(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ラジオコントロール送信機の保持補助具及びラジオコントロール送信機
(51)【国際特許分類】
A63H 30/00 20060101AFI20240307BHJP
A63H 30/04 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A63H30/00 Z
A63H30/04 A
(21)【出願番号】P 2021075977
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀郎
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055911(JP,A)
【文献】米国意匠特許発明第00647589(US,S)
【文献】米国意匠特許発明第00830490(US,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 30/00
30/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦者が把持するグリップ部と、前記グリップ部の上端側に設けられたヘッド部と
、前記ヘッド部の下側に備えられるとともに前記グリップ部の前方に配置されて前記グリップ部を保持する操縦者の指で操作される操作部と
、前記グリップ部の上部の前側に設けられ、前記グリップ部の左右両側面において前後方向に連続するとともに前記グリップ部の前方に突き出た形状を呈して前記グリップ部の前面で連続する突起部と、を有するラジオコントロール送信機において、操縦者による前記グリップ部の保持を補助するために
前記突起部に着脱されるラジオコントロール送信機の保持補助具であって、
前記
突起部の両側面に接するとともに
、前記グリップ部を保持する操縦者の指と指の隙間を埋めるように前後方向に連続
し、前記前後方向と平行な視線で正面から見た場合に左側面と右側面がそれぞれ左方向及び右方向に膨らんでおり、前記左側面と前記右側面に垂直な視線で前記左側面又は前記右側面から見た場合に上方に凸となる湾曲形状とされた一対の突出部と、
前記突起部の前部に接するとともに、前記一対の突出部を一体に結合するとともに前方に向けて突出した前部とを具備し、
弾性を有する材料で一体に構成されたことを特徴とするラジオコントロール送信機の保持補助具。
【請求項2】
前記保持補助具は、前記グリップ部を保持する操縦者を基準とした場合、右側の前記突出部と左側の前記突出部
の外方への突出が同
じである第1保持補助具と、左側の前記突出部
の外方への突出が右側の前記突出部よりも大きい第2保持補助具と、右側の前記突出部
の外方への突出が左側の前記突出部よりも大きい第3保持補助具とを含む群から任意に選択してラジオコントロール送信機に装着可能であることを特徴とする請求項1に記載のラジオコントロール送信機の保持補助具。
【請求項3】
操縦者が把持するグリップ部と、前記グリップ部の上端側に設けられたヘッド部と
、前記ヘッド部の下側に備えられるとともに前記グリップ部の前方に配置されて前記グリップ部を保持する操縦者の指で操作される操作部と
、前記グリップ部の上部の前側に設けられ、前記グリップ部の左右両側面において前後方向に連続するとともに前記グリップ部の前方に突き出た形状を呈して前記グリップ部の前面で連続する突起部と、を有するラジオコントロール送信機において、
前記
突起部の両側面に接するとともに
、前記グリップ部を保持する操縦者の指と指の隙間を埋めるように前後方向に連続
し、前記前後方向と平行な視線で正面から見た場合に左側面と右側面がそれぞれ左方向及び右方向に向けて膨らんだ一対の突出部と、
前記突起部の前部に接するとともに、前記一対の突出部を一体に結合するとともに前方に向けて突出した前部とを具備し、
弾性を有する材料で一体に構成された保持補助具が設けられたことを特徴とするラジオコントロール送信機。
【請求項4】
一対の前記突出部の各後部の内面には係合突起が設けられており、
