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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】流体カートリッジ用積層流体回路
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240307BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240307BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20240307BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240307BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
B01J19/00 321
B81B3/00
B81C1/00
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020572661
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019061461
(87)【国際公開番号】W WO2020102521
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】62/768,278
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・クリベッリ
(72)【発明者】
【氏名】シリル・ドゥラットル
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-106172(JP,A)
【文献】特表2003-534504(JP,A)
【文献】特表2003-503715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0117517(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/08
G01N 37/00
B01J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体リザーバー、及び
前記流体リザーバー上に位置づけられた積層流体回路を有して成り、
前記積層流体回路は、2つ以上の層、1つ以上のチャネル、及び可撓性導管を有して成り、
前記2つ以上の層は、実質的に平面の基板を規定するために一体に積層され、
前記1つ以上のチャネルは、前記基板内に規定され、
前記可撓性導管は、前記基板の残余部分から部分的に分離された又は分離可能な、前記1つ以上の前記チャネルの少なくとも1つの領域を含む前記基板の一部分によって規定され、前記可撓性導管は、前記基板の前記一部分及び前記チャネルの前記含まれる領域を含み、
記可撓性導管が少なくとも1つのチャネルを前記流体リザーバーに流体接続するように、
前記可撓性導管は、向きが変更されていない位置と1つ以上の向きが変更された位置との間で前記平面の基板に対して向きが変更可能となっており
向きが変更されていない位置において、前記可撓性導管は、前記平面の基板と実質的に同一平面上にあり、および前記流体リザーバー上にあり、
1つ以上の向きが変更された位置において、前記可撓性導管は前記平面の基板に対して傾斜、湾曲、又は屈曲しており、および前記可撓性導管は、前記流体リザーバー内にある、装置。
【請求項2】
前記基板が、前記基板を通るように形成されたカットアウトを有して成り、
前記カットアウトが、前記チャネルの前記領域を含む前記基板の前記一部分を部分的に取り囲んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板が、前記チャネルの前記領域を含む前記基板の前記一部分を部分的に囲むスコアラインを有して成り、
前記スコアラインは、前記基板の前記一部分が、前記基板の前記一部分に対する外力の適用時に前記基板の前記残余部分から部分的に分離することを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記2つ以上の層が、第1の層、第2の層、及び第3の層を有して成り、
前記第1の層が、前記第2の層と前記第3の層との間に配置され、及び前記第2の層と前記第3の層とによって対向側が覆われた際に1つ以上のチャネルを形成する少なくとも1つのスロットを有して成る、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記2つ以上の層が、第1の層及び前記第1の層に積層された第2の層を有して成り、
少なくとも前記第1の層は、その表面に形成された少なくとも1つの溝を有して成り、
少なくとも1つの前記溝は、前記第2の層によって覆われた際に前記1つ以上のチャネルを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記基板が、互いに接着又は熱結合された高分子材料の2つ以上の層を有して成る、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可撓性導管上に配置された1つ以上の電極をさらに有して成る、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上の電極は、前記流体リザーバーに保持された流体の流体レベルを検出すること、前記流体リザーバーに保持された流体の存在を検出すること、又は前記流体リザーバーに保持された流体を加熱することの1つ以上のためのものである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流体リザーバーと少なくとも1つの前記チャネルとの間の流れを制御するための、少なくとも1つの前記チャネル及び前記流体リザーバーと操作可能に関連付けられたバルブをさらに有して成る、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記流体回路に配置され、前記平面の基板から離隔して前記流体リザーバー内へと前記可撓性導管の向きを変更させるためのパンチを含む剛性カバーをさらに有して成る、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記流体リザーバーが密封されるように前記流体リザーバーの開口部を覆う貫通可能なホイルをさらに有して成り、
前記パンチは、前記可撓性導管を前記流体リザーバーに流体接続するために、前記ホイルを貫通し、向きが変更されていない位置から前記貫通されたホイルを通るように向きが変更された位置へと前記可撓性導管の向きを変更させる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第1の層にチャネルを形成し、1つ以上の層を前記第1の層に積層し、平面の多層基板を形成し、それによって、チャネルを、可撓性導管が平面の基板と実質的に同一平面上にある向きが変更されていない位置に基板内に規定すること、及び
可撓性導管が前記平面の基板に対して傾斜、湾曲、又は屈曲する一つ以上の向きが変更された位置に前記チャネルの領域を含む前記基板の一部分を分断し、それによって、前記分断された一部分が前記基板の残余部分から部分的に分離させ又は分離可能とし、前記基板の前記一部分及び前記チャネルの前記含まれた領域を含む可撓性導管を形成すること、を含み
前記可撓性導管は、前記平面の基板に対して向きが変更可能となっている、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置を製造する方法。
【請求項13】
前記第1の層に前記チャネルを形成する工程が、前記第1の層の表面に溝を形成することを含み、前記第1の層に積層される前記1つ以上の層が前記溝を囲む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の層に前記チャネルを形成する工程が、前記第1の層を通るスロットを形成することを含み、及び前記第1の層に積層される前記1つ以上の層が前記スロットを囲む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の一部分を分断する工程が、前記チャネルの前記領域を含む前記基板の前記一部分を部分的に取り囲む前記基板を通るカットアウトを形成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記基板の一部分を分断する工程が、前記チャネルの前記領域を含む前記基板の前記一部分を部分的に囲むスコアラインを形成することを含み、
前記スコアラインが、前記基板の前記一部分への外力の適用時に、前記基板の前記残余部分から部分的に分離することを可能にする、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記可撓性導管はその向きが変更されていない配置に設定されている間に、流体リザーバーが前記多層基板及び前記可撓性導管の下方に配置されるように、前記多層基板を前記流体リザーバーに接続することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記可撓性導管内の前記チャネルの前記含まれた領域が前記基板内に規定された前記チャネルを前記流体リザーバーに流体接続するように、可撓性導管の一部分が前記流体リザーバー内にあるように、向きが変更された位置に前記流体リザーバーに向かって前記基板に対して前記可撓性導管の向きを変更させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
