回転ラックを回転させることと、
ロボットのアームによって保持されたスライドグリッパで前記スライドの端部をつかむことと、
前記ハウジングの中で、前記スライドを、前記回転ラックから前記ロードロックチャンバまたは収納ラックに向けて3次元に移動させることと、
前記ドアが前記ロードロックチャンバの前記第2の端部に対して密封可能に閉じている間に、XYステージのスライド保持具を前記
収集真空チャンバから前記ロードロックチャンバに挿入することと、
前記スライド保持具が前記ロードロックチャンバの前記第1の端部の密封接触面と係合したとき、前記ロードロックチャンバの前記第1の端部を前記
収集真空チャンバから自動的に密封することと、
前記ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることと、
前記ドアを開くことと、
前記スライドを、前記ロードロックチャンバの前記第2の端部から前記ロードロックチャンバの中に挿入して、前記スライドグリッパから前記ロードロックチャンバの中の前記スライド保持具に移すことと、
前記ドアを閉じて前記ロードロックチャンバを密封することと、
前記ロードロックチャンバを真空圧まで真空引きすることと、
前記ドアが閉じられて前記ロードロックチャンバが減圧下の状態で、前記スライド保持具を前記スライドとともに前記
収集真空チャンバの中へ引っ込ませることとを含む、分析用の試料を扱う方法。
【請求項24】
前記スライドにおける試料または前記スライド上の試料を分析することをさらに含み、前記試料が、2000~20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって1つまたは複数の微生物を識別するように分析される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(a)前記スライドグリッパを、前記ハウジングの中の固定された構造体によって保持された整列部材まで移動させ、前記整列部材を前記スライドグリッパに対して摺動自在に出し入れして、前記スライド保持具の、前記回転ラックとの間の移動および前記ロードロックチャンバの中への移動を含む、前記ハウジングの中の動作位置を通る自動的なロボットの移動に用いる、前記ハウジングの中のX、Y、Zの較正された位置を定義することと、
(b)レーザ冷却剤気流経路を、前記ハウジングの前部からレーザの放熱板の上に、次いで上昇して前記ハウジングの頂部から出るように生成することと、
(c)前記ハウジングの前記前部の前記ポートを保持する前記ハウジングの前面壁から、分離可能なベゼルプレートを取り外し、次いで、前記ハウジングの前記前部を通して前記回転ラックを取り出すこととのうち1つまたは複数をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記固定された構造体が、前記収納ラックである、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、あたかも内容の全体が本明細書で詳述されたかのように参照によって本明細書に組み込まれている2018年2月13日出願の米国仮特許出願第62/629,746号、および2018年3月28日出願の米国仮特許出願第62/648,973号の利益および優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は試料取扱いシステムに関し、質量分析計によって分析される試料に特に適するものである。
【背景技術】
【0003】
質量分析計は、試料をイオン化し、次いで形成されたイオンの収集の質量対電荷比を判定するデバイスである。周知の質量分析器の1つである飛行時間型質量分析計(TOFMS)では、イオンの質量対電荷比は、パルス電界および/または静電界の影響下でイオンがイオン源から検知器まで伝送されるのに必要な時間によって判定される。TOFMSにおけるスペクトル品質は、無電界ドリフト領域へと加速する前のイオンビームの初期条件を反映する。具体的には、同一質量のイオンの、異なる運動エネルギーおよび/または空間における異なるポイントからの加速をもたらすあらゆる要因により、スペクトル分解能が低下することによって質量精度が失われる。マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)は、質量分光分析用の気相生体分子イオンを生成するための周知の方法である。MALDI-TOFのための遅延引き出し法(DE)の開発により、MALDIベース測定器の高分解能動作が実現した。DE-MALDIでは、レーザによってトリガされるイオン化イベントとTOF源領域に対する加速パルスの印加の間に短い遅延が付加される。高速の(すなわち高エネルギーの)イオンは低速のイオンよりも遠くへ移動することになり、それによって、エネルギー分布を、イオン化したときのものから、加速時の(抽出パルスを印加する以前のイオン化領域における)空間分布に変換する。
【0004】
米国特許第5,625,184号、米国特許第5,627,369号および米国特許第5,760,393号を参照されたい。Wileyら、Time-of-flight mass spectrometer with improved resolution、Review of Scientific Instruments、vol.26、no.12、1150~1157頁(2004年)、M.L.Vestal、Modern MALDI time-of-flight mass spectrometry、Journal of Mass Spectrometry、vol.44、no.3、303~317頁(2009年)、Vestalら、Resolution and mass accuracy in matrix-assisted laser desorption ionization-time-of-flight、Journal of the American Society for Mass Spectrometry、vol.9、no.9、892~911頁(1998年)およびVestalら、High Performance MALDI-TOF mass spectrometry for proteomics、International Journal of Mass Spectrometry、vol.268、no.2、83~92頁(2007年)も参照されたい。これらの文献の内容は、あたかも全体が本明細書において詳述されたかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、試料分析用に構成された測定器向けの試料取扱いシステムを対象とするものである。
【0006】
本発明の実施形態は、3Dロボット組立体と、真空チャンバと流体連通しているロードロックチャンバとを含む試料取扱いシステムを有する、質量分析システムを対象とするものである。
【0007】
本発明の実施形態はスライド取扱い組立体を対象とするものである。この組立体に含まれているスライドグリッパが備える平行に並んだ第1のグリッパアームと第2のグリッパアームは、スライドグリッパの上あごおよび下あごに隣接して横方向に延在するシャフトによって枢動可能に保持されており、第1のアームはスライドグリッパの上あごに結合され、第2のアームはスライドグリッパの下あごに結合されている。
【0008】
この組立体は、第1のグリッパアームと第2のグリッパアームとに結合されたグリッパモータをさらに含み得る。
【0009】
この組立体は、ホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサも含み得、各センサが、それぞれ第1のグリッパアームおよび第2のグリッパアームのうち少なくとも1つに結合され得る。この組立体には制御回路も含まれ得、グリッパモータならびにホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサと通信する。制御回路は、ホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサからセンサデータを受け取って、上あごおよび下あごの開閉状態を識別し、どちらも閉状態であればスライドが存在するかどうかを識別することができる。
【0010】
第1のグリッパアームは、第2のグリッパアームに隣接するがより高いところに存し得る。
【0011】
ホームセンサおよびグリップセンサは、一方が他方よりも高くなるように整列され得、第1のグリッパアームの端部に結合され得るプリント回路基板上に存してよい。
【0012】
第2のグリッパアームの端部はスライド存在センサに結合され得る。スライド存在センサは、ホームセンサおよびグリップセンサに対して隣接するが間隔を置いたプリント回路基板によって保持され得る。
【0013】
さらに他の実施形態は、スライド試料の取扱いおよび/または分析のシステムを対象とするものである。このシステムが含むハウジングは、スライドポートを有する前面壁と、スライド受入れチャネルを含む少なくとも1つの回転可能な回転ラックを有する入出力モジュールとを有する。回転ラックは第1の位置と第2の位置の間で回転する。第1の位置は、スライドを摺動自在に受け取ることができるようにスライドポートと整列するスライド受入れチャネルの開放端を外向きに位置決めするスライド取入れ位置である。第2の位置は、スライドチャネルの開放端をハウジングの内部に向けて設置するものである。このシステムには回転可能な回転ラックと通信するロボットも含まれ、ハウジングの内部に存するスライドグリッパを保持するロボットアームを有する。ロボットアームはハウジングの中で3次元に動くことができる。このシステムには、長手方向に対向した第1の端部および第2の端部、貫通チャネル、ならびに第2の端部に対して密封可能に結合されたドアを有するロードロックチャンバも含まれる。このシステムは、XYステージと真空密封接触面を有するスライド保持具とを有する収集真空チャンバをさらに含み、スライド保持具は、ロードロックチャンバのドアが閉じられた後に、ロードロックチャンバの中へ延びて、ロードロックチャンバの第1の端部を密封し、ロボットのスライドグリッパからスライド保持具にスライドが移された状態で、収集真空チャンバの中へ引っ込むことができる。
【0014】
回転ラックは、回転ラックの中心を横切って回転ラックの直径の主要部よりも長く延在し得るスライド受入れチャネルを1つ有するように構成され得る。
【0015】
スライドチャネルの開放端は、回転ラックの外径に対して内側へ引っ込んだ周囲を有することができる。
【0016】
スライドグリッパが有し得る平行して並んだ第1のグリッパアームと第2のグリッパアームは、スライドグリッパの上あごおよび下あごに隣接して横方向に延在するシャフトによって枢動可能に保持され得る。第1のアームはスライドグリッパの上あごに結合され得、第2のアームはスライドグリッパの下あごに結合され得る。
【0017】
上あごは、定義された動作位置との間の正確な移動のために、ユニットハウジングにおける較正されたロボット動作のための整列部材と協働するノッチを有することができる。
【0018】
このシステムは、第1のグリッパアームおよび第2のグリッパアームに結合されたグリッパモータならびにホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサをさらに含むことができる。各センサが、第1のグリッパアームおよび第2のグリッパアームのうち少なくとも1つに結合され得る。このシステムは、グリッパモータならびにホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサと通信する制御回路をさらに含むことができる。制御回路は、ホームセンサ、グリップセンサおよびスライド存在センサからセンサデータを受け取って、上あごおよび下あごの開閉状態を識別し、どちらも閉状態であればスライドが存在するかどうかを識別することができる。
