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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】美容マッサージ器
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61H7/00 310B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020571258
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2020004557
(87)【国際公開番号】W WO2020162539
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2019022004
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019022005
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】実公昭44-015857(JP,Y1)
【文献】実公第004650(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】中国実用新案第201157516(CN,Y)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0123348(KR,A)
【文献】特開2003-339804(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203392(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンポンプの開口部の内側に、先端を吸引口とした筒状のマッサージ部材の基端側の嵌合部を連結した美容マッサージ器において、
前記嵌合部の外周面にはシール面を形成するとともに、前記嵌合部の端縁には係止部を形成し、前記バルーンポンプの開口部には前記シール面に圧接される圧接部と前記係止部に係合する被係合部とを形成し、
前記マッサージ部材の内部に設けられ、先端に前記吸引口を有する通気路にオリフィスを形成し、
前記通気路における前記オリフィスの基端側の面には、前記オリフィスに向かって曲面状に集束する面を形成した、美容マッサージ器。
【請求項2】
請求項1に記載の美容マッサージ器において、
前記吸引口を楕円形に形成するとともに、前記オリフィスをスリットによって構成し、そのオリフィスを前記吸引口の長軸方向に沿って延びるように配置した、美容マッサージ器。
【請求項3】
請求項1又はに記載の美容マッサージ器において、
前記マッサージ部材の前記吸引口側の面の中央部に窪み部を形成した、美容マッサージ器。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれか一項に記載の美容マッサージ器において、
前記マッサージ部材の前記吸引口側の面の一端部に凸部を形成した、美容マッサージ器。
【請求項5】
ポンプと、そのポンプの開口部に連結され、身体表面部を吸引するための吸引口を有する施術部とを備え、その施術部は、側方からの投影面積が最大となる面を側面に有する形状とし、前記吸引口において身体表面部を吸引しながら移動させることにより身体表面部をマッサージすることができる美容マッサージ器であって、
前記ポンプを弾性材により中空状に形成されたバルーンポンプによって構成し、
前記施術部の内部に設けられ、先端に前記吸引口を有する通気路にオリフィスを形成し、
前記通気路における前記オリフィスの基端側の面には、前記オリフィスに向かって曲面状に集束する面を形成した、美容マッサージ器。
【請求項6】
請求項に記載の美容マッサージ器において、
前記吸引口を長軸が前記側面に沿って延びる楕円形状にした、美容マッサージ器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の美容マッサージ器において、
前記ポンプがマッサージ操作のハンドル機能を兼用する、美容マッサージ器。
【請求項8】
請求項に記載の美容マッサージ器において、
前記吸引口を楕円形に形成するとともに、前記オリフィスをスリットによって構成し、そのオリフィスを前記吸引口の長軸方向に沿って延びるように配置した、美容マッサージ器。
【請求項9】
請求項に記載の美容マッサージ器において、
前記施術部の前記吸引口側の面の中央部に窪み部を形成した、美容マッサージ器。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の美容マッサージ器において
前記施術部の前記吸引口側の面の一端部に凸部を形成した、美容マッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の皮膚を含む表面部を吸引することにより、施術としての美容マッサージを行い得る美容マッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
美容のために身体表面部を吸引するようにした構成のものが特許文献1~特許文献3に開示されている。特許文献1及び特許文献2の構成は、バルーン状をなすゴム製のポンプの先端開口部に吸引ノズルが取り付けられている。そして、吸引ノズルの先端を皮膚に当てることにより、ポンプによって負圧にされた吸引ノズルの吸引作用により皮膚の汚れ除去などの美容的効果を得ることができる。
【0003】
また、特許文献3の構成は、扁平状をなす皮膚吸引ヘッドの本体の先端に細長い吸引ヘッド部が形成されており、本体の基端部には吸引装置の接続管が連結されている。そして、吸引装置内の電動ポンプによって吸引ヘッド部において吸引空気流が生じて、皮膚を吸引できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3064709号公報
