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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】連結部材及びラジオコントロール送信機
(51)【国際特許分類】
   A63H 30/04 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A63H30/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021075975
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170087
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀郎
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-325994(JP,A)
【文献】特開2010-088536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 30/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に着脱可能に取り付けられた操作部を操作することによって操縦信号を被操縦体に送信するラジオコントロール送信機において、前記本体に対する前記操作部の位置を任意に設定するために、前記本体と前記操作部の間に設けられる連結部材であって、
前記連結部材は一の部材と他の部材とからなり、前記一の部材と前記他の部材は、大径の円周方向に沿って配置された外側取り付け孔と、前記外側取り付け孔の配置と同芯となるように小径の円周方向に沿って配置された内側取り付け孔とを有しており、前記一の部材と、これに隣接する前記他の部材が、前記円周方向について相互に任意の配置で組み合わされた状態で、前記外側取り付け孔と前記内側取り付け孔の一方を挿通する固定具によって固定されることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
前記一の部材が、前記本体に取り付けられる固定アダプタであり、
前記他の部材が、前記固定アダプタと前記操作部の間に設けられて前記操作部の前記本体に対する傾斜角度を設定する角度設定アダプタと、前記固定アダプタと前記操作部の間に設けられて前記操作部の前記本体に対する距離を設定する距離設定アダプタを含む選択群から選択された前記角度設定アダプタ若しくは前記距離設定アダプタ又は前記角度設定アダプタ及び前記距離設定アダプタであることを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
本体に着脱可能に取り付けられた操作部を操作することによって操縦信号を被操縦体に送信するラジオコントロール送信機において、
前記本体に対する前記操作部の位置を任意に設定するために前記本体と前記操作部の間に設けられた連結部材が、大径の円周方向に沿って配置された外側取り付け孔と、前記外側取り付け孔の配置と同芯となるように小径の円周方向に沿って配置された内側取り付け孔とを有しており、一の前記連結部材と、これに隣接する他の前記連結部材が、前記円周方向について相互に任意の配置で組み合わされた状態で、前記外側取り付け孔と前記内側取り付け孔の一方を挿通する固定具によって固定されることにより、前記操作部と前記連結部材が一体となって前記本体に結合されていることを特徴とするラジオコントロール送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被操縦体を操縦するための操作部が本体に対して着脱可能であるラジオコントロール送信機において、本体に対する操作部の位置を任意に調整、設定するため本体と操作部の間に設けられる連結部材(アダプタ)と、この連結部材を用いたラジオコントロール送信機に係り、特に、回転方向の位置関係において操作部と連結部材の連結及び連結部材同士の連結を任意の角度で支障なく行える連結部材と、これを用いたラジオコントロール送信機に関するものである。
【0002】