【0019】
第1のグリッパアームは、第2のグリッパアームに隣接するがより高いところに存し得る。ホームセンサおよびグリップセンサは、一方が他方よりも高くなるように整列され得、それぞれが、第1のグリッパアームの端部に結合されたプリント回路基板上に保持されてよい。
【0020】
第2のグリッパアームの端部はスライド存在センサに結合され得る。スライド存在センサは、ホームセンサおよびグリップセンサに対して隣接するが間隔を置いたプリント回路基板によって保持され得る。
【0021】
プリント回路基板は、ロボットのロボットアームの枢動可能なアームセグメントに取り付けられ得る。
【0022】
このシステムは、収集真空チャンバに接続された第1の真空ポンプおよびロードロックチャンバに接続された第2の真空ポンプを有することができる。ハウジングの中で、第1の真空ポンプは第2の真空ポンプよりも高いところに存し得る。
【0023】
このシステムは、スライドポートをもたらす取外し可能なベゼルフェースプレートをさらに含むことができる。ベゼルフェースプレートは、ハウジングの内部に存しベゼルフェースプレートに隣接した位置から上部のセグメントへ5~45度の角度で内向きに傾斜する上部のブラケット部材に結合されている開いた窓を有する斜面ブラケットによって保持され得る。
【0024】
ベゼルフェースプレートは、4~6インチの幅および6~10インチの高さを有し得る。
【0025】
ハウジングは、幅×長さ×高さが約0.7m×0.7m×1.1mに構成されたテーブルトップハウジングであり得る。
【0026】
ハウジングは、幅×長さ×高さが約0.25m×0.3m×0.3mの寸法の内部試料保管スペースを含み得る。
【0027】
カメラを保持することができる上部のブラケット部材を有する内部ベゼルブラケットプレートに、取外し可能なベゼルフェースプレートが取り付けられ得る。上部のブラケット部材は、ベゼルフェースプレートに接近したセグメントから上部のセグメントまで5~45度の角度で内向きに延在することができる。カメラは、回転ラックが第2の位置にあるとき、少なくともスライドの端部をカバーする視野を有することができる。
【0028】
入出力モジュールが有し得る、回転ラックの下の駆動シャフトに結合された駆動モータが、回転ラックを第1の位置と第2の位置の間で回転させる。取外し可能なベゼルフェースプレートが、操作窓を露出するためにハウジングから分離されるとき、回転ラックは、洗浄のためにハウジングの操作窓から取り出され得る。
【0029】
このシステムは、ハウジングの後部の、フィルタを有する吸気ファンと流体連通する、複数の、間隔を置いた入力通気口と、ハウジングの頂部の出力ファンと流体連通する複数の出力通気口とをさらに含むことができる。吸気ファンと出力ファンは、ハウジングの内部に正圧をもたらすように協働することができ、ハウジングからの受動的な空気流および/またはファンで駆動された空気流が、ハウジングに夾雑物が入るのを阻止する。
【0030】
ホームセンサおよびグリップセンサは、第1のアームの第1の端部の位置によって個別にトリガ可能であり得る。スライド存在センサは、第2のアームの第1の端部の位置によってトリガ可能であり得る。
【0031】
このシステムが含み得るレーザ冷却剤経路は、ハウジングの前部の入口から(レーザおよび/またはレーザ放熱板の上に)ハウジングの頂部の出口まで延在する。
【0032】
ロボットは、ハウジングの床面に取り付けられた基部を有することができる。入出力モジュールが有し得る基部は、ハウジングの床面に、ロボットの基部に隣接して、ロボットの基部よりもハウジングの前部に近い位置に取り付けられる。
【0033】
ポートは、横方向次元において横長であり得、横方向に対向したアーチ形の端部を伴う。
【0034】
ロードロックチャンバの貫通チャネルは横幅が高さよりも大きく、1cc~100ccの容積を有し得る。
【0035】
本発明の実施形態は、スライドグリッパ組立体を動作させる方法を対象とするものである。この方法は、下あごと協働する上あごにそれぞれ取り付けられた、隣接する第1のアームと第2のアームを有するスライドグリッパ組立体を設けることと、上あごと下あごの開閉を電子的に管理することにより、第1のホームセンサ、第2のグリップセンサおよび第3のスライド存在センサのうち1つまたは複数の状態をグリッパのあごの位置に関連づけることとを含み得る。
【0036】
上あごと下あごの開閉は、任意選択で、第1のホームセンサ、第2のグリップセンサおよび第3のスライド存在センサのうち1つまたは複数から入力されるシグナルに応答して管理され得る。
【0037】
ホームセンサと第2のグリップセンサは、第1のアームの第1の端部の位置によって個別にトリガ可能であり得る。第3のスライド存在センサは、第2のアームの第1の端部の位置によってトリガ可能であり得る。
【0038】
第1のアームは、第2のアームよりも上にあって下あごに取り付けられ得る上アームであり得る。第1のアームと第2のアームは、上あごおよび下あごに隣接して横方向に延在するシャフトによって互いに取り付けられ得る。この方法は、スライドが上あごと下あごの間に存在するときに限って、下シャフトを水平方向の配向になるように枢動させることにより、次いで、第3のスライド存在センサによるスライドの現在の状態の識別をトリガすることを含み得る。
【0039】
上あごと下あごが閉じているとき、第1のアームの第1の端部は、第2のグリップセンサをトリガするところまで移動して、電子的に管理するステップに向けて閉状態を報告させることができる。
【0040】
さらに他の実施形態は、分析用の試料を扱う方法を対象とするものである。この方法は、質量分析計を有するハウジングと、対向する第1の端部と第2の端部を有するロードロックチャンバと、収集真空チャンバとを設けることを含む。ロードロックチャンバの第1の端部は、収集真空チャンバ中に、または隣接して存在し、第2の端部は、第1の端部から間隔を置いて存在し、密封取付け可能なドアを有する。この方法はまた、ハウジングの内部において収集真空チャンバの外部に正圧を供給することと、ハウジングの前部のポートを通じて、回転ラックのスライド受入れチャネルに分析用のスライドを受け取ることと、回転ラックを回転させることと、ロボットのアームによって保持されたスライドグリッパでスライドの端部をつかむことと、ハウジングの中で、スライドを、回転ラックからロードロックチャンバまたは収納ラックに向けて3次元に移動させることと、ドアがロードロックチャンバの第2の端部に対して密封可能に閉じている間に、XYステージのスライド保持具を真空チャンバからロードロックチャンバに挿入することと、スライド保持具がロードロックチャンバの第1の端部の密封接触面と係合したとき、ロードロックチャンバの第1の端部を真空チャンバから自動的に密封することと、ロードロックチャンバに大気への通気口をつけることと、ドアを開くことと、スライドを、ロードロックチャンバの第2の端部からロードロックチャンバの中に挿入して、スライドグリッパからロードロックチャンバの中のスライド保持具に移すことと、ドアを閉じてロードロックチャンバを密封することと、ロードロックチャンバを真空圧まで真空引きすることと、ドアが閉じられてロードロックチャンバが減圧下の状態で、スライド保持具をスライドとともに真空チャンバの中へ引っ込ませることとを含む。
【0041】
この方法は、スライドにおける試料またはスライド上の試料を分析することをさらに含むことができる。試料は、約2000~約20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって1つまたは複数の微生物を識別するように分析され得る。
【0042】
正圧を供給することによって生成され得る受動的な空気流の経路は、ハウジングの頂部からの経路を含む(任意選択で能動的な吸気/排気のファン駆動を伴う)。
【0043】
この方法は、レーザ冷却剤気流経路を、ハウジングの前部からレーザの放熱板の上に、次いで上昇してハウジングの頂部から出るように生成することも含み得る。
【0044】
この方法は、ハウジングの前部のポートを保持するハウジングの前面壁から、分離可能なベゼルプレートを取り外し、次いで、ユーザがハウジングの前部を通して回転ラックを取り出すことを可能にすることを含むことができる。
【0045】
本発明の実施形態は、試料取扱いシステムを搭載した、遅延引き出し(DE)マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)の飛行時間型質量分析計(TOF MS)を対象とするものである。飛行管は、約0.4m~約1mの長さを有することができる。しかしながら、任意選択で、より長い飛行管またはより短い飛行管が使用され得る。
【0046】
試料は、約2000~約20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって1つまたは複数の微生物の存在を識別するように分析され得る。
【0047】
試料は、約2000~20,000ダルトンの質量範囲を分析することによって、存在し得る1つまたは複数の異なるタイプのバクテリアおよび/または真菌を識別するように分析され得る。
【0048】
この方法は、シグナルに基づいて試料の中の微生物またはタンパク質を識別することを含むことができる。
【0049】
当業者には、本発明のさらなる特徴、利点および詳細が、図と、それに続く望ましい実施形態の詳細な説明とを読み取ることから認識されるはずであり、そのような説明は本発明の単なる例証である。
【0050】
1つの実施形態を参照しながら説明された本発明の態様は、特に関連して説明されなくても別の実施形態に組み込まれ得ることが注意される。すなわち、任意の実施形態のすべての実施形態および/または特徴は、任意のやり方および/または組合せにおいて組み合わされ得る。したがって、出願人は、従属すべき元来出願された請求項を補正すること、および/または元来そのように請求されていなくともあらゆる他の請求項のあらゆる特徴を組み込むことができる権利を含めて、あらゆる元来出願された請求項を変更する権利またはあらゆる新規の請求項を出願する権利を留保するものである。本発明のこれらおよび他の目的および/または態様は、以下で明らかにされる仕様において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】本発明の実施形態による例示的質量分析システムの前部の側面斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態による
図1Aに示された例示的質量分析システムの前面の部分斜視図である。
【
図1C】本発明の実施形態による
図1Aに示された質量分析システムの、内部構成要素を図示するために外壁を除去した前面の部分斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による運用モジュールを図示する質量分析システムのブロック図である。
【