向きが変更されていない位置から向きが変更された位置へと前記可撓性導管の向きを変更させる工程の後に、前記流体リザーバーに保持された流体を、前記可撓性導管内の前記チャネルの前記含まれた領域を通じて、前記基板に規定された前記チャネルに吸引することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
向きが変更されていない位置から向きが変更された位置へと前記可撓性導管の向きを変更させる工程の後に、前記基板内に規定された前記チャネル及び前記可撓性導管内の前記チャネルの前記含まれた領域を通じて前記流体リザーバーに流体を導入することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記多層基板を剛性カバーに接続することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記剛性カバーは、前記平面の基板に対して向きが変更されていない位置から向きが変更された位置へと前記可撓性導管の向きを変更させるためのパンチを有して成る、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の層及び前記第1の層に積層された前記1つ以上の層は、高分子材料の2つ以上を有して成り、前記1つ以上の層を前記第1の層に積層する前記工程は、前記2つ以上の層を一体に接着又は熱結合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記可撓性導管を形成する前記基板の一部分に電極を適用することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
装置であって、
2つ以上の層、1つ以上のチャネル、及び可撓性導管を有して成り、
前記2つ以上の層は、実質的に平面の多層基板を規定するために一体に積層され、
前記1つ以上のチャネルは、前記基板内に規定され、
前記可撓性導管は、前記基板の残余部分から部分的に分離された又は分離可能な、前記1つ以上のチャネルの少なくとも1つの領域を含む前記基板の一部分によって規定され、前記基板の前記一部分及び前記チャネルの前記含まれた領域を含み、前記可撓性導管は、向きが変更されていない位置と1つ以上の向きが変更された位置との間で前記平面の基板に対し向きが変更可能となっており
向きが変更されていない位置において、前記可撓性導管は、前記平面の基板と実質的に同一平面上にあり、
1つ以上の向きが変更された位置において、前記可撓性導管は前記平面の基板に対して傾斜、湾曲、又は屈曲している、装置。
【請求項26】
前記2つ以上の層が、第1の層、第2の層、及び第3の層を有して成り、
前記第1の層が、前記第2の層と前記第3の層との間に配置され、前記第2の層と前記第3の層とによって対向側が覆われた際に、1つ以上のチャネルを形成する少なくとも1つのスロットを有して成る、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記2つ以上の層が、第1の層及び前記第1の層に積層された第2の層を有して成り、少なくとも前記第1の層が、その表面に形成され、前記第2の層で覆われた際に、前記1つ以上のチャネルを形成する少なくとも1つの溝を有して成る、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
流体リザーバーをさらに有して成り、及び
前記可撓性導管は、前記基板内に規定された少なくとも1つのチャネルを前記流体リザーバーに流体接続するために前記流体リザーバーに向かって向きが変更可能となるように、前記基板が前記流体リザーバー上に位置づけられ、
前記可撓性導管は、前記流体リザーバーに保持された流体を前記基板で規定された前記チャネルに吸引するための第1のチャネル、及び流体を前記流体リザーバーに導入するための第2のチャネルを有して成る、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記流体リザーバー内に保持された流体の存在を検出するために前記可撓性導管に配置されたセンサーをさらに有して成る、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
動力源から動力を受容するために前記多層基板に沿って配置された1つ以上の電気接点、及び
前記可撓性導管に配置され、前記1つ以上の電気接点に電気的に接続された1つ以上の電極をさらに有して成る、請求項25に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年11月16日に出願された米国仮出願第62/768,278の利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
臨床及び分子プロセスの様々な分析手順(又は試験手順;assay protcol)は、様々な種類の流体を保持するカートリッジを処理機器(シーケンサー等)にインストール(又は取り付ける;install)することによって実施され、様々な種類の流体が流体デバイスに選択的に送られ、混合、処理、反応、検出のような1つ以上の流体操作を実行する。通常、カートリッジには、ポンプ、チャネル、マニホールド、バルブ等の様々な流体要素を有して成り、処理機器が選択された流体を計量して流体デバイスに送ることができる。カートリッジに必要なすべての流体要素を提供するために、一部のカートリッジは、射出成形されたプラスチック・ボディから形成され、プラスチック・ボディの表面に沿って溝が形成され、プラスチック・ボディの表面上に適用されるプラスチック・フィルム又はホイルによって密閉され、カートリッジ内に流体チャネルを形成する。しかしながら、射出成形プラスチック等の硬質プラスチック本体からカートリッジを形成することは、開発サイクルが長くなる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本明細書に記載のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、主張された主題の広範な概要ではない。クレームされた主題の重要な又は重大な要素を特定することも、その範囲を説明することも意図されていない。その唯一の目的は、後に提示される、より詳細な説明の手引き(又は前置き;prelude)として、いくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0004】
本開示の態様は、流体リザーバー及び、流体リザーバー上に位置づけられた(又は配置された;positioned)積層流体回路を有して成る装置を有して成る。積層流体回路は、実質的に平面の基板を規定するために一体に積層された2つ以上の層、基板内に規定された1つ以上のチャネル、及び基板の残余(又は残余の、又は余剰の;remainder)部分の部分から部分的に分離された又は分離可能な、1つ以上のチャネルの少なくとも1つの領域(又は範囲;extent)を含む(又は包含する;encompass)基板の一部分によって規定された可撓性導管を有して成る。可撓性導管は、基板の一部分及びチャネルの含まれた領域を有して成る。 可撓性導管は、可撓性導管が少なくとも1つのチャネルを流体リザーバー(又は流体貯蔵器;fluid reservoir)に流体接続するように、(又は関して;with respect to)流体リザーバーに向かって平面の基板に対して向きが変更可能となっている(又は屈折可能となっている;deflectable)。
【0005】
本開示の態様は、第1の層にチャネルを形成する工程(又はプロセス;process)、1つ以上の層を第1の層に積層し、平面の多層基板を形成し、それによって、チャネルを基板内に規定する工程、及びチャネルの領域を含む基板の一部分を分断し(又は破壊、又は引裂き、又は崩し、又は分裂し;disrupt)、それによって、分断された一部分を基板の残余部分から部分的に分離され又は分離可能とし、基板の一部分及びチャネルの含まれた領域を含む可撓性導管を形成すること、を含み、可撓性導管が平面の基板に対して向きが変更可能となっている工程、を含む方法を含む。
【0006】
いくつかの例では、第1の層にチャネルを形成する工程が、第1の層の表面に溝を形成することを含み、第1の層に積層された1つ以上の層が溝を囲む。 いくつかの例では、第1の層にチャネルを形成する工程が、第1の層を介してスロットを形成することを含み、第1の層に積層された1つ以上の層がスロットを囲む。
【0007】
本開示の態様は、実質的に平面の基板を規定するために一体に積層された2つ以上の層、基板内に規定された1つ以上のチャネル、及び基板の残余部分から部分的に分離された又は分離可能な、1つ以上のチャネルの少なくとも1つの領域を含む基板の一部分によって規定された可撓性導管を有して成る装置を含む。 基板の一部分及びチャネルの含まれた領域を有して成る可撓性導管であって、可撓性導管は、平面の基板に対して向きが変更可能となっている。
