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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
H02K9/06 Z
H02K9/06 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021018238
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022121079
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 郁也
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036006(JP,A)
【文献】特開2019-009870(JP,A)
【文献】実開平01-079369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空間が内部に設けられた筐体と、
前記第1の空間に収容された固定子と、
シャフトを有し前記第1の空間に一部が収容された回転子と、
前記筐体に支持されるとともに、前記シャフトを前記筐体に対して回転可能に支持した軸受と、
前記第1の空間と通じた第2の空間が内部に設けられ、前記第2の空間と前記第1の空間との間で気体が循環する収容体と、前記第2の空間に面して前記収容体に収容され、内部を通る冷却媒体と前記第2の空間の気体との間で熱交換を行う第1の冷却管と、を有した冷却器と、
前記筐体の外部に位置した第1の案内部と、
前記筐体の外部に位置した第2の案内部と、
を備え、
前記第1の冷却管は、筒部と、前記筒部内を、第1の流路と第2の流路とに仕切った仕切部と、を有し、
前記冷却器は、前記第2の流路から流出する前記冷却媒体の温度が前記第1の流路から流出する前記冷却媒体の温度よりも低くなるように構成され、
前記第1の案内部は、前記第1の流路から流出した前記冷却媒体を前記筐体の外部で前記軸受から離れる方向に案内し、
前記第2の案内部は、前記第2の流路から流出した前記冷却媒体を前記筐体の外部から前記軸受に向けて案内する、回転電機。
【請求項2】
前記仕切部は、前記筒部内に配置された内管であり、
前記第1の流路は、前記筒部と前記内管との間に設けられ、
前記第2の流路は、前記内管内に設けられた、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1の冷却管の長さ方向と直交する前記筒部の断面は、円形であり、
前記第1の冷却管の長さ方向と直交する前記内管の断面は、多角形であり、
前記内管は、前記筒部の内周面に接した、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記冷却器は、前記第2の空間に面して前記収容体に収容され、内部を通る前記冷却媒体と前記第2の空間の前記気体との間で熱交換を行う第2の冷却管を有し、
前記第1の案内部は、前記第1の冷却管の前記第1の流路および前記第2の冷却管から流出した前記冷却媒体を前記筐体の外部で前記軸受から離れる方向に案内する、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトを有する回転子と、回転子のシャフトを支持する軸受と、備える回転電機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-108017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の回転電機では、軸受の温度上昇を抑制することができれば有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、軸受の温度上昇を抑制することができる回転電機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の回転電機は、第1の空間が内部に設けられた筐体と、前記第1の空間に収容された固定子と、シャフトを有し前記第1の空間に一部が収容された回転子と、前記筐体に支持されるとともに、前記シャフトを前記筐体に対して回転可能に支持した軸受と、前記第1の空間と通じた第2の空間が内部に設けられ、前記第2の空間と前記第1の空間との間で気体が循環する収容体と、前記第2の空間