図3A】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3B】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3C】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3D】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3E】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3F】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3G】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図3H】本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムの側面の部分斜視図である。
【
図4A】装填構成において示された、本発明の実施形態によるスライド取扱いシステムおよびロードロックチャンバの側面斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示された構成要素および構成の側面図である。
【
図5A】本発明の実施形態による
図4Aに示されたスライド取扱いシステムおよびロードロックチャンバの、スライドがXYステージに移されてロードロックドアを閉じた構成を示す側面斜視図である。
【
図5B】
図5Aに示された構成要素および構成の側面図である。
【
図5C】本発明の実施形態による
図5Aに示されたロードロックチャンバ組立体の(主真空チャンバに面して観察された)前部の左側斜視図である。
【
図5D】本発明の実施形態によるロードロックチャンバ組立体の部分断面図である。
【
図6A】本発明の実施形態による例示のスライド取扱いロボット組立体の側面斜視図である。
【
図6B】本発明の実施形態による
図6Aに示されたスライド取扱いロボット組立体のZ軸部分組立品の構成要素の側面斜視図である。
【
図6C】本発明の実施形態による
図6Aに示されたスライド取扱いロボット組立体のθ部分組立品の構成要素の側面斜視図である。
【
図6D】
図6Cに示されたθ部分組立品の頂部の部分透視図である。
【
図6E】
図6Cに示されたθ部分組立品の側部の部分透視図である。
【
図6F】本発明の実施形態による
図6Aに示されたスライド取扱いロボット組立体のR部分組立品の側面斜視図である。
【
図6G】本発明の実施形態による
図6Aに示されたスライド取扱いロボット組立体の試料取扱いアームの部分組立品の図である。
【
図6H】
図6Gに示された部分組立品の構成要素の部分分解斜視図である。
【
図7A】本発明の実施形態による例示的スライド出力シーケンスの側部の部分斜視図である。
【
図7B】本発明の実施形態による例示的スライド出力シーケンスの側部の部分斜視図である。
【
図7C】本発明の実施形態による例示的スライド出力シーケンスの側部の部分斜視図である。
【
図7D】本発明の実施形態による例示的スライド出力シーケンスの側部の部分斜視図である。
【
図8A】本発明の実施形態によるスライド接触面I/Oモジュール(組立体)の内部の側面斜視図である。
【
図8B】
図8Aに示されたスライド接触面I/Oモジュールの外面斜視図である。
【
図9A】
図8Aに示されたスライドI/Oモジュールの一部の、側部の内部を拡大した斜視図である。
【
図9B】本発明の実施形態によるスライドI/O回転ラックの上部の分解斜視図である。
【
図9C】
図9Bに示されたスライドI/O回転ラックの底部の分解斜視図である。
【
図10A】本発明の実施形態による
図8Aに示されたスライドI/Oモジュールの一部の、側部の拡大斜視図である。
【
図10B】
図10Bに示されたホームセンサを示すように配向された、
図8Aに示されたモジュールの側面斜視図である。
【
図11A】本発明の実施形態による回転ラック駆動装置組立体を図示する、
図8Aに示されたモジュールの底部の側面斜視図である。
【
図11B】本発明の実施形態による
図11Aに示されたモジュールの下部の内部を拡大した斜視図である。
【
図11C】本発明の実施形態による
図11Aに示されたスライドI/Oモジュールを有する測定器の前面の、取外し可能なベゼルフェースプレートを取り外した状態を図示する部分斜視図である。
【
図11D】ベゼルフェースプレートを取り外したオープンスペースを通して取出し可能な回転ラックを図示する、本発明の実施形態による測定器のハウジングの、ベゼルフェースプレートを取り外した前部の部分斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態による例示的スライドグリッパ部分組立品の頂部の側面斜視図である。
【
図13C】本発明の実施形態による協働する整列部材とともに示す、
図12に示されたスライドグリッパ部分組立品の別の実施形態の拡大上面図である。
【
図13E】整列ノッチの外に整列部材がある、
図13Cに示されたデバイスの拡大した部分側面図である。
【
図13F】整列ノッチの中に整列部材がある、本発明の実施形態による
図13Eに示されたデバイスの拡大した部分側面図である。
【
図13G】
図13Fに示された、ただしグリッパが適切な原点位置にないことを指示する望ましくない間隔を図示している、デバイスの底部の側面斜視図である。
【
図13H】整列部材と下部のグリップ部材の間に間隔がない適切な原点位置を図示している、本発明の実施形態による
図13Fに示されたデバイスの底部の側面斜視図である。
【
図14A】本発明の実施形態による
図12に示されたデバイスの構成要素の第1のセンサ状態モードでの側面斜視図である。
【
図14B】
図14Aに示された構成要素の、関連するグリッパ構成を図示する側面図である。
【
図15A】本発明の実施形態による
図12に示されたデバイスの構成要素の第2のセンサ状態モードでの側面斜視図である。
【
図15B】
図15Aに示された構成要素の、関連するグリッパ構成を図示する側面図である。
【
図16A】本発明の実施形態による
図12に示されたデバイスの構成要素の第3のセンサ状態モードでの側面斜視図である。
【
図16B】
図16Aに示された構成要素の、関連するグリッパ構成を図示する側面図である。
【
図17】本発明の実施形態によるXYステージに結合されたロードロックチャンバを有する測定器の内部構成要素の前部の部分的斜視図である。
【
図18A】本発明の実施形態によるXYステージの上面図である。
【
図18C】本発明の実施形態による
図18Aに示されたXYステージのX軸構成要素の上面斜視図である。
【
図18D】本発明の実施形態による
図18Aに示されたXYステージのY軸構成要素の側面斜視図である。
【
図19】本発明の実施形態による質量分析計などの測定器の中のスライドの収納ラックに隣接したロードロックチャンバ組立体の側面斜視図である。
【
図20A】本発明の実施形態による真空チャンバおよび/またはロードロックチャンバ用の例示的真空システムを図示する、測定器の側部の部分透過斜視図である。
【
図20B】本発明の実施形態による真空チャンバおよび/またはロードロックチャンバ用の例示的真空システムを図示する、測定器の側部の部分透過斜視図である。
【
図21】本発明の実施形態による気流を制御するための正圧構成を有する測定器の後部の上面斜視図である。
【
図22】本発明の実施形態によって分析用の試料を扱う方法の流れ図である。
【
図23A】本発明の実施形態によって分析用の試料を扱う方法の流れ図である。
【
図23B】本発明の実施形態によって分析用の試料を扱う方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
次に、本発明が、本発明の実例となる実施形態を示す添付図面を参照しながら以下でより十分に説明される。類似の番号は類似の要素を指し、類似の要素の異なる実施形態は、異なる数の標識アポストロフィ(たとえば10、10’、10’’、10’’’)を使用して指定され得る。
【0053】
図では、明瞭さのために、ある特定の層、構成要素または特徴が誇張されることがあり、破線は、特に指定がない限り任意選択の特徴または動作を図示するものである。「図(FIG.)」および「図(Fig.)」という用語は、出願および/または図面において「図(Figure)」という語と区別なく使用される。しかしながら、この発明は様々な形態で具現され得、本明細書で明らかにされた実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全になるように提供されるものであり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるはずである。
【0054】
本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層および/または区分を説明するために第1、第2、などの用語が使用されることがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または区分は、これらの用語によって制限されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層または区分と、別の領域、層または区分を区別するためにのみ使用されるものである。したがって、以下で議論される第1の要素、構成要素、領域、層または区分は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層または区分と称され得る。
【0055】
「の下に(beneath)」、「より下に(below)」、「底部の(bottom)」、「下部の(lower)」、「より上に(above)」、「上部の(upper)」等の空間的相対語は、本明細書では、説明の容易さのために、1つの要素または特徴の、図において図示されるような別の要素または特徴との関係を説明するように使用され得る。空間的相対語が、図に表された配向に加えて使用中または動作中のデバイスの異なる配向を包含するように意図されていることが理解されよう。たとえば、図中のデバイスが反転されると、他の要素または特徴「より下に」または「の下に」と説明された要素は、その後、他の要素または特徴「より上に」配向されることになる。したがって、「より下に」という例示的用語は、「より上に」、「より下に」、および「の後ろに(behind)」といった配向を包含することができる。デバイスは別様に(90°回転されて、または他の配向において)配向されてよく、本明細書で使用された空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0056】
「約」という用語は、言及された値の±20%の範囲の数値を指す。
【0057】
本明細書で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、明示的に別段の定めをした場合を除き複数形も含むように意図されている。「含む」、「備える」、「含んでいる」および/または「備えている」といった用語は、本明細書で使用されたとき、明示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在や付加を排除するものではないことがさらに理解されよう。ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と称されるとき、他の要素に直接接続または結合されてよく、あるいは介在要素が存在してもよいことが理解されよう。「および/または」という用語は、本明細書で使用するとき、関連する列記された項目のうち1つまたは複数の、ありとあらゆる組合せを含む。
【0058】