特許文献1には、ラジオコントロール用送信機の本体に操作ユニットを取り付けるための傾斜アダプタに関する発明が開示されている。傾斜アダプタ20は、本体部1の本体側取付部8に装着される第一取付面21と、この第一取付面21に対し傾斜した円形状の第二取付面22を有している。操作ユニットを、傾斜アダプタを間に介して、ラジオコントロール用送信機の本体に取り付けるには、まず傾斜アダプタ20が回転方向について任意の位置となるように第一取付面21を本体側取付部8に装着し、取り付け孔21bにネジを挿入してネジ止めで固定する。次に傾斜アダプタ20の第二取付面22に対し、操作ユニット6を回転方向について任意の位置となるように装着し、操作ユニット6に設けられた4個の孔からネジを挿入して取り付け孔22bにネジ止めで固定する。この発明によれば、操作ユニット6を本体部1に対し任意の傾斜した状態で取り付けることができるため、ラジオコントロール用送信機の操作者の手首の負担を軽減できるものとされている。
【0003】
特許文献2には、ラジオコントロール用送信機の本体に操作ユニットを取り付けるためのアダプタに関する発明が開示されている。同文献の図5に示すように、ホイル4及び操作ユニット10は、本体2と操作ユニット10の間にアダプタ11を介在させることにより、通常、ホイル4が取り付けられる本体側中央部2aとは異なる位置にホイル4を取り付けることができる。同文献の図7に示すように、アダプタ11は、操作ユニット10が取り付けられる操作ユニット取付部11aと、本体側取付部2aに対してアダプタ11を固定するアダプタ固定部11bとが、一部重なるような形状となっている。操作ユニット取付部11aには、操作ユニット10を固定するためのアダプタ側取付穴11dが円周に沿って一定の間隔を隔てて多数設けられている。この発明によれば、ラジオコントロール送信機の操作において、操作者の操作に支障をきたすことがなく、スムーズな操縦を行うことができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010―88536号公報
【文献】特開2003―325994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に示したようなアダプタを用いて操作ユニットを送信機の本体に取り付ける場合を想定する。特許文献1及び2の開示内容によれば、送信機の本体側の取り付け孔は円周状に一列に並んでおり、また、操作ユニットを取り付けるためにアダプタ側に設けられた取り付け孔も、本体側と同様の径で円周状に一列に並んでいる。このため、円周一列の取り付け孔が設けられた本体と、操作ユニットとの間に、操作ユニットを取り付けるために円周一列の取り付け孔が設けられたアダプタを介在させる場合を考えると、アダプタの本体への取付と、操作ユニットのアダプタへの取り付けに際し、以下に説明するような取り付け孔の「競合」が生じる。
【0006】
すなわち、本体に対するアダプタの周方向の取り付け角度と、アダプタに対する操作ユニットの周方向の取り付け角度はそれぞれ任意に選択できる建前であるが、2つの角度の組み合わせによっては、本体にアダプタを固定するねじの一部と、アダプタに操作ユニットを固定するねじの一部が、周方向に関して同じ位置にある取り付け孔に対応する場合が生じうる。このように、回転方向について任意の位置で、アダプタを介して操作ユニットを送信機の本体に取り付ける場合には、アダプタ等の取り付け孔の利用について競合的な位置関係が生じる場合が考えられ、場合によっては取り付けができないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上説明した従来の技術の課題を解決するためになされたものであって、操作部(前記操作ユニット)と連結部材(前記アダプタ)の連結又は連結部材同士の連結を回転方向について任意の角度で行うことができるため、操作部と連結部材を回転方向について任意の位置関係で本体に対して支障なく取り付けることができる連結部材と、これを用いたラジオコントロール送信機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された連結部材は、
本体に着脱可能に取り付けられた操作部を操作することによって操縦信号を被操縦体に送信するラジオコントロール送信機において、前記本体に対する前記操作部の位置を任意に設定するために、前記本体と前記操作部の間に設けられる連結部材であって、
前記連結部材は一の部材と他の部材とからなり、前記一の部材と前記他の部材は、大径の円周方向に沿って配置された外側取り付け孔と、前記外側取り付け孔の配置と同芯となるように小径の円周方向に沿って配置された内側取り付け孔とを有しており、前記一の部材と、これに隣接する前記他の部材が、前記円周方向について相互に任意の配置で組み合わされた状態で、前記外側取り付け孔と前記内側取り付け孔の一方を挿通する固定具によって固定されることを特徴としている。