【0008】
本開示の主題の他の特徴(feature)及び特性(又は特徴;characteristic)、ならびに操作方法、構造の関連要素の機能及び部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、すべて本明細書の一部を形成し、同様の参照番号は、様々な図の対応する部分を示す、以下の説明及び添付の図面を参照して添付の特許請求の範囲を考慮するとより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の主題の様々な例を示している。 図面において、同様の参照番号は、同一又は機能的に類似した要素を示す。
【0010】
図1図1は、複数の流体リザーバーを有して成るトレイを覆う積層流体回路を有して成る装置の斜視図である。
【0011】
図2図2は、図1で示された例示的な積層流体回路を構築するために使用された3つの層の分解斜視図である。
【0012】
図3図3は、図1で示された例示的な多層基板を形成するために一体に積層された3つの層の斜視図である。
【0013】
図4図4は、図1で示された例示的な積層流体回路の斜視図であり、積層流体回路は、向きが変更されていない配置(又は位置;position)に設定された可撓性導管を有して成る。
【0014】
図5図5は、図1で示された例示的な積層流体回路の斜視図であり、積層流体回路は、向きが変更されている配置に設定された可撓性導管を有して成る。
【0015】
図6図6は、カットアウト(又は切り欠き、又は切り抜き;cutout)によって形成された可撓性導管を有して成る多層基板を含む例示的な積層流体回路の概略部分上面図である。
【0016】
図7図7は、図6の線A-Aに沿って取られた例示的な積層流体回路の概略断面図である。
【0017】
図8図8は、図6の線B-Bに沿って取られた例示的な積層流体回路の概略断面図である。
【0018】
図9図9は、図6の線A-Aに沿って取られた例示的な積層流体回路の概略断面図である。
【0019】
図10図10は、図6の線B-Bに沿って取られた例示的な積層流体回路の概略断面図である。
【0020】
図11図11は、スコアラインによって形成された可撓性導管を有して成る多層基板を含む例示的な積層流体回路の概略部分上面図である。
【0021】
図12図12は、図11の線C-Cに沿った例示的な積層流体回路の概略断面図である。
【0022】
図13図13は、図11の線C-Cに沿った例示的な積層流体回路の概略断面図である。
【0023】
図14図14は、積層流体回路、第1の流体リザーバー、及び第1の流体リザーバー内に配置された複数の第2の流体リザーバーを有して成るトレイを有して成る装置の側面図である。
【0024】
図15図15は、図14に示された装置の分解図である。
【0025】
図16図16は、トレイ、トレイに取り付けられた積層流体回路、及び積層流体回路上に配置された剛性カバーを含む例示的な装置の概略断面図である。
【0026】
図17図17は、積層流体回路及び少なくとも1つの流体リザーバーを含む流体カートリッジを組み立てる例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の主題の態様は、様々な形態で具体化することができるが、以下の記載及び添付の図面は、主題の特定の例としてこれらの形態のいくつかを開示することを単に意図している。したがって、本開示の主題は、そのように記載及び図示された形式又は例に限定されることを意図するものではない。
【0028】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法、及び他の技術用語又は用語法は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開された出願、及び他の刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。このセクションに記載されている規定が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開された出願、及び他の刊行物に記載されている規定に反するか、さもなければ矛盾する場合、このセクションに記載されている規定は、参照により本明細書に組み込まれている規定よりも優先される。
【0029】
本明細書で使用される際、別段の指示がない限り、又は文脈が別の方法で示唆する場合を除き、「一(又は一つ)(a)」又は「一(又は一つ)(an)」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味する。
【0030】
本記載は、構成要素、装置、位置、特徴、又はその一部分の配置及び/又は向きを説明する際に、相対的な空間及び/又は向きの用語を使用し得る。特に明記されていない限り、又は記載の文脈によって別段の指示がない限り、そのような用語には、上(top)、下(bottom)、上(above)、下(below)、下(under)、上(on top of)、上(upper)、下(lower)、左(left of)、右(right of)、前(in front of)、後ろ(behind)、隣(next to)、隣接(adjacent)、間(between)、水平、垂直、対角、縦、横、放射状、軸等は、図面においてそのような構成要素、装置、位置、特徴、又はその一部を参照する際に便宜上使用され、制限することを意図したものではない。
【0031】
さらに、特に明記しない限り、本記載で言及される何れの特定の寸法は、本開示の態様を具体化するデバイスの例示的な実施形態を単に代表するものであり、限定することを意図するものではない。
【0032】
「約」という用語の使用は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、本明細書で特定されたすべての数値に適用される。この用語は、一般に、当業者が、本開示の文脈において、列挙された数値に対する妥当な量の偏差と見なす(すなわち、同等の機能又は結果を有する)数の範囲を意味する。例えば、限定することを意図したものではないが、この用語は、与えられた数値の±10パーセントの偏差を含むと解釈することができる。ただし、そのような偏差が最終関数(end function)又は値の結果を変更しない場合に限る。したがって、当業者によって理解されるようないくつかの状況下では、約1%の値は、0.9%から1.1%の範囲であると解釈することができる。
【0033】
本明細書で使用されるような、「隣接する(adjacent)」という用語は、近く又は隣(又は隣接;adjoining)を意味する。隣接する物体同士は、互いに離隔して配置することも、実際に又は直接接触させることもできる。場合によっては、隣接する物体同士は、互いに結合することができ、又は互いに一体的に形成することができる。
【0034】
本明細書で使用されるような、「実質的に(substantially)」及び「実質的(substantial)」という用語は、相当な程度又は範囲を意味する。例えば、事象(又はイベント;event)、状況、特性、又は性質(又はプロパティ;property)と組み合わせて使用する場合、これらの用語は、事象、状況、特性、又は性質が正確に発生する例(instance)、及び事象、状況、特性、又は性質が、本明細書に記載の実施例の典型的な許容レベル又は変動性を説明するような、僅差な類似で発生する例を意味することができる。
【0035】
本明細書で使用されるような、「任意」及び「任意に」という用語は、後に記載される、構成要素、構造、要素、事象、状況、特性、性質等が含まれ得て、若しくは含まれ得ず、又は発生し得て、若しくは発生し得ず、ということを意味し、その記載が構成要素、構造、要素、事象、状況、特性、性質等が含まれている又は発生している例と、含まれていない、又は発生していない例が含まれることを意味する。
【0036】
本明細書の様々な例によれば、本明細書に記載のアセンブリ及びデバイスは、1つ以上の要素、例えば、1つ以上のチャネル、分岐チャネル、バルブ、フロースプリッタ、ベント、ポート、アクセスエリア、ビア、ビーズ、ビーズを有して成る試薬、カバー層、反応成分、及びそれらの任意の組み合わせ等を含む1つ以上の流体処理通路を含み得る流体カートリッジと組み合わせて使用することができる。任意の要素が別の要素と流体連絡し得る。
【0037】
本明細書に記載されているか、又は特許請求の範囲に記載されている要素及び構成要素のすべての可能な組み合わせ意図(又は企図され、又は期待され;comtemplate)され、本開示の一部であると見なされる。上記概念及び以下でより詳細に論じられる追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の終わりに現れるクレームされた主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。
【0038】