【文献】特開2003-339804号公報
【文献】特許第6284216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2の構成においては、ポンプの先端開口部に吸引ノズルが単純な凹凸関係によって嵌合されているだけであるため、ポンプと吸引ノズルとの接続部が外れやすい。また、ポンプを負圧発生のために圧搾すると、ポンプの開口部が広がるように変形して、ポンプと吸引ノズルとの接続部に隙間が生じて、負圧発生に支障をきたすおそれがある。
【0006】
また、特許文献3の構成においては、吸引ヘッド部における吸引が電動ポンプによって行われるため、電動ポンプのパワーを調節できるようにすれば、吸引ヘッド部における吸引力を調整できるが、使用者の好みや状態に応じた微妙な調整は困難である。また、皮膚吸引ヘッドの基端部に吸引装置まで延びる接続管が接続されているため、接続管が邪魔になって皮膚吸引ヘッドの取扱いが面倒である。従って、特許文献3の構成においては、有効な美容マッサージを容易に行えない。
【0007】
本発明の目的は、ポンプと吸引ノズルとの接続部を接続状態に適切に維持できて、吸引口における吸引力を手で容易に調整できる美容マッサージ器を提供することにある。また、本発明の目的は、有効な美容マッサージを容易に行える美容マッサージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の第一の態様によれば、バルーンポンプの開口部の内側に、先端を吸引口とした筒状のマッサージ部材の基端側の嵌合部を連結した美容マッサージ器が提供される。前記嵌合部の外周面にはシール面を形成するとともに、前記嵌合部の端縁には係止部を形成し、前記バルーンポンプの開口部には前記シール面に圧接される圧接部と前記係止部に係合する被係合部とを形成した。
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の第二の態様によれば、ポンプと、そのポンプの開口部に連結され、身体表面部を吸引するための吸引口を有する施術部とを備え、その施術部は、側方からの投影面積が最大となる面を側面に有する形状とし、前記吸引口において身体表面部を吸引しながら移動させることにより身体表面部をマッサージすることができる美容マッサージ器が提供される。前記ポンプを弾性材により中空状に形成されたバルーンポンプによって構成した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態におけるフェイス用美容マッサージ器の斜視図。
図2】フェイス用美容マッサージ器の分解斜視図。
図3】フェイス用美容マッサージ器の正面図。
図4】フェイス用美容マッサージ器の底面図。
図5】フェイス用美容マッサージ器の縦断面図。
図6図5とは異なる部分で切断して示す縦断面図。
図7】マッサージ部材を装飾リングの部分で切断して示す横断面図。
図8】バルーンポンプとマッサージ部材との連結部を示す一部断面図。
図9】フェイス用美容マッサージ器の使用状態を示す正面図。
図10】第1実施形態におけるフェイスライン用マッサージ器の正面図。
図11】フェイスライン用マッサージ器の縦断面図。
図12図11とは異なる部分で切断して示す縦断面図。
図13】第1実施形態におけるフェイスライン用美容マッサージ器の使用状態を示す正面図。
図14】第1実施形態における第1ボディ用美容マッサージ器の正面図。
図15】第1ボディ用美容マッサージ器の縦断面図。
図16図15とは異なる部分で切断して示す縦断面図。
図17】第1実施形態における第2ボディ用美容マッサージ器を示す縦断面図。
図18図17とは異なる部分で切断して示す縦断面図。
図19】第1実施形態におけるネック用美容マッサージ器を示す正面図。
図20】ネック用美容マッサージ器の縦断面図。
図21図19とは異なる部分で切断して示す縦断面図。
図22】本発明の第2実施形態におけるポイント用美容マッサージ器を示す斜視図。
図23】ポイント用美容マッサージ器の底面図。
図24】ポイント用美容マッサージ器の縦断面図。
図25】バルーンポンプとマッサージ部材との連結部を示す一部断面図。
図26】本発明の第3実施形態におけるフェイス用美容マッサージ器を示す分解斜視図。
図27】フェイス用美容マッサージ器の縦断面図。
図28図27とは異なる位置で切断した縦断面図。
図29】ポンプとマッサージ部材との連結部を示す一部断面図。
図30】バルーンポンプの縦断面図。
図31】本発明の第4実施形態におけるポイント用美容マッサージ器を示す正面図。
図32】ポイント用美容マッサージ器の分解正面図。
図33】ポイント用美容マッサージ器の縦断面図。
図34】ポンプとマッサージ部材との連結部を示す一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下に、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0012】
(フェイス用美容マッサージ器)
はじめに、図1図9において、顔のマッサージに適したフェイス用美容マッサージ器を説明する。なお、このフェイス用美容マッサージ器をはじめとして、後述のフェイスライン用美容マッサージ器、第1ボディ用美容マッサージ器、第2ボディ用美容マッサージ器、ネック用美容マッサージ器には、それぞれ使用者の人体における使用に適する部位の名称を便宜的に付している。また、ポイント用美容マッサージ器には、ポイント的に使用されるという使用態様を表した名称を便宜的に付している。しかしながら、これらの美容マッサージ器は、部位名称に関わらず、使用者の任意の部位に対して使用可能である。