なお、連結部材を3以上使用する場合も本発明の範囲に含まれる。すなわち、上述した他の連結部を新たな一の連結部材と考えた場合、この新たな一の連結部材と、新たな他の連結部材が、前記円周方向について相互に任意の配置で組み合わされた状態で、前記外側取り付け孔同士又は前記外側取り付け孔同士を挿通する固定具によって固定される構成も、請求項1の発明の範囲に含まれる。
【0009】
請求項2に記載された連結部材は、請求項1に記載の連結部材において、
前記一の部材が、前記本体に取り付けられる固定アダプタであり、
前記他の部材が、前記固定アダプタと前記操作部の間に設けられて前記操作部の前記本体に対する傾斜角度を設定する角度設定アダプタと、前記固定アダプタと前記操作部の間に設けられて前記操作部の前記本体に対する距離を設定する距離設定アダプタを含む選択群から選択された前記角度設定アダプタ若しくは前記距離設定アダプタ又は前記角度設定アダプタ及び前記距離設定アダプタであることを特徴とする。
なお固定アダプタは、送信機の本体と別体でもよいし、送信機の本体と別体であるが固定的に取り付けられたものでもよいし、さらに送信機の本体に取り付け穴を直接加工したものでもよい。
【0010】
請求項3に記載されたラジオコントロール送信機は、
本体に着脱可能に取り付けられた操作部を操作することによって操縦信号を被操縦体に送信するラジオコントロール送信機において、
前記本体に対する前記操作部の位置を任意に設定するために前記本体と前記操作部の間に設けられた連結部材が、大径の円周方向に沿って配置された外側取り付け孔と、前記外側取り付け孔の配置と同芯となるように小径の円周方向に沿って配置された内側取り付け孔とを有しており、一の前記連結部材と、これに隣接する他の前記連結部材が、前記円周方向について相互に任意の配置で組み合わされた状態で、前記外側取り付け孔と前記内側取り付け孔の一方を挿通する固定具によって固定されることにより、前記操作部と前記連結部材が一体となって前記本体に結合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された連結部材及び請求項3に記載されたラジオコントロール送信機によれば、ラジオコントロール送信機の本体に操作部を取り付ける際、本体と操作部の間に連結部材を挟んで固定することにより、連結部材の形状、構造に応じて、本体に対する操作部の配置を任意に調整、設定することができる。このような調整における組み立てに際し、操作部とこれに隣接する一の連結部材を連結するために外側取り付け孔又は内側取り付け孔の一方を使用し、一の連結部材とこれに隣接する他の連結部材を連結するために外側取り付け孔又は内側取り付け孔の他方を使用すれば、一の連結部材に対する操作部の回転方向の配置と、一の連結部材に対する他の連結部材の回転方向の配置が、互いに競合することはない。すなわち、一の連結部材の両側に、操作部材と他の連結部材が隣接している場合であっても、一の連結部材に対し、操作部材を挿通して挿入される固定具と、他の連結部材を挿通して挿入される固定具とが、一の連結部材の同じ取り付け孔に挿入されることはない。従って、操作部と連結部材は回転方向について任意の位置関係を選択しても本体に対して支障なく取り付けることができる。
【0012】
請求項2に記載された連結部材によれば、ラジオコントロール送信機の本体に固定アダプタを取り付ければ、回転方向について所望の角度で操作部を固定アダプタに取り付けることができる。また、取り付け孔の競合を生じることなく、固定アダプタと操作部の間に、角度設定アダプタ又は距離設定アダプタを何れか一個設けることもできるし、任意の個数の角度設定アダプタと距離設定アダプタを任意の順序で設けることもできる。これによって、用いる連結部材の種類、数、順序に応じて本体に対する操作部の配置を任意に調整、設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のラジオコントロール送信機の正面図である。
図2】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられた固定アダプタの正面図である。
図3】実施形態のラジオコントロール送信機に取り付けられた固定アダプタと距離設定アダプタと操作部を本体から外して分解・拡散して示した斜視図である。
図4】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられた距離設定アダプタの正面図であり、分図(a)は設定距離が長いアダプタを示し、分図(b)は設定距離が中間のアダプタを示し、分図(c)は設定距離が短いアダプタを示す。