特に別の定義がなければ、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、この発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。一般に使用される辞書において定義されているものなどの用語は、本明細書および関連技術の状況における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されなければ、理想化された意味または過度に形式的な意味には解釈されないことがさらに理解されよう。
【0059】
「シグナル収集時間」という用語は、試料を分析するために質量分析計の検知器から単一試料の質量スペクトルのデジタル信号が収集されるかまたは獲得される時間を指す。
【0060】
「時間遅延」および「遅延時間」という用語は区別なく使用され、遅延引き出しのための、レーザパルス(点火/伝送)と抽出パルスの間、すなわちイオン化と加速の間の時間を指す。
【0061】
いくつかの実施形態では、質量分析計は約2,000~約20,000ダルトンの質量範囲の試料からイオンシグナルを取得するように構成されている。
【0062】
「パス」という用語は、1つの試料スポットにわたるスペクトルの収集、たとえばスポットにわたる1回の完全なスイープを指す。「ショット」という用語は単一スペクトルの生成および収集を指す。
【0063】
「試料」という用語は、分析される物質を指し、広範囲の分子量の任意の媒体であり得る。いくつかの実施形態では、試料はバクテリアまたは真菌など微生物の存在に関して評価される。しかしながら、試料は、毒素または他の化学薬品を含む他の構成物質の存在に関して評価され得る。
【0064】
「実質的に同一の」という用語は、ピーク分解能を参照するときには、一般的には2kDa~20kDa、3kDa~18kDa、および/または約4kDa~12kDaの目標範囲にわたるスペクトルが、定義された焦点質量のピーク分解能の10%以内の分解能を有することを意味する。焦点質量の例は4kDa、8kDa、12kDaおよび18kDaである。
【0065】
試料分析装置に関しての「テーブルトップ」という用語は、標準的なテーブルトップまたはカウンタトップ上に適合し得る、かつ/またはたとえば約1フィート×6フィートの長さ寸法での幅および一般的には約1~4フィートの高さ寸法を有するテーブルトップなどのテーブルトップと同等のフットプリントを占める、比較的コンパクトなユニットを指す。いくつかの実施形態では、システムは、14~28インチ(W)×14~28インチ(D)×28~38インチ(H)の密閉箱またはハウジングの中に存する。
【0066】
「モジュール」という用語は、定義された機能性を実行するハードウェアまたはファームウェア、ハードウェアおよびファームウェア、あるいはハードウェア(たとえばコンピュータハードウェア)またはソフトウェアコンポーネントを指す。
【0067】
図1Aおよび
図1Bは、質量分析システムまたは他の試料分析測定器もしくは試料分析ユニットであり得る例示的システム10を図示するものである。示されるように、システム10が含むハウジング10hは、前面壁10f、ユーザインターフェースを有する表示器10dおよび少なくとも1つの試料標本ポート15を有し、試料標本ポート15は、
図1Aでは1つのポートとして、
図1Bでは2つの並んだポートとして示されており、スライドを連続的に受け取り、かつ/または出力するような寸法設定および構成であるが、3つ以上のポートが使用されてもよい。それぞれのポート15は、分析用の標本スライド「S」(
図3A)のための、入口専用ポート、出口専用ポート、または入口と出口の両方のポートとして構成され得る。
図1Aに示されるように、システム10は、テーブルトップT上に存し得るテーブルトップユニットとしての寸法設定および構成が可能である。
【0068】
図1Cは、分析器の構成要素(すなわちイオン化装置、TOF管(使用される場合)および検知器)なしで、システム10のいくつかの内部構成要素を図示するものである。示されるように、システム10は、スライド保持具25を有するロボット20と、真空チャンバ60の壁60wに結合されたロードロックチャンバ組立体50と、XYステージ70とを含み得る。「ロボット」という用語は広く使用されており、それぞれのスライドSを質量分析システム10における様々な位置に沿って自動的に移動させることができる多自由度の電気機械システムを指す。ロボット20が有し得るアーム20aは、一般的には
図1Bに示されるようにハウジング10hの内部の前の隅10cの位置において取付けブラケット20pに付けられており、定義された位置移動を実行する。
【0069】
図2は、質量分析システム10内または同システム上に含まれ得る例示的運用モジュール100(モジュール100nとして識別され、nは数的識別子である)を図示する。モジュール100は、ユーザインターフェース(UI)モジュール100
1、電源モジュール100
2、主要な電子機器モジュール100
3(1つまたは複数の高電圧電源V、デジタイザ、および抽出パルサを有する)、スライドI/Oモジュール100
4、ロードロックモジュール100
5、飛行管モジュール100
6、少なくとも1つの真空ポンプ107を有する真空モジュール100
7、少なくとも1つのレーザ108を有するレーザ光学モジュール100
8、および温度管理モジュール100
9を含み得る。少なくとも1つの真空ポンプ107は粗引き真空ポンプ107
1およびターボポンプ107
2を含み得る。ターボポンプ107
2は収集真空チャンバ60にのみ直接接続され得るが、粗引きポンプ107
1は、ロードロックチャンバ55cおよび任意選択で収集真空チャンバ60にも直接接続され得る。
【0070】
粗引きポンプ1071は、比較的コンパクトな内部空間においてターボ真空ポンプ1072より下に存し得る。
【0071】
図21を参照しながら以下でさらに論じられるように、システムまたは測定器10は、未濾過の外部空気が測定器に入るのを阻止するため、および/または試料がユニット10内にある間に外部供給源からの汚染を阻止するために、(減圧下の収集真空チャンバ60およびロードロックチャンバ55の外部で)正圧に保たれ得る。「正圧」という用語は、空気が換気用通気口および/またはハウジングの外板もしくはケースにおける何らかの開口から流入することなく流出するように、システム10のハウジング10hの外の気圧よりも高い圧力を指す。システム10のハウジング10hにおける間隔を置いたファン195(
図21)は、正圧および所望の流出空気経路を生成するために使用され得る。各ファン195は、入来空気にあり得るいかなるデブリの進入も阻止するためのフィルタを含み得る。
【0072】
図1Cおよび
図2に示されるように、たとえば、ロードロックチャンバ55は真空チャンバ60の壁60wに取り付けられている。真空チャンバ60の中には、XYステージ70とともに、生成されたイオンまたはレーザビームを導くバックバイアスプレート61、抽出プレート62、集束イオン光学部品63、偏向板64、およびプリズム65などの電子的操作可能な構成要素がある。真空チャンバ60は高電圧(HV)分圧器66も含有し得る。当業者には周知のように、プリズム65はレーザビームを導くことができ、プレート61、62、63、64のうち1つまたは複数(一般的にはすべて)が、生成されたイオンを導くことができる。
図2において、レーザ光学部品は一般的には「L」と称され、イオン光学部品は一般的には「I」と称される。
【0073】
たとえば
図3Hに示されるように、また以下でさらに論じられるように、ロードロックチャンバ組立体50が有するロードロックチャンバ55の開いたチャネル55cは、スライドSを摺動自在に受け取ることができ、密封可能に閉じられ得る。ロードロックチャンバ55は、チャネル55cと流体連通している1つまたは複数の弁56によって減圧下に置かれ得(または通気口をつけられ得)、スライドSは、真空チャンバ60の真空を損なうことなく、またはわずかな圧損で、収集真空チャンバ60に対して出し入れされることが可能になる。
図3Hに示された実施形態では、たとえばガス抜き用と真空源107(
図20B、たとえば粗引きポンプ107
1)への接続用の2つの専用弁56がある。しかしながら、ガス抜きおよび真空引き(図示せず)を実行するために二方弁または三方弁が使用され得る。
【0074】
図3A~
図3Hは、ロボット20およびスライド保持具25を、試料スライドSを取り入れて一般的にはロードロックチャンバ55経由で真空チャンバ60に移すための様々な位置において、図示するものである。
【0075】
図3Aは、外部機構によって自動的に、またはユーザの手動挿入によって実行され得る、ポート15へのスライドSの取入れを図示するものである。ポート15は回転可能な回転ラック81のチャネル82に対して整列され得る。
図3Aにおいて垂直に整列した第1のポートと第2のポートとして示された複数のポート15が存在し得る(しかし、
図1Aによる1つのポート、または3つ以上のポート15も使用されてよい)。
図3Bを参照して、スライド存在センサ128(
図8A、
図9A、
図10A、
図10B)は、回転ラック81のチャネル82におけるスライドSの存在を検知して、回転ラック81の回転式の取入れおよび次の一連のアクションを活性化する。
【0076】
質量分析システム10(または他の測定器)は、少なくとも1つの回転可能な回転ラック81をもたらすスライド入出力(I/O)インターフェースモジュール118を有するように構成され得る。示されるように、回転ラック81は、いつでも単一のスライドSを保持するための単一チャネル82を有することができる。スライド保持チャネル82は、回転ラック81の外径の50%~90%の長さLを有することができる(
図9A、
図9B)。この単一チャネルの構成および長さを回転式の回転ラック81とともに使用すると、比較的コンパクトなインターフェース/入力プロファイルが可能になり得、測定器10のフットプリントが有利に低減され得る。
【0077】
図3Cを参照して、回転ラック81は、システム10の内部の隔室160にスライドSを設置するために約180度回転することができ、スキャナ119は、一般的には2Dマトリクスコード(たとえばクイックレスポンス「QR(登録商標)」コードであってよい)またはバーコードなどの機械可読光ラベルによる関連データを求めてスライドSを走査することができる。
【0078】
図3Dを参照して、ロボット20は延びることができ、グリップ25gを有するスライド保持具25は、回転ラック81上に保持されたままスライドSの端部と係合することが可能になる。
【0079】
図3Eは、ロボット20が、次いで回転ラック81からスライドSを移動し得る様子を図示するものである。収集グループが撮像され得る。収集グループはスライド上の試料スポットのサブセットである。各スライドは、それぞれ16のスポットの3つのグループに準備された約48の試料スポットなど、一般的には2~10のグループにおける10~100のスポットといった、試料スポットの複数のグループを含有している。各グループが有する中心スポットが、較正および品質チェック用に使用することができるQCスポットとして識別され得る。スライドが入力回転ラックから取り外されたとき、視野が全体のスライドを含有していない可能性があるため、ロボットは各グループを撮像するために所定の位置で休止する。スライド存在センサ128は、このとき回転ラック81上の「スライドなし」状態を識別する。測定器10へのスライド入力が完了し、スライドSは内部保管装置に移動され得、またはロードロックチャンバ55に直接移動され得る。内部隔室160は動作中に正圧に保たれ得る。
【0080】
図3Fに示されるように、また以下でさらに論じられるように、少なくとも1つのグリップセンサ25sは、スライド保持具25の第1のセンサ25s