【0013】
図1図3及び図5に示すように、フェイス用美容マッサージ器10は、シリコーンゴムなどのゴム材よりなり、下端に開口部を有する横断面楕円形をなすバルーンポンプ(以下、単にポンプという)を備えている。図9に示すように、このポンプ11は使用者の指先によって圧搾されてエアを開口部12から排出し、ポンプ11自身の弾性によって復元拡張されて開口部12からエアを吸入する。また、ポンプ11は、後述のマッサージ操作においてハンドル機能を兼ねる。なお、本実施形態においては、図3の上下方向をフェイス用美容マッサージ器10の上下方向とする。また、フェイス用美容マッサージ器10は、上端部の嵌合部13においてポンプ11の開口部12内に嵌合されたマッサージ部材14を備えている。このマッサージ部材14は、図4に示すように、横断面ほぼ楕円形筒状をなすとともに、アクリルなどの硬質で、透明な合成樹脂材料よりなり、表面が平滑に構成されている。このマッサージ部材14は、マッサージを行う施術部を構成し、上記のように、横断面ほぼ楕円形状に形成されているため、側方からの投影面積が最大となる面が楕円の長軸方向に延びる側面となっている。
【0014】
図1及び図2に示すように、ポンプ11とマッサージ部材14との境界部において、嵌合部13にはポンプ11の下端面を隠蔽するための装飾部材としての金属製の装飾リング15が外嵌されている。
【0015】
図4及び図5図7に示すように、マッサージ部材14には下端を吸引口16とした通気路17が上下方向に貫通されており、その通気路17の通気方向,すなわち上下方向の中間部には、吸引口16の中心位置と対向するところにスロート状に位置するスリット状のオリフィス18が形成されている。図4に示すように、吸引口16は、マッサージ部材14の楕円形状と長軸及び短軸が一致するほぼ楕円形状をなしている。オリフィス18は、吸引口16の長軸方向に延びている。そして、ポンプ11を圧搾させることにより、ポンプ11内のエアが通気路17のオリフィス18及び吸引口16を介して外部に排出され、ポンプ11が自身の弾性によって拡張することにより、ポンプ11の内部が負圧になって、オリフィス18を介して吸引口16において吸引作用が生じる。
【0016】
図1及び図2に示すように、ポンプ11の外側面には、上下方向に延びる複数のなだらかな断面円形状のリブ21が形成されるとともに、ポンプ11の嵌合部13に外嵌された部分の外側面にはリブ21を有しない平面部22が形成されている。図3及び図5から明らかなように、この平面部22はマッサージ部材14の嵌合部13とラップしている。
【0017】
図5図6及び図8に示すように、マッサージ部材14の嵌合部13の上端には係合部として外方へ向かって突出する環状のフランジ23が形成されている。そのフランジ23の下側において嵌合部13の外周面には平滑な筒状のシール面24が形成されている。フランジ23の下面は、シール面24の一部を構成している。シール面24の下端には段差面26が形成され、その段差面26の下側において嵌合部13には段差状で環状をなす着座部25が形成されている。
【0018】
ポンプ11の開口部12には、内方に向かって突出する厚肉の圧接部27が形成されており、この圧接部27の内周面がマッサージ部材14のシール面24に圧接接合されて、マッサージ部材14の外周とポンプ11の内周との間のシールが確保されている。圧接部27の上部内周面には複数の環状をなすシール補強突起28が形成されており、このシール補強突起28は、シール面24に圧接されることにより圧潰されて、シールの確保を補強する。圧接部27の上端には被係合部を構成する段差面29が形成されており、この段差面29はフランジ23の下面に係合して、この部分においてもシールが確保されている。
【0019】
装飾リング15は着座部25に外嵌されている。装飾リング15の内周面の長軸上及び短軸上には突起32が形成されており、この突起32は着座部25に形成した凹部31に係合していて、装飾リング15の位置ずれが防止されている。圧接部27の下端が装飾リング15の上面に接している。圧接部27がシール面24及びフランジ23に圧接されることなく、その圧接部27が変形される前における自然状態において、圧接部27の内周面側の上下方向の寸法はシール面24の上下方向の寸法より短くなっている。このため、段差面26及び装飾リング15の上面と圧接部27の下端の内周面側の部分との間には、圧接部27の変形による膨出を許容するためのクリアランス35が確保される。
【0020】
マッサージ部材14の通気路17におけるオリフィス18の上部側の内周面はオリフィス18に向かって曲面状に集束する集束面36になっている。通気路17におけるオリフィス18の下部側の内周面は、下方の吸引口16に向かって曲面状に広がるとともに、下方ほど円筒面に近づく形状の拡開面37になっている。
【0021】
図3に示すように、マッサージ部材14の下端39は中央部が緩やかに窪むカーブを描いている。この下端39のカーブは、顔の曲面にほぼ沿う曲率となっている。図6に示すように、マッサージ部材14の下端39の断面における先端部である頂部40は緩やかに膨らむ曲面状をなしている。下端39の頂部40と拡開面37との間の境界は、境界線が現出しないように、曲率半径の小さな曲面になっている。
【0022】
図3図6に示すように、本実施形態において、マッサージ部材14の下端39の長軸方向の長さL1は、69.5mm(ミリメートル)であり、短軸方向の幅W1は、28.6mmであって、それらの比率は約2.4:1である。吸引口16の長軸方向の長さL2は、45.0mmであり、短軸方向の幅W2は、13.0mmであって、それらの比率は、約3.5:1である。また、オリフィス18は細長い楕円形状をなしている。そのオリフィス18の長軸方向の長さL3は、25.0mmであり、短軸方向の幅W3は、2.0mmであって、それらの比率は、12.5:1である。また、吸引口16の長軸方向の長さL2とオリフィス18の長軸方向の長さL3との比率は、1.8:1である。吸引口16の短軸方向の幅W2とオリフィス18の短軸方向の幅W3との比率は、6.5:1である。