図5】実施形態のラジオコントロール送信機に取り付けられた固定アダプタと角度設定アダプタと操作部を本体から外して分解・拡散して示した斜視図である。
図6】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられた角度設定アダプタの正面図であり、分図(a)は設定角度が相対的に小さいアダプタを示し、分図(b)は設定角度が相対的に大きいアダプタを示す。
図7】実施形態のラジオコントロール送信機に取り付けられた固定アダプタと距離設定アダプタと角度設定アダプタと操作部を本体から外して分解・拡散して示した斜視図である。
図8】他の実施形態の固定アダプタの正面図である。
図9】他の実施形態の距離設定アダプタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施形態であるラジオコントロール送信機(以下、単に送信機1とも呼ぶ。)について、図1図7を参照して説明する。
図1に示す実施形態の送信機1は、回動式の操作部であるホイールユニット7を、送信機1の本体に対して各種の連結部材(アダプタ)を介して取り付けることにより、送信機1の本体に対するホイールユニット7の配置を操縦者が任意に調整できる特徴を備えており、特にホイールユニット7とアダプタの連結又はアダプタ同士の連結を回転方向について任意の角度で行えることを特徴としている。
【0015】
図1に示す実施形態のラジオコントロール送信機1は、例えば各種模型体(自動車、オートバイ、航空機、ドローン、船舶など)や、クレーンなどの産業機械を被操縦体とし、予め決められた周波数帯を使用し、回動式の操作部であるホイール6やトリガー9等の操作に応じた操縦信号(無線電波)を被操縦体に送信することにより、被操縦体を遠隔操作するための装置である。なお、実施形態では被操縦体が模型自動車であり、被操縦体の動力源としてはエンジンを用いることを想定しているが、もちろん被操縦体は模型自動車以外でもよいし、動力源はエンジン以外(例えばモーター)でもよい。
【0016】
まず、送信機1の基本的な構造を説明する。
送信機1は、図1に示すように、グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4の各部によって大略構成された本体としての筐体5を備えており、筐体5の各部は熱可塑性樹脂(例えば汎用プラスチック)で形成されている。
【0017】
グリップ部2は、下端側がベース部3と一体であり、上端側がヘッド部4と一体となっている。グリップ部2は、被操縦体を遠隔操作するときに操縦者が把持する把持部として機能する。
【0018】
ベース部3は、グリップ部2の下端側に設けられた略矩形状の部分である。ベース部3は、グリップ部2を把持する手の下限位置を規制しており、手がグリップ部2から抜け落ちるのを防ぐとともに、送信機1を使用していないときには、例えば地面などに立てて置く際の脚部としても機能する。また、図示はしないが、ベース部3にはバッテリーが内蔵されている。
【0019】
ヘッド部4は、グリップ部2の上端側に設けられており、回動式の操作部であるホイールユニットと、回動式の操作部であるトリガー5を備えている。
【0020】
ホイールユニット7は、被操縦体の進行方向を制御するためのステアリングとして機能する円盤型のホイール6と、操縦者がホイール6を回動させながら操作可能である円周上の異なる位置に設けられた複数のスイッチ8を備えている。ホイールユニット7は、図1に示すように、紙面と垂直に延在する回転軸7aを中心としてホイール6が回動自在となるようにヘッド部4に取り付けられている。ホイール6を、所定の基準位置から左および右回りに回動すれば、被操縦体、例えば模型自動車の進行方向を制御することができる。
【0021】
トリガー9は、被操縦体の動力源、例えば模型自動車のエンジンを制御し、被操縦体の移動速度を調整するための操作部である。トリガー9は、図1に示すような引き金形状であり、図示しない回動軸を中心として回動する。トリガー9は、被操縦体を加速するためのスロットルレバー9aと、被操縦体を減速するためのブレーキレバー9bの2つのレバーを備えている。
【0022】
一般的なラジオコントロール送信機1の操縦態勢では、図1において操縦者は送信機1の左側に右を向いて位置し、利き手と反対の手でグリップ部2を把持し、グリップ部2を把持した手の一部の指でトリガー9を操作するとともに、利き手の指でホイール6を回動操作する。
【0023】