に面して前記収容体に収容され、内部を通る冷却媒体と前記第2の空間の気体との間で熱交換を行う第1の冷却管と、を有した冷却器と、前記筐体の外部に位置した第1の案内部と、前記筐体の外部に位置した第2の案内部と、を備え、前記第1の冷却管は、筒部と、前記筒部内を、第1の流路と第2の流路とに仕切った仕切部と、を有し、前記冷却器は、前記第2の流路から流出する前記冷却媒体の温度が前記第1の流路から流出する前記冷却媒体の温度よりも低くなるように構成され、前記第1の案内部は、前記第1の流路から流出した前記冷却媒体を前記筐体の外部で前記軸受から離れる方向に案内し、前記第2の案内部は、前記第2の流路から流出した前記冷却媒体を前記筐体の外部から前記軸受に向けて案内する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態の回転電機によれば、軸受の温度上昇を抑制することができる回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の回転電機の構成の例示的な断面図である。
図2図2は、図1のII矢視図である。
図3図3は、実施形態の冷却管の例示的な斜視図である。
図4図4は、図3のIV-IV断面図である。
図5図5は、実施形態の回転電機における冷却管から流出した外気の流れを説明するための図である。
図6図6は、実施形態の変形例の冷却管の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態を開示する。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、いずれも一例である。
【0010】
<回転電機1の構成>
図1は、実施形態の回転電機1の構成の例示的な断面図である。図1に示されるように、回転電機1は、回転動作を行う回転電機本体2と、冷却器3と、筐体5と、を備える。筐体5は、回転電機本体2と冷却器3とに亘って設けられている。また、回転電機1の内部には、回転電機本体2と冷却器3とに亘って、冷却用気体(以下、単に気体と称する)で満たされた閉空間4が設けられている。気体は、例えば空気である。発熱体の一例である固定子13の発熱によって加熱された閉空間4の内部の気体が冷却器3にて外気(空気)と熱交換されることにより、回転電機本体2が冷却される。回転電機1は、例えば三相誘導電動機である。外気は、気体状の冷却媒体の一例である。
【0011】
回転電機本体2は、フレーム11aと、回転子12と、固定子13と、を有する。
【0012】
フレーム11aは、上端開口の箱型に形成されている。フレーム11aの上端には、仕切板11cが設置されて、フレーム11aの上端は仕切板11cによって塞がれている。フレーム11aと仕切板11cとによって、第1の筐体5aが構成される。第1の筐体5aは、回転子12の一部と固定子13とを収容している。詳細には、第1の筐体5aの内部には、空間4aが形成されており、当該空間4aに回転子12の一部と固定子13とが収容されている。空間4aは、閉空間4に含まれる。空間4aは、第1の空間の一例である。フレーム11aは、筐体部材とも称される。
【0013】
回転子12は、シャフト14と、回転子鉄心15と、を有する。シャフト14のうち軸方向の両端部の間の部分には、回転子鉄心15が固定されている。
【0014】
シャフト14は、二つの軸受16A,16Bを介してフレーム11aに回転可能に支持されている。二つの軸受16A,16Bは、シャフト14の軸方向において回転子鉄心15の両側に位置する。軸受16A,16Bは、例えば、すべり軸受やころがり軸受等である。
【0015】
シャフト14の軸方向の両端部は、フレーム11aからフレーム11aの外部に突出している。シャフト14の軸方向の一方の端部には、結合部14aが設けられている。結合部14aは、回転機械(不図示)と結合される。また、シャフト14の軸方向の他方の端部には、外扇17が固定されている。外扇17は、シャフト14と一体に回転する。また、シャフト14における二つの軸受16A,16Bと回転子鉄心15とのそれぞれの間には、内扇18が固定されている。内扇18は、シャフト14と一体に回転する。内扇18は、回転することにより、固定子13および回転子12と冷却器3(より具体的には後述する熱交換器31)との間で気体を循環させる。すなわち、内扇18は、筐体5内に気流を発生させる。
【0016】