添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」という用語は、それぞれの「含む(comprising)」という用語の平易な英語の同等物として使用される。 「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、本明細書では、列挙された要素だけでなく、任意の追加の要素をさらに含むする、制限のないもの(又はオープン・エンド;open-end)であることを意図している。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、及び「第3」等の用語は、単にラベルとして使用され、それらの物体に数値要件を課すことを意図するものではない。
【0039】
「流体連絡」という用語は、直接流体連絡、例えば2つの領域が2つの領域を接続する遮るものがない流体処理通路を介して互いに流体連絡することができるか、又は流体連絡となる機能を有することができる、例えば2つの領域は流体処理通路の中に配置されたバルブを有して成ることができる流体処理通路を介して接続される際に、2つの領域は互いに流体連絡する機能があり、例えば、溶解可能なバルブ、破裂可能なバルブの破裂、又は流体処理通路に配置されたバルブの開放によってバルブを作動させると、流体連絡が2つの領域間で確立されることができることの、かのいずれかを意味する。
【0040】
「凍結乾燥」という用語は、腐りやすい材料を保存するために、及び/又はその輸送を容易にするために典型的に使用される脱水プロセスを指す。凍結乾燥の条件には、液体材料及び/又は液体材料を含む容器を凍結条件に付し、周囲の圧力を下げて、材料内の凍結水を固相から気相に直接昇華させることが含まれ得る。そのような凍結条件は、その固相及び液相が共存することができる最低温度(当技術分野では「三重点」として知られている)未満に材料を冷却することを含み得る。通常、凍結温度は-50℃~-80℃であるが、当業者は、自動生化学的アッセイで使用するための試薬を凍結乾燥するための適切な凍結温度を決定することができる。
【0041】
流体カートリッジ
流体カートリッジの開発サイクルを実質的に延長することなく、流体回路の設計への変更を迅速に実施することを可能にする改良された流体カートリッジ装置が必要である。改良された流体カートリッジは、対応する流体回路の下に試薬リザーバーを有して成り得て、それにより、流体回路上に試薬を貯蔵するカートリッジ設計のために実施され得るバルブを排除する。そのような設計は、試薬リザーバーに対する流体回路の配置が試薬の出口を制限又は停止するので、流体カートリッジが液体形態で試薬を輸送することを可能にすることができる。
【0042】
様々な例によれば、装置は、様々な種類の流体(例えば、試薬、緩衝液、反応媒体)を保持し、流体カートリッジが貯蔵された流体を1つ以上の流体操作(例えば、混合、処理、反応、検出)を受けるために、関心(又は関連;interest)のある領域に選択的に送達されることを可能にするように、流体処理機器とインターフェース接続する(又は調整する;interface)ようになっている流体カートリッジを有して成る。流体カートリッジは、流体を保持するための少なくとも1つの流体リザーバーと、流体リザーバー上に位置づけられた積層流体回路を有して成る。積層流体回路は、実質的に平面の多層基板、多層基板内に規定された1つ以上のチャネル、及びそれぞれのチャネルの領域を含み、1つ以上のチャネルを流体リザーバーに流体接続するために、可撓性導管が多層基板に対して流体リザーバーに向かって向きが変更可能となるように構成されるように、基板の残余部分から部分的に分離された又は分離可能な多層基板の残部によって規定された可撓性導管を有して成る。したがって、積層流体回路は、流体が多層基板の下に貯蔵されることを可能にする。さらに、積層流体回路は、基板にさらに層を追加し、追加の層からより多くのチャネルを形成することによって、変更を多層基板に容易に適用することを可能にする。
【0043】
図1に示されるように、例示的な装置は、流体操作のために様々な種類の流体を保持及び方向付ける(又は管理する、又は導く;direct)ための流体カートリッジ100を有して成る。いくつかの例では、流体カートリッジ100は、様々な種類の流体を保持するための1つ以上の流体リザーバーを規定するトレイ110と、トレイ110に操作可能(又は動作可能に;operatively)に取り付けられた積層流体回路120を有して成り、それによって、積層流体回路120がトレイ110中に保持されている様々な種類の流体を1つ以上の流体操作に使用される1つ以上の流体リザーバーから方向付けられる。
【0044】
様々な例において、トレイ110は、1つ以上の流体リザーバー112を有して成り、各流体リザーバー112は、指定された流体操作中に使用されることを意図された流体を保持する。いくつかの例では、各流体リザーバー112は、流体リザーバー112が流体を保持するための空間を囲むように、底部及び底部から延在する1つ以上の壁を有して成る。いくつかの例では、リザーバー112は、指定された流体操作に使用される流体の量に応じて可変可能なサイズを有することができる。
【0045】
様々な例において、積層流体回路120は、トレイ110上に取り付けられ、流体リザーバー112上に配置されるようになっている実質的に平面の多層基板122を有して成る。様々な例において、積層流体回路120は、基板122内及び積層流体回路120に流体接続された他のデバイスに流体を伝達する多層基板122内に規定された1つ以上のチャネル124を有して成る。様々な例において、積層流体回路120は、流体リザーバー112内へと向きが変更された際に、チャネル124をトレイ110の流体リザーバー112に流体接続する1つ以上の可撓性導管126を有して成る。様々な例において、可撓性導管126は、流体が関連する流体リザーバー112から吸引されることを可能にするようになっており、それによって、流体リザーバー112中に保持された流体は、多層基板122内に配置されたチャネル124に伝達され得る。様々な例において、チャネル124及び可撓性導管126の寸法は、積層流体回路を通る、より効率的な流体の流れを促進するために、高いアスペクト比(例えば、長さ/内径≧5)を有して成り得る。様々な例において、可撓性導管126の長さは、可撓性導管126が流体リザーバー112の底部に到達して、流体リザーバー112中に保持された流体試薬の完全な抽出を確実にするように選択される。いくつかの例において、各可撓性導管126は、その中に1つ以上のチャネル124を有して成ることができる。例えば、各可撓性導管126は、入口チャネル及び出口チャネル等の2つのチャネル124を有して成ることができる。入口チャネルは、別の試薬又は空気等の流体を、対応する流体リザーバー112内に含まれる流体に導入することができる。ある例では、入口チャネルは、混合リザーバーとして流体リザーバー112を利用するために、対応する流体リザーバー112の中へ1つより多い試薬を導入することができる。ある例では、入口チャネルは、対応する流体リザーバー112内に空気を導入することができる。導入された空気は、対応する流体リザーバー112内の流体を泡立たせ、混合し、及び/又は加圧するために使用することができる。ある例では、加熱又は冷却された容積空気を導入して、その中の流体の温度を制御することができる。
【0046】
いくつかの例では、可撓性導管126は、多層基板122を通るように形成された1つ以上のカットアウト128によって規定される。各カットアウト128は、それぞれのチャネル124の領域を含む多層基板122の一部分を部分的に取り囲み、その結果、基板122の一部分は、基板122の残余部分から部分的に分離される。各可撓性導管126は、基板122の残余部分から部分的に分離され、それぞれのチャネル124の領域を含む多層基板122の一部分によって規定される。
【0047】
積層流体回路120がトレイ110に操作可能に取り付けられる際に、多層基板122は、各カットアウト128及び可撓性導管126を対応する流体リザーバー112上に置くようにトレイ110に整列(又は調整、又は並べる;align)される。様々な例では、可撓性導管126は、多層基板122に対して対応する流体リザーバー112に向かって向きが変更されるように(例えば、手動又は自動装置によって)なっている。対応する流体リザーバー112に向かって向きが変更されると、可撓性導管126は、それぞれのチャネル124をその関連する流体リザーバー112に流体接続する。可撓性導管126の変更された向きは、可撓性導管126内のチャネルが流体リザーバー112内から、可撓性導管126内のチャネルを通って、及び多層基板122の1つ以上のチャネル124中に、流体の流体の流れを可能にするために、手が加えられていない(又は無傷の;intact)ままである間、曲がり(bowing)、屈曲(bending)、湾曲(curving)、又は他の方法で可撓性導管の少なくとも一部分を流体リザーバー112に移動させることを含むことができる。
【0048】
様々な例において、積層流体回路120は、カットアウト128の1つによって露出されていない流体リザーバー112の1つに流体接続されたポート130を有して成る。いくつかの例において、ポート130は、多層基板122を通るように形成され、及び1つ以上のチャネル124に流体接続された開口部を有して成る。
【0049】