前記グリップ部の左右両側面には前記係合突起の配置に対応して係合凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のラジオコントロール送信機の保持補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロール送信機のグリップ部に設けられ、片手で握りやすく全体の重量を安定的に支えることができる保持補助具及び当該保持補助具が設けられたラジオコントロール送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラジコン模型用送信機の発明が開示されている。この発明のラジコン模型用送信機は、手のひらで握って全体を保持するためのグリップユニットと、グリップユニットの上方に位置する上部本体と、上部本体の正面側に設けられるステアリングユニットと、各種の拡張子を搭載したエクステンションユニットと、バッテリーを収納保持したバッテリーユニットとを備えている。そして、少なくともグリップユニットと、上部本体と、ステアリングユニットと、エクステンションユニットの各パーツは相互に分離自在かつ結合自在とされている。この発明によれば、使用者の好みに合わせて送信機の構成部材を自由に組み合わせることにより、最適の組み合わせに係る送信機にカスタマイズすることができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッド部の下部に設けられたグリップ部を操縦者が片手で保持し、グリップ部を保持している手の指でヘッド部の下面にある操作部(例えば速度を制御するトリガー)を操作し、ヘッド部の側面に設けられた第2操作部(例えば方向を制御するホイール)を他方の手で操作するタイプのラジオコントロール送信機が知られている。特許文献1に示した送信機も、これと同じタイプのラジオコントロール送信機である。このようなタイプの従来のラジオコントロール送信機では、ヘッド部とグリップ部の重量を片手で保持することのみで支える必要があるが、そのグリップ部の構造は、必ずしも、片手で握りやすく全体の重量を安定的に支えることができるものではなかった。
【0005】
本発明は、以上説明した従来の技術の課題を解決するためになされたものであって、片手で握りやすく全体の重量を安定的に支えることができるラジオコントロール送信機の保持補助具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載されたラジオコントロール送信機の保持補助具は、
操縦者が把持するグリップ部と、前記グリップ部の上端側に設けられたヘッド部と、前記ヘッド部の下側に備えられるとともに前記グリップ部の前方に配置されて前記グリップ部を保持する操縦者の指で操作される操作部と、前記グリップ部の上部の前側に設けられ、前記グリップ部の左右両側面において前後方向に連続するとともに前記グリップ部の前方に突き出た形状を呈して前記グリップ部の前面で連続する突起部と、を有するラジオコントロール送信機において、操縦者による前記グリップ部の保持を補助するために前記突起部に着脱されるラジオコントロール送信機の保持補助具であって、
前記突起部の両側面に接するとともに、前記グリップ部を保持する操縦者の指と指の隙間を埋めるように前後方向に連続し、前記前後方向と平行な視線で正面から見た場合に左側面と右側面がそれぞれ左方向及び右方向に膨らんでおり、前記左側面と前記右側面に垂直な視線で前記左側面又は前記右側面から見た場合に上方に凸となる湾曲形状とされた一対の突出部と、
前記突起部の前部に接するとともに、前記一対の突出部を一体に結合するとともに前方に向けて突出した前部とを具備し、
弾性を有する材料で一体に構成されたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載されたラジオコントロール送信機の保持補助具は、請求項1に記載のラジオコントロール送信機の保持補助具において、
前記保持補助具は、前記グリップ部を保持する操縦者を基準とした場合、右側の前記突出部と左側の前記突出部の外方への突出が同じである第1保持補助具と、左側の前記突出部の外方への突出が右側の前記突出部よりも大きい第2保持補助具と、右側の前記突出部の外方への突出が左側の前記突出部よりも大きい第3保持補助具とを含む群から任意に選択してラジオコントロール送信機に装着可能であることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載されたラジオコントロール送信機は、
操縦者が把持するグリップ部と、前記グリップ部の上端側に設けられたヘッド部と、前記ヘッド部の下側に備えられるとともに前記グリップ部の前方に配置されて前記グリップ部を保持する操縦者の指で操作される操作部と、前記グリップ部の上部の前側に設けられ、前記グリップ部の左右両側面において前後方向に連続するとともに前記グリップ部の前方に突き出た形状を呈して前記グリップ部の前面で連続する突起部と、を有するラジオコントロール送信機において、
前記突起部の両側面に接するとともに、前記グリップ部を保持する操縦者の指と指の隙間を埋めるように前後方向に連続し、前記前後方向と平行な視線で正面から見た場合に左側面と右側面がそれぞれ左方向及び右方向に向けて膨らんだ一対の突出部と、
前記突起部の前部に接するとともに、前記一対の突出部を一体に結合するとともに前方に向けて突出した前部とを具備し、