1、第2のセンサ25s
2、および第3のセンサ25s
3を含むことができ(たとえば
図14Aおよび
図14B)、スライドSが存在して測定器10における後続の搬送のための準備ができていることを指示し得る。ロードロックチャンバ55のドア57は、示されるように閉じられてよく、またはスライド入力の準備ができていれば、
図3Hに示されるようにチャンバ55の反対面がXYステージ70のスライド保持具72によって密封された状態で、開かれてよい(
図5Dはチャンバ55の中のスライド保持具を示す)。
【0081】
図3Gを参照して、ロボットのアーム20aは、示されるように、ロードロックチャンバ55と一致する移転位置へと、上方(または下方)に移動され得る。
【0082】
図3Hは、ロードロック部材組立体50のドア57が開き、開いたチャネル55cが露出し、スライドSが移転高さにあってロードロックハンドオフの準備ができている状態を図示するものである。XYステージ70のスライド保持具72(たとえば
図19、
図20A、
図20B)は既にチャンバ55内の適切な位置にあり、真空チャンバ60の真空圧を維持するためにロードロックチャンバ組立体50に対して密封されている。ロボット20のアーム20aは、z軸方向の移転高さにおいて回転して、この運用上の構成の入力位置に対して位置決めされ得る。スライド保持具25のグリップ25gは、スライドSを、少なくともスライドの長手方向がグリップ25gの前方に延びて解放されているように保つことができる。この構成により、スライドSを、XYステージ70の整列したスライド保持具72に挿入するのが容易になり得る(
図4A、
図4B、
図5D)。スライド保持具25(すなわちグリッパ25g)は、スライドSをXYステージのスライド保持具72に放して、定位置に引っ込むことができる(
図5A、
図5B)。
【0083】
図4Aおよび
図4Bは、ロボットアーム20aとスライド保持具25のスライド移転の構成/位置を図示するものである。動作において、XYステージ70がスライド移転のための適切な位置にあって、スライド保持具72がロードロックチャンバ55のチャネル55cの中に延びた状態で、ロードロックチャンバに取り付けられた真空シール組立体カートリッジ200(
図5D)の真空シール200s(
図5D)がスライド保持具72の密封接触面72sと係合し、ロボット20および/またはハウジングの前部10fに面するチャンバ55cの端部においてドア57が閉じられて密封される。弁56のうち第1の弁が開いてロードロックチャンバ55に大気への通気口をつけることができ、次いでロードロックドア57が開かれ得、スライドハンドラアーム20aは、スライド保持具25をチャンバ55cの中へ延ばすことができ、スライドSをXYステージ70のスライド保持具72(
図11A)に放すことができる。
【0084】
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bおよび
図5Dを参照して、たとえばロードロックチャンバ55は比較的コンパクトな構成を有し得、長さLは、ドア57に隣接したスライドの挿入/抜取り用の端部から、真空チャンバ60の壁60wにおける(すなわち壁60wに面するフランジ55fの前面または内面における)端部55eまで及び、約75mm~約95mmであって、高さHは約40mm~60mmである。開いたチャネル55cは横方向に横長または細長であり得、すなわち高さが幅よりも小さい。
【0085】
図5Dに示されるように、シール組立体カートリッジ200は少なくとも1つのOリング210を有し得、シール組立体カートリッジ200の密封ハウジング215は、ロードロックチャンバ55の主ハウジング55hの凹部55rに存し得る。ロードロックハウジング50hのフランジ55fは、チャンバ55cおよび凹部55rのまわりに延在し、フランジ55fの開口55aを通って延在する固定部材166(
図4A、
図5A)によって真空チャンバ60の壁60wに取り付けられ得る。スライド密封接触面72sは、スライド保持具72がロードロックチャンバ55の中の適切な位置にあるとき、Oリング210と係合して、シールカートリッジ200s(
図17)の密封接触面200sとの真空密封を形成することができる。
図5Dは、ドア57’が、スライドして密封可能に閉じることができるように、レール、ちょうねじ等のねじ切部材を備えることができる取付け部材57r上に取り付けられ得ることも図示する。
【0086】
図5Aおよび
図5Bは、ロボット20、スライド保持具25およびロードロックチャンバ組立体50の別の運用上の構成を図示するものである。示されるように、スライドハンドラ25を有するアーム20aがロードロックチャンバ55から離れて引っ込められ、ドア57がロードロックチャンバ55に対して密封可能に閉じられている。弁56の第2の弁は開かれており、ロードロックチャンバ55は、一般的には真空チャンバ60の適切な圧力の範囲内の所望の圧力まで真空ポンプ(すなわち
図22Bのポンプ107
2)によってポンピング/真空引きされ得る。
【0087】
真空計G(
図2Aのモジュール100
7の中にあり得る)は、監視を自動化して、所望のロードロック圧力が達成されたとき、XYステージ70によってスライド保持具72を真空チャンバ60の中へ移動させるために使用され得る。一旦、ロードロックチャンバ55内の真空が適正値になると、ドア57をロードロックチャンバ55に対して密封可能に閉じたまま、XYステージ70が、スライド保持具72をロードロックチャンバ55から取り出して真空チャンバ60の中へ移動させることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、装填/密封位置におけるロードロックチャンバ55と真空チャンバ60の間の真空圧にステップがあり得る。たとえば、ロードロックチャンバ55が、ドア57を開いて大気に通じ、収集真空チャンバ60からは密封された状態で、試料スライドSが外部からロードロックチャンバ55に装填される。次いで、ロードロックチャンバ55は、ドア57を閉じ、ロードロックチャンバ組立体50上の弁56を開くことにより中間圧力レベル(一般的には気圧よりも低いが、収集チャンバ60内の圧力よりも高い)まで粗引き(真空引き)することによって、外部から密封される。次いで弁56が閉じられる。ロードロックチャンバ55は、外部と収集真空チャンバ60の両方から密封され、収集チャンバをより低い動作圧に保ったまま、ロードロックチャンバ55を中間圧力に置く。試料ステージ70が収集チャンバ60の中に引っ込められ、ロードロックチャンバ55と収集チャンバ60の間の密封が破られる。2つのチャンバ55と60はもはや流体連通状態にあり、そのため、収集チャンバ60には、以前に密封されたロードロックチャンバ55からの空気の流入によって瞬時の圧力スパイクが生じ得る。真空チャンバ60の中の圧力は、比較的短い時間の後に再び作動レベルに到達する。
【0089】
しかしながら、他の実施形態では、ロードロックチャンバ55は収集チャンバ60以下の圧力まで真空引きされ得る。
【0090】
図5A~
図5Dを再び参照して、ロードロックチャンバ組立体50は、フランジ55fによって真空チャンバ60の壁60wに取り付けられ得る。フランジ55fは、収集真空チャンバ60に面するロードロックチャンバ55の端部55eの周囲のまわりである距離だけ外側へ延在することができる。一般的には、フランジ55fは壁60wの外表面に取り付けられ、任意選択で壁60wに直接取り付けられる。壁60wは、ハウジング10hの前面壁10fに面し得る。
【0091】
ロードロックチャンバ組立体50のドア57は、ユーザ入力および/または手動力を必要とせずに動作する自動ドアであり得る。
図5A~
図5Cに示されるように、たとえば、ドア57およびロードロックチャンバ55は高さに対して横方向に細長いものであり得る。ドア57は、Oリングまたはガスケットなどのシール部材57sを伴う内表面を有することができる。ロードロックチャンバ組立体50が含み得るステッピングモータ58のシャフト58sが、第2の歯車59と係合する第1の歯車58gを回転させてドア57を自動的に開閉する。
【0092】
図5Cに示されるように、制御回路110は、ステッピングモータ58に隣接して取り付けられ得るプリント回路基板112上に少なくとも部分的に存在し得、少なくとも1つの弁56を開閉してドア57を開閉するための自動電子制御をもたらすことができる。ステッピングモータ58はNEMA 11のフレームサイズのコンパクトなステッピングモータであり得(本体長さ2.01インチで、0.12Nmの保持トルクおよび10~22回転/秒の速度を有する)、任意選択で1.8度のステップ角を有する。ステッピングモータ58は、任意選択で、カリフォルニア州モーガンヒルのLin Engineering LLCから入手可能なモデル211-20-02といったコンパクトなステッピングモータであり得る。
【0093】
歯車58gから歯車59へは10:1の減速を有し得る。ドア57は、密封するための十分な力でロードロックチャンバ55のハウジング55hと容易にはめ合うように、コンプライアント平面刃ばねまたは他のコンプライアント部材(図示せず)に対して結合され得る。示されるように、第1の弁56は、真空ポンプ(
図2Cの107)と流体連通する真空弁56vである。第2の弁56は、フィルタ(図示せず)に接続することができる大気への通気弁56aである。いくつかの実施形態では、弁本体56bは、そっくりチャンバハウジング55hの外部に存し得る。弁本体56bは円筒状でよい。
【0094】
図5Cに示されるように、第2の歯車59は、第1の歯車58gの上方にあって、一般的には45~180度の角度範囲βを伴う半円形の周囲を有することができる。いくつかの実施形態では、第2の歯車59は3つの側面のみを有し、そのうちの2つは垂直であり、3つの側面のうちの1つの外周には60~120度の角度範囲、より一般的には約90度の角度を有する歯車の歯59tがあって、第1の位置と第2の位置の間で回転してドアを開閉することができる。示されるように、十分に密封するための適切な力でドア57を開閉するために、角度範囲βは第1の位置と第2の位置の間で約90度である。ドア57が有し得るアーム157は、1つまたは複数の固定部材157fによって第2の歯車59に付けられる。
【0095】
図3A~
図3H、
図4Aおよび
図5Aに示された例示のシーケンスは、分析後にスライドSをハウジング10hの内部の収納ラック10r(
図21)または出口ポート15(たとえば
図1Aおよび
図1B)へ取り出すなど、必要に応じて変更され得ることが注意される。
【0096】
図6Aに図示された例示のロボット20のロボットアーム20aは、Z駆動装置120、θ駆動装置130、R駆動装置140、スライドグリッパ25g、および取付け台20bを含む。示されるように、スライドグリッパ25gにはアーム20aと一緒に動くPCB 225が結合され得、これは、スライドグリッパ25gによるアクションを管理するために使用され得るグリップセンサ25sを有する(
図14A、
図14B~
図16A、
図16Bも参照されたい)。
【0097】
図6BはZ駆動装置120を図示するものである。示されるように、Z駆動装置120は、駆動される統合親ねじ駆動装置125を有するステッピングモータ124と、高モーメント剛性ベアリングレールおよび往復台126と、高屈曲性のリボンケーブル122と、Z軸ベアリング取付け台を有する統合ロボット取付け台20bと、光エンコーダなどの電子部品を備えて統合ロボット取付け台20bの頂部にある相互接続PCB 127とを含むことができる。
【0098】
図6C~