様々な例において、流体カートリッジ100は、1つ以上のチャネル124に流体接続された流体デバイス140(例えば、フローセル)を有して成り、その結果、積層流体回路120は、流体が流体リザーバー112と流体デバイス140との間で選択的に伝達されることを可能にする。様々な例において、流体デバイス140は、チャネル124の1つに接続された流体入口142、チャネル124の1つに接続された流体出口144、及び/又は化学的又は生化学的アッセイ又は他の反応等の流体処理が行われることを可能にするために、流体入口142及び流体出口144に流体接続された1つ以上の流体通路(図示せず)を有して成り得る。様々な例において、流体デバイス140は、流体入口142中への様々な種類の流体(例えば、試薬、緩衝液、反応媒体)の導入が、1つ以上の流体通路内で流体処理を受けることを可能にするようになっている。様々な例において、流体デバイス140は、様々な種類の流体が、流体出口144を通る1つ以上の流体通路から洗い流されることを可能にするようにさらになっている。
【0050】
流体デバイス140は、積層流体回路120の一体部分であり得て、流体デバイス140は、積層流体回路120に取り外し可能に取り付けられるか、又は結合され得る(例えば、流体入口142と流体出口144を接続する流体コネクタを介して基板122内に規定されたチャネル124へ)、及び/又は流体デバイス140は、積層流体回路120から離隔して位置づけられた別個のデバイスであり得る。
【0051】
いくつかの例では、積層流体回路120は、多層基板122に沿って配置され、動力源から動力を受容するようになっている1つ以上の電気接点150を有して成る。いくつかの例では、積層流体回路120は、可撓性導管126上に配置され、積層流体回路120内及び/又は上に形成された1つ以上の電気経路を介して電気接点150に電気的に接続された1つ以上の電極(図示せず)を有して成る。いくつかの例では、図6~8に示されるように、各可撓性導管126は、開回路の端子として機能する少なくとも2つの電極132a、132bを有して成る。したがって、流体リザーバー112内に可撓性導管126の向きが変更される際に、電極に接触する流体は、流体カートリッジ100に操作可能に関連付けられた処理機器によって、電極が流体レベル(又は流体位、又は流体面、又は流体高さ;flow level)又は流体リザーバー112に保持された流体の存在を検出することを可能にするように、導電体として機能する。例えば、処理機器は、可撓性導管126と電極132a、132bとが液体と接触した際に変化する開回路間の容量信号を検出することによって、液位を容量的に検出することができる。いくつかの例では、可撓性導管126上に配置された電極は、流体リザーバー112内に保持された流体を加熱するための電気ヒーターとして機能する。いくつかの実施形態では、他の電気部品を可撓性導管126内及び/又は上に配置することができる(例えば、センサー、MEMSデバイス等)。
【0052】
図2~5は、図1に示された例による積層流体回路120の3層構造を示している。図2に示されるように、積層流体回路120は、互いに重ね合わされた第1の層201、第2の層202、及び第3の層203を有して成る。第1の層201は、第2の層202と第3の層203との間に配置され、第1の層201を通るように形成された1つ以上のスロット204を有して成る。いくつかの例では、第1の層201は、又は1つ以上のスロット204の代わりに、チャネル、くぼみ、又は第1の層201に形成された他の特徴も有して成ることができる。いくつかの例では、部分210、210は、流体デバイス140を形成するために、層201~203のそれぞれの一端でトリミング(又は切り取られる;trimming)される。いくつかの例では、層201~203のそれぞれは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COP)等のポリマー材料(例えば、プラスチック)を有して成る。
【0053】
図3を参照すると、第1、第2、及び第3の層201~203は、一体に積層されて、実質的に平面の多層基板122を形成する。いくつかの例では、熱結合(又は熱接合;thermal bonding)、溶剤接合、レーザー溶接、又は層201~203の側面に例えば感圧接着剤を塗布することで層201~203の側面を互いに接着することによって、第1、第2、及び第3の層が一体に積層される。層201~203が一体に積層された後、第2層202及び第3層203は、スロット204及び/又は第1層201に形成された他の特徴を囲み、多層基板122内に規定されたチャネル124を形成する。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126のために規定することができる。層201~203が一体に積層されると、トリミングされた部分210、214は、多層基板122の一端に流体デバイス140を形成するように整列される。ある実施形態では、トリミングされた部分210、210は省略され得る。
【0054】
図4を参照すると、それぞれのチャネル124の領域を含む多層基板122の選択部分は、多層基板122を介してカットアウト128を形成することによって分断される。例示的な例では、カットアウト128は、多層基板122の分断された一部分が多層基板122の残余部分から部分的に分離され、それによって可撓性導管126を形成するように、チャネル124の領域(例えば、端末端(又は末端;terminal end))を部分的に取り囲むように成形(例えば、U字形状)される。各可撓性導管126は、多層基板122の分断された一部分と、そのそれぞれのチャネル124の含まれた領域を有して成る。
図4に示されるように、可撓性導管126は、屈曲のない配置に設定され、可撓性導管126は、多層基板122と実質的に整列したままである(すなわち、同一平面上にある)。いくつかの例では、積層流体回路120がトレイ110からエンド・ユーザーに別々に輸送、又は出荷されている間、可撓性導管126は屈曲のない配置に設定され得る。
いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126のために規定され得る。
【0055】
図5を参照すると、可撓性導管126は、多層基板122の分断された一部分及びチャネル124の含まれた領域が、残余部分の平面の多層基板122に対して傾斜、湾曲、屈曲(又は曲げ;bent)、又は他の方法で移動するように向きが変更された配置に設定される。積層流体回路120がトレイ110に操作可能に取り付けられて、流体リザーバー112に保持された流体を流体デバイス140に送達すると、可撓性導管126は向きが変更された配置に設定され得る。
【0056】
多層基板122内に規定されたチャネル124及び多層基板122の残余部分から部分的に分断された可撓性導管126の詳細が、図6~13に示されている。
【0057】
図6は、積層流体回路120の概略部分上面図を示し、可撓性導管126は、多層基板122を通るようにカットアウト128を切断することによって形成される。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126のために規定され得る。図7及び図8は、それぞれ、図6の線A-A及びB-Bに沿って取られた多層基板122の3層構造の断面図を示す。図9及び10は、それぞれ、図6の線A-A及びB-Bに沿って取られた多層基板122の2層構造の断面図を示す。
【0058】
図7及び図8に示すように、多層基板122の3層構造の場合、チャネル124は、スロット704を、層701の上面706から第1の下面708まで切断することによって形成される。チャネル124は、第2の層702の合わせ面(又は接着面;mating surface)705を第1の層701の上面706に固定し、第3の層703の合わせ面707を第1の層701の下面708に固定することによって囲まれる。図7を参照すると、各可撓性導管126は、第1、第2、及び第3の層701~703を通るようにカットアウト128を切断することによって形成される。多層基板122の層701~703を通るようにカットアウト128を切断することによって、可撓性導管126の側面712は、多層基板122の残余部分から分離される。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126のために規定されることができる。図8を参照すると、チャネル124は、多層基板122の残余部分に沿って可撓性導管126から離隔して延在する。図8に示すように、チャネル124は、第1の層701を通って延在し、第2の層702の合わせ面705及び第3の層703の合わせ面707によって囲まれる、スロット704によって規定される。
【0059】
図9及び図10に示すように、多層基板122の2層構造の場合、チャネル124は、第1の層901の合わせ面903に沿って第1の溝906及び第2の層902の合わせ面904に沿って第2の溝908を形成することによって形成される。チャネル124は、チャネル124を規定するために、第1の溝906を第2の溝908と位置合わせする方法で、第1の層901の合わせ面903を第2の層902の合わせ面904に固定することによって囲まれる。いくつかの例では、チャネル124は、第1及び第2の層901、902の合わせ面の一方のみに沿って溝を形成し、溝を他方の層901、902の合わせ面で囲むことによって形成され得る。図9を参照すると、可撓性導管126は、カットアウト128を第1及び第2の層901及び902を通るように切断することによって形成される。カットアウト128を多層基板122の層901、902を通るように切断することによって、可撓性導管126の側面912が、多層基板122の残部から分離される。 いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126に対して規定されることができる。図10に示されるように、チャネル124は、多層基板122の残余部分に沿って可撓性導管126から離れて延びる。図10に示されるように、チャネル124は、第1及び第2の層901、902の整列された溝906、908によって規定される。