図1に示す送信機1は右利き用であり、ホイールユニット7は図1において正面側、すなわち操縦者から見て右側面にある。一般に、右利きの操縦者は左手でグリップ部2を把持するとともに、左手の人差指でトリガー9を操作し、右手でホイール6を操作する。但し、固定アダプタ10及びホイールユニット7は筐体5に対して着脱自在であり、これらを図1においてヘッド部4の背面(操縦者から見て左側面)に設ければ、一般的な左利き用の送信機1に変更することができる。なお、上述した操縦者による送信機1の持ち方は、一般的な例示に過ぎず、これと逆の手で持つことを妨げるものではない。例えば、右利きの操縦者が右手でグリップ部2を把持してもよいし、左利きの操縦者が左手でグリップ部2を把持してもよい。
【0024】
次に、以上説明した送信機1において、ホイールユニット7をヘッド部4に取り付けている固定構造について説明する。
図1に示すように、ホイールユニット7は、ヘッド部4の正面(操縦者から見て右側面)に、連結部材である固定アダプタ10を介して着脱自在に取り付けられている。
【0025】
図2は、ホイールユニット7をヘッド部4に取り付ける固定アダプタ10の正面を示している。固定アダプタ10は、その中央に貫通孔12がある環状の第1取り付け部11を備えている。図3の斜視図に示すように、第1取り付け部11は、その直径に対して厚さが小さいリング状板体であり、大径の円周方向に沿って並ぶ多数の外側取り付け孔13と、外側取り付け孔13の配置と同芯となるように、小径の円周方向に沿って並ぶ同数の内側取り付け孔14を有している。外側取り付け孔13と内側取り付け孔14の間には、半径方向について高さが異なる周状の段差があり、同様の外側取り付け孔13と内側取り付け孔14が同様の段差をもって設けられた他のアダプタ20,30と、形状が合致して嵌合するようになっている。これらの取り付け孔13,14にはめねじが設けてあり、固定ねじ15,16により、前述したホイールユニット7を取り付けることもできるし、後述する距離設定アダプタを20取り付けることもできる。なお、アダプタ同士の固定及びホイールユニット7とアダプタの固定に使用される固定ねじ15,16(図3及び後述する図7を参照)は、安定した固定状態を得るために、一つの固定箇所について4本とする。また後述する図5及び図7に示す固定ねじ17についても同様である。
なお、本発明における固定具は、本実施形態では前記固定ねじ15~17に相当するが、固定ねじは固定具の一例にすぎず、固定具は、一の連結部材と、これに隣接する他の連結部材を、取り付け孔を挿通して固定する手段であれば、ねじでなくてもよく、他の締結原理による固定手段でもよい。
【0026】
実施形態では、固定アダプタ10以外の連結部材(アダプタ)として、後述するように距離設定アダプタ20と角度設定アダプタ30がある。詳細は後述するが、これらのアダプタ20,30にも、固定アダプタ10とサイズ、配置等が同様の構成である外側取り付け孔13と内側取り付け孔14が設けられている。実施形態では外側取り付け孔13と内側取り付け孔14は、何れも各々原則として48個ずつある。従って、ホイールユニット7を取り付ける場合には、回転方向について360°/48=7.5°の単位角度刻みで回転方向の取り付け位置を調整、設定することができる。なお、設計上の都合により、部分的に取り付け孔を設けない箇所があってもよい。もちろん、孔の個数及び回転方向位置を調整する際の単位角度は実施形態ごとに任意に設定できる。
【0027】
なお、この固定アダプタ10、また後述する距離設定アダプタ20及び角度設定アダプタ30、そしてホイールユニット7の各部材を組み立てて相互の周方向の配置を調整する際には、各部材の結合面の周囲に前記単位角度刻みで設けられた凹部と凸部を設けて置き、各部材の結合時に凹部と凸部を係合させることで周方向の所定位置において仮位置決めを行い、その状態で外側取り付け孔13又は内側取り付け孔14に、固定部材である複数本(実施形態では4本)の固定ねじ15~17(図3図5及び図7を参照)をねじ込むことで当該位置関係を固定することができる。
【0028】
図2に示すように、第1取り付け部11の外周面の2カ所には、第1取り付け部11の厚さ方向(紙面垂直方向)と直交する方向に張り出した2個の固定アーム18が設けられている。固定アーム18には固定孔18aが設けられている。固定孔18aに固定ねじを挿通して送信機1のヘッド部4に設けられたねじ孔にねじ込めば、図1に示すように固定アダプタ10をヘッド部4に固定することができる。
【0029】