【0023】
このフェイス用美容マッサージ器10には、上記構成とは別に、吸引口16の幅W2が異なるものが用意され、その幅W2は20.0mmである。
【0024】
以上のように構成されたフェイス用美容マッサージ器10は以下のようにして使用される。
【0025】
図9に示すように、ポンプ11が圧搾されるように、そのポンプ11を手の指先で押しつぶした状態において、マッサージ部材14を顔の頬などの皮膚に当てれば、マッサージ部材14の吸引口16が塞がれて、ポンプ11の拡張方向への弾性反発力により、ポンプ11及びマッサージ部材14の内部が負圧になる。このため、吸引口16において吸引力が発生して、図5に2点鎖線で示すように、皮膚を含む顔の表面部300が吸引口16の内部に盛り上がるようにして吸引される。このため、表面部300に対して吸引マッサージが行われる。この状態において、フェイス用美容マッサージ器10を吸引口16の短軸方向である幅方向に移動させれば、吸引マッサージとともに、いわゆる刮莎マッサージを実行できる。すなわち、表面部300を吸引した状態においては、その部分は摘まれたこととほぼ同じになり、その摘まれた部分が連続的に移動されて、吸引及び刮莎による施術としての複合美容マッサージが実行される。従って、血行とリンパの流れとが改善され、有効な美容作用を発揮することができる。
【0026】
本実施形態のフェイス用美容マッサージ器10においては、以下の作用及び効果を得ることができる。
【0027】
(1)ポンプ11によってマッサージ部材14の吸引口16の吸引力を維持した状態で、マッサージ部材14を移動させれば、顔の表面部300に対して適切な吸引マッサージと刮莎マッサージとによる複合マッサージを施すことが可能になって、美容に有効である。しかも、マッサージ部材14を吸引口16の長さ方向と交差する幅方向(図4の上下方向)に移動させれば、吸引口16の1回の移動において顔の表面部300の広い面積をマッサージできるため、顔全体のマッサージを短時間で有効に行うことができる。この場合、特許文献1の構成とは異なり、マッサージ部材14の使用の邪魔になる接続管が存在しないため、マッサージ部材14の取扱いが容易になる。そして、使用者の好みや皮膚の状態などに応じてポンプ11の圧搾量を調節すれば、吸引口16における吸引力を微妙に調整できて、有効なマッサージを容易に行うことができる。特に、顔の表面部300を吸引した状態で吸引口16の部分を押しながら移動させれば、顔の表面部300を押す作用と吸引する作用とが複合的に発揮されて、有効なマッサージが可能になる。しかも、施術面である吸引口16の部分が細長い形状であるため、その長さ方向と交差する(例えば、直交方向)にマッサージ器10を移動させることが容易であって、有効なマッサージを苦もなく簡単に行うことができる。さらに、実施形態のマッサージ器10は、ポンプ11を操作することにより、手動式ポンプを操作する場合のように、吸引程度を簡単に調整して、使用者の肌や表面部300の状態に適合したマッサージが可能になる。
【0028】
(2)マッサージ部材14の下端39は緩やかに窪むカーブを有しているとともに、その下端39の断面形状が緩やかに膨らんだ曲面状に形成されている。このため、下端39を顔の皮膚に隙間なく接触させて、吸引口16内の負圧を維持し、顔の表面部300を無理なく十分に吸い上げることができる。従って、快適で有効なマッサージが可能になる。
【0029】
(3)マッサージ部材14の下端39は断面曲面状をなしており、下端39の頂部40と拡開面37との間の境界は、境界線が現出しないように、曲率半径の小さな曲面になっている。このため、下端39が皮膚に対して快適に接触し、良好な使い心地を得ることができる。
【0030】
(4)マッサージ部材14は表面平滑な合成樹脂なので、滑り易く、刮莎マッサージを円滑に行うことができる。
【0031】
(5)マッサージ部材14の通気路17にオリフィス18が形成されているため、このオリフィス18部分において通気路17からポンプ11内に流れるエアに対して抵抗を付与することができる。このため、外部からポンプ11内に流れるエアの量を制限でき、その結果、通気路17内の負圧を長時間維持できる。従って、吸引口16において表面部300を吸引した状態で、その吸引作用を長い時間保持できて、有効な美容マッサージを長時間継続できる。
【0032】
(6)装飾リング15の上面と圧接部27の下端との間に、圧接部27の変形による膨出を許容するためのクリアランス35が確保されることにより、圧接部27とシール面24との間のエアシールを適切に保持できる。このクリアランス35が存在しない場合は、エア吸引のために、ポンプ11が自然状態から変形されることにより、圧接部27が膨出した場合などにおいて、圧接部27の下端が段差面26や装飾リング15の上面に対して無理に圧接されたりする可能性がある。このような場合、圧接部27に意図しない変形が生じて、圧接部27とシール面24との間のエアシール状態を保つことができないおそれがあるが、クリアランス35によって意図しない変形を回避できる。
【0033】
(7)ポンプ11の外側面には、マッサージ部材14の方向に向かって延びる複数のなだらかな断面円形状のリブ21が形成されるとともに、マッサージ部材14の嵌合部の外側面にはリブ21を有しない平面部22が形成されている。従って、把持した状態のポンプ11が滑りにくく、ポンプ11が指先操作で容易に変形して、使いやすい。また、ポンプ11の平面部22を指先で把持すれば、フェイス用美容マッサージ器10を無理なく自然に移動操作できる。しかも、平面部22がマッサージ部材14の嵌合部13とラップしているため、平面部22を押してもポンプ11は変形されない。このため、使用者は、リブ21の部分を操作するように自然に誘導され、使いやすいものとなる。