【0060】
図11は、積層流体回路120の概略部分上面図を示しており、可撓性導管126は、多層基板122内又は多層基板122を介してスコアライン(又は縦溝、又は横溝、又は横線;score line)1102を形成し、チャネル124の領域(例えば、端末端)を部分的に取り囲むことによって形成される。いくつかの実施形態では、スコアライン1102は、積層流体回路120に形成された穿孔又は他の部分的な切り込み、くぼみ等であり得る。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126に対して規定されることができる。図12は、図11の線C-Cに沿って取られた多層基板122の3層構造の断面図を示す。図13は、図11の線C-Cに沿って取られた多層基板122の2層構造の断面図を示す。
【0061】
図12に示すように、多層基板122の3層構造の条件下で、チャネル124は、第1の層1201の上面1206から第1の層の下面1208までスロット1204を切断することによって形成される。チャネル124は、第2の層1202の合わせ面1205を第1の層1201の上面1206に固定し、第3の層1203の合わせ面1207を第1の層1201の下面1208に固定することによって囲まれる。可撓性導管126は、多層基板122内にスコアライン1102を形成することによって形成され、スコアライン1102は、一例では、第1、第2、及び第3の層1201~1203のうちの1つ以上を通るように形成される。スコアライン1102は、部分的な溝、穴あきライン、線形インデント、又はライン1102に沿って基板122を局所的に弱くする他の手段を有して成り、スコアライン1102によって部分的に囲まれた多層基板122の一部分が、スコアライン1102が可撓性導管126の側面を規定するように、外力適用時に基板122の残余部分から制御可能に分離されることを可能にする。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126のために規定され得る。
【0062】
図13に示すように、多層基板122の2層構造の条件下で、チャネル124は、第1の層1301の合わせ面1303に沿って第1の溝1306を形成し、第2の層の合わせ面1304に沿って第2の溝1308を形成することによって形成される。チャネル124は、チャネル124を規定するために、第1の溝1306を第2の溝1308と整列する方法で、第1の層1301の合わせ面1303を第2の層1304の合わせ面1304に固定することによって囲まれる。可撓性導管126は、多層基板122内にスコアライン1102を形成することによって形成され、スコアライン1102は、一例では、第1及び第2の層1301、1302のうちの1つ以上を介して形成される。この場合も、スコアライン1102は、部分的な溝、穴あきライン、線形インデント、又はライン1102に沿って基板122を局所的に弱くする他の手段を有して成り、スコアライン1102によって部分的に囲まれた多層基板122の一部分が、スコアライン1102が可撓性導管126の側面を規定するように、外力適用時に基板122の残余部分から制御可能に分離されることを可能にする。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126のために規定され得る。
【0063】
図14及び15に示されるように、いくつかの例では、トレイ110は、第1のリザーバー1402と、第1のリザーバー1402内に配置された1つ以上の第2のリザーバー1404(図示された実施形態では3つ)を有して成る。第1のリザーバー1402は底部1410、底部1410から延在する一組の壁1412、及び壁1412から突出し、第1のリザーバー1402を取り囲むフランジ1414を有して成る。第2のリザーバー1404は、プレート1420を打ち抜くことによって形成され、それによって、各第2のリザーバー1404は、プレート1420の平面から凹んだ底部1422と、底部1422からプレート1420の平面まで延在する一組の壁1424を有して成る。プレート1420は、第1のリザーバー1402の上部に(又は上に;on top of)配置され、フランジ1414によって支持される。それにより、第2のリザーバー1404は、第1のリザーバー1402内に存在する。
【0064】
いくつかの例では、第1のリザーバー1402は、第2のリザーバー1404のそれぞれよりも大量の流体を保持する。いくつかの例では、第1のリザーバー1402は、第2のリザーバーで保持される流体の種類よりもより頻繁に又は広範囲に使用される水和緩衝液又は洗浄溶液等の流体を保持する。いくつかの例では、第2のリザーバー1404は、第1のリザーバー1402に貯蔵された水和緩衝液の導入によって乾燥状態から液体状態に変換されるようになっている凍結乾燥試薬を保持する。いくつかの例では、トレイ110がその目的地に輸送されている間、及びトレイ110が最初に多層基板122に接続されている際、第2のリザーバー1404は空であり得る。いくつかの例では、空の第2の流体リザーバー114が流体操作中に2つ以上の他の流体リザーバーから試薬流体を受容するように、空の第2の流体リザーバー1404が混合ウェル(又は混合穴;mixing well)として使用され得る。いくつかの例では、空の第2の流体リザーバー1404は、空の第2の流体リザーバー114が、流体操作中に別の流体リザーバーに貯蔵される試薬流体の一定分量を保持するように、ステージングウェル(又はステージング穴;staging well)(例えば、キャッシュリザーバー(又は貯蔵リザーバー(cache reservoir)))として使用され得る。いくつかの例では、第2の流体リザーバー1404は、その中に密封された(例えば、貫通可能なホイルによってその中に密封された)液体試薬を有して成ることができる。
【0065】
いくつかの例では、第1のリザーバー1402は、可撓性導管126のいずれにも流体接続されていないが、ポート130を介してチャネル124に流体接続されている。いくつかの例では、トレイ110は、導管1406が第1のリザーバー1402をチャネル124に流体接続するように、積層流体回路110のポート130に接続され、第1のリザーバー1402内に延在する導管1406を有して成る。いくつかの例では、各第2のリザーバー1404は、積層流体回路120の基板122を介して形成される対応するカットアウト128の下に配置され、対応する可撓性導管126によってチャネル124に流体接続されている。いくつかの例では、第1のリザーバー1402は、可撓性導管126に流体接続されている。
【0066】
図16は、一例による流体カートリッジ100の側面断面図を示す。実例となる例では、積層流体回路120は、第1の層1601、第2の層1602、及び第3の層1603を有して成る。第2の層1602は、第1の層1601と第3の層1603との間に配置される。第2の層1602は、第1の層1601及び第3の層1603によって囲まれる1つ以上のチャネル124を形成する1つ以上のスロットを有して成る。
【0067】
図2及び図3に示される例と同様に、図16のトレイ110は、第1のリザーバー1402及び第1のリザーバー1402内に配置された第2のリザーバー1404を有して成る。第1のリザーバー1402は、水和緩衝液1622を保持し得て、流体ポート130に接続された導管1406によって積層流体回路120に流体接続される。第2のリザーバー1404は、凍結乾燥試薬1624を乾燥状態で保持し得る。第2のリザーバー1404は、ホイル1620が水分を第2のリザーバー1404に入ることを防ぎ、それによって凍結乾燥試薬1624を乾燥状態に維持するように、第2の流体リザーバー1404の開口部を覆うホイル1620によって密封され得る。いくつかの例では、第2の流体リザーバー1404は、その中に密封された(例えば、貫通可能なホイル1620によってその中に密封された)液体試薬を有して成るができる。
【0068】
様々な例において、図16に示されるように、流体カートリッジ100は、積層流体回路120上に配置され、トレイ110の対向側にある剛性カバー1610を有して成り得る。いくつかの例において、剛性カバー1610は、剛性カバー1610が積層流体回路120の多層基板122に剛性を提供するように、射出成形プラスチック材料から構成される。
【0069】