弾性を有する材料で一体に構成された保持補助具が設けられたことを特徴としている。
請求項4に記載されたラジオコントロール送信機の保持補助具は、請求項2に記載のラジオコントロール送信機の保持補助具において、
一対の前記突出部の各後部の内面には係合突起が設けられており、
前記グリップ部の左右両側面には前記係合突起の配置に対応して係合凹部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載されたラジオコントロール送信機の保持補助具及び請求項3に記載されたラジオコントロール送信機を操作する際は、操縦者が一方の手でグリップ部を保持し、その一方の手の人差指を操作部に掛け、人差指を動かして操作部を回動させる。このような操作の際に、仮に操作部に掛けた人差指と隣の中指との間に隙間があると、人差指の操作が不安定になってしまう。しかし、この発明によれば、人差指と中指の間の空間を突出部によって埋めるとともに、人差指の根元が突出部に接触することによって人差指の動作が安定する。このように、このラジオコントロール送信機は、保持補助具のために操作性に優れるとともに、片手でも握りやすく、かつ弾性材料により滑りにくいため安定的に保持することができる。
【0010】
請求項2に記載されたラジオコントロール送信機の保持補助具によれば、次のような効果が得られる。すなわち、ユーザーは、利き手に関わらず、左右何れの利き手にも対応できる兼用の第1保持補助具を選択することもできるし、第2及び第3保持補助具から、利き手(利き腕)に応じて、又はグリップ感等の好み等に応じて、何れかの保持補助具を選択することもできる。また、弾性を有する保持補助具は、必要に応じてラジオコントロール送信機に容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のラジオコントロール送信機の保持補助具を外した状態を示す左側面図である。
【
図2】実施形態のラジオコントロール送信機の保持補助具を外した状態を示す右側面側から見た斜視図である。
【
図3】実施形態の兼用保持補助具を示す図であって、分図(a)は正面図、分図(b)は左側面図、分図(c)は右側面図、分図(d)は平面図、分図(e)は底面図、分図(f)は背面図、分図(g)は分図(a)の切断線におけるg矢視図、分図(h)は分図(a)の切断線におけるh矢視図である。
【
図4】分図(a)は兼用保持補助具を装着したラジオコントロール送信機のグリップ部付近の右側面を示す図、分図(b)は同ラジオコントロール送信機のグリップ部付近の前面を示す図である。
【
図5】実施形態の右利き用保持補助具を示す図であって、分図(a)は正面図、分図(b)は左側面図、分図(c)は右側面図、分図(d)は平面図、分図(e)は底面図、分図(f)は背面図、分図(g)は分図(a)の切断線におけるg矢視図である。
【
図6】実施形態の左利き用保持補助具を示す図であって、分図(a)は正面図、分図(b)は左側面図、分図(c)は右側面図、分図(d)は平面図、分図(e)は底面図、分図(f)は背面図、分図(g)は分図(a)の切断線におけるg矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を
図1~
図6を参照して説明する。
図1及び
図2に示す実施形態のラジオコントロール送信機1(以下、単に送信機1とも呼ぶ。)は、例えば各種模型体(自動車、オートバイ、航空機、船舶など)や、ドローン、クレーンなどの産業機械を被操縦体とし、予め決められた周波数帯を使用し、回動式操作ユニットであるホイールやトリガー等の操作に応じた操縦信号(無線電波)を被操縦体に送信することにより、被操縦体を遠隔操作するための装置である。なお、実施形態では被操縦体が模型自動車であり、被操縦体の動力源としてはエンジンを用いることを想定しているが、もちろん被操縦体は模型自動車以外でもよいし、動力源はエンジン以外(例えばモーター)でもよい。
【0013】
まず、送信機1の全体構成を
図1及び
図2を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、送信機1は、グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4の各部によって大略構成された筐体を備えており、筐体の各部は熱可塑性樹脂(例えば汎用プラスチック)で形成されている。グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4からなる筐体は、
図1において送信機1の幅方向(紙面に垂直な方向)の中央を通過する鉛直面(紙面に平行な面)において、幅方向の左右に2分割されており、グリップ部2の上部の2カ所を幅方向に挿通する2本の連結ボルト5(
図2参照)により結合され、一体となっている。
【0014】