【0034】
(8)マッサージ部材14の嵌合部13の外周面には平滑なシール面24が形成されており、その嵌合部13の上端には下面をシール面24の一部としたフランジ23が形成されている。従って、ポンプ11が圧搾されて変形された状態において、フランジ23と圧接部27とが係合しているため、圧接部27の変形が阻止される。そして、フランジ23及びシール面24と圧接部27の内周面及び段差面26との間のシール作用によりエア漏洩が適切に防止される。このため、開口部12における吸引力を長時間持続できて、有効なマッサージを行い得る。
【0035】
(9)圧接部27の内周面の上部には環状をなす複数のシール補強突起28が形成されているため、シール状態を補強できる。また、圧接部27には、その圧接部27の変形を許容できるクリアランス対策が施されているため、ポンプ11とマッサージ部材14との連結によって、圧接部27が変形しても、フランジ23と段差面26とのシール状態を維持できる。従って、嵌合部13と圧接部27との間のエア漏洩をより確実に防止できて、開口部12における吸引力を適切に維持できる。
【0036】
(10)ポンプ11の圧接部27は、ポンプ11の他の部分より厚肉に形成されている。従って、圧接部27は剛性が高くなって、ポンプ11の圧搾状態において、この圧接部27は変形しにくく、エア漏洩防止に有効である。
【0037】
(11)装飾リング15の内周面の長軸上及び短軸上の突起32が着座部25に形成した凹部31に係合している。従って、装飾リング15が位置ずれすることを防止できて、良好な外観を維持できる。
【0038】
(12)マッサージ部材14の通気路17におけるオリフィス18の上部側の内周面はオリフィス18に向かって集束する集束面36になっている。これにより、フェイス用美容マッサージ器10の内部を水洗浄した場合や、内部に水が浸入した場合には、フェイス用美容マッサージ器10を吸引口16側が下になるようにすれば、フェイス用美容マッサージ器10の内部の水を自然に排出させることができる。
【0039】
(13)マッサージ部材14は透明なので、使用者は表面部300の吸い上げ状態を目視で確認できるとともに、マッサージ部材14の内部を洗浄する場合にはその内部の洗浄状態を確認しやすい。
【0040】
(14)通気路17におけるオリフィス18の下部側の内周面は、下方に向かって曲面状に広がる拡開面37になっている。この拡開面37は、下側ほど下方ほど円筒面に近づくカーブを有している。このため、開口部12の容積が大きくなり、表面部300を十分に吸引できて、マッサージ効果を高めることができる。
【0041】
(第1実施形態の変更例)
以下に、第1実施形態の各種の変更例をフェイス用美容マッサージ器と異なる部分を中心に説明する。
【0042】
以下の各変更例は、フェイスライン用美容マッサージ器50,第1ボディ用美容マッサージ器60,第2ボディ用美容マッサージ器70及びネック用美容マッサージ器80を示す。
【0043】
(フェイスライン用美容マッサージ器)
図10図13は、顔の輪郭部分であるフェイスラインをマッサージすることに適したフェイスライン用美容マッサージ器50を示す。このフェイスライン用美容マッサージ器50においては、マッサージ部材14の下面形状がフェイス用美容マッサージ器10のマッサージ部材14の下面形状より短軸方向の寸法比率が大きい膨らんだ形状をなしている。マッサージ部材14の下端39の中央部には大きく抉れた窪み部42が形成されている。
【0044】
このフェイスライン用美容マッサージ器50は、窪み部42をフェイスラインに当てることができて、フェイスラインの部分に沿って安定して移動させることができる。従って、フェイスライン部分に対する吸引マッサージと刮莎マッサージとの複合マッサージに適する。
【0045】
このフェイスライン用美容マッサージ器50のフェイス用美容マッサージ器10と同様にマッサージ部材14の下端39及び吸引口16は楕円形状をなしている。その下端39の長軸方向の長さL1は、73.2mmであり、短軸方向の幅W1は、27.1mmであって、それらの比率は約2.7:1である。吸引口16の長軸方向の長さL2は、25.0mmであり、短軸方向の幅W2は、20.0mmであって、それらの比率は、1.25:1である。また、オリフィス18は細長い楕円形状をなしている。そのオリフィス18の長軸方向の長さL3は、25.0mmであり、短軸方向の幅W3は、2.0mmであって、それらの比率は、12.5:1である。また、吸引口16の長軸方向の長さL2とオリフィス18の長軸方向の長さL3との比率は、1:1である。吸引口16の短軸方向の幅W2とオリフィス18の短軸方向の幅W3との比率は、10.0:1である。
【0046】
このフェイスライン用美容マッサージ器50は、吸引口16の長軸方向の長さL2が異なるものが用意されている。その長軸方向の長さL2は、37.5mmである。
【0047】
(第1ボディ用美容マッサージ器)
図14図16は、太腿や腹部などのボディをマッサージすることに適した第1ボディ用美容マッサージ器60を示す。この第1ボディ用美容マッサージ器60は、マッサージ部材14の吸引口16の長軸方向の長さ及び単軸方向の幅が異なっている。マッサージ部材14の下部両側面には傾斜面41が形成されている。マッサージ部材14の下端39の頂部40と傾斜面41との間の境界は、境界線が現出しないように、曲率半径の小さな曲面になっている。
【0048】
マッサージ部材の拡開面37には、上下方向に延びる複数の襞38が形成されているため、その襞38を模様として透視できる。