図6Eが図示する例示的θ駆動装置130は、ステッピングモータ132と、遊星歯車ボックス133(任意選択で5:1の歯車減速構成)、6mmのGT2ベルトであり得るベルト駆動装置134、位置(すなわちθ駆動装置の定位置)入力用の光エンコーダおよび/またはセンサ135、統合ベルトテンショナ136、および支柱139p上に保持された相互接続PCB 139を有する。相互接続PCB 139が含み得る電子部品139cは、Z e-チェーン入力、Tモータ、エンコーダおよびセンサ入力、R出力およびグリッパ出力をもたらす。
【0099】
図6Fは、アーム20aの協働する上アームリンク20a
1と下アームリンク20a
2を図示するものである。R駆動装置140は、ステッピングモータ141と、(θ駆動装置130と同一の、任意選択で5:1の歯車減速を有する)遊星歯車ボックス142と、位置入力用の(すなわちRの定位置および/または閉ループ位置の制御用の)光エンコーダ143と、ベルト駆動装置144(任意選択で統合ベルトテンショナも有し得る)と、支柱147p上の相互接続PCB 147とを含むことができる。相互接続PCB 147は、Z e-チェーン入力をもたらすことができる電子部品147c、Rモータ、エンコーダおよびセンサおよび/またはそれぞれの入力を含むことができる。上アーム20a
1は遊星歯車のように作動することができ、θ駆動装置130に取り付けられたプーリーのまわりを回転する。モータ141は、θ駆動装置130がθモータ132によって静止状態に保たれているとき、アームを延ばすかまたは引っ込ませるように回転することができる。
【0100】
図6Gは、アーム組立体20aとともに組み立てられた、アーム組立体のR駆動装置組立体140およびθ駆動装置組立体130を有するロボット20を示す。
【0101】
図6Hは、アーム20aおよびθ駆動装置130およびR駆動装置140を有する、ロボット20の部分組立品を図示するものである。それぞれのモータ132および変速機133、ならびにモータ141および変速機142は、22歯のタイミングプーリーなど、それぞれのタイミングプーリー138、148に結合され得る。ハブは、各変速機組立体の端部に取り付けられ得る。
【0102】
図7A~
図7Dは、それぞれのスライドSの例示的取出しシーケンスと、スライド入出力(I/O)インターフェースモジュール118のスライド保持チャネル82を有する少なくとも1つの回転ラック81を使用する事後分析と、測定器10fの前部の取外し可能なベゼルプレート16によって保持されたポート15とを図示するものである。回転ラック81は、分析後のスライドSを測定器から出すことができるようにするため(
図7C、
図7D)、スライド保持チャネル82の開放端が内側へ向く
図7A、
図7Bに示された取入れ位置から、約180度回転し得る。ロボット20は、回転ラック81のアクションとは無関係にロボットアーム20aを移動させることができる。
【0103】
図8A、
図8Bおよび
図9Aは例示のスライド入出力(I/O)モジュール118を図示するものである。
図8Aが図示するモジュール118は、少なくとも1つの回転ラック81、スライド存在センサ128、カメラ219であり得るスキャナ119、および相互接続PCB 218を含むことができる。カメラ219は、少なくとも1つの回転ラック81より上に保持され得、回転ラック81のスライド保持チャネル82の内側の端部を含むことができる下方へ広がる視覚路Pを有し得る。
図9Aは、カメラ219の下でスライドSの開放端を内側へ向けて配向した状態で、カメラ219が、それぞれのスライドSの長さ寸法および幅寸法の主要部を撮像し得ることを図示するものである。カメラ219の視野は、スライドに固有のデータ(すなわちバーコードまたはQRコード)とスライド収集グループのデータの両方を撮像するのに十分なものであり得る。
【0104】
図9Bおよび
図9Cは、駆動シャフト84sおよび駆動歯車84gを有する回転ラック81の拡大図である。以下で論じられるように、シャフト84sはハードストップピン117を有することができる。チャネル82は、回転ラック81の直径の主要部を超える長さLを有することができる。チャネル82が有し得る開放端82eは、内向きに延在するアーチ形の形状を有し得、それぞれのスライドSを摺動自在に受け取る。チャネル82は、駆動シャフト84sにわたって延在し、1つの縁部から直径方向に対向した側部分まで、回転ラックの中心を横切って延在する単一チャネルであり得る。
【0105】
図10A、
図10B、
図11A、および
図11Bを参照して、I/Oモジュール118は、駆動ベルト84に取り付けられた少なくとも1つの駆動モータ83を含むことができる。駆動ベルト84に接続された歯車84gが、回転ラック81に取り付けられた駆動シャフト84sに取り付けられている。スライド存在センサ128は、回転ラック81の内側の端部の下または上に存し得る(
図10Aでは下に示されている)。モジュール118はホームセンサHを含むことができる。
【0106】
図10Aおよび
図11Bに示されるように、回転ラック駆動シャフト84sに含まれ得る横方向外向きに延在するピン117が、回転ラック駆動プレート184に含まれ得る上方へ延在するピン113と協働して、回転ラック81の回転運動を、180~190度の範囲に、一般的には約188度に、物理的に制限する。
【0107】
図10Bおよび
図11Aを参照して、モジュール118および/またはこれの構成要素は、保守や修理を容易にするために、ハウジング10h(
図1B)に対して解放可能に取り付けられ得る。
図1Bおよび
図1C(
図1Cには前部ハウジングがない)に示されるような操作位置では、モジュール118は、ベゼルフェースプレート16がハウジング10hの外にある状況でハウジング10hの前の隅に存し得る。示されるように、モジュール118は、適切な位置がハウジング10hの前部10fの内側にあるベゼルフェースプレート16に取り付けられた上ブラケットθを含むことができる。
【0108】
図10Bおよび
図11Dを参照して、ベゼルフェースプレート16は、垂直方向から5~45度、より一般的には10~30度の角度θで内向きに延在し得る上ブラケット部材またはセグメント116に結合されたブラケット16iによって保持され得る。上ブラケットまたはセグメント116は、カメラ219の下端を、回転ラック81のスライドチャネル82から3~6インチの距離「d」に設置するのに十分な高さを有し得る。この角度および/または距離は、たとえば、取入れにおけるスライドからデータを取り込むことができるように、スキャナ119および/またはカメラ219を所望位置に位置決めするのを支援することができる。モジュール118は、回転ラック81を、洗浄のためにベゼルフェースプレート16の下のハウジングの前部開口を通じて取り出すことができるように構成され得る。ベゼルフェースプレート16は、ハウジング10hの前部10fに対して分離可能に取り付けられ得る。
【0109】
図8A、
図8B、
図10Bおよび
図11Aに示されるように、ベゼルプレート16は、隣接した(内側の)長方形のブラケットとして示されているブラケット16iに結合された1つまたは複数のスライドポート15を有する外部の長方形のベゼルフェースプレート16eであり得る。ブラケット16iが有し得る内向きに延在する上および下の曲線のブラケットセグメント16bは、それぞれ外部ベゼルプレート16の上と下に存する。ブラケットセグメント16bはベゼルプレート16をモジュール118に取り付けることができる。モジュール118bの基部は、密閉箱(たとえば
図1Cおよび
図7D)の床面10b上に直接的または間接的に存し得る。
【0110】
図11Cは、測定器10のハウジング10hを、ベゼルフェースプレート16を取り外した状態で図示するものである。一旦ベゼルフェースプレート16が取り外されると、開いた操作窓10wを通じて、回転ラック81用の取付け部材(すなわちねじ)を取り外すことができる。回転ラック81をシャフト/スピンドル84sからつり上げることができ、回転ラック81は、洗浄、改修、修理または交換のために、旋回してハウジング10fの前部から取り出され得る。
【0111】
図11Dはベゼルフェースプレート16のないモジュール118を図示するものである。内部ブラケット16iは、長方形の空間/領域であり得る開いた中間の窓10wを有することができる。ベゼルフェースプレート16は、4~8インチの幅および5~10インチの高さを有し得、一般的には幅よりも高さが大きく、開いた窓10wは両方の寸法において少し小さくなり得る。ベゼルブラケット16iはハウジングの前面壁と同一平面上に存し得、一般的には測定器の内側に隣接し、ハウジング10hおよび窓10wは内部ブラケット16iとベゼルフェースプレート16の間にある。
【0112】
次に
図12、
図13Aおよび
図13Bを参照して、スライドグリッパ25gを有する例示的スライド保持具25が示されている。グリッパ25gに含まれ得る平行な第1のスライドグリッパアーム226と第2のスライドグリッパアーム227は、それぞれのスライドSを確実につかんだり放したりすることができる上あご228uと下あご228lを有するグリッパ口228(
図14B)に結合されている。グリッパアーム226、227に結合された1つまたは複数のセンサ25sは、一般的にはグリッパ25gのつかんだり放したりするアクションを制御するためにPCB 225に結合されている。グリッパアーム226、227は、グリッパアーム226、227がグリッパのあご228u、228lを開閉するように枢動することを可能にする、横方向に延在するシャフト229によって保持され得る。一方のアーム226が下あご228lに取り付けられており、他方のアーム227が上あご228uに取り付けられている。
【0113】
図13C~
図13Hは、グリッパアーム226、227と、上あご228uおよび下あご228lを伴うグリッパ口228とを有するスライド保持具25の別の実施形態を図示するものである。スライド保持具25は、整列部材1228と協働して原点位置を定義することができ、それによってロボット20(グリッパ25gとして示されている)上に配置された既知の特徴が、他のところに配置された既知の特徴に整列され得る。示されるように、上あご228uは、周囲縁部に面する外側の前部におけるノッチ228nを、グリッパ25の整列特徴として含むことができる。下あご228lは、それぞれのスライドを確実につかむための隆起228rを備え得る。整列部材1228は、ノッチ228nの中に摺動自在に受け取られ得るピン1228pを備えることができる。整列部材1228は、ハウジング10hの中の静止位置に存し得る(
図1A)。ロボット20と通信するモジュール(
図2の100
4)のプロセッサのコンピュータコードによって定義された整列プロトコルは、(グリッパ25gが取り付けられている)ロボット20(
図1C)を所望の整列が達成されるまで動くように管理することができる。次いで、他のロボット位置はこの「原点」位置から判定されてよい。これは、ロボット/グリッパ上に配置された既知の特徴を他のところに配置された既知の特徴に整列させるための例示の実施形態である。この整列方法は、「他のところに配置された特徴」と「他の所望の特徴」の間の既知の空間的関係に基づいて他の所望の特徴または位置にロボットを整列させる他の位置を計算するための開始ポイントとして、この整列位置を使用することができる。
【0114】
より一般的には、この整列システムは、一方がロボットの運動の範囲内の静止位置を有し、他方がロボット20上のどこかに存する、1対の対応する基準の整列特徴を備える整列方式、ならびにこれら2つの特徴が整列する位置とシステム10の内部のロボットおよび/またはグリッパ25gの複数の他の重要な位置との間の定義された関係の多次元のセットと説明され得る。