固定子13は、固定子鉄心19と、固定子巻線20と、を有する。固定子鉄心19は、シャフト14の径方向における回転子鉄心15の外側に位置し、回転子鉄心15を囲む円筒状に形成されている。固定子巻線20は、シャフト14の軸方向に延びるように固定子鉄心19の内周面19aに形成された複数のスロット(不図示)内を貫通して、固定子鉄心19に固定されている。
【0017】
冷却器3は、熱交換器31と、外扇カバー32と、案内部33,34と、を有する。案内部33は、第1の案内部の一例であり、案内部34は、第2の案内部の一例である。
【0018】
熱交換器31は、複数の冷却管41A,41Bと、入口端板42と、出口端板43と、冷却器カバー45とを有する。複数の冷却管41A,41Bは、互いに並列かつ行列状に配置されている。すなわち、冷却管41A,41Bは、筐体5の幅方向に延び上下方向に並ぶ複数の行(以後、段とも称する)が構成されるように配列されている、冷却管41Aは、複数の段のうち最上段を含む上部の段を構成している。入口端板42と出口端板43とは、冷却管41A,41Bの軸方向の両端部を支持している。冷却器カバー45は、入口端板42と出口端板43とに亘って設けられて、冷却管41A,41Bを収納している。冷却管41Aは、第1の冷却管の一例であり、冷却管41Bは、第2の冷却管の一例である。
【0019】
入口端板42と、出口端板43と、冷却器カバー45とは、フレーム11bを構成している。フレーム11bは、回転電機本体2の上端部に固定されている。フレーム11bの下端には、仕切板11cが設置されて、フレーム11bの下端は、仕切板11cによって塞がれている。フレーム11bと仕切板11cとによって、複数の冷却管41A,41Bを収容する第2の筐体5bが構成される。即ち、筐体5は、複数の冷却管41A,41Bを収容する第2の筐体5bと、回転子12および固定子13を収容する第1の筐体5aと、によって構成される。第1の筐体5aと第2の筐体5bとは仕切板11cによって仕切られている。第2の筐体5bは、収容体の一例である。フレーム11bは、筐体部材とも称される。
【0020】
冷却管41A,41B、入口端板42、出口端板43、冷却器カバー45、および仕切板11cは、互いに接続されて、空間4bを形成している。すなわち、冷却管41A,41Bは、空間4bに面している。空間4bは、閉空間4に含まれる。閉空間4における第1の筐体5a内の空間4aと冷却器3内の空間4bとは、いずれも仕切板11cに形成された入口10aおよび二つの出口10bで互いに連通している。入口10aは、仕切板11cにおける、固定子13の上方の部分に形成されている。二つの出口10bは、仕切板11cにおける内扇18の斜め上方の部分に形成されている。即ち、入口10aは、二つの出口10bの間に位置している。空間4bは、第2の空間の一例である。
【0021】
また、冷却器カバー45内には、二つのガイド板44が設けられている。二つのガイド板44は、入口端板42と出口端板43との間で、冷却管41A,41Bの軸方向に互いに間隔を空けて並べられている。二つのガイド板44は、冷却器カバー45内の空間4bの底部から上方に延びて、冷却器カバー45内の空間4bのうち上部連通空間4cを除く空間を冷却管41A,41Bの軸方向に仕切っている。
【0022】
外扇カバー32は、入口端板42に固定され、外扇17を収納している。外扇カバー32には、吸込口37が設けられており、外扇17が回転することにより、外気が吸込口37から外扇カバー32内に流入する。また、外扇17により外扇カバー32内に流入した外気が複数の冷却管41A,41Bの内側に流入するように、外扇カバー32が入口端板42と接続されている。また、外扇カバー32内には、吸込口37から外扇カバー32内に流入した外気が外扇17を通過して複数の冷却管41A,41Bに流れるように外気を案内するガイド部材46が設けられている。
【0023】
図2は、図1のII矢視図である。図1および図2に示されているように、案内部33は、第1の筐体5aの外部に位置し、出口端板43に固定されている。案内部33は、複数の冷却管41Aから流出する外気の一部および複数の冷却管41Bから流出する外気の全てが所定の方向に流れるように案内する。所定の方向は、一例として、シャフト14の軸方向と直交する筐体5の幅方向である。
【0024】