上述したように、グリップ部2は、下端側がベース部3と一体であり、上端側がヘッド部4と一体となっている。グリップ部2の水平断面における形状は、ベース部3側からヘッド部4側に向かって徐々に長径が縮小する楕円形状である。グリップ部2は、被操縦体を遠隔操作するときに操縦者が把持する部分である。そして、ヘッド部4に近いグリップ部2の上部には、操縦者がグリップ部2を確実に把持するための保持補助構造(保持補助具等)が設けられているが、その詳細については後に詳述する。
【0015】
ベース部3は、グリップ部2の下端側に設けられた略矩形状の部分である。ベース部3は、グリップ部2を把持する手の下限位置を規制しており、手がグリップ部2から抜け落ちるのを防ぐとともに、送信機1を使用していないときには、例えば地面などに立てて置く際の脚部としても機能する。また、図示はしないが、ベース部3にはバッテリーが内蔵されている。
【0016】
ヘッド部4は、グリップ部2の上端側に設けられており、回動式の操作部であるホイール6と、回動式の操作部であるトリガー7を備えている。
【0017】
ホイール6は、被操縦体の進行方向を制御するためのステアリングとして機能する操作部である。ホイール6は、
図1に示すように、略円板形状の中心と軸心を一致させ、紙面と垂直に延在する回転軸によって、ヘッド部4に回動自在に支持されている。ホイール6を、所定の基準位置から左および右回りに回動すれば、被操縦体、例えば模型自動車の進行方向を制御することができる。ホイール6は、操縦者の利き手に応じてヘッド部4の右側面又は左側面の何れかに選択的に取り付けることができる。
【0018】
トリガー7は、被操縦体の動力源、例えば模型自動車のエンジンを制御し、被操縦体の移動速度を調整するための操作部である。トリガー7は、
図1及び
図2に示すような引き金形状であり、被操縦体を加速するためのスロットルレバー7aと、被操縦体を減速するためのブレーキレバー7bの2つのレバーを備えている。
【0019】
一般的なラジオコントロール送信機1の操縦態勢では、
図1において操縦者は送信機1の左側に右を向いて位置し、利き手と反対の手でグリップ部2を把持し、グリップ部2を把持した手の一部の指でトリガー7を操作するとともに、利き手の指でホイール6を回動操作する。
図1及び
図2に示した送信機1は右利き用であり、操縦者が
図1の左側に立って送信機1を左手で把持すれば、図において手前側にあるホイール6を利き手の右手で操作し、被操縦体である模型自動車の進行方向を精妙に制御することができる。
【0020】
次に、操縦者がグリップ部2を確実に把持できるようにするための保持補助構造について
図1~
図4を参照して説明する。
保持補助構造の説明に当たって、まず送信機1又はグリップ部2等における前後左右、又は前面、後面、側面(右側面及び左側面)のような位置乃至方向の用語に定義を与えておく。すなわち、送信機1を把持する操縦者の側から見て、トリガー7が存在する奥側(
図1において右側、
図2において左側)が前(前方、前面、前側等)であり、トリガー7が存在する側と反対側である手前側又は操縦者側(
図1において左側、
図2において右側)が後(後方、後面、後側等)である。また、
図1及び
図2に示す右利き用の送信機1において、ホイールが設けられた側が右側面であり、その反対側が左側面である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、ヘッド部4に近いグリップ部2の上部、すなわち前記主連結ボルト5がグリップ部2を挿通している部分には、筐体の一部として突起部10が成形されている。この突起部10が、後述する保持補助具20の取り付け部となる。突起部10は、グリップ部2の左右両側面において前後方向に連続しており、グリップ部2の前面で連続している。
図1に示すように、突起部10は、グリップ部2の左右両側面では上方に凸となる湾曲形状を呈しており、グリップ部2の前面においては前方やや下向きに突き出た尖端形状を呈している。
【0022】
図1及び
図2に示すように、グリップ部2の突起部10には、操縦者がグリップ部2を確実に把持することにより、送信機1を安定的に持つための補助部品である保持補助具20が装着される。装着された状態は
図4に示す。以下に説明するように、保持補助具20は、グリップ部2の突起部10に容易に着脱できる形状、構造、材質の部品であり、操縦者の利き手に応じて右利き用、左利き用、両者兼用の3種類から任意に選択できる。まず、右利き及び左利きの何れのユーザーでも使用可能な第1保持補助具としての兼用保持補助具20(以下、単に保持補助具20とも称する。)について説明する。
【0023】
図1~