いくつかの例では、剛性カバー1610は、カバー1610の平面1611に対して枢動するようになっているパンチ1612を有して成る。カバー1610が積層流体回路120に操作可能に取り付けられている場合、カバー1610は、対応する可撓性導管126の少なくとも一部分の上にパンチ1612を置く方法で多層基板122に整列される。カバー1610が多層基板122上に整列されると、パンチ1612を作動され得る(例えば、手動又は機械によって)、可撓性導管126を多層基板122から離隔して、本例では流体リザーバー1404等の流体リザーバーに向きが変更させる。可撓性導管126の向きを変更させている間、パンチ1612自体は、可撓性導管126が第2の流体リザーバー1404を覆うホイル1620を貫通するか、又は貫通させ、その結果、可撓性導管126は、貫通ホイル1620を通って向きが変更され、チャネル124を流体接続する。いくつかの例では、いくつかのチャネル124は、各可撓性導管126にために規定され得る。
【0070】
様々な例において、カバー1610は、第2の流体リザーバー1404とその対応するチャネル124との間の流れを制御するために、チャネル124及び第2の流体リザーバー1404の1つに操作可能に関連付けられたバルブ1614を有して成る。いくつかの例では、バルブ1614は、小さな丸いディップ(又は凹み、又は傾斜;dip)を有して成るピンチバルブであり、対応するチャネル124を密閉するために(例えば、外部ピンチロッドを用いて)圧縮され得る。
流体カートリッジの組み立て方法
【0071】
様々な例によれば、図17は、積層流体回路120及び少なくとも1つの流体リザーバー112を有して成る流体カートリッジ100を組み立てるための方法1700を示している。
【0072】
図17に示されるように、方法1700は、基板材料の層の表面又は基板材料の層を介するスロットに溝を形成する工程1702を含む。図7、8、及び12を参照すると、多層基板122の3層構造の条件下で、工程1702は、スロット704、1204を層701、1201を介して切断することを含む。いくつかの例では、スロット704、1204を形成する工程1702は、レーザーを使用して層701、1201を切り開くことを含む。図9、10、及び13を参照すると、多層基板122の2層構造の条件下で、工程1702は、第1の層901、1301の合わせ面903、1303に第1の溝906、1306を、及び任意で、第2の層902、1302の合わせ面904、1304に第2の溝908、1308形成することを含む。
【0073】
図17を参照すると、方法1700は、1つ以上の層を、溝又はスロットを有して成る層に積層して実質的に平面の多層基板122を形成し、溝又はスロットを囲んでチャネル124を形成する工程1704を含む。いくつかの例では、層は、ポリマー又はプラスチック材料を有して成り、工程1704は、様々なプラスチック層を一体に接着又は熱的に結合することを含む。
【0074】
図7、8、及び12を参照すると、多層基板122の3層構造の条件下で、工程1704は、層702、1202(上層)及び層703、1203(下層)を層701、1201(中間層)に積層することを含み 、それによって、層701、1201に形成されたスロット704、1104を取り囲み、層702、1202及び層703、1203は、チャネル124を形成する。
【0075】
図9、10、及び13を参照すると、多層基板122の2層構造の条件下で、工程1704は、第1の層901、1301を第2の層902、1302に積層して、それによって、第1の層901、1301の合わせ面903、1303に沿って形成された第1の溝906、1306が、第2の層902、1302の合わせ面904、1304に沿って形成された第2の溝908、1308と整列してチャネル124を形成する。
【0076】
図17を参照すると、方法1700は、チャネル124の領域を含む多層基板122の一部分を分断する工程1706を含み、その結果、分断された一部分は、多層基板122の残余部分から部分的に分離された又は分離可能である、可撓性導管126を形成する。
【0077】
図6-10を参照すると、いくつかの例では、分断工程1706は、多層基板122の1つ以上の層701~703、901~902を通るようにカットアウト128を形成することを含む。図6に示されるように、各カットアウト128は、多層基板122の分断された一部分を部分的に取り囲むように形作られる、可撓性導管126を形成する。いくつかの例では、カットアウト128は、パンチを有して成るダイカッター(図示せず)を使用し、パンチを多層基板122を通るように押すことによって形成され、カットアウト128を形成する、又は多層基板122に溝及びカットアウトを切断するレーザーカッターによってカットアウト128を形成する。
【0078】
図11~13を参照すると、いくつかの例では、分断工程1706は、スコアライン1102を多層基板122に形成することを含む。図11に示されるように、各スコアライン1102は、チャネル124の領域を含む多層基板122の分断された一部分を部分的に囲むように形作られ、それによって、スコアライン1102が、多層基板122の分断された一部分に外力を加えると、多層基板122の分断された一部分が多層基板122の残余部分から部分的に分離することを可能にする。いくつかの実施形態では、ミシン目又は他の部分的な分断は、スコアライン1102の代わりに、又はそれに加えて使用することができる。
【0079】
図17を参照すると、方法1700は、流体リザーバー112が可撓性導管126の下に配置されるように、多層基板122を流体リザーバー112に接続する工程1708を含む。いくつかの例では、接続の工程1708は、複数の流体リザーバー112を有して成るトレイ110上に多層基板122を取り付けることを含み、及び工程1708は、各可撓性導管126を対応する流体リザーバー112の少なくとも一部分の上に置く方法で、多層基板122をトレイ110に整列することをさらに含む。いくつかの例では、多層基板122は、多層基板122の底面を接着剤又は感圧接着剤でトレイ110の上面に接着する、又は多層基板122をトレイ110の上面にレーザー溶接する等、様々なプロセスによってトレイ110に取り付けられ得る。
【0080】
図17を参照すると、方法1700は、多層基板を剛性カバー1610に接続する工程1710を含み、可撓性導管126の向きが変更されるようになっているパンチ1612を含み得る。いくつかの例では、工程1710は、可撓性導管126の少なくとも一部分の上にパンチ1612を置くように、多層基板122で整列するカバー1610を覆うことを含む。
【0081】
図17を参照すると、方法1700は、例えば、可撓性導管126に対してパンチ1612を作動させることによって、多層基板122に対して流体リザーバー112内へと可撓性導管126の向きが変更される工程1712を含む。いくつかの例では、工程1712は、流体リザーバー112を覆うホイル1620を貫通することをさらに含み、それによって、可撓性導管126は、貫通したホイル1620を通って向きが変更され、多層基板122内のチャネル124を流体リザーバー112に流体接続する。リザーバー112が輸送及び保管中に乾燥したままである場合、工程1712が製造プロセス中に行われるか、又は工程1712は流体カートリッジ100を使用する直前に処理機器によって実行され得る。
【0082】
前述の概念及び以下でより詳細に論じられる追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい 特に、本開示の終わりに現れるクレームされた主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。 参照により組み込まれる任意の開示にも現れる可能性のある、本明細書で明示的に使用される用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味を与えられるべきであることも理解されたい。
【0083】
実施形態
【0084】
実施形態1.
装置であって、流体リザーバー、及び流体リザーバー上に位置づけられた積層流体回路を有して成り、積層流体回路は、2つ以上の層、1つ以上のチャネル、可撓性導管を有して成り、2つ以上の層は、実質的に平面の基板を規定するために一体に積層され、1つ以上のチャネルは、基板内に規定され、及び可撓性導管は、基板の残余部分から部分的に分離された又は分離可能な、1つ以上のチャネルの少なくとも1つの領域を含む基板の一部分によって規定され、可撓性導管は、基板の一部分及びチャネルの含まれた領域を有して成り、可撓性導管は、可撓性導管が少なくとも1つのチャネルを流体リザーバーに流体接続するように、平面の基板に対して流体リザーバーに向かって向きが変更可能である、
装置。
【0085】
実施形態2.
基板が、基板を通るように形成されたカットアウトを有して成り、カットアウトが、チャネルの領域を含む基板の一部分を部分的に取り囲んでいる、実施形態1に記載の装置。
【0086】
実施形態3.
基板が、チャネルの領域を含む基板の一部分を部分的に囲むスコアラインを有して成り、スコアラインは、基板の一部分が、基板の一部分に対する外力の適用時に基板の残余部分から部分的に分離することを可能にする、実施形態1に記載の装置
【0087】
実施形態4.
2つ以上の層が、第1の層、第2の層、及び第3の層を有して成り、第1の層が、第2の層と第3の層との間に配置され、及び第2の層と第3の層とによって対向側が覆われた際に1つ以上のチャネルを形成する少なくとも1つのスロットを有して成る、実施形態1に記載の装置。
【0088】
実施形態5.