【0049】
第1ボディ用美容マッサージ器60のマッサージ部材14の下端の長軸方向の長さL1は、122.8mmであり、短軸方向の幅W1は、45.1mmであって、それらの比率は約2.7:1である。吸引口16の長軸方向の長さL2は、55.0mmであり、短軸方向の幅W2は、28.0mmであって、それらの比率は、約2.0:1である。また、オリフィス18は細長い楕円形状をなしている。そのオリフィス18の長軸方向の長さL3は、30.0mmであり、短軸方向の幅W3は、1.8mmであって、それらの比率は、約1.7:1である。また、吸引口16の長軸方向の長さL2とオリフィス18の長軸方向の長さL3との比率は、約1.8:1である。吸引口16の短軸方向の幅W2とオリフィス18の短軸方向の幅W3との比率は、約15.6:1である。
【0050】
この第1ボディ用美容マッサージ器60は、マッサージ部材14の下端39及び吸引口16の短軸方向の幅W2,W3が異なるものが用意され、その幅は、それぞれ51.5mm、35.5mmである。
【0051】
このマッサージ器60においては、以下の効果がある。
【0052】
(15)マッサージ部材14の下端39の頂部40の外側に傾斜面41が形成されているため、顔の曲面の傾きや部位に応じてマッサージ部材14を傾けることができて、使いやすい。
【0053】
(第2ボディ用美容マッサージ器)
図17及び図18は、太腿や腹部などのボディをマッサージすることに適した第2ボディ用美容マッサージ器70を示す。この第2ボディ用美容マッサージ器70は、マッサージ部材14が大型化して、その下端39及び吸引口16の大きさが第1ボディ用美容マッサージ器60の下端39及び吸引口16と異なっている。
【0054】
第2ボディ用美容マッサージ器70のマッサージ部材14の下端の長軸方向の長さL1は、142.0mmであり、短軸方向の幅W1は、58.2mmであって、それらの比率は約2.4:1である。吸引口16の長軸方向の長さL2は、55.0mmであり、短軸方向の幅W2は、36.0mmであって、それらの比率は、約1.5:1である。また、オリフィス18は細長い楕円形状をなしている。そのオリフィス18の長軸方向の長さL3は、30.0mmであり、短軸方向の幅W3は、1.8mmであって、それらの比率は、約16.7:1である。また、吸引口16の長軸方向の長さL2とオリフィス18の長軸方向の長さL3との比率は、約1.8:1である。吸引口16の短軸方向の幅W2とオリフィス18の短軸方向の幅W3との比率は、20.0:1である。
【0055】
(ネック用美容マッサージ器)
図19図21は、ネックをマッサージすることに適したネック用美容マッサージ器80を示す。このネック用美容マッサージ器80においては、マッサージ部材14の下端39の一端部に頂部を球形状にした凸部43が形成されている。
【0056】
このネック用美容マッサージ器80は、それを寝かせた姿勢で、ネックを上下あるいは斜め上下にマッサージすることに使用される。このとき、凸部43が首の後ろ側になるようにすれば、ネック用美容マッサージ器80を安定状態で使用できる。
【0057】
ネック用美容マッサージ器80のマッサージ部材14の下端の長軸方向の長さL1は、108.5mmであり、短軸方向の幅W1は、45.1mmであって、それらの比率は約2.4:1である。吸引口16の長軸方向の長さL2は、50.0mmであり、短軸方向の幅W2は、20.0mmであって、それらの比率は、2.5:1である。また、オリフィス18は細長い楕円形状をなしている。そのオリフィス18の長軸方向の長さL3は、30.0mmであり、短軸方向の幅W3は、1.8mmであって、それらの比率は、約16.7:1である。また、吸引口16の長軸方向の長さL2とオリフィス18の長軸方向の長さL3との比率は、約1.7:1である。吸引口16の短軸方向の幅W2とオリフィス18の短軸方向の幅W3との比率は、約11.1:1である。
【0058】
このネック用美容マッサージ器80は、マッサージ部材14の下端39及び吸引口16の短軸方向の幅W1,W2が異なるものが用意され、それらの幅W1,W2は、それぞれ40.0mm、30.0mmである。
【0059】
以上のように構成されたネック用美容マッサージ器80を用いれば、以下の効果を得ることができる。
【0060】
(16)ネック用美容マッサージ器80の使用に際しては、凸部43により、ネックの後ろから背中にかけて位置する僧帽筋や、耳の後部から鎖骨につながる胸鎖乳突筋を簡単にマッサージしたり、刺激したりできて、肩こりや首こりなどの解消に有効である。
【0061】
(第2実施形態)
(ポイント用美容マッサージ器)
図22図25は、本発明の第2実施形態を示すものであって、使用者の体の各部をポイント的にマッサージすることに適したポイント用美容マッサージ器90を示す。このポイント用美容マッサージ器90は、軸線αを中心とした回転体形状である。ポンプ11は上下方向の中間部を太く、上端を尖らせた椎の実形状をなしている。マッサージ部材14は、円筒カップ形状で、装飾リング15は、単純な短円筒形状である。オリフィス18は円形である。また、ポンプ11の下端には小径部44が形成され、この小径部44と装飾リング15の上部側とがラップしている。圧接部27の変形を許容するためのクリアランスは、装飾リング15と間隔をあけて対応する小径部44によって形成される。通気路17の上部の集束面36は形成されていない。
【0062】
このポイント用美容マッサージ器90は、マッサージ部材14の下端39が円形をなしているため、従って、吸引口16も円形であるため、身体のどの部分であっても、ポイント的にマッサージできる。
【0063】
ポイント用美容マッサージ器90のマッサージ部材14の下端の外径D1は30.5mmで、吸引口16の内径D2は17.0mmである。オリフィス18の内径D3は3.5mmである。従って、吸引口16の内径D2とオリフィス18の内径D3との比率は、約4.9:1である。