図3に示すように、保持補助具20は、左右一対の突出部21,21と、一対の突出部21,21の前方を一体に結合する前部22を有している。左右一対の突出部21,21は、前後方向に連続しており、装着時には、グリップ部2の左右両側面の突起部10に接する。左右一対の突出部21,21を連結する前部22は、前方に突出しており、装着時にはグリップ部2の突起部10の前部に接する。
図3(d)、(e)に示すように、全体として保持補助具20は、後方となる左右一対の突出部21,21の自由端側がやや窄まった平面視略U字形の外形を有している。
【0024】
より詳しく形状を説明すると、保持補助具20の左右一対の突出部21,21は、グリップ部2の左右一対の突起部10,10と同様に外方に膨らんでおり(特に
図2及び
図3(a),(f)参照)、グリップ部2の左右側面に垂直な視線で見た場合には、グリップ部2の左右一対の突起部10,10と同様、上方に凸となる湾曲形状となっている(特に
図1及び
図3(b)、(c)参照)。また、保持補助具20の前部22は、グリップ部2の突起部10の前部10aと同様、前方やや下向きに突き出た形状となっている(
図1及び
図2参照)。このように、保持補助具20とグリップ部2の突起部10は近似した形状であるため、保持補助具20は、突起部10の外面に対し、その内面を密着させた状態で装着できる。
【0025】
図3に示す保持補助具20は、前述したように、右利きと左利き、何れの操縦者であっても使用可能な兼用保持補助具20である。従って、この保持補助具20は、右利きの操縦者が左手で持った場合でも、左利きの操縦者が右手で持った場合でも、グリップ部2を同じ態様で把持できるようにするため、
図3に示すように前後方向に平行な中心線について左右対称な形状となっている。
【0026】
また、特に
図3(g)、(h)及び(e)に明示するように、保持補助具20の左右の突出部21の各後部の内面には、それぞれ3個の係合突起23が概ね縦方向に並んで設けられている。また
図1及び
図2に示すように、これら係合突起23の配置に対応して、送信機1のグリップ部2の左右両側面の各後方側には、それぞれ3個の係合凹部24が概ね縦方向に並んで設けられている。なお、係合凹部24の一部は、2本の連結ボルト5の一方が挿通する孔である。係合突起23と係合凹部24の形状は、互いに対応する組同士で一致していればよく、3組が同一である必要はない。
【0027】
保持補助具20は、適度な摩擦性と弾性を有するエラストマーを材料としており、射出成型等によって前述した形状、構造で一体に成形されている。採用可能なエラストマーの物性を一例として示せば、ヤング率は0.1~10MPa程度であるが、例えばオレフィン系サントプレーンを用いればヤング率は1~3MPa程度となる。
【0028】
図1又は
図2に示すように、グリップ部2の突起部10の前部10aに保持補助具20の後部(開口側)を向け、保持補助具20を突起部10に押し込むと、保持補助具20は弾性的に変形して突起部10を受けいれた後、原形に復帰し、
図4(a)及び(b)に示す装着状態となる。すなわち、
図1~
図3に示した保持補助具20の突出部21は、
図1及び
図2に示した突起部10に密着するとともに、
図3中に示す各係合突起23が
図1及び
図2に示す各係合凹部24に係合し、さらに略同形状である保持補助具20の前部22が突起部10の前部10aに嵌まり込む。このように、略U字形の保持補助具20は、やや開く方向に変形した状態でグリップ部2に差し込まれ、変形が戻ることにより係合突起23と係合凹部24が適度なクリック感で係合するので、突起部10にしっかりと装着される。
【0029】
図4の送信機1は、ヘッド部4の右側面(
図4の手前側)にホイール6が設けられた右利き用の送信機1であり、保持補助具20は兼用タイプである。この送信機1を右利きの操縦者が左手に持ち、右手でホイール6を操作する場合を考える。ラジオコントロール送信機1を操作する際は、操縦者が左手でグリップ部2を保持し、左手の人差指をトリガー7に掛け、人差指を動かしてトリガー7を回動させる。このような操作の際に、仮にトリガー7に掛けた人差指と隣の中指との間に隙間があると、人差指は支え無しで動くことになるため、操作が不安定になってしまう。しかし、実施形態の送信機1によれば、人差指と中指の間の空間は、指の長手方向に延設された保持補助具20の突出部21によって埋められ、人差指の根元が突出部21の前部22に接触するので人差指の動作は安定する。
なお、右利きの操縦者は、
図4に示す右利き用の送信機1を左手で持つものとして説明したが、これは一般的な場合であって、右利きの操縦者が右利き用の送信機1を右手で持つ場合もあるし、図示はしないが左利きの操縦者が左利き用の送信機1を左手で持つ場合もありうる。
【0030】