図3は、固定アダプタ10と、後述する距離設定アダプタ20と、ホイールユニット7の組み立て構造を説明するための分解・拡散斜視図であり、後に距離設定アダプタ20の説明において参照するが、この図から後述する距離設定アダプタ20を除いた状態を想定すれば理解できるように、固定アダプタ10にホイールユニット7を直接取り付けることができる。すなわち、後述する距離設定アダプタ20を除いた図3において、送信機1のヘッド部4に固定アダプタ10を図示しない固定ねじで取り付け、ホイールユニット7の外面側からホイールユニット7の図示しない挿通孔に固定ねじ15を挿入し、固定アダプタ10の内側取り付け孔14に挿通し、固定アダプタ10の内側y取り付け孔14にねじ込めば、図1に示したようにホイールユニット7を送信機1の筐体5に取り付けることができる。
【0030】
この場合には、ホイールユニット7を固定ユニットに対して直接取り付けており、他のアダプタが介在しないため、ホイールユニット7の回転方向に関する位置を如何様に選択しても前述した競合の問題は起きない。
【0031】
図3に示す距離設定アダプタ20は、送信機1の固定アダプタ10とホイールユニット7の間に設けることにより、ホイールユニット7の筐体5に対する距離又は直線的な配置関係を所望の状態に設定する中間部材である。距離設定アダプタ20は、固定アダプタ10の第1取り付け部11に類似した構造の第2取り付け部22を有している。第2取り付け部22は、その直径に対して厚さが小さいリング状板体であり、大径の円周方向に沿って並ぶ多数の外側取り付け孔13と、外側取り付け孔13の配置と同芯となるように、小径の円周方向に沿って並ぶ同数の内側取り付け孔14を有している。これらの取り付け孔に固定ねじ15をねじ込むことにより、前述したホイールユニット7を取り付けることもできるし、後述する角度設定アダプタ30を取り付けることもできる。また、距離設定アダプタ20は、第3取り付け部23を有している。第3取り付け部23は、第2取り付け部22と略同外径の円板体であり、第2取り付け部22と軸芯を偏芯させて一部が重なった状態で概ね同一平面内に平行に配置されており、第2取り付け部22と一体になっているが、第2取り付け部22と重なった部分は切り欠かれている。第3取り付け部23には、周方向について90°間隔で4カ所に取り付け支持体24が設けられており、各取り付け支持体24には固定ねじ16の挿通孔が設けられている。これらの取り付け支持体24に固定ねじ16を挿通させ、固定アダプタ10の内側取り付け孔14や、後述する角度設定アダプタ30の内側取り付け孔14にねじ込んで固定することができる。
【0032】
図3において、送信機1のヘッド部4に固定アダプタ10を固定ねじで取り付ける。ホイールユニット7の外面側からホイールユニット7の図示しない挿通孔に固定ねじ15を挿入し、距離設定アダプタ20の第2取り付け部22の内側取り付け孔14にねじ込む。さらに距離設定アダプタ20の第3取り付け部23の取り付け支持体24に固定ねじ16を挿入して固定アダプタ10の第1取り付け部11の内側取り付け孔14に固定する。これにより、図1に示したホイールユニット7の取り付け位置から、距離設定アダプタ20における第2取り付け部22と第3取り付け部23の中心間距離の分だけ移動した位置に、ホイールユニット7を移動させることができる。移動させる周方向の角度は任意に設定できる。
【0033】
図3に示す場合には、ホイールユニット7を距離設定アダプタ20の第2取り付け部22に対して取り付けており、距離設定アダプタ20の第3取り付け部23を固定アダプタ10に取り付けており、他のアダプタが介在しないため、ホイールユニット7の回転方向に関する位置や、固定アダプタ10に対する距離設定アダプタ20の回転方向に関する位置を如何様に選択しても、前述した競合の問題は起きない。
【0034】
図4は、距離設定アダプタ20の形態のバリエーションを示す正面図である。図4(a)は設定距離が長い距離設定アダプタ20を示し、図4(b)は設定距離が中間の距離設定アダプタ20bを示し、図4(c)は設定距離が短い距離設定アダプタ20cを示している。
【0035】
図5は、固定アダプタ10と、角度設定アダプタ30と、ホイールユニット7を送信機1の筐体5から外して分解・拡散して示した斜視図である。角度設定アダプタ30は、固定アダプタ10とホイールユニット7の間に設けることにより、ホイールユニット7の回動軸の筐体5に対する傾斜角度を、図1に示す紙面に垂直な状態から所定の角度だけ傾斜させるための中間部材である。角度設定アダプタ30は、固定アダプタ10の第1取り付け部11又は距離設定アダプタ20の第2取り付け部22に類似した構造の第4取り付け部34を有している。第4取り付け部34は、その直径に対して厚さが小さいリング状板体であり、大径の円周方向に沿って並ぶ多数の外側取り付け孔13と、外側取り付け孔13の配置と同芯となるように、小径の円周方向に沿って並ぶ同数の内側取り付け孔14を有している。第4取り付け部34は、ホイールユニット7が取り付けられる表面側のホイール取り付け部34aと、これとは反対側に、所定の傾斜角度で円筒形を切断した形状の傾斜取り付け部34bを備えている。傾斜取り付け部34bの内側には、周方向について90°間隔で4カ所に取り付け支持体35が設けられており、各取り付け支持体35には固定ねじ15の挿通孔が設けられている。