【0115】
整列部材1228は、ロボットの整列を支援するために、試料分析システム10のハウジング10hの内部の任意の適切な位置に保持され得る。いくつかの実施形態では、整列部材1228はスライド貯蔵キュー11(
図19)に結合され得る。この整列システムは、それぞれの運用上のロボット位置を個々に「教示する」、回りくどい、大抵の場合主観的なプロセスの、より高速の代替形態を促進し得るものである。グリッパノッチ228nが(X軸、Y軸、Z軸のすべてにおいて)整列部材1228(
図13H)と整列する位置は、デバイス10の運用上の(すなわちサービス)制御回路に原点として記憶され得、かつ/または入力され得る。次いで、様々なスライド目的地(入出力回転ラックディスク、保管場所およびロードロックチャンバ)に対する整列部材1228の位置が静的かつ既知であるため、他のすべてのロボット位置は、公称オフセット値の定義されたセットまたは表を使用して、上記の原点位置から導出され得る。
【0116】
図13Eは、静的に取り付けられた整列部材1228よりも下にあるグリッパ25gを示す。
図13Fは、上あご部材228uのノッチ228nにおける整列部材1228とともに上方へ移動したグリッパを示す。
図13Cは、整列部材1228の前端部と原点位置におけるノッチ228の間に存する間隔228gを任意選択で定義することができる整列位置の上面図を示すものである。他の実施形態では、整列部材1228の前端部は、原点位置(図示せず)におけるノッチ228nの、横方向へ延在する周囲横断壁のセグメントに接することができる。
図13Gには、ノッチ228nの中の、整列部材1228の下で下あご228lの上に、望ましくない間隔「G」があることが示されており、いまだに原点位置が達成されていないことを指示している。
図13Hは、ノッチ228nの中で整列部材1228が下あご228lの上面に接していることを示し、ハウジング10hの中のX座標、Y座標およびZ座標における位置を定義するための適切な原点位置を指示している。ノッチ228nは、整列部材1228を摺動自在にぴったりと受け取るように構成され得、ノッチ228nの幅は、整列部材1228の幅に+0.005インチ以下などの公称寸法を加えたものに対応する。
【0117】
図14Aには、PCB 225がシグナルプロセッサを有する制御回路225cを含み得、シグナルプロセッサが、3つのセンサ25sから入力S1、S2、S3として示された入力を受け取って、グリッパ25gのつかんだり放したりするアクションを制御することが図示されている。
【0118】
センサ25sは、ホームセンサ25s1(センサ1)、スライド存在センサ25s2(センサ2)、およびスライド把持センサ25s3(センサ3)を含むことができる。各センサ25sは電気光学近接センサであり得る。しかしながら、他のセンサタイプが使用されてもよい。グリッパ25gは、電源喪失のときでさえ十分な把持状態を保持するように構成され得る。スライドSに対して閉じたときのグリッパのあご228u、228lの把持力は0.25~10ポンドであり得、荷重ばね等に基づく調節または選択が可能である。相互接続PCB 225はZ e-チェーン入力、グリップモータ25mおよびセンサ25s1、25s2、25s3を含むことができる。スライド把持センサ25s3(センサ3)は、下あご228lに取り付けられたアーム226に結合され得る。ホームセンサ25s1(センサ1)およびスライド存在センサ25s2(センサ2)は、他のアーム227および上あご228uに結合され得る。
【0119】
図14Aおよび
図14Bに図示されたセンサグリッパ25gの第1の構成では、グリッパのあご228u、228lが開き、ホームセンサ1(25s
1)が閉じ、グリップセンサ2(25s
2)が開き、スライド存在センサ3(25s
3)が開いている。モータ動力は、センサ1(25s
1)が閉じてセンサ2(25s
2)の開状態が検査されるまで、グリップのバネ力に打勝つように使用され得る。アーム226は、小さいバネ力で、上向きのわずかな角度に保持され得る。センサ3は、スライドがないと常に開であり得る(センサ25s
3が、隣接するアーム226の端部によって活性化されることはない)。
【0120】
図15Aおよび
図15Bに図示されたセンサグリッパ25gの第2の構成では、グリッパのあご228u、228lがスライドSに対して閉じ、ホームセンサ1(25s
1)が開き、グリップセンサ2(25s
2)が閉じ、スライド存在センサ3(25s
3)が閉じている。グリッパモータ25mは、センサ2(25s
2)が閉じることをトリガされるまで、グリッパアーム227を閉じるように使用され得る(センサの隣のこのアームの隣接した端部が、
図14Aの位置に対して上昇する)。次いで、ホームセンサ(センサ1、25s
1)の開状態が検査され(アームの、あご228から遠方の端部が、
図14Aの位置に対して上昇する)、次いでモータ25mは電流を低減され得、任意選択でバネ力に頼ってスライドSを保持することができる。アーム226は水平方向の配向に押し込まれ得、グリップセンサ2(25s
2)を閉じることをトリガする。
【0121】
図16Aおよび
図16Bに図示されたセンサグリッパ25gの第3の構成では、グリッパのあご228u、228lが閉じるがスライドSがない状態で、ホームセンサ1(25s
1)が開き、グリップセンサ2(25s
2)が閉じ、スライド存在センサ3(25s
3)が開いている。間にスライドSがない状態であご228uと228lが閉じるとき、アーム226は変位せず、センサ3はトリガされることなく開状態を保つ。
【0122】
図13B、
図14A、
図15Aおよび
図16Aに示されるように、(下)アーム226はまた、シャフト229と同心のブッシング230を用いて、第2の(上)アーム227に対して枢動可能に取り付けられ得る。スライドSが存在するとき、あご228lはアーム226をシャフト230に対して水平位置まで枢動させることができ、アームの、グリップセンサ25s
3に隣接した内側端を上げて、グリップセンサ3を閉じることをトリガする(
図15A)。
【0123】
次に
図18A~
図18Cを参照して、例示的XYステージとこれの構成要素が示されている。
図18Aが図示するXYステージ70の装填/ロック/密封の構成では、スライド保持具72は、X方向に延び、走査中心位置75に関連した開口75aに対して横へY方向に移動されている。
図18Bが図示するスライド保持具72は、X方向に引っ込み、
図18Aに示された位置に対して、走査中心75の開口75aの近くへ横方向に移動している。(真空/ロードロックチャンバ)の気密面72s(区別なく密封接触面とも記述される)は、スライド保持具72の全体の周囲のまわりに横方向へ延在することができ、横方向次元において間隔を置いて放射状に延在する対向したアーチ形の端部を有し得る。この全体の半径気密面72sは、長方形の密封する周囲のとがった角の膨らみを解消することによって密封するために必要な圧力低下をもたらすことができる。気密面72sは、それぞれのスライドSの端部を保持するスライド保持具72の凹部領域72rから約0.1インチ~約1インチの距離だけ間隔を置いて長手方向に存し得る。
【0124】
図18Cは、XYステージ70の例示的Xステージ構成要素70Xを図示するものである。示されるように、これらは、Xステージ(x軸)ステッピングモータの親ねじ駆動装置170、モータ取付け台171、X/Yセンサおよび相互接続PCB 173、Xステージ往復台174、ベースプレート175、およびXステージベアリングおよびブロック176を含む。
【0125】
図18Dは、XYステージ70の例示的Yステージ構成要素70Yを図示するものである。示されるように、これらは、yステージ(y軸)モータ、接地フレックスケーブル177、yステッピングモータ親ねじ駆動装置178、yステージ往復台179、yステージベアリングおよびブロック180、Xステージ往復台部材(Yモータ取付け台が組み込まれている)181、Yホームフラグ182、Xホームフラグ183、ならびにセンサおよび相互接続PCB 173を含む。
【0126】
図19が図示する質量分析システム10は、ハウジング10h内の(任意選択でドア57に隣接した)開いた内部空間160に、分析前および/または分析後のスライドSを保持するための内部収納ラック10rを含み得る。収納ラック10rは、それぞれのスライドSを保持するための隔室11の縦の列を与えることができる。しかしながら、収納ラック10rは任意の適切な構成で設けられ得、隔室の縦の列を有する必要はなく、複数のラックとして設けられてよい。
【0127】
図20Aおよび
図20Bは例示的真空システム構成(ロードロックチャンバ55に対する管工事は示されていない)を図示するものである。示されるように、収集真空チャンバ60と直接流体連通するターボ分子真空ポンプ107
1の下で、ロードロックチャンバ55と直接流体連通する粗引きポンプ107
2が設けられ得る。ターボポンプ107
1は、密閉箱10hの後部に隣接して(前部10hよりも後部10rの近くに)存し得、エルボ60eを介して真空チャンバ60に接続され得る。ターボポンプ107
1は粗引きポンプ107
2より上にあり得、粗引きポンプの頂面107tにわたってきれいな気流の経路を得るために、頂面107tの上に開放空気流の空間ができるように設置され得る。ターボポンプ107
1は、高圧収集チャンバの真空計G/1151(
図20B)に隣接して存し得る。密閉箱10hは、粗引きポンプ107
2からハウジングの前部10fに通じるオイルドレーンライン191を含むことができる。システム10は、粗引き真空ポンプ1072とターボ真空ポンプ1071の間にフォアライントラップ114を含むことができ、オイルミストフィルタ192も含むことができる。フォアラインゲージ115
2(
図20A)はフォアラインコンジット114cと流体連通し得る。
【0128】
図21は、外部環境に対して正圧の内部(減圧下の真空チャンバ60およびロードロックチャンバ55を除く)をもたらすように構成された測定器10の後側面斜視図であり、強制ファンすなわちアクティブファンで駆動される空気流れ経路F
A(実線の暗い矢印)および受動的な空気流れ経路P
A(明るい破線の矢印)を含み得る、例示の吸気および排気の流れ経路を有する。ハウジング10hの後部10rが含み得る複数の間隔を置いた吸気口197の下にはフィルタ196を伴うファン195があり、フィルタ196は、ファン195に基づいて空気を取り入れる(ハウジング10hの中を指す矢印F
Aによって指示されている)。ハウジングの頂部10tは、矢印が指示するように空気を出力する通気口197を含むことができる。頂部10tには、受動的な空気流通気口と、空気を強制的に送り出す内部ファン195と流体連通しているアクティブ空気流通気口すなわちファン駆動の空気流通気口197との両方が含まれ得る。出て行く流れのファンはフィルタを含んでも含まなくてもよい。通気口197とファン195は、協働してハウジング10hの内部に正圧をもたらす。
【0129】
したがって、たとえば後ろの4つの円形の通気口パターン197の各々の背後には空気を引き込むそれぞれのファン195(フィルタ196を伴う)があり得、また、頂部10tにおけるより小さい正方形の通気口パターン197の背後には2つまたは3つのファン195があり得、空気を引き上げ/押し出す。後部10rにおける吸気ファンは、密閉箱10hの頂部10tの排気ファンよりも、高いファン速度および/または大きなサイズを有し得る。頂部10tの通気口197のうち、(ハウジングの後部から見て)右側の通気口197として示された1つは、レーザ108に結合されたレーザ放熱板108hの冷却通路Lcの出口であり得、レーザ放熱板の冷却通路Lcの入口Liは測定器の前部10fにある。頂部10tにおけるより大きな通気口の(長方形の)パターンは、任意選択で、ファン駆動の出口通気口197に対して特大であり得る。