このように、保持補助具20を装着したラジオコントロール送信機1は、保持補助具20が設けられているため、把持した手の指で行うトリガー7の操作性に優れており、また片手でも握りやすい。さらに、ゴム等の弾性材料からできているために滑りにくいので、操縦中にバランスを崩さずに安定的に持ち続けることができ、また長時間持っていても疲労が少ない。
【0031】
前述したように、送信機1の本体である筐体は、左右に2分割されており、これらを連結ボルト5で結合した構造である。従って、突起部10の尖端状の前部10aには、筐体の割れ目(分割線、PLライン)が幅方向の中央に縦方向に走っている。突起部10に保持補助具20を装着しないと、操縦者がグリップ部2を把持した場合、筐体の分割線が指の先に当たるので操縦者は指先に違和感を覚え、操作の支障になる可能性がある。ところが、保持補助具20は、前述したように射出成型等によって形成され、尖端状の前部22も含めて全体が一体に構成されているので、前部22の表面には割れ目(分割線)などは存在しない。従って、保持補助具20を装着した送信機1によれば、突起部10の尖端状の前部10aの割れ目が隠されるので、指の当たりが改善されるという利点がある。
【0032】
また、上述したように、送信機1の本体は左右に2分割された筐体を連結ボルト5で結合した構造であるが、そのために、
図2に示したようにグリップ部2の上部には連結ボルト5を挿通する孔が存在する。突起部10に保持補助具20を装着しなければ、この孔又は孔内の連結ボルト5が露出し、グリップ部2を把持した操縦者の指がこれに触れれば、操縦者は指先に違和感を覚える可能性がある。ところが、保持補助具20を装着すれば、これらの孔や連結ボルト5の頭部を隠すことができる。
【0033】
次に、
図3に示した兼用保持補助具20に較べ、右利きの操縦者にとって使いやすい第2保持補助具としての右利き用保持補助具20R(以下、単に保持補助具20Rとも称する。)について、
図5を参照して説明する。なお、右利き用保持補助具20Rに特有の特徴を中心に説明し、
図5において
図3と対応する部分には
図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
図5(g)は、
図5(a)のg-g切断線におけるg矢視図である。この断面図から分かるように、保持補助具20Rの左右の突出部21は左右対称ではなく、左側が右側よりもより外方に高く突出しており、換言すればより肉厚になっている。右利きの操縦者は、送信機1を左手で保持するので、グリップ部2に装着された保持補助具20Rの左側に左手の指が接する。従って、保持補助具20Rの左側の突出部21を右側よりも大きくしておけば、左手によるグリップ部2の保持はより確実かつ安定化する。
【0035】
次に、
図3に示した兼用保持補助具20に較べ、左利きの操縦者にとって使いやすい第3保持補助具としての左利き用保持補助具20L(以下、単に保持補助具20Lとも称する。)について、
図6を参照して説明する。なお、左利き用保持補助具20Lに特有の特徴を中心に説明し、
図6において
図3と対応する部分には
図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図6(g)は、
図6(a)のg-g切断線におけるg矢視図である。この断面図から分かるように、保持補助具20Lの左右の突出部21は左右対称ではなく、右側が左側よりもより外方に高く突出しており、換言すればより肉厚になっている。左利きの操縦者は、送信機1を右手で保持するので、グリップ部2に装着された保持補助具20Lの右側に右手の指が接する。従って、保持補助具20Lの右側の突出部21を左側よりも大きくしておけば、右手によるグリップ部2の保持はより確実かつ安定化する。
【0037】
以上説明した本実施形態のラジオコントロール送信機によれば、操縦者の利き手に応じた保持補助具を、右利き用、左利き用、両者兼用の3種類の保持補助具20,20R,20Lから選択でき、また操縦者が変わる度に保持補助具20を交換することも容易である。
なお、以上説明した右利き用、左利き用の保持補助具の使用方法は一般的な場合であって、右利きの操縦者が、必ずしも右利き用の保持補助具を好むとは限らず、左利き用の保持補助具を使用する場合もあるし、右利きの操縦者の場合も同様である。その場合には、例えば、グリップ部を握る手の親指で大きい方の突起部を押さえるような握り方をする場合も考えられる。
【符号の説明】
【0038】
1…ラジオコントロール送信機(送信機)
2…グリップ部
3…ベース部
4…ヘッド部
5…連結ボルト
6…操作部としてのホイール
7…操作部としてのトリガー
10…グリップ部の突起部
10a…突起部の前部
20…第3補助保持具としての兼用保持補助具
20R…第1補助保持具としての右利き用保持補助具
20L…第2補助保持具としての左利き用保持補助具
23…係合突起
24…係合凹部