【0036】
図5に示すように、ホイールユニット7の表側から固定ねじ15を挿入して角度設定アダプタ30の内側取り付け孔14にねじ込めば、角度設定アダプタ30をホイールユニット7に取り付けることができる。また、角度設定アダプタ30の傾斜取り付け部34bを固定アダプタ10に位置決めし、固定アダプタ10の外側取り付け孔13から固定ねじ17を挿入して角度設定アダプタ30の外側取り付け孔13にねじ込めば、ホイールユニット7を固定した角度設定アダプタ30に対し、固定アダプタ10を取り付けることができる。そして、この固定アダプタ10を送信機1の筐体5に固定すれば、ホイールユニット7を送信機1の筐体5に軸線を傾斜させた状態で取り付けることができる。
【0037】
図6は、角度設定アダプタ30の傾斜角度のバリエーションを示す正面図である。図6(a)は設定角度が5°の角度設定アダプタ30aを示し、図4(b)は設定角度が10°の角度設定アダプタ30bを示している。これらの角度設定アダプタ30を図5に示したように固定アダプタ10とホイールユニット7の間に設ければ、図1に示すホイール6の紙面に垂直な中心軸を、周方向について任意の回転角度の位置で、垂直方向から5°又は10°傾斜させることができる。
【0038】
図5に示す場合には、ホイールユニット7と固定アダプタ10を、間に角度設定アダプタ30を挟んで一体に組み付けているため、仮に各部の連結構造が「従来の技術」で説明したようなものであり、アダプタの取り付け孔が円周状に一列に並んでいるだけであるとすれば、ホイールユニット7の回転方向に関する位置と、固定アダプタ10に対する角度設定アダプタ30の回転方向に関する位置は、必要な取り付け孔に関して競合が生じる可能性がある。しかしながら、この実施形態によれば、少なくとも角度設定アダプタ30の取り付け孔は径の異なる2重の孔列で構成されているため、内外の孔列を適宜に使い分けることにより、このような競合の問題は生じない。
【0039】
図7は、実施形態の送信機1に取り付けられる固定アダプタ10と、距離設定アダプタ20と、角度設定アダプタ30と、ホイールユニット7を、送信機1の筐体5から外し、分解して拡散した状態で示した斜視図である。
【0040】
図7に示すように、ホイールユニット7の表側から固定ねじ15を挿入して角度設定アダプタ30の内側取り付け孔14にねじ込めば、角度設定アダプタ30をホイールユニット7に取り付けることができる。また、角度設定アダプタ30の傾斜取り付け部34bを、距離設定アダプタ20の第2取り付け部22に位置決めし、第2取り付け部22の外側取り付け孔13に固定ねじ17を挿入し、角度設定アダプタ30の外側取り付け孔13にねじ込めば、ホイールユニット7と角度設定アダプタ30と距離設定アダプタ20を一体化することができる。そして、距離設定アダプタ20の第3取り付け部23を固定アダプタ10に固定ねじ16で固定する。そして、この固定アダプタ10を送信機1の筐体5に固定する。これにより、ホイールユニット7は、図1に示す位置において軸線が紙面に垂直である状態から、その軸線を所定の距離だけ平行位置し、かつ所定の傾斜角度だけ傾斜した状態となるように、姿勢が変更される。
【0041】
図7に示す場合には、ホイールユニット7と距離設定アダプタ20で角度設定アダプタ30を挟み、全体を一体に組み付けているため、仮に各部の連結構造が「従来の技術」で説明したようなものであり、アダプタの取り付け孔が円周状に一列に並んでいるだけであるとすれば、ホイールユニット7の回転方向に関する位置と、距離設定アダプタ20に対する角度設定アダプタ30の回転方向に関する位置は、必要な取り付け孔に関して競合を生じる可能性がある。しかしながら、この実施形態によれば、少なくとも角度設定アダプタ30の取り付け孔は径の異なる2重の孔列で構成されているため、内外の孔列を適宜に使い分けることにより、このような競合の問題は生じない。
【0042】