【0064】
ポイント用美容マッサージ器90には、形状の異なるマッサージ部材14を用いたもの2種類が容易されている。ひとつめの種類のマッサージ部材14の下端39の外径D1は33.7mm、吸引口16の内径D2は20.4mmである。ふたつめの種類のマッサージ部材14の下端39の外径D1は39.0mm、吸引口16の内径D2は25.4mmである。オリフィス18の内径D3は、両者とも図22図25の構成と同じである。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図26図30の図面に基づいて説明する。
【0066】
この第3実施形態は、第1実施形態のフェイス用美容マッサージ器10と類似したフェイス用美容マッサージ器200であって、このフェイス用美容マッサージ器200にはバルーンポンプ11,マッサージ部材14及び装飾リング15が第1実施形態のフェイス用美容マッサージ器10と同様に設けられている。従って、本実施形態の構成と図1及び図3などに示す第1実施形態の構成とは、全体の外観は同じに表れるが、本実施形態においては、外観として表れないインサート部材101,連結リング102及びシールリング103の各部品が増えている。また、本実施形態において、ポンプ11は、ゴム材としての熱可塑性ポリウレタン(TPU)によって構成されている。
【0067】
すなわち、図26図28に示すように、インサート部材101は、ポンプ11の成形時に、ポンプ11の開口部12にインサートされる。従って、ポンプ11とインサート部材101とは密着状態で固定されている。図26及び図27に示すように、インサート部材101の周壁104の上端及び下端にはそれぞれフランジ105,106が形成されている。この周壁104には複数の透孔107が形成されるとともに、周壁の外周面には複数の突起108が形成されている。そして、透孔107にポンプ11を構成するゴム材が進入されるとともに、突起108がポンプ11の内壁部に食い込み状態で埋設されている。ちなみに、図30において、インサート成形後のポンプ11を単独で示している。
【0068】
図27及び図28に示すように、インサート部材101はマッサージ部材14に外嵌されており、図29に示すように、下端のフランジ106がマッサージ部材14の着座部25の上面の段差面26に係合している。マッサージ部材14の外周に形成した環状凹部109内にシールリング103が嵌入されており、このシールリング103はインサート部材101の内周面に係合して、マッサージ部材14とインサート部材101との間がこのシールリング103によってシールされている。
【0069】
図29に示すように、連結リング102には、外周下面に載置面110が形成されるとともに、下面の複数箇所に第1爪111が形成されている。第1爪111の下面には傾斜面よりなる第1ガイド面112が形成されている。連結リングの上面における第1爪111と同位置には第2爪113が形成されるとともに、第2爪113の上面には傾斜面よりなる第2ガイド面114が形成されている。インサート部材101の下端内周側には傾斜面よりなるガイド面115が形成されている。そして、第1爪111がマッサージ部材14に形成した係合孔116に係合されるとともに、第2爪113がインサート部材101の上端に係合されており、これらの係合により連結リング102を介してマッサージ部材14とインサート部材101とが連結されている。
【0070】
装飾リング15は第1実施形態と同様に着座部25に取り付けられている。
【0071】
本実施形態のフェイス用美容マッサージ器200の外観寸法は、第1実施形態のフェイス用美容マッサージ器10の外観寸法と同じであって、各部の長さL1,L2,L3及び幅W1,W2,W3が同じである。
【0072】
本実施形態において、フェイス用美容マッサージ器200を組み付ける場合は、装飾リング15及びシールリング103が取り付けられたマッサージ部材14に対して、第1爪111と係合孔116との係合により連結リング102を取り付ける。この場合、連結リング102の第1ガイド面112をマッサージ部材14の上端に当てて、連結リング102を押し下げれば、第1ガイド面112の作用により、第1爪111は後退した後に係合孔116の位置に達し、自身の弾性によって係合孔116に係合する。また、載置面110がマッサージ部材14の上端面に載置される。
【0073】
次いで、ポンプ11の開口部12にインサートされたインサート部材101の下端のガイド面115を連結リング102の第2ガイド面114に当てて押し下げれば、第2爪113が後退して、インサート部材101の下方移動が許容される。さらに、インサート部材101を押し下げれば、シールリング103がインサート部材101の内周面に係合するとともに、インサート部材101が着座部25の上面の段差面26に着座され、第2爪113がインサート部材101の上端面に係合して、インサート部材101が係合状態にロックされる。従って、本実施形態では、マッサージ部材14とインサート部材101とを連結リング102を介して強固に取り付けることができる。なお、マッサージ部材14とインサート部材101との組み付けにおいては、上記のようにインサート部材101を押し下げても、マッサージ部材14をインサート部材101に対して押し上げても、両者14,101を接近方向に移動させてもよい。
【0074】
この状態で、ポンプ11を圧搾すれば、上記実施形態と同様に、吸引口16内が負圧になって、フェイスマッサージを実行できる。
【0075】
そして、本実施形態では、第1実施形態の効果に加えて以下の効果がある。
【0076】