【0130】
図22は、質量分析計において分析する試料を扱うための例示的アクションの流れ図である。示されるように、質量分析計を有するハウジングと、対向する第1の端部と第2の端部を有するロードロックチャンバと、収集真空チャンバとが設けられている。ロードロックチャンバの第1の端部は、収集真空チャンバの中に、または隣接して存在し、第2の端部は、第1の端部から間隔を置いて存在し、密封取付け可能なドアを有する(ブロック300)。ハウジングの内部において収集真空チャンバ外部に正圧が供給される/生成される(ブロック302)。ハウジングの前部のポートを通じて、回転ラックのスライド受入れチャネルに分析用のスライドが受け取られる(ブロック304)。回転ラックが回転する(ブロック306)。スライドの端部が、ロボットのアームによって保持されたスライドグリッパでつかまれる(ブロック308)。スライドは、ハウジングの中で、回転ラックからロードロックチャンバまたは収納ラックの方へ3次元に移動可能である(ブロック309)。
【0131】
ドアがロードロックチャンバに対して密封可能に閉じている間に、XYステージのスライド保持具が、真空チャンバからロードロックチャンバの第1の端部に挿入される(ブロック310)。スライド保持具がロードロックチャンバの第1の端部の密封接触面と係合したとき、ロードロックチャンバが真空チャンバから自動的に密封される(ブロック320)。次いで、ロードロックチャンバは大気に通気口をつけられる(ブロック330)。ドアが開かれる(ブロック340)。ロードロックチャンバの第2の端部から、スライドが、ロードロックチャンバ内のスライド保持具と係合するように挿入される(ブロック350)。ドアが閉じられてロードロックチャンバを密封する(ブロック360)。ロードロックチャンバが真空圧まで真空引きされる(ブロック370)。ドアが閉じられてロードロックチャンバが減圧下の状態で、スライド保持具がスライドとともに真空チャンバの中に引っ込められる(ブロック380)。次いで、質量分析計によって真空チャンバの中で試料が分析される(ブロック381)。
【0132】
ロードロックチャンバはコンパクトであり、高さが横幅未満であり、約1cc~約200cc(空)、より一般的には、約1cc~約100cc、たとえば約10cc、約15cc、約20cc、約25cc、約30cc、約35cc、約40cc、約45cc、約50cc、約55cc、約60cc、約65cc、約70cc、約75cc、約80cc、約85cc、約90cc、約95ccおよび約100ccであり得る小さい体積容量を有し得、貫通チャネルは(横方向次元において)横長の周囲形状を有し得る(ブロック301)。
【0133】
スライド保持具が有し得る角のある横長の気密面が、スライド保持具の内側の(真空チャンバに面する)端部の周囲のまわりに延在する(ブロック312)。
【0134】
図23Aおよび
図23Bは、本発明の実施形態による測定器および試料ハンドラによって実行され得る例示のアクションを図示するものである。
【0135】
開始(ブロック400)
【0136】
スライドを受け入れる(ブロック405)
【0137】
スライドを識別する(ブロック410)
【0138】
スライドをキューに加える(ブロック415)
【0139】
分析のためにスライドを移動させる(ブロック420)
【0140】
スペクトルを得る(ブロック425)
【0141】
スライドを収納場所へ戻す(ブロック430)
【0142】
スライドを取り出す(ブロック435)
【0143】
終了(ブロック440)
【0144】
ユーザは、入力スロットにスライドを装填することを試みる(ブロック500)
【0145】
入力キューは満杯か?(ブロック502)
【0146】
内部通信に障害があるか?(ブロック504)
【0147】
測定器が警報状態であるか?(ブロック506)
【0148】
装填が拒否される(ブロック507)
【0149】
スライド取扱いロボティクスがスライドと係合する(ブロック508)
【0150】
スライド取扱いロボティクスがスライドをバーコードリーダに持って来る(ブロック510)
【0151】
バーコードを読み取る(ブロック512)
【0152】
認識のためにID符号をアプリケーションサーバへ送る(ブロック514)
【0153】
IDは既知である(ブロック516)
【0154】
IDは複製である(ブロック518)
【0155】
スライド説明が必要か?(ブロック520)
【0156】
スライドは入力スロットへ戻される(ブロック521)
【0157】
後の処理のために説明を記憶する(ブロック523)
【0158】
スライド取扱いロボティクスがスライドをバーコードリーダから取り外す(ブロック525)
【0159】
スライド取扱いロボティクスが次の利用可能な保管位置へ移動する(ブロック530)
【0160】
グリッパがスライドを放す(ブロック535)
【0161】
スライド取扱いロボティクスが待機位置へ引っ込む(ブロック540)
【0162】
分析チャンバは真空になっているか?(ブロック600)
【0163】
移動が拒否される(ブロック602)
【0164】
分析チャンバは空である(ブロック604)
【0165】
XYステージがスライド保持具をロードロックへ移動する(ブロック606)
【0166】
ロードロックは大気へ通気口をつけられる(ブロック608)
【0167】
ロードロックのドアが開く(ブロック610)
【0168】
スライド取扱いロボティクスは要求された試料スライドへ移動する(ブロック612)
【0169】
グリッパが試料スライドを握る(ブロック614)
【0170】
スライド取扱いロボティクスが保管位置からスライドを移動する(ブロック616)
【0171】
スライド取扱いロボティクスがロードロックの中のXYステージのスライド保持具へスライドを移動する(ブロック618)
【0172】
グリッパが試料スライドを放す(ブロック620)
【0173】
スライド取扱いロボティクスが待機位置へ引っ込む(ブロック622)
【0174】
ロードロックのドアが閉じる(ブロック624)
【0175】
ロードロックが粗引きポンプに接続される(ブロック626)
【0176】
粗引きポンプの基底圧に到達したか?(ブロック628)
【0177】
粗引きポンプからロードロックを切り離す(ブロック630)
【0178】
XYステージがスライドを分析チャンバへ移動する(ブロック632)
【0179】
XYステージがスライドをロードロックに移動する(ブロック700)(ブロック702)
【0180】
ロードロックは大気へ通気口をつけられる(ブロック704)
【0181】
ロードロックのドアが開かれる(ブロック706)
【0182】
スライド取扱いロボティクスがロードロックの中のXYステージのスライド保持具へ移動する(ブロック708)
【0183】
スライド取扱いロボティクスのグリッパがスライドを握る(ブロック710)
【0184】
スライド取扱いロボティクスがスライドをロードロックから取り出す(ブロック712)
【0185】
ロードロックのドアを閉じる(ブロック714)
【0186】
スライド取扱いロボティクスがスライドを次の保管位置へ移動する(ブロック716)
【0187】
スライド取扱いロボティクスのグリッパがスライドを放す(ブロック718)
【0188】
スライド取扱いロボティクスが待機位置へ引っ込む(ブロック720)
【0189】
開始(ブロック800)
【0190】
スライドが放出用に選択される(ブロック802)
【0191】
スライド取扱いロボティクスがスライド保管位置へ移動する(ブロック804)
【0192】
スライド取扱いロボティクスのグリッパがスライドを握る(ブロック806)
【0193】
スライド取扱いロボティクスがスライドを出口スロットへ移動する(ブロック808)
【0194】
スライド取扱いロボティクスのグリッパがスライドを放す(ブロック810)
【0195】
終了(ブロック812)
【0196】
質量分析システム10はMALDI-TOF MSシステムであり得る。MALDI-TOFMSシステムは周知である。たとえば米国特許第5,625,184号、米国特許第5,627,369号、米国特許第5,760,393号、米国特許第6,002,127号、米国特許第6,057,543号、米国特許第6,281,493号、米国特許第6,541,765号、米国特許第5,969,348号および米国特許第9,536,726号を参照されたい。これらの内容は、あたかも全体が本明細書において詳述されたかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。最新のMALDI-TOF MSシステムは、大多数が、イオンの初期のエネルギー分布の悪いスペクトルの品質を緩和するために遅延引き出し法(たとえばタイムラグ集束法)を採用する。
【0197】
いくつかの実施形態では、分析用の(マトリクススライド上の)試料は、質量分析システム(任意選択で、真空チャンバの中にTOF飛行管を有し、レーザを備える、MALDI-TOF MSシステム)に導入される。それぞれの単一試料の分析中に、質量スペクトルを取得するために、レーザパルスが連続的に印加され得る。取得されたスペクトルに基づき、試料の中の物質(たとえば構成物質、生体分子、微生物、タンパク質)が識別される。TOF飛行管の長さは任意選択で約0.4m~約1.0mであり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、より長い飛行管またはより短い飛行管が使用され得る。
【0198】
MSシステム10は、任意選択で、TOF飛行管の長さが約0.8mのテーブルトップユニットであり得る。
【0199】
試料は患者からの生体試料を含むことができ、患者の医療評価のために、試料の中にバクテリアなどの定義されたタンパク質または微生物が存在するかどうかを識別するために識別ステップが実行され得る。
【0200】
この分析により、それぞれの試料の中に、バクテリアおよび/または真菌の約150(以上)の異なって定義された種のうちいずれかが存在するかどうかが、取得されたスペクトルに基づいて識別され得る。対象の質量範囲は約2,000~20,000ダルトンであり得る。
【0201】
質量分析システム10が含み得る患者記録のデータベースおよび/またはサーバは、クライアント-サーバ動作によるHIPPAルールおよび別々のユーザに関するアクセスを定義した特権に従うプライバシーアクセス制限を伴う電子カルテ(EMR)を含むことができる。
【0202】
前述のことは本発明の例証であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。この発明のいくつかの例示的実施形態が説明されてきたが、当業者なら、この発明の斬新な教示および利点から実質的に逸脱することなく例示的実施形態における多くの修正形態が可能であることを容易に認識するはずである。それゆえに、すべてのそのような修正形態がこの発明の範囲内に含まれることが意図されている。したがって、前述のことは本発明の例証であり、開示された特定の実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、開示された実施形態に対する修正形態ならびに他の実施形態が本発明の範囲内に含まれるように意図されていることを理解されたい。