図7において、距離設定アダプタ20と角度設定アダプタ30の位置を入れ換えることもできる。この場合も、外側取り付け孔13と内側取り付け孔14を適宜に使い分けることによって、距離設定アダプタ20と固定アダプタ10に挟まれた角度設定アダプタ30において、取り付け孔の競合が発生することはない。
【0043】
また、図7において、固定アダプタ10と、距離設定アダプタ20の第3取り付け部23の間に、もう一つの角度設定アダプタ30を設けることもできる。この場合には、第3取り付け部23の取り付け支持体24を挿通した固定ねじ16を角度設定アダプタ30の内側取り付け孔14にねじ込んで固定し、固定アダプタ10の外側取り付け孔13を挿通した固定ねじを角度設定アダプタ30の外側取り付け孔13にねじ込んで固定すれば、競合の発生はない。
【0044】
固定アダプタ10とホイールユニット7との間に配置される連結部材(距離設定アダプタ20又は角度設定アダプタ30)の種類、数、順序は、操縦者にとって操縦しやすいホイールユニット7の位置、すなわち送信機1の筐体5に対するホイールユニット7の好ましい配置が実現するように、適宜に選択して実施することができる。
【0045】
次に、第2実施形態の連結部材(アダプタ)について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、第2実施形態の固定アダプタ50の正面図である。第1取り付け部11には、大径の円周方向に沿って並ぶ4個の長孔又は湾曲した溝からなる外側取り付け孔51と、外側取り付け孔51の配置と同芯となるように、小径の円周方向に沿って並ぶ4個の長孔又は湾曲した溝からなる内側取り付け孔52が設けられている。
【0046】
図9は、第2実施形態の距離設定アダプタ60の正面図である。第2取り付け部22には、大径の円周方向に沿って並ぶ4個の長孔又は湾曲した溝からなる外側取り付け孔51と、外側取り付け孔51の配置と同芯となるように、小径の円周方向に沿って並ぶ4個の長孔又は湾曲した溝からなる内側取り付け孔52が設けられている。
【0047】
図8に示す固定アダプタ50と、図9に示す距離設定アダプタ60において、外側取り付け孔51の不連続部分と、内側取り付け孔52の不連続部分は、周方向について同一の位置とならないように配置されている。
【0048】
その他の構成は第1実施形態と同一であり、図8及び図9に第1実施形態の説明と同一の符号を付して第1実施形態の説明を援用する。なお、図示はしないが、第2実施形態においても角度設定アダプタを用いることができ、その場合の外側取り付け孔及び内側取り付け孔も、固定アダプタ50及び距離設定アダプタ60の場合と同様の長孔構造である。
【0049】
以上説明した第2実施形態の長孔(又は長溝)を備えた連結部材(アダプタ)の場合も、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、送信機1の筐体5にホイールユニット7を取り付ける際、筐体5とホイールユニット7の間に連結部材(アダプタ)を挟んで固定することにより、本体に対するホイールユニット7の配置を、筐体に対する距離(長さ)や角度(傾斜角度)の点で任意に調整、設定することができる。そして、各部品の組み立てにおいては、ホイールユニット7と、これに隣接する一のアダプタを連結するために、例えば外側取り付け孔13を使用し、また一のアダプタと、これに隣接する他のアダプタを連結するために内側取り付け孔14を使用すれば、一のアダプタに対するホイールユニット7の回転方向の配置と、一のアダプタに対する他のアダプタの回転方向の配置が、互いに競合することはない。すなわち、一のアダプタの両側に、ホイールユニット7と他のアダプタが隣接している場合であっても、一のアダプタに対し、ホイールユニット7を挿通して挿入される固定ねじと、他のアダプタを挿通して挿入される固定ねじとが、一のアダプタの同じ取り付け孔に挿入されることはない。従って、ホイールユニット7とアダプタは回転方向について任意の位置関係を選択しても筐体5に対して支障なく取り付けることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ラジオコントロール送信機(送信機)
5…本体としての筐体
6…操作部としてのホイール
7…操作部としてのホイールユニット
10,50…連結部材としての固定アダプタ
13,51…外側取り付け孔
14,52…内側取り付け孔
20,20a,20b,60…連結部材としての距離設定アダプタ
30,30a,30b…連結部材としての角度設定アダプタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9