2つ以上の層が、第1の層及び第1の層に積層された第2の層を有して成り、少なくとも第1の層は、その表面に形成された少なくとも1つの溝を有して成り、少なくとも1つの溝は、第2の層によって覆われた際に1つ以上のチャネルを形成する、実施形態1に記載の装置。
【0089】
実施形態6.
基板が、互いに接着又は熱結合された高分子材料の2つ以上の層を有して成る、実施形態1に記載の装置。
【0090】
実施形態7.
可撓性導管上に配置された1つ以上の電極をさらに有して成る、実施形態1に記載の装置。
【0091】
実施形態8.
1つ以上の電極は、流体リザーバーに保持された流体の流体レベルを検出すること、流体リザーバーに保持された流体の存在を検出すること、又は流体リザーバーに保持された流体を加熱することの1つ以上のためのものである、実施形態7に記載の装置。
【0092】
実施形態9.
流体リザーバーと少なくとも1つのチャネルとの間の流れを制御するための、少なくとも1つのチャネル及び流体リザーバーと操作可能に関連付けられたバルブをさらに有して成る、実施形態1に記載の装置。
【0093】
実施形態10.
流体回路上に配置され、平面の基板から離隔して流体リザーバー内へと可撓性導管の向きを変更させるためのパンチを含む剛性カバーをさらに有して成る、実施形態1に記載の装置。
【0094】
実施形態11.
流体リザーバーが密封されるように流体リザーバーの開口部を覆う貫通可能なホイルをさらに有して成り、
パンチは、可撓性導管を流体リザーバーに流体接続するために、ホイルを貫通し、貫通したホイルを通して可撓性導管の向きを変更させる、実施形態10に記載の装置。
【0095】
実施形態12.
方法であって、第1の層にチャネルを形成し、1つ以上の層を第1の層に積層し、平面の多層基板を形成し、それによって、チャネルを基板内に規定すること、及びチャネルの領域を含む基板の一部分を分断し、それによって、文壇された一部分を基板の残余部分から部分的に分離させ又は分離可能とし、基板の一部分及びチャネルの含まれた領域を含む可撓性導管を形成すること、を含み可撓性導管は、平面の基板に対して向きが変更可能となっている、
方法。
【0096】
実施形態13.
第1の層にチャネルを形成する工程が、第1の層の表面に溝を形成することを含み、第1の層に積層された1つ以上の層が溝を囲む、実施形態12に記載の方法。
【0097】
実施形態14.
第1の層にチャネルを形成する工程が、第1の層を介してスロットを形成することを含み、及び第1の層に積層された1つ以上の層がスロットを囲む、実施形態12に記載の方法。
【0098】
実施形態15.
基板の一部分を分断する工程が、チャネルの領域を含む基板の一部分を部分的に取り囲む基板を通るカットアウトを形成することを含む、実施形態12に記載の方法。
【0099】
実施形態16.
基板の一部分を分断する工程が、チャネルの領域を含む基板の一部分を部分的に囲むスコアラインを形成することを含み、
スコアラインが、基板の一部分への外力の適用際に、基板の残余部分から基板の一部分を部分的に分離することを可能にする、実施形態12に記載の方法。
【0100】
実施形態17.
可撓性導管はその向きが変更されていない配置に設定されている間に、流体リザーバーが多層基板及び可撓性導管の下方に配置されるように、多層基板を流体リザーバーに接続することをさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0101】
実施形態18.
可撓性導管内のチャネルの含まれた領域が、基板内に規定されたチャネルを流体リザーバーに流体接続するように、可撓性導管を流体リザーバーに向かって基板に対して向きを変更させることをさらに含む、実施形態17に記載の方法。
【0102】
実施形態19.
可撓性導管の向きを変更させる工程の後に、流体リザーバーに保持された流体を、可撓性導管内のチャネルの含まれた領域を通じて、基板に規定されたチャネルに吸引することをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0103】
実施形態20.
可撓性導管の向きを変更させる工程の後に、基板内に規定されたチャネル及び可撓性導管内のチャネルの含まれた領域を通じて、流体リザーバーに流体を導入することをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0104】
実施形態21.
多層基板を剛性カバーに接続することをさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0105】
実施形態22.
剛性カバーは、平面の基板に対して可撓性導管の向きを変更させるためのパンチを有して成る、実施形態18に記載の方法。
【0106】
実施形態23.
第1の層及び第1の層に積層された1つ以上の層は、高分子材料の2つ以上を有して成り、1つ以上の層を第1の層に積層する工程は、2つ以上の層を一体に接着又は熱結合することを含む、実施形態16に記載の方法。
【0107】
実施形態24.
可撓性導管を形成する基板の一部分に電極を適用することをさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0108】
実施形態25.
装置であって、2つ以上の層、1つ以上のチャネル、及び可撓性導管を有して成り、2つ以上の層は、実質的に平面の基板を規定するために一体に積層され、1つ以上のチャネルは、基板内に規定され、可撓性導管は、基板の残余部分から部分的に分離された又は分離可能な、1つ以上のチャネルの少なくとも1つの領域を含む基板の一部分によって規定され、基板の一部分及びチャネルの含まれる領域を含み、可撓性導管は、平面の基板に対して向きが変更可能となっている、
装置。
【0109】
実施形態26.
2つ以上の層が、第1の層、第2の層、及び第3の層を有して成り、第1の層が、第2の層と第3の層との間に配置され、第2の層と第3の層とによって対向側が覆われた際に、1つ以上のチャネルを形成する少なくとも1つのスロットを有して成る、実施形態25に記載の装置。
【0110】
実施形態27.
2つ以上の層が、第1の層及び第1の層に積層された第2の層を有して成り、少なくとも第1の層が、その表面に形成され、第2の層で覆われた際に、1つ以上のチャネルを形成する少なくとも1つの溝を有して成る、実施形態25に記載の装置。
【0111】
実施形態28.
流体リザーバーをさらに有して成り、及び可撓性導管は、基板内に規定された少なくとも1つのチャネルを流体リザーバーに流体接続するために流体リザーバーに向かって向きが変更可能となるように、基板が流体リザーバー上に位置づけられ、可撓性導管は、流体リザーバーに保持された流体を基板で規定されたチャネルに吸引するための第1のチャネル、及び流体を流体リザーバーに導入するための第2のチャネルを有して成る、実施形態25に記載の装置。
【0112】
実施形態29.
流体リザーバー内に保持された流体の存在を検出するために可撓性導管に配置されたセンサーをさらに有して成る、実施形態28に記載の装置。
【0113】
実施形態30.
動力源から動力を受容するために多層基板に沿って配置された1つ以上の電気接点、及び
可撓性導管に配置され、1つ以上の電気接点に電気的に接続された1つ以上の電極をさらに有して成る、実施形態25に記載の装置。
【0114】
実施形態31.
可撓性導管が、その向きが変更されていない位置と1つ以上の向きが変更された位置との間で向きが変更可能となっており、
可撓性導管は、向きが変更されていない位置で基板と実質的に同一平面上にあり、可撓性導管は、1つ以上の向きが変更された位置で基板に対して傾斜、湾曲、又は屈曲している、実施形態25に記載の装置。
【0115】
本開示の主題は、特徴の様々な組み合わせ及びサブコンビネーションを含む特定の例示的な例を参照してかなり詳細に説明及び示されているが、当業者は、他の例及びその変形及び修正を容易に理解するであろう。本開示の範囲内に含まれるもの。さらに、そのような例、組み合わせ、及びサブコンビネーションの説明は、クレームされた主題が、クレームに明示的に記載されたもの以外の特徴又は特徴の組み合わせを必要とすることを伝えることを意図していない。したがって、本開示の範囲は、以下の添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれるすべての修正及び変形を含むことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17