案内部33は、上壁33aと、下壁33bと、端壁33cと、を有する。上壁33aと下壁33bとは、出口端板43から第2の筐体5bの外側へ突出している。下壁33bは、上壁33aの下側に位置している。端壁33cは、上壁33aにおける出口端板43とは反対側の端部と、下壁33bにおける出口端板43とは反対側の端部とを接続している。案内部33と出口端板43との間には、流路33dが形成されている。シャフト14の軸方向と直交する筐体5の幅方向での流路33dの両端部は、開放されている。
【0025】
図1および図2に示されるように、案内部34は、案内部33に固定されている。案内部34は、複数の冷却管41Aから流出する外気の一部を第1の筐体5aの外側から軸受16Aに向けて案内する。別の言い方をすると、案内部34は、複数の冷却管41Aから流出する外気の一部を軸受16Aにおける第1の筐体5aの空間4aの外部に露出した部分16aに案内する。詳細には、案内部34は、筐体5の幅方向に延びる第1の部分34aと、第1の部分34aから下方かつ軸受16Aに向かって延びる第2の部分34bと、を有する。また、案内部34は、端壁33cの外面に固定されたカバー34cと、端壁33cにおけるカバー34cに覆われた部分33caと、カバー34cから軸受16Aに向けて延びた筒部34dと、を有する。カバー34cは、第1の部分34aと、第2の部分34bの一部と、を含む。筒部34dは、第2の部分34bの一部を含む。また、案内部34には、流路34eが形成されている。流路34eの下端部は開放されている。
【0026】
図3は、実施形態の冷却管41Aの例示的な斜視図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図3および図4に示されるように、冷却管41Aは、所謂二重管であり、外管51と、外管51内に配置された内管52と、を有している。外管51は、筒部の一例であり、内管52は、仕切部の一例である。
【0027】
外管51は、円筒管である。すなわち、冷却管41Aの長さ方向と直交する外管51の断面は、円形である。外管51は、端部51a,51bを有する。端部51aには、外気が流入する入口が設けられている。端部51bには、外気が流出する出口が設けられている。外管51は、例えば、ステンレスや鉄等の金属材料によって構成されている。
【0028】
内管52は、多角形管である。すなわち、冷却管41Aの長さ方向と直交する前記内管52の断面は、多角形である。図3および図4では、内管52の断面の一例として、三角形が示されているが、内管52の断面は、四角形等の他の多角形であってもよい。外管51は、端部52a,52bを有する。端部52aには、外気が流入する入口が設けられている。端部52bには、外気が流出する出口が設けられている。端部52aは、外管51の端部51aと、冷却管41Aの長さ方向の位置が揃えられている。端部52bは、外管51の端部51bから突出している。内管52の外周面52cは、外管51に内周面51cに接している。内管52は、外管51に溶接や接着等によって固定されている。内管52は、外管51内を、複数の第1の流路41aと第2の流路41bとに仕切っている。内管52の材料は、熱伝導率が外管51の材料の熱伝導率よりも低いものが採用されている。例えば、内管52の材料は、チタンである。
【0029】
図1に示される冷却管41Bは、冷却管41Aの外管51と同じ構成の外管を備えるが、内管52は備えない。すなわち、複数の冷却管41A,41Bの一部だけに、内管52が設けられている。
【0030】
本実施形態において、上記構成の冷却器3では、後述のように、第2の流路41bから流出する外気の温度が第1の流路41aから流出する外気の温度よりも低くなる。
【0031】
<回転電機1における気体の流れ>
次に、回転電機1の内部における気体の流れについて説明する。
【0032】
まず、閉空間4内の冷却用気体(気体)について説明する。閉空間4における第1の筐体5a内の空間4aの気体は、シャフト14と一体に回転する二つの内扇18により圧送されて、回転子12および固定子13に沿って流れて回転子12および固定子13を冷却した後、固定子鉄心19の径方向外側に流出する。このとき、気体は、回転子12および固定子13のそれぞれに設けられた通風路を通過する。固定子鉄心19の径方向外側に流出した気体は、気流F1を形成して、入口10aを経由して冷却器3内の空間4bに流入する。冷却器3の空間4bに流入した気体は、冷却管41A,41Bの外側を通過する過程で、冷却管41A,41B内を流れる外気と熱交換し冷却されながら、二つのガイド板44の間を上昇して上部連通空間4cに流出する。