(17)本実施形態においては、ポンプ11の開口部12にインサート部材101がインサートされて、ポンプ11とインサート部材101とが密着されている。そして、ポンプ11を構成するゴム材がインサート部材101の透孔107内に進入するとともに、ポンプ11の内壁部にフランジ105及び多数の突起108が食い込み、ポンプ11の下端が装飾リング15の上面に当接されている。しかも、インサート部材101の内周面とマッサージ部材14の外周面との間にシールリング103が介在されている。従って、ポンプ11が強く圧搾されて、ポンプ11が大きく変形されても、ポンプ11とインサート部材101との間の密着性,すなわちシール性は維持される。仮に、ポンプ11の変形がマッサージ部材14に伝播されて、マッサージ部材14が変形されても、その変形はシールリング103によって吸収され、マッサージ部材14とインサート部材101との間のシール性は維持される。よって、ポンプ11の開口部12とマッサージ部材14との間においてエア漏れが生じることを極力防止できる。本実施形態のように、ポンプ11として比較的硬質のTPUを用いた場合、インサート部材101が存在しなければ、ポンプ11の剛性変形のために、ポンプ11とマッサージ部材14との間に隙間が生じて、エア漏れが生じやすい。本実施形態ではこのおそれを回避できる。言い換えれば、ポンプ11として硬質のものを問題なく使用できる。
【0077】
(18)ポンプ11を構成するゴム材がインサート部材101の透孔107内に進入するとともに、ポンプ11の内壁部にフランジ105及び多数の突起108が食い込んで、ポンプ11とインサート部材101とが固定されている。そして、連結リング102の第1爪111と第2爪113とにより、インサート部材101とマッサージ部材14とがロックされて固定されている。その結果、ポンプ11,インサート部材101及びマッサージ部材14が相対移動したり、離間したりすることなく、全体が一体化されており、各部材の間におけるエア漏洩を防止して、気密を保持できて、吸引口16において適切な吸引力を得ることができる。
【0078】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図31図34の図面に基づいて説明する。
【0079】
本実施形態は、第2実施形態のポイント用美容マッサージ器90と類似した構成のポイント用美容マッサージ器190に具体化したものである。そして、本実施形態においても、第3実施形態と同様にインサート部材101が設けられている。また、本実施形態では、シールリング121が設けられている。
【0080】
すなわち、図31図33に示すように、ポンプ11の成形において、円筒状のインサート部材101はポンプ11の開口部12にインサートされて、ポンプ11とインサート部材101とは密着状態で固定されている。インサート部材101の上下にはフランジ105,106が形成されるとともに、インサート部材101の周壁104の外周には複数の突起108が形成されている。フランジ105,106及び突起108はポンプ11の内壁部に食い込んで、ポンプ11とインサート部材101との間のシール性が確保されている。
【0081】
図33及び図34に示すように、マッサージ部材14の上端部の嵌合部13の外周にはネジ山122が形成されている。インサート部材101の内周にはネジ山122に螺合するネジ溝123が形成されている。マッサージ部材14の着座部25の上面の段差面26とインサート部材101の下端面との間には、シールリング121が挟持されている。このため、マッサージ部材14とインサート部材101とは、シールリング121を介してネジ山122及びネジ溝123の螺合によって固定されている。従って、マッサージ部材14とインサート部材101との間のシール性が確保されている。
【0082】
本実施形態のポイント用美容マッサージ器190の外観形状は第2実施形態のポイント用美容マッサージ器90の外観形状と類似していて、各部の径D1,D2,D3は同じである。
【0083】
以上のように、本実施形態においては、ポンプ11にインサート部材101がインサートされ、ポンプ11とインサート部材101とが密着されるとともに、そのインサート部材101がシールリング121を介してマッサージ部材14に固定されている。このため、ポンプ11とインサート部材101との間のシール性を確保できて、第3実施形態と同様に、比較的硬質のポンプ11であっても、エアの漏洩を極力防ぐことができる。
【0084】
上記各実施形態以外の変更例は以下の通りである。
【0085】
第1実施形態において、ポンプ11の下端部と装飾リング15とを重ねてもよい。このようにすれば、ポンプ11とマッサージ部材14との連結が強固になるとともに、シール面24と圧接部27とのシール性が向上する。
【0086】
ポンプ11の形状を変更してもよい。例えば、第1実施形態において、ポンプ11の上部側を円筒形状や球形状にしたり、第2実施形態においてポンプ11を単純な円筒形状にしたり、球形状や扁平状にしたり、第1,第2両実施形態においてポンプ11の外周面のリブ21を省略して平滑形状にしたりしてもよい。
【0087】
マッサージ部材14を、着色したり、白濁させたりして、半透明や不透明にしたりしてもよい。
【0088】
オリフィス18を通路断面積が変更される可変オリフィスにして、ポンプ11内にエアを排出するときには短時間で大量のエアが排出でき、エアを吸引するときにはオリフィスが狭くなって、エアが少しずつしか吸引できないようにしてもよい。このような可変オリフィスとして、一方向には容易に変形されるが、他方向には変形しにくいリップによるバルブが考えられる。
【0089】
装飾リング15を省略してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
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