【0033】
上部連通空間4cの気体は、冷却管41A,41Bの軸方向に互いに反対方向に分流して、入口端板42とガイド板44との間と、出口端板43とガイド板44との間とを、それぞれ冷却管41A,41B内の外気と熱交換し冷却されながら下降する。その後、気体は、気流F2,F3を形成して、出口10bを介して第1の筐体5a内の空間4aに戻り、再びそれぞれ内扇18に流入する。
【0034】
次に、外気の流れを説明する。外気は、シャフト14と一体に回転する外扇17により吸込口37から外扇カバー32内に流入し、外扇カバー32内を通過して入口端板42に到達する。入口端板42に到達した外気は、入口端板42で開口している各冷却管41A,41B内に流入し、冷却管41A,41B内で冷却管41A,41Bの外側の気体から熱を受けて温度上昇しながら冷却管41A,41B内を通過した後、出口端板43側の開口から冷却器3の外部に流出する。このように、冷却管41A,41Bの内側の外気と冷却管41A,41Bの外側の気体との間で熱交換が行われることにより、回転子12および固定子13の冷却が行われる。
【0035】
次に、冷却管41Aから流出する外気の流れを詳しく説明する。図5は、実施形態の回転電機1における冷却管41Aから流出した外気の流れを説明するための図である。なお、図5では、外気流れ理解を容易にするために、案内部34に一つの冷却管41Aだけが接続された例が示されている。冷却管41Aの第1の流路41aから流出した外気は、案内部33によって、筐体5の幅方向に案内され、軸受16Aには当たらない。なお、冷却管41Bから流出した外気も、案内部33によって、筐体5の幅方向に案内され、軸受16Aには当たらない。一方、冷却管41Aの第2の流路41bから流出した外気は、案内部34によって第1の筐体5aの外部から軸受16Aに向けて案内される。これにより、軸受16Aが冷却される。
【0036】
ここで、冷却管41Aにおいては、外管51の内部に内管52が配置され、外管51と内管52との間に第1の流路41aが形成され、内管52の内部に第2の流路41bが形成されている。このような構成により、第2の流路41b内の外気と空間4bの空気との熱交換は、第1の流路41a内の外気と空間4bの空気との熱交換よりも抑制される。よって、第2の流路41bから流出する外気の温度が第1の流路41aから流出する外気の温度よりも低くなる。具体的には、内管52の端部52bにおける第2の流路41bの外気の温度が、外管51の端部51bにおける各第1の流路41aの外気の温度よりも低い。また、出口端板43に位置する第2の流路41bの外気の温度が、出口端板43に位置する各第1の流路41aの外気の温度よりも低い。なお、上記各温度は、第1の流路41aの外気および第2の流路41bの外気のそれぞれの最高温度でもあってもよいし、第1の流路41aの外気および第2の流路41bの外気のそれぞれの平均温度でもあってもよい。また、内管52の材料の熱伝導率は、外管51の材料の熱伝導率よりも低い。よって、第2の流路41b内の外気と空間4bの空気との熱交換は、第1の流路41a内の外気と空間4bの空気との熱交換よりもさらに抑制される。
【0037】
本実施形態では、上記のように冷却管41A,41B内を外気が流れるため、冷却管41A,41Bにおける外気の流の下流側に近い軸受16Aは、冷却管41A,41Bにおける外気の流の上流側に近い軸受16Bに比べて、閉空間4を循環する内気による冷却がされにくい。このため、冷却管41Aおよび案内部34によって、軸受16Aの冷却をしている。
【0038】
<実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の回転電機1は、第1の筐体5aと、固定子13と、回転子12と、軸受16Aと、冷却器3と、案内部34と、を備える。第1の筐体5aの内部には、空間4a(第1の空間)が設けられている。固定子13は、第1の筐体5aの空間4aに収容されている。回転子12は、シャフト14を有し第1の筐体5aの空間4aに一部が収容されている。軸受16Aは、第1の筐体5aに支持されるとともに、シャフト14を第1の筐体5aに対して回転可能に支持している。冷却器3は、空間4aと通じた空間4b(第2の空間)が内部に設けられ空間4bと空間4aとの間で気体が循環する第2の筐体5b(収容体)と、空間4bに面して第2の筐体5bに収容され、内部を通る外気(冷却媒体)と空間4b内の気体との間で熱交換を行う冷却管41A,41Bと、を有する。案内部34は、第1の筐体5aの外部に位置している。冷却管41Aは、外管51と、外管51内を、第1の流路41aと、第2の流路41bと、に仕切った内管52(仕切部)と、を有する。冷却器3は、第2の流路41bから流出する外気の温度が前記第1の流路41aから流出する外気の温度よりも低くなるように構成されている。案内部34は、第2の流路41bから流出した外気を第1の筐体5aの外部から軸受16Aに向けて案内する。
【0039】
このような構成によれば、第2の流路41bから流出する外気の温度が第1の流路41aから流出する外気の温度よりも低くなり、第2の流路41bから流出した外気が案内部34によって第1の筐体5aの外部から軸受16A(一例として、軸受16Aにおける空間4aの外部に露出した部分16b)に向けて案内されるので、軸受16Aが、第1の流路41aから流出する外気よりも冷たい外気によって冷却される。よって、軸受16Aの温度上昇を抑制することができる。
【0040】
また、上記構成によれば、冷却管41A,41Bのうちいくつかを軸受16Aを冷却するための専用の冷却管に変更する必要がない。よって、冷却管41A,41Bの本数を減らさずに済むので、固定子13等の冷却効果が低下することを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、仕切部は、外管51内に配置された内管52である。第1の流路41aは、外管51と内管52との間に設けられている。第2の流路41bは、内管52内に設けられている。
【0042】
このような構成によれば、第1の流路41aと第2の流路41bとを比較的容易に形成することができる。
【0043】
また、本実施形態では、冷却管41Aの長さ方向と直交する外管51の断面は、円形であり、冷却管41Aの長さ方向と直交する内管52の断面は、多角形である。内管52は、外管51の内周面51cに接している。
【0044】
このような構成によれば、外管51と内管52との間に複数の第1の流路41aが形成されることにより、第2の流路41b中の外気と空間4b内の気体との熱交換が抑制されるので、第2の流路41bから流出する外気の温度が低くなりやすい。
【0045】
また、本実施形態では、内管52の材料の熱伝導率は、外管51の材料の熱伝導率よりも低い。
【0046】
このような構成によれば、第2の流路41b中の外気と第1の流路41a内の気体との熱交換が抑制され、ひいては空間4b内の気体との熱交換が抑制されるので、第2の流路41bから流出する外気の温度が低くなりやすい。
【0047】
また、本実施形態では、冷却管41Aは、冷却管41A,41Bによって構成される複数の段のうち上部の段を構成している。
【0048】
このような構成によれば、冷却管41Aが冷却管41A,41Bによって構成される複数の段のうち下部の段を構成している場合に比べて、冷却管41A中の外気とすでに熱交換を行った空間4b内の気体が、冷却管41B内の外気と熱交換を行うため、第2の流路41b中の外気と空間4b内の気体との熱交換が抑制される。よって、第2の流路41bから流出する外気の温度が低くなりやすい。
【0049】
<変形例>
図6は、実施形態の変形例の冷却管41Aの例示的な断面図である。変形例の冷却管41Aは、内管52の断面が、半円状である。本変形例では、第1の流路41aの上に第2の流路41bが位置している。なお、別の変形例として、外管51の内部の領域を平板状の仕切部によって上下に二分割して、一方の領域(例えば下側の領域)を第1の流路41aとし、他方の領域を(例えば上側の領域)を第2の流路41bとしてもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…回転電機、3…冷却器、4a…空間(第1の空間)、4b…空間(第2の空間)、5a…第1の筐体、5b…第2の筐体(収容体)、12…回転子、13…固定子、14…シャフト、33…案内部(第1の案内部)、34…案内部(第2の案内部)、41A…冷却管(第1の冷却管)41B…冷却管(第2の冷却管)、51…外管(筒部)、51c…内周面、52…内管(仕切部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6